JP7212424B1 - 運動用手袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】運動用手袋の一例として、野球競技で選手が投球、送球をおこなう側の手に着用した場合、投球、送球をする側の指の指先を傷害(つまりは血マメができるなど)から保護し、投球、送球をする際に、指に対して指を覆う生地がずれ動かず、指先と球が滑らず、通気性を確保した手袋を提供する。【解決手段】手袋本体が、複数の指部と、少なくとも一部が覆われた中央部を有し、指部は、少なくとも腹側が編物または弾力伸縮性生地で構成されており、指部の腹側の裏面には、指部が指に対してずれ動かないための滑り止め部材が配置されており、指の通気性を確保するために、滑り止め部材は、指部の腹側の一部を覆っており、滑り止め部材とは多数の突設である場合を含み、指部は指先を覆う先端部を有し、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが、指部の先端部の表面(おもてめん)にはめつけられ固定されていることを特徴とする運動用手袋。【選択図】図1

Description

本発明は、運動用手袋であり、選手が球を投球、送球する側の手に着用する手袋に関するものである。
硬式野球、軟式野球、ソフトボールを含む野球競技において、投手、捕手、野手が投球、送球する側の手は一般的に素手であるが、投球、送球することによって選手が被る指先の傷害を防止することは急務であり、投球、打球を素手に受けることなどによる怪我を防止し、選手の健康を守ること、および野球競技の衛生面が管理されることは時代の要求である。
ところが、硬式野球の現行ルールによると、投手については公認野球規則の6.02 (c)(7)項目の禁止事項によって、手袋の着用は禁止されており、また捕手、野手についても、公認野球規則の3.01によれば、プレーヤーが故意にボールを汚すことは禁じられているから、選手が送球をおこなう側の手に手袋を着用する習慣が野球界にはなく、選手が投球、送球をおこなう側の手に着用し投球、送球することを目的とした手袋は販売されておらず、したがって選手は練習でも投球、送球する側の手に手袋をすることはほとんどない。
しかしながら、アマチュアもプロも選手は指先で球に激しくスピンを掛ける投球、送球を繰り返すために、それが素手であるから、球との摩擦により指先や指の腹に血マメが出来る、血マメの皮が破れる、指の皮がむける、爪が割れる、爪が指に食い込む(つまりは爪が爪甲側縁に食い込む)などの傷害に悩まされる場合が観察されるのが現状である。
例えば、投手の指先の血マメが破れた場合、傷めた患部からにじみ出た血液や体液が球の表面に付着することになり、その球を打者が打てば球に付着した血液や体液がバットに付着する可能性があり、ファウルフライになればその球を観客が手に取ることもあれば、また選手はプレー中にその球をミット、グラブで捕球し、投球、送球する側の手で取って送球、投球するため、やはり球に付着した血液や体液がミットやグラブ、送球、投球する側の手に付着する可能性があり、衛生面で問題が指摘されている。
またさらに、投手に限っては打球が投手へ向かってきた場合、投手は投球動作を終えた直後は片足で立っているため、不安定で打球をグラブで捕球できる体勢が間に合わず、投球した側の手を打球が直撃する場合があり、また投球した側の手で打球を反射的に捕球しようとしたり、叩き落とそうとするケースが観察されるが、フィールド内では投手が打者にもっとも近い位置であるから、打球は時速160キロ以上に達する場合があるなど、素手のために手や指の打撲、裂傷、骨折といった怪我に見舞われやすい問題を回避できなかった。
その上さらに、捕手であれば、ミットをはめていない側の手にファウルチップやワンバウンドの投球が直接当たった場合や、本塁上のクロスプレーで球を把持した手でタッチした際、走者のシューズのスパイク部に接触した場合、野手であれば、ミット、グラブをはめていない側の手にイレギュラーバウンドの打球を受けた場合など、素手のためにやはり手や指の裂傷、打撲、骨折、爪の剥がれ、爪の割れといった怪我を負いやすい問題を回避できなかった。
例えば、特許文献1には、掌の少なくとも一部を覆うように設けられている本体部と、前記本体部と接続されており第4指を収容可能に設けられた第4指部と、前記本体部と接続されており第5指を収容可能に設けられた第5指部との少なくともいずれか一方とを備え、前記第4指部および前記第5指部の少なくともいずれか一方において第1指側に位置する側面領域は、前記本体部と比べて摩擦係数が高い第1の滑り止め領域を含み、前記第1の滑り止め領域は、前記第4指部および前記第5指部の少なくともいずれか一方における前記側面領域において、第4指または第5指の指先から第2関節までの間に位置する部分と当接する領域に設けられている、スローイング用手袋、が記載されている。特許文献2には、起毛生地の表面にシリコンゴムを用いて連続亀甲形の模様をコーティングし、かつ、前記起毛生地の裏面にはシリコンゴムの無数個を突設して手のひら側に適用し、手甲側には弾力伸縮性生地を用いて手首部とともに一連に縫製してなることを特徴とする滑り止めを施した、スポーツ用グローブ、が記載されている。
特開2017-029279号公報 実願平10-005596
例えば、特許文献1に示される手袋は、スローイングの際に、すっぽ抜けを防止することができるスローイング用手袋、が記載されている。しかし、この手袋では、指先や指の腹に血マメが出来る、血マメの皮が破れる、指の皮がむける、といった傷害を回避するには十分ではない不都合と、球の正確なコントロールがしにくい不都合がある。なぜなら、例えば、指部を編物で構成し、指部の編物の内側表面にポリウレタン系糸が表れる編成方法を用いたとしても、硬式野球において、例えば、初速で時速140キロを超えるなどの、全力に近い投球、送球をした場合、ポリウレタン系糸だけでは摩擦力が足りず、指部の内側で、指の腹部に対して生地がずれ動いてしまうからである。球の正確なコントロールがしにくいのは、指部の内側で、指の腹部に対して生地がずれ動いてしまう現象が原因である。
特許文献2に示される手袋については、指先まで滑り止めとして連続亀甲形の模様がシリコンゴムでコーティングされており、ボーリングの球であれば手の平を含めて球との接触面積も十分確保されるため、滑り止めの効果が期待できるが、例えば硬式野球の場合を考えると、球をリリースする瞬間に指先で球にスピンを掛けて投げる投げ方であるから、指先におけるシリコンゴムと球との接触面積が限られてしまうために、例えば、初速で時速140キロを超えるなどの、全力に近い投球、送球をすると、指先と球が滑ってしまい、正確な球のコントロールに不都合があるうえ、起毛生地を手の平側と指の腹側に用いているが、起毛生地である不織布、合成皮革、繊維類は伸縮性に乏しく、指と起毛生地の裏面が密着しづらく、したがって手袋の指腹部の裏面に滑り止めがあっても、指が手袋内部で動いて滑ってしまうために、指先や指の腹に血マメが出来る、血マメの皮が破れる、指の皮がむける、といった傷害を回避するには十分ではない不都合がある。さらに、手の平側と指の腹側が起毛生地であるから、熱がこもりやすく、使用する環境の気温によっては、着用者が不快感を感じる恐れがある点も不都合である。
そこで本発明は、運動用手袋の一例として、硬式野球、軟式野球、ソフトボールを含む野球競技の投手、捕手、野手が投球、送球をおこなう側の手に着用した場合、投球、送球をする側の指の指先を傷害(つまりは血マメが出来る、血マメの皮が破れる、指の皮がむける、爪が割れる、爪が指に食い込むなど)から保護し、素手同様の正確なコントロールが出来るように、投球、送球をする際に、指に対して指を覆う生地がずれ動かず、指先と球が滑らず、さらに通気性を確保した手袋を提供することを目的とする。
前記の課題を解決することができる本発明の第一の手袋は、運動用手袋であって、手袋本体が、複数の指部と、少なくとも一部が覆われた中央部を有し、指部と中央部は接続されており、指部は、少なくとも腹部が編物または弾力伸縮性生地で構成されており、指部の腹側の裏面には、指部が指に対してずれ動かないための滑り止め部材が配置されており、指部の通気性を確保するために、指部の腹側の裏面に配置された滑り止め部材は、指部の腹側の一部を覆っており、指部の腹側の裏面に配置された滑り止め部材とは、多数の突設である場合を含み、指部は指先を覆う先端部を有し、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが、指部の先端部の表面(おもてめん)にはめつけられ固定されていることを特徴とする。
本発明の第二の運動用手袋は、上記の手袋本体の指部の先端部の裏面に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サック状裏あてが固定されていることを特徴とする。
本発明の第三の運動用手袋は、第一の運動用手袋の手袋本体の指部が、指先を覆う先端部を有しない形状のものであり、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが、指部の先端縁部に固定されていることを特徴とする。
本発明の第四の運動用手袋は、第一の運動用手袋の指部の先端部の表面(おもてめん)に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが取り外し可能な状態ではめつけられていることを特徴とする。
本発明の第五の運動用手袋は、第二の運動用手袋の指部の先端部の表面(おもてめん)に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが取り外し可能な状態ではめつけられていることを特徴とする。
本発明の第六の運動用手袋は、第三の運動用手袋の指部の先端部の表面(おもてめん)に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが取り外し可能な状態ではめつけられていることを特徴とする。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、指部の先端部のもっとも外側に配置された指サックの表面(おもてめん)に、滑り止め部が備えられている。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、指部の腹側の生地の表面(おもてめん)に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、指の通気性を確保するために、ゴム弾性を有する材料は、指部の腹側の一部を覆っており、指部の腹側の一部を覆うゴム弾性を有する材料とは、多数の突設である場合を含んでいる。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、指部の指側(ゆびそく)の全部または一部に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、ゴム弾性を有する材料が配置された指側(ゆびそく)は、指の通気性を確保するために、ゴム弾性を有する材料が指部の指側(ゆびそく)の一部を覆っており、指部の指側(ゆびそく)の一部を覆うゴム弾性を有する材料とは、多数の突設である場合を含んでいる。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、指部の指背側の生地の表面(おもてめん)に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、指の通気性を確保するために、ゴム弾性を有する材料は、指部の指背側の一部を覆っており、指部の指背側の一部を覆うゴム弾性を有する材料とは、多数の突設である場合を含んでいる。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、指部の指背側の生地の表面(おもてめん)に、第二~第五指の第二関節部の背面を覆うようゴム弾性を有する材料が配置されている。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、中央部の手の平側の生地の表面(おもてめん)に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、手の平の通気性を確保するために、ゴム弾性を有する材料は、中央部の手の平側の一部を覆っており、手の平側の一部を覆うゴム弾性を有する材料とは、多数の突設である場合を含んでいる。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、中央部の手の平側の生地の表面(おもてめん)に、ゴム弾性を有する材料が指尖球と有鈎骨鈎および豆状骨を覆うように配置されている。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、中央部の手の甲側の生地の表面(おもてめん)に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、手の甲の通気性を確保するために、ゴム弾性を有する材料は、中央部の手の甲側の一部を覆っており、手の甲側の一部を覆うゴム弾性を有する材料とは、多数の突設である場合を含んでいる。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、中央部の手の甲側の生地の表面(おもてめん)に、指の中手骨と中手骨骨頭と第一中手骨基部および手根骨を覆うようにゴム弾性を有する材料が配置されている。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、中央部に手首側から切れ込みが設けられ、切れ込み部を留め合わせるための留め具が装備されている。
本発明の第一~第六の運動用手袋は、腕部が追加されており、腕部は中央部と接続されており、中央部には切れ込み部と切れ込みを留め合わせるための留め具はなく、腕部は手首の尺骨茎上突起および橈骨茎状突起を覆うように配置されている。
本発明の第一~第六の運動用手袋の腕部がある場合、手袋を手首で固定するための留め具が腕部に装備されている。
本発明の第一~第六の運動用手袋の中央部は、手の平側と手の甲側が、編物または弾力伸縮性生地で構成されている。
本発明の手袋によれば、選手が球を投球、送球する際に、指先の傷害を防止することができ、指先の傷害を防止することができるから、競技の衛生管理を向上させることができ、球が滑らないために、素手と同様の正確なコントロールを維持することができ、通気性があるから快適さを追求できる運動用手袋を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る手袋の手の平側の図である。 図1の手の甲側の図である。 図1のA-A´線の概略構造断面図である。 図1において指サック部を除いた指部と手の平部に突設を配置した図である。 図2において指サック部を除いた指部と手の甲部に突設を配置した図である。 図1とは指先部の構造が異なる手袋の手の平側の図である。 図6のB-B´線の概略構造断面図である。 図1、図6とは指先部の構造が異なる別の手袋の手の平側の図である。 図8のC-C´線の概略構造断面図である。 図1、図6、図8とは指先部の構造が異なる別の手袋の手の平側の図である。 図10のD-D´線の概略構造断面図である。 図1、図6、図8、図10とは指先部の構造が異なる別の手袋の手の平側の図である。 図12のE-E´線の概略構造断面図である。 図1、図6、図8、図10、図12とは指先部の構造が異なる別の手袋の手の平側の図である。 図14のF-F´線の概略構造断面図である。 図1の第二指を側面から見た概略拡大図である。 図16とは指側部が異なる第二指を側面から見た概略拡大図である。 図3の第二指を側面から見た概略拡大図である。 図2と図16のG-G´線の概略構造断面図である。 図3と図18のH-H´線の概略構造断面図である。 硬式野球の球の革表面の、任意の部分の拡大写真である。 硬式野球の球の革表面の、図21とは異なる箇所の任意の部分の拡大写真である。 図2において、掌外沿部と第一~第四指間腔にマチ部生地を持たせた図である。
本発明は運動用手袋であり、なかでも硬式野球、軟式野球、ソフトボールを含む野球競技において投手、捕手、野手が投球、送球をおこなう側の手に着用する手袋を一例として取り上げ、以下に説明していく。
本発明における実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、これらの実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではなく、発明の趣旨に沿う適度な変更を加えて実施される場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
以下の実施形態は、右手用の手袋についての説明である。しかし、本発明においては、左手用の手袋についても適用可能であり、左右どちらの手袋であっても作用効果は同じであるから、左手用の手袋については、実施形態の説明を省略する。なお、左手用の手袋は、右手用の手袋をミラー反転した形状を有する。
本発明の手袋の実施形態として、指部の先端の指サック部の構造が異なる6種類の手袋を、手袋1~6として示した。6種類の指サック部の構造は、手袋1は図3のA-A´線の断面図に、手袋2は図7のB-B´線の断面図に、手袋3は図9のC-C´線の断面図に、手袋4は図11のD-D´線の断面図に、手袋5は図13のE-E´線の断面図に、手袋6は図15のF-F´線の断面図に、それぞれ概略構造図として示した。手袋1~6は、指サック部の他には、指部の編地の形状が異なり、手袋1、手袋2,手袋4,手袋5の指部の編地は指先を有する編地50であるが、手袋3,手袋6の指部の編地は編地90を使用しており、編地90は指先を有せず、指の第一関節付近または第一関節と第二関節の間のいずれかから指無しの編地のことである。
手袋1は図1で手の平側を、図2で手の甲側を示しており、本来は、手袋2~6も手の平側と手の甲側の両者を示すことによって、手袋の全体像をあらわすことになるが、手袋1~6の6種類の手袋は、指サック部を除いた指部、中央部である手の平部と手の甲部、腕部について、材料と構造は同じものを適用するため、手袋2~6は図6、図8、図10、図12、図14に、手の平側の図を示すにとどめ、手の甲側の図はいずれも省略する。図6、図8、図10、図12、図14の符号は、指サック部と指部の編地を除いては図1と同じ符号を付している。また、指サック部を除いた指部と中央部へ多数の突設を配置する場合の図は、手袋1についてのみ、手の平側の図を図4に、手の甲側の図を図5に示す。多数の突設を手の平側、手の甲側へ配置する場合、手袋2~6については、指サック部を除いた部分の材料と構造は、手袋1と同じものを適用するため、省略する。
