JP7204209B2 - 法枠及び法枠形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の筒状布製型枠を接続し、その内部にセメント流動物を注入してなる法枠及び法枠形成方法に関するものである。
従来の注入法枠の端部接続方法として、下記特許文献1に記載のものが知られている。これには、「一方の筒状部材の端部を他方の筒状部材の端部に挿入」させることが記載されている。
すなわち、下記特許文献1には、(1)挿入側筒状部材の挿入端部を閉塞しておき、この状態で挿入側筒状部材を被挿入側筒状部材の開放端部に挿入させるとともに、その挿入側筒状部材の中に流動性固化材を加圧注入して挿入側筒状部材を膨張状態に保持するとともに、その挿入側筒状部材を被挿入側筒状部材の内面に圧接して両者の接続を行うこと、
(2)挿入側筒状部材の挿入端部を開放状態とし、その挿入端部の外面に接着剤を塗布し、これを被挿入側筒状部材の端部に挿入して接着するとともに、挿入側筒状部材の中に流動性固化材を加圧注入して筒状部材のストレート部同士が接続されること、
(3)挿入側及び被挿入側の筒状部材の接続部に直径が他の部分よりも大きい大径部を形成し、挿入側筒状部材の大径部を被挿入側筒状部材の端部にある大径部の中に挿入し、各々の大径部の位置を合わせて大径部が重なった状態にし、挿入側筒状部材の中に流動性固化材を加圧注入して大径部を膨張させ、被挿入側筒状部材の大径部も押し広げられて膨張し、挿入側筒状部材が被挿入側筒状部材の内面に圧接される状態になること、
(4)被挿入側筒状部材の内面に位置する挿入側筒状部材の先端部が先細り形状に閉塞されているとともに、その挿入側筒状部材の中に流動性固化材を加圧注入すること、
が記載されている。
特許第4908262号公報
しかしながら、前記(1)の場合、挿入側筒状部材の挿入端部を閉塞させることで法枠の梁は連続性を欠くおそれがある、
前記(2)の場合、挿入側筒状部材の外面を被挿入側筒状部材の内面に充分に接着させることは難しく、挿入側筒状部材の外面と被挿入側筒状部材の内面の間にモルタル等の流動性固化材が入り込み法枠の梁の強度は著しく低下するおそれがある。
前記(3)の場合、施工される法面は例えば凹凸の生じる現場が多くあり、かつその凹凸は現場により千差万別なので、梁が連続性を保たれるように両大径部の位置を合わせて確実に接続させることは難しい。
そして、前記(1)~(4)の「一方の筒状部材の端部」と「他方の筒状部材の端部」の接続方法は、すべて流動性固化材の加圧によって解決しようとしているが、例えば前記(4)のものでは、内面側の挿入側筒状部材の先端部は外側の被挿入側筒状部材に密着することができないため、その先端部が梁の中央部に入り込み法枠として必要な径が確保できず、法枠の梁の強度が発揮できないおそれがある。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、複数の筒状布製型枠を接続し、その内部にセメント流動物を注入するにあたり、隣接する筒状布製型枠同士の接続部からセメント流動物が漏れ出すことなく、筒状布製型枠の接続を安価な部材を用いて迅速且つ確実に行える法枠及び法枠形成方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、複数の筒状布製型枠を接続し、その内部にセメント流動物を注入してなる法枠であって、隣接する前記筒状布製型枠の端部どうしを縦断面ほぼ円環状のジョイントを用いて接続するのに前記筒状布製型枠の端部で前記ジョイントの外周面を覆い、その外面を結束用帯状体で締め付けてある法枠を提供する。
請求項2に係る発明は、隣接する一方の筒状布製型枠の外側に前記ジョイントが外嵌された状態で、その筒状布製型枠の端部を前記ジョイントの外側に折り返してその筒状布製型枠の端部で前記ジョイントを覆うよう構成されるとともに、その覆われた状態の前記ジョイントを含む筒状布製型枠が、隣接する他方の筒状布製型枠の端部側にジョイント側から挿入され、さらに、この状態で他方の筒状布製型枠の端部の外周面を介して前記ジョイントの外周面を覆うよう前記結束用帯状体を取付けて前記ジョイントを前記結束用帯状体で締め付けてある請求項1に記載の法枠を提供する.
