JP7223174B2 - ロバストな振幅推定のための工学的尤度関数を用いたベイズ推論のためのハイブリッド量子古典コンピュータ - Google Patents

ロバストな振幅推定のための工学的尤度関数を用いたベイズ推論のためのハイブリッド量子古典コンピュータ Download PDF

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Description

量子コンピュータは、他の方法では解決できない、または古典的なコンピュータを使用した場合は非常に非効率的にしか対処できない、産業上の重要な問題を解決することを約束する。重要な応用分野は、化学と材料、生物科学とバイオインフォマティクス、ロジスティクス、及び金融を含む。量子コンピューティングに対する関心は、すぐに使える量子コンピュータのパフォーマンスの進歩の波に一部起因して、最近急上昇している。しかしながら、きわめて近い将来の量子デバイスは、依然としてリソースが非常に限られており、実際に関心のある問題に対する量子コンピュータの展開を妨げている。
近い将来の量子デバイスの限界に対応する最近の相次ぐ方法は、大きな注目を集めている。これらの方法は、変分量子固有値ソルバー(VQE)、量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)と変形、変分量子線形システムソルバー、変分原理を活用する他の量子アルゴリズム、及び量子機械学習アルゴリズムを含む。このようなアルゴリズムの革新にもかかわらず、これらの方式の多くは、測定数及び実行時間の点でコストが高いため、商業的に関連性のある問題に対しては実用的ではないと思われてきた。しかしながら、位相推定などの実行時間の二次的な高速化を提供する方法は、やや大きな問題例に対して、近い将来のデバイスが到達できる範囲をはるかに超えた量子リソースを要求している。
変分量子固有値ソルバー(VQE)などのハイブリッド量子古典アルゴリズムが要求する測定数は、実際の値の多くの問題に対して法外に多い。このコストを削減する量子アルゴリズム(例えば、量子振幅及び位相推定)は、近い将来の実装には低すぎる誤り率を必要とする。本発明の実施形態は、ハイブリッド量子古典(HQC)コンピュータ、及び利用可能な量子コヒーレンスを活用して、ノイズの多い量子デバイスでのサンプリング力を最大限に強化して、VQEに比較して測定数及び実行時間を削減するHQCコンピュータによって実行される方法を含む。このような実施形態は、量子計測、位相推定、及びより最近の「アルファVQE」提案からインスピレーションを得て、誤差に対してロバストであり、アンシラキュービットを必要としない一般的な定式化に到達する。この方法の中心的な目的は、ベイズ推論を実施するために使用される、いわゆる「工学的尤度関数」(ELF)である。本発明の実施形態は、ノイズの多い中規模の量子コンピュータのレジームから量子誤差が補正された量子コンピュータのレジームへ物理的なハードウェアが遷移するのに伴い、サンプリングでの量子の利点を強化するためにELF形式を使用する。この技術は、化学、材料、金融を含む用途、及びそれらを超える用途で多くの量子アルゴリズムの中心的なコンポーネントを高速化する。
本発明の様々な態様及び実施形態の他の特徴及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲から明らかになる。
本発明の一実施形態に係る量子コンピュータの図である。 本発明の一実施形態に係る図1の量子コンピュータによって実行される方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態に従って量子アニーリングを実行するハイブリッド量子古典コンピュータの図である。 本発明の一実施形態に係るハイブリッド量子古典コンピュータの図である。 本発明の一実施形態に従って量子振幅推定を実行するためのハイブリッド量子古典(HQC)コンピュータである。 標準サンプリングの、及び本発明のいくつかの実施形態の量子回路を、それらの対応する尤度関数とともに示す。 フィッシャー情報量の様々な尤度関数に対する依存性を示すプロットを示す。 本発明の一実施形態に係る工学的尤度関数に対応するサンプルを生成するために使用される演算を示す。 本発明の実施形態により実装されるアルゴリズムを示す。 本発明の実施形態により実行される様々なアルゴリズムを示す。 本発明の実施形態により実行される様々なアルゴリズムを示す。 本発明の実施形態により実行される様々なアルゴリズムを示す。 本発明の実施形態により実行される様々なアルゴリズムを示す。 本発明の様々な実施形態に係る真の尤度関数と適合尤度関数のプロットである。 本発明の様々な実施形態の性能を示すプロットを示す。 本発明の様々な実施形態の性能を示すプロットを示す。 本発明の様々な実施形態の性能を示すプロットを示す。 本発明の様々な実施形態の性能を示すプロットを示す。 本発明の様々な実施形態の性能を示すプロットを示す。 本発明の様々な実施形態の
Figure 0007223174000001

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本発明の様々な実施形態の性能を示すプロットを示す。 本発明の様々な実施形態の性能を示すプロットを示す。 本発明の様々な実施形態の
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Figure 0007223174000003

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本発明の様々な実施形態の実行時間対目標精度を示すプロットを示す。 本発明の実施形態に従って実装される量子回路を示す。 本発明の実施形態に従って実装される量子回路を示す。 本発明の実施形態に従って実装されるアルゴリズムを示す。 本発明の実施形態に従って実装されるアルゴリズムを示す。 本発明の実施形態に従って実装されるアルゴリズムを示す。 本発明の実施形態に従って実装されるアルゴリズムを示す。 本発明の実施形態に係る真の尤度関数と適合尤度関数を示す。
本発明の実施形態は、量子振幅推定を実行するハイブリッド古典量子コンピュータ(HQC)を対象とする。図4を参照すると、量子コンピュータ432と、本発明の一実施形態に従って量子振幅推定の方法を実行する古典コンピュータ434を含むHQC430のフロー図が示されている。古典コンピュータ434を用いて実行されるブロック404では、量子状態|s>402に関してオブザーバブルP400の期待値<s|P|s>を推定する統計値の精度改善率を最適化するために、複数の量子回路パラメータ値が選択される。
実施形態では、統計値は、ランダム変数からサンプリングされた複数の値から計算されたサンプル平均である。この説明では、これらのサンプリングされた値は、量子コンピュータ432のキュービットを測定することによって得られる。しかしながら、統計値は、代わりに、本説明の範囲から逸脱することなく、歪度、尖度、分位数、または別のタイプの統計値であってよい。統計値は、期待値<s|P|s>の推定量であり、バイアスであるか、不偏のどちらかであってよい。複数の値は、確率分布に従ってモデル化され得、その場合、統計値は確率分布のパラメータを表し得る。例えば、統計値は以下の第3.2項により詳細に説明するように、ガウス分布の平均を表し得る。
量子回路パラメータ値は、量子ゲートがどのようにキュービットに作用するのかを制御する実数である。この説明では、各量子回路は、量子ゲートのシーケンスとして表すことができ、シーケンスの各量子ゲートは、量子回路パラメータ値の1つによって制御される。例えば、量子回路パラメータ値の各々は、1つ以上のキュービットの状態が対応するヒルベルト空間内で回転する角度を表す場合がある。
精度改善率は、本方法実施形態の反復のたびに統計値の対応する精度がどれほど多く改善するのかを表す関数である。精度改善率は、量子回路パラメータの関数であり、かつ統計値(例えば、平均)の関数である場合がある。精度は、統計値の誤差の任意の定量的な測度である。例えば、精度は、平均平方誤差、標準偏差、分散、平均絶対誤差、または誤差の別のモーメントであってよい。代わりに、精度は、フィッシャー情報量または情報エントロピーなど、情報メトリックであってもよい。精度に分散を使用する例は、以下により詳細に説明される(例えば、方程式36を参照)。これらの例では、精度情報率は、方程式38で導入される分散減少係数であってよい。代わりに、精度情報率は、フィッシャー情報量であってよい(例えば、方程式42を参照)。しかしながら、精度改善率は、本説明の範囲から逸脱することなく、精度の改善を数値化する別の関数であってもよい。
いくつかの実施形態では、複数の量子回路パラメータ値は、座標上昇法及び勾配降下法の一方を使用して選択される。これらの技術の両方とも、第4.1.1項により詳細に説明されている。
量子コンピュータ432を用いて実行されるブロック406で、交互の第1及び第2の一般化反射演算子のシーケンスが、量子コンピュータ432の1つ以上のキュービットに適用されて、1つ以上のキュービットを量子状態|s>から反射量子状態に変換する。第1及び第2の一般化反射演算子の各々は、複数の量子回路パラメータ値の対応する1つに従って制御される。第3.1項に説明する演算子U(x)及びV(y)が、それぞれ第1及び第2の一般化反射演算子の例である。方程式19で導入された演算子
Figure 0007223174000004
は、交互の第1及びと第2の一般化反射演算子のシーケンスの一例であり、ここでベクトル
Figure 0007223174000005
は、複数の量子回路パラメータ値を表す。第1及び第2の一般化反射演算子のシーケンス、及びオブザーバブルPは、方程式26に関して以下に説明する工学的尤度関数のバイアスを定義し得る。
やはり量子コンピュータ432を用いて実行されるブロック408では、反射量子状態の複数のキュービットは、測定結果のセットを取得するためにオブザーバブルPに関して測定される。古典コンピュータ434で実行されるブロック410では、統計値は、より高い精度で<s|P|s>の推定値を取得するために測定結果のセットで更新される。
方法は、該更新後に統計値を出力することをさらに含み得る。代わりに、方法は、ブロック404、406、408、及び410を反復処理してもよい。いくつかの実施形態では、方法は、古典コンピュータ434で、及び測定結果のセットを用いて、統計値の精度推定値を更新することをさらに含む。精度推定値は、上述した精度の計算値である(例えば、分散)。これらの実施形態では、方法は、精度推定値が閾値を下回るまで、ブロック404、406、408、及び410を反復処理する。
いくつかの実施形態では、統計値は、複数の測定値で事前分布を更新して事後分布を取得し、事後分布から更新された統計値を計算することによってブロック410で更新される。
いくつかの実施形態では、複数の量子回路パラメータ値は、統計値及び統計値の精度推定値に基づいて選択される。複数の量子回路パラメータ値は、該適用及び測定中に発生する誤差を表す忠実度に基づいてさらに選択し得る。
1.1.序文
位相推定とベイズ視点を組み合わせることによって、限られた深さの量子回路を実現できるノイズの多い量子デバイスに、初期の提案よりもより適したベイズ位相推定技術が生まれる。上記の概念を採用すると、回路パラメータ
Figure 0007223174000006
及び目標は、演算子Uの固有値eiarccos IIで位相IIを推定することである。重要な注意点は、ここでの尤度関数は、重要な留意点は、ここでは、尤度関数が、
Figure 0007223174000007
であり、上式で、Tm及びUmは、それぞれ第1の種類及び第2の種類のチェビシェフ多項式であり、ベイズ位相推定以外の多くの設定値で共有される。この共通性により、ハミルトニアン特徴化などのタスクに使用されるベイズ推論機構は、位相推定に関連するものになる。他の非適応サンプリング法に優るガウス事前確率によるベイズ推論の指数関数的な利点は、予想される事後分散σが推論ステップの数で急激に減衰することを示すことによって証明される。そのような指数集束は、各推論ステップで必要とされる量子コヒーレンスのO(1/σ)の量を犠牲にする。また、そのようなスケーリングは、ベイズ位相推定の文脈でも確認される。
ベイズ位相推定の技術及び振幅推定問題としての重複推定の視点を備えると、標準サンプリングレジームと位相推定レジームとの間を円滑に補間する演算子測定のためのベイズ推論方法を考案し得る。これは「α-VQE」として提案され、ここでは、演算子測定を実行するための漸近的なスケーリングはO/(1/εα)であり、α=2の極値は標準サンプリングレジーム(通常VQEで実現される)に対応し、α=1は、スケーリングがハイゼンベルグ限界(通常は位相推定で実現される)に達する量子強化レジームに対応する。また、ベイズ推論のパラメータを変えることによって、1と2の間のα値を達成することもできる。αの値が低いほど、ベイズ位相推定に必要とされる量子回路は深くなる。これにより、量子コヒーレンスと測定プロセスのための漸近的な高速化とのトレードオフを達成する。
また、位相推定が、振幅推定のためにハイゼンベルグ限界に到達できる唯一のパラダイムではないことも注目に値する。以前の研究で、著者は、量子状態pθのパラメータθを推定するタスクを検討している。pθを生成するためのパラメータ化された回路のm個のコピーが、エンタングルされた初期状態とエンタングルベースの測定とともに使用されて、パラメータθがmθに増幅された状態を作り出す並列戦略が提案される。また、そのような増幅により、方程式1の尤度関数に類似した尤度関数を生じさせることもできる。以前の研究では、ランダム化された量子演算とベイズ推論を用いて、ノイズが存在していても古典的なサンプリングよりも少ない反復で情報を抽出できることが示されている。量子振幅では、反復の数mと測定の数Nが変化する推定回路が検討される。特に選ばれた対(m、N)のセットにより、推定される振幅を推論するために使用できる尤度関数が生じる。ハイゼンベルグ限界は、著者が示す1つの特定の尤度関数構造について実証される。両方の研究とも、パラメータ化された尤度関数の能力を浮き彫りにし、不完全なハードウェア条件下でのその性能の調査を魅力的にしている。
1.2.主な結果
本発明の実施形態は、|A=A|0>になるように、量子回路Aが状態|A>を準備できる期待値II=<A|0|A>を推定するためのシステム及び方法を含む。本発明の実施形態は量子回路のファミリーを使用し得、その結果、回路がAのより多くの反復で深くなるにつれ、回路はこれまでより高い次数のIIでの多項式である尤度関数を可能にする。具体的な例を用いて次の項に説明するように、多項式の次数のこの増加の直接的な結果として推論の能力が高まり、これは各推論ステップでのフィッシャー情報量利得によって数値化できる。本発明の実施形態は、この「強化サンプリング」技術を確立した後に、量子回路にパラメータを導入し、結果として生じる尤度関数を調整可能にし得る。本開示の実施形態は、推論の各ステップ中に最大の情報利得のためにパラメータを最適化し得る。以下の洞察は、我々の努力から生まれた。
1.振幅推定におけるノイズと誤差の役割。以前の研究は、尤度関数及びハミルトニアンスペクトルの出力推定に対するノイズの影響を明らかにした。本開示は、本明細書で、本発明の実施形態が使用する振幅推定の方式について同じことを調査する。本明細書の説明は、ノイズと誤差により、特定の統計的な誤差許容範囲内にある出力を生成するために必要とされる実行時間は増加するが、ノイズと誤差が、推定アルゴリズムの出力において必ずしも体系的なバイアスをもたらさないことを明示している。推定値における体系的なバイアスは、アクティブなノイズ調整技術を使用し、ノイズの影響を較正することによって抑制することができる。
近い将来のデバイスのために現実的な誤差パラメータを使用するシミュレーションから、強化サンプリング方式が、サンプリング効率の点でVQEより性能が優れ得ることが明らかになった。また、実験結果から、より高い忠実度が必ずしもより良いアルゴリズム性能につながらない量子アルゴリズム実装で誤差を許容する視点も明らかになった。本発明の特定の実施形態では、強化方式が最大量の量子高速化を生じさせる、ほぼ0.6の最適回路忠実度がある。
1.尤度関数調整可能性の役割:パラメータ化された尤度関数は、位相推定ルーチンまたは振幅推定ルーチンで使用し得る。我々が知る限り、現在の方法のすべてはチェビシェフ形式(方程式1)の尤度関数に重点を置いている。これらのチェビシェフ尤度関数(CLF)の場合、ノイズが存在すると、CLFがIIの他の値よりも推論に対して大幅に効果的ではなくなるパラメータIIの特定の値(「デッドスポット」)がある。本発明の実施形態は、角度パラメータを調整可能にした一般化反射演算子を用いて尤度関数の形式を設計することによって、それらのデッドスポットを除去し得る。
2.誤り率が減少するのに伴う推定の実行時間モデル:以前の研究で、VQEの0(1/ε2)から位相推定の0(1/ε)の漸近的なコストスケーリングの円滑な遷移を実証している。本発明の実施形態は、ノイズの程度がλのデバイスを使用して目標精度εに対する実行時間tεを推定するためのモデルを開発することによって、この考え方を進めている(第6項を参照)。
Figure 0007223174000008
3.モデルは、λの関数として0(1/ε)スケーリングと0(1/ε2)スケーリングとの間を補間する。また、そのような限界により、キュービット数及び2キュービット忠実度などのハードウェア仕様の関数として、本発明の実施形態を量子高速化について分析し、したがって現在のハードウェア及び将来のハードウェアのための現実的なパラメータを使用して実行時間を推定することが可能になる。
本開示の後続の項は、以下のように構成されている。第2項は、本発明の一実施形態に従って実装された方式の具体例を提示する。後続の項は、次に本発明の様々な実施形態に従って本方式の一般的な定式化をさらに詳しく説明する。第3項は、ELFを実現するための一般的な量子回路構造を詳細に説明し、ノイズが多い設定とノイズがない設定の両方でのELFの構造を分析する。また、量子回路方式に加えて、本発明の実施形態は、1)情報利得を最大化するために回路パラメータを調整すること、及び2)IIの真値の分布についての現在の考えを更新するためのベイズ推論も含む。第4項は、両方の発見的アルゴリズムを提示する。数値結果は第5項に提示され、本発明の実施形態をCLFに基づいた既存の方法と比較する。第6項は、実行時間モデルを開示し、(2)の式を導き出す。第7項は、量子コンピューティングの広い観点から開示された結果の意味を開示する。
Figure 0007223174000009
表1.我々の方式の、文献に記載される関連する提案との比較。ここでは、特徴のリストは、方式で使用する量子回路が重複推定の状態を保持するキュービットに加えて、アンシラキュービットを必要とするのかどうか、方式がベイズ推論を使用するのかどうか、任意のノイズレジリエンスが検討されるのかどうか、初期状態が固有状態である必要があるのかどうか、及び尤度関数が、ここで提案されているELFのように完全に調整可能であるのか、それともチェビシェフ尤度関数に制限されるのかも含む。
2.第1の例
量子状態|A>に関してなんらかの演算子Pの期待値<A|P|A>を推定するための2つの主要な戦略がある。量子振幅推定の方法は、特定の計算モデルに関して証明可能な量子高速化を提供する。しかしながら、推定値で精度εを達成するためには、この方法で必要とされる回路深度は0(1/ε)としてスケーリングし、それは近い将来の量子コンピュータにとっては実用的ではなくなる。変分量子固有値ソルバーは、振幅推論を実施するために標準サンプリングを使用する。標準サンプリングは低深度量子回路を可能にし、それを近い将来の量子コンピュータでの実装により適するようにする。しかしながら、実際には、この方法の非効率性のため、VQEは関心のある多くの問題に対して実用的ではなくなる。本項では、本発明の実施形態が使用し得る振幅推定のための強化サンプリングの方法を紹介する。この技術は、ノイズが多い量子デバイスの統計的検出力を最大限にしようと努めている。この方法は、VQEで使用されるような標準サンプリングの簡略な分析から開始するとして説明される。
VQEのエネルギー推定サブルーチンは、パウリ文字列に関して振幅を推定する。パウリ文字列H=Σjμjjと「仮説状態」|A>の線形結合に分解されたハミルトニアンの場合、エネルギー期待値は、パウリ期待値推定値の線形結合として推定され、
Figure 0007223174000010
上式で、
Figure 0007223174000011
は<A|Pj|A>の(振幅)推定値である。VQEは、以下の通りに要約できる、仮説状態に関してパウリ期待値推定値を構築するために標準サンプリング方法を使用する。
標準サンプリング:
1.|A>を準備し、結果d=0,1を受け取る演算子Pを測定する。
2.0とラベルの付いたkの結果及び1とラベルの付いたM-kの結果を受け取ることをM回繰り返す。
3.
Figure 0007223174000012
としてII=<A|P|A>を推定する。
この推定戦略の性能は、時間t=TMの関数として推定量の平均平方誤差を使用して数値化し得、ここでTは各測定の時間コストである。推定量は不偏であるため、平均平方誤差は単に推定量の分散にすぎない。
Figure 0007223174000013
特定の平均平方誤差
Figure 0007223174000014
の場合、平均平方誤差ε2を保証するために必要となるアルゴリズムの実行時間は、以下の通りである。
Figure 0007223174000015
VQEでのエネルギー推定の総実行時間は、個々のパウリ期待値推定実行時間の実行時間の和である。関心のある問題の場合、特定の並列化技術を使用するにしても、この実行時間は、コストがかかりすぎる場合がある。このコストの原因は、IIの小さい偏差に対する標準サンプリング推定プロセスの不感受性である。つまり、標準サンプリング測定結果データに含まれるIIについての予想される情報利得は低い。
一般に、フィッシャー情報量を用いた標準サンプリングのM回の反復の推定プロセスの情報利得を測定することができ、
Figure 0007223174000016
上式で、D={d1,d2,...dM}は、標準サンプリングのM回の反復の結果のセットである。フィッシャー情報量は、情報利得の原因であるとして尤度関数P(D|II)を識別する。(不偏の)推定量の平均平方誤差の下限は、クラメール・ラオ限界で取得できる。
Figure 0007223174000017
フィッシャー情報量がサンプル数での追加であるという事実を使用し、IM(II)=MI1(II)を得て、上式では、I1(II)=1/(1-II2)は、尤度関数
Figure 0007223174000018
から引き出された単一のサンプルのフィッシャー情報量である。クラメール・ラオ限界を使用すると、推定プロセスの実行時間の下限は、以下として検出し得、
Figure 0007223174000019
これは、推定アルゴリズムの実行時間を短縮するために、本発明の実施形態はフィッシャー情報量を増加させ得ることを示している。
強化サンプリングの1つの目的は、情報利得の率を加速させる尤度関数を設計することによって重複推定の実行時間を短縮することである。図5A-5Cに示す強化サンプリングの最も単純な場合を検討する。データを生成するために、本発明の実施形態は、仮説状態|A>を準備し、演算Pを適用し、仮説状態について位相フリップを適用し、次にPを測定する。仮説状態についての位相フリップは、仮説の回路の逆数A-1を適用し、初期状態
Figure 0007223174000020

