本開示は、いくつかの例示的な実施形態を説明しており、当業者に既知の詳細については、特許、特許出願、および他の参考文献に依拠する。したがって、本明細書において、特許、特許出願、または他の参考文献が引用される、または繰り返されるとき、それらは、記載されている提案だけでなくあらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることを理解されたい。
図面を参照して、本開示の一実施形態における射出成形システムについて説明する。各図中の矢印XおよびYは、互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは、地面に対して垂直(直立)方向を示す。
図1~図3は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システム1を図示しており、本明細書では情報/説明のためだけに提供されている。
射出成形システム1は、射出成形機2と、搬送装置3Aおよび3Bと、コントローラ4とを含む。射出成形システム1は、1台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bを用いて、複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する。2つの金型100Aおよび100Bを用いる。
金型100A/100Bは、固定金型101と、固定金型101に対して開閉される可動金型102との組である。成形品は、固定金型101と可動金型102との間に形成されたキャビティに溶融樹脂を射出することで成形される。固定金型101および可動金型102には、それぞれ取付板101aおよび102aが固定されている。取付板101aおよび102aは、金型100A/100Bを射出成形機の成形動作位置11(型締位置)に固定するために用いられる。
金型100A/100Bには、固定金型101と可動金型102との間を閉状態に維持する自己閉鎖部103が設けられている。自己閉鎖部103によって、射出成形機2から金型100A/100Bを搬出した後に、金型100A/100Bが開くことを防止することが可能となる。自己閉鎖部103は、磁力を利用して金型100A/100Bを閉状態に維持する。自己閉鎖部103は、固定金型101および可動金型102の対向面に沿って複数の箇所に配置されている。自己閉鎖部103は、固定金型101側の要素と可動金型102側の要素との組み合わせである。自己閉鎖部103については、通常、金型100Aおよび100Bの1つに対して2組以上設けられる。
搬送機3Aは、金型100Aを射出成形機2の成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3Bは、金型100Bを成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3A、射出成形機2、および搬送装置3Bは、この順にX軸方向に並ぶように配置されている。言い換えれば、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bは、射出成形機2をX軸方向において挟むように、射出成形機2に対して横方向に配置されている。搬送装置3Aおよび3Bは、互いに対向して配置され、搬送装置3Aは射出成形機2の左右の一側方に、搬送装置3Bは他側方にそれぞれ隣接して配置されている。成形動作位置11は、搬送装置3Aと搬送装置3Bとの間に位置している。搬送装置3Aおよび3Bは、それぞれ、フレーム30と、搬送ユニット31と、複数のローラ32と、複数のローラ33とを含む。
フレーム30は、搬送装置3Aおよび3Bの骨格であり、搬送ユニット31と、複数のローラ32および33を支持する。搬送ユニット31は、金型100A/100BをX軸方向に往復移動させ、成形動作位置11に対して金型100A/100Bを排出および挿入する装置である。
搬送ユニット31は、モータを駆動源とした電動シリンダであり、シリンダに対して進退するロッドを含む。シリンダはフレーム30に固定され、ロッドの端部には固定金型101が固定されている。搬送ユニット31は、流体アクチュエータ、電動アクチュエータのいずれも使用可能であるが、電動アクチュエータにより、金型100A/100Bの搬送時に、その位置や速度の制御精度の向上を図ることができる。流体アクチュエータとしては、例えば、油圧シリンダ、エアシリンダを挙げることができる。電動アクチュエータとしては、電動シリンダに加えて、モータを駆動源としたラックアンドピニオン機構、モータを駆動源としたボールねじ機構等を挙げることができる。
搬送ユニット31は、搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置されている。しかし、金型100Aおよび100Bを支持する共通の支持部材を用い、この支持部材に対して単一の共通の搬送ユニット31を配置してもよい。搬送ユニット31を搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置した場合は、金型100Aと金型100Bとで搬送時の移動ストロークが異なる場合に対応することが可能となる。例えば、金型の幅(X方向の幅)が異なっていたり、金型の厚み(Y方向の幅)が異なっていたりして、金型を同時に搬送できない場合である。
複数のローラ32は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ32は、Z軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの側面(取付板101aおよび102aの側面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。複数のローラ33は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ33は、Y軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aおよび102aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。
制御装置4は、射出成形機2を制御するためのコントローラ41と、搬送装置3Aを制御するためのコントローラ42Aと、搬送装置3Bを制御するためのコントローラ42Bとを含む。各コントローラ41、42A、42Bは、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置と、センサやアクチュエータに接続されるインタフェース(図示せず)とを含む。プロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。コントローラ41が実行するプログラム(制御)の一例は後述する。コントローラ41は、コントローラ42Aおよび42Bと通信可能に接続され、コントローラ42Aおよび42Bに金型100A/100Bの搬送に関する指示を行う。コントローラ42Aおよび42Bは、金型100A/100Bの搬入や搬出が終了した場合に、動作完了の信号をコントローラ41に送信する。さらに、コントローラ42Aおよび42Bは、異常発生時に非常停止信号をコントローラ41に送信する。
射出成形機2、搬送装置Aおよび搬送装置Bのそれぞれには、コントローラが配置されているが、1つのコントローラで3台全ての装置を制御してもよい。より確実に協調的に動作させるために、搬送装置Aと搬送装置Bとを単一のコントローラで制御してもよい。
図2は、射出成形機2の側面図である。図3は、固定プラテン61の端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。図4は、成形動作位置11周辺の構成を説明するための部分斜視図である。
図1および図2を参照して、射出成形機2は、射出装置5と、型締装置6と、成形品を取り出す取出機7とを含む。射出装置5および型締装置6は、フレーム10上にY軸方向に配置されている。
射出装置5は、Y軸方向に延びるように配置された射出シリンダ51を含む。射出シリンダ51は、バンドヒータなどの加熱装置(図示せず)を含み、ホッパ53から導入された樹脂を溶融する。射出シリンダ51にはスクリュ51aが内蔵されており、スクリュ51aを回転させることで射出シリンダ51内に導入された樹脂が可塑化され、計量される。スクリュ51aの軸方向(Y軸方向)への移動により、射出ノズル52から溶融樹脂を射出することができる。
図2に、ノズル52としての遮断ノズルの一例を示す。吐出口52aを開閉するピン56aが、図2の開閉機構56として配置されている。ピン56aは、リンク56bを介してアクチュエータ(シリンダ)56cに連結されており、アクチュエータ56cの動作により吐出口52aが開閉される。
射出シリンダ51は、駆動部54に支持されている。駆動部54には、スクリュ51aを回転駆動させて樹脂の可塑化と計量を行うモータと、スクリュ51aを軸方向に進退させる駆動モータとが配置されている。駆動部54は、フレーム10上のレール12に沿ってY軸方向に進退可能である。また、駆動部54には、射出装置5をY軸方向に進退させるアクチュエータ(例えば電動シリンダ)55が配置されている。
