JP7202226B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関し、さらに詳しくは、高温運転時におけるセルの保湿性を向上させることが可能な燃料電池システムに関する。
固体高分子形燃料電池は、電解質膜の両面に触媒層を含む電極が接合された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly,MEA)を備えている。電極は、一般に、触媒層と、ガス拡散層の2層構造をとる。MEAの両面には、さらに、ガス流路を備えた集電体(セパレータ)が配置される。固体高分子形燃料電池は、通常、このようなMEAと集電体からなる単セルが複数個積層された構造(セルスタック)を備えている。
固体高分子形燃料電池では、電解質膜として、一般にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂が用いられる。この樹脂は、湿潤状態ではプロトン伝導度が高いが、乾燥状態ではプロトン伝導度が低くなる特性を持つ。高温運転時には反応生成水が蒸発しやすくなるため、燃料電池セル内が乾燥状態に陥りやすい。そのため、高温運転時には、燃料電池セル内部の湿潤状態を保持することが重要である。
また、カソードガス流路の入口側では、一般に、酸化剤ガスの湿度は低い。しかし、酸化剤ガスは、カソードガス流路の下流側に向かって流れる間に反応生成水により加湿される。その結果、カソードガス流路の出口側では、酸化剤ガスは過加湿となりやすい。
同様に、アノードガス流路の入口側では、一般に、燃料ガスの湿度は低い。しかし、燃料ガスは、アノードガス流路の下流側に向かって流れる間にカソード側から拡散してきた水により加湿される。その結果、アノードガス流路の出口側では、燃料ガスは過加湿となりやすい。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、
(a)セルの積層方向が重力方向に対して垂直であり、かつ
(b)燃料ガス流れと酸化ガス流れが対向しかつ平行となるように、セルの燃料ガス流路及び酸化ガス流路が配置されている
燃料電池が開示されている。
同文献には、
(A)セルの積層方向が重力方向である場合、水分の排出性が悪く、フラッディングが起きやすいのに対し、セルの積層方向を重力に対して垂直方向にすると、ガス流路内に水滴が生じても、水滴が重力でガス流路を下方に流れるので排出性が向上する点、及び、
(B)燃料ガスの流れと酸化剤ガスの流れを対向させると、電解質膜を通して、カソード出口近傍からアノード入口近傍に向かって水が拡散すると同時に、アノード出口近傍からカソード入口近傍に向かって水が拡散するために、水分分布が均一化する点、
が記載されている。
特許文献2には、湿潤状態の保持又は均一化を目的とするものではないが、
入口部が閉塞部材により閉塞された溝状の流路と、出口部が他の閉塞部材により閉塞された溝状の流路とが交互にストライプ状に並ぶガス流路が形成されたセパレータ
を備えた燃料電池が開示されている。
同文献には、
(A)入口部が閉塞されたガス流路と出口部が閉塞されたガス流路とを隣接させると、2つのガス流路の間に圧力差が生じるために、反応ガスがガス拡散層を通って一方のガス流路から他方のガス流路に流入する点、及び、
(B)これにより、ガス拡散層全体に反応ガスが供給されるので、発電セルの発電効率が向上する点
が記載されている。
特許文献3には、湿潤状態の保持又は均一化を目的とするものではないが、
(a)カソード側セパレータのカソードガス流路及びアノード側セパレータのアノードガス流路の少なくとも1つに、流路断面積を減少させる絞り部が設けられており、
(b)カソードガス流路及びアノードガス流路は互いに異なる2次元形状を有し、カソードガス流路及びアノードガス流路が交差する交差位置が存在し、
(c)絞り部が交差位置以外の位置に設けられている
燃料電池単セルが開示されている。
同文献には、
(A)交差位置に絞り部を設けると、単セルを積層したときに2つのセパレータ間の接触部が少なくなり、圧縮力が他の部分に過度に集中する点、及び、
(B)交差位置以外の位置に絞り部を設けると、このような応力集中を抑制できる点
が記載されている。
特許文献4には、セパレータにガス流路溝が形成されている流路構造を有する燃料電池のセパレータであって、ガス流路溝伸長方向に、ガス流路溝の開口部幅とセパレータ母材のガス流路溝深さがそれぞれ一定で、ガス流路断面積が変化しており、ガス流路断面積の変化が、ガス流れ方向下流側のガス流路断面積が上流側のガス流路断面積以下となる変化である流路構造を有する燃料電池のセパレータが開示されている。
特許文献5には、電解質膜電極接合体と、それを挟んで配置されたガス拡散層と、そのガス拡散層の外側に配置された一対のセパレータユニットを備えた発電ユニットを複数個積層し、上記セパレータユニットと上記ガス拡散層との間に形成された流路空間の下流の流路断面積が、上流の流路断面積よりも小さいことを特徴とする燃料電池が開示されている。
