本開示は、いくつかの実施形態を説明しており、当業者に既知の詳細については、特許、特許出願、および他の参考文献に依拠する。したがって、本明細書において、特許、特許出願、または他の参考文献が引用される、または繰り返されるとき、それらは、記載されている提案だけでなくあらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることを理解されたい。
図面を参照して、本開示の一実施形態における射出成形システムについて説明する。各図中の矢印XおよびYは、互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは、地面に対して垂直(直立)方向を示す。
図1~図3は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システム1を示しており、本明細書では情報/説明の目的のためだけに提供されている。
射出成形システム1は、射出成形機2と、搬送装置3Aおよび3Bと、制御装置4とを含む。射出成形システム1は、1台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bを用いて、複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する。2つの金型100Aおよび100Bを用いる。
金型100A/100Bは、固定金型101と、固定金型101に対して開閉される可動金型102との組である。成形品は、固定金型101と可動金型102との間に形成されるキャビティに溶融樹脂を射出することで成形される。固定金型101および可動金型102には、それぞれ取付板101aおよび102aが固定されている。取付板101aおよび102aは、金型100A/100Bを射出成形機2の成形動作位置11(型締位置)に固定するために用いられる。
金型100A/100Bには、固定金型101と可動金型102との間を閉状態に維持する自己閉鎖部103が設けられている。自己閉鎖部103により、射出成形機2から金型100A/100Bを搬出した後も、金型100A/100Bが開くことを防止することが可能となる。自己閉鎖部103は、磁力を利用して金型100A/100Bを閉状態に維持する。自己閉鎖部103は、固定金型101および可動金型102の対向面に沿って複数の箇所に配置されている。自己閉鎖部103は、固定金型101側の要素と可動金型102側の要素との組み合わせである。通常、金型100Aおよび100Bの1つに対して2組以上の自己閉鎖部103が設けられる。
搬送装置3Aは、金型100Aを射出成形機2の成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3Bは、金型100Bを成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3A、射出成形機2、および搬送装置3Bは、この順にX軸方向に並ぶように配置されている。言い換えれば、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bは、射出成形機2をX軸方向において挟むように、射出成形機2に対して横方向に配置されている。搬送装置3Aおよび3Bは、互いに対向して配置され、搬送装置3Aは射出成形機2の左右の一側方に、搬送装置3Bは他側方にそれぞれ隣接して配置されている。成形動作位置11は、搬送装置3Aと搬送装置3Bとの間に位置している。搬送装置3Aおよび3Bは、それぞれフレーム30と、搬送ユニット31と、複数のローラ32と、複数のローラ33とを含む。
フレーム30は、搬送装置3Aおよび3Bの骨格であり、搬送ユニット31と、複数のローラ32および33とを支持する。搬送ユニット31は、金型100A/100BをX軸方向に往復移動させ、成形動作位置11に対して金型100A/100Bを排出および挿入する装置である。
搬送ユニット31は、モータを駆動源とした電動シリンダであり、シリンダに対して進退するロッドを含む。シリンダはフレーム30に固定され、ロッドの端部には固定金型101が固定されている。搬送ユニット31は、流体アクチュエータ、電動アクチュエータのいずれも使用可能であるが、電動アクチュエータにより、金型100A/100Bの搬送時に、その位置や速度の制御精度の向上を図ることができる。流体アクチュエータとしては、例えば、油圧シリンダ、エアシリンダを挙げることができる。電動アクチュエータとしては、電動シリンダに加えて、モータを駆動源としたラックアンドピニオン機構、モータを駆動源としたボールねじ機構等を挙げることができる。
搬送ユニット31は、搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置されている。しかし、金型100Aおよび100Bを支持する共通の支持部材を用い、この支持部材に対して単一の共通の搬送ユニット31を配置してもよい。搬送ユニット31を搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置した場合は、金型100Aと金型100Bとで搬送時の移動ストロークが異なる場合に対応することが可能となる。例えば、金型の幅(X方向の幅)が異なっていたり、金型の厚み(Y方向の幅)が異なっていたりして、金型を同時に搬送できない場合である。
複数のローラ32は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ32は、Z軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの側面(取付板101aおよび102aの側面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。複数のローラ33は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ33は、Y軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aおよび102aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。
可動側の複数のローラ33の幅は、固定側の複数のローラ33の幅よりも大きい。この構成は、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bに共通である。幅とは、Y軸方向の長さを示す。後述する本開示の例示的な一実施形態が提供する改良によれば、金型100A/100Bを幅が異なる別の金型100A/100Bに交換した場合でも、複数のローラ33のY軸方向の位置を調整する必要はない。
制御装置4は、射出成形機2を制御するためのコントローラ41と、搬送装置3Aを制御するためのコントローラ42Aと、搬送装置3Bを制御するためのコントローラ42Bとを含む。各コントローラ41、42A、42Bは、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置と、センサやアクチュエータに接続されるインタフェース(図示せず)とを含む。プロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。コントローラ41が実行するプログラム(制御)の一例は後述する。コントローラ41は、コントローラ42Aおよび42Bと通信可能に接続され、コントローラ42Aおよび42Bに金型100A/100Bの搬送に関する指示を行う。コントローラ42Aおよび42Bは、金型100A/100Bの搬入や搬出が終了した場合に、動作完了の信号をコントローラ41に送信する。さらに、コントローラ42Aおよび42Bは、異常発生時に非常停止信号をコントローラ41に送信する。
射出成形機2、搬送装置Aおよび搬送装置Bのそれぞれには、コントローラが配置されているが、1つのコントローラで3台全ての装置を制御してもよい。より確実に協調的に動作させるために、搬送装置Aと搬送装置Bとを単一のコントローラで制御してもよい。
図2は、射出成形機2の側面図である。図3は、固定プラテン61の端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。
図1および図2を参照して、射出成形機2は、射出装置5と、型締装置6と、成形品を取り出す取出機7とを含む。射出装置5および型締装置6は、フレーム10上にY軸方向に配置されている。
射出装置5は、Y軸方向に延びるように配置された射出シリンダ51を含む。射出シリンダ51は、バンドヒータ等の加熱装置(図示せず)を含み、ホッパ53から導入された樹脂を溶融する。射出シリンダ51にはスクリュ51aが内蔵されており、スクリュ51aを回転させることで射出シリンダ51内に導入された樹脂が可塑化され、計量される。スクリュ51aの軸方向(Y軸方向)への移動により、射出ノズル52から溶融樹脂を射出することができる。
図2に、ノズル52としての遮断ノズルの一例を示す。吐出口52aを開閉するピン56aが、図2の開閉機構56として配置されている。ピン56aは、リンク56bを介してアクチュエータ(シリンダ)56cに連結されており、アクチュエータ56cの動作により吐出口52aが開閉される。
