JP7219954B2 - Ni/γ-Al2O3系材料の再生方法 - Google Patents

Ni/γ-Al2O3系材料の再生方法 Download PDF

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Description

本発明は、Ni/γ-Al系材料の再生方法に関し、具体的には熱印加により表面Ni粒子の凝集が生じた失活材料を活性材料としての前記Ni/γ-Al系材料に再生する方法に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、各燃料電池の中で最も発電効率が高く、種々の燃料(H、CO、CH、NH等)を利用できる特長がある。SOFCの燃料は、炭化水素などを外部改質器又は直接電極上で改質して得られるガスが用いられる。
しかしながら、炭化水素を、SOFCのNi系の材料からなる燃料極へ直接供給すると炭素析出により失活するという問題がある。そのため、SOFCの前段の改質器において炭化水素を700~800℃程度で効率よく改質する触媒の研究開発が進められている。
従来、炭化水素改質用触媒としては、スピネル酸化物であるNiAl(「NAO」ともいう)が使用されている。このNAOは、800~900℃で還元することによりNiがスピネル構造から解離し、γ-Al表面に微細なNi粒子が高分散した高活性な触媒(Ni/γ-Al触媒)となることが知られている(非特許文献1など)。
また、NAOに更にRuを添加した触媒(「RNAO」ともいう)も知られており、Ruを含むことにより改質活性が向上すること、改質時の炭素析出耐性が高くなること、還元によりγ-Al表面に微細なNi粒子とRu粒子とが高分散(一部、NiとRuとが合金化していてもよい。以下同様。)した高活性な触媒(Ni,Ru/γ-Al触媒)となること等が知られている(非特許文献2、3等)。
なお、Ni/γ-Al触媒、及びNi,Ru/γ-Al触媒は、旧触媒のPt/γ-Al触媒(γ-Al表面に微細なPt粒子が高分散した触媒)と比較するとトルエン改質活性が約1.5~3.0倍高く、これはNAO、RNAOの還元で生じた活性サイト密度がPt/γ-Alの活性サイト密度よりも大きいためと考えられる。
このように、Ni/γ-Al触媒、及びNi,Ru/γ-Al触媒は炭化水素改質活性が高い触媒であるが、改質時に長時間、高温で使用するとNi凝集が生じて触媒活性が低下し失活する。Ni/γ-Al触媒における改質時のNi凝集に基づく失活の模式図を図1に示す。図1には、還元によりγ-Al表面に微細なNi粒子が高分散した活性状態の触媒が、改質中に微細なNi粒子がγ-Al表面で凝集する(失活する)様子が模式的に図示されている。そして、現在のところ、Ni凝集が生じて失活すると廃棄処理されているのが現状であり、再生方法は見出されていない。
また、上記SOFCは、燃料極/電解質/空気極の三層のセルから成り、燃料極に起因する性能低下、セルの破壊等が大きな課題となっている。
ここで、最も一般的な燃料極としては、3~10mol%程度のYをZrOに加えた緻密な電解質(イットリア安定化ジルコニア:YSZ)とNiOとを混合した多孔質サーメット(NiO-YSZ)を還元して活性化したNi-YSZが使用されている。更に、近年では、Y以外にもSc、Gd、Yb、アルカリ土類金属の酸化物等をZrO又はCeOに加えてなる、YSZよりもイオン伝導性の高い高性能な電解質も見出されている。そして、これらの電解質とNiOとを混合した多孔質サーメット(NiO-電解質)を還元して活性化したものも燃料極として応用されている。また、非特許文献4にはNAOが燃料改質用触媒となることに加えて、NiO-電解質からなる多孔質サーメットにNAOを添加することによりSOFCの燃料極材料にもなり得ることが記載されている。この場合には、還元により活性化した燃料極では、NAOに起因してγ-Al表面に微細なNi粒子が高分散した状態が形成されている。
セルの構造については、例えば図3の上図(従来の燃料極)に例示されるように、固体電解質としてのYSZプレート上に、燃料極としての還元処理後の多孔質サーメット(Ni-YSZ)が積層された電解質支持型セルがある。その他、電解質のイオン伝導性をより高めるために、燃料極プレート上に薄膜の電解質を積層した燃料極支持型セルも実用化されている。
一方、NiO-電解質を還元して活性化した燃料極(Ni-電解質)における燃料の電気化学酸化反応は、Ni、電解質及び燃料ガスが接する三相界面で進行し、発電を継続すると熱印加などの影響により、Ni粒子の熱凝集による三相界面の減少による活性の低下が生じる。これは、NiO-電解質に更にNAOを含む場合も同様である。そして、現在のところ、Ni凝集が生じて燃料極の性能が低下すると、セルの交換(廃棄処理)がなされているのが現状であり、再生方法は見出されていない。
H. Muroyama, et al., Ethanol steam reforming over Ni-based spinel oxide, International Journal of Hydrogen Energy, 35 (2010) 1575-1581. JUAN ALVAREZ, et al., Sintesis de Oxidos mixtos sobre la base de MgNiAL: Aplicacion al reformado de metano. Synthesis of mixed oxides based on MgNiAl: Application to methane reforming, CATALISIS 5 (2016) 110-115. Masae Kimurae, et al., Selective methanation of CO in hydrogen-rich gases involving large amounts of CO2 over Ru-modified Ni-Al mixed oxide catalysts, Applied Catalysis A: General 379 (2010) 182-187. 吉野正人ら, SOFC用高性能電極の開発,SCEJ 73rd Annual Meeting (Hamamatsu, 2008)