型締装置6は、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行う。型締装置6には、Y軸方向に順に、固定プラテン61、可動プラテン62、および可動プラテン63が配置されている。プラテン61~63には、複数のタイバー64が通過している。各タイバー64は、Y軸方向に延びる軸であり、その一端部が固定プラテン61に固定されている。各タイバー64は、可動プラテン62に形成された各貫通穴に挿入されている。各タイバー64の他端部は、調整機構67を介して可動プラテン63に固定されている。可動プラテン62および63は、フレーム10上のレール13に沿ってY軸方向に移動可能であり、固定プラテン61は、フレーム10に固定されている。
可動プラテン62と可動プラテン63との間には、トグル機構65が配置されている。トグル機構65は、可動プラテン63に対して(言い換えれば、固定プラテン61に対して)、可動プラテン62をY軸方向に進退させる。トグル機構65は、リンク65a~65cを含む。リンク65aは、可動プラテン62に回転自在に連結されている。リンク65bは、可動プラテン63に回動自在に連結されている。リンク65aとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cは、アーム66cに回動自在に連結されている。
アーム66cは、ボールナット66bに固定されている。ボールナット66bは、Y軸方向に延びるボールねじ軸66aに係合し、ボールねじ軸66aの回転によりY軸方向に進退する。ボールねじ軸66aは、可動プラテン63によって回転自在となるように支持されており、モータ66は、可動プラテン63に支持されている。モータ66は、モータ66の回転量を検出しながら、ボールねじ軸66aを回転駆動する。モータ66の回転量を検出しながらモータ66を駆動することにより、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行うことが可能となる。
射出成形機2は、型締力を計測するためのセンサ68を含み、各センサ68は、例えばタイバー64に設けられた歪みゲージであり、タイバー64の歪みを検出することで型締力を算出する。
調整機構67は、可動プラテン63に回転自在に支持されたナット67bと、駆動源であるモータ67aと、モータ67aの駆動力をナット67bに伝達する伝達機構とを含む。各タイバー64は、可動プラテン63に形成された穴を通過して、ナット67bと係合している。ナット67bを回転させることにより、ナット67bとタイバー64との間のY軸方向の係合位置が変化する。すなわち、タイバー64に対する可動プラテン63の固定位置が変化する。これにより、可動プラテン63と固定プラテン61との間の間隔を変化させることができるため、型締力等を調整することができる。
成形動作位置11は、固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域である。
成形動作位置11に導入された金型100A/100Bは、固定プラテン61と可動プラテン62との間に挟まれ、それによって型締めされる。可動プラテン62の移動により、可動金型102の移動に基づく開閉が行われる。
図3は、固定プラテン61の中央部の開口部61aを示しており、ノズル52がこの開口部を通って進退する。固定プラテン61の可動プラテン62側の面(内面という)には、複数のローラBRが回転自在となるように支持されている。複数のローラBRは、回転軸を中心としてY軸方向に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体620が固定されており、このローラ支持体620によって、複数のローラBRが支持されている。固定プラテン61の内面には、X軸方向に延びる溝61bが形成されている。
溝61bは、上下に離間して2列形成されている。各溝61bには、ローラユニット640が配置されている。ローラユニット640には、複数のローラSRが回転自在となるように支持されている。複数のローラSRは、回転軸を中心としてZ軸方向に回転し、金型100A/100Bの外面(取付板101aの外面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。II-II線断面図に示すように、ローラユニット640は、バネ641の付勢により、ローラSRが溝61bから突出する位置に位置する一方、型締め時には、溝61b内に後退して、ローラSRが溝61bから突出しない位置に位置する。ローラユニット640は、金型100A/100Bの入れ替え時には、金型100A/100Bと固定プラテン61の内面とが接触して内面が損傷することを防止でき、型締め時には、固定プラテン61の内面と金型100A/100Bとが密接することを妨げない。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体630が固定されており、このローラ支持体630によって、複数のローラSRが支持されている。
固定プラテン61には、固定金型101を固定プラテン61に固定するための複数の固定機構(クランプ)610が配置されている。各固定機構610は、取付板101aと係合する係合部610a、および係合位置と係合解除位置との間で係合部610aを移動させる内蔵アクチュエータ(図示せず)を含む。
なお、可動プラテン62についても、固定プラテン61と同様に、複数のローラBRと、ローラ支持体620および630と、ローラユニット640と、可動金型102を固定するための固定機構610とが配置されている。
図4Aは、コントローラ41によって実行される射出成形システム1の既知の動作の一例を示している。以下の例では、金型100Aおよび100Bを入れ替えながら成形動作を行う場合を示す。
ステップS1では、初期設定を行う。金型100Aおよび100Bの両方について、射出装置5および型締装置6の動作条件を登録する。なお、動作条件としては、1回ごとに射出する樹脂量、温度、射出速度、型締力、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値などがあるが、これに限定されるものではない。金型100Aと金型100Bとが同じ種類の金型であっても、この動作条件が異なる。金型100Aは、第1回の成形動作に使用されるため、金型100Aに関連する動作条件が自動的に動作条件として設定される。また、1回目の射出シリンダ51の加熱、樹脂の可塑化および計量なども開始される。
ステップS2では、金型100Aを射出成形機2内に搬入する。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62との間の隙間を金型100Aの厚さ(Y方向の幅)よりも僅かに広くする。次に、コントローラ41は、金型100Aを搬入するようコントローラ42Aに指示を送信し、コントローラ42Aは、搬送ユニット31を駆動して金型100Aを成形動作位置11に搬入する。連結部200は、金型100Aの排出と金型100Bの搬入とを同時に行うために使用される。金型100Aの搬入が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41に搬入完了を示す信号が送信される。搬入完了を示す信号を受信されると、モータ66を駆動して固定プラテン61および可動プラテン62を金型100Aに密着させる。このとき、成形中に発生するため、型締力を発生させる必要はない。金型100Aは、固定機構610を駆動することにより、固定プラテン61および可動プラテン62に固定される。
ステップS3では、モータ66を駆動してトグル機構65を駆動することにより、固定プラテン61および可動プラテン62による金型100Aのクランプを行う。金型100Aに対する射出準備を行う。アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動させ、ノズル52を金型100Aに接触させる。
ステップS5では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。具体的には、射出装置5を駆動して、ノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂固化による体積減少を補うために、シリンダ51内の樹脂を高圧で金型100A内に押し込む。実際の型締力は、センサ68によって測定される。成形中には、金型100Aの温度が徐々に上昇することにより、金型100Aが熱膨張し、初期型締力と時間経過後の型締力に差が生じる場合がある。これにより、センサ68の測定結果に基づいて、次のクランプの時に型締力を補正することができる。
型締力の調整は、モータ67を駆動してタイバー64に対する可動プラテン63の位置を調整することにより行われる。これにより、センサ68の測定結果に基づいてタイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。なお、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミング、例えば、図4AのステップS7およびステップS9、図4BのステップS13~ステップS15のタイミングで行うことができる。
ステップS6およびステップS8の処理は、ステップS7と並行して行う。ステップS6では、金型100Aにおける成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS7では、型締装置6に関連する処理を行う。具体的には、固定機構610による金型100Aのロッキングを解除する。ステップS5から所定時間後、モータ66を駆動してトグル機構65を駆動する。これにより、型締力が除去され、可動プラテン62が固定プラテン61に対して僅かに離間し、金型の入れ替えを容易にする空間が形成される。図7に示す状態ST4は、可動プラテン62が固定プラテン61に対して僅かに離間した状態である。
