JP7206146B2 - 発酵状態監視装置、発酵装置及び発酵装置の制御方法 - Google Patents

発酵状態監視装置、発酵装置及び発酵装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、発酵物の発酵状態を非侵襲的に診断する発酵状態監視装置、発酵装置及び発酵装置の制御方法に関する。
膨化食品であるパンは、混合、発酵、焼き等の工程を経て工業的に製造されている。混合の工程では、小麦粉、ライ麦粉等に、イーストや化学的膨張剤、水、塩等がブレンドされてパン生地が作られる。発酵の工程では、半固体状のパン生地が発酵させられて膨張した状態になる。焼きの工程では、膨張した状態のパン生地が高温に加熱されて焼かれる。
発酵の基質である糖等を含むパン生地は、発酵によって、二酸化炭素(CO)、エタノール(COH)、乳酸(C)、L-リンゴ酸(C)、コハク酸(C)等を生成する。二酸化炭素は、パン生地中に気泡を形成して膨らませ、パンの仕上がりの質感を左右する。また、エタノール、乳酸、L-リンゴ酸、コハク酸等は、固有の味・香りをもたらす。これらの発酵成分が生成したパン生地が焼かれると、パンに固有の芳香・焼き色が加わり、目的の品質の完成品が得られる。
工業的な製パンのプロセスでは、発酵の工程が、完成品の品質に関わる重要な工程として位置付けられている。発酵の工程で問題となる事象としては、イーストの代謝異常等が原因で起こる発酵不良がある。発酵が不足すると、パン生地が十分に膨張せず、固有の味・香りをもたらす代謝成分が少なくなる。このような非発酵のパン生地が焼きの工程に送られた場合、完成品群の中に、風味や仕上がりの美観が悪い不良品が混在した状態になる問題がある。
従来、パン生地をはじめ、半固体状物を加工・発酵させる製造プロセスにおいて、製造プロセスの異常の有無を確認・診断する技術が提案されている。
特許文献1には、パン生地の発酵状態を確認する技術が記載されている。特許文献1では、パン生地を収容する密閉容器内の圧力を計測する圧力測定手段と、パン生地の高さを計測する高さ測定手段と、を備える装置で、パン生地から発生するガスの圧力変化とパン生地の高さの変化とを測定し、圧力データと高さデータを基準データと比較している。
特許文献2には、豆腐、こんにゃく等のゲル形成性食品の物性変化を測定する技術が記載されている。特許文献2では、可視光から赤外線領域の特定波長領域の光を用いる分光分析計測システムによって、ゲル形成性食品の成分含量変化を伴わない物性変化を測定している。
特許第4486021号公報 特許第4697764号公報
中間製品を加工する製造プロセスにおいて、製造プロセスの異常の有無は、プロセス中の中間製品の物理的な状態量、例えば、高さ、体積等を計測すると、或る程度の精度で診断することができる。しかし、プロセス中の中間製品が、パン生地のように発酵物である場合には、完成品の品質がプロセス中の発酵状態によって大きく左右される。製品間・ロット間で均一に近い品質を実現し、製造プロセスにおける歩留りを向上させるには、物理的な状態量の計測だけではなく、より直接的な指標による診断が望まれる。
特許文献1に記載された技術では、物理的な状態量である圧力、高さ等が計測されている。しかし、パンの風味は発酵成分の影響を受けるため、十分な品質管理を行うのは難しいと考えられる。特許文献1には、より正確な確認を行うために用いる手段として温度測定手段が記載されているが、パン生地の内部に侵入させて検知する温度センサでは、パン生地が汚染される虞がある。
また、特許文献2に記載された技術では、ゲル形成性食品の破断力、硬さ、弾力、保水性、粘度、流動性、凝固、沈殿物の有無が計測されている。しかし、これらの状態量は、いずれも物理的な状態量であるといえる。特許文献2に記載された技術は、プロセス中の発酵状態のような化学的な状態を診断するものとはなっていない。
そこで、本発明は、発酵物の発酵状態を非侵襲的且つ高精度に診断することができる発酵状態監視装置、発酵装置及び発酵装置の制御方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る発酵状態監視装置は、発酵物に光を照射して前記発酵物からの反射光を計測する光学計測器と、前記反射光の光学スペクトルに基づいて前記発酵物中の代謝成分の状態量を求める分析装置と、前記発酵物の高さを計測する距離センサと、前記発酵物中の代謝成分の状態量と、前記発酵物の高さと、に基づいて発酵状態を診断する診断装置と、前記発酵状態の診断結果を表示する表示手段と、を備え、前記発酵物は、半固体状物であるパン生地であり、前記光学計測器は、前記発酵物に近赤外光を照射して前記発酵物の表面からの反射光を検出する反射測定型の近赤外分光計測器であり、前記発酵物中の代謝成分の状態量、及び、前記発酵物の高さは、発酵を開始してから計測を行うまでの経過時間と紐付けられて、多次元データである計測データとして前記診断装置に入力され、前記診断装置は、発酵状態が未知である発酵物について計測された前記計測データと、発酵状態が正常である発酵物について計測された前記計測データとが、データの類似度に応じた同じカテゴリに分類されるかどうかに基づいて、前記発酵物の発酵状態を診断する
また、本発明に係る発酵装置は、半固体状物を発酵させる発酵用容器と、前記発酵用容器内で発酵している発酵物に光を照射して前記発酵物からの反射光を計測する光学計測器と、前記反射光の光学スペクトルに基づいて前記発酵物中の代謝成分の状態量を求める分析装置と、前記発酵物の高さを計測する距離センサと、前記発酵物中の代謝成分の状態量と、前記発酵物の高さと、に基づいて発酵状態を診断する診断装置と、を備え、前記発酵物は、半固体状物であるパン生地であり、前記光学計測器は、前記発酵物に近赤外光を照射して前記発酵物の表面からの反射光を検出する反射測定型の近赤外分光計測器であり、前記発酵物中の代謝成分の状態量、及び、前記発酵物の高さは、発酵を開始してから計測を行うまでの経過時間と紐付けられて、多次元データである計測データとして前記診断装置に入力され、前記診断装置は、発酵状態が未知である発酵物について計測された前記計測データと、発酵状態が正常である発酵物について計測された前記計測データとが、データの類似度に応じた同じカテゴリに分類されるかどうかに基づいて、前記発酵物の発酵状態を診断する
また、本発明に係る発酵装置の制御方法は、半固体状物を発酵させる発酵用容器を備える発酵装置の制御方法であって、前記発酵用容器内で発酵している発酵物に光を照射して前記発酵物からの反射光を計測すると共に前記発酵物の高さを計測する計測工程と、前記反射光の光学スペクトルに基づいて前記発酵物中の代謝成分の状態量を求める分析工程と、前記発酵物中の代謝成分の状態量と、前記発酵物の高さと、に基づいて発酵状態を診断する診断工程と、を含み、前記発酵物は、半固体状物であるパン生地であり、前記反射光の計測に用いられる光学計測器は、前記発酵物に近赤外光を照射して前記発酵物の表面からの反射光を検出する反射測定型の近赤外分光計測器であり、前記発酵物中の代謝成分の状態量、及び、前記発酵物の高さは、発酵を開始してから計測を行うまでの経過時間と紐付けられて、多次元データである計測データを構成し、前記診断工程において、発酵状態が未知である発酵物について計測された前記計測データと、発酵状態が正常である発酵物について計測された前記計測データとが、データの類似度に応じた同じカテゴリに分類されるかどうかに基づいて、前記発酵物の発酵状態を診断する
本発明に係る発酵状態監視装置、発酵装置及び発酵装置の制御方法は、発酵物の発酵状態を非侵襲的且つ高精度に診断することができる。