についての位相フリップを適用し、次に仮説の回路Aを再適用することによって達成し得る。この場合、尤度関数は以下になる。
Figure 0007223174000021
バイアスは、IIの次数-3チェビシェフ多項式である。本明細書の本開示では、このような尤度関数をチェビシェフ尤度関数(CLF)と呼ぶ。
強化サンプリングのチェビシェフ尤度関数を標準サンプリングのチェビシェフ尤度関数と比較するために、II=0の場合を検討する。ここでは
Figure 0007223174000022
であるため、フィッシャー情報量は尤度関数の傾きの平方に比例する。
Figure 0007223174000023
図5に見られるように、II=0でのチェビシェフ尤度関数の傾きは、標準サンプリング尤度関数の傾きよりも急である。各々の場合の単一サンプルのフィッシャー情報量を評価した結果は、以下の通りであり、
標準:I1(II=0)=1
強化:I1(II=0)=9 (11)
量子回路の単純な変形が、どのようにして情報利得を強化し得るのかを明示している。この例では、強化サンプリングの最も単純な場合を使用することによって、標的誤差を達成するために必要とされる測定数を、少なくとも9分の1減少させ得る。後述するように、本発明の実施形態は、Pを測定する前に
Figure 0007223174000024
のL個の層を適用することによって、フィッシャー情報量をさらに増加させ得る。実際に、フィッシャー情報量
Figure 0007223174000025
は、Lで二次式的に増加する。
まだ説明していないのは、強化サンプリング測定データを推定に変換する推定方式である。強化サンプリングがもたらす1つの複雑さは、本発明の実施形態が測定データを収集するにつれ、Lを変化させるオプションである。この場合、Lが変化する回路からの測定結果のセットを所与とすると、0及び1のカウントのサンプル平均はその意味を失う。サンプル平均を使用する代わりに、測定結果をIIについての情報に処理するために、本発明の実施形態はベイズ推論を使用し得る。第2項に、推定にベイズ推論を使用する特定の実施形態を説明する。
この時点で、標準サンプリングと強化サンプリングの比較が不公平であると指摘したくなる場合がある。標準サンプリングの場合にはAに対して1つのクエリーしか使用されず、一方、強化サンプリング方式では、Aの3つのクエリーが使用されるためである。3つの標準サンプリングステップから生じる尤度関数を検討する場合、尤度関数の三次多項式形式も生じさせる場合があると思われる。実際、結果x1,x2,x3∈{0,1}を生じさせる3つの独立した標準サンプリングステップを実行し、分布
Figure 0007223174000026
からサンプリングすることによってバイナリ結果z∈{0,1}を古典的に生じさせると仮定する。次に、尤度関数は、以下の形をとり、
Figure 0007223174000027
上式で、各α1∈[0,1]は、分布
Figure 0007223174000028
を変更することによって古典的に調整できるパラメータである。より具体的には、
Figure 0007223174000029
であり、上式で、h(x123)はビット文字列x123のハミング重みである。方程式9で、
Figure 0007223174000030

Figure 0007223174000031
に等しいことが所望されると仮定する。これは、α0=1、α1=-2、α2=3、及びα3=0であることを意味しており、方程式12の尤度関数の古典的な調整能力を明らかに超えている。これは、方程式9の量子方式から生じる尤度関数が古典的平均を超えていることを示唆する証拠である。
回路層の数Lが増えるにつれ、サンプルあたりの時間TはLで直線的に増える。回路層数のこの直線的な増加は、フィッシャー情報量の二次式的な増加とともに、予想される実行時間に対する下限につながり、
Figure 0007223174000032
不偏推定量を用いる固定L推定戦略を想定する。実際には、量子コンピュータに実装される演算では誤差が生じやすい。幸いなことに、本発明の実施形態は、推定プロセスにそのような誤差を組み込むことができるベイズ推論を使用し得る。誤差の尤度関数の形式に対する影響が正確にモデル化される限り、そのような誤差の主要な影響は情報利得速度を減速するだけである。量子回路の誤差は、回路層Lの数が増加するにつれ蓄積する。結果的に、特定の数の回路層を超えると、フィッシャー情報量利得(または実行時間の短縮)に関して収穫逓減が発生する。推定アルゴリズムは、次に全体的な性能を最適化するために、これらの競合する要因のバランスをとろうと努める場合がある。
誤差が導入されると、推定の別の問題が提起される。誤差がない場合、L=1である強化サンプリングの場合のサンプルあたりのフィッシャー情報量利得は、すべてのIIについて9以上である。図6に示すように、小さい程度の誤差でも導入されると、尤度関数が平坦であるIIの値は、フィッシャー情報量で劇的な低下を被る。本明細書では、そのような領域を推定デッドスポットと呼ぶ。この観察は、工学的尤度関数(ELF)の概念にその統計的検出力を高める動機になる。一般化反射U(x1)=exp(-ix1P)及びR0(y2)=exp(-ix20)に対してP演算及びR0演算を推進することによって、本発明の実施形態は、情報利得がそのようなデッドスポットの周りでブーストされるように回転角度を使用し得る。より深い強化サンプリング回路の場合にも、工学的尤度関数によって、本発明の実施形態は、推定デッドスポットの影響を軽減することができる。
3.工学的尤度関数
本項では、本発明の実施形態が使用し得る振幅推定のために尤度関数を設計する方法論を説明する。最初に、工学的尤度関数に対応するサンプルを引き出すための量子回路を説明し、次に、回路パラメータを調整し、結果として生じる尤度関数を用いてベイズ推論を実施するための技術を説明する。
3.1.工学的尤度関数のための量子回路
ここで、期待値を推定するためのコンピュータ(例えば、量子コンピュータまたはハイブリッド量子古典コンピュータ)で手順を設計し、実装し、実行するための技術を説明し、
II=cos(θ)=<A|P|A> (18)
上式では|A>=A|0nであり、Aはnキュービットユニタリ演算子であり、Pは、固有値が±1であるnキュービットのエルミート演算子であり、θ=arccos(II)は後にベイズ推論を容易にするために導入される。本明細書に開示する推定アルゴリズムを構築する際には、本発明の実施形態は、以下のプリミティブ演算を実行することができると仮定し得る。第1に、本発明の実施形態は、計算基底状態|0n>を準備し、それに量子回路Aを適用し、
Figure 0007223174000033
を取得してよい。第2に、本発明の実施形態は、任意の角度
Figure 0007223174000034
のためにユニタリ演算子U(x)=exp(-1xP)を実装する。最後に、本発明の実施形態は、それぞれの結果ラベル{0,1}の付いた射影値測度
Figure 0007223174000035
としてモデル化される、Pの測定を実行する。また、本発明の実施形態は、ユニタリ演算子
Figure 0007223174000036
を利用してもよく、ここではR0(y)=exp(-iy(2|0n><0n|-I)及び
Figure 0007223174000037
である。慣例に従い、U(x)及びV(y)は、本明細書ではそれぞれPの+1固有空間及び状態|A>についての一般化反射と呼ばれ、x及びyは、それぞれこれらの一般化反射の角度である。
本発明の実施形態は、推定される未知の量θを所与として結果d∈{0,1}の確率分布である、工学的尤度関数(ELF)を生成するために、図7のアンシラフリーの量子回路を使用してよい。この方式は、アンシラキュービットを包含しないため、「アンシラフリー」(AF)と呼ぶ。付録Aでは、1つのアンシラキュービットを含む「アンシラベース」(AB)方式と呼ぶ別の方式を検討する。回路は、例えば一般化反射のシーケンスを含んでよい。具体的には、仮説状態
Figure 0007223174000038
を準備した後、本発明の実施形態は、それに2L一般化反射U(x1)、V(x2)、...、U(x2L-1)、V(x2L)を適用し、各演算の回転角度xjを変えてよい。便宜上、j=1,2,...,Lの場合、V(x2j)U(x2j-1)は本明細書で回路のj番目の層と呼ばれる。この回路の出力状態は、以下の通りであり、
Figure 0007223174000039
上式で、
Figure 0007223174000040
は、調整可能なパラメータのベクトルである。最後に、本発明の実施形態は、この状態に対して射影測定
Figure 0007223174000041
を実行し、結果d∈{0,1}を受け取り得る。
グローバーのアルゴリズムにおいてのように、一般化反射U(x2j-1)及びV(x2j)は、量子状態が任意のjについて2次元部分空間S:=span{|A>,P|A>}にとどまることを確実にする。Sが2次元であることを確実にするために、II≠±1、つまりθ≠0またはπであると仮定する。
Figure 0007223174000042
を|A>に直交するSの状態(位相次第で一意)にする。つまり、
Figure 0007223174000043
分析を支援するために、この2次元部分空間をキュービットと見なし、|A>及び
Figure 0007223174000044
をそれぞれ
Figure 0007223174000045
として記述する。
Figure 0007223174000046
をパウリ演算子とし、それぞれこの仮想キュービット上の演算子を識別させる。次に、部分空間
Figure 0007223174000047
に重点を置き、Pを
Figure 0007223174000048
として書き直し、一般化反射U(x2j-1)及びV(x2j)を
Figure 0007223174000049
及び
Figure 0007223174000050
として書き直すことができ、上式で
Figure 0007223174000051
は調整可能なパラメータである。次に、L層回路により実装されたユニタリ演算子
Figure 0007223174000052
は、以下になる。
Figure 0007223174000053
この図では、
Figure 0007223174000054
は固定されており、一方P=P(θ)、U(x)=(θ;x)、及び
Figure 0007223174000055
は未知の量θに依存することに留意されたい。元の「物理的な」画像においてよりこの「論理的な」画像において推定アルゴリズムを設計し、分析する方がより便利であることが分かる。したがって、この画像は、本開示の残りに使用される。
工学的尤度関数(つまり、測定結果d∈{0,1}の確率分布)は、回路の結果状態
Figure 0007223174000056
及びオブザーバブルP(θ)に依存する。
正確には、それは
Figure 0007223174000057
であり、上式で、
Figure 0007223174000058
は、尤度関数のバイアスである(これ以降、θに関して、それぞれ
Figure 0007223174000059
の導関数を示すために
Figure 0007223174000060
を使用する)。特に、
Figure 0007223174000061
の場合、
Figure 0007223174000062
となる。つまり、この
Figure 0007223174000063
の尤度関数のバイアスは、IIの(第1の種類の)次数2L+1のチェビシェフ多項式である。このため、この
Figure 0007223174000064
の尤度関数は、本明細書ではチェビシェフ尤度関数(CLF)と呼ばれる。第5項では、CLFと一般ELFとの性能ギャップを詳しく調べる。
現実には、量子デバイスは、ノイズが生じやすい。推定プロセスを誤差に対してロバストにするために、本発明の実施形態は、以下のノイズモデルを尤度関数に組み込み得る。
実際には、ノイズモデルの確立では、使用されている特定のデバイスの尤度関数を較正するための手順が活用される場合がある。ベイズ推論に関して、このモデルのパラメータは、局外パラメータとして知られている。標的パラメータは、直接的に局外パラメータに依存するのではなく、それらは、データが標的パラメータにどのように関連するのかを決定し、したがって推論プロセスに組み込まれ得る。本開示の残りでは、ノイズモデルが、モデルの誤差の影響を無視できるほど十分な精度まで較正されていると仮定する。
各回路層V(x2j)U(θ;x2j-1)のノイズの多いバージョンが、同じ入力状態、つまり、
Figure 0007223174000065
に作用する、標的演算と完全に脱分極したチャネルとの混合を実装すると仮定し、上式で、pは、この層の忠実度である。脱分極モデルは、各層を含むゲートが、コヒーレント誤差の体系的な蓄積を防ぐほど十分である。そのような不完全な演算の構成では、L層の回路の出力状態は以下になる。
Figure 0007223174000066
この不完全な回路は、前に|A>の不完全な準備が先行し、後にPの不完全な測定が続く。ランダマイズドベンチマーキングという観点から、そのような誤差は状態準備測定(SPAM)誤差と呼ばれる。また、本発明の実施形態は、脱分極モデルでSPAM誤差をモデル化し、|A>のノイズが多い準備を
Figure 0007223174000067
と解釈し、Pのノイズが多い測定値をPOVM
Figure 0007223174000068
であると解釈してもよい。SPAM誤差パラメータを
Figure 0007223174000069
に結合すると、以下のノイズが多い尤度関数のモデルに到達し、
Figure 0007223174000070
上式で、
Figure 0007223174000071
は、ELFを生成するためのプロセス全体の忠実度であり、
Figure 0007223174000072
は、方程式(26)に定められる理想的な尤度関数のバイアスである(これ以降、本開示は、θに関して
Figure 0007223174000073
の導関数を示すために
Figure 0007223174000074
を使用する。)ELFに対するノイズの全体的な影響が、それがf倍、バイアスを再スケーリングすることであることに留意されたい。これは、予想されるように、生成プロセスに誤差が少ないほど、結果として生じるELFが急になることを意味する(つまり、それはベイズ推論にとってはより役立つ)。
ELFを用いるベイズ推論の説明に移る前に、第4項で役割を果たすので、工学的尤度関数の以下の特性に言及する価値がある。三角多重線形(trigono-multilinear)関数及び三角多重二次(trigono-multiquadratic)関数の概念は既知である。基本的に、多変数関数
Figure 0007223174000075
は、任意のj∈{1,2,...,k}について、f(x1,x2,...,xk)が、
Figure 0007223174000076
のいくつかの(複素数値)関数Cj及びSjについて
Figure 0007223174000077
として書かれる場合、三角多重線形であり、Cj及びSjはxjに関してfの余弦-正弦-分解(CSD)係数関数と呼ばれる。同様に、多変数関数
Figure 0007223174000078
は、任意のj∈{1,2,...,k}について、f(x1,x2,...,xk)が、
Figure 0007223174000079
のいくつかの(複素数値)関数Cj、Sj、及びBjについて
Figure 0007223174000080
として書かれる場合、三角多重二次であり、Cj、Sj、及びBjはxjに関して、fの余弦-正弦-バイアス-分解(CSBD)係数関数と呼ばれる。また、三角多重線形性及び三角多重二次性の概念も、当然線形演算子に一般化できる。つまり、線形演算子は、(任意の基底で書かれる)この演算子の各入力が同じ変数で三角多重線形(または三角多重二次)である場合に、変数のセット内の三角多重線形(または三角多重二次)である。ここで、方程式(22)、(23)、及び(24)は、
Figure 0007223174000081