請求項3に係る発明は、筒状布製型枠の内周面の半径をr、ジョイントの外周面の半径をr’、ジョイントの半径方向に直交する軸方向におけるジョイントの幅をhとしたとき、
0<h<1.15r …(1)
0.81×r<r’<1×r …(2)
であり、
さらに、前記ジョイントの幅対外周面の直径〔h/(2r’)〕比は、その最大値が0.71未満である請求項1~請求項2のいずれか1項に記載の法枠を提供する。
請求項4に係る発明は、前記ジョイントの幅hが、筒状布製型枠の内周面の直径(2r)の1/5~1/10に設定される請求項3に記載の法枠を提供する。
また別の観点から、請求項5に係る発明は、接続された複数の筒状布製型枠の内部にセメント流動物を注入して法枠を形成する法枠形成方法であって、隣接する前記筒状布製型枠の端部どうしを縦断面ほぼ円環状のジョイントを用いて接続するにあたり、前記筒状布製型枠の端部で前記ジョイントの外周面を覆い、その外面を結束用帯状体で締め付ける法枠形成方法を提供する。
本発明では、複数の筒状布製型枠を接続し、その内部にセメント流動物を注入してなる法枠において、法枠の梁の連続性が保たれるとともに、法枠として必要な一定以上の径(セメント流動物を注入してなる筒状布製型枠の内周面の径)が接続部でも非接続部と同等程度に確保できて接続部でも非接続部と同等程度のセメント強度を保つことができる法枠及び法枠形成方法が得られる。
また、本発明では、隣接する筒状布製型枠の端部どうしを接続する縦断面ほぼ円環状のジョイントと、筒状布製型枠の端部で前記ジョイントの外周面を覆い、その外面を締め付ける結束用帯状体とをそれぞれ固定具として使用することで、セメント流動物を注入してなる法枠の内部(接続された複数の筒状布製型枠の内部)の確実な密閉性を確保することができ、セメントミルク若しくはモルタルといったセメント流動物の前記端部どうしの接続部からの漏洩を防ぐことにより経済的な損失を防ぐと共に周辺環境への負荷を低減させることができる法枠及び法枠形成方法が得られる。
さらに、本発明では、前記ジョイントと前記結束用帯状体の各固定具の設置を非常に簡単な手作業で行えることから、設置にあたり熟練工を必要とせずに作業性は容易である。
請求項2に係る発明の法枠では、前記端部どうしの接続にあたり、隣接する一方の筒状布製型枠の外側に前記ジョイントを通し(外嵌し)、一方の筒状布製型枠の端部を前記ジョイントの外側に折り返し、そして、隣接するもう一方の筒状布製型枠の内側に、前記一方の筒状布製型枠の端部で覆われた前記ジョイントを挿入して隣接する筒状布製型枠どうしを筒状布製型枠の軸方向に沿う長さ方向に接続し、この長さ方向に接続された筒状布製型枠の外側から前記ジョイントを締め付けるように、前記結束用帯状体により締め付けることで、法枠(接続された複数の筒状布製型枠)の内部の確実な密閉性を確保することができる。
このとき、法枠の梁の連続性が保たれるとともに、法枠として必要な一定以上の径(セメント流動物を注入してなる筒状布製型枠の内周面の径)が接続部でも非接続部と同等程度に確保でき、セメント強度(法枠の梁の強度)が保たれる。なお、前記セメント強度に関しては、前記ジョイントの内周面の直径(ジョイント内径)が最終的な強度計算時の内径となるが、用いるジョイントの径方向の厚み(ジョイントの外周面の半径とジョイントの内周面の半径の差)はセメント強度保持の観点からできるだけ薄く設定されているのが好ましい。
また、請求項3に係る発明の法枠では、予じめ隣接する他方の筒状布製型枠(被挿入側筒状布製型枠)の端部内に挿入したジョイントを90°回転させて使用することができ、隣接する筒状布製型枠の端部どうしの接続作業が容易である。
