以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
図1は、本発明の実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図である。図1では、例として、画像形成装置110と、サーバ装置120と、情報処理端末130とが、インターネットやLANなどのネットワーク140を介して接続された環境を例示している。なお、各装置から、ネットワーク140へ接続する方法は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
画像形成装置110は、情報処理端末130から、ネットワーク140を経由して、印刷の要求を受けて、印刷設定に基づいて印刷ジョブなどの各種処理を実行する。また、画像形成装置110は、印刷物をスキャンし、画像データとして出力することができる。
さらに、画像形成装置110は、自機の状態を診断するために、テストパターンと呼ばれる画像を印刷することができる。印刷されたテストパターンは、画像形成装置110によってスキャンされ、サーバ装置120に送信されることで、ユーザの負担を軽減した診断を行うことができる。なお、テストパターンの詳細は後述する。
サーバ装置120は、画像形成装置110のメンテナンスなどを行う事業者が使用する情報処理装置であって、本実施形態においては、画像形成装置の診断装置として動作する。サーバ装置120は、ネットワーク140を介して、画像形成装置110から、テストパターンの画像データを受信する。これによって、メンテナンス事業者は、画像形成装置110の状態を診断することができ、修理などの対応を迅速に行うことができる。
情報処理端末130は、例えば、パーソナルコンピュータのような装置であって、ユーザが操作することによって、画像形成装置110に印刷ジョブを含む印刷データなど送信するほか、画像形成装置110の印刷設定を行うことができる。また、情報処理端末130は、画像形成装置110がスキャンした画像データを画面上に表示することで、ユーザに提示することができる。
ここで、画像形成装置110が印刷するテストパターンについて、図2および図3を以て説明する。図2は、本実施形態のテストパターンの印刷領域の例を説明する図である。また、図3は、本実施形態において印刷されるテストパターンの図である。
まず、図2について説明する。図2は、紙面上に印刷されたテストパターン(以下、「テストパターン印刷物」として参照する)を示している。テストパターンは、複数のパッチの配列によって構成され、図2のテストパターンは、一例として、主走査方向(x軸方向)に6列、副走査方向(y軸方向)に10行で配置されたパッチで構成されている。また、紙面の左上には、スキャン時におけるテストパターン印刷物の戴置方向をユーザに示すための基準となるマークが印刷される。
テストパターンが印刷される用紙は、特に限定されず、任意の大きさとすることができる。用紙サイズは、例えば、A3サイズ、A4サイズ、レターサイズ、ダブルレターサイズとすることができる。また、テストパターンは、複数枚の用紙に印刷されるものであってもよい。
さらに、テストパターンのパッチの大きさや形状についても、特に限定されない。図2では、一例として幅Lx、高さLyの長方形のパッチが配置されたテストパターンを示している。
なお、以下の本実施形態の説明では、テストパターン印刷物を構成する各パッチの位置を、便宜的に主走査方向および副走査方向から特定される座標によって示すものとする。例えば、主走査方向の3列目、副走査方向5列目のパッチは、「パッチ(3,5)」として表すものとする。
次に、図3について説明する。図3(a)は、適切に印刷されたテストパターン印刷物を示し、図3(b)は、一部に画像の不良な箇所を含むテストパターン印刷物を示している。
テストパターンは、図3(a)に示すように、各パッチが種々の色で出力される。パッチの色は、例えばCMYKカラーモデルのトナーの色に対応したものとすることができる。したがって、各パッチの色は、図3に示すように、白(w)、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、黒(b)とすることができ、汚れやかすれなどの印刷不良を識別しやすくするために、濃度を100/255値程度の中間調とすることができる。なお、白色のパッチの領域は、画像の形成を行わないことで、用紙の地色のパッチとすることができる。また、テストパターン左上に形成される基準マークは、255/255値の黒色のパッチとすることができる。
なお、テストパターンの画像を印刷するための、各パッチの色や配置などを示すデータ(以下、「テストパターン印刷データ」として参照する)は、あらかじめ画像形成装置110に格納されていてもよいし、サーバ装置120や、情報処理端末130などから取得されてもよい。
画像形成装置110は、図3(a)のようなテストパターン印刷データに基づいて印刷した場合であっても、例えば、画像形成装置110の不具合などによって、図3(b)のような不良画像を含むテストパターン印刷物が出力されることがある。図3(b)に示すテストパターン印刷物は、第3列目付近に副走査方向に延びる黒スジが発生し、また、パッチ(3,3)、(1,5)、(3,8)、(1,10)などの一部のパッチにかすれが発生している。
