次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、図1における紙面に向かって左側を「前」、紙面に向かって右側を「後」とし、紙面に向かって奥側を「左」、紙面に向かって手前側を「右」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下」とする。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、筐体2内に、給紙部3と、露光装置4と、プロセスカートリッジ5と、定着装置8とを主に備えている。
給紙部3は、筐体2内の下部に設けられ、用紙Sが収容される給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5に供給される。
露光装置4は、筐体2内の上部に配置され、図示しない光源装置や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光装置4では、光源装置から出射される画像データに基づく光ビームが、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から筐体2に対して着脱可能となっている。プロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とを備えている。ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容する収容部74とを主に備えている。
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からの光ビームによって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置されている。トナー像が転写された用紙Sは、定着装置8を通過することでトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Sは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
図2に示すように、定着装置8は、回転体の一例としての加熱ローラ81と、ヒータ82と、無端ベルト83と、加圧ユニット84と、を備えている。そして、加熱ローラ81および加圧ユニット84の一方が他方に向けて付勢されることで、加熱ローラ81と無端ベルト83との間にニップ部NPが形成されている。
なお、以下の説明では、無端ベルト83の幅方向を単に「幅方向」とも称し、ニップ部NPにおける無端ベルト83の移動方向を単に「移動方向」とも称し、加熱ローラ81と加圧ユニット84(詳しくは、後述するニップ形成部材85)が対向する対向方向を単に「対向方向」とも称する。本実施形態では、幅方向は、左右方向に沿い、移動方向は、前後方向に沿い、対向方向は、上下方向に沿っている。
加熱ローラ81は、円筒状の基体を有するローラであり、一例として、アルミニウムなどの金属からなる素管の外周面にフッ素樹脂などからなる離型層を形成することで構成されている。加熱ローラ81は、図示せぬモータから駆動力が入力されることで、図2の反時計回りに回転駆動する。加熱ローラ81は、無端ベルト83の外周面に接触している。
ヒータ82は、加熱ローラ81を加熱するヒータであり、加熱ローラ81の径方向内側に配置されている。ヒータ82としては、例えば、通電によって発光し、輻射熱によって加熱ローラ81を加熱するハロゲンランプを用いることができる。
無端ベルト83は、筒状の部材であり、可撓性を有している。無端ベルト83は、一例として、ステンレス鋼などの金属やポリイミド樹脂などの樹脂などからなる基材の外周面にフッ素樹脂などからなる離型層を形成することで構成されている。無端ベルト83は、加熱ローラ81の回転によって図2の時計回りに従動回転するように設けられている。
なお、無端ベルト83の内周面83Aには、グリスなどの潤滑剤が塗布されている。これにより、無端ベルト83の内周面83Aと加圧ユニット84との摺動性を高めることができるので、無端ベルト83を良好に回転させることができるようになっている。
加圧ユニット84は、ニップ形成部材85と、ニップ形成部材85を支持するホルダ86と、ホルダ86を支持するステイ87とを主に備えている。ニップ形成部材85(詳しくは、後述する加圧パッド88)は、ホルダ86に支持された状態において、ホルダ86の加熱ローラ81側の面よりも加熱ローラ81側に突出している。
ニップ形成部材85は、加熱ローラ81との間で無端ベルト83を挟むことで、加熱ローラ81と無端ベルト83との間にニップ部NPを形成する部材であり、無端ベルト83の内側に位置している。このように加圧ユニット84によってニップ部NPを形成することで、用紙Sは、ニップ部NPを通過する間に加熱および加圧されて、用紙S上にトナー像が定着される。ここで、図2に示すように、本実施形態では、無端ベルト83の外周面と加熱ローラ81とが接触する全ての領域をニップ部NPと称する。つまり、本実施形態では、ニップ部NPは、加圧パッド88からの押圧力が加わらない部分を含む。
ニップ形成部材85は、加熱ローラ81との間で無端ベルト83を挟む加圧パッド88と、加圧パッド88が固定される板状の固定部材89とを備えている。
図3に示すように、加圧パッド88は、直方体であり、幅方向に長い長尺状に形成されている。加圧パッド88は、ゴムなどの弾性材料から形成されていることで弾性変形可能となっている。ここで、加圧パッド88、固定部材89、ホルダ86およびステイ87は、左右対称の形状になっているため、図3では、これらの部材の右側部分を拡大して説明し、左側部分については同様の構造であるため説明を省略する。
固定部材89は、加圧パッド88よりも硬い材料からなる部材、詳しくは板金で構成されている。固定部材89は、加圧パッド88が接着されるベース部89Aと、ベース部89Aの幅方向の端部から幅方向外側に延在する延在部89Bと、延在部89Bの前端、つまり移動方向上流端から移動方向上流に向けて突出する第1凸部C1とを有している。