本発明の一実施の形態に係る法枠において、隣接する筒状布製型枠の端部どうしの接続状態を示す構成説明図である。 本発明の一実施の形態に係る法枠形成方法により構築される法枠の形成途中において、セメント流動物を筒状布製型枠の内部に注入する前の形成途中の接続状態を示す構成説明図である。 (A)~(D)は、上記法枠形成方法の前記形成途中までを順を追って概略的に示す図である。 (A)~(B)は、上記法枠形成方法で用いるジョイントを示す図である。 上記法枠を概略的に示す斜視図である。 上記法枠を概略的に示す斜視図である。 上記法枠に用いる筒状布製型枠のジョイント部分の大きさに関する説明図である。 上記法枠形成方法において、予じめ隣接する他方の筒状布製型枠(被挿入側筒状布製型枠)の端部内に挿入したジョイントを90°回転させて使用する場合に必要な条件を設定するための説明図である。 上記法枠形成方法において、予じめ隣接する他方の筒状布製型枠(被挿入側筒状布製型枠)の端部内に挿入したジョイントを90°回転させて使用する場合に必要な条件を設定するための説明図である。 上記法枠の別実施例を概略的に示す斜視図である。 上記法枠のまた別の実施例を概略的に示す斜視図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
図1~図3は、本発明の一実施の形態を示し、図1は、例えば山間部に道路を造成するため切り土が施された法面(斜面)の表層崩壊防止兼緑化用の法枠、若しくは例えば河川、湖沼、ダム等の岸辺の法面(堤体の法面、河川の低水位敷き等)の緑化と表層崩壊の防止(護岸)を同時に図ることのできる法枠を示している。図2、図3は、隣接する筒状布製型枠の端部どうしの接続状態を示すとともに、筒状布製型枠の内部にセメント流動物を注入する前の接続状態を示している。
図1において、法枠1は、複数の筒状布製型枠2,3…を接続し、その内部にセメント流動物4を注入してなるものであり、隣接する筒状布製型枠2,3の端部A,Bどうしを縦断面ほぼ円環状のリング状のジョイント5を用いて接続するのに筒状布製型枠2,3の端部A,Bでジョイント5の外周面Cを覆い、その外面5aを結束用帯状体6で締め付けてある。
なお、図4に本発明で用いるジョイントの例を2種類挙げている。ジョイントの素材は、金属、プラスチックあるいはゴム等である。本実施の形態(第1実施例)では、例えば図4(A)に示すジョイント(リング)5を用いている。なお、本発明で用いるジョイントの種類は、これらに限るものではない。
また、前記結束用帯状体6は、結束のための部材(例えばラチェット機構あるいはネジ機構を用いたもの)を備えている。また、金属製、プラスチック製など材料を問わない。
而して、本実施の形態(図1、図2、図3)において、隣接する筒状布製型枠2,3の端部A,Bどうしを接続するには、まず、図3(A)に示すように、挿入側筒状布製型枠2の外側にジョイント5を挿入する。続いて、図3(B)に示すように、その筒状布製型枠2の端部Aを折り返し、折り返した状態で、図3(C)に示すように、ジョイント5を含む端部Aを被挿入側筒状布製型枠3内に挿入する。なお、端部A,Bに切れ目を入れておくと、折り返し易くなり、また、両端部A,Bが繋ぎ易くなる。この場合、切れ目は、筒状布製型枠2,3の例えば長手方向に沿う形で入れられるのが好ましく、単数又は複数の切れ目の場合を含む。
さらに、図3(D)に示すように、ジョイント5の外面5aを結束用帯状体6により締め付ける。続いて、内部にセメント流動物4(図1に二点鎖線で示す)を流し込み(注入して)、筒状布製型枠2,3を含む各筒状布製型枠にセメント流動物4を充填し、各筒状布製型枠2,3…の内部空間に収容されたセメント流動物4が固化すれば、例えば図5(法面の表層崩壊防止兼緑化用の法枠)、図6(護岸用の法枠)に示す法枠1が法面N上に築造された状態となる。
