JP2018149260A - 睡眠段階判定装置、睡眠段階判定方法及びプログラム - Google Patents
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例えば、特許文献1には、遺伝的アルゴリズムによる学習手法を改良したDatabase-based Compact Genetic Algorithmと称される手法で、マットレス型圧力センサの検出データから睡眠段階を推定する技術が記載されている。この特許文献1に記載された技術は、マットレス型圧力センサが検出した被測定者の体動と心拍に基づいて、睡眠段階を推定するものである。このようなマットレス型圧力センサを使って睡眠段階を推定することで、被測定者に負担を強いることなく、被測定者の睡眠状態を推定することができる。
特許文献1に記載されるように、マットレス型圧力センサのような圧力センサを使って睡眠段階を判定することができれば、被測定者に負担を強いることなく睡眠状態の診断が可能になる。しかし、従来から提案されている手法では、レム睡眠の判定精度が高くなく、結果的に睡眠段階の推定の信頼性がそれほど良くないという問題があった。
睡眠段階判定部は、被測定者の第1の期間毎の心拍の中央値の増加率が、所定の閾値以上であるとき、第1のレム睡眠期間の開始と判定し、第1の期間毎の心拍の中央値の減少率が減少したとき、第1のレム睡眠期間の終了を判定すると共に、被測定者の体動を第2の期間毎に周波数解析したデータの分析で、レム睡眠の判定を得る決定木を機械学習により複数生成し、生成した複数の決定木で得られたレム睡眠か否かの判定の多数決から、第2の期間が第2のレム睡眠期間であると判定する。
睡眠段階判定部は、第1のレム睡眠期間と判定した期間と第2のレム睡眠期間と判定した期間とが重なる期間を含み、かつ一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間が存在する場合に、その一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間を、レム睡眠期間と確定する。
第1のレム睡眠期間判定処理は、被測定者の第1の期間毎の心拍の中央値の増加率が、所定の閾値以上であるとき、第1のレム睡眠期間の開始と判定し、第1の期間毎の心拍の中央値の減少率が減少したとき、第1のレム睡眠期間の終了を判定する。
第2のレム睡眠期間判定処理は、被測定者の体動を第2の期間毎に周波数解析したデータの分析で、レム睡眠の確率値を得る決定木を機械学習により複数生成し、生成した複数の決定木で得られたレム睡眠か否かの判定の多数決から、第2の期間が第2のレム睡眠期間であると判定する。
睡眠段階判定処理は、第1のレム睡眠期間と判定した期間と第2のレム睡眠期間と判定した期間とが重なる期間を含み、かつ一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間が存在する場合に、その一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間を、レム睡眠期間と確定する。
[1.睡眠段階判定装置の構成]
図1は、本例の睡眠段階判定装置10の構成を示すブロック図である。図2は、本例の睡眠段階判定装置10を使って睡眠段階の判定を行う状態の例を示す図である。
本例の睡眠段階判定装置10は、被測定者の体動をマットレスセンサ2で圧力データとして取得する。マットレスセンサ2は、例えば図2に示すように、被測定者Aが睡眠を行うベッド1のマットレスの上に敷いて、被測定者Aの睡眠中の上半身の体動を圧力の変化として検出する。被測定者Aの下側になるマットレスの上にマットレスセンサ2を配置するのは一例であり、例えばマットレスの中にマットレスセンサ2を内蔵させてもよい。
図2では、ベッド1の脇に睡眠段階判定装置10を設置し、マットレスセンサ2と睡眠段階判定装置10をケーブルで接続した例を示すが、例えばマットレスセンサ2が取得した圧力データを、無線伝送で別の部屋の睡眠段階判定装置10に伝送するようにしてもよい。