ベース部89Aは、移動方向における長さが、加圧パッド88よりも長くなっている。加圧パッド88が接着される領域Abは、ベース部89Aの上流端および下流端から離れた位置に設定されている。これにより、固定部材89は、加圧パッド88がベース部89Aに固定された状態において、加圧パッド88よりも移動方向下流側に突出した凸部C(斜線のハッチングで示す部位)を有している。
また、ベース部89Aは、幅方向における長さが、加圧パッド88よりも長くなっている。加圧パッド88が接着される領域Abは、ベース部89Aの幅方向の各端部から離れた位置に設定されている。
延在部89Bは、移動方向における長さがベース部89Aよりも短く、ベース部89Aの下流側の端部に片寄って配置されている。図4に示すように、延在部89Bは、固定部材89がホルダ86に取り付けられた状態において、ホルダ86よりも幅方向外側に突出する第1部分P1を有している。そして、第1部分P1は、第1凸部C1を有している。
第1凸部C1は、後述する付勢部材の一例としての圧縮コイルバネS1の径方向内側の空間内に入り込むことが可能な大きさとなっている。第1凸部C1は、延在部89Bの幅方向外側の端部から離れた位置に配置されている。これにより、第1凸部C1が圧縮コイルバネS1内に入り込んだ状態において、圧縮コイルバネS1が、延在部89Bのうち第1凸部C1を挟んだ幅方向両側の部分に接触するようになっている。
ホルダ86は、樹脂または金属からなっている。ホルダ86は、基部86Aと、上流壁86Bと、規制部材の一例としての下流壁86Cと、規制壁86Dと、第1ステイ係合壁86Eと、第2ステイ係合壁86Fとを有している。基部86Aは、対向方向に直交する支持面FSを有する板状の部位であり、幅方向に長い長尺状に形成されている。支持面FSは、固定部材89を移動方向にスライド移動可能に支持している。
図2に示すように、上流壁86Bは、基部86Aの移動方向の上流端部から、加熱ローラ81へ近づく方向へ突出している。上流壁86Bの移動方向上流側の面は、無端ベルト83の内周面83Aをガイドする曲面となっている。
下流壁86Cは、基部86Aの移動方向の下流端部から、加熱ローラ81へ近づく方向へ突出している。下流壁86Cの移動方向下流側の面は、無端ベルト83の内周面83Aをガイドする曲面となっている。下流壁86Cは、ニップ形成部材85がホルダ86に取り付けられた状態において、加圧パッド88の移動方向下流側に配置されている。
図3に戻って、下流壁86Cは、移動方向上流側に、加圧パッド88と接触する接触面FTと、接触面FTから移動方向下流側に向けて凹む凹部Gとを有している。接触面FTは、移動方向において加圧パッド88と接触する面であり、移動方向に直交するとともに、移動方向上流側を向いている。
接触面FTから上流壁86Bまでの移動方向における間隔は、固定部材89のベース部89Aの移動方向における長さよりも大きくなっている。これにより、ベース部89Aを、上流壁86Bと下流壁86Cとの間を通して支持面FS上に載せる作業を容易にすることが可能となっている。
凹部Gは、固定部材89の凸部Cが入り込むことが可能な溝であり、下流壁86Cを幅方向に貫通するように形成されている。図2および図4に示すように、凹部Gの移動方向における長さL1は、凸部Cの移動方向における長さL2よりも長くなっている。言い換えると、凹部Gの深さは、凸部Cの加圧パッド88からの移動方向における突出量よりも大きくなっている。
また、凹部Gの加熱ローラ81とは反対側の側面は、基部86Aの支持面FSと面一となるように形成されている。なお、凹部Gの加熱ローラ81とは反対側の側面は、支持面FSよりも加熱ローラ81から離れた位置に位置していてもよい。
規制壁86Dは、固定部材89のベース部89Aの幅方向の端部に接触することで固定部材89の幅方向の移動を規制する壁であり、ベース部89Aを幅方向で挟み込むように、基部86Aの支持面FSの幅方向の各端部にそれぞれ形成されている。規制壁86Dは、支持面FSから加熱ローラ81に向けて突出しており、移動方向において、下流壁86Cから離れた位置に配置されている。
規制壁86Dから接触面FTまでの移動方向における間隔は、固定部材89の延在部89Bの移動方向における長さより大きくなっている。これにより、延在部89Bを、規制壁86Dと下流壁86Cとの間を通して支持面FS上に載せる作業を容易にすることが可能となっている。なお、本実施形態では、規制壁86Dを、上流壁86Bに繋げるとともに、上流壁86Bと規制壁86Dの加熱ローラ81側の各面を連続して繋げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、規制壁86Dは、上流壁86Bとは繋がらずに、上流壁86Bから離れていてもよいし、規制壁86Dの加熱ローラ81側の面を、上流壁86Bの加熱ローラ81側の面よりも加熱ローラ81から離れた位置に配置してもよい。
第1ステイ係合壁86Eは、ステイ87の後述する上流側壁87Bの加熱ローラ81側の端部と係合する壁であり、上流側壁87Bを移動方向で挟むように2つ設けられている。各第1ステイ係合壁86Eは、基部86Aからステイ87に向けて突出している。
第2ステイ係合壁86Fは、ステイ87の後述する下流側壁87Cの加熱ローラ81側の端部と係合する壁であり、下流側壁87Cを移動方向で挟むように2つ設けられている。各第2ステイ係合壁86Fは、基部86Aからステイ87に向けて突出している。
ステイ87は、樹脂または金属からなっている。ステイ87は、断面視U形状に形成されており、ベース壁87Aと、上流側壁87Bと、下流側壁87Cとを有している。ベース壁87Aは、対向方向に直交する面を有する板状の部位であり、幅方向に長い長尺状に形成されている。
上流側壁87Bは、ベース壁87Aの上流側の端部からホルダ86に向けて延びている。下流側壁87Cは、ベース壁87Aの下流側の端部からホルダ86に向けて延びている。上流側壁87Bの幅方向の端部には、上流側壁87Bから幅方向外側に延出する上流延出部87Dが形成されている。上流延出部87Dは、対向方向の長さが上流側壁87Bよりも短く、上流側壁87Bのホルダ86側の端部に片寄って配置されている。同様に、下流側壁87Cの幅方向の端部には、下流側壁87Cから幅方向外側に延出する下流延出部87Fが形成されている。下流延出部87Fは、寸法と対向方向の位置が上流延出部87Dと同様となっている。
