JP7206052B2 - ショベル - Google Patents

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Description

本発明は、ショベルに関する。
従来、ショベルの上部旋回体に取り付けられるカメラや人検出センサを用いて、ショベルの周囲に存在する人の存否を判定する監視装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014-181509号公報
しかしながら、上記の監視装置では、例えば作業者が下部走行体の下に入って作業をする場合や作業者が上部旋回体の上でメンテナンスをする場合、作業者の存在を検知することが困難な場合がある。そのため、上記の監視装置では、緊急時に短時間でショベルの動作を停止させるには不十分である。
そこで、上記課題に鑑み、緊急時に短時間で動作を停止させることが可能なショベルを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に設けられる運転室と、前記運転室の外部に配置され、前記運転室の周囲の音を集音する集音装置と、前記上部旋回体に取り付けられ、前記上部旋回体の周囲を撮像する複数の撮像装置と、前記集音装置が集音した音から雑音を除去して生成される音声データに基づいて、ショベルの動作を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記集音装置が集音した音から雑音を除去した音声データを生成する音声識別部と、前記音声データに基づいて、前記音声データの音声が危険を表す感情を伴っているか否かを判断する感情判断部と、前記感情判断部により前記音声が危険を表す感情を伴っていると判断された場合、当該ショベルの動作を停止させる動作制御部と、を有する
本発明の実施形態によれば、緊急時に短時間で動作を停止させることが可能なショベルを提供することができる。
第1実施形態のショベルの側面図 第1実施形態のショベルの上面図 ショベルの駆動制御系の構成例を示す図 緊急停止処理の一例のフローチャート 危険を表す感情を伴っていない場合の焦り度及びアーム速度の時間変化を示す図 危険を表す感情を伴っている場合の焦り度及びアーム速度の時間変化を示す図 第2実施形態のショベルの側面図
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〔第1実施形態〕
最初に、図1及び図2を参照して、第1実施形態のショベルの全体構成について説明する。図1は第1実施形態のショベルの側面図である。図2は、第1実施形態のショベルの上面図である。
ショベルPSの下部走行体1には、旋回機構2を介して旋回可能に上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられている。アーム5の先端には、エンドアタッチメント(作業部位)としてバケット6が取り付けられている。エンドアタッチメントとしては、法面用バケット、浚渫用バケット、ブレーカ等が取り付けられてもよい。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例として掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、エンジン11等の動力源が搭載されている。エンジン11等の動力源は、カバー3aにより覆われている。キャビン10内には、コントローラ30、表示装置40、音声出力装置43、入力装置45、記憶装置47、及びゲートロックレバー49が設けられている。キャビン10の頂部には、GPS装置(GNSS受信機)P1、及び送信装置T1が設けられている。
コントローラ30は、ショベルPSの駆動制御を行う主制御部として機能する制御装置である。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成されている。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されているプログラムを実行することで実現される。
表示装置40は、コントローラ30からの指令に応じて各種の作業情報を含む画像を表示する。表示装置40は、例えば、コントローラ30に接続される車載液晶ディスプレイである。
音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種音声情報を出力する。音声出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカである。音声出力装置43は、ブザー等の警報器であってもよい。
入力装置45は、ショベルPSの操作者がコントローラ30に各種情報を入力するための装置である。入力装置45は、例えば、表示装置40の表面に設けられるメンブレンスイッチを含む。入力装置45は、タッチパネル等であってもよい。
記憶装置47は、各種情報を記憶する。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、コントローラ30等が出力する各種情報を記憶する。
ゲートロックレバー49は、キャビン10のドアと運転席との間に設けられ、ショベルPSが誤って操作されるのを防止する機構である。操作者が運転席に乗り込んでゲートロックレバー49を引き上げると、操作者はキャビン10から退出できなくなると共に各種操作装置が操作可能になる。操作者がゲートロックレバー49を押し下げると、操作者はキャビン10から退出可能になると共に、各種操作装置は操作不能になる。