特許文献6には、電解質膜を有する発電セルと、前記発電セルに対向するセパレータとを備え、前記セパレータの前記発電セル側の面に、燃料ガスまたは酸化剤ガスが流動する複数の溝状の流路がストライプ状に形成されたガス流路が形成され、前記溝状の流路の少なくとも一部の断面積は、前記溝状の流路の長さ方向へ連続的に増加または減少し、隣り合う前記溝状の流路の断面積変化が逆であることを特徴とする燃料電池が開示されている。
さらに、特許文献7には、電解質膜間を水素イオンが移動することにより発電する燃料電池において、前記電解質膜を狭持し、発電反応を生じる有効発電範囲を有する電極と、前記電極に沿って反応ガスを流通させる複数の反応ガス流路と、前記反応ガス流路内の前記有効発電範囲の上流端付近に配置した、前記反応ガス流路の断面を減少させる流路断面積減少部材とを備え、前記電極の発電面を底面とした際の前記流路断面積減少部材の高さを、反応ガスの流れに沿って徐々に低くすることを特徴する固体高分子型燃料電池が開示されている。
特許文献1に記載されているように、燃料ガスと酸化剤ガスの流れを対向させると、アノード側とカソード側では湿度分布が互いに逆分布となる。そのため、アノードガス流路の入口側では、電解質膜を介してカソード側からアノード側に水が輸送される。同様に、カソードガス流路の入口側では、電解質膜を介してアノード側からカソード側に水が輸送される。その結果、発電生成水がセル面内で循環し、高温運転時の性能が向上する。
しかしながら、従来の方法を用いた場合であっても、温度がさらに高い条件下では保湿性が不十分となる。その結果、電解質膜が乾燥し、性能が低下する。
特許文献4、5に記載された手法の場合、下流側のガス流路断面積を小さくすることでガス流速が向上し、液体の水を排出する機能が促進され、その結果として下流側のガス輸送抵抗が低減される可能性はある。但し、上流側のガス輸送抵抗を低減する機能は実現されず、保湿効果に乏しい。
特許文献6に記載された手法の場合、隣り合う流路の流路断面積が異なるために差圧が生じ、差圧によりリブ部の下をガスが流れることで、ガス輸送抵抗は低減される。但し、この手法では、ガス流路入口部及び出口部のガス輸送抵抗を中央部に対して低減する機能は実現されず、保湿効果に乏しい。
さらに、特許文献7に記載された手法は、ガス流路の上流部の圧力を一時的に上昇させる機構によりガス流路上流部のガス輸送抵抗を増加させる手法である。しかしながら、この手法は、面内水循環促進による保湿効果を実現するものではない。
特開2002-184428号公報 特開2010-272541号公報 特開2017-228482号公報 特許第3956864号公報 特開2005-327532号公報 特開2006-114387号公報 特許第4007093号公報
本発明が解決しようとする課題は、高温運転時におけるセルの保湿性を向上させることが可能な燃料電池システムを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池システムは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記燃料電池システムは、
アノードガス流路及びカソードガス流路が対向流構造を備えている固体高分子形燃料電池と、
前記アノードガス流路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、
前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と
を備えている。
(2)前記固体高分子形燃料電池は、
前記アノードガス流路の出口及び入口の双方のガス輸送抵抗(A)が前記アノードガス流路の中央部の前記ガス輸送抵抗(A)より低くなるように、前記燃料ガスの主流方向に沿って前記ガス輸送抵抗(A)を変化させる第1ガス輸送抵抗変更機構と、
前記カソードガス流路の出口及び入口の双方のガス輸送抵抗(B)が前記カソードガス流路の中央部の前記ガス輸送抵抗(B)より低くなるように、前記酸化剤ガスの主流方向に沿って前記ガス輸送抵抗(B)を変化させる第2ガス輸送抵抗変更機構と
を備えている。
ガス流路を対向流構造にすると、アノード側とカソード側では湿度分布が互いに逆分布となる。そのため、アノードガス流路の入口側では、電解質膜を介してカソード側からアノード側に水が輸送される。同様に、カソードガス流路の入口側では、電解質膜を介してアノード側からカソード側に水が輸送される。しかし、対向流構造のみでは、温度がより高い条件下のときに電解質膜が乾燥し、高温運転時の性能が低下する。