本発明は上記従来技術の問題点を改善するものであり、特にγ-Al表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al系材料(活性材料)を、例えば炭化水素改質用触媒、SOFCの燃料極材料等として用いることにより前記活性材料に少なくとも熱が加わることによってγ-Al表面にNi粒子の凝集が生じた材料(失活材料)を、前記活性材料に再生させる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を有する方法により失活材料を活性材料に再生できることを見出し、本発明を完成するに至った。
つまり、本発明は下記の活性材料(Ni/γ-Al系材料)の再生方法に関する。
1.失活材料から活性材料を再生する方法であって、
前記活性材料は、炭化水素改質用触媒であり、γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al系材料であり、
前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
(1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
(2)前記スピネル酸化物を水素を含む還元ガスの存在下、800℃以上且つ1分以上の条件で還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
を有することを特徴とする活性材料の再生方法。
.前記酸化は、800℃以上の温度で行う、上記項に記載の再生方法。
失活材料から活性材料を再生する方法であって、
前記活性材料は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料極材料であり、γ-Al 表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al 系材料であり、
前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al 表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
(1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl 構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
(2)前記スピネル酸化物を水素を含む還元ガスの存在下、550℃以上且つ1分以上の条件で還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
を有することを特徴とする活性材料の再生方法。
.前記酸化は、750℃以上の温度で行う、上記項に記載の再生方法。
失活材料から活性材料を再生する方法であって、
前記活性材料は、炭化水素改質用触媒であり、γ-Al 表面に少なくともNi粒子及び白金族粒子M が分散したNi,M /γ-Al 系材料であり、
前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al 表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
(1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl 構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
(2)前記スピネル酸化物を水素を含む還元ガスの存在下、700℃以上且つ1分以上の条件で還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
を有することを特徴とする活性材料の再生方法。
.前記白金族粒子Mは、Ru粒子である、上記項に記載の再生方法。
.前記活性材料は、γ-Al表面に少なくともNi粒子、白金族粒子M及び金属粒子Mが分散したNi,M,M/γ-Al系材料であり、前記MはTi、Zr、Ce、Si及びWからなる群から選択される少なくとも一種である、上記項5又は6に記載の再生方法。
.前記酸化は、750℃以上の温度で行う、上記項に記載の再生方法。
失活材料から活性材料を再生する方法であって、
前記活性材料は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料極材料であり、γ-Al 表面に少なくともNi粒子及び白金族粒子M が分散したNi,M /γ-Al 系材料であり、
前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al 表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
(1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl 構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
