JP7212886B2 - 受精用精子液の製造方法及び凍結精子ストローの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、受精用精子液の製造方法及び凍結精子ストローの製造方法に関する。
従来、畜産分野において、家畜を生産するために、人工授精が頻繁に行われている。また、ヒトの不妊治療などにおいても、人工授精が行われる場合がある。
特に畜産分野において、人工授精や受精卵移植等が家畜の改良や増殖に応用され、実用化されており、本邦では、新たに得られる子牛の90%以上が人工授精によるものとなっている。
家畜の人工授精には、ストロー精液管に分注した凍結精液が一般的に用いられている。この凍結保存用のストロー精液管は、種雄牛の射出精液を凍結保存用の一次希釈液にて希釈し、次に、一次希釈液に凍害保護物質を加えた二次希釈液で希釈したものをストロー中に充填して得られるもので、液体窒素中で凍結保存される。種雄牛の1回の射出精液中には数十億個の精子が含まれており、これを分注加工して、各2~6千万個の精子を含有するストロー精液管を得ている。
しかし、射出精液中には、死滅した精子や、奇形の精子も一部含まれているが、それらを除去することなく分注加工が行われている。そのため、死滅した精子から無秩序に放出される化学種等によって、人工授精に有効である運動性が良好な精子にダメージを与え、殺傷を行ったり運動性を失わせたりする。
その結果、人工授精の直前に解凍したストロー精液管では、精子の多くが既に死滅、あるいは運動性が失われており、その割合は5~7割にも達する場合が多い。また、奇形の精子も一部含まれていることから、これらの非運動性精子の存在は、受胎効率の向上を妨げる原因の一つとなっている。
一方、これらのような問題点を解消すべく、畜産の分野やヒトの不妊治療の分野では、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を回収するための方法が種々提案されている。
例えば、熱可塑性樹脂からなる円筒形の容器の下部に隔壁を設置し、隔壁上に星形など多角形状の凹部を配置したデバイスが提案されている。このデバイスでは、壁に沿って狭いところに移動するという精子の性質を利用して、運動性の良好な精子を凹部につたわらせて、下面の終結部にて捕集することとしている(特許文献1参照。)。
また、精子が、流路内の水流に抗し遡上して移動するレオタキシス(rheotaxis;走流性)とよばれる性質を持つことに着目し、流速等の条件を調節し、レオタキシスを誘導する層流を発生させるマイクロ流路を設計し、さらに精子がレオタキシスを起こす確率を高めるために略三日月形状の貯留部構造を設定することで、効率良く運動性精子を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
国際公開第2015/104797号 国際公開第2016/035799号
これまでに提案されてきた方法によれば、遠心分離に供する方法等に比して、精子に対する物理的ダメージやDNA損傷を軽減することができ、比較的良質な運動性の精子を回収することが可能である。
特に、本発明者らが提案するマイクロ流路を用いた運動性精子の分離技術は、授精に適した精子を高精度で選別できるという点で極めて優れた技術であり、既に数十頭の子牛が本技術によって誕生している。
しかしながら、マイクロ流路を使用するという技術の性質上、多量の精子含有液を処理するためには、複数のマイクロ流路チップを使用したり、繰り返し作業を行う必要があるなど、人工授精用精子液の大量調製という観点において未だ改善の余地が残されていた。
このことは人畜問わず、運動性の良好な少数精鋭の精子を精度良く選抜したいといった状況がある一方で、それとは逆に、選抜精度の多少の低下は容認しつつより多くの精子を回収したいといった要望もあり、これまでに提案されていた技術で対応するには煩雑さを伴うこととなっていた。
特に、前述の凍結したストロー精液管(以下、凍結精子ストローともいう。)の製造において、大量調製可能でありながら、より受胎効率の良い凍結精子ストローが製造可能となれば、家畜生産の分野に極めて大きな恩恵をもたらすと考えられる。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離でき、しかも、凍結融解後に使用した場合でも良好な受胎効率を実現できる凍結精子ストローの調製に利用可能な受精用精子液の製造方法を提供する。
また、本発明では、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離し、しかも受胎効率が良好な凍結精子ストローの製造方法を提供する。
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る受精用精子液の製造方法では、(1)卵黄又は脱脂乳と緩衝成分と糖類と溶媒としての水と抗菌成分とレシチンとを含む家畜精液凍結保存用一次希釈液の組成から前記卵黄又は脱脂乳を除いた組成よりなる分配用希釈液で運動性の異なる複数の精子が含まれた精子含有液を希釈して希釈精子液を調製する工程と、軸線方向に速度勾配を有する旋回流を前記希釈精子液に形成し、前記精子を走流性に応じて移行分配させる分配工程と、前記分配工程を経た前記希釈精子液を分画し、運動性が良好な精子群を含む画分を得る分取工程と、を有することとした。
また、本発明に係る受精用精子液の製造方法では、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記旋回流は有底筒状容器の内周壁に沿って流れる旋回流であること。
(3)前記有底筒状容器は略鉛直方向へ指向させた前記軸線方向の下方へ向けて漸次狭窄する形状であること。
また、本発明に係る凍結精子ストローの製造方法では、(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の受精用精子液の製造方法にて分取した前記画分に卵黄又は脱脂乳を添加する添加工程と、同添加工程を経た画分に家畜精液凍結保存用二次希釈液を添加して所定の精子濃度に希釈し、所定量をストロー内に分注して凍結させる凍結工程と、を有することとした。