これに対し、対向流構造に加えて、ガス流路の出口及び入口に、ガス流路の中央部よりもガス輸送抵抗が小さくなる機構を設けると、ガス流路の出口及び入口においては、ガスが流れる主たる方向が主流方向から電極の厚さ方向に変化する。そのため、反応ガスが電解質膜の表面に近い領域まで輸送されやすくなる。また、これによってガス流路の出口及び入口では、MEA-ガス流路間の水輸送が促進される。一方、ガス流路の中央部分では、発電生成水は、ガス流路へ蒸散しにくくなり、MEA内部に保持されやすくなる。その結果、MEAの保湿性が向上し、高温運転時の性能が向上する。
図1(A)は、第1絞り部を備えたアノード側セパレータの平面図である。図1(B)は、第2絞り部を備えたカソード側セパレータの平面図である。 ガス輸送抵抗が段階的又は連続的に変化している漸減機構(B)を備えたカソード側セパレータの平面図である。 比較例1の燃料電池のガス輸送抵抗(図3(A))、電解質膜相対湿度(図3(B))、及びアノードからカソードへの水移動量(図3(C))である。
比較例2の燃料電池のガス輸送抵抗(図4(A))、電解質膜相対湿度(図4(B))、及びアノードからカソードへの水移動量(図4(C))である。 実施例1の燃料電池のガス輸送抵抗(図5(A))、電解質膜相対湿度(図5(B))、及びアノードからカソードへの水移動量(図5(C))である。 実施例2の燃料電池のガス輸送抵抗(図6(A))、電解質膜相対湿度(図6(B))、及び、アノードからカソードへの水移動量(図6(C))である。 実施例1~2、及び比較例1~2の燃料電池の高温運転時のセル電圧である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 燃料電池システム(1)]
本発明に係る燃料電池システムは、
アノードガス流路及びカソードガス流路が対向流構造を備えている固体高分子形燃料電池と、
前記アノードガス流路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、
前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と
を備えている。
[1.1. 固体高分子形燃料電池]
固体高分子形燃料電池は、電解質膜の両面に触媒層を含む電極が接合された膜電極接合体(MEA)を備えている。電極は、一般に、触媒層と、ガス拡散層の2層構造をとる。MEAの両面には、さらに、ガス流路を備えた集電体(セパレータ)が配置される。固体高分子形燃料電池は、通常、このようなMEAと集電体からなる単セルが複数個積層された構造(セルスタック)を備えている。
本発明において、固体高分子形燃料電池は、対向流構造を備えている。
ここで、「対向流構造」とは、
(a)MEAの一方の面に配置されたアノードガス流路内の燃料ガスの流れの方向(主流方向)と、MEAの他方の面に配置されたカソードガス流路内の酸化剤ガスの流れの方向(主流方向)とがほぼ平行であり、かつ、
(b)燃料ガスの流れの向きと酸化剤ガスの流れの向きが互いに逆である
構造をいう。
換言すれば、「対向流構造」とは、
(a)アノードガス流路の入口側(又は、カソードガス流路の出口側)では、MEAから排出される酸化剤ガスに含まれる過剰の水を、カソード側から電解質膜を経由してアノード側に向かって輸送することが可能であり、かつ、
(b)アノードガス流路の出口側(又は、カソードガス流路の入口側)では、MEAから排出される燃料ガスに含まれる過剰の水を、アノード側から電解質膜を経由してカソード側に向かって輸送することが可能である
構造をいう。
ガス流路の出口側及び入口側の双方において過剰の水をMEAの反対側の面に向かって輸送することが可能な限りにおいて、主流方向(ガス流路に沿ったガスの流れの方向)は完全に平行である必要はなく、また、ガス流路は必ずしも直線的である必要はない。
固体高分子形燃料電池のその他の部分の構造及びそれを構成する材料については、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な構造及び材料を選択することができる。
[1.2. 燃料ガス供給装置]
燃料ガス供給装置は、アノードガス流路に燃料ガスを供給するためのものである。燃料ガス供給装置の構造は、アノードガス流路に所定量の燃料ガスを供給可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
[1.3. 酸化剤ガス供給装置]
酸化剤ガス供給装置は、カソードガス流路に酸化剤ガスを供給するためのものである。酸化剤ガス供給装置の構造は、カソードガス流路に所定量の酸化剤ガスを供給可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
[1.4. ガス輸送抵抗変更機構]
本発明に係る固体高分子形燃料電池は、上述した構成に加えて、
前記アノードガス流路の出口及び入口の双方のガス輸送抵抗(A)が前記アノードガス流路の中央部の前記ガス輸送抵抗(A)より低くなるように、前記燃料ガスの主流方向に沿って前記ガス輸送抵抗(A)を変化させる第1ガス輸送抵抗変更機構と、
