JP7216408B2 - 睡眠時無呼吸症候群判定装置、睡眠時無呼吸症候群判定方法および睡眠時無呼吸症候群判定プログラム - Google Patents
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Description
但し、睡眠時無呼吸症候群の判定を行うためには、睡眠段階の測定の他に、口と鼻の気流などの呼吸に伴った空気の流れの測定や、胸部および腹部の換気運動などの様々な測定を同時に行う必要がある。そして、睡眠段階の解析結果と呼吸状態の測定結果などに基づいて、医師が無呼吸症候群であるか否かを診断している。
例えば、特許文献1には、遺伝的アルゴリズムによる学習手法を改良したDatabase-based Compact Genetic Algorithmと称される手法で、マットレス型圧力センサの検出データから睡眠段階を推定する技術が記載されている。この特許文献1に記載された技術は、マットレス型圧力センサが検出した被測定者の体動と心拍に基づいて、睡眠段階を推定するものである。このようなマットレス型圧力センサを使って睡眠段階を推定することで、被測定者に負担を強いることなく、被測定者の睡眠状態を推定することができる。
したがって、従来提案されているマットレス型圧力センサの検出データから睡眠段階を検出する処理を、睡眠時無呼吸症候群の判定用にそのまま適用することは困難であった。
以下、本発明の第1の実施の形態例について、図1~図12を参照して説明する。
[1-1.睡眠時無呼吸症候群判定装置の構成]
図1は、本実施の形態例の睡眠時無呼吸症候群判定装置10の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施の形態例の睡眠時無呼吸症候群判定装置10を使って睡眠時無呼吸症候群の判定を行う状態の例を示す図である。
図2では、ベッド1の脇に睡眠時無呼吸症候群判定装置10を設置し、マットレスセンサ2と睡眠時無呼吸症候群判定装置10をケーブルで接続した例を示すが、例えばマットレスセンサ2が取得した圧力データ(生体振動データ)を、無線伝送で別の部屋の睡眠時無呼吸症候群判定装置10に伝送するようにしてもよい。
なお、以下の説明では、マットレスセンサ2が出力する圧力データを、生体振動データと称する。
生体データ取得部11は、マットレスセンサ2が出力する生体振動データを取得する生体データ取得処理を行う。生体データ取得部11が取得した生体振動データは、生体データ処理部12に供給される。
特徴量SDは、1秒ごとの生体振動データの平均値xの30秒間の分散を示す。
特徴量Rangeは、30秒間の平均値xの最大値と最小値の差を示す。
特徴量SUMは、30秒間の平均値xの積算値である。
特徴量Squareは、30秒間の平均値xの二乗値の積算値である。
特徴量LCは、1秒ごとの生体振動データの平均値xnと、その平均値xnの1つ前(1秒前)の平均値xn-1との差分の、30秒間の積算値である。
特徴量RMSは、30秒間の平均値xの二乗値の積算値を30秒間で平均してルートを求めたものである。
ここで、生体データ処理部12では、30秒ごとの複数の特徴量SD、Range、SUM、Square、LC、RMSを示すデータに対して、睡眠段階を付与するラベリング処理が行われ、そのラベリング処理が行われた特徴量のデータが、判定部13および学習部15に供給される。
ここで付与される睡眠段階は、既に知られた睡眠段階推定手法を適用して、生体振動データから取得したものである。例えば、生体振動データの特定の周波数成分のレベルと閾値とを比較して、判断した睡眠段階を、その期間の特徴量のデータに対して付与する。なお、ここで生体振動データから睡眠段階を判断する処理は、睡眠時無呼吸症候群の患者であることを考慮しない、いわゆる健常者用の睡眠段階の判断処理でよい。
学習部15での複数の決定木の生成は、学習フェーズで行われる。学習部15で生成された複数の決定木は、判定フェーズで利用され、判定部13が、複数の決定木を使った判定結果から、睡眠段階を判定して、睡眠時無呼吸症候群か否かを判定する。