上流延出部87Dのホルダ86側の端部には、ホルダ86に向けて突出する突出片87Eが形成されている。ここで、上流延出部87Dおよび突出片87Eは、第2部分に相当する。第2部分である上流延出部87Dおよび突出片87Eは、図4および図5に示すように、ステイ87がホルダ86に取り付けられた状態において、ホルダ86よりも幅方向外側に突出している。
突出片87Eは、圧縮コイルバネS1の径方向内側の空間内に入り込む第2凸部C2を有している。第2凸部C2は、ニップ形成部材85およびステイ87がホルダ86に取り付けられた状態において、固定部材89の第1凸部C1と移動方向で対向している。このように第1凸部C1と第2凸部C2が移動方向で対向することで、圧縮コイルバネS1の軸線が移動方向に沿うように配置されている。
圧縮コイルバネS1は、移動方向において、ニップ形成部材85をホルダ86の接触面FTに向けて付勢するバネであり、ホルダ86の幅方向外側に配置されている。圧縮コイルバネS1は、一端が固定部材89の延在部89Bに接触し、他端がステイ87の突出片87Eに接触している。圧縮コイルバネS1は、固定部材89の幅方向における両端に1つずつ設けられている。そして、圧縮コイルバネS1は、固定部材89とステイ87との間に縮められた状態で配置されることで、固定部材89を移動方向の下流側に付勢する。
図5に示すように、ステイ87の幅方向の各端部には、無端ベルト83の内周面83Aをガイドするサイドガイド90が1つずつ設けられている。サイドガイド90は、円板状のベース部91と、ベース部91から幅方向内側に向けて突出する筒状の内周ガイド部92と、ステイ87の各延出部87D,87Fの端部を支持する2つのステイ支持部93,94とを有している。
ベース部91は、無端ベルト83の幅方向の端部と接触して、無端ベルト83の幅方向の移動を規制する面91Aを有している。内周ガイド部92は、無端ベルト83の内周面83Aをガイドする曲面状のガイド面92Aを有している。ステイ支持部93,94は、矩形の筒状に形成されており、内周ガイド部92の内側に配置されている。ステイ支持部93,94は、ベース部91から幅方向内側に突出している。
ステイ支持部93,94のベース部91からの突出量は、内周ガイド部92のベース部91からの突出量よりも小さくなっている。詳しくは、ステイ87の各延出部87D,87Fがステイ支持部93,94に嵌め込まれた状態において、圧縮コイルバネS1が内周ガイド部92によって囲われるように、ステイ支持部93,94の突出量と内周ガイド部92の突出量が設定されている(図6参照)。言い換えると、図6に示すように、ステイ87にサイドガイド90が取り付けられた状態において、圧縮コイルバネS1が、無端ベルト83の幅方向において、サイドガイド90と重なる位置で、かつ、サイドガイド90の内周ガイド部92よりも無端ベルト83の内側に配置されている。
次に、本実施形態に係る定着装置8の作用効果について説明する。
図2に示すように、加熱ローラ81とニップ形成部材85との間で無端ベルト83を挟んでいるニップ状態において、圧縮コイルバネS1によってニップ形成部材85が下流壁86Cに向けて付勢されることで、ニップ形成部材85が接触面FTに接触し、移動方向下流側へのニップ形成部材85の移動が規制される。また、図7に示すように、加熱ローラ81とニップ形成部材85との間で無端ベルト83を挟まないニップリリース状態においても、圧縮コイルバネS1によってニップ形成部材85が下流壁86Cに向けて付勢されるので、ニップ状態と同様に、ニップ形成部材85が接触面FTに接触し、移動方向下流側へのニップ形成部材85の移動が規制される。そのため、ニップ状態・ニップリリース状態が繰り返されたとしても、ニップ形成部材85のホルダ86に対する位置を一定に保つことができるので、ニップ部NPの位置を安定させることができる。また、ニップ形成部材85の製造誤差、例えば加圧パッド88を固定部材89へ接着させる際の取付誤差が生じたとしても、圧縮コイルバネS1の付勢力によって加圧パッド88が接触面FTに接触するので、加圧パッド88のホルダ86に対する位置を一定に保つことができ、ニップ部NPの位置を安定させることができる。
以上、本実施形態によれば、前述した効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
圧縮コイルバネS1によってニップ形成部材85を移動方向の下流側の下流壁86Cに向けて付勢するので、ニップ状態において無端ベルト83との摩擦によってニップ形成部材85が圧縮コイルバネS1の付勢力に抗して動くのを抑えることができる。
圧縮コイルバネS1によって加圧パッド88よりも硬い固定部材89を付勢するので、加圧パッド88の位置、すなわち、ニップ部NPの位置をより安定させることができる。
固定部材89の凸部Cが下流壁86Cに形成された凹部G内に入り込んでいるので、ニップ形成部材85がホルダ86から外れるのを抑えることができる。
凹部Gの移動方向における長さを凸部Cの移動方向における長さよりも長くすることで、凸部Cの先端が凹部Gの底面に接触しないので、圧縮コイルバネS1の付勢力を、加圧パッド88を接触面FTに押し付ける力として効率よく利用することができる。
圧縮コイルバネS1をホルダ86とは別部材であるステイ87で支持するので、ニップ形成部材85をホルダ86の下流壁86Cに向けて良好に付勢することができる。
圧縮コイルバネS1がホルダ86の幅方向外側に位置するので、圧縮コイルバネS1を取り付ける作業を容易に行うことができる。
圧縮コイルバネS1の径方向内側の空間内に入り込む第1凸部C1および第2凸部C2を設けたので、固定部材89またはステイ87から圧縮コイルバネS1が外れることが抑制され、各凸部C1,C2によって圧縮コイルバネS1を良好に保持することができる。
圧縮コイルバネS1が、幅方向においてサイドガイド90と重なる位置に配置されているので、圧縮コイルバネS1をサイドガイド90によって保護することができる。