図3(b)のような不良な箇所を含むテストパターン印刷物が出力された場合には、ユーザは、当該テストパターン印刷物をスキャンした画像データをサーバ装置120に送信することで、メンテナンス事業者に対して対応を依頼することができる。一方で、テストパターン印刷物を出力したあと、ユーザが誤って他の印刷物(以下、「ユーザ原稿」として査証する)をスキャンしてしまう場合がある。このような場合には、ユーザ原稿の画像データが送信されることでユーザの機密情報などが流出する虞があり、セキュリティ保護の観点から好ましくない。
そのため、スキャンされた印刷物(以下、「スキャン印刷物」として参照する)がテストパターン印刷物であることを識別した上で、サーバ装置120に送信することが好ましい。しかしながら、かかる識別における判定基準の高低によっては、ユーザ原稿をテストパターン印刷物と認識して送信してしまったり、不良画像を含むテストパターン印刷物(すなわち、サーバ装置120への送信が必要である印刷物)であるにもかかわらずユーザ原稿と認識して送信を中止してしまったりすることとなる。そこで、本実施形態の画像形成装置110は、スキャン印刷物が、送信すべきものであるか否かを適切に判定する。
次に、画像形成装置110のハードウェア構成について説明する。図4は、本実施形態の画像形成装置110に含まれるハードウェア構成を示す図である。画像形成装置110は、CPU410と、RAM420と、ROM430と、記憶装置440と、プリンタ装置450、スキャナ装置460、通信I/F470と、表示装置480と、操作装置490とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。
CPU410は、画像形成装置110の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。RAM420は、CPU410が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。ROM430は、CPU410が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。
記憶装置440は、画像形成装置110を機能させるOSや種々のソフトウェア、設定情報、各種データなどを記憶する、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。記憶装置440の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。
プリンタ装置450は、例えばレーザ方式によって、用紙に画像を形成する構成の装置である。スキャナ装置460は、印刷物の画像を読み取り、データ化する構成の装置である。また、例えば画像形成装置110は、スキャナ装置460とプリンタ装置450の協働により、印刷物のコピーを行うことができる。
通信I/F470は、画像形成装置110とネットワーク140とを接続し、ネットワーク140を介して、他の装置との通信を可能にする。ネットワーク140を介した通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよく、TCP/IPなどの所定の通信プロトコルを使用し、各種データを送受信できる。
表示装置480は、各種データや画像形成装置110の設定状態などを、ユーザに対して表示する装置であり、例として、LCD(Liquid Crystal Display)パネルなどが挙げられる。操作装置490は、ユーザが画像形成装置110を操作するための装置であり、一例として、複数のボタンによって構成される。なお、表示装置480と操作装置490は、それぞれ別個の装置であってもよいし、タッチパネルディスプレイのような両方の機能を備えるものであってもよい。
以上、本実施形態の画像形成装置110に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、図5を以て説明する。図5は、本実施形態の画像形成装置110に含まれるソフトウェアブロック図である。
画像形成装置110は、印刷部510、読取部520、通信部530、表示部540、操作部550、判定部560、記憶部580の機能手段を含む。以下では、各機能手段の詳細について説明する。
印刷部510は、印刷データに基づいてプリンタ装置450の動作を制御し、用紙に所望の画像を形成する手段である。例えば、テストパターン印刷データが入力された場合には、印刷部510は、用紙上にテストパターンを形成し、テストパターン印刷物を出力する。
読取部520は、スキャナ装置460の動作を制御し、コンタクトガラスやADF(自動原稿送り装置)などに載置された原稿を読み取る手段である。また、読取部520は、読み取った原稿の画像データを出力することができる。