(2)前記スピネル酸化物を水素を含む還元ガスの存在下、500℃以上且つ1分以上の条件で還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
を有することを特徴とする活性材料の再生方法。
10.前記酸化は、700℃以上の温度で行う、上記項に記載の再生方法。
11前記白金族粒子M は、Ru粒子である、上記項9に記載の再生方法。
12前記活性材料は、γ-Al 表面に少なくともNi粒子、白金族粒子M 及び金属粒子M が分散したNi,M ,M /γ-Al 系材料であり、前記M はTi、Zr、Ce、Si及びWからなる群から選択される少なくとも一種である、上記項9又は11に記載の再生方法。
本発明の活性材料(Ni/γ-Al系材料)の再生方法によれば、γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al系材料(活性材料)を炭化水素改質用触媒、SOFCの燃料極材料等として用いることにより活性材料に少なくとも熱が加わることによってγ-Al表面にNi粒子の凝集が生じた材料(失活材料)を、還元及び酸化の工程を含む簡便な処理に供することで活性材料に再生させることができる。炭化水素改質用触媒、SOFCの燃料極材料等は、従来、失活後は廃棄せざるをえなかったため、簡便な処理により活性材料に再生させることができる点で有用性が高い。
NAOが還元によりNi/γ-Al触媒となり、次にNi/γ-Al触媒が改質時に長時間、高温で使用されることでNi凝集により失活することを時系列に示す模式図である。 本発明における、γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al触媒、並びに、γ-Al表面に少なくともNi粒子及びRu粒子が分散したNi,Ru/γ-Al触媒が失活後に酸化・還元により元の活性材料に再生する機能を模式的に示す図である。 従来のSOFCの燃料極が還元により活性化し、発電を継続することによりNi凝集が生じて失活(性能低下)することを模式的に示す上図と、NAOの還元により活性化した燃料極が失活後に酸化・還元により再生することを模式的に示す下図である。 試験例1における、(a)20RNAO、(b)20NAO及び(c)20RTNAOの繰り返しTPR特性を示す図である。 試験例1における、酸化・還元サイクル(7回)の20RNAO及び20NAOのスピネル再生率を示す図である。 試験例1における、酸化・還元サイクル(7回)の20RNAO及び20NAOの還元速度(20RNAOの1回目の還元速度を100%とした相対値)を示す図である。 試験例1における、2RNAOを用いた850℃でのトルエン改質による自己還元・改質、及び、空気による酸化のサイクルを7回繰り返した際の、トルエン改質活性の推移(1回目の活性を100%とした相対値)を示す図である。 試験例1における、酸化・還元サイクルの7回目の酸化を350℃、450℃、550℃、650℃、750℃及び850℃で行った(a)20RNAO及び(b)20NAOのXRDパターンを示す図である。 2RNAOを850℃で2時間還元した後のTEM観察像を示す図である。 試験例2における、NiO-YSZを燃料極(還元前)として搭載したセルと、NAO-NiO-YSZを燃料極(還元前)として搭載したセルとの対比における、酸化・還元回数(回)と電圧(V)と電流密度(mA・cm-2)との関係を示す図である。 試験例2における、NiO-YSZを燃料極(還元前)として搭載したセルAと、NAO-NiO-YSZを燃料極(還元前)として搭載したセルBとの対比における、酸化・還元を200回繰り返した後の剥離の有無を示す図である。
本発明の活性材料の再生方法は、失活材料から活性材料を再生する方法であって、
前記活性材料は、γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al系材料であり、
前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
(1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
(2)前記スピネル酸化物を還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
を有することを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の再生方法によれば、γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al系材料(活性材料)を炭化水素改質用触媒、SOFCの燃料極材料等として用いることにより活性材料に少なくとも熱が加わることによってγ-Al表面にNi粒子の凝集が生じた材料(失活材料)を、還元及び酸化の工程を含む簡便な処理に供することで活性材料に再生させることができる。炭化水素改質用触媒、SOFCの燃料極材料等は、従来、失活後は廃棄せざるをえなかったため、簡便な処理により活性材料に再生させることができる点で有用性が高い。
なお、本発明の再生工程が適用できる失活材料は、γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散した活性材料(Ni/γ-Al系材料)を例えば炭化水素改質用触媒、SOFCの燃料極材料等として用いることにより、活性材料に少なくとも熱が加わることによってγ-Al表面にNi粒子の凝集が生じた(すなわち失活した)材料である。