Figure 0007223174000082
の三角多重線形演算子であることを意味する。次に、方程式(26)から、
Figure 0007223174000083

Figure 0007223174000084
の三角多重二次関数であるという結果になる。さらに、任意のxjに関する
Figure 0007223174000085
のCSBD係数関数が0(L)時に評価され得、これが回路角度
Figure 0007223174000086
を調整するための第4.1項のアルゴリズムの構築を大幅に容易にすることが開示される。
3.2.工学的尤度関数を用いるベイズ推論
(ノイズの多い)工学的尤度関数のモデルが適所にある状態で、回路パラメータ
Figure 0007223174000087
を調整し、振幅推定のために結果として生じる尤度関数を用いてベイズ推論を実行するための本発明の実施形態を説明する。
II=cos(θ)=<A|P|A>を推定するためのアルゴリズムの実施形態の高水準の概要から始める。便宜上、そのような実施形態は、IIではなくθ=arccos(II)を用いて機能し得る。本発明の実施形態は、θの知識を表すためにガウス分布を使用し、推論プロセスが進むにつれ、この分布をθの真値に徐々に収束させ得る。本発明の実施形態は(標準サンプリングまたはドメイン知識によって生成することができる)IIの初期分布から開始し、それをθの初期分布に変換してよい。次に、本発明の実施形態は、収束基準が満たされるまで以下の手順を反復してよい。各期間に、本発明の実施形態は、(θの現在の知識に基づく)特定の意味で測定結果dから情報利得を最大限にする回路パラメータ
Figure 0007223174000088
を見つけ得る。次に、図7の量子回路は、最適化されたパラメータ
Figure 0007223174000089
を用いて実行され、測定結果d∈{0,1}が得られる。最後に、本発明の実施形態は、dが条件とされるベイズの規則を使用することによって、θの分布を更新してよい。このループが終了すると、本発明の実施形態は、θの最終分布をIIの最終分布に変換し、この分布の平均をIIの最終推定値として設定し得る。このアルゴリズムの概念図については、図8を参照すること。
以下に、上記アルゴリズムの各構成要素をより詳細に説明する。推論プロセスを通して、本発明の実施形態は、θの値の考えを把握するためにガウス分布を使用する。つまり、各期間に、θは、いくつかの事前平均
Figure 0007223174000090
及び事前分散
Figure 0007223174000091
について事前分布
Figure 0007223174000092
を有する。測定結果dを受け取った後、本発明の実施形態は、ベイズの規則を使用することによってθの事後分布
Figure 0007223174000093
を計算し得、上式で、正規化係数、つまりモデル証拠は、
Figure 0007223174000094
として定義される(fがELFを生成するためのプロセスの忠実度であることを思い出すこと)。真の事後分布はガウスとはならないが、本発明の実施形態は、そのようなものとしてそれに近似し得る。以前の方法論に従って、本発明の実施形態は、真の事後確
率を同じ平均及び分散のガウス分布で置き換え、それを次の期間のためのθの事前確率として設定し得る。本発明の実施形態は、θの分布が単一の値の周りに十分に集中するまで、この測定及びベイズ更新手順を繰り返してよい。
本発明の実施形態は、定義により事後分布
Figure 0007223174000095
の平均及び分散を直接的に計算し得るが、この方式は、それが数値積分を伴うために、時間がかかる。代わりに、本発明の実施形態は、工学的尤度関数の特定の特性を利用することによってこのプロセスを加速し得る。詳細については、第4.2項を参照すること。
アルゴリズムはおもにθを用いて機能し、最終的にはIIに関心があるので、本発明の実施形態は、θとIIの推定量の間で変換を行ってよい。これは、以下の通りに行われる。期間tで、θの事前分布が
Figure 0007223174000096
であり、IIの事前分布が
Figure 0007223174000097
であると仮定する(μt、σt、及び
Figure 0007223174000098
が、時間tまでランダム測定結果の履歴に依存するので、ランダム変数であることに留意されたい)。この期間でのθ及びIIの推定量は、それぞれμt及び
Figure 0007223174000099
である。θの
Figure 0007223174000100
を所与として、本発明の実施形態は、cos(θ)の平均
Figure 0007223174000101
及び分散
Figure 0007223174000102
を計算し、
Figure 0007223174000103
をIIの分布として設定し得る。このステップは、あたかもX~N(μ,σ2)であるかのように分析的に行われ得、その結果以下となる。
Figure 0007223174000104
逆に、IIの分布
Figure 0007223174000105
を所与として、本発明の実施形態は、arccos(II)の平均μt及び分散
Figure 0007223174000106
を計算し(IIを[-1.1]にクリッピングし)、
Figure 0007223174000107
をθの分布として設定し得る。このステップは数値的に行われてよい。ガウス変数のcos xまたはarccos y関数は真にガウス分布ではないとしても、本発明の実施形態は、そのようなものとしてそれに近似し、これがアルゴリズムの性能にわずかな影響を与えることを理解し得る。
回路角度
Figure 0007223174000108
を調整するための方法は、本発明の実施形態によって以下の通りに実装されてよい。理想的には、回路角度は、θの推定量μtの平均平方誤差(MSE)が、tが増加するにつれ、可能な限り早く減少するように注意深く選ばれ得る。しかしながら、実際には、この数量を直接的に計算することは困難であり、本発明の実施形態はその値のプロキシを用い得る。推定量のMSEは、推定量の分散と推定量の平方バイアスの和である。μtの平方バイアスは、その分散よりも小さい、つまり
Figure 0007223174000109
である場合があり、上式で、θ*はθの真値である。θの分散
Figure 0007223174000110
は、多くの場合、μtの分散に近い。つまり高い確率で
Figure 0007223174000111
である。これらの事実を組み合わせると、高い確率で
Figure 0007223174000112
であることが分かる。したがって、本発明の実施形態は、代わりにθの分散
Figure 0007223174000113
を最小限に抑えるパラメータ
Figure 0007223174000114
を見つけ得る。
具体的には、θが事前分布N(μ,σ2)を有すると仮定する。測定結果d∈{0,1}を受け取ると、θの予想される事後分散は以下であり、
Figure 0007223174000115
上式で、
Figure 0007223174000116
であり、ここで
Figure 0007223174000117
は方程式(26)に定義された理想の尤度関数のバイアスであり、fは、尤度関数を生成するためのプロセスの忠実度である。工学的尤度関数の数量がここで導入され、本明細書では分散減少係数と呼ばれる。
Figure 0007223174000118
その結果、以下となる。
Figure 0007223174000119
Vが大きいほど、θの分散は平均して速く減少する。さらに、θの逆分散の(時間ステップあたりの)増加率を数値化するために、以下の数量を使用し得、
Figure 0007223174000120
上式で、T(L)は推論期間の時間コストである。RがV∈(0,1)のためのVの単調関数であることに留意されたい。したがって、回路層の数Lが固定されているとき、本発明の実施形態は、Vを最大化することによって(
Figure 0007223174000121
に関して)Rを最大化し得る。また、σが小さいとき、RはVにほぼ比例する。つまり、R≒V/T(L)である。本開示の残りでは、仮説の回路が全体的な回路の持続時間に最も大きく寄与すると仮定される。T(L)を、仮説が回路内で呼び出される回数に比例すると解釈し、T(L)=2L+1を設定し、上式で時間は仮説持続時間の単位である。
ここで、所与の
Figure 0007223174000122
及びf∈[0,1]について分散減少係数
Figure 0007223174000123
を最大化するパラメータ
Figure 0007223174000124
を見つけるための技術が開示される。この最適化の問題は、一般に解決が困難であることが分かる。幸いなことに、実際には、本発明の実施形態は、θの事前分散σ2が小さく(例えば、せいぜい0.01)、この場合、
Figure 0007223174000125
は、θ=μでの尤度関数
Figure 0007223174000126
のフィッシャー情報量によって近似され得ると仮定してよい。つまり、
Figure 0007223174000127
であり、上式で
Figure 0007223174000128
は、方程式(29)に定義される2結果尤度関数
Figure 0007223174000129
のフィッシャー情報量である。したがって、本発明の実施形態は、分散減少係数
Figure 0007223174000130
を直接的に最適化するのではなく、フィッシャー情報量
Figure 0007223174000131
を最適化し得、これは、第4.1.1.項のアルゴリズムを使用して本発明の実施形態によって効率的になされ得る。さらに、ELFを生成するためのプロセスの忠実度fが低いとき、
Figure 0007223174000132
となる。その結果、以下となる。
Figure 0007223174000133
したがって、この場合、本発明の実施形態は、θ=μで尤度関数
Figure 0007223174000134
の傾きに比例する
Figure 0007223174000135
を最適化し得、このタスクは、第4.1.2項のアルゴリズムを使用して本発明によって効率的に達成され得る。
最後に、本発明の実施形態は、tとしてのIIの推定量
Figure 0007223174000136
のMSEがどの程度早く増えるのかに関して予測を行い得る。回路層の数Lは推論プロセス中固定されると仮定する。これによりt→∞として
Figure 0007223174000137
が得られる。
Figure 0007223174000138
の逆MSEの増加率は以下の通り予測し得る。t→∞となると、高い確率でμt→θ*、σt→0、
Figure 0007223174000139
となり、θ*及びII*は、それぞれθ及びIIの真値である。このイベントが発生するとき、tが大きい場合以下となる。
Figure 0007223174000140
その結果、方程式(35)により、tが大きい場合、以下となり、
Figure 0007223174000141
上式で、
Figure 0007223174000142
となる。
Figure 0007223174000143
のバイアスは多くの場合、その標準偏差よりもはるかに小さく、標準偏差に
Figure 0007223174000144
が近似できるため、tが大きい場合は以下が予測される。
Figure 0007223174000145
これは、
Figure 0007223174000146
の逆MSEの(時間ステップあたりの)漸近的な増加率が、おおよそ以下でなければならないことを意味し、
Figure 0007223174000147
上式で、
Figure 0007223174000148
はμ*=arccos(II*)に関して最適化される。この率は、第5項の
Figure 0007223174000149
の逆MSEの経験的な増加率と比較される。
4.回路パラメータの調整及びベイズ推論のための効率的な発見的アルゴリズム
本項では、図7の回路のパラメータ
Figure 0007223174000150
を調整するための発見的アルゴリズムの実施形態を説明し、本発明の実施形態が、結果として生じる尤度関数を用いてどのようにしてベイズ推論を効率的に実施するのかを説明する。
4.1.分散減少係数のプロキシの効率的な最大化
本発明の実施形態に従って実装された、回路角度
Figure 0007223174000151
を調整するためのアルゴリズムは、分散減少係数Vの2つのプロキシ-フィッシャー情報量及び尤度関数の傾き
Figure 0007223174000152
の最大化に基づいている。これらのアルゴリズムのすべては、j=1,2,...,2Lの場合にxjに関してバイアス
Figure 0007223174000153
及びその導関数
Figure 0007223174000154
のCSBD係数関数を評価するための効率的な手順を必要とする。第3.1項に、バイアス
Figure 0007223174000155

