JP7207678B2 - 透光性ガラスに木材脚を接着した家具構造 - Google Patents

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本考案は、透光性ガラストップの家具に関し、特に脚物家具に関するものである。
従来、ガラスのように湿度の変化で形が変化しないものと、木材のように湿度の変化で膨張や収縮、割れなどの変化をきたすものとを接着することはあまりなかった。
なお、透光性ガラストップの下面に金属製部品を接着し、脚を取り付けているテーブルは従来からみられた。
特許文献1には、ガラス製天板の四隅部下面に固着した凸状または凹状の被支持部を持つテーブルが開示されている。
特許4740714号公報
透光性ガラスの特徴は、ガラスの向こうが透けて見えることであるが、透光性ガラストップの家具の、ガラスの下面に金属製部品を接着したものは、ハードで冷たい感じがし、木目も木肌もなく、温かみや自然の柔らかなイメージが出せない。
透光性ガラストップの木製家具でも、木材脚とガラスの間に緩衝材や滑り止めゴム材を挟んだものは、木材脚の上端面が見えず、木の特徴である木目や木肌の温かみや、自然の柔らかなイメージを十分活かしていなかった。
また、木材脚の上に直接透光性ガラストップを置いたものもあるが、ガラストップの下面で光が反射し、木材脚の上端面は見えにくかった。
本考案は、透光性ガラスを透して、木目や木肌や木の形がはっきり見えるようにすることで、木の特徴である、温かみや自然の柔らかなイメージを活かし、木を使った家具の良さをさらに高めることを目的とする。
透光性ガラスの下面に、透光性接着剤を用い木材脚の上端面を直接接着する。透光性ガラスと透光性接着剤と木材脚の上端面との間に空気が入らないことにより木材脚の上端面は、透光性ガラスと透光性接着剤を透して、より明瞭に視認可能となる。
透光性ガラスは、無色透明、スモーク、色付あるいは、乳白色のものも含め光を透過し、ガラス越しに向こうを見ることができるシースルーガラスのことを言い、ケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの鉱物ガラスの他アクリル樹脂などの有機ガラス、金属ガラスなども含む。
ガラストップとは、ガラスでできたテーブルや机の天板や椅子の座面のことを言う。ガラストップ家具とは、ガラストップとなっている家具である。
木材は、十分乾燥させ、湿度の変化で膨張や収縮が起きにくいもの、割れや欠けの無いものを使うとよい。
接着は、脚としての強度面から接着面を木口面とするのが良いが、強度が保てるのであれば木口に限らず板目面または柾目面でもよい。なお木口面とは、木の幹の縦の軸に垂直な方向の断面をいう。板目面と柾目柾面は木の幹の縦の軸に平行な方向の断面をいう。
透光性接着剤は接着乾燥後も弾性を保持する弾性接着剤とする。また、液状の接着剤であってもよいが、シート状の接着剤であってもよい。弾性接着剤とは、硬化後もゴム状弾性を示し、被着体からの内部圧力を分散する性質があるものをいう。シリコーンや変成シリコーンポリマーをベースとしたものなどがあり振動・衝撃の外部応力を吸収する機能もある。
透光性接着剤による木材脚の上端面が視認可能な構造において、木材脚の湿度の変化による膨張や収縮に対応し易くするために、透光性接着剤の硬化時の厚さを0.5mm以上、1mm以下にするのが好ましい。1mm以上になると、強度面で劣るのと、硬化に時間を要するので好ましくない。
木材脚の床面に近い位置で、横方向に力を加えると、脚の接着面には相当の力がかかるので、脚1本につき接着面積は、脚の長さの1/10の寸法を2乗した、すなわち(脚の長さの1/1 0)×(脚の長さの1/10)の2倍以上の面積とするとよい。
その式は (脚長/10)×(脚長/10)×2≦接着面積 となる。 例えば、脚の長さが30cmであれば3cm×3cm×2=18平方cm以上、長さが 40cmであれば、4cm×4cm×2=32平方cm以上になる。
脚に三又枝を、木が生えていたように枝がわかれている方を上にし、その木口面をガラス面に接着すると、接着位置の範囲が広がり横方向の応力に対して強くなる。