この際、セメント流動物4の注入にあたり、例えば複数の筒状布製型枠2,3,…のうち、他の筒状布製型枠に連結されない端部を閉塞し、山側に向かって開口する少なくとも一つの端部は閉塞せずに放置してそれをセメント流動物4の注入口G(図5、図6参照)とするのが好ましい。
セメント流動物4は、W/C比が10~800%程度のセメントミルク(水とセメント及び必要に応じてセメント混和剤からなるもの)若しくはモルタル(少なくとも水とセメントと細骨材を含むもの)であり、法面Nの凹凸への馴染み易さ、流動性を考慮して状況に応じて適宜のものが用いられ、上記の範囲に限定されるものではない。さらに、筒状布製型枠2,3内に収容するセメント流動物4に、減水剤を混和させてあってもよい。また、セメント流動物4、アラミド繊維、ナノセルロース等の混和剤を混入させてもよく、この場合、筒状布製型枠2,3によって形成される法枠1の引張強度は飛躍的に向上する。そして、本実施形態では、例えば図5、図6に示すように、水とセメントとを混合して生成されたセメント流動物4としてのセメントミルクが、圧送用ポンプ(例えば毎分30L以上の吐出能力を有するモルタル圧送用ポンプ)10によりホース11内をホース11の先端(下流端)まで圧送される。そして、本発明では、例えば図2に示すような接続状態にある筒状布製型枠2,3の内部へセメント流動物4を注入(充填)するにあたり、セメント流動物4の加圧注入は行わず、前記内部へセメント流動物4を流し込むだけの注入(充填)の仕方を採用している。そのため、ホース11の前記下流端にノズル12を接続し、ノズル12を用いてセメントミルク4を前記注入口Gから筒状布製型枠2,3,…内に流し込んでいる。
図5、図6に示すセメントミルク4の注入例では、ホース11の下流端に接続されたノズル12の先端を注入口Gの側に向けながらノズル12を操作することによりセメントミルク4を注入口Gに流し込んでいるが、これに限らず、例えば筒状布製型枠2,3,…の山側でセメントミルク(セメント流動物)を作成し、ノズル12を用いることなく自重によって注入口Gからセメントミルク4を筒状布製型枠2,3,…内に流し込むようにしてもよい。
上述したように従来技術では、「一方の筒状部材の端部」と「他方の筒状部材の端部」の接続方法は、セメント流動物の加圧によって解決しようとしているが、本発明の実施例では、セメント流動物4の注入は、加圧せずに流し込むだけである。
筒状布製型枠2,3,…は、例えば、水を通過させセメント粒子を通過させない目合いを有する織布から構成される。そして、その織布には、炭素繊維等、引張強度の強い繊維を使用し、セメント粒径が20μmであるのに対して、概ね0.001μm(1nm)の目合い(セメント粒径の約1/20000の大きさの目合い)を有する織布を用いるのが好ましい。なお、この実施の形態における筒状布製型枠2,3を、織布によって一重構造にしてあってもよいが、二重以上の多重構造にしてもよい。この場合、内側にある織布ほどセメント流動物の膨張等に伴って膨らみ、目合いが拡大し易い傾向にあるが、外側にある織布ほどそういった影響を受け難く、これにより、圧力が分散され、筒状布製型枠2,3の全てで目合いが大きくならず、より確実に余剰水のみを筒状布製型枠2,3の目合いから抜くことが可能となる。また、法面N等に突起が存在する場合でも、外側にある織布がその突起によって破損しても内側にある織布まで破損してしまう可能性は低いため、筒状布製型枠2,3が全体として破損し難いものとなる。例えば、三重構造の筒状布製型枠2,3は、三重に重ねた織布と、これとは別に三重に重ねた織布とを表裏に重ね、その重ねた端部どうしを縫合して形成されるものである。
