以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(情報読取装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる情報読取装置1の斜視図である。図2は、図1に示す情報読取装置1のガラス板3、カバー部材15、照明4、5および媒体押え機構12を抜き出して示す斜視図である。図3は、図2に示すガラス板3、カバー部材15、照明4、5および媒体押え機構12の正面図である。図4は、図1に示す情報読取装置1の内部の光路を説明するための側面図である。図5は、図1に示す情報読取装置1のシャッタ機構14の動作を説明するための側面図である。
本形態の情報読取装置1は、情報記録媒体2に記録された情報を光学的に読み取る装置である。すなわち、情報読取装置1は、情報記録媒体2に印刷等された文字や図形等を読み取る装置である。情報読取装置1は、手動式の読取装置であり、情報読取装置1への情報記録媒体2の挿入と情報読取装置1からの情報記録媒体2の抜取りとが手動で行われる。また、本形態の情報読取装置1は、比較的小さな卓上型の読取装置である。情報読取装置1で読み取られる情報記録媒体2は、パスポート2AおよびIDカード2Bである(図3参照)。
情報記録媒体2がパスポート2Aである場合には、パスポート2Aの表紙の裏面に記録された情報が情報読取装置1で光学的に読み取られる。情報記録媒体2がIDカード2Bである場合には、IDカード2Bの両面に記録された情報が情報読取装置1で光学的に読み取られる。本形態のパスポート2Aは、ICパスポートであり、ICチップおよび通信用のアンテナが内蔵されるICページを備えている。また、IDカード2Bは、非接触式のICカードであり、IDカード2Bには、ICチップと通信用のアンテナとが内蔵されている。IDカード2Bは、長方形状に形成されている。また、IDカード2Bは、たとえば、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。
パスポート2Aは、開いた状態で情報読取装置1に挿入される。開いた状態で情報読取装置1に挿入されたパスポート2Aの表紙の厚さ方向は、上下方向と一致している。また、情報読取装置1に挿入されたIDカード2Bの厚さ方向は、上下方向と一致している。本形態のパスポート2Aは、第1の情報記録媒体であり、IDカード2Bは、第2の情報記録媒体である。なお、図4では、説明の便宜上、パスポート2AとIDカード2Bとが一緒に情報読取装置1に挿入されているが、実際には、パスポート2AおよびIDカード2Bのいずれか一方が情報読取装置1に挿入される。
以下の説明では、情報読取装置1への情報記録媒体2の挿入方向側(図1等のY2方向側)を「奥」側または「後ろ」側とし、情報読取装置1からの情報記録媒体2の抜取り方向側(図1等のY1方向側)を「前」側とする。また、情報読取装置1に対する情報記録媒体2の挿入抜取り方向(図1等のY方向)を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する方向(図1等のX方向)を「左右方向」とする。
情報読取装置1は、情報記録媒体2が載置される透明なガラス板3と、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の下面に光を照射する照明4と、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の上面に光を照射する照明5と、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の下面に記録された情報を読み取るための光学系6と、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の上面に記録された情報を読み取るための光学系7と、光学系6、7を通過した光が入射する撮像素子8と、光学系6を通過した光を撮像素子8に結像させるとともに光学系7を通過した光を撮像素子8に結像させる結像光学系9と、これらの構成が収容される筐体10とを備えている。撮像素子8は、二次元のCMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサである。本形態のガラス板3は、載置部材であり、照明4は、第1の照明であり、照明5は、第2の照明である。また、光学系6は、第1の光学系であり、光学系7は、第2の光学系である。
また、情報読取装置1は、ガラス板3に載置されたパスポート2Aの左右方向の両端部を上側から押えるための媒体押え機構12を備えている。また、情報読取装置1は、光学系6を通過した光の一部を結像光学系9に向かって透過させるとともに光学系7を通過した光の一部を結像光学系9に向かって反射するビームスプリッタ13と、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の下面に記録された情報を読み取るときに光学系7からビームスプリッタ13に入射する光を遮るとともにガラス板3に載置された情報記録媒体2の上面に記録された情報を読み取るときに光学系6からビームスプリッタ13に入射する光を遮るシャッタ機構14とを備えている。ビームスプリッタ13およびシャッタ機構14は、筐体10に収容されている。なお、図4では、媒体押え機構12の図示を省略している。
さらに、情報読取装置1は、ガラス板3に載置される情報記録媒体2よりも上側に配置される上面部15aと、上面部15aの左右の両端側に繋がる2個の側面部15bと、上面部15aの奥端側に繋がる奥面部15cとを有するカバー部材15を備えている。本形態のカバー部材15は、上面部15aと2個の側面部15bと奥面部15cとによって構成されている。カバー部材15は、アクリル樹脂等の透明な樹脂で形成されている。奥面部15cには、たとえば、遮光性の塗料が塗布されており、奥面部15cは、奥側へ向かう光を遮断する遮光部となっている。一方、上面部15aおよび側面部15bは、透明になっている。