活性材料としては、γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al系材料であれば限定されないが、例えば、
(1)γ-Al表面にNi粒子が分散した材料、
(2)γ-Al表面に少なくともNi粒子及び白金族粒子Mが分散したNi,M/γ-Al系材料(但し、白金族粒子MはRu粒子、Rh粒子、Pd粒子、Os粒子、Ir粒子及びPt粒子からなる群から選択される少なくとも一種)、
(3)γ-Al表面に少なくともNi粒子、白金族粒子M及び金属粒子Mが分散したNi,M,M/γ-Al系材料(但し、金属粒子MはTi、Zr、Ce、Si及びWからなる群から選択される少なくとも一種)、
等が挙げられる。
つまり、Ni/γ-Al系材料の用語は、γ-Al表面にNi粒子のみが分散した上記(1)の態様に加えて、白金族粒子Mが更に分散した上記(2)の態様、白金族粒子M及び金属粒子Mが更に分散した上記(3)の態様も包含する。
炭化水素改質用触媒としては上記活性材料中、従来公知のものが幅広く使用できる。
例えば、上記(1)のγ-Al表面にNi粒子が分散した触媒であれば、スピネル酸化物であるNiAl(いわゆるNAO(原料))を800~900℃で還元することによりNiがスピネル構造から解離し、γ-Al表面に微細なNi粒子が高分散した触媒が挙げられる。
上記(2)の更に白金族粒子Mが分散した触媒であれば、上記NAOに更に白金族粒子Mを添加した原料(MがRu粒子の場合はいわゆるRNAO)を還元することによりγ-Al表面に微細なNi粒子と白金族粒子Mとが高分散した触媒が挙げられる。この触媒の場合も、還元によりNi及び白金族粒子Mがスピネル構造から解離し、γ-Al表面に微細なNi粒子及び白金族粒子Mが分散した触媒となる。
白金族粒子MはTi、Zr、Ce、Si及びWからなる群から選択される少なくとも一種であればよいが、その中でも還元状態において、Niと容易に合金化しNi-Ruを形成することや、他の白金族金属元素よりもコスト性に優れるなどの観点からRu粒子が好ましい。白金族粒子Mが更に分散されていることにより、改質活性の向上、改質時の炭素析出耐性の向上等の効果が得られる。
上記(3)の更に白金族粒子M及び金属粒子Mが分散した触媒であれば、上記(2)の触媒の原料中に金属粒子Mを更に添加することにより、γ-Al表面に微細なNi粒子に加えて微細な白金族粒子M及び金属粒子Mが分散した触媒が挙げられる。金属粒子Mはそれ自体は活性を有さず、白金族粒子Mの分散性をより高める効果がある。
上記(1)~(3)に例示した原料は、例えば、所定の組成となるように準備した原料混合物をイオン交換水に溶解して水溶液を調製し、沈殿剤としてアンモニア水を用いたアンモニア共沈法によって前駆体ゲルを合成し、乾燥後、大気下で焼成することにより得ることができる。これらの原料の調製方法、及び活性材料を得るための還元処理は、公知の方法に従って行うことができる。
SOFCの燃料極材料としても上記例示した(1)~(3)の活性材料が使用できる。なお、SOFCの燃料極は、一般に上記(1)~(3)のいずれかの活性材料、Ni及び電解質(YSZなど)を含む多孔質サーメットの状態で使用される。よって、燃料極を得る際は、上記(1)~(3)のいずれかの原料(例えばNAO、RNAO等)と、NiOと、電解質(YSZなど)とを含む多孔質サーメットを公知の方法により作製後、それを還元処理することによって製造することができる。
本発明の活性材料は、例えば上記炭化水素改質用触媒、SOFCの燃料極材料等として用いることにより、活性材料に少なくとも熱が加わることによってγ-Al表面にNi粒子の凝集が生じて活性が低下する。本発明では、例えば上記例示した各用途において触媒活性や燃料極性能が使用開始時(初期)から低下したものを失活材料と称するが、完全に活性をなくした態様だけでなく、少なくとも初期から比べてNi粒子の凝集が生じて活性が低下したと認められる態様のものは本発明における失活材料に包含される。なお、炭化水素改質用触媒の場合は、活性が低下した失活触媒をそのまま本発明の再生方法に適用すればよく、SOFCの燃料極材料の場合は、失活材料を含む多孔質サーメット自体をそのまま本発明の再生方法に適用することができる。
以下、本発明の活性材料の再生方法を工程ごとに説明する。
工程1(失活材料を酸化する工程)
工程1では、失活材料を酸化することにより、NiAl構造を有するスピネル酸化物を得る。
酸化工程は、失活材料を酸化することによりNiAl構造を有するスピネル酸化物を得る工程であればよく、酸化方法は限定的ではないが、本発明では酸化ガスとして空気を30ml・min-1以上の流量で供給して失活材料と接触酸化させる方法が好ましい。
(炭化水素改質用触媒用途の場合)
酸化工程は、炭化水素改質用触媒の用途で上記(1)の材料の場合には、800℃以上の温度で行うことが好ましく、800~900℃がより好ましく、850~900℃が更に好ましい。酸化工程に要する時間は酸化ガスの流量、温度等によって異なるが、上記方法によって酸化させる場合には、2時間以上が好ましく、2~8時間がより好ましい。
他方、炭化水素改質用触媒の用途で上記(2)又は(3)の材料の場合には、750℃以上の温度で行うことが好ましく、750~900℃がより好ましく、750~800℃が更に好ましい。酸化工程に要する時間は酸化ガスの流量、温度等によって異なるが、上記方法によって酸化させる場合には、2時間以上が好ましく、2~8時間がより好ましい。つまり、白金族粒子Mを含む場合には、白金族粒子Mを含まない場合よりも再生処理のための酸化温度を低く設定することができる。
(SOFCの燃料極材料用途の場合)