GPS装置P1は、ショベルPSの位置をGPS機能により検出し、位置データをコントローラ30に供給する。
送信装置T1は、ショベルPSの外部に向けて情報を発信する。
撮像装置80は、上部旋回体3のカバー3a上部に設けられている。撮像装置80は、上部旋回体3からキャビン10に向かって、左側を撮像する左側カメラ80L、右側を撮像する右側カメラ80R、後方を撮像する後方カメラ80Bを有する。左側カメラ80L、右側カメラ80R、及び後方カメラ80Bは、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を有するデジタルカメラであり、それぞれ撮影した画像をキャビン10内に設けられている表示装置40に送る。
集音装置90は、キャビン10の外部に配置され、キャビン10の周囲の音を集音する外部マイクである左側マイク90L、右側マイク90R、後方マイク90B、及び前方マイク90Fを有する。また、集音装置90は、キャビン10の内部に配置され、キャビン10の内部の音を集音する内部マイク90Iを有する。左側マイク90L、右側マイク90R、後方マイク90B、前方マイク90F、及び内部マイク90Iが集音する音には、例えば人間が発する言語音等の音声や、ショベルPSのエンジン音、作業現場の音等の機械音が含まれる。
左側マイク90L、右側マイク90R、及び後方マイク90Bは、それぞれ上部旋回体3からキャビン10に向かって左方向、右方向、及び後方向からの音を捉える。本実施形態では、左側マイク90L、右側マイク90R、及び後方マイク90Bは、上部旋回体3のカバー3a上部に設けられており、それぞれ左側カメラ80L、右側カメラ80R、及び後方カメラ80Bの近傍に配置されている。また、左側マイク90L、右側マイク90R、及び後方マイク90Bは、それぞれ配線91L、配線91R、及び配線91Bを介してコントローラ30に接続されており、集音した音をコントローラ30に送信する。このように左側マイク90L、右側マイク90R、及び後方マイク90Bがそれぞれ左側カメラ80L、右側カメラ80R、及び後方カメラ80Bの近傍に配置されているため、配線の取り回しが容易である。なお、左側マイク90L、右側マイク90R、及び後方マイク90Bは、例えばキャビン10上部に配置されていてもよい。
前方マイク90Fは、上部旋回体3からキャビン10に向かって前方向からの音を捉える。本実施形態では、前方マイク90Fは、アーム5に配置されている。前方マイク90Fは、配線91Fを介してコントローラ30に接続されており、集音した音をコントローラ30に送信する。なお、前方マイク90Fは、例えばブーム4、バケット6に配置されていてもよく、キャビン10上部に配置されていてもよい。
内部マイク90Iは、キャビン10の内部の音、例えば操作者が発する音声を捉える。本実施形態では、内部マイク90Iは、キャビン10の内壁面に配置されている。内部マイク90Iは、配線91Iを介してコントローラ30に接続されており、集音した音をコントローラ30に送信する。なお、内部マイク90Iは、例えば表示装置40に内蔵されていてもよい。
左側マイク90L、右側マイク90R、後方マイク90B、前方マイク90F、及び内部マイク90Iは、例えば、特定の方向に対しての音を捉えやすい単一指向性マイクであってよい。但し、全ての方向からの音を均等に捉える無指向性(全指向性)マイクを用いて、左側マイク90L、右側マイク90R、後方マイク90B、及び前方マイク90Fのうち2つ以上のマイクの機能を1つのマイクで実現してもよい。これにより、ショベルPSの周囲の音を集音するマイクの個数を削減できる。
次に、図3を参照して、ショベルPSの駆動制御系の構成例について説明する。図3は、ショベルPSの駆動制御系の構成例を示す図である。図3中、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気駆動・制御系をそれぞれ二重線、太実線、破線、及び細実線で示す。
表示装置40は、コントローラ30から供給される作業情報等を含む画像を表示する。表示装置40は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の通信ネットワーク、専用線等を介してコントローラ30に接続されている。また、表示装置40は、画像表示部41に表示する画像を生成する変換処理部40aと、入力部としてのスイッチパネル42と、を有する。
変換処理部40aは、撮像装置80から得られる画像データに基づいて画像表示部41上に表示する撮影画像を含む画像を生成する。表示装置40には、左側カメラ80L、右側カメラ80R、及び後方カメラ80Bのそれぞれから画像データが入力される。また、変換処理部40aは、コントローラ30から表示装置40に入力される各種のデータのうち画像表示部41に表示させるデータを画像信号に変換する。コントローラ30から表示装置40に入力されるデータは、例えば、エンジン冷却水の温度を示すデータ、作動油の温度を示すデータ、尿素水の残量を示すデータ、燃料の残量を示すデータ等を含む。変換処理部40aは、変換した画像信号を画像表示部41に出力し、撮影画像や各種のデータに基づいて生成した画像を画像表示部41に表示させる。なお、変換処理部40aは、表示装置40ではなく、例えば、コントローラ30に設けられてもよい。この場合、図2に示されるように、撮像装置80(左側カメラ80L、右側カメラ80R、及び後方カメラ80B)はコントローラ30に接続される。