上面部15aは、長方形の平板状に形成されており、上面部15aの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、上面部15aは、上面部15aの端面が前後方向または左右方向と平行になるように配置されている。側面部15bは、長方形の平板状に形成されており、側面部15bの厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。奥面部15cは、長方形の平板状に形成されており、奥面部15cの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。奥面部15cの左右の両端は、側面部15bの奥端に繋がっている。
ガラス板3は、長方形の平板状に形成されており、ガラス板3の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、ガラス板3は、ガラス板3の端面が前後方向または左右方向と平行になるように配置されている。側面部15bの下端および奥面部15cの下端は、ガラス板3の上面に接触している。本形態では、ガラス板3とカバー部材15とによって、前面が開口するとともに情報記録媒体2の少なくとも一部が配置される箱状の媒体配置部16が形成されている。媒体配置部16は、直方体の箱状に形成されている。図1に示すように、媒体配置部16の、前面の開口以外の部分は、筐体10によって覆われている。
ガラス板3には、IDカード2Bの全体が載置される。また、ガラス板3には、開いた状態のパスポート2Aの背表紙がガラス板3の前端側に配置されるように、パスポート2Aの一部が載置される。パスポート2Aは、個人情報が記録された表紙の裏面が下側を向くようにガラス板3に載置される。本形態では、パスポート2Aの、ガラス板3に載置された部分の前後方向の幅は、ガラス板3に載置されたIDカード2Bの前後方向の幅(すなわち、IDカード2Bの、ガラス板3に載置された部分の前後方向の幅)よりも広くなっている。また、パスポート2Aの左右方向の幅は、ガラス板3に載置されたIDカード2Bの左右方向の幅よりも広くなっている。
なお、本形態のパスポート2Aは、国際民間航空機関(ICAO)が公表したガイドラインに沿って作成されたパスポートである。ガラス板3に載置されるパスポート2Aの表紙の裏面には、顔写真や氏名等が記載されている。また、パスポート2Aの表紙の裏面の左右方向の両端部の奥端部分には、文字認識に利用される文字が記録されている。
ガラス板3の下側には、IDカード2Bに内蔵される通信用のアンテナと通信を行うためのアンテナ(図示省略)が配置されている。このアンテナは、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の下面の情報を光学的に読み取る際に支障の出ない位置に配置されている。また、ガラス板3よりも前側には、図1に示すように、パスポート2Aに内蔵される通信用のアンテナと通信を行うためのアンテナ17が配置されている。アンテナ17は、ガラス板3よりも下側に配置されている。なお、パスポート2Aの仕様によっては、ガラス板3の下側に配置されるアンテナと、パスポート2Aに内蔵されるアンテナとの通信が行われることもある。
また、情報読取装置1は、図1に示すように、情報読取装置1の前面側かつ上面側に配置されるカメラ18を備えている。カメラ18は、媒体配置部16よりも上側に配置されている。カメラ18の光軸は、前側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜している。カメラ18は、たとえば、情報記録媒体2の読取操作を行う者の顔を撮影する。
(照明の構成および配置)
図6は、図2に示す照明4、5の構成を説明するための斜視図である。
照明4、5は、複数の光源を備えている。具体的には、照明4、5は、光源として、白色光を射出する複数の白色LED20と、赤外光を射出する複数の赤外線LED21と、紫外光を射出する複数の紫外線LED22とを備えている。また、照明4、5は、複数の白色LED20と複数の赤外線LED21と複数の紫外線LED22とが実装される基板24と、複数の白色LED20が射出する白色光と複数の赤外線LED21が射出する赤外光と複数の紫外線LED22が射出する紫外光とが入射する照明レンズ25とを備えている。
基板24は、細長い長方形の平板状に形成されている。基板24は、基板24の長手方向と前後方向とが一致するように配置されている。図6に示すように、基板24の一方の面には、2個の赤外線LED21と1個の紫外線LED22と1個の白色LED20と2個の赤外光LED21とから構成されるLED組26が複数個実装されている。本形態では、6個のLED組26が基板24に実装されている。1個のLED組26を構成する2個の赤外線LED21と1個の紫外線LED22と1個の白色LED20と2個の赤外光LED21とは、基板24の長手方向に沿ってこの順番で配置されている。また、6個のLED組26は、基板24の長手方向に沿って配列されている。すなわち、6個のLED組26は、前後方向に配列されている。なお、基板24に実装されるLED組26の数は、7個以上であっても良いし、5個以下の複数個であっても良い。
照明レンズ25は、細長い略直方体状に形成されている。照明レンズ25は、白色LED20、赤外線LED21および紫外線LED22が実装される基板24の一方の面に固定されている。照明レンズ25には、上述のように、複数の白色LED20が射出する白色光と複数の赤外線LED21が射出する赤外光と複数の紫外線LED22が射出する紫外光とが入射する。情報記録媒体2には、照明レンズ25を透過した光が照射される。なお、照明4、5から照射される赤外光は、OCR文字等の機械読取式の印刷情報の読取りに用いられる。また、照明4、5から照射される紫外光は、情報記録媒体2の真偽判定に必要な印刷情報の読取りに用いられる。具体的には、照明4、5から照射される紫外光は、目に見えない蛍光発色インクによる印刷情報の読取りに用いられる。