前記カソードガス流路の出口及び入口の双方のガス輸送抵抗(B)が前記カソードガス流路の中央部の前記ガス輸送抵抗(B)より低くなるように、前記酸化剤ガスの主流方向に沿って前記ガス輸送抵抗(B)を変化させる第2ガス輸送抵抗変更機構と
を備えている。
ここで、「ガス輸送抵抗」とは、電極の厚さ方向のガス輸送に対する抵抗をいう。
換言すれば、「ガス輸送抵抗」とは、
(a)反応ガスが、集電体に設けられたガス流路からガス拡散層を通って触媒層に到達するまで、及び、
(b)触媒層に到達し、かつ、電極反応に消費されなかった反応ガスが、ガス拡散層を通ってガス流路に戻るまで、
のガス輸送に対する抵抗をいう。
ガス流路の主流方向に反応ガスを流した場合、その一部はガス拡散層を通って触媒層まで到達するが、残りはそのままガス流路を素通りする。触媒層への反応ガスの供給、反応ガスを介したMEAへの水の補給、及び、MEAからの水の排出を促進させるためには、ガス輸送抵抗は低いのが好ましい。一方、反応生成水をMEA内に保持するためには、反応ガスを介したMEAからガス流路への水の排出を抑制するのが好ましい。そのためには、ガス輸送抵抗は高いのが好ましい。
本発明において、固体高分子形燃料電池は、ガス輸送抵抗変更機構(すなわち、ガス流路の出口及び入口においてはガス輸送抵抗が低くなり、ガス流路の中央部においてはガス輸送抵抗が高くなる機構)を備えている。
そのため、ガス流路の出口及び入口にガス輸送抵抗変更機構を設けると、水が過剰であるMEAの一方の面から、水が不足しているMEAの他方の面に向かって、水輸送が促進される。一方、ガス流路の中央部分においては、MEAからガス流路側への水輸送が抑制される。その結果、MEAの保湿性が向上し、高温運転時の性能が向上する。
ガス輸送抵抗変更機構の構造は、上述した機能を奏するものである限りにおいて、特に限定されない。ガス輸送抵抗変更機構としては、具体的には以下のようなものがある。以下に示すガス輸送抵抗変更機構の具体例は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、物理的に可能な限りにおいて、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[1.4.1. 第1絞り部]
第1ガス輸送抵抗変更機構は、アノードガス流路の出口及び入口の双方に設けられた、アノードガス流路の断面積を減少させるための第1絞り部であっても良い。
この場合、第2ガス輸送抵抗変更機構は、特に限定されない。例えば、第2ガス輸送抵抗変更機構は、後述する第2絞り部であっても良く、あるいは、それ以外の機構であっても良い。
図1(A)に、第1絞り部を備えたアノード側セパレータの平面図を示す。図1(A)において、アノード側セパレータ10は、中央部分が波形に成形されており、燃料ガスを流すための溝部(波形に形成されたセパレータの内、ガス拡散層に接触していない部分)12と、リブ(波形に形成されたセパレータの内、ガス拡散層に接している部分)14とが交互に並んでいる。隣接するリブ14、14の間にある溝部12がアノードガス流路である。アノードガス流路の入口及び出口には、それぞれ、アノードガス流路の断面積を減少させるための第1絞り部16、16…が設けられている。
アノードガス流路に第1絞り部16、16…を形成する場合、各第1絞り部16、16…の主流方向の位置は、互いに同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
但し、リブ14、14…を挟んで対向する第1絞り部16、16…については、図1(A)に示すように、主流方向の位置が互い違いになるように配置するのが好ましい。第1絞り部16、16…を互い違いに形成すると、隣接するアノードガス流路間で圧力差が生じる。その差圧により、燃料ガスがガス拡散層を通って隣接するアノードガス流路に拡散しやすくなる。その結果、第1絞り部16、16…近傍のガス拡散抵抗を下げることができる。
なお、図1(A)において、第1絞り部16、16…は、各アノードガス流路の入口側及び出口側に、それぞれ、4個づつ形成されているが、これは単なる例示である。第1絞り部16、16…の個数は、目的に応じて最適な個数を選択することができる。
また、第1絞り部16、16…の断面積もまた、ガス輸送抵抗を変更可能なものである限りにおいて、特に限定されない。例えば、第1絞り部16、16…の高さは、リブ14、14…の高さと同一であっても良く、あるいは、それより低くても良い。
また、図1(A)において、第1絞り部16、16…の幅(主流方向に対して垂直方向の厚さ)は、アノードガス流路の幅の約1/3程度であるが、所望の効果が得られる限りにおいて、それより広くても良く、あるいは、それより狭くても良い。
アノード側セパレータ10の左上には、アノードガス入口側マニホールド18が設けられている。また、アノード側セパレータ10の右下には、アノードガス出口側マニホールド20が設けられている。