スイッチパネル42は、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。スイッチパネル42は、ライトスイッチ42a、ワイパースイッチ42b、及びウィンドウォッシャスイッチ42cを有する。
ライトスイッチ42aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り替えるためのスイッチである。ワイパースイッチ42bは、ワイパーの作動・停止を切り替えるためのスイッチである。ウィンドウォッシャスイッチ42cは、ウィンドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70は、エンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置40以外のショベルPSの電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動されてエンジン11を始動させる。
エンジン11は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15に接続され、エンジン制御装置(ECU)74により制御される。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種のデータ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ等)がコントローラ30に常時送信される。コントローラ30は内部の記憶部30aにこのデータを蓄積し、適宜、表示装置40に送信できる。
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するための油圧ポンプである。メインポンプ14は、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプである。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、ショベルPSにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ、及び旋回用油圧モータ等に、メインポンプ14が吐出する作動油を選択的に供給する。なお、以下では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ、及び旋回用油圧モータを、「油圧アクチュエータ」という場合がある。
操作レバー26A~26Cは、キャビン10内に設けられ、操作者によって油圧アクチュエータの操作に用いられる。操作レバー26A~26Cが操作されると、パイロットポンプ15から油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに作動油が供給される。各パイロットポートには、対応する操作レバー26A~26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力の作動油が供給される。
本実施形態では、操作レバー26Aは、ブーム操作レバーである。操作者が操作レバー26Aを操作すると、ブームシリンダ7を油圧駆動させて、ブーム4を操作できる。操作レバー26Bは、アーム操作レバーである。操作者が操作レバー26Bを操作すると、アームシリンダ8を油圧駆動させて、アーム5を操作できる。操作レバー26Cは、バケット操作レバーである。操作者が操作レバー26Cを操作すると、バケットシリンダ9を油圧駆動させて、バケット6を操作できる。なお、ショベルPSには、操作レバー26A~26Cの他に、走行用油圧モータや旋回用油圧モータ等を駆動させる操作レバー、操作ペダル等が設けられてもよい。
コントローラ30は、例えば以下で説明する各種のデータを取得する。コントローラ30が取得したデータは、記憶部30aに格納される。
可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aは、斜板角度を示すデータをコントローラ30に送る。また、吐出圧力センサ14bは、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータをコントローラ30に送る。これらのデータ(物理量を表すデータ)は記憶部30aに格納される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路に設けられている油温センサ14cは、管路を流れる作動油の温度を表すデータをコントローラ30に送る。
圧力センサ15a,15bは、操作レバー26A~26Cが操作された際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧を検出し、検出したパイロット圧を示すデータをコントローラ30に送る。操作レバー26A~26Cには、スイッチボタン27が設けられている。操作者は、操作レバー26A~26Cを操作しながらスイッチボタン27を操作することで、コントローラ30に指令信号を送ることができる。
ショベルPSのキャビン10内には、エンジン回転数調整ダイヤル75が設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数を調整するためのダイヤルであり、例えば、エンジン回転数を段階的に切り替えることができる。本実施形態では、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリング(IDLE)モードの4段階にエンジン回転数を切り替えることができるように設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数の設定状態を示すデータをコントローラ30に送る。なお、図3には、エンジン回転数調整ダイヤル75によりHモードが選択された状態が示されている。
