<組成物>
本発明に係る組成物は、(A)蛍光体、(B)液晶性または結晶性を示し、かつ重合性基を有する化合物を含む。(B)成分は、0~150℃の範囲で液晶性または結晶性を示す。組成物が(B)成分を含有することにより、組成物から、(B)成分がランダム配向した状態で硬化膜を得ることができる。ランダム配向状態で硬化した膜に光が入射すると、入射光が散乱する。結果として、散乱剤を添加したのと同様に、発光強度の増大効果を得ることができる。ランダム配向状態とは、組成物を基板上に塗布したときに、基板面内方向において(B)成分の配向方向が連続的又は不連続に変化しており、少なくとも2以上存在することをいう。ランダム配向状態は、例えば、偏光顕微鏡により観察することができる。
なお、本明細書において組成物に含まれる又は含まれ得る各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で、又は、複数種を組み合わせて使用することができる。
〔1〕(A)蛍光体
組成物は、(A)蛍光体を含む。蛍光体は、蛍光(Fluorescence)または燐光(Phosphorescence)等を発することによって、励起光とは異なる波長の光を発光する部材のことである。蛍光体は、波長480nm以下の光を吸収して、波長400nm~1100nmの光へ波長変換するものが好ましい。蛍光体は、1種のみを使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
蛍光体は、有機蛍光体および無機蛍光体の少なくとも一方を含むことができる。有機蛍光体としては、有機蛍光染料が挙げられる。有機蛍光染料としては、例えば、DCM系色素、クマリン系色素、ペリレン系色素、フタロシアニン系色素、スチルベン系色素、シアニン系色素、ポリフェニレン系色素、キサンテン系色素,ピリジン系色素、オキサジン系色素、クリセン系色素、チオフラビン系色素、ペリレン系色素、ピレン系色素、アントラセン系色素、アクリドン系色素、アクリジン系色素、フルオレン系色素、ターフェニル系色素、エテン系色素、ブタジエン系色素、ヘキサトリエン系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、スチルベン系色素、ジ-およびトリフェニルメタン系色素、チアゾール系色素、チアジン系色素、ナフタルイミド系色素、アントラキノン系色素等が挙げられる。
無機蛍光体としては、半導体粒子が挙げられる。発光性の半導体粒子は、半導体結晶からなる粒子、好ましくは半導体結晶からなるナノ粒子であり、より好ましくは半導体量子ドットである。半導体量子ドットの平均粒径は、例えば0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上15nm以下(例えば2nm以上15nm以下)である。半導体量子ドットの平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて求めることができる。
半導体量子ドットは、例えば、周期表第2族元素、第11族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素及び第16族元素からなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含む半導体材料から構成することができる。
半導体量子ドットを構成し得る半導体材料の具体例は、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の第14族元素と第16族元素との化合物;GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、InGaN、InGaP等の第13族元素と第15族元素との化合物;Ga2O3、Ga2S3、Ga2Se3、Ga2Te3、In2O3、In2S3、In2Se3、In2Te3等の第13族元素と第16族元素との化合物;ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe等の第12族元素と第16族元素との化合物;As2O3、As2S3、As2Se3、As2Te3、Sb2O3、Sb2S3、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2O3、Bi2S3、Bi2Se3、Bi2Te3等の第15族元素と第16族元素との化合物;MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe等の第2族元素と第16族元素との化合物;Si、Ge等の第14族元素、第15族元素又は第16族元素の単体を含む。
半導体量子ドットは、単一の半導体材料からなる単層構造であってもよいし、単一の半導体材料からなる核粒子(コア層)の表面が、これとは異なる1種又は2種以上の半導体材料からなる被覆層(シェル層)によって被覆されたコアシェル構造であってもよい。後者の場合、シェル層を構成する半導体材料としては通常、コア層を構成する半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きいものを用いる。半導体量子ドットは、シェル層を2種以上有していてもよい。半導体量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状又は略球状、棒状、円盤状、不定形等であり得る。
(A)蛍光体の含有量は、組成物の固形分100質量部中、例えば0.1質量部以上50質量部以下であり、好ましくは1質量部以上45質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上40質量部以下である。(A)蛍光体の含有量が過度に小さいと、硬化膜(波長変換膜等)において十分な発光強度が得られにくい傾向にある。(A)蛍光体の含有量が過度に大きいと、硬化膜(波長変換膜等)のパターニング性が低下する傾向にある。本明細書において「組成物の固形分」とは、組成物に含まれる(E)溶剤以外の成分の合計をいう。
〔2〕(B)液晶性または結晶性を示し、かつ重合性基を有する化合物
(B)液晶性または結晶性を示し、かつ重合性基を有する化合物としては、重合性液晶化合物が挙げられる。
重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
重合性液晶化合物は、サーモトロピック液晶でもよいし、リオトロピック液晶でもよい。サーモトロピック液晶は、温度を低下させることにより、液晶性及び結晶性を発現させることができる。リオトロピック液晶は、温度だけでなく溶媒に対する濃度を上昇させることにより、液晶性及び結晶性を発現させることができる。また、重合性液晶化合物は、ネマチック相を示すものであってもよいし、スメクチック相を示すものでもよい。例えば、サーモトロピック液晶は低温において、リオトロピック液晶は高濃度または無溶媒において、高次液晶性または結晶性を示すことができる。
