JP7201971B2 - 人工骨、及び人工骨の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、多孔質セラミックスを含む人工骨、及び人工骨の製造方法に関する。
人工歯根等のインプラント材料において、その表面に炭素質薄膜を備えたものが公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1のインプラント材料において、炭素質薄膜は酸素を含む官能基(カルボキシル基)と、窒素を含む官能基(アミノ基)とを含んでいる。カルボキシル基及びアミノ基との比を所定の値とすることによって、破骨細胞への分化を抑制できると共に、骨芽細胞への分化を促進することができる。
多孔質構造を有する人工骨(例えば、特許文献2)が知られている。特許文献2の人工骨においては、骨を形成する細胞が孔内に入り込むことによって、骨組織形成が早期になされる。
特開2011-45559号公報 特開2003-38636号公報
特許文献1の人工骨では、官能基が炭素質薄膜の表面に設けられているため、炭素質薄膜の表面が血液等によって削られると、人工骨と骨を形成する細胞との親和性が低下するという問題があった。
本発明は、以上の背景を鑑み、多孔質構造を有する人工骨において骨を形成する細胞との親和性を高めることを課題とする。
上記課題を解決するために本発明のある態様は、人工骨(1)であって、互いに連通する複数の気孔(6)を備えた多孔質セラミックスを含む基材(2)と、前記基材の外面及び前記気孔の壁面(7)に形成された炭素質薄膜(10)と、前記炭素質薄膜の表面及び内部にアミノ基(12)を含む官能基(13)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、炭素質薄膜の表面及び内部にアミノ基が設けられるため、炭素質薄膜の表面が血液等によって削られたときに、炭素質薄膜の内部に設けられたアミノ基が露出するため、炭素質薄膜の表面が削られることによる人工骨と骨を形成する細胞との親和性が低下を防止することができる。また、気孔の壁面に炭素質膜が形成され、その炭素質膜の表面および内部にアミノ基が形成されるため、基材の内部においても人工骨と骨を形成する細胞との親和性を高めることができる。
上記の態様において、前記炭素質薄膜の表面及び内部における窒素の存在比は少なくとも3%以上であるとよい。
この構成によれば、炭素質薄膜に人工骨と骨を形成する細胞との親和性を持たせるために十分なアミノ基を設けることができる。
上記の態様において、前記炭素質薄膜の表面及び内部における窒素の存在比は少なくとも10%以上であるとよい。
この構成によれば、炭素質薄膜に人工骨と骨を形成する細胞との親和性を高めるために要するより十分な量のアミノ基を設けることができる。
上記の態様において、前記気孔は直径の平均が50μm以上600μm以下の略球状をなし、2つの前記気孔を連通させる気孔間連通部(8)は直径の平均が、5μm以上の略円形をなすとよい。
この構成によれば、骨を形成する細胞を基材の内部に入り込ませることができ、且つ、製造工程において、炭素質薄膜をより基材の内部の気孔の壁面に形成することができる。
上記の態様において、前記炭素質薄膜の少なくとも一部は前記基材の外面から1mm以上の深さの前記気孔の壁面(7)に形成されているとよい。
この構成によれば、骨を形成する細胞が基材の内部に入り込み易くなるため、人工骨と骨を形成する細胞との親和性がより高められる。
上記の態様において、前記炭素質薄膜は前記基材の中心部に位置する前記気孔の壁面に到るまで形成されているとよい。
この構成によれば、人工骨の内部全体において骨を形成する細胞との親和性を高めることができ、骨組織形成をより早めることができる。
上記の態様において、前記炭素質薄膜はポリマー膜であるとよい。
この構成によれば、高エネルギーイオンを入射することによって、炭素質薄膜を硬化させる工程を要することなく、炭素質薄膜を形成することができるため、人工骨の製造工程が簡素になる。
上記課題を解決するために本発明のある態様は、人工骨(1)の製造方法であって、互いに連通する複数の気孔(6)を備えた多孔質セラミックスを含む基材(2)を準備する工程と、炭化水素、窒素原子を含む分子、及び不活性ガスを含むプラズマを用いた化学気相堆積法により、前記基材の外面及び前記気孔の壁面(7)に炭素質薄膜(10)を形成する工程とを含むことを特徴とする。