図3に示すように、照明4は、ガラス板3よりも下側に配置されている。また、情報読取装置1は、2個の照明4を備えており、照明4は、左右方向におけるガラス板3の両外側のそれぞれに配置されている。照明4は、ガラス板3に載置される情報記録媒体2に向かって左右方向の外側から、かつ、斜め下側から光を照射する。また、図3(A)に示すように、照明4から射出されガラス板3を透過した光が、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の下面に照射される。
照明5は、ガラス板3に載置される情報記録媒体2よりも上側に配置されている。また、情報読取装置1は、2個の照明5を備えており、照明5は、左右方向における媒体配置部16の両外側のそれぞれに配置されている。すなわち、2個の照明5のうちの一方の照明5は、右側に配置される側面部15bの右側に配置され、2個の照明5のうちの他方の照明5は、左側に配置される側面部15bの左側に配置されている。照明5は、ガラス板3に載置される情報記録媒体2に向かって左右方向の外側から、かつ、斜め上側から光を照射する。また、図3(B)に示すように、照明5から射出され側面部15bを透過した光が、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の上面に照射される。
(光学系、結像光学系、ビームスプリッタ、撮像素子の構成および配置)
光学系6は、長方形の平板状に形成された3個の反射ミラー30、31、32を備えている。反射ミラー30は、ガラス板3に載置されるパスポート2Aの下側に配置されている。また、反射ミラー30は、ガラス板3の下側に配置されている。反射ミラー31は、反射ミラー30と略同じ高さに配置されるとともに、反射ミラー30よりも後ろ側に配置されている。反射ミラー32は、媒体配置部16の後ろ側(カバー部材15の奥面部15cの後ろ側)に配置されている。また、反射ミラー32は、反射ミラー31の上側に配置されている。反射ミラー30には、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の下面で反射された光が入射する。反射ミラー31には、反射ミラー30で反射された光が入射し、反射ミラー32には、反射ミラー31で反射された光が入射する。
光学系7は、長方形の平板状に形成された2個の反射ミラー33、34を備えている。反射ミラー33は、ガラス板3に載置されるIDカード2Bの上側に配置されている。また、反射ミラー33は、カバー部材15の上面部15aの上側(媒体配置部16の上側)に配置されている。反射ミラー34は、反射ミラー33と略同じ高さに配置されるとともに、ガラス板3よりも後ろ側(すなわち、媒体配置部16よりも後ろ側)に配置されている。反射ミラー33には、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の上面で反射された光が入射する。反射ミラー34には、反射ミラー33で反射された光が入射する。
結像光学系9は、結像レンズ35を備えている。結像レンズ35は、反射ミラー32の後ろ側に配置されている。また、結像レンズ35は、反射ミラー34よりも後ろ側に配置されている。撮像素子8は、結像レンズ35の後ろ側に配置されている。撮像素子8は、撮像素子8の撮像面が前側を向くように配置されている。
ビームスプリッタ13は、長方形の平板状に形成されている。ビームスプリッタ13は、前後方向において、反射ミラー32と結像レンズ35との間に配置されている。また、ビームスプリッタ13は、反射ミラー34の下側に配置されている。ビームスプリッタ13は、反射ミラー32で反射された光の半分を結像レンズ35に向かって透過させるとともに、反射ミラー34で反射された光の半分を結像レンズ35に向かって反射する。
(シャッタ機構の構成)
シャッタ機構14は、光学系6とビームスプリッタ13との間の光路(すなわち、反射ミラー32とビームスプリッタ13との間の光路)を遮る第1遮光位置37A(図5(B)参照)と、光学系7とビームスプリッタ13との間の光路(すなわち、反射ミラー34とビームスプリッタ13との間の光路)を遮る第2遮光位置37B(図5(A)参照)との間で移動可能なシャッタ37を備えている。シャッタ37は、反射ミラー32、34とビームスプリッタ13との間の光路を遮る遮光部37aを備えている。また、シャッタ機構14は、第1遮光位置37Aと第2遮光位置37Bとの間でシャッタ37を移動させるシャッタ駆動機構を備えている。
(媒体押え機構の構成)
図7は、図2に示す媒体押え機構12を別の方向から示す斜視図である。図8は、図2に示す媒体押え機構12の分解斜視図である。図9は、図1に示す情報読取装置1に情報記録媒体2が挿入された状態を説明するための斜視図である。図10は、図1に示す情報読取装置1にパスポート2Aが挿入されたときの押え部材41および接触部材42の動作を説明するための側面図である。
媒体押え機構12は、媒体配置部16に着脱可能となっている。媒体配置部16に媒体押え機構12が取り付けられた状態で情報読取装置1が使用される場合には、媒体押え機構12は、媒体配置部16の中に配置されている。媒体押え機構12は、パスポート2Aの左右方向の両端部を上側から押える2個の押え部41aを有する押え部材41と、IDカード2Bの後端が接触する接触部42aを有する接触部材42と、押え部材41および接触部材42を保持する保持部材43とを備えている。また、媒体押え機構12は、保持部材43に対して押え部材41を下側に付勢する圧縮コイルバネ44、45を備えている。本形態の媒体押え機構12は、2個の圧縮コイルバネ44と2個の圧縮コイルバネ45との合計4個の圧縮コイルバネ44、45を備えている。