アノードガス入口側マニホールド18及びアノードガス出口側マニホールド20は、それぞれ、アノード流路(溝部12)に連通している。そのため、アノードガス入口側マニホールド18に燃料ガスが供給されると、燃料ガスは、各アノードガス流路に分配され、かつ、紙面の左から右に向かって流れる。さらに、アノードガス流路の出口から排出された残ガスは、アノードガス出口側マニホールド20を通ってMEA外に排出される。
一方、アノード側セパレータ10の右上には、カソードガス入口側マニホールド22が設けられている。また、アノード側セパレータ10の左下には、カソードガス出口側マニホールド24が設けられている。しかしながら、カソードガス入口側マニホールド22及びカソードガス出口側マニホールド24は、いずれもアノード流路(溝部12)には連通していない。そのため、カソードガス入口側マニホールド22から酸化剤ガスが供給されても、酸化剤ガスがカソード流路(溝部12)に流れ込むことはない。
このような構成を備えたアノード側セパレータ10に燃料ガスを流した場合、アノードガス流路の入口及び出口に、それぞれ、第1絞り部16、16…が設けられているために、入口側及び出口側では主流方向へのガスの流れの抵抗が大きくなる。行き場を失った燃料ガスの一部は、流れの方向が主流方向から電極の厚さ方向に変えられる。その結果、アノードガス流路の入口側及び出口側では、ガス輸送抵抗(A)が小さくなる。
一方、アノードガス流路の中間部分にはこのような絞り部が設けられていない。そのため、アノードガス流路の中間部分ではガス輸送抵抗(A)が大きくなる。
さらに、アノードガス流路においては、ガスの流れの向きがカソードガス流路(図示せず)とは逆になっている。そのため、アノードガス流路の入口側では、MEAから排出される酸化剤ガスに含まれる過剰の水が、カソード側から電解質膜を経由してアノード側に向かって輸送される。
一方、アノードガス流路の出口側では、MEAから排出される燃料ガスに含まれる過剰の水が、アノード側から電解質膜を経由してカソード側に向かって輸送される。その結果、MEAの保湿性が向上し、高温運転時の性能が向上する。
[1.4.2. 第2絞り部]
第2ガス輸送抵抗変更機構は、カソードガス流路の出口及び入口の双方に設けられた、カソードガス流路の断面積を減少させるための第2絞り部であっても良い。
この場合、第1ガス輸送抵抗変更機構は、特に限定されない。例えば、第1ガス輸送抵抗変更機構は、上述した第1絞り部であっても良く、あるいは、それ以外の機構であっても良い。
図1(B)に、第2絞り部を備えたカソード側セパレータの平面図を示す。図1(B)において、カソード側セパレータ30aは、中央部分が波形に成形されており、酸化剤ガスを流すための溝部(波形に成形されたセパレータの内、ガス拡散層に接触していない部分)32と、リブ(波形に成形されたセパレータの内、ガス拡散層に接触している部分)34とが交互に並んでいる。隣接するリブ34、34の間のにある溝部32がカソードガス流路である。カソードガス流路の入口及び出口には、それぞれ、カソードガス流路の断面積を減少させるための第2絞り部36a、36a…が形成されている。
カソード側セパレータ30aの左上には、アノードガス入口側マニホールド38が設けられている。また、アノード側セパレータ30aの右下には、アノードガス出口側マニホールド40が設けられている。しかしながら、アノードガス入口側マニホールド38及びアノードガス出口側マニホールド40は、いずれも、カソードガス流路(溝部32)には連通していない。そのため、アノードガス入口側マニホールド38から燃料ガスが供給されても、燃料ガスがカソードガス流路(溝部32)に流れ込むことはない。
一方、カソード側セパレータ30aの右上には、カソードガス入口側マニホールド42が設けられている。また、カソード側セパレータ30の左下には、カソードガス出口側マニホールド44が設けられている。
カソードガス入口側マニホールド42及びカソードガス出口側マニホールド44は、それぞれ、カソードガス流路(溝部32)に連通している。そのため、カソードガス入口側マニホールド42から酸化剤ガスが供給されると、酸化剤ガスは、各カソードガス流路に分配され、かつ、図1(A)とは逆に、紙面の右から左に向かって流れる。さらに、カソードガス流路の出口から排出された残ガスは、カソードガス出口側マニホールド44を通ってMEA外に排出される。
カソード側セパレータ30aに関するその他の点については、アノード側セパレータ10と同様であるので、説明を省略する。
このような構成を備えたカソード側セパレータ30aに酸化剤ガスを流した場合、カソードガス流路の入口及び出口に、それぞれ、第2絞り部36a、36a…が設けられているために、入口側及び出口側では主流方向へのガスの流れの抵抗が大きくなる。行き場を失った酸化剤ガスの一部は、流れの方向が主流方向から電極の厚さ方向に変えられる。その結果、カソードガス流路の入口側及び出口側では、ガス輸送抵抗(B)が小さくなる。