このときには、生成された複数の決定木で、覚醒(WAKE)と判定されたときのルール、つまり決定木の分類経路を学習部15が抽出し、抽出したルールの種類数によって、判定部13が睡眠時無呼吸症候群か否かを判定する。
図3は、睡眠時無呼吸症候群判定装置10をコンピュータ装置で構成した場合のハードウェア構成例を示す。
コンピュータ装置Cは、バスC8に接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)C1、ROM(Read Only Memory)C2、およびRAM(Random Access Memory)C3を備える。さらに、コンピュータ装置Cは、不揮発性ストレージC4、ネットワークインターフェイスC5、入力装置C6、および表示装置C7を備える。
なお、睡眠時無呼吸症候群判定装置10を、プログラム(ソフトウェア)の実行で判定装置として機能するコンピュータ装置から構成するのは一例であり、睡眠時無呼吸症候群判定装置10の一部または全ての処理を実行する専用のハードウェアを用意してもよい。
次に、睡眠時無呼吸症候群判定装置10が睡眠時無呼吸症候群を判定する原理について、図4および図5を参照して説明する。
図4は、ある時間の間、健常者が睡眠段階を測定した例(a)と、睡眠時無呼吸症候群の患者が睡眠段階を測定した例(b)を比較した図である。なお、以下の説明では、睡眠時無呼吸症候群の患者は、SAS患者とも称する。
但し、図4の例では、(a)に示す健常者と、(b)に示すSAS患者のいずれの場合も、最も深い睡眠段階は、ステージ3のノンレム睡眠(NREM3)であり、ステージ4のノンレム睡眠(NREM4)には到達していない。
図4の健常者(a)とSAS患者(b)とを比較すると判るように、SAS患者は無呼吸が原因での覚醒(WAKE)が多発している。
一方、SAS患者の場合、睡眠段階が覚醒(WAKE)時には、様々な変化状態の生体振動が検出される。すなわち、図5の(b)の左端の特性で示すように、健常者と同様な一時的に高いレベルの生体振動となることもあるが、図5の(b)の右側の3つの特性で示すように、無呼吸による小さな体動が検出される。
SAS患者の場合、覚醒(WAKE)時には、舌が気道を塞ぐことにより無呼吸が起こり、その影響が拍動(心拍)の変化に現れる。そして、健常者では検出されない無呼吸による小さな体動が周期的に検出される。但し、図5の(b)の右端に示すように、健常者と同等の動きが覚醒(WAKE)時に検出される場合もある。
図6は、本実施の形態例の睡眠時無呼吸症候群判定装置10が睡眠時無呼吸症候群を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
睡眠時無呼吸症候群を判定する際には、最初に、図6の(a)に示す学習フェーズで学習を行って、ランダムフォレストモデルを構築する処理が行われる。その後、図6の(b)に示す判定フェーズで、被測定者の生体振動を取得して、ランダムフォレストモデルを使って、睡眠時無呼吸症候群を判定する処理が行われる。
まず、図6の(a)に示す学習フェーズについて説明すると、生体データ取得部11が被測定者の睡眠中の生体振動データの取得を開始し、生体データ処理部12は、一定時間ta秒ごとに、マットレスセンサ2が出力する生体振動データ(圧力データ)の平均値を算出し、算出した平均値を記録する(ステップS11)。ここでのta秒は、例えば1秒とする。
このようにして被測定者の睡眠段階のデータを取得すると、生体データ処理部12は、tb秒ごとの特徴量のデータに、睡眠段階を付与するラベリング処理を行う(ステップS13)。ここでのラベリング処理で付与する睡眠段階は、少なくとも睡眠段階が、覚醒(WAKE)か、または覚醒以外(Non-WAKE)かの2段階である。
生体データ処理部12で得られた睡眠段階がラベリングされた特徴量のデータは、学習部15に送られる。
また、分岐条件を決める際には、2つに分岐する処理を、例えばジニ係数と称される指標を使って、覚醒(WAKE)と覚醒以外(Non-WAKE)の2つに大きく分かれるような条件とする。
また、学習部15が、複数の決定木の組み合わせの学習を行う際には、複数の特徴量の組み合わせの種類数と、特徴量の重要度と、各特徴量の出現回数とを判断して行う。例えば、睡眠時無呼吸症候群を判定する上で、どの特徴量を使うのが重要かを学習する。