保持部材43は、樹脂で形成されている。保持部材43は、媒体押え機構12の上面を構成する上面部43aと、媒体押え機構12の後面を構成する後面部43bと、媒体押え機構12の後端側の左右の側面を構成する側面部43cとを備えている。上面部43aは、左右方向の長さが長い略長方形の平板状に形成される基部43dと、基部43dの左右の両端側から前側に向かって突出する2個の突出部43eとから構成されている。基部43dは、基部43dの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。突出部43eは、前後方向の長さが長い略長方形の平板状に形成されており、突出部43eの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。
後面部43bは、左右方向の長さが長い略長方形の平板状に形成されており、後面部43bの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。後面部43bの上端は、基部43dの後端に繋がっている。側面部43cは、略長方形の平板状に形成されており、側面部43cの厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。側面部43cの上端は、基部43dの左右の両端のそれぞれに繋がり、側面部43cの後端は、後面部43bの左右の両端のそれぞれに繋がっている。
上面部43aの上面には、上側に向かって突出する2個の突起43fと2個の突起43gとが形成されている。突起43fは、2個の突出部43eのそれぞれの前端側部分に形成されている。突起43gは、基部43dの左右方向の両端側のそれぞれに形成されている。突起43fの上面は、上下方向に直交する平面となっている。突起43gは、半球状に形成されている。媒体押え機構12が媒体配置部16の中に配置されているときには、突起43fの上面および突起43gの上端は、カバー部材15の上面部15aの下面に接触している。
突出部43eの前端側には、下側に向かって突出する円柱状のバネ保持部43hが形成されている。バネ保持部43hは、圧縮コイルバネ44の内周側に挿入されている。基部43dには、圧縮コイルバネ45の内周側に挿入される軸部47aが形成されるバネ保持部材47が固定されている。バネ保持部材47は、軸部47aが基部43dから下側へ突出するように、基部43dの上面側に固定されている。バネ保持部材47には、2個の軸部47aが形成されている。
側面部43cには、保持部材43に対して押え部材41を上下方向へ案内するためのガイド溝43jが形成されている。ガイド溝43jは、左右方向で側面部43cを貫通しており、上下方向を長手方向とする長穴状に形成されている。また、側面部43cには、押え部材41に形成される後述のガイドピン41gをガイド溝43jに嵌めるための切欠き部43kが形成されている。切欠き部43kは、ガイド溝43jの上端部と側面部43cの前端面との間に形成されている。
押え部材41は、樹脂で形成されている。押え部材41は、上述のように、2個の押え部41aを備えている。押え部41aは、前後方向の長さが長い直線状に形成されている。すなわち、押え部41aは、前後方向に平行な直線状に形成されている。具体的には、押え部41aは、前後方向の長さが長い板状に形成されている。また、押え部材41は、2個の押え部41aのそれぞれの前端に繋がるガイド部41bと、2個の押え部41aの後端部(奥端部)を繋ぐ接続部41cとを備えている。接続部41cは、押え部41aの後端部の上側同士を接続している。
押え部41aの下面は、上下方向に直交する平面となっている。ただし、押え部41aの下面には、上側に向かって窪む肉盗み部41dが形成されている(図7参照)。押え部41aの上面41eは、左右方向の内側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。すなわち、右側に配置される押え部41aの上面41eは、左側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっており、左側に配置される押え部41aの上面41eは、右側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。
押え部41aは、ガラス板3に載置されたパスポート2Aの左右方向の両端部(具体的には、パスポート2Aの表紙の左右方向の両端部)のそれぞれの少なくとも一部分に上側から接触してパスポート2Aの左右方向の両端部の少なくとも一部分を上側から押える機能を果たしている。本形態の押え部41aは、ガラス板3に載置されたパスポート2Aの左右方向の両端部(パスポート2Aの表紙の左右方向の両端部)のそれぞれのほぼ全体に上側から接触してパスポート2Aの左右方向の両端部のほぼ全体を上側から押えている。そのため、2個の押え部41aの左右方向の間隔は、パスポート2Aの左右方向の幅よりも狭くなっている(図9(A)参照)。一方、2個の押え部41aの左右方向の間隔は、IDカード2Bの左右方向の幅よりも広くなっている(図3(B)、図9(B)参照)。
押え部41aの後端部には、接触部材42に下側から接触して接触部42aを押し上げる押上部41fが形成されている。すなわち、押え部材41の左右方向の両端側のそれぞれには、押上部41fが形成されている。また、押え部材41の後端部に押上部41fが形成されている。押上部41fは、接続部41cの下側に配置されている。押上部41fの上面は、左右方向から見たときの形状が円弧となる凸曲面状に形成されている。
ガイド部41bの下面は、左右方向から見たときの形状が円弧となる凸曲面状に形成されている。また、ガイド部41bの下面は、前側に向かうにしたがって上側へ向かうように傾斜している。ガイド部41bの左右方向の内側面は、上下方向から見たときの形状が円弧となる凹曲面状に形成されている。また、ガイド部41bの左右方向の内側面は、前側に向かうにしたがって左右方向の外側に広がっている。ガイド部41bは、情報読取装置1に挿入されるパスポート2Aを押え部41aの下側に案内する機能を果たしている。また、ガイド部41bは、情報読取装置1に挿入されるIDカード2Bを2個の押え部41aの間に案内する機能を果たしている。
