JP7209978B2 - 管理装置 - Google Patents
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例えば、事業場内のエネルギー管理は、省エネルギー化に係る評価項目の評価だけを用いれば必要十分な管理が可能である。このエネルギー管理に事業場内の機器の保守管理が加わった場合、機器の寿命に係る評価項目が評価項目に追加される。そして、FMにおける意思決定は、省エネルギー化の実施によって得られる利益、および、機器の保守の実施によって得られる利益を、全ての評価項目の評価結果に基づき特定し、それぞれの利益に基づいて、どちらを実施かを決定する、というプロセスにしたがって行われることになる。
しかしながら、意思決定のプロセスは、長年の経験と勘を頼りに人間によって実施されているのが実状である。
また、FMの自動化については、FMに携わる人員の合理化が得られるシステムでないと導入が進み難く、従来のシステムは、このようなニーズに十分に対応するものではなかった。
図1は、本実施形態に係るFM統合管理システム1の構成を示す図である。
本実施形態において、FM(ファシリティマネジメント)は、事業場構内にある機器や施設、建物などの管理対象の資源(以下、「管理資源2」という)の管理(以下、「資源管理」という)を通じて、経済的又は経営戦略的な利益がより多く得られるように管理資源2を運用することを言う。
機器は、例えば熱源機器や、空調機器、照明機器、セキュリティ機器、防災機器、エレベータ装置、受変電機器、衛生機器、放送機器、電話機器、ネットワーク通信機器、監視装置などである。なお、機器は、1又は複数の機器を含む設備やシステムでもよい。
施設は、例えば会議施設や、喫茶施設、宿泊施設、娯楽施設なである。
機器に関する運用の具体例は、熱源機器や空調機器、給排気ファンの運転および停止、外気冷房運転の運転および停止、照明機器の点灯および消灯、といった機器の発停である。また機器に関する運用は、熱源機器における送水温度の設定や、空調温度の設定、照明機器の照度設定などの各種設定などもある。
また例えば、「施設運用管理」において、ある施設が「予定確定」と評価された場合、「機器運用・省エネルギー管理」において、利用時間前に施設の空調機器や照明機器を稼働させたり、室内の温度や明るさを施設の利用人数などに応じて設定する、といった運用を実施する必要があり、また、「セキュリティ管理」において、利用時間に基づき施設の出入口の施錠または解錠する、といった運用を実施する必要がある。
また例えば、「セキュリティ管理」において、火災などの災害が「発生している」と評価された場合、「機器運用・省エネルギー管理」において、災害の拡大防止のために、適宜の機器の運転を停止したり、外部に通報したり、といった運用を実施する必要がある。
データ収集部10は、複数の資源管理それぞれが管理に要する各種のデータを収集する手段を有し、これらのデータをデータベース部20へ入力する。
データベース部20は、データ収集部10によって収集されたデータを蓄積する手段を有する。このデータベース部20は、保有する管理資源2が異なる任意の建物に対応するために、それらの建物における各資源管理で利用可能な標準のフォーマットでデータを蓄積している。なお、データベース部20は、データを蓄積する手段を資源管理ごとに備えてもよいし、これら資源管理ごとのデータを一括して蓄積してもよい。
評価部30は、資源管理ごとに設定されている各種の評価項目の評価値をデータベース部20のデータに基づき演算する評価値演算部32と、実施対象の運用を各評価値に基づいて一次決定する運用一次決定部34と、有する。評価値演算部32による評価値の演算には、例えば、シミュレーションやAI(Artificial Intelligence)等の適宜の手法を用いることができる。
運用の実施要否判断に用いる評価基準値22が資源管理ごとに予めデータベース部20に格納されており、運用一次決定部34は、データベース部20を参照することで、各資源管理のそれぞれが実施すべき運用を決定(一次決定)する。評価基準値22は、評価項目についての基準値であり、資源管理ごとに設定され、その資源管理において、その運用を実施すべきと判断する基準となる値である。
運用部40は、各資源管理の運用を実施するための手段を備える。
統合管理装置50は、いずれかの資源管理についての運用(一次決定運用という)を評価部30が一次決定した場合、資源管理のそれぞれで行われる全ての運用のうち、意思決定運用と関連する運用の中から、実施対象の運用を決定する機能と、運用部40を用いて当該実施対象の運用を自動実行する機能と、を有した装置である。