生体データ取得部11は、マットレスセンサ2が出力する圧力データを取得する。生体データ取得部11が取得した圧力データは、データ処理部12に供給される。生体データ処理部12は、供給される圧力データの解析処理を行う。具体的には、圧力データをサンプリングしてデジタルデータ化し、そのデジタルデータ化された圧力データの高速フーリエ変換処理(以下、「FFT処理」と称する)により、各周波数の成分を取得する。そして、取得したそれぞれの周波数成分の状態から、心拍と呼吸の状態を判別する。すなわち、圧力データをFFT処理で得た周波数成分の内で、心拍及び呼吸に相当する周波数成分から、心拍数と呼吸数を判別する。
さらに、生体データ処理部12は、FFT処理で得た周波数成分を使って、睡眠段階の解析に必要なデータ処理を行う。
図3は、睡眠段階判定装置10をコンピュータ装置で構成した場合のハードウェア構成例を示す。
コンピュータ装置Cは、バスC8に接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)C1、ROM(Read Only Memory)C2、及びRAM(Random Access Memory)C3を備える。さらに、コンピュータ装置Cは、不揮発性ストレージC4、ネットワークインターフェイスC5、入力装置C6、及び表示装置C7を備える。
なお、睡眠段階判定装置10をコンピュータ装置から構成するのは一例であり、例えばFFT処理などのデータ処理を、専用のハードウェアを用意して行うようにしてもよい。
次に、本例の睡眠段階判定装置10が行うレム睡眠の判定処理について説明する。
本例の睡眠段階判定装置10は、2種類の手法によりレム睡眠の判定処理(第1のレム睡眠期間判定処理及び第2のレム睡眠期間判定処理)を行い、その2種類の手法によるレム睡眠の判定結果を総合的に判断して、最終的にレム睡眠の期間の判定結果を得る。ここでは、2種類の手法を手法1及び手法2と称する。
2種類の手法の詳細は後述するが、手法1は、心拍数変動に着目したレム睡眠判定手法であり、手法2は、全周波数成分を用いた機械学習によるレム睡眠判定手法である。睡眠段階判定装置10は、これらの2つの手法を使ったハイブリッド構造でレム睡眠判定を行うものである。
この手法1では、一定時間の心拍情報から心拍数変動の中周波成分を三角関数回帰モデル(Trigonometric Function Model:TFM)を用いてリアルタイムに推定し、算出した心拍変動から睡眠深度を推定する。ここでは、レム睡眠時に心拍数が揺らぐという生理学的な観点を利用して、レム睡眠を推定する。
まず、生体データ処理部12は、FFT処理で周波数解析したデータから、心拍の値を取得する。生体データ処理部12は、検出された心拍について、一定時間(ここでは5分間)毎の中央値HRを算出する(ステップS111)。
そして、生体データ処理部12は、検出した心拍の中央値HRの5分毎の変動量ΔHRを算出し、その5分毎の変動量ΔHRを閾値TH1と比較する(ステップS112)。
ここでは、推定する時刻から直前5分間の心拍の中央値をΔHRcurr、5分前から10分前までの心拍の中央値をΔHRprevとしたとき、次の[数1]式により、変動量ΔHRを得る。
ステップS112で、ΔHR>0.04の条件を満たさない場合には(ステップS112のNO)、生体データ処理部12は、該当する条件を満たすまで待機する。
そして、ΔHR>0.04の条件を満たすと判断したとき(ステップS112のYES)、生体データ処理部12は、レム睡眠期間(手法1によるレム睡眠期間)の開始と判断する(ステップS113)。その後、生体データ処理部12は、変動量ΔHRの減少率が減少したか否かを判断する(ステップS114)。なお、「減少率が減少」するとは、例えば、ΔHRの値が0.07から0.06に変わることをいう。ここで、変動量ΔHRの減少率が減少しないとき(ステップS114のNO)、生体データ処理部12は、変動量ΔHRの減少率が減少するまで待機する。また、変動量ΔHRの減少率が減少したとき(ステップS114のYES)、生体データ処理部12は、レム睡眠期間(手法1によるレム睡眠期間)の終了を判断し(ステップS115)、ステップS112の変動量ΔHRと閾値TH1との比較に戻る。
このように、手法1では、心拍数の変動量に基づいてレム睡眠の期間を判断することができる。
この手法2は、アンサンブル学習による機械学習手法であるランダムフォレスト(Random Forests)を用いて、レム睡眠とレム睡眠以外とを判定する手法である。この手法2では、一定期間(ここでは30秒間)のマットレスセンサ2が取得した圧力データに対してFFT処理を施すことで周波数解析を行って、レム睡眠を判定するものである。
