以下、添付図面を参照し、本発明に係る実施形態を次の順序で説明する。
<1.遊技機の構造>
<2.遊技機の制御構成>
[2-1.主制御部]
(設定値の変更操作について)
(性能表示について)
(演出制御コマンド)
[2-2.演出制御部]
<3.動作の概要説明>
[3-1.図柄変動表示ゲーム]
(特別図柄変動表示ゲーム)
(装飾図柄変動表示ゲーム)
(普通図柄変動表示ゲーム)
(保留について)
[3-2.遊技状態]
[3-3.当りについて]
[3-4.演出について]
(演出モード)
(予告演出)
(演出手段)
<4.主制御部の処理>
[4-1.主制御側メイン処理]
(初期設定処理)
(初期設定後の処理)
(メインループ処理)
(設定変更処理)
(設定確認処理)
[4-3.第一のまとめ]
[4-4.起動時処理のプログラムについて]
[4-5.第二のまとめ]
[4-6.起動時のコマンド送信について]
[4-7.主制御側タイマ割込み処理]
(電源チェック・バックアップ処理)
(エラー管理及び遊技進行のための処理等)
[4-8.特別図柄変動表示ゲームに係る処理]
(特別図柄管理処理)
(特図1始動口チェック処理)
(特別図柄変動開始処理)
(変動管理処理)
(大当り乱数判定処理)
(変動パターン抽選処理)
[4-9.第三のまとめ]
<5.起動時における演出制御部のコマンド対応処理>
<6.起動時におけるコマンド送信の変形例>
<7.その他変形例>
<1.遊技機の構造>
図1及び図2を参照して、本発明に係る実施形態としてのパチンコ遊技機1の構造について説明する。図1はパチンコ遊技機1の外観を示す正面側の斜視図を、図2はパチンコ遊技機1が有する遊技盤3の正面側を示した図である。
図1に示すパチンコ遊技機1(以下「遊技機1」と略称する場合がある)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図3参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成された演出ボタン13(操作手段)が設けられている。この演出ボタン13は、所定の入力受付期間中に内蔵ランプ(ボタンLED75)が点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯中に所定の操作(押下、連打、長押し等)をすることにより演出に変化をもたらすことが可能となっている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を発揮するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を発揮する装飾ランプ45(例えばフルカラーLEDによる光演出用LED等)が複数設けられている。この装飾ランプ45としてのフルカラーLED(光演出用LED)は、パチンコ遊技機の周囲、つまりガラス扉6の前枠周縁に周方向に複数個設けられている。
図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図示の遊技盤3には、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3a、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示動作(変動表示および停止表示)が可能である液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、装飾図柄の変動表示動作の他、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さ又はストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分手段として働く。本実施形態では、センター飾り48の存在によって遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるように、センター飾り48は遊技領域3aのほぼ中央部に配置されている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとの何れかを流下する。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグメント表示器により表現される「特別図柄」の変動表示動作による特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示して、種々の予告演出(演出画像)とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣に、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1、2、普通図柄の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。例えば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、何れかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLED(第1~第3ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。このラウンド数表示装置39bは、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38aにおける第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略称する)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放又は拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(例えば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、始動口開閉手段として、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」入賞装置として構成されている。
普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38bにおける第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略称する)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、又は入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する可動体役物(図示せず)が配設されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37(第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成してもよいし、両流下経路にそれぞれ形成してもよい。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。
センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞し得る。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれる。
なお本実施形態の遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、又は誘導されない構成となっている。従って「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難又は不可能とされるようになっている。可動翼片47は、後述の電サポ有り状態を伴う遊技状態になると、通常状態よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。
本実施形態の場合、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、遊技状態に応じて変化する。具体的には、後述の「電サポ無し状態」を伴う遊技状態であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、後述の「電サポ有り状態」を伴う遊技状態であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。
本実施形態の遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(例えば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口50は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。
ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、或いは入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく通過型のゲートからなる入賞口(例えば、普通図柄始動口37)である場合はそのゲートを遊技球が通過したりすることを言い、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。なお、入賞口に遊技球が入口すれば、その遊技球は入賞検出スイッチにより検出されることとなるため、本明細書中では特に断りのない限り、入賞検出スイッチに遊技球が検出されたか否かによらず、入賞口に遊技球が入口した場合を含めて「入賞」と称する場合がある。
<2.遊技機の制御構成>
図3のブロック図を参照して、遊技機1の遊技動作制御を実現するための構成(制御構成)について説明する。
本実施形態の遊技機1には、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行制御(現出制御)を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下「演出制御部24」と称する)と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機1に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を有して構成される。
演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において各部への電源供給ルートは省略している。
[2-1.主制御部]
主制御部20は、CPU(Central Processing Unit)201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM(Read Only Memory)202(主制御ROM)と、ワーク領域やバッファメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータを構成している。
本例では、CPU201はZ80のマイクロプロセッサーとされる。
また図示はしていないが、主制御部20は、周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を実現するためのCTC(Counter Timer Circuit)、及びCPU201に割込み信号を付与するタイマ割込み等の割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、及び電源投入時や遮断時や電源異常などを検知してシステムリセット信号を出力してCPU201をリセット可能なリセット回路、及び制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、及び予め設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、及びハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路等も備えている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ち等のゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
主制御部20には、上始動口34への入賞(入球)を検出する上始動口センサ34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、アウト口49から排出される遊技球(アウト球)を検出するOUT監視スイッチ49aが接続され、主制御部20はこれらから出力される検出信号を受信可能とされている。主制御部20は、各センサからの検出信号に基づき、何れの入賞口に遊技球が入球したのかを把握可能とされる。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
さらに主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄1、2を表示制御するための制御信号を送信可能とされている。さらにまた、主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能とされている。
また、主制御部20には、複合表示装置38c、ラウンド数表示装置39bが接続され、主制御部20は、複合表示装置38cに表示される各種情報を表示制御するための制御信号や、ラウンド数表示装置39bに表示される大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能とされている。
さらに、主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、枠用外部集中端子基板21を介し、遊技機外部に設けられたホールコンピュータHCに対し所定の遊技情報(例えば、大当り情報、賞球数情報、図柄変動実行情報等)を送信可能とされている。
なお、ホールコンピュータHCは、主制御部20からの遊技情報を監視して、パチンコホールの遊技機の稼働状況を統括的に管理するための情報処理装置(コンピュータ装置)である。
さらにまた、主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、賞球の払い出しの必要がある場合には、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能とされている。
払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への状態信号の送信などである。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bが設けられており、払出制御基板29は、これらの各検出信号を受信可能とされている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ19cが設けられており、払出制御基板29は、払出モータ19cを制御するための制御信号を送信可能とされている。
さらに、払出制御基板29には、上受け皿9が遊技球で満杯状態を検出する満杯検出センサ60(本実施形態では、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態を検出する検出センサ)と、前扉開放センサ61(本実施形態では、少なくとも前枠2の開放状態を検出する検出センサ)が接続されている。
払出制御基板29は、満杯検出センサ60、前扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bからの検出信号に基づいて、主制御部20に対して、各種の状態信号を送信可能となっている。この状態信号には、満杯状態を示す球詰り信号、少なくとも前枠2が開放されていることを示す扉開放信号、遊技球払出装置19からの遊技球の供給不足を示す補給切れ信号、賞球の払出不足や球計数センサ19bに異常が発生したこと示す計数エラー信号、払い出し動作が完了したことを示す払出完了信号などが含まれ、様々な状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2の開放状態(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(補給切れエラー)や、上受け皿9の満杯状態(球詰りエラー)等を監視する。
さらにまた、払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、発射制御基板28に対し発射を許可する許可信号を送信可能とされている。発射制御基板28は、払出制御基板29からの許可信号が出力されていることに基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球の発射動作を実現している。具体的には、払出制御基板29から発射許可信号が出力されていること(発射許可信号ON状態)、発射操作ハンドル15に設けられたタッチセンサ(図示せず)により遊技者がハンドルに触れていることを検出されていること、発射操作ハンドル15に設けられた発射停止スイッチ(図示せず)が操作されていないことを条件に、遊技球の発射動作が許容される。従って、発射許可信号が出力されていない場合には(発射許可信号OFF状態)、発射操作ハンドル15を操作しても発射動作は実行されず、遊技球が発射されることはない。また、遊技球の打ち出しの強さは、発射操作ハンドル15の操作量に応じて変化可能となっている。
なお、払出制御基板29が上記球詰りエラーを検出すると、主制御部20に球詰り信号を送信するとともに発射制御基板28に対する発射許可信号の出力を停止し(発射許可信号OFF)、上受け皿9の満杯状態が解消されるまで打ち出し動作を停止する制御を行うようになっている。
また、払出制御基板29は、発射制御基板28に対する発射の許可信号の出力を、主制御部20より発射許可が指示されたことを条件に行う。
ここで、主制御部20は、設定キースイッチ94、及びRAMクリアスイッチ98が接続されており、これらスイッチからの検出信号を受信可能とされている。
RAMクリアスイッチ98は、RAM203の所定領域を初期化することを指示入力するための例えば押しボタン式のスイッチとされる。
設定キースイッチ94は、電源投入時にホールスタッフが所持する設定鍵を挿入してON/OFF操作することにより設定変更モード(ON操作時)に切り替えるためのキースイッチとされる。ここで、設定変更モードは、設定値Veを変更可能なモードである。設定値Veは、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す値である。
RAMクリアスイッチ98は、前枠2が開放された状態で操作可能に設けられたRAMクリアボタンの操作に応じてON/OFFされる。また、設定キースイッチ98は、上記した設定鍵を挿抜可能とされたキーシリンダが対応して設けられており、該キーシリンダに挿入された設定鍵が順方向に回動されることでON、該ONの状態から逆方向に回動されることでOFFとなる。キーシリンダは、前枠2が開放された状態で設定鍵の挿入による操作が可能となるように設けられている。なお、キーシリンダは、設定鍵が挿入されることで操作可能とされた操作子として機能する。
本例では、設定値Veの変更操作には、上記のRAMクリアボタンが兼用される。具体的に、RAMクリアボタンは、設定値Veを順送りするための操作子としても機能する。
RAMクリアスイッチ98、及び設定キースイッチ94は、遊技機1内部の適所に設けられている。例えば、主制御基板20上に配置される。
また主制御部20は、設定・性能表示器97が接続されている。
設定・性能表示器97は、例えば7セグメント表示器を有して構成され、設定値Veと性能情報(後述する)の表示が可能とされた表示手段として機能する。設定・性能表示器97は、例えば主制御部(主制御基板)20上の視認し易い位置に搭載されている。
主制御部20は、設定・性能表示器97に対して設定値Veや性能情報を表示させるための制御信号を送信可能とされている。
ここで、設定値Veは、主として、少なくとも大当り(後述の条件装置が作動することとなる当り種別)の抽選確率(当選確率)を段階別(例えば、設定1~6の6段階)に規定するもので、設定値Veが高くなるほど、当選確率が高くなり(設定1が最低の当選確率、以降、設定の値の昇順に当選確率が高くなる)、遊技者に有利に作用するようになっている。換言すれば、設定値Veが高くなるほど、所謂「機械割(出玉率、PAYOUT率)」が高くなり、遊技者に有利に作用するようになっている。
このように、設定値Veとは、大当り当選確率や機械割などを規定する値であり、遊技者に作用する利益状態などの特定事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味し、本実施形態では、各設定値Veに応じて遊技に係る有利度が規定されることになる。
設定値Veは、専ら、ホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員等のホールスタッフによって設定が行われる。なお、大当りが複数種類ある場合、何れの大当りの当選確率を設定値Veに応じて変化させるか、対象となる大当りの種類は、適宜定めることができる。例えば、大当り1~3という3種類の大当りがあるとした場合、設定値Veが相対的に高い方が、大当り1~3のすべての当選確率を高くしてもよいし、大当り1~3の合算当選確率を高くしてもよい。また一部の大当りの当選確率を高くしてもよい。例えば、大当り1~2の当選確率だけを高くし、大当り3については全設定値Veで一定の当選確率にしてもよい。
(設定値の変更操作について)
設定値Veを変更するためには、本例では、遊技機1の電源がオフとされ前枠2が解放された状態において、設定キースイッチ94をON操作(設定変更モード側に操作)し且つRAMクリアボタンを押圧した状態(RAMクリアスイッチ98がONの状態)で遊技機1への電源を投入する。すると、現在の設定値Veが設定・性能表示器97に表示され、設定値Ve(例えば1~6)の変更操作が可能な「設定変更モード」に移行される。
本例では、設定変更モードに移行するか否かの判定は、後述の主制御側メイン処理において行われる(図5のステップS104を参照)。設定変更モードに移行するための上記の操作条件が満足されているときは、これに応じて設定変更のための処理が実行される。
設定変更モードへの移行後において、設定値Veの変更操作子として機能するRAMクリアボタンがON操作されると、設定・性能表示器97の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→3→・・・」のように1~6の範囲で循環式に切り替えられる。そして希望する設定値Veとなったところで、設定キースイッチ94がOFFされると、設定値Veが確定され、確定した設定値Veの情報がRAM203の所定領域に格納(記憶)される。
また、設定キースイッチ94がOFFされると、設定変更モードが終了され、設定・性能表示器97の表示がクリアされる。
設定変更モードが終了すると、遊技進行を許容する状態に移行される。
(性能表示について)
主制御部20は、設定・性能表示器97に対し所定の性能情報を表示させるための制御信号を送信可能とされている。
性能情報とは、パチンコホールや関係各庁が確認したい情報であり、遊技機1に対する過剰賞球等の不正賞球ゴトの有無や遊技機1本来の出玉性能などに関する情報などがその代表例である。従って、性能情報自体は、予告演出等とは異なり、遊技者が遊技に興じる際に、その遊技進行自体には直接的に関係の無い情報となる。
このため設定・性能表示器97は、遊技機1内部、例えば、主制御部(主制御基板)20、払出制御基板28、発射制御基板29、上記中継基板、演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24上や、基板ケース(基板を保護する保護カバー)など、前枠2が開放状態とされたときに表示情報を視認可能となる位置に設けられている。
ここで、性能情報には、具体的に次のような情報を採用することができる。
(1)特定状態中において入賞により払い出された総払出個数(特定中総賞球数:α個)を、当該特定状態中おいてアウト口49から排出された総アウト球数(特定中アウト個数:β個)で除した値(α/β)に基づく情報(特定比率情報)を、性能情報として採用することができる。
上記「総払出個数」とは、入賞口(上始動口34、下始動口35、一般入賞口43、大入賞口50)に入賞した際に払い出された遊技球(賞球)の合計値である。本実施形態の場合、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口50は13個、一般入賞口43は10個である。
また、特定状態として、何れの状態を採用するかについては、如何なる状態下の性能情報を把握したいかに応じて適宜定めることができる。本実施形態の場合であれば、通常状態、潜確状態、時短状態、確変状態、大当り遊技中のうち、何れの状態も採用することができる。また、複数種類の状態を計測対象としてもよい。例えば、通常状態と確変状態や、当り遊技中を除く全ての遊技状態等であり、その計測対象とする種類は適宜定めることができる。
また、特定状態中の期間として、大当り抽選確率が低確率状態又は高確率状態の何れかの期間を採用してもよい。
また、1又は複数の特定の入賞口を計測対象から除外したものを総払出個数としてもよい(特定入賞口除外総払出個数)。例えば、各入賞口のうち、大入賞口50を計測対象から除外したものを、総払出個数としてもよい。
(2)その他、総払出個数、特定入賞口除外総払出個数、総アウト球数の何れかだけを計測し、その計測結果を性能情報としてもよい。
本実施形態では、通常状態中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の総アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出される値)を性能情報(以下「通常時比率情報」と称する)として表示する。なお、この際の表示値は、小数点第1位を四捨五入した値とする。
従って、通常時払出個数、通常時アウト個数、通常時比率情報の各データが、RAM203の該当領域(特定中総賞球数格納領域、特定中アウト個数格納領域、特定比率情報格納領域)にそれぞれ格納(記憶)されるようになっている。但し、単に永続的に計測して性能情報を表示するのではなく、総アウト球数が所定の規定個数(例えば、60000個)に達した場合、一旦、計測を終了する。この規定個数とは、通常状態の総アウト球数ではなく、全遊技状態中(当り遊技中を含む)の総アウト球数(以下「全状態アウト個数」と称する)である。この全状態アウト個数もリアルタイムに計測され、RAM203の該当領域(全状態アウト個数格納領域)に格納される。以下、説明の便宜のために、特定中総賞球数格納領域、特定中アウト個数格納領域、特定比率情報格納領域、全状態アウト個数格納領域を「計測情報格納領域」と略称する。
そして、終了時点の通常時比率情報をRAM203の所定領域(性能表示格納領域)に格納し(今回の通常時比率情報を記憶)、その後、計測情報格納領域(通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト個数)をクリアしてから、再度、計測を開始する(通常時払出個数、通常時アウト個数、通常時比率情報および全状態アウト球数の計測を開始する)。そして、設定・性能表示器97には、前回の通常時比率情報(計測履歴情報)と、現在計測中の通常時比率情報とが表示されるようになっている。なお、前回の情報に限らず、前々回やその前(3回前)などの履歴を表示可能に構成してもよく、何回前までの情報を表示するかについては適宜定めることができる。
ここで、本例の場合、設定・性能表示器97には設定値Veと性能情報とが択一的に表示される。具体的に、本例では、設定変更や設定確認は電源投入に伴う起動時にのみ行われるため、電源投入に伴う起動後、設定変更モードや設定確認を行うモードに移行したことに応じて設定・性能表示器97に設定値Veが表示され、設定変更や設定確認が完了した後において、性能情報の表示が行われる。
なお、設定値Veと性能情報を共通の表示器により表示する構成に限定されず、別々の表示器により表示する構成を採ることもできる。その場合、設定値Veと性能情報の表示が並行して行われてもよい。
(演出制御コマンド)
主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報等を含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に対して送信可能とされている。但し、ゴト行為等の不正を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
ここで、演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)及びイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定及び出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定及び出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
[2-2.演出制御部]
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワーク領域やバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源IC)、RTC(Real Time Clock)機能部、カウンタ回路、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や各種LED(ボタンLED75、その他の演出用LED(図示せず))の発光制御、可動体役物の動作制御等である。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワーク領域やバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体役物による可動体演出)を現出させるために、装飾ランプ45や各種LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部、可動体役物(図示せず)を動作させる可動体役物モータ80cに対する駆動制御部(モータ駆動回路)等を備えている。
また演出制御部24には、可動体役物の動作を監視する位置検出センサ82aが接続され、演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の現在の動作位置(例えば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御する。また位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の動作の不具合を監視し、不具合が生じれば、これをエラーとして検出する。
また演出制御部24には、演出ボタン13のスイッチ、つまり演出ボタン13の操作検出スイッチが接続され、演出制御部24は、演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能とされている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、予め用意された複数種類の演出パターンの中から抽選により、又は一意に演出パターンを選択(決定)し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示動作や予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
ここで、演出制御コマンドについて、演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)が送信する上述したストローブ信号の入力に基づき割込み処理を発生させてその受信・解析を行う。具体的に、CPU241は、上述したストローブ信号の入力に基づいてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、これにより実現される割込み処理において、演出制御コマンドを取得し、コマンド内容の解析を行う。
この際、CPU241は、ストローブ信号の入力に基づいて割込みが発生した場合には、他の割込みに基づく割込み処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込みが同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概要説明>
[3-1.図柄変動表示ゲーム]
次に、上記のような制御構成(図3)により実現される遊技機1の遊技動作の概要について説明する。
先ずは、図柄変動表示ゲームについて説明する。
(特別図柄変動表示ゲーム)
本実施形態の遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34又は下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、特別図柄2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、又は特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「はずれ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略称する)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
(装飾図柄変動表示ゲーム)
また、上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
従って、例えば特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(例えば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(例えば「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52cが作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bにより、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、又は大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これら何れかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、予め定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了するようになっている。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、先ず主制御部20が、上始動口34又は下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34a又は下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」又は「はずれ」の何れであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「はずれ」であったならばそのはずれ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別(当り種別)抽選)’とを含む大当り抽選を行い(はずれが1種類の場合は、はずれについて種別抽選を行う必要がないためその抽選を省略してもよい)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、当選種別に応じて最終的に停止表示させる特別図柄(以下、「特別停止図柄」と称する)を決定する。
そして、主制御部20は、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(例えば、大当り抽選結果及び特別図柄の変動時間に関する情報等)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(例えば、後述の「リーチ演出」や「疑似連演出」など)の発生の有無を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、はずれの場合の「はずれ変動パターン」に大別される。これら変動パターンには、例えば、後述のリーチ演出の発生を指定する‘リーチ変動パターン’、リーチ演出の発生を指定しない‘通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との発生(重複発生)を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン’、疑似連演出の発生を指定し、リーチ演出の発生は指定しない‘疑似連有り通常変動パターン’等、複数種類の変動パターンが含まれる。なお、リーチ演出や疑似連演出の演出時間を確保する関係上、通常、リーチ演出や疑似連演出を指定する変動パターンの方が、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(予告演出等の演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36又は光表示装置45a或いは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この二つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記二つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(普通図柄変動表示ゲーム)
また遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。例えば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(例えば、2個のLED39が全て点灯状態、又は「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(例えば0.2秒)経過するまでか、又は下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(例えば4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これら何れかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。
(保留について)
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、又は普電開放遊技中等に、上始動口34又は下始動口35若しくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34a又は下始動口センサ35a若しくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中に関わるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(例えば最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データ、又はその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、又は液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、及び普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄又は普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、及び普通図柄に関する各作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。また、各図柄の最大保留記憶数の全部又は一部が異なっていてもよく、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。
[3-2.遊技状態]
本実施形態に係る遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本実施形態の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態について説明する。
本実施形態の遊技機1は、通常状態、時短状態、潜確状態、確変状態の少なくとも4種類の遊技状態を実行制御可能に構成されている。これら遊技状態は、大当り抽選確率状態(低確率状態、高確率状態)や電チューサポート状態(特典遊技)の発生の有無(電サポ有り、電サポ無し)等で区別される。
「電チューサポート状態」とは、普電開放遊技における普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)が、通常状態よりも延長された「開放延長状態」を指す。開放延長状態が発生すると、可動翼片47の開動作期間が、例えば、通常時(非開放延長状態下)の0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、例えば、通常時の1回から2~3回に延長される。
本実施形態の場合、電チューサポート状態下では、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)の低確率(例えば256分の1)から高確率(例えば256分の255)に変動して(普図確率変動状態)が発生するとともに、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄の変動表示動作時間)を短縮する‘普通図柄時短状態’が発生する(例えば10秒から1秒に短縮される)。従って、電チューサポート状態が発生すると、普電開放遊技が頻繁に発生し、通常状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態(高ベース状態)となる。以下、電チューサポート状態下を「電サポ有り」、そうでない場合を「電サポ無し」と略称する。
本実施形態において、「通常状態」とは、大当り抽選確率が所定確率(通常確率)の低確率(例えば399分の1)であり、電サポ無しの遊技状態(低確率+電サポ無し)を言う。
「時短状態」とは、大当り抽選確率が通常状態と同様の低確率であるが、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄の変動表示動作時間))が通常状態よりも短縮される‘特別図柄時短状態’が発生すると共に、電チューサポート状態となる遊技状態を言う。つまり、時短状態中は「低確率+電サポ有り+特別図柄時短状態」となる。
「潜確状態」とは、大当り抽選確率が上記低確率よりも上昇した高確率(例えば39.9分の1)に変動した‘特別図柄確変状態’であり、電サポ無しの遊技状態(高確率・電サポ無し)を言う。
「確変状態」とは、大当り抽選確率が潜確状態と同様の高確率であるが、特別図柄時短状態及び電チューサポート状態が発生する遊技状態を言う。つまり、確変状態中は「高確率+電サポ有り+特別図柄時短状態」となる。
遊技状態に関し、大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「通常状態」「時短状態」である場合は、少なくとも大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」「確変状態」である場合は、少なくとも大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。なお、大当り中は大入賞口が開閉される大当り遊技が発生するが、大当り抽選確率及び電サポの有無については、上記通常状態と同じ、低確率・電サポ無しの遊技状態下に置かれる。
[3-3.当りについて]
続いて、遊技機1における「当り」について説明する。
本実施形態の遊技機1においては、複数種類の当りを対象に大当り抽選(当り抽選)を行うようになっている。本例の場合、当りの種別には、大当り種別に属する例えば「通常4R」「通常6R」「確変6R」「確変10R」の各大当りが含まれる。
なお、上記「R」の表記は、規定ラウンド数(最大ラウンド数)を意味する。
大当り種別は、条件装置の作動契機となる当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、又は遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものを言う。
上記確変状態は、大当り種別に当選することなく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(例えば70回:規定ST回数)終了した場合に、高確率状態を終了させて低確率に移行させる、いわゆる「回数切り確変機(ST機)」となっており、規定ST回数が終了したときは、次ゲームから通常状態に移行される。但し、次回大当りが当選するまで継続させるタイプの「一般確変機」としてもよい。
なお、特別図柄変動表示ゲームの実行回数は、特別図柄変動表示ゲーム1、及び特別図柄変動表示ゲーム2の合計実行回数(特図1及び特図2の合計変動回数)であってもよいし、何れか一方の実行回数(例えば特別図柄変動表示ゲーム2の実行回数)であってもよい。また、時短状態の回数についても60回や100回に限らず、遊技性に応じて適宜定めることができる。また、どのような種類の当りを設けるかについても特に制限はなく、適宜定めることができる。
ここで、本例では、大当たり種別と同様に「はずれ」についても複数の種別が設けられている。具体的には、「はずれ1」「はずれ2」「はずれ3」の三種のはずれ種別が設けられている。
前述のように、当落抽選の結果が「はずれ」であった場合には、図柄抽選においてはずれ種別の抽選が行われる。
[3-4.演出について]
(演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態の遊技機1には、遊技状態に関連する演出を現出させるための複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。具体的には、通常状態、時短状態、潜確状態、確変状態のそれぞれに対応した、通常演出モード、時短演出モード、潜確演出モード、確変演出モードが設けられている。各演出モードでは、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景演出により表示され、遊技者が現在、どのような遊技状態に滞在しているかを把握することができるようになっている。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、主制御部20側で管理される遊技状態情報を含む演出制御コマンドに基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、現在の遊技状態を把握し、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。上記のような特定の演出制御コマンドとしては、例えば、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態に変化が生じる際に送られる遊技状態指定コマンド等がある。
(予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報に基づき、現在の演出モードと大当り抽選結果とに関連した様々な「予告演出」を現出制御可能に構成されている。このような予告演出は、当り種別に当選したか否かの期待度(以下「当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものには、「リーチ演出」や「疑似連演出」、さらには「先読み予告演出」等がある。演出制御部24は、これら演出を実行(現出)制御可能な予告演出制御手段として機能する。
「リーチ演出」とは、リーチ状態を伴う演出態様(リーチ状態を伴う変動表示態様:リーチ変動パターン)を言い、具体的には、リーチ状態を経由して最終的なゲーム結果を導出表示するような演出態様を言う。リーチ演出には当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。例えば、ノーマルリーチ演出が出現した場合に比べて、当選期待度が相対的に高まるものがある。このようなリーチ演出を‘スーパーリーチ演出’と言う。この「スーパーリーチ」の多くは、当選期待感を煽るべく、ノーマルリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。また、ノーマルリーチやスーパーリーチには複数種類のリーチ演出が含まれる。本例では、スーパーリーチには、スーパーリーチ1、2、3、4という複数種類のリーチ演出が含まれ、これらスーパーリーチ1~4の当選期待度については「スーパーリーチ1<スーパーリーチ2<スーパーリーチ3<スーパーリーチ4」という関係性を持たせている。
「疑似連演出」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似連変動)を伴う演出態様を言い、「疑似連変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部又は全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。このような「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当選期待度が高まるようにその発生率(出現率)が定められており、例えば、疑似変動回数に応じて、スーパーリーチ等の期待感を煽るための演出が選択され易くされている。
「先読み予告演出」とは、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、主に、保留表示態様や先に実行される図柄変動表示ゲームの背景演出等を利用して、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される前に、当選期待度を事前に報知し得る演出態様である。なお、図柄変動表示ゲームにおいては、上記「リーチ演出」の他、いわゆる「SU(ステップアップ)予告演出」や「タイマー予告演出」、「復活演出」、「プレミア予告演出」などの種々の演出が発生し、ゲーム内容を盛り上げるようになっている。
ここで、図4を参照し、上記先読み予告演出の一例としての「保留変化予告演出」について説明する。
本実施形態の遊技機1の場合、液晶表示装置36の画面内の上側の表示エリアには、装飾図柄変動表示ゲームを現出する表示エリア(装飾図柄の変動表示演出や予告演出を現出するための表示領域)が設けられており、また画面内の下側の表示エリアには、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76(保留表示部a1~d1)と特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77(保留表示部a2~d2)とが設けられている。作動保留球の有無に関しては、所定の保留表示態様により、その旨が報知される。図4では、作動保留球の有無を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)、又は消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される例を示している。
作動保留球の有無に関する表示(保留表示)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球を示すための変動中表示領域78が設けられている。本実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1又は特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1又はa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたって維持される。
作動保留球が発生した場合、主制御部20から、大当り抽選結果に関連する先読み判定情報と、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含め、現存する作動保留球数)とを指定する「保留加算コマンド」が演出制御部24に送信される(図28のステップS1309~S1312参照)。
本実施形態の場合、上記保留加算コマンドは2バイトで構成され、保留加算コマンドは、先読み判定時の作動保留球数を特定可能とする上位バイト側のデータと、先読み判定情報を特定可能とする下位バイト側データとから構成される。
ここで、上記説明から理解されるように、本実施形態では、上始動口34又は下始動口35に入賞が発生して新たに保留球が生じたことに基づいて、当該保留球についての先読み判定として、当該保留球に係る図柄変動表示ゲームについての大当り抽選が行われる。後述するように、主制御部20は、このような先読み判定として行った大当り抽選の結果を表す情報を、RAM203の該当記憶領域に保留記憶する。
先読み判定時に得られた大当り抽選結果の情報は、図柄変動表示ゲームにおける図柄変動パターンを選択(抽選)するために用いられるものであり、いわば「変動パターン選択用情報」と換言することができる。従って、主制御部20は、先読み判定を行って、その結果得られる「変動パターン選択用情報」をRAM203の所定領域に保留記憶していると言うことができる。
演出制御部24は、主制御部20が送信した上記の保留加算コマンドを受信すると、これに含まれる先読み判定情報に基づき、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、「先読み予告演出」に関する演出制御処理を行う。具体的には、先読み予告演出の実行可否を抽選する「先読み予告抽選」を行い、これに当選した場合には、先読み予告演出を現出させる。
なお、先読み予告抽選について、本実施形態における「保留変化予告」についての先読み予告抽選の手法については後に改めて説明する。
ここで、先読み判定情報とは、具体的には、主制御部20において、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される際に実行される大当り抽選結果(変動開始時の大当り抽選結果)や変動開始時の変動パターンを先読み判定して得られる遊技情報である。すなわち、この情報には、少なくとも変動開始時の当落抽選結果を先読み判定した情報(先読み当落情報)が含まれ、その他、図柄抽選結果を先読み判定した情報(先読み図柄情報)や変動開始時の変動パターンを先読み判定した情報(先読み変動パターン情報)を含ませることができる。如何なる情報を含む保留加算コマンドを演出制御部24に送るかについては、先読み予告にて報知する内容に応じて適宜定めることができる。
本例では、保留加算コマンドには先読み当落情報、先読み図柄情報、及び先読み変動パターン情報が含まれているものとする。
なお、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。例えば、上記変動開始時の変動パターンが「スーパーリーチ1」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明すれば、本ケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が「スーパーリーチ1」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「スーパーリーチ種別」である旨を指定することができる。
本実施形態の場合、先読み予告抽選に当選した場合には、保留表示部a1~d1、a2~d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、例えば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色から、予告表示の青色、緑色、赤色、デンジャー柄(或いは虹色などの特殊な色彩や絵柄)による保留表示(特別保留表示態様)に変化し得る「保留表示変化系」の先読み予告演出(「保留変化予告」とも称する)が行われる。
図4では、ハッチングされた保留表示部b1の作動保留球が、特別保留表示に変化した例を示している。ここで、保留アイコンの青色、緑色、赤色、デンジャー柄の表示は、この順に、当選期待度が高いことを意味しており、特にデンジャー柄の保留アイコンの表示は、大当り当選期待度が極めて高い表示となるプレミアム的な保留アイコンとされている。
(演出手段)
遊技機1における各種の演出は、遊技機1に配設された演出手段により現出される。この演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段(光表示装置45a:光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音響発生装置46a:音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に接触圧を伝える加圧装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで、演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(例えば7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<4.主制御部の処理>
続いて、本実施形態の主制御部20が行う処理について説明する。主制御部20の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図5)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込み処理(主制御側タイマ割込み処理:図24)とを含んで構成される。
[4-1.主制御側メイン処理]
図5は、主制御側メイン処理を示したフローチャートである。
主制御側メイン処理が開始されるのは、停電状態や電源異常等からの復旧時に電源基板からのシステムリセット信号によるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことによりウォッチドッグタイマ機能(WDT)が発揮されてCPU201が強制的にリセット(WDTリセット)される場合等がある。何れの場合でも、当該メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、先ず、CPU201を含む各部のレジスタの値を初期設定する等の遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS101)。
(初期設定処理)
図6は、ステップS101の初期設定処理を示したフローチャートである。
図6において、上記のシステムリセットやWDTリセットが発生すると、CPU201はステップS201で、自らを割込み禁止状態に設定し、次いで、ステップS202のスタックポインタ設定処理として、RAM203のスタックポインタの値をスタック領域の最終アドレスに対応して設定する処理を実行する。そして、続くステップS203で、RAMプロテクトを無効とすると共に、RAM203の指定エリア外走行禁止機能における禁止領域を無効とする処理を行う。
次いで、CPU201はステップS204で、セキュリティ信号OFF、設定値表示OFF、発射許可信号OFFとするための処理を実行する。ここで、セキュリティ信号は、枠用外部集中端子基板21を通じてホールコンピュータHCに出力される信号であり、ホールコンピュータHCに設定変更中等の状態通知を行うための信号として機能する。設定値表示OFFとは、設定・性能表示器97における設定値Veの表示をOFFさせることを意味する。
発射許可信号は、前述のように払出制御基板29から発射制御基板28に出力される信号であり、CPU201は払出制御基板29に対する指示を行って発射許可信号をOFFさせる。
ここで、セキュリティ信号OFF、設定値表示OFFは、設定変更中の電源入切対策である。すなわち、設定変更処理において設定値Veを表示中に電源が切られた可能性もあるため、設定値表示とセキュリティ信号を一旦OFFとするものである。
ステップS204に続くステップS205でCPU201は、電源異常チェック処理を実行する。
図7に示すように、電源異常チェック処理では、WDTタイマをクリアし(ステップS301)、電源異常信号がONであるか否かを判定する(ステップS302)。電源異常信号は、電源基板から出力される信号であり、電源異常信号OFFが正常レベルであることを表し、電源異常信号ONが正常レベルでない(つまり異常である)ことを表す。電源異常信号がONであれば、CPU201は図5に示すステップS101に戻り、主制御側メイン処理を最初からやり直す。すなわち、電源に異常が認められた場合には主制御側メイン処理がリセットされるものである。
そして、電源異常信号がONでなければ、電源に異常は認められないため、CPU201は電源異常チェック処理を終える。
図6に戻り、CPU201はステップS205の電源異常チェック処理を終えたことに応じ、ステップS206で起動時の各種設定処理を行う。このステップS206の設定処理では、例えば、所定の割込みモードに設定する割込みモード設定処理や、内部ハード乱数回路を起動させる内部ハード乱数設定処理等を実行する。
ステップS206に続くステップS207でCPU201は、サブ制御基板(演出制御部24)の起動待ち時間をセットする。そして、ステップS208~S210の処理により、セットした起動待ち時間が経過するのを待機する。具体的には、セットした起動待ち時間を1減算し(ステップS209)、起動待ち時間がゼロでなければ(ステップS210:≠0)ステップS208の処理に戻る。このような起動待ち時間に基づく待機処理により、演出制御部24の起動が完了することになる。
ステップS210において、上記の起動待ち時間が経過した場合(待ち時間=0)、CPU201はステップS211に進み、待機画面表示コマンドを演出制御部24に送信する。
この待機画面表示コマンドを受け、演出制御部24は、例えば「Please Wait...」等の文字が配された画面等、起動時に対応して定められた所定の画面表示を液晶表示装置36に実行させる。
ステップS211の送信処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS212に処理を進めて、該ステップS212とステップS213の処理により、電源異常チェック処理(S212:図7参照)を実行しながら、払出制御基板29からの電源投入時信号が送られてくるのを待機する。この電源投入時信号は、払出制御基板29が正常に立ち上がった場合に出力される信号であり、CPU201は、払出制御基板29が正常起動するまで待機するようになっている。これにより、何らかのトラブルによって払出制御基板29が正常に機能していない場合には、ステップS212とS213の処理が繰り返されるだけで遊技動作は開始されない。従って、例えば賞球が払い出されない等の払出異常が発生せず、遊技者に不信感を与えることの防止が図られる。
CPU201は、上記の電源投入時信号が送られてきた場合は(ステップS213:ON)、ステップS101の初期設定処理を終える。
(初期設定後の処理)
CPU201は、上記の初期設定処理を終えたことに応じ、図5に示すステップS102に進む。
ステップS102でCPU201は、入力ポートn(すなわち所定の入力ポート)の情報を取得し、Wレジスタにコピーする。
ここで、入力ポートnは1バイト(8ビット)のポートとされ、本例では、次の各信号が入力される。なお、以下に示す「b0」~「b7」はビット位置を表す。
b0:設定キー(設定キースイッチ94からの入力信号)
b1:補給切れ検出信号
b2:計数エラー信号
b3:断線検出信号1
b4:断線検出信号2
b5:扉開放信号(前扉開放センサ61の検出信号)
b6:RAMクリアボタン(RAMクリアスイッチ98からの入力信号)
b7:電源投入時信号及び払出通信確認信号
ここで、b0の設定キーについては、「0」が設定キースイッチ94=OFF、「1」が設定キースイッチ94=ONを意味する。また、b5の扉開放信号については、「0」が扉閉鎖(前枠2が閉鎖)、「1」が扉開放を意味する。さらに、b6のRAMクリアボタンについては、「0」がRAMクリアスイッチ98=OFF(ボタン非操作状態)、「1」がRAMクリアスイッチ98=ON(ボタン操作状態)を意味する。
ステップS102に続くステップS103でCPU201は、Wレジスタの値をマスクする。具体的には、以下で説明する設定変更処理(S115)、RAMクリア処理(少なくともS117及びS118)、設定確認処理(S109)、バックアップ復帰処理(S111)の移行判定を行うにあたって必要とされる値である設定キー(b0)、RAMクリアボタン(b6)、扉開放信号(b5)以外の値をマスクする処理を行う。
先の説明から理解されるように、設定変更処理への移行条件としては、起動時において、前枠2が開放された状態で設定キーとRAMクリアボタンの双方が操作状態とされることとされている。
また、本例において、RAMクリア処理への移行条件は、操作の面では、起動時において設定キーが非操作状態、RAMクリアボタンが操作状態とされることとされている。
また、設定確認処理への移行条件は、操作の面では、前枠2が開放された状態において、設定キーが操作状態、RAMクリアボタンが非操作状態とされることとされている。
さらに、バックアップ復帰処理への移行条件は、操作の面では、起動時において設定キー、RAMクリアボタンの双方が非操作状態とされることとされている。
図8は、これら設定変更処理、RAMクリア処理、設定確認処理、バックアップ復帰処理への移行にあたっての操作面での各判定条件と、Wレジスタの値との対応関係を示している。
図8では、設定変更処理、RAMクリア処理、設定確認処理、バックアップ復帰処理への移行判定の順番を示している。
1番目の設定変更処理への移行判定は、図示のように判定条件が設定キー:ON(設定キースイッチ94:ON)、扉開放:ON(前扉開放センサ61:ON)、RAMクリアスイッチ98:ONとされ、従ってWレジスタの値としては0ビット目:1、5ビット目:1、6ビット目:1が条件とされる。
2番目のRAMクリア処理への移行判定は、判定条件がRAMクリアスイッチ98:ONであり、Wレジスタの値としては6ビット目:1か否かを判定することになる。ここで、本例では、RAMクリア処理への移行判定は、設定変更処理の移行条件が不成立の場合に実行される。また、設定確認処理、バックアップ復帰処理への移行にあたっては、RAMクリアスイッチ98がOFFであることが条件とされる。これらの点より、設定変更処理への移行条件が不成立であって、RAMクリアスイッチ98がONであれば、RAMクリア処理への移行操作が行われていると推定することができる。このため本例では、上記のようにRAMクリア処理への移行判定では、操作の面では、RAMクリアスイッチ98がONであるか否か(6ビット目:1か否か)のみを判定することとしている。
3番目の設定確認処理への移行判定は、判定条件が設定キー:ON、扉開放:ON、RAMクリアスイッチ98:OFFとされ、従ってWレジスタの値としては0ビット目:1、5ビット目:1、6ビット目:0が条件とされる。
さらに、4番目のバックアップ復帰処理への移行判定は、判定条件が設定キー:OFF、RAMクリアスイッチ98:OFFとされ、従ってWレジスタの値としては0ビット目:0、6ビット目:0が条件とされる。
ここで、バックアップ復帰処理について、設定確認処理を経ずにバックアップ復帰処理のみが行われるための移行条件としては、上記のように操作面では設定キー:OFF、RAMクリアスイッチ98:OFFと表記することができるが、設定確認処理の実行有無を問わず単にバックアップ復帰処理が行われる状態に移行するか否かの条件としては、後述するバックアップフラグがONであるということが条件となる(ステップS106の判定処理を参照)。
説明を図5に戻す。
CPU201は、ステップS103のマスク処理を行ったことに応じ、ステップS104で設定変更条件成立判定処理を実行する。具体的には、設定変更モードに移行すべきか否かを判定するべく、ステップS103のマスク後の値(3ビット)が「111」であるか否かを判定する。
マスク後の値が「111」であり、設定変更条件が成立しているとの肯定結果が得られた場合、CPU201はステップS115の設定変更処理を実行する。すなわち、RAMクリアボタンや設定キーの操作に応じて設定値Veを新たに設定するための処理を行う。
なお、ステップS115の設定変更処理の詳細については後に改めて説明する。
ここで、上記のように本実施形態では、設定キースイッチ94、前扉開放センサ61、及びRAMクリアスイッチ98による検出信号、換言すれば、設定変更モードへの移行判定を行うにあたり用いられる各検出信号を主制御部20の同一入力ポートに入力し、入力した各検出信号の値がそれぞれ所定条件を満たす値であるか否かを一括判定している。
これにより、設定変更モードへの移行判定について、各検出信号の値が所定条件を満たす値か否かを個別判定する場合よりも判定処理数の削減が図られる。
ステップS115の設定変更処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS116でRAMクリア時のコマンド送信処理を実行し、続くステップS117で領域内RAM初期化処理を実行した上で、ステップS118のRAMクリア時処理を実行する。
ステップS116のコマンド送信処理は、RAMクリアが行われる旨を演出制御部24に通知するための演出制御コマンド(RAMクリアコマンド(BA02H)等)を送信する処理となるが、詳細は後述する。
ステップS117の初期化処理は、RAM203におけるワーク領域を含む所定領域(使用領域)内の値を初期化(クリア)する処理となる。但し、このステップS117の初期化処理では、ワーク領域における設定値Veの格納領域については初期化の対象外とされている。
ステップS118のRAMクリア時処理では、図9に示すように、RAMクリア報知タイマの設定処理(S401)を行った上で、RAMの一部初期値設定処理(S402)を行う。RAMクリア報知タイマは、ステップS116で送信されるコマンドに応じて演出制御部24が実行するRAMクリア報知の時間を設定する処理であり、本例では30sを設定する。ステップS402の一部初期値設定処理では、例えばRAM203のワーク領域を除いた一部領域に初期値を設定する。
CPU201は、ステップS118のRAMクリア時処理を実行したことに応じ、ステップS119に処理を進める。
なお、上述した性能情報については、RAM203における使用領域外の領域に格納されており、従ってステップS117やS118のRAMクリア処理ではクリアされない。
RAMクリア処理でクリア対象となるのは、通常の遊技進行の際に必要な各種のフラグやタイマやカウンタ等のRAM領域(通常データ格納領域)のデータである。これらのデータには、例えば次のようなものがある。すなわち、遊技状態指定に係るデータ(通常状態、確変状態、時短状態、潜確状態など、現在の遊技状態を特定する遊技状態フラグ)、当り遊技中であるか否かを指定するフラグ(条件装置作動フラグ)、当り遊技の実行に係る各種データ(現在のラウンド数、最大ラウンド数等)、大当り抽選結果に係るデータ(大当り判定フラグ:当落抽選結果情報、特別図柄判定データ:図柄抽選結果情報)、作動保留球に関する保留データ(作動保留球数、大当り抽選に利用される各種乱数値、補助当り抽選に利用される各種乱数値、変動パターン用乱数)、特別図柄動作ステータス、遊技進行を管理するタイマ(特別図柄役物動作タイマ)、スイッチ・センサ類に係る入出力データ、入賞口の入賞球数をカウントする各種の入賞カウンタ、電サポ状態の有無を指定するフラグ(開放延長フラグ)、電サポの残余回数をカウントする電サポ回数カウンタ、高確率状態の残余回数をカウントするカウンタ(特図確変回数カウンタ、普図確変回数カウンタ)、各種エラーフラグ(RAMエラーフラグを除く)、及び払出関連のデータ等である。何れにしても、RAMクリア処理が実行されると、特定のデータ(設定値Veや性能情報)以外のすべてのデータが初期状態に設定される。
ここで、上記のように起動時において設定変更処理が実行された場合には、ステップS116に処理が進められてRAMクリア処理(S117、S118)が実行される。
設定変更処理では設定値Veが変更され得る。設定値Veが変更された場合、RAM203のワーク領域における設定値Ve以外の格納値が、変更後の設定値Veに対して整合しない状態となる可能性がある。このため、設定変更処理を行った場合は、RAMクリア処理を実行することで、ワーク領域における設定値Ve以外の領域をクリア(初期化)するものとしている。
続いて、先のステップS104において、ステップS103によるマスク後の値が「111」ではなく、設定変更条件が成立していないとの否定結果が得られた場合、CPU201はステップS105に進んでRAM異常か否かを判定する。具体的には、RAM203のワーク領域に格納されている設定値Veが正常な範囲外の値(本例では設定1~6に対応した設定値Ve=0~5の範囲外)であるか否かを少なくとも判定する。
ここで、実際にCPU201が扱う設定値Veとしては、例えば1バイトの値とされ、設定1~設定6に対応する値として00H(0)~05H(5)の値が定められている。なお、「H」は16進数を意味する(以下、同様)。ステップS105の判定処理では、ワーク領域に格納された設定値Veが00H~05Hの範囲の値であるか否かを判定する。
ステップS105において、設定値Veが上記の正常な範囲外の値であり、RAM異常であると判定した場合、CPU201はステップS112以降に続く電源再投入を待機するための処理に以降する。
具体的に、ステップS112でCPU201は、電源再投入時のコマンド送信処理として、パチンコ遊技機1の電源再投入且つ設定変更を促すための報知が行われるように指示するための演出制御コマンド(設定変更待ちコマンド)を演出制御部24に送信する処理を行う。起動時においてRAM異常が検知された場合には、強制的に設定変更モードに移行させて設定値Veの変更(設定)を受け付ける。このためCPU201は、先ずステップS112で、設定変更待ちコマンドにより設定変更モードに移行する旨を演出制御部24側に通知する。
該設定変更待ちコマンドを受け演出制御部24は、例えば「扉を開けて設定を変更して下さい」等の文字を含む画面等、設定変更操作を促すための画面表示を液晶表示装置36に実行させる。このとき、演出制御部24は、該画面表示と共に対応する光演出(例えば光表示装置45aにおける全LED点灯)や音演出を現出させる制御を行ってもよい。