観測機器は、作業員の現場での観察による管理資源2の状態確認の代替となる手段であり、例えば、管理資源2の様子を撮影する撮影装置、管理資源2の動作に伴う振動を検出する振動センサ、管理資源2の動作音を検出するマイク、管理資源2の動作に伴う発熱を検出する温度センサなどである。
かかる中央監視装置は、プロセッサや、メモリデバイス、記憶装置、通信装置などを備えたコンピュータを備え、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することで、ビル管理に係る各種の管理機能を提供する装置である。
かかる管理機能は、例えば、機器のメンテナンス保守管理機能や、消費エネルギー管理機能、セキュリティ管理機能などである。
また、これらの管理機能を実現するために、中央監視装置は、データベース機能と、評価機能と、評価結果提示機能と、機器コントロール機能とを有する。
データベース機能は、収集手段によって収集されたデータや、各種管理機能に要するデータを記憶装置に蓄積する機能である。
評価機能は、上記評価部30に相当する機能であり、管理機能ごとに予め設定された評価項目の評価値を、収集手段によって取得されたデータに基づいて演算し、実施すべき運用を評価値に基づいて決定する。
評価結果提示機能は、評価値や、実施すべき運用を表示装置などの出力装置に出力することで作業員に提示する機能である。
機器コントロール機能は、機器コントロール装置42に相当する機能である。
施設運用管理装置44は、プロセッサや、メモリデバイス、記憶装置、通信装置などを備えたコンピュータを備え、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することで、施設運用管理に係る各種の管理機能を提供する装置である。
かかる管理機能は、例えば、施設の予約管理(予約の受付、予約状況の確認)や使用状況管理(空き状況確認)、利用者管理などである。
また、施設運用管理装置44に相当する装置は、これらの管理機能に用いられる各種データを記憶装置に蓄積するデータベース機能を有する。
かかる構成によれば、資源管理のためのシステムが既に設置されている場合であっても、各システムにおける運用についての判断結果が統合管理装置50によって管理されるため、既設のシステムに変更を加えずとも運用が適切に管理される。
統合管理装置50は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、適宜の通信ネットワークを通じて通信する通信装置と、を有したコンピュータを有する。そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、図2に示す各種の機能を実現する。
すなわち、統合管理装置50は、決定部54と、自動実行部56と、を機能的構成として備えている。
具体的には、自動実行部56は、各種の機器の操作に係る最終決定運用を自動実行する場合、運用部40の中央監視装置を自動制御することで、運用を自動的に実施する。中央監視装置の自動制御は、例えば上記特許第6664817号公報に記載されたRPA(Robotic Process Automation)技術を用いて行うことができる。
決定部54における最終決定運用の決定は、ある管理資源2についての複数の運用の候補の中から適切なものを決定するための適宜の意思決定手法を用いて行うことができ、本実施形態では、意思決定手法の一例であるAHP(Analytic Hierarchy Process)法を用いて行われる。このAHPに用いられる意思決定の階層構造は、ISM(InterpretiveStructural Modeling )法を用いて特定できる。
意思決定階層モデル60は、ある管理資源2について、複数の資源管理のそれぞれの間で関連する運用の関係を、ISM法を用いて階層構造化したモデルである。本実施形態において、かかる意思決定階層モデル60は、個々の機器や、個々の施設、個々の建物ごと、および、時刻T(日時や、日付、時期といった他の時間要素でもよい)ごとに設計されている。
次いで、FMの熟練者などの適宜の評価者が、AHP法にしたがい、各運用の重要度(ウエイト)の「比」を一対比較によって定量化する。
そして、かかる定量化の結果に基づき第1の一対比較行列62が作成される。
この意思決定階層モデル60は、ある熱源機器nの、ある時刻Tにおける稼働(「運転」または「停止」)に係る運用を決定するためのモデルである。