射出シリンダ51は、駆動部54に支持されている。駆動部54には、スクリュ51aを回転駆動させて樹脂の可塑化と計量を行うモータと、スクリュ51aを軸方向に進退させる駆動モータとが配置されている。駆動部54は、フレーム10上のレール12に沿ってY軸方向に進退可能である。また、駆動部54には、射出装置5をY軸方向に進退させるアクチュエータ(例えば電動シリンダ)55が配置されている。
型締装置6は、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行う。型締装置6には、Y軸方向に順に、固定プラテン61、可動プラテン62、可動プラテン63が配置されている。プラテン61~63には、複数のタイバー64が通過している。各タイバー64は、Y軸方向に延びる軸であり、その一端部が固定プラテン61に固定されている。各タイバー64は、可動プラテン62に形成された各貫通穴に挿入されている。各タイバー64の他端部は、調整機構67を介して可動プラテン63に固定されている。可動プラテン62および63は、フレーム10上のレール13に沿ってY軸方向に移動可能であり、固定プラテン61は、フレーム10に固定されている。
可動プラテン62と可動プラテン63との間には、トグル機構65が配置されている。トグル機構65は、可動プラテン63に対して(言い換えれば、固定プラテン61に対して)、可動プラテン62をY軸方向に進退させる。トグル機構65は、リンク65a~65cを含む。リンク65aは、可動プラテン62に回転自在に連結されている。リンク65bは、可動プラテン63に回動自在に連結されている。リンク65aとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cは、アーム66cに回動自在に連結されている。
アーム66cは、ボールナット66bに固定されている。ボールナット66bは、Y軸方向に延びるボールねじ軸66aに係合し、ボールねじ軸66aの回転によりY軸方向に進退する。ボールねじ軸66aは、可動プラテン63によって回転自在となるように支持されており、モータ66は、可動プラテン63に支持されている。モータ66は、モータ66の回転量を検出しながら、ボールねじ軸66aを回転駆動する。モータ66の回転量を検出しながらモータ66を駆動することにより、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行うことが可能となる。
射出成形機2は、型締力を計測するためのセンサ68を含み、各センサ68は、例えばタイバー64に設けられた歪みゲージであり、タイバー64の歪みを検出することで型締力を算出する。
調整機構67は、可動プラテン63に回転自在に支持されたナット67bと、駆動源であるモータ67aと、モータ67aの駆動力をナット67bに伝達する伝達機構とを含む。各タイバー64は、可動プラテン63に形成された穴を通過して、ナット67bと係合している。ナット67bを回転させることにより、ナット67bとタイバー64との間のY軸方向の係合位置が変化する。すなわち、タイバー64に対する可動プラテン63の固定位置が変化する。これにより、可動プラテン63と固定プラテン61との間の間隔を変化させることができるため、型締力等を調整することができる。
成形動作位置11は、固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域である。
成形動作位置11に導入された金型100A/100Bは、固定プラテン61と可動プラテン62との間に挟まれ、それによって型締めされる。可動プラテン62の移動により、可動金型102の移動に基づく開閉が行われる。
取出機7は、X軸方向に延びるレール71と、レール71上をX軸方向に移動可能な可動レール72とを含む。可動レール72は、Y軸方向に延びるように設置されており、可動レール72上にはスライダ73が設けられている。スライダ73は、可動レール72にガイドされてY軸方向に移動する機能と、昇降軸73aをZ軸方向に昇降する機能とを含む。昇降軸73aの下端部には、真空ヘッド74が設けられており、真空ヘッド74には、成形品に特化したチャック板75が取り付けられている。取出機7は、型開き後、レール71、可動レール72、およびスライダ73により、図2中に破線で示すように、真空ヘッド74を固定金型101と可動金型102との間に移動し、成形品を吸着して、射出成形機2の外部へ搬送する。別の例示的実施形態では、取出機は、成形品を機械的に把持する方式のものである。
図3は、固定プラテン61の中央部の開口部61aを示しており、ノズル52がこの開口部を通って進退する。固定プラテン61の可動プラテン62側の面(内面という)には、複数のローラBRが回転自在となるように支持されている。複数のローラBRは、回転軸を中心としてY軸方向に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体620が固定されており、このローラ支持体620によって、複数のローラBRが支持されている。固定プラテン61の内面には、X軸方向に延びる溝61bが形成されている。
溝61bは、上下に離間して2列形成されている。各溝61bには、ローラユニット640が配置されている。ローラユニット640には、複数のローラSRが回転自在となるように支持されている。複数のローラSRは、回転軸を中心としてZ軸方向に回転し、金型100A/100Bの外面(取付板101aの外面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。II-II線断面図に示すように、ローラユニット640は、バネ641の付勢により、ローラSRが溝61bから突出する位置に位置する一方、型締め時には、溝61b内に後退して、ローラSRが溝61bから突出しない位置に位置する。ローラユニット640は、金型100A/100Bの入れ替え時には、金型100A/100Bと固定プラテン61の内面とが接触して内面が損傷することを防止でき、型締め時には、固定プラテン61の内面と金型100A/100Bとが密接することを妨げない。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体630が固定されており、このローラ支持体630によって、複数のローラSRが支持されている。
固定プラテン61には、固定金型101を固定プラテン61に固定するための複数の固定機構(クランプ)610が配置されている。各固定機構610は、取付板101aと係合する係合部610a、および係合位置と係合解除位置との間で係合部610aを移動させる内蔵アクチュエータ(図示せず)を含む。
なお、可動プラテン62についても、固定プラテン61と同様に、複数のローラBRと、ローラ支持体620および630と、ローラユニット640と、可動金型102を固定するための固定機構610とが配置されている。
図4は、本開示の例示的な一実施形態における射出成形システム1Aを示す。より具体的には、図示の射出成形システム1Aは、上述した射出成形システム1を改良したものである。図4に示す一部の要素は、図1に示すものと同一である。図4の説明を目的として、図示する一部の要素について、上述の説明の一部を以下に繰り返すことがある。説明が繰り返されない要素については、上述の説明を適用可能である。
射出成形システム1Aは、射出成形機2と、搬送装置3Aおよび3Bと、制御装置4とを含む。射出成形機2の第1の側面と、第1の側面とは反対側の第2の側面とに設けられた開口部を介して、搬送装置3Aおよび3Bによって複数の金型を射出成形機2に搬入および搬出する。これにより、射出成形機2に対して金型を交換しながら成形品を製造することができる。本実施形態では、成形動作位置11に所定の順序で金型100A、100B、および100Cを配置し、各金型に対して射出成形動作を実行する。金型については、図5A~図5Cを参照して詳細に後述する。
例示的な一実施形態では、金型100A、金型100B、および金型100Cは、互いに連結されており、金型のいずれか1つに連結されたアクチュエータ(図示せず)によって一体的に搬送される。別の例示的実施形態では、金型100A、金型100B、および金型100Cは、この順に1列に連結されており、中央に位置する金型100Bに接続可能な電源ケーブルと温度調節用液体流路(図示せず)とが、射出成形機2の上下のタイバー(図示せず)と射出成形機2の側面との間の領域を介して射出成形機2の外部に配線され、電源(図示せず)と温度調節器(図示せず)とに接続されている。
本実施形態では、金型100Bの電源ケーブルおよび温度調節用冷却液体流路は、金型100Aまたは金型100Cの上方または下方で射出成形機2の外部に配線されている。金型100Bの電源ケーブルおよび温度調節用冷却液体流路が、金型100Aまたは金型100Cの内部を通過するとき、この構成を支持する構造がそれぞれの金型に設けられる。この構成の一例については、図9A~図9Cを参照して後述する。金型100Bの電源ケーブルおよび温度調節用冷却液体流路が、金型100Aまたは金型100Cの上方または下方を通過する構成の一例については、図10A~図10Bおよび図11A~図11Cを参照して後述する。