重合性液晶化合物の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善株式会社平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物、特開2010-31223号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-6360号公報および特開2011-207765号公報に記載の重合性液晶化合物が挙げられる。
重合性液晶化合物の具体例としては、下記式(I-1)~式(I-4)、式(II-1)~式(II-4)、式(III-1)~式(III-26)、式(IV-1)~式(IV-26)、式(V-1)~式(V-2)および式(VI-1)~式(VI-6)で表わされる化合物が挙げられる。なお、下記式中、k1およびk2は、それぞれ独立して、2~12の整数を表わす。これらの重合性液晶化合物は、その合成の容易さ、および入手の容易さの点で好ましい。
円盤状の重合性液晶化合物としては、式(W)で表される化合物(以下、重合性液晶(C)ということがある)が挙げられる。
[式(W)中、R
40は、下記式(W-1)~(W-5)を表わす。
X40およびZ40は、炭素数1~12のアルカンジイル基を表わし、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-または-CO-に置き換わっていてもよい。
組成物中で(B)成分が液晶性または結晶性を示す温度は、0~150℃であることが好ましく、10~120℃であることがより好ましく、15~80℃であることがさらに好ましい。硬化膜を形成するときに、加熱工程が不要となり、生産性を向上させることができる。
(B)成分の分子量は、100~1000であることが好ましく、400~800であることがより好ましい。(B)成分が、このような分子量を有することにより、(B)成分は良好な相溶性を示す。
(B)液晶性または結晶性を示し、かつ重合性基を有する化合物の含有量は、組成物の固形分100質量部中、例えば10質量部以上99質量部以下であり、好ましくは30質量部以上95質量部以下である。
〔3〕(C)樹脂
組成物は、(C)樹脂を含有することが好ましい。組成物は、(C)樹脂として1種又は2種以上の樹脂を含有することができる。(C)樹脂は、パターン形状を作り込むことが容易になることから、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性とは、アルカリ化合物の水溶液である現像液に溶解する性質のことをいう。(C)樹脂としては、以下の樹脂[K1]~[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1]:不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種(a)〔以下、「(a)」ともいう。〕と、炭素数2以上4以下の環状エーテル構造及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(b)〔以下、「(b)」ともいう。〕との共重合体、
樹脂[K2]:(a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)〔以下、「(c)」ともいう。〕との共重合体、
樹脂[K3]:(a)と(c)との共重合体、
樹脂[K4]:(a)と(c)との共重合体に(b)を反応させて得られる樹脂、
樹脂[K5]:(b)と(c)との共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂、
樹脂[K6]:(b)と(c)との共重合体に(a)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させて得られる樹脂。
(a)としては、具体的には、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
α-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和(メタ)アクリル酸類等が挙げられる。
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記についても同様である。
(b)は、炭素数2以上4以下の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環(オキソラン環)からなる群より選択される少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、好ましくは、炭素数2以上4以下の環状エーテル構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体である。
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)〔以下、「(b1)」ともいう。〕、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)〔以下、「(b2)」ともいう。〕、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)〔以下、「(b3)」ともいう。〕等が挙げられる。
(b1)としては、不飽和脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1-1)〔以下、「(b1-1)」ともいう。〕、不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1-2)〔以下、「(b1-2)」ともいう。〕が挙げられる。
(b1-1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)は、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。(b2)の好ましい例は、3-メチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタンを含む。
テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)は、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。
(b3)の好ましい例は、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業株式会社製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
(c)の具体例は、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート〔当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」と呼ばれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」と呼ばれることもある。〕、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート〔当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」と呼ばれている。〕、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等