ガイド部41bの後端部および押え部41aは、保持部材43の突出部43eの下側に配置されている。接続部41cは、保持部材43の基部43dの下側に配置されている。圧縮コイルバネ44の下端は、ガイド部41bの後端部の上面に接触し、圧縮コイルバネ45の下端は、接続部41cの上面に接触している。すなわち、押え部材41は、圧縮コイルバネ44、45によって保持部材43に対して下側に付勢されており、保持部材43に対して上下動可能となっている。情報読取装置1にパスポート2Aが挿入されていないときには、圧縮コイルバネ44、45の付勢力によって、押え部41aの下面は、ガラス板3の上面に接触している。本形態では、圧縮コイルバネ44、45を撓ませることで、媒体配置部16の中に配置される媒体押え機構12を媒体配置部16から容易に取り外すことが可能になっている。
接続部41cの左右の両側面のそれぞれには、左右方向の外側に突出するガイドピン41gが形成されている。ガイドピン41gは、円柱状に形成されている。ガイドピン41gは、左右方向において押上部41fよりも外側に配置されている。また、左右方向から見たときに、ガイドピン41gは、押上部41fの真上に配置されている。2本のガイドピン41gのそれぞれは、左右方向の内側から2個のガイド溝43jのそれぞれに係合している。押え部材41は、ガイドピン41gとガイド溝43jとによって、保持部材43に対して上下方向に案内される。また、押え部材41は、ガイドピン41gを中心にして、かつ、左右方向を回動の軸方向として保持部材43に対して回動可能となっている。
接触部材42は、樹脂で形成されている。また、接触部材42は、押え部材41と別体で形成されており、押え部材41の接続部41cの下側に配置されている。接触部材42は、上述のように、接触部42aを備えている。また、接触部材42は、接触部42aを支持する支持部42bを備えている。接触部42aは、左右方向の長さが長い平板状に形成されており、接触部42aの厚さ方向と前後方向とが略一致するように配置されている。接触部42aの前面は、IDカード2Bの後端(奥端)が接触する接触面42fとなっている。すなわち、接触部42aには、接触面42fが形成されている。支持部42bは、左右方向の長さが長い略平板状に形成されており、支持部42bの厚さ方向と上下方向とが略一致するように配置されている。接触部42aは、支持部42bの前端から下側へ伸びている。
接触部42aの左右方向の幅は、2個の押え部41aの左右方向の間隔よりも狭くなっている。また、接触部42aは、前後方向から見たときに2個の押え部41aの間に配置されている。接触部42aの下面の左右方向における中央部分には、上側に窪む凹部42cが形成されている。凹部42cは、前後方向から見たときの形状が円弧となる凹曲面状に形成されている。凹部42cの左右方向の幅は、ガラス板3に載置されたIDカード2Bの左右方向の幅よりも狭くなっている。凹部42cの左右方向の外側は、上下方向に略直交する平面となっている。すなわち、接触部42aの下端面は、上下方向に略直交する平面となっている。
支持部42bの左右の両端面には、左右方向の外側に突出するピン42dが形成されている。ピン42dは、支持部42bの後端部に形成されている。ピン42dは、保持部材43に形成される凹部に係合している。この凹部は、左右方向における側面部43cの内側面から左右方向の外側に向かって窪むように形成されている。2本のピン42dのそれぞれは、左右方向の内側から2個の凹部のそれぞれに挿入されている。接触部材42は、ピン42dを中心にして、かつ、左右方向を回動の軸方向として保持部材43に対して回動可能となっている。ピン42dは、ガイド溝43jよりも後ろ側に配置されるとともに、ガイド溝43jの下端よりも下側に配置されている。支持部42bの左右方向の両端側のそれぞれには、押え部材41の押上部41fが下側から接触している。押上部41fは、ピン42dよりも前側に配置されている。
情報読取装置1に情報記録媒体2が挿入されていない状態では、接触部42aの下端面は、上下方向に直交する平面となっており、ガラス板3の上面に接触している。また、この状態では、接触面42fは、前後方向に直交する平面となっている。また、この状態では、接触面42fは、押え部材41の接続部41cの前端よりもわずかに前側に配置されている。ガラス板3の前端面と接触面42fとの前後方向の距離は、ガラス板3に載置されるパスポート2Aの表紙の前後方向の幅よりも短くなっている(図9(A)参照)。また、ガラス板3の前端面と接触面42fとの前後方向の距離は、ガラス板3に載置されるIDカード2Bの前後方向の幅よりも長くなっている(図9(B)参照)。
本形態では、媒体配置部16に媒体押え機構12が取り付けられた状態で、情報読取装置1にパスポート2Aが挿入され始めると、パスポート2Aが押え部材41の押え部41aの下側に入り込んで押え部41aの前端側が持ち上がる(図10(A)参照)。また、パスポート2Aが情報読取装置1の所定の位置まで入り込むと、図10(B)に示すように、押上部41fが持ち上がる。そのため、情報読取装置1にパスポート2Aが挿入されて所定位置まで入り込むと、支持部42bが押上部41fに押し上げられて、接触部材42がピン42dを中心にして回動する。具体的には、図10(B)に示すように、図10の時計回りの方向に接触部材42が回動して、接触部42aが持ち上がる。
上述のように、押上部41fは、保持部材43に対する接触部材42の回動中心となるピン42dよりも前側に配置されている。また、接触部42aは、押上部41fよりも前側に配置されている。そのため、接触部42aが持ち上がったときの接触部42aの上昇量は、パスポート2Aによって持ち上げられる押上部41fの上昇量よりも大きくなっている。情報読取装置1にパスポート2Aが挿入されると、パスポート2Aの奥端(表紙の奥端)は、接触部42aの下側を通過して、接触部42aよりも奥側に入り込む。