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、2番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルPSを稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、3番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、エンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードのエンジン回転数で一定回転数に制御される。
次に、コントローラ30の機能構成について説明する。図3に示されるように、コントローラ30は、音声識別部31と、感情判断部32と、動作制御部33と、を有する。
音声識別部31は、集音装置90により集音された音から雑音(ノイズ)を除去した音声データを生成し、生成した音声データに基づいて音声が入力されたか否かを判定する。本実施形態では、音声識別部31は、左側マイク90L、右側マイク90R、後方マイク90B、前方マイク90F及び内部マイク90Iにより集音された音からショベルPSのエンジン音、作業現場の音等の機械音を除去した音声データを生成する。また、音声識別部31は、生成した音声データに基づいて音声が入力されたか否かを判定する。
感情判断部32は、音声識別部31により生成された音声データに基づいて感情を判断する。感情の判断には、種々の感情判断アルゴリズムを適用することができる。本実施形態では、感情判断部32は、キャビン10の内部でショベルPSを操作する操作者、キャビン10の周囲で作業する作業者等の感情として焦りの度合い(以下「焦り度」という。)が所定の閾値以上である場合、音声が危険を表す感情を伴っていると判断する。なお、感情としては、危険を表す感情を伴っていることが判断可能なものであればよく、力み等の他の特徴量であってもよい。
動作制御部33は、感情判断部32の判断結果に基づいてショベルPSの動作を停止させるか否かを制御する。本実施形態では、感情判断部32により音声が危険を表す感情を伴っていると判断された場合、ショベルPSの動作を停止させる。例えば、動作制御部33はゲートロック弁49aを閉状態に制御してコントロールバルブ17と操作レバー26A~26C等との間の作動油の流れを遮断することで、操作レバー26A~26C等の操作装置の操作を無効にしてショベルPSの動作を停止させる。
次に、図4を参照して、コントローラ30が、集音装置90により集音された音に基づいて、ショベルPSの動作を停止させる処理(以下「緊急停止処理」という。)の一例について説明する。図4は、緊急停止処理の一例のフローチャートである。なお、緊急停止処理は、例えばショベルPSが動作している間、常に実行される。
ステップST1では、音声識別部31は、集音装置90により集音される音を取得する。本実施形態では、音声識別部31は、左側マイク90L、右側マイク90R、後方マイク90B、前方マイク90F、及び内部マイク90Iにより集音される音を取得する。音声識別部31が取得する音には、例えば人間が発する言語音等の音声、ショベルPSのエンジン音、作業現場の音等の機械音が含まれる。
ステップST2では、音声識別部31は、取得した音からノイズを除去した音声データを生成し、生成した音声データに基づいて音声が入力されたか否かを判定する。本実施形態では、音声識別部31は、取得した音からショベルPSのエンジン音、作業現場の音等の機械音を除去した音声データを生成し、生成した音声データに基づいて音声が入力されたか否かを判定する。
ステップST2において、音声が入力されていないと判定された場合(ステップST2:No)、処理をステップST1へ戻す。一方、ステップST2において、音声が入力されたと判定された場合(ステップST2:Yes)、処理をステップST3へ進める。
ステップST3では、感情判断部32は、音声識別部31により生成された音声データに基づいて音声が危険を表す感情を伴っているか否かを判断する。本実施形態では、感情判断部32は、キャビン10の内部でショベルPSを操作する操作者、キャビン10の周囲で作業する作業者等の焦り度が所定の閾値以上であるか否かを判断する。例えば、焦り度が所定の閾値以上である場合、音声が危険を表す感情を伴っていると判断し、焦り度が所定の閾値未満である場合、音声が危険を表す感情を伴っていないと判断する。
ステップST3において、音声が危険を表す感情を伴っていないと判断された場合(ステップST3:No)、処理をステップST1へ戻す。ステップST3において、音声が危険を表す感情を伴っていると判断された場合(ステップST3:Yes)、処理をステップST4へ進める。
ステップST4では、動作制御部33は、ショベルPSの動作を停止させる。本実施形態では、動作制御部33は、ゲートロック弁49aを閉状態に制御してコントロールバルブ17と操作レバー26A~26C等の操作装置との間の作動油の流れを遮断することで、操作レバー26A~26C等の操作装置の操作を無効にしてショベルPSの動作を停止させる。その後、処理を終了する。