通信部530は、通信I/F470を制御し、画像形成装置110と他の装置との間において、各種データの送受信を行う手段である。表示部540は、表示装置480を制御し、種々の情報を画面上に表示する手段である。操作部550は、操作装置490を介して行われる、画像形成装置110に対する種々の操作を受け付ける手段である。
判定部560は、読取部520が読み取ったスキャン印刷物の画像データに基づいて、当該印刷物がテストパターン印刷物であるか否かを判定する手段である。判定部560は、スキャン印刷物がテストパターン印刷物である場合には、当該印刷物がサーバ装置120への送信対象であると判定する。一方で、スキャン印刷物がテストパターン印刷物でない場合には、判定部560は、当該印刷物が送信対象ではないと判定する。
画像処理部570は、スキャン印刷物の画像データに対して種々の画像処理を行う手段である。画像処理部570が画像処理を行うことによって、判定部560は、より正確な判定を行うことができる。画像処理部570は、パッチ解析部571、画像補正部572、分色版生成部573、パターンマッチング処理部574を含む。
パッチ解析部571は、印刷物をスキャンした画像データから、テストパターンのパッチを解析し、抽出する手段である。パッチの解析は、テストパターン印刷データに基づいて、所定の位置に所定の色のパッチが存在するかといった基準によって行うことができる。
画像補正部572は、スキャン印刷物の画像データを補正する手段である。画像補正部572は、印刷物に生じたスキュー、載置した際の回転、主走査ずれ、副走査ずれ、用紙の変形による拡大、縮小などを補正することで、これらの影響を低減することができ、正確な判定を行うことができる。
分色版生成部573は、画像形成装置110が備えるトナーの色ごとの分色版を生成する手段である。分色版は、スキャン印刷物の画像データに基づいて、色相を判定することによって生成することができる。
パターンマッチング処理部574は、印刷物の画像データについて、典型的な不良画像とのパターンマッチングを行う手段である。パターンマッチング処理部574がパターンマッチングを行うことによって、判定部560は、スキャン印刷物が不良な箇所を含む印刷物であるか否かをより詳細に判定することができる。
記憶部580は、記憶装置440を制御することで、種々のデータを記憶装置440に格納する手段であり、判定基準情報記憶部581を含む。また、記憶部580は、判定部560の要求に応じて格納されているデータを読み出して、出力することができる。
判定基準情報記憶部581は、判定部560が、スキャン印刷物がテストパターン印刷物であるか否かを判定するための各種評価基準を格納する領域である。例えば、判定基準情報記憶部581には、テストパターンの各パッチの色相、座標、配置その他の特徴や判定基準などをテーブル形式で格納することができる。また、判定基準情報記憶部581は、典型的な不良画像のパターンなどを格納することができる。
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU410が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが図5に示すような構成で含まれていなくてもよい。例えば、他の好ましい実施形態では、各機能手段は、画像形成装置110と、情報処理端末130との協働によって実現されてもよい。
以上、本実施形態の画像形成装置110の構成について説明した。以下では、本実施形態の画像形成装置110の各種機能手段が実行する処理について説明する。図6は、本実施形態において画像形成装置110がテストパターン印刷物の画像データを送信する処理を示すフローチャートである。
画像形成装置110は、ステップS100から処理を開始する。なお、テストパターン印刷物は、当該画像形成装置によってあらかじめ出力されているものとする。読取部520は、ステップS101において、画像形成装置110のスキャナ装置460に載置された印刷物を読み取り、画像データとして出力する。
次に、ステップS102において、判定部560は、ステップS101で出力された画像データに基づいて、当該画像データの基となった印刷物が送信対象、すなわち、テストパターン印刷物であるか否かの判定を行う。ステップS102では、まず簡易的な判定として第1の判定処理を行い、必要に応じて第2の判定処理や第3の判定処理を行う。なお、各判定処理の詳細は後述する。
その後、ステップS103では、ステップS102における判定結果によって処理を分岐する。送信対象であると判定した場合には(YES)、ステップS106に進む。送信対象でないと判定した場合には(NO)、ステップS108に進む。送信対象であるか否かを判定できなかった場合には(UNDECIDABLE)、ステップS104に進む。
ステップS103において送信対象であると判定されると(YES)、スキャン印刷物はテストパターン印刷物であることから、通信部530は、ステップS106において画像データをサーバ装置120に送信する。表示部540は、ステップS107において、画像データの送信が完了した旨を表示することで、ユーザに対して通知する。その後、ステップS109において、画像形成装置110は処理を終了する。