ステップS112に続くステップS113でCPU201は、バックアップフラグを00H(つまりOFF)とした上で、ステップS114の電源異常チェック処理(図7参照)を繰り返す。このステップS114の電源異常チェック処理はパチンコ遊技機1の電源が遮断されるまで繰り返され、電源が再投入されると主制御側メイン処理としてステップS101以降の処理が再び実行される。このとき、上記の画面表示等に応じて設定変更モードへの移行操作が行われていれば、設定変更モードへの移行が行われ、RAM異常状態の解消が図られる。
上記したステップS105において、設定値Veが正常範囲外の値ではなく、RAM異常ではないと判定した場合、CPU201はステップS106に進んでバックアップフラグがON状態か否か(本例ではバックアップフラグ=5AHがON状態)を判定する。
遊技機1において、電源遮断時には、主制御側タイマ割込み処理における後述する電源チェック・バックアップ処理(ステップS901、図24参照)により、RAM203の記憶情報についてバックアップのための処理が行われる。電源遮断時に適正にバックアップ処理が行われた場合には、バックアップフラグがON状態とされる(図25のステップS1010参照)。このため上記のステップS106ではバックアップフラグを確認して、バックアップ復帰可能であるか否かの判定を行う。具体的に、ステップS106では、RAM203の所定領域に格納されたバックアップフラグがON状態(5AH)である否かを判定する。
ステップS106でバックアップフラグがONでないと判定した場合、CPU201は上述したステップS112に処理を進める。これにより、バックアップ復帰条件を満たさない場合には、先に説明したRAM異常が認められた場合と同様、強制的に設定変更モードへの移行が行われる。
ここで、前述したように、ステップS106の判定処理は、設定確認処理の実行有無を問わず、バックアップ復帰処理が行われる状態への移行可否を判定する処理に相当するものである。
一方、ステップS106でバックアップフラグがONであると判定した場合、CPU201は、ステップS107でRAMクリア条件(RAMクリア処理への移行条件)が成立しているか否かを判定する。具体的には、Wレジスタの6ビット目の値が「1」か否かを判定する。
Wレジスタの6ビット目の値が「1」であり、RAMクリア条件が成立しているとの肯定結果が得られた場合、CPU201は上述したステップS116に処理を進める。これにより、上述したRAMクリア処理が実行される。
ここで、上記したステップS107→S116に至るルートを参照して分かるように、本実施形態の遊技機1では、設定変更をせずにRAMクリアを行うことが可能とされている。これにより、RAM203における払出関係のデータ等、設定値Veに係るデータ以外をクリアしたい場合に対応可能とされている。
また、ステップS107において、Wレジスタの6ビット目の値が「1」でなく、RAMクリア条件が成立していないとの否定結果が得られた場合、CPU201はステップS108に進んで設定確認条件(設定確認処理への移行条件)が成立しているか否かを判定する。すなわち、ステップS103によるマスク後のWレジスタの値が「110」か否かを判定する。
マスク後のWレジスタの値が「110」であり設定確認条件が成立しているとの肯定結果が得られた場合、CPU201はステップS109の設定確認処理を実行し、ステップS110に処理を進める。すなわち、バックアップ復帰のための処理に移行する。
なお、ステップS109の設定確認処理の詳細については改めて説明する。
一方、マスク後のWレジスタの値が「110」ではなく設定確認条件が成立していないとの否定結果が得られた場合、CPU201はステップS109の設定確認処理をパスして、ステップS110に進む。
ステップS110でCPU201は、バックアップ復帰時のコマンド送信処理として、バックアップ復帰時に対応した所定の演出制御コマンドを演出制御部24に送信する処理を行う。なお、ステップS110のバックアップ復帰時のコマンド送信処理については後述する。
ステップS110に続くステップS111でCPU201は、バックアップ復帰処理を行う。
バックアップ復帰処理は、電源遮断時にバックアップされたRAM203の記憶内容に基づいて、電源投入後に電源遮断前の動作に復帰させる処理となる。具体的に、CPU201は、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技動作を開始するための処理を行う。
ステップS111のバックアップ復帰処理を実行した場合、又は前述したステップS118のRAMクリア時処理を実行した場合(つまり設定変更処理とRAMクリア処理の双方を実行した場合、又はRAMクリア処理のみを実行した場合)、CPU201はステップS119に処理を進める。
ステップS119でCPU201は、例えば4ms等の所定時間毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定を行う。
このステップS119の設定処理が行われることで、以降、割込みコントローラへの割込み要求信号が定期的に出力され、主制御側タイマ割込み処理が実行される。
続くステップS120でCPU201は、払出制御基板29に対する発射許可信号をONとする。これに応じ払出制御基板29は、発射許可状態であると判断し、上記許可信号を発射制御基板28に対して出力し、発射装置32による遊技球の発射動作を許容する。これにより、発射操作ハンドル15による遊技球の発射が可能になる。
なお、ここでは、主制御部20からの発射許可信号を払出制御基板29が受けて発射動作を許容する構成、つまり、主制御部20からの発射許可の指示情報が、払出制御基板29を通じて間接的に発射制御基板28に送られる構成を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、主制御部20による発射許可信号を直接的に発射制御基板28に出力する構成とすることもできる。
ステップS120に続くステップS121でCPU201は、遊技開始を指示するための演出制御コマンドを演出制御部24に送信する処理を行い、次いで、ステップS121に処理を進めて図10に示すメインループ前処理を実行した上で、ステップS123のメインループ処理を実行する。
図10に示すように、メインループ前処理では、先ずステップS501で全レジスタの値を例えばRAM203のスタック領域等の所定領域に退避する処理を行った上で、ステップS502で動作確認フラグをONとし、さらに続くステップS503で動作確認タイマを所定値(本例では5sに対応する値)にセットする。その上で、CPU201はステップS504で、退避させた全レジスタの値をそれぞれ対応するレジスタに復帰させる処理を行い、ステップS121のメインループ前処理を終える。
(メインループ処理)
図11は、ステップS123のメインループ処理を示したフローチャートである。
図11のメインループ処理において、CPU201はステップS601で、自身を割込み禁止状態に設定し、続くステップS602で乱数更新処理を実行する。この乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には、大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、又は変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ等が設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS302の乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ等を更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。例えば、仮に、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が「0~238」とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に「1」を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に「1」を加算した結果が「239」であれば「0」を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。
ステップS602の乱数更新処理を終えると、CPU201はステップS603で全レジスタの値を退避する処理を行った上で、ステップS604で性能表示モニタ集計除算処理を行う。
この性能表示モニタ集計除算処理は、前述した性能情報としての値(ここでは、例えば前述した「通常時比率情報」としての値とする)を演算する処理である。前述のように、通常時比率情報の値は、総払出個数と総アウト球数とを用いて算出されるものであるが、CPU201は、総払出個数については、入賞口(上始動口34、下始動口35、一般入賞口43、大入賞口50)に入賞した遊技球の数をカウントした結果に基づき算出し、総アウト球数については、アウト口49から排出された遊技球の数をカウントすることで求める。
入賞球数のカウント、及びアウト球数のカウントは、主制御側タイマ割込み処理における後述する入力管理処理(図24ステップS904を参照)で行われる。CPU201は、このようにタイマ割込み処理側で行う入賞球数のカウント、及びアウト球数のカウントのそれぞれによるカウント値に基づき、ステップS604において通常時比率情報としての値を演算する。前述のように、演算した通常時比率情報としての値は、RAM203の所定領域(計測情報格納領域)に格納される。
なお、このように算出された通常時比率情報の値は、主制御側タイマ割込み処理における後述する性能表示モニタ表示処理(図24ステップS916を参照)によって設定・性能表示器97に表示される。
ステップS604に続くステップS605でCPU201は、全レジスタ復帰処理を行い、さらに続くステップS606で自身を割込み許可状態に設定した上で、ステップS601に戻る。
このようにステップS123のメインループ処理では、ステップS601~S606の処理が無限ループ状に繰り返される。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込み処理を行っている間を除いて、これらステップS601~S606の処理を繰り返し実行することになる。
(設定変更処理)
図12は、ステップS115の設定変更処理を示したフローチャートである。
この設定変更処理では、操作に基づき設定値Veを設定するための処理や、設定変更中である旨や新たに設定された設定値Veを通知するための演出制御コマンドを演出制御部24に送信するための処理等が行われる。
図12において、CPU201は、先ずステップS701で設定変更中コマンド(BA5AH)を演出制御部24に送信する処理を実行する。
この設定変更中コマンドを受け、演出制御部24は、例えば「設定変更中です」等の文字が配された画面等、設定変更中である旨を報知するための画面表示を液晶表示装置36に実行させたり、スピーカ46から設定変更中に対応した音出力が行われるようにするための処理を行う。さらにこの際、演出制御部24は、前述した光発生手段(光表示装置45a)における所定のLED(例えば全LED)を所定の点灯パターンにより点灯させてもよい。
なお、ステップS701の設定変更中コマンドの送信処理の詳細については改めて説明する。
続くステップS702でCPU201は、バックアップフラグを00H(つまりOFF状態)とした上で、ステップS703で入力データ作成処理を実行する。
この入力データ作成処理は、主制御側タイマ割込み処理(図24)におけるステップS902の同処理を呼び出して実行する。後述するように、該入力データ作成処理で作成される入力データには、設定値Veの順送り操作の有無を表すRAMクリアスイッチ98の入力データや、設定変更の完了操作の有無を表す設定キースイッチ94の入力データが含まれている。
後述するように、設定値Veの順送り操作の有無の判定(S712)、完了操作の有無の判定(S718)には、ステップS711の入力データ作成処理で作成されるデータが用いられる。このステップS711の入力データ作成処理に先立ちステップS703で入力データ作成処理を実行する意義については後述する。
ステップS703の作成処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS704で設定値Veが正常範囲内(本例では0(00H)~5(05H)の範囲内)の値であるか否かを判定する。設定値Veが正常範囲内の値でない場合、CPU201はステップS705で設定値Veを「0」に書き替える。ここで書き替える設定値Veは、RAM203のワーク領域に格納されている設定値Veではなく、該ワーク領域からコピーされたレジスタの設定値Ve(表示データ作成のためにレジスタにセットした設定値Ve)となる。
ここで、本例では、RAM異常判定(S105)に先立ち設定変更条件判定(S104)を実行しているため、設定変更モードに移行した際にRAM203の設定値Veが正常範囲内の値でないケースが生じ得る。このため、ステップS704の判定処理を行い、設定値Veが異常な値である場合には設定値Veを所定の値(本例では「0」)に書き替えるものとしている。これにより、後述する設定値Veの表示用データとして異常な設定値Veを示すデータが生成されることの防止を図ることができ、設定変更時に設定・性能表示器97に表示される設定値Veについて表示バグ(正常範囲外の値が誤表示されること)の発生防止を図ることができる。
ステップS704において、設定値Veが正常な範囲内の値であった場合、CPU201はステップS705をパスしてステップS706で電源異常チェック処理(図7参照)を実行し、次いで、ステップS707でセキュリティ信号出力処理を実行する。具体的には、枠用外部集中端子基板21を通じてホールコンピュータHCに対してセキュリティ信号が出力されるようにするための処理を行う。
ステップS707に続くステップS708でCPU201は、チャタリング防止待ち時間をセットし、次いで、ステップS709及びS710の処理により、セットしたチャタリング防止待ち時間が経過するまで待機する。すなわち、ステップS709でチャタリング防止待ち時間を-1しながら、ステップS710でチャタリング防止待ち時間が「0」となるまで待機する。
ステップS710でチャタリング防止待ち時間が「0」となり、チャタリング防止待ち時間が経過したと判定した場合、CPU201はステップS711で入力データ作成処理を実行し、続くステップS712でRAMクリアスイッチ98がONであるか否かを判定する。
RAMクリアスイッチ98がONでなければ、CPU201はステップS717に進んで設定値表示用データを出力する処理、すなわち、現在レジスタに格納されている設定値Veに対応した値を示す表示データを設定・性能表示器97に出力する処理を行う。
これまでの処理の流れから理解されるように、設定変更モードへの移行が行われたときは、RAMクリアボタンによる設定値Veの順送り操作が行われるまでの間には、その時点でRAM203(及びレジスタ)に格納されている設定値Ve(ステップS704で設定異常と判定された場合は「0」に対応した「1」)が設定・性能表示器97に表示されることになる。つまり、該表示により、ホールスタッフ等が現在の設定値Veを確認することが可能とされている。
一方、ステップS712でRAMクリアスイッチ98がONであると判定した場合、CPU201はステップS713で、RAMクリアスイッチ98が連続してONであるか否かを判定する。すなわち、該ステップS713の直近で実行したステップS711の入力データ作成処理を含む、直近過去2回分の入力データ作成処理(初回のステップS713の処理ではステップS703の入力データ作成処理が対象となる)で得られたRAMクリアスイッチ98の入力データが共にONであるか否かを判定する。
RAMクリアスイッチ98が連続してONであると判定した場合、CPU201は設定値Veの順送り処理(後述するステップS714~S715)を実行せず、ステップS717の表示用データ出力処理に進む。
ここで、RAMクリアボタンが押圧されたまま設定変更処理が開始された場合には、ホールスタッフ等の操作者としては設定変更モードへの移行のためにRAMクリアボタンを押圧しているにも拘わらず、遊技機1側では該RAMクリアボタンの押圧が設定値Veの順送り操作として検知されてしまう虞がある。その場合には、設定変更処理の移行直後に表示される設定値Veが、設定値異常の場合(ステップS704:Nの場合)には「1」(00H)であるべきところ「2」(01H)と誤表示されてしまい、設定値正常の場合(ステップS704:Yの場合)には設定変更モードへの移行直前の設定値Veが1順送りされた値として誤表示されてしまう。
そこで、本実施形態ではこれらの誤表示防止を図るべく、ステップS703の入力データ作成処理及びステップS711の連続ON判定処理を設けている。これらの処理により、RAMクリアボタンが押圧されたまま設定変更処理が開始されたとしても、連続してRAMクリアスイッチ98がONであるときには設定値Veの順送り処理が実行されずに設定値Veの表示用データ出力が行われる、すなわち、RAMクリアスイッチ98が一旦OFFとなって再びONとなるまでは設定値Veの順送り処理が実行されなくなるため、上記のような設定値Veの誤表示防止を図ることができる。
CPU201は、ステップS713でRAMクリアスイッチ98が連続してONでないと判定したことに応じ、ステップS714で設定値Veを1インクリメント(レジスタの設定値Veを1インクリメント)し、続くステップS715で設定値Veが規定範囲の値であるか否か、具体的に本例では「0~5」の範囲内であるか否かを判定する。ステップS715において、設定値Veが規定範囲の値でなければ、CPU201はステップS716で設定値Veを「0」(00H)に書き替え、ステップS717の表示用データ出力処理に進む。これにより、設定値Veが設定6に対応する「05H」の状態で行われた順送り操作に応じて、設定値Veを設定1に対応した値「00H」に変更でき、設定値Veの循環的な変更が実現される。
一方、設定値Veが規定範囲の値であれば、CPU201はステップS716をパスしてステップS717の表示用データ出力処理に進む。すなわち、この場合は順送り操作前の元の設定値Veを1インクリメントした値によりレジスタの設定値Veが更新され、更新後の設定値Veに対応する値が設定・性能表示器97に表示される。
ステップS717の表示用データ出力処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS718で設定キースイッチ94がOFFであるか否かを判定する。
設定キースイッチ94がOFFでなければ(つまり設定完了操作が行われていなければ)、CPU201はステップS706の電源異常チェック処理に戻る。
この処理の流れより、ステップS712によるRAMクリアスイッチ98の判定とステップS718による設定キースイッチ94の判定は、ステップS708でセットされるチャタリング防止待ち時間の経過を待って都度実行される。
一方、設定キースイッチ94がOFFであれば、CPU201はステップS719に進み、設定値ワークに設定値Veを格納する。すなわち、RAM203のワーク領域における設定値Veの格納領域に現在レジスタに保持されている設定値Veを格納する。
続くステップS720でCPU201は、設定値表示用データをクリアし、次いで、ステップS721でセキュリティ信号をOFFとする処理を行った上で、ステップS722の設定完了コマンド(BA09H)の送信処理を実行し、ステップS115の設定変更処理を終える。
ステップS722の送信処理は、設定完了コマンドとしての演出制御コマンドを演出制御部24に送信する処理となる。この設定完了コマンドは、設定変更操作が終了して設定値Veが確定した場合に送信されるコマンドであり、設定変更が完了した旨(設定値Veが確定された旨)を示すコマンドとしても利用される。
なお、ステップS722による設定完了コマンドの送信処理については改めて説明する。
(設定確認処理)
図13は、ステップS109の設定確認処理を示したフローチャートである。
設定確認処理は、設定中の設定値Veを確認表示するための処理となる。
図13において、CPU201は先ずステップS801で、設定確認中コマンドの送信処理を実行する。該送信処理の詳細は改めて説明する。
ステップS801の送信処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS802で設定値ワークの値を取得し、次いでステップS803の電源異常チェック処理(図7参照)を実行した上で、ステップS804で設定キースイッチ94がOFFであるか否か(つまり設定確認表示の終了指示操作が行われたか否か)を判定する。
設定キースイッチ94がOFFでなければ、CPU201はステップS805のセキュリティ信号出力処理を実行した上で、ステップS806で設定値表示用データを作成し、ステップS807で設定値表示用データを出力する処理を行うことで、現在の設定値Veを設定・性能表示器97に表示させる。
CPU201は、ステップS807の出力処理を実行したことに応じステップS803の電源異常チェック処理に戻る。これにより、設定キースイッチ94がOFFとされるまで、現在の設定値Veの表示状態が維持される。
一方、ステップS804で設定キースイッチ94がOFFであると判定した場合、CPU201はステップS808に進んで設定値表示用データをクリアし、次いでステップS803のセキュリティ信号OFF処理を実行した上で、ステップS810の設定確認終了コマンド(E022H)の送信処理を実行し、ステップS109の設定確認処理を終える。
なお、ステップS810の送信処理の詳細は改めて説明する。
[4-3.第一のまとめ]
ここで、これまでの説明より、本実施形態のパチンコ遊技機1は、設定変更処理への移行判定、RAM異常判定、RAMクリア処理への移行判定、及びバックアップ復帰処理への移行判定について、以下のような構成を有していると言うことができる。
すなわち、本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、を備え、制御手段は、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理を参照)と、記憶手段における設定値を含む記憶情報の異常判定処理(ステップS105のRAM異常判定処理)を行う異常判定手段と、設定値の変更を受け付けるモードである設定変更モードへの移行指示操作の有無を判定する移行条件判定処理(ステップS104の設定変更条件成立判定処理)を行う設定変更移行判定手段と、を有する。
そして、制御手段は、電源投入に伴う起動時において、異常判定手段による異常判定処理よりも先に、設定変更移行判定手段による移行条件判定処理を行い、移行条件判定処理により移行指示操作が行われていないと判定した場合に、異常判定処理を行うものである。
設定変更モードに移行する場合には、設定値が変更され得るので、変更された設定値との整合をとるべく記憶手段における設定値以外の記憶情報をクリアする処理が行われる。よって、移行条件判定処理の前に、異常判定処理を行う必要はない。
一方で、設定変更モードに移行しない場合には、記憶手段の記憶情報に基づくバックアップ復帰処理が行われ得るため、異常判定処理を行うべきである。
上記のように移行条件判定処理を異常判定処理よりも先に行うことで、設定変更モードへの移行指示操作が行われている場合に、移行条件判定処理に先だって無駄に記憶情報の異常判定処理が行われてしまうことの防止が図られ、処理負担の軽減を図ることができる。
また、設定変更モードへの移行指示操作が行われていなければ異常判定処理が行われるので、記憶手段の記憶情報が異常な状態でバックアップ復帰処理が行われることの防止が図られ、不正防止を図ることができる。
従って、不正防止を図りつつ、処理負担の軽減を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、を備え、制御手段は、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理を参照)と、記憶手段における設定値を含む記憶情報の異常判定処理(ステップS105のRAM異常判定処理)を行う異常判定手段と、設定値の変更を受け付けるモードである設定変更モードへの移行指示操作の有無を判定する移行条件判定処理(ステップS104の設定変更条件成立判定処理)を行う設定変更移行判定手段と、を有する。
そして、制御手段は、電源投入に伴う起動時において、異常判定手段による異常判定処理よりも先に、設定変更移行判定手段による前記移行条件判定処理を行い、移行条件判定処理により移行指示操作が行われていないと判定した場合に、異常判定処理を行う。
さらに、制御手段は、移行条件判定処理により移行指示操作が行われたと判定した場合に、記憶手段における設定値の異常有無を判定(ステップS704の判定処理)し、異常が認められた場合に設定値の表示値を補正する(ステップS705の書き替え処理)設定値補正手段を有するものである。
この場合も、移行条件判定処理を異常判定処理よりも先に行うことで、設定変更モードへの移行指示操作が行われている場合に、移行条件判定処理に先だって無駄に記憶情報の異常判定処理が行われてしまうことの防止が図られ、処理負担の軽減を図ることができる。
また、設定変更モードへの移行指示操作が行われていなければ異常判定処理が行われるので、記憶手段の記憶情報が異常な状態でバックアップ復帰処理が行われることの防止が図られ、不正防止を図ることができる。
従って、不正防止を図りつつ、処理負担の軽減を図ることができる。
また、上記の設定値補正手段を設けたことで、異常判定処理よりも先に設定変更モードへの移行条件判定処理を行ったとしても、設定値の表示バグが生じることの防止を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、を備え、制御手段は、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理を参照)と、記憶手段における設定値を含む記憶情報の異常判定処理(ステップS105のRAM異常判定処理)を行う異常判定手段と、設定値の確認操作に基づき、所要の表示手段に現在の設定値を表示させる設定確認表示処理(ステップS109の設定確認処理)を行う設定確認表示手段と、設定値の確認操作の有無を判定する設定確認条件判定処理(ステップS108の設定確認条件成立判定処理)を行う設定確認判定手段と、を有する。
そして、制御手段は、電源投入に伴う起動時において、設定確認条件判定処理よりも先に異常判定処理を行うものである。
これにより、記憶手段に記憶された設定値が異常な状態で設定値の確認表示処理が行われることの防止が図られる。
従って、設定確認表示の表示バグ発生防止を図ることができる。
また、本実施形態のように設定確認表示処理の実行後にバックアップ復帰処理が実行される場合にあっては、設定値の確認を終えた後に、記憶手段の記憶情報異常によりバックアップ復帰ができないということの発生防止が図られる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、を備え、制御手段は、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理を参照)と、記憶手段における設定値を含む記憶情報の異常判定処理(ステップS105のRAM異常判定処理)を行う異常判定手段と、設定値の確認操作に基づき、所要の表示手段に現在の設定値を表示させる設定確認表示処理(ステップS109の設定確認処理)を行う設定確認表示手段と、設定値の確認操作の有無を判定する設定確認条件判定処理(ステップS108の設定確認条件成立判定処理)を行う設定確認判定手段と、を有する。
そして、制御手段は、電源投入に伴う起動時において、設定確認条件判定処理よりも先に異常判定処理を行い、設定確認表示手段は、設定値の表示を行うにあたり、記憶手段に記憶された設定値が異常であるか否かの判定を行わない。
上記のように設定確認条件判定処理よりも先に異常判定処理を行うことで、記憶手段に記憶された設定値が異常な状態で設定値の確認表示処理が行われることの防止が図られる。
従って、設定確認表示の表示バグ発生防止を図ることができる。
また、上記構成によれば、設定確認表示処理の前に記憶手段の記憶情報(設定値を含む)について異常判定処理が行われているので、設定確認表示処理を行うにあたって設定値の異常判定を行う必要はない。このため、上記のように設定確認表示手段が設定値の異常判定を行わない構成としたことで、設定値の異常判定が無闇に行われることの防止が図られる。
従って、処理負担の軽減を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、を備え、制御手段は、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理を参照)と、記憶手段における設定値を含む記憶情報の異常判定処理(ステップS105のRAM異常判定処理)を行う異常判定手段と、記憶手段における少なくとも設定値を除いた記憶情報をクリアする記憶情報クリア処理(少なくともステップS117のRAM初期化処理)を所定のクリア指示操作に応じて実行するクリア手段と、クリア指示操作の有無を判定するクリア条件判定処理(ステップS107のRAMクリア条件成立判定処理)を行うクリア条件判定手段と、を有する。
そして、制御手段は、電源投入に伴う起動時において、クリア条件判定処理よりも先に異常判定処理を行うものである。
記憶情報クリア処理では設定値をクリアしないため、仮に、異常判定処理よりも先にクリア条件判定処理を実行してしまうと、異常な設定値が記憶手段に記憶されたままの状態となってしまう。
クリア条件判定処理よりも先に異常判定処理を行うことで、異常な設定値が記憶された状態で遊技動作が開始されてしまうことの防止が図られる。
従って、不正防止を図ることができる。
ここで、上記のように記憶情報クリア処理が設定値をクリアしない処理とされていることで、設定変更処理後に行う記憶情報クリア処理と、クリア指示操作に応じて行う記憶情報クリア処理とを共通処理(共通プログラムによる処理)とすることができる。つまり、プログラム容量の削減を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、を備え、制御手段は、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理を参照)と、記憶手段における設定値を含む記憶情報の異常判定処理(ステップS105のRAM異常判定処理)を行う異常判定手段と、電源投入に伴う起動時において、記憶手段の記憶情報を電源遮断前の状態に復帰可能か否かを判定するバックアップ復帰判定処理(ステップS106のバックアップフラグ判定処理)を行うバックアップ復帰判定手段と、を有する。
そして、制御手段は、バックアップ復帰判定処理よりも先に、異常判定処理を行うものである。
これにより、記憶手段に記憶された設定値の異常有無を判定せずに、異常な設定値が記憶された状態でバックアップ復帰処理が行われてしまうことの防止が図られる。
従って、不正防止を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、開閉可能な扉部(前枠2)を有すると共に、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する遊技機であって、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、それぞれが扉部を開放状態とすることで操作可能に設けられた第一操作子及び第二操作子(設定キースイッチ94に対応して設けられたキーシリンダ及びRAMクリアボタン)と、を備え、制御手段は、記憶手段における記憶情報をクリアする記憶情報クリア処理(ステップS116~S118)を行うクリア手段と、操作に基づき設定値を設定する設定処理(ステップS115の設定変更処理)を行う設定手段と、所要の表示手段に現在の設定値を表示させる設定確認表示処理(ステップS109の設定確認処理)を行う設定確認表示手段と、を有する。
そして、制御手段は、記憶情報クリア処理への移行判定を扉部の開/閉状態に基づかず、第一、第二操作子のうち少なくとも一方の操作状態に基づいて行い、設定処理への移行判定、設定確認表示処理への移行判定は、第一、第二操作子のうち少なくとも一方の操作状態と、扉部の開/閉状態とに基づいて行うものである。
これにより、設定値に関する処理は扉部の開/閉状態を確認した結果に基づき実行される。
従って、不正防止を図ることができる。
なお、設定変更処理への移行条件は、扉開放且つ設定キーONと定めることもできる。この場合において、設定変更処理への移行判定では、扉開放と共に設定キースイッチ94がONであることを判定条件とすることができる。つまり、第一、第二操作子のうち一方のみの操作状態を判定条件とすることができる。
また、この際の設定確認処理への移行条件は、設定キースイッチ98及びRAMクリアスイッチ98が共にOFF且つ扉開放と定めることができる。この場合、扉開放且つ設定キースイッチ94=ONであれば上記のように設定変更処理に移行されるので、設定変更処理に移行されないのであれば設定キースイッチ94=OFFであったと推定できる。このため、この場合における設定確認処理への移行判定では、扉開放且つRAMクリアスイッチ98=OFFであることを判定条件とすることができる。つまりは、第一、第二操作子のうち一方のみの操作状態を判定条件とすることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、開閉可能な扉部(前枠2)を有すると共に、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する遊技機であって、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、それぞれが扉部を開放状態とすることで操作可能に設けられた第一操作子及び第二操作子(設定キースイッチ94に対応して設けられたキーシリンダ及びRAMクリアボタン)と、を備え、制御手段は、記憶手段に電源遮断前の記憶情報が記憶された状態で遊技機を復帰させるバックアップ復帰処理(ステップS111のバックアップ復帰処理)を行うバックアップ復帰手段と、操作に基づき設定値を設定する設定処理(ステップS115の設定変更処理)を行う設定手段と、所要の表示手段に現在の設定値を表示させる設定確認表示処理(ステップS109の設定確認処理)を行う設定確認表示手段と、を有する。
そして、制御手段は、バックアップ復帰処理への移行判定(ステップS106のバックアップフラグ判定処理)を扉部の開/閉状態及び第一、第二操作子の操作状態に基づかずに行い、設定処理への移行判定、設定確認表示処理への移行判定は、第一、第二操作子のうち少なくとも一方の操作状態と、扉部の開/閉状態とに基づいて行うものである。
これにより、設定値に関する処理は扉部の開/閉状態を確認した結果に基づき実行される。
従って、不正防止を図ることができる。
特に、本実施形態では、バックアップ復帰処理への移行判定を、記憶手段の記憶情報が異常でないこと(ステップS105のRAM異常判定がNであること)を条件として行うものとしている。
これにより、異常な設定値によりバックアップ復帰が行われてしまうことが防止され、不正防止効果を高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、開閉可能な扉部(前枠2)を有すると共に、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する遊技機であって、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、それぞれが扉部を開放状態とすることで操作可能に設けられた第一操作子及び第二操作子(設定キースイッチ94に対応して設けられたキーシリンダ及びRAMクリアボタン)と、を備え、制御手段は、記憶手段における記憶情報をクリアする記憶情報クリア処理(ステップS116~S118)を行うクリア手段と、操作に基づき設定値を設定する設定処理(ステップS115の設定変更処理)を行う設定手段と、を有する。
そして、制御手段は、扉部が開放状態とされ且つ第一及び第二操作子が操作状態とされる場合に設定処理を実行可能である一方、扉部が閉鎖状態とされ且つ第一及び第二操作子が操作状態とされる場合には設定処理を行わず記憶情報クリア処理を実行するものである。
これにより、設定値の変更は扉部を開放しないと実行できなくなり、扉部が閉鎖の場合には記憶情報クリア処理が行われる。
従って、不正防止を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、開閉可能な扉部(前枠2)を有すると共に、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する遊技機であって、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)と、それぞれが扉部を開放状態とすることで操作可能に設けられた第一操作子及び第二操作子(設定キースイッチ94に対応して設けられたキーシリンダ及びRAMクリアボタン)と、を備え、制御手段は、記憶手段に電源遮断前の記憶情報が記憶された状態で遊技機を復帰させるバックアップ復帰処理(ステップS111のバックアップ復帰処理)を行うバックアップ復帰手段と、所要の表示手段に現在の設定値を表示させる設定確認表示処理(ステップS109の設定確認処理)を行う設定確認表示手段と、を有する。