一方、カソードガス流路の中間部分にはこのような絞り部が設けられていない。そのため、カソードガス流路の中間部分ではガス輸送抵抗(B)が大きくなる。
さらに、カソードガス流路においては、ガスの流れの向きがアノードガス流路(図示せず)とは逆になっている。そのため、カソードガス流路の出口側では、MEAから排出される酸化剤ガスに含まれる過剰の水が、カソード側から電解質膜を経由してアノード側に向かって輸送される。
一方、カソードガス流路の入口側では、MEAから排出される燃料ガスに含まれる過剰の水が、アノード側から電解質膜を経由してカソード側に向かって輸送される。その結果、MEAの保湿性が向上し、高温運転時の性能が向上する。
[1.4.3. 気孔率を変化させたアノード側ガス拡散層]
第1ガス輸送抵抗変更機構は、アノードガス流路の出口側及び入口側の双方の気孔率(A)がアノードガス流路の中央部の気孔率(A)より大きくなるように、燃料ガスの主流方向に沿って気孔率(A)を変化させたアノード側ガス拡散層であっても良い。
この場合、第2ガス輸送抵抗変更機構は、特に限定されない。例えば、第2ガス輸送抵抗変更機構は、後述する、気孔率(B)を変化させたカソード側ガス拡散層であっても良く、あるいは、それ以外の機構であっても良い。
アノード側ガス拡散層の気孔率(A)を変化させる方法は、特に限定されない。例えば、剣山などを用いて、アノード側拡散層の厚さ方向に貫通孔又は半貫通孔を形成すると、孔を形成した部分の気孔率(A)を局所的に大きくすることができる。また、針の直径及びピッチを変更すると、孔を形成した部分の気孔率(A)を任意に制御することができる。
そのため、アノードガス流路の出口側及び入口側においてはガス拡散層に短いピッチで多数の孔を形成すると、出口側及び入口側の気孔率(A)を大きくすることができる。一方、アノードガス流路の中央部分においては、ガス拡散層に孔を形成しないか、あるいは、長いピッチで少数の孔を形成すると、中央部分の気孔率(A)を小さくすることができる。
[1.4.4. 気孔率を変化させたカソード側ガス拡散層]
第2ガス輸送抵抗変更機構は、カソードガス流路の出口側及び入口側の双方の気孔率(B)がカソードガス流路の中央部の気孔率(B)より大きくなるように、酸化剤ガスの主流方向に沿って気孔率(B)を変化させたカソード側ガス拡散層であっても良い。
この場合、第1ガス輸送抵抗変更機構は、特に限定されない。例えば、第1ガス輸送抵抗変更機構は、上述した、気孔率(A)を変化させたアノード側ガス拡散層であっても良く、あるいは、それ以外の機構であっても良い。
カソード側拡散層の気孔率(B)を変化させる方法は、特に限定されない。また、カソード側拡散層の気孔率(B)は、アノード側拡散層の気孔率(A)と同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
気孔率(B)を変化させる方法の詳細については、アノード側拡散層と同様であるので、説明を省略する。
[1.4.5. ガス輸送抵抗が漸減しているカソード側セパレータ]
第2ガス輸送抵抗変更機構は、カソードガス流路の中央から出口にかけて、ガス輸送抵抗(B)が段階的又は連続的に減少している漸減機構(B)を備えていても良い。
この場合、第1ガス輸送抵抗変更機構は、特に限定されない。例えば、第1ガス輸送抵抗変更機構は、第2ガス輸送抵抗変更機構と同様の機構であっても良く、あるいは、それとは異なる機構であっても良い。
図2に、ガス輸送抵抗が段階的又は連続的に変化している漸減機構(B)を備えたカソード側セパレータの平面図を示す。なお、図2中、図1(B)と同じ構成要素には同一の参照番号が付されている。図2において、カソード側セパレータ30bは、中央部分が波形に成形されており、酸化剤ガスを流すための溝部32と、リブ34とが交互に並んでいる。隣接するリブ34、34の間にある溝部32がカソードガス流路である。
図2において、各カソードガス流路の入口側には、それぞれ、合計4個の第2絞り部36b、36b…が設けられている。入口側の第2絞り部36b、36b…は、幅が同一になっている。
一方、各カソードガス流路の中央から出口にかけて、合計8個の第2絞り部36c、36c…が設けられており、これらが漸減機構(B)に対応する。出口側の第2絞り部36c、36c…は、幅が出口側に行くほど広くなっている。そのため、カソードガス流路のガス輸送抵抗(B)は、カソードガス流路の中央から出口に向かって、段階的又は連続的に減少している。この点が、図1(B)に示すカソード側セパレータ30aとは異なる。
その他の点については、図1(B)に示すカソード側セパレータ30aと同様であるので、説明を省略する。
カソードガス流路の中央から出口にかけて、ガス輸送抵抗(B)が段階的又は連続的に減少する漸減機構(B)を設けると、高温運転時の性能が向上する。これは、漸減機構(B)により、保湿性を高く維持したまま、触媒層への酸素供給能力を向上できるためと考えられる。