この構成によれば、炭素質薄膜を成膜すると共に、炭素質薄膜にアミノ基を同時に結合させることができる。すなわち、炭素質薄膜の表面及び内部にアミノ基を設けることができる。これにより、炭素質薄膜の表面が削られた場合であっても、炭素質薄膜の表面にアミノ基が設けられた状態が維持される。よって、炭素質薄膜の表面が削られることによる人工骨と骨を形成する細胞との親和性が低下を防止することができ、骨を形成する細胞と親和性の高い人工骨をより簡素に製造することができる。
以上の構成によれば、多孔質構造を有する人工骨において骨を形成する細胞との親和性を高めることができる。
実施形態に係る(A)人工骨の模式図、(B)人工骨の気孔部分を示す模式図、(C)人工骨の表面の拡大図、及び、(D)気孔部分の拡大図 炭素質薄膜の内部の模式図 実施形態に係る人工骨の製造に用いられるプラズマ装置の概略図 基材(比較例)の表面、及び人工骨(実施例1、実施例2、及び実施例3)の表面の炭素質薄膜表面における元素(カルシウム(Ca)、リン(P)、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N))の存在比を示すグラフ 人工骨(実施例2)の表面の炭素質膜表面および内部における元素の存在比の深さ分布を示すグラフ (上段)3つの基材、(下段)実施例2の3つの試料に対する4日目におけるALP染色実験の結果を示す写真 比較例の試料及び実施例2の試料それぞれに細胞懸濁培養液を滴下後、2時間経過したときにカウントされた細胞接着数を示すグラフ (A)試料1~試料3の元素の存在比を示すグラフ、(B)プラズマ照射時間を0分、10分、30分、及び、90分とした場合の元素の存在比を示すグラフ、及び、(C)炭素質薄膜の厚さのプラズマ照射時間依存性を示すグラフ 実施例2の人工骨1のCa(カルシウム)、リン(P)、酸素(O)、炭素(C)、及び窒素(N)の存在比の深さ依存性を示すグラフ 人工骨と骨芽細胞様細胞との親和性の評価の手順(A)~(D)を説明するための説明図 骨芽細胞様細胞の継続培養後の(A)実施例2の人工骨、及び(B)基材2の染色後の切断面の写真 (A)基材、(B)オートクレーブ滅菌後の人工骨、及び(C)オートクレーブ滅菌処理なしの人工骨に対応するALP活性を示すグラフ SDラットに移植した(A)基材の側面、(B)基材の正面、(C)実施例2の人工骨の側面、及び(D)実施例2の人工骨の正面に対応するX線写真 SDラットに移植した(A)基材の染色後の断面図の写真、及びその(B)破線及び(C)二点鎖線で囲まれる部分の拡大図と、(D)実施例2の人工骨の染色後の断面図の写真、及びその(E)破線及び(F)二点鎖線で囲まれる部分の拡大図
以下、本発明に係る人工骨について説明する。
図1(A)に示すように、人工骨1はその母材となる基材2を含む。基材2は多孔質セラミックスを主成分として含んでいる。多孔質セラミックスは、ハイドロキシアパタイト、β―TCP(β-リン酸三カルシウム)、又は、ハイドロキシアパタイト及びβ―TCPの混合物によって形成されるとよい。
図1(B)に示すように、本実施形態では基材2は略直方体状をなしている。基材2は複数の気孔6を含み、多孔質構造をなしている。気孔6はそれぞれ孔壁面7によって画定され、略球状をなしている。気孔6の直径の平均は50μm以上600μmであり、より好ましくは80μm以上300μmである。本実施形態では、気孔6の直径の平均は150μmとなっている。気孔6は気孔間連通部8を介して互いに連通している。気孔間連通部8はそれぞれ略円形をなしている。気孔間連通部8の直径の平均は5μm以上であり、より好ましくは10μm以上100μm以下である。本実施形態では、気孔間連通部8の直径の平均は40μmとなっている。但し、気孔6の直径の平均は、基材2を樹脂中に包埋したものを研磨して、電子顕微鏡等で観察し、画像解析によりほぼ球状の気孔6を選択して、その気孔面積を測定することによって算出される。気孔面積は少なくとも300個以上の気孔6の気孔面積を測定して平均することによって算出されることが望ましい。ここで求められる気孔面積は、ほぼ球状の気孔6の一部を通過する平面での断面であり、気孔6の直径ではないため、三次元的な補正を行うとよい。気孔間連通部8の平均直径は、公知の水銀圧入法を用いて測定するとよい。水銀圧入法が適用できない場合、基材2の断面を電子顕微鏡で観察し、気孔間連通部8の直径を測定して、その平均を平均直径として算出するとよい。また、基材2における気孔率は60%以上90%以下であることが好ましく、生体組織が進入可能な気孔体積が50%となっているとよい。但し、気孔率は、基材2と同一組織を有する焼結体を作製し、真密度計を用いて求められた焼結体の真密度(ρ*)と、基材2の寸法から体積を求め、その重量を体積で除して得られた密度(ρ)とを用いて、1-ρ/ρ*として算出されるとよい。