ステップS8では、射出装置5に関連する処理を行う。例えば、保圧のサックバック、ノズル遮断、射出装置5の後退などを行う。図7の状態ST4は、射出装置5が後退した状態(ノズル52が後退した状態)を示す。そして、保圧のサックバックおよびノズル遮断は、ノズル52が金型100Aから離脱する際に、溶融樹脂が滴下することを防止する。これらの処理は、ステップS7において、可動プラテン62を固定プラテン61に対して僅かに離間させる前の遅延時間の間に行うことができる。
この保圧のサックバックは、保圧後に、スクリュー51aが後退されるときに、射出シリンダ51内および金型100A/100B内の樹脂圧力を低下させる。保圧のサックバックにおいてスクリュー51aが後退される位置を絶対位置として管理でき、かつ保圧完了後のスクリュー51aの位置に対する相対位置として管理できる。スクリュー51aは、射出装置5に設けられたロードセル(図示せず)によって測定された樹脂圧力が所定の圧力まで低下したことが検出されるまで後退させることができる。
ノズル遮断は、ノズル52の吐出口52aを閉じ、図2の例では、ピン56aが吐出口52aを閉じる。この動作は、樹脂の漏れを抑制することを可能にする。次の射出のための樹脂の計量精度を向上させることができる。以上の処理により、樹脂の漏れを防止することができるが、金型100A/100Bの構造や樹脂の種類によっては、金型100A/100Bとノズル52との間に長い糸状の樹脂が発生する場合がある。これを防止するために、ノズル52に空気を注入する装置を設けることができる。
ステップS9では、金型100A/100Bの入れ替えを行う。金型100Aは成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出され、金型100Bは搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入される。コントローラ41は、金型100Aを搬出する指示をコントローラ42Aに送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して金型100Aを成形動作位置11から搬出する。連結部200は、金型100Aの搬出と金型100Bの搬入とを同時に行うことを可能にする。金型100Aの搬出が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41に搬出完了を示す信号が送信される。金型100Aは、搬送装置3A上で冷却される。このとき、自己閉鎖部103の作動により、金型100Aの閉鎖状態が維持される。
搬出完了を示す信号を受信すると、金型100Bの動作条件をステップS10において成形動作の動作条件として設定する。例えば、金型100Bの厚さ(Y方向の幅)、型締力などが成形動作の動作条件として設定される。金型100Bに対応する射出速度などのような成形条件も設定される。次の射出のための可塑化の測定が開始される。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Bに密着させる。このとき、成形中に発生されるような型締力を発生させる必要はない。金型100Bは、固定機構610を駆動することにより、固定プラテン61と可動プラテン62との両方にロックされる。
本実施形態のステップS9の後、ステップS10が実行される。しかし、成形動作条件の切り替えは時間がかかることがあるので、成形動作条件を、例えば、金型100Aを搬出する指示と同時に切り替えることもできる。
ステップS11では、金型100Aおよび100Bに対して、成形動作が第1の成形動作であるか否かを判定する。成形動作が第1の成形動作である場合には、処理はステップS3に戻る。成形動作が第1の成形動作ではない、すなわち第2、第3などの成形動作である場合、処理はステップS12に進む。
上述の処理は、第1の成形動作である。このため、処理はステップS3に戻る。次に、金型100Bに対して、ステップS3~ステップS8の処理が実行される。
金型100Bに対してステップS3~ステップS8の処理を実行した後、ステップS9において金型100Bを搬出し、金型100Aの搬入を行う。金型100Bは、搬送装置3B上で冷却される。ステップS11では、成形動作は第1の成形動作ではないと判定し、処理はステップS12に進む。
ステップS12では、ステップS6においての時間測定の開始からの冷却時間が所定時間に達したか否かに基づいて、金型100Aの冷却が完了したか否かを判定する。冷却が完了した場合、図4BのステップS13~ステップS16の処理を行う。
ステップS13では、モータ66を駆動することで、可動プラテン62を固定プラテン61から離間させる。固定金型101は固定機構610により固定プラテン61に固定され、可動金型102は固定機構610により可動プラテン62に固定される。このため、可動金型102は固定金型101から離間し、金型100Aは自己閉鎖部103の力に抗して開放される。ステップS14では、金型100Aの可動金型102側に残存している成形品を、取出機7を駆動して取り出し、射出成形機2の外部に搬送する。真空ヘッド74をチャックプレート75が成形品と対向する位置に移動させ、吸引力により成形品を保持する。
ステップS15では、モータ66を駆動することで、可動プラテン62を固定プラテン61の接近させる。以前、固定金型101から離間されていた可動金型102は、固定金型101と密着しており、金型100Aが閉じられる。射出成形動作が金型100Bに対して行われている場合には、ステップS13、S14、およびS15を実行して金型100Bから成形品を取り出す。
ステップS16では、コントローラ41は、現時点で生産済みの成形品の数と閾値THとを比較する。現時点で生産済みの成形品の数は、ROMおよび/またはRAMに格納される。閾値THは所望の生産量であり、ステップS1にて設定される。現時点で成形済みの部品の数が閾値TH未満であれば、フローはステップS3に戻る。その時点で、上記の処理が繰り返される。
現時点で成形済みの部品の数が閾値THに等しい場合には、フローはステップS17に進む。ステップS17~S21の処理は、他方の金型、例えば金型100Bから成形品を取り出すためのものである。
ステップS17では、ステップS9にて説明したのと同様に、金型100A/100Bを入れ替える。このステップでは、金型100Aを成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出し、金型100Bを搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41は、金型100Aを搬出する指示をコントローラ42Aに送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して金型100Aを成形動作位置11から搬出する。連結部200は、金型100Aの搬出と金型100Bの搬入とを同時に行うことを可能にする。金型100Aの搬出が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41に搬出完了を示す信号が送信される。
搬出完了を示す信号を受信した後、ステップS18では、ステップS6で開始した冷却時間が所定時間に達したか否かに基づいて、金型100Bの冷却が完了したか否かを判定する。冷却が完了していれば、処理はステップS19に進む。
ステップS19では、モータ66を駆動することで、可動プラテン62を固定プラテン61から離間させる。固定金型101は固定機構610により固定プラテン61に固定され、可動金型102は固定機構610により可動プラテン62に固定される。可動金型102は固定金型101から分離し、金型100Aは自己閉鎖部103の力に抗して開放される。ステップS20では、金型100Aの可動金型102側に残存している成形品を、取出機7を駆動して取り出し、射出成形機2の外部に搬送する。真空ヘッド74をチャックプレート75が成形品と対向する位置に移動させ、吸引力により成形品を保持するステップS21では、モータ66を駆動することで、可動プラテン62を固定プラテン61に接近させる。以前、固定金型101から分離されていた可動金型102は、固定金型101と密着しており、金型100Aが閉じられる。射出成形動作が金型100Bに対して行われている場合には、ステップS19、S20、およびS21を実行して金型100Bから成形品を取り出す。
以述のように、本実施形態では、射出成形機2の外部の搬送装置3Aおよび3B上で金型100Aおよび100Bの冷却を行う。一方の金型100Aおよび100Bの冷却中には、射出成形機2により、他方の金型100Aおよび100Bに対して、成形品の取り出し、型締め、射出、および保圧の各工程が行われる。このように、射出成形機2によって型開きおよび成形品の取り出しが行われるので、搬送装置3Aおよび3Bに型開きおよび成形品の取り出しの機能を持たせる必要がない。これにより、射出成形システムのコストアップを抑制しつつ、1台の射出成形機2で金型100Aおよび100Bを交互に入れ替えながら、成形品を製造することができる。