また、ステップS103において送信対象でないと判定されると(NO)、スキャン印刷物がユーザ原稿であることから、画像形成装置110は画像データの送信を行わない。したがって、ステップS108において、表示部540は、画像データを送信しない旨を表示することで、ユーザに対して通知する。その後、ステップS109において、画像形成装置110は処理を終了する。
一方で、ステップS103において送信対象であるか否かを判定できない場合には(UNDECIDABLE)、スキャン印刷物が適切なものであるかの確認をユーザに求める。そこで、表示部540は、ステップS104において、ユーザに対して、スキャン印刷物の確認を依頼する旨を表示する。その後、ステップS105において、ユーザによる画像データを送信する操作があったか否かによって処理を分岐する。
スキャン印刷物を確認したユーザが送信操作を行った場合には(YES)、ステップS106に進む。そして、上述したステップS106、S107の処理を行ったのち、ステップS109において画像形成装置110は処理を終了する。また、印刷物を確認したユーザが送信操作を行わなかった場合には(NO)、ステップS109に進み、画像形成装置110は処理を終了する。
図6に示す処理を行うことによって、画像形成装置110は、スキャン印刷物がテストパターン印刷物であると判定部560またはユーザによって判定された場合に、画像データをサーバ装置120に送信することができるので、セキュリティ性を向上することができる。
そこで、判定部560がテストパターン印刷物であるか否かを判定する詳細な処理について図7を以て説明する。図7は、本実施形態の判定部560が実行する第1の判定処理を示すフローチャートであり、図6のステップS102に対応する処理である。判定部560は、ステップS1000から第1の判定処理を開始する。第1の判定処理では、まず簡易的な判定によってテストパターン印刷物であるかを判定する。なお、以下の図7の説明では、適宜図8~10を参照して説明するものとする。
判定部560は、ステップS1001において、スキャンされた用紙サイズや枚数によって、テストパターン印刷物であるかを判定する。画像形成装置110は、自機が出力したテストパターン印刷物の用紙サイズや枚数などの情報をテストパターン印刷データとして保持している。したがって、スキャン印刷物の用紙サイズおよび枚数が、テストパターン印刷データと一致する場合には、送信対象であると判定される可能性があり、一致しない場合には、送信対象ではないと判定することができる。
ステップS1001で用紙サイズ、枚数が一致しないと判定した場合には(NO)、ステップS1003に進み、判定部560は、スキャン印刷物がテストパターン印刷物、すなわち、送信対象でないと判定する。その後、ステップS1004に進み、図6のステップS103・NOの処理に分岐する。
ステップS1001で用紙サイズ、枚数が一致すると判定した場合には(YES)、ステップS1002に進む。ステップS1002では、パッチ解析部571は、スキャンした画像データのうち、所定の位置にある読取値を抽出する。ステップS1002における所定の位置は、テストパターンの各パッチに対応する位置であり、位置ずれを加味した領域を読み取ることで、テストパターン印刷物の判定の精度を向上することができる。ここで、パッチの読み取り領域について、図8および図9を以て説明する。図8および図9は、本実施形態におけるパッチの読み取り領域を説明する図である。
図8(a)は、印刷物のうち読み取りを行う領域を示した図であり、ここでは、斜線のハッチングで示される領域が読み取り領域を示している。読み取り領域はパッチの大きさよりも小さいものとすることで、印刷時やスキャン時に発生する位置ずれの許容範囲を設定することができる。
図8(b)は、パッチとその読み取り領域とを拡大したものである。ここでは、幅がLxで高さがLyであるパッチに対して、読み取り領域は、上下にそれぞれDx、左右にそれぞれDyだけ小さくしたものとしている。すなわち、読み取り領域は、幅がLx-2Dx、高さがLy-2Dyの矩形としている。
図9は、スキャンされたテストパターン印刷物をパッチ位置に対応した読み取り領域で読み取る例を示したものである。図9(a)、(b)において、ドットパターンで示される領域のうち開口している領域が、パッチの読み取り領域を示している。テストパターンのずれ量が許容範囲内である場合には、図9(a)に示すように、各読み取り領域には、1つのパッチの色が含まれる。
一方で、テストパターンのずれ量が許容量よりも大きい場合には、図9(b)に示すように、各読み取り領域に複数のパッチの色が含まれることとなる。例えば、パッチ(1,1)に対応する領域は、ずれ量が許容範囲内であれば、図9(a)のように、濃度や色相が一様なパッチが含まれる。しかしながら、ずれ量が許容範囲よりも大きい場合には、図9(b)のパッチ(1,1)に対応する領域のように、複数の色相が含まれるため、パッチの均一性が低いものとなる。したがって、判定部560は、各パッチの位置に対応する所定の大きさの読み取り領域の画像データに基づいて判定を行うことが好ましい。