本発明によれば、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離でき、しかも、凍結融解後に使用した場合でも良好な受胎効率を実現できる凍結精子ストローの調製に利用可能な受精用精子液の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離でき、しかも受胎効率が良好な凍結精子ストローの製造方法を提供することができる。
旋回流の概念及び旋回流中での精子の挙動を示した説明図である。 収容容器中における旋回流の状態を示した説明図である。 他の例に係る旋回流の概念を示した説明図である。
本発明は、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離でき、しかも、凍結融解後に使用した場合でも良好な受胎効率を実現できる凍結精子ストローの調製に利用可能な受精用精子液の製造方法を提供するものである。
また、その特徴としては、軸線方向へ速度勾配を有する旋回流中に運動性の異なる複数の精子を存在させ、所定時間の経過後に走流性に応じて移行分配された精子群を分取することや、移行分配させるにあたり卵黄や脱脂乳を含まない希釈液で行うことなどが挙げられる。
そして、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法にて製造した受精用精子液は、運動性の良好な精子が高い割合で含まれるため、極めて良好な受胎効率を実現することが可能となる。
また、この受精用精子液は、凍結融解後に使用した場合でも良好な受胎効率を実現できる凍結精子ストローの調製に利用することも可能である。
すなわち、本実施形態に係る凍結精子ストローの製造方法は、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法にて得られた受精用精子液を後述する添加工程や凍結工程に供することで、受胎効率の良い凍結精子ストローを製造することとしている。
また付言すれば、本実施形態に係る凍結精子ストローの製造方法は、受精用精子液の調製過程も含めた一連の流れを加味すると、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離でき、しかも受胎効率が良好な凍結精子ストローの製造方法を提供するものと言える。
本実施形態に係る受精用精子液の製造方法において使用可能な精子は特に限定されるものではなく、ヒト由来の精子でも良く、また、非ヒト動物由来の精子であっても良い。
また、本受精用精子液の製造方法に供する精子を含んだ液(精子含有液)は、ヒトを含む、例えばオスの哺乳動物個体より得られたままの精液(射出精液)を用いることができるのは勿論のこと、精漿や緩衝液を添加して精子濃度や精漿を構成する成分を調整した成分調整精液や、凍結後解凍された精液(解凍精液)、精子を所定の緩衝液に分散させて調製した精子分散液も用いることができる。すなわち、本明細書において精子含有液は、これら射出精液、成分調整精液、解凍精液、精子分散液、またはこれらの組合せを総称する言葉として解するべきである。
本実施形態に係る受精用精子液の製造方法は、希釈精子液調製工程や、分配工程、分取工程を経て受精用精子液の調製が行われる。
希釈精子液調製工程は、次工程である分配工程に適した状態に精子含有液を希釈する工程である。具体的には、卵黄又は脱脂乳を含む家畜精液凍結保存用一次希釈液の組成から前記卵黄又は脱脂乳を除いた組成よりなる分配用希釈液で運動性の異なる複数の精子が含まれた精子含有液を希釈する。なお説明の便宜上、本希釈精子液調製工程については追って詳述する。
分配工程は、希釈精子液調製工程にて調製した希釈精子液中の運動性の異なる複数の精子を旋回流中に存在させ、運動性に応じて偏在させることで行う。図1(a)は、旋回流の一例についてその状態を概念的に示した斜視説明図である。楕円状に配された各実線は軸線Pを中心とする希釈精子液に形成された旋回流の所定間隔毎の旋回軌道を示し、また、旋回軌道上の太い矢印の長さは単位時間あたりの希釈精子液の移動量を示しており、この矢印の長さが長いほど流速が大きいことを示している。
旋回流は、例えば図1(a)として示すように、所定の軸線Pの回りに形成された旋回流であって、鉛直方向と略並行な軸線Pの伸延方向下方へ向けて流速や角速度が漸次減速する速度勾配を有するものが挙げられる。
任意の位置における同軸状に配された旋回軌道を見ると分かるように、旋回流は、軸線Pと直交する半径方向において、略一定の角速度を有するものであっても良い。
また、本分配工程は、旋回流によって精子に惹起されたレオタキシスを利用するものであるため、旋回流の流速は、良好な運動性を有する精子のレオタキシス能力を超えない程度であるのが望ましい。
良好な運動性を有する精子の直線速度は、概ね100μm/sec程度であるため、例えば200μm/secから10μm/sec程度までの速度勾配(以下、好適速度勾配範囲ともいう。)が軸線方向のできるだけ広い領域に亘って形成された旋回流が好適である。ただし、200μm/secを上回る流速となる領域や10μm/secを下回る流速となる領域の存在を妨げるものではない。
好適速度勾配範囲を軸線方向にできるだけ広い領域に亘って形成することで、良好な運動性を有する精子を多く含む液層の分取をより容易なものとすることができる。ただし、領域を過剰に広げすぎることは、無用な精子密度の低下を招くこととなるため、留意が必要である。良好な運動性を有する精子が含まれた液層を分取した際の好ましい精子密度は、10万~20億個/ml程度である。
図1(b)は、希釈精子液に形成された旋回流中における各精子の挙動を示した説明図であり、左側に示す矢印は流速の大きさを示している。なお、説明の便宜上、好適速度勾配範囲に対する精子の大きさは誇張して表現している。図1(a)に示したような旋回流が希釈精子液に形成されると、旋回流中においてそれぞれの精子はレオタキシスが惹起され、各精子の運動性に応じた流れが存在する位置に移動する。