なお、突設とは、例えば、市販されている手袋などでは、エンボスという呼称がよく使用されるが、ここでは突設という呼称を用いる。
手袋1は図1~図5を参照しながら、指サック部と指サック部を除いた指部と中央部である手の平部と手の甲部と腕部を説明する。手袋2~6については、指サック部がいずれも手袋1と異なるから、指サック部の説明をする。ただし、手袋2~6の、指サック部を除いた指部と手の平部と手の甲部と腕部は説明を省略する。なぜなら、手袋1~6の6種類の手袋は、指サック部を除いた指部、中央部である手の平部と手の甲部、腕部は、指部の生地の形状を除けば、材質と構造について同じものを適用するからであり、手袋1を説明すれば、説明済みとみなすことが出来るからである。
手袋1,手袋2,手袋4,手袋5に用いられる指部の生地50と、手袋3と手袋6に用いられる指部の生地90は、指先の生地が有る、無しの違いだけであり、生地の材質と構造が同じであるから、生地50について材質と構造の説明はそのまま生地90にも適用されるものとし、生地90に関する材質と構造の説明は省略する。
(手袋の生地の通気度と破裂強さについて)
図1は手袋1の手の平側の図であり、図2は手袋1の手の甲側の図である。指部の生地50は、少なくとも腹部の生地が編物または弾力伸縮性生地で構成されていればよいが、腹側まで編物または弾力伸縮性生地で構成されていることが好ましく、指背側を含めて、指部の生地全部が編物または弾力伸縮性生地で構成されていることがより好ましい。
なお、指の腹側とは、図19に示すように、指の断面における半分より下側(すなわち、手の平側)を指し、指背側は半分より上側(すなわち、手の甲側)を指し、指背部、腹部、指側(ゆびそく)についても、図19におおむねの領域を示した。
指部の生地50の、少なくとも腹部の生地が、編物または弾力伸縮性生地で構成されていることにより、指の動きに応じて生地が伸縮するため、生地50は指の腹部と密着しやすくなる。
図1の指部の生地50の腹側の裏面に、ゴム弾性を有する部材100が部分的に配置されるか、またはゴム弾性を有する突設101が多数配置されているが、その目的は、指と生地50が滑らないための滑り止めにある。部材100は図5と図19では帯状であり、隙間を有して配置されている場合を示し、また突設101の配置例は図20に示した。
図19のように部材100が腹側に配置されている場合、または、図20のように突設101が腹側に配置されている場合、生地50は指の腹部と密着しているから、滑り止めを主な目的とした部材100または突設101が、指の腹部によく密着することになり、投球、送球の際に、生地50が指からずれ動くことを防止することが出来る。生地50が指からずれ動かないことにより、生地50に固定されている指サック部が指先からずれ動くことがないため、素手と同様の正確な球のコントロールを維持することができる。
図1の指部の生地50の、少なくとも腹部の生地が、編物または弾力伸縮性生地で構成されない場合、その不都合について説明を加える。硬式野球を例にとると、硬式野球の使用球は公認野球規則3.01によれば、周囲が9インチ~9と4分の1インチ(22.9cm~23.5cm)であり、すなわち直径が約7.3cm~7.5cmであるが、選手が硬式野球の球を素手で把持した状態を、例えば人差し指について観察すると、人差し指の第三関節から指先の球と接触している箇所までの長さを球の外周として計測したL1に対して、人差し指をまっすぐに伸ばして、第三関節から指先の球と接触していた箇所までを計測した長さL2はL1より長くなり、硬式野球部の大学生5人(身長170cm~185cm)について計測しL2/L1の値を求めると、その結果は、5人とも(L2/L1)=約1.1を示した。指をまっすぐに伸ばしたほうが10%程度長い結果が得られたが、これは指の腹部の第一関節、第二関節の部分が球とは接触しないからである。
次に、指部の生地50全体に編物または弾力伸縮性生地ではない生地を用いた手袋1(生地が人工皮革であり、腹側の裏面には、帯状のシリコンゴムを滑り止め部材100として配置させた)を用意し、前記の硬式野球部の大学生5人に着用させ、手袋を指先まではめ込んだ状態から、硬式球を把持させ、手袋の人差し指の状態を観察した。結果は、生地に伸縮性がないため、腹側の第一関節、第二関節付近に位置する生地が指に密着せず浮いてしまい、腹側にシワをつくるか、ねじれ、よじれを作っている様子が観察された。さらに、球を把持する強さによっては、指先の指サック部を指先から外方向へ押し出す力が働き、指と指サック部が数ミリずれ動いてしまい、指先の内側の先端に空隙をつくる現象が報告された。その状態から投球、送球を実施すると、投球、送球とは指がまっすぐ伸びて指先から球にスピンを掛けて投じることであり、指が生地50のなかで伸びるから、球をリリースする際に指サック部の中を指が元の位置に戻ろうとし、ずれ動くため、素手同様の正確なコントロールを実施するには不都合がある。指サック部の中を指がずれ動く場合、投球の際に、指の腹部と指サック部の内側が摩擦し、例えるなら、サイズの合わない靴のなかで足裏が部分的に靴擦れを起こすのと同じ現象であるから、指先や第一関節より先の指の腹部に血マメが出来る、血マメの皮が破れる、指の皮がむける、といった傷害を引き起こす場合があると考えられ、不都合である。
また、球を把持した際、指サック部の中を指が数mmでも動く現象は、手袋の着用者にとって不快感を伴うことが確認された。球を把持した際、指サック部の中を指が数mmでも動くと、球の正確なコントロールに支障をきたす予兆であると着用者が認識し、例えば、投手であれば打者へ四死球を与える場面、暴投になる場面を連想させ、着用者に精神的ストレスを与えることがあり、不都合である。
なお、人の指の大きさは身長に依存するとは限らず、指の長さや形状は個人差があるから、上記のL2/L1の値が1.1ではない場合が想定されるものの、値が1を下回ることはないから、上記記載の不都合は普遍的要素を持つものと解釈されるべきである。
図1の生地50は、少なくとも腹部の生地が編物または弾力伸縮性生地で構成されていればよいが、腹側まで編物または弾力伸縮性生地で構成されていることが好ましく、例えば、生地50が腹側まで編物または弾力伸縮性生地で構成され、指背側が編物または弾力伸縮性生地でない場合、指背側の生地は、例えば、織物、不織布、天然皮革、合成皮革、人工皮革などで構成されることが考えられる。生地50が複数の生地から構成される場合、それらを接合する必要があるが、接合の方法としては、縫製、溶着、接着などが考えられる。なお、生地50を編物または弾力伸縮性生地だけで構成した場合、指全体に均一に生地50の弾性圧力が掛かるためフィット感を得やすく、縫製、溶着、接着などがないため生産コストを下げられるメリットがある。いっぽう、例えば、指背側の生地を織物、不織布、天然皮革、合成皮革、人工皮革などで構成する場合、打球、投球、送球を指背に受けた場合、傷害の度合いを小さくする保護機能を強化出来るメリットがある。
手袋1の手の平側の図1の生地10と、手の甲側の図2の生地20は、編物または弾力伸縮性生地で構成されていることが好ましい。生地10と生地20が、編物または弾力伸縮性生地であることにより、生地10と生地20は伸縮性を得るため、手や指の動きに応じて、手の平側、手の甲側の生地が伸縮するため、手と指にストレスを与えにくくなる。また、生地10、生地20、指部の生地50は連続する生地であればよいが、生地10、生地20、生地50が別々の生地である場合、接合をする必要があるが、接合の方法としては、縫製、溶着、接着などが考えられる。生地10、生地20、生地50が連続する生地であるか、または接合された生地であることにより、投球、送球の際に、指部に遠心力が働いても、生地50は生地10、生地20に接続されているから、生地50が指に対してずれ動くことを、より防ぐことができる。
手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の通気度は、JIS L1096 通気性A法(フラジール法)によって計測されるところの20cm3/cm2/S以上であることが好ましい。上記記載の生地の通気度が20cm3/cm2/S以上であることにより、手袋1に通気性を与え、手の平と手の甲および指の熱のこもりを防止することができる。
手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の通気度は20cm3/cm2/S以上あればよいが、30cm3/cm2/S以上であることが好ましく、40cm3/cm2/S以上であることがより好ましく、50cm3/cm2/S以上であることがさらに好ましく、60cm3/cm2/S以上であることがよりさらに好ましく、70cm3/cm2/S以上であることが特に好ましい。
上記記載の生地の通気度の下限値を上記の範囲とすることにより、手袋1は手の熱を逃がし易くなり、着用者が快適さを追求しやすくなる。また、上記記載の生地の通気度の上限値は、例えば、200cm3/cm2/S以下、150cm3/cm2/S以下、100cm3/cm2/S以下とすることができる。
なお、プレーヤーが寒さを感じるような、例えば、冬季などの気温が低い条件下で手袋を使用する場合、相対的に通気度の小さい生地、例えば、20cm3/cm2/Sなどの通気度の生地が好まれると考えられる。
また、手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の通気度は、構成される布地や繊維の繊度などが異なる場合、一律に同じ通気度である必要はなく、生地ごとに異なってよい。
JIS L1096 8.18 A法(ミューレン形法)によって計測される手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の破裂強さは、750KPa以下、250KPa以上であることが好ましい。750KPa以下であることにより、生地の編目の大きさが適切なものとなり、求められる通気性、伸縮性を確保しやすくなり、250KPa以上であることにより、生地の強度、耐久性を確保することができる。
JIS L1096 8.18 A法(ミューレン形法)によって計測される手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の破裂強さは、750KPa以下であることが好ましいが、700KPa以下であることがより好ましく、650KPa以下であることがさらに好ましい。破裂強さが上記記載の上限値であることにより、生地の編目の大きさが適切なものとなり、求められる通気性、伸縮性を確保しやすくなる。
また、JIS L1096 8.18 A法(ミューレン形法)によって計測される手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の破裂強さは、250KPa以上であることが好ましいが、300KPa以上であることがより好ましく、350KPa以上であることがさらに好ましい。破裂強さが上記記載の下限値であることにより、生地の強度、耐久性を確保することができる。
なお、手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の破裂強さは、構成される布地や繊維の繊度などが異なる場合、一律に同じ破裂強さである必要はなく、生地ごとに異なってよい。
(手袋の手の平部について)
図1における手袋1の手の平部の生地10は、ゴム弾性を有する部材30が手の平を覆うように配置されることが好ましく、さらに指尖球(つまりは第二指、第三指、第四指、第五指の付け根の手の平側に位置する膨らみを持つ部位)に位置するゴム弾性を有する部材31、32、33、34と、有鈎骨鈎および豆状骨を覆うように配置されたゴム弾性を有する部材35を持つことが好ましい。また、ゴム弾性を有する部材30の代わりに、ゴム弾性を有する突設11を多数配置する場合の手袋1を図3に示した。手の平部の生地10に、図1のように、ゴム弾性を有する部材30~35を配置した場合と、図3のように、ゴム弾性を有する多数の突設11を配置し、さらにゴム弾性を有する部材31~35を配置した場合の両方において、手の平部のゴム弾性を有する部材全体による被覆面積率は、75%以下であることが好ましい。手の平部の生地10に部材30~35を固定する方法、突設11を固定する方法は溶着、接着、縫製などが考えられる。
図1のように、手袋1の手の平部の生地10にゴム弾性を有する部材30~35を配置することにより、または、図3のようにゴム弾性を有する多数の突設11を配置し、さらにゴム弾性を有する部材31~35を配置することにより、打球、投球、送球などを手の平で受けた場合に、手の平が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の平が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができるし、また、手の平部のゴム弾性を有する部材全体による被覆面積率が75%以下であることにより、手の平部の生地10は通気性を確保することができる。
手袋1が、図1のように手の平部の生地10にゴム弾性を有する部材30~35を持つ場合、部材30~35による手の平の被覆面積率を、75%以下とするためには、部材30を複数用意し、部材30~35を間隙を有するように配置することが好ましい。手の平部の生地10に複数の部材30~35を間隙を有するように配置することにより、生地10の部材30~35による被覆面積率を調節しやすくなり、また生地10が着用者の手の平の動きに対応して伸縮しやすくなる。
図1における手袋1の手の平部の生地10のゴム弾性を有する部材30~35による被覆面積率、および図3におけるゴム弾性を有する突設11とゴム弾性を有する部材31~35による被覆面積率は、75%以下であればよいが、70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましい。被覆面積率の上限値を上記の範囲とすることにより、手の平部の生地10は通気性を確保しやすくなり、手袋1を快適にすることができる。
また、図1における手袋1の手の平部の生地10のゴム弾性を有する部材30~35による被覆面積率、および図3におけるゴム弾性を有する突設11とゴム弾性を有する部材31~35による被覆面積率は、30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、45%以上であることがよりさらに好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
被覆面積率の下限値を上記の範囲とすることにより、手袋1の着用者は打球、投球、送球などを手の平で受けた場合に手の平が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の平が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。被覆面積率が30%未満では、部材30~35、突設11を少量しか配置できず、手の平を使用して球を把持しようとした場合、球が滑りやすい不都合があり、また、打球、投球、送球などを手の平で受けた場合に手の平が受ける衝撃の度合いを和らげる度合いが小さくなり、手の平が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることが出来なくなる不都合がある。
図1における手袋1の手の平部の生地10に配置されたゴム弾性を有する部材30~35の厚みは300μm以上3000μm(3mm)以下であることが好ましい。部材30~35の厚みを300μm以上とすることにより、手袋1の着用者が打球、投球、送球を手の平で受けた場合に手の平が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の平が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができ、また厚みを3000μm(3mm)以下とすることにより、手袋1を軽量化することが出来ると同時に、手袋1の着用者は球を把持したときの感覚を素手で球を把持したときの感覚により近づけることができる。
図1における手袋1の手の平部の生地10のゴム弾性を有する部材30~35の厚みは300μm以上あればよいが、600μm以上であることが好ましく、1000μm(1mm)以上であることがより好ましく、1500μm(1.5mm)以上であることがさらに好ましい。手の平部の生地10のゴム弾性を有する部材30~35の厚みの下限値を上記の範囲とすることにより、手袋1の着用者が打球、投球、送球などを手の平で受けた場合に手の平が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の平が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。
また、手の平部の生地10のゴム弾性を有する部材30~35の厚みは3000μm(3mm)以下であればよいが、2500μm(2.5mm)以下が好ましく、2000μm(2mm)以下がより好ましい。手の平部の生地10のゴム弾性を有する部材30~35の厚みの上限値を上記の範囲とすることにより、手袋1を軽量化することが出来ると同時に、手袋1の着用者は球を把持したときの感覚を素手で球を把持したときの感覚により近づけることができる。
なお、部材35の厚みを他よりも厚くすることにより、傷害を受けやすい有鈎骨鈎および豆状骨をより保護することができる。
