JP7209209B2 - 残走行可能距離算出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両に用いられる残走行可能距離算出装置に関するものである。
近年、自動車等の車両においては、電動モータを用いて走行する車両(例えば電気自動車)が普及してきている。このような車両の残走行可能距離を算出して表示するための技術として、例えば、特許文献1には、いわゆるシリーズハイブリッド車両において、バッテリの蓄電量と発電用エンジンの燃料タンクの燃料残量の双方に基づいて、残走行可能距離を算出する制御装置が開示されている。また、特許文献2には、車両用航続可能距離推定装置において、電費算出のためのサンプリング期間として、第1のサンプリング期間と、より長い第2のサンプリング期間とを備え、予め規定された初期条件が成立した場合(バッテリの充電が終了した場合)に、第1のサンプリング期間に代えて第2のサンプリング期間を用いて航続可能距離を推定することにより、適切な推定を可能とした装置が開示されている。
特開2012-101616 特開2013-27166
ところで、電動モータを用いて走行する車両には、駆動モータに電力供給するバッテリに加えて、内燃機関(ガソリンエンジン)と発電機を備え、発電機で生成された電力も駆動モータに供給可能とされたものがある。このような車両における残走行距離の算出においては、バッテリ残量と内燃機関による発電見込みの両方が適切に考慮されて、結果として、車両の運転者に適切な充電行動を促し得るようにすることが望ましい。
本発明は、以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、バッテリからの電力供給と内燃機関を用いた発電により生成された電力の供給で走行量電力を得る車両において、バッテリ残量と内燃機関による発電見込みを適切に反映した残走行可能距離を算出し得る残走行可能距離算出装置を提供することである。
前記目的を達成するため、本発明にあっては、次のような解決方法を採択している。すなわち、請求項1に記載のように、バッテリからの電力と内燃機関により生成された電力により駆動される電動モータを用いて走行する車両の残走行可能距離を算出する残走行可能距離算出装置において、前記バッテリの電力残量であるバッテリ電力残量を検出するバッテリ電力残量検出手段と、前記車両に蓄えられている燃料残量を用いて前記内燃機関により発電可能な電力であるエンジン電力残量を算出するエンジン電力残量算出手段と、前記バッテリ電力残量と前記エンジン電力残量に基づいて、残走行可能距離を算出に用いる基準電力残量を算出する基準電力残量算出手段と、前記基準電力残量と前記車両の電力消費率の累積データに基づいて、前記車両の残走行可能距離を算出する残走行可能距離算出手段とを備え、前記基準電力残量算出手段は、前記バッテリ電力残量が所定閾値以上である場合には、前記基準電力残量の算出における前記エンジン電力残量の比重を小さくし、前記バッテリ電力残量が所定閾値未満である場合には、前記基準電力残量の算出における前記エンジン電力残量の比重を大きくする。
上記解決手法によれば、バッテリ電力残量が所定閾値以上の場合には、バッテリ電力残量がエンジン電力残量よりも優先的に残走行可能距離の算出に反映されるので、バッテリ電力残量が減少してきた場合に、エンジン電力残量の存在による余裕が運転者に示されてしまうことで運転者が充電を怠ってしまうことを適切に防止でき、内燃機関による発電が制限される場合における電欠を防止できる。一方、バッテリ電力残量が所定閾値未満の場合には、残走行可能距離の算出にエンジン電力残量が反映されるので、運転者は、必要以上に残走行可能距離が短いと認識してしまうことはなく、適切な運転計画を立てることができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載の通りである。すなわち、前記所定閾値は、前記バッテリ電力残量のみでは、必要な距離の走行ができなくなる電力値である(請求項2対応)。この場合、運転者は、エンジン電力残量を当てにせずに、バッテリ電力残量の減少を認識できるので、内燃機関の作動が制限されるような状況でも、適切にバッテリへの充電を促すことができる。