Figure 0007223174000156
で三角多重二次であることを示したことを想起する。つまり、任意のj∈{1,2,...,2Lの場合、
Figure 0007223174000157
の関数
Figure 0007223174000158
が存在し、その結果、以下となる。
Figure 0007223174000159
その結果、以下も、
Figure 0007223174000160
Figure 0007223174000161
で三角多重二次であり、
Figure 0007223174000162
は、それぞれθに関して
Figure 0007223174000163
の導関数である。θ及び
Figure 0007223174000164
を所与として、
Figure 0007223174000165
の各々を0(L)時間で計算できることが分かる。
補題1。θ及び
Figure 0007223174000166
を所与として、
Figure 0007223174000167
の各々を0(L)時間で計算できる。
証拠。付録Cを参照。
4.1.1.尤度関数のフィッシャー情報量の最大化
本発明の実施形態は、所与の点θ=μ(つまり、θの事前平均)で尤度関数
Figure 0007223174000168
のフィッシャー情報量を最大化するための2つのアルゴリズムのうちの1つ以上を実行し得る。目標は、以下を最大化する
Figure 0007223174000169
を発見することであると仮定する。
Figure 0007223174000170
第1のアルゴリズムは、勾配上昇法に基づいている。つまり、第1のアルゴリズムはランダムな初期点から開始し、収束基準が満たされるまで、現在の点での
Figure 0007223174000171
の勾配に比例してステップを実行し続ける。具体的には、
Figure 0007223174000172
を反復tでのパラメータベクトルにする。本発明の実施形態は、以下の通りにそれを更新し得、
Figure 0007223174000173
上式で、
Figure 0007223174000174
はステップサイズスケジュールである。最も簡単な場合、δ(t)=δは定数である。ただし、より優れた性能を達成するために、t→∞としてδ(t)→0を必要とする可能性がある。これは、各xjに関して
Figure 0007223174000175
の偏導関数の計算を必要とし、これは、以下の通りに実行できる。本発明の実施形態は、最初に、補題1の手順を使用して、jごとに
Figure 0007223174000176
を計算する。これにより、以下が取得される。
Figure 0007223174000177
これらの数量を理解し、本発明の実施形態は、以下の通りにxjに関して
Figure 0007223174000178
の偏導関数を計算し得る。
Figure 0007223174000179
本発明の実施形態は、j=1,2,...,2Lについてこの手順を繰り返してよい。次に、本発明の実施形態は、
Figure 0007223174000180
を取得し得る。アルゴリズムの反復のたびに0(L2)時間がかかる。アルゴリズムでの反復数は、初期点、終了基準、及びステップサイズスケジュールδに依存する。詳細については、アルゴリズム65を参照すること。
第2のアルゴリズムは、座標上昇法に基づく。勾配上昇法とは異なり、このアルゴリズムはステップサイズを必要とせず、各変数が単一のステップで劇的に変化することを可能にする。結果的に、このアルゴリズムは、以前のアルゴリズムよりも速く収束し得る。具体的には、このアルゴリズムを実装する本発明の実施形態は、ランダムな初期点から開始し、収束基準が満たされるまで、座標方向に沿って目的関数
Figure 0007223174000181
を連続して最大化し得る。各期間のj番目のステップで、このアルゴリズムは、座標xjについて以下の単一変数最適化問題を解決し、
Figure 0007223174000182
上式で、
Figure 0007223174000183
は、補題1の手順によって0(L)時間で計算し得る。この単一変数最適化問題は、標準勾配に基づいた方法で対処され得、xjがその解であるとして設定される。j=1,2,...,2Lに対してこの手順を繰り返す。このアルゴリズムにより、シーケンス
Figure 0007223174000184
が生成され、その結果
Figure 0007223174000185
となる。つまり、
Figure 0007223174000186
の値は、tが大きくなるにつれ単調に増加する。アルゴリズムの各期間は、0(L2)時間かかる。アルゴリズムでの期間数は、初期点及び終了基準に依存する。
4.1.2.尤度関数の傾きの最大化
本発明の実施形態は、所与の点θ=μ(つまり、θの事前平均)で尤度関数
Figure 0007223174000187
の傾きを最大化するための2つのアルゴリズムのうちの1つ以上を実行し得る。目標が、以下
Figure 0007223174000188
を最大化する
Figure 0007223174000189
を見つけることであると仮定する。
フィッシャー情報量最大化のためのアルゴリズム65及び65と同様に、傾き最大化のためのアルゴリズムもそれぞれ勾配上昇法及び座標上昇法に基づく。それらは両方とも、所与のμ及び
Figure 0007223174000190
について
Figure 0007223174000191
を評価するために補題1の手順を呼び出す。ただし、勾配上昇法に基づいたアルゴリズムは上記の数量を使用して、xjに関して
Figure 0007223174000192
の偏導関数を計算し、一方、座標上昇法に基づいたアルゴリズムは、それらを使用してxjの値を直接的に更新する。これらのアルゴリズムは、それぞれアルゴリズム1及び2に正式に説明されている。
4.2.工学的尤度関数を用いる近似的ベイズ推論
回路パラメータ
Figure 0007223174000193
を調整するためのアルゴリズムが適所にある状態で、ここで、結果として生じる尤度関数を用いてベイズ推論を効率的に実施する方法を説明する。本発明の実施形態は、測定結果dを受け取った後に、θの事後平均及び分散を直接的に計算し得る。ただし、この手法は、数値積分を伴うため時間がかかる。本発明の実施形態は、工学的尤度関数の特定の特性を利用することによってこのプロセスを加速し得る。
θが事前分布N(μ,σ2)を有し、ここでσ<<1/Lであり、ELFを生成するプロセスの忠実度がfであると仮定する。本発明の実施形態は、
Figure 0007223174000194
を最大化するパラメータ
Figure 0007223174000195
が、以下の特性を満たすことを理解し得る。θがμに近い、つまり
Figure 0007223174000196
であるとき、いくつかの
Figure 0007223174000197
について、
Figure 0007223174000198
となる。つまり、本発明の実施形態は、θの領域でシヌソイド関数によって
Figure 0007223174000199
に近似し得る。図13は1つのそのような例を示す。
本発明の実施形態は、以下の最小二乗問題を解決することによって最良適合するr及びbを見つけ得、
Figure 0007223174000200
上式では、Θ={θ1,θ2,...,θk}⊆[μ-0(σ),μ+0(σ)]である。この最小二乗問題は、以下の解析解を有し、
Figure 0007223174000201
上式では、以下である。
Figure 0007223174000202
図13は、真の尤度関数及び適合尤度関数の例を明示する。
本発明の実施形態が最適なr及びbを取得すると、それらは、解析公式を有する以下のものについて、θの事後平均及び分散に近似し得る。
Figure 0007223174000203
具体的には、θが期間kで事前分布
Figure 0007223174000204
を有すると仮定する。dkを測定結果とし、(rk,bk)をこの期間で最良適合するパラメータとする。次に、本発明の実施形態は、以下によってθの事後平均及び分散に近似し得る。
Figure 0007223174000205
その後、本発明の実施形態は、次の期間に進み、その期間のθの事前分布として
Figure 0007223174000206
を設定する。
図13に示すように、θがμから離れている、つまり|θ-μ|>>σのとき、真の尤度関数と適合尤度関数の差が大きくなる可能性があることに留意されたい。ただし、事前分布
Figure 0007223174000207
は|θ-μ|で急激に減衰するので、そのようなθは、θの事後平均及び分散の計算にほとんど寄与しない。したがって、方程式(78)及び(79)は、θの事後平均及び分散の非常に正確な推定値を示し、その誤差はアルゴリズム全体の性能に及ぼす影響はごくわずかである。
5.シミュレーション結果
本項は、振幅推定のために工学的尤度関数を用いてベイズ推論をシミュレーションした特定の結果を説明する。これらの結果は、設計されていない尤度関数に優る特定の工学的尤度関数の特定の利点、及びそれらの性能に対する回路深度と忠実度の影響を実証する。
5.1.実験の詳細
我々の実験では、U(x)=exp(-ixP)を実装し、射影測定
Figure 0007223174000208
を実行する方が、Aを実装するよりもはるかに時間がかからないと仮定している。したがって、回路層の数がLであるとき、推論期間の時間コストはほぼ(2L+1)T(A)であり、ここでT(A)はAのコストである(L層回路が、A及び
Figure 0007223174000209
を2L+1回利用することに留意されたい)。簡略にするために、次の説明では、Aに単位時間がかかる(つまり、T(A)=1)と仮定する。さらに、実験では量子状態の準備及び測定で誤差がない、つまり
Figure 0007223174000210
であると仮定する。
期待値II=cos(θ)=<A|P|A>を推定することを目標とすると仮定する。
Figure 0007223174000211
を時間tでのIIの推定量とする。
Figure 0007223174000212
は時間tまでのランダム測定結果の履歴に依存するので、それ自体がランダム変数であることに留意されたい。以下
Figure 0007223174000213
により示される
Figure 0007223174000214
の二乗平均平方根誤差(RMSE)により方式の性能を測定する。
以下では、アンシラベースのチェビシェフ尤度関数(AB CLF)、アンシラベースの工学的尤度関数(AB ELF)、アンシラフリーのチェビシェフ尤度関数(AF CLF)、及びアンシラフリーの工学的尤度関数(AF ELF)を含む様々な方式について、tが大きくなるにつれてRMSEtどの程度速く減衰するのかを説明する。
一般に、
Figure 0007223174000215
の分布を特徴付けるのは困難であり、RMSEtに解析公式はない。この数量を推定するために、本発明の実施形態は、推論プロセスをM回実行し、
Figure 0007223174000216
のM個のサンプル
Figure 0007223174000217
を収集してよく、ここで
Figure 0007223174000218
は、i=1,2、...,Mの場合、i番目の実行の時間tでのIIの推定値である。次に、本発明の実施形態は、数量
Figure 0007223174000219
を使用して、真のRMSEtに近似してよい。我々の実験では、M=300を設定し、これが満足の行く結果につながることを理解する。
本発明の実施形態は、座標上昇法に基づいたアルゴリズム2及び6を使用して、それぞれアンシラフリーの場合及びアンシラベースの場合に回路パラメータ
Figure 0007223174000220
を最適化し得る。これは、アルゴリズム1及び2が等しい質の解決策を生成し、同じ記述がアルゴリズム5及び6に適用できることを示す。したがって、実験結果は、勾配上昇法に基づいたアルゴリズム1及び5を使用して、代わりに回路角度
Figure 0007223174000221
を調整していても変化しないであろう。
ELFを用いるベイズ更新の場合、本発明の実施形態は、それぞれアンシラフリーの場合及びアンシラベースの場合にθの事後平均及び分散を計算するために、第4.2項及び付録A.2の方法を使用し得る。特に、ELFのシヌソイダル適合中、本発明の実施形態は、方程式(68)及び(148)にΘ={μ-σ,μ-0.8σ,...,μ+0.8σ,μ+σ}を設定してよい(つまり、Θは、[μ-σ,μ+σ]に11の一様に分布した点を含む)。ELFの高品質シヌソイダル適合を取得するには、これで十分であること理解する。
6.ノイズの多いアルゴリズム性能のためのモデル
本発明の実施形態は、IIの推定値で標的平均平方誤差を達成するために必要とされる実行時間のためのモデルを、それがより大型のシステムのためにスケーリングされ、より良いゲート忠実度のデバイスで実行されるときに、実装し得る。このモデルは、主な2つの仮定の上に成り立ち得る。第1の仮定は、逆平均平方誤差の増加率は逆分散率式の半分によって十分に説明されるという点である(方程式(40)を参照)。半分は、分散及び平方バイアスが平均平方誤差に等しく寄与する旨の控えめな推定による(前項のシミュレーションは、平方バイアスが分散未満である傾向があることを示している)。第2の仮定は、チェビシェフ尤度関数の数値調査によって動機付けられる分散減少係数に対する実験的な下限である。
θの推定値に関してMSEの分析を実施する。次に、この推定値のMSEをIIに関するMSEの推定値に変換する。我々の戦略は、方程式(40)の速度表現R(μ,σ;f,m)の上限及び下限を統合して、時間の関数として逆MSEの限度に到達することである。
分析を支援するために、代入m=T(L)=2L+1を行い、
Figure 0007223174000222
になるようにλ及びαを導入することによって、ノイズがどのように組み込まれるのかを再パラメータ化(reparameterize)する。
この速度表現に対する上限及び下限は、チェビシェフ尤度関数の研究結果に基づいており、ここでは
Figure 0007223174000223
である。チェビシェフ尤度関数は工学的尤度関数のサブセットであるため、チェビシェフの性能に対する下限はELF性能に対する下限を示す。憶測として、ELFの場合のこの速度に対する上限は、チェビシェフ速度に対して立証した上限の小さい倍数(例えば、1.5)であるとする。
チェビシェフの上限は、以下のように立証される。σ、λ、及びmが固定されている場合、分散減少係数は、μ=π/2で発生するVm2exp(-m2σ2-λm-α)の最大値を達成することを示す場合がある。チェビシェフ尤度関数の場合、sin(mLμ)≠0であるときはつねに、
Figure 0007223174000224
として分散減少係数表すことができる。次に、
Figure 0007223174000225