図3における手袋1の手の平部の生地10に配置される突設11は、例えば、突設形状は四角錐、円錐などの錐形が好ましく、その錐形の底辺の形状と寸法は、一辺が1mm以上3mm以下の四角形ないし四角形の角を丸めた形状、一辺が1mm以上3mm以下の四角形と同等の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状ないし円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状が好ましく、高さが0.5mmから3mm程度が好ましく、突設の配置は1mmから2mm程度の間隔で規則正しく配置され、ほぼ同じ形状、同じ寸法の突設を配置することが好ましい。突設11の形状と高さを上記記載とすることにより、また1mmから2mm程度の間隔を空けて規則正しく配置され、ほぼ同じ形状、同じ寸法の突設とすることにより、手の平が通気性を確保でき、また、球との接触面に均等に圧力をかけることが出来るから、球を楽に把持することができ、さらに、手袋1の着用者は、打球、投球、送球を手の平へ直接受けた場合、手の平が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の平が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。
図1および図3における手袋1の手の平部の生地10に配置された部材30~35、および突設11を構成する材料は、例えば天然ゴム、合成天然ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、EPDM、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられるが、上記記載の材料を選択することにより、使用される球の表面に傷をつけることを回避できる。
中でも、手の平部の生地10の部材30~35、および突設11を構成する材料は、シリコンゴムを含んでいることが好ましい。シリコンゴムは体組織に対する反応がほとんどなく、無臭であり、生理的に不活性であるから、例えば、人体が直接触れるような製品(哺乳瓶用乳首やマウスピース、医療器具や医療素材など)に多く利用されていることから手袋1の着用者に安心感を与え、また、低温でも弾力性を維持する材料であることなどが、部材30~35、および突設11がシリコンゴムを含むことが好ましい理由である。シリコンゴムを含んでいることにより、手の平部の生地10の部材30~35、および突設11を構成する材料は、気温が低い環境下であっても弾力性を維持するため、季節を問わず、使用される球の表面に傷をつけることを回避できると同時に、手袋1は滑り止めの効果を高め、着用者が球を把持しやすくなり、着用者の手の平の動きに応じて生地10が自由に伸縮することを妨げにくくする。
図1における手袋1の手の平部の生地10の部材30が複数にまたがる場合、それら複数の部材30の形状は、四角などの多角形ないし多角形の角を丸めた形状、円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状などが考えられる。また部材30の形状は単数ないし複数の穴を開けた形状とする部分があってもよく、穴の形状は四角などの多角形ないし多角形の角を丸めた形状、円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状などが考えられ、球を把持したときの滑り止め効果をもたらし好ましい。また、ゴム弾性を有する部材30の表面に突設、溝、皺、ザラメなどを施すことも滑り止め効果をもたらし好ましい。さらに、部材30のなかには表面から手の平へ垂直方向に切れ目を設ける箇所が存在してもかまわない。切れ目を設けることにより、生地10の動きをより滑らかなものとすることができる。
図1における手袋1の手の平部の生地10の部材30が複数にまたがる場合、それら複数の部材30の配置は、手の平の母指球皮線、近位手掌皮線、遠位手掌皮線に相当する部分に沿って生地が露出するよう部材30による被覆を避けて、2mmないし3mm程度の幅を持つ露出線36、37、38を設けることが好ましい。
手の平の母指球皮線、近位手掌皮線、遠位手掌皮線に相当する部分に沿った露出線36、37、38を設けることにより、手の平の動きに応じて容易に手の平の生地10を曲がりやすくすることができる。露出線36、37、38は曲線であるため、部材30が複数にまたがる場合、部材30はすべてが同じ形状、同じ大きさである必要はない。同じ形状、同じ大きさでないことにより、露出線36、37、38を露出しやすくできる。
図1における手袋1の手の平部の生地10の第二指~第五指の指尖球を覆うよう配置された部材31~34は、例えば、一辺が12mmから18mm程度の四角形ないし四角形の角を丸めた形状、一辺が12mmから18mm程度の四角形と同等の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状ないし円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状とするのが好ましい。
投手、捕手、野手が投球、送球の前に球を把持する方法について考察すると、第二指~第五指の指の腹部や指側(ゆびそく)で球を握り、指尖球に球を押し付け安定させ、球が落ちないように親指を添える方法が一般的である。であるから、部材31~34に上記記載の面積を持たせることにより滑り止めの効果を高め、手袋1の着用者は球を楽に把持することが出来る。
また、部材31~34の表面に突設、溝、皺、ザラメなどを施すと滑り止め効果を高め好ましく、さらに部材31~34に表面から手の平へ垂直方向に切れ目を設けて生地10の動きをより滑らかなものとする箇所があってもよい。切れ目を設けることにより、生地10の動きをより滑らかなものとすることができる。
図1における手袋1の手の平部の生地10の有鈎骨鈎および豆状骨を覆うよう配置された部材35は、例えば3~6平方センチメートル程度の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状や円形、楕円形、曲線と直線を組み合わせた形状とするのが好ましい。手の平の有鈎骨鈎および豆状骨は手根骨のなかでも骨折などの傷害を受けやすく、上記記載の面積を持つ部材35で保護することにより打球、投球、送球などが当たった場合の衝撃の度合いを和らげ、有鈎骨鈎および豆状骨が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができる。
また、部材35の表面に突設、溝、皺、ザラメなどを施すと滑り止め効果を高め好ましく、さらに、部材35に表面から手の平へ垂直方向に切れ目を設けて生地10の動きをより滑らかなものとする箇所があってもよい。切れ目を設けることにより、生地10の動きをより滑らかなものとすることができる。
なお、手の平の有鈎骨鈎および豆状骨は手根骨のなかでも骨折の報告の多い箇所ゆえ、生地10に配置された部材35を構成する材料は、ゴム弾性を有する部材の上に、例えば、不織布、天然皮革、人工皮革、合成皮革などをさらに重ねて取り付けることによって、より保護機能を強化してもかまわない。
(手袋の手の甲部について)
図2における手袋1の手の甲部の生地20は、第一指中手骨~第五指中手骨と手根骨などを覆う複数のゴム弾性を有する部材70を持つことが好ましく、第一指中手骨骨頭~第五指中手骨骨頭を覆うゴム弾性を有する部材71~75を持つことが好ましく、第一中手骨基部を覆うゴム弾性を有する部材76を持つことが好ましい。また、ゴム弾性を有する部材70の代わりに、ゴム弾性を有する突設21を多数配置する場合の図を図4に示した。手の甲部の生地20に、図2のように、ゴム弾性を有する部材70~76を配置した場合と、図4のように、ゴム弾性を有する多数の突設21を配置し、さらにゴム弾性を有する部材71~76を配置した場合の両方において、手の甲部のゴム弾性を有する部材全体による被覆面積率は、75%以下であることが好ましい。生地20に部材70~76を固定する方法、および突設21を固定する方法は溶着、接着、縫製などが考えられる。
図2のように、手の甲部の生地20に、ゴム弾性を有する部材70~76を配置することにより、または、図4のように、ゴム弾性を有する多数の突設21を配置し、さらにゴム弾性を有する部材71~76を配置することにより、打球、投球、送球などを手の甲で受けた場合に、手の甲が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の甲が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。また、手の甲部のゴム弾性を有する部材全体による被覆面積率が75%以下であることにより、手の甲部の生地20は通気性を確保することができる。
手袋1が、図2のように手の甲部の生地20にゴム弾性を有する部材70~76を持つ場合、部材70~76による手の甲の被覆面積率を、75%以下とするためには、部材70を複数用意し、部材70~76を間隙を有するように配置することが好ましい。手の甲部の生地20に複数の部材70を間隙を有するように配置することにより、生地20における部材70による被覆面積率を調節しやすくなる。また、複数の部材70に間隙を設けることにより、手袋1の生地20は伸縮しやすくなり、手袋1の着用後の突っ張り感を防止することができる。
図2における手袋1の手の甲部の生地20のゴム弾性を有する部材70~76による被覆面積率、および図4におけるゴム弾性を有する多数の突設21とゴム弾性を有する部材71~76による被覆面積率は、75%以下であればよいが、70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましい。被覆面積率の上限値を上記の範囲とすることにより、手の甲部の生地20は通気性を確保しやすくなり、手袋1を快適にすることができる。
また、図2における手袋1の手の甲部の生地20のゴム弾性を有する部材70~76による被覆面積率、および図4におけるゴム弾性を有する多数の突設21とゴム弾性を有する部材71~76による被覆面積率は、30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、45%以上であることがよりさらに好ましく、50%以上であることが特に好ましい。被覆面積率の下限値を上記の範囲とすることにより、手袋1の着用者が打球、投球、送球などを手の甲で受けた場合に手の甲が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の甲が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。被覆面積率が30%未満では、部材70~76および突設21を少量しか配置できず、打球、投球、送球などを手の甲に受けた場合に手の甲が受ける衝撃の度合いを和らげる度合いが小さくなり、手の甲が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることが出来なくなる不都合がある。
図2における手袋1の手の甲部の生地20の部材70~76の厚みは300μm以上3000μm(3mm)以下であることが好ましい。手の甲部の生地20の部材70~76の厚みを300μm以上とすることにより、手袋1の着用者が打球、投球、送球などを手の甲で受けた場合に手の甲が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の甲が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができ、また厚みを3000μm(3mm)以下とすることにより、手袋1を軽量化することが出来る。
図2における手袋1の手の甲部の生地20の部材70~76の厚みは300μm以上あればよいが、600μm以上であることが好ましく、1000μm(1mm)以上であることがより好ましく、1500μm(1.5mm)以上であることがさらに好ましい。手の平部の生地10の部材70~76の厚みの下限値を上記記載とすることにより、手袋1の着用者が打球、投球、送球などを手の甲で受けた場合に手の甲が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の甲が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。
また、手の甲部の生地20の部材70~76の厚みは3000μm(3mm)以下であればよいが、2500μm(2.5mm)以下が好ましく、2000μm(2mm)以下がより好ましい。手の平部の生地10の部材70~76の厚みの上限値を上記記載とすることにより、手袋1を軽量化することが出来る。
図4のように手袋1の手の甲部の生地20に突設21を配置する場合、例えば、突設形状は四角錐、円錐などの錐形が好ましく、その錐形の底辺の形状と寸法は、一辺が1mm以上5mm以下の四角形ないし四角形の角を丸めた形状、一辺が1mm以上5mm以下の四角形と同等の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状ないし円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状が好ましく、高さが0.5mmから5mm程度が好ましく、突設の配置は1mmから5mm程度の間隔で配置されることが好ましい。突設21の形状と高さを上記記載とすることにより、また1mmから5mm程度の間隔て配置されることにより、手の甲が通気性を確保でき、また、手袋1の着用者は、打球、投球、送球を手の甲へ直接受けた場合、手の甲が受ける衝撃の度合いを和らげ、手の甲が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。またさらに、手の平側の突設11と異なり、突設21には使用する球を把持する目的はないから、突設21はすべて同じ大きさである必要はなく、また規則正しく配置される必要もなく、例えば、骨折しやすい第一指中手骨~第五指中手骨を覆う箇所は、他より大きい突設21を配置するか、突設21の配置される密度を高めるかで、第一指中手骨~第五指中手骨の保護する度合いを高めてもよい。
図2および図4における手袋1の手の甲部の生地20の部材70~76、および突設21を構成する材料は、例えば天然ゴム、合成天然ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、EPDM、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などが考えられる。それらの材料を選択することにより、使用される球が接触した場合に球の表面に傷をつけることを回避できる。
中でも、手の甲部の生地20の部材70~76、および突設21を構成する材料がシリコンゴムを含んでいることが好ましい。シリコンゴムは体組織に対する反応がほとんどなく、無臭であり、生理的に不活性であるから、例えば、人体が直接触れるような製品(哺乳瓶用乳首やマウスピース、医療器具や医療素材など)に多く利用されていることから手袋1の着用者に安心感を与え、また、低温でも弾力性を維持する材料であることなどが、部材70~76、および突設21がシリコンゴムを含むことが好ましい理由である。シリコンゴムを含んでいることにより、手の甲部の生地20の部材70~76、および突設21を構成する材料は、気温が低い環境下であっても弾力性を維持するため、季節を問わず、使用される球が接触した場合に球の表面に傷をつけることを回避できると同時に、手袋1は着用後の手の甲の突っ張り感を防止することができる。
図2における手袋1の、手の甲部の生地20の部材70が複数にまたがる場合、それら複数の部材70の形状は、四角などの多角形ないし多角形の角を丸めた形状、円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状などが考えられる。中でも、第一指中手骨~第五指中手骨を覆う部位は、図2のように例えば一辺が8mmから10mm程度の四角形ないし四角形の角を丸めた形状、一辺が8mmから10mm程度の四角形と同等の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状、ないし円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状などが考えられ、部材を1mmないし2mm以上程度の間隔を置いて複数個配置するのが好ましい。上記記載の形状を持つ部材70を上記の間隔を置いてそれぞれの中手骨の上に配置することにより、傷害を受けやすい中手骨を打球、投球、送球などから保護することができ、手の甲部の生地20の通気性、伸縮性を確保することもできる。
さらに、手根骨を覆う部材70は、図2のように例えば一辺が6mmから8mm程度の三角形ないし三角形の角を丸めた形状、一辺が6mmから8mm程度の三角形と同等の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状、円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状などのゴムまたは樹脂部材を、1mmないし2mm以上程度の間隔を置いて複数個配置するのが好ましい。部材70を上記記載の間隔を置いて手根骨の上に配置することにより、傷害を受けやすい手根骨を打球、投球、送球などから保護することができ、手の甲部の生地20の通気性、伸縮性を確保することもできる。
図2における手袋1の手の甲部の生地20の第一指中手骨骨頭~第五指中手骨骨頭を覆うよう配置された部材71~75は、例えば2~3平方センチメートル程度の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状や円形、楕円形、曲線と直線を組み合わせた形状とするのが好ましい。手の甲の中手骨骨頭は骨折などの傷害を受けやすく、上記記載の面積を持つ部材で保護することにより、打球、投球、送球が当たった場合の衝撃の度合いを和らげ、それぞれの中手骨骨頭が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができる。
図2における手袋1の手の甲部の生地20の第一指中手骨基部を覆うよう配置された部材76は、例えば3~5平方センチメートル程度の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状や楕円形、曲線と直線を組み合わせた形状とするのが好ましい。手の甲の第一指中手骨基部は骨折などの傷害を受けやすく、上記記載の面積を持つ部材76で第一指中手骨基部を保護することにより、打球、投球、送球が当たった場合の衝撃の度合いを和らげ、第一指中手骨基部が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができる。