基材2の外面及び孔壁面7には、図1(C)及び(D)に示すように、それぞれ炭素質薄膜10が設けられている。炭素質薄膜10の少なくとも一部は、基材2の外面(表面のうち外輪郭を画定する面)から所定の深さ(吸着深さ)に位置する孔壁面7にまで形成されている。吸着深さは少なくとも0.3mm以上であり、好ましくは少なくとも1mm以上である。更に好ましくは吸着深さは2mm以上である。本実施形態では、吸着深さは2mm程度となっている。
また、炭素質薄膜10は基材2の中心部に位置する気孔6の壁面に到るまで形成されていることが好ましい。これにより、基材2の外面から最も深い所に位置する気孔6の壁面、すなわち孔壁面7に形成されていることがより好ましい。
ここでいう深さとは試料の端(外面)に位置する基点からの距離を指す。基点はカメラを用いて試料の端の大体の位置を割り出し、その付近において、ランダムに複数の点においてXPSを測定した後、その複数の点の中から最もXPSの信号が取れた点によって定める。
炭素質薄膜10は炭化水素のポリマー膜であって、その厚さが0.1μm以上3.0μm以下であることが好ましい。炭素質薄膜10はダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜であってもよい。
炭素質薄膜10はその表面及び内部(図2参照)に、アミノ基12(第1級アミン-NH、第2級アミン-NH、又は第3級アミン-N)を含む官能基13(図2の二点鎖線によって囲まれる部分を参照)を有している。アミノ基12は炭素質薄膜10の内部において概ね一様に設けられている。
但し、本明細書においては、第1級アミン、第2級アミン、及び第3級アミンを総称してアミノ基と記載する。(ここでいうアミノ基12には、より厳密には、アンモニア、第1級アミン又は第2級アミンから水素を除去した1価の官能基(-NH,-NHR,-NRR´)(Rは炭化水素残基)を意味する。本明細書においては、必要に応じて、アンモニアから水素を除去した1価の官能基を第1級アミン(-NH)と記載し、第1級アミンから水素を除去した1価の官能基を第2級アミン(-NH)と記載し、第2級アミンから水素を除去した1価の官能基(-N)を第3級アミンと記載する。)
官能基13には酸素を含む官能基であるカルボキシル基14(-COOH)が含まれていてもよい。また、人工骨1と骨を形成する細胞との親和性を高めるために要する十分な量のアミノ基12を炭素質薄膜10に設けるため、炭素質薄膜10の表面及び内部における窒素の存在比(炭素、酸素等を含んだ炭素質薄膜10における窒素の存在比)は、3%以上であるとよく、より好ましくは10%以上であるとよい。より詳細には、各元素の存在比はX線光電子分光法(XPS)を用いて得られた光電子のエネルギースペクトルに基づいて定めるものとし、対象となる点を中心としてXPSで用いられるX線のスポット径(2mm~1cm程度)を直径とする球体内に位置する全原子に対する各元素の原子の割合に相当する。
次に、人工骨1の製造方法について説明する。人工骨1の製造には、図3に模式的に示すプラズマ装置20が使用される。プラズマ装置20は真空チャンバ21(以下、チャンバ)を有し、チャンバ21の内部には上下に対をなす円板状の平行平板電極22、23が設けられている。下側の平板電極22は接地され、上側の平板電極23には電圧発生器24が接続されている。チャンバ21はチャンバ21内を排気するための真空ポンプ25に接続されている。
人工骨1の製造時には、まず、基材2を下側の平板電極22の上に配置した後、真空ポンプ25によって、チャンバ21を真空排気することにより、成膜するための準備を行う(準備工程)。
次に、チャンバ21の内部を排気しつつ、窒素、炭化水素を含むガス、及び不活性ガスをそれぞれチャンバ21の内部にそれぞれ一定流量で導入する。炭化水素を含むガスとしてはメタンガスを用いるとよい。このように、小分子量の炭化水素を用いることによって、炭化水素の分子量を小さくできるため、他の炭化水素を使用するよりも、基材2の外面からより深くに炭化水素が侵入し易くなる。また、不活性ガスとしてはヘリウムガス又はアルゴンガスを用いるとよい。