Figure 0007223174000226
を暗示する。

この式は、
Figure 0007223174000227
未満であり、これは
Figure 0007223174000228

Figure 0007223174000229
の最大を達成する。したがって、係数1/(1-σ2V)は、1/(1-e-1)≒1.582を超えることはできない。これをすべてまとめると、σ、λ、及びmが固定されている場合、最大速度は
Figure 0007223174000230
として上限になる。これは、RがVにおいて単調であり、Vがμ=π/2で最大化されるという事実の結果から得られる。実際には、本発明の実施形態は、逆分散速度を最大限にするLの値を使用し得る。離散Lによって達成される速度は、mの連続値を超える上記の上限を最適化するときに取得される値を超えることはできない。この最適値は、
Figure 0007223174000231
について実現される。この最適値
Figure 0007223174000232
でR(π/2,σ;λ,α,m)を評価することによって
Figure 0007223174000233
を定義し、これはチェビシェフ速度に対する上限を示す。
Figure 0007223174000234
本発明の実施形態は、チェビシェフ尤度の性能に対する解析の下限を有さない。数値チェックに基づいて実験的な下限を確立することができる。任意のLが固定されている場合、逆分散率は、2L+2の点、μ∈{0,π/(2L+1),2π/(2L+1),...,2Lπ/(2L+1),π}でゼロである。すべてのLについて、率はこれらのエンドポイントでゼロであるため、
Figure 0007223174000235
に対するグローバル下限はゼロである。しかしながら、これらのエンドポイントに近い逆分散率の低い性能について懸念はない。推定量を
Figure 0007223174000236
から
Figure 0007223174000237
に変換すると、これらのエンドポイントに近い情報利得は、実際には大きな値になる傾向がある。有用な限界を確立するために、μを範囲[0.1π,0.9π]内に制限する。数値試験では、すべてのμ∈[0.1π,0.9π]について、つねに、逆分散率が(e-1)2/e2≒0.40掛ける上限を超えているLの選択があることを理解する。L*/3~3L*のθ値、L値のうちの50000の値の均一グリッド上で検索した。ここでL*は、方程式82に到達するために使用される最適化された値に対してであり、σ及びλは[10-1,10-2,...,10-5]の範囲に及ぶ。各対(σ,λ)について、(Lを超える)最大逆分散率が最小値であるθを見つけた。チェックした全対(σ,λ)について、この最悪の場合の率はつねに0.4と0.5の間であり、最小値はR=0.41700368≧(e-1)2/e2であることが分かった。これらをまとめると、以下となる。
Figure 0007223174000238
mを連続とすることによって、σ及びλの特定の値が、L=(m-1)/2が負である最適なmにつながる可能性があることに留意することが重要である。したがって、これらの結果はλ≦1の場合にだけ適用し、これがm≧1を保証する。このモデルは、大きいノイズ領域(つまりλ≧1)では機能停止すると予想される。
今のところ、率がこれらの2つの限界の幾何学平均、つまり
Figure 0007223174000239
を追跡すると仮定し、上限及び下限がこれから離れた小さい定数係数であることに留意する。
逆分散が、逆分散率
Figure 0007223174000240
により取り込まれた差分係数式により与えられる率で時間内に連続的に大きくなると仮定する。F=1/σ2にこの逆分散を示させ、上記の率方程式は、Fの微分方程式として計算し直すことができる。
Figure 0007223174000241
この式により、ハイゼンベルグ制限動作とショットノイズ制限動作の両方を識別できる。F<<1/λ2の場合、微分方程式は次のようになり、
Figure 0007223174000242
これは、逆平方誤差F(t)~t2の2次成長に統合される。これがハイゼンベルグ制限レジームの特徴である。F>>1/λ2の場合、率は定数に近づく。
Figure 0007223174000243
このレジームは、ショットノイズ制限レジームを示す逆平方誤差F(t)~tの線形成長をもたらす。
積分を扱いやすくするために、速度表現は、(以前の限度と併せて使用される)統合可能な上限及び下限の式で置換されてよい。x=λ2Fとすると、これらの限度は、以下として再度示される。
Figure 0007223174000244
時間をxの関数として処理し、以下を積分することによって、上限から、実行時間に対する下限を確立できる。
Figure 0007223174000245
同様に、実行時間に対する上限を確立するために下限を使用できる。ここで、最悪の場合、位相推定
Figure 0007223174000246
のMSEが分散の倍である(つまり、分散はバイアスに等しい)ため、分散はMSEの半分
Figure 0007223174000247
に到達しなければならないという仮定を導入する。最善の場合、推定値のバイアスはゼロであると仮定し、
Figure 0007223174000248
を設定する。これらの限度を方程式(84)の上限及び下限と結合して、標的MSEの関数として推定実行時間に対する限度に到達し、



Figure 0007223174000249
上式でθ∈[0.1π,0.9π]である。
この時点で、位相推定値
Figure 0007223174000250
を振幅推定値
Figure 0007223174000251
に変換し直すことができる。振幅推定値
Figure 0007223174000252
に対するMSEに、以下として位相推定値MSEの観点から近似することができ、
Figure 0007223174000253
上式で、推定量の分布は、θについて高次の項を無視するほど十分にピークに達したと仮定した。これは、限度に対する上記式に代入できる
Figure 0007223174000254
につながり、これはII∈[cos 0.9π,cos 0.1π]≒[-0.95,0.95]に対して適用できる。(添え字は定数係数に寄与するので)推定量の添え字を削除し、低ノイズ範囲及び高ノイズ範囲での実行時間スケーリングを確立することができ、
Figure 0007223174000255
ハイゼンベルグ限界スケーリング及びショットノイズ限界スケーリングが各々回復することを観察する。
チェビシェフ尤度関数のプロパティを使用して、これらの限度に到達した。上記の項で示したように、尤度関数を設計することによって、多くの場合、推定実行時間を短縮できる。工学的尤度関数の分散減少係数の数値の研究結果(例えば、図19を参照)によって動機付けられて、工学的尤度関数の使用により方程式(84)の最悪の場合の逆分散率が、
Figure 0007223174000256
に増加すると推量する。
このモデルにより多くの意味を与えるために、キュービットの数n及び2キュービットゲートの忠実度f2Qの観点から、このモデルを精緻化する。状態|A>に関してパウリ文字列Pの期待値を推定するタスクを検討する。
Figure 0007223174000257
となるように、II=<A|P|A>がゼロに非常に近いと仮定する。L層の各々の2キュービットゲート深度をDとする。層忠実度全体を
Figure 0007223174000258
としてモデル化し、ここでは単一キュービットゲートに起因する誤差を無視する。これから
Figure 0007223174000259
となる。これらをまとめると、実行時間式に到達する。
Figure 0007223174000260
最後に、この式にいくつかの意味のある数値を入力し、2キュービットゲートの忠実度の関数として秒単位で必要とされる実行時間を推定する。量子の利点を達成するために、問題のインスタンスが、およそn=100論理キュービットを必要とすること、及び2キュービットゲート深度がおよそキュービットの数D=200であると予想する。さらに、目標精度εがおよそε=10-3~10-5である必要があると予想する。実行時間モデルは、仮説回路持続時間の観点から時間を測定する。これを秒に変換するために、2キュービットゲートの各層がG=10-8を要すると仮定し、これは今日の超伝導キュービットハードウェアにとっては楽観的な仮定である。図26は、この指定された実行時間を2キュービットゲートの忠実度の関数として示す。
実行時間を実用的な領域に短縮するために必要となる2キュービットゲートの忠実度では、誤差補正が必要となる可能性が高い。量子誤差補正を実行するには、これらの実行時間を増加させるオーバヘッドが必要になる。量子誤差補正プロトコルを設計する際には、推定実行時間の増加がゲート忠実度の改善を上回らないことが必須である。提案するモデルは、このトレードオフを数値化する手段を提供する。つまり、ゲートの不正確及び(誤差補正された)ゲート時間の積は、有用な誤差補正が組み込まれるので、減少するはずである。実際には、より厳格な陳述のために考慮しなければならない多くの微妙な点がある。これらには、回路内のゲートの間でのゲート忠実度の変動、及び異なるタイプのゲートの様々な時間コストを検討することが含まれる。それにも関わらず、この単純なモデルにより可能になるコスト分析は、量子ゲート、量子チップ、誤差補正方式、及びノイズ軽減方式の設計で有用なツールとなり得る。
付録A.アンシラベースの方式
本付録では、アンシラベース方式と呼ぶ代替方式を提示する。この方式では、工学的尤度関数(ELF)は、
Figure 0007223174000261
が調整可能なパラメータである図27に示す量子回路によって生成される。
図27の回路にはノイズがないと仮定すると、工学的尤度関数は、以下により示され、
Figure 0007223174000262
上式で、
Figure 0007223174000263
は、尤度関数のバイアスである。第3.1項の議論の大部分は、
Figure 0007223174000264

Figure 0007223174000265
で置き換えられる点を除き、アンシラベースの場合にも適用できることが分かる。したがって、特に明記しない限り、以前と同じ概念(例えば、
Figure 0007223174000266
を使用する。特に、図27の回路の誤差を考慮に入れると、ノイズが多い尤度関数は、以下により示され、
Figure 0007223174000267
上式で、fはELFを生成するためのプロセスの忠実度である。しかしながら、
Figure 0007223174000268
の間には差異が存在することに留意されたい。前者が
Figure 0007223174000269
で三角多重二次であり、一方後者が
Figure 0007223174000270
で三角多重線形であるためである。
第3.2項と同じように、回路角度
Figure 0007223174000271
を調整し、結果として生じたELFを用いてベイズ推論を実行する。事実上、
Figure 0007223174000272

Figure 0007223174000273
で置換する必要がある点を除き、第3.2項の議論は、依然としてアンシラベースの場合にも適用できる。したがって、特に明記しない限り、以前と同じ概念を使用する。特に、方程式(37)及び(38)においてのように分散減少係数
Figure 0007223174000274
も定義し、
Figure 0007223174000275