金型交換工程の開始から、他の金型の排出工程、射出工程、保圧工程まで、および再度の金型交換工程の完了までの全ての工程に要する時間が、金型100Aおよび100Bのいずれか一方を冷却するのに要する時間に収まれば、通常の成形と比べて生産性が2倍以上向上する。すなわち、コストアップを抑制することに加えて、より高い生産性を実現できる。
2倍の生産性を実現するためには、金型100Aおよび100Bの冷却時間が成形工程全体(1回の成形サイクルの時間)の50%またはそれ以上をカバーすれば十分だが、これは金型交換工程のための時間に依存する。自動車、家電、オフィス機器などのための外装部品や電気機械部品に用いられる成形品の多くは、強度を確保するために厚さが数mmである。これにより、全体の成形工程においては、冷却工程が最も長い時間をカバーし、金型100Aおよび100Bを冷却する時間が、1つの成形サイクルの時間に対して50%~70%に達することも珍しくない。したがって、上述の実施形態は、この種の成形品の生産性を向上させるのに特に有効である。金型100Aの成形サイクルの時間と金型100Bの成形サイクルの時間とがほぼ同じであり、1回の成形サイクルの時間に対する金型100Aおよび100Bの冷却時間が50%またはその以上である場合に、生産性を特に向上させることができる。
成形品の厚さが1mm程度で比較的に薄い場合であっても、高い寸法精度が要求される成形品、金型温度として高温が要求される樹脂を使用する成形品、または、冷却に時間がかかる結晶性樹脂の場合には、冷却工程が長くなる傾向がある。上述の実施形態では、多種多様な成形品を製造する場合に、2倍近くまでの生産性を実現することができる。
金型100Aおよび100Bを冷却する時間が一つの成形サイクルの時間の50%未満であれば、冷却のための時間の有効活用により、通常の成形と比較して、1.5倍や1.8倍の高い生産性を実現することを可能にする。
上述の実施形態によれば、1台の射出成形機2において、従来の製造方法で2台の射出成形機の生産性を実現することにより、設置スペースおよび消費電力を低減することができる。
図5A~図17Cは、現在の射出成形システムに対する本開示によって提供される改良を示す。既知の射出成形システムの構成要素は、説明のみを目的として、図5A~図17Cの説明に含まれている。図5A~図17Cの以下の説明は、説明のみを目的として、金型Aに関して提供される。
図5Aおよび図5Bは、搬送ユニット31の構成を示す。図5Aは、搬送ユニット31の側面図を示し、図5Bは、搬送ユニット31の斜視図を示す。
図5Aにおいて、搬送ユニット31は、第1の連結部材301と、第2の連結部材302と、レバー303と、例えばアクチュエータなどのモータ304と、支持部材305とを含んでいる。金型100Aの側面104Aには、連結ブロック310が取り付けられている。連結ブロック310は、Y軸方向に延びるシャフト306も支持する。第1の連結部材301は、シャフト306を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。第1の連結部材301は、シャフト306を中心として回転可能である。
搬送中に、振動などを対処するために、第1の連結部材301は、シャフト310と共に連結ブロック310と平行にY軸方向に移動可能である。第1の連結部材301と第2の連結部材302とは、Y軸方向に延びるシャフト307を介して連結されている。第1の連結部材301と第2の連結部材302とは、シャフト307を中心として互いに回転可能である。第2の連結部材302は、Y軸方向に延びるシャフト309を介して支持部材305に連結されている。
支持部材305は、シャフト309のY軸方向の両端部を支持する。第2の連結部材302は、シャフト309を中心として回転可能である。レバー303は、モータ304の駆動力を受けて矢印方向に回転する。レバー303の先端に設けられたカムフォロアすなわち突起部は、図5Bに示すように、第2の連結部材302に形成された溝穴308に係合する。なお、モータ304以外の上述の構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。
金型100Aは、第1の連結部材301、第2の連結部材302、レバー303、およびモータ304の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と、成形動作位置11とは異なる冷却位置14との間を移動する。
ローラ33は、金型100AのY軸方向両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。モータ304は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。フレーム30の中央部には、モータ304と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成される。金型100Aが冷却位置14にある状態における側面104Aの位置を点線15で示す。
モータ304は、X軸方向(金型移動方向)の点線15よりも射出成形機5側に位置している。モータ304の各部は、図5Aの点線15よりも射出成形機5側に位置している。ただし、モータ304の少なくとも一部は、点線15よりも射出成形機5側に配置することができる。
次に、搬送ユニット31の動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、モータ304は図5Aにおける反時計方向に回転する。モータ304に連結されているレバー303も反時計方向に回転し、カムフォロワは第2の連結部材302の溝穴308をスライドして移動する。第2の連結部材302は、溝穴308を介して受ける動力の影響を受けてシャフト309を中心に反時計回りに回転する。
第2の連結部材302の回転運動に伴って、第2の連結部材302に連結された第1の連結部材301がシャフト306を介して金型100Aを押し出す。これにより、金型100Aは、冷却位置14から成形動作位置11に移動される。金型100Aを成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送すると、図5Aのようにモータ304は時計方向に逆回転する。搬送ユニット31の他の構成要素は、上述の方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図6Aおよび図6Bは、第1の変形例における搬送ユニット31aの構成を示す。図6Aおよび図6Bに示す搬送ユニット31aは、図5Aおよび図5Bに示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。図6Aは、搬送ユニット31aの側面図を示し、図6Bは、搬送ユニット31aの斜視図を示す。
図6Aにおいて、搬送ユニット31aは、第1の連結部材311と、第2の連結部材312と、例えばアクチュエータなどのモータ313とを含んでいる。連結ブロック316は、金型100Aの側面104Aに取り付けられ、連結ブロック316は、Y軸方向に延びるシャフト314を支持する。第1の連結部材311は、シャフト314を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。第1の連結部材311は、シャフト314を中心として回転可能である。
搬送中の振動などに対処するために、第1の連結部材311は、シャフト314と共に連結ブロック316と平行にY軸方向に移動可能である。第1の連結部材311と第2の連結部材312とは、Y軸方向に延びるシャフト315を介して連結されている。第1の連結部材311と第2の連結部材312とは、シャフト315を中心として互いに回転可能である。第2の連結部材312は、モータ313の駆動力を受けて矢印方向に回転する。なお、モータ313以外の構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。図6Aでは、金型100Aを外側から覆うカバー16が設けられている。カバー16は、図5Aおよび図5Bに示す構成に追加することもできる。
金型100Aは、第1の連結部材311、第2の連結部材312、およびモータ313の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と、成形動作位置11とは異なる冷却位置14との間を移動する。ローラ33は、金型100AのY軸方向における両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成する。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。
モータ313は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。フレーム30の中央部には、モータ313と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成される。金型100Aが冷却位置14にある状態における側面104Aの位置を点線15で示す。モータ313は、X軸方向(金型移動方向)の点線15よりも射出成形機5側に設置されている。モータ313の各部は、図6Aの点線15よりも射出成形機5側に位置している。モータ313の少なくとも一部は、点線15よりも射出成形機5側に配置することができる。