本発明の実施形態に係る発酵状態監視装置の一例を模式的に示す図である。 診断装置の構成を示すブロック図である。 データを分類する処理について説明する図である。 データを分類する処理で得られる結果の一例を示す図である。 分類した結果を診断に用いる処理について説明する図である。 発酵状態監視装置の診断フェーズにおける運転を示す図である。 発酵状態監視装置の診断フェーズにおける使用態様の一例を模式的に示す図である。 発酵状態監視装置の診断フェーズにおける運転を示す図である。 発酵装置の診断フェーズにおける運転を示す図である。 アルコール発酵の代謝経路を示す図である。 還元的クエン酸回路の代謝経路を示す図である。 パン生地の発酵状態を診断した結果を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る発酵状態監視装置、発酵装置及び発酵装置の制御方法について、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において共通する構成については同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る発酵状態監視装置の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る発酵状態監視装置100は、温度及び湿度が管理される発酵室20の内部に備えられる。発酵状態監視装置100は、光学計測器1と、アンプ13と、A/Dコンバータ14と、分析制御装置(分析装置)15と、診断装置16と、昇降装置22と、距離センサ23と、を備えている。
発酵状態監視装置100は、光学計測器1による計測に基づいて、発酵の基質を原材料として含む半固体状物(発酵物)2の発酵状態を監視する。発酵状態監視装置100は、半固体状物2の発酵中又は発酵後に、半固体状物2の発酵状態が異常であるか否かを診断し、発酵により生産される発酵物の発酵状態が正常であるか不良であるかについて診断結果を示す。
光学計測器1は、発酵室20の内部の上方に、昇降装置22を介して取り付けられる。光学計測器1の下方には、発酵用容器21が載置される。発酵用容器21は、半固体状物2を入れる箱型の容器である。半固体状物2は、発酵用容器21内で発酵して目的の発酵物となる。
発酵用容器21で発酵させる半固体状物2としては、発酵の基質を原材料として含む半流動的な物質を用いることができる。発酵させる半固体状物2の具体例としては、パン生地が挙げられる。パン生地は、未発酵の直捏ね生地であってもよいし、中種を加えた本捏ね生地であってもよい。中種は、本発酵の事前に一部の原材料を予め発酵させて、半固体の状態(中種生地)や液体の状態(液種)として加えることができる。
発酵室20には、室内の温度を制御する温度制御装置17、室内の湿度を制御する湿度制御装置18、温度を測定する温度センサ24、湿度を測定する湿度センサ25が備えられる。温度制御装置17、湿度制御装置18、温度センサ24、及び、湿度センサ25は、発酵制御装置19と電気的に接続される。
光学計測器1は、発酵用容器21内で発酵している半固体状物(発酵物)2に光を照射して半固体状物2からの反射光を計測する。半固体状物2が発酵すると、微生物の代謝によって、種々の化学物質の生成や分解が起こる。光学計測器1は、このような発酵時の反応に関わっている種々の代謝成分の状態量を定量するために用いられる。
光学計測器1としては、例えば、近赤外分光計測器、中赤外分光計測器、ラマン分光計測器等を用いることができる。近赤外分光計測器では、波長800~2500nmの赤外光が用いられる。中赤外分光計測器では、波長2.5~25μmの赤外光が用いられる。これらの分光計測器によると、分子構造に固有な分子振動による光吸収が検出されるため、代謝成分の定性分析及び定量分析が可能である。
光学計測器1としては、半固体状物(発酵物)2に近赤外光を照射して半固体状物2の表面からの反射光を検出する反射測定型の近赤外分光計測器が特に好ましい。以下では、光学計測器1として、反射測定型・非分散型の近赤外分光計測器を用いる例を説明する。
図1に示すように、光学計測器1は、近赤外線領域の赤外光(試料光5,参照光6)を出射する光源3と、偏心した位置にフィルタ付きの孔が設けられた回転盤4と、赤外光である試料光5を試料に照射するための投光ミラー7と、試料から反射した反射光を集光する集光ミラー8と、反射光を分光する光学フィルタ9と、反射光を検出する検出器10と、赤外光である参照光6を反射する反射ミラー11,12と、を備えている。
光源3は、赤外光である試料光5及び参照光6を、回転盤4に向けて出射する。光学計測器21において、赤外光の光路は二つある。試料光5及び参照光6は、光源3から並行に進み、試料光5は投光ミラー7に向かい、参照光6は反射ミラー11に向かう。試料光5及び参照光6が進む光路上には、不図示のモータによって回動が駆動される回転盤4が設けられている。回転盤4の孔には、所定の波長領域の赤外光を透過させる光学フィルタが取り付けられている。
回転盤4は、間欠的に回動することによって、光学フィルタが取り付けられた孔の位置を、試料光5の光路側、及び、参照光6の光路側のうち、いずれかに移動させる。参照光6が回転盤4で遮断されるとき、試料光5が孔を通る。一方、試料光5が回転盤4で遮断されるとき、参照光6が孔を通る。そのため、断続的な所定の波長領域の赤外光が、回転盤4を交互に通過して試料や検出器10に向かう。
回転盤4を通過した試料光5は、投光ミラー7にあたって反射されて、発酵用容器21に入れられた半固体状物2に照射される。半固体状物2に照射された赤外光は、半固体状物2に含まれる成分によって吸収・散乱される。半固体状物2に照射された赤外光の一部は、半固体状物2の表面で反射し、集光ミラー8にあたって集光され、光学フィルタ9を通って検出器10に入射する。
一方、回転盤4を通過した参照光6は、反射ミラー11,12にあたって反射され、半固体状物2に照射されることなく、光学フィルタ9を通って検出器10に入射する。試料光5や参照光6が検出器10に入射すると、光検出素子によって電気信号に変換される。光学計測器1による電気信号は、アンプ13で増幅され、A/Dコンバータ14でデジタル信号に変換されて、分析制御装置15に入力される。
計測の対象である半固体状物2では、発酵の進行に伴い、炭素-水素結合等を含む種々の有機物が生成したり分解されたりする。しかし、通常、半固体状物2は、光の透過率が低く、内部や表面に多量の水分を含んでいる。反射測定型の近赤外分光計測器によると、このような半固体状物2に含まれる代謝成分の定性分析及び定量分析が可能である。近赤外光によると、吸光度が比較的弱くなるため、測定試料を調製しなくとも、発酵中の半固体状物2をリアルタイムで直接的に計測することができる。
距離センサ23は、発酵用容器21内の半固体状物2(発酵物)の高さを計測する。半固体状物2が発酵すると、二酸化炭素の発生によって、半固体状物2が膨張して、高さや体積が増大する。距離センサ23は、光学計測器1と半固体状物2の表面との間の距離を調整する目的や、発酵状態の診断に用いる半固体状物2の状態量、例えば、半固体状物2の高さ、体積等を計測する目的で用いられる。
距離センサ23としては、例えば、赤外線レーザ等を照射して反射光を計測する反射型のレーザ式センサを備えることができる。距離センサ23が測定した半固体状物2の高さの電気信号は、分析制御装置15に入力される。
昇降装置22は、光学計測器1を発酵室20内に支持している。昇降装置22は、光学計測器1を発酵室20内に載置される発酵用容器21に対して昇降可能に設けられている。光学計測器1による計測を行う発酵中には、光学計測器1と半固体状物2の表面との間の距離が、昇降装置22によって、計測に適した所定の範囲内に保たれる。
分析制御装置15は、光学計測器1の制御や、光学計測器1による計測結果の分析を行う。また、分析制御装置15は、距離センサ23による計測結果の演算を行う。光学計測器1の光源3や回転盤4の動作、検出器10や距離センサ23による検出、昇降装置22の動作等は、分析制御装置15によって制御される。