次に、上側の平板電極23に電圧発生器24から所定の電圧を印加し、平板電極22、23の間にプラズマを発生させる。プラズマを発生させる条件は公知のものであってよく、たとえば、窒素ガスの流量は5sccm、メタンガスの流量を5sccm、ヘリウムガス又はアルゴンガスの流量は5sccmに設定されているとよい。より詳細なプラズマを発生させる条件については、Moriguchi Y, Lee D-S, Chijimatsu R, Thamina K, Masuda K, Itsuki D, et al. (2018) Impact of non-thermal plasma surface modification on porous calcium hydroxyapatite ceramics for bone regeneration. PLoS ONE 13(3): e0194303.を参考にするとよい。
上側の平板電極23に電圧が印加されると、チャンバ21内の窒素分子および炭化水素を含むガスの一部は解離して化学的に活性なラジカルとなる。また、平板電極22、23の間に生じた電界によって加速された電子と衝突することにより、プラズマ中の分子やラジカルの電子状態が励起されて化学的にさらに活性となりえる。活性化したこれらの化学種(プラズマ中の分子やラジカル)は基材2の外面及び、基材2の外面から所定の深さまでの孔壁面7に吸着し、炭素質薄膜10を形成する(成膜工程)。すなわち、成膜工程において、窒素、炭化水素(メタン)、及び不活性ガス(ヘリウム又はアルゴン)を含むプラズマを用いた、化学気相堆積法の一つであるいわゆるプラズマCVDによって炭素質薄膜10が成膜される。
成膜工程においては、窒素が一定流量で導入されているため、炭素質薄膜10はアミノ基12によって終端されつつ成膜される。これにより、アミノ基12は炭素質薄膜10の表面及び内部に概ね一様に分布する。
成膜工程を所定時間継続することによって、基材2の外面、及び外面から少なくとも0.3mm以上、より好ましくは1mm以上の深さまでの孔壁面7に形成された炭素質薄膜10の表面及び内部にアミノ基12が設けられる。
このように、孔壁面7に形成された炭素質薄膜10の表面及び内部にアミノ基12を設けることによって、孔壁面7と骨を形成する細胞との親和性が高められる。これによって、骨を形成する細胞が基材2の内部に入り込み易くなり、気孔6の内部においても骨を形成する細胞と人工骨1とが結合し易くなる。
また、炭素質薄膜10は基材2の中心部に位置する気孔6の壁面に到るまで形成されているとよい。より詳細には、炭素質薄膜10は基材2の外面から最も深い所に位置する気孔6の壁面(孔壁面7)に達していることがより好ましい。これにより、人工骨1の内部に形成されたいかなる深さの気孔6にも炭素質薄膜10が形成される。よって、人工骨1が血液などによって削られた場合であっても細胞との親和性を保つことができるとともに、人工骨1の内部全体において骨を形成する細胞との親和性を高めることができる。
また、成膜工程では、炭素質薄膜10がポリマー膜として形成されればよく、必ずしもダイヤモンドライクカーボンとして形成されることを要しない。これにより、ダイヤモンドライクカーボンを形成するときのように高エネルギーイオンを入射することによって、炭素質薄膜10を硬化させる工程を要せず、より簡素な工程によって炭素質薄膜10を形成することができる。
成膜工程が完了した後、チャンバ21の内部を排気する。その後、チャンバ21の内部に窒素又は大気等を導入して、チャンバ21をベントし、基材2を取り出す(取出工程)ことによって、人工骨1の製造が完了する。
次に本発明に係る人工骨1の効果について説明する。上記の製造工程を行うことによって、多孔質のハイドロキシアパタイトからなる基材2を導入してメタン、窒素及びアルゴンを導入して30分プラズマ照射した人工骨1(実施例1)、同様の基材2にメタン、窒素及びヘリウムを導入して30分プラズマ照射した人工骨1(実施例2)、及び同様の基材2にメタン、窒素及びヘリウムを導入して20分プラズマ照射した人工骨1(実施例3)を用意した。但し、実施例1、実施例2、及び実施例3において、メタンの流量、アルゴンの流量、及びヘリウムの流量は同一に設定した。また、実施例1の窒素ガスの流量は、他のガスの流量と同じであり、実施例2及び実施例3の成膜工程においては、窒素ガスの流量を実施例1の場合に比べて2倍にした。また、実施例2では、プラズマ照射時のチャンバ内の圧力を実施例1及び実施例3の場合の7割に設定した。また、実施例1~実施例3の人工骨1の製造には、半径5mm、厚さ2mmの円柱状の基材2を用いた。
