5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
5.1 治療法
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
5.2 治療システム
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
5.3 患者インターフェース
図3Aを参照すると、本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
5.3.1 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。
目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーンまたは他の生体適合性材料)から構成され得る。
一形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉機構を用いるシーリングフランジを含む。使用時において、シーリングフランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
一形態において、シール形成構造は、圧縮シーリング部またはガスケットシーリング部を含み得る。使用時において、圧縮シーリング部またはガスケットシーリング部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えばシーリングフランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシストシーリングフランジ、圧縮シーリング部、ガスケットシーリング部、張力部、および粘着面または接着面を有する部位のうち1つ以上を含み得る。
シール形成構造3100は非侵襲的であり得る(すなわち、患者の気道の内部へと延びない)。本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100のいかなる部分も使用時において患者の口に進入することはない。本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100は、使用時において患者の口を露出させたままにするように構成される。本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100は、使用時において患者の目を覆わない。
一形態において、シール形成構造3100は、シーリングフランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、プレナムチャンバ3200のシーリングフランジおよび周辺縁よりも比較的肉厚であり得る。そして、縁部長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、シーリングフランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。使用時において、シーリングフランジは、プレナムチャンバ3200中のシステム圧力に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。
別の形態において、非侵襲的患者インターフェースのシール形成部分は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔との密閉を形成するように構成および配置される。本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
一形態において、シール形成構造は、使用時に鼻孔の周囲の鼻下側および任意選択的に上唇とシールを形成するように構成される。この種のシール形成構造は、「鼻クレードルクッション」または「鼻下マスク」(例えば、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造3100など)とも呼ばれ得る。シール形成構造の形状は、患者の鼻の下側に整合するかまたは患者の鼻の下側を近密に追随するように構成され得る(すなわち、シール形成構造のプロファイルおよび角度は、患者の鼻唇角度と実質的に平行であり得る)。鼻クレードルクッション一形態において、シール形成構造は、2つのオリフィスを規定する中隔部材を含む。これら2つのオリフィスはそれぞれ、使用時に空気または呼吸可能なガスを患者鼻孔のうち異なる1つへ供給する。中隔部材は、使用時に患者の鼻柱と接触するかまたは患者の鼻柱をシールするように、構成され得る。本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100は、患者の鼻の鼻ブリッジ領域と接触すること無く患者の鼻の下側とのシールを形成するように、構成される。鼻クレードルインターフェース3000も、例えば、図4A~図4D、図10および図11に示す。いくつかの例において、患者インターフェースは、PCT公報第WO2018/176094号(出願日:2018年3月29日)に記載のようなクレードルクッションの形態のシール形成構造9100を含み得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に密閉を形成するシール形成部分を含む。例えば図1Bに示した患者インターフェース3000がこの場合である。このシール形成部分は、空気供給または呼吸可能なガスを単一のオリフィスを介して患者1000の双方の鼻孔へ送達させる。この種のシール形成構造は、「鼻クッション」または「鼻マスク」とも呼ばれ得る。本技術のいくつかの実施例において、位置決めおよび安定化構造は、鼻クッションを患者の顔上の密閉位置に保持するために利用され得る。
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の顎領域、鼻ブリッジ領域、および頬領域上に密閉を形成するシール形成部分を含む。例えば図1Cに示した患者インターフェース3000がこの場合である。このシール形成部分は、空気供給または呼吸可能なガスを単一のオリフィスを通じて患者1000の双方の鼻孔および口腔へ送達させる。この種のシール形成構造は、「フルフェイスマスク」とも呼ばれ得る。本技術のいくつかの実施例において、位置決めおよび安定化構造は、フルフェイスクッションを患者の顔上の密閉位置に保持するために利用され得る。
別の形態において、患者インターフェース3000は、鼻シール形成構造と、口腔シール形成構造とを含む。鼻シール形成構造は、鼻クッションまたは鼻クレードルクッションの形態をとり、口腔シール形成構造は、使用時に患者口腔周囲にシールを形成するように構成される(これは、「口腔クッション」または「口腔マスク」とも呼ばれ得る)。このようなマスクにおいて、空気または呼吸可能なガスは、使用時に別個のオリフィスを通じて患者の鼻孔および患者の口腔へ供給される。この種のシール形成構造3100は、「口腔鼻クッション」または「超コンパクト型のフルフェイスクッション」と呼ばれ得る。一形態において、鼻シール形成構造および口腔シール形成構造は、単一のコンポーネントとして一体形成される。いくつかの例において、患者インターフェースは、PCT公報第WO2019/183680号(出願日:2019年3月28日)に記載のようなクレードルクッションの形態のシール形成構造を含み得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。本技術のいくつかの例において、患者インターフェースの位置決めおよび安定化構造は、患者の顔上のシーリング位置において口腔鼻クッションを保持するために用いられ得る。
