JP7216622B2 - 飲酒管理支援システム、及び飲酒管理支援方法 - Google Patents

飲酒管理支援システム、及び飲酒管理支援方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲酒管理支援システム、及び飲酒管理支援方法に関する。
特許文献1には、個人差に応じた安全濃度や最大濃度等の予測時間を算出することを目的として構成されたアルコール濃度記憶装置について記載されている。アルコール濃度記憶装置は、予め飲酒した杯数におけるアルコール濃度を時間に対応して登録しておき、飲酒の機会があった場合、現時点のアルコール濃度を検出し、登録された濃度が安全濃度に到達するときのタイマー値のデータから現在のタイマー値のデータを減じた値により、安全濃度予測時間を算出し、算出した安全濃度予測時間と現在濃度とを表示部に表示する。
特開平6-34590号公報
近年、少子化や高齢化が進み、企業等の組織においては、少ない労働力で多くの成果を挙げるための様々な取り組みが進められている。従業員の仕事の効率向上を目指す上で、本来発揮されるべきパフォーマンス(職務遂行能力)の低下を抑制すること、即ちプレゼンティーイズム(Presenteeism)の抑制は重要である。プレゼンティーイズムの要因として、メンタルの不調や体調不良等があるが、前日の飲酒によるパフォーマンスの低下が要因となることも少なくない。
ここで車両の運転業務等、ミスが重大事故に直結する業務を行っている現場においては、従来より、業務に従事する前にアルコール検査を実施し、業務の安全確保を図っている。しかしこうした検査で問題が見つかった場合、該当の作業者を業務から外して別の作業員を急遽確保する必要があり、雇用者にとって負担となる。また業務から外された作業者には何らかのペナルティが課せられることになる。このように事後的なアルコール検査では、雇用者及び作業者の双方に不利益が生じる。
過剰な飲酒を抑制する方法として、例えば、前日の飲酒を抑制あるいは禁止するような一律的なアプローチも考えられる。しかし体内に摂取したアルコールの処理能力は個人差が大きく、飲酒を抑制するか否かを判定するための適切な境界を設けることは必ずしも容易ではない。例えば、アルコールの耐性が低い人に合わせて基準を設定すれば予防効果は大きいが、多くの人には厳しすぎる基準となり、納得感のない施策となる。また基準を緩めてしまえば、基準に従っているにも関わらず翌日の作業に支障をきたす者がでてくる可能性がある。
上記の特許文献1では、個人のアルコール処理能力を考慮した上で安全濃度予測時間や現在濃度等の情報提供を行い飲酒量の抑制を図る。しかしアルコール濃度計測器による計測を何度も行う必要があるため本人の負担が大きく、またプレゼンティーイズムの抑制のために各人にこうした計測を行うことは現実的でない。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、飲酒者への負担が少ない方法で飲酒者の飲酒の管理を効果的に支援することが可能な、飲酒管理支援システム、及び飲酒管理支援方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一つは、飲酒管理支援システムであって、飲酒時における飲酒者の飲酒履歴、及び飲酒者が飲酒した後の前記飲酒者の体の状態を推定する時刻である状態推定時刻を取得し、前記飲酒履歴に基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルである推定モデルを記憶し、前記状態推定時刻における前記飲酒者の体内のアルコール濃度を前記推定モデルに基づき推定し、推定した前記アルコール濃度に基づき、前記状態推定時刻における前記飲酒者の体の状態を示す情報である状態推定結果を生成し、前記状態推定時刻又は前記状態推定時刻の近傍の時刻における前記飲酒者の実際の体の状態を示す情報である実際状態情報を取得し、前記飲酒履歴、前記状態推定結果、及び前記実際状態情報に基づき、前記推定モデルを更新し、飲酒時又は飲酒前における飲酒者のアルコール飲料以外の食物の摂取履歴を取得し、前記推定モデルは、前記飲酒履歴と前記摂取履歴とに基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルであり、前記推定モデルは、前記飲酒者の摂取したアルコールの影響からの回復能力を表すパラメータであるパラメータgと、前記パラメータgに前記飲酒者が摂取した前記食物の影響を作用させるパラメータであるパラメータβと、を用いて表され、前記パラメータβは、前記飲酒の後かつ前記状態推定時刻よりも前の時刻に前記飲酒者について計測されたアルコール濃度に基づき求められる
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
本発明によれば、飲酒者への負担が少ない方法で飲酒者の飲酒の管理を効果的に支援することができる。
第1実施形態の飲酒管理支援システムの概略的な構成を示す図である。 サーバ装置や飲酒者装置の構成に用いる情報処理装置のハードウェア構成の一例である。 サーバ装置が備える主な機能を示す図である。 飲酒者装置が備える主な機能を示す図である。 飲酒情報提供処理を説明するフローチャートである。 状態推定時刻入力画面の一例である。 飲酒履歴入力画面の一例である。 状態推定結果提示画面の一例である。 実際状態入力受付画面の一例である。 アルコール飲料を一杯飲んだときの体内アルコール濃度の変化特性の例である。 状態推定時刻における飲酒者の状態の分類方法の一例を説明する図である。 アルコール飲料を複数杯飲んだ場合における体内アルコール濃度の変化特性の例である。 第2実施形態のサーバ装置が備える主な機能を示す図である。 飲酒情報提供処理を説明するフローチャートである。 飲酒履歴入力画面の一例である。 状態推定の具体的な方法を説明する図であり、アルコール濃度A(T)の変化特性を示す図である。 摂取履歴の一例である。 第3実施形態のサーバ装置が備える主な機能を示す図である。 体調関連情報受付画面の一例である。 βcの設定方法の一例である。 体内に摂取したアルコールが吸収され分解される過程を説明する図である。 体内に摂取したアルコールが吸収され分解される過程を説明する図であり、体内アルコール濃度と体内アセトアルデヒド濃度の変化を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の説明において、同一のまたは類似する構成に共通の符号を付して重複する説明を省略することがある。
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態として説明する情報処理システム(以下、「飲酒管理支援システム1」と称する。)の概略的な構成を示している。同図に示すように、飲酒管理支援システム1は、サーバ装置10と一つ以上の飲酒者装置20とを含む。サーバ装置10及び飲酒者装置20は、いずれも情報処理装置(コンピュータ)を用いて構成されており、通信ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。
サーバ装置10は、例えば、データセンタに設けられた情報処理装置やクラウドシステム(Cloud System)が提供するクラウドサーバ(Cloud Server)等により実現される。飲酒者装置20は、飲酒に際して飲酒管理支援システム1を利用する者(以下、「飲酒者」と称する。)が操作する装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末やパーソナルコンピュータ等である。尚、利便性の観点からすれば、飲酒者装置20は、酒場等に容易に持ち込むことができる可搬性に優れたものであり、飲酒者が飲酒時に情報の入力や閲覧を容易に行うことが可能なものであることが好ましい。
飲酒管理支援システム1は、飲酒者の飲酒量の管理を支援するための情報を提供する。例えば、飲酒管理支援システム1は、飲酒後、所定時間が経過した時点(以下、「状態推定時刻」と称する。)における飲酒者の体の状態(以下、「飲酒者の状態」と称する。)を推定し、その結果(以下、「状態推定結果」と称する。)を飲酒者に提供する。
図2に、サーバ装置10や飲酒者装置20の構成に用いる情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す。同図に示すように、例示する情報処理装置100は、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15、通信装置16、及び各種センサ17を備える。これらはバス等の通信手段を介して通信可能に接続されている。