前記バッテリ電力残量が前記所定閾値未満である場合には、前記エンジン電力残量のみを用いて残走行可能距離を算出する(請求項3対応)。この場合、バッテリ電力残量が所定閾値を下回ったところで、残走行可能距離の算出がエンジン電力残量のみに基づくものに切り替えられるので、適切な残走行可能距離の算出を効果的に実行できる。
前記バッテリ電力残量が所定閾値未満となった場合には、バッテリ電力残量の不足を車両の運転者に報知する(請求項4対応)。この場合、運転者は、エンジン電力残量による走行が可能であるだけで、バッテリ電力残量が不足していることを適切に認識できるので、速やかな充電が促される。
本発明によれば、バッテリ電力残量が所定閾値以上である場合には、バッテリ電力残量がエンジン電力残量よりも優先的に残走行可能距離の算出に反映されるので、バッテリ電力残量が減少による残走行可能距離の減少が適切に算出され、エンジン電力残量による発電が制限される場合等における、内燃機関による発電見込みを当てにした電欠を適切に防止できる。
本発明の制御系の一例及び車両の構成の一部を示すブロック構成図。 バッテリ電力残量が所定閾値以上である場合におけるバッテリ電力残量とエンジン電力残量と基準電力残量の関係を示す図。 バッテリ電力残量が所定閾値未満である場合におけるバッテリ電力残量とエンジン電力残量と基準電力残量の関係を示す図。 電力消費率の累積データの概要を示す図。 本発明の残走行可能距離算出における制御の一例の制御手順を示すフローチャート。
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
図1には、本発明の残走行可能距離算出装置を備えた車両の構成の一部及び制御系の一例をブロック構成図で示す。図示されるように、車両は、駆動手段である電動モータに電力供給するバッテリBと、発電機Gを駆動して生成した電力を電動モータに供給する内燃機関であるエンジンEを併せ持っている。なお、本実施形態において、車両は、駆動手段として電動モータのみを備え、この電動モータにバッテリと内燃機関から走行用電力を供給するタイプの車両(いわゆるシリーズハイブリッド車両)である。
制御系は、例えばマイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラUを備えている。コントローラUは、残走行可能距離算出のための手段(プログラム)として、基準電力残量算出手段1と、基準電費算出手段2と、残走行可能距離算出手段3を備えている。
基準電力残量算出手段1は、残走行可能距離算出のために用いられる基準電力残量を算出する手段である。ここで、基準電力残量は、車両において走行用電力をして利用可能な総電力残量そのものではなく、バッテリBの電力残量に応じて、適切に調節された電力残量である。
基準電力残量の算出において、基準電力残量算出手段1は、まず、バッテリ残量検出手段4により検出されたバッテリBの電力残量(バッテリ電力残量WB)の検出信号を取得するとともに、燃料残量検出手段5により検出された燃料タンクT内の燃料残量の検出信号を取得し、この燃料残量を用いてエンジンE及び発電機Gにより生成可能な電力量(エンジン電力残量WE)を算出する。
バッテリ電力残量の重みXBとエンジン電力残量の重みXEは、バッテリ電力残量WBが所定閾値S以上であるか否かによって変更される。すなわち、バッテリ電力残量が所定閾値S以上である場合には、残走行可能距離の算出におけるエンジン電力残量WEの比重が小さくされる。ここで、所定閾値Sは、バッテリ電力残量WEが所定閾値未満である場合に、このバッテリ電力残量WEのみでは、必要な地点(例えば直近の充電ポイント)まで車両が走行できなくなる値である。
このように、バッテリ電力残量WBが所定閾値S以上の場合には、基準電力残量Wの算出(ひいては残走行可能距離の算出)において、エンジン電力残量WBの比重が小さくされ、バッテリ電力残量WBがエンジン電力残量WEよりも大きく反映されるので、バッテリ電力残量が減少してきた場合に、エンジン電力残量の存在による余裕が運転者に示されてしまうことで運転者が充電を怠ってしまうことを適切に防止でき、エンジンEによる発電が制限される場合における電欠を防止できる。