ここまでが学習フェーズで行われ、学習部15は、構築したランダムフォレストモデル(RFモデル)を記憶する。
判定フェーズでは、学習フェーズと同様に、ステップS11でのta秒ごとの被測定者の生体振動の取得処理と、ステップS12でのtb秒間ごとの特徴量の算出処理が行われる。
その後、判定部13は、学習フェーズでのステップS14で学習部15が生成したランダムフォレストモデルの複数の決定木に、覚醒(WAKE)とラベリング処理が行われた特徴量のデータを入力する(ステップS15)。
この複数の決定木に入力されたデータに基づいて、判定部13は、各特徴量のデータの分類処理が行われ、分岐結果が覚醒(WAKE)となる際に使用された経路(根ノードから葉ノードまでの一連の特徴量)を抽出する(ステップS16)。このとき、判定部13は、決定木の各分岐時においてどの種類の特徴量のデータを用いていずれに分岐するかを判断したのかに基づいて、特徴量の種類ごとに判断回数をカウントする。
特徴の数の多数決で判定する具体例については後述する。そして、出力部14が、ステップS17での判定結果を出力する。
次に、図6のフローチャートに示す流れの各処理の詳細について、図7~図12を参照して説明する。
図7は、睡眠時無呼吸症候群の患者(SAS患者)の生体振動データの例を示す。図7の横軸は時間であり、図7の(a)は長時間の測定データを示し、図7の(b)は、その長時間の測定データの一部の区間を拡大して示す。
図7に示す6段階の睡眠段階は、上側から順に、覚醒(W)、レム睡眠(R)、ノンレム睡眠のステージ1(NR1)、ノンレム睡眠のステージ2(NR2)、ノンレム睡眠のステージ3(NR3)、ノンレム睡眠のステージ4(NR4)である。
ところが、図7の例は、SAS患者の生体振動データであり、図5で説明したように、生体振動データが低い状態であっても、睡眠段階が覚醒となることがある。
一方、図7の(a)の覚醒(W)の箇所に、バツの印(×)を付けた箇所は、正解の睡眠段階PSGで覚醒(W)が検出された箇所が、生体振動データのレベルMと閾値TH1との比較で、覚醒(W)と判別されなかった箇所である。
この図7の(a)に示すように、SAS患者の場合、睡眠段階が覚醒(W)であっても、多様な生体振動状態が存在する。
本実施の形態では、ランダムフォレストモデルでの学習で、この多様な生体振動状態を捉えるようにして、SAS患者か否かを判別するようにしたものである。
ランダムフォレストモデルの決定木は、学習データ集合Sから、部分集合S1,S2,・・・,SNtreeをランダムに抽出することで構築される。SNtreeは、構築される決定木の数である。決定木の分岐箇所に示すyiは、i番目の特徴量を示す。すなわち、分岐箇所では、複数個の特徴量の内のどの特徴量を判断するのかを示す。
複数の決定木は、データを部分的に学習することで、決定木ごとに異なる学習を行うデータとなっており、複数のルールを生成したことになる。つまり、SAS患者の場合における多様な覚醒時の生体振動データの波形を捉えることになる。
また、特徴量y8が1未満でない場合(False)には、次の分岐で、特徴量y2が8未満か否かが判断される。そして、この判断で、特徴量y2が8未満のものが、睡眠段階が覚醒(W)のもの(○印)と、睡眠段階が覚醒(W)以外のもの(×印)に分離される。
このようにして、それぞれの決定木の最終的な分岐で、睡眠段階が覚醒(W)のもの(○印)と、睡眠段階が覚醒(W)以外のもの(×印)に分離されて行く。なお、図8の例では、説明を簡単にするために分岐箇所が2つのものを示すが、これは一例であり、1つの決定木がより多くの分岐箇所を持ってもよい。
特徴量の寄与度Imp(y)は、例えば次の式で算出される。
ここでのジニ係数は、図8に示すように、該当する分岐点で分岐したことで、睡眠段階が覚醒のもの(○印)と、睡眠段階が覚醒(W)以外のもの(×印)に明確に分離されるとき高くし、そうでない場合に低くする係数値である。ここでの睡眠段階は、図6のステップS13でラベリングした睡眠段階を利用する。