本実施形態の射出成形システム1Aを用いた成形動作の一例については、図12A~図12Bのフローチャート、および図13のタイミングチャートを参照して後述する。
3つの金型を複数のアクチュエータで搬送する構成例を含む別の例示的実施形態については、図14を参照して後述する。
図4を参照すると、搬送装置3Aおよび3Bは、金型100A、100B、および100Cを射出成形機2に対して移動させる。本実施形態では、搬送装置3Aには、アクチュエータ200Aが設けられている。搬送装置3Aはまた、金属フレーム31Aと、金属フレーム31Aに対して水平に固定された天板30Aと、天板30Aに固定され、金型下部を支持する複数の底面ローラ33Aと、天板30Aに固定され、金型の側面に沿って設けられた移動をガイドするための複数の側面ローラ32Aと、天板を覆う壁板301Aと、扉板302A、303A、および304Aとを含む。
複数の底面ローラ33Aは、X軸方向に配列されたローラ列を含む。本実施形態では、2列がY軸方向に互いに離れて形成されている。複数の底面ローラ33Aは、Y軸方向の回転軸の周りを回転し、例えば、金型100Aの底面(例えば、取付板103Aおよび104Aの底面)を支持して、金型100Aを下から支えて金型100AのX軸方向の移動を容易にする。複数の側面ローラ32Aは、X軸方向に配列されたローラ列を含む。本実施形態では、2列がY軸方向に互いに離れて配置されている。複数の側面ローラ32Aは、Z軸の周りを回転し、例えば、金型100Aの側面(例えば、取付板103Aおよび104Aの外面)に接触して、金型100Aを横から支えて金型のX軸方向の移動をガイドする。
底面ローラ33Aおよび側面ローラ32Aは、金型搬送路を形成する。この搬送路は、金型が成形動作位置11にあるときには、別の金型の退避位置として機能し、金型の段取り時には、保管場所として機能する。したがって、2つの金型を連結部で連結するときは、搬送路は、X軸方向の長さLよりも長い長さを有するべきである。搬送装置3Aの搬送路は、射出成形機2内の搬送路に接続されている。
天板30Aは、壁板301A、および扉板302A、303A、304Aで囲まれており、金型移動時の作業者のアクセスを制限している。一実施形態では、搬送装置3Aは上蓋を含まず、クレーン(図示せず)を用いて搬送装置3A上に金型を搬入することを可能にする。この実施形態では、扉板302A、303A、および304Aの閉鎖時に、搬送装置3Aの隣に立つ作業者が搬送装置3A内の金型およびアクチュエータ200Aにアクセスすることが不可能であるように、壁板301Aおよび扉板302A、303A、304Aは十分な高さであるべきである。
アクチュエータ200Aは、金型100Aに接続され、金型100A、100B、および100Cを搬送する。アクチュエータ200Aには、どのような種類のアクチュエータを用いてもよいが、本実施形態では、リンクアーム式アクチュエータを用いた例について説明する。リンクアーム式アクチュエータの一例としては、駆動源となるモータが搬送装置3Aの天板の下に設けられており、アクチュエータのロッドが、天板30Aに設けられたスリットを介して天板30Aの上方に突出するように配置されている。この構成により、リニアアクチュエータを用いたときに比べて、搬送装置3AのX軸方向の長さを短くすることが可能となり、その結果、装置の小型化やコスト面で有利となる。
搬送装置3Bもまた、搬送装置3Aと同様に、フレーム31Bと、金属フレーム31Bに対して水平に固定された天板30Bと、天板30Bに固定され、金型下部を支持する複数の底面ローラ33Bと、天板30Bに固定され、金型の側面に沿って設けられた移動をガイドするための複数の側面ローラ32Bと、天板30Bを覆う壁板301Bと、扉板302B、303B、304B、および305Bとを含む。本実施形態では、搬送装置3Bにはアクチュエータが設けられていないため、搬送装置3Bは単独で金型を移動させることはできず、したがって、搬送用ガイド部および金型用退避部として機能する。
搬送装置3Bは、底面ローラ33Bと側面ローラ32Bとによって形成される金型搬送路を含む。この金型搬送路は、金型が成形動作位置11にあるときには、別の金型の退避位置として機能し、金型の段取り時には、保管場所として機能する。したがって、2つの金型を連結部で連結するときは、搬送路は、X軸方向の長さLよりも長い長さを有するべきである。
扉板302A、303A、304A、302B、303B、304B、および305Bの開閉状態を検出するセンサ(図示せず)は、各扉板に設けられ、コントローラ41に接続されている。これにより、扉板の開閉状態を制御装置4を介して提供することができ、例えば、成形動作中や金型搬送中に扉板が開いたときに、成形動作や搬送を停止したり、警告を発したりすることができる。扉板はまた、例えば電気的に制御可能なロック機構を備えていてもよい。また、金型搬送中や成形動作中に扉板をロックして、作業者と移動中の金型との接触を防止することもできる。警報やシステム状況は、例えばモニタ90に表示することができる。さらに、警報音を作動させることにより作業者に警告することができる。
制御装置4は、射出成形機2を制御するコントローラ42と、搬送装置3Aおよび3Bに対する先に参照したコントローラ41とを含む。コントローラ41とコントローラ42とは互いに通信を行う。コントローラ41とコントローラ42の両者は、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置と、センサやアクチュエータに接続されるインタフェースとを含み、記憶装置に記憶されたプログラム(一例は後述)を実行する。コントローラ41は、コントローラ42と通信を行い、コントローラ42に金型100A、金型100B、および金型100Cを搬送するように指示する。コントローラ42は、射出成形機2内外への金型の搬送完了時に、動作完了の信号をコントローラ41に送信する。コントローラ42は、射出成形処理における異常発生時に、非常停止信号をコントローラ41に送信する。
開口部99Aおよび99Bは、射出成形機2に対する金型の挿入および排出を可能にする。搬送装置3Aおよび3Bは、それぞれ開口部99Aおよび99Bに設けられ、所定の高さを有するそれぞれの壁板301Aおよび301B、ならびに扉板302A、303A、304A、および302B、303B、304B、305Bで囲まれているので、開口部99Aおよび99Bもまた、それぞれの壁板301Aおよび301B、ならびに扉板302A、303A、304A、および302B、303B、304B、305Bで覆われている。これにより、作業者が誤って射出成形機2にアクセスすることを防止する。
金型100A、100B、および100C、ならびにその連結機構について、図5A~図5Gを参照して説明する。以下の説明では、ホットランナーを有する金型について説明するが、コールドランナーを有する金型の説明については、別途後述する。
例示的な一実施形態における金型100Aについて、図5Aを参照して説明する。金型100Aは、固定金型または固定部101Aと、可動金型または可動部102Aと、固定部101Aの取付板103Aと、可動部102Aの取付板104Aと、自己閉鎖部105Aとを含む。金型100Aは、第1の側面が金型100Aを搬送するアクチュエータ200Aに連結され、第1の側面とは反対側の第2の側面が連結部200Bに連結されている。アクチュエータ200Aおよび連結部200Bについては、図5Dを参照して後述する。
成形品は、固定金型101Aと可動金型102Aとの間に形成されるキャビティ(後述)に溶融樹脂を射出することで成形される。
取付板103Aおよび104Aは、金型100Aを射出成形機2の成形動作位置11に固定するために用いられる。金型100Aには、固定金型101Aと可動金型102Aとを閉状態に維持する自己閉鎖部105Aが設けられている。自己閉鎖部105Aにより、射出成形機2から金型100Aを排出した後も、金型100Aが開くことを防止する。
自己閉鎖部105Aは、固定金型101Aと可動金型102Aとの合わせ面に沿って複数の箇所に配置することができる。本実施形態では、自己閉鎖部105Aは、固定金型101A側の要素と可動金型102A側の要素との組み合わせである。例えば、永久磁石と磁性体との組み合わせや、永久磁石同士の組み合わせである。その他の例示的実施形態では、自己閉鎖部105Aは、弾性変形機構や機械式機構であってもよい。
金型100Aの内部構造については、図5Eおよび図5Fを参照して後述する。ここでは、金型100Bについて、図5Bを参照して説明する。金型100Bは、金型100Aと同様に、固定金型101Bと、可動金型102Bと、取付板103Bと、取付板104Bと、自己閉鎖部105Bとを含む。これらの要素のそれぞれの構造および機能は、金型100Aのものと同様であるので、これらの要素についての説明は省略する。その他の例示的な実施形態では、金型100Bの内部構造は、金型100Aの内部構造とは異なる。これについては、図6を参照して後述する。