圧縮コイルバネS1が固定部材89の幅方向における両端に設けられているので、両端の圧縮コイルバネS1によって固定部材89をバランスよく付勢することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、付勢部材として圧縮コイルバネS1を例示したが、本発明はこれに限定されず、付勢部材は、耐熱ゴムや圧縮コイルバネ以外のバネであってもよい。
付勢部材は、例えば、図8(a)に示すような板バネS2であってもよい。具体的に、この形態では、付勢部材として板バネS2を利用すべく、前記実施形態とは多少構造が異なる固定部材289およびステイ287を備えている。
固定部材289は、前記実施形態と同様のベース部89Aと、前記実施形態の延在部89Bとは多少構造が異なる延在部89Cとを有している。延在部89Cには、前記実施形態の第1凸部C1を設ける代わりに、板バネS2と係合する第1係合孔H1が形成されている。
ステイ287は、前記実施形態における突出片87Eを有さない点と、前記実施形態の下流延出部87Fとは多少構造が異なる下流延出部87Hを有する点で、前記実施形態とは異なっている。下流延出部87Hには、板バネS2と係合する第2係合孔H2が形成されている。
板バネS2は、対向方向に延びるベース部S23と、ベース部S23の加熱ローラ81側の端部から移動方向上流側に向けて延びる第1バネ脚部S21と、ベース部S23の加熱ローラ81とは反対側の端部から移動方向上流側に向けて延びる第2バネ脚部S22とを有している。各バネ脚部S21,S22の先端部は、互いに反対方向を向くように屈曲されている。
図8(b)に示すように、第1バネ脚部S21の屈曲した先端部は、固定部材289の第1係合孔H1に係合し、第2バネ脚部S22の屈曲した先端部は、ステイ287の第2係合孔H2に係合している。特に、第1バネ脚部S21の先端部は、第1係合孔H1の移動方向下流側の縁に係合して、固定部材289を移動方向下流側に向けて付勢している。そのため、この形態でも、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図9に示すように、付勢部材は、引張バネの一例としての引張コイルバネS3であってもよい。具体的に、この形態では、付勢部材として引張コイルバネS3を利用すべく、前記実施形態とは多少構造が異なる固定部材389およびステイ387を備えている。
固定部材389は、前記実施形態と同様のベース部89Aと、前記実施形態の延在部89Bとは多少構造が異なる延在部89Dとを有している。延在部89Dは、ベース部89Aの上流側の端部に片寄って配置される点と、引張コイルバネS3の一端部が係合する第1係合孔H11を有する点で前記実施形態とは異なっている。なお、図9では、便宜上、ホルダ86の図示は省略しているが、ホルダ86の構造としては、例えば、延在部89Dの位置に応じて規制壁86Dの位置を下流側にずらした構造(規制壁86Dを上流壁86Bから離した構造)とすればよい。
ステイ387は、前記実施形態のように上流延出部87Dに突出片87Eを設ける代わりに、下流延出部87Fに突出片87Jを設けた点で、前記実施形態とは異なっている。突出片87Jは、引張コイルバネS3の他端部が係合する第2係合孔H12を有している。この構造でも、引張コイルバネS3によって、固定部材389が移動方向下流側に付勢されるので、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図10(a),(b)に示すように、付勢部材は、固定部材489と一体に形成されたバネ状部S4であってもよい。具体的に、この形態では、バネ状部S4が一体に形成された固定部材489を利用すべく、前記実施形態とは多少構造が異なるホルダ486を備えている。
固定部材489は、前記実施形態と略同様のベース部89Aと、ベース部89Aの幅方向の端部に接続されるバネ状部S4とを備えている。
ベース部89Aは、加圧パッド88が固定される固定面FFを有している。固定面FFは、矩形のベース部89Aの加熱ローラ81側の面である。
バネ状部S4は、弾性変形可能な変形部S41と、変形部S41の移動方向下流側に位置する接続部S42と、変形部S41の移動方向上流側に位置する接触部S43とを有している。変形部S41は、断面視V形状に屈曲された板バネであり、移動方向に変形可能となっている。
変形部S41は、加圧パッド88よりも加熱ローラ81から離れた位置に位置している。言い換えると、変形部S41は、接続部S42から加圧パッド88とは反対側に向けて突出している。
接続部S42は、変形部S41から移動方向下流側に延びた後、幅方向内側に延びて固定面FFを有するベース部89Aに接続されている。接続部S42の移動方向下流側の端部は、ベース部89Aの移動方向下流側の端部とともにホルダ486の凹部Gに入り込んでいる。接触部S43は、変形部S41から移動方向上流側に延びてホルダ486と接触している。
ホルダ486は、前記実施形態における規制壁86Dを有さない点と、前記実施形態とは多少構造が異なる基部486Aおよび上流壁486Bを備える点で、前記実施形態とは異なっている。基部486Aは、変形部S41が入り込む開口部86Gを有している。開口部86Gは、基部486Aを対向方向に貫通するとともに、幅方向外側に開口している。
上流壁486Bは、バネ状部S4の接触部S43と係合する係合凹部86Hを有している。係合凹部86Hは、移動方向下流側および幅方向外側に向けて開口している。係合凹部86Hは、ニップ形成部材85から加熱ローラ81に向かう方向におけるバネ状部S4の移動を規制する第2規制面F2を有している。
なお、この形態では、接続部S42が凹部Gに入り込んでいるため、凹部Gも、ニップ形成部材85から加熱ローラ81に向かう方向におけるバネ状部S4の移動を規制する第2規制面F2を有している。また、図10(c)に示すように、係合凹部86Hは、バネ状部S4の幅方向内側への移動を規制する第1規制面F1を有している。なお、この形態では、第1規制面F1を係合凹部86Hに設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば開口部86Gに第1規制面を設けてもよい。