一方、ジニ係数の差が小さいとき、図8の左下に示すように、該当する分岐点での分岐で、睡眠段階が覚醒のもの(○印)と、睡眠段階が覚醒(W)以外のもの(×印)に明確に分離される状態を示す。
図9は、1人の被測定者の睡眠開始(入眠)から起床までの数時間の生体振動データの波形の例を示す。
本実施の形態例の場合、図9に示すような数時間の生体振動データから、30秒間ごとに特徴量を算出する処理が行われる。例えば、特徴量SD、Range、SUM、Square、LC、RMSを、30秒ごとに算出する。
そして、30秒ごとの各特徴量を示すデータに、その時点での睡眠段階(WAKEまたはNon-WALKE)をラベリングする処理が行われる。
このとき、各決定木の深さ(分岐数)と、構築する決定木の合計数を予め決めておく。例えば、決定木の深さを10段階、決定木の合計数を300とする。
図11の下側に示す特徴量ごとに示す値は、そのカウント値の一例である。
例えば、図11の例では、特徴量SD,SUMの組み合わせが80回、特徴量LC,RMSの組み合わせが100回、特徴量SD,Rangeの組み合わせが8回、特徴量Square,SUMの組み合わせが79回、・・・とカウントする。なお、ここで、10回を超えた組み合わせを1個とカウントする。そして、例えば、経路の特徴量の組み合わせの種類のカウント数が閾値を超えるとき、SAS患者であると判別する。
図12の例は、9名のSAS患者A,B,C,・・・,Iと、9名の健常者(SAS患者でない者)a,b,c,・・・,iとを判定した結果である。図12に示す18名の内で、×印を付与した者は、正しく判定できなかった場合を示している。
図12では、経路の特徴量の組み合わせの種類のカウント数が100を閾値とし、カウント数が100以上であるとき、SAS患者であると判別し、カウント数が100未満のとき、SAS患者でないと判別している。
この図12から判るように、高い精度でSAS患者か否かを判別することができる。なお、図12に示す結果は判定についての1つのシミュレーション結果であり、決定木による学習を繰り返すことで、判定の精度をより高くすることができるようになる。
以下、本発明の第2の実施の形態例について、図13~図19を参照して説明する。
第2の実施の形態例においても、睡眠時無呼吸症候群判定装置10の構成については、第1の実施の形態例で図1~図3で説明した構成をそのまま適用する。
本実施の形態例では、睡眠時無呼吸症候群判定装置10の生体データ処理部12での生体データ処理、判定部13での判定処理、及び学習部15での学習処理が、第1の実施の形態例と異なる。
図13は、本実施の形態例の睡眠時無呼吸症候群判定装置10が睡眠時無呼吸症候群を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
睡眠時無呼吸症候群を判定する際には、最初に、図13の(a)に示す学習フェーズで学習を行って、ランダムフォレストモデルを構築する処理が行われる。その後、図13の(b)に示す判定フェーズで、被測定者の生体振動を取得して、ランダムフォレストモデルを使って、睡眠時無呼吸症候群を判定する処理が行われる。
まず、図13の(a)に示す学習フェーズについて説明すると、生体データ取得部11が被測定者の睡眠中の生体振動データの取得を開始し、生体データ処理部12は、一定時間tc秒ごとに、マットレスセンサ2が出力する生体振動データ(圧力データ)を取得し、取得した生体振動データを記録する。ここでのtc秒は、例えば1秒とする。
ここで、生体振動データをtc秒ごと(1秒ごと)に算出する際には、過去の所定時間(例えば64秒間)の生体振動データをフーリエ変換して、所定時間での周波数ごとのパワースペクトルを算出する(ステップS21)。
生体データ処理部12で得られた睡眠段階がラベリングされたパワースペクトルのデータは、学習部15に送られる。
ここまでが学習フェーズで行われ、学習部15は、構築したランダムフォレストモデル(RFモデル)を記憶する。
判定フェーズでは、学習フェーズと同様に、ステップS21での所定時間での周波数ごとのパワースペクトルの算出処理が行われる。