金型100Bは、第1の側面が連結部200Bに連結されている。金型100Bは、連結部200Bによって金型100Aに連結されている。金型100Bは、連結部200Bおよび金型100Aを介してアクチュエータ200Aに連結されている。金型100Bは、第1の側面とは反対側の第2の側面が連結部200Cに連結されている。連結部200Cについては、図5Dを参照して後述する。
金型100Cについて、図5Cを参照して説明する。金型100Cは、金型100Aおよび金型100Bの要素と同様に、固定金型101Cと、可動金型102Cと、取付板103Cと、取付板104Cと、自己閉鎖部105Cとを含む。これらの要素のそれぞれの構造および機能は、金型100Aおよび金型100Bのものと同様であるので、本明細書ではこれらの要素についての説明は省略する。
金型100Cは、第1の側面が連結部200Cに連結されている。金型100Cは、連結部200Cによって金型100Bに連結されている。金型100Cは、連結部200Cおよび金型100Bを介してアクチュエータ200Aに連結されている。
アクチュエータ200A、連結部200B、および連結部200Cの構造の一例について、図5Dを参照して説明する。アクチュエータ200Aは、金型100A、100B、および100Cを搬送するための駆動要素であり、本実施形態では、リンクアーム式アクチュエータである。アクチュエータ200Aは、取付部2001A、第1のロッド2002A、第1の回転部2003A、第2のロッド2004A、第2の回転部2005A、第3のロッド2006A、第3の回転部2007A、およびモータ2008Aを含む。
取付部2001Aは、アクチュエータ200Aを金型100Aに取り付けるための物理的な連結部であり、金型100Aに、例えばねじによって、取り外し可能に固定されている。第1のロッド2002Aは、金型100Aの側面から略垂直に突出する構造を有し、取付部2001Aに固定され、第1の回転部2003Aを支持する。第1の回転部2003Aは、第1のロッド2002Aと第2のロッド2004Aとを互いに相対的に回転可能となるように支持する支持部であり、第1のロッド2002Aまたは第2のロッド2004Aに固定可能である。第1の回転部2003Aはまた、第1のロッド2002Aと第2のロッド2004Aとを相対的に回転可能に固定し連結するための固定部または連結部としても機能する。
第2のロッド2004Aは、第1の回転部2003Aおよび第2の回転部2005Aに連結され、第1のロッド2002Aに対して回転可能である。第2の回転部2005Aは、第2のロッド2004Aと第3のロッド2006Aとを互いに相対的に回転可能となるように支持する支持部であり、第2のロッド2004Aまたは第3のロッド2006Aに固定可能である。第2の回転部2005Aはまた、第2のロッド2004Aと第3のロッド2006Aとを相対的に回転可能に固定し連結するための固定部または連結部としても機能する。第3のロッド2006Aは、第2の回転部2005Aおよび第3の回転部2007Aに連結され、第2のロッド2002Aに対して回転可能である。第3の回転部2007Aは、第3のロッド2006Aに回転しないように固定されており、モータ2008Aの回転力を受けることによって回転可能となるようにモータ2008Aに支持されている。第3の回転部2007Aはまた、第3のロッド2006Aとモータ2008Aとを相対的に回転可能に固定し連結するための固定部または連結部としても機能する。モータ2008Aは、第3の回転部2007Aを回転させるための動力源である。
アクチュエータ200Aのモータ2008Aは、搬送装置3Aの下方に配置することができる。第2のロッド2004Aおよび第3のロッド2006Aは、搬送装置3Aの天板30Aの長手方向に沿って中央付近に設けられたスリットから天板30Aの上方に突出し、天板の上方に位置する金型に連結されている。
モータ2008Aにより第3の回転部2007Aが反時計回りに回転すると、図5Dに示す状態のように、回転力を受けることで第3のロッド2006Aの一端部がX軸正方向に移動し、当該の移動に伴って第2のロッド2004Aが並進および回転運動を行うことにより、第1のロッド2002AをX軸正方向に押す力が発生する。これにより、金型100A、100B、および100CをX軸正方向に搬送することが可能となる。
モータ2008Aにより第3の回転部2007Aが時計回りに回転すると、第1のロッド2002AがX軸負方向に逆移動し、この移動に伴って金型100A、100B、および100CがX軸負方向に搬送される。第1のロッド2002Aおよび金型100Aは、第2のロッド2004Aの並進および回転移動とともにZ軸正方向(垂直上方)に力を受けるが、金型群の重量が十分に大きいので、金型100Aが実質的に持ち上がることはない。
連結部200Bは、金型100B側の第1の取付板2001Bと、金型100B側の第1の基部2002Bと、ロッド2003Bと、金型100A側の第2の基部2004Bと、金型100A側の第2の取付板2005Bとを含む。第1の取付部2001Bは、金型100Bと連結部200Bとを取り付けるための物理的な連結部であり、金型100Bに、例えばねじによって、取り外し可能に固定されている。
第1の基部2002Bは、第1の取付板2001Bとロッド2003Bとを連結する基部であり、取付板2001Bとロッド2003Bとに対して固定されている。ロッド2003Bは、連結部200Bの主要構造であり、金属等の剛性の高い材料が用いられる。第2の基部2004Bは、ロッド2003Bと第2の取付板2005Bとを連結する基部であり、取付板2005Bとロッド2004Bとに固定されている。第2の取付板2005Bは、金型100Aと連結部200Bとを取り付けるための物理的な連結部であり、金型100Bに、例えばねじによって、取り外し可能に固定されている。
第1の基部2002Bと第2の基部2004Bはいずれも、金型の移動中に発生する振動を吸収し、アクチュエータ200Aへの負荷を低減するために、Y軸およびZ軸方向、またはY軸およびZ軸周りに相対的に移動可能な1対の要素を有することができる。その結果、金型にY軸およびZ軸方向、またはY軸およびZ軸周りに力が加わり、金型が僅かな距離だけ移動した場合でも、相対的に移動可能な1対の要素を設けることで金型の移動を吸収し、アクチュエータ200Aに伝達される力を低減することができる。
連結部200Cは、金型100C側の第1の取付板2001Cと、金型100C側の第1の基部200Cと、ロッド2003Cと、金型100B側の第2の基部2004Cと、金型100B側の第2の取付板2005Cとを有する。これらの構造および機能は、連結部200Bのものと同様であるので、その説明は省略する。
金型100Cの内部構造例について、図5Eおよび図5Fを参照して説明する。図5Eおよび図5Fは、金型100Cを示すが、金型100Bも同様の構造を有することができる。図5Eは、金型100CのY-Z平面をX軸方向から見た側面図である。
可動金型102Cの内部には、キャビティ1001Cおよびホットランナー105Cが設けられている。キャビティ1001Cは、溶融樹脂を受けるために固定金型101Cと可動金型102Cとの間に設けられた空間であり、成形される部品と同じ外形を有する。ホットランナー105Cは、キャビティ1001C内に溶融樹脂を供給するための流路構造106Cと、流路構造106Cを加熱して樹脂の硬化を防止するためのヒータ107Cと、ヒータ107Cに電力を供給するためのケーブル110Cが接続されるコネクタ108Cと、コネクタ108Cからヒータに電力を供給するための内部ケーブル109Cとを含む。図5Fおよび図5Gを参照して説明したように、金型100Cには、温度を調整してキャビティ内で溶融樹脂を硬化させるための冷却液体流路112Cが3次元的に配置されている。
図5Fは、金型100CのZ-X平面をY軸方向から見た側面図である。金型100Cの第1の側面には、コネクタ108Cと金型100Cの外部の液体配管(図示せず)の接続部111Cとが配置されている。図5Fにおいて、金型100C内の液体流路112Cの一端部には、接続部111Cを介して外部液体配管(図示せず)が接続され、液体流路112Cの他端部は、接続部113Cに接続され、接続部111Cは、金型100C外の別の液体配管に接続されている。液体配管は、温度調節器(図示せず)に接続されており、温度調節器は、液体配管に特定の温度に調整された液体を供給する。液体流路112Cには、外部液体配管から特定温度の液体が流入または供給され、別の液体配管から流出または回収される。
当該の特定温度は、溶融樹脂の種類によって異なる。例えば、ABS/HIPS等の汎用材料の冷却液体温度は30°C、ナイロン/フィラー等を含むエンジニアリングプラスチック樹脂の冷却液体温度は80°C、超エンジニアリングプラスチックの冷却液体温度は120°Cである。射出時の樹脂温度はそれぞれ230°C、300°C、400°C、固化温度はそれぞれ65°C、140°C、180°Cである。一般的に、液体配管内の冷却液体温度は、射出成形工程全体を通して一定に保たれる。
図5Gは、金型100C内の液体流路112Cの構造の一例を示す図である。液体流路は、成形品またはキャビティ1001Cを囲むように配置される。図5E、図5Fおよび図5Gは、金型100Cの例を示し、金型100Bについても同様である。金型100Aは、特定の例示的な実施形態に応じて、同一または異なる構造を有することができる。