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable
Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成される。
主記憶装置12は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read
Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
補助記憶装置13は、例えば、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive
)、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカードや光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置13には、記録媒体の読取装置や通信装置16を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置13に格納(記憶)されているプログラムやデータは主記憶装置12に随時読み込まれる。
入力装置14は、外部からの情報の入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、スマートフォン、タブレット、音声入力装置(マイクロフォン等)等である。
出力装置15は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置15は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。
通信装置16は、通信ネットワーク5を介して行われる他の装置との間の通信を実現する、有線方式または無線方式の通信インタフェースであり、例えば、各種無線通信モジュール、NIC(Network Interface Card)、USBモジュール、シリアル通信モジュール等である。
各種センサ17は、飲酒者に関する情報や飲酒者の周囲の環境情報等の各種の情報を取得する装置であり、例えば、撮影装置(カメラ)、化学センサ(アルコールセンサ、アセトアルデヒドセンサ等)、生体センサ(心拍数センサ、呼吸センサ、臭いセンサ等)、環境センサ(温度センサ、湿度センサ、気圧センサ等)である。尚、各種センサ17は、状体推定時刻における飲酒者の状態の推定精度の向上に貢献するものであればよく、必ずしも上記のセンサに限定されない。
情報処理装置100には、例えば、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、ファイルシステム、DBMS(DataBase Management System)等が導入されていてもよい。
図3にサーバ装置10が備える主な機能を示している。同図に示すように、サーバ装置10は、記憶部110、状態推定時刻受付部120、飲酒履歴受付部130、状態推定部140、推定結果提示部150、実際状態受付部160、及び推定モデル更新部170の各機能を備える。
サーバ装置10は、通信ネットワーク5を介して飲酒者装置20と連携することにより飲酒者に飲酒の管理を支援するための各種の情報処理を行う。尚、上記情報処理を効率よく行うために、例えば、サーバ装置10は、いわゆるWeb3階層構造(Webサーバ、アプリケーションサーバ、及びデータベースサーバを含む構造)を備えていてもよい。
記憶部110は、状態推定時刻111、飲酒履歴112、推定モデル情報113、状態推定結果114、実際状態115、及び飲料情報116の各情報(データ)を記憶する。記憶部110は、例えば、DBMSが提供するデータベースのテーブルや、ファイルシステムが提供するファイルとしてこれらの情報を記憶する。
状態推定時刻111には、飲酒者の識別子(以下、「飲酒者ID」)に対応づけて、前述した状態推定時刻が設定される。例えば、飲酒した日の翌日の午前7時の飲酒者の状態を推定する場合、状態推定時刻111には、翌日の午前7時を示す情報が設定される。
飲酒履歴112には、飲酒者IDと、飲酒者が飲酒した日時(以下、「飲酒日時」と称する。)を示す情報と、を対応づけて、飲酒者の飲酒履歴(アルコール飲料の識別子(以下、「飲料ID」と称する。)と摂取量を含む。)を示す情報が設定される。
推定モデル情報113には、飲酒者IDに対応づけて、飲酒者の体内のアルコール濃度の時間変化を推定するモデル(以下、「推定モデル」と称する。)が設定される。推定モデルは、飲酒者毎に管理(飲酒者IDに対応づけて管理)され、随時更新される。
状態推定結果114には、飲酒者IDと飲酒日時を示す情報とに対応づけて、前述した状態推定結果を示す情報が管理される。
実際状態115には、飲酒者から受け付けた、状態推定時刻又は状態推定時刻の近傍の時刻(状態推定時刻の前又は後の所定時間範囲)における飲酒者の実際の体の状態(飲酒の影響度合い。以下、「実際状態」と称する。)を示す情報が設定される。
飲料情報116は、飲酒者が飲む可能性のある飲料毎のアルコール含有量を示す情報(飲料の種類ごとの標準的な1杯の量とアルコール濃度(含有量)等)を含む。
尚、サーバ装置10の記憶部110が記憶する情報(飲酒履歴112、推定モデル情報113、状態推定結果114、実際状態115、飲料情報116等)は、例えば、企業等の組織内で共有され、複数のユーザ間で有効利用される。
図3に示す状態推定時刻受付部120は、飲酒者装置20と連携して飲酒者から状態推定時刻の入力を受け付ける。状態推定時刻受付部120が受け付けた状態推定時刻は、記憶部110が状態推定時刻111として記憶する。
飲酒履歴受付部130は、飲酒者装置20と連携して飲酒者から飲酒履歴を受け付ける。受け付けた飲酒履歴は、記憶部110が飲酒履歴112として記憶する。
状態推定部140は、推定モデルを用いて状態推定時刻における飲酒者の状態を推定する。上記推定の結果(状態推定結果)は、記憶部110が状態推定結果114として記憶する。
推定結果提示部150は、飲酒者装置20と連携して状態推定結果114に基づく情報を飲酒者に提示する。
実際状態受付部160は、飲酒者装置20と連携して飲酒者から実際状態の入力を受け付ける。実際状態受付部160が受け付けた実際状態は、記憶部110が実際状態115として記憶する。
推定モデル更新部170は、実際状態115に基づき推定モデルを更新し、更新後の推定モデルに対応する内容に推定モデル情報113を更新する。
図4に飲酒者装置20が備える主な機能を示している。同図に示すように、飲酒者装置20は、記憶部210、情報入力受付部220、情報出力部230、及び通信処理部240の各機能を備える。尚、飲酒者装置20が、例えば、スマートフォンやタブレット等である場合、飲酒者装置20の機能は、クラウドサーバ等からダウンロードすることによりインストールされるアプリケーションソフトウェア(いわゆる「アプリ」)として提供してもよい。飲酒者装置20が、サーバ装置10において実現される機能の全部又は一部を実現するようにしてもよい。飲酒者装置20がWebブラウザの機能を備えている場合、飲酒者装置20の機能をWebブラウザと連携して動作するソフトウェアにより実現してもよい。
同図に示すように、記憶部110は、入力情報211、出力情報212、及び画面情報213の各情報(データ)を記憶する。記憶部110は、例えば、DBMSが提供するデータベースのテーブルや、ファイルシステムが提供するファイルとしてこれらの情報を記憶する。
入力情報211は、飲酒者から受け付けた各種の情報(状態推定時刻、飲酒履歴、実際状態等)を含む。出力情報212は、飲酒者に提示する各種の情報(状態推定結果114に基づく情報等)を含む。画面情報213は、飲酒者からの情報の入力の受け付けや飲酒
者への情報の提示に際して用いる飲酒者インタフェースに関する各種の情報(画面構成情報等)を含む。尚、ユーザインタフェースに関する情報は、サーバ装置10から飲酒者装置20に提供してもよいし、飲酒者装置20において生成してもよい。またサーバ装置10と飲酒者装置20とが連携して生成するようにしてもよい。