Figure 0007223174000276
で置換する。これは、以下のように示すことができる。
Figure 0007223174000277
つまり、θ=μでのフィッシャー情報量及び尤度関数
Figure 0007223174000278
の傾きは、合理的な仮定の下で分散減少係数
Figure 0007223174000279
の2つのプロキシである。Vの直接最適化は一般に困難であるので、代わりにこれらのプロキシを最適化することによってパラメータ
Figure 0007223174000280
を調整する。
A.1.分散減少係数のプロキシの効率的な最大化
ここで、分散減少係数Vの2つのプロキシ-フィッシャー情報量及び尤度関数
Figure 0007223174000281
の傾きを最大化するための効率的な発見的アルゴリズムを提示する。これらのアルゴリズムのすべては、j=1,2、...,2Lの場合にxjに関してバイアス
Figure 0007223174000282
及びその導関数
Figure 0007223174000283
のCSD係数関数を評価するために以下の手順を利用する。
A.1.1.バイアスのCSD係数関数及びその導関数の評価
Figure 0007223174000284
は、
Figure 0007223174000285
で三角多重線形であるため、任意のj∈{1,2,...,2L}の場合、
Figure 0007223174000286
で三角多重線形である関数
Figure 0007223174000287
が存在し、その結果以下になる。
Figure 0007223174000288
その結果、
Figure 0007223174000289
も、
Figure 0007223174000290
で三角多重線形であり、ここで、
Figure 0007223174000291
は、それぞれθに関して
Figure 0007223174000292
の導関数である。
我々の最適化アルゴリズムは、所与のθ及び
Figure 0007223174000293
について
Figure 0007223174000294
を評価するための効率的な手順を必要とする。これらのタスクが、0(L)時間で達成できることが分かっている。
補題2。θ及び
Figure 0007223174000295
を所与として、
Figure 0007223174000296
の各々を0(L)時間で計算できる。
証拠。便宜上、以下の表記法を導入する。i=0,1,...,L-1の場合、W2i=V(x2L2i)、W2i+1=U(θ;x2L-2i-1)とする。さらに、j=0,1,...,2L-1の場合、W’j=∂θWjとする。jが偶数の場合、W’j=0となることに留意されたい。次に、0≦a≦b≦2L-1の場合Pa,b=Waa+1...Wb、及びそれ以外の場合Pa,b=Iを定義する。
この表記により、以下を示すことができる。
Figure 0007223174000297
所与のθ及び
Figure 0007223174000298
について
Figure 0007223174000299
を評価するために、別々にケースjは偶数であり、ケースjは奇数であると考える。
・ケース1:j=2(L-t)は偶数であり、ここで0≦t≦L-1である。この場合、W2t=V(xj)である。事実を使用すると、以下である。
Figure 0007223174000300
・以下を取得し、
Figure 0007223174000301
・上式で、
Figure 0007223174000302
である。
・θ及び
Figure 0007223174000303
を所与として、最初に0(L)時間でP0,2t-1及びP2t+1,2L-1を計算する。次に、方程式(109)及び(110)で
Figure 0007223174000304
を計算する。この手順は0(L)時間しかかからない。
次に、
Figure 0007223174000305
を計算する方法を説明する。方程式(104)及び事実Pa,b=Pa,2t-12t2t+1,bを使用して、任意のa≦2t≦bについて、以下を取得する。
Figure 0007223174000306
以下とする。
Figure 0007223174000307
次に、式(111)から以下が生じ、
Figure 0007223174000308
これは、以下につながり、
Figure 0007223174000309
上式で、以下となる。
Figure 0007223174000310
θ及び
Figure 0007223174000311
を所与として、最初に、標準動的プログラミング技術によって0(L)時間の合計で以下の行列を計算する。
・s=1,2,...,tの場合、P0,2s-2及びP2s,2-1
・s=t+1,t+2,...,Lの場合、P2t+1,2s-2及びP2s,2L-1
・P0,2t-1及びP2t+1,2L-1
次に、方程式(113)及び(115)によってAt及びBtを計算する。その後、方程式(120)及び(121)によって
Figure 0007223174000312
を計算する。概して、この手順は0(L)時間かかる。
1.ケース2:j=2(L-t)-1は奇数であり、ここで0≦t≦L-1である。この場合、W2t+1=U(θ;xj)である。事実を使用すると、以下となる。
Figure 0007223174000313
2. 以下を取得し、
Figure 0007223174000314
3. 上式で、以下である。
Figure 0007223174000315
4.θ及び
Figure 0007223174000316
を所与として、最初に0(L)時間でP0,2t及びP2t+2,2L-1を計算する。次に、方程式(126)及び(127)によって
Figure 0007223174000317
を計算する。この手順には0(L)時間しかかからない。
次に、
Figure 0007223174000318
を計算する方法を説明する。方程式(104)及び事実Pa,b=Pa,2t2t+12t+2,bを使用して、任意のa≦2t+1≦bについて、以下を取得する。
Figure 0007223174000319
以下とする。
Figure 0007223174000320
次に、方程式(128)により以下が生じ、
Figure 0007223174000321
これは、以下につながり、
Figure 0007223174000322
上式では、以下である。
Figure 0007223174000323
θ及び
Figure 0007223174000324
を所与として、最初に、標準動的プログラミング技術によって0(L)時間の合計で以下の行列を計算する。
・s=1,2,...tの場合、P0,2s-2及びP2s、2t
・s=t+2,t+3,...Lの場合、P2t+2,2s-2及びP2s,2L-1
・P0,2t及びP2t+2,2L-1
次に、方程式(130)及び(132)によってAt及びBtを計算する。その後、方程式(137)及び(138)によって
Figure 0007223174000325
を計算する。概して、この手順は0(L)時間かかる。
A.1.2.尤度関数のフィッシャー情報量の最大化
所与の点θ=μ(つまり、θの事前平均)で尤度関数
Figure 0007223174000326
のフィッシャー情報量を最大化するための2つのアルゴリズムを提案する。つまり、我々の目標は、以下
Figure 0007223174000327
を最大化する
Figure 0007223174000328
を見つけることである。
これらのアルゴリズムは、それらもそれぞれ勾配上昇法及び座標上昇法に基づくという意味で、アンシラフリーの場合のフィッシャー情報量最大化のためのアルゴリズム1及び2に類似している。主な違いは、ここで、所与のμ及び
Figure 0007223174000329
について
Figure 0007223174000330
を評価するために補題2の手順を呼び出し、次にそれらを使用して(傾斜上昇法で)、xjに関して
Figure 0007223174000331
の偏導関数を計算するか、または(座標上昇法で)xjについて単一変数最適化問題を定義するかのどちらかである点である。これらのアルゴリズムは、アルゴリズム5及び6に正式に説明されている。
A.1.3.誘導関数の傾きの最大化
また、所与の点θ=μ(つまり、θの事前平均)で尤度関数
Figure 0007223174000332
の傾きを最大化するための2つのアルゴリズムも提案する。つまり、我々の目標は、
Figure 0007223174000333
を最大化する
Figure 0007223174000334
を見つけることである。
これらのアルゴリズムは、それらもそれぞれ勾配上昇法及び座標上昇法に基づくという意味で、アンシラフリーの場合の傾き最大化のためのアルゴリズム3及び4に類似している。主な違いは、ここで、所与のμ及び
Figure 0007223174000335
について
Figure 0007223174000336
を評価するために補題2の手順を呼び出す点である。次に、これらの数量を使用して、(勾配上昇法で)xに関して
Figure 0007223174000337
の偏導関数を計算するか、または(座標上昇法で)xjの値を直接的に更新するかのどちらかである。これらのアルゴリズムは、アルゴリズム7及び8に正式に説明されている。
A.2.工学的尤度関数を用いたベイズ推論の近似
回路パラメータ
Figure 0007223174000338
を調整するためのアルゴリズムが適所にある状態で、ここで、結果として生じる尤度関数を用いてベイズ推論を効率的に実行する方法を説明する。考え方は、アンシラフリー方式についての第4.2の考え方に類似している。
θが事前分布N(μ,σ2)を有し、ここではσ<<1/Lであり、ELFを生成するプロセスの忠実度がfであると仮定する。
Figure 0007223174000339
を最大化するパラメータ
Figure 0007223174000340
が、以下の特性を満たすことを理解し得る。θがμに近い、つまりθ∈[μ-0(σ),μ+0(σ)]であるとき、いくつかの
Figure 0007223174000341
について
Figure 0007223174000342
になる。以下の最小二乗問題を解決することによって、最良適合するr及びbを見つけ、
Figure 0007223174000343
上式で、Θ={θ1,θ2,...,θk}⊆[μ-0(σ),μ+0(σ)]となる。この最小二乗問題は、以下の解析解を有し、
Figure 0007223174000344
上式で、以下である。
Figure 0007223174000345
図34は、真の尤度関数及び適合尤度関数の例を示す。
最適なr及びbを取得すると、解析公式を有する以下について、1、θの事後平均及び分散に近似し、
Figure 0007223174000346
具体的には、θが期間kで事前分布
Figure 0007223174000347
を有すると仮定する。dkを測定結果とし、(rk,bk)をこの期間で最良適合するパラメータとする。次に、以下によりθの事後平均及び分散に近似する。
Figure 0007223174000348
その後、次の期間に進み、その期間のθの事前分布として
Figure 0007223174000349
を設定する。方程式(158)及び(159)が被る近似誤差は小さく、アンシラフリーの場合でと同じ理由でアルゴリズム全体の性能にわずかな影響を与える。
C.補題の証明
便宜上、以下の表記法を導入する。i=0,1,...,L-1の場合、
Figure 0007223174000350
4L-2i=U(θ;x2i+1)、及びW4L-2i-1=V(x2i+2)、ならびにW2L=P(θ)とする。さらに、j=0,1,...,4Lの場合、W’j=∂θWjとする。jが奇数の場合、W’j=0となることに留意されたい。次に、0≦a≦b≦4Lの場合Pa,b=Waa+1...Wb、及びそれ以外の場合Pa,b=Iを定義する。
この表記で、以下となる。
Figure 0007223174000351
さらに、θに関する導関数を取ると、以下が生じ、
Figure 0007223174000352
上式で、
Figure 0007223174000353
は、θに関してU(θ;α)の導関数であり、ここで
Figure 0007223174000354
は、θに関してP(θ)の導関数である。その結果、以下となる。
Figure 0007223174000355
以下の事実が役立つ。A、B、Cが、ヒルベルト空間
Figure 0007223174000356
の任意の線形演算子であると仮定する。次に、直接計算により、以下を確認できる。
Figure 0007223174000357
以下の事実も役立つ。θに関する導関数を取ると、以下が生じる。
Figure 0007223174000358
所与のθ及び
Figure 0007223174000359
について
Figure 0007223174000360
を評価するために、別々にケースjは偶数であり、ケースjは奇数であると考える。
・ケース1:j=1(t+1)は偶数であり、ここでは0≦t≦L-1である。この場合、W2t+1=V(-x)、及びW4L-2t-1=V(xj)である。次に、以下を取得し、
Figure 0007223174000361
・ここで、以下である。
Figure 0007223174000362
・θ及び
Figure 0007223174000363
を所与として、最初に0(L)時間でP0,2t、P2t+2,4L-2t-2、及びP4L-2t,4Lを計算する。次に、
Figure 0007223174000364
を計算する。この手順は0(L)時間しかかからない。
次に、
Figure 0007223174000365
を計算する方法を示す。任意のa≦4L-2t-1≦bについて、上記及び事実Pa,b=Pa,4L-2t-24L-2t-14L-2t,4Lを使用すると、以下を取得する。
Figure 0007223174000366
次に、その結果、以下になり、
Figure 0007223174000367
上式で、以下である。
Figure 0007223174000368
一方、以下を有し、
Figure 0007223174000369
ここで、以下となる。
Figure 0007223174000370
上記の事実を組み合わせると、以下が生じ、
Figure 0007223174000371
上式では、以下である。
Figure 0007223174000372
θ及び
Figure 0007223174000373
を所与として、最初に、標準動的プログラミング技術によって0(L)時間の合計で以下の行列を計算する。
・P0,2t、P2t+2,4L-2t-2,P4L-2t,4L,P2t+2,2L-1,P2L+1,4L-2t-2
・k=0,1,...,tの場合、P4L-2t,4L-2k-1及びP4L-2k+1,4L
・k=t+1,t+2,...,L-1の場合、P2t+2,4L-2k-1及びP4L-2k+1,4L-2t-2
次に、
Figure 0007223174000374
の場合、
Figure 0007223174000375
を計算する。その後、
Figure 0007223174000376
を計算する。概して、この手順は0(L)時間かかる。
5.ケース2:j=2t+1は奇数であり、ここでは0≦t≦L-1である。この場合W2t=U(θ;-xj)、及びW4L-2t=U(θ;xj)である。次に、以下を取得する。
Figure 0007223174000377
6.上式で、以下である。
Figure 0007223174000378
7.θ及び
Figure 0007223174000379
を所与として、最初に0(L)時間でP0,2t-1、P2t+1,4L-2t-1、及びP4L-2t+1,4Lを計算する。次に、
Figure 0007223174000380
を計算する。この手順は0(L)時間しかかからない。
次に、
Figure 0007223174000381
を計算する方法を説明する。任意のa≦4L-2t≦bについて、上記及び事実Pa,b=Pa,4L-2t-14L-2t4L-2t+1,4Lを使用すると、以下を取得する。
Figure 0007223174000382
次に、その結果、以下になり、
Figure 0007223174000383
上式では、以下となる。
Figure 0007223174000384
一方、以下を有し、
Figure 0007223174000385
上式で、以下となる。
Figure 0007223174000386
上記の事実を組み合わせると、以下が生じ、
Figure 0007223174000387
上式で、以下となる。
Figure 0007223174000388
θ及び
Figure 0007223174000389
を所与として、最初に、標準動的プログラミング技術によって0(L)時間の合計で以下の行列を計算する。
・P0,2t-1、P2t+1,4L-2t-1、P4L-2t+1,4L、P2t+1,2L-1、P2L+1,4L-2t-1
・k=0,1,...t-1の場合、P4L-2t+1,4L-2k-1及びP4L-2k+1,4L
・k=t+1,t+2,...,L-1の場合、P2t+1,4L-2k-1及びP4L-2k+1,4L-2t-1
次に、i=1,2,3,4について
Figure 0007223174000390
を計算する。その後、
Figure 0007223174000391
を計算する。概して、この手順は0(L)時間かかる。
本発明は特定の実施形態に関して上記で説明されてきたが、前述の実施形態は例示としてのみ提供され、本発明の範囲を限定または定義するものではないことを理解されたい。以下を含むがこれらに限定されない様々な他の実施形態もまた、特許請求の範囲内にある。例えば、本明細書に記載の要素及びコンポーネントは、追加のコンポーネントにさらに分割されるか、または一緒に結合されて、同じ機能を実行するためのより少ないコンポーネントを形成し得る。
量子コンピュータの様々な物理的実施形態は、本開示による使用に適している。一般に、量子コンピューティングの基本的なデータストレージ単位は、量子ビット、つまりキュービットである。キュービットは、古典デジタルコンピュータシステムビットの量子コンピューティングでの類似物である。古典ビットは、任意の時点で、2進数字(ビット)0または1に対応する2つの可能な状態の一方を占めると見なされる。対照的に、キュービットは、量子機械的特性を持つ物理媒体によってハードウェアに実装される。キュービットを物理的にインスタンス化するそのような媒体は、本明細書では、「キュービットの物理的インスタンス化」、「キュービットの物理的実施形態」、「キュービットを具体化する媒体」、もしくは同様の用語、または単に説明を簡単にするための「キュービット」と呼ばれる。したがって、本発明の実施形態の説明内の「キュービット」への本明細書における言及は、キュービットを具体化する物理媒体を指すことを理解されたい。
各キュービットには、無限の数の異なる潜在的な量子力学的状態がある。キュービットの状態が物理的に測定されると、測定により、キュービットの状態から解決された2つの異なる基底状態の1つが生成される。したがって、単一のキュービットは、それら2つのキュービット状態の1、0、または任意の量子重ね合わせを表すことができ、キュービットのペアは、4つの直交基底状態の任意の量子重ね合わせになり、3つのキュービットは8つの直交基底状態の任意の重ね合わせになり得る。キュービットの量子力学的状態を定義する関数は、その波動関数として知られている。波動関数は、所与の測定の結果の確率分布も指定する。次元2の量子状態を有する(つまり、2つの直交基底状態を有する)キュービットは、d次元の「キューディット(qudit)」に一般化でき、ここで、dは、2、3、4、またはそれ以上の任意の整数値であってよい。キューディットの一般的なケースでは、キューディットの測定により、キューディットの状態から解決されたd個の異なる基底状態の1つが生成される。本明細書でのキュービットへの言及は、より一般的には、任意の値のdを有するd次元のキューディットを指すと理解されるべきである。
本明細書でのキュービットの特定の説明は、それらの数学的特性の観点からそのようなキュービットを説明し得るが、そのような各キュービットは、様々な異なる方法のいずれかで物理媒体に実装され得る。このような物理媒体の例には、超伝導材料、トラップされたイオン、光子、光キャビティ、量子ドット内にトラップされた個々の電子、固体の点欠陥(例えば、シリコンのリン供与体またはダイヤモンドの窒素空孔中心)、分子(例えば、アラニン、バナジウム錯体)、またはキュービット挙動を示す、すなわち、制御可能に誘導または検出することができる量子状態及びそれらの間の遷移を含む、前述のいずれかの凝集体が含まれる。
キュービットを実装する任意の媒体について、その媒体の様々な特性のいずれかを選択して、キュービットを実装することができる。例えば、電子がキュービットを実装するために選択された場合、そのスピン自由度のx成分は、そのようなキュービットの状態を表すそのような電子の特性として選択され得る。あるいは、スピン自由度のy成分またはz成分を、そのような電子の特性として選択して、そのようなキュービットの状態を表すことができる。これは、キュービットを実装するために選択された物理媒体の場合、0と1を表すように選択される複数の物理的自由度(例えば、電子スピンの例のx、y、z成分)が存在し得るという一般的な特徴の特定の例にすぎない。任意の特定の自由度に対して、物理媒体を制御可能に重ね合わせた状態にしてから、選択した自由度で測定を行って、キュービット値の読み出し値を取得できる。
ゲートモデル量子コンピュータと呼ばれる量子コンピュータの特定の実装は、量子ゲートを含む。古典ゲートとは対照的に、キュービットの状態ベクトルを変更する可能性のある単一キュービット量子ゲートは無数にある。キュービット状態ベクトルの状態を変更することは、通常、単一キュービット回転と呼ばれ、本明細書では、状態変更または単一キュービット量子ゲート演算と呼ばれることもある。回転、状態変更、または単一キュービット量子ゲート演算は、複素数要素を持つユニタリ2X2行列によって数学的に表すことができる。回転は、ヒルベルト空間内のキュービット状態の回転に対応し、これは、ブロッホ球の回転として概念化できる。(当業者によく知られているように、ブロッホ球は、キュービットの純粋な状態の空間の幾何学的表現である。)マルチキュービットゲートは、キュービットのセットの量子状態を変更する。例えば、2キュービットゲートは、2キュービットの4次元ヒルベルト空間での回転として2キュービットの状態を回転させます。例えば、2キュービットゲートは、2つのキュービットの4次元ヒルベルト空間での回転として2つのキュービットの状態を回転させる(当業者人にはよく知られているように、ヒルベルト空間は長さと角度の測定を可能にする内積の構造を持っている抽象的なベクトル空間である)。さらに、ヒルベルト空間は完全であり、微積分の手法を使用できるように、空間には十分な制限がある。
量子回路は、量子ゲートのシーケンスとして指定できる。以下でより詳細に説明するように、本明細書で使用される「量子ゲート」という用語は、1つ以上のキュービットにゲート制御信号(以下に定義)を適用して、それらのキュービットに特定の物理的変換を受けさせ、それによって、論理ゲート演算を実施させることを指す。量子回路を概念化するために、コンポーネントの量子ゲートに対応する行列をゲートシーケンスで指定された順序で共に乗算して、nキュービットで同じ全体的な状態変化を表す2「X2」複素行列を生成できる。したがって、量子回路は、単一の結果として生じる演算子として表すことができる。しかしながら、構成ゲートの観点から量子回路を設計すると、設計を標準セットのゲートに準拠させることができるため、配置がさらに容易になる。したがって、量子回路は、量子コンピュータの物理コンポーネントに対して実行されるアクションの設計に対応する。
所与の変分量子回路は、適切なデバイス固有の方法でパラメータ化することができる。より一般的には、量子回路を構成する量子ゲートは、関連する複数の調整パラメータを有し得る。例えば、光スイッチングに基づく実施形態では、調整パラメータは、個々の光学素子の角度に対応し得る。
量子回路の特定の実施形態では、量子回路は、1つ以上のゲート及び1つ以上の測定演算の両方を含む。このような量子回路を使用して実装された量子コンピュータは、本明細書では「測定フィードバック」の実装と呼ばれる。例えば、測定フィードバックを実装する量子コンピュータは、量子回路のゲートを実行し、次に量子コンピュータのキュービットのサブセット(つまり、すべてより少ない)のみを測定し、測定(複数可)の結果(複数可)に基づいて次に実行するゲート(複数可)を決定することができる。特に、測定値(複数可)は、ゲート演算(複数可)における誤差の程度を示すことができ、量子コンピュータは、誤差の程度に基づいて、次に実行するゲート(複数可)を決定することができる。次に、量子コンピュータは、決定によって示されたゲート(複数可)を実行することができる。ゲートを実行し、キュービットのサブセットを測定してから、次に実行するゲート(複数可)を決定するこのプロセスは、何度でも繰り返すことができる。測定フィードバックは、量子誤差補正を実行するのに役立てることができるが、量子誤差演算の実行での使用に限定されない。すべての量子回路について、測定フィードバックの有無にかかわらず、回路の誤差演算される実装がある。
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、標的量子状態(例えば、ハミルトニアンの基底状態)に近似する量子状態を生成、測定、または利用する。当業者によって理解されるように、第1量子状態が第2量子状態にどれだけうまく「近似」するかを数値化する多くの方法が存在する。以下の説明では、当技術分野で知られている任意の概念または近似の定義を、本明細書の範囲から逸脱することなく使用することができる。例えば、第1量子状態と第2量子状態がそれぞれ第1ベクトルと第2ベクトルとして表される場合、第1ベクトルと第2ベクトルの間の内積(2つの量子状態の間の「忠実度」と呼ばれる)が事前定義された量(通常は∈とラベル付けされている)を超えると、第1の量子状態は第2量子状態に近似する。この例では、忠実度は、第1量子状態と第2量子状態が互いにどの程度「近い」または「類似している」かを数値化する。忠実度は、第1量子状態の測定が、測定が第2量子状態で実行された場合と同じ結果をもたらす確率を表す。また、量子状態間の近接性は、ユークリッドノルム、ハミング距離、または当技術分野で既知の別のタイプのノルムなどの距離測度を使用して数値化できる。量子状態間の近接性は、計算用語で定義することもできる。例えば、第1量子状態の多項式時間サンプリングが、それが第2量子状態と共有するいくつかの所望の情報または特性を示すとき、第1量子状態は第2量子状態を近似する。
すべての量子コンピュータがゲートモデルの量子コンピュータであるとは限らない。本発明の実施形態は、ゲートモデル量子コンピュータを使用して実装されることに限定されない。代替の実施例として、本発明の実施形態は、ゲートモデル量子コンピューティングアーキテクチャの代替である量子アニーリングアーキテクチャを使用して実装される量子コンピュータを使用して、全体的または部分的に実装され得る。より具体的には、量子アニーリング(QA)は、量子ゆらぎを使用するプロセスによって、所与の候補解(候補状態)のセットにわたって所与の目的関数のグローバル最小値を見つけるためのメタヒューリスティクスである。
図2Bは、量子アニーリングを実施するコンピュータシステム250によって通常実行される演算を示す図を示す。システム250は、量子コンピュータ252と古典コンピュータ254の両方を含む。破線の垂直線256の左側に示される演算は、通常、量子コンピュータ252によって実行され、一方、破線の垂直線256の右側に示される演算は、通常、古典コンピュータ254によって実行される。