酸化工程は、燃料極材料用途で上記(1)の材料の場合には、750℃以上の温度で行うことが好ましく、750~1000℃がより好ましく、800~900℃が更に好ましい。酸化工程に要する時間は酸化ガスの流量、温度等によって異なるが、上記方法によって酸化させる場合には、1分以上が好ましく、3~60分がより好ましい。
他方、燃料極材料用途で上記(2)又は(3)の材料の場合には、700℃以上の温度で行うことが好ましく、700~900℃がより好ましく、750~850℃が更に好ましい。酸化工程に要する時間は酸化ガスの流量、温度等によって異なるが、上記方法によって酸化させる場合には、1分以上が好ましく、3~60分がより好ましい。つまり、白金族粒子Mを含む場合には、白金族粒子Mを含まない場合よりも再生処理のための酸化温度を低く設定することができる。
上記酸化工程により、凝集したNi粒子は先ず酸化ニッケルの状態となり、次いでγ-Alと反応して再びNiAl構造を有するスピネル酸化物の状態となる。このとき上記(2)、(3)の材料の場合には、白金族粒子M、金属粒子Mはスピネル酸化物の構造中には取り込まれずスピネル酸化物の表面に残るものと推測される。
工程2(還元により活性材料を得る工程)
工程2では、第1工程で得られたスピネル酸化物を還元することにより、活性材料(Ni/γ-Al系材料)を再生する。
還元工程は、工程1で得られたスピネル酸化物(白金族粒子M、金属粒子Mがスピネル酸化物の表面に残っている場合も含む)を還元することにより、失活前の活性材料(γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散した材料)の状態に再生する工程であれば限定的ではないが、本発明では還元ガスとして水素を10ml・min-1以上の流量で供給して活性材料の状態に再生させる方法が好ましい。なお、還元ガスとして外部から加える水素を利用しなくても、炭化水素改質用触媒用途の場合には、炭化水素の改質ガスにより自己改質還元することも可能である。同様に、SOFCの燃料極材料用途においても、炭化水素の改質により内部改質還元することも可能である。場合、改質ガス中の水素濃度が20mol%以上で還元可能であり、理想的には水素濃度が40mol%以上が好ましい。
(炭化水素改質用触媒用途の場合)
還元工程は、炭化水素改質用触媒の用途で上記(1)の材料の場合には、800℃以上の温度で行うことが好ましく、800~950℃がより好ましく、850~950℃が更に好ましい。還元工程に要する時間は還元ガスの流量、温度等によって異なるが、上記方法によって還元させる場合には、1分以上が好ましい。
他方、炭化水素改質用触媒の用途で上記(2)又は(3)の材料の場合には、700℃以上の温度で行うことが好ましく、700~850℃がより好ましく、750~800℃が更に好ましい。還元工程に要する時間は還元ガスの流量、温度等によって異なるが、上記方法によって還元させる場合には、1分以上が好ましい。つまり、白金族粒子Mを含む場合には、白金族粒子Mを含まない場合よりも再生処理のための還元温度を低く設定することができる。この理由としては、白金族粒子Mを含む場合には、白金族粒子M上に吸着した水素原子が解離して生成した原子状水素が白金族粒子Mの近傍のNiの還元頻度を向上させることで還元速度が速くなり、還元温度が低くなるものと推測される。
(SOFCの燃料極材料用途の場合)
還元工程は、燃料極材料用途で上記(1)の材料の場合には、550℃以上の温度で行うことが好ましく、650~1000℃がより好ましく、700~900℃が更に好ましい。還元工程に要する時間は還元ガスの流量、温度等によって異なるが、上記方法によって還元させる場合には、1分以上が好ましい。
他方、燃料極材料用途で上記(2)又は(3)の材料の場合には、500℃以上の温度で行うことが好ましく、600~950℃がより好ましく、650~850℃が更に好ましい。還元工程に要する時間は還元ガスの流量、温度等によって異なるが、上記方法によって還元させる場合には、1分以上が好ましい。つまり、白金族粒子Mを含む場合には、白金族粒子Mを含まない場合よりも再生処理のための還元温度を低く設定することができる。
従来、失活した炭化水素改質用触媒、SOFCの燃料極材料等は廃棄を余儀なくされてきたが、本発明の再生方法によれば、失活材料を酸化及び還元の工程を含む簡便な処理により活性材料に再生できる点で従来品に対して多大な有用性がある。
以下、調製例及び試験例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例示的記載に限定されない。
調製例1~4(四種類の炭化水素改質用触媒の調製)
酸化・還元サイクルによる再生機能評価用として、
(調製例1)20RNAO
(18wt%Ni,2wt%Ru,80wt%Al
(調製例2)20NAO
(20wt%Ni,80wt%Al
(調製例3)20RTNAO
(18wt%Ni,2wt%Ru,20wt%TiO,60wt%Al
なお、RTNAOは、TiOの一部がRuOに置換された(RuTi1-x)OとNAOとが混在した構造であって、上記RNAOにおける80wt%のAlの20%をTiOに置換したものである。
を調製した(冒頭の数字は、活性元素であるNi及びRuの合計量を示す)。
また、触媒活性評価用として
(調製例4)2RNAO
(1.8wt%Ni,0.2wt%Ru,98wt%Al
を調製した。
各触媒は、共沈法により調製した。具体的には、先ず触媒原料としてRuCl・nHO,NiNO・6HO及びAlNO・9HOを準備し、各触媒に必要な原料を秤量し150mlのイオン交換水に溶解して水溶液を得た。次いで水溶液のpHが11以上になるまで沈殿剤として25wt%のアンモニア水を添加し、得られた前駆体のゲルを90℃で一晩乾燥させた後、850℃で5時間、大気下において焼成することにより各触媒を調製した。