なお、カソードガス流路の入口側には、ガス輸送抵抗(B)を不連続に変更する機構を設けても良く、あるいは、カソードガス流路の入口から中央にかけて、ガス輸送抵抗(B)が段階的又は連続的に増加している漸増機構を設けても良い。
但し、カソードガス流路の入口部のガス輸送抵抗の低減は、アノードからカソードへの水輸送量を増やす目的において有効であり、その目的は入口部近傍の狭い範囲のガス輸送抵抗を低減する機構で実現できる。そのため、カソードガス流路の入口側に漸増機構を設けるのは、あまり実益がない。
[1.4.6. ガス輸送抵抗が漸減しているアノード側セパレータ]
第1ガス輸送抵抗変更機構は、アノードガス流路の中央から出口にかけて、ガス輸送抵抗(A)が段階的又は連続的に減少している漸減機構(A)を備えていても良い。
この場合、第2ガス輸送抵抗変更機構は、特に限定されない。例えば、第2ガス輸送抵抗変更機構は、第1ガス輸送抵抗変更機構と同様の機構であっても良く、あるいは、それとは異なる機構であっても良い。
なお、燃料電池性能に及ぼす水素濃度過電圧の影響はあまり大きくないので、アノードガス流路側に漸減機構(A)を設けるメリットは、カソード側に比べると少ない。
[2. 作用]
固体高分子形燃料電池は、電解質膜として一般にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂が用いられている。この樹脂は、湿潤状態ではプロトン伝導度は高いが、乾燥状態ではプロトン伝導度が低くなる特性を持つ。高温運転時には、反応生成水が蒸発しやすくなるため、燃料電池セル内部が乾燥状態に陥りやすい。そのため、高温運転時には燃料電池セル内部の湿潤状態を保持することが重要である。
ここで、カソード及びアノード共に入口部の湿度が低いのに対し、出口部では発電で生成した水を含むため、湿度が高くなりやすいことが知られている。そこで、ガス流路を対向流構造にすると、アノード側とカソード側では湿度分布が互いに逆分布となる。そのため、アノードガス流路の入口側では、電解質膜を介してカソード側からアノード側に水が輸送される。同様に、カソードガス流路の入口側では、電解質膜を介してアノード側からカソード側に水が輸送される。その結果、ガス流路の入口部を湿潤させることができる。しかし、対向流構造のみでは、温度がより高い条件下のときに電解質膜が乾燥し、高温運転時の性能が低下する。
これに対し、対向流構造に加えて、ガス流路の出口及び入口に、ガス流路の中央部よりもガス輸送抵抗が小さくなる機構を設けると、ガス流路の出口及び入口においては、ガスが流れる主たる方向が主流方向から電極の厚さ方向に変化する。そのため、反応ガスが電解質膜の表面に近い領域まで輸送されやすくなる。また、これによってガス流路の出口及び入口では、MEA-ガス流路間の水輸送が促進される。一方、ガス流路の中央部分では、発電生成水は、ガス流路へ蒸散しにくくなり、MEA内部に保持されやすくなる。その結果、MEAの保湿性が向上し、高温運転時の性能が向上する。
(実施例1~2、比較例1~2)
[1. 試験方法]
対向流構造を備えた各種燃料電池のガス輸送抵抗、電解質膜の相対湿度、アノードからカソードへの水移動量、及びセル電圧をシミュレーションにより求めた。評価対象は、
(a)対向流構造のみを備えている燃料電池(比較例1)、
(b)対向流構造、並びに、アノードガス流路及びカソードガス流路の全域に渡ってガス輸送抵抗を低減する機構を備えている燃料電池(比較例2)、
(c)対向流構造、並びに、アノードガス流路及びカソードガス流路の入口側及び出口側のガス輸送抵抗のみを低減する機構を備えている燃料電池(実施例1)、並びに、
(d)対向流構造、アノードガス流路の入口側及び出口側のガス輸送抵抗のみを低減する機構、カソード流路の入口側のガス輸送抵抗のみを低減する機構、並びに、カソードガス流路の中央から出口にかけてガス輸送抵抗を段階的又は連続的に減少させる漸減機構を備えている燃料電池(実施例2)、
とした。
[2. 結果]
図3~図6に、それぞれ、比較例1~2、及び、実施例1~2の燃料電池のガス輸送抵抗(上図)、電解質膜相対湿度(中図)、及び、アノードからカソードへの水移動量(下図)を示す。さらに、図7に、実施例1~2、及び比較例1~2の燃料電池の高温運転時のセル電圧を示す。
なお、図4~図6中、破線は、比較例1の値(図3)を表す。図3~図6中、「平均生成水量比」とは、「局所的な水移動量」を「セルの総電流値から算出した生成水量」で割った値をいう。また、「アノードからカソードへの水移動量」がマイナスであることは、カソードからアノードに向かって水が移動していることを表す。図3~図7より、以下のことが分かる。