分析制御装置15は、光学計測器1による半固体状物2の計測が行われると、試料光5による半固体状物2からの反射光の光強度と、参照光6の光強度との差分から、半固体状物2からの反射光の光学スペクトルを求める。光学スペクトルの吸収波長は、半固体状物2の表面に存在する成分の伸縮振動や変角振動に固有である。また、吸光度は、半固体状物2の表面に存在する成分の量(厚さ)に比例する。そのため、吸収波長と吸光度との関係を示す光学スペクトルに基づいて、代謝成分の種類毎に状態量を求めることができる。
分析制御装置15は、光学計測器1による半固体状物2の計測が行われると、半固体状物2(発酵物)からの反射光の光学スペクトルに基づいて半固体状物2中の代謝成分の状態量を求める成分分析を行う。分析する代謝成分の種類は、一種であってもよいし、複数種であってもよいが、複数種であることが好ましい。分析する代謝成分は、発酵によって生成する成分であってもよいし、発酵によって減少する成分であってもよい。
分析する代謝成分の具体例としては、グルコース等の発酵の基質や、二酸化炭素、ピルビン酸、アセトアルデヒド、エタノール、乳酸、オキサロ酢酸、L-リンゴ酸、フマル酸、コハク酸等が挙げられる。分析する代謝成分の種類は、特に制限されるものではないが、少なくとも有機物を含む複数種を分析することが好ましい。
分析する代謝成分の状態量の具体例としては、代謝成分の濃度[Ci(t)]、代謝成分の濃度の時間変化量[dCi(t)/dt]等が挙げられる。発酵状態の診断には、これらの状態量のうち、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。これらの状態量は、所定のサンプリング間隔の計測によって、発酵を開始してから半固体状物2の計測を行うまでの経過時間(発酵時間)と紐付けられる。
代謝成分の状態量を求める成分分析の方法としては、多変量解析、単波長解析等を用いることができる。多変量解析の手法としては、例えば、重回帰分析、クラスタ分析、主成分分析等の各種の手法を、任意の波長領域を用いた計測に適用することができる。単波長解析の手法としては、光の吸収が特定の成分に強く依存するような波長領域の単波長光を用いて計測を行い、状態量が未知の試料の光強度を、状態量が既知の試料で作成した検量線と比較する方法が挙げられる。
代謝成分の状態量を求める成分分析の方法としては、重回帰分析を用いることが好ましい。重回帰分析を用いる場合、光スペクトルと代謝成分の状態量との関係を求めるために、状態量が既知である多数の試料を用いて、多数の計測を行っておく必要がある。しかし、重回帰分析によると、共線性が低い代謝成分を適切に解析することにより、発酵状態の診断に有効な多種類の代謝成分の状態量を、比較的高い精度で求めることができる。
また、分析制御装置15は、距離センサ23による計測が行われると、光学計測器1と半固体状物2の表面との間の距離に基づいて半固体状物(発酵物)2の状態量を求める演算を行う。演算する半固体状物の状態量の種類は、一種であってもよいし、複数種であってもよい。
演算する半固体状物2の状態量の具体例としては、半固体状物2の高さ[H(t)]、半固体状物2の体積[V(t)]、半固体状物2の高さの時間変化量[dH(t)/dt]、半固体状物2の体積の時間変化量[dV(t)/dt]等が挙げられる。発酵状態の診断には、これらの状態量のうち、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。これらの状態量は、所定のサンプリング間隔の計測によって、半固体状物2中の代謝成分の状態量と同じ発酵時間と紐付けられる。
半固体状物2中の代謝成分の状態量のデータや、半固体状物2の状態量のデータは、所定のサンプリング間隔で計測された後、発酵を開始してから半固体状物2の計測を行うまでの経過時間(発酵時間)と紐付けられることにより、多次元データである計測データを構成する。計測データは、診断装置16に入力される。
なお、発酵状態の診断において、複数種の代謝成分の状態量を用いる場合には、発酵状態の診断に半固体状物2の状態量を用いなくてもよい。発酵状態の診断に半固体状物2の状態量を用いない場合には、分析制御装置15で半固体状物2の状態量を求めなくてもよい。
診断装置16は、半固体状物(発酵物)2中の代謝成分の状態量や、半固体状物2の状態量に基づいて、半固体状物2の発酵状態を診断する。発酵状態の診断では、クラスタリング技術が用いられる。診断装置16では、発酵状態が未知の発酵物について計測された計測データが、データの類似度に応じたカテゴリ毎に分類される。そして、発酵状態が未知の発酵物について計測された計測データが、発酵状態が未知の発酵物について計測された既存の計測データと同じカテゴリに分類されるかどうかに基づいて、半固体状物2の発酵状態を診断する。
温度制御装置17は、発酵室20内の温度を所定の温度域に制御するための装置である。温度制御装置17としては、例えば、電気オーブン式装置、ガスオーブン式装置、電磁誘導加熱式装置、蒸気加熱式装置等の各種の装置を備えることができる。温度制御装置17は、発酵室20内の温度センサ24による計測に基づいて、発酵制御装置19により制御される。
湿度制御装置18は、発酵室20内の湿度を所定の湿度域に制御するための装置である。湿度制御装置18としては、例えば、電熱式加湿器、電極式加湿器、遠心式加湿器、噴霧式加湿器等の各種の装置を備えることができる。湿度制御装置18は、発酵室20内の湿度センサ25による計測に基づいて、発酵制御装置19により制御される。
図2は、診断装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、診断装置16は、外部入力インターフェイス210と、外部出力インターフェイス220と、計測データを格納する計測データベース230と、データをクラスタリングする演算装置である分類手段240と、分類結果データを格納する分類結果データベース250と、発酵状態の診断を行う演算装置である診断手段260と、を備えている。
分類手段240や診断手段260は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の演算装置によって構成することができる。計測データベース230や分類結果データベース250は、例えば、ハードディスク等の記憶装置によって構成することができる。診断装置16には、分析制御装置15、入力手段120及び表示手段140が、電気的に接続される。
入力手段120は、診断装置16を操作するためのデータの入力に用いる装置である。入力手段120は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、トラックボール等の各種の装置によって構成することができる。
表示手段140は、診断装置16によって診断された発酵状態の診断結果を表示する装置である。表示手段140は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、ブラウン管の各種の装置によって構成することができる。
表示手段140は、半固体状物2の発酵状態の診断結果として、半固体状物2の発酵状態が不良である旨や、半固体状物2に異常発酵が発生した旨等を、例えば、言語、記号、色等で操作者に表示する。表示する診断結果の内容としては、計測データの分類の結果を示すテーブルの表示、マッピングの表示、計測データが分類されたカテゴリの代表値の表示等が含まれていてもよい。
診断装置16には、半固体状物2中の代謝成分の状態量のデータや半固体状物2の状態量のデータを含む多次元データである計測データの信号が、外部入力インターフェイス210を介して入力される。分析制御装置15から送られる計測データは、計測データベース230に格納される。また、診断装置16には、操作者によって入力手段120に入力された診断装置16を操作するための信号が、外部入力インターフェイス210を介して入力される。
診断装置16からは、診断装置16によって診断された半固体状物2の発酵状態の診断結果を表示するための画像信号が、外部出力インターフェイス220を介して表示手段140に出力される。