図4に示す情報入力受付部220は、ユーザインタフェースを介して飲酒者から情報の入力を受け付ける。受け付けた情報は、記憶部210が入力情報211として記憶する。情報出力部230は、ユーザインタフェースを介して飲酒者に各種の情報(状態推定結果114に基づく情報等)を出力する。通信処理部240は、サーバ装置10と通信し、飲酒者から受け付けた情報のサーバ装置10へ送信やサーバ装置10から送られてくる情報(状態推定結果114に基づく情報等)の受信等を行う。
図5は、飲酒者が飲酒する際に飲酒管理支援システム1において行われる処理(以下、「飲酒情報提供処理S500」と称する。)を説明するフローチャートである。以下、同図とともに飲酒情報提供処理S500について説明する。尚、以下では飲酒者装置20がスマートフォンである場合を想定して説明する。
まずサーバ装置10の状態推定時刻受付部120が、飲酒者装置20と連携して飲酒者から状態推定時刻の入力を受け付ける(S511)。飲酒者は、状態推定時刻として、例えば、飲酒した日の翌朝の起床時間を入力する。
図6に、飲酒者装置20の情報入力受付部220が、飲酒者から状態推定時刻の入力を受け付ける際に出力装置15に表示する画面(以下、「状態推定時刻入力画面600」と称する。)の一例を示す。状態推定時刻入力画面600は、例えば、ポップアップ画面として出力装置15に表示される。
飲酒者が状態推定時刻の入力欄611に状態推定時刻を入力して設定ボタン612を操作すると、入力された状態推定時刻がサーバ装置10に送信される。飲酒者は、例えば、飲酒を始める前に状態推定時刻の設定を済ませておく。
図5に戻り、続いて、サーバ装置10の飲酒履歴受付部130が、飲酒者装置20と連携して飲酒者からの飲酒履歴の入力の受付を開始する(S512)。尚、飲酒情報の受け付けは、飲酒者が終了操作を行うまで、飲酒者が新たな飲料を飲む(例えば、注文する)度に繰り返し行われる。
図7に、飲酒履歴受付部130が、飲酒者から状態推定時刻の入力を受け付ける際に出力装置15(LCD等)に表示する画面(以下、「飲酒履歴入力画面700」と称する。)の一例を示す。同図に示すように、飲酒履歴入力画面700には、アルコール飲料アイコン表示欄71、及び飲酒履歴登録欄72が設けられている。アルコール飲料アイコン表示欄71には、飲酒者に自分が飲んだ飲料の種類と量を選択させるための複数のアイコン711が整列配置されている。飲酒者は、アルコール飲料アイコン表示欄71から自分が飲んだアルコール飲料の種類と量に対応するアイコンを選択して飲酒履歴登録欄72にドラッグ&ドロップすることにより、自分が飲んだアルコール飲料の種類と量を飲酒者装置20に入力することができる。
各アイコンには、アルコール飲料の種類を示すイラストや文字が描かれている。また同じ飲料でも量ごとに異なるアイコンが用意されており(例えば、ビールは大ジョッキ、中ジョッキ、小ジョッキの3種類)、飲酒者は自分が飲んだアルコール飲料の種類と量を容易に入力することができる。尚、飲酒履歴登録欄72には、飲酒者が飲んだアルコール飲料の種類と量に対応してアイコンが並んでゆくので、飲酒者は自身の飲酒の状況(飲酒の
量や飲酒のペース等)を視覚的かつ直感的に把握することができる。そのため、飲酒者に過剰な飲酒の自制を促すことができる。
同図に示すように、飲酒履歴入力画面700には、前日の飲酒状況を表示させるための前日状況確認ボタン75や当日の現時点までの飲酒量(アルコール量)の合計量を表示させるための合計量ボタン76が設けられている。飲酒者はこれらのボタンを利用して自身の飲酒量をより確実に管理することができる。また飲酒履歴入力画面700には、飲酒者が、飲酒を終了したことを飲酒管理支援システム1に伝える際に操作する終了ボタン77が設けられている。
図5に戻り、続いて、サーバ装置10の状態推定部140が、状態推定時刻における飲酒者の状態を推定モデルを用いて推定する(S513)。尚、推定の具体的な方法については後述する。
続いて、推定結果提示部150が、飲酒者装置20と連携し、状態推定結果114に基づく状態推定結果提示情報を生成して飲酒者に提示(出力装置15(LCD等)に表示)する(S514)。
図8に、推定結果提示部150が、状態推定結果提示情報を飲酒者に提示する際に飲酒者装置20の出力装置15に表示する画面(以下、「状態推定結果提示画面800」と称する。)の一例を示す。同図に示すように、状態推定結果提示画面800には、インジケータ81、目安情報82、及びメッセージ表示欄83が設けられている。インジケータ81のバー811の長さは、状態推定時刻における飲酒者の状態(体調)を示す。バー811が長い程、飲酒者の状態が悪い(酔いが深い)ことを示す。通常は飲みが進むにつれバー811の長さが長くなる。目安情報82は、「そろそろ危険」、「二日酔いになりそう」等、インジケータ81のバー811の長さに応じて飲酒者に酔いが深くならないように注意喚起を促す情報である。メッセージ表示欄83には、「食べながら飲みましょう」、「そろそろ終了しましょう」等の飲酒者へのアドバイス情報(お薦めの行動、深酒を抑制するメッセージ等)が表示される。飲酒者は、飲酒時にインジケータ81、目安情報82、及びメッセージ表示欄83を確認することで、翌日に影響を残さない範囲で飲酒量を自制しつつ、飲酒を楽しむことができる。
図5に戻り、続いて、飲酒履歴受付部130が、飲酒者が飲酒を終了したか否かを判定する(S515)。飲酒履歴受付部130は、例えば、前述した飲酒履歴入力画面700の終了ボタン77が操作されたことを検知した場合に飲酒者が飲酒を終了したと判定する。飲酒履歴受付部130が、飲酒者が飲酒を終了していないと判定した場合(S515:NO)、処理はS512に戻る。一方、飲酒履歴受付部130が、飲酒者が飲酒を終了したと判定した場合(S515:YES)、処理はS516に進む。
S516では、実際状態受付部160が、飲酒者装置20と連携し、飲酒者から実際状態の入力を受け付ける。
図9に、実際状態受付部160が飲酒者から実際状態の入力を受け付ける際に飲酒者装置20が出力装置15に表示する画面(以下、「実際状態入力受付画面900」と称する。)の一例を示す。同図に示すように、実際状態入力受付画面900には、メッセージ表示欄91、状態選択欄92、程度入力欄93、前日飲酒状況表示欄94、合計量ボタン95、及びOKボタン96が設けられている。
メッセージ表示欄91には、飲酒者に実際状態の入力を促すメッセージが表示される。状態選択欄92には、二日酔いの典型的な状態の種類(「頭が痛い」、「だるい」、「吐
き気がする」、「食欲不振」、「胸のむかつき」、「その他」等)に対応する複数のボタン922が表示される。飲酒者は、ボタン922を操作することにより、実際状態を容易に入力することができる。尚、飲酒者が「その他」が表示されているボタン922を操作すると、実際状態受付部160は、例えば、自由記入欄を表示し、飲酒者は表示された自由記入欄に実際状態を文書により入力することができる。
程度入力欄93には、飲酒者の実際状態の程度を示すアナログバー931が表示される。飲酒者はアナログバーを操作することで、実際状態の程度を容易に入力することができる。前日飲酒状況表示欄94には、飲酒者が前夜の飲酒の内容がアイコン形式で表示される。飲酒者が合計量ボタン95を操作すると、前日の飲酒量(アルコール量)が視覚的に表示される。飲酒者は前日飲酒状況表示欄94のアイコンや表示される合計量を見て昨日の飲酒の状況を振り返ることができ、例えば、次回の飲酒時の参考にすることができる。
飲酒者がOKボタン96を操作すると、実際状態入力受付画面900に設定された内容がサーバ装置10に送信される。サーバ装置10の実際状態受付部160は、送られてきた内容を実際状態115として記憶する。
図5に戻り、続いて、推定モデル更新部170が、実際状態115に基づき推定モデルを更新し、推定モデル情報113を、更新後の推定モデルに対応する内容に更新する(S517)。推定モデル(推定モデル情報113)が更新されることで、飲酒者の個々人の状態推定時刻におけるアルコール濃度の推定精度が向上し、図8のインジケータ81にはより正確な推定結果が表示されるようになる。
続いて、図5のS513において状態推定部140が行う状態推定の具体的な方法について説明する。
図10は、ある種類のアルコール飲料を1杯飲んだときの人の血中あるいは呼気中のアルコール濃度(以下、「体内アルコール濃度」と称する。)の変化特性(時間変化)の例である。同図に示すグラフの横軸は、飲酒を開始した時点(以下、「T0」とする。)からの経過時間である。また縦軸は、体内アルコール濃度(以下、「A(T)」とする。)である。