が挙げられる。
中でも、共重合反応性、耐熱性又はパターニング時の現像性等の観点から、(c)は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、スチレン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等が好ましい。
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2モル%以上50モル%以下(より好ましくは10モル%以上45モル%以下)、
(b)に由来する構造単位、特に(b1)に由来する構造単位;50モル%以上98モル%以下(より好ましくは55モル%以上90モル%以下)。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記範囲にあると、保存安定性、現像性、得られるパターンの耐溶剤性に優れる傾向がある。
樹脂[K1]は、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所株式会社化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
具体的には、(a)及び(b)(特に(b1))の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に仕込んで、脱酸素雰囲気下で、攪拌、加熱、保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられる。溶剤としては、各単量体を溶解するものであればよく、後述する(E)溶剤等を用いてもよい。
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;4モル%以上45モル%以下(より好ましくは10モル%以上30モル%以下)、
(b)に由来する構造単位、特に(b1)に由来する構造単位;2モル%以上95モル%以下(より好ましくは5モル%以上80モル%以下)、
(c)に由来する構造単位;1モル%以上65モル%以下(より好ましくは5モル%以上60モル%以下)。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記範囲にあると、保存安定性、現像性、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
樹脂[K2]は、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造することができる。具体的には、(a)、(b)(特に(b1))及び(c)の所定量、重合開始剤及び溶剤を反応容器中に仕込んで、脱酸素雰囲気下で、攪拌、加熱、保温する方法が挙げられる。得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2モル%以上55モル%以下(より好ましくは10モル%以上50モル%以下)、
(c)に由来する構造単位;45モル%以上98モル%以下(より好ましくは50モル%以上90モル%以下)。
樹脂[K3]は、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造することができる。
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2以上4以下の環状エーテル構造、特に(b1)が有するオキシラン環を(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。具体的には、まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、(a)と(c)との共重合体を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5モル%以上50モル%以下(より好ましくは10モル%以上45モル%以下)、
(c)に由来する構造単位;50モル%以上95モル%以下(より好ましくは55モル%以上90モル%以下)。
次に、上記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2以上4以下の環状エーテル構造、特に(b1)が有するオキシラン環を反応させる。具体的には、(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)(特に(b1))、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテル構造との反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、60℃以上130℃以下で、1時間以上10時間以下の反応時間で反応することにより、樹脂[K4]を得ることができる。
(b)の使用量、特に(b1)の使用量は、(a)100モルに対して、5モル以上80モル以下であることが好ましく、より好ましくは10モル以上75モル以下である。この範囲とすることにより、保存安定性、現像性、耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテル構造の反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、(b1-1)がより好ましい。
上記反応触媒の使用量は、(a)、(b)(特に(b1))及び(c)の合計量に対して0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。上記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量に対して0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)(特に(b1))と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)(特に(b1))及び(c)に由来する構造単位の比率は、上記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)に由来する構造単位、特に(b1)に由来する構造単位;5モル%以上95モル%以下(より好ましくは10モル%以上90モル%以下)、
(c)に由来する構造単位;5モル%以上95モル%以下(より好ましくは10モル%以上90モル%以下)。
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)(特に(b1))と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテル構造に、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。上記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)(特に(b1))100モルに対して、5モル以上80モル以下であることが好ましい。環状エーテル構造の反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、(b1-1)がより好ましい。