具体的には、例えば運動性に相応する流れよりも流速が小さい領域に存在していた精子S1は、より流速が高く自らの運動性に適した領域に向かって移動する。また、運動性に相応する流れよりも流速が大きい領域に存在していた精子S2は、より流速が低く自らの運動性に適した領域に向かって移動する。もともと運動性に相応する流速の領域に存在していた精子S3や精子S4は、およそ同様な流れが存在する位置を保持する。このように、比較的良好な運動性を有する精子S1~S4は、自らの運動性に相応する流れが存在する位置に移行することで、運動性の良好な精子が多く分配された液層(以下、良運動性精子層ともいう。)が希釈精子液中に形成される。
その反面、運動性が良好でない精子S5は、良運動性精子層に存在する流れよりも流速が小さく、自らの運動性に相応した流れが存在する位置に移動する。このような機序により、運動性が良好でない精子や奇形の精子(例えば精子S6)が多く分配された液層(以下、不良運動性精子層)が希釈精子液中に形成されることとなる。
このような精子の移行分配を行わせるのに必要な旋回流を維持しておく時間は、処理する希釈精子液の量にもよるが概ね10~120分程度であり、例えば希釈精子液の量が20mlであれば、20~45分程度で比較的顕著に分配傾向が現れる。
そして、所定時間の経過を待って精子の移行分配を行い、必要に応じて旋回流を停止させ、不良運動性精子層を除いた液層部分、特に、良運動性精子層を含む液層画分を分取する(分取工程)ことで、希釈精子液の液量が比較的多い場合においても、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離することができる。
特に、図1(a)に示すような旋回流であれば、軸線Pの伸延方向を略鉛直方向とし、軸線Pの上方から下方へ向けて漸次流速が低下する旋回流(以下、鉛直軸下方減速旋回流ともいう。)としているため、運動性が良好でない精子や奇形の精子は下方へ、運動性が良好な精子は上方へ移動分配することができ、運動性の良好な精子を含む液層を分取するにあたり、液面近傍から容易に操作を行うことができる。
この図1(a)に示す旋回流は、希釈精子液中の如何なる場所に形成しても良いが、例えば、旋回流の形成を停止させてもなお残存する流れなどにより分配された精子が拡散してしまうことを防止するために、旋回流を囲う壁や精子を誘引可能な拡散防止手段を配しても良い。敢えて具体的な一例を挙げるならば、希釈精子液を所定の容器に収容し、希釈精子液全体に旋回流を形成するのも一案である。
図2(a)は、運動性の異なる複数の精子を含む希釈精子液10を拡散防止手段として機能する有底円筒状の収容容器11内に収容し、旋回流生成手段としての図示しない攪拌機の攪拌子12を希釈精子液10の液面又は液面直下に配し、収容された希釈精子液10の高さ方向略全域に亘って好適速度勾配範囲が形成されるような速度で攪拌子12を回転させることにより鉛直軸下方減速旋回流を形成した状態を示している。
このような構成とすることにより、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分配することができるのは勿論のこと、収容容器11内に収容した比較的多量の希釈精子液10の全量を一度に処理することができる。
また、上方に移行分配された良運動性精子層を、例えば吸引装置などの分取手段を使用し上部開口13を介して容易に分取することができ、精子選別の操作上、分取工程を行う際に極めて有利である。
また、逆の視点から言えば、底部近傍に不良運動性精子層を形成することとなり、運動性に乏しい精子群を底部近傍に沈降させることができるため、運動性に乏しい精子群が良運動性精子層に混入することを可及的抑制することができる。
図2(b)は、分配工程の他の実施態様を示した説明図である。なお、図2(b)では、説明の便宜上、旋回流生成手段や希釈精子液10の液面については図示を省略している。
図2(b)に示す態様では、図2(a)にて示した旋回流と同様、鉛直軸下方減速旋回流を利用して精子の選別を行う点で共通しているが、希釈精子液10を収容し旋回流を形成する収容容器11が、軸線方向の下方へ向けて漸次狭窄する有底筒状(倒立円錐台形状)である点で構成を異にしている。
すなわち、図2(a)にて示した旋回流が軸線に沿って略等幅の鉛直軸下方減速旋回流であったのに対し、収容容器11内にて希釈精子液10に形成される旋回流は、下方狭窄の鉛直軸下方減速旋回流である点で異なっている。
そして、このような構成を備える分配工程によれば、前述の図2(a)にて示した方法と同様の効果が得られるのに加え、運動性に乏しい精子群を容積の小さい底部近傍に高濃度で集合させることができ、分取工程にて不良運動性精子層を除いた液層部分、特に、良運動性精子層を含む液層の量を可及的多く分取することが可能となる。
また、下方へ狭窄する収容容器であるため、軸線Pと直交する仮想線上の軸線Pから内周壁までの距離(旋回半径)が下方ほど小さく、希釈精子液が有する粘性と内周壁との兼ね合いにより下方ほど流動抵抗が高まるため、流速の速度勾配の傾きをより大きくすることができる。
ここまで、旋回流が鉛直軸下方減速旋回流である場合を一例として分配工程や分取工程について説明してきたが、次に、速度勾配の形成方向や軸線の異なる旋回流の例について図3を参照しながら説明する。
図3は分配工程に適用可能な旋回流の他の例を示した説明図である。まず図3(a)に示す旋回流であるが、軸線Pの回りに形成され、鉛直方向と略並行な軸線Pの伸延方向上方へ向けて流速や角速度が漸次減速する速度勾配を有する旋回流(以下、鉛直軸上方減速旋回流ともいう。)を示している。
個々の精子は極めて微細で軽量であるため、旋回流を形成して移行分配する間の時間、例えば10~120分程度であれば、重力が及ぼす精子の移動への影響は殆ど無視することができる。
従って、鉛直軸上方減速旋回流を形成した場合、鉛直軸下方減速旋回流とは反対に、運動性に相応する流れよりも流速が小さい領域に存在していた精子はより早い流れが存在する領域を求めて下方へ移動して良運動性精子層が形成される一方、運動性に相応する流れよりも流速が大きい領域に存在していた精子であって運動性に乏しい精子は、より遅い流れが存在する領域を求めて上方へ移動して不良運動性精子層が形成されることとなる。