ここで飲酒により摂取されたアルコールは瞬間的に体内に吸収されるわけではなく、ある程度の時間をかけて徐々に吸収されていく。時刻Tにおける体内アルコール濃度A(T)は、近似的に次式で表すことができる。
A(T)=α(T-T0)-g(T-T0) (0≦T<T1) ・・・式1
ここでαは体内へのアルコールの吸収の速さを表すパラメータであり、gはアルコールの影響からの回復能力を表す個人毎に固有のパラメータ、T1は摂取したアルコールの吸収が終了する時刻である。飲酒により上昇したアルコール濃度A(T)は、一定の回復能力gで低下してゆく(符号1014で示すグラフ)。
同図に示すD1は、人の体内でアルコールの分解が無くアルコールの吸収のみが行われるとした場合(符号1011で示すグラフ)における、時刻T1でのアルコール濃度A(T)である。D1は、摂取したアルコールの量に比例(D1=α(T1-T0))し、例えば、近似的に「飲酒量(ml)×アルコール度数(%))/(833×体重W(kg))」と表すことができる。尚、飲酒した内容からの、体内に取り込まれたアルコール量への換算は、例えば、飲料情報116を用いて行う。
アルコールの吸収の速さが体内のアルコールの処理能力よりも速い場合、時刻T1までは体内アルコール濃度A(T)は増加(符号1012で示すグラフ)し、時刻T1で最大
となる(符号1013)。その後、体内アルコール濃度A(T)は次式に従って低下していく(符号1014)。
A(T)=D1-g(T-T0) (T≧T1、A(T)=0となるTまで)
・・・式2
尚、T≧T1では式中からαが消えているが、例えば、αがより小さい値であったとするとA(T)の増加は緩やかになり(図10の符号1015)、吸収が終了した後のT2以降の時刻(このときA(T)は最大値(符号1016)となる)からは、より大きいαの場合と同じように体内アルコール濃度A(T)は減少して行く(図10の符号1014で示すグラフ)。
状態推定部140は、式2に基づき、即ち、状態推定時刻JにおけるA(T)の値A(J)に基づき飲酒者の状態推定を行う。状態推定部140は、例えば、A(J)が十分に低い値(DSとする)以下であれば、アルコールが飲酒者の状態に与える影響は十分に小さいと推定し、A(J)がDSよりも大きければアルコールが飲酒者の状態に影響を与えていると推定する。例えば、図10の例では、時刻TがJ1の時、状態推定部140は、アルコールが飲酒者の状態に無視できない影響を与えていると推定し、一方、時刻TがJ2の時はアルコールが飲酒者の状態に与える影響は十分に小さいと推定する。
<状態推定結果の表示方法>
図11は、図5のS514において、推定結果提示部150が、インジケータ81の表示のために、状態推定時刻における飲酒者の状態の分類する方法の一例を説明する図である。本例は、飲酒者の状態を6つ(「問題なし」、「状態レベル0」~「状態レベル4」)に分類する場合である。
同図において、H[i](iは0~4の整数)は、各状態レベルの境界値である。「状態レベル0」は、影響が最も軽い状態であり、これよりも低いレベルの状態は全く問題の無い状態(A(J)がDS以下)である。一方、「状態レベル4」は、最も深刻な状態(飲酒者が出勤することもできないような状態)である。推定結果提示部150は、推定したA(J)がH[i]で区切られたいずれの状態レベルに含まれるかを判定し、状態レベルに応じた長さで図8のインジケータ81のバー811を表示する。
<推定モデルの更新方法>
続いて、図5のS517において推定モデル更新部170が行う推定モデルの更新方法について説明する。
まず推定モデル更新部170は、図5のS516において飲酒者が図9のアナログバー931を操作して入力した実際状態の程度を、前述した状態レベルのいずれかに分類することにより、推定モデルの更新に用いるパラメータ値(以下、Sとする)を求める。例えば、図11において、飲酒者がアナログバー931を操作して入力した実際状態の程度がH[i]+H[i+1]の間であった場合、推定モデル更新部170は、状態の程度が分類される状態レベルの両端の境界値の中点の値(=(H[i]+H[i+1])/2)を上記のSの値とする。例えば、図11において、飲酒者がアナログバー931を操作して入力した実際状態の程度が符号1211で示す値である場合、推定モデル更新部170は、符号1212で示す値(=(H[1]+H[2])/2)をSの値とする。
続いて、推定モデル更新部170は、次式に基づき、回復能力を表すパラメータgを新たな値g'に更新する。
g'=g-r{(S-A(J)}/{(J-T0)} ・・・式4
上式において、rは、更新の度合いを調整するための計数(1≧r>0)であり、例えば0.5とする。推定モデル更新部170は、推定モデル情報113におけるgを更新後
のg'に更新し、次回の計算に備える。
このように、飲酒者が飲酒をする度にgの値は更新されていく。ここで当日の飲酒者の酔い方に影響を与える要因の全てを把握することは困難である。また実際状態は飲酒者が主観的に入力する情報であるため、判断基準に一定のあいまいさやゆらぎが含まれてしまうことはやむを得ない。しかし上記のgの更新方法によれば、過去のgの値が加重平均の形で、影響を薄めながらも反映されていくため、把握できない要因からの影響や飲酒者の主観のばらつきの影響は飲酒の回数が増えるにつれ薄れてゆき、推定モデルは、飲酒者毎の回復能力の推定精度が高まる方向に改善されていく。尚、式4はαを含んでおらず、gは飲酒者が入力した実際状態に基づく値であるSを用いて更新することができる。そのため、アルコール計測器等の専用の装置を用いることなく、状態推定時刻における飲酒者の状態の推定精度を向上させることができる。
<飲酒履歴の他の入力方法>
以上では、飲酒履歴の入力を、図7に示す飲酒履歴入力画面700を用いて飲酒者が行うが、他の方法を用いてもよい。例えば、飲食店に設けられている店舗システムを通信ネットワーク5に接続し、サーバ装置10や飲酒者装置20が店舗システムと通信して注文履歴を取得し、取得した注文履歴を用いて飲酒履歴を生成するようにしてもよい。この場合、飲酒者IDと注文データとの対応は、例えば、飲酒者装置20やサーバ装置10が店舗システムと通信することにより行うようにすればよい。そのようにすれば、飲酒管理支援システム1は、飲酒者の飲酒履歴を確実に取得することができ、また飲酒者にとっても入力の手間がなく気軽に飲酒管理支援システム1を利用することができる。尚、飲酒履歴の入力を省力化する他の方法として、飲酒者装置20にインストールされている決済用のアプリを利用する方法、飲酒者装置20に搭載されているカメラでアルコール飲料を撮影し、画像認識により飲酒履歴を自動入力する方法等も考えられる。
<複数杯を飲酒する場合>
以上では、アルコール飲料を1杯飲んだ場合を例として説明したが、実際の飲酒の場面では複数杯を飲酒することも多い。以下、複数杯を飲酒した場合の取り扱いについて説明する。
図12は、アルコール飲料を複数杯飲んだ場合における体内アルコール濃度の変化特性の例である。この例は、飲酒者が時刻T0に1杯目を飲んだ後、1杯目のアルコールの吸収が終わる時刻T1の前の時刻T2に2杯目を飲んだ場合である。この場合の時刻T1までの体内アルコール濃度A(T)の変化は、1杯目と2杯目の合計を一度に飲んだ場合と変わらない(符号1111で示すグラフ)。またこのように2杯目を飲んだ時刻T2が1杯目の吸収終了時刻T1よりも後の場合、1杯目の吸収終了時刻T1後に体内アルコール濃度A(T)は一旦低下し始める(符号1112で示すグラフ)。しかし2杯目を飲むことで再びアルコールの吸収が始まり、体内アルコール濃度A(T)は再び上昇し(符号1113で示すグラフ)、2杯目飲んだ飲料のアルコールの吸収が終了した時刻T3から体内アルコール濃度A(T)は再び下降に転じる(符号1114で示すグラフ)。この様子は、前述した式2のD1を1杯目と2杯目のアルコールの摂取量の総量(D1+D2)で置き換えた次式で表すことができる。
A(T)=D1+D2-g(T-T0) (T≧T3、A(T)=0となるTまで)
・・・式3
尚、飲酒者が3杯目以上を飲んだ場合の取り扱いについても以上と同様である。
以上詳細に説明したように、本実施形態の飲酒管理支援システム1によれば、飲酒者にとって負担の少ない方法で飲酒者の飲酒履歴を取得し、飲酒量の抑制を促すための情報を飲酒者に提供することができる。また飲酒者毎に調整された推定モデルが生成されるので