その後、判定部13は、睡眠段階が覚醒(WAKE)とラベリングされたデータについて、学習フェーズでのステップS23で学習部15が生成したランダムフォレストモデル(RFモデル)から、各周波数成分の寄与度を算出する(ステップS24)。
その後、判定部13は、ジニ係数を利用して、各周波数成分の寄与度の分布を大小に分割する(ステップS25)。
判定部13が判別した結果は、出力部14が出力する。
次に、図14を参照して、睡眠時無呼吸症候群の患者(SAS患者)と、健常者との周波数ごとのパワースペクトルの寄与度の相違を説明する。
図14の(a)は、睡眠段階が覚醒(WAKE)とラベリングされたデータで、SAS患者の場合のパワースペクトルの寄与度を示し、図14の(b)は、睡眠段階が覚醒(WAKE)とラベリングされたデータで、SAS患者でない健常者の場合のパワースペクトルの寄与度を示す。
なお、図14の例の場合、生体振動の内で、例えば呼吸に伴った生体振動は、主として10~40の位置に現れ、心拍に伴った生体振動は、主として40~120の位置に現れる。
一方、図14の(b)の健常者の場合には、図中の周波数位置100(周波数約1.56Hz)よりも高い周波数成分の寄与度が大きく、それよりも低い周波数成分の寄与度が小さいことが判る。
本実施の形態例の場合には、この図14に示すSAS患者と健常者との周波数成分のパワースペクトルの寄与度の相違に着目して、ランダムフォレストモデルを使った学習で、SAS患者と健常者を判別するようにしたものである。
次に、図15~図18を参照して、SAS患者を判別する処理の詳細について説明する。
図15は、1人の被測定者の睡眠開始(入眠)から起床までの数時間の生体振動データの波形の例を示す。
本実施の形態例の場合、図15に示すような数時間の生体振動データから、64秒ごとに生体振動データ(圧力データ)の周波数を算出し、パワースペクトルを得る。但し、64秒単位でパワースペクトルを得る際に、そのパワースペクトルを算出する幅は、1秒ごとに動かすようにしている。周波数成分のパワースペクトルを得る処理の詳細は、図14の説明で述べた通りである。
そして、ラベリングされた周波数成分のパワースペクトルから、ランダムフォレストモデル(RFモデル)を構築する。
ランダムフォレストモデルから、各周波数の寄与度を算出する際には、例えば次の[数2]式から、寄与度Imp(yi)を求める。
また、ジニ係数の差は、例えば次の[数4]式から求める。
図17(a)は、SAS患者の場合であり、図17(b)は健常者の場合である。
図17の例の場合には、横軸の寄与度xが、特定位置aよりも少ないか多いかで(つまりx=aの寄与度を境界として)、大小の要素で分割する。さらに、縦軸の周波数yが、特定位置bよりも大きい要素か小さい要素かで、上下(高い周波数か低い周波数か)に分割する。
このようにして特定位置a,bの値が定まることで、図14で説明したSAS患者の周波数特性と、健常者の周波数特性とを区別できるようになり、被測定者の生体振動データがいずれに該当するか判別できるようになる。
SAS患者判定指標SIF(Spectrum Importance Feature)は、次の[数5]式で定義される。
ここでは、指標SIFの閾値を6000とし、閾値6000以上であるとき、SAS患者と判別し、閾値6000未満としたとき、SAS患者でないと判別したものである。
図19の例では、9名のSAS患者A,B,C,・・・,Iと、9名の健常者(SAS患者でない者)a,b,c,・・・,iとを判定した結果を示す。この図19の場合には、SAS患者A~Iと健常者a~iを、指標SIFの数値順に示している。
この図19から判るように、本実施の形態例によると、非常に精度の高い睡眠時無呼吸症候群の患者の判別でできるようになる。
なお、上述した各実施の形態例で説明した特徴量や周波数の数値などは、好適な一例を示したものであり、これらの特徴量や周波数の数値に限定されるものではない。
Claims (8)
- 被測定者の睡眠中の体動または圧力変化に基づいた生体振動データを得る生体データ取得部と、
前記生体データ取得部が取得した前記生体振動データから、一定時間ごとに複数の特徴量を算出する生体データ処理部と、