調製例5~6(二種類の燃料極を搭載したSOFCの作製)
(調製例5)従来のNiO-YSZを搭載したセル
燃料極(60wt%NiO,40wt%YSZ)
電解質(YSZ)
空気極(50wt%LSM,50wt%YSZ)
(調製例6)NAO-NiO-YSZを搭載したセル
燃料極(40wt%NAO,29wt%NiO,31wt%YSZ)
電解質(YSZ)
空気極(50wt%LSM,50wt%YSZ)
電解質は、8mol%のYをZrOに添加した組成になるように、所定量のYCl・6HO及びZrO(NO・2HOをイオン交換水に溶解して水溶液を得た。次いで、pHが11以上になるまで、沈殿剤として25wt%のアンモニア水を添加し、得られた前駆体のゲルを90℃で一晩乾燥させた後、850℃で5時間、大気下において焼成することによりYSZを得た。
燃料極は、NiOと上記YSZを所定の重量で粉砕・混合後、分散剤(テルピネオール)に懸濁することにより作製したペーストを電解質(YSZディスク)上に塗布し、乾燥後、1300℃で3時間焼成することにより作製した。
空気極は、LSM(La0.8Sr0.2MnO)とYSZを所定の重量で粉砕・混合後、分散剤(テルピネオール)に懸濁することにより作製したペーストを電解質(YSZディスク)上に塗布し、乾燥後、1300℃で3時間焼成することにより作製した。
試験例1(各触媒の繰り返し再生機能評価と結晶構造解析)
20RNAO、20NAO及び20RTNAOは、Hを還元剤とした逐次昇温還元(TPR)により、各触媒の還元特性を評価した。各触媒(20RNAO、20NAO及び20RTNAO)の使用量はそれぞれ8.0g、還元ガスHの供給流量は50ml・min-1、温度範囲は室温から850℃まで、10℃・min-1の昇温速度の条件においてTPRを行い、出口ガスは水分を吸湿剤により除去した後、ガス流量を測定してHの消費量を解析した。
上記TPRにおいて、温度が850℃に到達後、温度を保持したままN置換し、今度は空気を2時間供給することで20RNAO及び20NAOを酸化した。このTPRによる還元・酸化のサイクルを7回繰り返し、各サイクルのTPR特性を解析した。
また、6回の還元・酸化のサイクルと7回目の還元までを終えた20RNAO還元体を350℃、450℃、550℃、650℃、750℃及び850℃の各温度において大気雰囲気で2時間酸化した。これらの各温度で酸化した20RNAOは、X線回折装置(XRD,Rigaku,SmartLab)を用いて線源CuKα,出力40kV,150mA,角速度10°・min-1の条件において結晶構造を調べた。
更に850℃において2時間、H還元した20RNAO還元体を走査透過電子顕微鏡(STEM),エネルギー分散型X線分析装置(EDX)(HITACHI,HD-2700,EDAX Genesis XM2)により観察し、微細構造を調べた。
<結果及び考察>
(20RNAO、20NAO及び20RTNAOの特性評価)
図4は、(a)20RNAO、(b)20NAO及び(c)20RTNAOの繰り返しTPR特性を示す。
図4(a)より、RNAOにおいて約160℃のピークはRuO粒子の還元反応(RuO+2H→Ru+2HO)、400~500℃のピークはNiO粒子の還元反応(NiO+H→Ni+HO)、750~850℃のピークはNiAlスピネル酸化物の還元反応(NiAl+H→Ni+Al+HO)をそれぞれ示す。
図4(a)、(b)及び(c)より、20RNAO、20NAO及び20RTNAOは、ともに繰り返し酸化・還元してもNiAlの還元に由来するピークは全て確認された。これは、還元によりNiAlから微細なNi粒子が析出することで生成したNi/γ-Alが酸化されると再びNiAlに戻ることを意味している。
また、20RNAO、20NAO及び20RTNAOのNiAlの還元ピークは3回目以降の酸化・還元サイクルにおいて約50℃高温側にシフトし、4回目以降においてピークの位置は安定化した。
20NAOにおいて酸化・還元を繰り返すとNiAlの還元ピーク面積は減少することが確認され、酸化・還元サイクルごとにNiAlの還元が起こり難くなっていることが確認された。これに対して、20RNAOは繰り返し酸化・還元してもNiAlの還元ピーク面積は安定していることが確認された。
また、20RNAOにおいて、Alの一部をTiOに置き換えた20RTNAOも、20RNAOと同様に繰り返し酸化・還元してもNiAlの還元ピーク面積は安定していることが確認された。更に、20RTNAOは、20RNAOよりも還元ピーク温度が50℃以上低下していることが確認された(還元温度が650~750℃)。
20RNAO及び20RTNAOは、酸化・還元サイクルにおいて還元によりNiAlからNi/γ-Alが生成する反応、及び酸化によりNi/γ-AlからNiAlが生成する反応がともに十分に進むため、再生量の低下が抑制されたと考えられる。一方、20NAOは繰り返し酸化・還元されると20RNAOよりもNiAlの結晶構造が安定化するため、酸化・還元が進むごとに還元量が減少したと考えられる。また、TPRにおいてピークの高さは最大還元速度を示すため、5回目のサイクル以降は、20RNAOは20NAOよりもNiAlの還元速度が2倍以上向上することが確認された。これは、RNAOではRu上に吸着した水素原子が解離して生成した原子状水素により、NiAlの還元が促進されたと考えられる。
(20RNAO及び20NAOのスピネル再生率)