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。
環状エーテル構造とカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物(ハイミック酸無水物)等が挙げられる。
中でも、(C)樹脂は、連結基を介して分子主鎖に結合するカルボキシル基(-COOH)及び/又はカルボン酸無水物基(-C(=O)-O-C(=O)-)を有する樹脂(B-1)を含むことが好ましい。連結基は、ポリマーの分子主鎖とカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基とを結合させる、直接結合ではない基であり、例えば炭素数1以上の炭化水素基である。該炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状構造を含むことができる。また、該炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。
連結基は、ポリマーの分子主鎖との間で1つの結合を有していてもよいし2以上の結合を有していてもよい。樹脂(B-1)がカルボン酸無水物基を有する場合、連結基は、カルボン酸無水物基との間で2つの結合を有する。
(C)樹脂が樹脂(B-1)を含むことは、組成物中における(A)蛍光体の分散性を高めることに貢献し得る。これは、極性基を有する樹脂はその極性基を介して半導体粒子に配位し得るところ、樹脂(B-1)が有するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基は比較的配位能が高く、この高い配位能に基づく半導体粒子への配位によって(A)蛍光体の分散性を高める効果がより高くなるためであると考えられる。(A)蛍光体の高い分散性は、例えば、波長変換膜等の硬化膜の発光特性の面内均一性を高めることに貢献し得る。
樹脂(B-1)としては、連結基を介して分子主鎖に結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基と、分子主鎖に直接結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基とを有する樹脂(B-1a)、並びに、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基として、連結基を介して分子主鎖に結合する基のみを有する樹脂(B-1b)が挙げられる。
樹脂(B-1a)は、連結基を介して分子主鎖に結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を有する構造単位と、分子主鎖に直接結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を有する構造単位とを含む共重合体であることが好ましい。樹脂(B-1b)は、連結基を介して分子主鎖に結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を有する構造単位と、分子主鎖に直接結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を有しない構造単位とを含む共重合体であることが好ましい。
(C)樹脂は、分子主鎖に直接結合する基のみを有する樹脂(B-2)を含んでいてもよい。
樹脂(B-1a)、樹脂(B-1b)及び樹脂(B-2)は、上記の不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種(a)を単量体として用いることにより調製することができる。(a)として適切な単量体を選択することにより樹脂(B-1a)、樹脂(B-1b)及び樹脂(B-2)のそれぞれを調製することができる。(a)の具体例は上述のとおりであるが、この具体例に限定されるものではない。
連結基を介して分子主鎖に結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を樹脂に導入するために、(a)として、例えば、ビニル安息香酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等のジカルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類等を用いることができる。コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等のジカルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類等の使用は、(A)蛍光体の有機溶剤中における分散性の観点から有利である。
分子主鎖に直接結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を樹脂に導入するために、(a)として、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物等を用いることができる。共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点からは、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
(C)樹脂は、下記〔i〕及び〔ii〕:
〔i〕連結基を介して分子主鎖に結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基と、分子主鎖に直接結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基とを有する樹脂(B-1a)を含む、
〔ii〕カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基として、連結基を介して分子主鎖に結合する基のみを有する樹脂(B-1b)と、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基として、分子主鎖に直接結合する基のみを有する樹脂(B-2)とを含む、
のいずれかを満たすことが好ましい。
上記〔i〕及び〔ii〕のいずれか1つ又は両方を満たすことは、組成物中における(A)蛍光体の分散性を高めることに貢献し得るとともに、組成物のパターニング性の改善に貢献し得る。
上記〔i〕において(C)樹脂は、樹脂(B-1a)のみを含んでいてもよいし、樹脂(B-1a)及び樹脂(B-1b)を含んでいてもよいし、樹脂(B-1a)及び樹脂(B-2)を含んでいてもよい。
(C)樹脂は、樹脂(B-1)からなることが好ましく、樹脂(B-1)からなり、かつ樹脂(B-1a)を含むことがより好ましい。