三又の木の3つの木口の合計接着面積が、三又の木の接着木口の中心点を3点とする三角形の内接円の直径を「脚の長さの1/10」で割った数で、「1本の同じ長さの木の脚である場合の接着面積」を割った数値以上の面積とすると、横方向の応力に対して強い脚とすることができる。
上記の場合の計算式は ((脚長/10)×(脚長/10)×2)÷(内接円直径÷(脚長/10)) ≦接着面積 となる。
例えば、脚の長さが30cmで、三又枝の内接円直径が12cmであれば、(3cm× 3cm×2)÷(12cm÷(30cm/10)=4.5平方cmになる。
請求項2の本発明は、年輪を持つ木材脚上端面を透光性接着剤で接着したガラストップ家具で、接着する木材脚の上端面の接着面が丸太をベースにしたものであれば、上端面の木口面に同心円状の年輪が現われる。なお、樹種によっては年輪が明確にあらわれないものもある。
広葉樹の丸太は比較的割れが生じにくいので、丸太をそのまま使うことが多い。針葉樹は、比較的割れが生じやすいので丸太の背割りや割れ部に別の木を挿入接着する、あるいは丸太の中心部をくり抜き別の木を挿入することにより丸太を製造することもある。
また、丸太を良く乾かした上で丸太を2分割、あるいは4分割以上の扇形に分割し、切断面を平滑に加工してから接着し集成材とし、同心円状の年輪を持つ木材脚としてもよい。
また、四角い集成材を丸く削ることでも、丸い形の木口材を作ることができ、木口面に年輪が現われる。ただし同心円状になるとは限らない。
請求項3の本願発明は、脚に枝先が三又に分かれた木の枝を使うもので、分かれた木の枝の木口面がガラストップの下面に接着されているガラストップ家具である。
ガラス下面と木材脚の上端面を透光性接着剤で接着することにより、ガラスと透光性接着剤が光学的に一体となり、木口との間に光学的な反射面ができず、ガラス上面に脚上端の木口面の木目が浮いたように見える。
なお「光学的に一体」とは透光性接着剤を使うことで、ガラスと透光性接着剤と木材脚の上端面との間に空気が入らず、ガラス面の反射光が少なくなることを言う。
また、ガラストップの上面から、透光性ガラスと透光性接着剤を通して、木目や木の形がはっきりと見えるので、木目や温かみや自然なイメージという気の特徴を活かしつつ、ガラスという素材とのコントラストも効いて、美しく、魅力的な家具構造となる。
なお、透光性着剤を使わず、脚の上に透光性ガラスをただ置いておくだけでは、ガラスと木の間に空気が入り、ガラス面の光の反射により、年輪や木肌が良く見えない。
請求項2の本願発明は、木材脚の上端面の年輪の木目がきれに見え、温かみや自然を感じさせる。特に同心円状の年輪を持つ丸い形の木口材は、立木を想起させ、今までの家具とは違ったイメージの家具となる。
請求項3の三又に分かれた木の枝を使った本願発明は、ガラス面に各脚が3点で固定されるため、1本の木より小さな面積の接着面でも脚としての強度が保て安定感を出せる。
また、三又枝は製材されていないので、木口は年輪の有る丸い自然な形となっており、テーブルや机であれば樹木の上に天板があるように感じる。また、椅子であれば、あたかも木の上に腰かけているイメージで、座っていても気持ちがよい。
ガラストップテーブルの平面図 ガラストップテーブルの正面図 加工した脚の上端面の例を示す図 加工した脚の上端面の例を示す図 加工した脚の上端面の例を示す図 内部を繰り抜いた脚の断面図 三又の木を使ったガラストップテーブルの斜視図
図1、図2に実施の形態1を示す。四角い透光性ガラストップ1に、丸太の脚2が4本、弾性のある透光性接着剤3にて接着されている。
木材脚2は、十分乾かし、割れや欠けのない木材を使うが、湿度の変化による膨張や収縮をできるだけ抑えるために、防湿加工や、防湿性のある塗装などをしてあるとなおよい。
弾性のある透光性接着剤3の硬化時の厚さを0.5mm以上1mm以下とすると、木材脚の湿度の変化による膨張や収縮に対応し易くなる。1mm以上になると、強度面で劣ってくるのと、硬化に時間を要するので好ましくない。
木材脚2の床面に近い位置で、横方向に力を加えると、脚の接着面には相当の力がかかるので、接着面積は、脚の長さの1/10の寸法を2乗した、すなわち(脚の長さの1/10)×(脚の長さの1/10)の面積の2倍以上とするとよい。
その式は (脚長/10)×(脚長/10)×2≦接着面積 となる。