そして、鉛直軸上方減速旋回流を採用して分配工程を行うと、例えば図2(a)にて示した上部開口で等幅の円筒状収容容器を用いた場合には、精子の移行分配が行われた後に、上部開口から分取手段によって運動性の乏しい精子群を分取することとなるため、収容容器内に運動性の良好な精子群を含む液層を残存させることができる。
図3(b)は、鉛直方向と略直交する軸線Pの回りに形成され、軸線Pの伸延方向のうちいずれか一方(図3(b)では紙面右方)へ向けて流速や角速度が漸次減速する速度勾配を有する旋回流(以下、水平軸旋回流ともいう。)を示している。
この水平軸旋回流は、例えば横臥させた筒状容器内でその内周壁に沿って流れを生成することにより形成でき、これまでの鉛直軸下方減速旋回流や、鉛直軸上方減速旋回流と同様に、良好な運動性を有する精子は相対的に流速の大きい領域へ移行して良運動性精子層を形成し、運動性に乏しい精子は相対的に流速の小さい領域へ移行して不良運動性精子層を形成することとなり、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離することができる。
なお、図示については省略するが、旋回流の軸線は鉛直(略鉛直)方向や水平(略水平)方向に限定されるものではなく、鉛直方向や水平方向に対し所定の傾きを持った軸としても良い。
図3(c)は、下方へ狭窄する鉛直軸下方減速旋回流という点では、先に図2(b)を参照して説明した旋回流と略同様であるが、螺旋旋回流である点で状態を異にしている。
発明の理解を容易とするために、図中では螺旋を強調して示しているが、収容した希釈精子液の上部と下部との間、より具体的には良運動性精子層を含む液層と不良運動性精子層を含む液層とが対流によって攪乱されない程度の螺旋旋回流であれば、これまでの旋回流と同様に個々の精子が有する走流性に応じて移行分配させることができ、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離することができる。
なお、ここまで幾つかの旋回流を中心に述べてきた本発明に関する分配工程や分取工程の概念的な説明は、発明の理解を容易にすべく理想的なモデルを提示して説明したものにすぎず、実際は、希釈精子液が流体として複雑な挙動を示すものであって、本発明をこれら理想モデルに基づいて厳密に解釈すべきではない。分配工程や分取工程の要旨は、流速の異なる旋回流を略同軸状に多段又は無段階に形成し、レオタキシスによって個々の精子を運動性に対応した流れが存在する位置に移行分配させ、目的とする液層を分取することにある点に留意すべきである。但し、本出願人が本願の権利化を図るにあたり、これら説明に基づいて発明を減縮することは妨げない。
このように、分配工程や分取工程は、軸線方向へ速度勾配を有する旋回流中に運動性の異なる複数の精子を存在させ、所定時間の経過後に走流性に応じて移行分配された精子群を分取するものであると言える。
分配工程や分取工程を実施するにあたり、旋回流中に配される精子の環境温度、換言すれば、旋回流を形成する希釈精子液の温度は、精子が自律的に運動可能な温度であれば特に限定されるものではなく、例えば20~40℃、より好ましくは25~35℃程度とすることができる。
希釈精子液の温度は、必要に応じて保温・冷却可能に構成しても良い。例えば、収容容器の周囲にニクロム線やセラミックス発熱体などの発熱体やペルチェ素子などの調温体を配したり、温風・温水や冷風・冷水等の加熱・冷却媒体を吹き付けるなどして熱交換可能としても良い。
また、分配工程や分取工程では、希釈精子液に温度勾配を形成しても良い。例えば、収容容器の壁部を部分的に調温可能とし、収容されている希釈精子液のうち良運動性精子層の形成が予想される部位近傍の温度を、精子が運動を行うにあたり相対的に適した温度(例えば35℃~37℃)とし、その他の部位を相対的にあまり適切ではない温度(例えば20℃~25℃)として旋回流の軸線方向に温度勾配を形成すれば、精子にサーモタキシス(Thermotaxis)を惹起して運動性の良好な精子をより強力に良運動性精子層近傍に誘引することができ、精子の移行分配を更に効率的に行うことができる。
一般的な目安であるが、一度に処理を行う射出精液の量は、0.1~20ml、好ましくは1~10mlとすることができる。このような量であれば、十分量を処理することができ、精子選別の処理効率を向上させることができる。
また、希釈精子液を有底筒状容器内に収容し、希釈精子液の略全体に旋回流を形成して処理を行う場合、一度に処理を行う希釈精子液は、上記射出精液を2~100倍に希釈したものとすることができ、その量は概ね10~100mlとすることができる。
また、有底筒状の収容容器の形状は特に限定されるものではないが、底壁の直径が10~100mm、周壁の高さが20~500mmのものを好適に採用することができる。鉛直方向に軸線を有する旋回流によって分配工程や分取工程を実施するにあたっては、収容容器は上部開口を備えた筒状であるのが望ましく、例えば単純な円筒や直方体、円錐台形状のものを用いることができる。なお、筒状とは、必ずしも断面視円形である必要はなく、例えば、楕円や多角形状であっても良い。
また、収容容器の材質は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックやガラス、低膨張ホウケイ酸ガラスなどとすることができる。
希釈精子液に旋回流を形成するにあたり使用される攪拌機などの旋回流生成手段に備えられる攪拌子は、例えば鉛直軸下方減速旋回流を形成する場合には、希釈精子液の水面から浸漬し、回転駆動により希釈精子液に回転運動を与えるものであれば良く、また、図3(c)にて示したように渦流を形成するものであっても良い。
攪拌子の形状は、精子含油液に効率良く回転力が伝わる表面積の大きな形状とするのが望ましく、例えば、プロペラ状や羽状、両者が組み合わされた形状のものなどを採用することができる。
攪拌子の回転は、電気モータ等によって一定時間安定した回転を与えるものが好適である。攪拌子の回転速度は、回転によって精子に対して損傷を与えない水流速度を誘起する速度であれば良いが、好適には良好な運動性を有する精子のレオタキシス能力を超えない程度の水流速度を誘起する回転速度が望ましく、例えば、10~200rpmとすることができる。