(C)樹脂が示す酸価のうち、分子主鎖に直接結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基に基づく酸価Xと、連結基を介して分子主鎖に結合するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基に基づく酸価Yとの割合X/Yは、例えば、(0mg-KOH/g以上150mg-KOH/g以下)/(20mg-KOH/g以上150mg-KOH/g以下)であり、好ましくは(40mg-KOH/g以上100mg-KOH/g以下)/(40mg-KOH/g以上120mg-KOH/g以下)であり、より好ましくは(40mg-KOH/g以上80mg-KOH/g以下)/(60mg-KOH/g以上90mg-KOH/g以下)である。割合X/Yが上記範囲内であると、(C)樹脂の分散性及び組成物の現像性(現像速度及びパターニング性)を高め得る。
(C)樹脂の酸価は、例えば20mg-KOH/g以上200mg-KOH/g以下であり、好ましくは40mg-KOH/g以上170mg-KOH/g以下であり、さらに好ましくは60mg-KOH/g以上150mg-KOH/g以下である。(C)樹脂の酸価が上記の範囲にあることにより、現像性と高い分散性とを両立できる。
酸価は、樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いた滴定により求めることができる。
(C)樹脂の溶液酸価は、好ましくは5mg-KOH/g以上180mg-KOH/g以下であり、より好ましくは10mg-KOH/g以上100mg-KOH/g以下であり、さらに好ましくは12mg-KOH/g以上50mg-KOH/g以下である。溶液酸価は、樹脂溶液1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いた滴定により求めることができる。
溶液酸価は、(C)樹脂を所定の溶媒に溶解させて測定した値であり、その溶液の樹脂濃度は例えば10質量%以上50質量%以下である。
(C)樹脂の溶液酸価が前述の範囲にあることで、半導体粒子及び(C)樹脂のいずれもが凝集することなくこれらを混合することができる。
(C)樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3000以上100000以下であり、より好ましくは5000以上50000以下であり、さらに好ましくは5000以上30000以下である。分子量が上記範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高く、得られるパターンの残膜率や硬度も高い傾向にある。(C)樹脂の分子量分布〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕は、好ましくは1.1以上6以下であり、より好ましくは1.2以上4以下である。
(C)樹脂の含有量は、組成物の固形分100質量部中、好ましくは5質量部以上70質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上65質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以上60質量部以下である。(C)樹脂の含有量が、上記範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高い傾向がある。
〔4〕(D)重合開始剤
組成物は、(D)重合開始剤を含むことができる。(D)重合開始剤は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始し得る化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
(D)重合開始剤としては、O-アシルオキシム化合物等のオキシム系化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。(D)重合開始剤は、感度や、パターニング性等を考慮して、2種以上を併用してもよい。(D)重合開始剤は、感度及び所望の線幅を有するパターン形状を精密に作り込むうえで有利であることから、O-アシルオキシム化合物等のオキシム系化合物を含むことが好ましい。
O-アシルオキシム化合物は、下記式(d)で表される構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
このようなO-アシルオキシム化合物としては、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエチルオキシ)フェニルスルファニルフェニル]プロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-[4-(1-メチル-2-メトキシエトキシ)-2-メチルフェニル]-1-(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)メタン-1-イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、同OXE02、同OXE03(以上、BASF社製)、N-1919、NCI-930、NCI-831(以上、ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。これらのO-アシルオキシム化合物は、リソグラフィ性能を向上させ得る点で有利である。
アルキルフェノン化合物は、下記式(d4)で表される部分構造又は下記式(d5)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
式(d4)で表される構造を有する化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)369、同907、同379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
式(d5)で表される構造を有する化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d4)で表される構造を有する化合物が好ましい。
ビイミダゾール化合物としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照。)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照。)、4,4’,5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物又はこれらの混合物が好ましい。
トリアジン化合物としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
さらに(D)重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
(D)重合開始剤としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましい。
(D)重合開始剤の含有量は、(C)樹脂及び(B)成分以外の重合性化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上25質量部以下であり、さらに好ましくは1質量部以上20質量部以下である。(D)重合開始剤の含有量が上記範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるため、波長変換膜等の硬化膜の生産性が向上する傾向にある。