まず、生体データ処理部12は、生体データ取得部11が取得した生体データを一定期間(1エポック区間:30秒間)ごとに分割し、一定期間ごとの生体データに対してFFT処理で周波数解析を行うことで周波数表現された生体データ生成する(ステップS121)。そして、FFT処理された生体データの全周波数成分について正規化を行い、全周波数成分の総和が1になるようにする。なお、ここで正規化を行うのは一例であり、正規化を行わないデータを扱うようにしてもよい。
そして、生体データ処理部12は、その一定期間毎の圧力データを使って、ランダムフォレストの機械学習手法による2値判定を行う(ステップS122)。ランダムフォレストの機械学習による2値判定の詳細については後述する。
そして、この判断でレム睡眠の条件を満たした場合には(ステップS123のYES)、生体データ処理部12は、該当する一定期間(30秒間)をレム睡眠期間(手法2によるレム睡眠期間)に設定し(ステップS124)、その後ステップS121の処理に戻り、次の一定期間の処理に移る。
まず、図6の上側に示すように、生体データ処理部12は、30秒間の圧力データD1を取得する。圧力データD1のグラフの縦軸はセンサ値であり、横軸は時間(30秒間)を示す。
この圧力データD1について、生体データ処理部12がFFT処理を施すことで、周波数成分毎の強度値を示したFFTデータD2を得る。FFTデータD2のグラフの縦軸は強度値であり、横軸は周波数(0.016Hz〜5.0Hz)を示す。ここでは、FFTデータD2として、5Hz以下の周波数成分のみの300次元ベクトルのデータとする。
そして、生体データ処理部12は、複数の決定木T1,T2,・・・,TN毎に得たレム睡眠か否かの判定q1,q2,・・・,qNの多数決で、現在の30秒間の期間がレム睡眠か否かを判定する。
まず、睡眠段階判定部13は、手法1でレム睡眠と判定した区間があるか否かを判断する(ステップS131)。この判断で、手法1によりレム睡眠と判定した区間がない場合には(ステップS131のNO)、睡眠段階判定部13は、探索した期間内にレム睡眠の期間がないと判断して、レム睡眠期間を探索する処理を終了する。
そして、手法1によりレム睡眠と判定した区間がある場合には(ステップS131のYES)、睡眠段階判定部13は、手法1によりレム睡眠と判定した区間と、手法2によりレム睡眠と判定した区間とが重なる区間があるか否かを判断する(ステップS132)。
図8Aの例は、ある期間に、手法1による判定でレム睡眠と判定した区間があり、その区間と重なる期間に、手法2による判定でレム睡眠と判定した区間がない場合を示す。この図8Aに示す状態の場合には、睡眠段階判定部13は、手法1でレム睡眠と判定した区間を、レム睡眠区間と確定する。この図8Aの確定処理は、図7のフローチャートのステップS134でレム睡眠と確定する処理に相当する。
図9の上側に示す特性BWは、被測定者の睡眠状態(睡眠段階)を、脳波計により測定した例(つまり本例の睡眠段階判定装置10とは別の装置により測定した例)を示す。この特性BWのグラフの縦軸において、Aと示す位置は覚醒を示し、1,2,3,4の数字で示す位置はノンレム睡眠のステージ1〜4を示す。図9に示す特性BWでは、レム睡眠の期間の判定を行っていないが、ノンレム睡眠のステージ1と覚醒との間に、レム睡眠が存在することになる。
手法1でレム睡眠と判定した区間ra1,ra2,ra3,ra4,ra5は、特性HRの心拍数がピークとなる位置であり、比較的短時間の区間である。
本例の場合、手法2でレム睡眠と判定する1つの区間rbは30秒間であり、その30秒間の区間rbが2分以内に存在したとき、手法2で判定したレム睡眠が連続していると見なして、1つのレム睡眠期間(例えば期間R4やR5)が確定する。但し、本例の場合には、その30秒間の区間rbが2分以内に存在した期間が、手法1でレム睡眠と判定した区間ra1〜ra5と重なっていない箇所については、レム睡眠でないと判定する。
具体的には、心拍に基づいてレム睡眠を判定する手法1では、図9の区間ra1〜ra5で分かるように、比較的短時間の区間をレム睡眠と判定しており、実際のレム睡眠の長さとは一致していない可能性が高い。