このように本形態では、パスポート2Aが情報読取装置1に挿入されると、押え部41aがパスポート2Aによって持ち上げられてパスポート2Aの左右方向の両端部を上側から押えるとともに、接触部42aが持ち上げられて、パスポート2Aの奥端が接触部42aの下側を通過する。また、パスポート2Aが情報読取装置1に挿入されると、押え部41aの上昇動作に連動して、接触部42aが持ち上げられる。
一方、上述のように、ガラス板3に載置されるIDカード2Bの左右方向の幅は、2個の押え部41aの左右方向の間隔よりも狭くなっている。そのため、媒体配置部16に媒体押え機構12が取り付けられた状態で、情報読取装置1にIDカード2Bが挿入されても、押え部41aが持ち上がらず、押上部41fは持ち上がらない。したがって、情報読取装置1にIDカード2Bが挿入されても、接触部42aは持ち上がらない。そのため、情報読取装置1にIDカード2Bが挿入されると、接触面42fにIDカード2Bの奥端が接触する(図3(B)、図9(B)参照)。
図2等に示すように、上下方向において、押え部41aと突出部43eとの間には、隙間が形成されている。上下方向における押え部41aと突出部43eとの間の、接触面42fよりも前側の部分は、照明5から射出された光(具体的には、後述のLED組26Bから射出された光)が通過する光通過部48となっている。すなわち、押え部41aの上側、かつ、突出部43eの下側の、接触面42fよりも前側の部分は、照明5から射出され側面部15bを透過した光が、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の上面に向かって通過する光通過部48となっている。
(第2の照明と媒体押え機構との位置関係)
図11は、図2に示す照明5および媒体押え機構12の位置関係を説明するための概略図である。
媒体押え機構12が媒体配置部16に取り付けられているときの、前後方向における接触面42fの位置を第1位置P1とすると、図11に示すように、照明5が有する6個のLED組26のうちの5個のLED組26は、第1位置P1よりも前側に配置され、残りの1個のLED組26は、第1位置P1よりも後ろ側(奥側)に配置されている。すなわち、照明5は、第1位置P1よりも前側に配置される5個のLED組26と、第1位置P1よりも後ろ側に配置される1個のLED組26とを備えている。
以下では、第1位置P1よりも前側に配置されるLED組26と、第1位置P1よりも後ろ側に配置されるLED組26とを区別して表す場合には、第1位置P1よりも前側に配置されるLED組26を「LED組26A」とし、第1位置P1よりも後ろ側に配置されるLED組26を「LED組26B」とする。LED組26Bは、前後方向において、押え部材41の接続部41cおよび保持部材43の側面部43cと同じ位置に配置されている。本形態のLED組26Aは、第1位置P1よりも前側に配置される第1光源であり、LED組26Bは、第1位置P1よりも奥側に配置される第2光源である。
なお、本形態では、LED組26Aによって情報記録媒体2の上面に照射される光によって情報記録媒体2の上面に影が生じないように、照明5のLED組26の光の照射角度および押え部41aの上面41eの傾斜角度が設定されている。また、本形態では、照明4が有する6個のLED組26のうちの5個のLED組26も、第1位置P1より前側に配置され、残りの1個のLED組26は、第1位置P1よりも後ろ側(奥側)に配置されている。
(シェーディング補正用の補正データの取得方法)
情報読取装置1を組み立てた後等に行われる情報読取装置1の調整時には、撮像素子8で取得される画像データをシェーディング補正するためのシェーディング補正用の補正データを取得する。情報記録媒体2の上面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときには、白色無地の調整用媒体をガラス板3に載置する。調整用媒体の大きさは、IDカード2Bの大きさと同じである。また、情報記録媒体2の上面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときには、媒体押え機構12を媒体配置部16から取り外した状態で、調整用媒体をガラス板3に載置する。
また、情報記録媒体2の上面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときには、LED組26Bを消灯させた状態でLED組26Aを点灯させて調整用媒体の上面に光を照射する。すなわち、情報記録媒体2の上面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときには、照明5を用いて(具体的には、5個のLED組26Aのみを点灯させて)第1位置P1よりも前側のみから調整用媒体の上面に光を照射する。また、撮像素子8で取得された画像データに基づいて、シェーディング補正用の補正データを取得する。具体的には、情報読取装置1の制御部が補正データを取得して記憶する。
なお、情報記録媒体2の下面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときにも、白色無地の調整用媒体をガラス板3に載置する。調整用媒体の大きさは、たとえば、パスポート2Aの、ガラス板3に載置された部分の大きさと同じである。また、情報記録媒体2の下面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときには、媒体押え機構12を媒体配置部16から取り外した状態で、あるいは、媒体押え機構12を媒体配置部16に取り付けた状態で、調整用媒体をガラス板3に載置する。また、照明4の6個のLED組26を点灯させて調整用媒体の下面に光を照射し、撮像素子8で取得された画像データに基づいて、シェーディング補正用の補正データを取得する。
(情報記録媒体に記録された情報の読取方法)