そして、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法では、上述した特徴的な分配工程や分取工程を経るのに加え、分配工程に供する希釈精子液を調製するにあたり、分配用希釈液を用いて精子含有液の希釈を行う点でも特徴的である。
従来より行われている家畜精液の凍結精子ストローの製造では、家畜から得られた射出精液を希釈して所望の濃度に調整する場合、「一次希釈液」と称される家畜精液凍結保存のために特化した希釈液が使用される。
この一般的な一次希釈液は、緩衝成分や糖類、抗生物質などの抗菌成分等に加え、卵黄や脱脂乳(スキムミルク)が凍結障害防止成分として添加された水溶液であり、凍結時の精子へのダメージを抑制する。
また、例えば卵黄は、細胞毒性のない細胞保護剤としての機能を有し、しかも精子の運動能力を高めるための栄養分としても機能したり、更にはリポタンパクやリベチンによる精子の生存延長効果も有しており、凍結精子ストローを製造する上での精子含有液の希釈液として、所謂「一次希釈液」は極めて完成された組成を有していると言える。
従って、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離することと、凍結融解後に使用した場合でも良好な受胎効率を実現できる凍結精子ストローの調製に利用可能な受精用精子液とすることとを両立させるためには、前述した分配工程に精子を供するにあたり、精子含有液を一次希釈液で希釈するのが理想的であるようも思われる。
しかしながら、本発明者らは長年に亘る鋭意研究を行う中で、一次希釈液は精子の状態を良好に保つためには極めて有用であるが、前述の如き旋回流を用いた移行分配を行うには必ずしも適しているとは言えないことを見出した。
具体的には、一次希釈液を用いて希釈された精子含有液で分配工程を行った場合、一次希釈液に含まれる微細な卵黄球や脱脂乳の凝集体が精子の移行分配の妨げとなり、分配が良好に行われなくなることを見出した。
これは、精子の大きさと同等かこれを上回る1~1000μm程度の卵黄球や脱脂乳の凝集体が存在する場合、旋回流中で流れに任せて旋回する凝集体がレオタキシスを行っている精子と干渉し、それぞれに適した流速や温度の領域へ移行しようとする精子の進行を妨げてしまうためであると考えられる。
そこで本実施形態に係る受精用精子液の製造方法では、凍結精子ストローの製造における精子含有液の希釈には卵黄や脱脂乳を含む一次希釈液が必須と考え方がこれまで支配的であった中、一次希釈液と略同様の組成でありながら卵黄や脱脂乳が除かれた分配用希釈液を敢えて用いることで、効率的な精子の移行分配を実現することとしている。
すなわち、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法の希釈精子液調製工程では、卵黄又は脱脂乳を含む家畜精液凍結保存用一次希釈液の組成から前記卵黄又は脱脂乳を除いた組成よりなる分配用希釈液で運動性の異なる複数の精子が含まれた精子含有液を希釈して希釈精子液を調製することとした。
ここで家畜精液凍結保存用一次希釈液は、卵黄又は脱脂乳を含む既知又は未知の家畜精液凍結保存用の一次希釈液を意味する。
すなわち、既に公知の一次希釈液であるか否かに拘わらず、精子の運動性を阻害せず、好ましくは精子の運動性を向上させる程度の糖類と、卵黄又は脱脂乳とを少なくとも含む一次希釈液又は一次希釈液と同等の機能を発揮可能な希釈液である。
一次希釈液は、卵黄や脱脂粉乳の他、緩衝成分、糖類、溶媒としての水、抗菌成分、レシチン等を含むのが一般的である。
緩衝成分は、所望のpHを達成する目的で使用する。緩衝成分として、中性付近に緩衝作用を持つ緩衝成分であれば任意のものを選択することができ、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、メス、ヘペス、テス、トリシン等の緩衝剤、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液等が挙げられる。また、所望のpHに調整するため酸もしくはアルカリを用いることができる。酸は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、アスコルビン酸等が挙げられる。アルカリは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。
緩衝成分として、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸を用いる場合は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン濃度は、好ましくは50~200mM、さらに好ましくは80~150mM、クエン酸濃度は好ましくは20~80mM、さらに好ましくは25~60mMである。
糖類は、精子のエネルギー源とする目的で使用する。糖類として、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ラフィノース等が挙げられる。これら糖類全体としての終濃度は、概ね50~300mM、好ましくは80~200mM、より好ましくは100~160mM程度とすることができる。
糖類として、例えばフルクトース、ラクトース及びラフィノースを用いる場合は、フルクトース濃度は好ましくは15~30mM、ラクトース濃度は好ましくは35~60mM、ラフィノース濃度は好ましくは50~70mMである。
卵黄は、精子の保存性を向上する目的で使用する。例えば、卵黄は、ニワトリ、ウズラ、ホロホロチョウ等の鳥類由来のもの等が挙げられる。卵黄の濃度は、好ましくは5~35%(v/v)、さらに好ましくは10~30%(v/v)、特に好ましくは15~25%(v/v)である。
レシチンは、精子の保存性を向上する目的で使用することができる。例えば、レシチンは大豆、ヒマワリ、卵黄由来のものが挙げられる。大豆レシチンを用いることで、卵黄系希釈液における問題であった安定した品質管理ができない点、調製に手間がかかる点、大きなコストが発生する点、鳥インフルエンザ等の病原性ウィルスを媒介する懸念がある点が解決できる。大豆レシチンの濃度は、好ましくは0.15~1.0%(w/v)、さらに好ましくは0.2~0.4%(w/v)、特に好ましくは0.25~0.35%(w/v)である。