同図に示す意思決定階層モデル60は、1層の階層構造を有し、当該階層の中の「省エネルギー」、「劣化レベル」、「保守時期」、および「施設運用」が、ある時刻Tにおける熱源機器nの稼働に係り、かつ、互いに対立する運用であることを示している。
なお、「省エネルギー」は「機器運用・省エネルギー管理」に対応する運用であり、「劣化レベル」および「保守時期」は「機器保守メンテナンス・修繕管理」に対応する運用であり、「防災」は「セキュリティ管理」に対応する運用であり、「施設運用」は「施設運用管理」に対応する運用である。また、階層構造の階層数は図示例のような1層に限定されない。
図示例の第1の一対比較行列62によれば、例えば行列要素(1行、2列)に付与された数値により、「省エネルギー」は、「劣化レベル」よりも重要度が高い(重み係数「3」)というように、かかる第1の一対比較行列62によって各運用間の相対的な重要度が定量的に表現されている。
そして、ある管理資源2についての一次決定運用が評価部30によって決定された場合、決定部54は、これら意思決定階層モデル60、および第1の一対比較行列62を用いて、その管理資源2について対立する各資源管理の運用の中から最終決定運用を決定する。
具体的には、決定部54は、それぞれの運用の候補に係る評価項目について上記評価値演算部32によって演算された評価値と、第1の一対比較行列62における各重要度とに基づき(一般的には両者を掛け合わせ)、各運用の候補の総合評価値を算出し、最も総合評価値が高い運用(図4の例では、「防災」)を最終決定運用として実施対象に決定する。
これにより、互いに対立関係にある運用の中で、各運用間の相対的な重要度と、各評価項目の評価値とに照らして最も適切な運用が決定されることとなる。
そこで、本実施形態では、「省エネルギー」および「劣化レベル」の運用ごとに、省エネルギー効果、および劣化への影響を実施内容の候補ごとに予測して一対比較にしたがって定量化することで、各運用についての第2の一対比較行列64(図5)が予め設定されている。予測には適宜の評価者による評価結果が適宜に反映されてもよい。
また例えば「劣化レベル」が最終決定運用である場合、図5の例では、総合評価値が高い「停止」が実施内容として決定される。
図6の意思決定階層モデル60において、「防犯」は「セキュリティ管理」における運用を示し、その他の運用は図4と同様である。
そして、決定部54は、ある空調機器mの室内機について時刻Tにおける温度設定の運用を決定する際には、第1の一対比較行列62と、各運用に係る評価項目について上記評価値演算部32によって演算された評価値とに基づき、各運用の総合評価値を求め、最も総合評価値が高い運用を最終決定運用として決定する。
なお、図9の意思決定階層モデル60において、「補修時期」は「機器保守メンテナンス・修繕管理」における運用を示し、その他の運用は図4、図6と同様である。
図10において、「コード」は、一次連絡または作業指示に係る運用において、相手に伝えるメッセージ(連絡内容や指示内容など)ごとに予め設定された識別子である。
また、「劣化レベル」に係る一次連絡の運用については、図11に示すように、一次連絡の内容を規定するコード(すなわち実施内容)を決定するための第2の一対比較行列64がAHP法を用いて予め設定されており、決定部54は、この第2の一対比較行列64と、「劣化レベル」に係る評価項目の評価値とに基づいて総合評価値を算出し、最も総合評価値がコード(図11の例では、「コード1」)を決定する。
したがって、ユーザが適切な運用を判断する必要はなく、FMに要する労力を削減できる。
この構成によれば、実施対象の運用についての実施内容が適切に決定されるため、ユーザが実施内容を決める必要がなく、FMに要する労力を、より一層、削減できる。
これにより、無人による運用の実施が可能となり、FMに携わる人員のコストを低減することができる。
図12は、本変形例に係るFM統合管理システム100の構成を示す図である。
同図に示すように、FM統合管理システム100は、選別部90を備える点で上述した実施形態と相違する。
選別部90は、評価部30において一次決定された一次決定運用のうち、異常を伴う管理資源2についての運用を選別し、当該運用を統合管理装置50に入力するものであり、データ収集部10によって収集されたデータ(すなわち、データベース部20に蓄積されたデータ)に基づいて、機器などの管理資源2に生じている異常(電流値の異常や動作温度の異常、振動発生、異音発生など)を検知する機能と、異常を検知した管理資源2についての一次決定運用を選別し、当該一次決定運用を統合管理装置50に入力する機能と、を備えた装置である。これにより、統合管理装置50は、異常を伴う管理資源2についての運用を意思決定することになる。