図6A~図8Cは、例示的実施形態における射出成形システムの構成および3つの金型を搬送する方法を示す。図5Eおよび図5Fに示す液体配管接続部111Cについての説明および図示は、以下の説明では省略する。
図6A~図6Cは、本実施形態における射出成形システム1Aにおいて、金型100Cが成形動作位置11に位置している状態を示す。
本実施形態では、金型100Aは、上述の金型100Bおよび100Cとは部分的に異なる構造を有する。金型100Aは、金型100Aのホットランナーに電力を供給するための外部電源ケーブル450Aに接続される第1のコネクタ471Aに加えて、外部電源ケーブル450Bが接続される第2のコネクタ472Aと、一端部が第2のコネクタ472Aに接続されて金型100A内を通過する電源ケーブル451Bと、電源ケーブル451Bの他端部に接続される第3のコネクタ473Aとを含む。第2のコネクタ472Aは、第1のコネクタ471Aと同様に、アクチュエータに接続される第1の側面に設けられているが、第3のコネクタ473Aは、第1の側面とは反対側の面、すなわち金型100Bに対向する面に設けられている。
金型100Bに接続された電源ケーブル452Bは、金型100Aの第3のコネクタ473Aに接続され、第3のコネクタ473Aに接続された内部電源ケーブル451Bは、第2のコネクタ472Aに接続され、第2のコネクタ472Aに接続された電源ケーブル450Bは、射出成形機2の下方に配置された電源490Aに接続される。
金型100Aは、内部液体配管430Aを含み、内部液体配管430Aは、外部液体配管400に接続するための接続部461Aに接続され、外部液体配管400は、アクチュエータ200Aに接続される第1の側面の温度調節器(図示せず)に接続されており、内部液体配管430Aはまた、第1の側面とは反対側の面、すなわち金型100Bに対向する面に設けられたもう1つの接続部462Aにも接続されている。このもう1つの接続部462Aは、金型100Bに冷却液体を供給するために設けられている。
金型100A内の液体流路430Aには、金型100Bの外部に接続された液体配管440Bが接続されており、金型100A内の液体流路430Aは、金型100A外の液体配管400に接続されている。液体配管400は、射出成形機2の下方に配置された温度調節器491Aに接続されている。
リンクアーム式アクチュエータ200Aの第2のロッド2004Aの外面には、電源ケーブル450Aおよび450Bや液体配管400の配置を規制するためのプレート405が設けられている。さらに、プレート405には、第2のロッド2004Aから電源ケーブル450A、450Bおよび液体配管400が分離しないように、電源ケーブル450A、450Bおよび液体配管400を固定する固定具401が設けられている。さらに、第3のロッド2006Aの外面には、電源ケーブル450A、450Bおよび液体配管400を固定するための固定具402および403が、第3のロッド2006Aの長手方向に並んで配置され、その結果、第3のロッド2006Aから電源ケーブル450A、450Bおよび液体配管400が分離しないようにする。
電源ケーブル450A、電源ケーブル450Bおよび液体配管400は、第2のロッド2004Aに設けられたプレート405上のケーブル固定具401と、第3のロッド2006Aに設けられたケーブル固定具402および403とによって固定され、リンク式アームに沿って配線される。電源ケーブル450Aおよび450Bをカプラによって結合し、1本のケーブルとして電源に接続してもよい。液体配管400は、複数の液体配管であってもよい。
固定具403によって固定された電源ケーブル450A、450Bおよび水配管400は、図6Cに示すように、受けトレイ404Aで受けられ、受けトレイ404Aの底面に沿って射出成形機2の下方にガイドされる。
金型100C内の液体流路430Cは、金型100C外の液体配管400Cに接続され、液体配管400Cは、射出成形機2の下方に配置された温度調節器491Bに接続される。外部電源ケーブル450Cは、金型100Cのコネクタに接続され、射出成形機2の下方の電源490Bに接続される。液体配管400Cおよび電源ケーブル450Cは、搬送装置3Bの天板30Bの長手方向に沿って設けられたスリットを通過して、搬送装置3Bの下方に延びている。搬送装置3Bの下方には、ケーブル用受けトレイ404Bおよびケーブルキャリア480が設けられ、ケーブルキャリア480を介して射出成形機2の下方にガイドされる。
図7A~図7Cは、金型100Bが成形動作位置11にある状態を示す。図7Aは、射出成形システム1AをZ軸方向から見た図であり、図7Bは、射出成形システム1AをY軸方向から見た側面図である。図7Cは、射出成形システム1AをX軸方向から見た側面図である。
図8A~図8Cは、金型100Aが成形動作位置にある状態を示す。図8Aは、射出成形システム1AをZ軸方向から見た図である。図8Bは、射出成形システム1AをY軸方向から見た側面図である。図8Cは、射出成形システム1AをX軸方向から見た側面図である。
図4A~図8Cにおいて、金型100Bに接続される電源ケーブルおよび液体配管は、金型100A側から配線され、電源ケーブルのコネクタと液体配管との間の接続部は、金型100Bの側面に設けられる。この金型100Bの側面は、金型100Bの金型100Aに対向する側面の接続部200Bに接続される。金型100Cは、接続部200Cが接続される金型100Cの側面とは反対側の金型100C側から電源ケーブルおよび液体配管が配線されるため、電源ケーブルのコネクタと液体配管の接続部とは、接続部200Cが接続される側面とは反対側の側面に設けられる。
図6A~図6Cにおいて、金型100Cが成形動作位置11にあるとき、金型100Bおよび金型100Aは、搬送装置3A上に位置して、プラテン61および62を回避する。図7A~図7Cにおいて、金型100Bが成形動作位置11にあるとき、金型100Cは搬送装置3B上に位置し、金型100Aは搬送装置3A上に位置して、プラテン61および62を回避する。図8A~図8Cにおいて、金型100Aが成形動作位置11にあるとき、金型100Cおよび100Bは、搬送装置3B上に位置して、プラテン61および62を回避する。本実施形態では、退避した金型を射出成形機2外に配置する。別の例示的実施形態では、プラテンから退避している限り、退避した金型が部分的に射出成形機2内にあってもよい。
上述の構成により、3つの金型の中央に位置する金型の電源ケーブルおよび液体配管は、隣接する金型の1つに接続され、これらの隣接する金型を介して配線される。3つの金型の中央に位置する金型の電源ケーブルおよび液体配管は、金型搬送時でも射出成形機2の4本のタイバー64とは干渉しない。これにより、3つの金型の中心に位置する金型のケーブルが成形動作に干渉することを防止することができる。
図4A~図8Cにおいて、電源490Aから金型100Bに電力を供給するための電源ケーブルは、電源ケーブル452Bと、金型100A内の電源ケーブル451Bと、電源ケーブル450Bとを含む。温度調節器491Aから金型100Bに冷却液体を供給するための液体配管は、液体配管440Bと、金型100A内の液体流路430Aと、液体配管400とを含む。
別の例示的実施形態における射出成形システムの構成について、図9A~図9Cを参照して説明する。図9Aは、射出成形システム1AをZ軸方向から見た図であり、図9Bは、射出成形システム1AをY軸方向から見た側面図であり、図9Cは、射出成形システム1AをX軸方向から見た側面図である。液体配管接続部111Cについては先に述べたので、本明細書では説明を省略する。
上述の実施形態では、金型100Aには、第2のコネクタ472Aと第3のコネクタ473Aとが設けられている。本実施形態では、金型100Aには、金型100Aの2つの側面を貫通する穴701Bが設けられており、電源ケーブル450Bが穴701Bを介して金型100Bのコネクタに接続され、金型100B内のケーブル453Bに接続されている。穴701Bは、リンクアーム式アクチュエータ200Aが接続される金型100Aの側面と、この側面とは反対側であって金型100Bと対向する面とを貫通している。穴701Bは、金型100Aの他の構造体と干渉しないように、金型100Aの側面の上方であって取付板103Aに近接して設けることができる。穴701Bは、金型100Bに接続される電源ケーブル450Bのガイド部または位置規制部として機能する。
液体流路は、上述の実施形態と同様に、金型100A内の液体流路430Aと金型100B内の液体流路430Bとが液体配管440Bにより接続され、金型100Aを介して、冷却液体が金型100Bに供給され、金型100Bから回収される。これにより、金型搬送中における射出成形機2の4本のタイバー64との干渉を防止し、中央の金型のケーブルによる成形動作の妨げを防止する。本実施形態によれば、固定金型内に電気系統の構造を設けることなく、穴のみを設けることで、電源ケーブルの適切な配置を実現することができる。