前記生体データ処理部が算出した複数の特徴量から、睡眠段階を判別するための分岐条件を持った複数の決定木を用いて睡眠段階を判別した後、その判別に使用された決定木の分類基準の組み合わせで得られる判別結果に基づいて、睡眠時無呼吸症候群の判定を行う判定部と、を備える
睡眠時無呼吸症候群判定装置。 - 前記複数の決定木を学習する学習部を備え、
前記学習部による複数の決定木の組み合わせの学習は、正解となる睡眠段階の情報を取得し、正解と一致度が高い睡眠段階の判別ができる決定木を選ぶようにした
請求項1に記載の睡眠時無呼吸症候群判定装置。 - 前記判定部が睡眠時無呼吸症候群の判定を行う際には、前記複数の決定木で分岐する際の、特徴量の組み合わせの種類数と、各特徴量の出現回数を使用する
請求項2に記載の睡眠時無呼吸症候群判定装置。 - 被測定者の睡眠中の体動または圧力変化に基づいた生体振動データを得る生体データ取得部と、
前記生体データ取得部が取得した前記生体振動データから、一定時間ごとに前記生体振動データに含まれる周波数成分のパワースペクトルを算出する生体データ処理部と、
前記生体データ処理部が算出した周波数成分のパワースペクトルから、睡眠段階を判定するための、それぞれ異なる分岐条件を持った複数の決定木を用いて睡眠段階を判別した後、その判別に使用された周波数成分のパワースペクトルの寄与度を算出し、算出した寄与度に基づいて睡眠時無呼吸症候群の判定を行う判定部と、を備える
睡眠時無呼吸症候群判定装置。 - 被測定者の睡眠中の体動または圧力変化に基づいた生体振動データを得る生体データ取得処理と、
前記生体データ取得処理により取得した前記生体振動データから、一定時間ごとに複数の特徴量を算出する生体データ処理と、
前記生体データ処理で算出した複数の特徴量から、睡眠段階を判別するための分岐条件を持った複数の決定木を用いて睡眠段階を判別した後、その判断に使用された決定木の分類基準の組み合わせで得られる判別結果に基づいて、睡眠時無呼吸症候群の判定を行う判定処理と、を含む
睡眠時無呼吸症候群判定方法。 - 被測定者の睡眠中の体動または圧力変化に基づいた生体振動データを得る生体データ取得処理と、
前記生体データ取得処理により取得した前記生体振動データから、一定時間ごとに前記生体振動データに含まれる周波数成分のパワースペクトルを算出する生体データ処理と、
前記生体データ処理により算出した周波数成分のパワースペクトルから、睡眠段階を判定するための、それぞれ異なる分岐条件を持った複数の決定木を用いて睡眠段階を判別した後、その判別に使用された周波数成分のパワースペクトルの寄与度を算出し、算出した寄与度に基づいて睡眠時無呼吸症候群の判定を行う判定処理と、を含む
睡眠時無呼吸症候群判定方法。 - 被測定者の睡眠中の体動または圧力変化に基づいた生体振動データを得る生体データ取得手順と、
前記生体データ取得手順により取得した前記生体振動データから、一定時間ごとに複数の特徴量を算出する生体データ処理手順と、
前記生体データ処理手順で算出した複数の特徴量から、睡眠段階を判別するための分岐条件を持った複数の決定木を用いて睡眠段階を判別した後、その判断に使用された決定木の分類基準の組み合わせで得られる判別結果に基づいて、睡眠時無呼吸症候群の判定を行う判定手順と、
をコンピュータに実行させる睡眠時無呼吸症候群判定プログラム。 - 被測定者の睡眠中の体動または圧力変化に基づいた生体振動データを得る生体データ取得手順と、
前記生体データ取得手順により取得した前記生体振動データから、一定時間ごとに前記生体振動データに含まれる周波数成分のパワースペクトルを算出する生体データ処理手順と、
前記生体データ処理手順により算出した周波数成分のパワースペクトルから、睡眠段階を判定するための、それぞれ異なる分岐条件を持った複数の決定木を用いて睡眠段階を判別した後、その判別に使用された周波数成分のパワースペクトルの寄与度を算出し、算出した寄与度に基づいて睡眠時無呼吸症候群の判定を行う判定手順と、
をコンピュータに実行させる睡眠時無呼吸症候群判定プログラム。
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