そして、制御手段は、扉部が開放状態とされ且つ第一、第二操作子のうち第一操作子のみが操作状態とされることで設定確認表示処理を実行可能である一方、扉部が閉鎖状態とされ且つ第一、第二操作子のうち第一操作子のみが操作状態とされる場合には設定確認表示処理を行わずバックアップ復帰処理を実行するものである。
これにより、設定確認表示処理は扉部を開放しないと実行できなくなり、扉部が閉鎖の場合にはバックアップ復帰処理が行われる。
従って、不正防止を図ることができる。
特に、本実施形態では、バックアップ復帰処理への移行判定を、記憶手段の記憶情報が異常でないこと(ステップS105のRAM異常判定がNであること)を条件として行うものとしている。
これにより、異常な設定値によりバックアップ復帰が行われてしまうことが防止され、不正防止効果を高めることができる。
[4-4.起動時処理のプログラムについて]
続いて、上記で説明した起動時の処理を実現するプログラムについて説明する。
図14は、起動時に対応して実行される各処理について、ROM202におけるプログラムの記憶態様を模式的に示した図である。なお、ここでのプログラムはアセンブリ言語によるプログラムである。
図14では、起動時に対応して実行される各処理を「電源投入時初期設定処理」「入力ポートデータ取得処理」「設定変更条件判定処理」「設定変更処理」「RAMクリア処理」「RAM異常チェック処理」「電源再投入処理」「RAMクリア条件判定処理」「設定確認条件判定処理」「設定確認処理」「バックアップ復帰処理」「復帰後設定処理」に区分して示している。
これらの処理と図5~図13で説明した各処理との対応関係は下記の通りである。
「電源投入時初期設定処理」=ステップS101の初期設定処理
「入力ポートデータ取得処理」=ステップS102のコピー処理及びステップS103のマスク処理
「設定変更条件判定処理」=ステップS104の設定変更条件成立判定処理
「設定変更処理」=ステップS115の設定変更処理
「RAMクリア処理」=ステップS116のコマンド送信処理からステップS118のRAMクリア時処理までの処理
「RAM異常チェック処理」=ステップS105のRAM異常判定処理、及びステップS106のバックアップフラグ判定処理
「電源再投入処理」=ステップS112のコマンド送信処理からステップS114の電源異常チェック処理までの処理
「RAMクリア条件判定処理」=ステップS107のRAMクリア条件成立判定処理
「設定確認条件判定処理」=ステップS108の設定確認条件成立判定処理
「設定確認処理」=ステップS109の設定確認処理
「バックアップ復帰処理」=ステップS110のコマンド送信処理及びステップS111のバックアップ復帰処理
「復帰後設定処理」=ステップS119(CTCの設定処理)を含む処理
本実施形態では、上記の各処理のプログラムは、ROM202の先頭アドレス(000H)から上記各処理の列挙順に格納されている。すなわち、ROM202の先頭には「電源投入時初期設定処理」のプログラムが格納され、該「電源投入時初期設定処理」のプログラムに対しては「入力ポートデータ取得処理」のプログラムが続けて(連続して)格納され、さらに、該「入力ポートデータ取得処理」のプログラムに対しては「設定変更条件判定処理」のプログラムが続けて格納される、といったように、各処理のプログラムが上記列挙の順でROM202の先頭から続けて格納されている。
これにより、電源投入に伴う起動時において、CPU201はROM202の先頭アドレスからプログラムを処理することで、図5に示した通りの順で、先ずはステップS101の初期設定処理からステップS104の設定変更条件成立判定処理までが実行される。
ここで、図14において、各処理のプログラムに対しては、その処理を識別可能とするための処理識別子「SYSTEM_xxx」(xxxは数値)が定められている。また、図14において、プログラム中の「JR」の表記はジャンプ命令であり、CPU201はこの「JR」の記述に従い、「JR」以下に示される処理識別子が示す処理へ移行する。具体的には、ROM202において該処理識別子が示す処理のプログラムが格納された領域からプログラムを読み出して実行する。例えば、図中におけるRAMクリア処理の最終行に記述されたジャンプ命令に従い、CPU201はROM202の先頭側から順にプログラムを実行することを中断して、該ジャンプ命令により指示される「SYSTEM_1200」にジャンプし、ジャンプ先のプログラム(つまり復帰後設定処理のプログラム)を実行する。
このようにジャンプ命令「JR」が記述されたプログラムは、ROM202の先頭側から順にプログラムを実行することを中断させて、プログラムの実行ポイントを処理識別子に従ったポイントに遷移させることを指令するプログラムとなる。
このようなジャンプ命令により、「設定変更条件判定処理」以降の処理が、各種条件の成立/不成立に応じて、図5で説明した通りの順で実行される。
具体的に、「設定変更条件判定処理」では、図中の「CP W,01100001B」及び「JR NZ,SYSTEM_600」の記述に従い、直前の「入力ポートデータ取得処理」で得られるマスク後の8ビットの値が「01100001」と一致していればジャンプ命令によるプログラム実行ポイントの遷移が行われず、「設定変更処理」における一行目のプログラム(「LD DE,0BA5AH」)が実行される。すなわち、設定変更処理が開始される。
一方、マスク後の8ビットの値が「01100001」と一致していればジャンプ命令によりプログラムの実行ポイントが遷移され(「SYSTEM_600」への遷移)、「RAM異常チェック処理」が実行される。
「設定変更処理」では、図中の「CALLV_CMDOUT」の記述に従い、「LD DE,0BA5AH」の記述により取得される「BA5AH」コマンドのデータ、すなわち設定変更中コマンドのデータを送信するためのコマンド送信処理が呼び出され、設定変更中コマンドが演出制御部24に送信される。その後、「CALL M_SETTEI」の記述に従い「M_SETTEI」のプログラムが呼び出され、先のステップS802~S810として説明した処理が実行される。
ここで、参考として、図15に「M_SETTEI」のプログラムの例を示しておく。
図14において、「M_SETTEI」のプログラムの実行が完了する、すなわち「設定変更処理」が完了すると、「RAMクリア処理」のプログラムが実行される。
ここで着目すべきは、本例では「設定変更処理」のプログラムに続けて「RAMクリア処理」のプログラムを格納していることで、設定変更処理(S115)後にRAMクリア処理(S116~S118)を実行するにあたって、ジャンプ命令によるプログラム実行ポイントの遷移が不要とされているという点である。
これにより、設定変更処理後にRAMクリア処理を実行するにあたって、プログラム実行ポイントを遷移させるためのプログラム(遷移指令プログラム)を記述する必要がなくなり、ROM202におけるプログラム容量の削減を図ることができる。
「RAMクリア処理」のプログラムにおいて、最終行には「JR SYSTEM_1200」が記述され、これにより「RAMクリア処理」の実行完了に応じてプログラム実行ポイントが「SYSTEM_1200」のプログラムに遷移する。つまりこれにより、先に説明したステップS118→S119への遷移が実現される。
続いて、「RAM異常チェック処理」のプログラムでは、「CP (W_SETTEI),6」及び「JR NC,SYSTEM_700」の記述により、設定値Veが正常な範囲外の値である(6以上である)場合にはジャンプ命令によりプログラムの実行ポイントが遷移され(「SYSTEM_700」への遷移)、「電源再投入処理」が実行される。
一方、設定値Veが正常な範囲外の値ではない場合には、「CP (W_BACKFLG),05AH」「JR Z,SYSTEM_800」の記述に従った処理が実行される。具体的に、これらの記述により、バックアップフラグがON(05AH)でなければジャンプ命令によるプログラム実行ポイントの遷移が行われず、「電源再投入処理」が実行され、バックアップフラグがONであればジャンプ命令によりプログラムの実行ポイントが遷移され(「SYSTEM_800」への遷移)、「RAMクリア条件判定処理」が実行される。
「RAMクリア条件判定処理」のプログラムにおいて、「LD CF,W.6」の記述によっては、上述したマスク後の8ビットの値における6ビット目の値がロードされ、続く「JR C,SYSTEM_500」の記述によって、ロードされた値が「1」でなければジャンプ命令によるプログラム実行ポイントの遷移が行われず、「設定確認条件判定処理」が行われる。
一方、ロードされた値が「1」である場合には、ジャンプ命令によりプログラムの実行ポイントが遷移され(「SYSTEM_500」への遷移)、「RAMクリア処理」が実行される。
このように本実施形態では、設定変更処理とRAMクリア処理のうち、RAMクリア処理のみが行われる場合には、ジャンプ命令により該RAMクリア処理へのプログラム実行ポイントの遷移が行われる。
「設定確認条件判定処理」では、「CP W,01100000B」及び「JR NZ,SYSTEM_1100」の記述により、上述したマスク後の8ビットの値が「01100000」と一致していればジャンプ命令によるプログラム実行ポイントの遷移が行われず、「設定確認処理」が行われる。
一方、マスク後の8ビットの値が「01100000」と一致していない場合は、ジャンプ命令によりプログラムの実行ポイントが遷移され(「SYSTEM_1100」への遷移)、「バックアップ復帰処理」が実行される。
「設定確認処理」のプログラムにおいて、最終行の「CALLV_CMDOUT」に従った処理の実行が完了すると、「バックアップ復帰処理」が開始される。
このように本実施形態では、「設定確認処理」のプログラムに続けて「バックアップ復帰処理」のプログラムを格納していることで、設定確認処理(S109及びS110)後にバックアップ復帰処理(S111)を実行するにあたって、ジャンプ命令によるプログラム実行ポイントの遷移が不要とされている。
これにより、設定確認処理後にバックアップ復帰処理を実行するにあたって、プログラム実行ポイントを遷移させるための遷移指令プログラムを記述する必要がなくなり、ROM202におけるプログラム容量の削減を図ることができる。
なお、図14では参考として、設定変更処理が行われる場合、設定変更処理が行われずRAMクリア処理が行われる場合、設定確認処理が行われる場合、設定確認処理が行われずにバックアップ復帰処理が行われる場合、及びRAM異常が判定される場合のそれぞれについて、プログラム実行ポイントの遷移を番号付の矢印により示している。
図14に示す「RAMクリア処理」及び「設定確認処理」のプログラムについて補足しておく。
「RAMクリア処理」において、「SYSTEM_500」における「LD HL,D_MKCADR2」は、以下で説明する「SYSTEM_550」における「CALLV_MKCADR」によって呼び出されるコマンド送信処理で用いられるべきデータ(後述する「RAMクリア時コマンド送信アドレステーブル」を指し示すデータ:図18参照)をHLレジスタにロードする処理となる。
「SYSTEM_550」における「CALLV_MKCADR」ではコマンド送信処理がコールされ、該コマンド送信処理では上記のようにHLレジスタにロードされたデータに従ってRAMクリア時に対応した各種の演出制御コマンドの送信が行われる。
続く「LD HL,W_SETTEI+1」は、HLレジスタに設定値ワーク(RAM203における設定値Veの格納領域)の次のアドレス値をロードする処理であり、「LD B,256-3」はBレジスタに対し0クリアする回数を指定(253回)する処理である。
さらに、続く「CALLV_ZEROSET2」は0クリア処理を呼び出す処理であり、「LD HL,D_INISET」はHLレジスタに初期値設定テーブルの先頭アドレスをロードする処理、「CALLV_DTSET」はデータセット処理を呼び出す処理となる。
このような一連のプログラムにより、前述したステップS116(RAMクリア時のコマンド送信処理)~S118(RAMクリア時処理)の処理が実現される。
続いて、「設定確認処理」において、「SYSTEM_1000」における「LD DE,0E021H」「CALLV_CMDOUT」「LD C,(W_SETTEI)」のプログラムは、ステップS801の設定確認中コマンドの送信処理及びステップS802の設定値ワークの値を取得する処理に対応するものである。
「SYSTEM_1050」のプログラムは、ステップS803~S807の繰り返し処理を可能とするためのプログラムとなる。具体的に、「SYSTEM_1050」における「CALLV_VDDCHK」は電源異常チェック処理(図7参照)を呼び出す処理であり、「IN A,(P_INPT1)」はAレジスタに入力ポートnの情報をロードする処理、「AND A,00000001B」はAレジスタに指定の値「00000001」)をANDする処理であり、「JR Z,SYSTEM_1060」はZフラグ=1の場合(つまりAレジスタの値=0の場合:つまり設定キースイッチ94がOFFの場合)に「SYSTEM_1060」に遷移する処理である。
「LD A,00000010B」はAレジスタに指定の値「00000010」をロードする処理、「OUT (P_GAIBU2),A」は外部出力端子にAレジスタの値を出力する処理となる。この出力処理は、ステップS805のセキュリティ信号出力処理に相当する。
「LD HL,D_7SEGDATA」は、HLレジスタにテーブルの先頭アドレスをロードする処理、「LD A,C」はAレジスタにCレジスタの値(つまり設定値Ve)をロードする処理、「LD W,(HL+A) 」はWレジスタにAレジスタの値(設定値Ve)に基づいたテーブルの値をロードする処理である。
「LD A,00010000B」はAレジスタに指定の値「00010000」(LEDコモンの指定値)をロードする処理、「OUTW (P_LEDCMN),WA」は設定・性能表示器97(LED)にWレジスタとAレジスタの値(つまりテーブルの値とコモン指定値)を出力する処理である。
「OUTW (P_LEDCMN),WA」までの処理を終えると、「JR SYSTEM_1050」によりプログラムの実行ポイントが「SYSTEM_1050」に遷移される。
「SYSTEM_1060」のプログラムは、設定キースイッチ94がOFFとなった場合(設定確認完了操作が行われた場合)に対応するものである。
「XOR WA,WA」は、WAレジスタの値をクリアする処理であり、「OUTW (P_LEDCMN),WA」はWAレジスタの値(00000000)を設定・性能表示器97に出力する(つまり設定値表示用データのクリア)処理である。「OUT (P_GAIBU2),A」は外部出力端子にAレジスタの値(00000000)を出力する(つまりセキュリティ信号OFF)処理である。
「INC E」はEレジスタの値を1インクリメントする処理であり、これは設定確認終了コマンド(0E22H)を指定する処理に相当する(「SYSTEM_1000」における「LD DE,0E021H」を参照)。「CALLV_CMDOUT」はコマンド送信処理を呼び出す処理であり、これにより設定確認終了コマンドが演出制御部24に送信される。
ここで、「設定確認処理」のプログラムは、図16に示すように変更することも可能である。
図16において、「SYSTEM_1000」における「LD W,(W_SETTEI)」は、Wレジスタに設定値ワークの値(設定値Ve)をロードする処理であり、「LD HL,D_7SEGDATA」はHLレジスタにテーブルの先頭アドレスの値をロードする処理である。「LD A,(HL+W)」はAレジスタにHLレジスタ(テーブルの先頭アドレスの値)とWレジスタ(設定値Ve)とに基づいたテーブルのアドレス値をロードする処理であり、「OUT (P_LED3),A」は、設定・性能表示器97にAレジスタの値を出力する処理である。これにより、設定・性能表示器97に現在の設定値Veが表示される。
「LD DE,0E020H」~「CALLV _CMDOUT」は、設定確認中コマンドを送信するためのプログラムとなる。具体的に「LD DE,0E020H」は、DEレジスタに指定コマンド値「E020H」をロードする処理であり、「ADD E,W」はEレジスタにDEレジスタの値(指定コマンド値)とWレジスタの値(設定値Ve)との加算値をロードする処理である。これにより、送信対象のコマンドデータが設定値Ve=00H(設定1)であれば「0E20H」、設定値Ve=01H(設定2)であれば「0E21H」、設定値Ve=02H(設定3)であれば「0E22H」といったように変化する。この「ADD E,W」によるプログラムを設けていることで、設定確認中コマンドによって演出制御部24側に現在の設定値Veが通知されるようにしている。
この「ADD E,W」によりセットされたコマンドデータは、「CALLV _CMDOUT」により呼び出されるコマンド送信処理によって演出制御部24に送信される。その後、「OUT (P_GAIBU2),00000010B」によりセキュリティ信号の出力処理が行われる。
続いて、「SYSTEM_1050」においては、「CALLV _VDDCHK」により電源異常チェック処理が呼び出され、「IN A,(P_INPTn)」によりAレジスタに入力ポートnの情報がロードされた上で、「AND A,00000001B」によりAレジスタの値に指定の値「00000001」がANDされる。「JRS F,SYSTEM_1050」は、JF(ジャンプステータスフラグ)が「0」であれば(上記ANDした値が「1」の場合:つまり設定キースイッチ94がONの場合)、「SYSTEM_1050」にジャンプする命令(ジャンプ命令)である。これにより、設定確認完了操作が行われるまでの間、電源異常チェック処理が繰り返される。
「JRS F,SYSTEM_1050」に続く「OUT (P_LED3),A」は、設定・性能表示器97にAレジスタの値(「00000000」)を出力する処理であり、設定値表示用データのクリア処理に相当するものであり、「OUT (P_GAIBU2),A」は外部出力端子にAレジスタの値(「00000000」)を出力する処理でありセキュリティ信号OFF処理に相当する。
「LD E,027H」はEレジスタに指定コマンド値(=「027H」)をロードする処理であり、これは、設定確認終了コマンドのデータ(「E027H」)をセットする処理に相当する。「LD E,027H」によりセットされたコマンドデータは、「CALLV _CMDOUT」によって呼び出されるコマンド送信処理により演出制御部24に送信される。
なお、図14に示したプログラムでは、設定確認終了コマンドのコマンドデータが「E022H」とされることを前提としていたが、図16に示す変形例の場合は上記のように同コマンドデータが「E027H」とされている。
この図16に示したプログラムを採用した場合も、図14に示したプログラムを採用する場合と同様に、「設定確認処理」として現在の設定値Veの表示、設定確認中コマンドの送信、設定キーOFFに応じた設定値表示用データのクリアやセキュリティ信号のOFF、及び設定確認終了コマンドの送信が行われるという点に変わりはない。
そして、図14と対比して分かるように、図16に示すプログラムを採用した場合には、このような「設定確認処理」の実現に必要となるプログラム容量(データ容量)を削減できることが分かる。
[4-5.第二のまとめ]
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機1は、起動時に実行される処理のプログラムについて、以下のような構成を有していると言うことができる。
すなわち、パチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)とを備え、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を操作に基づき設定する設定処理(ステップS115の設定変更処理)を実行可能とされた遊技機であって、電源投入に伴う起動時に実行する処理のプログラムとして、設定処理を行うための第一プログラム(図14の「設定変更処理」)と、記憶手段の記憶情報をクリアする記憶情報クリア処理を行うための第二プログラム(図14の「RAMクリア処理」)と、プログラムの実行ポイントを第二プログラムに遷移させる遷移指令プログラム(図14の「RAMクリア条件判定処理」)と、を記憶している。
そして、制御手段は、設定処理と記憶情報クリア処理のうち記憶情報クリア処理のみを実行する場合には、遷移指令プログラムによりプログラムの実行ポイントを第二プログラムに遷移させて処理を実行する一方、設定処理の実行後に記憶情報クリア処理を実行する場合には、第一プログラムを実行後、遷移指令プログラムによらず第二プログラムを実行可能とされたものである。
これにより、設定処理後に記憶情報クリア処理を行うことを可能とするにあたり、第一プログラムの実行後にプログラムの実行ポイントを第二プログラムに遷移させるための遷移指令プログラムを記憶する必要がなくなる。
従って、プログラム容量の削減を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は次のような構成を有する。
すなわち、パチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)とを備え、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を操作に基づき設定可能とされた遊技機であって、電源投入に伴う起動時に実行する処理のプログラムとして、所要の表示手段に現在の設定値を表示させる設定確認表示処理(ステップS109の設定確認処理)を行うための第一プログラム(図14の「設定確認処理」)と、記憶手段に電源遮断前の記憶情報が記憶された状態で遊技機を復帰させるバックアップ復帰処理(ステップS111のバックアップ復帰処理)を行うための第二プログラム(図14の「バックアップ復帰処理」)と、プログラムの実行ポイントを第二プログラムに遷移させる遷移指令プログラム(図14の「設定確認条件判定処理」)と、を記憶している。
そして、制御手段は、設定確認表示処理とバックアップ復帰処理のうちバックアップ復帰処理のみを実行する場合には、遷移指令プログラムによりプログラムの実行ポイントを第二プログラムに遷移させて処理を実行する一方、設定確認表示処理の実行後にバックアップ復帰処理を実行する場合には、第一プログラムを実行後、遷移指令プログラムによらず第二プログラムを実行可能とされたものである。
これにより、設定確認表示処理後にバックアップ復帰処理を行うことを可能とするにあたり、第一プログラムの実行後にプログラムの実行ポイントを第二プログラムに遷移させるための遷移指令プログラムを記憶する必要がなくなる。
従って、プログラム容量の削減を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は次のような構成を有している。
すなわち、パチンコ遊技機1は、遊技動作の進行制御を行う制御手段(CPU201)と、制御手段による情報の読み出し/書き込みが可能とされた記憶手段(RAM203)とを備え、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を操作に基づき設定する設定処理(ステップS115の設定変更処理)を実行可能とされた遊技機であって、電源投入に伴う起動時に実行する処理のプログラムとして、設定処理を行うための第一プログラム(図14の「設定変更処理」)と、記憶手段の記憶情報をクリアする記憶情報クリア処理(ステップS116~S118)を行うための第二プログラム(図14の「RAMクリア処理」)と、所要の表示手段に現在の設定値を表示させる設定確認表示処理(ステップS109の設定確認処理)を行うための第三プログラム(図14の「設定確認処理」)と、記憶手段に電源遮断前の記憶情報が記憶された状態で遊技機を復帰させるバックアップ復帰処理(ステップS111のバックアップ復帰処理)を行うための第四プログラム(図14の「バックアップ復帰処理」)と、を記憶している。
その上で、第一プログラムと第二プログラムとが、プログラムの実行ポイントを遷移させる遷移指令を介さず連続的に処理可能とされ、第三プログラムと第四プログラムとが、遷移指令を介さず連続的に処理可能とされたものである。
これにより、設定処理後に記憶情報クリア処理を行うこと、及び設定確認表示処理後にバックアップ復帰処理を行うことをそれぞれ可能とするにあたり、第一プログラムの実行後に第二プログラムに遷移させるための遷移指令プログラム、及び第三プログラムの実行後に第四プログラムに遷移させるための遷移指令プログラムをそれぞれ記憶する必要がなくなる。
従って、プログラム容量の削減を図ることができる。
[4-6.起動時のコマンド送信について]
次に、電源投入に伴う起動時におけるコマンド送信について図17~図23を参照して説明する。
図17は、設定変更処理時に対応したコマンド送信処理についての説明図であり、図17AはステップS701の設定変更中コマンドの送信処理、図17BはステップS722の設定完了コマンドの送信処理を示している。
図17Aにおいて、CPU201はステップS01で設定変更中コマンドデータ(BA5AH)の取得処理を行う。図14中の「設定変更処理」における「LD DE,0BA5AH」を参照して分かるように、このステップS01の処理は、プログラムに直接書き込まれた(プログラムにより直接データが指定される)コマンドデータを読み出して取得する処理となる。
次いで、CPU201はステップS10のコマンド送信処理を実行し、ステップS701の設定変更中コマンドの送信処理を終える。
図14中の「設定変更処理」における「CALLV M_SETTEI」を参照して分かるように、CPU201はステップS10のコマンド送信処理を呼び出して実行する。このコマンド送信処理では、図示のようにステップS11でコマンドデータを演出制御部24に送信する処理を実行する。
続いて、図17Bに示す設定完了コマンドの送信処理(S722)において、CPU201はステップS02で設定完了コマンドデータ(BA09H)の取得処理を行った上で(図15の「LD DE,0BA09H」参照)、ステップS10のコマンド送信処理を行い(図15の「CALLV M_SETTEI」参照)、ステップS722の設定完了コマンドの送信処理を終える。
図18は、RAMクリア時のコマンド送信処理(ステップS116)の説明図である。
先ず、CPU201はステップS03で、アドレステーブルの選択処理を行う。この場合の選択処理では、図中に「RAMクリア時コマンド送信アドレステーブル」と示すアドレステーブルが選択される。RAMクリア時コマンド送信アドレステーブルには、ループ数(「3」)と共に、RAMクリア指定コマンド作成テーブル、スペック指定コマンド作成テーブル、及び客待ち指定コマンド作成テーブルのアドレス値が格納されている。
次いで、CPU201はステップS20のコマンドテーブル選択処理を実行し、ステップS116のRAMクリア時のコマンド送信処理を終える。
図示のようにステップS20のコマンドテーブル選択処理では、先ずステップS21でループ数の設定を行う。つまり、RAMクリア時コマンド送信アドレステーブルで指定されるループ数の設定を行う。次いで、ステップS22でアドレステーブルからコマンド作成テーブルを選択し、ステップS30のコマンドデータ作成処理を実行した上で、ステップS23でループ数が「0」となったか否かを判定し、ループ数が「0」でなければステップS22のコマンド作成テーブル選択処理を再び実行する。
これらの処理により、図中に示すRAMクリア指定コマンド作成テーブル、スペック指定コマンド作成テーブル、客待ち指定コマンド作成テーブルが順次選択され、該選択ごとに、選択中のコマンド作成テーブルの内容に従ったコマンドデータ作成処理が実行される。
ステップS30のコマンドデータ作成処理では、ステップS31でコマンドデータの選択処理、すなわち選択中のコマンド作成テーブルに格納されている加算値データとコマンドデータとに基づくコマンドデータの選択が行われ、次いで、ステップS10のコマンド送信処理が実行される。
上記のような一連の処理により、1回目のループでは「BA02H」によるRAMクリアコマンドのコマンドデータが、2回目のループでは「F611H」によるスペックコマンド(パチンコ遊技機1のスペックを通知するためのコマンド)のコマンドデータが、3回目のループでは「BA04H」による客待ちデモ表示コマンドのコマンドデータが演出制御部24に送信される。
上記のRAMクリアコマンドを受け演出制御部24は、RAMクリア時に対応した画面表示や光演出、音演出が行われるようにするための処理を行う。
図19は、電源再投入時のコマンド送信処理(ステップS112)の説明図である。
CPU201は、ステップS03で電源再投入コマンド取得処理を行い、次いでステップS10のコマンド送信処理を行ってステップS112のコマンド送信処理を終える。
図20は、設定確認中コマンドの送信処理(ステップS801)の説明図である。
CPU201は、ステップS04で設定確認中コマンド取得処理を行い、次いでステップS10のコマンド送信処理を行ってステップS801のコマンド送信処理を終える。
図21は、設定確認終了コマンドの送信処理(ステップS810)の説明図である。
CPU201は、ステップS05で設定確認終了コマンド取得処理を行い、次いでステップS10のコマンド送信処理を行ってステップS810のコマンド送信処理を終える。
これら図19~図21を参照して分かるように、電源再投入コマンド、設定確認中コマンド、及び設定確認終了コマンドは、先に説明した設定変更中コマンドや設定完了コマンドと同様、プログラムに記述されたコマンドデータが読み出されて演出制御部24に送信されるものである。つまり、これらのコマンドデータとしても、プログラムにより直接データが指定されるコマンドデータに該当する
図22は、バックアップ復帰処理時のコマンド送信処理(ステップS110)の説明図である。
先ず、CPU201はステップS06で、アドレステーブルの選択処理を行う。この場合の選択処理では、図中に「バックアップ復帰&設定確認時共通コマンド送信アドレステーブル」と示すアドレステーブルが選択される。図示のように該アドレステーブルには、ループ数(「3」)と共に、停電復帰指定コマンド作成テーブル、特図1保留数指定コマンド作成テーブル、及び特図2保留数指定コマンド作成テーブルのアドレス値が格納されている。
次いで、CPU201はステップS20のコマンドテーブル選択処理を実行する。
この場合のコマンドテーブル選択処理では、ステップS21~S23の処理により、ステップS06で選択したアドレステーブルに従って図中に示す停電復帰指定コマンド作成テーブル、特図1保留数指定コマンド作成テーブル、特図2保留数指定コマンド作成テーブルが順次選択され、該選択ごとに、選択中のコマンド作成テーブルの内容に従ったコマンドデータ作成処理(S30)が実行される。なお、特図1、特図2保留数指定コマンド作成テーブルのそれぞれでは、加算値データとして特図1、特図2の保留数ワーク(RAM203のワーク領域における保留数の格納領域)の値が定められている。
この場合のコマンドデータ作成処理(S30)では、1回目のループにおいて「BA03H」による停電復帰表示コマンドのコマンドデータが得られ、2回目のループでは特図1の保留数を通知するための「B0xxH」(xxは保留数を表す値)によるコマンドデータが得られ、3回目のループでは特図2の保留数を通知するための「B1xxH」によるコマンドデータが得られる。
この場合は、ステップS30におけるコマンド送信処理(S10)が実行されることで、停電復帰表示コマンド(BA03H)、及び保留数指定コマンド(B0xxH、B1xxH)が演出制御部24に送信される。
ステップS20のコマンドテーブル選択処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS40のコマンドデータ作成処理2を実行する。
コマンドデータ作成処理2において、CPU201はステップS41でスペックコマンド(F611H)を取得した上で、ステップS10のコマンド送信処理を行う。次いで、CPU201はステップS42で状態指定コマンド(FAxxH~FDxxH:xxは状態に応じた数値)の取得処理を行った上でステップS10のコマンド送信処理を行い、ステップS40のコマンドデータ作成処理2を終える。状態指定コマンドは、演出制御部24に電源遮断前における所定項目ごとの状態を通知するためのコマンドとされ、例えば上位1バイト(FA~FD)が項目の種別を、下位1バイト(xx)が状態の種別をそれぞれ表す。
ステップS40のコマンドデータ作成処理2を終えたことに応じ、CPU201はステップS07で電断時に非変動中であったか否かを判定し、非変動中であった場合はステップS08で客待ちデモ表示コマンド(BA04H)を取得した上でステップS10のコマンド送信処理を行い、バックアップ復帰時のコマンド送信処理(S110)を終える。
一方、ステップS07で非変動中でなかった場合、CPU201はステップS08及びS10をパスしてステップS110のコマンド送信処理を終える。
図23は、電源投入に応じた起動時に送信されるコマンド(演出制御コマンド)の一覧を模式的に示している。
図中では、起動時に送信されるコマンドのうち、待機画面表示コマンド(BA01H)、遊技開始コマンド(BA77H)以外のコマンドについては、設定変更処理、電源再投入処理、バックアップ復帰処理、RAMクリア処理、設定確認処理ごとに、送信されるコマンドを分けて示している。
ハッチングを施したコマンドは、設定変更処理、電源再投入処理、バックアップ復帰処理、RAMクリア処理、設定確認処理について、その処理に移行された状態でのみ送信されるコマンドを意味している。
これらハッチングを施したコマンド(設定変更中コマンド、設定完了コマンド、電源再投入コマンド、設定確認中コマンド、及び設定確認終了コマンド)は、これまでの説明から理解されるように、プログラムにより直接指定されるコマンドである。
つまり、本実施形態では、起動時における各処理(設定変更処理、電源再投入処理、バックアップ復帰処理、RAMクリア処理、設定確認処理)に関して、その処理への移行状態でのみ送信されるコマンドについては、プログラムにより直接データを指定するものとしている。
一方で、ハッチングを施していないコマンド、つまり複数の移行状態で共通に送信されるコマンドのうち、図中の太枠で示したコマンド(RAMクリアコマンド、停電復帰表示コマンド、保留数指定コマンド)については、先の説明から分かるようにテーブルによりデータを指定するものとしている。
[4-7.主制御側タイマ割込み処理]
図24のフローチャートを参照して、主制御側タイマ割込処理について説明する。
主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図24において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、先ずはステップS901の電源チェック・バックアップ処理を実行する。この電源チェック・バックアップ処理では、主に、電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電断が生じる等の異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAM203に格納するバックアップ処理等が行われる。
(電源チェック・バックアップ処理)
図25は、ステップS901の電源チェック・バックアップ処理を示したフローチャートである。
電源チェック・バックアップ処理において、CPU201はステップS1001で、電源基板から出力される電源異常信号を2回読み込み、続くステップS1002で双方の読み込み値が一致しているか否かを判定する。双方の値が一致していない場合は、ステップS1001に戻って再度、電源異常信号を2回読み込む。
ステップS1002において、双方の値が一致していれば、CPU201はステップS1003で、電源異常信号が正常レベルか否か(電源異常信号がOFF=正常レベル、ON=正常レベルでない)を判定する。
電源異常信号が正常レベルであれば(ステップS1003:OFF)、CPU201はステップS1004でバックアップフラグをOFF状態とし、続くステップS1005で電源異常確認カウンタをクリアし、ステップS901の電源異常チェック処理を終える。すなわち、電源異常信号が正常レベルであることが確認された場合は、以降で説明するバックアップ処理は行われずタイマ割込み処理が継続される。
一方、ステップS1003で電源異常信号が正常レベルでなかった場合(ステップS1003:ON)、CPU201はステップS1006で電源異常確認カウンタの値を1インクリメントした上で、ステップS1007で電源異常確認カウンタの値が所定の閾値(閾値=2以上の自然数:例えば「2」)以上であるか否かを判定する。
電源異常確認カウンタの値が閾値以上でなければ、CPU201はステップS901の電源異常チェック処理を終える。すなわち、電源異常信号が正常レベルでない状態が検知されたが連続的な検知でない場合には、バックアップ処理は行われずタイマ割込み処理が継続される。
一方、電源異常確認カウンタの値が閾値以上であれば、CPU201はステップS1008~S1011として示すバックアップ処理を行う。
具体的に、CPU201は先ず、電源異常確認カウンタの値をクリアし(S1108)、発射許可信号をOFFとした上で(S1009)、バックアップフラグをONとする(S1010)。
さらに、CPU201は、電源断コマンドを演出制御部24に送信し(S1011)、ステップS1012に処理を進める。
ステップS1012でCPU201は、RAMプロテクトを有効とし、禁止領域を無効に設定する処理を行う。
RAMプロテクトとは、誤作動や誤操作などによるRAM203に対する書き換え防止機能である。RAMプロテクトを有効に設定することで、RAM203からのデータ読み出しのみが可能とされてデータの書き込みが不能な状態となる。