別の例示的実施形態における射出成形システムの構成について、図10A~図10Bを参照して説明する。図10Aは、射出成形システム1AをY軸方向から見た側面図であり、図10Bは、射出成形システム1AをX軸方向から見た側面図である。本実施形態は、例えば、固定部101Aおよび可動部102Aの上方かつ取付板103Aと104Aとの間に、電源ケーブル450Bおよび液体配管400Bを通すのに十分な領域があるとき、金型100Bに隣接する金型100Aに適用することができる。電源ケーブル450Bおよび液体配管400Bは、この領域を通過し、金型100B、電源490A、および温度調節器491Aを接続する。この実施形態では、金型100A内に特別な構造を必要とせず、金型100Bと同じ構造を有する金型を金型100Aとして用いることができる。
別の例示的実施形態における射出成形システムの構成について、図11A~図11Cを参照して説明する。図11Aは、射出成形システム1AをY軸方向から見た側面図であり、図11Bは、射出成形システム1AをX軸方向から見た側面図であり、図11Cは、金型100Aを下方から垂直に見た図である。本実施形態は、固定部101Aおよび可動部102Aの下かつ取付板103Aと104Aとの間に、電源ケーブル450Bおよび水配管400Bを通すのに十分な領域があるとき、金型100Bに隣接する金型100Aの1つに適用することができる。電源ケーブル450Bおよび液体配管400Bは、この領域を通過し、金型100B、電源490A、および温度調節器491Aを接続することができる。
本実施形態では、金型100Aのような特別な構造の金型を必要としない。この領域には、電源ケーブル450Bおよび液体配管400Bの下方移動を規制するためのプレート1405が設けられている。プレート1405は、プラテン61および62のクランプ機構によって取付板103Aおよび104Aに固定される領域を回避するように、取付板103Aおよび104Aに固定される。
図11Cは、例えば、第1の梁991と、第2の梁992と、第1の梁991および第2の梁992によって支持されるケーブル支持部993とを含むプレート1405を示す。第1の梁991は、金型100Aの第1の側面に沿って設けられ、取付板103Aおよび104Aの内面にボルト等で固定されている。第2の梁992は、金型100Aの第1の側面とは反対側の第2の側面に沿って設けられ、取付板103Aおよび104Aの内面にボルト等で固定されている。支持部993は、第1の梁991および第2の梁992に第2の側面側からボルト等により固定されている。このようにして、例えば、第1の梁991、第2の梁992、および支持部993は、プラテン61および62のクランプによって固定される領域990と、クランプの可動範囲とに干渉しないように設けられている。
プレート1405は、電源ケーブル450Bおよび液体配管400Bの位置をガイドするためのガイド部、または電源ケーブル450Bおよび液体配管400Bを規制するための規制部として機能する。規制部およびガイド部は、プレート1405に限定されず、別の例示的実施形態では、ケーブルキャリアを設けてもよい。
上述の構成により、金型搬送中における射出成形機2の4本のタイバー64との干渉を防止するとともに、中央の金型のケーブルによる成形動作の妨げを防止することが可能となる。さらに、本実施形態の構成によれば、金型の内部構造を変更することなく、通常の金型を用いることが可能となる。
電源ケーブル450Bおよび液体配管400Bの剛性が十分に高く、金型の下で大きく座屈しないとき、射出成形システム1Aに干渉する可能性があるとみなされる場合には、規制部またはガイド部は必ずしも必要ではない。
金型100A、100B、100Cのうちの1つの金型を用いて実行する処理の流れについて、図12A~図12Bのフローチャートを参照して説明する。図12A~図12Bは、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号に関連する射出成形動作を示しており、本明細書では、情報、説明、および例示的な目的のためにだけに提供されている。射出成形機2が実行する処理の流れについては、図13のタイミングチャートを参照して後述する。射出成形システム1Aの制御装置4は、以下の処理を実行する。
<成形品の製造例>
金型100Aに関連する処理について以下に説明する。便宜上、処理の説明には金型100Aを用いているが、金型100Bおよび金型100Cに適用可能である。
ステップS1では、初期設定を行う。金型100Aに対して、射出装置5および型締装置6の動作条件を登録する。動作条件には、1回の射出樹脂量、温度、射出速度、型締力、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値等が含まれるが、これらに限定されない。1回目の成形動作は金型100Aを用いるので、金型100Aに関する条件が動作条件として自動設定されるが、他の金型では条件が異なることがある。また、射出シリンダ51の加温や初回の樹脂の可塑化計量等を開始する。
ステップS2では、金型100Aを射出成形機2内に搬送する。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62との間の隙間を、金型100Aの厚み(Y方向の幅)よりも少し広くする。次に、コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬入指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11に搬入する。金型100Aを搬入すると同時に金型100Bを搬出する。金型100Aの搬入が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬入完了を示す信号が送信される。搬入完了を示す信号を受信すると、モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61、可動プラテン62にそれぞれロックする。
ステップS3では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。金型100Aに対する射出の準備を行う。アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
ステップS4では、射出装置5のノズルがY軸正方向に進み、金型100Aに接触する。アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。さらに、射出成形の準備処理を行う。
ステップS5では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、上記シリンダ51内の樹脂を金型100A内に高圧で押し込む。センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張し、初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。よって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。
型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このようにタイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に基づいて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミングで行えばよい。
ステップS6およびステップS8の処理を、ステップS7と並行して行う。ステップS6では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS7では、型締装置6に関連する処理を行う。より具体的には、固定機構610による金型100Aのロックを解除する。ステップS5から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を消失し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型の入れ替えが可能となる空間を形成する。
ステップS8では、射出装置5に関連する処理を行う。例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。保圧サックバックおよびノズルシャットオフは、ノズル52が金型100Aから離れたときに溶融樹脂が垂れることを防止するものである。これらの処理は、ステップS7で固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させる前の遅延時間中に行ってもよい。
保圧サックバックとは、保圧後にスクリュ51aを後退させて、射出シリンダ51内や金型100A内の樹脂圧力を低減するものである。保圧サックバックにおけるスクリュ51aの後退位置は、絶対位置で管理してもよいし、保圧完了後のスクリュ51aの位置に対する相対位置で管理してもよい。射出装置5に設置されているロードセル(図示せず)が測定する樹脂圧力が所定圧まで低下することが検知されるまで、スクリュ51aを後退させてもよい。