この形態によれば、以下の効果を得ることができる。
変形部S41が加圧パッド88よりも加熱ローラ81から離れた位置に位置するので、例えば変形部を加圧パッド側に突出させる構造に比べ、変形部S41が無端ベルト83に接触するのを抑えることができる。
第1規制面F1によってバネ状部S4の幅方向内側への移動を規制することができるので、固定部材489をホルダ486に対して幅方向に位置決めすることができる。
ホルダ486がバネ状部S4の接触部S43と係合する係合凹部86Hを有しているので、バネ状部S4を変形させつつ接触部S43を係合凹部86H内に入れるだけで、固定部材489をホルダ486に簡単に組み付けることができる。
第2規制面F2によってニップ形成部材85から加熱ローラ81に向かう方向におけるバネ状部S4の移動を規制することができるので、固定部材489がホルダ486から外れるのを抑制することができる。
前記実施形態では、定着装置8が1つのニップ形成部材85を備えていたが、本発明はこれに限定されるものではない。定着装置は、ニップ形成部材を2つ備えていてもよい。
例えば、図11に示すように、定着装置8は、前記実施形態と略同様の構成となるニップ形成部材85とは別の第2ニップ形成部材Xを備えていてもよい。以下に、図11の形態を詳細に説明する。
図11に示す形態において、定着装置8は、第2ニップ形成部材Xと、付勢部材および第2付勢部材の一例としての板バネS5と、前記実施形態とは多少構造の異なるホルダ186と、を備えている。
第2ニップ形成部材Xは、加熱ローラ81との間で無端ベルト83を挟むことで、加熱ローラ81と無端ベルト83との間に上流ニップ部NPuを形成する部材であり、無端ベルト83の内側に位置している。第2ニップ形成部材Xは、ニップ形成部材85に対して移動方向上流に位置している。ニップ形成部材85は、加熱ローラ81との間で無端ベルト83を挟むことで、加熱ローラ81と無端ベルト83との間に下流ニップ部NPdを形成している。なお、本実施形態では、第2ニップ形成部材Xは、移動方向においてニップ形成部材85から離れて配置されている。このため、上流ニップ部NPuと下流ニップ部NPdとの間には、加圧ユニット84からの圧力が直接作用しない中間ニップ部NPiが存在する。この中間ニップ部NPiでは、無端ベルト83は加熱ローラ81に接触するものの、加熱ローラ81との間で無端ベルト83を挟む部材が存在しないため、圧力はほとんど加わらない。従って、用紙Sは、加熱ローラ81によって加熱されつつ、ほぼ加圧されることなく中間ニップ部NPiを通過する。本実施形態では、上流ニップ部NPuの上流端から下流ニップ部NPdの下流端までの領域、即ち、無端ベルト83の外周面と加熱ローラ81とが接触する全ての領域をニップ部NPと称する。
第2ニップ形成部材Xは、加熱ローラ81との間で無端ベルト83を挟む第2加圧パッドYと、第2加圧パッドYが固定される板状の第2固定部材Zとを備えている。第2加圧パッドYは、前記実施形態の加圧パッド88と略同様に構成されている。
第2固定部材Zは、前記実施形態の固定部材89と略同様に構成されている。具体的には、図12に示すように、第2固定部材Zは、固定部材89の凸部C、ベース部89Aおよび延在部89Bと略同様の凸部CA、ベース部ZAおよび延在部ZBを有している。なお、第2固定部材Zの延在部ZBは、ベース部ZAの上流側の端部に片寄って配置されている。
ホルダ186は、前記実施形態とは多少構造の異なる上流壁186Bおよび基部186Aを有している。上流壁186Bは、第2規制部材の一例である。
上流壁186Bは、移動方向下流側に、第2加圧パッドYと接触する接触面FTAと、接触面FTAから移動方向上流側に向けて凹む凹部GAとを有している。接触面FTAは、移動方向において第2加圧パッドYと接触する面であり、移動方向に直交するとともに、移動方向下流側を向いている。
凹部GAは、第2固定部材Zの凸部CAが入り込むことが可能な溝であり、上流壁186Bを幅方向に貫通するように形成されている。凹部GAの深さと凸部Cの移動方向における突出量との関係は、凹部Gと凸部Cの関係と同じ関係となっている。
基部186Aは、固定部材89および第2固定部材Zを移動方向にスライド移動可能に支持する支持面FSを有している。基部186Aは、幅方向の端面から凹む凹部CPと、凹部CPに配置され、幅方向に突出する突出部PPと、を有している。
凹部CP内の空間は、板バネS5が配置されるスペースとなっている。突出部PPは、板バネS5が上方に移動するのを規制するための部位である。
板バネS5は、金属または樹脂からなる。板バネS5は、ベース部S51と、第1アーム部S52と、第2アーム部S53と、を有している。ベース部S51は、2つのアーム部S52,53を連結するための部位である。ベース部S51は、突出部PPの下に配置される。
第1アーム部S52は、固定部材89の延在部89Bと係合する部位である。第1アーム部S52は、ベース部S51の移動方向下流側の端から、移動方向下流側および上方に向けてベース部S51に対して斜めに延びている。
第2アーム部S53は、第2固定部材Zの延在部ZBと係合する部位である。第2アーム部S53は、ベース部S51の移動方向上流側の端から、移動方向上流側および上方に向けてベース部S51に対して斜めに延びている。
図13に示すように、板バネS5は、固定部材89の延在部89Bと第2固定部材Zの延在部ZBとの間に、押し縮められた状態で配置されている。これにより、板バネS5は、移動方向において、固定部材89を下流壁86Cに向けて付勢するとともに、第2固定部材Zを上流壁186Bに向けて付勢している。つまり、この形態では、固定部材89を付勢する付勢部材と、第2固定部材Zを付勢する第2付勢部材とが、1つの板バネS5として一体に構成されている。
なお、板バネS5は、固定部材89の延在部89Bと第2固定部材Zの延在部ZBとの間で押し縮められている際には、自身の復帰力により、上方に移動しようとする。しかし、板バネS5のベース部S51が突出部PPに接触することで、板バネS5の上方への移動が規制されるので、板バネS5が固定部材89および第2固定部材Zから外れることが抑制されている。