分類手段240は、クラスタリング技術を用いて、半固体状物2中の代謝成分の状態量のデータや半固体状物2の状態量のデータを含む多次元データである計測データを、データの類似度に応じたカテゴリ毎に分類する。分類手段240は、所定のアルゴリズムに従って、計測データベース230に格納された計測データをカテゴライズし、特定のカテゴリと紐付けられた計測データに相当する分類結果データを、分類結果データベース250に格納する。
分類結果データベース250は、半固体状物2の発酵状態の診断の事前に、発酵状態が正常である発酵物について計測された計測データを、データの類似度に応じたカテゴリ毎に分類された状態で格納している状態に用意される。発酵状態が正常である発酵物について計測された計測データが帰属するカテゴリは、発酵状態が正常であることを示す正常カテゴリとなる。
診断手段260は、発酵状態が未知の発酵物について計測された計測データについて、発酵状態が正常である発酵物の計測データで構成される正常カテゴリに分類されないことを示す数量を定量する。発酵状態が未知の発酵物について計測された現在の計測データは、分析制御装置15から入力される。既存の正常カテゴリのデータは、分類結果データベース250から取得される。そして、定量の結果に基づいて半固体状物2の発酵状態を診断する。発酵状態の診断結果は、外部出力インターフェイス220に出力され、画像データに変換されて表示手段140に出力される。
図3は、データを分類する処理について説明する図である。
図3には、クラスタリング技術の一種である適応共鳴理論(Adaptive Resonance Theory:ART)を用いた分類手段240における処理を示す。図3に示すように、ARTを用いた分類手段240は、データ前処理装置310と、ARTモジュール320と、を備える。
ARTでは、半固体状物2中の代謝成分の状態量のデータや半固体状物2の状態量のデータを含む多次元データである計測データを、データの類似度に応じたカテゴリに分類することができる。計測データが既存のカテゴリに分類されないとき、新規のカテゴリが自動生成されるため、計測データのパターンを機械学習させることができる。発酵状態が正常であることを示す正常カテゴリを学習させると、そのカテゴリへの帰属の程度に基づいて、異常を診断することができる。
データ前処理装置310には、計測データが入力される。データ前処理装置310では、入力された計測データが、所定のアルゴリズムに従って、以下の手順で、ARTモジュール320への入力データに変換される。
データ前処理装置310では、はじめに、多次元データである計測データの項目毎に、最大値と最小値を計算する。計算した最大値と最小値は、計測データベース230に格納される。
続いて、計算した最大値と最小値を用いてデータを正規化する。xiで表されるデータの数がN個、n番目の計測値がxi(n)、N個中の最大値がMax_i、N個中の最小値がMin_iとすると、正規化したデータNxi(n)は、次の数式で表される。
Nix(n)=α+(1-α)×(xi(n)-Min_i)
/(Max_i-Min_i)・・・(1)
ここで、αは0≦α<0.5を満たす定数である。データは[α,1-α]の範囲に正規化される。
続いて、正規化したデータNix(n)の補数を計算して入力データに加える。正規化したデータNxi(n)の補数CNxi(n)は、次の数式で表される。
CNxi(n)=1-Nxi(n)・・・(2)
正規化したデータNxi(n)及び補数CNxi(n)からなる入力データは、ARTモジュール320に入力される。
ARTモジュール320では、データ前処理装置310で変換された入力データが、複数のカテゴリに分類される。ARTモジュール320は、F0レイヤ321と、F1レイヤ322と、F2レイヤ323と、メモリ324と、Orienting Subsystem(選択サブシステム)325と、を相互に結合した状態で備えている。
F1レイヤ322とF2レイヤ323とは、重み係数を介して結合している。重み係数は、カテゴリの原型であるプロトタイプを表している。F0レイヤ321では、入力データを各時刻で再度正規化し、F1レイヤ322及び選択サブシステム325に入力する正規化入力ベクトルを作成する。F1レイヤ322では、正規化入力ベクトルを短期記憶として保持し、F2レイヤ323への入力を計算する。ARTモジュール320では、次のステップS1~S5の順に処理が行われる。
ステップS1では、F0レイヤにより入力ベクトルの大きさが1になるように正規化される。また、ノイズが除去される。
ステップS2では、F1レイヤに入力された入力データと重み係数との比較により、ふさわしいカテゴリの候補が選択される。
ステップS3では、選択サブシステムで選択したカテゴリの妥当性がパラメータρとの比較により評価される。妥当であると、入力データは、そのカテゴリに分類されてステップS4に進む。妥当でないと、そのカテゴリはリセットされ、他のカテゴリから、ふさわしいカテゴリの候補が選択される(ステップS2に戻る)。
パラメータρは、警戒パラメータと呼ばれる。パラメータρの値を大きくすると、カテゴリの数が多くなり、データの分類が細かくなる。反対に、パラメータρの値を小さくすると、カテゴリの数が少なくなり、データの分類が粗くなる。
ステップS4では、全ての既存のカテゴリがリセットされると、新しく選択されたカテゴリの候補が新規カテゴリと判断され、新規カテゴリのプロトタイプを表す新しい重み係数を生成する。
ステップS5では、入力データがカテゴリJに分類されると、カテゴリJに対応する重み係数WJ(new)が、過去の重み係数WJ(old)と入力データp(または、入力データから派生したデータ)から、次の数式で更新される。
WJ(new)=Kw・p+(1-Kw)・WJ(old)・・・(3)
ここで、Kwは、学習率パラメータである。学習率パラメータは、入力ベクトルを新しい重み係数に反映させる度合いを決定する。
このようなARTを用いた処理によると、計測データは、計測された項目毎のデータの類似度に応じたカテゴリ毎に分類される。既存のカテゴリに類似していない計測データは、新しく生成される新規のカテゴリに分類される。計測データに対応したカテゴリを記憶しつつ新規のカテゴリを自動生成させて教師なし学習を行うことができるため、診断の精度を計測毎に段階的に高めながら、高精度な診断を実現することができる。
表1は、計測データのデータベースの一例である。表1では、半固体状物2中の代謝成分の状態量のデータとして、3種類の代謝成分(C,C,C)の濃度[Ci(t)]のデータと、3種類の代謝成分(C,C,C)の濃度の時間変化量[dCi(t)/dt]のデータを示している。また、半固体状物2の状態量のデータとして、半固体状物2の高さ[H(t)]のデータを示している。
Figure 0007206146000001
表1に示すデータベースは、発酵時間[t]のデータを含む多数の計測データを時系列で整理されるように格納している。発酵時間[t]は、発酵を開始してから半固体状物2の計測を行うまでの経過時間である。発酵時間毎の計測データは、分類手段240によってカテゴライズされると、分類結果データベース250に格納される。計測データに付与されているカテゴリ識別番号は、カテゴリの識別子の一例である。
図4は、データを分類する処理で得られる結果の一例を示す図である。
図4に示すように、多数の半固体状物2を任意の発酵条件で発酵させて発酵時間毎の計測データを取得し、得られた計測データをデータの類似度に応じて分類すると、パラメータの設定により、通常、複数のカテゴリに分類される。図4には、半固体状物2中の代謝成分の状態量として、3種類の代謝成分の濃度(C,C,C)のデータを含む多次元データである計測データが、4つのカテゴリ(Cat.1~4)に分類されたときのマッピングの結果を示している。