20RNAO及び20NAOのスピネル再生率を算出して図5に示した。スピネル再生率は、前記各NiAlの還元ピーク面積(三角に囲まれた面積(ml・℃/min))を算出し、昇温速度(10℃/min)で割ることで、NiAlの還元に要した消費H量(ml)を算出し、次式によりスピネル再生率を計算した。なお、NAOのピークで右側が欠けている部分は左右対称な形状と仮定して算出した。
スピネルの再生率[%]=(A/B)×100
A…NiAlの還元に要したH消費量
B…NiOの還元に要する理論H消費量
図5の結果によれば、前述の考察の通り、20RNAOはスピネル再生量の低下が抑制されているのに対して、20NAOは酸化・還元が進むごとにスピネル再生率が低下することが視覚的に確認できる。
(20RNAO及び20NAOの還元速度)
20RNAO及び20NAOの還元速度を算出して図6に示した。還元速度は、前記各NiAlの還元ピークの高さを算出することで、最大還元速度[ml/min]を算出し、RNAOの初サイクルの最大還元速度を100%として、各還元速度の相対値を算出した。
図6の結果によれば、前述の考察の通り、20RNAOは還元速度の低下が抑制されているのに対して、20NAOは酸化・還元が進むごとに還元速度が低下し、5回目のサイクル以降は2倍以上の差があることが視覚的に確認できる。
(2RNAOの還元・酸化のサイクルと炭化水素改質活との関係)
調製例4で得た2RNAOを用いて、温度を850℃に固定し、次の(i)、(ii)、(iii)の順に従って還元・酸化のサイクルを7回繰り返し、各サイクルにおいて炭化水素改質活性が変化するか否かを調べた。
(i)トルエンの改質により自己還元・活性化(還元)
(ii)トルエンの改質(改質)
(iii)空気による酸化(酸化)
具体的には、触媒重量4.0g、(i)と(ii)では、トルエン供給量0.18mol・h-1、水蒸気供給量1.2mol・h-1、空気供給量0.21mol・h-1、S/C 1.2、SV14000L・kg-1・h-1、(iii)では、空気供給量0.21mol・h-1の条件でトルエン改質活性を調査し、初サイクルのトルエン改質活性を100%として、各サイクルにおける相対値を図7に示した。
図7の結果によれば、RNAOは、酸化・還元を繰り返して触媒を再生してもトルエン改質活性は殆ど変化しないことが分かった。
(20RNAOのXRDパターン)
図8(a)及び(b)は、酸化・還元サイクルでの7回目の酸化を350℃、450℃、550℃、650℃、750℃及び850℃で行った(a)20RNAO及び(b)20NAOのXRDパターンをそれぞれ示す。
図8(a)及び(b)に示すように、各温度における回折ピークは、A:γ-Al、S:NiAl、N:Ni、及びNO:NiOと同定された。
各温度における結晶相変化を考慮するために、NiAlはピーク(1)19.6°、 γ-Alはピーク(2)39.5°、Niはピーク(3)52.0°、NiOはピーク(4)63.3°にそれぞれ着目した。
図8(a)において、(3)のピーク変化から、350℃ではNiは存在していたが、450℃以上ではNiは消失した。(4)のピーク変化から、350~750℃の間においてNiOのピークは確認され、650℃において最大値を示したが、750℃以上ではNiOのピークは減少に転じ、850℃ではピークは消失した。また、ピーク(2)の変化から、γ-Alは温度上昇とともにピーク強度は減少し、850℃ではピーク(4)NiOとともに消失することが確認された。一方、ピーク(1)NiAlのピーク強度は、酸化温度とともに増加し、850℃で最大となった。
これらから、20RNAOを還元して得られるNi/γ-Alが酸化されると、最初に350~650℃の範囲でNiがNiOに酸化され(Ni+1/2O→NiO)、次に750℃より高い温度でNiOがγ-Alと反応することでNiAlが生成する(NiO+γ-Al→NiAl)メカニズムが明らかとなった。
図8(b)においても、図8(a)と同様の傾向が確認されているが、(4)のピークは、850℃においても確認されることから、20RNAOの方が、20NAOよりもNiが酸化する温度は低温化することが確認された。
(850℃で2時間還元した2RNAOのTEM写真)
図9は、850℃で2時間還元した2RNAOのTEM写真を示す。還元された2RNAOの表面には、約5~10nmの微細なNi粒子が確認され、高い分散性を示していることが確認された。
試験例2(NiO-YSZ搭載セルAと、NAO-NiO-YSZセルBとの対比)
SOFCの燃料極として、NiO-YSZを燃料極(還元前)として搭載したセルAと、NAO-NiO-YSZを燃料極(還元前)として搭載したセルBとを作製し、それらを用いたSOFCにおける酸化・還元回数(回)と電圧(V)と電流密度(mA・cm-2)との関係を調べた。
具体的には、800℃において、燃料に約3%の水蒸気で加湿した水素を200ml/min、空気極に空気を200ml/min供給し、SOFCの電流-電圧特性を繰り返し測定して変化を調べた。制御電圧を可変抵抗により徐々に下げ、平衡起電力(約1.1V)から約0Vまで下げることにより、徐々に燃料極の三相界面近傍を電気化学的に還元雰囲気と酸化雰囲気を切り替えた。この方法を200回繰り返して対比を行った。
酸化・還元回数(回)と電圧(V)と電流密度(mA・cm-2)との関係を図10に示す。セルAを用いたSOFCでは、酸化・還元サイクル約10回で性能が低下したが、セルBを用いたSOFCでは、酸化・還元サイクル約70回で性能が低下し、セルAを含むSOFCと比べて長く性能を維持することができた。