次に、搬送ユニット31aの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、図6Aに示すように、モータ313が反時計方向に回転する。モータ313に連結された第2の連結部材312も反時計方向に回転する。第2の連結部材312の回転運動に伴って、第2の連結部材312に連結された第1の連結部材311がシャフト314を介して金型100Aを押し出す。これにより、金型100Aは冷却位置14から成形動作位置11に移動される。金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に搬送されると、モータ313は図6Aに示す時計方向に回転する。他の構成要素は、上述した方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図7は、第2の変形例における搬送ユニット31bの構成を示す側面図である。なお、図7に示す搬送ユニット31bは、図5Aおよび図5Bに示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。
図7の搬送ユニット31bは、第1の連結部材321と、第2の連結部材322と、例えばアクチュエータなどのモータ323と、レバー324とを含んでいる。金型100Aの側面104Aには連結ブロック329が取り付けられており、連結ブロック329はY軸方向に延びるシャフト325を支持する。
第1の連結部材321は、シャフト325を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。第1の連結部材321は、シャフト325を中心として回転可能である。搬送中の振動などに対処するために、第1の連結部材321は、シャフト325と共に連結ブロック329と平行にY軸方向に移動可能である。第1の連結部材321と第2の連結部材322とは、Y軸方向に延びるシャフト327を介して連結されている。第1の連結部材321と第2の連結部材322とは、シャフト327を中心として互いに回転可能である。
第2の連結部材322は、モータ323の駆動力を受けて矢印方向に回転する。レバー324は、モータ323に連結されておらず、Y軸方向に延びるシャフト328を中心として回転可能である。第1の連結部材321には、溝穴326が形成されており、レバー324の先端に設けられたカムフォロワが溝穴326に係合する。説明された構成は、図5Bに示すレバー303と溝穴308との関係と同様である。なお、モータ323以外の上述した構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。金型100Aを外部から覆うためのカバー16を設ける。金型100Aは、第1の連結部材321、第2の連結部材322、モータ323、およびレバー324の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と、成形動作位置11とは異なる冷却位置14との間を移動する。
ローラ33は、金型100AのY軸方向両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。モータ323は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。フレーム30の中央部には、モータ323と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成される。金型100Aが冷却位置14にある状態における側面104Aの位置を点線15で示す。モータ323は、X軸方向(金型移動方向)の点線15よりも射出成形機5側に設置されている。モータ323の全ての位置は、図7における点線15よりも射出成形機5側に位置している。ただし、モータ323の少なくとも一部を点線15よりも射出成形機5側に配置することもできる。
次に、搬送ユニット31bの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、モータ323は、図7に示す反時計方向に回転する。モータ323に連結された第2の連結部材322も反時計方向に回転する。第2の連結部材322の回転運動に伴って、第2の連結部材322に連結された第1の連結部材321がシャフト325を介して金型100Aを押し出す。レバー324は、第2の連結部材322からの第1の連結部材321への駆動力の伝達が円滑に行われるように第1の連結部材321をガイドする役割を果たす。これにより、金型100Aは冷却位置14から成形動作位置11に移動される。金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送されると、モータ323は図7に示すように時計方向に逆回転する。他の構成要素は、上述した方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図8は、第3変の形例における搬送ユニット31cの構成を示す側面図である。なお、図8に示す搬送ユニット31cは、図5Aと5Bに示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。
図8の搬送ユニット31cは、第1の連結部材331と、第2の連結部材332と、例えばアクチュエータなどのモータ333と、レバー334とを含んでいる。金型100Aの側面104Aには連結ブロック339が取り付けられており、連結ブロック339はY軸方向に延びるシャフト335を支持する。
第1の連結部材331は、シャフト335を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。第1の連結部材331は、シャフト335を中心として回転可能である。搬送中の振動などに対処するために、第1の連結部材331は、シャフト335と共に連結ブロック339と平行にY軸方向に移動可能である。第1の連結部材331と第2の連結部材332とは、Y軸方向に延びるシャフト337を介して連結されている。第1の連結部材331と第2の連結部材332とは、シャフト337を中心として互いに回転可能である。
第2の連結部材332は、モータ333の駆動力を受けて矢印方向に回転する。レバー334は、Y軸方向に延びるシャフト338を介して第2の連結部材332に連結されている。レバー334は、シャフト338を中心として回転可能である。第1の連結部材331には、溝穴336が形成されており、レバー334の先端に設けられたカムフォロワは、溝穴326に係合するように配置されている。説明された構成は、図5Bに示すレバー303と溝穴308との間の関係と同様である。なお、モータ333以外の上記の構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。カバー16は、金型100Aを外部から覆うために設けられている。金型100Aは、第1の連結部材331、第2の連結部材332、モータ333、およびレバー334の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と、成形動作位置11とは異なる冷却位置14との間を移動する。
ローラ33は、金型100AのY軸方向における両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。モータ333は、この支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。フレーム30の中央部には、モータ333と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成される。金型100Aが冷却位置14にある状態における側面104Aの位置を点線15で示す。モータ333は、X軸方向(金型移動方向)の点線15よりも射出成形機5側に設置されている。モータ333の一部は、図8の点線15よりも射出成形機5側に位置されている。しかし、モータ333のすべての部分を、点線15よりも射出成形機5側に配置することもできる。
次に、搬送ユニット31cの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、モータ333は、図8に示すように、反時計方向に回転する。モータ333に連結された第2の連結部材332も反時計方向に回転する。第2の連結部材332の回転運動に伴って、第2の連結部材332に連結された第1の連結部材331がシャフト335を介して金型100Aを押し出す。レバー334は、第2の連結部材332からの第1の連結部材331への駆動力の伝達が円滑に行われるように、第1の連結部材331をガイドする役割を果たす。これにより、金型100Aは冷却位置14から成形動作位置11に移動される。金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送されると、モータ333は、図8に示すように、時計回り方向に回転する。他の構成要素は、上述した方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図9は、第4の変形例における搬送ユニット31dの構成を示す側面図である。なお、図9に示す搬送ユニット31dは、図5Aと5Bに示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。
図9の搬送ユニット31dは、連結部材341と、例えばアクチュエータなどのエアシリンダ342とを含んでいる。本実施形態は、エアシリンダ342を含んでいるが、本実施形態の実施を可能にする油圧シリンダなどの任意のシリンダを用いることができる。金型100Aの側面104Aには、Y軸方向に延びるシャフト343を支持する連結ブロック349が取り付けられている。