一方、バッテリ電力残量WBが所定閾値S未満の場合には、基準電力残量Wの算出(ひいては残走行可能距離の算出)にエンジン電力残量が大きく反映されるので、運転者は、必要以上に残走行可能距離が短い(電力残量が少ない)と認識してしまうことはなく、適切な運転計画を立てることができる。なお、この場合、バッテリ電力残量WBが所定閾値Sを下回っており、実際には電力不足となりつつあることを、例えば表示手段Dによって、運転者に報知するようにしてもよい。
次に、図2及び図3にしたがって、バッテリ電力残量とエンジン電力残量の各々に重みの設定例について説明する。本設定例においては、バッテリ電力残量WBが所定閾値S以上である場合(バッテリ電力残量に余裕がある場合)には、図2に示すように、バッテリ電力残量の重みXBを0.9に、エンジン電力残量の重みXEを0.1に設定に設定することにより、基準電力残量Wにおけるバッテリ電力残量WBのウエイトを大きくする。つまり、基準電力残量Wは、以下の式(2)の通りとなる。
W=0.9WB+0.1WE …(2)
一方、バッテリ電力残量WBが所定閾値S未満である場合(バッテリ電力残量に余裕がない場合)には、図3に示すように、バッテリ電力残量の重みXBを0.1に、エンジン電力残量の重みXEを0.9に設定することにより、基準電力残量Wにエンジン電力残量WEも適切に反映されるようにする。つまり、基準電力残量Wは、以下の式(3)の通りとなる。
W=0.1WB+0.9WE …(3)
なお、上記設定例は一例であり、例えば、バッテリ電力残量WBが所定閾値S未満である場合に、バッテリ電力残量の重みXBを0に、エンジン電力残量の重みXEを1にする(つまり、エンジン電力残量WEのみを基準電力残量Wとする)設定も可能である。
基準電費算出手段2は、車両の残走行可能距離を算出するために用いられる電力消費率である基準電費を算出する手段である。基準電費算出手段2は、データ記憶手段Mから取得したデータに基づいて、基準電費Eを算出する。なお、後述もするように、残走行可能距離は、基準電力残量Wを基準電費Eで除した値W/Eとして算出されることになる。
データ記憶手段Mは、例えば外部記憶装置から構成され、車両の走行距離の所定周期毎(例えば1km毎)の電力消費率(走行距離毎の電力消費量)が、時系列で蓄積された累積データとして記憶されている。図4には、データ記憶手段Mに記憶された累積データを模式的に示している。累積データにおいて、現時点に一番近い周期における電力消費率は現電費e(i)であり、この現電費e(i)の前に単位過去電費e(i-j)が連なることにより累積データが構成されることになる。ここで、i、jは自然数であり、iはその時点までのデータ蓄積数(蓄積された周期の数)を、また、jは現電費から何周期前の単位過去電費であるかを、それぞれ示している。
基準電費の算出においては、まず単位過去電費e(i-j)の系列から、過去電費epを算出する。具体的には、現電費e(i)の1周期前の単位過去電費e(i-1)を過去電費epとしてもよいし、現電費e(i)の前の複数周期分の単位過去電費の平均値を過去電費epとしてもよい。
基準電費は、現電費ec(=e(i))を過去電費epの加重平均(重み付き電費)として算出される。すなわち、基準電費Eは、過去電費epの寄与度αと現電費ecの寄与度βを、過去電費epと現電費ecの各々の重みとする過去電費epと現電費ecの加重平均として算出される。具体的な算出式は、以下の式(4)の通りである。
E=(α・ep+β・ec)/(α+β) …(4)
なお、基準電費算出における過去電費epの寄与度αと現電費ecの寄与度βは、例えば、基準電力残量Wが少なくなるほど、過去電費の寄与度αに対する現電費の寄与度βの比が大きくなるように設定してもよい。これにより、基準電力残量W(走行に利用できる電力残量)が少なく、走行用電力の不足となり易い場合には、残走行可能距離の算出において現電費ecが大きく考慮され、その時点における運転状態、走行環境等が適切に反映された正確な残走行可能距離が算出される。一方、基準電力残量Wが十分にある場合(電欠までに余裕がある場合)には、残走行可能距離の算出において過去電費ep(つまり、現電費epよりも過去の電力消費率の履歴)が大きく考慮されるので、算出された残走行可能距離は、算出時点における運転状態、走行環境等の一時的な変化によって変動し難い安定性の高いものとなる。したがって、残走行可能距離の算出は、算出時における基準電力残量Wに応じて、最適な安定性と正確性を両立した形で実行できる。