なお、手の甲の第一指中手骨骨頭~第五指中手骨骨頭、第一中手骨基部は、骨折の報告の多い箇所ゆえ、生地20に配置された部材71~76を構成する材料は、ゴム弾性を有する部材の上に、不織布、天然皮革、人工皮革、合成皮革などを重ねて取り付けることにより保護機能を強化してもかまわない。
(手袋1~3の指先部の構造について)
図1における手袋1の指部の生地50と、図6における手袋2の指部の生地50は、指先から第三関節の間(第一指については、指先から第二関節の間)のいずれかまでを覆うゴム弾性を有する部材で構成された指サック41a~45aを持つ。図5は、図1における手袋1の第二指のA―A´線の断面を概略構造断面図として示している。なお、第一指、第三指、第四指、第五指の同様の断面図は、図5と同じ構造のため省略する。また、図7は、図6における手袋2の第二指のB―B´線の断面を概略構造断面図として示している。なお、第一指、第三指、第四指、第五指の同様の断面図は、図7と同じ構造のため省略する。生地50に指サック41a~45aを固定する方法は溶着、接着、縫製などが考えられる。
図6における手袋2の指部の生地50は、指先から第三関節の間(第一指については、指先から第二関節の間)のいずれかまでの裏面に、ゴム弾性を有する部材である指サック状裏あて41b~45bを持つ。生地50の裏面に指サック状裏あて41b~45bを固定する方法は溶着、接着、縫製などが考えられる。図6における手袋2の生地50が、指先の裏面に指サック状裏あて41b~45bを持つことにより、手袋2は手袋1よりも、指先の保護をより強化することができる。
図8に手袋3を示す。手袋3の指の生地90は、生地の指先が、各指の指先から第三関節の間(第一指については、指先から第二関節の間)のいずれかまでで切り取られた指無し形状である。指サック81~85は、指先から第三関節の間(第一指については、指先から第二関節の間)のいずれかまでのゴム弾性を有する指サックであり、指サック81~85を、生地90の先端から、例えば、5mm~10mm程度が重なるよう被せて、重なった部分を溶着、接着、縫製などにより、生地90に固定した手袋が、手袋3である。指サックの生地への重ね方は、指サック81~85が編地90を、上から包み込むように重ねるのが好ましい。図9は、図8における手袋3の第二指のC―C´線の断面を概略構造断面図として示した。なお第一指、第三指、第四指、第五指の同様の断面図は、図9と同じ構造のため省略する。手袋3は、指先に指サック81~85を持つことにより、指先を傷害から保護することができるし、生地90が指無し形状であるから、指サック部が指サック81~85しかないため、手袋1,手袋2よりも指サック部を薄く製作することができ、素手で球を投球、送球する感覚により近づけることができる。
(手袋4~6の指先部の構造について)
図1の手袋1、図6の手袋2,図8の手袋3は、投球、送球の繰り返しによって、五本の指のひとつでも、指サックの表面が摩耗してしまうと使い捨てにするしかない。そこで摩耗した指サックの表皮のみ外して取替えられるように、指先に指サック基礎部を固定し持たせ、交換可能な指サックを指サック基礎部にはめ込んで使用し、交換可能な指サックのいずれかが摩耗した場合、その摩耗した指サックを手袋の着用者が個別に選んで、新しいものと交換する構造を持たせたものが、図10の手袋4、図12の手袋5,図14の手袋6である。
手袋4~6は、指サック部によって指先を傷害から保護することができ、摩耗した交換可能な指サックを交換することで、手袋本体を繰り返し利用できるため、廃棄物を手袋1~3よりも削減させることができ、また、着用者の経済的な負担を軽くすることができる。
図10の手袋4と図12の手袋5は、指部の生地50に指サック基礎部41c~45cを持ち、ゴム弾性を有する交換可能な指サック41d~45dを指サック基礎部にはめ込んで使用する。指サック基礎部41c~45cと指サック41d~45dは、指先から第三関節の間(第一指については、指先から第二関節の間)のいずれかまでの長さを持つ。図11は、手袋4の第二指のD―D´線の断面を概略構造断面図として示した。なお第一指、第三指、第四指、第五指の同様の断面図は、図11と同じ構造のため省略する。また、図13は手袋5の第二指のE―E´線の断面を概略構造断面図として示した。なお第一指、第三指、第四指、第五指の同様の断面図は、図13と同じ構造のため省略する。生地50に指サック基礎部41c~45cを固定する方法は溶着、接着、縫製などが考えられる。
図12の手袋5の指部の生地50は、指先から第三関節の間(第一指については、指先から第二関節の間)のいずれかまでの裏面に、ゴム弾性を有する部材である指サック状裏あて41b~45bを持つ。生地50の裏面に指サック状裏あて41b~45bを固定する方法は溶着、接着、縫製などが考えられる。図12における手袋5の生地50が、指先の裏面に指サック状裏あて41b~45bを持つことにより、手袋5は手袋4よりも、指先の保護をより強化することができる。
図14に手袋6を示す。手袋6の指の生地90は、生地の指先が、各指の指先から第三関節の間(第一指については、指先から第二関節の間)のいずれかまでで切り取られた指無し形状である。指サック81a~85aは、指先から第三関節の間(第一指については、指先から第二関節の間)のいずれかまでのゴム弾性を有する指サック基礎部であり、指サック81a~85aを、生地90の先端から、例えば、5mm~10mm程度が重なるよう被せて、重なった部分を溶着、接着、縫製などにより、生地90に固定し、交換可能な指サック41d~45dを指サック基礎部にはめ込んで使用する手袋が、手袋6である。指サックの生地への重ね方は、指サック81a~85aが、編地90を上から包み込むように重ねるのが好ましい。図15は、図14における手袋6の第二指のF―F´線の断面を概略構造断面図として示した。なお第一指、第三指、第四指、第五指の同様の断面図は、図15と同じ構造のため省略する。
手袋1~6が指サック部を持つことにより、手袋1~6の着用者は投球、送球をすることによって引き起こされる指先や指の腹に血マメが出来る、血マメの皮が破れる、指の皮がむける、爪が割れる、爪が指に食い込む(爪が爪甲側縁に食い込む)などの傷害を回避することができる。上記記載の傷害を回避することができるから、従来、傷害を負った場合に指先の患部から染み出す血液や体液が球の表面に付着していた不衛生も回避できる。また、捕手であればワンバウンド投球や打球のファウル、ファウルチップを指先に受けた場合などの爪の割れや爪の剥離などを、野手であれば打球のイレギュラーバウンドなどを指先に受けた場合の爪の割れや指の裂傷などを防止することができる。
手袋4~6は、手袋1~3に比べて、交換可能な指サックを交換することで手袋本体を再利用でき、手袋本体を廃棄しないから廃棄物を削減することができ、手袋の着用者の経済的負担を軽くすることができる。手袋1~3は、交換可能な指サックを持たない構造のため、指サック基礎部に交換可能な指サックをはめ込むなどの手間がかからず、即座に使用することができるメリットを持つ。
また、交換可能な指サックを持たないタイプの手袋を着用者が使用する場合、指サック部の構造の異なる手袋1~3から、着用者は指サック部の厚さ、指先の感触などの面から好みのものを選ぶことができ、同様に、交換可能な指サックを持つタイプの手袋を着用者が使用する場合、指サック部の構造の異なる手袋4~6から、着用者は指サック部の厚さ、指先の感触などの面から好みのものを選ぶことができる。
手袋1~6の指サックにより、投球、送球時に球を滑りにくくすることができれば、投手は滑り止めのために、従来使用されてきたロジン(炭酸マグネシウムと松ヤニが主成分である白い粉)を不要とすることができる。例えば、プロ野球においては、マウンド付近に置かれているロジンバッグのロジンを両チームの投手が共用して使用していることから、衛生面で問題を指摘されており、その問題を解消することができる。また、プロ野球において、投手がマウンドから離れた位置であれば、投球する側の手の指をなめる行為(唾液を滑り止めにすると考えられる)は認められており、しかし、指をなめる行為は唾液が球に付着するだけでなく、指をなめた投手がロジンバッグを触る際に唾液がロジンバッグに付着すると考えられるため、やはり衛生面で問題を指摘されており、その問題も解消することができる。
手袋1~6の指サックは、材料、硬度、表面のすべり止め構造、肉厚の4点が、目的を達成するように選択されることで、指を傷害から保護し、球が滑ることを防止することができるから、以下に説明をする。
(指サックを構成する材料について)
図1の手袋1と図6の手袋2の指サック41a~45a、図6の手袋2と図12の手袋5の裏あて用指サック41b~45b、図8の手袋3の指サック81~85、図10の手袋4と図12の手袋5の指サック基礎部41c~45c、図14の手袋6の指サック基礎部81a~85a、図10の手袋4と図12の手袋5と図14の手袋6の交換可能な指サック41d~45dが、手袋1~6の指サックの全種類であるが、手袋1~6の指サックの全種類について、指サックを構成する材料は、ゴム弾性を有する材料で構成され、例えば、天然ゴム、合成天然ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、EPDM、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などが考えられ、また、上記記載の材料を混合した材料などが考えられる。上記記載の材料、または上記記載の材料を混合した材料を選択することにより、使用される球の表面および指に傷をつけることを回避できる。公認野球規則の6.02(c)(5)項目によれば、例えば投手の禁止事項として、どんな方法であっても、ボールに傷をつけることを禁止しているから、その規則に合致させることができる。さらに、上記記載のゴム弾性を有する材料を用いることにより、競技に使用される球を投球、送球する際に、球が滑ることを防止することができ、素手と同様の正確なコントロールを維持することができる。
中でも、手袋1~6の指サックの全種類は、シリコンゴムまたはウレタンゴムを含んでいることが好ましい。シリコンゴムについては、体組織に対する反応がほとんどなく、無臭であり、生理的に不活性であるから、例えば、人体が直接触れる製品(哺乳瓶用乳首やマウスピース、医療器具や医療素材など)に多く利用されていることから手袋1の着用者に安心感を与え、肌合いもよく、また、低温でも弾力性を維持する材料であることなどが、好ましい理由であり、また、ウレタンゴムは耐摩耗性に優れることが、好ましい理由である。
(指サックの硬さについて)
手袋1~6の指サック部において、指サック部のもっとも外側に配置される指サックは、JIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値としてA30°以上A70°以下の硬度であることが好ましい。指サック部のもっとも外側に配置される指サックとは、手袋1と手袋2では指サック41a~45aを、手袋3では指サック81~85を、手袋4~6では交換可能な指サック41d~45dを指す。
手袋1~6の指サック部において、指サック部のもっとも外側に配置される指サックの硬度が、JIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値として、A30°以上A70°以下の硬度であることにより、指サックの表面が球の表面に追随し密着しやすく、投球、送球時に球が滑ることを防止することができる。
手袋1~6の指サック部において、指サック部のもっとも外側に配置される指サックの硬度が、JIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値として、A70°より大きい値である場合、指サックの表面に設けられた突設など滑り止め部がある場合、球を把持した際、突設などの弾性変形が限定的となり球の表面に追随せず、接触面積が限定的となり、また、指サックの表面に設けられた突設など滑り止め部がなく平坦である場合でも、球の表面の凹凸に指サックの平坦な面が追随せず、接触面積が限定的となり、十分な静止摩擦力を得られず、投球、送球の際、球が滑りやすくなる不都合を起こす。
また、手袋1~6の指サック部において、指サック部のもっとも外側に配置される指サックの硬度が、A30°より小さい値だと、投球、送球の際、スピンを掛けた指先の箇所が大きく変形するため、素手と同様の正確なコントロールには不都合であり、また、球と直接接する指サック自身が部分的に断裂を起こし、破損しやすくなる不都合がある。
また、例えば、手袋1~6の指サックがシリコンゴムを含む場合、その硬度をJIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値としてA30°より小さい数値、例えばA20°などとする場合、シリコンゴムでは、硬度を下げるために、A30°~A70°の硬度のシリコンゴムに比べて、材料にシリコンオイルをより多く含ませるから、それが指サックの表面に浮き出てしまうブリード現象を起こす場合があり、公認野球規則の3.01によれば、プレーヤーが故意にボールを汚すことは禁じられているから、シリコンオイルが球に付着すれば規則違反となる。また、シリコンオイルがにじみ出た指サックで投球、送球をすると、球が滑ってしまい、素手同様の正確なコントロールを実施するには不都合が生じる。
(指先の表面の滑り止め部について)
手袋1~6は、指サック部のもっとも外側に配置される指サックの表面(おもてめん)に、滑り止め部を備えることが好ましく、滑り止め部とは、多数の突設91または皺またはザラメなどであり、突設91または皺またはザラメなどは指サックと一体成型であることが好ましい。一体成型であるとは、例えば接着剤などで後付けして固着させるのではなく、金型などで抜いて、連続した同じ材料で構成されていることを指す。突設91が指サックと一体成型でなく、例えば接着、溶着などで取り付けられている場合だと、突設91の接着、溶着された箇所が、例えば接着不良、溶着不良である場合、投球、送球の際に剥がれて脱落し、滑り止めの機能を果たさない可能性が考えられるためである。
手袋1~6の指サック部のもっとも外側に配置される指サックが、ゴム弾性を有する部材で構成され、多数の突設91、皺、ザラメなどを持つことにより、投球、送球の際に、球と指先が滑ることを防止することができる。球と指先が滑ることを防止することができるから、素手と同様に正確に球をコントロールすることができる。
指サックが突設91を持つ場合の実施形態については、手袋1の指サック41a~45aのみで説明する。手袋2の指サック41a~45aは、手袋1の指サック41a~45aと同じであり、さらに手袋3~手袋6の指サック81~85、指サック41d~45dについても、同じ突設91が適用される。したがって、手袋3~手袋6の指サック81~85、指サック41d~45dの突設は、説明を省略する。
手袋1~6の図1~18は、指サックに突設を持たせた場合の図であり、皺またはザラメを備える場合の図は省略した。
手袋1の指サック41a~45aが滑り止めとして突設91を持つ場合、例えば、突設形状は四角錐、円錐などの錐形が好ましく、突設の存在する密度が1平方センチメートル当たり、例えば80個以上150個以下で、錐形の高さが100μm~500μm程度で、ほぼ均一な高さで規則正しく配列されていることが好ましい。滑り止めが突設でなく、多数の皺、ザラメの場合、皺、ザラメの切り込みの深さは100μm~500μm程度が好ましい。
(指サックの肉厚と通気の貫通孔について)
図1の手袋1と図6の手袋2の指サック41a~45a、図6の手袋2と図12の手袋5の裏あて用指サック41b~45b、図10の手袋4と図12の手袋5の指サック基礎部41c~45c、図10の手袋4と図12の手袋5と図14の手袋6の交換可能な指サック41d~45dの厚みが、突設や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、各々が100μm以上1000μm(1mm)以下であることが好ましい。
上記記載の指サックの厚みが、突設や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、100μm以上とすることにより、投球、送球時に球を指先でスピンを掛け押し出す衝撃に指サックが繰り返し耐えて機械的強度を保つことができる。また、上記記載の指サックの厚みが、突設や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、1000μm(1mm)以下とすることにより、手袋1、手袋2,手袋4,手袋5の着用者は、投球、送球する際、素手に近い感覚で投球、送球することが出来る。
図1の手袋1と図6の手袋2の指サック41a~45a、図6の手袋2と図12の手袋5の裏あて用指サック41b~45b、図10の手袋4と図12の手袋5の指サック基礎部41c~45c、図10の手袋4と図12の手袋5と図14の手袋6の交換可能な指サック41d~45dの厚みが、突設や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、それぞれが100μm以上あればよいが、200μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましい。上記記載のような下限値を設けることにより、投球、送球時に球を指先でスピンを掛け押し出す衝撃に指サックが繰り返し耐えて、上記記載の指サックは機械的強度を保つことができる。
また、上記記載の指サックが、突設や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、それぞれが1000μm(1mm)以下であればよいが、800μm以下が好ましく、700μm以下がより好ましく、600μm以下がさらに好ましい。上記記載のような上限値を設けることにより、上記記載の指サックを用いる手袋の着用者は、投球、送球する際、より素手に近い感覚で投球、送球することが出来る。
図8の手袋3の指サック81~85、図14の手袋6の指サック基礎部81a~85aは、突設や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、それぞれが200μm以上2000μm(2mm)以下であることが好ましい。