また、禁止領域は、IAT(指定エリア外走行禁止)機能における指定エリアに対応した領域であり、禁止領域を無効に設定することで、以降はIATリセットが発生しないようになる。
ステップS1012に続くステップS1013でCPU201は、出力ポートの値をクリアし、さらに続くステップS1014でタイマ割込み処理を停止すると共に、自身を割込み禁止状態に設定し、無限ループ処理に移行する。
この無限ループ中において、CPU201はWDTによりリセットされ、また動作電源の喪失により動作停止状態に移行する。
説明を図24に戻す。
図24において、ステップS901の電源チェック・バックアップ処理を終えると、CPU201はステップS902で入力データ作成処理を実行する。具体的には、各種センサやスイッチから入力情報(ON/OFF信号や、立ち上がり状態(ONエッジ、OFFエッジ))に基づき、入力データ作成する。
ここでの入力情報とは、例えば上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43a、OUT監視スイッチ49aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)や、設定キースイッチ94、RAMクリアスイッチ98等の設定値Veの設定操作に係るスイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(操作情報)や、払出制御基板29からの状態信号(前扉開放センサ61や満杯検出センサ60のON/OFF情報)等である。これにより、アウト口や各入賞口において遊技球が検出された否かが割込みごとに監視される。
ステップS902の入力データ作成処理を終えると、CPU201はステップS903で、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を実行する。ここでは、遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマの値について更新(減算処理)が行われる。
次いで、CPU201はステップS904で、入力管理処理を行う。この入力管理処理では、入力データ作成処理(S902)で作成された入力データに基づき、入賞カウンタやOUT球監視カウンタの値などを更新する。「入賞カウンタ」とは、各入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。またOUT球監視カウンタは、アウト口49から排出される遊技球(アウト球)を計数するカウンタである。
ステップS904の入力管理処理は、各種入賞口センサからの入力信号(検出信号)を管理する入力管理手段として機能する。
ステップS904に続くステップS905でCPU201は、設定異常チェック処理を実行する。
図26は、ステップS905の設定異常チェック処理を示したフローチャートである。
図26において、CPU201はステップS1101で、設定値エラーフラグを確認する。設定値エラーフラグは、設定値Veの異常が認められた場合に以下で説明するステップS1103の処理によりセットされる(ONされる)フラグであり、本例では「5AH」がON状態を意味する。
ステップS1101において、設定値エラーフラグが「5AH」(ON状態)であれば、CPU201はステップS905の設定異常チェック処理を終える。すなわち、ステップS1101で設定値エラーフラグがONと判定されるということは、既に後述するステップS1104で設定値異常コマンド(演出制御部24に設定エラー報知の実行を指示するコマンド)の送信が実行されている状態であるため、設定値エラーフラグを再度送信することなく、設定異常チェック処理を終える。
一方、ステップS1101で設定値エラーフラグが「5AH」でない(OFFである)と確認された場合、CPU201はステップS1102で設定値Veが正常範囲内の値(0~5の範囲内)であるか否かを判定する。具体的には、RAM203のワーク領域に格納されている設定値Veを取得し、値が「00H」~「05H」の範囲にあるか否かを判定する。
設定値Veが正常範囲内の値であれば、CPU201はステップS905の設定異常チェック処理を終える。
設定値Veが正常範囲内の値でなければ、CPU201はステップS1103に進んで設定値エラーフラグをセット(ON状態)とし、続くステップS1104で設定値Veに異常が生じた旨を表すための設定値異常コマンドを演出制御部24に送信し、設定異常チェック処理を終える。
ここで、設定値エラーフラグは、後述する図28のステップS1308(入賞時の設定エラー判定)をはじめとして、図30におけるステップS1501(変動開始時の大当たり乱数判定を行う際の設定エラー判定や、図33におけるステップS1701(変動開始時の変動パターン抽選を行う際の設定エラー判定)において用いられる。
ここで、上記の設定値異常コマンドを受け演出制御部24は、設定値Veのデータ異常を報知するための処理を行う。例えば、液晶表示装置36に「RAM異常です。係員を呼んで下さい。」等の表示を含む画像を表示させる処理を行う。
遊技機1において、設定エラー(設定値エラー)は、設定変更操作を行うことで解除可能とされている。
説明を図24に戻す。
CPU201はステップS905の設定異常チェック処理を終えると、ステップS906でエラー管理処理を実行する。このエラー管理処理では、各種センサ類に係る入力データや払出制御基板29からの状態信号に基づき、エラー発生の有無の監視を行う。
エラーが発生した場合には、CPU201はエラー処理として、エラーコマンドの送信が必要なエラー種別である場合には当該するコマンドを演出制御部24に送信する。演出制御部24がこのエラーコマンドを受けると、エラー種別に応じたエラー報知を実行する。また、CPU201は発生中のエラーが解消された場合、エラー解除コマンドを演出制御部24に送信する。演出制御部24がこのエラー解除コマンドを受けると、実行中のエラー報知を終了させる。
次いで、CPU201はステップS907で、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込み内乱数管理処理を実行する。ここでは、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などに対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。なお内部抽選用乱数(大当り判定用乱数)は、乱数生成回路で生成されるので、ここで更新されることはない。
ステップS907に続くステップS908でCPU201は、賞球管理処理を実行する。この賞球管理処理では、上記の入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数分の払い出し動作を実行させる。
次いで、CPU201はステップS909で、普通図柄管理処理を実行する。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームを実行させるために必要な処理を行う。ここでは、普通図柄始動口センサ37aにより遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数など)を取得し(乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普通図柄に関する作動保留球)として、最大保留球数を上限まで保留記憶する(保留記憶処理)。そして、普図に関する所定の変動表示開始条件が成立した場合、作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する。
さらに、CPU201はステップS910で、普通電動役物管理処理を実行する。この普通電動役物管理処理では、普電開放遊技の実行に必要な処理を行う。具体的には、補助当り抽選の抽選結果が当りの場合に、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの設定処理を行う。ここで設定されたソレノイド制御用データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cに対して励磁信号が出力され、これにより、可動翼片47の開閉動作パターンが制御される。
次いで、CPU201はステップS911で、特別図柄管理処理を実行する。この特別図柄管理処理では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、及び変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄の決定等、特別図柄変動表示ゲームに必要な処理が実行される。
なお、ステップS911の特別図柄管理処理の詳細については改めて説明する。
次いで、CPU201はステップS912で特別電動役物管理処理を実行する。この特別電動役物管理処理では、当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。具体的には、大当り抽選結果が大当りであった場合、その当り種別に対応した当り遊技(大当り遊技)を実行制御する。
具体的には、大入賞口ソレノイド52cに対するソレノイド制御用データの設定、ラウンド数のカウント(大当りの場合)、大入賞口50への最大入賞数及び開放時間の監視などを行う。また当り遊技が終了した場合は、当選時の遊技状態と当り種別とに基づく遊技状態の移行設定を行う。
またここでは、当り遊技の進行状況に応じて、複数の演出制御コマンドを送信する。大当り開始時、ラウンド遊技開始時、ラウンド遊技終了時、最大ラウンド数消化時などにおいて、それぞれ、大当り開始コマンド、ラウンド開始コマンド、ラウンド終了コマンド、大入賞口入賞コマンド、大当り終了コマンドを送信時期の到来に応じて送信する。上記大当り開始コマンドには、今回の当り種別情報が含まれ、演出制御部24側において、当り遊技中に展開される一連の当り演出シナリオを決定する際に利用される。また、大当り終了コマンドには、今回の当り種別とその当り当選時の遊技状態とに関する情報、つまり、当り遊技終了後の遊技状態を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、当り遊技後の演出モードを決定する際に利用される。従って、この「大当り終了コマンド」は、当り遊技終了後の遊技状態を特定し得ることから、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割を担う。
上記ステップS912までの遊技進行のための処理を終えると、CPU201はステップS913で、外部端子管理処理を行う。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。動作状態情報には、例えば、当り遊技発生情報、図柄変動表示ゲーム実行開始情報、入賞数・賞球数情報、エラー情報などの遊技情報がある。
次いで、CPU201はステップS914で、LED管理処理を実行する。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、設定・性能表示器97などのLED表示器に対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を行う。普通図柄管理処理(ステップS909)、特別図柄管理処理(ステップS911)などで作成された表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で対応する表示装置又は表示器に出力され、表示制御が行われる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄や普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の一連の変動表示動作(変動表示および停止表示)等が実現される。
ステップS914に続くステップS915でCPU201は、全レジスタの値を退避させた上で、ステップS916の性能表示モニタ表示処理を行う。すなわち、設定・性能表示器97に前述した通常時比率情報としての値を表示させるための処理である。
先に触れたように本例の場合、通常時比率情報の値は全状態アウト球数が所定規定値に達するごとに演算し直されるものであり、設定・性能表示器97は、現在の通常時比率情報と前回の通常時比率情報(直近の演算し直しタイミングにおいて演算終了とされた通常時比率情報)とを表示可能とされている。このため、この場合のステップS916の表示処理では、設定・性能表示器97にこれら二種の通常時比率情報としての値を表示させる処理を行う。
なお、現在の通常時比率情報の値は、前述したメインループ処理(図11)におけるステップS604の処理で算出される値であり、前回の通常時比率情報の値は、RAM203の所定領域に保存され、CPU201は該保存値を読み出して設定・性能表示器97に表示させる。
次いで、CPU201はステップS917で全レジスタの値を復帰させ、ステップS918でWDTのカウント値をクリアし、主制御側タイマ割込み処理を終える。
以上のタイマ割込み処理が終了すると、CPU201は次のタイマ割込みが発生するまでの間、メインループ処理(S123)を実行する。
[4-8.特別図柄変動表示ゲームに係る処理]
(特別図柄管理処理)
次に、特別図柄変動表示ゲームに係る主制御部20の処理について説明する。
図27は、先に述べた特別図柄管理処理(ステップS911)を示したフローチャートである。前述のように、特別図柄管理処理は、図24に示した主制御側タイマ割込み処理の一部処理として実行されるものであり、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選と、抽選結果に基づく特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、及び変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄の決定等が行われる。
図27において、CPU201は、先ずステップS1201で特別図柄1側(上始動口34側)についての特図1始動口チェック処理を行い、続くステップS1202で特別図柄2側(下始動口35側)についての特図2始動口チェック処理を行う。
なお、これら始動口チェック処理の詳細については図28を参照して改めて説明する。
ステップS1201、S1202の始動口チェック処理を終えると、CPU201はステップS1203で条件装置作動フラグの状態を判定する。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(例えば5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(例えば00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
条件装置作動フラグがOFF状態(≠5AH)の場合、すなわち大当り遊技中でない場合、CPU201はステップS1204の特別図柄動作ステータス分岐処理に進み、特別図柄動作ステータス(00H~03H)に応じて特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS1205、S1206、S1207)。
一方、ステップS1203で大当り遊技中と判定した場合(=5AH)、CPU201はステップS1205~S1207の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS1208の特別図柄表示データ更新処理に進む。すなわち、大当り遊技中である場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、大当り後に確定表示されたままの状態が保持される)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、該ステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS1204の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」の何れのステータス値であるかに応じて、それぞれ対応する処理を実行する。
具体的に、CPU201は、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には特別図柄変動開始処理(ステップS1205)を、「変動中(02H)」である場合には特別図柄変動中処理(ステップS1206)を、「確認中(03H)」である場合には特別図柄確認時間中処理(ステップS1207)をそれぞれ実行する。ここで、上記「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を意味し、上記「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を意味し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を意味する。
なお、ステップS1206の特別図柄変動中処理では、特別図柄が変動中であるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを監視し、変動時間が経過したならば、演出制御コマンドとして、「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する処理や、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(例えば500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに03Hを格納する)処理などを行う。上記「変動停止コマンド」とは、特別図柄の変動が終了したことを示すコマンドであり、この変動停止コマンドにより演出制御部24は、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したこと(終端)を把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。また、上記「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
また、ステップS1207の特別図柄確認時間中処理では、上述の確定表示時間が経過したか否かを監視し、確定表示時間が経過したならば、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)、今回の特別図柄変動表示ゲームが大当りであれば、大当り遊技を開始するために要する処理(大当り図柄停止時の各種設定処理)を行う。大当り図柄停止時の各種設定処理では、大当り遊技移行前処理として、大当り判定フラグをクリアして条件装置作動フラグをON状態にし、遊技状態を通常状態と同様の遊技状態に設定する等の各種設定処理を行う。
また、ステップS1207の特別図柄確認時間中処理では、遊技状態が更新された場合に、遊技状態の移行情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する処理を行う。演出制御部24は、遊技状態指定コマンドにより遊技状態が移行した旨を把握することができる。
上記のステップS1205、S1206、S1207の処理により、特別図柄の変動開始及び変動停止を1セットする変動表示動作が実現されることになる。
なお、ステップS1205の特別図柄変動開始処理の詳細については図29を参照して改めて説明する。
ステップS1205~S1207の何れかの処理を終えると、CPU201はステップS1208の特別図柄表示データ更新処理を実行する。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、特別図柄変動中の7セグ表示用データを作成し、特別図柄が変動中でなければ、特別図柄停止表示中の7セグ表示用データを作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図24のLED管理処理(ステップS914)によって特別図柄表示装置38a、38bに出力される。
CPU201は、ステップS1208の更新処理を実行したことに応じてステップS911の特別図柄管理処理を終え、図24に示したステップS912の特別電動役物管理処理に進む。
(特図1始動口チェック処理)
図28のフローチャートを参照し、特図1始動口チェック処理(ステップS1201)について説明する。
この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たす。本例における特図1始動口チェック処理では、特図1側の特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理(特図1側の入賞時処理)として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理(保留記憶処理)、保留加算コマンドの送信処理等が実行される。
なお、特図2始動口チェック処理(ステップS1202)も、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特図2側の特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、及び保留加算コマンドの送信処理等が実行される。従って、特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理とは実質的に同一の処理内容となっている。以下では、特図1始動口チェック処理を中心に説明し、特図2始動口チェック処理についての詳細は、重複記載を避けるために省略する。
図28において、CPU201は、先ずステップS1301で、上始動口34への入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する。
上始動口34への入賞を検出した場合、CPU201はステップS1302に進んで特別図柄1の作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が4以上であるか否か判定する。すなわち、特図1作動保留球の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)以上であるか否かを判定する。ただし、上始動口34の入賞検出がなかった場合(ステップS1301:N)は、何もせずにステップS1201の特図1始動口チェック処理を終える。
ステップS1302で特図1作動保留球数が4以上であった場合、つまり上始動口34の入賞を検出したが特図1作動保留球数が4以上である場合、CPU201は後述のステップS1311に進み、一方、特図1作動保留球数が4以上でない場合(4未満の場合)は、特図1作動保留球数に1を加算して(ステップS1303)、ステップS1304の処理に進む。
ステップS1304でCPU201は、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する。具体的には、各種の乱数カウンタから、大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が、特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア、すなわち、特図1保留記憶エリアと、特図2保留記憶エリアとが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア~保留n記憶エリア(nは最大保留記憶数:本実施形態ではn=4)が設けられており、それぞれ最大保留記憶数分の保留データを格納可能となっている。
ステップS1304に続くステップS1305でCPU201は、保留加算コマンドを作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得する。
次いで、CPU201はステップS1306で、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する。特図1先読み禁止条件とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止する条件である。
特図1先読み禁止条件が成立している場合、CPU201は先読み判定に関する先読み判定処理(ステップS1309)を実行せずに、ステップS1311に進む。この場合、先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を持つ保留加算コマンドが先読み禁止を指定するものとなり、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が禁止され、その結果、先読み予告演出も実行されないことになる。換言すれば、上記先読み禁止データは、先読み判定処理(ステップS1309)を実行していない旨を指定するものと言える。
本例では、遊技状態によらず特図1及び特図2の先読み判定を行うのではなく、現在の遊技状態に基づいて、先読み禁止か否かを判定するようになっている。その理由は次の通りである。
右打ち有利となる‘電サポ有り’を伴う遊技状態中である場合(時短状態、確変状態)である場合には、下始動口35への入賞が頻繁に発生するが、左打ち有利となる‘電サポ無し’を伴う遊技状態中である場合(通常状態、潜確状態)には、下始動口35への入賞がほぼ発生せずに上始動口34への入賞が頻繁に発生することを考慮し、遊技状態によらず特図1及び特図2の先読み判定を闇雲に行うのではなく、‘電サポ有り’の時短状態又は確変状態である場合には特図1側の先読み判定を禁止して特図2側の先読み判定を許容し、‘電サポ無し’の通常状態又は潜確状態である場合には特図2側の先読み判定を禁止して特図1側の先読み判定を許容するようになっている。
ステップS1306において、特図1先読み禁止条件が成立していない場合、CPU201はステップS1307で設定値エラーフラグ(ステップS905の設定異常チェック処理でセットされるフラグ)を参照し、続くステップS1308で設定エラーか否か(設定値エラーフラグがON状態:5AHであるか否か)を判定する。
設定エラーである場合、CPU201は異常(設定値データ異常)が発生したとして、先読み判定処理(ステップS1309)は実行せずに、ステップS1311に進む。詳細は後述するが、入賞時の処理において設定値Veの異常が認められた場合、RAMエラーとせずに、先読み禁止データ(01H)を含む保留加算コマンドを送信して、ステップS1201の始動口チェック処理を抜けることになる。
一方、設定エラーでなかった場合、CPU201はステップS1309の先読み判定処理を実行する。この先読み判定処理では、変動開始時に実行される大当り抽選結果を先読み判定する。従って、当落抽選結果を先読み判定する‘先読み当落判定’と、図柄抽選結果を先読み判定する‘先読み図柄判定’と、変動開始時の変動パターンを先読み判定する‘先読み変動パターン判定’とに関する一連の処理が含まれる。
具体的に、ステップS1309においてCPU201は、先ずRAM203(判定用乱数記憶エリア)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、該大当り判定用乱数値と「当り乱数判定テーブル」(不図示)とに基づいて、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(少なくとも大当り、はずれの別を決定する先読み当落判定)を行い、その結果(「先読み当落結果」と称する)を取得する。
なお、本実施形態では、当落判定(当落抽選)には設定値Veが用いられるが、このような設定値Veに基づく本実施形態としての当落判定の具体的な手法については後に改めて説明する。当落判定は、特別図柄の変動開始時の処理(図29)においても同様に行われるため、当落判定の具体的な手法の説明は、該変動開始時の処理の説明時に改めて行う。
ここで、本実施形態では、先読み当落結果はCPU201内蔵の所定の汎用レジスタに取り込んだまま、RAM203に格納しない。これは、先読み当落判定結果が、この後の先読み図柄判定の処理で直ちに利用され、このデータが必要とされることがなく、RAM203に記憶する必要が無いためである。
また、ステップS1309でCPU201は、上記した先読み図柄判定の処理として、先読み当落結果(少なくとも当り、はずれの別)と特別図柄種別(特図1、2)とに応じた図柄テーブル(不図示)を用いた図柄抽選を行う。具体的にCPU201は、先のステップS1304で取得した特別図柄判定用乱数値と図柄テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選(当り種別の抽選)を行い、その結果(「先読み図柄結果」と称する)を取得する。本実施形態の「図柄テーブル」には、図柄種別を決定するための判定値(当選領域)が定めらており、特別図柄判定用乱数値が何れの判定値に属するかにより、停止図柄として表示すべき特別図柄の種類が決定される。
なお、本例のようにはずれ種別が複数種類ある場合には、はずれ種別決定用のはずれ図柄テーブルを設ける。はずれが1種類のみであれば、はずれ図柄テーブルは不要である。
ここで、本例では、はずれの種類が「はずれ1」「はずれ2」「はずれ3」の複数あることに対応して、図柄判定においてははずれ種別を抽選するためのはずれ図柄テーブルが用いられるとする。
また、本例において、当りの種別は、前述したように少なくとも「通常4R」「通常6R」「確変6R」「確変10R」の4種があり、上記のはずれ図柄テーブルとは別途に設けられた当り図柄テーブルに基づき、これら4種の当り種別のうち特別図柄判定用乱数値に応じた当り種別に対応する特別図柄の種類が決定される。
ここで、上記した図柄テーブルの一部又は全部について、設定値Veに応じて異なる図柄選択率を定めた図柄テーブルを設けてもよい。例えば、大当り図柄テーブルについて、設定1~6ごとに、大当り種別の選択率が異なるテーブル(例えば、設定6段階に対応した6種類の大当り図柄テーブル)を設けることができる。例えば、高設定となるに従い出玉性能が遊技者にとって有利となるようにテーブル内容を定めることが考えられる。勿論、各設定で共通の大当り図柄テーブルであってもよい。また、ステップS1309で用いる図柄テーブルは、変動開始時の処理(図29)にも利用される。
CPU201は、先読み図柄結果を、上述した先読み当落判定のときと同様にCPU201内蔵の所定の汎用レジスタに取り込んだまま、RAM203に格納しない。これは、先読み図柄結果が、この後の先読み変動パターン判定で直ちに利用され、このデータが必要とされることがなく、RAM203に記憶する必要が無いためである。
上記の先読み図柄判定を終えると、CPU201は先読み変動パターン判定を実行する。この先読み変動パターン判定では、上記の先読み図柄判定結果(本例では「通常4R」「通常6R」「確変6R」「確変10R」「はずれ1」「はずれ2」「はずれ3」の何れかを表す)と、該先読み図柄判定結果に応じた変動パターンを選択するための変動パターンテーブルと、ステップS1304で取得した変動パターン用乱数とを利用した変動パターンの抽選を行い、先読み変動パターン決定する。すなわち、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される変動パターン(変動開始時の変動パターン)を先読み判定する。
本例では、上記の変動パターンテーブルは、変動開始時の処理(図29)で行われる変動パターンの抽選においても利用される。
上記の変動パターンテーブルの具体例、及び該テーブルを用いた変動パターンの抽選処理については、変動開始時の処理の説明時に改めて説明する。
なお、先読み変動パターン判定結果(入賞コマンドデータ(EVENT))は、以下で説明するステップS1310の保留加算コマンド作成処理で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。従って、CPU201は、先読み変動パターン判定の結果をRAM203に格納することなくレジスタに取り込んだまま、ステップS1309の処理を終えるようになっている。
ステップS1309の先読み判定処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS1310に進み、先読み判定結果に応じた保留加算コマンドの下位バイト側のデータを作成する。具体的には、先読み変動パターンの種類を表すデータを、保留加算コマンドの下位バイト側の入賞コマンドデータ(EVENT)として作成する。
なお、EVENTのデータについては、ステップS1305で設定された「01H」が、本処理にて先読み変動パターンに対応する値(先読み変動パターン判定処理で得られた値)に更新されることになる。
ステップS1310の作成処理を終えると、CPU201はステップS1311で、作動保留球数に応じた保留加算コマンドの上位バイト側のデータを作成する。すなわち、現在の作動保留球数と、上述した先読み図柄結果(特別図柄種別)とを表すデータを保留加算コマンドの上位バイト側の入賞コマンドデータ(MODE)として作成する。
該MODEのデータについては、例えば、特図1の保留1個~特図1の保留4個に応じて「B6H~B9H」が設定され、特図2の保留1個~特図2の保留4個に応じて「BAH~BEH」が設定される。
ステップS1311の作成処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS1312で、保留加算コマンドの送信処理を行う。すなわち、ステップS1310、S1311で作成した入賞コマンドデータをそれぞれEVENT、MODEとして含む保留加算コマンドを作成し、演出制御部24に送信する。
ここで、先読み禁止条件である場合(S1306でYの場合)や、先のステップS1308の判定処理で設定値Veの異常が認められた場合、CPU201は上述した先読み禁止データ(下位バイト=01H)を更新せずにそのまま維持し、先読み禁止データを持つ保留加算コマンドを送信する。
また、オーバーフロー時(最大保留記憶数に達しているときに、新たな入賞が発生した場合)は、オーバーフロー指定の保留加算コマンドが送信されるようになっている(ステップS1302のYの処理ルート参照)。
なお、保留加算コマンドは、主制御部20から演出制御部24に送られた後は、演出制御部24側において今回の作動保留球に係る「先読み予告演出」を現出する際に利用されるだけであり、図29に示す特別図柄変動開始処理において特に利用されるものではない。従って、CPU201は保留加算コマンドもRAM203に格納することなく、ステップS1301の特図1始動口チェック処理を抜けて、続いてステップS1302の特図2始動口チェック処理を行うことになる。
ここで、上記のように本例では、入賞時(作動保留球発生時)において設定値Veのデータに異常が生じた場合であっても、保留加算コマンドを送信するが、この保留加算コマンドは、先読み禁止データを持つコマンドであるので、設定値Veに基づく先読み予告演出、又は設定値Veに基づかない先読み予告演出を現出可能に構成している場合であっても、先読み予告に係る演出制御自体が禁止されるため、不具合に起因する先読み予告が現出されることがなく、遊技者に不利益になることもないので、特に問題は生じない。仮に、先読み予告演出を禁止しない場合、設定値Veが異常であるにもかかわらず、保留表示系の先読み予告演出にて、高期待度の保留表示が現出された場合、その後のRAMエラー処理(設定値異常に起因したエラー処理)により遊技進行が停止してしまうと、遊技者が抱いていた当選期待感が一気に消滅してしまい、遊技機に対する大きな不信感を招来してしまう。しかし本例の場合は、上述したように、先読み予告自体を禁止しているので、このような問題を生じさせず、遊技者に不信感を抱かせることの防止が図られる。
(特別図柄変動開始処理)
続いて、図29のフローチャートを参照して、変動開始時の処理である特別図柄変動開始処理(ステップS1205)について説明する。
図29において、CPU201は先ずステップS1401で、特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し、特図2作動保留球数がゼロでない場合には、ステップS1403の処理に進み、今回の変動表示に供する特図2作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS1403~S1412)を行う。
一方、特図2作動保留球数がゼロの場合、CPU201はステップS1402で、特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し、特図1作動保留球数がゼロでない場合には、ステップS1403の処理に進み、今回の変動表示に供する特図1作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS1403~S1412)を行う。
上記のステップS1401とS1402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を優先的に消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される。つまり、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行される。なお、上述の優先変動タイプに限らず、入賞した順番通りに作動保留球を消化していく構成としてもよい。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、且つ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、液晶表示装置36に対し、客待ち待機用のデモ画面表示(客待ちデモ画面)に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS1413に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する。