なお、図4に示される緊急停止処理では、動作制御部33が感情判断部32の判断結果に基づいて、ショベルPSの動作を停止させるか否かを制御する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、感情判断部32の判断結果を用いることなく、動作制御部33が感情判断部32により生成された音声データに基づいてショベルPSの動作を停止させるか否かを制御してもよい。この場合、例えば音声データに基づいて言語情報を認識し、認識した言語情報が予め記憶部30aに記憶された危険を表す言語情報と一致する場合、ショベルPSの動作を停止させる。但し、言語情報のデータベースを持たずに多言語に対応することができるという観点から、感情判断部32による感情の判断を行うことが好ましい。さらに、感情判断部32の判断結果と言語情報の両方に基づいて、ショベルPSの動作を停止させるか否かを制御してもよい。
次に、図5及び図6を参照して、音声が危険を表す感情を伴っていない場合と、音声が危険を表す感情を伴っている場合のショベルPSの動作について、アーム5の動作を例に挙げて説明する。なお、その他の油圧アクチュエータの動作についてもアーム5の動作と同様であるので説明を省略する。
図5は、危険を表す感情を伴っていない場合の焦り度及びアーム速度の時間変化を示す図である。図6は、危険を表す感情を伴っている場合の焦り度及びアーム速度の時間変化を示す図である。図5(a)及び図6(a)は焦り度の時間変化を示し、時間tを横軸、焦り度を縦軸で示す。図5(b)及び図6(b)はアーム速度の時間変化を示し、時間tを横軸、アーム速度を縦軸で示す。
図5(a)に示されるように、焦り度が所定の閾値Yth未満である場合(例えば「オーライ」、「上げろ」等の通常作業で発する音声である場合)、感情判断部32は音声が危険を表す感情を伴っていないと判断する。この場合、ショベルPSの動作が停止されないので、例えば図5(b)に示されるように、アーム5は操作レバー26Bの操作量に応じた速度(例えば一定の速度)で動作する。
一方、図6(a)に示されるように、焦り度が所定の閾値Yth以上(時刻t1)となった場合(例えば「危ない!」、「わぁ!」等の危険を表す感情を伴う音声である場合)、感情判断部32は音声が危険を表す感情を伴っていると判断する。この場合、動作制御部33がゲートロック弁49aを閉状態に制御してコントロールバルブ17と操作レバー26Bとの間の作動油の流れを遮断するので、例えば図6(b)に示されるように、アーム5の速度が低下して停止する。
次に、本実施形態のショベルPSの作用効果について説明する。
動作中のショベルPSの近くに立ち入った者がショベルPSと衝突してしまうおそれがある等の突発的な危険な事態が生じた場合、当該立ち入った者、ショベルPSの操作者、周囲の者等の人間は、冷静な判断ができなくなる可能性がある。そのため、当該立ち入った者が逃避することや、当該操作者や当該周囲の者が適切にショベルPSの停止動作をすることが困難である。このような場合、人間は「危ない!」、「わぁ!」等の危険を表す感情を伴う音声を発することが多い。
本実施形態のショベルPSでは、コントローラ30は、集音装置90が集音した音から雑音を除去して生成される音声データに基づいて、ショベルPSの動作を停止させるか否かを制御する。これにより、立ち入った者が逃避することができない場合や、ショベルPSの操作者や周囲の者が適切にショベルPSの停止動作をすることができない場合等の緊急時であっても、短時間でショベルPSの動作を停止させることができる。
また、本実施形態のショベルPSでは、音声識別部31が集音装置90により集音された音からノイズを除去した音声データを生成する。これにより、ショベルPSのエンジン音、作業現場の音等の機械音により人間が発する音声が聞こえにくい環境であっても、高い精度で音声を検出し、短時間でショベルPSの動作を停止させることができる。
また、本実施形態のショベルPSでは、感情判断部32が音声データに基づいて音声データの音声が危険を表す感情を伴っているか否かを判断する。これにより、音声データに基づいて言語情報を認識し、認識した言語情報が予め記憶部30aに記憶された危険を表す言語情報と一致するか否かの判断が不要となるため、言語情報のデータベースを持たずに多言語に対応することができる。
〔第2実施形態〕
次に、図7を参照して、第2実施形態のショベルPSについて説明する。図7は、第2実施形態のショベルPSの側面図である。
第2実施形態のショベルPSでは、第1実施形態のショベルPSにおける左側マイク90L、右側マイク90R、後方マイク90B及び前方マイク90Fに代えて、上部旋回体3に取り付けられたハンドレール50上に無指向性マイク90Aが配置されている。なお、その他の構成については、第1実施形態のショベルPSと同様とすることができる。
第2実施形態のショベルPSでは、コントローラ30は、集音装置90が集音した音から雑音を除去して生成される音声データに基づいて、ショベルPSの動作を停止させるか否かを制御する。これにより、立ち入った者が逃避することができない場合や、ショベルPSの操作者や周囲の者が適切にショベルPSの停止動作をすることができない場合等の緊急時であっても、短時間でショベルPSの動作を停止させることができる。
また、本実施形態のショベルPSでは、音声識別部31が集音装置90により集音された音からノイズを除去した音声データを生成する。これにより、ショベルPSのエンジン音、作業現場の音等の機械音により人間が発する音声が聞こえにくい環境であっても、高い精度で音声を検出し、短時間でショベルPSの動作を停止させることができる。