上記記載の指サックの厚みが、突設や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、200μm以上とすることにより、投球、送球時に球を指先でスピンを掛け押し出す衝撃に指サックが繰り返し耐えて機械的強度を保つことができる。また、厚みを2000μm(2mm)以下とすることにより、手袋3、手袋6の着用者は、投球、送球する際、素手に近い感覚で投球、送球することが出来る。
なお、手袋1~6の指サックの全種類について、突設や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、すべての部位において均一である必要はなく、例えば、指先から第一関節までの腹部または腹側を他より厚めにすれば、指先を傷害からより保護することができる。
手袋1~6の指部の指サック部は、直径2mm以下程度の貫通孔を1平方センチメートル当たり均等に1~3箇所程度を有することが好ましく、ただし指先の先端から第一関節までの腹部には貫通孔を作らないことが好ましい。なお、上記記載の貫通孔とは生地50と指サックを同時に貫いて、指の地肌を露出させる貫通孔を意味する。
指サック部に貫通孔を持たせることにより、通気性を確保し指先に生じる熱のこもりを逃がすことができる。指先の先端から第一関節までの腹部に貫通孔を作らないことが好ましい理由は、指先の腹部は投球、送球の際に球を押し出す力が集中する箇所であるため、指サックの機械的強度を保つためである。
また、手袋1~6の指サック部は、指先の爪の先端の中央に、例えば、直径0.1mm以下の空気抜きのための針穴のような貫通孔を1箇所持つことが好ましい。空気抜きのための穴を持つことにより、手袋1~6を着用するとき、指先の空気を逃がし指サック部の先端まで指を容易に密着させることができ、例えば直径0.1mm以下の穴とすることにより、指先の機械的強度を落とすことを防止できる。
(硬式練習球に対する試験について)
手袋1~6の指サック部の、もっとも外側に配置された指サックに多数の突設91、皺、ザラメなどの滑り止め部を持つことが好ましいが、例として突設を取り上げ、突設91を備える手袋1を試作し、ゴム弾性を有する材料によって構成された指サックの硬度による滑り止めの効果を評価するため、硬式練習球を用いて投球試験を行った。試作手袋1の指サック41a~45aはシリコンゴムで製作され、第一関節と第二関節の中間までの長さを持たせ、指サック41a~45aのシリコンゴムの硬度をJIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値として(ア)A30°、(イ)A50°、(ウ)A70°、(エ)A90°の4種類を用意した。突設91の厚さを除いた指サック41a~45aの肉厚は、400μmのものを用い、編物である生地50に接着剤を用いて指サック41a~45aを固定し、生地50の指の腹側裏面にシリコンゴムの滑り止め部材100を配置し、指と生地50が滑らないようにした。突設91は円錐形状とし、円錐の底辺径が約800μm、高さが約300μmとし、突設91の密度として1平方センチメートル当たり140個±5個のものを用意した。試作手袋本体の中央部の生地10と生地20は、生地50と同じ編物で、生地10と生地20と生地50は連続しており、試作手袋本体は腕部を持ち、腕部は面ファスナーを備えており、手首に手袋本体を固定できるようにした。また、球と接する指の腹側と中央部の手の平側に、球を把持しやすいように、シリコンゴムの突設を多数配置させた。
試験は、硬式野球部の大学生5人(身長170cm~185cm)により、投球を実施した。マウンドからキャチャースボックス(距離は18.44メートル)の捕手へほぼ全力で、直球のみ10球の投球をさせた。結果は、前記(ア)~(ウ)は指と球の滑りはなくコントロールに問題はないと5人全員が回答し、前記(エ)は滑りが感じられコントロールがしにくいと5人全員が回答し、試験の様子を観察した観察者2名も、前記(ア)~(ウ)は、球がよくコントロールされた様子を観察し、前記(エ)では、球が高めに抜けるなどコントロールにばらつきがあることを観察した。
試験の結果は、指サックと突設91がシリコンゴムで製作された場合の一例であるが、突設91がゴム弾性を有し、適切な範囲内の硬度を持ち、突設の形状、寸法が適切であれば、硬式練習球の皮革の表面に突設が食い付き、球と指サックが滑らないことを実証したが、硬式練習球の皮革の表面に突設が食い付くメカニズムについて考察する。未使用の硬式練習球を任意に選び、任意の部分を撮影し、拡大写真としたものが図21と図22である。硬式球は牛皮を鞣すなどの加工工程を経て製造され、その表皮には細かな穴や溝などが、天然の皮を使用しているから不規則に存在していることを図21と図22が示している。この穴や溝などに、ゴム弾性を有する突設91が押し当てられた際、球の表面の穴や溝の複雑な形に、突設が弾性変形し追随し、接触面積を増大させ、また、突設91の先端が穴や溝に食い込む箇所もあると考えられるから、これが楔が引っ掛かるような効果を生み、それらが総合的に球と指先が滑らない静止摩擦力を生じさせると考えられる。
突設91が、球の穴や溝の形に追随し弾性変形し接触面積を増大させるなどで、必要な静止摩擦力が生じているのが前記(ア)~(ウ)の硬度であり、前記(エ)は突設が硬く、球の表面の穴や溝の形に追随することができず、弾性変形が不十分で、接触面積が限定的となり、静止摩擦力が不足した、と推測される。
なお、硬式練習球と、試合で使用される硬式試合球の違いは、球の表皮の牛皮につき、使用される皮の部位が異なる点にある。試合球は、表皮の傷が少ない牛の背中の皮を使用し、練習球はお腹の皮を使用しているが、表皮の凸凹については、練習球、試合球も大きな差はないと考えられ、硬式練習球での試験結果は、硬式試合球でも適用されると考えられる。
(軟式野球ボールに対する試験について)
軟式野球ボールについて、指サックの硬度の違いによる突設の効果を、硬式練習球で使用したのと同じ試作手袋1により、前記(ア)~(エ)の指サックで投球試験を実施し評価した。軟式野球にはJ号(小学生用)とM号(中学生・一般用)の2種類の球があるが、同じゴム製であり、表面に同じ模様が施されていることから、M号公認球のみ試験に使用した。
軟式野球ボールは、軟式野球部の大学生5人(身長170cm~185cm)に、マウンドからキャチャースボックス(距離は18.44メートル)の捕手へほぼ全力で、直球のみ10球の投球をさせた。試験前に、ボール表面に付着している炭酸カルシウムの粒子は水で洗い流し、十分に乾燥させた。結果は前記(ア)~(エ)のいずれも、5人全員から、球が滑りやすくコントロールがばらつく、との回答が得られ、観察者2名もコントロールのばらつきを観察した。そこで、突設91のない、シリコンゴムの指サック41a~45aの表面が平坦で、JIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値として(カ)A30°、(キ)A50°、(ク)A70°、(ケ)A90°である4種類の指サックを持つ試作手袋1を用意し投球試験を実施した。結果は、前記(カ)~(ク)は指と球の滑りはなくコントロールに問題はないと5人全員が回答し、前記(ケ)は滑りが感じられコントロールがばらつく、と5人全員が回答し、試験の様子を観察した観察者2名も、前記(カ)~(ク)は、球がよくコントロールされた様子を観察し、前記(ケ)では、球が高めに抜けるなどコントロールにばらつきがあることを観察した。
軟式野球ボールの試験結果を分析すると、軟式野球ボールのゴム表面に施されている凹凸はキメが細かく、試験に用いた突設91では、シリコンゴムの硬度にかかわらず、球の表面に食い付くことが出来ず、接触面積が限定的となったことが滑りの原因と推測される。突設をなくし、指サック41a~45aの表面を平坦にしたほうが、前記(カ)~(ク)であれば、軟式野球ボールの表面に指サック41a~45aの表面がよく密着し、球との接触面積を増大させ、必要な静止摩擦力を生じさせたと推測され、前記(ケ)では、球の表面の凹凸の形に指サックが追随することができず、弾性変形が不十分で、接触面積が限定的となり、静止摩擦力が不足した、と推測される。
軟式野球ボールについては、次に、皺、ザラメを持たせたシリコンゴムの指サックでの試験を実施し評価した。硬式練習球で使用したのと同じ試作手袋1を用意するが、指サック41a~45aは皺、ザラメを持たせたものとし、指サック41a~45aの肉厚は、皺、ザラメの部分の厚さを除いた厚さとして、400μmのものを用いた。指サックのシリコンゴムの硬度はJIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値としてA30°のものを用い、指サック41a~45aの滑り止め部として、(サ)皺の深さが200μm~500μm程度の多数の皺を表皮に備えたもの、(シ)ザラメの切れ込み深さが100μm~200μm程度の多数のザラメを備えたもの、の2種類を用意した。試験は、前記の軟式野球部の大学生5人に、マウンドからキャチャースボックス(距離は18.44メートル)の捕手へほぼ全力で、直球のみ10球の投球をさせた。結果は前記(サ)と(シ)の両方で、5人全員から、球が滑ることなくコントロールに問題はない、との回答が得られ、観察者2名も球がコントロールされている様子を観察した。ゴム弾性を有する部材である指サックが、適切な硬度を持てば、皺、ザラメが球のゴムの表皮と密着し、球との接触面積を増大させ、必要な静止摩擦力を生じさせたと推測される。
競技が軟式野球の場合、試験の結果から、軟式野球のJ号(小学生用)とM号(中学生・一般用)の2種類の両方について、手袋1~6は、指サック部のもっとも外側に配置される指サックの表面(おもてめん)に、滑り止め部として突設ではなく、皺ないしザラメを持つことが好ましく、または、滑り止め部を持たず、指サックの表面(おもてめん)が平坦で滑らかであってもよい。
(ソフトボールに対する試験)
ソフトボールのボールについて、指サックの硬度による突設の効果を、硬式練習球で使用したのと同じ試作手袋1により、前記(ア)~(エ)の指サックで投球試験を実施し評価した。ソフトボールには1号(小学生低学年用)、2号(小学生全学年用)、3号(一般用)の3種類があり、すべて表面がゴム製であり、3号球だけ、ゴム製の他、大学生や実業団が使用する革製(牛皮が用いられる)のものがある。ゴム製のソフトボールを公認球として使用しているのは日本だけであり、国際大会や海外では革製が用いられる。ゴム製3種類の球の表面は、目の粗さが異なる突設が施されていることから、1~3号のゴム製公認球と3号革製公認球の4種類を試験に使用した。
ソフトボールは、前記(ア)~(エ)の指サックを持つ試作手袋1を、ソフトボール部の大学生5人(身長160cm~175cm)に、マウンドからキャチャースボックス(距離は女子で13.11メートル、男子で14.02メートル)の捕手へほぼ全力で、直球のみ10球の投球をさせた。結果は、試験に用いた4種類のすべてについて、前記(ア)~(ウ)では球が滑ることはなく、コントロールに問題はないと5人全員の回答があり、観察者2名も球がコントロールされている様子を観察した。しかし、前記(エ)は球が滑りがちで、球が低めに抜けるなどコントロールにばらつきがでると5人全員の回答があり、観察者2名もコントロールのばらつきを観察した。
ソフトボールの試験結果を分析すると、表皮がゴムである3種類(1~3号球)の球については、ゴム弾性を有する部材である突設91が適切な硬度であれば、球の表面のゴムの突設と、指サックの突設91とが接触する際、球の突設の谷間に突設91が入り込み、球の突設と突設91の両者が互いに弾性変形し密着し、接触面積を増大させ、必要な静止摩擦力を生じさせたと推測され、3号革製公認球については、表皮が牛皮から製造されていることから、硬式練習球と同じメカニズムにより、ゴム弾性を有する部材である突設91が適切な硬度であれば、接触面積が増大し、必要な静止摩擦力を生じさせたと推測される。
(指サックの滑り止め部の耐久試験について)
次に、硬式練習球で使用したのと同じ試作手袋1により、指サックの突設91について、耐久性の試験を実施し、評価する。硬式練習球を用い、前記(ア)~(ウ)の指サックを用いて、前記の硬式野球部の大学生A、B、Cの3人に、Aには(ア)、Bには(イ)、Cは(ウ)の指サックの手袋1を使用させ、マウンドからキャチャースボックス(距離は18.44メートル)の捕手へ、直球のみ100球の投球をさせた。結果は100球の投球により、第二指、第三指の指先における腹部の突設が特に摩耗し、突設91の高さが、擦り減るか、突設91の先端がもぎ取られるなどし、元の高さの約300μmから50~150μm程度まで低下している突設などが観察された。擦り減りの度合いは(ア)がもっとも多く、(ウ)がもっとも少なく、(イ)がその中間程度であった。
擦り減った原因は、図21,図22のような硬式球の革の表皮の複雑な形状との摩擦が原因と推測され、突設の先端がもぎ取られたのは、硬式球には図22のように糸による縫い目が存在し、縫い目に突設の先端が引っ掛かることによってせん断応力が働いたことが原因と推定される。しかし、投球試験を実施した前記の硬式野球部の大学生3人全員が、100球を投げた時点でも、球と指先が滑ることはなかった、と回答した。これは、投球により、擦り減ったり、先端がもぎ取られた突設の表面を観察すると適度に荒れていることから、荒れた部分が球の表面の穴、溝に密着することによって接触面積を維持し、必要な静止摩擦力を維持したことが理由、と考察される。
指サックに突設を設ける場合をさらに考察する。球の表面に傷をつけないで、指と球が滑らない静止摩擦力を引き出すためには、ゴム弾性を有する指サックの突設が摩耗し擦り減る必要があり、指サックの突設が擦り減ることで指と球が滑らない静止摩擦力を引き出していると考えられ、では、指サックの突設がどのくらいの耐久性を持つかについて考察すると、投手がどのような投球をするか、指サックの材質と硬度がどのくらいかなどに依存するから、一律に決めることは出来ないが、例えば、球に強いスピンを掛ける第二指と第三指の指サックがシリコンゴムであり、硬度がJIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値としてA30°~A70°の場合で、おおむね100球~200球の投球で突設が劣化すると考えられ、100球~200球の投球ごとに交換することが推奨されると思われる。手袋1~3の場合は、指サックの突設が摩耗したら、手袋1~3では手袋を廃棄させることになるが、手袋4~6であれば、交換可能な指サック41d~45dの摩耗した箇所のみを新品の指サックと交換し、手袋本体を再利用することができる。
(手袋1~6の指サックの硬度の組み合わせについて)
手袋1~6の指先の指サック部の目的は、指先や指の腹部に血マメが出来る、爪が割れるなどの傷害から保護することと、投球、送球の際に、球と指先が滑らないことである。
手袋2と手袋4~6の場合、指サック部が複数の指サックで構成されているから、指先を傷害からより保護し、かつ、球と指先が滑らないために、指先の、もっとも外側に配置された指サックの硬度よりも、もっとも外側に配置されていない指サックの硬度を硬くする、ことが好ましい。使用する球と接する指サックの突設91などの滑り止め部を持つ指サックの硬度については、球によく食い付く硬度を選べば、球と指先が滑らないための必要な静止摩擦力を生じさせることができ、かつ、もっとも外側に配置されていない指サックの硬度を、もっとも外側に配置された指サックよりも硬い硬度とすることにより、指先を傷害からより保護することができる。
例えば、手袋2の場合であれば、指サック41a~45aの硬度よりも、指サック41b~45bの硬度を硬くすることが好ましく、手袋4では、指サック41d~45dの硬度よりも、指サック基礎部41c~45cの硬度を硬くすることが好ましく、手袋5では、指サック41d~45dの硬度よりも、指サック基礎部41c~45cと指サック41b~45bの硬度を硬くすることが好ましく、手袋6では、指サック41d~45dの硬度よりも、指サック基礎部81a~85aの硬度を硬くすることが好ましい。
具体的には、手袋2と手袋4~6の場合、もっとも外側に配置された指サックの硬度を、例えばA30°、A50°などの硬度とし、もっとも外側に配置されていない指サックの硬度を、例えばA70°などとすることが好ましい。なお、A30°などの硬度の数値は、JIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値である。
手袋1と手袋3の場合、指サック部が単数の指サックで構成されているため、手袋1の指サック41a~45a、手袋3の指サック81~85について、生産方法について浸漬成形法を採用し、2度浸漬させ成形させる場合、球と接する側である表面(おもてめん)側の硬度よりも、指と接する側である裏面側の硬度を硬くすることが好ましい。使用する球と接する表面(おもてめん)側の突設91などの滑り止め部を持つ指サックは球によく食い付く硬度を選べば、球と指先が滑らないための必要な静止摩擦力を生じさせることができ、かつ、裏面側の硬度を、表面(おもてめん)側よりも硬くすることによって、指先を傷害からより保護することができる。
例えば、手袋1の指サック41a~45a、手袋3の指サック81~85については、表面(おもてめん)側を、例えば、A30°、A50°などの硬度とし、突設91や皺、ザラメなどの滑り止め部の厚みを除いた肉厚として、肉厚の半分をつくり、さらに、裏面側として、残りの肉厚分を、例えばA70°の硬度でつくれば、使用する球と接する表面(おもてめん)は突設91などの滑り止め部が球によく食い付き、球と指先が滑らないための必要な静止摩擦力を生じさせ、かつ、裏面の硬度は表面(おもてめん)より硬いから、指先を傷害からより保護することができる。硬度の数値は、JIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値である。
なお、手袋1の指サック41a~45a、手袋3の指サック81~85の生産方法について、浸漬成形法により2度浸漬させ成形するのではない方法によって、表面(おもてめん)側よりも裏面側の硬度を硬くする方法を用いてもよい。それは、例えば、表面(おもてめん)側と裏面側を浸漬成形法や3Dプリンターなどで別々に生産し用意し、用意された表面(おもてめん)側と裏面側の硬度は、表面(おもてめん)側よりも裏面側のほうを硬くしておき、接着または溶着などによって表面(おもてめん)側と裏面側を接合させる方法など、である。