この形態では、図11に示すように、加熱ローラ81と各ニップ形成部材85,Xとの間で無端ベルト83を挟んでいるニップ状態において、板バネS5によって各固定部材89,Zが各壁86C,186Bに向けて付勢されることで、各加圧パッド88,Yが各壁86C,186Bに接触し、各ニップ形成部材85,Xの移動が規制される。また、加熱ローラ81と各ニップ形成部材85,Xとの間で無端ベルト83を挟まないニップリリース状態においても、同様に、各加圧パッド88,Yが各壁86C,186Bに接触し、各ニップ形成部材85,Xの移動が規制される。そのため、ニップ状態・ニップリリース状態が繰り返されたとしても、各ニップ形成部材85,Xのホルダ186に対する位置を一定に保つことができるので、上流ニップ部NPuおよび下流ニップ部NPdの位置、ひいては、ニップ部NP全体の位置を安定させることができる。また、各ニップ形成部材85,Xの製造誤差、例えば各加圧パッド88,Yを各固定部材89,Zへ接着させる際の取付誤差が生じたとしても、板バネS5の付勢力によって各加圧パッド88,Yが各壁86C,186Bに接触するので、各加圧パッド88,Yのホルダ186に対する位置を一定に保つことができ、ニップ部NPの位置を安定させることができる。
また、付勢部材および第2付勢部材を1つの板バネS5として一体に構成したので、部品点数を削減して、コストの低下を図ることができる。
なお、付勢部材および第2付勢部材を一体化する構成は、図11の形態に限らない。例えば、付勢部材および第2付勢部材を、図14および図15に示すような板バネS6として一体に構成してもよい。
具体的に、板バネS6は、金属または樹脂からなる。板バネS6は、ベース部S61と、第1バネ部S62と、第2バネ部S63と、固定部S64と、を有している。ベース部S61は、2つのバネ部S62,S63を連結するための部位である。ベース部S61は、突出部PPの下に配置される。
第1バネ部S62は、固定部材89を下流壁86Cに付勢する部位である。第1バネ部S62は、下方に開口する断面視U形状に形成されている。第1バネ部S62は、ベース部S61の下流端から上方に延びた後、円弧状に湾曲して下方に延びている。第1バネ部S62のうち下流側に配置される部位は、ベース部S61よりも下方に延びている。第1バネ部S62は、移動方向に押し縮められた状態で、固定部材89と突出部PPとの間に配置される。
第2バネ部S63は、第2固定部材Zを上流壁186Bに付勢する部位である。第2バネ部S63は、下方に開口する断面視U形状に形成されている。第2バネ部S63は、ベース部S61の上流端から上方に延びた後、円弧状に湾曲して下方に延びている。第2バネ部S63は、移動方向に押し縮められた状態で、第2固定部材Zと突出部PPとの間に配置される。
固定部S64は、ホルダ186に固定される部位である。固定部S64は、第1バネ部S62の下端から下流側に突出する。下流壁86Cは、固定部S64が嵌合される凹部CP1を有している。この形態でも、板バネS6によって、ニップ形成部材85を下流壁86Cに向けて付勢し、かつ、第2ニップ形成部材Xを上流壁186Bに向けて付勢することができる。
また、図16または図17に示すような圧縮コイルバネS7を、固定部材89と第2固定部材Zとの間に縮めた状態で配置してもよい。この場合であっても、圧縮コイルバネS7によって、ニップ形成部材85を下流壁86Cに向けて付勢し、かつ、第2ニップ形成部材Xを上流壁186Bに向けて付勢することができる。なお、この形態では、前述した突出部PPは不要となるので、ホルダ186の構造を、突出部PPを有さない構造とすればよい。また、各固定部材89,Zの間で圧縮コイルバネS7を保持させるために、各固定部材89,Zに、圧縮コイルバネS7の径方向内側の空間内に入り込む凸部C3,C4を設ければよい。
図11~図17の形態では、2つのニップ形成部材85,Xを互いに離れる方向に付勢したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図18(a),(b)に示すように、2つのニップ形成部材585,X1を互いに近づく方向に付勢してもよい。
具体的に、この形態では、ニップ形成部材585は、図11の形態と同様の加圧パッド88と、図11の形態とは多少構造の異なる固定部材589と、を備えている。固定部材589は、図11の形態と略同様のベース部89Aおよび延在部89Bを備えるが、延在部89Bがベース部89Aの上流側の端部に片寄って配置される点で図11の形態とは異なっている。
第2ニップ形成部材X1は、図11の形態と同様の第2加圧パッドYと、図11の形態とは多少構造の異なる第2固定部材Z1と、を備えている。第2固定部材Z1は、図11の形態と略同様のベース部ZAおよび延在部ZBを備えるが、延在部ZBがベース部ZAの下流側の端部に片寄って配置される点で図11の形態とは異なっている。
突出部PP1は、ホルダ186の支持面FSから上に突出しており、ホルダ186の幅方向の一端から他端にわたって延びている。突出部PP1は、固定部材589の上流端が入り込む凹部GBと、第2固定部材Z1の下流端が入り込む凹部GCと、を有する。加圧パッド88が突出部PP1に接触した状態において、固定部材589の上流端が凹部GBの底から離間するように、固定部材589に対して加圧パッド88が配置されている。また、第2加圧パッドYが突出部PP1に接触した状態において、第2固定部材Z1の下流端が凹部GCの底から離間するように、第2固定部材Z1に対して第2加圧パッドYが配置されている。
2つのニップ形成部材585,X1は、板バネS8によって、突出部PP1に付勢されている。板バネS8は、ベース部S81と、第1バネ部S82と、第2バネ部S83と、を有する。
ベース部S81は、2つのバネ部S82,S83を連結するための部位である。ベース部S81は、移動方向に延びる長尺状の部分と、長尺状の部分の下流端から下流側および上方に向けて斜めに延びる部分と、長尺状の部分の上流端から上流側および上方に向けて斜めに延びる部分と、を有する。ベース部S81は、突出部PP1の下に配置されている。