〔5〕重合開始助剤(D1)
組成物は、重合開始助剤(D1)を含むことができる。重合開始助剤(D1)は、(D)重合開始剤によって重合が開始された(B)成分以外の重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、(D)重合開始剤と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。中でも、チオキサントン化合物が好ましい。重合開始助剤(D1)は、2種以上を併用してもよい。
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB-F(保土谷化学工業株式会社製)等の市販品を用いてもよい。
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
重合開始助剤(D1)の含有量は、(C)樹脂及び(B)成分以外の重合性化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。重合開始助剤(D1)の含有量が上記範囲内にあると、波長変換膜等の硬化膜の生産性をさらに向上させ得る。
〔6〕(E)溶剤
組成物は、1種又は2種以上の(E)溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、組成物に含まれる各成分を溶解し得るものであって、重合反応に不活性な溶剤が好ましい。
(E)溶剤としては、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、非ハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、非ハロゲン化芳香族炭化水素溶剤、ニトリル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、およびハロゲン化炭化水素溶剤が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノール等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸2-メチルシクロヘキシル、プロピオン酸シクロヘキシル、酢酸cis-3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、酪酸シクロヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、2-アセチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-アセチルシクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
非ハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。
非ハロゲン化芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。
ニトリル系溶剤としては、アセトニトリル等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソール、メトキシシクロヘキサン等が挙げられる。
エーテルエステル系溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等が挙げられる。
(E)溶剤の含有量は、組成物100質量部中、好ましくは60質量部以上95質量部以下であり、より好ましくは65質量部以上92質量部以下である。言い換えると、組成物の固形分は、好ましくは5質量部以上40質量部以下、より好ましくは8質量部以上35質量部以下である。(E)溶剤の含有量が上記範囲にあると、組成物の塗布性及び塗布時の平坦性が良好になる傾向があり、また波長変換膜等の硬化膜の発光特性が良好となる傾向がある。
〔7〕その他の成分
組成物には、必要に応じて、(B)成分以外の重合性化合物、レベリング剤、酸化防止剤、充填剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、分散剤、有機酸、有機アミン化合物、チオール化合物、硬化剤等の添加剤を1種又は2種以上含有することができる。また、必要に応じて散乱剤を含んでいてもよい。
組成物は、(B)成分以外の重合性化合物(以下、その他の重合性化合物ということがある。)を含んでいてもよい。(B)成分以外の重合性化合物とは、0~150℃において液晶性および結晶性を示さず、重合性基を有する化合物を表す。その他の重合性化合物は、光照射等より(D)重合開始剤から発生する活性ラジカル等によって重合し得る化合物であれば特に限定されず、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。その他の重合性化合物の重量平均分子量は、3000以下であることが好ましい。
中でも、その他の重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物の具体例は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
組成物は、1種又は2種以上のその他の重合性化合物を含有することができる。その他の重合性化合物の含有量は、組成物中の(C)樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以上150質量部以下であり、より好ましくは80質量部以上120質量部以下である。
組成物は、1種又は2種以上のレベリング剤を含むことができる。レベリング剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
組成物の耐熱性及び耐光性を向上させる観点から、組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤は、2種以上を併用してもよい。
充填剤としては、ガラス、シリカ、アルミナ等が挙げられる。(C)樹脂以外の高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル及びポリフロロアルキルアクリレート等が挙げられる。
密着促進剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール等のトリアジン系化合物;等が挙げられる。凝集防止剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
分散剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。ポリアルキレングリコール及びそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物などが使用可能である。分散剤は、1種のみを使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