このようにして、パッチ解析部571が図8や図9のような読み取り領域によってパッチ領域に対応する位置の画像の読取値を抽出し、判定部560は、各パッチの評価に基づいて、送信対象であるテストパターン印刷物の画像データであるか否かを高精度で判定することができる。
説明を図7に戻す。ステップS1002において読取値を抽出した後、ステップS1005の処理に進む。ステップS1005では、判定部560は、抽出された各領域のパッチの均一性が所定の許容値内であるか否かを判定し、処理を分岐する。パッチの均一性が所定の許容値内ではない場合には(NO)、すなわち、図9(b)のように読み取り領域に含まれるパッチが均一でない場合には、判定部560は、スキャン印刷物がユーザ原稿であったり、何らかの異常を含むテストパターン印刷物であったりするものと判定し、ステップS1013に進む。ステップS1013では、画像データの送信の可否についてより詳細な判定を行うため、後述する第2の判定処理を行う。
一方で、ステップS1005においてパッチの均一性が所定の許容値内である場合には(YES)、すなわち、図9(a)のように読み取り領域のパッチが均一である場合には、ステップS1006に進む。
ここで、パッチの均一性による評価について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態の判定基準情報記憶部581に格納される各種判定基準テーブルの例を示す図である。図10(a)は、均一性判定基準テーブルの例を、図10(b)は、色相判定基準テーブルの例を、それぞれ示している。
図10(a)に示す均一性判定基準テーブルは、各色パッチの読取値の均一性を評価する規格値の例である。判定部560は、均一性判定基準テーブルを基にステップS1005における判定処理を行う。均一性判定基準テーブルには、各色パッチの読取値の平均値M、標準偏差σの許容値、読取値の最大値と平均値との差ΔMaxの許容値、読取値の最小値と平均値との差ΔMinの許容値などが、各パッチの色成分ごとに対応付けられて格納されている。
判定部560は、図10(a)に示す均一性判定基準テーブルを参照し、各パッチの読取値が許容値内であるか否かに基づいて、ステップS1005の判定処理を行うことができる。なお、図10(a)に示した均一性判定基準テーブルは、判定基準の一例であって、実施形態を限定するものではなく、これ以外の基準によって判定を行ってもよい。例えば、ヒストグラムのピーク値と最大値(または最小値)との差などに基づいて判定してもよい。
説明を図7に戻す。判定部560はステップS1005においてパッチの均一性が所定の許容値内であると判定した後、ステップS1006に進む。ステップS1006では、判定部560は、各領域の色相が規格内であるか否かを判定し、処理を分岐する。ここで、読取値の色相の規格値について図10を以て説明する。図10(b)に示す色相判定基準テーブルは、各色パッチの読取値の色相を評価する規格値の例である。
色相判定基準テーブルには、各パッチの読取値のRGB成分に基づく判定式と、規格値とが対応付けられて、トナー色ごとに格納されている。判定部560は、色相判定基準テーブルを参照し、各色トナーの規格値が判定式を満たすか否かによって判定する。ここでは、黒色の各RGB成分を0、白色の各RGB成分を255として、CMYKトナーの各色相の規格値に含まれるか否かを判定する。
ステップS1006において規格内ではないと判定された場合には(NO)、ステップS1011に進む。ステップS1011において、判定部560は、スキャンした用紙が白紙であるか否かを判定し、処理を分岐する。ステップS1011の処理は、各パッチが均一であり、かつ、各パッチの色相が規格外である場合に行う処理である。かかる場合には、スキャンした用紙の表面が同一色となっている蓋然性が高いことから、ステップS1011において当該印刷物が白紙であるか否かを判定する。
スキャンした用紙が白紙である場合、印刷処理の過程で異常が生じて白紙が印刷されたか、または、ユーザが誤ってスキャナ装置460に白紙を載置した可能性がある。そのため、ステップS1011において白紙であると判定された場合には(YES)、ステップS1012に進み、スキャンした用紙の確認をユーザに促すべく、図6のステップS103・UNDECIDABLEの処理に分岐する。
一方で、スキャンした用紙が白紙ではない場合には(NO)、判定部560は、スキャン印刷物がユーザ原稿であったり、何らかの異常を含むテストパターン印刷物であったりするものと判定し、ステップS1013に進む。ステップS1013では、画像データの送信の可否についてより詳細な判定を行うため、後述する第2の判定処理を行う。
また、ステップS1006において規格内であると判定された場合には(YES)、ステップS1007に進む。ステップS1007では、判定部560は、各パッチの読取値の平均値が規格内であるか否かを判定して、処理を分岐する。ステップS1007の処理は、各パッチが均一であり、かつ、各パッチの色相が規格内である場合に行う処理である。かかる場合において、各パッチの読取値の平均値が規格内である場合には、濃度が正常であると判定でき、各パッチの平均値が規格外の場合には、濃度が異常であると判定できる。