図4に示す4つのカテゴリ(Cat.1~4)に分類された計測データを取得した半固体状物2について、完成品の発酵状態が正常であることが確認されているとすると、これらのカテゴリ(Cat.1~4)は、発酵状態が正常であることを示す正常カテゴリとなる。正常カテゴリは、多数の半固体状物2を任意の発酵条件で発酵させて発酵時間毎の計測データを収集することにより、診断装置16に予め記憶させておくことができる。
図5は、分類した結果を診断に用いる処理について説明する図である。
図5に示すように、診断の対象である半固体状物2を発酵させて、発酵時間毎に計測データを取得し、得られた計測データをデータの類似度に応じて分類すると、半固体状物2の発酵状態が正常であれば、現在の計測データが既存のカテゴリに分類されていく。一方、半固体状物2に発酵異常が生じると、半固体状物2中の代謝成分の状態量や、半固体状物2の状態量が、通常の計測値の範囲から逸脱するため、新しい計測データは新規のカテゴリに分類される。
例えば、4つのカテゴリ(Cat.1~4)が、発酵状態が正常であることを示す正常カテゴリであるとすると、新しい計測データが既存の正常カテゴリ(Cat.1~4)に分類されず新規のカテゴリ(Cat.5)に分類される状態は、発酵異常が発生している可能性が高い状態となる。診断手段260では、発酵状態が未知の発酵物について計測された現在の計測データが、正常カテゴリに分類されないことを、頻度、割合等の数量として定量することにより診断を行うことができる。
正常カテゴリに分類されない計測データを定量する方法としては、基準時以降に正常カテゴリ以外のカテゴリに分類された計測データの数を計数する方法、基準時以降に生成した新規のカテゴリの数を計数する方法、基準時以降に生成した新規のカテゴリの既存のカテゴリに対する割合を計算する方法等を用いることができる。基準時としては、例えば、正常カテゴリを学習するためのフェーズを終了した後であって、発酵状態を診断しようとする半固体状物2の発酵を開始する時点を設定することができる。
半固体状物2の発酵状態が異常であると診断する具体的条件としては、例えば、基準時以降に正常カテゴリ以外のカテゴリに分類された計測データの数が閾値を超えたときや、基準時以降に生成した新規のカテゴリの数が閾値を超えたときや、基準時以降に生成した新規のカテゴリの既存のカテゴリに対する割合が閾値を超えたとき等が挙げられる。
次に、本実施形態に係る発酵状態監視装置の制御方法(運転方法)について説明する。
発酵状態監視装置100は、半固体状物(発酵物)2の発酵状態の診断を行うに際して、学習フェーズと、診断フェーズと、に分けて運転することができる。学習フェーズは、半固体状物2の発酵状態について機械学習を行う段階である。診断フェーズは、半固体状物2の発酵状態を診断する段階である。
学習フェーズでは、発酵状態が正常である半固体状物2が一定数以上得られるように、多数の半固体状物2を通常の発酵条件を含む種々の発酵条件で発酵させて、半固体状物2中の代謝成分の状態量や半固体状物2の状態量を計測し、計測データのパターンを学習させる。学習フェーズの発酵は、実験室レベルの小規模な発酵用容器で行ってもよいし、完成品の生産に用いる生産レベルの発酵用容器で行ってもよい。
診断フェーズでは、発酵状態を診断しようとする半固体状物2を、学習フェーズと同様の発酵条件で発酵させて、半固体状物2中の代謝成分の状態量や半固体状物2の状態量を計測し、半固体状物2の発酵状態を診断する。診断フェーズの発酵は、通常、完成品の生産に用いる生産レベルの発酵用容器で行う。
図6は、発酵状態監視装置の学習フェーズにおける運転を示す図である。
図6に示すように、学習フェーズは、発酵工程S11と、計測工程S12と、分析工程S13と、データベース生成工程S14と、カテゴライズ工程S15と、を含む。
発酵工程S11では、診断用のデータベース(分類結果データベース250)を作成するために、発酵用容器21内で半固体状物2の発酵を行う。発酵用容器21には、所定の原材料比で混合された半固体状物2を入れる。発酵用容器21を収容した発酵室20は、温度制御装置17や湿度制御装置18によって、発酵状態が正常になるような所定の温度及び所定の湿度に維持する。
計測工程S12では、光学計測器1によって、発酵用容器21内で発酵している半固体状物(発酵物)2に光を照射して半固体状物2からの反射光の光学スペクトルを計測する。また、距離センサ23によって、発酵用容器21内で発酵している半固体状物2の高さを計測する。学習フェーズで計測された多数の半固体状物2は、最終的な発酵状態が正常であることが、診断フェーズの前に確認される。
発酵用容器21内で発酵している半固体状物2は、発酵の進行に伴って種々の代謝成分を生成し、二酸化炭素で膨張して高さ・体積が増大する。光学スペクトルや半固体状物2の高さの計測は、発酵が進行している間に、所定のサンプリング間隔で互いに同期的な時期に行う。計測結果の信号は、発酵時間のデータと共に分析制御装置15に収集される。
分析工程S13では、計測工程S12で計測された光学スペクトルに基づいて、半固体状物2中の代謝成分の状態量を求める。また、計測工程S12で計測された半固体状物2の高さに基づいて、半固体状物2の状態量を求める。
半固体状物2中の代謝成分の状態量としては、例えば、各種の代謝成分の濃度[Ci(t)]、各種の代謝成分の濃度の時間変化量[dCi(t)/dt]等が、光学スペクトルに基づく多変量解析等で求められる。また、半固体状物2の状態量としては、例えば、半固体状物2の高さ[H(t)]、半固体状物2の高さの時間変化量[dH(t)/dt]等が求められる。或いは、半固体状物2の体積[V(t)]、半固体状物2の体積の時間変化量[dV(t)/dt]等が、高さと発酵用容器21の平面面積に基づいて求められる。
データベース生成工程S14では、発酵時間のデータや半固体状物2中の代謝成分の状態量のデータや半固体状物2の状態量のデータを含む多次元データである計測データから、時系列のデータベース(計測データベース230)を生成する。生成された計測結果のデータベースは、診断装置16に記憶される。
カテゴライズ工程S15では、データベース生成工程S14で生成された計測データを、データの類似度に応じたカテゴリ毎に分類する。計測データベース230中の計測データのカテゴライズが行われると、カテゴリ毎の識別子が付与されたデータベース(分類結果データベース250)が生成される。生成された分類結果のデータベースは、診断装置16に記憶される。
以上の学習フェーズの運転によると、発酵状態が正常である半固体状物2について計測が行われるため、半固体状物2の正常な発酵状態が学習される。診断装置16は、発酵状態が正常である発酵物について計測された計測データを、データの類似度に応じたカテゴリ毎に分類された状態で分類結果データベース250に格納している状態になる。このような学習済みの診断装置16を備える発酵状態監視装置100によると、発酵中又は発酵後に異常発酵を自動的に検知可能なシステムが構築される。
なお、学習フェーズにおける計測データの分類は、ARTを用いて行ってもよいが、他のクラスタリング技術を用いて行ってもよい。但し、ARTを用いると、計測データを、データの類似度に応じた複数のカテゴリ毎に分類し、計測データが、分類結果データベース250に格納されている既存のカテゴリに分類されないとき、新しいカテゴリを生成して当該計測データを帰属させることができる。
学習フェーズでARTを用いると、計測される多数の半固体状物2の発酵状態が互いに異なるような場合であっても、新規のカテゴリが自動生成されて学習されるため、種々の発酵状態を網羅した診断用のデータベース(分類結果データベース250)を容易に構築することが可能である。正常カテゴリからなる診断用のデータベースを用意するにあたり、多数の半固体状物2の中から発酵状態が正常な半固体状物2のみを抽出する必要をなくすことができる。
図7は、発酵状態監視装置の診断フェーズにおける使用態様の一例を模式的に示す図である。図8は、発酵状態監視装置の診断フェーズにおける運転を示す図である。