ノズルシャットオフは、ノズル52の吐出口52aを閉鎖することであり、図2の例でいえば、ピン56aで吐出口52aを閉鎖する。このような動作により、樹脂が漏れ出ることを抑制できる。次の射出のための樹脂計量の精度も向上できる。以上の処理により、樹脂が漏れ出ることを防止できるが、金型100Aの構造や樹脂の種類によっては、金型100Aとノズル52との間で長い糸状の樹脂が発生する場合がある。この発生を防止するために、ノズル52にエアを吹きつける装置を設置してもよい。
ステップS9では、金型100Aと別の金型との入れ替えを行う。金型100Aを成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出し、例えば、金型100Bを搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42に金型100Aの搬出指示を送信し、コントローラ42は搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11から搬出する。金型100Aの搬出が完了すると、コントローラ42からコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Aは搬送装置3A上で冷却される。このとき、自己閉鎖部103の働きによって金型100Aの閉状態が維持される。
ステップS10では、搬送装置3Aは、冷却時間の完了に基づいて金型100Aを成形動作位置11に再搬送する。ステップS11では、ステップS6で計時を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。冷却が完了した場合は、処理はステップS12へ進む。
ステップS12では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61にクランプ610により固定され、可動金型102は可動プラテン62にクランプ610により固定されているので、固定金型101Aから可動金型102Aが離間し、金型100Aが型開きされる。ステップS13では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102A側に残留している成形品を取り出し、射出成形機2の外部へ成形品を搬送する。チャック板75が成形品に対向する位置に真空ヘッド74が移動し、成形品を吸着保持する。
ステップS14では、成形品の必要数Thの成形が完了したかどうかを判定する。完成した成形品の数が閾値Th未満の場合は、成形は完了していない。完成した成形品の数が閾値Th以上の場合は、成形は完了したと判定する。成形が完了していないと判定した場合は、処理はステップS3へ戻り、上述の処理を繰り返す。成形が完了したと判定した場合は、処理はステップS15へ進む。
ステップS15では、型締装置6は、金型100Aを型締めする。ステップS16では、搬送装置3Aは金型100Aを搬送する。その後、電源ケーブルおよび液体配管を金型100Aから取り外し、金型100Aを搬送装置3Aから搬出する。
射出成形機2の処理シーケンスについて、図13のタイミングチャートを参照して説明する。射出成形処理を金型100C、100B、100Aの順で説明する。
搬送装置3Aのアクチュエータ200Aは、金型100Cを射出成形機2内に搬送する。例えば、図6A~図6Cは、この搬送動作直後の状態を示す。射出装置5および型締装置6による射出および保圧を実行後、アクチュエータ200Aは、金型100Cを成形動作位置11から排出し、搬送装置3B上に移動させる。(この処理は、図12A~図12Bのフローチャートにて説明する。)
金型100Cの排出と並行して、金型100Cに連結された金型100Bを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬送する。例えば、図7A~図7Cは、搬送動作直後の状態を示す。その後、射出装置5および型締装置6による射出および保圧を行う。次いで、アクチュエータ200Aは、金型100Bを成形動作位置11から排出し、搬送装置3B上に移動させる。
金型100Bの排出と並行して、金型100Bに連結された金型100Aを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬送する。例えば、図8A~図8Cは、この搬送動作直後の状態を示す。その後、射出装置5および型締装置6による射出および保圧を行う。次いで、アクチュエータ200Aは、金型100Aを成形動作位置11から排出し、搬送装置3Aに戻す。
アクチュエータ200Aは動作を継続し、金型100Bもまた、搬送装置3Bから成形動作位置11を通過して、搬送装置3A上に移動する。金型100Cは、搬送装置3Bから成形動作位置11に搬送される。この結果、図6A~図6Cの状態に戻る。
金型100Cの冷却が完了したとの判定後、取出機7は、得られる成形品を金型100Cから取り出す。成形品の取り出しにより、金型100Cの射出成形動作の1サイクルが完了となる。このサイクルでは、射出ステップの直後から取り出しステップの直前まで冷却を行う。
金型100Cに対して、再度、射出装置5および型締装置6による射出および保圧を行う。アクチュエータ200Aは、金型100Cを成形動作位置11から排出し、搬送装置3B上に移動させる。並行して、金型100Cに連結された金型100Bを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬送する。この結果、図5A~図5Gの状態に戻る。
金型100Bの冷却が完了したとの判定後、取出機7は、得られる成形品を金型100Bから取り出す。成形品の取り出しにより、金型100Bの射出成形動作の1サイクルが完了となる。このサイクルでは、射出ステップの直後から取り出しステップの直前まで冷却を行う。
金型100Bに対して、再度、射出装置5および型締装置6による射出および保圧を行う。アクチュエータ200Aは、金型100Bを成形動作位置11から排出し、搬送装置3B上に移動させる。並行して、金型100Bに連結された金型100Aを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬送する。この結果、図8A~図8Cの状態に戻る。
金型100Aの冷却が完了したとの判定後、取出機7は、得られる成形品を金型100Aから取り出す。成形品の取り出しにより、金型100Aの射出成形動作の1サイクルが完了となる。このサイクルでは、射出ステップの直後から取り出しステップの直前まで冷却を行う。
金型100Aに対して、再度、射出装置5および型締装置6による射出および保圧を行う。アクチュエータ200Aは、金型100Aを成形動作位置11から排出し、搬送装置3A上に移動させる。さらに、アクチュエータ200Aは動作を継続し、金型100Bもまた、搬送装置3Bから成形動作位置11を通過して、搬送装置3A上に移動し、金型100Cは、搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入される。この結果、図6A~図6Cの状態に戻る。
上述したように、1つの金型に対しての樹脂の冷却期間中に、その他の金型に対して取り出しおよび射出処理を行う。これにより、射出成形機を効率よく運転することができ、生産性を向上させることができる。本実施形態の3つの金型を連結する射出成形工程は、冷却期間が比較的長い成形品に適している。
上述の実施形態では、3つの金型を1つのアクチュエータで移動させる一例を示したが、この構成に限定されるものではない。別の例示的実施形態では、3つの金型を2つのアクチュエータで移動させることができる。この例示的な実施形態について、図14を参照して説明する。
図14において、金型100Aおよび100Bは、上述の実施形態と同様に、アクチュエータ200Aが金型100Aに連結され、金型100Bが連結部200Bによって金型100Aに連結されている。金型100Cは、金型100Bの代わりにアクチュエータ1200Bに連結されている。本実施形態では、アクチュエータ1200Bはリニア式アクチュエータであり、搬送装置3Bに設けられている。別の例示的実施形態では、アクチュエータ200A等のリンクアーム式アクチュエータを用いてもよい。
アクチュエータ1200Bは、リニアガイド1206B上を移動する可動部1201Bに内蔵されたモータを含む。ロッド1203Bは、第1の基部1202Bを介して可動部1201Bに固定されている。ロッド1203Bの一端部は、第1の基部1202Bに固定され、もう一方の端部は、第2の基部1204Bに固定されている。第2の基部1204Bは、取付板1205Bを介して金型100Cに連結されている。
上述の構成は、金型100A側に配置され、電源および温度調節器に接続される金型100Bの電源ケーブルおよび液体配管を、上述の実施形態の構成を実施することによって提供するものである。本実施形態では、2つのアクチュエータが設けられているので、金型100Aおよび100Bの搬送を、金型100Cの搬送に対して独立して時分割で実行することができる。すなわち、例えば、アクチュエータ1200Bによる金型100Cの成形動作位置11から搬送装置3Bへの搬送時、成形動作位置11から金型100Cを搬出後に、アクチュエータ200Aを作動させて、金型100Bの成形動作位置11への搬入を開始することができる。