ここで、折り返された挿入側筒状布製型枠2の端部Aに覆われた状態のジョイント5〔図3(B)参照〕を図3(C)に示す状態にするにあたり、幅h〔図4(A)参照〕のあるジョイント5の挿入のし易さからして、挿入側筒状布製型枠の端部Aで覆われている前記ジョイント5を、図3(B)の状態から横に90°回転させ(ジョイント5のリング面a’を上下水平に向けることにより寝かせたままにする)、寝かせたままの状態で前記ジョイント5を挿入する方が挿入し易く、その挿入後、さらに前記ジョイント5を寝かせた状態から立たせる状態にするため90°回転させれば図3(C)に示す状態になる。すなわち、予じめ隣接する他方の筒状布製型枠(被挿入側筒状布製型枠)3の端部B内に挿入したジョイント5を90°回転させて使用することで、隣接する筒状布製型枠の端部A,Bどうしの接続作業を容易にできる。
以下、被挿入側筒状布製型枠3の端部B側への幅(高さ)hのあるジョイント5を90°回転させることで容易に挿入できるための条件について、図7~図9を用いて以下説明する。
筒状布製型枠3の内周面の半径をr、ジョイント5の外周面の半径をr’、ジョイント5の半径方向に直交する軸方向におけるジョイントの幅をhとする。
まず始めに、図7を用いて筒状布製型枠3のジョイント部分の大きさに関する考察を行う。
図7において、矢印に示す方向に筒状布製型枠3の筒状の布を潰していくと断面はなくなり、2枚の布が重なった状態となる。
図7に示されたように、理論上厚みがなければ、直径の1.57倍のリングまでは横にして(寝かした状態で)入れることができる。
ここで、最大倍率=(Π×r)/(2×r)=Π/2≒3.14/2=1.57となる。
但し、最大倍率の場合には、寝かせたままでしかリングは入らず寝かせた状態からリングを立てることはできない。リングを90°回転させるには直径よりは大きくはできない。
一方、図8、図2に示すように、幅hのあるジョイントを90°回転させて使用する場合には、半径rの球に内接する直円柱で、体積が最大となるものが上限となる。
最大の時の条件は、以下の通りである。
h=〔√(4/3)〕×r=〔(2√3)/3〕×r≒1.15r
r’=〔(√6)/3〕×r≒0.81rとなる。
このときのジョイントの「幅(高さ)/直径」は、
「h/(2r’)」=(1.15r)/(0.81r×2)≒0.71となる。
また、本実施の形態で用いる幅hのあるジョイント5を90°回転させて使用する場合のジョイント5の数値限定を以下に示す。
(1)ジョイント5の幅(高さ)h: 0<h<1.15r
(2)ジョイント5の外周面の半径r’: 0.81×r<r’<1×r
(3)幅(高さ)対直径比: 0.71未満
そこで、図9を用いて、半径rの球に内接する直円柱のうちで、体積が最大のものの底面の半径、高さ(幅)およびその体積Vを求める。
図9のような断面図を考える。円柱の高さをh(0≦h≦2r)とすると、底面の直径は
Figure 0007204209000001

となる。すると半径は、
Figure 0007204209000002

となる。これより、円柱の体積Vは、
Figure 0007204209000003




となる。これをhで微分すると、
Figure 0007204209000004




となる。
d(V)/dh=0となるのは、h=√(4/3)×r のときであるので、増減表は以下のようになる。
Figure 0007204209000005








これより、底面の半径は、
Figure 0007204209000006




高さは〔(2√3)/3〕×r、体積は、
Figure 0007204209000007






となる。
上記実施例では、外周面の半径r’、幅hを適宜考慮した上で、図4(A)、図4(B)の形状のジョイント5を用いることができる。