残走行可能距離算出手段3は、基準電力残量算出手段1で算出された基準電力残量Wを基準電費算出手段で算出された基準電費Eで除することにより、残走行可能距離L=W/Eを算出する。算出された残走行可能距離Lは、表示手段D(例えば、車両のインストルメントパネルに設け
られた液晶ディスプレイ)に表示されて、車両の運転者に示される。
次に、図5のフローチャートにしたがって、コントローラUにおける残走行可能距離算出の制御の一例について説明する。残走行可能距離算出においては、まずステップS1において、バッテリ電力残量のデータを取得し、ステップS2において、燃料残量のデータを取得するとともに、その燃料残量で発電可能なエンジン電力残量を算出する。ステップS3においては、電力消費率の累積データ(現電費及び過去電費)に基づいて、基準電費を算出する。
ステップS4においては、バッテリ電力残量WBが所定閾値S以上であるか否かの判定がなされ、所定閾値S以上である場合には、ステップS5に進み、バッテリ電力残量の重みXBを0.9に、エンジン電力残量の重みXEを0.1に、それぞれ設定し、ステップS8に進む。
一方、ステップS4において、バッテリ電力残量WBが所定閾値S以上でないと判定された場合には、ステップS6に進み、バッテリ電力残量の重みXBを0.1に、エンジン電力残量の重みXEを0.9に、それぞれ設定する。続くステップS7においては、バッテリ電力残量WBが所定閾値S未満となったことを運転者に報知し、ステップS8に進む。
ステップS8においては、基準電力残量Wを基準電費Eで除することにより、残走行可能距離を算出する。ステップS9においては、算出された残走行可能距離を表示装置Dに表示して、一巡の処理を終了する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲において適宜の変更が可能である。
本発明は、電動モータによって駆動される車両において、残走行可能距離を算出するために利用できる。
B バッテリ
E エンジン
G 発電機
T 燃料タンク
U コントローラ
1 基準電力残量算出手段
2 基準電費算出手段
3 残走行可能緒距離算出手段
4 バッテリ残量検出手段
5 燃料残量検出手段
M データ記憶手段
D 表示手段

Claims (4)

  1. バッテリからの電力と内燃機関により生成された電力により駆動される電動モータを用いて走行する車両の残走行可能距離を算出する残走行可能距離算出装置において、
    前記バッテリの電力残量であるバッテリ電力残量を検出するバッテリ電力残量検出手段と、
    前記車両に蓄えられている燃料残量を用いて前記内燃機関により発電可能な電力であるエンジン電力残量を算出するエンジン電力残量算出手段と、
    前記バッテリ電力残量と前記エンジン電力残量に基づいて、残走行可能距離を算出に用いる基準電力残量を算出する基準電力残量算出手段と、
    前記基準電力残量と前記車両の電力消費率の累積データに基づいて、前記車両の残走行可能距離を算出する残走行可能距離算出手段と
    を備え、
    前記基準電力残量算出手段は、前記バッテリ電力残量が所定閾値以上である場合には、前記基準電力残量の算出における前記エンジン電力残量の比重を小さくし、前記バッテリ電力残量が所定閾値未満である場合には、前記基準電力残量の算出における前記エンジン電力残量の比重を大きくする残走行可能距離算出装置。
  2. 請求項1に記載の残走行可能距離算出装置において、
    前記所定閾値は、前記バッテリ電力残量のみでは、必要な距離の走行ができなくなる電力値である請求項1に記載の残走行可能距離算出装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の残走行可能距離算出装置において、
    前記バッテリ電力残量が所定閾値未満である場合には、前記エンジン電力残量のみを用いて残走行可能距離を算出する残走行可能距離算出装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の残走行可能距離算出装置において、
    前記バッテリ電力残量が前記所定閾値未満となった場合には、バッテリ電力残量の不足を車両の運転者に報知する残走行可能距離算出装置。
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