次に、基材2(比較例)の表面と、実施例1、実施例2、及び実施例3の外面に設けられた炭素質薄膜10の表面とにおけるカルシウム(Ca)、リン(P)、酸素(O)、炭素(C)、及び窒素(N)の存在比(%)をそれぞれ、X線光電子分光法(XPS)によって測定して、図4に示した。より具体的には、XPS装置である株式会社島津製作所製のESCA850Mを用い、各試料の表面にMgKα線(1253.6eV)を照射して、生じた光電子のエネルギースペクトルを測定することによって、各原子の存在比(%)を算出した。なお、XPSでは水素を検出できないので、図4では水素の存在比は無視されている。また、ESCA850Mでは、X線のスポット径は1cm程度となっている。
図4に示すように、実施例1、実施例2、及び実施例3においてそれぞれ、比較例に比べてリン及び酸素の存在比が減少している。これは、実施例1、実施例2及び実施例3の基材2の表面が炭素質薄膜10によって覆われて、下地となる基材2(ハイドロキシアパタイト)を構成する原子から放出される光電子が少なくなっていることを示している。また、実施例1、実施例2及び実施例3においてそれぞれ、比較例に比べて炭素及び窒素の存在比が増加している。これは、実施例1、実施例2及び実施例3の表面に形成された炭素質薄膜10にアミノ基12が設けられていることを示している。
実施例2、実施例2、実施例3において、窒素の存在比に比べて酸素の存在比は少ないことから、炭素質薄膜10の表面には、カルボキシル基14はアミノ基12の数に比べて少ないと推察される。
炭素質薄膜10の成膜時に窒素が導入されているため、炭素質薄膜10の表面のみならず、内部にもアミノ基12を構成する窒素原子が存在していることが期待できる。これを確かめるため、実施例2の炭素質薄膜10をアルゴンイオンビームよってエッチングしながら、株式会社島津製作所製のESCA850Mを用いてカルシウム(Ca)、リン(P)、酸素(O)、炭素(C)、及び窒素(N)の存在比を測定した。図5には、測定された各元素の存在比のエッチング深さ依存性、すなわち、人工骨1(実施例2)の外面に設けられた炭素質薄膜10の表面および内部における元素の存在比の深さ分布を示すグラフが示されている。図5から、窒素の存在比が炭素質薄膜10の表面から100Å(0.01μm)の深さまで概ね一定であることが分かる。これにより、炭素質薄膜10の表面及び内部にアミノ基12が設けられていることが確かめられる。このように、窒素、炭化水素、及びアルゴンを含むプラズマを用いることによって、炭素質薄膜10の表面及び内部にアミノ基12を設けることができる。これにより、炭素質薄膜10の表面が血液等によって削られた場合でも、アミノ基12が炭素質薄膜10の表面に露出して、炭素質薄膜10の表面にアミノ基12が設けられた状態が維持されるため、人工骨1と骨を形成する細胞との親和性を維持することができる。
本実施形態では、成膜時に窒素の流量が一定に保たれているため、アミノ基12は炭素質薄膜10の表面及び内部において概ね一様に分布している。そのため、炭素質薄膜10の削られた量によらず、人工骨1と骨を形成する細胞との親和性が概ね一定に保たれる。
人工骨1と骨を形成する細胞との親和性を持たせるため、炭素質薄膜10の表面及び内部における窒素の存在比は3%以上、より好ましくは10%以上であるとよい。これにより、炭素質薄膜10に人工骨1と骨を形成する細胞との親和性を持たせるために十分なアミノ基12を設けることができる。
本実施形態では、窒素の存在比はそれぞれ、10.2%(実施例1)、17%(実施例2)、及び13%(実施例3)となっている。これにより、人工骨1と骨を形成する細胞との親和性が高められている。実施例1~実施例3において窒素の存在比は10%以上であることから、炭素の存在比に対する窒素の存在比もまた、それぞれ10%以上となっている。
次に、炭素質薄膜10を設けることによる効果を確かめるため、比較例の3つの試料、及び実施例2の3つの試料を用いて、マウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1 cell lineを用いてアルカリホスファターゼ(ALP)染色実験を行った。図6に示すように、4日目におけるALP染色実験においては、上段に示す比較例の場合には、ALP染色ではほとんど染色が認められない。一方、下段に示す実施例2の3つの試料においてそれぞれ、ALP染色が認められる。これにより、炭素質薄膜10を設けることによって、骨芽細胞の増殖及び分化が促進され、骨を形成する細胞との親和性を高められていることが確認された。
さらに、炭素質薄膜10を設けることによる効果を確かめるため、マウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1 cell lineを用いた細胞接着を評価する実験を行った。細胞懸濁培養液を実施例2及び比較例のそれぞれの試料に滴下し、2時間後にそれぞれの試料に接着した細胞の数(接着細胞数)をカウントした。図7に示すように、実施例2の試料では、比較例の試料に比べて有意に接着細胞数が増加していることから、炭素質薄膜10を設けることによる細胞接着促進効果が確認された。