指サック部のもっとも外側に配置される指サックの生産方法が、浸漬成形法により複数回浸漬させ成形させるなどの場合、指サック部のもっとも外側に配置される指サックの、表面(おもてめん)側の肉厚部と、その次の肉厚部の色は別の色を用いて成形させることが好ましい。表面(おもてめん)側の肉厚部と、その次の肉厚部の色を別々の色とすることにより、突設91など滑り止め部が摩耗し、さらに表面(おもてめん)側の肉厚部を摩耗させてしまう場合、次の肉厚部の色が肉眼で観察されることになり、例えば、交換可能な指サック41d~45dであれば、新しい指サックと交換する目安とすることができる。指サック部のもっとも外側に配置される指サックとは、手袋1と手袋2では指サック41a~45aを、手袋3では指サック81~85を、手袋4~6での交換可能な指サック41d~45dをさす。
(指先の裏面の滑り止め部について)
図6における手袋2と図12における手袋5の指部の生地50は、指先の裏面に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サック41b~45bを持つが、指サック41b~45bの指と接する面に、多数の突設92かまたは溝、皺、ザラメなどの滑り止め部を持つことが好ましい。指サック41b~45bが、多数の突設92かまたは、溝、皺、ザラメなどを持つことにより、指の腹側から発せられる汗を逃がす隙間をつくり、投球、送球の際、指と指サック41b~45bが滑ることを直接防止することができ、指と指サック41b~45bが滑らないから、指先や指腹に血マメが出来る、血マメの皮が破れる、指の皮がむける、爪が割れる、爪が指に食い込む(爪が爪甲側縁に食い込む)といった傷害を防止する効果をより高めることができる。
図8における手袋3の指サック81~85と、図14における手袋6の指サック81a~85aは、指と接する面に、多数の突設92、溝、皺、ザラメなどを持つことが好ましい。指サック81~85と、指サック81a~85aが、指と接する面に、多数の突設92、溝、皺、ザラメなどを持つことにより、指の腹部から発せられる汗を逃がす隙間をつくり、投球、送球の際、指と指サック81~85、指と指サック81a~85aが滑ることを直接防止することができ、指と指サック81~85、指と指サック81a~85aが滑らないから、指先や指腹に血マメが出来る、血マメの皮が破れる、指の皮がむける、爪が割れる、爪が指に食い込む(爪が爪甲側縁に食い込む)といった傷害を防止する効果をより高めることができる。
手袋2と手袋5の指サック41b~45b、手袋3の指サック81~85、手袋6の指サック81a~85aが、指と接する面に、多数の突設92を持つ場合、突設92は、例えば、円錐形状とし、円錐の底辺径が約800μm、高さが約300μmとし、突設92の密度として1平方センチメートル当たり140個などが好ましい。多数の皺を持つ場合、皺の深さは200μm~500μm程度が好ましく、ザラメを持つ場合、ザラメの切れ込み深さは100μm~200μm程度が好ましい。指の指紋の深さは100~200μm程度と言われており、上記記載の突設92,皺、ザラメに関する寸法であれば、汗を逃がす隙間をつくると同時に、指によく食い付いて滑り止め効果を期待することができる。
(指サックの大きさについて)
人の指先(つまり、指の第一関節から指の先端までの部位)の形状は、人によって特徴があるが、手袋1~6に使用される指サックは、着用者の指先の形状(つまり長さ、太さ、丸みの形状など)に適度に合わせた指サックであることが好ましい。
指サックが、手袋1~6の着用者の指先の形状と一致せず、着用者の指先のほうが小さい場合や、形状が合わず、部分的に隙間が出来る場合、投球、送球する際に指サックと指先の腹部が密着せず、直接指と接する生地50または指サックと指の腹部が摩擦し、血マメなどの傷害を起こしやすくなり、また球をコントロールしにくくなる。また、指先が指サックより大きい場合は、着用すると指サックが伸びることになるが、指サックが伸びた分のゴムの弾性応力が指先にかかり、血流が阻害されるなど指先のしびれや不快感を発生させやすくなり、不都合である。
指先に傷害を起こさず、しびれや不快感を起こさせないためには、手袋1~6の指サック部が指先とほとんど同じサイズか、快適なフィット感を感じ、適度な緊張感を付与される程度のサイズであることが好ましく、すなわち、指先が指サックと同じサイズか、ほんの少しだけ大きいサイズであることが好ましく、指サックが指先に与える弾性応力はエアパック・センサーのI型などによる計測により得られる数値として、0.04~0.10N/平方センチメートル程度か、それ以下に抑えることが好ましい。
(指サック基礎部の表面と、交換可能な指サックの裏面について)
図10の手袋4と図12の手袋5の指サック基礎部41c~45cの表面(おもてめん)、および図14の手袋6の指サック基礎部81a~85aの表面(おもてめん)、交換可能な指サック41d~45dの裏面は、突設や凹凸、溝、皺、ザラメなどを施さず、表面を滑らかな平坦とすることが好ましい。
図10の手袋4と図12の手袋5の指サック基礎部41c~45cの表面(おもてめん)、および図14の手袋6の指サック基礎部81a~85aの表面(おもてめん)、交換可能な指サック41d~45dの裏面を滑らかな平坦とすることにより、交換可能な指サック41d~45dを指サック基礎部に装着したときの密着度が高まり、投球、送球時に交換可能な指サック41d~45dが指サックの基礎部からずれることを防止することができる。ゴム弾性を有する部材の表面は、滑らかな平坦に見えても、実際にはミクロな凹凸が存在しており、このミクロな凹凸を持つ面が合わさると、互いに凹凸が追随して密着する性質があるために、真の接触面積が極めて大きくなり静止摩擦係数が増大し、静止摩擦力が大きくなると考えられる。
手袋4と手袋5の指サック基礎部41c~45c、手袋6の指サック基礎部81a~85a、交換可能な指サック41d~45dが、金型を使用した製品である場合、指サックの基礎部の表面(おもてめん)と交換可能な指サックの裏面の表面状態は、その部分の金型の表面処理に依存し、その表面処理は鏡面仕上げ(例えば#3000~#5000による研磨)や極細目(例えば#1000~#2000による研磨)が理想的であるが、金型コストの高騰を招くことから(つまりは、指サックの生産コストが高くなる)、金型の研磨は現実的に細目(#800)以下での、例えば、表面処理が#400~#600などによる研磨であることが好ましい。
(指サック基礎部と交換可能な指サックの密着に関する試験について)
図10の手袋4の指サック基礎部41c~45c、および交換可能な指サック41d~45dにつき、(タ)#400で手作業研磨した金型を用いて試作したもの、(チ)浸漬成形法により試作したもの、の2種類を用意し、前記の硬式野球部の大学生5人に、試作手袋4を着用させ投球試験をおこない、指サック基礎部から交換可能な指サックがずれないかどうか、を評価した。前記(チ)の浸漬成形法では、オス金型に接しない面が、基礎部41c~45cの表面(おもてめん)、交換可能な指サック41d~45dの裏面である。
試作された手袋4の交換可能な指サック41d~45dと指サック基礎部41c~45cはシリコンゴムで製作され、指先から第一関節までの長さを持ち、硬度がJIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値としてA30°で製作され、突設91の厚さを除いた交換可能な指サック41d~45dと指サック基礎部81a~85aの肉厚は、400μmのものを用い、編物である生地50に接着剤を用いて指サック基礎部41c~45cを固定し、生地50の指の腹側裏面にシリコンゴムの滑り止め部材100を配置し、指と生地50が滑らないようにした。交換可能な指サック41d~45dの突設91は円錐形状とし、円錐の底辺径が約800μm、高さが約300μmとし、突設91の密度として1平方センチメートル当たり140個±5個のものを用意した。手袋本体の中央部の生地10と生地20は、生地50と同じ編物で、生地10と生地20と生地50は連続しており、手袋本体は腕部を持ち、腕部は面ファスナーを備えており、手首に手袋本体を固定できるようにした。また、球と接する指の腹側と中央部の手の平側に、球を把持しやすいように、シリコンゴムの突設を多数配置させた。
前記の硬式野球部の大学生5人に、試作手袋4での投球試験をおこなった。マウンドからキャチャースボックス(距離は18.44メートル)の捕手へほぼ全力で、直球のみ10球の投球をさせた。結果は、(タ)も(チ)も、交換可能な指サック41d~45dが指サック基礎部41c~45cから剥がれたり、ずれ動いたりする現象は全球においてみられなかった。結果から、例えば#400で手作業研磨した金型を用いて製作した指サック、または、浸漬成形法で製作した指サックであって、交換可能な指サックと指サック基礎部が、指先から第一関節までの長さを持ち、交換可能な指サックと指サック基礎部が密着していれば、必要な静止摩擦力を持つと評価され、実用的でもあることが考察される。
また、手袋1の着用者が、指サックの基礎部と交換可能な指サックがずれないよう、安全策を考える場合、指サックの基礎部と交換可能な指サックの長さについて、例えば、指先から第二関節付近までとすることが好ましく、また、交換可能な指サックを指サックの基礎部にはめ込む前に、滑り止めスプレー(打者がバットのグリップへ使用する主にロジン入りのスプレー)などを指サックの基礎部に軽く吹きかけてから、はめ込むことが好ましい。
指サックの基礎部と交換可能な指サックの長さを指先から第二関節付近までとすることにより、接触面積を相対的に増やすことで、交換可能な指サックが投球、送球をした際にずれる現象をより防ぐことができる。また、滑り止めスプレーを使用することで、指サックの基礎部と交換可能な指サックの密着を強くするため、ずれを防ぐ効果が高まる。
特に第二指と第三指については、変化球であるフォークボールを投じる投手の場合、フォークボールは球を第二指と第三指の指側(ゆびそく)で挟むケースが多く、指サックの基礎部と交換可能な指サックの長さを指先から第二関節付近まで持たせることが好ましい。
なお、たとえ#400番以上に仕上げた金型を使用し生産された指サックであっても、交換可能な指サックを取り付けるとき、例えば、球場における砂ぼこりの多いコンディション下などで細かな砂などが付着してしまうと、指サックの基礎部と交換可能な指サックの密着を阻害する被膜をつくることになり、密着度が薄れてしまう可能性がある。付着物を水などで洗い流して拭き取る時間がない場合などは、滑り止めスプレーを軽く吹き付けてからはめ込むことで、ずれを防止することができる。
しかしながら、上記の滑り止めスプレーに含まれる炭化水素系溶剤は、指サックに使用する材料を劣化させる可能性があり、含まれる炭化水素系溶剤と指サックおよび手袋に使用する材料との相性には注意が必要である。例えば、滑り止めスプレーに含まれる炭化水素系溶剤がアセトンである場合、指サックの材質が例えば天然ゴム、シリコンであれば劣化しにくく、例えばウレタンゴム、ニトリルゴムの場合は劣化しやすいと考えられ、指サックに使用する材料を考慮する必要がある。
手袋4~6の指サック部に通気のための貫通孔を設ける場合、交換可能な指サックを指サックの基礎部にはめ込んだとき、交換可能な指サックの貫通孔が、指サックの基礎部の貫通孔と同じ位置にこない場合が想定される。それを防止するため、交換可能な指サックの貫通孔は直径1mm程度の穴でよいが、指サックの基礎部の貫通孔については、直径2mm~3mm程度の穴とすることが好ましい。なお、交換可能な指サックを指サックの基礎部にはめ込む際に、貫通孔の位置が横ずれしないよう、手袋4~6は指サック基礎部の爪の先端中央から手の甲方向へ、例えば黒いマーカー線を印刷しておき、それをマーカーとして利用してもよい。交換可能な指サックの裏面(指サック基礎部との接触面)にも黒いマーカー線を印刷しておき、指サック基礎部のマーカー線と合わせるようにはめ込むことで、横ずれを防止できる。
(手袋の指部の裏面を覆う部材について)
図1における手袋1の指部の生地50は、指と接する面(すなわち生地の裏面)の腹側に、滑り止め部材として、部材100、または突設101を持つ。生地50の裏面に部材100、または突設101を配置する主な目的は、生地50を指に対してずれ動かさないことにある。部材100は、図5(図1における第二指のA-A´断面図)に、図19(図2における第二指のG-G´断面図)に示されるが、図19は、腹部にとどまらず腹側まで部材100が覆う場合の概略構造断面図である。突設101は図20(図4における第二指のH-H´断面図)に示されるが、図20は、腹部にとどまらず腹側まで突設101が覆う場合の概略構造断面図である。指部の生地50の裏面に部材100、突設101を固定する方法は溶着、接着、縫製などが考えられる。
手袋1の指部の生地50が、部材100または突設101を持つことにより、例えば初速で時速140キロを超えるなどの、全力に近い投球、送球をしても、投球、送球の際、生地50が指からずれ動く現象を防止することができる。生地50が指からずれ動かないから、生地50の先端に備えられた指サック部が指先からずれ動かないため、投球、送球の際に、素手のときと同様の正確なコントロールを維持することができる。また、手袋1の着用者が打球、投球、送球などを指の腹側に受けた場合、その衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができる。
また、手袋1と手袋4は、部材100または突設101を、指先の先端まで配置することが可能であり、手袋1と手袋4は、部材100または突設101を、指先の先端まで配置することにより、指先が生地50からずれ動かない滑り止めの効果を高めることができると同時に、指の腹部の保護を強化することができる。ただし、手袋1の着用者が、投球、送球をなるべく素手のときの感覚に近づけたい場合は、指の第一関節から指先までの腹部で球をつかむ感覚を重視するため、第一関節より先の手袋の厚さを薄くする必要がある。その場合は、手袋1と手袋4は、部材100または突設101を、指先の先端まで配置させる必要はない。
先に、図1における手袋1の指部の生地50が部材100を持つ場合を説明する。部材100の形状は、例えば、図5および図19に示すような帯状とし、隙間を有して平行に配置され、腹側の一部を覆うことが好ましい。
指部の生地50の部材100は、例えば、幅が3mmから8mm程度の帯状であることが好ましく、例えば、2mmから3mm程度の隙間を有して平行に配置されることが好ましい。部材100が上記記載の寸法を持つことにより、投球、送球の際、生地50が指からずれ動く現象を防止することができ、部材100が上記記載のような隙間を有して配置されることにより、指部の生地50は通気性を確保することができ、指の曲げ伸ばしを楽におこなうことができる。
図5および図19における生地50の部材100を構成する材料は、例えば天然ゴム、合成天然ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、EPDM、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられるが、上記記載の材料を選択することにより、指に傷をつけることを回避できる。中でも、部材100は、シリコンゴムを含んでいることが好ましい。シリコンゴムは体組織に対する反応がほとんどなく、無臭であり、生理的に不活性であるから、例えば、人体が直接触れるような製品(哺乳瓶用乳首やマウスピース、医療器具や医療素材など)に多く利用されていることから手袋1の着用者に安心感を与え、また肌合いもよく、低温でも弾力性を維持する材料であることなどが、部材100がシリコンゴムを含むことが好ましい理由である。部材100がシリコンゴムを含んでいることにより、部材100は弾力性を得るため滑り止めの効果を高め、気温が低い環境下であっても弾力性を維持するため、季節を問わず、指に傷をつけることを回避でき、着用者の指の動きに応じて生地50が自由に伸縮することを妨げにくくするため、球を把持しやすくなる。また部材100の指と接する表面に、突設、溝、皺、ザラメなどを施すと、滑り止め効果をさらに高め、好ましい。
図5および図19における生地50の部材100の厚みは、突設、溝、皺、ザラメなどの部分を除いた厚みとして、100μm以上800μm以下であることが好ましい。部材100の厚みを800μm以下とすることにより、手袋1の着用者は素手に近い感覚を維持し、また、球を把持しやすくなり、部材100の厚みを100μm以上とすることにより、部材100は機械的強度を確保し、また打球、投球、送球などを指腹に受けた場合、その衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができる。
図5および図19における生地50の部材100の厚みは、800μm以下であればよいが、600μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることがさらに好ましい。指部の生地50の部材100の厚みの上限値を上記とすることにより、手袋1の着用者は素手に近い感覚を維持し、球を把持しやすくなる。また図5および図19における生地50の部材100の厚みは、100μm以上であればよいが、150μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましい。指部の生地50の部材100の厚みの下限値を上記とすることにより、部材100は機械的強度を確保し、また打球、投球、送球などを指腹に受けた場合、その衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができる。