上述の実施形態では、電源ケーブルおよび液体配管は、金型に接続されるリニア構造体の例である。また、電源ケーブルや液体配管と同様に、金型内のピンを駆動するための空気配管も、一側方から中央の金型に接続することができる。
上述の実施形態では、ホットランナーを含む金型について説明した。別の例示的実施形態では、コールドランナー式の金型を用いることもできる。コールドランナー式の金型の場合、アクチュエータは、金型の固定側の取付板に連結されることが望ましい。さらに、ホットランナー等のヒータは、通常、金型の内部には存在せず、液体配管、または液体配管および空気配管のみが金型に接続される。
上述の実施形態では、1台の射出成形機に対して3つの金型を入れ替え/交換することについて説明した。別の例示的実施形態では、4つ以上の金型を用いることができる。この実施形態では、上述の実施形態に基づいて、2つの金型(金型A、B、C、およびDがこの順に配置されている場合、端部に配置された金型AおよびD以外の金型、すなわち金型BおよびC)に対しての、端部に配置された電源ケーブルおよび液体配管の配置を実現することができる。例えば、金型A、B、CおよびDがこの順に配置されている場合、端部に配置された金型AおよびD以外の金型、すなわち、金型BおよびCである。すなわち、金型Bの電源ケーブルと液体配管とを、金型A側から上下のタイバーの間、および射出成形機の側方の開口部を介して配線することができる。金型Cの電源ケーブルおよび液体配管は、金型D側から上下タイバーの間、および射出成形機の側方の開口部を介して配線することができる。
図6A~図11Cに示す実施形態では、ケーブル固定具をアクチュエータ200Aの可動部である第2のロッド2004Aおよび第3のロッド2006Aに設けた例について説明している。別の例示的実施形態では、ケーブル固定具は、射出成形機2の外部構造体、例えば、搬送装置3Aの天板30Aやフレーム31等に設けることができる。
上述の実施形態では、射出成形機2の外部領域についての言及は、1対のプラテン61、62および4本のタイバーによって囲い込まれた領域を指すことができ、これは成形動作位置11を含む領域を示すことができる。
<定義>
説明においては、開示する実施例が完全に理解されるように、具体的な詳細を記載している。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および回路については、本開示を不要に長くすることを避けるために、詳細には説明していない。
本明細書では、ある要素または部分が、別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」と言及される場合、それは、直接にその別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」こともあるし、あるいは介在する要素または部分が存在することもあることを理解されたい。これに対して、ある要素が、別の要素または部分「の上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と言及される場合には、介在する要素または部分は存在しない。「および/または」という用語を用いるときには、関連して列挙されている項目があれば、そのうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
本明細書では、「の下(under)」、「の真下(beneath)」、「の下方(below)」、「の下側(lower)」、「の上方(above)」、「の上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」等の空間的に相対的な用語を、様々な図面に示すある要素または特徴の別の(1つまたは複数の)要素または特徴に対する関係を記述する際に、説明を容易にするために用いることがある。しかし、これらの空間的に相対的な用語は、図面に示す配向に加えて、使用時または動作時における装置の様々な配向をも包含することを意図するものと理解されたい。例えば、図中の装置を反転した場合には、別の要素または特徴の「下方(below)」または「真下(beneath)」と記述された要素が、それらの別の要素または特徴の「上方(above)」に配向されることになる。したがって、「の下方(below)」等の相対的な空間用語は、上および下の両方の配向を包含することができる。装置は、その他の配向にすることもでき(90度またはその他の配向に回転させることもでき)、本明細書で用いる空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈されるものとする。同様に、「近位(proximal)」および「遠位(distal)」という相対的な空間用語も、適用可能な場合には、入れ換えることができることもある。
本明細書で用いる「約」という用語は、例えば、10%以内、5%以内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することもある。
本明細書では、第1、第2、第3等の用語を、様々な要素、構成要素、領域、部分、および/または区画を説明するために用いることがある。これらの要素、構成要素、領域、部分、および/または区画は、これらの用語によって限定されないものと理解されたい。これらの用語は、単にある要素、構成要素、領域、部分、または区画を、別の領域、部分、または区画と区別するために用いているに過ぎない。したがって、以下に論じる第1の要素、構成要素、領域、部分、または区画は、本明細書の教示を逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分、または区画と呼ぶこともできる。
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図していない。本開示を説明する文脈における(中でも、添付の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(a,an)」および「前記/その(the)」という用語ならびに類似の指示語の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるものとする。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」および「含有する(containing)」という用語は、別段の言及がない限り、非限定用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)と解釈されるものとする。具体的には、本明細書でこれらの用語を用いるとき、記載する特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを指定するが、明示的には述べられていない1つまたは複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、あるいは追加されることを排除するものではない。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、単にその範囲に該当する各別個の値について個々に言及する簡略表記法として機能するよう意図するものに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書においては個々に記載されたかのごとく本明細書に組み込まれる。例えば、10~15の範囲を開示する場合には、11、12、13および14もまた開示される。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提示するあらゆる例または例示的な言葉(例えば「等の(such as)」)の使用は、単に本開示をより明確にすることを意図するものに過ぎず、別段に特許請求の範囲に記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載のない任意の要素が、本開示の実施に必須であることを示すものではないと解釈されたい。
本開示の方法および構成は、様々な実施形態の形で組み込むことができ、そのほんの一部が本明細書に開示されているに過ぎないことを理解されたい。それらの実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用するものと想定しており、また、本開示が、本明細書に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法により許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正形態および均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、その全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組み合わせが、本開示に包含される。