硬化剤としては、加熱されることによって(C)樹脂中のカルボキシ基と反応して(C)樹脂を架橋することができる化合物、単独で重合して硬化し得る化合物等が挙げられ、エポキシ化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。
散乱剤としては、金属又は金属酸化物の粒子、ガラス粒子等を挙げることができる。
金属酸化物としては、TiO2、SiO2、BaTiO3、ZnO等を挙げることができる。散乱剤の粒子径は、例えば0.03μm以上20μm以下程度であり、好ましくは0.05μm以上1μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上300μm以下である。
上述のとおり、散乱剤は経時的に組成物中で沈降することがある。組成物の保存安定性を高めるという観点から、散乱剤の含有量は、組成物100質量部中、通常0.001質量部以上10質量部以下であり、好ましくは0.001質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.001質量部以上1質量部以下である。組成物は、散乱剤を含有しなくてもよい。
<組成物の調製方法>
組成物は、(A)蛍光体、(B)液晶性または結晶性を示し、かつ重合性基を有する化合物、および必要に応じて使用される他の成分を混合することにより調製することができる。
(A)蛍光体は、例えば、有機配位子が配位している半導体粒子を用意又は調製し、次いで、上記半導体粒子に対して有機配位子の配位量を低減させる配位子低減処理を施してもよい。配位子低減処理は、例えば、半導体粒子に配位している有機配位子を適切な溶剤に抽出させる処理であることができる。
<硬化膜、パターニングされた硬化膜、波長変換膜及び表示装置>
組成物からなる膜(層)を硬化させることによって硬化膜を得ることができる。この際、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等の方法によってパターニングすることによりパターニングされた硬化膜を得ることができる。硬化膜又はパターニングされた硬化膜は、入射する光の波長とは異なる波長の光を出射する波長変換膜(波長変換フィルタ)として好適に用いることができる。波長変換膜は、液晶表示装置、有機EL装置等の表示装置に好適に用いることができる。パターニング方法は、フォトリソグラフィ法であることが好ましい。フォトリソグラフィ法は、組成物を基板に塗布し、乾燥させて組成物層を形成し、フォトマスクを介して該組成物層を露光して、現像する方法である。
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、上記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したもの等を用いることができる。組成物が重合性液晶化合物を含有する場合であっても基板に配向膜は設けなくてもよい。配向膜を設けずに組成物を硬化させることにより、(B)成分がランダム配向した状態で硬化した硬化膜を得ることができる。配向膜を設ける場合は、パターン配向膜とすればよい。パターン配向膜としては、例えば特開2014-170238号公報に記載のものが挙げられる。
フォトリソグラフィ法によるパターニングされた硬化膜の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができ、例えば次のようにして形成することができる。まず、組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、組成物層を得る。塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、(B)成分の液晶性または結晶性が保持される温度であれば特に制限はなく、0℃以上150℃以下であることができ、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。加熱時間は、10秒間以上10分間以下であることが好ましく、30秒間以上5分間以下であることがより好ましい。減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下、20℃以上25℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。組成物層の膜厚は、特に限定されず、所望の波長変換膜等の硬化膜の膜厚に応じて適宜選択することができる。
次に、組成物層は、所望のパターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。露光に用いられる光源としては、250nm以上450nm以下の波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。光源としては、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光には、露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと組成物層が形成された基板との正確な位置合わせをしたりすることができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
露光後の組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に組成物層のパターンが形成される。現像により、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液は、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液であることが好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは0.03質量部以上5質量部以下である。現像液は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。現像方法としては、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等が挙げられる。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。現像後は、水洗することが好ましい。
さらに、得られた組成物層のパターンは、ポストベークされることが好ましい。ポストベーク温度は、60℃以上250℃以下であることが好ましく、110℃以上240℃以下であることがより好ましい。ポストベーク時間は、1分間以上120分間以下であることが好ましく、10分間以上60分間以下であることがより好ましい。ポストベーク後の硬化膜の膜厚は、例えば1μm以上10μm以下であり、好ましくは3μm以上10μm以下である。
このようにして得られる硬化膜は、例えば表示装置や太陽電池の波長変換膜として利用可能である。すなわち本発明は、本発明の組成物が硬化した硬化膜を含む表示装置および太陽電池を包含する。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