成膜時の窒素の導入によってアミノ基12が炭素質薄膜10に形成されることを確認するため、窒素流量のみを変更して成膜を行うことによって、3つの試料(試料1、試料2,試料3)を作成した。但し、試料1は、基材2の代わりにシリコンウエハを用いたこと、及びアルゴンの代わりにヘリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様のプラズマ条件によって30分プラズマ照射することによって作製した。試料2は、シリコンウエハに、試料1の作成時のプラズマ条件において、窒素の流量のみを倍に変更して30分プラズマ照射することによって作製した。試料3は、シリコンウエハに、試料1の作成時のプラズマ条件において、窒素の流量のみを0に変更して30分プラズマ照射することによって作製した。但し、試料1~試料3は、シリコンウエハ上にプラズマを照射することによって作製されているが、シリコンウエハを用いた場合であっても、基材2を用いた場合と同様の組成の炭素質薄膜10が形成される。成膜後、試料1~3のそれぞれの表面に成膜された炭素質薄膜10に対してXPSを測定した。但し、XPSの測定には、株式会社島津製作所製のKRATOS AXIS-165Xを用いた。KRATOS AXIS-165Xでは、X線のスポット径は2mm程度となっている。
図8(A)には、XPSのC(炭素)1sスペクトル、N(窒素)1sスペクトル、O(酸素)1sスペクトル、Si(シリコン)2pスペクトルに基づいて得られた試料1~3の炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、及びシリコン(Si)の存在比(%)が示されている。試料3では窒素の存在比がおおむね0%であり、試料1、及び試料2では窒素の存在比が10%以上であることが確認できる。これにより、成膜時の窒素の導入によって、窒素の存在比が0%より大きな有意な値(例えば、3%以上、より明瞭には10%以上)となり、窒素の流量が増加するにつれて、窒素の存在比が増加することが確認できる。
次に、アミノ基12が炭素質薄膜10の内部に設けられていることを更に確認するため、試料1作成時のプラズマ条件を用い、プラズマ照射時間を変えて、シリコンウエハにプラズマ照射を行った。その後、KRATOS AXIS-165Xを用いてXPSを測定して、各元素の存在比を求めた。図8(B)には、プラズマ照射時間を0分(すなわち、プラズマ照射なし)、10分、30分、及び90分とした場合の炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、及びシリコン(Si)の存在比(%)が示されている。但し、存在比の算出には、図8(A)と同様に、C(炭素)1sスペクトル、N(窒素)1sスペクトル、O(酸素)1sスペクトル、Si(シリコン)2pスペクトルを用いた。図8(B)に示すように、窒素の存在比は約12%で一定であり、窒素の存在比はプラズマの照射時間に依存しないことが分かる。図8(C)に示すように、プラズマの照射時間に応じて、炭素質薄膜10の厚さは単調に増加していくことから、炭素質薄膜10の内部においても窒素、すなわち、アミノ基12が均一に存在していることが確認できる。
次に、実施例2の人工骨1のCa(カルシウム)、リン(P)、酸素(O)、炭素(C)、及び窒素(N)の存在比の深さ依存性を評価して、図9に示すグラフを得た。但し、存在比はX線光電子分光法(XPS)を用いて得られた光電子のエネルギースペクトルに基づいて定めるものとし、測定にはPHI社製のQuanteraSXMを用いた。但し、深さの基準(すなわち深さ0の点)である基点を、QuanteraSXMに付属のカメラによって、測定対象である実施例2の人工骨1の上端の大体の位置を割り出し、その付近において、ランダムに複数の点においてXPSを測定した後、その複数の点の中から最もXPSの信号が取れた点によって定めた。
図9に示すように、炭素及び窒素の存在比は上面側で最も高く、0~0.5mmの深さまでは深くなるにつれてともに減少している。その後、下面近傍(~2mm)で、炭素及び窒素はどちらも僅かに増加する傾向が確認できる。窒素は0~0.5mmの深さまでは深くなるにつれて減少していること、また、成膜工程を行わない場合には窒素の存在比は0.5%程度であることから、成膜工程の結果、窒素が深さ0.5~1.0mmまで存在していることが確認できた。これにより、実施例2の人工骨1において、アミノ基12は0.5~1.0mmの深さまで形成されているといえる。