(1)対向流構造のみを備えた燃料電池(比較例1)の場合、アノード及びカソード共に入口部のガスの湿度は低いが、中央部から出口部のガスの湿度は生成水を含むため比較的高くなる。しかし、高温運転時には、カソード及びアノードのいずれも、入口部の湿度低下が著しくなった(図3参照)。
(2)全域に渡ってガス輸送抵抗を低減する機構を備えた燃料電池(比較例2)の場合、カソードガス流路の入口側では、かえって電解質膜の相対湿度が低下した(図4参照)。これは、電極で生成した水がガス流路へ水蒸気として蒸散しやすくなるためと考えられる。その結果、セル電圧は、比較例1より低下した(図7参照)。
(3)ガス流路の入口部及び出口部のガス輸送抵抗だけを低減する機構を備えた燃料電池(実施例1)の場合、アノードガス流路の入口側では、カソードからアノードへの水輸送が促進され、カソードガス流路の入口側では、アノードからカソードへの水輸送が促進された(図5(C)参照)。一方、ガス流路の中央部では、水移動量がゼロの近傍にあり、発電生成水が電極内部に保持されていた。これらにより、実施例1では、セル面内の湿度循環が促進され、保湿性が向上していることが分かった。また、高温運転時のセル性能は、比較例1より向上した(図7参照)。
(4)アノード側にはガス流路の入口部及び出口部のガス輸送抵抗だけを低減する機構を備え、カソード側にはガス流路の中央から出口部にかけて穏やかにガス輸送抵抗を低減する機構を備えた燃料電池(実施例2)の場合、電解質膜の相対湿度は実施例1とほぼ同様であった(図6参照)しかし、実施例2のセル電圧は、実施例1より高くなった(図7参照)。これは、カソードガス流路の出口側に向かってガス輸送抵抗を漸減させているために、保湿性を維持しつつ、カソードガス流路の出口側での触媒への酸素供給能力が向上し、酸素濃度過電圧を低減できたためと考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る燃料電池システムは、車載動力源、定置型発電機などに用いることができる。

Claims (6)

  1. 以下の構成を備えた燃料電池システム。
    (1)前記燃料電池システムは、
    アノードガス流路及びカソードガス流路が対向流構造を備えている固体高分子形燃料電池と、
    前記アノードガス流路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、
    前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と
    を備えている。
    (2)前記固体高分子形燃料電池は、
    前記アノードガス流路の出口及び入口の双方のガス輸送抵抗(A)が前記アノードガス流路の中央部の前記ガス輸送抵抗(A)より低くなるように、前記燃料ガスの主流方向に沿って前記ガス輸送抵抗(A)を変化させる第1ガス輸送抵抗変更機構と、
    前記カソードガス流路の出口及び入口の双方のガス輸送抵抗(B)が前記カソードガス流路の中央部の前記ガス輸送抵抗(B)より低くなるように、前記酸化剤ガスの主流方向に沿って前記ガス輸送抵抗(B)を変化させる第2ガス輸送抵抗変更機構と
    を備えている。
  2. 前記第1ガス輸送抵抗変更機構は、前記アノードガス流路の出口及び入口の双方に設けられた、前記アノードガス流路の断面積を減少させるための第1絞り部である請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記第2ガス輸送抵抗変更機構は、前記カソードガス流路の出口及び入口の双方に設けられた、前記カソードガス流路の断面積を減少させるための第2絞り部である請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記第1ガス輸送抵抗変更機構は、前記アノードガス流路の出口側及び入口側の双方の気孔率(A)が前記アノードガス流路の中央部の前記気孔率(A)より大きくなるように、前記燃料ガスの主流方向に沿って前記気孔率(A)を変化させたアノード側ガス拡散層である請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記第2ガス輸送抵抗変更機構は、前記カソードガス流路の出口側及び入口の双方の気孔率(B)が前記カソードガス流路の中央部の前記気孔率(B)より大きくなるように、前記酸化剤ガスの主流方向に沿って前記気孔率(B)を変化させたカソード側ガス拡散層である請求項1から4までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記第2ガス輸送抵抗変更機構は、前記カソードガス流路の中央から出口にかけて、前記ガス輸送抵抗(B)が段階的又は連続的に減少している漸減機構(B)を備えている請求項1から5までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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