連結部材341には、溝穴344が形成されており、シャフト343が溝穴344に係合する構成となっている。言い換えれば、連結部材341は、シャフト343を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。レバーの先端には、シャフト343に代えてカムフォロワを設けることができる。
エアシリンダ342は、接合点346にて連結部材341に連結され、伸縮することにより連結部材341を矢印方向に回転させる。本変形例では、接合点346は、回転中心であるシャフト345を介して、溝穴344が形成された側とは反対側に設けられている。加えて、エアシリンダ342は、Y軸方向に延びるシャフト347を中心として回転可能である。なお、エアシリンダ342以外の上述した構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。カバー16は、金型100Aを外部から覆うために設けられている。
金型100Aは、連結部材341およびエアシリンダ342の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と、成形動作位置11とは異なる冷却位置14との間を移動する。
ローラ33は、金型100AのY軸方向における両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。エアシリンダ342は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。フレーム30の中央部には、エアシリンダ342と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成される。金型100Aが冷却位置14にある状態における側面104Aの位置を点線15で示す。エアーシリンダ342は、X軸方向(金型移動方向)の点線15よりも射出成形機5側に設置されている。図9において、エアシリンダ342の全ての部分が、点線15よりも射出成形機5側に位置している。ただし、エアシリンダ342の少なくとも一部を、点線15よりも射出成形機5側に配置することもできる。
次に、搬送ユニット31dの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、エアシリンダ342が膨張する。その結果、連結部材341は、図9に示すように、シャフト345を中心として反時計方向に回転する。連結部材341の回転運動に伴って、シャフト343が溝穴344に沿って移動し、金型100Aはシャフト343を介して駆動力を受ける。これにより、金型100Aは、冷却位置14から成形動作位置11に移動される。金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送されると、エアシリンダ342は逆に収縮する。その結果、連結部材341は、図9に示すように、シャフト345を中心として時計方向に回転する。他の構成要素は、上述した方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図10は、第5の変形例における搬送ユニット31eの構成を示す側面図である。なお、図10に示す搬送ユニット31eは、図5Aと5Bに示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。
図10の搬送ユニット31eは、連結部材351と、例えばアクチュエータなどのエアシリンダ352とを含んでいる。本実施形態は、エアシリンダ352を含んでいるが、本実施形態の実施を可能にする油圧シリンダなどの任意のシリンダを用いることができる。連結ブロック359は、金型100Aの側面104Aに取り付けられ、連結ブロック359は、Y軸方向に延びるシャフト353を支持する。
連結部材351には、溝穴354が形成されており、シャフト353が溝穴354に係合するように配置されている。言い換えれば、連結部材351は、シャフト353を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。レバーの先端には、シャフト353に代えてカムフォロワを設けることができる。
エアシリンダ352は、接合点356にて連結部材351に連結され、伸縮することにより連結部材351を矢印方向に回転させる。本変形例では、接合点356は、シャフト355を回転中心として、溝穴354が形成されている側と同じ側に設けられている。この構成は、図9の構成とは異なる。加えて、エアシリンダ352は、Y軸方向に延びるシャフト357を中心として回転可能である。なお、エアシリンダ352以外の上述した構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。カバー16は、金型100Aを外部から覆うために設けられている。
金型100Aは、連結部材351およびエアシリンダ352の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と、成形動作位置11とは異なる冷却位置14との間を移動する。ローラ33は、金型100AのY軸方向における両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。エアシリンダ352は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。フレーム30の中央部には、エアシリンダ352と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成されている。なお、金型100Aが冷却位置14にある状態における側面104Aの位置を点線15で示す。エアーシリンダ352は、X軸方向(金型移動方向)の点線15よりも射出成形機5側に設置されている。エアシリンダ352の全ての位置は、図10の点線15よりも射出成形機5側に位置している。しかし、エアシリンダ352の少なくとも一部を点線15よりも射出成形機5側に配置することもできる。
次に、搬送ユニット31eの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、エアシリンダ352が収縮する。この特徴は、図9の構成と異なる。その結果、連結部材351は、図10に示すように、シャフト355を中心として反時計方向に回転する。連結部材351の回転運動に伴って、シャフト353が溝穴354に沿って移動し、金型100Aはシャフト353を介して駆動力を受ける。これにより、金型100Aは冷却位置14から成形動作位置11に移動される。
金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送されると、エアシリンダ352は逆に膨張する。その結果、連結部材351は、図10に示すように、シャフト355を中心として時計方向に回転する。他の構成要素は、上述した方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図11は、第6の変形例における搬送ユニット31fの構成を示す側面図である。言い換えれば、図11に示す搬送ユニット31fは、図5に示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。
図11の搬送ユニット31fは、連結部材361と、例えばアクチュエータなどのエアシリンダ362とを含んでいる。本実施形態は、エアシリンダ362を含んでいるが、本実施形態の実施を可能にする油圧シリンダなどの任意のシリンダを用いることができる。連結ブロック369は、金型100Aの側面104Aに取り付けられ、連結ブロック369は、Y軸方向に延びるシャフト363を支持する。
連結部材361には、溝穴364が形成されており、シャフト363が溝穴364に係合するように配置されている。言い換えれば、連結部材361は、シャフト363を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。レバーの先端には、シャフト363に代えてカムフォロワを設けることができる。エアシリンダ362は、接合点366にて連結部材361に連結され、伸縮することにより連結部材361を矢印方向に回転させる。本変形例では、連結部材361は棒状部材である。この構成は、図9の構成とは異なる。加えて、エアシリンダ362は、Y軸方向に延びるシャフト367を中心として回転可能である。なお、エアシリンダ362以外の上述した構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。カバー16は、金型100Aを外部から覆うために設けられている。
金型100Aは、連結部材361およびエアシリンダ362の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と、成形動作位置11とは異なる冷却位置14との間を移動する。ローラ33が金型100AのY軸方向における両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。エアシリンダ362は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。フレーム30の中央部には、エアシリンダ362と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成されている。なお、金型100Aが冷却位置14にある状態での側面104Aの位置を点線15で示す。エアシリンダ362は、X軸方向(金型移動方向)において点線15よりも射出成形機5側に位置している。エアシリンダ362の全ての位置は、図11の点線15よりも射出成形機5側に位置している。しかし、エアシリンダ362の少なくとも一部を、点線15よりも射出成形機5側に配置することもできる。