次に、図1における手袋1の指部の生地50が突設101を持つ場合を説明する。図5および図19における生地50に配置される突設101は、例えば、突設形状は四角錐、円錐などの錐形が好ましく、その錐形の底辺の形状と寸法は、一辺が1mm以上2mm以下の四角形ないし四角形の角を丸めた形状、一辺が1mm以上2mm以下の四角形と同等の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状ないし円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状が好ましく、高さが0.5mmから2mm程度が好ましく、突設の配置は1mmから1.5mm程度の間隔で規則正しく配置され、ほぼ同じ形状、同じ寸法の突設を配置することが好ましい。突設101の形状と高さを上記記載とすることにより、また1mmから1.5mm程度の間隔を空けて規則正しく配置され、ほぼ同じ形状、同じ寸法の突設とすることにより、生地50は通気性を確保することができ、指との接触面全域に均等に圧力をかけることが出来るから、突設101を配置した全体に偏りなく滑り止め効果をもたらすことができ、また手袋1の着用者は、指の接触面全域に均等に圧力がかかるから、心地よいフィット感を得ることができる。
図5および図19における生地50の突設101を構成する材料は、例えば天然ゴム、合成天然ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、EPDM、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられるが、上記記載の材料を選択することにより、指に傷をつけることを回避できる。中でも、突設101は、シリコンゴムを含んでいることが好ましい。シリコンゴムは体組織に対する反応がほとんどなく、無臭であり、生理的に不活性であるから、例えば、人体が直接触れるような製品(哺乳瓶用乳首やマウスピース、医療器具や医療素材など)に多く利用されていることから手袋1の着用者に安心感を与え、また肌合いもよく、低温でも弾力性を維持する材料であることなどが、突設101がシリコンゴムを含むことが好ましい理由である。突設101がシリコンゴムを含んでいることにより、突設101は弾力性を得るため滑り止めの効果を高め、気温が低い環境下であっても弾力性を維持するため、季節を問わず、指に傷をつけることを回避でき、着用者の指の動きに応じて生地50が自由に伸縮することを妨げにくくするため、球を把持しやすくなる。
(手袋の指部の裏面を覆う部材の試験について)
図1における手袋1の指部の生地50は、指と接する面(すなわち生地の裏面)に、指サック41a~45aと重ならない部分の腹部または腹側に、滑り止め部材として部材100、または突設101を持つが、部材100、または突設101の効果を、他の方法を含めて試験し比較評価する。
手袋1の指部の生地50の、指と接する面(すなわち生地の裏面)に、指サック41a~45aと重ならない部分の腹側に、(ナ)部材100として、幅4mmの帯状で厚さ400μmのシリコンゴムを3mm間隔に平行に配置する、(ニ)突設101として、シリコンゴムの円錐を選び、円錐の底辺の直径を1.6mmとし、高さを0.6mmとし、0.8mm間隔に規則正しく配置する、(ヌ)編物である生地50を、相対的に摩擦係数に優れるとされるポリウレタン系繊維であるスパンデックスの編物として試作し、滑り止め部材は配置しない、(ネ)編物である生地50を、指との滑り止め効果を生むとされる、超極細ポリエステルナノファイバーで構成されたナノフロント(帝人株式会社製)とし試作し、滑り止め部材は配置しない、の4種類を試作し評価した。
試作された手袋1の指サック41a~45aはシリコンゴムで製作され、指サック41a~45aのシリコンゴムの硬度は、球と指サックが滑らないJIS K6253 デュロメータタイプA(シェアA)によって計測される値としてA30°を用意した。突設91の厚さを除いた指サック41a~45aの肉厚は、400μmのものを用い、編物である生地50に接着剤を用いて指サック41a~45aを固定し、突設91は円錐形状とし、円錐の底辺径が約800μm、高さが約300μmとし、指腹の突設91の密度として1平方センチメートル当たり140個±5個のものを用意した。手袋本体の中央部の生地10と生地20は編物で、生地10と生地20と生地50は連続しており、(ヌ)と(ネ)は縫製により連続させた。手袋本体は腕部を持ち、腕部は面ファスナーを備えており、手首に手袋本体を固定できるようにした。また、球と接する指の腹側と中央部の手の平側に、球を把持しやすいように、シリコンゴムの突設を多数配置させた。
試験は、硬式野球部の大学生5人(身長170cm~185cm)により、硬式練習球を用いて、投球を実施した。マウンドからキャチャースボックス(距離は18.44メートル)の捕手へほぼ全力で、直球のみ10球の投球をさせた。結果は、前記(ナ)と(ニ)は、滑り止め部材の効果で、指に対して生地50がずれ動くことはなく、コントロールされた投球ができる、と5人全員が回答し、前記(ヌ)と(ネ)は、球を把持した段階で、指と生地50の内側が滑ってしまい、滑り止めの効果が感じられず、コントロールがしにくいことが連想され、全力では投げにくいと、5人全員が回答し、5人全員が投球試験前にストレスを感じたこと、また、第一関節より先の指の腹部と生地50が滑ってしまうと、球を激しく指先からリリースする際に血マメをつくる恐れがあることを考慮し、投球試験は5人全員に対して1球で終了させた。1球の投球試験は、5人全員が、全力では投球をできず、正確なコントロールも出来なかった。
試験の結果は、素手と同様に正確なコントロールのためには、指に対して生地50が滑らず、ずれ動かない必要があり、滑り止め部材100または突設101は有効であるのに対して、例えば、指に対して滑り止め効果があるとされる生地を生地50に用いただけでは、滑り止め部材や突設を配置しないために、指と生地がずれ動いてしまい、実際には不都合であると評価される。
(手袋の指部の腹側を覆う部材について)
図1における手袋1の指部の生地50は、生地の表面(おもてめん)に、指サック41a~45aと重ならない部分に、腹部または腹側を覆う部材60、または図3のように突設11を持つことが好ましい。部材60、または突設11の目的は、球を把持したときの滑り止め効果を得ることと、打球、投球、送球などを指に受けた場合、その衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることにある。部材60は、図5(図1における第二指のA-A´断面図)、図19(図2における第二指のG-G´断面図)示されるが、図19は、腹部にとどまらず腹側まで部材100が覆う場合の概略構造断面図である。突設11は図20(図4における第二指のH-H´断面図)に示されるが、図20は、腹部にとどまらず腹側まで突設11が覆う場合の概略構造断面図である。指部の生地50に部材60、突設11を固定する方法は溶着、接着、縫製などが考えられる。
突設11は既に説明済みのため、図1における手袋1の指部の生地50が部材60を持つ場合を説明する。部材60の形状は、例えば、図5および図19に示すような帯状とし、隙間を有して平行に配置され、腹部または腹側を覆うことが好ましい。
指部の生地50の部材60は、例えば、幅が3mmから8mm程度の帯状であることが好ましく、例えば、2mmから3mm程度の隙間を有して平行に配置されることが好ましく、裏面の部材100と同じ形状、同じ位置に配置されることが好ましい。部材100が上記記載の寸法を持つことにより、投球、送球の際、生地50が指からずれ動く現象を防止することができ、部材100が上記記載のような隙間を有して配置され、同じ形状、同じ位置に配置されることにより、指部の生地50は通気性を確保することができ、指の曲げ伸ばしを楽におこなうことができる。
生地50の部材60を構成する材料は、例えば天然ゴム、合成天然ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、EPDM、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられるが、上記記載の材料を選択することにより、使用する球に傷をつけることを回避できる。中でも、部材60は、シリコンゴムを含んでいることが好ましい。シリコンゴムは体組織に対する反応がほとんどなく、無臭であり、生理的に不活性であるから、例えば、人体が直接触れるような製品(哺乳瓶用乳首やマウスピース、医療器具や医療素材など)に多く利用されていることから手袋1の着用者に安心感を与え、低温でも弾力性を維持する材料であることなどが、部材60がシリコンゴムを含むことが好ましい理由である。部材60がシリコンゴムを含んでいることにより、部材60は弾力性を得るため滑り止めの効果を高め、気温が低い環境下であっても弾力性を維持するため、季節を問わず、球に傷をつけることを回避でき、着用者の指の動きに応じて生地50が自由に伸縮することを妨げにくくするため、球を把持しやすくなる。また部材60の表面に、突設、溝、皺、ザラメなどを施すと、滑り止め効果をさらに高め、好ましい。
生地50の部材60の厚みは、突設、溝、皺、ザラメなどの部分を除いた厚みとして、100μm以上800μm以下であることが好ましい。部材60の厚みを800μm以下とすることにより、手袋1の着用者は素手に近い感覚を維持し、また、球を把持しやすくなる。
また、部材60の厚みを100μm以上とすることにより、部材60は機械的強度を確保し、また打球、投球、送球などを指腹に受けた場合、その衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができる。
生地50の部材60の厚みは、800μm以下であればよいが、600μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることがさらに好ましい。指部の生地50の部材100の厚みの上限値を上記とすることにより、手袋1の着用者は素手に近い感覚を維持し、球を把持しやすくなる。また生地50の部材100の厚みは、100μm以上であればよいが、150μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましい。指部の生地50の部材60の厚みの下限値を上記とすることにより、部材60は機械的強度を確保し、また打球、投球、送球などを指の腹部に受けた場合、その衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができる。
図1における手袋1の指部の生地50の部材60が、図17のように指側(ゆびそく)を覆うように、または図18のように突設11が指側(ゆびそく)を覆うように、配置される場合を考察する。手袋1の着用者が投手であり、例えば、ストレート、スライダーを投じる場合、投じる前に球を指で把持する方法は、第四指の第三指側の指側(ゆびそく)で球を支える握り方が一般的と考えられるため、投手用としては第四指の第三指側の指側(ゆびそく)の部材60を、例えば図17のような形状とし、なるべく面積を大きく取ることが好ましく、または、図18のように突設11が指側(ゆびそく)まで覆うことが好ましい。さらに、例えば、その投手がフォークボールを投じる場合、その投手は第二指と第三指の間に球を挟むと考えられるが、球と接する第二指と第三指の指側(ゆびそく)の部材60も、例えば図17のような形状とし、なるべく面積を大きく取る形状とすることが好ましく、または、図18のように突設11が指側(ゆびそく)まで覆うことが好ましい。あるいは、さらに、投手がチェンジアップを投じる場合、第五指の第四指側の指側(ゆびそく)を添えて球を把持する場合が多く、第五指の第四指の指側(ゆびそく)の部材60を、例えば図17のような形状とし、なるべく面積を大きく取ることが好ましく、または、図18のように突設11が指側(ゆびそく)まで覆うことが好ましい。球と接する指側(ゆびそく)の部材60の面積をなるべく大きく取るか、または突設11が指側(ゆびそく)まで覆うことにより、手袋1の着用者は安定して球を把持することができ、投球、送球の際、素手と同様の正確なコントロールを維持することができる。また、投手が変化球を投じるときの球の握り方は、その投手固有の握り方であることが多く、他の指側(ゆびそく)部についても握り方によっては球と接する指側(ゆびそく)の部材60を例えば図17のような形状とし、なるべく面積を大きく取ることが好ましく、または、図18のように突設11が指側(ゆびそく)まで覆うことが好ましい。
またさらに、指側(ゆびそく)まで部材60が覆う場合は、図19に示すように、指部の内側の部材100も、部材60と同じ箇所へ同じ形状、同じ面積の部材100を配置することが好ましく、また、指側(ゆびそく)まで突設11を配置する場合、図20に示すように、指部の内側の突設101を、突設11を配置した同じ箇所まで配置することが好ましい。なぜなら、球をリリースする瞬間に、球と接している部材60または突設11を配置した生地50が、指に対してずれ動かないようにする必要があり、ずれ動かないことによって、素手と同様の正確なコントロールを維持することができるからである。
そのいっぽうで、その投手の球の握り方の特徴として、球と接触しない指側(ゆびそく)がある場合は、その指側(ゆびそく)へ部材60または突設11を配置しなくてよく、それによって生地50はより通気性を確保でき好ましい。
(手袋の指部の、指サックでない部分の指背側を覆う部材について)
図2における手袋1の指部の指背側の生地50は、手の平側の生地と同じ編物または弾力伸縮性生地で構成されていることが好ましく、指サック41a~45aに覆われていない部分(おおむね、第一指では第一関節から第二関節まで、第二指~第五指では第一関節から第三関節までの区間)に、第二指~第五指の第二関節の背面を覆うゴム弾性を有する部材62~65と、指の指背側を覆うゴム弾性を有する部材61、または多数の突設51を持つことが好ましい。なお、指部の指背側の生地50が、手の平側の生地と同じ編物または弾力伸縮性生地で構成されておらず、例えば、織物、不織布、天然皮革、合成皮革、人工皮革などで構成される場合で、打球、投球、送球を指背に受けた場合、傷害の度合いを小さくする保護機能が生地自身に備わっているとみなす場合は、指背側に部材61~65または多数の突設51を持たせなくても構わない。
図2における手袋1の指部の生地50が、指背側に部材61を持つ場合、その形状は、例えば、図2および図16に示すように幅が3mmから8mm程度の長方形ないし角を丸めた長方形であることが好ましく、例えば、2mmから3mm程度の隙間を有して平行に配置されることが好ましい。また第二指~第五指の第二関節の背面を覆う部材62~65の形状は、例えば1~3平方センチメートル程度の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状や円形、楕円形、曲線と直線を組み合わせた形状とするのが好ましい。
指部の生地50を部材61~65で指の指背側を覆うことにより、手袋1の着用者は、打球、投球、送球などを指の背面に受けた場合に、その衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか、傷害の度合いを軽減させることができ、隙間を有して平行に配置されることにより、生地50が通気性を確保することができる。
なお、図2における手袋1の指部の生地50が、ゴム弾性を有する部材61を持つのではなく、突設51を持つ場合を図4に示す。手袋1の指部の生地50に突設51を指背側に配置させる場合、突設51は傷害の防止が目的であるから、手の甲の生地20に配置された突設21と同じ形状、同じ材質でよいが、例えば、寸法については、指の形状は手の甲よりも曲率が大きいため、突設51は突設21より小さい寸法であることが好ましい。
図4における手袋1の指部の生地50に指背側に突設51を配置する場合、例えば、突設51の形状は四角錐、円錐などの錐形が好ましく、その錐形の底辺の形状と寸法は、一辺が1mm以上3mm以下の四角形ないし四角形の角を丸めた形状、一辺が1mm以上3mm以下の四角形と同等の面積を持つ多角形ないし多角形の角を丸めた形状ないし円形、楕円形、および曲線と直線を組み合わせた形状が好ましく、高さが0.5mmから3mm程度が好ましく、突設の配置は1mmから3mm程度の間隔で配置されることが好ましい。突設51の形状と高さを上記記載とすることにより、また1mmから3mm程度の間隔て配置されることにより、指が通気性を確保でき、また、手袋1の着用者は、打球、投球、送球を指背へ直接受けた場合、指背が受ける衝撃の度合いを和らげ、指背が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。
図2のように手袋1の指部の生地50に部材61を配置する場合、例えば2mmから3mm程度の間隔を空けて平行に配置されることが好ましい。部材61が例えば2mmから3mm程度の間隔を空けて平行に配置されることにより、指に通気性を与え熱のこもりを防止することができると同時に、指の生地50は伸縮性を維持し指の曲げ伸ばしを楽にさせることができる。
図2における手袋1の部材61~65、および図4における指部の突設51を構成する材料は、例えば天然ゴム、合成天然ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、EPDM、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられるが、上記記載の材料を選択することにより、使用する球に傷をつけることを回避できる。中でも、部材61~65および突設51は、シリコンゴムを含んでいることが好ましい。シリコンゴムは体組織に対する反応がほとんどなく、無臭であり、生理的に不活性であるから、例えば、人体が直接触れるような製品(哺乳瓶用乳首やマウスピース、医療器具や医療素材など)に多く利用されていることから手袋1の着用者に安心感を与え、低温でも弾力性を維持する材料であることなどが、部材61~65および突設51がシリコンゴムを含むことが好ましい理由である。部材61~65および突設51がシリコンゴムを含んでいることにより、気温が低い環境下であっても弾力性を維持するため、季節を問わず、球に傷をつけることを回避でき、着用者の指の動きに応じて生地50が自由に伸縮することを妨げにくくするため、球を把持しやすくなる。
図2における手袋1の指部の生地50に部材61~65を配置する場合、部材61~65の厚みは、300μm以上3000μm(3mm)以下であることが好ましい。指部の生地50の部材61~65の厚みを300μm以上とすることにより、手袋1の着用者が打球、投球、送球などを指の背面に受けた場合に指が受ける衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができ、また厚みを3000μm(3mm)以下とすることにより、手袋1を軽量化することが出来る。