図7に示すように、診断フェーズでは、光学計測器1と発酵している半固体状物2の表面との間の距離が、学習フェーズと同様の距離に調整されて計測が行われる。図8に示すように、診断フェーズは、発酵工程S21と、計測工程S22と、分析工程S23と、多次元データ生成工程S24と、診断工程S25と、判定工程S26と、を含む。
発酵工程S21では、目的の発酵状態に発酵させた半固体状物2(発酵物)を生産するために、発酵用容器21内で半固体状物2の発酵を行う。発酵用容器21には、所定の原材料比で混合された半固体状物2を入れる。発酵用容器21を収容した発酵室20は、温度制御装置17や湿度制御装置18によって、発酵状態が正常になるような所定の温度及び所定の湿度に維持する。
計測工程S22では、光学計測器1によって、発酵用容器21内で発酵している半固体状物(発酵物)2に光を照射して半固体状物2からの反射光の光学スペクトルを計測する。また、距離センサ23によって、発酵用容器21内で発酵している半固体状物2の高さを計測する。診断フェーズでは、学習フェーズと同様の発酵時間における光学スペクトルや半固体状物2の高さを計測する。計測結果の信号は、発酵時間のデータと共に分析制御装置15に収集される。
分析工程S23では、計測工程S22で計測された光学スペクトルに基づいて、半固体状物2中の代謝成分の状態量を求める。また、計測工程S22で計測された半固体状物2の高さに基づいて、半固体状物2の状態量を求める。これらの状態量は、分析工程S13と同様に求められる。
多次元データ生成工程S24では、発酵時間のデータや半固体状物2中の代謝成分の状態量のデータや半固体状物2の状態量のデータを含む多次元データであり、発酵している半固体状物2の現在の状態を示す計測データを生成する。計測データは、診断装置16の計測データベース230に格納される。
診断工程S25では、半固体状物2中の代謝成分の状態量や、半固体状物2の状態量に基づいて、半固体状物2の発酵状態が異常であるか否かを診断する。発酵状態の診断は、多次元データ生成工程S24で生成された発酵状態が未知の発酵物について計測された現在の計測データについて、既存の正常カテゴリに分類されないことを示す数量を定量することによって行う。正常カテゴリのデータは、データベース生成工程S14で生成された分類結果データベース260から取得される。発酵状態が未知の発酵物について計測された計測データが正常カテゴリに分類されないことを示す数量が、予め設定されている閾値を超えたとき、半固体状物2の発酵状態が異常であると診断することができる。
判定の結果、半固体状物2の発酵状態が異常でないと(診断工程S25;No)、判定工程S26に進む。
一方、判定の結果、半固体状物2の発酵状態が異常であると(診断工程S25;Yes)、半固体状物2の発酵を終了する。このとき、表示手段140は、半固体状物(発酵物)2の発酵状態が不良である旨を表示する。発酵用容器21内の半固体状物2は、発酵状態が不良であるため、以降の工程から除くことができる。
判定工程S26では、半固体状物2の発酵が所定の終了条件に達したか否かが判定される。発酵の終了条件としては、例えば、所定の総発酵時間等のような適宜の条件を設定することができる。発酵の終了条件は、分析制御装置15、診断装置16、発酵制御装置19等に設定することができる。
判定の結果、半固体状物2の発酵が所定の終了条件に達していないと(判定工程S26;No)、発酵工程S21に戻り、半固体状物2の発酵を継続する。
一方、判定の結果、半固体状物2の発酵が所定の終了条件に達していると(判定工程S26;Yes)、半固体状物2の発酵を終了する。発酵用容器21内の半固体状物(発酵物)2は、発酵状態が正常であるため、以降の工程等に送ることができる。
以上の診断フェーズの運転によると、発酵中の半固体状物2の発酵状態が、学習フェーズで学習された正常な発酵状態に基づいて診断されて、半固体状物2に発酵異常が発生したとき、その半固体状物2の発酵が終了される。発酵状態が正常でない半固体状物2が以降の工程に送られるのを未然に防止することができるため、多数の半固体状物2同士の間や、多数のロット同士の間で品質にばらつきを生じるのを防ぐことができる。また、発酵状態が正常でない半固体状物2が以降の工程に送られて、原材料コスト、ホイロの運転コスト等に無駄が生じるのを防ぐことができる。
なお、診断フェーズにおける計測データの分類は、ARTを用いて行ってもよいが、他のクラスタリング技術を用いて行ってもよい。但し、ARTを用いると、計測データを、データの類似度に応じた複数のカテゴリ毎に分類し、計測データが、分類結果データベース250に格納されている既存のカテゴリに分類されないとき、新しいカテゴリを生成して当該計測データを帰属させることができる。
診断フェーズでARTを用いると、計測される多数の半固体状物2の発酵状態が互いに異なるような場合に、新規のカテゴリが自動生成されて、計測データの新しいパターンとして学習されるため、次回の診断における精度を向上させることができる。
以上の発酵状態監視装置100及び発酵状態監視装置の制御方法によると、光学的に計測される代謝成分の状態量に基づいて、一般に計測が容易でない半固体状物の発酵状態を非侵襲的に診断することができる。発酵状態の診断には、クラスタリング技術が用いられるため、発酵物の発酵状態を機械学習によって強化して高精度な診断を行うことができる。また、発酵状態の診断には、代謝成分の状態量が用いられるため、発酵物の高さのような物理的な状態量のみを用いる場合とは異なり、発酵による化学的な状態が発酵物の品質に悪影響を及ぼすのを避けることができる。そのため、発酵物の生産の効率化や後工程における作業労力の軽減を図ることができる。
次に、本実施形態に係る発酵装置及び発酵装置の制御方法(運転方法)について説明する。
前記の発酵状態監視装置100は、光学計測器1と、アンプ13と、A/Dコンバータ14と、分析制御装置(分析装置)15と、診断装置16と、昇降装置22と、距離センサ23とを備えているが、更に、前記の発酵用容器21と前記の発酵制御装置19とを一体的に設けて、半固体状物2の発酵状態を監視しながら発酵物を生産する発酵装置とすることもできる。
発酵装置においては、診断装置16による半固体状物2の発酵状態の診断の結果に基づいて、温度制御装置17の制御を変更することができる。診断装置16は、温度制御装置17の出力を制御するコントローラを備えることができる。また、診断装置16は、湿度制御装置18の出力を制御するコントローラを備えることができる。
図9は、発酵装置の診断フェーズにおける運転を示す図である。
図9に示すように、発酵装置における診断フェーズは、前記の発酵状態監視装置100と同様に、発酵工程S21と、計測工程S22と、分析工程S23と、多次元データ生成工程S24と、診断工程S25と、判定工程S26と、を含む。
発酵装置は、診断フェーズの運転において、半固体状物(発酵物)2の発酵状態が異常であると診断されたとき、半固体状物2の発酵を停止する制御を行うことができる。
発酵装置における診断フェーズが、前記の発酵状態監視装置100と異なる点は、診断工程S25で、半固体状物2中の代謝成分の状態量や、半固体状物2の状態量に基づいて、半固体状物2の発酵状態が異常であるか否かを診断し、判定の結果、半固体状物2の発酵状態が異常であると(診断工程S25;Yes)、制御工程S28に進む点である。
制御工程S28では、発酵状態が異常であると診断された半固体状物2の発酵温度を高くする制御、又は、発酵状態が異常であると診断された半固体状物2の発酵温度を低くする制御を行う。そして、制御を行った後、発酵工程S21に戻り、半固体状物2の発酵を継続する。半固体状物2の発酵状態が異常であると診断されたとき、表示手段140は、半固体状物(発酵物)2の発酵状態が不良である旨を表示してもよい。