次に、搬送部31fの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、エアシリンダ362が膨張する。その結果、連結部材361は、図11に示すように、シャフト365を中心として反時計方向に回転する。連結部材361の回転運動に伴って、シャフト363が溝穴364に沿って移動し、金型100Aはシャフト363を介して駆動力を受ける。これにより、金型100Aは冷却位置14から成形動作位置11に移動される。
金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送されると、エアシリンダ362は逆に収縮する。その結果、連結部材361は、図11に示すように、シャフト365を中心として時計方向に回転する。他の構成要素は、上述した方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図12は、第7の変形例における搬送ユニット31gの構成を示す側面図である。言い換えれば、図12に示す搬送ユニット31gは、図5に示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。
図12の搬送ユニット31gは、連結部材371と、例えばアクチュエータなどのエアシリンダ372とを含んでいる。本実施形態は、エアシリンダ362を含んでいるが、本実施形態の実施を可能にする油圧シリンダなどの任意のシリンダを用いることができる。連結ブロック379は、金型100Aの側面104Aに取り付けられ、連結ブロック379は、Y軸方向に延びるシャフト373を支持する。
連結部材371には、溝穴374が形成されており、シャフト373が溝穴374に係合するように配置されている。言い換えれば、連結部材371は、シャフト373を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。レバーの先端には、シャフト373に代えてカムフォロワを設けることができる。エアシリンダ372は、接合点376にて連結部材371に連結され、伸縮することにより連結部材371を矢印方向に回転させる。本変形例では、連結部材371は棒状部材である。この構成は、図10の構成とは異なる。加えて、エアシリンダ372は、Y軸方向に延びるシャフト377を中心として回転可能である。なお、エアシリンダ372以外の上述した構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。カバー16は、金型100Aを外部から覆うために設けられている。
金型100Aは、連結部材371およびエアシリンダ372の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と、成形動作位置11とは異なる冷却位置14との間を移動する。ローラ33は、金型100AのY軸方向における両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。エアシリンダ372は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。フレーム30の中央部には、エアシリンダ372と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成される。なお、金型100Aが冷却位置14にある状態での側面104Aの位置を点線15で示す。エアーシリンダ372は、X軸方向(金型移動方向)の点線15よりも射出成形機5側に設置されている。エアシリンダ372の全ての位置は、図12の点線15よりも射出成形機5側に位置している。しかし、エアシリンダ372の少なくとも一部を点線15よりも射出成形機5側に配置することもできる。
次に、搬送ユニット31gの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、エアシリンダ372が収縮する。その結果、連結部材371は、図12に示すように、シャフト375を中心として反時計方向に回転する。連結部材361の回転運動に伴って、シャフト363が溝穴364に沿って移動し、金型100Aはシャフト363を介して駆動力を受ける。これにより、金型100Aは冷却位置14から成形動作位置11に移動される。
金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送されると、エアシリンダ362は逆に膨張する。その結果、連結部材361は、図12に示すように、シャフト365を中心として時計方向に回転する。他の構成要素は、上述した方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図13は、第8の変形例における搬送ユニット31hの構成を示す側面図である。言い換えれば、図13に示す搬送ユニット31hは、図5に示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。
図13の搬送ユニット31hは、第1の連結部材381と、第2の連結部材382と、例えばアクチュエータなどのエアシリンダ383とを含んでいる。本実施形態は、エアシリンダ342を含んでいるが、本実施形態の実施を可能にする油圧シリンダなどの任意のシリンダを用いることができる。連結ブロック389は、金型100Aの側面104Aに取り付けられ、連結ブロック389は、Y軸方向に延びるシャフト384を支持する。
第1の連結部材381は、シャフト384を介して金型100Aの側面104Aに連結されている。第1の連結部材381は、シャフト384を中心として回転可能である。第1の連結部材381と第2の連結部材382とは、Y軸方向に延びるシャフト385を介して連結されている。
第1の連結部材381と第2の連結部材382とは、シャフト385を中心として互いに回転可能である。第2の連結部材382は、Y軸方向に延びるシャフト386を中心として回転可能である。エアシリンダ383は、接合点388にて第1の連結部材381に連結され、伸縮することにより第1の連結部材381および第2の連結部材382を回転させる。エアシリンダ382は、Y軸方向に延びるシャフト387を中心として回転可能である。なお、エアシリンダ383以外の上述した構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。カバー16は、金型100Aを外部から覆うために設けられている。
金型100Aは、第1の連結部材381、第2の連結部材382、およびエアシリンダ383の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と射出成形機5外の冷却位置14との間を移動する。ローラ33は、金型100AのY軸方向における両端部の下面に当接して金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。金型100Aの支持面は、フレーム30の上面である。エアシリンダ383は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。
フレーム30の中央部には、エアシリンダ342と金型100Aの側面104Aとを連結する連結部用の穴がY軸方向に形成される。金型100Aが冷却位置14にある状態での側面104Aの位置を点線15で示す。エアーシリンダ383は、X軸方向(金型移動方向)の点線15よりも射出成形機5側に設置されている。エアシリンダ383の全ての位置は、図13に示す点線15よりも射出成形機5側に設置されているが、エアシリンダ383の少なくとも一部を、点線15よりも射出成形機5側に設置することもできる。
次に、搬送ユニット31hの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、エアシリンダ383が収縮する。これにより、第1の連結部材381は、図13に示すように、シャフト385を中心として反時計方向に回転し、第2の連結部材382は、図13に示すように、シャフト386を中心として反時計方向に回転する。第1の連結部材381および第2の連結部材382の回転運動に伴って、第1の連結部材381がシャフト384を介して金型100Aを押し出す。これにより、金型100Aは冷却位置14から成形動作位置11に移動される。
金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送されると、エアシリンダ383は逆に膨張する。その結果、連結部材381は、図13に示すように、シャフト385を中心として時計回りに回転し、第2の連結部材382は、図13に示すように、シャフト386を中心として時計回りに回転する。他の構成要素は、上述した方向と逆方向に動作し、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