量子アニーリングは、古典コンピュータ254が、解決すべき計算問題258に基づいて初期ハミルトニアン260及び最終ハミルトニアン262を生成し、量子コンピュータ252への入力として初期ハミルトニアン260、最終ハミルトニアン262及びアニーリングスケジュール270を提供することから始まる。量子コンピュータ252は、初期ハミルトニアン260に基づいて、等しい重みを有するすべての可能な状態(候補状態)の量子力学的重ね合わせなど、周知の初期状態266を準備する(図2B、演算264)。古典コンピュータ254は、初期ハミルトニアン260、最終ハミルトニアン262、及びアニーリングスケジュール270を量子コンピュータ252に提供する。量子コンピュータ252は、初期状態266で開始し、物理系の自然な量子力学的発展である時間依存シュレディンガー方程式(図2B、演算268)に従って、アニーリングスケジュール270によってその状態を発展させる。より具体的には、量子コンピュータ252の状態は、時間依存ハミルトニアンの下で時間発展を経る、これは、初期ハミルトニアン260から始まり、最終ハミルトニアン262で終わる。系ハミルトニアンの変化率が十分に遅い場合、系は瞬時ハミルトニアンの基底状態に近いままである。系ハミルトニアンの変化率が加速されると、系は一時的に基底状態を離れることがあるが、最終問題ハミルトニアン、つまり断熱量子計算の基底状態になる可能性が高くなる。時間発展の終わりに、量子アニーラ上のキュービットのセットは最終状態272にあり、これは元の最適化問題258の解に対応する古典イジングモデルの基底状態に近いと予想される。ランダム磁性体の量子アニーリングの成功の実験的実証は、最初の理論的提案の直後に報告された。
量子コンピュータ254の最終状態272が測定され、それにより、結果276(すなわち、測定)が生成される(図2B、演算274)。測定演算274は、例えば、図1の測定ユニット110に関連して本明細書に開示された方法のいずれかなど、本明細書に開示された方法のいずれかで実行され得る。古典コンピュータ254は、測定結果276に対して後処理を実行して、元の計算問題258の解を表す出力280を生成する(図2B、演算278)。
さらに別の代替の実施例として、本発明の実施形態は、ゲートモデル量子コンピューティングアーキテクチャの別の代替である、測定ベースの量子コンピューティングアーキテクチャとも呼ばれる一方向量子コンピューティングアーキテクチャを使用して実装される量子コンピュータを使用して、全体的または部分的に実装され得る。より具体的には、一方向または測定ベースの量子コンピュータ(MBQC)は、最初に、エンタングルされたリソース状態(通常はクラスタ状態またはグラフ状態)を準備し、次にそれに対して単一キュービット測定を実行する、量子コンピューティングの方法である。これは、測定によってリソースの状態が破壊されるため、「一方向」である。
各個別の測定の結果はランダムであるが、それらは計算がつねに成功するように関連付けられている。一般に、後の測定の基準の選択は、前の測定の結果に依存する必要があるため、すべての測定を同時に実行することはできない。
本明細書に開示される機能のいずれも、それらの機能を実行するための手段を使用して実装され得る。そのような手段には、以下に説明するコンピュータ関連のコンポーネントなど、本明細書に開示されるコンポーネントのいずれかが含まれるが、これらに限定されない。
図1を参照すると、本発明の一実施形態に従って実装されているシステム100の図が示されている。図2Aを参照すると、本発明の一実施形態に係る、図1のシステム100によって実行される方法200のフローチャートが示されている。システム100は、量子コンピュータ102含む。量子コンピュータ102は、本明細書に開示される任意の方法で実装され得る複数のキュービット104を含む。量子コンピュータ104には、任意の数のキュービット104が存在し得る。例えば、キュービット104は、2キュービット以下、4キュービット、8キュービット以下、16キュービット以下、32キュービット以下、64キュービット以下、128キュービット以下、256キュービット以下、512キュービット以下、1024キュービット以下、2048キュービット以下、4096キュービット以下、または8192キュービット以下を含み得るか、またはそれらからなり得る。これらは単なる例であり、実際には、量子コンピュータ102には任意の数のキュービット104が存在し得る。
量子回路には任意の数のゲートが存在し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、ゲートの数は、量子コンピュータ102内のキュービット104の数に少なくとも比例し得る。いくつかの実施形態では、ゲート深さは、量子コンピュータ102のキュービット104の数以下、または量子コンピュータ102のキュービット104の数のいくつかの線形倍数(例えば、2、3、4、5、6、または7)以下であり得る。
キュービット104は、任意のグラフパターンで相互接続することができる。例えば、それらは線形チェーン、2次元グリッド、全結合、それらの任意の組み合わせ、または前述のいずれかのサブグラフで接続される。
以下の説明から明らかになるように、要素102は、本明細書では「量子コンピュータ」と呼ばれるが、これは、量子コンピュータ102のすべてのコンポーネントが量子現象を活用することを意味するものではない。量子コンピュータ102の1つ以上のコンポーネントは、例えば、量子現象を利用しない古典コンポーネント(すなわち、非量子コンポーネント)であり得る。
量子コンピュータ102は、制御ユニット106を含み、これは、本明細書に開示される機能を実行するための様々な回路及び/または他の機械のいずれかを含み得る。制御ユニット106は、例えば、完全に古典コンポーネントからなり得る。制御ユニット106は、出力として1つ以上の制御信号108を生成し、キュービット104に提供する。制御信号108は、電気信号、磁気信号、光信号(例えば、レーザーパルス)、またはそれらの任意の組み合わせなどの任意の種類の電磁信号など、様々な形態のいずれかをとることができる。
例えば、以下の通りである。
・キュービット104のいくつかまたはすべてが、導波路に沿って移動する光子(「量子光学」実装とも呼ばれる)として実装される実施形態では、制御ユニット106はビームスプリッタ(例えば、ヒーターまたはミラー)とすることができ、制御信号108はヒーターまたはミラーの回転を制御する信号とすることができ、測定ユニット110は光検出器とすることができ、測定信号112は光子とすることができる。
・キュービット104のいくつかまたはすべてが電荷タイプキュービット(例えば、トランスモン(transmon)、X-モン(X-mon)、G-モン(G-mon))またはフラックスタイプキュービット(例えば、フラックスキュービット、容量シャントされたフラックスキュービット)として実装される実施形態(「回路量子電磁力学」(回路QED)実装とも呼ばれる)では、制御ユニット106はドライブによって活性化されるバス共振器とすることができ、制御信号108はキャビティモードとすることができ、測定ユニット110は第2の共振器(例えば、低Q共振器)とすることができ、測定信号112は分散読み出し技術を使用して第2の共振器から測定された電圧とすることができる。
・キュービット104のいくつかまたはすべてが超伝導回路として実装される実施形態では、制御ユニット106は、回路QED支援制御ユニットまたは直接容量結合制御ユニットまたは誘導容量結合制御ユニットとすることができ、制御信号108はキャビティモードとすることができ、測定ユニット110は第2の共振器(例えば、低Q共振器)とすることができ、測定信号112は分散読み出し技術を使用して第2の共振器から測定された電圧とすることができる。
・キュービット104のいくつかまたはすべてがトラップされたイオン(例えば、マグネシウムイオンの電子状態)として実装される実施形態では、制御ユニット106はレーザーとすることができ、制御信号108はレーザーパルスとすることができ、測定ユニット110はレーザー及びCCDまたは光検出器(例えば、光電子増倍管)とすることができ、測定信号112は光子とすることができる。
・キュービット104のいくつかまたはすべてが核磁気共鳴(NMR)を使用して実施される実施形態(この場合、キュービットは、例えば、液体または固体形態の分子であり得る)では、制御ユニット106は無線周波数(RF)アンテナとすることができ、制御信号108はRFアンテナによって放射されるRFフィールドとすることができ、測定ユニット110は別のRFアンテナとすることができ、測定信号112は第2のRFアンテナによって測定されたRFフィールドとすることができる。
・キュービット104のいくつかまたはすべてが窒素空孔中心(NV中心)として実装される実施形態では、制御ユニット106は、例えば、レーザー、マイクロ波アンテナ、またはコイルとすることができ、制御信号108は、可視光、マイクロ波信号、または一定の電磁場とすることができ、測定ユニット110は光検出器とすることができ、測定信号112は光子とすることができる。
・キュービット104のいくつかまたはすべてが「エニオン」と呼ばれる二次元準粒子として実装される実施形態(「トポロジカル量子コンピュータ」実装とも呼ばれる)では、制御ユニット106は、ナノワイヤとすることができ、制御信号108はローカル電場またはマイクロ波パルスとすることができ、測定ユニット110は超伝導回路とすることができ、測定信号112は電圧とすることができる。
・キュービット104のいくつかまたはすべてが半導体材料(例えば、ナノワイヤ)として実装される実施形態では、制御ユニット106は微細加工ゲートとすることができ、制御信号108はRFまたはマイクロ波信号とすることができ、測定ユニット110は微細加工ゲートとすることができ、測定信号112はRFまたはマイクロ波信号とすることができる。
図1には明示的に示されておらず、必須ではないが、測定ユニット110は、測定信号112に基づいて、1つ以上のフィードバック信号114を制御ユニット106に提供することができる。例えば、「一方向量子コンピュータ」または「測定ベースの量子コンピュータ」と呼ばれる量子コンピュータは、測定ユニット110から制御ユニット106へのそのようなフィードバック114を利用する。このようなフィードバック114は、フォールトトレラントな量子コンピューティング及び誤差補正の演算にも必要である。
制御信号108は、例えば、1つ以上の状態準備信号を含むことができ、状態準備信号は、キュービット104によって受信されると、キュービット104のいくつかまたはすべてにそれらの状態を変更させる。このような状態準備信号は、「仮説回路」とも呼ばれる量子回路を構成する。結果として生じるキュービット104の状態は、本明細書では「初期状態」または「仮説状態」と呼ばれる。キュービット104をそれらの初期状態にするために状態準備信号(複数可)を出力するプロセスは、本明細書では「状態準備」と呼ばれる(図2A、セクション206)。状態準備の特別な場合は、「初期化」であり、「リセット演算」とも呼ばれ、その中で初期状態は、キュービット104のいくつかまたはすべてが「ゼロ」状態、すなわちデフォルトの単一キュービット状態にある状態である。より一般的には、状態準備は、状態準備信号を使用して、キュービット104のいくつかまたはすべてを所望の状態の任意の分布にすることを含み得る。いくつかの実施形態では、制御ユニット106は、最初にキュービット104を初期化するための第1のセットの状態準備信号を出力すること、そして次にキュービット104を部分的または完全に非ゼロ状態にするための第2のセットの状態準備信号を出力することによって、最初にキュービット104に対して初期化を実行し、次にキュービット104に対して準備を実行することができる。
制御ユニット106によって出力され、キュービット104によって受信され得る制御信号108の別の実施例は、ゲート制御信号である。制御ユニット106は、そのようなゲート制御信号を出力することができ、それにより、1つ以上のゲートをキュービット104に適用する。ゲートを1つ以上のキュービットに適用すると、キュービットのセットは、受信したゲート制御信号によって指定された対応する論理ゲート演算(例えば、単一キュービット回転、2キュービットエンタングルゲート、またはマルチキュービット演算)を具体化する物理的状態変化を受ける。これが意味するように、ゲート制御信号の受信に応答して、キュービット104は、測定されたとき(以下を参照)、キュービット104の状態が、ゲート制御信号によって指定された論理ゲート演算を実行することの結果を表すように、キュービット104に状態を変化させる物理的変換を受ける。本明細書で用いられる「量子ゲート」という用語は、1つ以上のキュービットにゲート制御信号を適用して、それらのキュービットに上記の物理変換を受けさせて、このことにより論理ゲート演算を実行させることを指している。
状態準備(及び対応する状態準備信号)とゲート(及び対応するゲート制御信号)の適用との間の境界線は、任意に選択できることを理解されたい。例えば、図1及び図2A~図2Bにおいて「状態準備」の要素として示されるコンポーネント及び操作のいくつかまたはすべては、代わりに、ゲート適用の要素として特徴付けることができる。反対に、例えば、図1及び図2A~図2Bにおいて「ゲート適用」の要素として示されるコンポーネント及び操作のいくつかまたはすべては、代わりに、状態準備の要素として特徴付けることができる。1つの特定の実施例として、図1及び図2A~図2Bのシステム及び方法は、いかなるゲート適用も無しで、状態準備とそれに続く測定のみを実行することとして特徴付けることができ、ここでは、ゲート適用の一部として本明細書に記載される要素が代わりに状態準備の一部であると見なされる。反対に、例えば、図1及び図2A~図2Bのシステム及び方法は、いかなる状態準備も無しで、ゲート適用とそれに続く測定のみを実行することとして特徴付けることができ、ここでは、状態準備の一部として本明細書に記載される要素が代わりにゲート適用の一部であると見なされる。
量子コンピュータ102はまた、キュービット104に対して1つ以上の測定演算を実行して、キュービット104から測定信号112(本明細書では「測定結果」とも呼ばれる)を読み取る測定ユニット110を含み、ここで、測定結果112は、キュービット104のいくつかまたはすべての状態を表す信号である。実際には、制御ユニット106及び測定ユニット110は、互いに完全に別個であるか、または互いに共通のいくつかのコンポーネントを含み得るか、または単一のユニットを使用して実装され得る(すなわち、単一のユニットが制御ユニット106及び測定ユニット110の両方を実装し得る)。例えば、レーザーユニットは、制御信号108を生成するためと、キュービット104に刺激(例えば、1つ以上のレーザービーム)を与えて、測定信号112を生成させるための両方に使用され得る。
一般に、量子コンピュータ102は、上記の様々な演算を何度でも実行することができる。例えば、制御ユニット106は、1つ以上の制御信号108を生成することができ、それによって、キュービット104に1つ以上の量子ゲート演算を実行させる。次に、測定ユニット110は、キュービット104に対して1つ以上の測定演算を実行して、1つ以上の測定信号112のセットを読み取ることができる。測定ユニット110は、制御ユニット106が追加の制御信号108を生成する前に、キュービット104に対してそのような測定演算を繰り返すことができ、それにより、測定ユニット110は、以前の測定信号112の読み取り前に実行されたのと同じゲート演算から生じる追加の測定信号112を読み取る。測定ユニット110は、このプロセスを任意の回数繰り返して、同じゲート演算に対応する任意の数の測定信号112を生成することができる。次に、量子コンピュータ102は、様々な方法のいずれかで、同じゲート演算のそのような複数の測定値を集約することができる。
測定ユニット110が1セットのゲート演算を実行した後、キュービット104に対して1つ以上の測定演算を実行した後に、制御ユニット106は、1つ以上の追加の制御信号108を生成することができ、これは、前の制御信号108とは異なる場合があり、それにより、キュービット104は、1つ以上の追加の量子ゲート演算を実行するようになり、これは、以前の量子ゲート演算のセットとは異なってもよい。次に、上記のプロセスを繰り返すことができ、測定ユニット110は、(直近で実行されたゲート演算の結果としての)新しい状態のキュービット104に対して1つ以上の測定演算を実行する。
一般に、システム100は、以下のように複数の量子回路を実装することができる。複数の量子回路内の各量子回路Cごとに(図2A、演算202)、システム100は、キュービット104上で複数の「ショット」を実行する。ショットの意味は、以下の説明から明らかになる。複数のショットの各ショットSごとに(図2A、操作204)、システム100は、キュービット104の状態を準備する(図2A、セクション206)。より具体的には、量子回路Cの各量子ゲートGごとに(図2A、演算210)、システム100は、量子ゲートGをキュービット104に適用する(図2A、操作212及び214)。
次に、キュービットQ104の各々について(図2A、演算216)、システム100は、キュービットQを測定して、キュービットQの現在の状態を表す測定出力を生成する(図2A、演算218及び220)。
上記の演算は、各ショットS(図2A、演算222)及び回路C(図2A、演算224)に対して繰り返される。上記の説明が示唆するように、単一の「ショット」は、キュービット104の状態を準備し、回路内のすべての量子ゲートをキュービット104に適用し、次にキュービット104の状態を測定することを含み、システム100は、1つ以上の回路に対して複数のショットを実行することができる。
図3を参照すると、本発明の一実施形態に従って実装されているハイブリッド古典量子コンピュータ(HQC)システム300の図が示されている。HQC300は、量子コンピュータコンポーネント102(例えば、図1に関連して示され、説明される方法で実装され得る)及び古典コンピュータコンポーネント306を含む。古典コンピュータコンポーネントは、ジョン・フォン・ノイマンによって確立された一般的なコンピューティングモデルに従って実装されたマシンとすることができ、その中でプログラムは、命令の順序付けられたリストの形で作成され、古典(例えば、デジタル)メモリ310内に格納され、古典コンピュータの古典(例えば、デジタル)プロセッサ308によって実行される。メモリ310は、任意の時点で単一の明確なバイナリ状態を有するビットの形態でデータを記憶媒体に格納するという意味で古典的である。メモリ310に格納されたビットは、例えば、コンピュータプログラムを表すことができる。古典コンピュータコンポーネント304は、通常は、バス314を含む。プロセッサ308は、バス314を介してメモリ310からビットを読み取り、メモリ310にビットを書き込むことができる。例えば、プロセッサ308は、メモリ310内のコンピュータプログラムから命令を読み取ることができ、任意選択で、マウス、キーボード、または任意の他の入力デバイスなどのユーザ入力デバイスからなど、コンピュータ302の外部のソースから入力データ316を受信することができる。プロセッサ308は、メモリ310から読み取られた命令を使用して、メモリ310及び/または入力316から読み取られたデータに対して計算を実行し、それらの命令から出力を生成することができる。プロセッサ308は、その出力をメモリ310に戻して格納し、及び/またはモニタ、スピーカー、またはネットワークデバイスなどの出力デバイスを介して出力データ318として外部に出力を提供することができる。
量子コンピュータコンポーネント102は、図1に関連して上で説明したように、複数のキュービット104を含み得る。単一のキュービットは、それら2つのキュービット状態の1、0、または任意の量子重ね合わせを表すことができる。古典コンピュータコンポーネント304は、古典状態準備信号Y32を量子コンピュータ102に提供することができ、これに応えて、量子コンピュータ102は、図1及び図2A~図2Bに関連して開示される方法のいずれかなど、本明細書に開示される方法のいずれかでキュービット104の状態を準備することができる。
キュービット104が準備されると、古典プロセッサ308は、古典制御信号Y34を量子コンピュータ102に提供することができ、これに応えて、量子コンピュータ102は、制御信号Y32によって指定されたゲート演算をキュービット104に適用することができ、その結果、キュービット104は最終状態に到達する。量子コンピュータ102の測定ユニット110(図1及び図2A~図2Bに関連して上記のように実装され得る)は、キュービット104の状態を測定し、キュービット104の状態のそれらの固有状態の1つへの崩壊を表す測定出力Y38を生成することができる。結果として、測定出力Y38は、ビットを含むか、またはビットからなり、したがって、古典状態を表す。量子コンピュータ102は、測定出力Y38を古典プロセッサ308に提供する。古典プロセッサ308は、測定出力Y38を表すデータ及び/またはそこから導出されたデータを古典メモリ310に格納することができる。
上記のステップは、キュービット104の最終状態として上記で説明されたものが次の反復の初期状態として機能することで、任意の回数繰り返すことができる。このようにして、古典コンピュータ304及び量子コンピュータ102は、コプロセッサとして協力して、単一のコンピュータシステムとして共同計算を実行することができる。
特定の機能は、古典コンピュータによって実行されるものとして本明細書に説明することができ、他の機能は、量子コンピュータによって実行されるものとして本明細書に説明することができるが、これらは単なる例であり、本発明の制限を構成するものではない。量子コンピュータによって実行されるものとして本明細書に開示される機能のサブセットは、代わりに、古典コンピュータによって実行されてもよい。例えば、古典コンピュータは、量子コンピュータをエミュレートするための機能を実行することができ、機能がシミュレーションの指数関数的スケーリングによって制限されてはいるが、本明細書に記載の機能のサブセットを提供することができる。古典コンピュータによって実行されるものとして本明細書において開示される機能は、代わりに、量子コンピュータによって実行されてもよい。
上記の技術は、例えば、ハードウェア、1つ以上のコンピュータ可読媒体、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせに具体的に格納された1つ以上のコンピュータプログラムにおいて、例えば、量子コンピュータのみ、古典コンピュータのみ、またはハイブリッド古典量子(HQC)コンピュータに実装することができる。本明細書に開示される技術は、例えば、古典コンピュータ上にのみ実装することができ、古典コンピュータは、本明細書に開示される量子コンピュータ機能をエミュレートする。
上記の技術は、以下の、つまりプロセッサ、プロセッサによって読み取り可能及び/または書き込み可能な記憶媒体(例えば、揮発性及び不揮発性メモリ及び/または記憶素子を含む)、入力デバイス、及び出力デバイスの任意の数の任意の組み合わせを含む、プログラム可能なコンピュータ(古典コンピュータ、量子コンピュータ、またはHQCなど)上で実行される(または実行可能である)1つ以上のコンピュータプログラムに実装され得る。プログラムコードは、入力デバイスを使用して入力された入力に適用され、説明された機能を実行し、出力デバイスを使用して出力を生成することができる。
本発明の実施形態は、1つ以上のコンピュータ、コンピュータプロセッサ、及び/またはコンピュータシステムの他の要素を使用して実装することのみが可能及び/または実行可能である機能を含む。このような機能は、思考的及び/または手動で実装することは不可能または非現実的である。例えば、演算子P及び状態|s>を記述する複雑な分布からランダムなサンプルを精神的または手動で生成することは不可能であろう。
コンピュータ、プロセッサ、メモリ、または同様のコンピュータ関連要素を肯定して必要とする本明細書のあらゆる請求項は、そのような要素を必要とすることを意図しており、そのような要素がそのような請求項に存在しないか、またはそのような請求項によって要求されないかのように解釈されるべきではない。そのような請求項は、列挙されたコンピュータ関連の要素を欠く方法及び/またはシステムをカバーすることを意図しておらず、そう解釈されるべきではない。例えば、特許請求された方法がコンピュータ、プロセッサ、メモリ、及び/または同様のコンピュータ関連要素によって実行されることを記載する本明細書のいずれの方法請求項も、列挙されているコンピュータ関連の要素(複数可)によって実行される方法を包含することを意図しており、そのようにのみ解釈されるべきである。そのような方法請求項は、例えば、思考的にまたは手動で(例えば、鉛筆と紙を使用して)実行される方法を包含すると解釈されるべきではない。同様に、製品請求項がコンピュータ、プロセッサ、メモリ、及び/または同様のコンピュータ関連要素を含むことを記載する本明細書のいずれの製品請求項も、列挙されているコンピュータ関連の要素(複数可)を含む製品を包含することを意図しており、そのようにのみ解釈されるべきである。そのような製品請求項は、例えば、列挙されたコンピュータ関連要素(複数可)を含まない製品を包含すると解釈されるべきではない。
古典コンピューティングコンポーネントが、以下の特許請求の範囲内の機能の任意のサブセットを提供するコンピュータプログラムを実行する実施形態では、コンピュータプログラムは、アセンブリ言語、機械語、高水準手続き型プログラミング言語、またはオブジェクト指向プログラミング言語などの任意のプログラミング言語で実装され得る。プログラミング言語は、例えば、コンパイルされたかまたはインタープリタ型のプログラミング言語であり得る。
そのような各コンピュータプログラムは、古典プロセッサまたは量子プロセッサのいずれかであり得るコンピュータプロセッサによって実行するために、機械可読記憶装置に具体的に実施されたコンピュータプログラム製品に実装され得る。本発明の方法ステップは、入力を操作して出力を生成することによって本発明の機能を実行するために、コンピュータ可読媒体上に具体的に実施されたプログラムを実行する1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行され得る。適切なプロセッサには、例として、汎用マイクロプロセッサと特殊目的マイクロプロセッサの両方が含まれる。一般に、プロセッサは、メモリ(読み取り専用メモリ及び/またはランダムアクセスメモリなど)から命令とデータを受信(読み取り)し、命令とデータをメモリに書き込み(格納)する。コンピュータプログラム命令及びデータを具体的に実施するために適切な記憶装置は、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスを含む半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスク及び着脱可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMなど、すべての形式の不揮発性メモリを含む。前述のいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)によって補完されるかまたはそれに組み込まれ得る。古典コンピュータは、一般に、内蔵ディスク(図示せず)または着脱可能ディスクなどの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体からプログラム及びデータを受信(読み取り)し、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体にプログラム及びデータを書き込む(格納する)こともできる。これらの要素は、従来のデスクトップまたはワークステーションコンピュータ、ならびに本明細書に記載の方法を実装するコンピュータプログラムを実行するのに適した他のコンピュータにも見られ、任意のデジタルプリントエンジンまたはマーキングエンジン、ディスプレイモニタ、または、紙、フィルム、ディスプレイ画面、もしくはその他の出力媒体上にカラーまたはグレースケールのピクセルを生成できる他のラスター出力デバイスと組み合わせて使用することができる。
本明細書に開示されるあらゆるデータは、例えば、(古典コンピュータ可読媒体、量子コンピュータ可読媒体、またはHQCコンピュータ可読媒体など)非一時的なコンピュータ可読媒体に具体的に格納された1つ以上のデータ構造に実装され得る。本発明の実施形態は、そのようなデータをそのようなデータ構造(複数可)に格納し、そのようなデータ構造(複数可)からそのようなデータを読み取ることができる。