情報読取装置1で情報記録媒体2に記録された情報を読み取るときには、媒体配置部16に媒体押え機構12を取り付ける。すなわち、媒体配置部16の中に媒体押え機構12を配置する。情報読取装置1でパスポート2Aに記録された情報を読み取る場合、パスポート2Aは、個人情報が記録された表紙の裏面が下側を向くように情報読取装置1に挿入される。パスポート2Aが情報読取装置1に挿入されると、押え部41aがパスポート2Aによって持ち上げられてパスポート2Aの左右方向の両端部が押え部41aによって上側から押えられるとともに、パスポート2Aの奥端が接触部42aよりも奥側に入り込んで、パスポート2Aがガラス板3に載置される。
パスポート2Aがガラス板3に載置されると、照明4の6個のLED組26を点灯させてパスポート2Aの下面に光を照射する。また、パスポート2Aの下面に記録された情報の画像データを撮像素子8で取得する。この画像データは、補正データに基づいてシェーディング補正される。情報読取装置1でパスポート2Aに記録された情報を読み取るときには、シャッタ37は、第2遮光位置37Bに配置されている。また、照明5は光を照射しない。
また、情報読取装置1でIDカード2Bに記録された情報を読み取る場合、IDカード2Bが情報読取装置1に挿入される。IDカード2Bが情報読取装置1に挿入されると、接触面42fにIDカード2Bの奥端が接触して、IDカード2Bがガラス板3に載置される。IDカード2Bがガラス板3に載置されると、まず、IDカード2Bの下面に記録された情報を読み取る。具体的には、照明4の6個のLED組26を点灯させてIDカード2Bの下面に光を照射する。また、IDカード2Bの下面に記録された情報の画像データを撮像素子8で取得する。この画像データは、補正データに基づいてシェーディング補正される。このときには、シャッタ37は、第2遮光位置37Bに配置されている。また、照明5は光を照射しない。
IDカード2Bの下面に記録された情報を読み取ると、その後、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取る。このときには、まず、シャッタ37を第1遮光位置37Aに移動させてから、LED組26Bを消灯させた状態でLED組26Aを点灯させてIDカード2Bの上面に光を照射する。すなわち、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときには、照明5を用いて(具体的には、5個のLED組26Aのみを点灯させて)第1位置P1よりも前側のみからIDカード2Bの上面に光を照射する。
また、IDカード2Bの上面に記録された情報の画像データを撮像素子8で取得する。この画像データは、補正データに基づいてシェーディング補正される。このときには、照明4は光を照射しない。なお、IDカード2Bに記録された情報を読み取る場合、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取った後に、IDカード2Bの下面に記録された情報を読み取っても良い。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、媒体押え機構12を媒体配置部16から取り外した状態でガラス板3に載置された調整用媒体の上面に光を照射し、撮像素子8で取得される画像データに基づいてシェーディング補正用の補正データを取得している。そのため、本形態では、シェーディング補正用の補正データを取得したときの媒体押え機構12の位置と、IDカード2Bの上面に記録された情報を実際に読み取るときの媒体押え機構12の位置とがずれることはない。したがって、本形態では、IDカード2Bの上面に記録された情報を実際に読み取るときに、撮像素子8で取得された画像データに対してシェーディング補正を行っても、シェーディング補正用の補正データを取得したときの媒体押え機構12の位置と、IDカード2Bの上面に記録された情報を実際に読み取るときの媒体押え機構12の位置とのずれに起因して、シェーディング補正後の画像データの中に濃度が異常に高い部分や濃度が異常に低い部分が生じるといった不具合が発生することはない。
また、本形態では、押え部41aの上側の、接触面42fよりも前側の部分は、照明5から射出された光が通過する光通過部48となっており、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときに、LED組26Bを消灯させた状態でLED組26Aを点灯させて第1位置P1よりも前側のみからIDカード2Bの上面に光を照射している。すなわち、本形態では、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときに、照明5は、第1位置P1よりも奥側に配置される接続部41cおよび側面部43c等の媒体押え機構12の一部分によって光が遮られることのない位置のみからIDカード2Bの上面に光を照射している。そのため、本形態では、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときに、媒体配置部16に媒体押え機構12が取り付けられていても、第1位置P1よりも奥側に配置される媒体押え機構12の一部分に起因する照明ムラがIDカード2Bの上面において発生するのを防止することが可能になる。
さらに、本形態では、補正データを取得するときにも、LED組26Bを消灯させた状態でLED組26Aを点灯させて第1位置P1よりも前側のみから調整用媒体の上面に光を照射しているため、シェーディング補正用の補正データを取得するときに調整用媒体の上面に照射される光の照射条件と、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときにIDカード2Bの上面に照射される光の照射条件とを同じにすることが可能になる。