図2における手袋1の指部の生地50の部材61~65の厚みは300μm以上あればよいが、600μm以上であることが好ましく、1000μm(1mm)以上であることがより好ましく、1500μm(1.5mm)以上であることがさらに好ましい。指部の生地50の部材61~65の厚みの下限値を上記とすることにより、手袋1の着用者が打球、投球、送球などを指の背面で受けた場合に指が受ける衝撃の度合いを和らげ、指が被る可能性のある傷害を無くすか傷害の度合いを軽減させることができる。また指部の生地50の部材61~65の厚みは3000μm(3mm)以下であればよいが、2500μm(2.5mm)以下が好ましく、2000μm(2mm)以下がより好ましい。指部の生地50の部材61~65の厚みの上限値を上記とすることにより、手袋1を軽量化することが出来る。
(手袋の腕部について)
手袋1は手の平側の図1および手の甲側の図2に示すように、手袋本体の中央部と接続された腕部120を持つことが好ましく、腕部120は、留め具121を備えることが好ましい。腕部120の長さ(手首から肘の方向への長さ)は、3cmから5cm程度あればよく、留め具121が腕部120を手首に固定することにより、手袋1の着用者が投球、送球を実施する際、手袋にかかる遠心力によって、手袋本体の中央部が、投げる方向へずれ動くことを防止することが出来る。そして、手袋本体の中央部が、投げる方向へずれ動くことを防止することが出来るから、手袋本体の指部が投げる方向へずれ動くことを防止することが出来る。
本来、指部は生地50の裏面に滑り止め部材100または突設101を持つから、指部がずれ動くことはない。しかし、例えば試合中に、指がグラブやユニフォーム、キャップ、ベルトなどに偶発的に強く接触し、強くこすれた場合など、すなわち投球、送球の遠心力以外の力が加わることで、生地50が指からずれ動いてしまう可能性は否定できない。腕部120の留め具121は、手袋本体の指部がずれ動くことを、より防止するフェールセーフの役割を持つ。なかでも、留め具121には、面ファスナーを採用することが好ましい。面フスナーの雄側、雌側を腕部120へ固定する方法は、縫製、溶着、接着などが考えられる。
留め具121に面ファスナーを採用することにより、手袋1の着用者は、手首の締め付けの度合いをすばやく簡単に微調整することができる。また、面ファスナーは手首の尺骨茎上突起および橈骨茎状突起を覆うように配置されることが好ましい。手首の尺骨茎上突起および橈骨茎状突起は、打球や送球、投球を受けた場合など打撲、骨折を起こしやすく、面ファスナーが、手首の尺骨茎上突起および橈骨茎状突起を覆うように配置されることにより、面ファスナーの厚みによって手袋1の着用者の手首を傷害から保護することができる。
また、留め具121は、バックル付きの伸縮素材部分を持つベルトに面ファスナーの雄側、雌側を取り付け、締め付けを微調節できるようにしてもよい。このベルトによって手首の尺骨茎上突起および橈骨茎状突起を覆うことが好ましく、ベルトの厚みによって手袋1の着用者の手首を傷害から保護することができる。
腕部120は、手袋1の手の平側の図1の生地10または手の甲側の図2の生地20と同じ編地または弾力伸縮性生地で構成されていることが好ましい。腕部120が編地または弾力伸縮性生地によって構成されることにより、手袋1の着用者は、手首を傷めることなく、留め具121手首で固定することができる。
留め具121は、面ファスナー以外では、ボタン、ファスナー、チャック、ホック、紐などが考えられる。
また、面ファスナーを含めた留め具は、腕部120ではなく、例えば、掌外沿部や手の平部、手の甲部へ採用するケースが考えられる。この場合、腕部120は省略されることになり、腕部120を省く場合、手首の尺骨茎上突起および橈骨茎状突起腕部を保護することはできないが、手袋1を軽量化、低コスト化することができるメリットが得られる。
(手袋1の生地を構成する材料について)
手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50を構成する材料は、例えばナイロン、ポリウレタン、ポリエステルなどの合成繊維、綿、麻などの天然繊維などが考えられるが、手の平部の生地10と手の甲部の生地20および指部の生地50を構成する材料は、ナイロンを50%以上含んでいることが好ましい。手の平部の生地10と手の甲部の生地20および指部の生地50を構成する材料がナイロンを50%以上含んでいることにより、手袋1を軽量化でき、柔軟性および耐久性を与えることができる。
手袋1の手の平側の生地10と手の甲側の生地20は、編地、織物、不織布、またはこれらを組み合わせた布地などが考えられるが、編地であることが好ましく、指部の生地50を含めて、編地はベア天竺組織であることが好ましい。手の平部の生地10と手の甲部の生地20および指部の生地50の編地がベア天竺組織であることにより、手の平部の生地10と手の甲部の生地20および指部の生地50は伸縮性を得ることができる。なお、の平部の生地10と手の甲部の生地20が編地、織物、不織布などを組み合わせた布地を用いる場合、それらを接合する方法としては縫製、溶着、接着などが考えられる。
手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50は、ナイロンを50%以上含んでいることが好ましいが、60%以上含んでいることがより好ましく、70%以上含んでいることがさらに好ましく、80%以上含んでいることがよりさらに好ましく、ポリウレタンを5%以上含んでいることが好ましく、10%以上含んでいることがさらに好ましい。手袋1の手の平部の生地10と手の甲部の生地20および指部の生地50のナイロン、ポリウレタンの配合比率を上記記載とすることにより、材料の持つ熱伝導性の良さを手袋1に応用することが可能となり、手袋1の着用者は手に冷感を感じることができる。
手袋1の手の平部の生地10と手の甲部の生地20および指部の生地50は、生地を構成する繊維の平均の繊度が80デニール以下であることが好ましく、70デニール以下であることがより好ましく、65デニール以下であることがさらに好ましく、60デニール以下であることがよりさらに好ましい。手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の平均の繊度を上記記載の上限値とすることにより、生地に柔軟性を与え、手袋1の着用者の手や指の動きに生地が追従しやすくなる。
また、手袋1の手の平部の生地10と手の甲部の生地20および指部の生地50は、生地を構成する繊維の平均の繊度が30デニール以上であることが好ましく、40デニール以上であることがより好ましく、50デニール以上であることがよりさらに好ましい。手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50の平均の繊度を上記記載の下限値とすることにより、生地に強度と耐久性を与えることができる。
なお、30ないし40デニールなどの繊度の繊維を用いれば、通気性を確保しやすくなると考えられ、気温の上がる夏季の試合、練習用の手袋に使用できると考えられるし、70ないし80デニールなど繊度の繊維を用いれば、通気性をより小さくするため熱を逃がしにくくなり、防寒の役割を与えると考えられ、気温の低い冬季、ないし春季や秋季の肌寒い日などの試合、練習用の手袋に使用できると考えられる。
さらに、手袋1の手の平側の図1の生地10と手の甲側の図2の生地20および指部の生地50は、一律に同じ繊度の繊維を使用する必要はなく、例えば生地10と生地20は耐久性を優先して、例えば60~80デニールの繊維を使用し、生地50は例えば30~40デニールを使用し、指の動きの滑らかさを追求する、など異なる繊度の繊維を使用してよい。
(手袋1の指部の生地の伸長率について)
手袋1を着用した際の、指部の生地50の横方向の伸長率は、指の部分によって異なって構わないが、1%以上30%以下程度が好ましい。横方向の伸長率とは、手袋1の着用者の指の各部分における指の外周と無負荷状態の生地50の内周を比較し、生地50の内周が、指のその箇所でどのくらい伸びているかを計算するもの、とここでは定義する。この横方向の伸長率が、1%以上30%以下程度が好ましい理由は、部材60~65、および部材100は、生地50ほどは伸びないため、手袋1を着用した際、生地50が局所的に、大きく伸びる部分を持つ可能性があり、その部分から生地50が劣化したり、部材の剥離が起きる不都合をもたらす恐れがあるためである。
また、手袋1を着用した際の、指部の生地50による指への圧力が大きいと血流の阻害による指全体のしびれや不快感を発生させてしまい不都合である。指先のしびれや不快感を起こさせないために、手袋1を着用した際に指が生地50から受ける圧力は、0.04~0.10N/平方センチメートル程度に抑えることが好ましい。
手袋1を着用した際の、指部の生地50の縦方向の伸長率は、五指すべてが近い数値であることが好ましく、着用者が指を伸ばした状態において、1%以上10%以下程度が好ましい。縦方向の伸長率とは、手袋1の着用者の指の長さ方向に対して、生地50が無負荷状態から、長さ方向へどのくらい伸びているかを計算するもの、とここでは定義する。この縦方向の伸長率が、1%以上10%以下程度が好ましい理由は、生地50の編地としての長さ方向にかかる戻り応力が小さいほうが、指の曲げ伸ばしをしやすいためであり、指部のこわばり感を抑えることが出来るためである。
(手袋のマチ部について)
手袋1は例えば、手の甲の図23に示すように、手の平部の生地10と手の甲部の生地20の間の掌外沿部と第一指間腔にマチ部生地110、111を持つことが好ましく、また、水かきにあたる部分である第二~四指間腔にマチ部生地112を持つことが好ましい。手袋1が、マチ部生地110~112を有することにより、手袋1はより通気性を得ることができる。
手袋1がマチ部生地110~112を持つ場合、マチ部生地110~112は編地であることが好ましく、メッシュ組織であることが好ましい。メッシュ組織を採用することにより、手袋1は手にいっそうの通気性を与えることができる。
手袋1がマチ部生地110~112を持つ場合、マチ部生地110~112の材料は、例えばナイロン、ポリウレタン、ポリエステルなどの合成繊維、綿、麻などの天然繊維などが考えられる。なかでもマチ部生地110~112の材料は、ポリエステルを50%以上含んでいることが好ましい。マチ部生地110~112の材料が、ポリエステルを50%以上含んでいることにより、マチ部生地110~112は耐久性と速乾性を得ることができる。
(野球用以外の競技の手袋と産業上の効果)
本発明の手袋は運動用手袋であり、球技において選手が球を投球、送球する側の手に着用する手袋に関するものであるから、野球(硬式野球、軟式野球、ソフトボールなど)以外のスポーツ、例えば、ハンドボール、ラグビー、アメリカンフットボール、バスケットボール、クリケットなどにおいても、球を投げる側の手に着用する手袋に応用される。本発明の手袋を着用することによって、指と手の故障や怪我を防止でき、素手と同様の投球、送球ができることから、一般に、男性よりも手や指の皮膚が薄いとされる女性の指の安全性が高まり、また成人よりも手や指の皮膚が薄い児童の指の安全性が高まり、競技への関心を増やすことが可能となり、従来よりも、少年少女から高齢者まで幅広い層へ、より安全な球技スポーツの環境を提供することが出来る。加えて、本発明の手袋を着用することによるデザイン性が話題を集めることができれば、球技人口やスポーツファンを増加させ、スポーツ産業にプラスとなる。
1~6 手袋
10 手の平部の生地
20 手の甲部の生地
31~35 手の平部の滑り止め部材
36 手の母指球皮線に沿った露出線
37 手の近位手掌皮線に沿った露出線
38 手の遠位手掌皮線に沿った露出線
41a~45a 手袋2~3の指サック
41b~45b 手袋2と手袋5の指サック状裏あて
41c~45c 手袋4~5の指サック基礎部
41d~45d 手袋4~6の交換可能な指サック
50 手袋1、手袋2、手袋4、手袋5の指部の生地
60 指部の腹側を覆う滑り止め部材
61~65 指部の指背を覆う滑り止め部材
70 手の甲部の保護部材
71~75 手の甲の中手骨骨頭を覆う保護部材
76 第一中手骨基部を覆う保護部材
81~85 手袋3の指サック
81a~85a 手袋6の指サック基礎部
90 手袋3と手袋6の指部の生地
91 指サックの突設
100 指部の腹側の裏面を覆う滑り止め部材
101 指部の腹側の裏面を覆う突設
110 掌外沿部のマチ部生地
111 第一指間腔のマチ部生地
112 第二~四指間腔のマチ部生地
120 腕部
121 腕部を手首に固定する留め具

Claims (20)

  1. 手袋本体が、複数の指部と、少なくとも一部が覆われた中央部を有し、前記指部と前記中央部は接続されており、前記指部は、少なくとも腹部が編物または弾力伸縮性生地で構成されており、前記指部の腹側の裏面に、前記指部が指に対してずれ動かないための滑り止め部材が配置されており、指部の通気性を確保するために、前記滑り止め部材は、前記指部の腹側の裏面の一部を覆っており、前記滑り止め部材とは多数の突設である場合を含み、前記指部は指先を覆う先端部を有し、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが、前記指部の先端部の表面にはめつけられ固定されていることを特徴とする運動用手袋。
  2. 前記の手袋本体の指部の先端部の裏面に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サック状裏あてが固定されていることを特徴とする請求項1記載の運動用手袋。
  3. 前記の手袋本体の指部は、指先を覆う先端部を有しない形状のものであり、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが、前記指部の先端縁部に固定されていることを特徴とする請求項1記載の運動用手袋。
  4. 前記の手袋本体の指部の先端部の表面に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが、取り外し可能な状態ではめつけられていることを特徴とする請求項1記載の運動用手袋。
  5. 前記の手袋本体の指部の先端部の表面に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが、取り外し可能な状態ではめつけられていることを特徴とする請求項2記載の運動用手袋。
  6. 前記の手袋本体の指部の先端部の表面に、ゴム弾性を有する材料で構成された指サックが、取り外し可能な状態ではめつけられていることを特徴とする請求項3記載の運動用手袋。
  7. 前記の手袋本体の、指部の先端部のもっとも外側に配置された指サックの表面に、滑り止め部が備えられている請求項1~6のいずれかに記載の運動用手袋。
  8. 前記の手袋本体の指部の腹側の生地の表面に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、指の通気性を確保するために、前記のゴム弾性を有する材料は、前記指部の腹側の一部を覆っており、前記のゴム弾性を有する材料とは、多数の突設である場合を含んでいる、請求項7記載の運動用手袋。
  9. 前記の手袋本体の指部の指側の全部または一部に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、前記のゴム弾性を有する材料が配置された指側は、指の通気性を確保するために、前記のゴム弾性を有する材料が前記指部の指側の一部を覆っており、前記のゴム弾性を有する材料とは多数の突設である場合を含んでいる、請求項8記載の運動用手袋。
  10. 前記の手袋本体の指部の指背側の生地の表面に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、指の通気性を確保するために、前記のゴム弾性を有する材料は、前記指部の指背側の一部を覆っており、前記のゴム弾性を有する材料とは多数の突設である場合を含んでいる、請求項9記載の運動用手袋。
  11. 前記の手袋本体の指部の指背側の生地の表面に、第二指、第三指、第四指、第五指の第二関節部の背面を覆うようゴム弾性を有する材料が配置されている請求項10記載の運動用手袋。
  12. 前記の手袋本体の中央部の手の平側の生地の表面に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、手の平の通気性を確保するために、前記のゴム弾性を有する材料は、前記中央部の手の平側の一部を覆っており、前記のゴム弾性を有する材料とは多数の突設である場合を含んでいる、請求項11記載の運動用手袋。
  13. 前記の手袋本体の中央部の手の平側の生地の表面に、ゴム弾性を有する材料が指尖球と有鈎骨鈎および豆状骨を覆うように配置されている請求項12に記載の運動用手袋。
  14. 前記の手袋本体の中央部の手の甲側の生地の表面に、ゴム弾性を有する材料が配置されており、手の甲の通気性を確保するために、前記のゴム弾性を有する材料は、前記中央部の手の甲側の一部を覆っており、前記のゴム弾性を有する材料とは多数の突設である場合を含んでいる、請求項13記載の運動用手袋。
  15. 前記の手袋本体の中央部の手の甲側の生地の表面に、指の中手骨と中手骨骨頭と第一中手骨基部および手根骨を覆うようにゴム弾性を有する材料が配置されている請求項14に記載の運動用手袋。
  16. 前記の手袋本体の中央部に手首側から切れ込みが設けられ、切れ込み部を留め合わせるための留め具が装備された請求項15に記載の運動用手袋。
  17. 前記の手袋本体に腕部が追加されており、前記腕部は前記中央部と接続されており、前記腕部が手首の尺骨茎上突起および橈骨茎状突起を覆うように配置されている請求項15に記載の運動用手袋。
  18. 前記の手袋本体の腕部に、手袋本体を手首で固定するための留め具が装備された請求項17に記載の運動用手袋。
  19. 前記の手袋本体の中央部の、手の平側と手の甲側の生地が、編物または弾力伸縮性生地で構成されている請求項18に記載の運動用手袋。
  20. 前記の手袋本体の中央部の、手の平側と手の甲側の生地が、編物または弾力伸縮性生地で構成されている請求項16に記載の運動用手袋。
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