実施例および比較例で使用する材料は、以下のようにして準備した。
<(A1)蛍光体>
(1)半導体量子ドットの準備
半導体量子ドットとして、InP(コア)/ZnS(第1シェル)/ZnS(第2シェル)の構造を有するコアシェル型半導体量子ドットINP530〔NN-LABS社製〕を使用した。この半導体量子ドットの表面にはオレイルアミンが配位している。
(2)配位子低減処理
次に、上記の半導体量子ドット(QD)について、次の手順で配位子低減処理を行った。まず、上記(1)で得られたQDを含む分散液1容量部にヘキサン2容量部を加えて希釈した。その後、エタノール30容量部を添加してQDを沈殿させ、遠心分離処理を行った。上澄み液を除去し、ヘキサン3容量部を加えてQDを再分散させた。このような処理(エタノール添加による沈殿→遠心分離→上澄み液除去→ヘキサン添加による再分散)を2回行った。次に再度エタノール添加による沈殿、遠心分離操作の後、クロロホルムをQD(オレイルアミン配位子を含む)1質量部に対して9質量部添加し、(A1)蛍光体として、QD分散液-Aを得た。
<(A2)蛍光体>
有機蛍光染料として、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(東京化成工業株式会社製)を準備した。
<(B)液晶性または結晶性を示し、かつ重合性基を有する化合物>
BASF社製のパリオカラー(登録商標)LC242を準備した。LC242は、下記構造を有するネマチック液晶化合物である。
<液晶性または結晶性を示さない重合性基を有する化合物>
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製のAD-TMP)を準備した。この化合物は、液晶性および結晶性を示さず、重合性基を有する化合物である。
<(C)樹脂>
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)100部を仕込んで窒素置換した。70℃で撹拌しながら、同温度でメチルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)7.6部、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成株式会社製「ファンクリル FA-513M」)5.6部、メタクリル酸(東京化成工業株式会社製)2.7部、コハク酸1-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル](シグマアルドリッチジャパン社製)6.4部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製)2.1部、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)〔PEMP〕(SC有機化学株式会社製)1.4質量部及びPGMEA100部の混合溶液を30分かけて滴下し、同温度で2時間重合反応を行った。反応溶液を室温まで徐冷後、エタノールに滴下し、沈殿物をろ過回収し、40℃の真空乾燥機で乾燥させた。得られた白色粉末20部を、PGMEA40部及びクロロホルム40部の混合溶媒に溶解して、樹脂溶液-aを得た(樹脂濃度:20質量%)。得られた樹脂の重量平均分子量は17000であった(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる標準ポリスチレン換算値)。
<散乱剤>
酸化チタンのナノ粒子(シーアイ化成株式会社製)60部と、(C)樹脂の白色粉末を3部と、PGMEA37部とをサンプル瓶に秤量し、YTZボール(株式会社ニッカトー製の商品名)を加えてペイントシェイカーで3時間撹拌し、YTZボールを取り除くことにより、散乱剤分散液を得た。
<(D)重合開始剤>
BASF社製のアルキルフェノン系重合開始剤であるイルガキュア(登録商標)907を準備した。
<(E)溶剤>
クロロホルムを準備した。
<実施例1-1>
QD分散液-A 40部と樹脂溶液-a 10部とを混合し、120℃で3時間攪拌して、蛍光体分散液を得た。蛍光体分散液に、パリオカラー(登録商標)LC242 46部、イルガキュア(登録商標)907 4部、及びクロロホルム 858部を添加し、30分間攪拌して組成物を得た。組成物の組成を表1に示す。
<比較例1-1>
パリオカラー(登録商標)LC242を、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートに変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして組成物を得た。組成物の組成を表1に示す。
<比較例1-2>
蛍光体分散液に対して、さらに上記散乱剤(PGMEA 63%溶液)を添加したこと以外は、比較例1-1と同様にして組成物を得た。組成物の組成を表1に示す。
<実施例2-1>
4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン 0.5部、パリオカラー(登録商標)LC242 94.5部、イルガキュア(登録商標)907 5部、及びクロロホルム 400部を混合し、30分間攪拌して組成物を得た。組成物の組成を表1に示す。
<比較例2-1>
パリオカラー(登録商標)LC242を、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートに変更したこと以外は、実施例2-1と同様にして組成物を得た。組成物の組成を表1に示す。
<比較例2-2>
さらに上記散乱剤(PGMEA 63%溶液)を添加したこと以外は、比較例2-1と同様にして組成物を得た。組成物の組成を表1に示す。
[評価試験]
(1)組成物の保存安定性評価
各実施例および比較例で得られた組成物を室温にて静置し、組成物に沈降が生じていないか目視で観察した。組成物が調製されてから7日経過の時点で沈降がなく、組成物が透明であった場合を○と評価し、7日経過の時点で沈降があり、組成物が不透明であった場合を×と評価した。結果を表1にまとめた。
(2)硬化膜の発光強度評価
各組成物から硬化膜を作製し、その発光強度を測定した。硬化膜を塗布する際に配向膜は形成しなかった。(B)成分が液晶性を保持する温度で、紫外線を照射し膜を硬化させた。硬化膜は、PDF2シリーズ(株式会社近藤製作所製)のカスタマイズ光源から発せられる446nmの光により励起した。なお、実施例1-1、比較例1-1及び比較例1-2の発光強度は、散乱剤を含まない比較例1-1を基準とし、その相対値を算出した。実施例2-1、比較例2-1及び比較例2-2の発光強度は、散乱剤を含まない比較例2-1を基準とし、その相対値を算出した。結果を表1にまとめた。表1中の各成分の使用量は、質量部である。
表1から明らかなように、(A)蛍光体と、(B)液晶性または結晶性を示し、かつ重合性基を有する化合物とを含む組成物は、散乱剤を含む組成物(比較例1-2、比較例2-2)に比べて保存安定性に優れていた。また、(A)蛍光体と、(B)液晶性または結晶性を示し、かつ重合性基を有する化合物とを含む組成物から得られた硬化膜は、散乱剤を含有しない組成物(比較例1-1、比較例2-1)に比べて、発光強度が向上していた。