JP7204037B1 - 機能水の製造装置および製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】17O-NMRスペクトル値が水道水よりも大幅に小さくなった機能水を製造する装置と方法を提供する。【解決手段】流路の上流部は水の17O-NMRのスペクトル値を変化させる水構造変化部4を設けている。水構造変化部4にはセラミック粒子5が充填されている。充填は最密充填とすることで、流水に衝突した場合の共振効果が高くなる。セラミック粒子5としては、シリカSiO2およびアルミナAl2O3を主体とし、これにアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8~10属元素の酸化物の少なくとも1つを含むセラミック材料に、少なくとも鉄ミネラルを多く含む備長炭を燃やしてできた灰を加えて造粒したものを用いる。備長炭の焼成温度は1250℃~1330℃とするのが好ましく、セラミック材料への添加割合は重量比で0.5%~5%の割合とするのが好ましく、備長炭灰分を混練して造粒したものを用いる。【選択図】 図1

Description

本発明は、液体の構造(平均的な構造)が変化した機能水を製造する装置および方法に関する。
電解水、磁気水、クラスターが小さくなった水、ナノバブルを含んだ水などの構造が変化した水(機能水)は、通常の水とは異なる挙動を示すことが知られ、多くの用途が報告されている。
特許文献1には、機能水の製造方法として、メッシュや繊維などを充填した微小気泡発生部に水を通すことで水中に直径500nm以上の微小気泡を発生させ、この微小気泡を含む水をアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8~10族元素の酸化物の少なくとも1つからなるセラミックに接触させることで金属イオンを溶解させ、この金属イオンと微小気泡が含まれる水をノズルから噴出するとともに水中の微小気泡に縮小する力を作用させて直径500nm未満のナノサイズの気泡とする内容が記載されている。
特許文献2には、様々な技術分野において利用可能な機能水の発生器として、塊状にしたステンレスネット(ステンレスウール)を充填した区画と、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8~10族に属する元素から選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む粒状セラミックスを充填した区画を、内部に直列に配した構造が提案されている。
特許文献3には、備長炭を素材としたマドラーが開示されている。この文献には、備長炭は吸着効果による有害物質の吸着の他にクラスター分解効果を有し、水を軟水に変える機能があることが記載されている。
非特許文献1には、ステンレス製の筒の中にセラミック球を最密充填し、この中に水圧2Kgf、流速15L/分で水道水を通すことで、セラミックスから放射される遠赤外線の非熱効果によって水のクラスターが小さくなること、さらにはクラスターが小さくなった機能水で炊飯した場合に吸水量が増加し、糖度が高くなることが報告されている。
非特許文献2には、水クラスターの構造として、水素結合ができるサイトが10個あるという実験事実から、正12面体の中心にH3+が存在すると言われていることが記載されている。
非特許文献3には、二量体から五量体までの水クラスター構造に対し, 気相における振動数と強度を B3LYP/aug-cc-pVDZ レベルと MP2/aug-cc-pVDZ レベルの分子軌道計算によって求めた内容が気指されている。
非特許文献4には、二次元LJ流体と水のクラスター構造とに関連性について記載されている。
非特許文献5には、何個かの水分子が水素結合によって集合しているものがクラスターであり、このクラスターを構成する水分子はピコ秒(10-12秒)単位でくっついたり離れたりしていることが記載され、またクラスターの大きさは17O-NMR半値幅で測定できることは否定されていると記載されている。
非特許文献6には、飲料水のクラスターの大きさを17O-NMR半値幅で測定した場合、pHに依存したプロトンの交換速度および17Oとプロトンのカップリングの影響で正確にクラスターの大きさを表すことができないと記載されている。