このように本形態では、シェーディング補正用の補正データを取得したときの媒体押え機構12の位置と、IDカード2Bの上面に記録された情報を実際に読み取るときの媒体押え機構12の位置とのずれに起因して、シェーディング補正後の画像データの中に濃度が異常に高い部分や濃度が異常に低い部分が生じるといった不具合が発生することはない。また、本形態では、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときに、媒体配置部16に媒体押え機構12が取り付けられていても、第1位置P1よりも奥側に配置される媒体押え機構12の一部分に起因する照明ムラがIDカード2Bの上面において発生するのを防止することが可能になる。さらに、本形態では、補正データを取得するときに調整用媒体の上面に照射される光の照射条件と、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときにIDカード2Bの上面に照射される光の照射条件とを同じにすることが可能になる。したがって、本形態では、圧縮コイルバネ44、45の付勢力を利用して媒体配置部16に媒体押え機構12が着脱可能になっていても、IDカード2Bの上面に記録された情報を正確に読み取ることが可能になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態において、シェーディング補正用の補正データを取得するときに、後ろから2番目に配置されるLED組26AおよびLED組26Bを消灯させた状態で残りの4個のLED組26Aを点灯させて、第1位置P1よりも前側のみから調整用媒体の上面に光を照射するとともに、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときに、後ろから2番目に配置されるLED組26AおよびLED組26Bを消灯させた状態で残りの4個のLED組26Aを点灯させて、第1位置P1よりも前側のみからIDカード2Bの上面に光を照射しても良い。
上述した形態において、パスポート2Aの左右方向の両端部を上側から押える必要がなければ、情報読取装置1で情報記録媒体2に記録された情報を読み取るときに、媒体配置部16から媒体押え機構12が取り外されていても良い。すなわち、情報読取装置1は、媒体配置部16から媒体押え機構12が取り外された状態で使用されても良い。
媒体配置部16から媒体押え機構12が取り外された状態で情報読取装置1が使用される場合には、たとえば、情報記録媒体2の上面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときに、媒体押え機構12を媒体配置部16から取り外した状態で調整用媒体をガラス板3に載置し、LED組26Bを消灯させた状態でLED組26Aを点灯させて調整用媒体の上面に光を照射し、撮像素子8で取得された画像データに基づいて、シェーディング補正用の補正データを取得する。この場合、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときには、LED組26Bを消灯させた状態でLED組26Aを点灯させてIDカード2Bの上面に光を照射する。
また、媒体配置部16から媒体押え機構12が取り外された状態で情報読取装置1が使用される場合には、情報記録媒体2の上面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときに、媒体押え機構12を媒体配置部16から取り外した状態で調整用媒体をガラス板3に載置し、照明5の6個のLED組26を点灯させて(すなわち、LED組26AおよびLED組26Bを点灯させて)調整用媒体の上面に光を照射し、撮像素子8で取得された画像データに基づいて、シェーディング補正用の補正データを取得しても良い。この場合、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときには、照明5の6個のLED組26を点灯させてIDカード2Bの上面に光を照射する。
上述した形態において、照明5は、LED組26Bを備えていなくても良い。すなわち、照明5は、第1位置P1よりも前側に配置されるLED組26Aのみを備えていても良い。この場合であっても、情報記録媒体2の上面に記録された情報の画像データに対する補正データを取得するときに、LED組26Aを点灯させて第1位置P1よりも前側のみから調整用媒体の上面に光を照射する。また、IDカード2Bの上面に記録された情報を読み取るときには、LED組26Aを点灯させて第1位置P1よりも前側のみからIDカード2Bの上面に光を照射する。
上述した形態において、押え部41aは、ガラス板3に載置されたパスポート2Aの左右方向の両端部のそれぞれの一部分に上側から接触してパスポート2Aの左右方向の両端部の一部分を上側から押えていても良い。また、上述した形態において、押え部41aは、前後方向を回動の軸方向として保持部材43に対して回動可能となっていても良い。さらに、上述した形態において、押え部材41と接触部材42とが一体で形成されていても良い。この場合には、たとえば、一体で形成される押え部材41および接触部材42の全体または一部がゴムで形成されていても良い。
上述した形態において、光学系6を通過した光が入射する結像光学系および撮像素子と、光学系7を通過した光が入射する結像光学系および撮像素子とが個別に設けられていても良い。また、上述した形態において、情報読取装置1は、ガラス板3に代えて、たとえば、アクリル板等の透明な樹脂板を備えていても良い。さらに、上述した形態において、情報記録媒体2は、パスポート2AおよびIDカード2B以外の媒体であっても良い。たとえば、情報記録媒体2は、運転免許証であっても良い。また、上述した形態では、情報読取装置1は、手動式の読取装置であるが、本発明の構成が適用される情報読取装置は、情報記録媒体の搬送機構を有する媒体搬送式の読取装置であっても良い。
なお、本明細書において、第2の情報記録媒体には、国際民間航空機関(ICAO)による旅券規格の準拠のTD1(Machine Readable Travel Documents)や国際標準化機構(ISO)のID-1に準拠のカード、運転免許証、永住者カード(Permanent Resident Card)、米国軍のIDカード等の各種カードが含まれるものとする。