次に、人工骨1と骨を形成する細胞である骨芽細胞様細胞との親和性の評価を行った。まず、製造から1カ月経過した実施例2の人工骨1をオートクレーブ滅菌した。滅菌後、1日経過した人工骨1の上面に、マウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1を含む細胞懸濁液(3×10cells/35μl)を滴下し(図10(A)を参照)、約1時間接着させた(図10(B)参照)。接着後、人工骨1をシャーレに収容し、さらに培地を入れて、約2時間継続培養を行った(図10(C)参照)。その後、人工骨1を取出し、Crystal violet染色した。その後、染色後の人工骨1を中央で切断し、図11(A)に示す切断面の画像を得た。同様の処理を、基材2に対しても行い、図11(B)に示す切断面の画像を得た。図11(B)では、図11(A)に比べて内部が染色されていることから、骨を形成する細胞が人工骨1に侵入し易いことが確認できる。
さらに、基材2、オートクレーブ滅菌後の実施例2の人工骨1、及び、オートクレーブ滅菌処理なしの実施例2の人工骨1をそれぞれ、図10に示す処理を行った後、ALP活性を測定した。図12(A)は基材2、(B)はオートクレーブ滅菌後の実施例2の人工骨1、(C)はオートクレーブ滅菌なしの実施例2の人工骨1それぞれにおいて測定されたALP活性値を示している。図12(A)と、図12(C)とを比較することによって、人工骨1は基材2に比べて、骨を形成する細胞との親和性が高いことが確認できる。また、図12(B)と(C)とを比較することによって、オートクレーブ滅菌処理を行った場合でも、人工骨1と骨を形成する細胞との親和性が大きくは低下していないことから、人工骨1の内部に骨を形成する細胞が侵入していることを示している。
さらに、人工骨1と骨を形成する細胞との親和性を評価するため、基材2、及び実施例2の人工骨1をそれぞれオートクレーブ滅菌後、生後10週齢のオスのSDラットのホストとなる骨に移植し、術後6週間にレントゲン撮影を行った。図13(A)及び(B)は基材2、図13(C)及び(D)は実施例2の人工骨1に対応するX線写真である。図13(A)及び(C)や、図13(B)及び(B)の破線で囲まれた部分から、骨を形成する細胞が内部に侵入することによって、基材2に対して実施例2の人工骨1では内部が白くなっていることが確認できる。よって、基材2に比べて人工骨1において骨を形成する細胞が侵入し易いことが確認できる。
図14には移植後の(A)基材2、及び(D)実施例2の人工骨1をそれぞれSDラットから取り出し、染色した後の写真が示されている。図14(B)及び(C)はそれぞれ移植後の基材2の中央部(図14(A)の破線で囲まれる部分)、及びラットの骨との接触部分(図14(A)の一点鎖線で囲まれる部分)の拡大写真である。図14(E)及び(F)はそれぞれ移植後の実施例2の人工骨1の中央部(図14(D)の破線で囲まれる部分)、及びラットの骨との接触部分(図14(D)の一点鎖線で囲まれる部分)の拡大写真である。図14(B)では、気孔6の内部は線維組織が主体であって骨形成は少量のみ確認されるのに対して、図14(E)では、大部分の気孔内への骨形成が確認できた。また、図14(C)では、ホスト骨界面には線維組織が介在し、偽関節となっているのに対し、図14(F)では、ホスト骨界面での骨癒合が確認できる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態において、基材2は略直方体状であったが、これには限定されず、例えば、基材2は顆粒状、円柱状、又は柱状であってもよい。
成膜工程において、チャンバ21の内壁に吸着した酸素やチャンバ21のリーク等によってカルボキシル基14が形成される虞がある場合には、平板電極22、23に電圧を印加する前に、不活性ガスを流した状態で5分~10分程度維持するとよい。これによって、チャンバ21の内部が不活性ガスによって換気され、酸素濃度が低下するため、炭素質薄膜10にカルボキシル基14が結合され難くなる。また、成膜工程の前に、チャンバ21の内部を不活性ガス(例えば、アルゴン)によって置換し、真空ポンプ25によって排気する工程(パージ・フラッシュ)を複数回繰り返すことによって、チャンバ21の内部の酸素濃度を低下させてもよい。