非特許文献7には、NMR分析法(17O-NMR化学シフト法)の観測時間は、原子の回転、並進運動の緩和時間より長いため、液体の平均的な構造を検討できると記載されている。
非特許文献8には、核磁気共鳴装置を用いて純水および水道水の17O-NMR測定を行った結果、純水の半値半幅は65.5Hz、水道水の半値半幅は119.9Hzであることが記載されている。
特許第6127196号公報 特開2002-85235号公報 特開2017-87176号公報
「遠赤外線放射セラミックス処理水による米飯中の含水量及び糖度の向上」Nippon Shokuhin Kagaku Kaisha Vol.47,No.8.578~582(2000) 著者:水原裕子、今西忠雄、安田俊彦、佐野洋 「水分子クラスターの量子分子動力学計算(原子核とマイクロクラスターの類似性と異質性)」工業技術院 産業技術融合研究所 クラスターサイエンスグループ 池庄司 民夫 「水の構造に関する基礎的研究:分子軌道法による水クラスターの振動解析」福田光完 堀之内ゆり 共著、2001-52、197,196,111 「水のクラスタ構造の分子動力学的研究:クラスタサイズおよびその確率的分布の温度・密度依存性」小原拓 相原利 著、日本機械学会論文集B編60巻570号 「活水器の表示に関する科学的視点からの検証ついて」東京都生活文化局(平成17年2月) 「NMR分光法による水評価」水環境学会誌 第16巻 第6号 409~415(1983)大河内正一、石原義正、荒井浩、上原悟 「17O-NMR化学シフト法による1,4-dioxane 水溶液の液体構造」化学工学論文集 (1998年3月) 高橋晋、小嶋高良、高橋燐吉 「核磁気共鳴装置を用いた水の17O-NMR測定」静岡理工大学 Application Note, vol.18.June 2018
特許文献1及び特許文献2に開示される機能水の製造装置では、パイプの上流部にステンレスウールを充填し、下流部にセラミックスを充填している。即ち上流部で微細気泡を発生させ、下流部で水に金属イオンを溶け込ませている。
このように、微小気泡が混入した水を先に製造すると、その下流側でクラスターを小さくするような水の構造変化を起こすことが困難になる。
特許文献3に記載されるように、備長炭を素材としたマドラーで水をかき混ぜてもクラスターを小さくするような水の構造変化を起こす効果は小さい。また、非特許文献1に示すように、セラミックスに水を接触させても同様に、水の構造を変化させる効果は小さい。
非特許文献2~4には、クラスターの特性が記載されているが、一般の水道水に対して、連続してクラスターを小さくするような構造変化をもたらす手段については何ら開示していない。
非特許文献5、6では水のクラスターの大きさを、17O-NMR化学シフト法(半値半幅)によって表現することは適切でないことが記載されているが、一般の水道水に対して、どのような手段で構造変化を起こさせるかについては何ら開示していない。
非特許文献7、8には、水の構造変化を17O-NMR化学シフト法(半値幅)で表すことができるが記載されている。しかしながら、一般の水道水に対して、どのような手段で構造変化を起こさせるかについては何ら開示していない。
本発明者はアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8~10族に属する元素から選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含むセラミックスに所定の流速(1.5m/s~2.0m/s)で水を接触させると、セラミックスから放射される遠赤外線の非熱効果によって水の構造に変化が起きることを確認したが、十分な構造変化ではなかった。
そこで上記のセラミックス材料に鉄分を含む備長炭を焼成した灰を混合してセラミックス粒子を造粒し、このセラミック粒子を充填した流路に水を1.5m/s~2.0m/sの流速で流したところ、17O-NMRのスペクトル値(半値幅)が72.0Hz(1.5m/s)、73.0Hz(2.0m/s)となり、大きな構造変化が起きていることが確認できた。
尚、焼成しない備長炭を添加した場合には、17O-NMRのスペクトル値は大きく変化しなかった。