したがって、ステップS1007において、平均値が規格内であると判定した場合には(YES)、ステップS1008に進み、判定部560は、スキャン印刷物は濃度が正常なテストパターン印刷物であると判定する。テストパターン印刷物であると判定できたことから、その後、ステップS1010に進み、図6のステップS103・YESに進む。
一方で、ステップS1007において平均値が規格外であると判定した場合には(NO)、ステップS1009に進み、判定部560は、スキャン印刷物は濃度が異常なテストパターン印刷物であると判定する。テストパターン印刷物であると判定できたことから、その後、ステップS1010に進み、図6のステップS103・YESに進む。
なお、パッチと同じ大きさの領域に基づいて評価する場合、各パッチの平均値は、印刷時におけるテストパターンのわずかなずれによっても大きく変動し得る。したがって、ステップS1007のような各パッチの読取値の平均値の評価においても、図8に示したように、パッチ領域のうち一部の領域を抽出して、読取値を平均化することが好ましい。
ここまで、第1の判定処理について、図7~10を以て説明した。図7に示した第1の判定処理は、簡易的な判定によって、スキャン印刷物がテストパターン印刷物であるか否かを判定するものであったが、第1の判定処理によって判定できない場合には、ステップS1013に示したように、第2の判定処理を行う。以下、テストパターンであるか否かのより詳細な判定について、図11を以て説明する。図11は、本実施形態の判定部560が実行する第2の判定処理を示すフローチャートである。
判定部560は、第1の判定処理における簡易的な判定において、テストパターン印刷物であると判定できなかった場合(図7・ステップS1013)、ステップ2000から、第2の判定処理を開始する。ステップS2001では、画像補正部572は、スキャン印刷物の画像データについて、レジストずれ、回転、スキューなどの補正処理を行う。その後、判定部560は、ステップS2002において、補正された画像データについて、再度第1の判定処理を行う。画像データを補正することで、スキャン印刷物が送信対象であるかを判定できる場合があるため、判定部560、再度第1の判定処理を行う。なお、ステップS2002において行う2回目の第1の判定処理においては、ステップS1001のような画像データによらない判定は、省略することができる。
その後、ステップS2003では、ステップS2002の2回目の第1の判定処理において、印刷物の種類が判定できたか否かによって処理を分岐する。2回目の第1の判定処理において、印刷物の種類が判定できた場合(YES)、例えば、テストパターン印刷物であると判定された場合(S1010)や、白紙であると判定された場合(S1012)には、ステップS2010に進み、判定部560は処理を終了する。
一方で、2回目の第1の判定処理においても印刷物の種類が判定できなかった場合(NO)、例えば、各領域の均一性が許容値内でないと判定されたり、白紙でないと判定されたりして、再びステップS1013の処理に至った場合には、ステップS2004に進む。
ステップS2004において、画像処理部570は、RGB画像データから、色材を抽出する。画像処理部570は、RGB画像データに含まれる自機のトナーによる色材の量を算出することで、画像に含まれる色材が自機のトナーの色材と、自機のトナー以外の色材とを抽出することができる。
その後、ステップS2005において、自機のトナーの色材を含むか否かによって処理を分岐する。ステップS2005では、判定部560は、ステップS2004で抽出した各色材について、図10(b)の色相判定基準テーブルを参照し、判定式が成り立つか否かによって、自機のトナーの色材を含むかを判定することができる。ここで、画像データに基づく色材の抽出について図12を以て説明する。
図12は、本実施形態において画像データから自機のトナーの色材を抽出した例を示す図である。図12(a)は、スキャン印刷物の画像データを示している。また、図12(b)は、図12(a)に示した画像データから自機のトナーの色材を抽出した画像であり、図12(c)は、図12(a)に示した画像データから自機のトナーの色材以外の色材を抽出した画像である。図12(a)に示す例では、一例として、パッチ(3,2)に異常が生じている例を示している。また、図12(a)には、パッチ(3,1)の上部にメモ書きがされ、異常が生じたパッチ(3,2)に丸印が付けられている例を示している。
このような画像データに基づいて自機のトナーの色材を抽出すると、図12(b)に示すように、自機のトナーにより印刷された色材が抽出された画像が得られる。また、図12(a)の画像と、図12(b)の画像との差分から、自機のトナーの色材以外の色材を抽出することができる。したがって、図12(c)に示すように、パッチ(3,1)の上部のメモ書きや、異常が生じたパッチ(3,2)に付けられた丸印の画像が抽出される。
説明を図11に戻す。画像処理部570は、ステップS2004において画像データから図12(b)、(c)のような画像を抽出する。その後、判定部560は、ステップS2005において自機のトナーの色材を含むかを判定する。自機のトナーの色材が含まれていない場合には(NO)、判定部560は、スキャン印刷物がユーザ原稿であると判定し、ステップS2009から図6のステップS103・NOの処理に分岐する。