Claims (16)

  1. 量子振幅推定のための方法であって、
    古典コンピュータを用いて、量子状態|s>に関してオブザーバブルPの期待値<s|P|s>を推定する統計値の精度改善率を最適化するために、複数の量子回路パラメータ値を選択することと、
    1つ以上のキュービットを、前記量子状態|s>から反射量子状態に変換するために、量子コンピュータの前記1つ以上のキュービットに、交互の第1及び第2の一般化反射演算子のシーケンスを適用することであって、前記第1及び第2の一般化反射演算子の各々が、前記複数の量子回路パラメータ値のうちの対応する量子回路パラメータ値に従って制御される、前記適用することと、
    前記オブザーバブルPに関して前記反射量子状態の前記複数のキュービットを測定して、測定結果のセットを取得することと、
    前記古典コンピュータで、前記測定結果のセットを用いて前記統計値を更新することと
    を含む、前記方法。
  2. 前記更新することの後に、前記統計値を出力することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記統計値が平均を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記精度改善率が、分散減少係数を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記精度改善率が、情報改善率を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記情報改善率が、フィッシャー情報量改善率及びエントロピー低減率の1つを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第1及び第2の一般化反射演算子のシーケンス、及び前記オブザーバブルPが、工学的尤度関数のバイアスを定義する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記選択すること、適用すること、測定すること、及び更新することを反復することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記古典コンピュータで、及び前記測定結果のセットを用いて、前記統計値の精度推定値を更新することと、
    前記精度推定値が閾値を超えている間に、前記選択すること、適用すること、測定すること、及び更新することを反復することと
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記統計値を前記更新することが、
    事前分布を複数の測定値で更新して、事後分布を取得することと、
    前記事後分布から更新された統計値を計算することと
    を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記選択することが、前記統計値及び前記統計値の精度推定値に基づく、請求項1に記載の方法。
  12. 前記選択することが、前記適用すること及び測定することの間に発生する誤差を表す忠実度にさらに基づく、請求項11に記載の方法。
  13. 前記選択することが、座標上昇法及び勾配降下法の1つを使用する、請求項1に記載の方法。
  14. 量子振幅推定のためのコンピューティングシステムであって、
    プロセッサと、
    前記コンピューティングシステムを量子コンピュータと通信可能に結合する量子古典インタフェースと、
    前記プロセッサと通信可能に結合されたメモリであって、前記プロセッサによる実行時に、前記コンピューティングシステムに、
    (i)量子状態|s>に関してオブザーバブルPの期待値<s|P|s>を推定する統計値の精度改善率を最適化するために、複数の量子回路パラメータ値を選択し、
    (ii)前記量子古典インタフェースを介して、前記量子コンピュータを、交互の第1及び第2の一般化反射演算子のシーケンスを使用して、前記量子コンピュータの1つ以上のキュービットを、前記量子状態|s>から反射量子状態に変換するように制御し、前記第1及び第2の一般化反射演算子の各々が、前記複数の量子回路パラメータ値のうちの対応する量子回路パラメータ値に従って制御され、
    (iii)前記量子コンピュータを、前記量子古典インタフェースを介して、前記オブザーバブルPに関して前記反射量子状態の前記複数のキュービットを測定して、測定結果のセットを取得するように制御し、
    (iv)前記統計値を前記測定結果のセットで更新する
    ように制御する機械可読命令を格納する、前記メモリと
    を備える、前記コンピューティングシステム。
  15. 前記メモリが、前記プロセッサによる実行時に、前記コンピューティングシステムを制御して前記統計値を出力する追加の機械可読命令を格納する、請求項14に記載のコンピューティングシステム。
  16. 前記量子コンピュータをさらに備える、請求項14に記載のコンピューティングシステム。
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