、各飲酒者に適した内容(飲酒者の体質や飲酒の態様等に応じた内容)の、飲酒者の飲酒管理を支援する情報を提供することができる。また以上の方法は、飲酒履歴の入力や実際状態の入力に際し、アルコール濃度計測器等の専用の装置が不要であるため、飲酒者は様々な情況下で飲酒管理支援システム1を手軽に利用することができる。このように本実施形態の飲酒管理支援システム1によれば、飲酒者への負担が少ない方法で飲酒者の飲酒の管理を効果的に支援することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態の飲酒管理支援システム1は、飲酒者が摂取するアルコール飲料に注目して状態推定時刻における飲酒者の状態を推定する。第2実施形態の飲酒管理支援システム1は、飲酒時あるいは飲酒を開始する前に飲酒者が摂取するアルコール飲料以外の食物(ノンアルコール飲料を含む。)の影響も考慮して状態推定時刻における飲酒者の状態を推定する。尚、第2実施形態の飲酒管理支援システム1の基本的な構成は第1実施形態の飲酒管理支援システム1と同様である。以下、第1実施形態と異なる点を中心として説明する。
図13に、第2実施形態のサーバ装置10が備える主な機能を示している。同図に示すように、第2実施形態のサーバ装置10の記憶部110は、第1実施形態のサーバ装置10の記憶部110が記憶する情報に加えて、アルコール飲料以外の食物の摂取履歴の情報である摂取履歴117を記憶する。また第2実施形態のサーバ装置10の飲酒履歴受付部130は、上記摂取履歴を飲酒履歴とともに飲酒者から受け付ける。また第2実施形態のサーバ装置10の状態推定部140は、第1実施形態のサーバ装置10における方法とは異なる方法で状態推定時刻における飲酒者の状態を推定する。また第2実施形態のサーバ装置10の推定モデル更新部170は、第1実施形態のサーバ装置10における方法とは異なる方法で推定モデルを更新する。
図14は、飲酒者が飲酒する際に第2実施形態の飲酒管理支援システム1において行われる処理(以下、「飲酒情報提供処理S1400」と称する。)を説明するフローチャートである。飲酒情報提供処理S1400は、図5に示した第1実施形態の飲酒情報提供処理S500と基本的な流れは共通するが、飲酒情報提供処理S1400では、飲酒履歴受付部130が飲酒者から摂取履歴を受け対ける処理(S1413)が追加されている。また状態推定部140が行う飲酒者の状態の推定方法(S1414)は、第1実施形態の飲酒情報提供処理S500の飲酒者の状態の推定方法(S513)と異なる。また推定モデル更新部170が行う推定モデルの更新方法(S1418)は、第1実施形態の推定モデル更新部170が行う推定モデルの更新方法(S517)と異なる。
図15は、図14のS1413において、第2実施形態の飲酒者装置20が表示する画面(以下、「飲酒履歴入力画面1500」と称する。)である。飲酒履歴入力画面1500は、図7に示した飲酒履歴入力画面700の構成と類似するが、アルコール飲料以外の食物や飲料のアイコンの表示欄(以下、「食物アイコン表示欄73」と称する。)が設けられている点が異なる。同図に示すように、食物アイコン表示欄73には、つまみ類(唐揚げ、枝豆、チーズ等)、アルコールの影響を抑制する食物、ノンアルコール飲料(サプリメント、チェイサー、ソフトドリンク等)等に対応するアイコン(以下、「食物アイコン731」と称する。)が表示される。
飲酒者は、食物アイコン表示欄73に表示されている食物アイコン731を飲酒履歴登録欄72にドラッグ&ドロップすることにより、アルコール飲料以外の自分が食べた食物の種類と量を飲酒者装置20に容易に入力することができる。尚、同図には例示していないが、食物の種類と量に応じたアイコンを食物アイコン表示欄1311に表示し、飲酒者が、自分が食べた食物の種類と量を飲酒者装置20に簡便に入力できるようにしてもよい
このように飲酒履歴入力画面1500には、アルコール飲料のアイコンとともにアルコール飲料以外の食物や飲料のアイコンが表示されるので、飲酒者は、飲酒履歴とともにアルコール飲料以外の食物の摂取履歴を飲酒者装置20に容易に入力することができる。飲酒履歴の場合と同様、入力された摂取履歴はサーバ装置10に送信され、サーバ装置10の記憶部110は、送られてきた摂取履歴を摂取履歴117として記憶する。摂取履歴117は、飲酒者ID、飲酒日時を示す情報、及び摂取履歴を対応づけた情報を含む。
図16は、図14のS1414において、第2実施形態のサーバ装置10の状態推定部140が行う状態推定の具体的な方法を説明する図であり、体内アルコール濃度A(T)の変化特性を示す図である。同図に示すグラフの横軸や縦軸、記号(D1、DS、T0、T1、J)の意味については第1実施形態(図10)と同様であるので説明を省略する。
第2実施形態の状態推定部140は、0≦T<T1の期間における体内アルコール濃度A(T)を次式から求める(符号1611で示すグラフ、又は符号1612で示すグラフ)。
A(T)=α(T-T0)-gβ(T-T0) (0≦T<T1) ・・・式5
上式におけるαやgは第1実施形態と同様であり、αは体内へのアルコールの吸収の早さを表すパラメータ、gは個人毎に固有のアルコールの影響からの回復能力を表すパラメータである。βは、第2実施形態で新たに導入したパラメータであり、gにアルコール飲料以外の食物の影響を作用させる(gを加速又は減速させる)パラメータである。例えば、飲酒者がサプリメント等の肝機能を亢進する効果のある食物を摂取した場合にβの値は大きくなる(回復能力が高まる。図16ではβ1<β2.)。尚、βは、食物の種類毎に設定される値である。
同図に示すように、時刻T1以降は次式に従って体内アルコール濃度A(T)は減少していく(符号1613で示すグラフ、及び符号1614で示すグラフ)。
A(T)=D1-gβ(T-T0) (T≧T1、但しA(T)=0となるTまで)
・・・式6
図14のS1418では、推定モデル更新部170が、次式に基づき回復能力を表すgを新たなg'に更新する。
g'=g-r{(S-A(J)}/{β(J-T0)} ・・・式7
上式において、β以外の記号については第1実施形態の式4と同様である。βの値は、例えば、飲酒時に同じ種類の食物を摂取することが多い飲酒者については、本人のデータ(状態推定結果、実際状態)を蓄積して設定(評価)した値を用いる。また例えば、同じ種類の食物について複数の飲酒者間で共通のβを用いてもよい(例えば、他の飲酒者のデータ(状態推定結果、実際状態)を用いて設定したβを用いる。)。
尚、βをより適切に設定して回復能力の精度をより高めるには、多くのデータ(飲酒履歴、状態推定結果、実際状態)に基づきβを設定することが有効である。しかしβに寄与する食物(食品、サプリメント等)の種類は非常に多く、必要な量のデータを取得することができない場合も想定される。また比較的多く摂取する食物であっても、データが蓄積されるまでには時間がかかる。これらの課題の解決策としては、例えば、次のような方法が考えられる。
例えば、ある飲酒者について、対象となる種類の食物を摂取した日のデータと当該食物を摂取しない日のデータが得られる場合、両者を比較してβを求める。その場合、同一人でgは共通するためβの影響のみを設定することができる。また例えば、同じ種類の食物
を摂取した飲酒者が複数存在する場合、各飲酒者のデータを統計処理(例えば、平均値を用いる。)することによりβを求めてもよい。また飲酒に際して食物を摂取する場合において、βの効果を考慮せずに第1実施形態の方法でgを更新した場合、βの効果は平均されてgに反映されるのでgβの値を設定していることになる。ここで多くの日数のデータに基づき求めたgの値は各飲酒者の正しい値に近づいていると考えられ、多くのデータ(飲酒履歴、状態推定結果、実際状態)が存在する飲酒者、所定日数(例えば10日)以上のデータのある飲酒者を選択し、該当する食物を摂取した日のgβと、摂取しない日のデータに基づき求めたgを比較すれば必要な精度でβを求めることができる。尚、飲酒者の情報には通常は多様な食物の情報が含まれているので、様々な種類の食物の効果(βへの影響)を設定することができる。
以上のように、第2実施形態の飲酒管理支援システム1は、飲酒者のアルコール飲料以外の食物の摂取履歴も考慮するので、実際の飲酒の状況をより正確に反映したより適切な内容の、飲酒者の飲酒管理を支援する情報を提供することができる。また飲酒者は、例えば、飲酒時にどのような食物(つまみ、サプリメント等)を摂取すれば二日酔いになりにくくなるかといった情報も得ることができる。
<体内のアルコール濃度の最大値に基づく注意喚起>