第1バネ部S82は、固定部材589を突出部PP1に付勢する部位である。第1バネ部S82は、下方に開口する断面視U形状に形成されている。第1バネ部S82は、ベース部S81の下流端から上方に延びた後、円弧状に湾曲して下方に延びている。第1バネ部S82は、移動方向に押し縮められた状態で、固定部材589と下流壁86Cとの間に配置される。
第2バネ部S83は、第2固定部材Z1を突出部PP1に付勢する部位である。第2バネ部S83は、下方に開口する断面視U形状に形成されている。第2バネ部S83は、ベース部S81の上流端から上方に延びた後、円弧状に湾曲して下方に延びている。第2バネ部S83は、移動方向に押し縮められた状態で、第2固定部材Z1と上流壁186Bとの間に配置される。この形態でも、2つのニップ形成部材585,X1を突出部PP1に付勢することで、各加圧パッド88,Yを突出部PP1に接触させることができるので、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、2つのニップ形成部材585,X1を突出部PP1に付勢するための部材は、前述した板バネS8に限られない。例えば、図19(a),(b)に示す引張コイルバネS9によって、2つのニップ形成部材685,X2を突出部PP1に付勢してもよい。
具体的に、この形態では、ニップ形成部材685は、図18の形態と同様の加圧パッド88と、図18の形態とは多少構造の異なる固定部材689と、を備えている。固定部材689は、図18の形態と略同様のベース部89Aと、第1延在部689Bと、第2延在部689Cと、を有する。
第1延在部689Bは、引張コイルバネS9の一端が係合する部位である。第1延在部689Bは、ベース部89Aの幅方向の端部から突出する。
第2延在部689Cは、第1延在部689Bから引張コイルバネS9の一端が外れるのを抑制する部位である。第2延在部689Cは、第1延在部689Bの先端から上流側および下流側に突出する。
第2ニップ形成部材X2は、図18の形態と同様の第2加圧パッドYと、図18の形態とは多少構造の異なる第2固定部材Z2と、を備えている。第2固定部材Z2は、図12の形態と略同様のベース部ZAと、第1延在部Z21と、第2延在部Z22と、を有する。第1延在部Z21および第2延在部Z22は、固定部材689の第1延在部689Bおよび第2延在部689Cと略同じ構造となっている。つまり、第1延在部Z21には、引張コイルバネS9の他端が係合され、第2延在部Z22は、第1延在部Z21から引張コイルバネS9の他端が外れるのを抑制する。この形態でも、2つのニップ形成部材685,X2を突出部PP1に付勢することができる。
また、図20に示す板バネS10によって、2つのニップ形成部材785,X3を突出部PP1に付勢してもよい。
具体的に、この形態では、ニップ形成部材785は、図19の形態と同様の加圧パッド88と、図19の形態とは多少構造の異なる固定部材789と、を備えている。固定部材789は、図19の形態と略同様のベース部89A、第1延在部689Bおよび第2延在部689C(図示略)を備えるが、第1延在部689Bがベース部89Aの上流側の端部に片寄って配置される点で図19の形態とは異なっている。
第2ニップ形成部材X3は、図19の形態と同様の第2加圧パッドYと、図19の形態とは多少構造の異なる第2固定部材Z3と、を備えている。第2固定部材Z3は、図19の形態と略同様のベース部ZA、第1延在部Z21および第2延在部Z22(図示略)を備えるが、第1延在部Z21がベース部ZAの下流側の端部に片寄って配置される点で図19の形態とは異なっている。
板バネS10は、断面視略U形状の板バネである。板バネS10の一端部は、固定部材789の第1延在部689Bの下流端に係合し、他端部は、第2固定部材Z3の第1延在部Z21の上流端に係合する。この形態でも、2つのニップ形成部材785,X3を突出部PP1に付勢することができる。
また、図21(a),(b)に示す板バネS11によって、2つのニップ形成部材885,X1の両方を下流側に付勢してもよい。具体的に、この形態では、図3の形態と多少構造の異なるニップ形成部材885と、図19の形態と略同様の第2ニップ形成部材X1とが、板バネS11によって下流側に付勢されている。
ニップ形成部材885は、図3の形態と同様の加圧パッド88と、図3の形態とは多少構造の異なる固定部材889と、を備えている。固定部材889は、図3の形態と略同様のベース部89Aおよび延在部89Bを有し、図3の形態に対して第1凸部C1を有さない点で異なっている。なお、固定部材889の延在部89Bは、幅方向において、第2固定部材Z1の延在部ZBとは異なる位置に位置する。
突出部PP2は、図18の突出部PP1と同様に幅方向に長尺状に形成されているが、幅方向の端部に切欠PP21が形成されている点で、図18の突出部PP1とは異なっている。なお、この切欠PP21は、板バネS11の後述するベース部S111との干渉を避けるための切欠きである。
また、突出部PP2は、図18の形態と略同様の凹部GCを有しているが、図18の形態に対して凹部GBを有さない点で異なっている。板バネS11は、ベース部S111と、第1バネ部S112と、第2バネ部S113と、を有する。
第1バネ部S112は、固定部材889を下流壁86Cに向けて付勢するための部位である。第1バネ部S112は、上方に開口する断面視U形状に形成されている。第1バネ部S112は、移動方向に縮められた状態で、突出部PP2と固定部材889の延在部89Bとの間に配置される。
第2バネ部S113は、第2固定部材Z1を突出部PP2に向けて付勢するための部位である。第2バネ部S113は、上方に開口する断面視U形状に形成されている。第2バネ部S113は、移動方向に縮められた状態で、上流壁186Bと第2固定部材Z1の延在部ZBとの間に配置される。
ベース部S111は、各バネ部S112,S113を連結するための部位である。ベース部S111は、第2バネ部S113から下流側に延びた後、加圧パッド88とは反対側に向けて幅方向に沿って延び、その後、上流側に延びて第1バネ部S112に連結されている。