図14は、第9の変形例における搬送ユニット31iの構成を示す側面図である。言い換えれば、図14に示す搬送ユニット31iは、図5に示す搬送ユニット31に代えて用いることができる。
図14の搬送ユニッ31iは、連結部材391と、伸縮アーム392と、支持部材393と、例えばアクチュエータなどのエアシリンダ394とを含んでいる。本実施形態は、エアシリンダ342を含んでいるが、本実施形態の実施を可能にする油圧シリンダなどの任意のシリンダを用いることができる。連結部材391は、金型100Aの側面104Aに連結されている。
連結部材391と支持部材393との間には、X軸方向に伸縮可能な伸縮アーム392が設けられている。支持部材393は、フレーム30に対して固定されている。伸縮アーム392には、エアシリンダ394が取り付けられており、エアシリンダ394を伸縮させることにより、伸縮アーム392を伸縮させることができる。エアシリンダ394は、Y軸方向に延びるシャフト395を中心として回転可能である。なお、エアシリンダ394以外の上述した構成要素をまとめて連結部と呼ぶことができる。カバー16は、金型100Aを外部から覆うために設けられている。
金型100Aは、連結部材391、伸縮アーム392、支持部材393、およびエアシリンダ394の作用を受けて、射出成形機5内の成形動作位置11と射出成形機5外の冷却位置14との間を移動する。ローラ33は、金型100Aの底面に接触し、金型100Aの移動をガイドする。ローラ33が取り付けられたフレーム30は、金型100Aの支持面を形成している。エアシリンダ394の一部は、支持面の下方にZ軸方向(垂直方向)に位置している。
次に、搬送ユニット31iの動作について説明する。金型100Aが冷却位置14から成形動作位置11に向けて搬送されると、エアシリンダ394が膨張する。これにより、伸縮アーム392が膨張し、連結部材391がX軸方向に移動して金型100Aを押し出す。これにより、金型100Aは、冷却位置14から成形動作位置11に移動される。
金型100Aが成形動作位置11から冷却位置14に向けて搬送されると、エアシリンダ394は逆に収縮する。これにより、伸縮アーム392が後退し、連結部材391がX軸方向に移動して金型100Aを引き戻す。これにより、金型100Aは、成形動作位置11から冷却位置14に移動される。
上述した構成を使用することにより、従来の射出成形システムに比べて射出成形システムをX軸方向に小型化することができる。また、フレーム30などの長さを短くすることにより、構成要素毎の材料コストも低減することができる。
金型100Aの内部には、冷却管や熱電対が設置されている。金型100Aには、複数のケーブルが接続され、金型100Aに冷却水や電力を供給する。これらのケーブルは、金型100Aの射出成形機5への出し入れに伴って金型100Aと共に移動するため、金型100Aの移動を妨げないケーブル配置を提供する。図15A~図17Cは、ケーブルレイアウトの改善を示しており、既知の構成要素への参照は、説明のみを目的として、提供されている。
図15A、図15B、および図15Cは、本実施形態におけるケーブルレイアウトの構成を示す。図15Aは上面図であり、図15Bは側面図であり、図15Cは正面図である。以下の説明は、図5に示す搬送ユニット31を用いて提供する。なお、搬送ユニット31のモータ304などの一部の構成要素を図15から省略している。
図15Aにおいて、搬送装置3Aは、金型100Aに接続されたケーブル400のためのレセプタクル404を含んでいる。図15Bに示すように、ケーブル400は、金型100Aからレセプタクル404に達するまで、複数のケーブルクランプ401、402、および403によって固定されている。ケーブルクランプ401は、ケーブル400を第1の連結部材301に固定する。ケーブルクランプ402および403は、ケーブル400を第2の連結部材302に固定する。
そして、ケーブル400は、レセプタクル404に到達してX軸方向にガイドされ、射出成形機5の下部に設けられた冷却水ポンプおよび温度調節器(図示せず)に接続される。ケーブル400は、第1の連結部材301および第2の連結部材302に固定されているので、金型100Aが成形動作位置11と冷却位置14との間で移動されるときには、邪魔にはならない。これにより、金型100Aとケーブル400との干渉によるケーブル400の損傷を防止することができる。
ケーブル400は、図15Cに示すように、固定金型101に接続されるケーブル400aと、可動金型102に接続されるケーブル400bとに分岐している。第1の連結部材301には、ケーブル400bをY軸方向にガイドするガイド板405が設けられている。金型100Aから成形品を取り出す際には、可動金型102がY軸方向に移動するため、ケーブル400bをY軸方向にガイドする必要がある。また、ガイド板405は、ケーブル400bがZ軸方向に落下して他の構成要素と干渉することを防止する。例えば、金型100Aを移動させる際に、ケーブル400bが第1の連結部材301や第2の連結部材302などの構成要素と干渉したり、金型100Aとローラ33との間に挟まったり、金型100Aの開閉時に金型100Aに引っ掛かったりすることが防止される。ガイド板405の存在により、金型400Aの開閉時にケーブル400bが邪魔になることを防ぐ。
図16A、図16B、および図16Cは、第1の変形例におけるケーブルレイアウトの構成を示す。図16Aは上面図であり、図16Bは側面図であり、図16Cは正面図である。図16A、図16B、および図16Cは、図15A、図15B、および図15Cと同様であるため、同一の部分に関する説明をここでは省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この第1の変形例のケーブルレイアウトでは、ケーブルキャリア410が追加されている。ケーブルキャリア410、例えばeチェーンは、ケーブル400を外部から保護するとともに、ケーブル400の移動を規制(ガイド)するためのチェーン状の部材である。図16Bにおいて、第2の連結部材302には、ケーブルクランプ402および403の他に、ケーブルキャリア410の一端を取り付ける取付板411が設けられている。ケーブルキャリア410の一端は、取付板411に固定され、ケーブル400を外部から保護しながらレセプタクル404に達する。ケーブルキャリア410の他端は、レセプタクル404に固定されている。ケーブル400がレセプタクル404に到達する位置は、ケーブル400が最も撓んで変形する位置であるため、ケーブル400が摩耗しやすい。この部分をケーブルキャリア410で保護することにより、ケーブル400の早期損傷を防止することができる。
図17A、図17B、および図17Cは、第2の変形例におけるケーブルレイアウトの構成を示す。図17Aは上面図であり、図17Bは側面図であり、図17Cは正面図である。図17A、図17B、および図17Cは、図16A、図16B、および図16Cと類似するため、同一の部分に関する説明をここでは省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この第2の変形例のケーブルレイアウトでは、ケーブルキャリア412が追加されている。ケーブルキャリア412、例えばeチェーンは、ケーブル400を外部から保護するとともに、ケーブル400の移動を規制(ガイド)するためのチェーン状の部材である。図17Bにおいて、固定金型101には、ケーブルキャリア412の一端を取り付ける取付板413が設けられている。可動金型102には、ケーブルキャリア412の他端を取り付ける取付板414が設けられている。言い換えれば、ケーブルキャリア412の一端は取付板413に固定され、ケーブルキャリア412の他端は取付板414に固定されている。ケーブルキャリア412は、可動金型102に接続されたケーブル400bを保護する。ケーブル400bは、金型100Aの開閉動作に基づいてY軸方向に頻繁に移動するため、ケーブル400bが摩耗しやすい。この部分をケーブルキャリア412で保護することにより、ケーブル400bの早期損傷を防止することができる。
前に示したように、上記の説明は、説明の目的のために、金型Aに関して提供されている。そのため、図5A~図14に示す構成は、搬送装置3Bに設けられた搬送ユニット31にも採用することができる。図15A~図17Cに示すケーブルレイアウトの1つを搬送装置3Bに設けられた搬送ユニット31に採用することができる。
図18は、搬送ユニット31jが射出成形機5の内部に配置された実施形態を示す。搬送ユニット31jの構成は、図5Aに示す搬送ユニット31の構成と同一である。このため、搬送ユニット31jの構成の詳細な説明はここでは省略する。
点線17は、金型100Aが成形動作位置11にあるときの側面104Aの位置を表す。
追加の例示的な実施形態において、各搬送ユニット31b~31iの一部を射出成形機5の内部に配置することができる。
別の例示的な実施形態では、金型100Aに加えて金型100Bを搬送するために、射出成形機5は、射出成形機5内に2つの搬送ユニット31を含むことができる。さらに別の例示的な実施形態では、金型100Aおよび金型100Bは、単一の搬送ユニット31が金型100Aおよび金型100Bの両方を移動させることを可能にする連結部(図示せず)によって連結される。
上述した構成については、射出成形システム1において2つの金型を用いることを前提として説明したが、これに限定されるものではない。上述した構成は、1つの金型を用いる射出成形システムにも適用することができる。