ところで、αがα1であるときの体内アルコール濃度A(T)の上がり方(図10の符号1012で示すグラフの傾き)と、αがα1より小さい(吸収の速度が遅い)α2(α1>α2)ときの体内アルコール濃度A(T)の上がり方(図10の符号1015で示すグラフの傾き)は異なるが、体内アルコール濃度A(T)の下がり方、即ち、時刻JにおけるA(J)は近似的に等しい。一方、アルコールの体内への吸収が終了する時刻は異なるため、αがα1のときの最大値(符号1013)とαがα2のときの最大値(符号1016)は異なる(本例ではA(T1)>A(T2))。即ち、αの値に応じて体内アルコール濃度A(T)の最大値は異なる。ここで体内アルコール濃度A(T)の最大値は、飲酒者の酩酊具合と密接な関係があり、上記最大値は、飲酒時の危険度(急性アルコール中毒の危険性や人体へのダメージ当)と相関があり、後の時刻における体調にも影響を与える。そこで、例えば、式1と式2に基づき体内アルコール濃度A(T)の最大値を推定し、推定した最大値が予め設定した閾値を超える場合に飲酒者に注意を促す情報を出力(例えば、メッセージ(例えば、図7の飲酒履歴入力画面700の符号78)を表示)するようにしてもよい。
<αの設定について>
βと同様にαは摂取する非アルコールの摂取物の種類に依存し、食物には非常に多くの種類がある点が課題となる。そこでβ同様、複数の飲酒者間で同じ種類のつまみ等についてのαに共通の値を用い、同じ飲酒者のデータが各食物について十分存在しない場合でも設定できるようにする。尚、αは、摂取したアルコールの体内への吸収が完了する前に設定する必要がある点でβとは取り扱いが異なる。
通常、飲酒者が飲酒している最中に体内アルコール濃度A(T)を主観で正確に設定することは困難である。そこで例えば、実験室等において、アルコール濃度計測装置を用い、アルコールと注目する食物とを摂取してから所定時間後における体内アルコール濃度A(T)を計測してαを求めるようにしてもよい。尚、体内アルコール濃度A(T)の計測は、アルコールの吸収が完了する前に行う必要があるため、短い時間(例えば15分程度)で計測を済ませることが好ましい。また以上のようにして様々な種類の食物について値を求めておき、求めたαを推定モデル情報113として記憶しておくようにする。βと同様にαについても複数の飲酒者間で共有するようにしてもよい。
<複数種の食物を摂取した場合>
ところで、複数種の食物を摂取した場合、即ち、複数の要因がαやβに影響を与える場合、αやβは、例えば、以下のようにして設定するようにする。尚、以下ではαを設定する場合を例として説明するが、βについても同様の方法で設定することができる。
図17は、摂取履歴117の一例である。同図に示すように、例示する摂取履歴117は、レコードID1171、取得日時1172、飲酒者ID1173、食物ID1174、及びα1175の各項目を有する1つ以上のレコードで構成される。レコードID1171には、各レコードの識別子であるレコードIDが設定される。取得日時1172には、当該レコードの情報の取得日時が設定される。飲酒者ID1173には、飲酒者IDが設定される。食物1174には、食物の識別子である食物IDの一つ以上が設定される。α1175には、後述する食物の組み合わせ毎に設定されたαの識別子が設定される。
ここで例えば、レコードID1171が「1」のレコードのように、飲酒者が複数の食物(チーズ、からあげ)を摂取した場合、飲酒者が最も空腹の時におけるαの値(以下、「α0」とする)との乖離が大きいもの、即ち要因(摂取した食物)の影響が最大ととなるαの値を選択する。例えば、からあげのαであるα(からあげ)と空腹時のαであるα0との比が0.9であり、チーズのαであるα(チーズ)とα0との比が0.95であった場合、α(からあげ)の値をαの値として選択する。また食物の組合せについてαを定義してもよく、例えば、新たにα(チーズ&からあげ)というパラメータを設け、α(からあげ)、α(チーズ)とは独立に取り扱うようにしてもよい。尚、食物の組合せは膨大であり、各組合せについて定義したαを決定するには十分なデータを取得することは困難である。しかし複数の飲酒者の間で共通のαを用いる場合は、複数人から十分な数のデータを取得できる可能性が高まり、各組合せについて定義したαを設定することが可能になる。
[第3実施形態]
第3実施形態の飲酒管理支援システム1は、飲酒者の体調(飲酒による影響が無い場合の体調)を考慮しつつ、状態推定時刻における飲酒者の状態を推定する。アルコールの影響からの回復能力は、飲酒者の体調の影響を少なからず受ける。そこで体調面の影響を考慮したβをβcとし、食物の影響を考慮した場合のβをβsとして、アルコールの影響からの回復能力をg×βc×βsと表す。ここでこのg×βc×βsの値は、例えば、第2実施形態においてβを求めた際と同様の方法で求めることができる。第3実施形態の飲酒管理支援システム1の基本的な構成は第2実施形態の飲酒管理支援システム1と同様である。以下、第2実施形態と異なる点を中心として説明する。
図18に、第3実施形態のサーバ装置10が備える主な機能を示している。同図に示すように、第3実施形態のサーバ装置10の記憶部110は、第2実施形態のサーバ装置10の記憶部110が記憶する情報に加えて、飲酒者の体調を示す情報である体調関連情報を含む体調関連情報118を記憶する。また第2実施形態のサーバ装置10は、飲酒者から体調関連情報を受け付ける体調関連情報取得部180を更に備える。第3実施形態のサーバ装置10の状態推定部140は、飲酒者の体調も考慮して状態推定時刻における飲酒者の状態を推定する。
図19は、体調関連情報取得部180が飲酒者から体調関連情報の入力を受け付ける際に飲酒者装置20が出力装置15に表示する画面(以下、「体調関連情報受付画面1900」と称する。)の一例である。同図に示すように、体調関連情報受付画面1900は、飲酒者から飲酒者の体調に関する情報(体温、体重、歩数、起床時刻、就寝時刻、脈拍等)の入力を受け付ける体調関連情報入力欄1911とOKボタン1912とを有する。飲酒者が、体調関連情報入力欄1911に内容を入力してOKボタン1912を操作すると、体調関連情報入力欄1911に入力した内容(体調関連情報)がサーバ装置10に送ら
れ、サーバ装置10の記憶部110が体調関連情報118として記憶する。
尚、体調関連情報取得部180が、同図に示す情報以外の飲酒者の体調に影響を及ぼす可能性のある情報(身長や性別、生理の有無、起床時刻、就寝時刻、食事等の生活習慣に関する情報、勤務時間、勤務内容等の作業に関する情報、気象情報(気温、湿度、気圧等)等)を取得し、取得した情報を用いてβcを求めるようにしてもよい。また体調関連情報取得部180が、飲酒者が入力する方法以外に、例えば、飲酒者装置20に設けられている(もしくは飲酒者装置20と通信可能に接続された)各種センサ17から情報を取得する等、体調関連情報取得部180が他の方法により飲酒者の体調関連情報を取得するようにしてもよい。例えば、体調関連情報取得部180は、加速度センサを用いて設定した歩数等の情報を取得する。また例えば、体調関連情報取得部180が、外部の情報処理システムから飲酒者の勤務に関係する情報を取得するようにしてもよい。また体調関連情報取得部180が、外部の情報提供サービスから気象情報等を取得するようにしてもよい。
ところで、体調に関わる情報の数や組合せは膨大であり、しかもその多くはアナログ値で表されるため、情報処理を効率よく行うことができるように、例えば、βcを求めるための情報を、影響が大きいと考えられるいくつかの情報の種類に絞る、一定の基準を満たしている情報を選出する等してもよい。
図20はβcの設定方法の一例である。各レコードはβcのバリエーションの一つに対応する。列方向には体調に関する情報が列挙されている。同図において、1は情報(睡眠時間、前日のA(J)、歩数等)が条件を満たすことを示し、0は条件を満たさないことを示す。このように飲酒者の体調に応じてβcを設定することができる。