上記の知見に基づいた本発明に係る機能水の製造装置は、一端を水の流入口とし他端を水の流出口とした水経路を構成するパイプの上流部に、水の構造を変化させる水構造変化部を設け、この水構造変化部に続く下流側に微細気泡発生部を設けた機能水の製造装置であって、前記水構造変化部には、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8~10族元素の酸化物の少なくとも1つを含むセラミック材料と鉄分を含む備長炭を焼成した灰との混合物を造粒・焼成してなるセラミック粒子を充填し、前記微細気泡発生部はキャビテーション効果を発揮する絞り部とした。
機能水の製造装置としては、前記微細気泡発生部の絞り部の下流側にノズルを配置し、これら絞り部とノズルによって2段階で微細気泡を発生させる構造も可能である。
上記の機能水の製造装置を用いた機能水の製造方法では、水流路を構成するパイプの一端から水道水を0.1m/s以上の流速で水構造変化部に供給することで、水道水の17O-NMRスペクトル値を97.5Hz以下となる水の構造変化が認められる。
本発明によれば、従来から認められている機能水の効果、例えば、硬水の軟水化、水道水の浸透力向上による洗濯の洗浄効果改善、植物の吸水を促進して鮮度保持、畜産における動物の健康維持、化粧品に使用した場合の保水力の向上、漢方薬の抽出向上などの効果が更に向上する。
また、本発明によれば、従来から認められている効果の他に、沸点は101℃、氷点は-4℃であることも判明した。
本発明装置に水道水を通すだけで、構造変化がもたらされ水に微細気泡を含んだ機能水を連続的に製造することができるので、多くの用途に利用できる。
本発明に係る機能水の製造装置の内部構造を示す図。 機能水の製造装置の出口に装着されるノズルを流れの上流側から見た図。 サンプルと17O-NMRのスペクトル値を示した表。 サンプルのうちの2つの17O-NMRスペクトル値を示すグラフ サンプル(1)のノルマルヘキサン溶込量の試験結果を示す証明書 サンプル(2)のノルマルヘキサン溶込量の試験結果を示す証明書 サンプル(5)のノルマルヘキサン溶込量の試験結果を示す証明書 花瓶の水として水道水と本発明の機能水を使った場合の比較例(1日目) 花瓶の水として水道水と本発明の機能水を使った場合の比較例(15日目)
機能水の製造装置は、パイプ1の一端を水の流入口2、他端を流出口3としてパイプ1内に水の流路を形成している。
流路の上流部は水の17O-NMRのスペクトル値を変化させる水構造変化部4を設けている。水構造変化部4にはセラミック粒子5が充填されている。充填は最密充填とすることで、流水に衝突した場合の共振効果が高くなる。
セラミック粒子5としては、シリカSiO2およびアルミナAl23を主体とし、これにアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8~10属元素の酸化物の少なくとも1つを含むセラミック材料に、少なくとも鉄ミネラルを多く含む備長炭を燃やしてできた灰を加えて造粒したものを用いる。
備長炭の焼成温度は1250℃~1330℃とするのが好ましく、セラミック材料への添加割合は重量比で0.5%~5%の割合とするのが好ましく、備長炭灰分を混練して造粒したものを用いる。
備長炭の灰の代わりに、焼成しない備長炭の粉末を混合して造粒したセラミック粒子、及び、備長炭の灰の代わりに市販の鉄粉を混合して造粒したセラミック粒子では水粒子を十分に小さくすることはできなかった。
備長炭だけでなく木節粘土の灰分を加えて造粒焼成したものを加えてもよい。木節粘度は花崗岩の風化物であるカオリナイト(Al2Sl25(OH)4)が沼地の植物や流木とともに埋没沈積したものであり、他の鉱物に比較して有機物の他に微量ではあるがNiやPtなどの触媒金属を含んでいるため、17O-NMRのスペクトル値を変化させる水構造変化が期待できる。
前記水構造変化部4の下流側には絞り部7を設け、この絞り部7の下流側を微細気泡発生部6としている。この微細気泡発生部6は急激に容積が大きくなる圧力開放部であり、キャビテーション効果によって微細気泡が発生する。
本実施例では、パイプ1の流出口3内にノズル8を設けている。ノズル8は図2にも示すように、下流側が解放されたキャップ部9と、キャップ部9の上流側に取付けられる円板10からなり、円板10には複数の円形穴11が形成され、またキャップ部9にも外側と内側をつなぐ小孔12が形成されている。
ノズル8を通過する水は互いに衝突してキャビテーション効果によって発生している気泡を更に小さくする。具体的には気泡の直径は40nmよりも小さくなる。この実施例では絞り部7とノズル8で2段階で微細気泡が発生するようにしている。