また、本実施形態のショベルPSでは、感情判断部32が音声データに基づいて音声データの音声が危険を表す感情を伴っているか否かを判断する。これにより、音声データに基づいて言語情報を認識し、認識した言語情報が予め記憶部30aに記憶された危険を表す言語情報と一致するか否かの判断が不要となるため、言語情報のデータベースを持たずに多言語に対応することができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
上記の実施形態では、集音装置90が外部マイク及び内部マイクを有する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば一又は複数の外部マイクのみを有していてもよく、一又は複数の内部マイクのみを有していてもよい。但し、ショベルPSの操作者が発する音声及びショベルPSの周囲の人間が発する音声に基づいて短時間でショベルPSの動作を停止させることができるという観点から、外部マイク及び内部マイクを有していることが好ましい。
上記の実施形態では、コントローラ30が、集音装置90が集音した音から雑音を除去して生成される音声データに基づいて、ショベルPSの停止制御を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、コントローラ30は、集音装置90が集音した音から雑音を除去して生成される音声データに基づいて、ショベルPSの制動制御を行ってもよい。
また、本願第1実施形態、及び、第2実施形態ではパイロットポンプ15から吐出する圧油を、ゲートロック弁49aとリモコン弁とを介してコントロールバルブ17(各制御弁)へパイロット圧として供給する油圧式パイロット回路について説明した。但し、このような油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作レバーではなく、電気式パイロット回路を備えた電気式操作レバーが採用されてもよい。この場合、電気式操作レバーのレバー操作量は、電気信号としてコントローラ30へ入力される。また、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置される。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、電気式操作レバーを用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、レバー操作量に対応する電気信号によって電磁弁を制御してパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。なお、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。例えば、コントローラ30か音声により危険であると判断した場合、電磁スプール弁へ信号を送信し、コントロールバルブ(各制御弁)を制御することによりアクチュエータの制動制御、若しくは、停止制御を行う。
1 下部走行体
3 上部旋回体
10 キャビン
30 コントローラ
31 音声識別部
32 感情判断部
33 動作制御部
50 ハンドレール
80 撮像装置
90 集音装置
90A 無指向性マイク
90I 内部マイク
90L 左側マイク
90R 右側マイク
90B 後方マイク
90F 前方マイク
PS ショベル

Claims (2)

  1. 下部走行体と、
    前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
    前記上部旋回体に設けられる運転室と、
    前記運転室の外部に配置され、前記運転室の周囲の音を集音する集音装置と、
    前記上部旋回体に取り付けられ、前記上部旋回体の周囲を撮像する複数の撮像装置と、
    前記集音装置が集音した音から雑音を除去して生成される音声データに基づいて、ショベルの動作を制御する制御装置と、
    を有し、
    前記制御装置は、
    前記集音装置が集音した音から雑音を除去した音声データを生成する音声識別部と、
    前記音声データに基づいて、前記音声データの音声が危険を表す感情を伴っているか否かを判断する感情判断部と、
    前記感情判断部により前記音声が危険を表す感情を伴っていると判断された場合、当該ショベルの動作を停止させる動作制御部と、
    を有する、
    ショベル。
  2. 下部走行体と、
    前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
    前記上部旋回体に設けられる運転室と、
    前記運転室の内部に配置され、前記運転室の内部の音を集音する集音装置と、
    ショベルの動作を制御する制御装置と、
    を有し、
    前記制御装置は、
    前記集音装置が集音した音から雑音を除去した音声データを生成する音声識別部と、
    前記音声データに基づいて、前記音声データの音声が危険を表す感情を伴っているか否かを判断する感情判断部と、
    前記感情判断部により前記音声が危険を表す感情を伴っていると判断された場合、当該ショベルの動作を停止させる動作制御部と、
    を有する、
    ショベル。
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