半固体状物2の発酵温度は、温度制御装置17の出力を変更することによって制御することができる。温度制御装置17の出力は、例えば、予め求めておいた半固体状物2の発酵状態と発酵温度との関係に基づく変化量で変更してもよいし、オンラインで計測している半固体状物2の発酵状態に基づく変化量で変更してもよい。
以上の発酵装置及び発酵装置の制御方法によると、半固体状物の発酵状態を非侵襲的に診断し、異常発酵が発生した場合には、発酵物の発酵条件を変更することができる。例えば、発酵物の発酵状態が異常であると診断されたとき、発酵物の発酵温度を高くする制御を行うと、発酵している発酵物の温度が上昇して発酵が促進されるため、代謝異常等が原因で起こる発酵不良を抑制することができる。
以上、本発明について説明したが、本発明は、前記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本発明は、必ずしも前記の実施形態や変形例が備える全ての構成を備えるものに限定されない。或る実施形態や変形例の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態や変形例の構成の一部を他の形態に追加したり、或る実施形態や変形例の構成の一部を省略したりすることができる。
例えば、前記の発酵状態監視装置100や発酵装置は、発酵物からの反射光を計測する光学計測器1を備えている。しかし、発酵状態監視装置や発酵装置は、発酵物の光透過性が十分な場合、発酵物からの透過光を計測する構成としてもよい。透過光の光学スペクトルに基づく場合であっても、同様の方法で発酵物の発酵状態を診断することができる。
また、前記の発酵状態監視装置の制御方法では、発酵状態監視装置100が学習フェーズと診断フェーズとに分けて運転されている。しかし、診断用のデータベース(分類結果データベース250)が予め作成されている場合、学習フェーズと診断フェーズとに分けず、発酵状態を診断しようとする半固体状物2を連続的に発酵させて診断を行ってもよい。例えば、ARTを用いると、発酵中に新規のカテゴリが自動生成されて診断用のデータベースが成長するため、学習しつつ診断を進めることができる。
また、前記の発酵装置の制御方法では、半固体状物2の発酵状態が異常であると診断されたとき、制御工程S28に進んでいる。しかし、発酵装置においては、半固体状物2の発酵状態が異常であると診断されたとき、発酵状態の異常の度合・性質等に応じて、半固体状物2の発酵を停止する制御、半固体状物2の発酵温度を高くする制御、及び、半固体状物2の発酵温度を低くする制御のうち、いずれを実行してもよい。
また、前記の実施形態や変形例の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、集積回路等のハードウェアで実現してもよいし、同等の機能を実現するプログラムを実行するソフトウェアで実現してもよい。データベース等の情報は、ハードディスク等の記憶装置の他、メモリ、SSD(Solid State Drive)等の記録装置や、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ、光ディスク等の記録媒体に記憶させてもよい。
また、各図における、制御線や情報線は、有線であってもよいし、無線であってもよい。また、制御線や情報線は、図示される線に限定されるものではない。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
半固体状物の発酵状態の診断を、半固体状物中の代謝成分の状態量と半固体状物の状態量とに基づいて実施した。診断の対象としては、パン生地を用いた。
正常な発酵状態を模擬するため、発酵剤として力価が低いイーストを用いてパン生地を作製した。パン生地は、ホームベーカリー「SHB-712」(シロカ社製)を用いて、表2に示す原材料比で混合して作製した。そして、作製したパン生地を発酵用容器に入れ、定温乾燥器「SOFW-600S」(アズワン社製)を用いて、28℃で80分間発酵を行った。
Figure 0007206146000002
パン生地の発酵中には、近赤外成分計「KJT-70」(ケツト科学研究所社製)を用いて、代謝成分の量を計測した。また、レーザ距離計「GLM150C」(ボッシュ社製)を用いて、パン生地の高さを計測した。そして、計測された代謝成分の量のデータと、パン生地の高さのデータとを用いて、学習用のデータベースを作成した。
また、異常な発酵状態を模擬するため、発酵剤として力価が高いイーストを用いてパン生地を作製した。パン生地の作製、発酵、代謝成分の量やパン生地の高さの計測は、力価が低いイーストの場合と同様にした。そして、計測された代謝成分の量のデータと、パン生地の高さのデータとを用いて、診断用のデータベースを作成した。
続いて、力価が低いイーストの発酵で作成した学習用のデータベースを用いて、ARTを用いた機械学習を実施した。次いで、力価が高いイーストの発酵で作成した診断用のデータベースを用いて、データの類似度に応じたクラスタリングによる発酵状態の診断を行った。
図10は、アルコール発酵の代謝経路を示す図である。
図10に示すように、パン生地を発酵させる場合、原材料である小麦粉等に含まれるグルコースが代謝されて、複数の代謝成分が生成される。代謝成分としては、例えば、ピルビン酸、アセトアルデヒド、エタノールが生成される。
グルコースは、イースト等の解糖系において、多段階の酵素反応により、ピルビン酸に変換される。ピルビン酸は、ピルビン酸デカルボキシラーゼによってアセトアルデヒドに変換される。この反応では、等モルの二酸化炭素が脱離してパン生地を膨張させる。アセトアルデヒドは、アルコール脱水素酵素によってエタノールに還元される。
図11は、還元的クエン酸回路の代謝経路を示す図である。
図11に示すように、パン生地を発酵させる場合、酸素が欠乏するパン生地の内部が嫌気性条件になるため、還元型クエン酸回路で代謝が進み、複数の代謝成分が生成される。代謝成分としては、例えば、乳酸、オキサロ酢酸、L-リンゴ酸、フマル酸、コハク酸が生成される。
ピルビン酸は、乳酸脱水素酵素によって乳酸に還元される。また、ピルビン酸は、ピルビン酸カルボキシラーゼによってオキサロ酢酸に変換される。オキサロ酢酸は、リンゴ酸脱水素酵素によってL-リンゴ酸に還元される。L-リンゴ酸は、フマラーゼによってフマル酸に変換される。フマル酸は、コハク酸脱水素酵素によってコハク酸に還元される。
図10及び図11に示すように、これらグルコース、二酸化炭素、ピルビン酸、アセトアルデヒド、エタノール、乳酸、オキサロ酢酸、L-リンゴ酸、フマル酸、コハク酸の濃度が発酵状態によって変化するため、これらの代謝成分の状態量を分析することによって、発酵状態の異常を診断することができる。
図12は、パン生地の発酵状態を診断した結果を示す図である。
図12において、横軸は、発酵を開始してからパン生地の計測を行うまでの経過時間(min)、縦軸は、データの類似度に応じて分類した各カテゴリを識別するための番号を示す。□のプロットは、力価が低いイーストの発酵で作成された多次元データ、●のプロットは、力価が高いイーストの発酵で作成された多次元データに相当する。
図12に示すように、力価が低いイーストの発酵では、代謝成分の量やパン生地の高さの多次元データが、カテゴリ番号1又はカテゴリ番号2のいずれかのカテゴリに分類された。カテゴリ番号1及びカテゴリ番号2は、通常の発酵で分類される正常なカテゴリであり、パン生地の発酵状態が良好であることを意味している。
これに対し、力価が高いイーストの発酵では、代謝成分の量やパン生地の高さの多次元データが、40分の発酵時間でカテゴリ番号3に分類された後、60分の発酵時間でカテゴリ番号5に分類された。カテゴリ番号3は、通常の発酵で分類されることがある正常なカテゴリであり、パン生地の発酵状態が良好であることを意味している。しかし、カテゴリ番号5は、通常の発酵で分類される頻度が低い異常なカテゴリであり、パン生地の発酵状態が不良であることを意味している。