脱脂乳は、精子の保存性を向上する目的で使用する。脱脂乳以外にも乳を使用することが可能であり、例えば、ウシ、ロバ、ヤギ、ウマ、羊、又は水牛由来のものが挙げられる。また、乳は、一部の成分を除いた加工乳も含む。例えば、加工乳として、脂肪分を除いた低脂肪乳や無脂肪乳、乾燥させた脱脂粉乳の水溶液等が挙げられる。
抗菌成分は、細菌の増殖を防ぐ目的で使用する。抗菌成分としては、例えば抗生物質を用いることができ、一例として、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、ジベカシン等が挙げられる。
pHの調整は、1又は2以上の緩衝剤、酸又はアルカリで行う。好ましくはpH5.0~9.0の範囲で使用することができ、さらに好ましくはpH5.6~8.0の範囲で使用する。さらに好ましくは、pH6.2~7.0の範囲で使用する。特に好ましくは、pH6.4~6.8の範囲で使用する。pHは、pHメータを用いて測定される。
浸透圧は、精子の運動活性及び受精活性が維持できる浸透圧であれば任意の浸透圧であってもよいが、通常は230~3414mmol/kgである。下限の230mmol/kgは、「Guthrie et al.、Biology of Reproduction 67、 1811-1816 (2002)」の記載により、精子の運動活性を維持できる下限値として特定されている。上限の3414mmol/kgは、2次希釈液の浸透圧であり、凍結保存時に1次希釈液と混合した場合に精子の運動活性を維持できる上限値として特定されている。浸透圧は、溶質の濃度、解離度等から理論値を計算することもできるが、溶液を構成する物質の相互作用等を考慮して、浸透圧計(オズモメーター)を用いて測定される。
浸透圧は、上記文献の記載により、好ましくは230~400mmol/kg、さらに好ましくは250~350mmol/kg、特に好ましくは260~330mmol/kgである。
分配用希釈液は、このような一次希釈液の組成から卵黄又は脱脂乳が除かれた精液凍結保存用の希釈液を意味する。すなわち、分配用希釈液は、家畜精液の凍結保存に使用する一次希釈液を構成する卵黄又は脱脂乳の少なくともいずれかとその他成分とのうち実質的に前記その他の成分のみにより調製された水溶液と解することができる。
また付言すれば、分配用希釈液は、卵黄又は脱脂乳の添加に由来する機能以外の家畜精液凍結保存用一次希釈液としての機能を発揮しうる希釈液と解することもできる。
そして、この分配用希釈液を用いて精子含有液を所定の精子濃度に希釈することで、希釈精子液が得られる。
希釈精子液中における精子濃度は特に限定されるものではないが、グリセロールを含む後述の二次希釈液による希釈を勘案し、大凡0.5億~3億個/ml程度とするのが好ましい。
このような希釈精子液を前述の分配工程に供することで、精子の走流性に応じた移行分配を良好に行わせることができる。
すなわち、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離でき、しかも、凍結融解後に使用した場合でも良好な受胎効率を実現できる凍結精子ストローの調製に利用可能な受精用精子液の製造方法を提供することができる。
また、本実施形態に係る凍結精子ストローの製造方法では、前述した希釈精子液調製工程や、分配工程、分取工程に加え、添加工程、凍結工程等を経て凍結精子ストローの製造が行われる。付言すれば、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法にて製造した受精用精子液を、後述する添加工程、凍結工程に供することで凍結精子ストローの製造を行うとも言える。なお、本実施形態に係る凍結精子ストローの製造方法としての希釈精子液調製工程や、分配工程、分取工程は、受精用精子液の製造方法の各工程と同様であるため、これらの工程についての説明は割愛する。
本実施形態に係る凍結精子ストローの製造方法では、希釈精子液を分配工程や分取工程に供することで得られた運動性が良好な精子群を含む画分、すなわち良運動性精子層を含む液層や不良運動性精子層が除かれた液層に対して添加工程が行われる。
この添加工程は、分取画分に対して凍結障害防止成分を添加する工程であり、凍結障害防止成分としては例えば卵黄や脱脂乳とすることができる。卵黄や脱脂乳の添加は、卵黄や脱脂乳が添加された分配用希釈液、すなわち一次希釈液の添加によって行うことができる。卵黄や脱脂乳の添加量は、凍結障害を防止可能な程度であれば特に限定されるものではないが、例えば既知の一次希釈液を参照しつつ分配用希釈液を調製したならば、一次希釈液で精子含有液を希釈した場合における卵黄や脱脂乳の終濃度の20%~略同程度の終濃度とすることが可能な量としても良い。
また、凍結障害防止成分としては、卵黄や脱脂乳の他に、植物系由来の物として大豆乳等を挙げることができる。
そして添加工程を経た画分は、凍結工程に供される。凍結工程では、画分に家畜精液凍結保存用二次希釈液を添加して所定の精子濃度に希釈し、所定量をストロー内に分注して凍結させる。
家畜精液凍結保存用二次希釈液は、特に限定されるものではなく、家畜の精液凍結保存用に一般的に使用される二次希釈液を用いることが可能であるが、例えば、一次希釈液とグリセロールとを5~7:1の割合で混合したものを使用することができる。
また、グリセロール以外にも耐凍剤としては、凍結保存時の精子の耐凍能を向上する目的で使用できれば良く、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
本発明の2次希釈液の浸透圧は、好ましくは2152~3414mmol/kg、さらに好ましくは2349~2957mmol/kgである。凍結保存した精液の融解直後の浸透圧は、好ましくは1199~1809mmol/kg、さらに好ましくは1247~1575mmol/kgである。
また、二次希釈液を添加した後の精子の濃度は、受胎効率等を勘案して適宜規定することが可能であるが、例えば4千万~1億2千万個/ml程度とすることができる。