上記実施形態では、炭素質薄膜10はポリマー膜であったが、これには限定されず、いかなる態様の薄膜であってもよい。炭素質薄膜10は例えば、グラファイト状炭素、アモルファス炭素であってもよい。
上記実施形態では、炭化水素、不活性ガス、及び窒素を含むプラズマを用いた化学気相堆積法により、表面及び内部にアミノ基12を含む官能基13を有する炭素質薄膜10を成膜していたが、この方法には限定されない。例えば、窒素の代わりに窒素原子を含有する分子を含むガスを用いればよく、窒素、アンモニア、シクロプロピルアミンからなる群から選択された少なくとも1種類の分子を含むガスを用いてもよい。窒素、アンモニア、シクロプロピルアミンからなる群から選択された少なくとも1種類の分子を含むガス用いることで、炭素質薄膜10の表面及び内部にアミノ基12をより確実に設けることができる。
上記実施形態では、炭化水素としてメタンが用いられていたが、この態様には限定されず、例えば、エタンやプロパン、エチレンであってもよい。
上記実施形態では、炭素質薄膜10の表面及び内部における窒素の存在比(炭素、酸素等を含む炭素質薄膜10における窒素の存在比)に基づいて、人工骨1と骨を形成する細胞との親和性を評価したが、この態様には限定されない。例えば、炭素質薄膜10の表面及び内部における炭素の存在比に対する窒素の存在比の比率に基づいて評価を行ってもよく、この場合は、炭素質薄膜10の表面及び内部における窒素の存在比が、炭素の存在比の少なくとも10%以上であるとよい。
1 :人工骨
2 :基材
6 :気孔
7 :孔壁面
8 :気孔間連通部
10 :炭素質薄膜
12 :アミノ基
13 :官能基

Claims (12)

  1. 互いに連通する複数の気孔(6)を備えた多孔質セラミックスを含む基材(2)と、
    前記基材(2)の外面及び前記気孔(6)の壁面(7)に形成された炭素質薄膜(10)と、
    前記炭素質薄膜(10)の表面及び内部に設けられたアミノ基(12)を含む官能基(13)とを有することを特徴とする人工骨(1)
  2. 前記炭素質薄膜(10)はポリマー膜であることを特徴とする請求項1に記載の人工骨(1)。
  3. 前記アミノ基(12)を構成する原子には窒素が含まれ、
    前記炭素質薄膜(10)の表面及び内部における窒素の存在比は少なくとも3%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の人工骨(1)
  4. 前記炭素質薄膜(10)の表面及び内部における窒素の存在比は少なくとも10%以上であることを特徴とする請求項に記載の人工骨(1)
  5. 前記気孔(6)は直径の平均が50μm以上600μm以下の略球状をなし、
    2つの前記気孔(6)を連通させる気孔間連通部(8)は直径の平均が5μm以上の略円形をなすことを特徴とする請求項1~請求項のいずれか1つの項に記載の人工骨(1)
  6. 前記炭素質薄膜(10)は前記基材(2)の外面から0.3mm以上の深さの前記気孔(6)の壁面(7)に到るまで形成されていることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか1つの項に記載の人工骨(1)
  7. 前記炭素質薄膜(10)は前記基材(2)の外面から1mm以上の深さの前記気孔(6)の壁面(7)に到るまで形成されていることを特徴とする請求項に記載の人工骨(1)
  8. 前記炭素質薄膜(10)は前記基材(2)の中心部に位置する前記気孔(6)の壁面(7)に到るまで形成されていることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか1つの項に記載の人工骨(1)
  9. 前記炭素質薄膜(10)は厚さが0.1μm以上3.0μm以下であることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか1つの項に記載の人工骨(1)
  10. 請求項1に記載の人工骨(1)の製造方法であって、
    前記基材(2)を準備する工程と、
    炭化水素、及び、窒素原子を含む分子を含むプラズマを用いた化学気相堆積法により、前記基材(2)の外面及び前記気孔(6)の壁面(7)に前記炭素質薄膜(10)を形成する工程とを含むことを特徴とする人工骨(1)の製造方法。
  11. 前記窒素原子を含む分子は、アンモニアを含む請求項10に記載の人工骨(1)の製造方法。
  12. 前記窒素原子を含む分子は、シクロプロピルアミンを含む請求項10に記載の人工骨(1)の製造方法。
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