飲酒者装置20が、例えば、スマートフォンやタブレットのように撮影装置(カメラ)を備えている場合、撮影装置により撮影された画像や映像を利用してαを設定してもよい。例えば、飲酒により脈拍数が上がることが知られており、飲酒者は、撮影装置により脈拍数を計測する(カメラの撮影映像に基づき脈拍を計測するアプリは公知である)。そして例えば、サーバ装置10に予め実験で求めた脈拍数と体内のアルコール濃度のテーブルを記憶しておき、これを用いて脈拍数から体内のアルコール濃度を推定し、推定結果に基づきαを求めるようにする。またアルコールを摂取すると顔が赤くなりやすい人もいる。このような人については、サーバ装置10が、例えば、アルコール濃度計測器の計測結果とカメラによる顔色計測結果の対応を記録しておき、撮影装置により撮影した画像を上記対応と照合して体内のアルコール濃度を推定するようにしてもよい。これによりアルコール濃度計測器を携帯せずにαを求めることができる。
またこの場合、飲酒開始後、アルコールの吸収が終わる前(空腹時のαを用い飲酒量を考慮して推定したT1よりも前)に図8に示したメッセージ表示欄83等に飲酒者に脈拍数の計測を行うように促すメッセージを表示するようにしてもよい。尚、表示するタイミングが早過ぎるとアルコールの吸収量が少なく、体への影響が測りにくいため、なるべくT1に近いタイミング(例えばT1の5分前)に上記の表示を行うことが好ましい。
[第4実施形態]
第4実施形態の飲酒管理支援システム1は、αやβの値をアルコール濃度計測器(例えば、呼気アルコールノード計測器)から得られる情報を用いて設定する。アルコール濃度計測器は、飲酒者装置20が各種センサ17として備えていてもよいし、通信装置16を介して接続可能な外部接続するタイプのものでもよい。またサーバ装置10や飲酒者装置20とは独立したアルコール濃度計測器で計測された値を飲酒者が飲酒者装置20に入力するようにしてもよい。第4実施形態の飲酒管理支援システム1の他の構成は第2実施形態又は第3実施形態の飲酒管理支援システム1の構成と基本的に同様である。
アルコール濃度計測器を用いることで、αやβの値をより精度よく設定することができる。また脈拍数等の他の情報と併せることで、さらに精度を高めることができる。尚、所定人数の飲酒者についてアルコール濃度計測器を用いて計測された情報に基づき設定したαやβの値を、例えば、サーバ装置10を介して他の飲酒者の飲酒者装置20と共有すれば、他の飲酒者についてアルコール濃度計測器を用いずに精度よく状態推定時刻における飲酒者の状態を推定することができる。
尚、車両の運転業務等のように、日常的にアルコール検査を実施して安全確保に努めているような現場には、通常はアルコール濃度計測器が備えられている。また昨今では小型のアルコール濃度計測器も登場しており、携帯性や操作性に優れたスマートフォンやタブレット等にも実装可能な情況になりつつある。これらのアルコール濃度計測器を用いることで、飲酒者は飲酒管理支援システム1の仕組みを簡便に利用することができる。また飲酒者装置20(例えば、スマートフォンやタブレット)が備えているユーザ認証機能(顔画像認識や指紋認識等の生体認証機能)と組み合わせることで、アルコール濃度計測器から得られたデータが本人のものであるか否かを確認するようにしてもよい。
[第5実施形態]
第4実施形態では、体内アルコール濃度を計測してαやβを設定するようにしたが、第5実施形態では、更に体内のアセトアルデヒド濃度(以下、「体内アセトアルデヒド濃度」と称する。)を計測し、体内アルコール濃度と体内アセトアルデヒド濃度とに基づきαやβの設定を行う。尚、体内アセトアルデヒド濃度の計測は、例えば、アルコール濃度計測器に設けられている体内アセトアルデヒド濃度の計測機能を用いて行う。第5実施形態の飲酒管理支援システム1の他の構成は第4実施形態の飲酒管理支援システム1の構成と基本的に同様である。
図21は、体内に摂取されたアルコールが吸収され分解される過程を説明する図である。また図22は、図21を補強する図であり、体内アルコール濃度と体内アセトアルデヒド濃度の変化を示す図である。
図21に示すように、体内に摂取されたアルコールは腸や胃で吸収され(S2111)、その結果、図22に示すように体内アルコール濃度が上昇する(符号2211で示すグラフ)。この際の吸収の速さを反映させたパラメータはαに相当する。
体内アルコール濃度は、体内に摂取されたアルコール量から体内で分解されるアルコール量を差し引くことで求められる。この体内アルコール濃度とアルコール濃度計測器で計測されるアルコール濃度は比例関係にある。
図21に示すように、アルコールが体内で分解されるとアセトアルデヒドが生成される(S2111)。この分解プロセスには、個人毎に固有の分解能力を反映させたパラメータg1と、摂取した食物による影響を反映させた、アルコールの分解能力を表すパラメータβ1が関与する。体内アルデヒド濃度は、生成されたアセトアルデヒドから体内で分解するアセトアルデヒドの量を差し引くことで求められる(図22の符号2213)。この体内アセトアルデヒド濃度とアルコール濃度計測器で計測されるアセトアルデヒド濃度は比例関係にある。
図21に示すように、アセトアルデヒドは体内で分解され(S2113)、酢酸等の無害物質に分解されて最終的に水とCO2となる。このアセトアルデヒドの分解には、個人
毎に固有の分解能力を反映させたパラメータg2と、摂取した食物による影響を反映させた、アセトアルデヒドの分解能力を表すパラメータβ2が関与する。
ここでアルコールの分解に関わる酵素(アルコール脱水素酵素ADH)と、アセトアルデヒドの分解に関わる酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素ALDH)は異なり、アルコールの分解能力は個人毎に異なる。そのため、アルコールの分解に効果のある食物(サプリメント、つまみ、チェイサー等)の種類も個人毎に差がある。ここで第2実施形態では、アルコールの分解とアセトアルデヒドの分解を一体に取り扱うことによりパラメータgとβを設定した。しかし、アルコールの分解とアセトアルデヒドの分解とを分離して評価することで、個人毎の特性をより正確に反映した形で状態推定時刻における飲酒者の状態を予測することができる。そのため、本実施形態の方法によれば、個人差を考慮した適切な食物のアドバイスを飲酒者に行うことができる。
尚、計測されたアルコール濃度を用いて複数の飲酒者間の共通パラメータαとβ1、及び飲酒者固有のパラメータg1を求めるには、第2実施形態において状態の入力にアルコール濃度計測器の計測結果を用いた場合と同様に行えばよい。またパラメータα、β1、g1を求めることで、アルコール濃度計測器により計測された呼気中のアセトアルデヒド濃度を用いて、飲酒者間の共通のパラメータβ2と飲酒者毎に固有のパラメータg2を求めることができる。
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、説明した全ての構成を備えるものに必ずしも限定されるものではない。また上記実施形態の構成の一部について、他の構成の追加や削除、置換をすることが可能である。
また上記の各構成、機能部、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、IC
カード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。例えば、実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また以上に説明した各情報処理装置の各種機能部、各種処理部、各種データベースの配置形態は一例に過ぎない。各種機能部、各種処理部、各種データベースの配置形態は、これらの装置が備えるハードウェアやソフトウェアの性能、処理効率、通信効率等の観点から最適な配置形態に変更し得る。
また前述した各種のデータを格納するデータベースの構成(スキーマ(Schema)等)は、リソースの効率的な利用、処理効率向上、アクセス効率向上、検索効率向上等の観点から柔軟に変更し得る。
1 飲酒管理支援システム
5 通信ネットワーク
10 サーバ装置
110 記憶部
111 状態推定時刻
112 飲酒履歴
113 推定モデル情報
114 状態推定結果
115 実際状態
116 飲料情報
120 状態推定時刻受付部
130 飲酒履歴受付部
140 状態推定部
150 推定結果提示部
160 実際状態受付部
170 推定モデル更新部
20 飲酒者装置
210 記憶部
211 入力情報
212 出力情報
213 画面情報
220 情報入力受付部
230 情報出力部
240 通信処理部

Claims (13)

  1. 飲酒の管理を支援する情報処理システムであって、
    飲酒時における飲酒者の飲酒履歴、及び飲酒者が飲酒した後の前記飲酒者の体の状態を推定する時刻である状態推定時刻を取得し、