図11は、200回の酸化・還元を繰り返した後の、セルAとセルBの外観を示す。セルAは燃料極が壊れて剥離しているのに対し、セルBの燃料極は目立った剥離は起きていない。この点より、セルAにおける性能低下は燃料極の微細な構造の破壊やNiの熱凝集によるものであると考えられる。セルBは酸化時にNiがγ-Alと反応してNiAlとなることにより、Niの分散性を維持しながら不均一な熱膨張を抑制することでセルの破壊を抑制できたと考えられる。

Claims (12)

  1. 失活材料から活性材料を再生する方法であって、
    前記活性材料は、炭化水素改質用触媒であり、γ-Al表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al系材料であり、
    前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
    (1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
    (2)前記スピネル酸化物を水素を含む還元ガスの存在下、800℃以上且つ1分以上の条件で還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
    を有することを特徴とする活性材料の再生方法。
  2. 前記酸化は、800℃以上の温度で行う、請求項に記載の再生方法。
  3. 失活材料から活性材料を再生する方法であって、
    前記活性材料は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料極材料であり、γ-Al 表面に少なくともNi粒子が分散したNi/γ-Al 系材料であり、
    前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al 表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
    (1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl 構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
    (2)前記スピネル酸化物を水素を含む還元ガスの存在下、550℃以上且つ1分以上の条件で還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
    を有することを特徴とする活性材料の再生方法。
  4. 前記酸化は、750℃以上の温度で行う、請求項に記載の再生方法。
  5. 失活材料から活性材料を再生する方法であって、
    前記活性材料は、炭化水素改質用触媒であり、γ-Al 表面に少なくともNi粒子及び白金族粒子M が分散したNi,M /γ-Al 系材料であり、
    前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al 表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
    (1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl 構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
    (2)前記スピネル酸化物を水素を含む還元ガスの存在下、700℃以上且つ1分以上の条件で還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
    を有することを特徴とする活性材料の再生方法。
  6. 前記白金族粒子Mは、Ru粒子である、請求項に記載の再生方法。
  7. 前記活性材料は、γ-Al表面に少なくともNi粒子、白金族粒子M及び金属粒子Mが分散したNi,M,M/γ-Al系材料であり、前記MはTi、Zr、Ce、Si及びWからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項5又は6に記載の再生方法。
  8. 前記酸化は、750℃以上の温度で行う、請求項に記載の再生方法。
  9. 失活材料から活性材料を再生する方法であって、
    前記活性材料は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料極材料であり、γ-Al 表面に少なくともNi粒子及び白金族粒子M が分散したNi,M /γ-Al 系材料であり、
    前記失活材料は、前記活性材料に少なくとも熱が加わることによって前記γ-Al 表面に前記Ni粒子の凝集が生じている材料であり、
    (1)前記失活材料を酸化することにより、NiAl 構造を有するスピネル酸化物を得る工程1、
    (2)前記スピネル酸化物を水素を含む還元ガスの存在下、500℃以上且つ1分以上の条件で還元することにより、前記活性材料を得る工程2、
    を有することを特徴とする活性材料の再生方法。
  10. 前記酸化は、700℃以上の温度で行う、請求項に記載の再生方法。
  11. 前記白金族粒子M は、Ru粒子である、請求項9に記載の再生方法。
  12. 前記活性材料は、γ-Al 表面に少なくともNi粒子、白金族粒子M 及び金属粒子M が分散したNi,M ,M /γ-Al 系材料であり、前記M はTi、Zr、Ce、Si及びWからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項9又は11に記載の再生方法。
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