なお、図5、図6には、法面N上に敷設された例えば植生マット(図示せず)の上に筒状布製型枠2,3を、等高線に沿うよう配置された横梁Xと、縦梁Yとに使用してなる法枠1を示したが、図10、図11は、植生マットの上に筒状布製型枠2,3を縦梁Yとしてのみ使用する(横梁Xは使用しない)タイプの法枠1を示している。
なお、本発明では、セメント流動物4を収容した各筒状布製型枠2,3…から、重力により余剰水がある程度自動的に排出される(筒状布製型枠2,3…が目減りする)のを待って、再度、セメント流動物4を筒状布製型枠2,3…内に充填する、という手順を、各筒状布製型枠2,3…が目減りしなくなるまで繰り返すのが好ましい。
すなわち、上述したように、筒状布製型枠2,3…は、水を通過させ、セメント粒子を通過させない目合いを有する織布からなるため、セメント流動物4を収容した各筒状布製型枠2,3…から余剰水は排出されるが、セメント粒子は筒状布製型枠2,3…内に残留することになる。
ここで、セメント成分はpH12.5の強アルカリ性であり、筒状布製型枠2,3…から排出された余剰水による植生への影響を抑えるためには、その中和を図るのが好ましく、具体的には、例えば、中和剤をセメント流動物4に混合する、筒状布製型枠2,3…に担持させる、法面Nに散布する、といった方法をとることができる。
尚、上記実施の形態においては筒状布製型枠2,3…として織布を用いた例について説明したが、織布に限らず、例えば、水を通過させセメント粒子を通過させない不織布などを用いてもよい。又、前記ジョイント5の外周面に凹凸を設けてもよい。
1 法枠
2,3 筒状布製型枠
4 セメント流動物
A,B 隣接する筒状布製型枠の端部A,B
5 縦断面ほぼ円環状のジョイント
6 結束用帯状体

Claims (5)

  1. 複数の筒状布製型枠を接続し、その内部にセメント流動物を注入してなる法枠であって、隣接する前記筒状布製型枠の端部どうしを縦断面ほぼ円環状のジョイントを用いて接続するのに前記筒状布製型枠の端部で前記ジョイントの外周面を覆い、その外面を結束用帯状体で締め付けてある法枠。
  2. 隣接する一方の筒状布製型枠の外側に前記ジョイントが外嵌された状態で、その筒状布製型枠の端部を前記ジョイントの外側に折り返してその筒状布製型枠の端部で前記ジョイントを覆うよう構成されるとともに、その覆われた状態の前記ジョイントを含む筒状布製型枠が、隣接する他方の筒状布製型枠の端部側にジョイント側から挿入され、さらに、この状態で他方の筒状布製型枠の端部の外周面を介して前記ジョイントの外周面を覆うよう前記結束用帯状体を取付けて前記ジョイントを前記結束用帯状体で締め付けてある請求項1に記載の法枠。
  3. 筒状布製型枠の内周面の半径をr、ジョイントの外周面の半径をr’、ジョイントの半径方向に直交する軸方向におけるジョイントの幅をhとしたとき、
    0<h<1.15r …(1)
    0.81×r<r’<1×r …(2)
    であり、
    さらに、前記ジョイントの幅対外周面の直径〔h/(2r’)〕比は、その最大値が0.71未満である請求項1~請求項2のいずれか1項に記載の法枠。
  4. 前記ジョイントの幅hが、筒状布製型枠の内周面の直径(2r)の1/5~1/10に設定される請求項3に記載の法枠。
  5. 接続された複数の筒状布製型枠の内部にセメント流動物を注入して法枠を形成する法枠形成方法であって、隣接する前記筒状布製型枠の端部どうしを縦断面ほぼ円環状のジョイントを用いて接続するにあたり、前記筒状布製型枠の端部で前記ジョイントの外周面を覆い、その外面を結束用帯状体で締め付ける法枠形成方法。

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