このように調製された二次希釈後の精子含有液は、精子の凍結保存用として製造されたストロー(又は、クライオストック用の容器)に所定量(例えば、0.5ml)ずつ分注し、適宜熱溶着等によって封止した後に凍結に供して凍結精子ストローを製造することができる。
以下、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法、及び凍結精子ストローの製造方法に関し、精子選別方法、精子選別システム、人工授精用精子液、並びに人工授精用精子液としての使用について触れながら、実施例を参照しつつ説明する。なお、本実施例では筒状の収容容器内に収容した希釈精子液の全体に鉛直軸下方減速旋回流を形成して精子の選別を行った例について述べるが、収容容器の形状や旋回流は先に述べたとおり種々変更可能である。
〔 I 〕分配工程及び分取工程についての検討
まず、分配工程及び分取工程について検討した。本検討では、分配用希釈液で精子含有液を希釈して調製した希釈精子液ではなく、精子や卵細胞の研究において一般的に使用される緩衝液で希釈した精子含有液を用いて検討を行った。
(1.精子選別システムの構築)
精子含有液を収容する有底筒状の収容容器として、上部直径(開口径)20mm、下部直径10mm、高さ250mmの倒立円錐台形状の収容空間を有するガラス製容器と、精子含有液に旋回流を生じさせる旋回流生成手段として、先端にプロペラ状の攪拌子を配したFRONTLAB社製FLOS20-S型攪拌機と、移行分配された精子群を分取する分取手段として吸引ホースの中途に分取液回収用のトラップ部を設けた吸引機とを用意し、精子選別システムを構築した。
(2.精子含有液の調製)
黒毛和牛より得られた凍結精液を解凍したもの2mlにSP-TALP溶液を添加して希釈し、20mlの精子含有液を調製した。
(3.精子選別)
調製した精子含有液をガラス製容器内に収容し、攪拌子を液面下5mmの位置に浸漬した状態で攪拌機を70rpmの回転数で駆動させ、精子含有液全体に下方狭窄の鉛直軸下方減速旋回流を形成した。このとき、目視的に観察される旋回流の軸線近傍の流れが容器底部に達しないよう回転数を調整した。
(4.分取)
30分経過後攪拌を停止し、収容容器の上部開口から吸引ホースを穏やかに挿入し、上部(液面付近)、中央(高さ方向の真ん中付近)、下部(底部付近)についてそれぞれ約6.6mlずつ、別個に液層を回収した。なお、良運動性精子層の分取は、ここでは所定の体積を規定して分取することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば水面から所定の深さ分(高さ分)だけ分取するなど、高さや長さによって規定することも可能である。
(5.人工授精用精子液の性状)
分取した各液層中に含まれる精子の精子運動率、直線速度、曲線速度についてディテクト社製精子運動解析装置に供して計測を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0007212886000001
また、同様に調製した精子含有液を同形状の収容容器に収容し、旋回流の形成を行うことなく30分間静置して上部、中央、下部より回収した液層について計測した結果を表2に示す。
Figure 0007212886000002
表1に示した結果によれば、精子の濃度は上部、中央、下部において若干の違いは見られたものの、顕著な偏りは確認されず大凡均等に分布していた。
精子運動率は、上部において65.83%と最も高く、下部(34.55%)と比較して約2倍の差があった。また、直線速度や曲線速度などの運動性は上部から中央にかけて高くなっていた。直線速度の分布については、下部では運動性の低い精子の分布が多いが、逆に上部と中央では運動性の高い精子の分布が高い傾向があった。上部では直線速度がゼロの非運動性精子はほとんど確認されなかった。
下部には全く運動しない、あるいは運動性の低い精子の濃度が局在していることから、下部の授精に対する貢献度が低い精子画分を除去し、上部もしくは上部と中央部を加えた画分を受精用精子液とし、人工授精や体外受精に用いることで受胎率の向上が達成できるものと考えられた。
〔 II 〕凍結精子ストローの製造方法に係る一連の流れついての検討
次に、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法、及び凍結精子ストローの製造方法に関し、一連の流れを踏まえつつ検討を行った。
(1.希釈精子液調製工程)
黒毛和牛より得た射出精液に対し、分配用希釈液を添加して希釈精子液の調製を行った。分配用希釈液は、佐賀県畜産試験場にて用いられているウシ精液凍結保存用一次希釈液の組成から卵黄を除いた組成にて調製した。これらの組成を表3に示す。
Figure 0007212886000003
分配用希釈液の具体的な調製方法としては、まず、緩衝成分と糖類とを蒸留水に溶解した後に800mlにメスアップし、オートクレーブに供した。次いで滅菌後の溶液に抗菌成分を添加し、一次希釈液であれば200mlの卵黄を添加すべきところ、卵黄を添加することなく分配用希釈液とした。
次に、射出精液に対し、同射出精液の3倍量の分配用希釈液を添加して均一に攪拌することで4倍希釈し、希釈精子液を得た。
(2.分配工程・分取工程)
先述した〔 I 〕分配工程及び分取工程についての検討と同様の方法で、分配工程を行った。なお、分取工程は、希釈精子液の約50%の量を上部から吸引により得ることで分画し、良運動性精子層を含む画分、すなわち、受精用精子液とした。
(3.添加工程)
得られた画分(受精用精子液)中に含まれる精子の濃度測定を行い、精子の終濃度が1億2千万個/mlとなる量の一次希釈液並びに卵黄(36℃)を添加することで、一次希釈液相当の溶液組成とした。
(4.凍結工程)
添加工程を経た画分を約1時間かけて4℃まで冷却し、同画分と等量の二次希釈液を添加して、精子の終濃度を6000万個/mlに希釈調製した。なお、二次希釈液は、前記一次希釈液とグリセロールとを6:1の割合で混合したものを使用した。