なお、選別部90は、データベース部20と評価部30の間に介在し、データベース部20に蓄積されているデータの中から、異常を伴う管理資源2に関するデータのみを選別し、当該データを評価部30に入力する構成でもよい。この構成よれば、異常を伴う管理資源2に関する運用(一次決定運用)を評価部30が一次決定し、この一次決定運用が統合管理装置50に入力されるため、結果として、異常を伴う管理資源2についての運用を統合管理装置50が意思決定することになる。
また、かかる装置は、建物に設置された制御盤や動力盤などの据置型の装置、あるいは、管理資源2についての各種のデータを収集する手段を搭載した巡回ロボット等の適宜の移動体等に組み込むこともことできる。制御盤は、各種の機器に電力を供給する電力供給システムと、これらの機器を自動制御する自動制御システムとを箱型の筐体に収めた装置であり、この自動制御システムに、上記選別部90の機能を有した装置を組み込むことができる。
さらに、収集された異常に関するデータに基づき、異常の原因を推定することが可能となる。
これら所定の運用、および、所定のデータには、「機器保守メンテナンス・修繕管理」や、その他の資源管理において、管理対象の管理資源2の運用の、より効果的な実施に繋がる適宜のものを設定できる。
例えば、統合管理装置50において、運用間の相対的な重要度に基づいて意思決定するために決定部54が用いる手法には、AHPやISMに代えて、AIやナレッジデータベースを用いた手法や、予め定められたルールにしたがって意思決定するシナリオ型決定手法といった適宜の手法を用いることができる。
また例えば、統合管理装置50において、自動実行部56は、運用を自動的に実施する際にRPAを用いて中央監視装置を自動制御する代わりに、または、当該自動制御に加えて、中央監視装置と機器と間の通信網であるバックネットに直接、制御命令を出力して機器をコントロールしてもよい。
2 資源
10 データ収集部
20 データベース部
22 評価基準値
30 評価部
32 評価値演算部
34 運用一次決定部
40 運用部
50 統合管理装置(管理装置)
54 決定部
56 自動実行部
60 意思決定階層モデル
62 第1の一対比較行列
64 第2の一対比較行列
90 選別部
Claims (4)
- コンピュータを有し、複数の資源管理を用いるファシリティマネジメントのための管理装置であって、
前記複数の資源管理のいずれかにおいて運用が決定された場合、前記複数の資源管理のそれぞれで行われる運用のうち、前記決定された運用と対立する運用の中から、実施対象の運用を決定する決定部を備え、
前記決定部は、
前記複数の資源管理のそれぞれで行われる運用のうちの各運用間の相対的な重要度と、前記資源管理のそれぞれが管理に用いている評価項目であって、決定された前記運用に係る評価項目の評価結果とを掛け合わせて総合評価値を算出し、最も総合評価値が高い運用を、前記実施対象の運用として決定する
ことを特徴とする管理装置。 - 前記各運用についての第2の一対比較行列が予め設定されており、
前記決定部は、
前記最も総合評価値が高い運用に対応した前記第2の一対比較行列と、評価値演算部が演算した、前記最も総合評価値が高い運用に係る前記評価項目の評価値とに基づいて総合評価値を算出し、最も総合評価値が高い実施内容を、実施する実施内容として決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。 - 前記実施対象の運用を自動実行する自動実行部を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。 - 前記複数の資源管理のいずれかにおいて決定された異常を伴う管理資源についての運用を選別して前記決定部に入力し、又は、異常を伴う管理資源に関するデータを選別して選別した前記データを前記資源管理の運用を決定する評価部に入力する選別部を備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の管理装置。
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JP2004192326A (ja) | 2002-12-11 | 2004-07-08 | Hibiya Eng Ltd | リモートライフサイクルマネジメントサポートシステム |
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