一方、検出データの周波数分布の機械学習からレム睡眠を判定する手法2では、例えば図9の区間R4と区間R5の間の、最終的にレム睡眠と確定しない期間であっても、レム睡眠と判定される区間rbが存在し、レム睡眠と判定する精度がそれ程高くない可能性があった。
しかも本例の場合には、手法1の判定を行うための心拍データと、手法2の判定を行うための体動の周波数分布のデータのいずれについても、マットレスセンサ2が取得した被測定者の体動に基づいた圧力データであり、脳波を測定する場合と異なり、被測定者に負担をかけずに、的確なレム睡眠の判定ができるようになる。
Claims (5)
- 被測定者の第1の期間毎の心拍の中央値の増加率が、所定の閾値以上であるとき、第1のレム睡眠期間の開始と判定し、前記第1の期間毎の心拍の中央値の減少率が減少したとき、前記第1のレム睡眠期間の終了を判定すると共に、
前記被測定者の体動を第2の期間毎に周波数解析し、その周波数解析したデータの分析で、レム睡眠の判定を得る決定木を機械学習により複数生成し、生成した複数の決定木で得られたレム睡眠か否かの判定の多数決から、前記第2の期間が第2のレム睡眠期間であると判定するデータ処理部と、
前記第1のレム睡眠期間と判定した期間と前記第2のレム睡眠期間と判定した期間とが重なる期間を含み、かつ一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間が存在する場合に、その一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間を、レム睡眠期間と確定する睡眠段階判定部と、を備える
睡眠段階判定装置。 - さらに、前記睡眠段階判定部は、前記第2のレム睡眠期間と重なっていない前記第1のレム睡眠期間についても、真のレム睡眠期間と判定する
請求項1に記載の睡眠段階判定装置。 - 前記被測定者の体動を検出する圧力センサの出力データを取得する生体データ取得部を備え、
前記心拍は、前記生体データ取得部が取得した前記圧力センサの出力データから得ると共に、前記第2のレム睡眠期間を判定する体動についても、前記生体データ取得部が取得した前記圧力センサの出力データから得るようにした
請求項1又は2に記載の睡眠段階判定装置。 - 被測定者の第1の期間毎の心拍の中央値の増加率が、所定の閾値以上であるとき、第1のレム睡眠期間の開始と判定し、前記第1の期間毎の心拍の中央値の減少率が減少したとき、前記第1のレム睡眠期間の終了を判定する第1のレム睡眠期間判定処理と、
前記被測定者の体動を第2の期間毎に周波数解析したデータの分析で、レム睡眠の判定を得る決定木を機械学習により複数生成し、生成した複数の決定木で得られたレム睡眠か否かの判定の多数決から、前記第2の期間が第2のレム睡眠期間であると判定する第2のレム睡眠期間判定処理と、
前記第1のレム睡眠期間と判定した期間と前記第2のレム睡眠期間と判定した期間とが重なる期間を含み、かつ一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間が存在する場合に、その一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間を、レム睡眠期間と確定する睡眠段階判定処理と、を含む
睡眠段階判定方法。 - 被測定者の第1の期間毎の心拍の中央値の増加率が、所定の閾値以上であるとき、第1のレム睡眠期間の開始と判定し、前記第1の期間毎の心拍の中央値の減少率が減少したとき、前記第1のレム睡眠期間の終了を判定する第1のレム睡眠期間判定手順と、
前記被測定者の体動を第2の期間毎に周波数解析し、その周波数解析したデータの分析で、レム睡眠の判定を得る決定木を機械学習により複数生成し、生成した複数の決定木で得られたレム睡眠か否かの判定の多数決から、前記第2の期間が第2のレム睡眠期間であると判定する第2のレム睡眠期間判定手順と、
前記第1のレム睡眠期間と判定した期間と前記第2のレム睡眠期間と判定した期間とが重なる期間を含み、かつ一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間が存在する場合に、その一定間隔以内に第2のレム睡眠期間と判定した期間を、真のレム睡眠期間と判定する睡眠段階判定手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
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