ステップS1413において、特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに00Hを格納する)。そして、演出制御コマンドとして、客待ちデモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信し(ステップS1415)、ステップS1205の特別図柄変動開始処理を終える。
以後、ステップS1413の判定処理が実行されるときに「待機中(00H)」であれば、再度、デモ表示コマンドを送信することなく特別図柄変動開始処理を終える。このようにする理由は、作動保留球数がゼロの場合に条件なしにデモ表示コマンドを送信すると、特図作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生し、無闇に制御負担が増してしまうことを考慮し、その防止を図るためである。
なお、演出制御部24は、上記デモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても、何ら図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(例えば、保留加算コマンド)を受けない場合には、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなして、客待ちデモ画面表示を行う。
ステップS1401で特図2作動保留球数がゼロでない場合、及びステップS1402で特図1作動保留球数がゼロでない場合(特図2作動保留球数がゼロである一方、特図1作動保留球数がゼロでない場合)のそれぞれにおいて、CPU201は今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始時に係る処理(ステップS1403~S1412)を行っていく。
ここで、以下に説明するステップS1403~S1412の処理については、上記のステップS1401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS1402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理であるか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理であるかの区別はせずに説明していく。
ステップS1403でCPU201は、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数-1)、続くステップS1404で減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する。この保留減算コマンドにより、演出制御部24側は、今回の作動保留球数消化後の残余作動保留球数を把握し、現在表示中の保留表示をシフト表示させる。
次いで、CPU201はステップS1405で、特別図柄作動確認データを設定する。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、例えば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H(特図1変動開始指定)」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H(特図2変動開始指定)」を、RAM203の所定領域(特別図柄作動確認データ格納領域)に格納する。
次いで、CPU201はステップS1406で、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトし、続くステップS1407で保留4記憶エリアをクリアする。このステップS1406~S1407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、及び変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n-1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS1406)、保留4記憶エリアをクリアして空き領域を設ける(ステップS1407)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球が何れの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、CPU201はステップS1408で、変動回数残指定コマンド、遊技状態コマンドを送信する処理を行う。このステップS1408では、電サポ有り状態の残余回数をカウントする「電サポ回数カウンタ」がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「変動回数残指定コマンド」を演出制御部24に送信する。この「変動回数残指定コマンド」により、演出制御部24側は、残りの時短回数を把握し残り時短回数情報を報知する処理を実行可能とされる。
またステップS1408では、現在の遊技状態を指定する遊技状態コマンドを演出制御部24に送信する処理も行う。
次いで、CPU201はステップS1409で変動管理処理を実行する。
この変動管理処理では、変動開始時に対応した大当り抽選、停止図柄についての図柄抽選、及び変動パターンの抽選が行われる。また、該変動管理処理では、設定値Veの異常判定が行われ、設定値Veのデータに異常が認められる場合には演出制御部24に設定エラーを通知するための演出制御コマンド(RAM異常コマンド)を送信する処理が行われる。
なお、ステップS1409の変動管理処理の詳細については図30~図38を参照して改めて説明する。
ステップS1409の変動管理処理を終えると、CPU201はステップS1410で、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する。「特別図柄N変動中フラグ」とは、特別図柄1、2のうち対象とする何れかの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には対象の特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には対象の特別図柄が停止中である旨を示す。
なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応するものである。
次いで、CPU201はステップS1411で、変動開始時のコマンド送信処理を実行する。このコマンド送信処理では、ステップS1409の変動管理処理で選択された変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターン内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、演出制御部24に送信する。
また、該コマンド送信処理では、ステップS1409における図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し、演出制御部24に送信する。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、当選種別を指定する下位バイト(EVENT)の2バイトで構成される。従って、この装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。この装飾図柄指定コマンドは、当選種別に関する情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素とする図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出などを決定する際に利用される。
そして、続くステップS1412でCPU201は、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアと変動パターン用乱数記憶エリアをクリアする処理を行う。
ステップS1412の変動開始時設定処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS1205の特別図柄変動開始処理を終える。CPU201は、特別図柄変動開始処理を終えると、図27の特別図柄表示データ更新処理(ステップS1208)を行い、これにより特別図柄の変動表示が開始されることになる。
(変動管理処理)
図30は、ステップS1409の変動管理処理を示したフローチャートである。
図30において、CPU201は、先ずステップS1501で設定エラーか否かを判定する。すなわち、設定値エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する。
ステップS1501において、設定エラーフラグがOFFであり設定エラーではないと判定した場合、CPU201はステップS1502の大当り乱数判定処理を実行した上で、ステップS1503の図柄抽選処理に進む。
ステップS1502の大当り乱数判定処理は、大当り判定用乱数(内部抽選用乱数)、大当り判定テーブル、及び設定値Veに基づいて大当り/はずれの当落種別を抽選により選択(判定)するものである。
なお、実施形態としての大当り乱数判定処理の詳細については図31及び図32を参照して改めて説明する。
また、CPU201は、ステップS1501で設定エラーであると判定した場合は、ステップS1502の大当り乱数判定処理をパスして、ステップS1503の図柄抽選処理に進む。
ここで、本実施形態では、設定エラーとなった場合(ステップS1501でYの判定結果が得られた場合)、該設定エラーが解消されない限り、大当り乱数判定処理が行われない。
先に説明した通り、設定エラーは、設定変更操作を行うことで解除できるものである。すなわち、設定エラー状態に陥った場合、設定変更操作を行って設定エラー状態を解除することで、大当り乱数判定処理が行われる状態に復帰される。
なお、前述のように、設定変更操作が行われるようにするための設定値異常コマンドは設定異常チェック処理(図26)において送信される。
ステップS1503の図柄抽選処理において、CPU201は、少なくとも当落抽選結果(大当り判定フラグ)、特別図柄判定用乱数、及び図柄テーブルに基づいて、当り/はずれの種別(停止図柄の種類)を決定する処理を行う。そして、その結果(特別図柄判定データ)をRAM203の所定領域(特別図柄判定データ記憶領域)に格納する。これにより、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別(当り/はずれの種類)が決定される。
なお、先読み判定時の図柄抽選処理と同様、図柄抽選については設定値Veに応じた抽選を行うこともできる。
ステップS1503に続くステップS1504でCPU201は、変動パターン抽選処理として、少なくとも図柄抽選結果(上記の特別図柄判定データ)、変動パターン用乱数、及び変動パターンテーブルに基づき、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした変動開始時の変動パターンを抽選により決定する処理を行う。
具体的に、本実施形態における変動パターン抽選処理では、設定値Ve、及び作動保留球数(今回消化分を減算した作動保留球数)も利用した変動パターンの抽選を行う。
なお、本実施形態における変動パターン抽選処理の詳細については図33~図38を参照して改めて説明する。
ステップS1504の変動パターン抽選処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS1409の変動管理処理を終える。つまりこの後、処理は図29に示したステップS1410に進められる。
ここで、上記説明のように本例では、変動開始時における当落抽選や図柄抽選の抽選結果をRAM203に格納するものとしているが、その理由は、これらの抽選結果は、ステップS1409の変動管理処理が属する特別図柄管理処理(ステップS911:図24及び図27参照)のみで利用されるものではなく、後々の特別電動役物管理処理(ステップS912:図24参照)等においても利用されるデータだからである。
この点、抽選結果をRAM203に格納しない先読み判定時の処理とは異なる。
なお、図示による説明は省略するが、ステップS1409の変動管理処理では、当落抽選結果が当りである場合に、遊技状態を移行させるための設定処理として、当り遊技後の遊技状態を指定するための必要な設定処理を行う(遊技状態移行準備処理)。
(大当り乱数判定処理)
図31は、ステップS1502の大当り乱数判定処理を示したフローチャートであり、図32は、実施形態の大当り乱数判定手法の説明図である。
図31による大当り乱数判定処理の詳細説明に先立ち、図32を参照して実施形態で採用する大当り乱数判定手法について説明しておく。
先ず前提として、本実施形態では、大当り判定用乱数は0~65535の65536通りの値をとり得る。本実施形態における大当り乱数判定では、このような大当り判定用乱数がとり得る値の範囲内において判定基準値THを定め、大当り判定用乱数と判定基準値THの大小関係を比較した結果に基づき、大当り/はずれの判定を行う。一例として、本例では、大当り判定用乱数の値が「0~判定基準値TH」の範囲内である場合に大当りの判定結果を、それ以外の場合にはずれの判定結果を得る手法を採っている。
本実施形態では、大当り乱数判定として低確率時(通常状態時:以下「低確時」と略称する)に対応した判定と高確率時(確変状態時:以下「高確時」と略称する)に対応した判定の2種の判定を行う。このため、判定基準値THとしては、低確時の判定に用いる判定基準値TH1と、高確時の判定に用いる判定基準値TH2の2種が設定される。
図32に例示するように、高確時の判定基準値TH2は低確時の判定基準値TH1よりも値が大きくされ、これにより高確時の判定でより大当りの当選確率が高まるようにされている。
ここで、本例の場合、設定値Veに応じた大当り乱数判定とするため、判定基準値THとしては設定値Veに応じて異なる値を設定する。この際、本例では、単純に設定値Veごとの判定基準値THを用意するということはせず、基本とする単一の判定基準値TH(以下「基本判定基準値THr」と称する)と、設定値Veごとに定めたオフセット値とを用意し、基本判定基準値THrを設定値Veに応じたオフセット値によりオフセットすることで、設定値Veごとに異なる判定基準値THを設定するという手法を採る。
具体例として、本例では、低確時、高確時それぞれの基本判定基準値THr(以下、それぞれ符号を「THr1」「THr2」とする)、及び設定値Veごとのオフセット値を下記のように定めている。
・基本判定基準値THr1=00842
・基本判定基準値THr2=08429
・設定1
低確時のオフセット値=000 (TH1=00842)
高確時のオフセット値=000 (TH2=08429)
・設定2
低確時のオフセット値=001 (TH1=00843)
高確時のオフセット値=010 (TH2=08439)
・設定3
低確時のオフセット値=002 (TH1=00844)
高確時のオフセット値=020 (TH2=08449)
・設定4
低確時のオフセット値=003 (TH1=00845)
高確時のオフセット値=030 (TH2=08459)
・設定5
低確時のオフセット値=004 (TH1=00846)
高確時のオフセット値=040 (TH2=08469)
・設定6
低確時のオフセット値=005 (TH1=00847)
高確時のオフセット値=050 (TH2=08479)
ここで、本実施形態では、基本判定基準値THr1、THr2はそれぞれ2バイトによるデータとされ、オフセット値は1バイトによるデータとされる。
なお、上記では、大当り乱数判定における大当りの判定下限値を「0」とする例、すなわち、大当り判定用乱数が「0」~「判定基準値TH」の範囲内であれば大当りの判定結果を得る場合を例示したが、該判定下限値は「0」よりも大きな数値とすることもできる。
上記の前提を踏まえ、図31に示す大当り乱数判定処理を説明する。
図31において、CPU201はステップS1601で、大当り判定用乱数が判定下限値未満であるか否かを判定する。判定下限値は、上記のように大当りの判定下限値(大当りとの判定結果が得られる数値範囲の下限値)であり、本例では「0」である。
大当り判定用乱数が判定下限値未満であれば、最早、はずれであることが確定されるため、以下で説明するステップS1602~S1606の処理はパスして、ステップS1504の大当り乱数判定処理を終える。
なお、本例のように判定下限値=0である場合、大当り判定用乱数が0未満の値をとることは通常はあり得ないため、ステップS1601の処理を設けることは必須ではない。ステップS1601の処理は、判定下限値を0よりも大きな値とする場合に有効なものである。
ここで、ステップS1601で乱数が判定下限値未満と判定された場合等、はずれの判定結果が得られる場合には、大当り判定フラグとしては大当り(=5AH)でない、具体的にははずれ(=00H)である旨を表す値に更新されるべきであるが、ステップS1502の大当り乱数判定処理においては、大当り判定フラグをはずれである旨を表す00Hに更新する処理は行われない。
本例の遊技機1において、はずれの判定が得られる場合に対応して大当り判定フラグが00Hに更新されるのは、大当り判定フラグ=5AHであることが確認されたことに応じて大当り遊技が開始される際に、CPU201が大当り判定フラグをクリア(=00H)することによる(ステップS1207の特別図柄確認時間中処理の説明を参照)。
つまり、このように大当り遊技開始時に大当り判定フラグ=00Hとされることから、以降は図31に示すステップS1606で大当り判定フラグ=5AHに更新されない限り大当り判定フラグ=00Hとされるため、上記のようにはずれの判定結果が得られたことに応じて大当り判定フラグ=00Hに更新する処理は不要なものである。
ステップS1601において、乱数が判定下限値未満でなければ、CPU201はステップS1602で確変中であるか否かを判定する。この判定は、前述した遊技状態フラグを参照した結果に基づき行う。
確変中でなければ(通常状態であれば)、CPU201はステップS1603で低確の基本判定基準値THr1に設定に応じたオフセット値を加算する。つまりこれにより、現在の遊技状態(通常状態)と設定値Veとに応じた判定基準値TH1が算出される。
一方、確変中であれば、CPU201はステップS1604で高確の基本判定基準値THr2に設定に応じたオフセット値を加算する。これにより、現在の遊技状態(確変状態)と設定値Veとに応じた判定基準値TH2が算出される。
ステップS1603で判定基準値TH1を、又はステップS1604で判定基準値TH2を算出したことに応じ、CPU201はステップS1605で大当り判定乱数が算出した判定基準値TH未満(乱数<判定基準値TH)であるか否かを判定する。
乱数<判定基準値THであれば、CPU201はステップS1606で大当り判定フラグを5AHに更新した上でステップS1502の大当り乱数判定処理を終え、乱数<判定基準値THでなければステップS1606をパスしてステップS1502の大当り乱数判定処理を終える。
なお、上記では、オフセット値によって大当り判定の上限値側をオフセットさせる例を挙げたが、判定下限値側をオフセットさせることも勿論可能である。
また、上記では、設定値Veごとに異なるオフセット値を定める例を挙げたが、一部の設定値Ve間で共通のオフセット値が用いられてもよく、また、基本判定基準値THrは一部の設定値Ve間で異なる値を用いることもできる。一部の設定値Ve間で共通のオフセット値が用いられても、一部の設定値Ve間で異なる基本判定基準値THrが設定されている場合には、設定値Veごとに異なる判定基準値THを設定することが可能である。
上記のように本実施形態の大当り乱数判定においては、異なる設定値Ve間で共通に定められた基本判定基準値(THr1、THr2)と、異なる設定値Ve間で異値に定められた基本判定基準値についてのオフセット値とに基づき、設定値Veに応じた判定基準値(TH1、TH2)を算出し、該算出した判定基準値に基づいて当落判定を行っている。この際、基本判定基準値は2バイトデータ、オフセット値が1バイトデータで構成されている。
このような構成により、設定値Veに応じた当落判定を実現するにあたって、遊技機1の記憶手段(メモリ)に設定値Veごとに異なる判定基準値を記憶させておく必要がなくなる。すなわち、メモリには、異なる設定値Ve間で共通とされた基本判定基準値と、基本判定基準値よりもデータ容量の小さいオフセット値とを記憶させれば済む。
従って、メモリ容量の削減を図ることができる。
(変動パターン抽選処理)
図33~図38を参照して、変動パターン抽選処理について説明する。
図33は、ステップS1508の変動パターン抽選処理を示したフローチャートである。
先ず、CPU201はステップS1701で、設定エラーフラグに基づき設定エラーか否かを判定し、設定エラーでなければ、ステップS1702で当りか否かを判定する。すなわち、大当り判定フラグに基づき、大当り(=5AH)であるか否かを判定する。
ステップS1702において、当りでない(はずれである)と判定した場合、CPU201はステップS1703ではずれ変動パターンテーブルを選択した上で、ステップS1706の変動パターン選択処理に進む。すなわち、テーブルと変動パターン用乱数に基づいて変動パターンを選択する処理である。
一方、ステップS1702において当りと判定した場合、CPU201はステップS1704で当り変動パターンテーブルを選択した上で、ステップS1706の変動パターン選択処理に進む。
図34は、はずれ変動パターンテーブルの一例を、図35は当り変動パターンテーブルの一例をそれぞれ示している。
先ず前提として、はずれ変動パターンテーブル、当り変動パターンテーブルとしては、それぞれ特図1用の変動パターンテーブルと特図2用の変動パターンテーブルとが用意されている。
図34に示すはずれ変動パターンテーブルを用いて行われるはずれ時の変動パターン抽選においては、抽選候補の変動パターン(抽選により選択され得る変動パターン)が「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」「ノーマルリーチ」「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の9種とされる。
また、図35に示す当り変動パターンテーブルを用いて行われる当り時の変動パターン抽選においては、抽選候補の変動パターンが「通常変動当り」「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の5種とされる。
なお、「通常変動」について、併記する数値は変動時間を表し、数値後の「s」は「秒」を意味する。
ここで、上記した10種の変動パターンのうち、特に「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」は、当り時に選択されないいわば「はずれ」に対応した変動パターンに属する(以下「はずれ変動パターン」と称することもある)。
本実施形態では、はずれ時の変動パターン抽選は、特図1、2の別に関わらず、はずれ種別(はずれ1、2、3)ごとに異なる変動パターンテーブルを用いて行われる(図34参照)。
ここで、本実施形態において、「はずれ1」「はずれ2」「はずれ3」の各はずれ種別については、図柄抽選による選択率(該当種別が選択される率)が異なるものとされ、「はずれ1」が最も選択率が高く、「はずれ2」「はずれ3」は「はずれ1」よりも選択率が低くされている。具体的に、本例では、「はずれ1」の選択率は「190/200」、「はずれ2」「はずれ3」の選択率はそれぞれ「5/200」等とされている。この場合、大当り判定結果が「はずれ」であれば、殆どの場合、はずれ種別として「はずれ1」が選択されることになる。
特図1についての変動パターン抽選として、はずれ種別が「はずれ1」の場合における変動パターン抽選については、設定値Veに応じた抽選とはせず、保留球数に応じた抽選を行う。このため、特図1用の変動パターンテーブルのうち、はずれ種別が「はずれ1」の場合に用いられる変動パターンテーブルとしては、設定値Ve間で共通とされるが、保留球数ごとに異なるテーブルが用意されている。
なお、図34では図示の都合から、設定値Veの範囲が設定1~3の範囲とされた場合を前提としたテーブル構造を示している。
この点は、図35に示す当り変動パターンテーブルについても同様である。
「はずれ1」の場合における特図1の変動パターン抽選では、抽選候補の変動パターンが「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」「ノーマルリーチ」の5種とされており、本例では、保留球数に応じて抽選対象する変動パターンを異ならせるものとしている。
具体的に、保留球数=0の場合は「通常変動12s」「ノーマルリーチ」を、保留球数=1の場合は「通常変動8s」「ノーマルリーチ」を、保留球数=2の場合は「通常変動6s」「ノーマルリーチ」を、保留球数=3の場合は「通常変動4s」「ノーマルリーチ」をそれぞれ抽選対象の変動パターンとしている。
ここで、変動パターンテーブル内において、抽選対象の変動パターンごとに格納された数値は、変動パターン判定用乱数が0~199の200通りの数値をとり得ることを前提とした場合における当選確率の振り分け値(振り分けを表す値)を表している。例えば、特図1用の変動パターンテーブルにおいて、「はずれ1」且つ「保留球数=0」のテーブルでは「通常変動12s」に対する格納値=「160」、「ノーマルリーチ」に対する格納値=「40」とされているが、これは、「通常変動12s」の当選確率が「160/200」、「ノーマルリーチ」の当選確率が「40/200」であることを意味している。
テーブルの格納値として上記の振り分け値を示したのはあくまで説明の便宜を図るためであり、実際における変動パターンテーブルには、前述の大当り乱数判定で用いたような判定基準値が格納されることになる。例えば、上記の「はずれ1」且つ「保留球数=0」のテーブルについて言えば、実際の格納値(判定基準値)として例えば「159」が格納され、その場合、変動パターン用乱数が159以下であれば「通常変動12s」が選択され、変動パターン用乱数が159よりも大きければ「ノーマルリーチ」が選択される。
図34に示した振り分け値を参照して分かるように、「はずれ1」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選においては、「ノーマルリーチ」よりも「通常変動」の方が選ばれ易くなるようにしている(出現率が高くなるようにしている)。
また、「はずれ1」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選においては、保留球数が多いほど、変動時間の短い通常変動パターンが選択されるようにしている。
続いて、特図1の変動パターン抽選として、はずれ種別が「はずれ2」「はずれ3」それぞれの場合における変動パターン抽選については、設定値Veに応じた抽選とする一方、保留球数に応じた抽選とはしない。このため、「はずれ2」「はずれ3」それぞれの場合に用いられる特図1用の変動パターンテーブルとしては、保留球数間で共通とされるが、設定値Veごとに異なるテーブルが用意されている。
「はずれ2」「はずれ3」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選では、抽選候補の変動パターンが「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の4種とされている。
本例では、「はずれ3」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選については、設定値Veによって抽選対象する変動パターンを異ならせるものとしている。
具体的に、特図1の変動パターン抽選において、「はずれ2」「はずれ3」と設定1~3の組合わせごとにそれぞれ抽選対象とされる変動パターンは下記の通りである。
設定1且つ「はずれ2」=スーパーリーチ1、2、3、4
設定1且つ「はずれ3」=スーパーリーチ1
設定2且つ「はずれ2」=スーパーリーチ1、2、3、4
設定2且つ「はずれ3」=スーパーリーチ2、3
設定3且つ「はずれ2」=スーパーリーチ1、2、3、4
設定3且つ「はずれ3」=スーパーリーチ4
図中に例示した振り分け値より、本例では、「はずれ2」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選として、設定1の場合にはスーパーリーチ4、3、2、1の順で変動パターンが選択され易くしており、設定2、設定3の場合にはスーパーリーチ1、2、3、4の順で変動パターンが選択され易くしている。
また本例では、「はずれ3」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選に関しては、高設定となるほど(設定値Veが大きくなるほど)当選期待感の高いスーパーリーチが選択される傾向となるようにしている。
なお、上記の「はずれ2」の場合に対応した変動パターン抽選のように、抽選候補の変動パターンが3種以上とされる抽選に用いられる変動パターンテーブルには、判定基準値として複数の値(「抽選候補の変動パターン数-1」で表される値)が格納される。例えば、図中の設定1且つ「はずれ2」の場合に対応したテーブルで言えば、例えば、判定基準値としてそれぞれ第一の値=9、第二の値=49、第三の値=99が設定され、その場合、変動パターン用乱数が第一の値以下であれば「スーパーリーチ1」が、第一の値より大きく第二の値以下であれば「スーパーリーチ2」が、第二の値より大きく第三の値以下であれば「スーパーリーチ3」が、第三の値より大きければ「スーパーリーチ4」がそれぞれ選択される。
続いて、特図2の変動パターン抽選として、はずれ種別が「はずれ1」の場合における変動パターン抽選については、特図1の場合とは異なり、抽選候補の変動パターンを「通常変動12s」のみとしている。このため、特図2用の変動パターンテーブルのうち、「はずれ1」且つ「保留球数=0」、「はずれ1」且つ「保留球数=1」、「はずれ1」且つ「保留球数=2」、「はずれ1」且つ「保留球数=3」の場合に用いられる各テーブルにおいては、「通常変動12s」に対応する振り分け値が全て「200」とされている。
なおこの場合、保留球数が異なっても抽選結果は同一となるため、変動パターンテーブルとしては保留球数間で共通のテーブルとすることもできる。
また、特図2の変動パターン抽選として、はずれ種別が「はずれ2」「はずれ3」の場合における変動パターン抽選については、特図1の場合と同様に設定値Veに応じた抽選とするが、保留球数に応じた抽選とはしない。このため、特図2用の変動パターンテーブルについて、「はずれ2」「はずれ3」それぞれの場合に用いられる変動パターンテーブルとしては、保留球数間で共通とされるが、設定値Veごとに異なるテーブルが用意されている。
「はずれ2」「はずれ3」の場合に対応した特図2の変動パターン抽選では、抽選候補の変動パターンが「通常変動12s」「スーパーリーチ4」の2種とされており、設定値Veによって、これら「通常変動12s」「スーパーリーチ4」の何れかの変動パターンが選択される。
具体的に、本例における「はずれ2」「はずれ3」の場合に対応した特図2の変動パターン抽選では、それぞれ、設定1、2の何れかである場合に「通常変動12s」が必ず選択され、設定3の場合に「スーパーリーチ4」が選択されるようにしている。
続いて、図35に示す当り変動パターンテーブルについて説明する。
本実施形態において、当り時の変動パターン抽選では、特図1、2共に、当り種別ごとに異なるテーブルを用いる。
本実施形態では、当り種別ごとに、抽選対象の変動パターンが次のように設定されている。すなわち、当り種別が「通常4R」の場合は、特図1、2共に、抽選対象の変動パターンは「通常変動当り」「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の5種とされている。
また、当り種別が「通常6R」の場合、特図1では、抽選対象の変動パターンは「通常変動当り」「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の5種とされ、特図2では、「通常変動当り」を除いた「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の4種とされている。
さらに、当り種別が「確変6R」「確変10R」の場合、特図1、2共に、抽選対象の変動パターンは「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の4種とされている。
本実施形態における当り時の変動パターン抽選では、特定の当り種別についてのみ、設定値Veに応じた変動パターン抽選を行う。具体的に、特図1の変動パターン抽選については、「通常4R」「確変10R」の当り種別についてのみ設定値Veに応じた変動パターン抽選を行い、特図2の変動パターン抽選については「通常4R」「確変6R」「確変10R」の当り種別についてのみ設定値Veに応じた変動パターン抽選を行う。
「通常4R」の場合における変動パターン抽選については、特図1、2の双方において、設定値Veにより抽選対象の変動パターンを異ならせている。具体的に、本例における「通常4R」に対応した変動パターン抽選では、設定1であれば「通常変動当り」~「スーパーリーチ4」の5種を、設定2又は設定3であれば「スーパーリーチ1」~「スーパーリーチ4」の4種をそれぞれ抽選対象の変動パターンとしている。
「通常4R」以外の当り種別である「通常R6」「確変6R」「確変10R」の場合における変動パターン抽選については、特図1、2の双方において、抽選対象の変動パターンは設定値Veによらず不変とされている。
本実施形態において、特図1の当り時の変動パターン抽選では、「通常4R」「確変10R」の場合のみ、設定値Veに応じた変動パターン抽選を行うものとしている。このため、特図1の当り変動パターンテーブルにおいて、これら「通常4R」「確変10R」の場合に用いられる変動パターンテーブルとしては、設定値Veごとに異なるテーブルが用意されている。
図35を参照して分かるように、本例では、特図1の変動パターンテーブルにおいて、「通常4R」「確変10R」それぞれのテーブルでは「スーパーリーチ4」に対する振り分け値を設定値Veが大きくなるほど大きくしている。これにより、「通常4R」「確変10R」それぞれの当り時には、現在の設定が高設定であるほど、特図1の変動パターンとして最も当選期待値の高い変動パターンが選択され易くなる。
また、本例において、特図2の当り時の変動パターン抽選では、「通常4R」「確変10R」と共に「確変6R」についても設定値Veに応じた変動パターン抽選を行うものとしている。このため、特図2の当り変動パターンテーブルにおいて、「通常4R」「確変6R」「確変10R」の場合に用いられる変動パターンテーブルとしては設定値Veごとに異なるテーブルが用意されている。本例において、特図2の変動パターンテーブルでは、これら「通常4R」「確変6R」「確変10R」全てのテーブルにおいて、「スーパーリーチ4」に対する振り分け値を設定値Veが大きくなるほど大きくしている。
ここで、図中の振り分け値を参照して分かるように、本例では、当り種別や設定値Veの別に拘わらず、各テーブルにおいて「スーパーリーチ4」に対する振り分け値を最も大きくしている。つまり、本例では、大当りと判定された場合の変動パターン抽選において、最も当選期待度の高い変動パターンが最も選択され易くなっている。
説明を図33に戻す。
上述したステップS1706の選択処理では、上記のようなはずれ、又は当り変動パターンテーブルに基づいて変動パターンの選択を行う。
具体的に、ステップS1702ではずれであると判定した場合に対応してはずれ変動パターンテーブルを選択した場合、CPU201は該変動パターンテーブルよりはずれ種別、保留球数、設定値Veに応じたテーブルを選択し、該選択したテーブルと変動パターン用乱数とに基づいて変動パターンの選択を行う。また、ステップS1702で当りであると判定した場合に対応して当り変動パターンテーブルを選択した場合、CPU201は該当り変動パターンテーブルより当り種別、設定値Veに応じたテーブルを選択し、該選択したテーブルと変動パターン用乱数とに基づいて変動パターンの選択を行う。なおこの際、処理対象としている図柄が特図1、2の何れであるかに応じて特図1用、特図2用のテーブルを選択し分けることは言うまでもない。
先の説明から理解されるように、当り/はずれの各変動パターンテーブルにおいては、抽選対象の変動パターンに対応した判定基準値が1又は複数(抽選候補の変動パターン数-1)定められており、ステップS1706の選択処理では、上記のように選択したテーブルに格納された判定基準値と変動パターン用乱数の値との大小関係を比較した結果に基づき、変動パターンの選択を行うことになる。
なお、上記では、変動パターンを選択するための変動パターンテーブルについて、設定値Veごとにテーブルを分ける例を挙げたが、一部の設定値Ve間で共通のテーブルが用いられてもよい。
図36は、その一例を示すものである。
ここでは、設定値Veが設定1~6に対応した6値をとり得ることを前提とした場合の当り変動パターンテーブルの変形例を示している。
この図36の例では、特図1用の「通常4R」「確変10R」に対応したテーブル、特図2用の「通常4R」「確変6R」「確変10R」に対応したテーブルとして、それぞれ設定1~3の組、設定4~6の組ごとにテーブルを分けた例を示している。