よって、光学的に計測される半固体状物中の代謝成分の状態量や、光学的に計測される半固体状物の状態量に基づいて、一般に計測が容易でない半固体状物の発酵状態を非侵襲的に診断することができる。グルコース等の発酵の基質や、二酸化炭素、ピルビン酸、アセトアルデヒド、エタノール、乳酸、オキサロ酢酸、L-リンゴ酸、フマル酸、コハク酸等の代謝成分は、発酵状態を診断する有効な指標となる。
100 発酵状態監視装置
1 光学計測器
2 半固体状物
3 光源
4 回転盤
5 試料光
6 参照光
7 投光ミラー
8 集光ミラー
9 光学フィルタ
10 検出器
11 反射ミラー
12 反射ミラー
13 アンプ
14 A/Dコンバータ
15 分析制御装置(分析装置)
16 診断装置
17 温度制御装置
18 湿度制御装置
19 発酵制御装置
20 発酵室
21 発酵用容器
22 昇降装置
23 距離センサ
24 温度センサ
25 湿度センサ
120 入力手段
140 表示手段
210 外部入力インターフェイス
220 外部出力インターフェイス
230 計測データベース
240 分類手段
250 分類結果データベース
260 診断手段

Claims (12)

  1. 発酵物に光を照射して前記発酵物からの反射光を計測する光学計測器と、
    前記反射光の光学スペクトルに基づいて前記発酵物中の代謝成分の状態量を求める分析装置と、
    前記発酵物の高さを計測する距離センサと、
    前記発酵物中の代謝成分の状態量と、前記発酵物の高さと、に基づいて発酵状態を診断する診断装置と、
    前記発酵状態の診断結果を表示する表示手段と、を備え、
    前記発酵物は、半固体状物であるパン生地であり、
    前記光学計測器は、前記発酵物に近赤外光を照射して前記発酵物の表面からの反射光を検出する反射測定型の近赤外分光計測器であり、
    前記発酵物中の代謝成分の状態量、及び、前記発酵物の高さは、発酵を開始してから計測を行うまでの経過時間と紐付けられて、多次元データである計測データとして前記診断装置に入力され、
    前記診断装置は、発酵状態が未知である発酵物について計測された前記計測データと、発酵状態が正常である発酵物について計測された前記計測データとが、データの類似度に応じた同じカテゴリに分類されるかどうかに基づいて、前記発酵物の発酵状態を診断する発酵状態監視装置。
  2. 請求項1に記載の発酵状態監視装置であって、
    前記発酵物中の代謝成分の状態量は、代謝成分の濃度、又は、代謝成分の濃度の時間変化量である発酵状態監視装置。
  3. 請求項1に記載の発酵状態監視装置であって、
    前記診断装置は、発酵状態が正常である発酵物について計測された前記状態量の計測データを、データの類似度に応じたカテゴリ毎に分類された状態でデータベースに格納している発酵状態監視装置。
  4. 請求項3に記載の発酵状態監視装置であって、
    前記診断装置は、発酵状態が未知の発酵物について計測された前記状態量の計測データについて、発酵状態が正常である発酵物の計測データで構成される前記カテゴリに分類されないことを示す数量を定量し、発酵状態が未知の発酵物について計測された前記状態量の計測データが前記カテゴリに分類されないことを示す前記数量が、予め設定されている閾値を超えたとき、前記発酵物の発酵状態が異常であると診断し、
    前記表示手段は、前記発酵物の発酵状態が異常であると診断されたとき、前記発酵物の発酵状態が不良である旨を表示する発酵状態監視装置。
  5. 請求項3に記載の発酵状態監視装置であって、
    前記診断装置は、発酵物について計測された前記状態量の計測データを、データの類似度に応じた複数のカテゴリ毎に分類し、前記計測データが、前記データベースに格納されている既存のカテゴリに分類されないとき、新しいカテゴリを生成して当該計測データを帰属させる発酵状態監視装置。
  6. 半固体状物を発酵させる発酵用容器と、
    前記発酵用容器内で発酵している発酵物に光を照射して前記発酵物からの反射光を計測する光学計測器と、
    前記反射光の光学スペクトルに基づいて前記発酵物中の代謝成分の状態量を求める分析装置と、
    前記発酵物の高さを計測する距離センサと、
    前記発酵物中の代謝成分の状態量と、前記発酵物の高さと、に基づいて発酵状態を診断する診断装置と、を備え、
    前記発酵物は、半固体状物であるパン生地であり、
    前記光学計測器は、前記発酵物に近赤外光を照射して前記発酵物の表面からの反射光を検出する反射測定型の近赤外分光計測器であり、
    前記発酵物中の代謝成分の状態量、及び、前記発酵物の高さは、発酵を開始してから計測を行うまでの経過時間と紐付けられて、多次元データである計測データとして前記診断装置に入力され、
    前記診断装置は、発酵状態が未知である発酵物について計測された前記計測データと、発酵状態が正常である発酵物について計測された前記計測データとが、データの類似度に応じた同じカテゴリに分類されるかどうかに基づいて、前記発酵物の発酵状態を診断する発酵装置。
  7. 請求項6に記載の発酵装置であって、
    前記発酵状態の診断結果を表示する表示手段を備える発酵装置。
  8. 請求項6に記載の発酵装置であって、
    前記発酵状態の診断結果に基づいて発酵条件を制御する制御装置を備える発酵装置。
  9. 請求項8に記載の発酵装置であって、
    前記制御装置は、発酵状態が異常であると診断されたとき、前記発酵物の発酵温度を高くする制御を行う発酵装置。
  10. 半固体状物を発酵させる発酵用容器を備える発酵装置の制御方法であって、
    前記発酵用容器内で発酵している発酵物に光を照射して前記発酵物からの反射光を計測すると共に前記発酵物の高さを計測する計測工程と、
    前記反射光の光学スペクトルに基づいて前記発酵物中の代謝成分の状態量を求める分析工程と、
    前記発酵物中の代謝成分の状態量と、前記発酵物の高さと、に基づいて発酵状態を診断する診断工程と、を含み、
    前記発酵物は、半固体状物であるパン生地であり、
    前記反射光の計測に用いられる光学計測器は、前記発酵物に近赤外光を照射して前記発酵物の表面からの反射光を検出する反射測定型の近赤外分光計測器であり、
    前記発酵物中の代謝成分の状態量、及び、前記発酵物の高さは、発酵を開始してから計測を行うまでの経過時間と紐付けられて、多次元データである計測データを構成し、
    前記診断工程において、発酵状態が未知である発酵物について計測された前記計測データと、発酵状態が正常である発酵物について計測された前記計測データとが、データの類似度に応じた同じカテゴリに分類されるかどうかに基づいて、前記発酵物の発酵状態を診断する発酵装置の制御方法。
  11. 請求項10に記載の発酵装置の制御方法であって、
    前記診断工程において、
    発酵状態が正常である発酵物について計測された前記状態量の計測データを、データの類似度に応じた複数のカテゴリ毎に分類し、
    発酵状態が未知の発酵物について計測された前記状態量の計測データについて、発酵状態が正常である発酵物の計測データで構成される前記カテゴリに分類されないことを示す数量を定量し、
    発酵状態が未知の発酵物について計測された前記状態量の計測データが前記カテゴリに分類されないことを示す前記数量が、予め設定されている閾値を超えたとき、前記発酵物の発酵状態が異常であると診断し、
    前記発酵物の発酵状態が異常であると診断されたとき、前記発酵物の発酵を停止するか、又は、前記発酵物の発酵温度を高くする発酵装置の制御方法。
  12. 請求項10に記載の発酵装置の制御方法であって、
    前記代謝成分は、グルコース、二酸化炭素、ピルビン酸、アセトアルデヒド、エタノール、乳酸、オキサロ酢酸、L-リンゴ酸、フマル酸、及び、コハク酸のうちの一種以上である発酵装置の制御方法。
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