    前記飲酒履歴に基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルである推定モデルを記憶し、
    前記状態推定時刻における前記飲酒者の体内のアルコール濃度を前記推定モデルに基づき推定し、推定した前記アルコール濃度に基づき、前記状態推定時刻における前記飲酒者の体の状態を示す情報である状態推定結果を生成し、
    前記状態推定時刻又は前記状態推定時刻の近傍の時刻における前記飲酒者の実際の体の状態を示す情報である実際状態情報を取得し、
    前記飲酒履歴、前記状態推定結果、及び前記実際状態情報に基づき、前記推定モデルを更新し、
    飲酒時又は飲酒前における飲酒者のアルコール飲料以外の食物の摂取履歴を取得し、
    前記推定モデルは、前記飲酒履歴と前記摂取履歴とに基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルであり、
    前記推定モデルは、前記飲酒者の摂取したアルコールの影響からの回復能力を表すパラメータであるパラメータgと、前記パラメータgに前記飲酒者が摂取した前記食物の影響を作用させるパラメータであるパラメータβと、を用いて表され、
    前記パラメータβは、前記飲酒の後かつ前記状態推定時刻よりも前の時刻に前記飲酒者について計測されたアルコール濃度に基づき求められる、
    飲酒管理支援システム。
  2. 請求項に記載の飲酒管理支援システムであって、
    前記パラメータβは食物の種類毎に設定され、複数の飲酒者について共通の前記パラメータβを用いる、
    飲酒管理支援システム。
  3. 請求項に記載の飲酒管理支援システムであって、
    前記推定モデルは、飲酒者のアルコールの吸収能力を表すパラメータであるパラメータαと、前記飲酒者の摂取したアルコールの影響からの回復能力を表すパラメータであるパラメータgと、前記パラメータgに前記食物の影響を作用させるパラメータであるパラメータβと、を用いて表される、
    飲酒管理支援システム。
  4. 請求項3に記載の飲酒管理支援システムであって、
    前記パラメータαは、前記飲酒者について飲酒開始後の所定期間に計測された体内のアルコール濃度又はアセトアルデヒド濃度に基づき求められる、
    飲酒管理支援システム。
  5. 請求項に記載の飲酒管理支援システムであって、
    前記推定モデルに基づき飲酒者の体内のアルコール濃度の最大値を求め、求めた最大値が予め設定された閾値を超える場合に前記飲酒者に注意喚起を促す情報を出力する、
    飲酒管理支援システム。
  6. 飲酒の管理を支援する情報処理システムであって、
    飲酒時における飲酒者の飲酒履歴、及び飲酒者が飲酒した後の前記飲酒者の体の状態を推定する時刻である状態推定時刻を取得し、
    前記飲酒履歴に基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルである推定モデルを記憶し、
    前記状態推定時刻における前記飲酒者の体内のアルコール濃度を前記推定モデルに基づき推定し、推定した前記アルコール濃度に基づき、前記状態推定時刻における前記飲酒者の体の状態を示す情報である状態推定結果を生成し、
    前記状態推定時刻又は前記状態推定時刻の近傍の時刻における前記飲酒者の実際の体の状態を示す情報である実際状態情報を取得し、
    前記飲酒履歴、前記状態推定結果、及び前記実際状態情報に基づき、前記推定モデルを更新し、
    前記実際状態情報として、前記状態推定時刻又は前記状態推定時刻の近傍の時刻において前記飲酒者について計測されたアルコール濃度又はアセトアルデヒド濃度を取得する、
    飲酒管理支援システム。
  7. 請求項に記載の飲酒管理支援システムであって、
    飲酒時又は飲酒前における飲酒者のアルコール飲料以外の食物の摂取履歴を取得し、
    前記推定モデルは、前記飲酒履歴と前記摂取履歴とに基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルである、
    飲酒管理支援システム。
  8. 請求項に記載の飲酒管理支援システムであって、
    アルコール飲料の種類毎に用意された画像と前記画像の入力領域とを表示し、
    飲酒者が自身が飲んだアルコール飲料の前記画像を前記入力領域に移動させる操作を受け付け、
    前記操作が行われた画像を前記入力領域に順に整列して表示し、
    前記操作に基づき前記飲酒履歴を生成する、
    飲酒管理支援システム。
  9. 請求項に記載の飲酒管理支援システムであって、
    前記状態推定結果を、飲酒者のアルコールによる影響が視覚的に把握可能な態様で提示しつつ前記飲酒履歴の入力を受け付けるユーザインタフェースを備える、
    飲酒管理システム。
  10. 飲酒の管理を支援する情報処理システムであって、
    飲酒時における飲酒者の飲酒履歴、及び飲酒者が飲酒した後の前記飲酒者の体の状態を推定する時刻である状態推定時刻を取得し、
    前記飲酒履歴に基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルである推定モデルを記憶し、
    前記状態推定時刻における前記飲酒者の体内のアルコール濃度を前記推定モデルに基づき推定し、推定した前記アルコール濃度に基づき、前記状態推定時刻における前記飲酒者の体の状態を示す情報である状態推定結果を生成し、
    前記状態推定時刻又は前記状態推定時刻の近傍の時刻における前記飲酒者の実際の体の状態を示す情報である実際状態情報を取得し、
    前記飲酒履歴、前記状態推定結果、及び前記実際状態情報に基づき、前記推定モデルを更新し、
    体の状態毎に用意された複数の画像を表示し、飲酒者に前記画像を選択させることにより、前記状態推定時刻における飲酒者の実際の体の状態を示す情報を受け付け、
    受け付けた前記情報を前記実際状態情報として取得する、
    飲酒管理支援システム。
  11. 請求項10に記載の飲酒管理支援システムであって、
    飲酒時又は飲酒前における飲酒者のアルコール飲料以外の食物の摂取履歴を取得し、
    前記推定モデルは、前記飲酒履歴と前記摂取履歴とに基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルである、
    飲酒管理支援システム。
  12. 請求項10に記載の飲酒管理支援システムであって、
    前記飲酒者の実際の体の状態の程度を示す情報を受け付け、
    受け付けた前記情報を前記実際状態情報として取得する、
    飲酒管理支援システム。
  13. 飲酒の管理を支援する方法であって、
    情報処理装置が、
    飲酒時における飲酒者の飲酒履歴、及び飲酒者が飲酒した後の前記飲酒者の体の状態を推定する時刻である状態推定時刻を取得するステップ、
    前記飲酒履歴に基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルである推定モデルを記憶するステップ、
    前記状態推定時刻における前記飲酒者の体内のアルコール濃度を前記推定モデルに基づき推定し、推定した前記アルコール濃度に基づき、前記状態推定時刻における前記飲酒者の体の状態を示す情報である状態推定結果を生成するステップ、
    前記状態推定時刻又は前記状態推定時刻の近傍の時刻における前記飲酒者の実際の体の状態を示す情報である実際状態情報を取得するステップ
    前記飲酒履歴、前記状態推定結果、及び前記実際状態情報に基づき、前記推定モデルを更新するステップ、及び、
    飲酒時又は飲酒前における飲酒者のアルコール飲料以外の食物の摂取履歴を取得するステップ、
    を実行し、
    前記推定モデルは、前記飲酒履歴と前記摂取履歴とに基づき前記飲酒者の体内のアルコール濃度の変化を推定するモデルであり、
    前記推定モデルは、前記飲酒者の摂取したアルコールの影響からの回復能力を表すパラメータであるパラメータgと、前記パラメータgに前記飲酒者が摂取した前記食物の影響を作用させるパラメータであるパラメータβと、を用いて表され、
    前記パラメータβは、前記飲酒の後かつ前記状態推定時刻よりも前の時刻に前記飲酒者について計測されたアルコール濃度に基づき求められる、
    飲酒管理支援方法。
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