この図36の例のように、設定値Veに応じた変動パターン抽選を行う上では、個々の設定値Veごとに個別にテーブルを分けることに限定されず、一部の設定値Ve間で共通のテーブルが用いられてもよい。
続いて、変動パターン抽選時に設定エラーが検知された場合の処理について説明する。
図33のステップS1701において、設定エラーであると判定した場合、CPU201はステップS1705に進み、設定エラー時共通変動パターンテーブルを選択し、ステップS1706の選択処理を実行する。
図37は、設定エラー時共通変動パターンテーブルについての説明図である。
本実施形態において、設定エラー時共通変動パターンテーブルを用いて行われる設定エラー時の変動パターン抽選では、特図1、2双方とも、当り/はずれの別に拘わらず強制的にはずれ変動パターンが選択されるようにする。つまり本例では、「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」の何れかのはずれ変動パターンが強制的に選択される。
本例における設定エラー時の変動パターン抽選では、特図1側については保留球数に応じて異なる変動パターンが選択されるようにし、特図2側については保留球数によらず特定の変動パターンのみ、具体的には「通常変動12s」のみが選択されるようにしている。
特図1側については、保留球数が多いほど変動時間の長い通常変動パターンが選択されるようにしている。
図37においても説明の便宜上、テーブル構造としては、変動パターン抽選用乱数が0~199の値をとり得る場合に対応した振り分け値を格納した構造を示したが、実際のテーブル構造は、保留球数(0~3)ごとのテーブルとして、少なくとも抽選候補の変動パターンに判定基準値を対応づけた構造が採られる。
なお、特図2側について、本例のように保留球数によらず特定変動パターンが選択されるようにするのであれば、保留球数(0~3)ごとにテーブルを分ける必要性がないことは言うまでもない。
図33において、ステップS1706の選択処理では、ステップS1705で設定エラー時共通変動パターンテーブルが選択された場合には該テーブルと変動パターン用乱数とに基づいて変動パターンの選択を行う。具体的に、本例では、設定エラー時共通変動パターンテーブルにおける現在の保留球数に応じたテーブルを選択し、該選択したテーブルに格納される判定基準値と変動パターン用乱数との大小関係を比較した結果に基づいて変動パターンを選択する。
CPU201は、ステップS1706の選択処理を実行したことに応じてステップS1508の変動パターン抽選処理を終える。ステップS1508の抽選処理の終了により、図30に示したステップS1409の変動管理処理が終了となり、以降、処理は図29に示したステップS1410(変動中フラグON処理)に進められる。
前述のように、ステップS1410に続くステップS1411のコマンド送信処理では、変動パターンの抽選結果を表す「変動パターン指定コマンド」や図柄抽選結果を表す「装飾図柄指定コマンド」が演出制御部24に送信される。
演出制御部24側では、これらのコマンドに基づき、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素とする図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せが決定され、また図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出の抽選等が行われる。
ここで、上記のように本実施形態では、特図の変動開始時に設定エラーが認められた場合は強制的にはずれ変動パターン(通常変動)が選択されるようになるが、このとき、装飾図柄側の変動として激熱変動が選ばれてしまうと遊技者を困惑させるため、本例では、上記のように通常変動4s~通常変動12s等、変動時間の短い変動パターンが選択されるようにしている。
そして、本実施形態では、演出制御部24側においても、設定エラー時には予告演出を行わない工夫をしている。具体的に、演出制御部24は、設定エラーを通知する設定値異常コマンド(図26のステップS1104を参照)を主制御部20側より受信した場合は、予告演出の抽選を行わないようにされる。
ここで、本実施形態において、演出制御部24は、上記の設定値異常コマンドに基づき設定エラーが認められた場合には、液晶表示装置36に「RAM異常です 係員を呼んで下さい」等のメッセージを含む画像を表示させる等、異常発生の報知を行う。該報知としては、液晶表示装置36を用いた画像表示による報知に限らず、例えば音やLEDの点灯(及び/又は点滅)による報知や、画像、音、LED等の複数種の演出手段の組合わせによる報知とすることもできる。
なお、上記では特図1側の設定エラー時共通変動パターンテーブルについて、保留球数が多いほど変動時間の長い通常変動パターンが選択されるようにしたが、これは一例であって、例えば保留球数が少なくなるほど変動時間の長い通常変動パターンが選択されるようにすることもできる。
或いは、図38に例示するように、特図2側と同様に各保留球数で同一の変動パターンが選択されるようにすることもできる。図38の例では、各保留球数において「通常変動12s」が共通に選択される場合を示している。
このように設定エラー時共通変動パターンテーブルにおいて、保留球数と選択される変動パターンとの関係については多様に考えられ、特定の関係に限定されるものではない。
なお、特図2側についても、特図1側のように保留球数によって選択される変動パターンが異なるようにすることもできる。
[4-9.第三のまとめ]
これまでの説明より、実施形態の遊技機1は、次の構成を有するものと言うことができる。
すなわち、実施形態の遊技機1は、図柄を変動表示可能な表示手段(特別図柄表示装置38a、38b等)と、遊技動作の進行制御を行う制御手段(主制御部20)と、を備え、制御手段は、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理)と、所定条件の成立に応じて、遊技者に有利な遊技状態に移行するか否かについて設定手段が設定した設定値に基づいて当落判定を行う判定手段(ステップS1502の大当り乱数判定処理)と、表示手段に表示させる図柄について、変動パターンと変動後に停止表示される図柄種別とを複数の候補のうちから選択する選択手段(ステップS1503の図柄抽選処理及びステップS1504の変動パターン抽選処理)と、図柄の変動表示を開始させるにあたり設定値に異常が認められた場合に、判定手段による当落判定を実行させずに強制的にはずれの当落結果を得、選択手段による変動パターンと図柄種別の選択を実行させて変動表示を開始させる(図30のステップS1501→S1503のルート参照)設定異常対応処理手段と、を有するものである。
設定値のエラー時に当落判定をパスすることで、不必要な当落判定が行われることの防止が図られ処理負担軽減を図ることができる。
一方、変動パターン判定、図柄判定を行うことで、設定値のエラー時においても特別図柄や装飾図柄を変動表示させることができる。
なお、上記構成によると、設定エラー時には特別図柄が変動表示されることになるが、このとき、液晶表示装置36に表示される装飾図柄については、所定の停止目のまま変動させないことが考えられる。或いは、これに限定されず、設定エラー時の装飾図柄については所定のはずれ変動パターンにより変動表示させてもよい。
また、上記構成において、図柄の変動表示を開始させるにあたり設定値Veに異常が認められた場合、演出制御部24は、上記のように装飾図柄の表示を実行させると共に、液晶表示装置36等の演出手段(報知手段)に設定値Veの異常を示唆する報知動作を実行させる(例えば前述したように「RAM異常です 係員を呼んで下さい」等のメッセージを含む画像を表示させる等)。
これにより、不正に書き替えられた虞のある設定値を用いて遊技動作が行われてしまうことの防止が図られ、遊技の公正性を高めることができる。
なお、図柄の変動表示を開始させるにあたり設定値Veに異常が認められた場合には、判定手段による当落判定のみでなく、選択手段による変動パターンと図柄種別の選択も実行しないように構成することも可能である。
さらに、実施形態の遊技機1は、次の構成を有するものと言うことができる。
すなわち、実施形態の遊技機1は、乱数と判定基準値とに基づき、遊技者に有利な遊技状態に移行させるか否かについて当落判定を行う判定手段(ステップS1502の大当り乱数判定処理)と、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理)と、を備え、判定手段は、異なる設定値間で共通に定められた基本判定基準値(同THr)と、異なる設定値間で異値に定められた基本判定基準値についてのオフセット値とに基づき、設定値に応じた判定基準値(同TH)を算出し、該算出した判定基準値に基づいて当落判定を行い、基本判定基準値が2バイトデータ、オフセット値が1バイトデータで構成されているものである。
これにより、設定値に応じた当落判定を実現するにあたって、遊技機の記憶手段(メモリ)に設定値ごとに異なる判定基準値を記憶させておく必要がなくなる。すなわち、メモリには、異なる設定値間で共通とされた基本判定基準値と、基本判定基準値よりもデータ容量の小さいオフセット値とを記憶させれば済む。
従って、メモリ容量の削減を図ることができる。
さらにまた、実施形態の遊技機1は、次の構成を有するものと言うことができる。
すなわち、実施形態の遊技機1は、図柄を変動表示可能な図柄表示手段(特別図柄表示装置38a、38b等)と、所定条件が成立することに基づいて取得される図柄の変動パターン選択用情報(先読み判定時に得られた大当り抽選結果の情報等)を所定の保留上限数分記憶可能な保留記憶手段(RAM203)と、保留記憶手段に記憶された変動パターン選択用情報と、図柄の変動パターンを抽選するための変動パターンテーブルとに基づいて、変動パターンの選択を行う変動パターン選択手段(ステップS1504の変動パターン抽選処理)と、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を操作に基づき設定する設定手段(ステップS115の設定変更処理)と、を備え、変動パターン選択手段は、現在の保留数に基づいて変動パターンの選択を行う通常変動パターン選択処理と、現在の保留数に基づくことなく変動パターンの選択を行う特定変動パターン選択処理とを実行可能であり、通常変動パターン選択処理は、設定値間で共通の変動パターンテーブル(図34、特図1用の「はずれ1」に対応したテーブルを参照)から変動パターンを選択可能である一方、特定変動パターン選択処理は、設定値に応じて異なる変動パターンテーブル(図35の「通常4R」「確変10R」に対応したテーブル等を参照)から変動パターンを選択可能としたものである。
これにより、保留数や設定値に応じて図柄変動パターンの出現率を異ならせたい場合に、保留数と設定値の組み合わせごとに変動パターンテーブルを用意する必要がなくなる。
従って、メモリ容量の削減を図ることができる。
<5.起動時における演出制御部のコマンド対応処理>
前述のように、主制御部20(CPU201)は、電源投入に伴う起動時において、各種処理の移行条件成立に応じ各種のコマンド(設定変更中コマンドや設定変更完了コマンド、RAMクリアコマンド等)を演出制御部24に送信する。
この際、設定変更中コマンドを受信したことに応じ、演出制御部24は、例えば「設定変更中です」等の文字が配された画面等、設定変更中である旨を報知するための画面表示を液晶表示装置36に実行させたり、スピーカ46から設定変更中に対応した音出力が行われるようにするための処理を行う。さらにこの際、演出制御部24は、前述した光発生手段(光表示装置45a)における所定のLED(例えば全LED)を所定の点灯パターンにより点灯させてもよい。
このように演出制御部24は、設定変更中コマンドの受信に応じて、設定変更中である旨をホールスタッフ等の遊技機1の使用者に報知するための演出(設定変更中報知演出)を実現するための制御を行う。
また、設定完了コマンドを受信すると、演出制御部24は、実行中の設定変更中報知演出を終了させる。この際、設定キースイッチ94がOFF状態になった後は、単に前枠2が開放状態となっている。従って、設定変更中報知演出の終了後は、扉開放エラー報知に切り替わる。しかし、設定変更中報知演出を終了後、直ちに扉開放エラー報知を実行するのではなく、設定変更操作が終了、つまり、新たな設定値Veが選択され決定されたこと(同一設定値Veに打ちかえることを含む)を報知することが好ましいといえる。そこで本実施形態では、演出制御部24が設定値コマンドを受けた場合、設定変更操作終了を報知する設定完了報知演出を所定時間(例えば30秒)現出させてもよい。この設定完了報知演出は、設定変更操作終了を報知するものであるから、扉開放エラー報知及び設定変更中報知演出とは異なる演出(報知)態様とする。例えば、装飾ランプ45の演出LEDを青色で全点灯させ、スピーカ16から変更終了音を出力させ、液晶表示装置36に「設定変更終了」の演出画像を表示させる。なお、設定変更中報知演出や設定完了報知演出は、光演出、音演出、及び画像表示演出のうち少なくとも何れか一つの演出を用いたものであればよい。
また、演出制御部24は、RAMクリアコマンドを受信したことに応じて、RAMクリアを報知するための画面表示や光演出、音演出(RAMクリア報知演出)が行われるように制御を行う。
ここで、本実施形態では、設定変更モードへの移行指示操作が行われて設定変更処理(S115)とRAMクリア処理(S116~S117)とが行われる場合と、設定変更モードへの移行指示操作が行われずRAMクリア処理への移行指示操作が行われたことで設定変更処理が実行されずRAMクリア処理のみが行われる場合とで、RAMクリアコマンドが送信される(図5等を参照)。
すなわち、設定変更処理とRAMクリア処理のうちRAMクリア処理のみが行われる場合と、設定変更処理とRAMクリア処理の双方が実行される場合とで、RAMクリア報知演出が共通に行われるものである。
<6.起動時におけるコマンド送信の変形例>
ここで、RAMクリア報知演出については、上記のようにRAMクリア処理のみが行われる場合と設定変更処理とRAMクリア処理とが行われる場合の双方において現出させることに限定されない。
例えば、RAMクリア報知演出は、RAMクリア処理のみが行われる場合でのみ現出させ、設定変更処理とRAMクリア処理とが行われる場合にはRAMクリア報知演出を現出させず設定完了報知演出を現出させることができる。
図39はその場合に実行されるべき主制御側メイン処理を示したフローチャートである。
先の図5の場合との差違点は、ステップS115の設定変更処理を実行したことに応じ、ステップS116ではなくステップS117(領域内RAM初期化処理)に処理を進めるようにした点である。
先の図12や図17B等で説明した通り、ステップS115の設定変更処理においては、設定完了コマンドの送信が行われる(S722)。一方、ステップS116のRAMクリア時のコマンド送信処理によってはRAMクリアコマンドの送信が行われる(図18参照)。
上記のようなステップS115実行後の遷移先処理の変更によって、設定変更処理とRAMクリア処理とが行われる場合にはRAMクリアコマンドの送信が行われず設定完了コマンドの送信が行われることになる。つまり、RAMクリア報知演出を現出させず設定完了報知演出を現出させることができる。
一方、RAMクリア処理のみが実行される場合は、設定完了コマンドではなくRAMクリアコマンドが送信される。つまり、RAMクリア処理のみが実行される場合にのみ、RAMクリア演出を現出させることができる。
設定変更処理が行われる場合はRAMクリア処理が行われることになるため、設定変更処理が行われる場合にRAMクリア処理が行われた旨を敢えて報知する必要はない。
設定変更処理とRAMクリア処理の双方を報知した場合には遊技機1の使用者に煩わしさを感じさせる虞があり、そのような煩わしさの発生防止を図ることができる。
さらに、設定変更処理が行われずにRAMクリア処理が行われる場合と、設定変更処理とRAMクリア処理の双方が行われる場合とを遊技機1の使用者に確実に識別させることができる。
図40は、上記のような変形例としての処理を実現するためのプログラムについての説明図である。
この場合のROM202においては、図示のように「設定変更処理」としてのプログラムの記憶領域と「RAMクリア処理」としてのプログラムの記憶領域との間に「設定変更後処理」としてのプログラムを記憶する。
この「設定変更後処理」のプログラムにおいては、図示のように「LD HL,D_MKCADR2A」と「JR SYSTEM_550」が記述されている。
図41は、「設定変更後処理」で実行される具体的な処理の説明図である。
図示のように「設定変更後処理」においてCPU201は、ステップS09でアドレステーブルの選択処理を実行した上で、先の図18に示したRAMクリア時のコマンド送信処理(S116)におけるコマンドテーブル選択処理(S20)に進む。
ここで、ステップS09のアドレステーブルの選択処理では、図40で説明した「LD HL,D_MKCADR2A」により、図41中に示す「変更設定時コマンド送信アドレステーブル」が選択される(HLレジスタにロードした値に従って該アドレステーブルが参照される)。
図示のように「変更設定時コマンド送信アドレステーブル」には、ループ数(2)の値が格納されていると共に、「スペック指定コマンド作成テーブル」「客待ち指定コマンド作成テーブル」のアドレス値が格納されている。なお、これら「スペック指定コマンド作成テーブル」「客待ち指定コマンド作成テーブル」については図18で既に説明したため重複説明は避ける。
ステップS09のアドレステーブル選択処理後に実行される図18のコマンドテーブル選択処理(S20)によっては、該アドレステーブル選択処理で指定されたループ数、コマンド作成テーブルに基づき、スペックコマンド(F611H)と客待ちデモ表示コマンド(BA04H)とが演出制御部24に送信される。
先の図18で説明したように、設定変更処理が行われずRAMクリア処理が行われる場合には、同じコマンドテーブル選択処理(S20)によって、これらスペックコマンドと客待ちデモ表示コマンドと共にRAMクリアコマンドが送信される。
このように本例では、設定変更処理が実行される場合と、設定変更処理が実行されずRAMクリア処理のみが実行される場合とで、コマンドテーブル選択処理(及びコマンド作成処理・コマンド送信処理)を共通としながら、異なるコマンドの送信を可能としている。
これにより、設定変更処理が実行される場合と設定変更処理が実行されずRAMクリア処理のみが実行される場合とで異なるコマンドを送信可能とするにあたり、コマンド送信のためのプログラムをそれらの場合ごとに記述(記憶)し分ける必要がなくなり、プログラム容量の削減を図ることができる。
<7.その他変形例>
これまでの説明では、遊技媒体として遊技球を利用したパチンコ遊技機を例示したが、本発明の目的を達成できる遊技機であれば特に制限されない。例えば、遊技媒体として球状以外の形状による遊技媒体を利用する遊技機や、回胴式遊技機などであってもよい。
また、性能表示モニタ(設定・性能表示器97)について、設定変更処理や設定確認処理を実行しない場合には、電源投入時に所定時間(例:5秒間)の動作確認表示(例:全ての7セグLEDの全点灯、全消灯を交互に繰り返す)を行うようにしてもよい。また、設定変更モード中や設定確認モード中、RAMクリア処理中、バックアップ復帰処理中においては、性能表示モニタの動作確認表示を行わないように構成することが望ましく、それぞれの処理が終了した後に、動作確認表示を行うようにすることが望ましい。そのために、動作確認表示のための処理については割込み処理(例えば性能表示モニタ表示処理:図24ステップS916)において実行するように構成することで、設定変更モードや設定確認モード、RAMクリア処理中、バックアップ復帰処理など、未だ割り込み処理を許可していない状態では、動作確認表示が行われないように構成することが望ましい。
また、動作確認表示を行っている間に、入賞口やアウト口などに遊技球が入球した場合であっても、入球数をカウントするためのカウント処理は実行するように構成することが望ましい。また、カウント処理と同じく性能情報の値(例えばベース値)を算出するための計数処理も実行するようにしてもよい。これによりたとえ動作確認表示中に遊技球の入球があったとしても正確に性能情報の値を計数することが可能となる。また、カウント処理、計数処理を実行したとしても、動作確認表示中は性能情報の値の表示処理は実行されないようにしておけば、動作確認表示中に突然性能情報の表示に切り替わるような表示上の不具合を起こすこともない。
なお、動作確認表示は、電源投入時に所定時間(例:5秒間)実行するようにしたが、動作確認表示の実行中に電断し、再度電源が投入された際には、改めて所定時間(例:5秒間)の動作確認表示を行うように構成することが望ましい。このように電源投入時には毎回、所定時間、動作確認表示を行うようにして、仮に動作確認表示中に電断した場合であっても、次回の電源投入時に未実行の残り時間分だけ動作確認表示を行うような現象を生じさせないように構成することが望ましい。
また、上記では、設定値Veと性能情報は共通の表示手段(設定・性能表示器97:以下「所定表示手段」と表記)により表示することとしたが、この場合、設定値Veの表示手段として使用する場合と性能情報の表示手段として使用する場合とで所定表示手段の表示領域を異ならせてもよい。例えば所定表示手段が4桁の7セグLEDを備える場合、性能情報の表示に使用する場合には4桁の7セグLEDを全て用い、設定値Veの表示に使用する場合には4桁の7セグLEDのうちの例えば1桁分の7セグLEDのみを用いてもよい。この場合、使用していない7セグLEDについては非表示(非点灯)としてもよいし、「---」、「000」等の所定表示を行うようにしてもよい。
また、上記では、設定・性能表示器97による性能情報の表示制御はタイマ割込み処理において行うこととし、性能情報の表示制御が起動時に行われる設定変更処理や設定確認処理の後に実行される、すなわち、設定変更中や設定確認中には設定・性能表示器97の動作確認や性能情報の表示が行われることがない場合を例示した。
但し、性能情報の表示制御は、設定変更処理、設定確認処理と並行して行うように構成することもでき、その場合は、電源投入時に設定・性能表示器97の動作確認(全点滅)を開始するが(上記のように設定・性能表示器97が性能情報、設定値Veの表示領域を個別に有する場合)、その動作確認が設定変更中、設定確認中に終了した場合であっても、その設定変更、設定確認が終了するまで性能情報の表示は行わないようにしてもよい。
また、本発明の遊技機については、小当り遊技を実行可能に構成することもできる。その場合、設定毎に大当り確率と小当り確率とが共に変化するような構成としてもよい。この際、大当り判定値の範囲と小当り判定値の範囲とを合わせた範囲を一定とし、設定毎に大当り判定値の範囲が拡大/縮小すると、それに応じて小当り判定値の範囲が縮小/拡大するように構成してもよい。
また、扉(前枠2)を閉じた状態で設定変更操作及び設定変更完了操作を行うことは基本的に不可能であることから、設定変更操作が完了したタイミングでは未だ扉が開放している可能性が高いため、設定変更期間中の扉開放については報知を実行しないように構成してもよい。この場合には、一度扉を閉じた後、再度扉を開いた場合には、扉開放に関する報知を実行するように構成してもよい。また、設定変更期間中に、未だ設定変更が完了していないにもかかわらず、扉が閉鎖された場合には、所定の報知(「設定変更が完了していません」、「扉が閉鎖されました」等)を実行するように構成してもよい。
また、演出ボタン13等の操作手段の入力を検査するための検査モードを実行可能に構成してもよい。この場合、例えば設定変更期間中、設定変更完了中、設定確認期間中等においても、検査モードを実行可能としてもよい。また、客待ちデモ中となるまでは検査モードを実行しない(客待ちデモ開始時に検査モード突入)ようにしてもよい。
また、上記では、図5に示したステップS102のコピー処理として、入力ポートn(P_INPTn)のデータを取得するレジスタにWレジスタを使用したが、他のレジスタを使用するようにしてもよい。具体的には、Wレジスタの代わりにAレジスタを使用するようにしてもよい。また、後の処理においてAレジスタを使用する場合には、一旦Aレジスタに入力した情報をWレジスタにコピーするようにし、その後の処理ではWレジスタを使用するようにしてもよい。
また、図16では、設定確認中コマンドにより演出制御部24側に現在の設定値Veを通知する例を挙げたが、このような設定値Veの通知は、設定確認処理を行う際に限らず、設定変更処理を行う際においても同様に行うことができ、現在の設定値データに応じて異なる値をとる設定変更中コマンドとして送信することで、演出制御部24側にその時点の設定値を知らせるようにしてもよい。また、設定変更処理中に、設定変更操作が行われる度に、変更された設定値に応じたコマンドを送信することで、演出制御部24側にその時点の仮の設定値を知らせるようにしてもよい。また、設定完了時にも同様の処理を行うようにしてもよい。このように、電源投入時の処理においては、複数のタイミングで演出制御部24にコマンドを送信することがあるが、その全て又は一部のタイミングにおいて、設定値に応じた情報を付加したコマンドを送信することで、演出制御部24側にその時点の設定値を知らせるようにしてもよい。また、設定変更中に設定値の変更処理が実行される度に、その変更値を教える為のコマンドと、実際に設定値が確定した場合に、確定した設定値を教える為のコマンドとは異なるコマンドとしておくことが望ましい。これにより、演出制御部24側は、設定値の変更値と確定値を明確に判別することが可能となる。また、確定値を教えるコマンドについては、設定変更処理が確定したタイミングで送信されることが望ましいが、そのタイミングだけには限定されず、設定確認処理の開始時/終了時、遊技中の種々のタイミングにおいて送信するように構成しても良い。また、設定確認中に現在の設定値を液晶等に表示することを目的として、演出制御部24側に送信されるコマンドについても、確定値を知らせるコマンドとは異なるコマンドとしておくことが望ましい。
また、演出制御部24は、遊技開始コマンド(BA77H)を受信したときに、可動体役物モータ80c(図3参照)等の可動体についての初期動作(イニシャライズ動作)を実行することもできる。このとき、例えば以下の様な構成が考えられる。
初期動作(イニシャライズ動作)を実行させるためのコマンドを選択するための初期動作用コマンド作成テーブルを、コマンド送信アドレステーブルに設けることで、初期動作用コマンドを、その他のコマンドと同様に、テーブル選択により演出制御基板に送信するように構成してもよい。これにより、設定変更時及びRAMクリア時と、設定確認時及びバックアップ復帰時とで、異なるタイミングで初期動作用コマンドを送信することが可能となる。
また、上記では、設定変更中において外部端子からセキュリティ信号を出力する例を挙げたが(図12参照)、設定変更の終了後、RAMクリアが実行された場合には、再度セキュリティ信号を出力するようにしても良い。また、設定変更中は、電源投入時の処理においてセキュリティ信号の処理を実行し、その後にセキュリティ信号を出力する場合には、タイマ割込みの外部端子管理処理(S913)にて信号出力の処理を実行するようにしてもよい。また、設定変更中に出力を行うセキュリティ信号は、設定変更処理が終了した時点で出力を停止せずに、その後タイマ割込み処理の外部端子管理処理(S913)にて出力を継続したり、停止したりするように構成してもよい。また、 設定変更中に限らず、設定確認中に関しても同様の構成とするようにしてもよい。
設定変更処理の終了時に、演出制御部24に対して設定完了コマンド(BA09H)を送信することとしたが、演出制御部24はコマンドを受信した場合には、ランプ・音・液晶・可動体などを駆動させて、設定変更が完了した旨を報知することができる。例えば、盤側/枠側の可動体や、可動式の操作手段などを所定動作させることにより、設定変更が完了した旨(設定変更が行われた旨)を報知するようにしてもよい。また、設定確認終了コマンド(E022H)を受信した場合にも、同様に、ランプ・音・液晶・可動体などを駆動させて、報知を行うようにしてもよい。
また、上記では、性能表示モニタの動作確認(動作確認表示)について記載したが、動作確認を行うタイミングは特定のタイミングに限定されない。例えば、電源投入時の処理が終了した後、最初の図柄が変動開始するまでは、性能表示モニタの動作確認を継続するようにしてもよい。また、最初の図柄変動が開始した場合には、その時点で動作確認を終了してもよい。また、図柄変動に限らず、アウト口への入球を検知した場合など、その他の事象を契機として動作確認を終了するようにしてもよい。また、動作確認中にもかかわらず、遊技機に関するエラーを検出した場合には、動作確認を終了するようにしてもよい。例えば、磁気エラー、電波エラー、振動エラーや、抽選に用いる為の乱数の乱数更新エラー、設定値に関するRAMの異常などを検知した場合には、遊技を停止するとともに(必ずしも停止させる必要はない)、動作確認を終了するようにしてもよい。また、一方で、動作確認中にエラーを検知したとしても、動作確認を継続して実行するようにしてもよい。例えば、扉開放、可動体エラー、球補給エラー、下皿満タンエラーなどを検知した場合には、遊技を停止せずに、動作確認も終了しないようにしてもよい。また、これらのエラーに限らず、前者のエラーを検知した場合であっても、動作確認を終了しないようにしてもよい。
性能表示モニタの動作確認中であっても、ベース値の計数は実行するようにしておくことが望ましい。この場合、動作確認中に、ベース値の表示内容に変更や更新があった場合であっても、予め設定された動作確認時間が終了するまでは、動作確認を継続するものとして、変更や更新内容を表示しないようにしておくことが望ましい。また、必ずしもそれに限らず、動作確認を終了して、変更や更新内容を表示するようにしてもよい。
性能表示モニタの動作確認中に、盤側可動体や枠側可動体の初期動作(イニシャル動作)を実行するようにしてもよい。また、動作確認が終了するまでに初期動作が終了するように構成することが望ましいが、盤側可動体と枠側可動体のいずれかの可動体についてのみ、少なくとも初期動作が終了するように構成してもよい。また、動作確認が終了した後に、初期動作を実行するように構成してもよい。この場合には、動作確認の終了後に初期動作が完了することとなるが、そのように構成してもよい。
性能表示モニタの動作確認中は、遊技機前側のランプ・音・液晶の少なくともいずれか一つを用いて、動作確認中である旨を報知するようにしてもよい。これにより、性能表示モニタが動作確認中であることを、ホール従業員等が、遊技機前側から確認することができる。
性能表示モニタの動作確認中であっても、特別図柄や普通図柄の変動表示を開始可能に構成してもよい。
性能表示モニタと設定値表示用の7セグとを別々に設けた場合に、性能表示モニタの動作確認中に、設定値を表示可能にしてもよい。また、複数の表示内容が重複することによる複雑性を回避するために、動作確認と設定値の表示は同タイミングで表示しないように構成してもよい。また、少なくとも、設定確認中と設定変更中の期間においては、性能表示モニタの動作確認を実行しないようにしてもよい。また、設定確認中と設定変更中の期間において、動作確認を実行するようにしてもよいが、動作確認を終了した時点で、未だ設定確認中又は設定変更中であった場合には、ベース値の表示は行わず、非表示又はその他の表示態様としておくことが望ましい。そして、設定確認又は設定変更の処理が終了した後、ベース値に関する表示を実行するようにすることが望ましい。
また、性能表示モニタにベース値を表示することとしたが、表示する情報はこれに限らず、役物比率(電チュー及び大入賞口への入賞により払い出された遊技球/電チュー及び大入賞口に加えて始動入賞口、その他入賞口への入賞により払い出された遊技球)を表示するようにしてもよい。これにより、総払出遊技球のうち、電チューや大入賞口といった役物による払出の割合を性能表示モニタに表示することが可能となる。また、性能表示モニタに表示する際には、ベース値と役物比率の両方を所定タイミングやボタン操作で切り替えて表示するようにしてもよいし、役物比率のみを表示するようにしてもよい。また、ベース値を表示するモニタと、役物比率を表示するモニタとを個別に設けるように構成してもよい。
設定完了コマンドや設定確認完了コマンドが送信される場合に、次の処理に移行するまでの待ち時間を設定するようにしてもよい。これにより、例えば、表示手段にて「設定変更が完了しました」等の表示が行われている際に、主制御部20から客待ちデモ表示コマンドが送信されて、即座に客待ちデモ画面に切り替わってしまうようなことがなく、十分な表示時間を設けることが可能となる。また、仮に待ち時間を設けなかったとしても、表示手段にて「設定変更が完了しました」等の表示を残したまま、客待ちデモ画面に切り替わるように構成してもよい。また、待ち時間を設けた場合には、「設定変更が完了しました」等の表示が行われている間は、性能表示モニタの表示(動作確認)を開始せずに、非表示としておくようにする。また、可動体のイニシャライズについても、この期間は実行せず、待ち時間の経過後において実行することが望ましい。また、「扉を閉めてください」等の表示を行い、遊技の開始に備えるように指示するようにしてもよい。また、扉の閉鎖を検知した後に、可動体のイニシャライズを実行するようにしてもよい。これにより、扉の開閉動作が行われる可能性のある非常に不安定な状態下において、可動体のイニシャライズを実行してしまう恐れがなく、不具合の発生を未然に防ぐことができる。
また、待ち時間を設定した場合には、待ち時間中については、性能表示モニタの動作確認を実行しないように構成してもよい。これにより、ベース値表示と設定値表示を性能表示モニタで兼用した場合に、待ち時間中は、確定した設定値を表示しておくことが可能となる。また、待ち時間中であっても動作確認を実行するようにしてもよい。この場合、ベース値表示と設定値表示を性能表示モニタで兼用している場合には、設定値が表示されず、動作確認中の表示態様が表示されることになるが、これにより、できるだけ早期に動作確認を終了させることが可能となる。また、性能表示モニタを兼用していない場合には、待ち時間中は、設定値用の7セグに設定値を表示すると共に、性能表示モニタは動作確認を実行するように構成しても良い。また、同タイミングで表示されることにより、表示物が増え、複雑性が増すことを懸念して、少なくとも待ち時間中には、動作確認を実行しないように構成してもよい。
また、図14に示したように、RAMクリア処理においては、初期値設定データテーブルの先頭アドレスをHLレジスタにロードし(LD HL,D_INISET)、データセット処理をコールすることにより(CALLV_DTSET)、一部のデータに初期値を設定することとしたが、具体的には以下のデータに初期値を設定することができる。RAMクリア及び/又は設定が変更されたことに応じて行う報知のためのタイマに30sの初期値を設定する。これにより、電源投入処理の後、RAMクリア及び/又は設定変更に応じた報知を行うためのタイマ管理を実行可能とできる。さらに、主制御部20で管理している遊技情報表示手段に表示するための特別図柄の変動/停止情報に初期値を設定するようにしてもよい。ここで初期値とは例えば、ハズレの停止情報を設定しておくことが望ましく、これによりRAMクリア及び/又は設定変更後の遊技情報表示手段による特別図柄に関する情報を常に同じ表示態様としておくことが可能となる。また、初期値としては、ハズレの停止情報以外でもよく、遊技中には表示することがない特定の値を設定するようにしてもよいし、非点灯を示す値を設定するようにしてもよい。さらに、特別図柄の変動/停止情報に限らず、普通図柄の変動/停止情報に関しても、同様の処理を行うようにすることが望ましい。これにより、RAMクリア及び/又は設定変更後の遊技情報表示手段による普通図柄に関する情報を常に同じ表示態様としておくことが可能となる。このように、一部のデータを設定することで、RAMクリア処理のみ行われた際と、RAMクリア処理と設定変更処理との両方が行われた際とで、同様の表示態様とすることができるので、ホール側が設定変更を行った場合に、その痕跡を残さないようにでき、遊技者による判別を困難にできる。また性能表示モニタの動作確認を行うためのフラグやタイマを管理するワーク領域に、動作ONフラグや、動作時間5sの初期値を設定する様にしても良い。ここで、フラグやタイマを管理するワークは領域外(使用領域外)RAMに設けることが望ましいので、このタイミングで各ワークにアクセスする場合には、領域外プログラムをCALL命令により呼び出した後に、これらワークの初期値を設定するようにしてもよい。また、領域内RAMに各ワークを設けるようにする場合には、その必要はなく、後に実行される性能表示モニタに関する処理において、各ワークに設定された初期値を参照(書き換えや更新は行わない)することで、性能表示モニタの動作確認を実行するようにしてもよい。