例えば、脚の長さが30cmであれば3cm×3cm×2=18平方cm以上、長さが40cmであれば、4cm×4cm×2=32平方cm以上になる。
木材脚2は、接着面から床面(家具の置かれる所)まで一体(一本)とすると、強度と美しさの観点からみるとよいが、脚を取り外すことができないので、輸送や保管に場所をとる。
そこで、図2の破線で示す木材脚接着下部2-1で、脚を切り、金属ネジなどで取付け取外しができるようにしてもよい。このとき、ガラスと接着されている木材脚2-2の長さは、直径または横幅の1/2とすることで金属ネジを埋め込む寸法を確保できる。
図3、図4、図5に加工した木材脚の実施の形態の上端面を示す。
図3のAは、丸太の背割りに別の木の背割埋込材4を挿入接着したもので、湿度による木材脚の変化を小さく抑えることができる。
図3のBは、丸太の中心部をくり抜き別の木の挿入材5をくり抜き丸太6に挿入し接着したもの。杉材など針葉樹の丸太は割れやすいためAやBの加工をし、割れや欠けを起きにくくしている。
図3のCは、広葉樹の丸太を示す、比較的割れが生じにくいので、丸太のままで使えることが多い。
また、木材脚の上端面に、薬液や樹脂を含侵させ、平滑にすることで接着強度を上げることができる。
図4は丸太を良く乾かした上で、Dは丸太を2分割、Eは扇形に4分割、Fは扇形に6分割し、分割切断面を平滑に加工してから接着したものである。丸太を乾燥後接着した集成材で同心円状の年輪木目を残しながら割れが生じにくい。
脚全体に薬液や樹脂を含侵させたり、加圧注入すると、強度が増し、湿度による膨張収縮も少なくなり、接着剥がれや脚が取れる可能性も少なくなる。
図5のGは角材の集成材ではあるが外観の丸太形状を残すようにしたもの。図5のH、Iは集成角材である。
加圧圧縮し、熱処理により形状を固定化し、接着端面を平滑にすれば、ガラストップとの接着強度も増す。また、湿度による膨張収縮も少なくなり、接着剥がれや脚が取れる可能性も少なくなる。
図6に、実施の形態1の脚2の断面図を示す。木材脚のくり抜き空洞2-3は、テーブル全体を軽くするためと、脚を傾けようとするときの応力負荷を少なくするためである。
図7に、実施の形態2を示す。脚には三又枝を、木が生えていたように枝がわかれている方を上にし、その木口面をガラス面に接着する。これにより、接着位置の範囲が広がり、横方向の応力に対して強い。
三又の木口の合計接着面積は、概ね三又枝の接着木口の中心の点を3点とする三角形の内接円の直径を、「脚の長さの1/10」で割った数で、「1本の木の脚である場合の接着面積」を割った面積でよい。
その式は ((脚長/10)×(脚長/10)×2)÷(内接円直径÷(脚長/10))≦接着面積となる。
例えば、脚の長さが30cmで、三又枝の内接円直径が12cmであれば、(3cm×3cm×2)÷12/3cm=4.5平方cmになる。
本願発明は、テーブルや机、棚、椅子等の他、オーディオ機器などの置台や飾り壁面、浮かし床などの家具としても使える。
1 透光性ガラストップ
2 木材脚
2-1 木材脚接着下部
2-2 木材脚
2-3 木材脚のくり抜き空洞
22 三又木材の脚
3 透光性接着剤
4 背割埋込材
5 挿入材
6 くり抜き丸太

Claims (3)

  1. 透光性ガラスの下面に透光性接着剤で接着されることで、透光性ガラスと透光性接着剤と木材脚の上端面との間に空気が入らない、木材脚の上端面が視認可能な構造において、
    透光性接着剤の硬化時の厚さが0.5mm以上、1mm以下で、
    脚1本につき接着面積が脚の長さの1/10の寸法を2乗した数値の2倍以上の面積、
    または、三又の木の3つの木口の合計接着面積が、三又の木の接着木口の中心点を3点とする三角形の内接円の直径を「脚の長さの1/10」で割った数で、「1本の木の脚である場合の接着面積」を割った数値以上の面積とする、
    木材脚取付構造。
  2. 透光性ガラストップの下面に、年輪を持つ木材脚の上端面が透光性接着剤で接着された、請求項1に記載の構造を持つガラストップ家具。
  3. 脚が三又に分かれた木の枝であり、分かれた木の枝の木口が透光性ガラストップに透光性接着剤で接着されている、請求項1に記載の構造を持つガラストップ家具。
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