この形態によれば、2つのニップ形成部材885,X1を下流壁86Cや突出部PP2に付勢することで、各加圧パッド88,Yを下流壁86Cや突出部PP2に接触させることができるので、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、この形態では、2つのニップ形成部材885,X1をともに下流側に付勢するので、無端ベルト83との摩擦によってニップ形成部材885,X1が板バネS11の付勢力に抗して動くのを抑えることができる。
また、図22(a),(b)に示す板バネS12によって、2つのニップ形成部材985,X4の両方を下流側に付勢してもよい。
具体的に、この形態では、ニップ形成部材985は、図21の形態と同様の加圧パッド88と、図21の形態とは多少構造の異なる固定部材989と、を備えている。固定部材989は、図21の形態と略同様のベース部89Aと、ベース部89Aの幅方向の端部から上流側に延びる延在部989Bと、を有する。延在部989Bの上流端には、切欠989Cが形成されている。
第2ニップ形成部材X4は、図21の形態と略同様の第2加圧パッドYと、図21の形態とは多少構造の異なる第2固定部材Z4と、を備えている。第2固定部材Z4は、図21の形態と略同様のベース部ZAを有している。ベース部ZAの幅方向の端部における上流端には、切欠Z41が形成されている。第2固定部材Z4の切欠Z41は、幅方向において、固定部材989の切欠989Cと第2加圧パッドYとの間に配置されている。
第2固定部材Z4は、固定部材989よりも下方に配置されている。詳しくは、ホルダ186は、固定部材989を移動方向に移動可能に支持する第1支持面FS1と、第2固定部材Z4を移動方向に移動可能に支持する第2支持面FS2と、を有する。第1支持面FS1は、第2支持面FS2よりも上に位置している。
板バネS12は、ベース部S121と、第1バネ部S122と、第2バネ部S123と、を有する。
第1バネ部S122は、固定部材989を下流壁86Cに向けて付勢するための部位である。第1バネ部S122は、上方に開口する断面視U形状に形成されている。第1バネ部S122は、移動方向に縮められた状態で、上流壁186Bと固定部材989の延在部989B(切欠989C)との間に配置される。
第2バネ部S123は、第2固定部材Z4を図21と同様の突出部PP2に向けて付勢するための部位である。なお、この形態において、突出部PP2の切欠PP21は、固定部材989の延在部989Bとの干渉を避けるための切欠として形成されている。第2バネ部S123は、上方に開口する断面視U形状に形成されている。第2バネ部S123は、移動方向に縮められた状態で、上流壁186Bと第2固定部材Z4(切欠Z41)との間に配置される。
ベース部S121は、各バネ部S122,S123を連結するための部位である。ベース部S121は、各バネ部S122,S123の上端同士を連結している。
この形態でも、2つのニップ形成部材885,X1を下流壁86Cや突出部PP2に付勢することができる。
前記実施形態では、2つの付勢部材によって固定部材の両端を付勢することとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、1つの付勢部材で固定部材の幅方向の中央を付勢してもよい。また、付勢部材と第2付勢部材をそれぞれ別部材として構成してもよい。
前記実施形態では、無端ベルト83の内周面83Aに加圧パッド88を接触させたが、本発明はこれに限定されず、例えば、無端ベルトの内周面と加圧パッドとの間に摺動シートを設けてもよい。
前記実施形態では、規制部材をホルダ86に一体に設けたが、本発明はこれに限定されず、規制部材は、例えばホルダとは別の部材であってもよい。
前記実施形態では、規制部材である下流壁86Cをニップ形成部材85の下流側に配置したが、本発明はこれに限定されず、規制部材をニップ形成部材の上流側に配置してもよい。
前記実施形態では、固定部材89を板状に形成したが、本発明はこれに限定されず、固定部材は、例えば板状でない厚めの部材であってもよい。
前記実施形態では、本発明のニップ部を形成するための構成を定着装置8に適用したが、本発明はこれに限定されず、本発明の構成は、定着装置以外の用紙搬送系にも適用することができる。例えば、搬送ローラと、搬送ローラとの間で用紙を搬送する用紙搬送ベルトを備える用紙搬送系において、用紙搬送ベルト内に本発明の構成を設けてもよい。
前記実施形態では、加圧パッド88を直方体としたが、本発明はこれに限定されず、加圧パッドはどのような形状であってもよい。
前記実施形態では、ヒータ82としてハロゲンランプを例示したが、本発明はこれに限定されず、ヒータは、例えば、カーボンヒータなどであってもよい。
前記実施形態では、回転体としてヒータ82を内蔵した加熱ローラ81を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ヒータによって内周面が加熱される無端状の加熱ベルトであってもよい。また、ヒータを回転体の外部に配置し、回転体の外周面を加熱する外部加熱方式や、IH(Induction Heating)方式でもよい。また、無端ベルトの内部にヒータを配置し、無端ベルトの外周面に接触する回転体を間接的に加熱してもよい。また、回転体と無端ベルトがそれぞれヒータを内蔵していてもよい。
また、本発明のニップ部を形成するための構成は、前記実施形態のような定着装置8に限らず、様々な定着装置に適用することができる。例えば、定着ローラと、定着ローラとの間で定着ニップを形成する加圧ローラと、定着ローラに所定のニップ圧で接触して定着ローラを加熱する加熱ユニットと、を備え、定着ニップにおいて用紙上にトナー像を定着させる定着装置においては、加熱ユニット内に本発明の構成を設けてもよい。詳しくは、加熱ユニットが、無端ベルトと、定着ローラとの間で無端ベルトを挟む加熱部材とを備える場合には、加熱部材を、付勢部材で付勢してもよい。
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。