また、同様に設定変更処理が行われたか否かを判別困難にするための方法を以下に記載する。まず、バックアップ復帰(以下、バックアップ復帰とは設定確認処理を行う場合も含む)する場合には、電断前の状態で復帰することになるため、例えば、電断前における遊技情報表示手段が示す特別図柄の情報が、当たりの停止態様であった場合には、バックアップ復帰後も当たりの停止態様で復帰することとなる。ここで、設定変更処理が実行された場合には、RAMクリア処理後、遊技情報表示手段が示す特別図柄の情報として、ハズレの停止態様を示す値や、非点灯を示す値、その他の特定値(遊技中には使用しない表示態様)を設定するようにすると、バックアップ復帰時の特別図柄の表示態様と矛盾が生じ、これによりバックアップ復帰されたか(すなわち非設定変更)、設定変更処理が行われたかが遊技者に判別されてしまうこととなる。これは、遊技情報表示手段が示す特別図柄の情報だけに限らず、普通図柄の情報に関しても同様のことが言える。そこで、バックアップ復帰時に、特別図柄が変動中か否かの情報(例えばステップS1204で使用する特別図柄ステータスを使用してもよい)を確認して、変動中ではないと判断した場合には、遊技情報表示手段が示す特別図柄の表示態様を、ハズレの停止態様を示す値や、非点灯を示す値、その他の特定値(遊技中には使用しない表示態様)を設定するようにしてもよい。こうすることで、仮にバックアップ復帰時に遊技情報表示手段が示す特別図柄の情報が当りを示す表示態様であったとしても、ハズレの停止態様を示す値や、非点灯を示す値、その他の特定値(遊技中には使用しない表示態様)に書き換えることが可能となるので、設定変更処理が行われた際との矛盾が生じないように構成することができる。
ここで、特別図柄が変動中か否かの情報(例えばS1204で使用する特別図柄ステータスを使用してもよい)を確認することとしたのは、仮に特別図柄が変動中であった場合には、変動中の特別図柄の情報をハズレに書き換えてしまうこととなり、仮にその変動が当りの変動であった場合には、当りをハズレ態様で表示してしまうという矛盾を発生させてしまうからである。このような矛盾は、遊技機として市場に提供可能な基準を満たしているとは到底言えず、絶対に発生させてはいけない事象であるので、上述の様な構成としている。このように、バックアップ復帰時に、特別図柄の情報を参照して特定の条件(非変動中や客待ち中など)を満たす場合には、遊技情報表示手段の特別図柄の情報を書き換えるようにしてもよく、これにより特定の条件(電断前の状態が非変動中や客待ち中など)を満たしたバックアップ復帰時と、RAMクリア時や設定変更時とで、同様の情報を遊技情報表示手段の特別図柄の表示態様として指定することができ、設定変更処理がなされたか否かの判別を困難にすることが可能となる。また、特別図柄の情報に限らず、特別図柄の非変動中にしか発生し得ない客待ち状態中か否かを参照することで、同様の構成とするようにしてもよい。また、特別図柄だけに限らず、遊技情報表示手段が示す普通図柄についても同様の構成としておくことが望ましい。これにより、特別図柄と同様に普通図柄についてもバックアップ復帰時と設定変更時とで表示態様に矛盾が生じないように構成することが可能となる。また、特別図柄が変動中か否かを判別するために、特別図柄ステータス使用するのと同様に、普通図柄についても普通図柄ステータスを使用するようにしてもよい。ここで普通図柄ステータスとは特別図柄ステータスと同種の役割を担うものであるため説明は省くこととする。このように、遊技中に使用する情報を参照して実現することで、新たにフラグを設ける必要がないので、データ容量を増やさずに、上述の課題を解決することが可能となる。また、前述の内容は、主制御部20が制御する遊技情報表示手段に関する内容であるが、演出制御部24が制御する表示手段に表示する情報である、装飾図柄表示や、ミニ図柄表示、普通図柄に関する表示など、これらの情報に関しても、バックアップ復帰時とRAMクリア及び/又は設定変更時とで同様の表示態様としておくことが望ましい。
また、その他の方法としては、RAMクリア処理時に、RAMクリア処理を行わないRAM領域に、遊技情報表示手段の特別図柄の表示データを格納するワークや、普通図柄の表示データを格納するワークを設けるようにしてもよい。こうすることにより、バックアップ復帰時も、RAMクリア時及び/又は設定変更時も、いずれの場合でも遊技情報表示手段の特別図柄や普通図柄の表示態様を電断前の状態で復帰させることができる。これにより、いずれの場合でも、表示態様は電断前の状態に依存するので、復帰後の表示態様が一定とならないので、設定変更処理が行われたか否かの判別を困難にすることが可能となる。
また、設定変更処理や設定確認処理が行われた情報を履歴表示として表示するようにしてもよい。ここで、表示に際しては、演出制御部24側で制御する表示手段において表示することが望ましい。表示するものとしては、例えば、設定変更処理や設定確認処理が行われた日時を表示するようにしてもよい。また、設定変更処理の結果、設定された設定値を共に表示するようにしてもよい。また、設定確認処理として確認された設定値をともに表示するようにしてもよい。また、ある設定値により遊技がどの程度の期間行われていたかを示すようにしてもよい。具体的には、ある設定値が設定されてから、次に変更されるまでの日時、時間を表示するようにしてもよい。また、電源投入時からある設定値により遊技が行われ、次に電源断されるまでの日時、時間を表示するようにしてもよい。また、設定値が異常値の場合には、異常値であると判定された日時を表示するようにしてもよい。また、異常値と判定されてから、正常な設定値が設定されるまでの日時、時間を表示するようにしてもよい。また、本来は遊技中に設定値が変更されたり、設定値が正常値から異常値になることはないが、ノイズやゴト行為により、遊技中にもかかわらず設定値に変更があった場合には、その日時を記憶して、履歴表示として表示するようにしてもよい。また、RAMクリア処理やバックアップ復帰処理が行われた回数や日時情報についても同様に表示するように構成してもよい。また、履歴表示を表示するタイミングとしては、設定確認処理が行われている間や設定変更処理が行われている間に、表示手段にて表示するように構成することが望ましい。また、設定確認処理や設定変更処理が行われている間に、所定の操作入力があった場合に、表示手段に履歴表示を行うように構成してもよい。また、遊技中であっても所定の操作入力があった場合には、表示手段に履歴表示を行うように構成してもよい。
ここで、演出制御部24側にSRAM(Static RAM)を設け、SRAMにて履歴表示情報を記憶しておくようにしてもよい。演出制御部24は、電源投入時に、SRAMの情報を読み出し、内部ワークに保存する。そして、後述する所定のタイミングで、内部ワークの情報をSRAMに記憶する処理を行う。基本的には、履歴表示情報はSRAMに記憶するが、履歴表示情報に更新がある場合には、内部ワークの値を更新するようにしている。このように更新時には内部ワークの値を更新するようにすることで、更新の度にSRAMにアクセスする必要がなく、アクセス頻度を少なくでき、処理速度を高速化することができる。また、更新した内部ワークの情報をSRAMに記憶するタイミングとしては、内部ワークに記憶された経過時間を参照し、所定時間が経過したと判断された場合には、履歴表示情報のデータをSRAMに記憶するようにしてもよい。また、主制御部20側から演出制御部24側に送信される、設定確認中コマンドや設定確認終了コマンド、設定変更中コマンド、設定完了コマンド等が送信されたタイミングで、内部ワークの値をSRAMに記憶するようにしてもよい。ここで、設定確認中コマンドや設定確認終了コマンド、設定変更中コマンド、設定完了コマンドが送信されたことにより、その時点で新たに履歴表示情報が追加されることとなるため、まず新たな履歴表示情報を内部ワークに記憶した上で、SRAMに記憶する処理を行うことが望ましい。また、この際、バックアップ用のデータとしてSRAMのバックアップ領域に記憶させておくようにしてもよい(以下、SRAMの履歴表示情報を記憶している領域をメイン領域とし、バックアップ用のデータを記憶している領域をバックアップ領域とする)。また、内部ワークの情報についてサム値を算出して、これも同様にSRAMに記憶させておくようにしてもよい。これにより例えば、演出制御部24の電源が投入されたタイミングや、履歴表示情報を表示するタイミングなどに、SRAMに記憶された履歴表示情報を内部ワークに読み出した場合に、読み出した内部ワークのサム値と記憶したサム値とを比較することで、履歴表示情報が正常か否かを判断することができる。ここで、内部ワークに読み出した履歴表示情報が正常ではない場合には、SRAMからバックアップ用として記憶した履歴表示情報を内部ワークに読み出すようにしてもよい。また、この際にも、読み出した内部ワークのサム値とバックアップ用に記憶したサム値とを比較して、正常なデータか否かを判断するようにしてもよい。そして、バックアップ用の履歴表示情報も正常ではないと判断された場合には、内部ワークの情報を初期化した上で、初期化データをSRAMに書き込むようにしてもよい。またSRAMのバックアップ領域に対しても初期化データを書き込むようにする。一方、バックアップ用の履歴表示情報が正常であると判断された場合には、内部ワークの情報をSRAMのメイン領域に書き込むようにする。これにより正常ではないと判断されたメイン領域に記憶されていた履歴表示情報を正常なものに書き換えることができる。
具体的に、SRAMの履歴表示情報が記憶されるメイン領域とバックアップ領域にはそれぞれ以下のような情報が記憶されるように構成してもよい。
すなわちチェックサム記憶領域(2バイト)、最新履歴位置情報記憶領域(2バイト)、経過時間記憶領域(4バイト)、履歴50個記憶領域(300バイト)。
ここで、チェックサム記憶領域には、サム値が記憶されている。最新履歴位置情報記憶領域には、最新の履歴表示を記憶するための位置情報が記憶されている。例えば現在30履歴までを記憶している場合には、次に記憶する履歴情報は31個目になるので、31履歴目の情報として記憶するための位置情報を記憶している。ここで、記憶する履歴情報が最大で50個までとした場合には、50履歴の次に新たな履歴を記憶する場合には、1履歴目の情報に上書きする形で記憶することとなるので、最新履歴位置情報記憶領域は、1履歴目を示す情報となっている。そして、履歴50個記憶領域には、履歴情報が記憶されており、ここには前述したように、設定確認処理とその際の設定値の情報とその日時や、設定変更処理と決定された設定値の情報とその日時や、設定値が設定されてから、次に変更されるまでの継続設定時間を示す情報などが記憶されることとなる。
また、履歴表示情報の表示中には、遊技機前側の十字キーやPUSHボタンを用いて、履歴表示情報の切り替えを行えるようにしてもよい。具体的には、最初に表示される画面を1ページ目とした場合に、ここには最新の履歴情報を1個目として、過去へ遡る形で10個目までの履歴情報が表示される。そして、十字キーの左右キーを操作することで、2ページ目へと切り替わり、次に11個目から20個目までの履歴情報が表示されるようになっている。これが5ページ目まで切替可能であり、全50履歴まで表示可能に構成されている。そのため、ページの切替操作が行われたタイミングにおいては、次に表示されるページにて表示する必要がある履歴情報についてのみ、その情報がコマンドにより液晶制御CPUへ送信又は表示手段に送信されることとなる。また、履歴表示情報の1ページ目については、PUSHボタンが操作された場合にその表示を開始するようにしてもよい。
また、1ページ目から5ページ目のいずれかの履歴表示情報を表示している際にPUSHボタンが操作された場合には、履歴表示情報の表示を終了するようにしてもよい。また、一旦終了するだけで、設定確認処理や設定変更処理中であれば、PUSHボタンを操作することで、何度でも履歴表示情報の表示と非表示を切替操作することが可能である。
また、履歴表示情報として、特定のエラー情報が発生した旨の情報についても表示するようにしてもよい。
また、履歴表示情報の表示中については、ベース値を表示する性能表示モニタを非表示としておくことが望ましい。また、性能表示モニタの動作確認についても履歴表示情報の表示中は行わないようにすることが望ましい。また、履歴表示情報の表示中であっても、音量/光量調整が有効となるように構成してもよい。このとき、調整が有効ではあるが、調整内容については表示手段に表示しないようにすることが望ましい。
また、性能表示モニタの内容や状態を液晶上に表示するようにしてもよく、その場合には、履歴表示情報とは重ならない位置に表示することが望ましい。また音量/光量を調整不能に構成するようにしてもよく、この場合には履歴表示情報と表示が重なってしまう恐れがなく、画面構成の設計の自由度が高くなる。
また、履歴表示情報の表示中には少なくとも盤側の可動体のイニシャライズ動作を実行しないようにすることが望ましい。これにより盤側の可動体が表示手段の前側に移動して、表示画面の視認性を妨げてしまうことを防止することができる。また、枠側の可動体についても同様にイニシャライズ動作を実行しないようにしておくようにしてもよい。ただし、枠側の可動体については、表示画面を妨げる可能性がない場合には、イニシャライズを行うようにしてもよい。この場合、例えば操作手段に搭載された振動手段のイニシャライズ動作や、エアーが噴出されるエアー噴出手段などについてもイニシャライズ動作を行うようにしてもよい。これにより、枠側の可動体については、先にイニシャライズ動作を終了させておくことができるので、履歴表示情報の終了後、すなわち設定確認処理や設定変更処理の終了後に、盤側の可動体のイニシャライズを行うだけで済むので効率的である。また、これに限らず、履歴表示情報の終了後に、全ての可動体についてイニシャライズ動作を行うようにしてもよい。
また、主制御部20と演出制御部24とを接続するハーネスが切断された状態で、設定値の変更操作が行われた場合には、主制御部20は変更された設定値に基づいて処理を行う一方、演出制御部24はその情報を知ることができないので、履歴表示情報として記憶・表示することができない。そのため、ハーネスを切断した状態で設定値を変更し、一度電源を遮断した後に、再度ハーネスを接続し直した状態で電源ONすることで、設定値を変更した形跡を残すことなく、設定変更を行うことができてしまう。それを防止するために、電源投入時に、主制御部20から演出制御部24に設定値の情報を送信し、演出制御部24は、記憶した設定値の情報と、主制御部20から送信された設定値の情報とを比較して、矛盾が生じている場合には、ランプ・スピーカー・液晶等を利用してエラー報知を行うように構成してもよい。
また、この場合には、演出制御部24側は、遊技停止状態とするようにしてもよく、主制御部20から遊技に関するコマンドが送信されてきたとしても、それに基づく処理を行わないように構成してもよい。また、演出制御部24は、設定変更処理やRAMクリア処理を実行する際に送信される種々のコマンドを受信した場合には、主制御部20側で、再度正常に設定変更処理が為されたと判断して、新たに決定された設定値を記憶するとともに、エラー報知を中断/中止(矛盾発生⇒エラー報知⇒電源断⇒設定変更中(非エラー報知)⇒設定変更完了(非エラー報知))するようにしてもよい。また、初回の電源投入時においては、演出制御部24側には設定値に関する情報がない状態となるので、このような場合に主制御部20から設定値の情報が送信されてきた場合には、エラー報知を行わないように構成することが望ましい。
ここで、上記では、設定変更中や設定確認中であることの報知を、演出制御部24側で制御する報知手段(枠・盤ランプ)、スピーカ46、液晶表示装置36等により報知する例を挙げたが、該報知は、主制御部20側で制御する盤ランプや設定・性能表示器97により行うようにしてもよい。ここで、主制御部20側で制御する盤ランプとは、遊技機正面から視認可能となるように遊技盤3に設けられた遊技情報表示手段(特別図柄表示装置38a、38bや普通図柄表示装置39a等)等である。
上記の遊技情報表示手段は、複数(例えば32個等)のLEDを備えた基板を有し、それら複数のLEDが、複数種類の発光表示手段に1個又は複数個ずつ割り当てられている。そして、この遊技情報表示手段は、主制御部20側で決定する図柄抽選に関する様々な事項について、演出制御部24を介さずに、主制御部20から直接信号を受けて、その内容を複数種類の発光表示手段により報知するようになっている。これまでの説明では、遊技情報表示手段が有する複数種類の発光表示手段として、特別図柄表示装置38a、38bや普通図柄表示装置39aを例示したが、これに限られるものではなく、通常遊技状態よりも大当たりとなる確率が高い高確率状態か否かを報知する高確率表示手段、通常遊技状態よりも可動翼片47の開放時間が長くなる開放延長状態及び/又は特別図柄や普通図柄の変動時間が短縮される時短状態を報知する開放延長/時短表示手段、右打ち情報を報知可能な右打ち表示手段、大当り遊技のラウンド数情報を報知するラウンド数表示手段の少なくとも1つを含むように構成してもよい。また、特別図柄表示装置38a、38bを設けて二つの特別図柄を変動表示可能に構成する場合には、第1特別保留個数表示手段、第2特別保留個数表示手段等を含むように構成してもよい。
そして、設定変更中及び/又は設定確認中に、遊技情報表示手段を構成するLEDを所定の発光態様で発光させることにより、設定変更中及び/又は設定確認中であることを報知するように構成してもよい。この場合の遊技情報表示手段の発光態様は、そのLEDの全てを点灯、点滅等させるものでもよいし、上述した複数種類の発光表示手段のうちの一部を点灯、点滅等させるものでもよい。またこのとき、設定変更中と設定確認中とで発光態様を異ならせることで設定変更中であるか設定確認中であるかを識別可能としてもよいし、逆に設定変更中と設定確認中とで発光態様を同じにすることで設定変更中と設定確認中との何れであるかについては識別できないようにしてもよい。
また、設定変更中や設定確認中は遊技ができない状態(具体的には、発射操作が不可能であったり、始動入賞口への入賞が無効であったり、図柄変動に係る処理を実行しない状態などであり、要するに主制御部20のプログラムとしてこれらの処理を行うためのタイマ割込み処理を未だ開始していない状態)であって、遊技情報表示手段の各発光表示手段についても本来の発光表示を行うことができない。従って、設定変更中及び/又は設定確認中に、その旨を報知するべく遊技情報表示手段をどのような発光態様で発光させても、それが図柄変動に関する報知であるとホール関係者が誤認してしまう可能性は低いが、設定変更中及び/又は設定確認中に遊技情報表示手段を以下のように発光させることでより効果的な報知が可能である。
すなわち、遊技情報表示手段の発光表示手段の全部を点灯/消灯/点滅等させることにより設定変更中や設定確認中であることを報知する場合には、多くのLEDにより視覚的に発光態様を確認し易くすることができる。また、特定単数の発光表示手段のみで報知する場合には、その発光表示手段の発光部が故障していた場合などは報知不可能となるが、全部の発光表示手段を使用して報知する場合にはその心配はない。
また、遊技情報表示手段の複数種類の発光表示手段のうち、いずれか一つの発光表示手段を点灯/消灯/点滅等させることにより設定変更中や設定確認中であることを報知する場合には、全部の発光表示手段を使用して報知する場合に比べて発光制御のためのプログラム容量を少なくすることができる。またその場合、発光表示手段が単数の発光部(LED)により構成されている場合には、複数の発光部により構成されている場合に比べて視認性は低下するが、主制御部20から点灯/消灯/点滅を示す制御信号を送信するプログラム容量を更に少なくすることができる。
また、遊技情報表示手段の複数種類の発光表示手段のうち、少なくとも2以上を組み合わせて点灯/消灯/点滅等させることにより、設定変更中や設定確認中であることを報知する場合には、現在の状況が遊技中ではなく設定変更中或いは設定確認中であると認識させ易くすることができる。例えば、特図2が特図1に優先して変動表示されるパチンコ遊技機の場合には、遊技中であれば特図1と特図2とが同時に変動することはないため、設定変更中や設定確認中にそれら特図1と特図2とに対応する発光表示手段を同時に点灯等させることで、設定変更中或いは設定確認中であると認識させ易くすることができる。もちろんその他の2以上の発光表示手段により、遊技中には起こり得ない発光態様で設定変更中や設定確認中であることを報知するようにしてもよい。
また、遊技情報表示手段の少なくとも一つの発光表示手段を、遊技中ではあり得ない発光態様で点灯/消灯/点滅等させることにより、設定変更中や設定確認中であることを報知してもよい。例えば、大当り遊技のラウンド数情報を報知するラウンド数表示手段が、遊技中は点滅状態で表示することがない場合に、このラウンド数表示手段を点滅させることにより設定変更中や設定確認中であることを報知してもよい。
ここで、遊技情報表示手段の発光表示手段の発光態様として、点灯/消灯/点滅等と説明したが、この場合の点灯、点滅とは、視覚的にそのように認識されるものを言う。即ち、ダイナミック点灯方式により遊技情報表示手段を制御する場合、点灯状態であっても実際には高速の点滅状態であるが、これは点灯状態とする。点滅状態とは、視覚的に点灯状態(高速の点滅)と消灯状態(消灯)とを所定間隔で繰り返す場合をいう。
また、遊技中に遊技情報表示手段の発光表示手段を制御する場合にはダイナミック点灯方式とし、設定変更中や設定確認中に遊技情報表示手段の発光表示手段を制御する場合にはスタティック点灯方式としてもよい。例えば、遊技中は4msのタイマ割込み処理の発生を許可しているため、4ms毎に繰り返し行われる処理を利用して、毎割込み毎に遊技情報表示手段の発光表示手段のいずれの発光部に点灯に関するデータを送信するかを決定するコモンデータを切り替えることができ、これにより割込み毎に所定間隔で点灯/消灯を繰り返して行うダイナミック点灯制御を行うことが容易である一方、設定変更中や設定確認中は遊技が可能な状態となる前であり、この期間では未だ4msのタイマ割込み処理の発生を許可していないため、同様の処理を実行しようとした場合にはそれを実現するために必要なプログラム容量が大きくなってしまう。その点、設定変更中や設定確認中は遊技情報表示手段の制御をスタティック点灯方式とすれば、遊技情報表示手段の発光表示手段のうち、何れかの発光部に対して点灯に関するデータを送信するだけで良いので、ダイナミック点灯制御の場合よりも圧倒的にプログラム容量を少なくすることが可能である。このように、遊技中と設定変更中及び/又は設定確認中とで、遊技情報表示手段の点灯制御方式を異ならせてもよい。
また、遊技情報表示手段に、設定変更中及び/又は設定確認中であることを報知するための発光表示手段を、遊技中に使用する発光表示手段とは別に設けてもよい。この場合、設定変更中であることを報知する発光表示手段と、設定確認中であることを報知する発光表示手段とを別に設けてもよい。1種類の発光表示手段(1又は複数個の発光部)で設定変更中と設定確認中とを報知する場合、設定変更中と設定確認中とで発光態様を異ならせることで設定変更中であるか設定確認中であるかを識別可能としてもよいし、逆に設定変更中と設定確認中とで発光態様を同じにすることで設定変更中と設定確認中との何れであるかについては識別できないようにしてもよい。
また、遊技情報表示手段において、遊技中に使用する発光表示手段とは別に、設定変更中であることを報知する発光表示手段と設定確認中であることを報知する発光表示手段とを設ける場合、両者を隣接するように配置することが望ましいが、他の発光表示手段を挟むように配置してもよい。
また、設定変更中と設定確認中の報知に関しては、設定・性能表示器97の表示情報に「.(ドット)」を付加するか否かにより両者を識別可能となるように行うこともできる。
また、設定・性能表示器97を構成する7セグ表示部が複数存在する場合においては、それら7セグ表示部のうち、設定値の表示に利用されない7セグ表示部を利用して、これらを所定の発光態様とする(点灯/消灯/点滅等)ことで設定変更中や設定確認中であること報知するようにしてもよい。
また、性能情報の表示手段については、遊技中はベース値を表示する為に常時作動しているため、基本的に遊技中は消灯状態を所定時間継続するという制御を行うことがない。そのため、設定変更中や設定確認中などの遊技中ではない状態では、あえて消灯状態を継続することで、現在の状態が遊技中ではないと認識させることができ、それにより設定変更中や設定確認中であることを報知することが可能である。このように、性能情報の表示手段の本来の表示態様を考慮し、点灯状態ではなく敢えて消灯状態とすることで、設定変更中や設定確認中であることを報知するようにしてもよい。なお、設定値を表示する表示器と性能情報を表示する表示器とを別々に設ける場合であっても、同様の思想により設定変更中や設定確認中であることを報知することが可能である。
さらに、設定値を表示する表示部により設定変更中及び/又は設定確認中であることを報知する場合には、設定変更中と設定確認中とで異なる報知態様とするようにしてもよい。この場合のそれぞれの報知態様としては、前述の発光態様をどのように組み合わせてもよく、少なくとも報知態様が異なっていればよい。また、上記した設定変更中及び/又は設定確認中であることを報知する際の思想については、前述の遊技情報表示手段を発光制御する場合にも適用することができる。
ここで、設定変更中や設定確認中であることを主制御部20側で制御する遊技情報表示手段(盤ランプ)や設定・性能表示器97により報知することのメリットを以下に記載する。
仮に演出制御部24側で制御するランプ/スピーカ/液晶表示手段のみによって設定変更中や設定確認中であること報知する場合には、ゴト行為により、主制御基板と演出制御基板とを接続する信号線が切断されてしまうと、設定変更中や設定確認中であることを報知することができなくなってしまい、例えばホール関係者に知られることのないまま、容易に設定変更や設定確認を行うことが可能になってしまう。一方、演出制御部24側で制御するランプ/スピーカ/液晶表示手段に加えて(或いは代えて)、主制御部20側で制御する遊技情報表示手段(盤ランプ)や設定・性能表示器97により設定変更中や設定確認中であることを報知するようにすれば、仮に主制御基板と演出制御基板とを接続する信号線を切断された場合であっても遊技情報表示手段や設定・性能表示器97による報知は行われるため、ホール関係者がゴト行為に気付くことが可能となる。
また、遊技機前側から視認可能な遊技情報表示手段と、遊技機後側から視認可能な設定・性能表示器97とを用いて、設定変更中や設定確認中であることを報知するように構成すれば、遊技機の前側と後側の両方から設定変更中や設定確認中の状態を確認可能である。
また、設定変更中や設定確認中であることを、演出制御部24側で制御するランプ/スピーカ/液晶表示手段(演出手段)では報知せず、主制御部20側で制御する遊技情報表示手段や設定・性能表示器97により報知するように構成してもよいが、演出制御部24側で制御するランプ/スピーカ/液晶表示手段と、主制御部20側で制御する遊技情報表示手段や設定・性能表示器97との両方で報知するように構成することにより例えば識別性がより向上する。
また、設定変更中及び/又は設定確認中であることを報知するための盤ランプとして遊技情報表示手段を例示したが、主制御部20側で制御するものであればどのような発光手段でもよく、例えば盤側と枠側との何れに設けられているものでもよい。
また、設定・性能表示器97を構成する複数の7セグ表示部の一部を設定値の表示手段(以下「設定値表示手段」と表記)として使用する場合、該設定値表示手段として使用するときはスタティック点灯制御(第1表示制御)とし、遊技開始後に性能表示手段として使用するときはダイナミック点灯制御(第2表示制御)とすることも可能であることは上述したとおりである。しかしながら、設定・性能表示器97を構成する7セグ表示部がダイナミック点灯制御のみを想定したスペックの場合、スタティック点灯制御を行うことで問題が生じる可能性がある。
例えば、設定・性能表示器97用の7セグの絶対最大定格として、順方向電流の最大値が15mA/seg(スタティック)、ピーク順方向電流の最大値が60mA/seg(duty1/5 pluse width 1ms)(ダイナミック)に規定されている場合に、ベース値を表示するだけであればダイナミック点灯制御のみを考慮すればよいので、ピーク順方向電流の最大値が60mA/seg(duty1/5 pluse width 1ms)を超えない範囲の電流値を設定すればよいが、設定表示手段として使用する際にスタティック点灯制御を行う場合には、ピーク順方向電流の最大値が60mA/seg(duty1/5 pluse width 1ms)及び順方向電流の最大値である15mA/segを超えない電流値に設定しなくてはいけない。ここで、仮に15mA/segを超えない電流値とした場合には、ダイナミック点灯制御を行う際の1回の点灯時の輝度が低下してしまい、ベース値を表示する際の点灯表示がチラついてしまう虞がある。
そこで、例えばピーク順方向電流の最大値が60mA/seg(duty1/5 pluse width 1ms)を超えず、順方向電流の最大値である15mA/segを超える範囲の電流値に設定することで、ダイナミック点灯制御時の点灯表示にチラつきが発生しにくいように構成することが可能である。この場合、順方向電流の最大値である15mA/segを超える範囲の電流値に設定されているので、設定変更中や設定確認中にスタティック点灯制御を行う際に、単純に点灯データのみの送信を繰り返すように点灯制御を行うと、当然ながら順方向電流の最大値を超えてしまうことになるが、点灯データと消灯データとを所定間隔で交互に送信する(点灯データを所定時間連続的に送った後、消灯データを所定時間連続的に送ることを繰り返す)ことで、順方向電流の最大値である15mA/segを超える範囲の電流値に設定されているにも拘わらず、最大値を超えないように点灯制御を行うことが可能になる。このように、スタティック点灯制御を用いた疑似的なダイナミック点灯制御を実現するようにしてもよい。即ち、ベース値を表示する際のダイナミック点灯制御時には、点灯させる7セグを指定するためのコモンデータを切り替えることにより、点灯/消灯を繰り返すように点灯制御させる一方、設定値を表示する際に、同様にコモンデータの切り替えを行うとその分制御プログラムが増大してしまうため、コモンデータは切り替えずに、点灯データと消灯データとを所定間隔で交互に送信するような制御を行う。この場合、所定間隔毎に送信するデータを切り替えるだけでいいので、コモンデータを切り替えるよりもはるかに少ないプログラムで点灯制御を実現させることが可能である。以上のように、制御方法を工夫することで、7セグの絶対最大定格を超えないようにスタティック点灯制御とダイナミック点灯制御の両方を実現することが可能である。
また、このような点灯制御を行うのではなく、順方向電流の最大値が60mA/seg(スタティック)、ピーク順方向電流の最大値が60mA/seg(duty1/5 pluse width 1ms)(ダイナミック)として規定されるような高品質の7セグを使用することも考えられる。この場合には、絶対最大定格の値が前述の7セグよりも優れている分、当然部品単価は高くなる。仮に複数のベース値表示用の7セグ(具体的には4個の7セグ表示部214a~214d)の全てについて高品質の7セグを使用した場合にはコストがかかってしまう。そこで、複数のベース値表示用の7セグ(7セグ表示部214a~214d)のうち、設定値を表示する7セグ(7セグ表示部214a)については、絶対最大定格の値が優れた7セグを使用し、それ以外のベース値表示用の7セグ(7セグ表示部214b~214d)については絶対最大定格の値が低い7セグを使用するようにしてもよい。これにより、必要最低限のコストに抑えることができるとともに、設定変更中や設定確認中に、スタティック点灯制御を用いた疑似的なダイナミック点灯制御を行う必要がないので、プログラム容量を削減することができる。
また、設定値を表示する7セグについては、絶対最大定格の値が優れた7セグを使用することとしたが、ピーク順方向電流の最大値及び順方向電流の最大値が同値又はそれ以上/それ以下の近似値である7セグを使用するようにすればよい。また、それ以外のベース値表示用7セグの絶対最大定格として規定されたもののうち、少なくとも順方向電流の最大値と比較して、設定値表示用7セグの順方向電流の最大値の方が大に設定されているものを使用するようにしてもよい。さらに加えて、設定値表示兼用以外のベース値表示用7セグの絶対最大定格として規定されたもののうち、少なくともピーク順方向電流の最大値と比較して、設定値表示用7セグのピーク順方向電流の最大値が同値又はそれ以上/それ以下の近似値に設定されているものを使用するとよい。このように、設定値表示用7セグの方が、ベース値表示用7セグよりも順方向電流の絶対最大定格が優れていることに加えて、ピーク順方向電流の絶対最大定格については、同値又はそれ以上/それ以下の近似値に設定されているものを使用することで、設定変更中や設定確認中のスタティック点灯制御と、遊技中のベース値表示におけるダイナミック点灯制御とを共通の7セグを使って行わなければいけない場合であっても、容易に実現することが可能となる。もちろん、複数のベース値表示用7セグ(設定表示用7セグを含む)の全てに高スペックの7セグを使用してもよい。
また、上記では、RAM異常と判定された場合には、遊技停止状態となるが、この際に外部端子を介してセキュリティ信号を出力するように構成してもよい。また、この際に出力されるセキュリティ信号の種類については、設定変更時や設定確認時に送信するセキュリティ信号と同種のものであってもよいし、異なるセキュリティ信号を送信するように構成してもよい。
また、この際、設定値表示用の7セグ(ベース値表示用7セグと兼用してもよい)にて、エラー表示を行うようにしてもよい。エラー表示については、点灯データを送信して所定の点灯態様とするようにしてもよいし、点灯データと点滅データとを所定間隔で交互に送信することで、所定の点滅態様としてもよい。また、エラー表示は、設定値表示用の7セグを使用して行い、ベース値表示用の7セグは消灯状態とするようにしてもよい。また、設定値表示用の7セグ及びベース値表示用の7セグの両方を使用してエラー表示を行うように構成してもよい。
また、設定値を表示する際には、設定表示データテーブルから現在の設定値に対応した点灯パターンを取得して、設定値として表示する構成を採ることができる。
このとき、エラー表示用の点灯データについては、設定表示データテーブルを使用することなく、点灯データを出力するように構成してもよい。これは、RAM異常時には、設定値ワークの値が異常値となっているため、設定値ワークの値に基づいて設定表示データテーブルから任意の値を取得することが難しいからである。そのため、RAM異常時には、テーブル選択方式ではなく、直接値を指定して出力するように構成することが望ましい。また、これによりテーブルからデータを選択するためのプログラムが必要ないので、プログラム容量を削減することが可能となる。
また、RAMクリア処理が実行された際に、セキュリティ信号を出力する構成とし、その場合に、設定変更中に出力するセキュリティ信号とRAMクリア処理が実行された場合に出力するセキュリティ信号とを共通の信号としてもよい。実施例では、設定変更中はセキュリティ信号を出力し、設定変更処理が終了した場合にはセキュリティ信号の出力を停止するように構成しているが、セキュリティ信号の出力を停止することなく、出力を維持するようにして、RAMクリア処理の終了後に、セキュリティ信号の出力を停止するように構成してもよい。また、この場合、セキュリティ信号の出力を停止するタイミングは、RAMクリア処理の終了後に限らず、RAMクリア報知の終了後や、RAMクリア報知中の所定タイミングであってもよい。また、所定時間セキュリティ信号が出力されていればよいので、設定変更処理の終了後、RAMクリア処理を行う際に、少なくとも所定時間(例:50ms)の間は、出力中のセキュリティ信号の出力をさらに維持するように構成し、その後、所定時間が経過した場合にはセキュリティ信号の出力を停止するようにしてもよい。これにより、設定変更+RAMクリアを実行する際に、少なくとも50ms以上のセキュリティ信号の出力を担保することが可能となる。
また、設定変更処理が終了した場合にはセキュリティ信号の出力を一旦停止し、その後、RAMクリア処理を実行した場合に、再度セキュリティ信号を所定時間(例:50ms)出力するように構成しても良い。
また、上記では、RAMクリア時には設定値の情報をクリアしない構成としたが、それ以外の一部の情報についてクリアしないように構成してもよい。例えば、停止図柄の情報や、エラー情報、変動パターンの切替情報などが挙げられる。
ここで、停止図柄の情報をクリアしないことにより、設定変更+RAMクリアが実行されたのか、バックアップ復帰したのかが、停止図柄からは推測できない仕様となるので、例えば朝一にホールにて、停止図柄を確認することで設定変更が為されたか否かを判別し難くすることができる。
また、一部又は全部のエラー情報をクリアしないことで、電断前に発生した所定のエラー情報について、電断後も引き続きエラー報知等を行うことが可能となる。
また、変動パターンの切替情報(例:高確率中に50回変動したら変動パターン選択テーブルAから変動パターン選択テーブルBへ切り替える)をクリアしないことで、設定変更+RAMクリア後に、所定回数の図柄変動(50回転)を実行した場合に、変動パターン選択テーブルAから変動パターン選択テーブルBへ切り替わるので、例えば朝一にホールで、所定回数の変動遊技を実行することにより、設定変更が行われたか否かを判別することが可能となる。このように、あえて設定判別をし易く構成することで、遊技の興趣を高めるように構成してもよい。
以上のように、RAM領域に設定された種々のワークについては、RAMクリア処理によりクリアするワークとRAMクリア処理にてクリアしないワークとを、遊技性を考慮したり、セキュリティ面を考慮したりするなどして、必要に応じて使い分けるように構成してもよい。前述の記載はあくまでも一例であり、例として記載していないその他のワークについても、遊技性の向上を考慮して、RAMクリアしないように構成してもよい。
これまでに記載した全ての実施形態は、どのように組み合わせて構成してもよく、各実施形態において記載した内容は個別の実施形態のみに限定されるものではない。