ステップS2005において、自機のトナーの色材が含まれていると判定した場合には(YES)、ステップS2006に進む。ステップS2006では、抽出された色材が印画紙、インクジェット、印刷インクによるものや、不明な色材を含むか否かによって処理を分岐する。判定部560は、ステップS2006において、画像データから抽出された色材が、図12(c)に示したようなペン書き以外の、印画紙、インクジェット、印刷インクによるものや、不明な色材であるかを判定する。
ステップS2006において、印画紙、インクジェット、印刷インク、不明な色材を含むと判定した場合には(YES)、判定部560は、スキャン印刷物がユーザ原稿であると判定し、ステップS2009から図6のステップS103・NOの処理に分岐する。
ステップS2006において、印画紙、インクジェット、印刷インク、不明な色材を含まないと判定した場合には(NO)、ステップS2007に進む。ステップS2007では、判定部560は、スキャン印刷物の階調処理が、テストパターンのものと同じであるか否かを判定し、処理を分岐する。階調処理がテストパターンのものと異なる場合には、判定部560は、スキャン印刷物がユーザ原稿であると判定することができる。ここで、印刷物の階調処理について、図13を以て説明する。
図13は、本実施形態の画像形成装置110が出力する各種印刷物の階調処理の例を示すテーブルである。図13に示す階調処理情報テーブルには、印刷物の用途と、階調処理の種類と、スクリーン角とが対応付けられて格納されており、ここでは、印刷物の用途の一例として、テストパターン印刷、コピー印刷、プリンタ印刷に関する階調処理情報が格納されている。判定部560は、階調処理情報テーブルを参照することで、スキャン印刷物の階調処理がテストパターンの階調処理と同じであるか否かを判定することができる。
再度説明を図11に戻す。判定部560は、ステップS2007において、階調処理情報テーブルを参照し、スキャンした画像データの階調処理と、テストパターンの階調処理とを照合して、一致するか否かを判定する。ステップS2007において、階調処理がテストパターンと同じでない場合には(NO)、判定部560は、スキャン印刷物がユーザ原稿であると判定し、ステップS2009から図6のステップS103・NOの処理に分岐する。
ステップS2007において、階調処理がテストパターンと同じである場合には(YES)、スキャン印刷物がテストパターン印刷物である可能性があるため、ステップS2008に進み、第3の判定処理においてさらに詳細な判定を行う。図14は、本実施形態の判定部560が実行する第3の判定処理を示すフローチャートである。判定部560は、第3の判定処理において、異常画像の発生パターンに基づいて、スキャン印刷物がテストパターン印刷物であるか否かを判定する。
判定部560は、第2の判定処理において、テストパターン印刷物であると判定できなかった場合(図11・ステップS2008)、ステップ3000から、第3の判定処理を開始する。ステップS3001では、判定部560は、パッチの均一性や色相が規格値内である読み取り領域と、規格値外である読み取り領域とに分類する。その後、ステップS3002において、判定部560は、ステップS3001の分類の結果、全パッチ中、規格値内であるパッチの割合が閾値以上であるか否かによって処理を分岐する。規格値内であるパッチの割合が閾値以上である場合には(YES)、ステップS3006に進み、規格値内であるパッチの割合が閾値以上でない場合には(NO)、ステップS3003に進む。
ステップS3003では、分色版生成部573は、画像データに基づいて自機のCMYKトナーの分色版を生成する。ここで、分色版生成部573が生成する分色版について、図15および図16を以て説明する。図15および図16は、本実施形態において生成される分色版の例を示す図である。
図15(a)は、トナーの全色版の画像であり、当該画像から各トナーの色の分色版を生成する。図15(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ、黒色トナー版、シアントナー版、マゼンタトナー版、イエロートナー版の画像である。また、図15(f)は、トナー以外の色材が使用された版の画像であり、ここでは、トナー以外の色材がない例として、ブランク状態の版が生成されている。
図16は、具体的に異常が発生した場合の画像の例を示しており、図16(a)は、トナーの全色版の画像を示している。なお、図16において、クロスハッチングで示される領域は、異常が発生したパッチを示している。図16(a)の画像について、各トナーの色の分色版を生成すると、図16(b)~(f)のような画像が得られる。図16(b)は、黒色トナー版の白汚れを示し、図16(c)は、黒色パッチ以外の領域における黒色トナー版の黒汚れを示している。また、図16(d)、(e)、(f)は、それぞれ、シアントナー版、マゼンタトナー版、イエロートナー版の画像である。ここで、シアントナー版とイエロートナー版には異常はなく、マゼンタトナー版のパッチ(1,3)に白スジなどの異常が発生している。