本発明に係る機能水の製造装置によって発生する微細気泡の粒径は、スピントラップ剤であるDMPO(5,5-ジメチル-1-ピロリンN-オキサイド)を添加して調製した溶液を、電子スピン共鳴装置(ESR)を用い、ナノバブルの存在に起因するスピンアダクトであるDMPO-OHのスペクトルが観察することで測定した。
図3はサンプル水の構造変化を17O-NMRのスペクトル値として測定した結果を示す表である。図4は図3のサンプル(1)と(5)の17O-NMRのスペクトル値を示す実測グラフである。
サンプル(1)は水道水、サンプル(2)は水道水を入れた容器に備長炭の灰を加えていないセラミック粒子を1時間浸漬した水、サンプル(3)は水道水を入れた容器に焼く前の備長炭(生備長炭)を加えていないセラミック粒子を1時間浸漬した水、サンプル(4)は備長炭の灰を加えたセラミック粒子を本発明の装置のクラスター細化部に充填し、0.1m/sの速度で水道水を流した場合、サンプル(5)は1.5m/sの速度で水道水を流した場合、サンプル(6)は2.0m/sの速度で水道水を流した場合である。
サンプル(2)からは、セラミック粒子に水道水を接触させただけで17O-NMRのスペクトル値が小さくなること、即ち水の構造変化が生じていることが分かる。サンプル(3)からは、焼成しない備長炭をそのままセラミック粒子に添加しても水の構造変化はセラミックのみの場合と有意な変化はないことが分かる。
サンプル(4)からは、備長炭の灰を添加したセラミック粒子に0.1m/sで水道水を接触させると、浸漬した場合と比べ17O-NMRのスペクトル値が小さくなり、更にサンプル(5),(6)から水道水の流速を高めると17O-NMRのスペクトル値が小さくなることがわかる。尚、水道水の速度はウォータハンマー防止のため、2.0m/sを上限とすることが決められている。
図5~7は図3に示したサンプル水に対するノルマルヘキサンの溶解量(溶込量)の試験結果を示す。
図5の水道水は図3のサンプル(1)に相当し、図6の普通と記載されている水は図3のサンプル(2)に相当し、図7の炭酸入と記載されている水は図3のサンプル(5)に相当する。尚、炭酸入の意味は水中の不純物を除去するために微量の炭酸を加えたことを意味し、水の構造としては17O-NMRスペクトル値で73.0Hzのものである。
このように水の構造変化を示す17O-NMRスペクトル値が小さくなる(1200mg/Lから2800g/L)ことで、ノルマルヘキサンの溶解量が大幅に向上することがわかる。
図8と図9は、花瓶の水として水道水と本発明の機能水を使った場合の比較例(1日目と15日目)であり、左側の花瓶は機能水を使用し、右側の花瓶には水道水を使用している。
この写真の比較から明らかなように、本発明の機能水を使用した場合には花が長持ちする。
1…パイプ、2…水の流入口、3…水の流出口、4…クラスター細化部、5…セラミック粒子、6…微細気泡発生部、7…絞り部、8…ノズル、9…キャップ部、10…円板、11…円形穴、12…小孔。


Claims (3)

  1. 一端を水の流入口とし他端を水の流出口とした水経路を構成するパイプの上流部に、水の構造を変化させる水構造変化部を設け、この水構造変化部に続く下流側に微細気泡発生部を設けた機能水の製造装置であって、前記水構造変化部には、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8~10族元素の酸化物の少なくとも1つを含むセラミック材料と鉄分を含む備長炭を焼成した灰との混合物を造粒・焼成してなるセラミック粒子を充填し、前記微細気泡発生部はキャビテーション効果を発揮する絞り部としたことを特徴とする機能水の製造装置。
  2. 請求項1に記載の機能水の製造装置において、前記微細気泡発生部は絞り部の下流側にノズルを配置し、これら絞り部とノズルによって2段階で微細気泡を発生させることを特徴とする機能水の製造装置。
  3. 請求項1に記載の機能水の製造装置を用いた機能水の製造方法であって、水流路を構成するパイプの一端から水道水を0.1m/s以上の流速で水構造変化部に供給し、水道水の17O-NMRスペクトル値を97.5Hz以下にすることを特徴とする機能水の製造方法。
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