そして、4℃を保ったまま、上記希釈調製後の画分を富士平工業社製凍結保存用ストローに0.5mlずつ分注し、開口を熱溶着によりシールしてプログラムフリーザーにて凍結させて凍結精子ストローを得た。
(5.種付け試験)
次に、上述の如く製造した凍結精子ストローを解凍し、4頭の黒毛和牛種(被授精牛A~D)及び4頭のホルスタイン(被授精牛E~H)に対して人工授精を行った。各牛の種付け履歴や月齢、及び種付けの結果を表4に示す。なお、種付け履歴中にて示すETは受精卵移植(Embryo Transfer)であり、AIは人工授精(Artificial Insemination)である。
Figure 0007212886000004
種付け試験を行った結果、表4に示すようにいずれの被授精牛A~Hにおいても妊娠が確認された。特に、被授精牛E~Hは、種付け履歴に示すように複数回の受精卵移植や人工授精によっても妊娠させるのが困難であったリピートブリーダーであるが、このような廃牛直前のウシに対しても妊娠させることが可能であり、家畜生産を行う上で極めて有用であることが示された。
〔 III 〕分配工程で使用する希釈液と凍結融解後における精子の運動性との関係についての検討
次に、分配工程で使用する希釈液と凍結融解後における精子の運動性との関係についての検討について言及する。
本検討では、上述の希釈精子液を用い本実施形態に係る凍結精子ストローの製造方法により得た凍結精子ストローと、卵黄を含む一次希釈液を用い本実施形態に係る凍結精子ストローの製造方法に準じて得た凍結精子ストローとについて、凍結融解後における精子の運動性について確認を行った。
また、卵黄を含む一次希釈液を用いた凍結精子ストローの製造にあっては、分配工程で使用する一次希釈液をポアサイズ0.45mmのフィルターに供したものと、フィルターに供していないものとについても確認を行った。
その結果、フィルターに供していない一次希釈液を用いて分配工程が行われた凍結精子ストローの精子の運動性は、活発な運動性を示す精子の割合が25%(25%++)、フィルターに供した一次希釈液で分配工程が行われた凍結精子ストローの精子の運動性は、活発な運動性を示す精子の割合が40%(40%++)であった。
一方、本実施形態に係る凍結精子ストローの製造方法、すなわち、上述した希釈精子液により分配工程が行われた凍結精子ストローの精子の運動性は、活発な運動性を示す精子の割合が60%(60%++)と、極めて高い運動性を有していることが確認された。
これらのことから、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法や凍結精子ストローの製造方法によれば、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離でき、しかも、凍結融解後に使用した場合でも良好な受胎効率を実現できることが示された。
上述してきたように、本実施形態に係る受精用精子液の製造方法によれば、卵黄又は脱脂乳を含む家畜精液凍結保存用一次希釈液の組成から前記卵黄又は脱脂乳を除いた組成よりなる分配用希釈液で運動性の異なる複数の精子が含まれた精子含有液を希釈して希釈精子液を調製する工程と、軸線方向に速度勾配を有する旋回流を前記希釈精子液に形成し、前記精子を走流性に応じて移行分配させる分配工程と、前記分配工程を経た前記希釈精子液を分画し、運動性が良好な精子群を含む画分を得る分取工程と、を有することとしたため、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離でき、しかも、凍結融解後に使用した場合でも良好な受胎効率を実現できる凍結精子ストローの調製に利用可能な受精用精子液の製造方法を提供することができる。
また、卵黄又は脱脂乳を含む家畜精液凍結保存用一次希釈液の組成から前記卵黄又は脱脂乳を除いた組成よりなる分配用希釈液で運動性の異なる複数の精子が含まれた精子含有液を希釈して希釈精子液を調製する工程と、軸線方向に速度勾配を有する旋回流を前記希釈精子液に形成し、前記精子を走流性に応じて移行分配させる分配工程と、前記分配工程を経た前記希釈精子液を分画し、運動性が良好な精子群を含む画分を得る分取工程と、分取した画分に卵黄又は脱脂乳を添加する添加工程と、添加工程を経た画分に家畜精液凍結保存用二次希釈液を添加して所定の精子濃度に希釈し、所定量をストロー内に分注して凍結させる凍結工程と、を有することとしたため、運動性の異なる多くの精子の中から運動性の良好な精子を効率良く迅速に分離し、しかも受胎効率が良好な凍結精子ストローの製造方法を提供することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
10 精子含有液
11 収容容器
12 攪拌子
13 上部開口
P 軸線
S1~S6 精子

Claims (4)

  1. 卵黄又は脱脂乳と緩衝成分と糖類と溶媒としての水と抗菌成分とレシチンとを含む家畜精液凍結保存用一次希釈液の組成から前記卵黄又は脱脂乳を除いた組成よりなる分配用希釈液で運動性の異なる複数の精子が含まれた精子含有液を希釈して希釈精子液を調製する工程と、
    軸線方向に速度勾配を有する旋回流を前記希釈精子液に形成し、前記精子を走流性に応じて移行分配させる分配工程と、
    前記分配工程を経た前記希釈精子液を分画し、運動性が良好な精子群を含む画分を得る分取工程と、
    を有する受精用精子液の製造方法。
  2. 前記旋回流は有底筒状容器の内周壁に沿って流れる旋回流であることを特徴とする請求項1に記載の受精用精子液の製造方法。
  3. 前記有底筒状容器は略鉛直方向へ指向させた前記軸線方向の下方へ向けて漸次狭窄する形状であることを特徴とする請求項2に記載の受精用精子液の製造方法。
  4. 請求項1~3いずれか1項に記載の受精用精子液の製造方法にて分取した前記画分に卵黄又は脱脂乳を添加する添加工程と、
    同添加工程を経た画分に家畜精液凍結保存用二次希釈液を添加して所定の精子濃度に希釈し、所定量をストロー内に分注して凍結させる凍結工程と、
    を有する凍結精子ストローの製造方法。
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