分色版生成部573が図15や図16に示す各トナーの分色版を生成することで、判定部560は、トナー色ごとに異常の有無を評価し、テストパターン印刷物であるか否かの判定を行うことができる。
説明を図14に戻す。分色版生成部573がステップS3003において分色版を生成した後、ステップS3004では、判定部560は、均一性が規格値内であるパッチが所定の閾値以上であるか否かを分色版ごとに判定する。例えば、図16に示した分色版の場合について説明する。図16(b)、(c)のように黒色トナー版は、均一性が規格値から外れたパッチが広範にわたっており、異常が生じているものと判定することができる。また、図16(e)のようにマゼンタトナー版は、異常が生じたパッチが1か所のみであることから、閾値以下であるとして、異常が生じていないと判定することができる。
ステップS3004において閾値以上でないと判定された場合には(NO)、判定部560は、スキャン印刷物がユーザ原稿であると判定し、ステップS3005から図6のステップS103・NOの処理に分岐する。また、ステップS3004において閾値以上であると判定された場合には(YES)、ステップS3006に進む。
ステップS3002において規格値内であるパッチの割合が閾値以上であった場合(YES)や、ステップS3004において閾値以上であると判定された場合(YES)には、ステップS3006の処理を行う。ステップS3006では、パターンマッチング処理部574は、画像データについて異常の種類に応じたパターンマッチングを行う。印刷物に含まれる異常画像には、特定のパターンで異常が発生するものがある。そこで、パターンマッチング処理部574は、あらかじめ想定される異常の発生パターンと、画像データとをパターンマッチングして、異常の有無を検出する。ここで、印刷物に生じる異常パターンの例について、図17および図18を以て説明する。図17は、本実施形態の画像形成装置110からの印刷物に生じる異常パターンの例を示すテーブルである。また、図18は、具体的な異常パターンの画像例を示す図である。
図17に示すように異常パターンテーブルには、異常画像の現象と、異常の発生パターンと、異常を検出する条件とが対応付けられて格納されている。なお、図17左欄のパターンa~fは、図18の画像例に対応する。異常の発生パターンは、異常パッチが連続する方向や周期性、規格値との多寡などによって特定することができる。
図18は、具体的な異常パターンの画像例であり、図18(a)~(f)は、それぞれ図17のパターンa~fに対応している。図18(a)は、縦の黒(白)スジ、縦の黒(白)帯の異常パターンが発生した画像である。図18(b)は、横の黒(白)スジ、横の黒(白)帯の異常パターンが発生した画像である。図18(c)は、一部に濃度過多や濃度不足の異常パターンが発生した画像である。図18(d)は、周期性の濃度過多や濃度不足の異常パターンが発生した画像である。図18(e)は、斜めの黒(白)スジの異常パターンが発生した画像である。図18(f)は、全面に異常が生じた画像である。
説明を再度図14に戻す。ステップS3006において、パターンマッチング処理部574は、異常パターンテーブルを参照して、スキャン印刷物の画像データと、画像の異常の発生パターンとをパターンマッチングした後、ステップS3007の処理に進む。ステップS3007では、判定部560は、ステップS3006におけるパターンマッチングの結果に基づいて、スキャン印刷物の画像データが、異常パターンに対応したか否かによって処理を分岐する。
異常パターンとの対応があった場合には(YES)、判定部560は、スキャン印刷物がテストパターン印刷物であると判定し、ステップS3008から図6のステップS103・YESの処理に分岐する。一方、異常パターンとの対応がなかった場合には(NO)、判定部560は、スキャン印刷物について判定ができなかったものとして、スキャンした用紙の確認をユーザに促すべく、図6のステップS103・UNDECIDABLEの処理に分岐する。
以上に説明した第1~3の判定処理によれば、スキャン印刷物がテストパターン印刷物であることを判定した上で、サーバ装置120への画像データの送信を行うことができる。また、当該判定ができない場合であってもユーザにスキャン印刷物の確認を促すことができる。これによって、機密情報の漏洩を抑制し、セキュリティ性を向上することができる。
なお、上述した実施形態の説明では、複数の色のパッチの配列から構成されるテストパターンを識別する例について説明したが、実施形態を限定するものではない。例えば、特定の文字列、バーコード、二次元コードなどの各種識別符号を含むテストパターンを印刷し、当該識別符号に基づいて、テストパターン印刷物であるか否かを判定する構成であってもよい。
以上、説明した本発明の実施形態によれば、読み取り画像の送信による診断において、情報のセキュリティ性を向上した画像形成装置、方法およびプログラムを提供することができる。
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。