本技術のいくつかの実施例において、プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。使用時において、プレナムチャンバの周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造によって提供される。シール形成構造は、使用時においてプレナムチャンバの周囲全体の周りに延び得る。いくつかの形態において、プレナムチャンバおよびシール形成構造は、単一の均質的材料ピースから形成される。
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバは、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバは、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバは、半透明材料から構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100は、使用時にシール形成構造が患者頭部のオトガイ隆起領域の下側に延びないように構成される。
他に明記無き限り、本技術による患者インターフェースの実施形態は、上記種類のシール形成構造のうちいずれかを含み得る。
5.3.2 シール形成構造構成
本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100(クッショニング構造、形状適合構造またはインターフェーシング構造とも呼ばれる)は、織物または織物材料によって構成される。例えば、シール形成構造3100は、織布、不織布、ニットまたは他の任意の繊維網であり得る。織物材料から形成されたシール形成構造3100を用いると、患者の顔に対向するシール形成構造の快適性および感触の向上に繋がり得る。快適性が向上すると、患者が治療を受けるために装置を継続使用する可能性が高まり得る。
シーリング構造は、患者の鼻および/または口への空気送達のために患者の顔に押し付けられる表面を形成するために用いられ得る。患者の中には、シリコーンまたは他の材料と対照的な織物材料が自身の顔に対向している感触を理解する者もいる。シーリング構造は、本詳細な説明において管および空気送達システムを参照して後述するような類似の技術および方法を用いて形成され得る。例えば、カットアンドシール方法や堆積方法が用いられ得る。
使用時において、このような技術により、多様なコンポーネントが形成され得る。いくつかの形態において、治療デバイスのマスクコンポーネントが、製造の堆積方法を用いて形成され得る。一形態において、鋳型上に離型剤が配置される。次に、マスク内において用いられる層が、鋳型内に配置される。この層は、多様な材料によって形成され得る。いくつかの形態において、この層は、布型材料であり得る。他の形態において、層は、プラスチック、熱可塑性、ゴム、シリコーンまたは他の屈曲可能または可撓性の材料であり得る。
図6Aおよび図6Bを参照して、織物を用いたシール形成構造が図示されている。図示のように、シール形成構造3100は、シーリング層3102およびベース3104を含む。シール形成構造3100全体を管3350などの供給導管へ取り付けられた受容レセプタクルを取り付けることができるように、シーリング層3102をベース3104へ固定することができる。図示のように、シーリング層3102は、事前規定された3次元形状を含む。この事前規定された3次元形状は、シーリング層3102そのものの材料を超えた空気圧力またはさらなる支持構造による支援無しに達成される。事前規定された3次元形状は、(シーリング層3102を形成している材料の厚さではなく)シーリング層3102の多様な部位の幾何学的位置によって規定される。例えば、シーリング層3102が屈曲されて多様な平面を形成するために用いられる材料は、これらの多様な平面内における形状を維持するように構成される。
図6A~図6Eに示すように、シーリング層3102は、特に患者の鼻領域と相互作用および係合するように形成され得る。患者による着用時において、シーリング層3102の上面は、患者の顔の特定の部位と係合するように構成され得る。例えば、第1の鼻腔開口部3108および第2の鼻腔開口部3110に隣接する部位は、患者の鼻翼と係合するように構成され得る一方、鞍状領域3109は、患者の鼻柱から間隔を空けて配置され得る。さらに、鼻唇溝係合領域3106は、患者の鼻唇溝と係合するような形状にされ得る。さらに、シール形成構造3100の構成については、患者の口がシール形成構造3100による妨害を受けないような構成にされているため、患者は(患者の口腔を通過する加圧空気無しに)自身の口腔を通じて呼吸することができる。さらに、図6A~図6Eに示すように、シーリング層3102は、シーリング層3102が鼻梁を超えて延びないように形成される。例えば、使用時において、少なくとも外側軟骨部、鼻骨および鼻中隔軟骨は、シーリング層3102によって被覆されない(図2Lを参照)。
いくつかの形態においてシーリング層3102の形状の支持のために空気圧力は不要であるが、シーリング層3102の部位が空気圧力により向上して、シーリング層3102と患者の顔との間の良好なシーリングにおいて貢献する。例えば、いくつかの形態において、シーリング層3102のコンサーティーナ状部が、ベース3104に隣接して形成され得る。加圧を受けると、コンサーティーナ部は膨張し得るため、シーリング層3102と患者の顔との間のシーリング圧力がさらに得られる。さらに、シーリング層3102の他の部位が、膨張して患者の顔の特定の領域(例えば、鼻唇溝)と係合するように構成され得る。
シーリング層3102は変形可能であり得るため、患者インターフェース3000から通常の量の力を受けて押圧された場合、シーリング層3102は変形する。シーリング層3102は、患者の顔の多様な部位の形状に形状適合し得るため、空気漏れが最小限になる。患者の顔から取り外された後は、シーリング層3102は、変形前の形状へ弾性的に戻り得る。すなわち、シーリング層3102は、押圧されていないときは3次元形状を有するため、シーリング層3102から力が解放された後は、シーリング層3102は復元する。
シーリング層3102は多様な層により形成され得るため、シーリング層3102はラミネート構造となる。これらの層はそれぞれ、シーリング層3102へ特定の特性を付与し得る。本技術の一形態において、シーリング層3102は、熱可塑性材料または熱硬化性材料を含む。この材料は、硬化させると特定の形状を維持することができる。例えば、一形態において、シーリング層3102は、発泡材料などの熱硬化性材料を含み得る。この熱硬化性材料は、鋳型に形状適合し得、図7A~図7Hに示すように鋳型の形状を保持し得る。
シーリング層3102は、鼻または鼻領域の特定の領域に押圧されるように構成され得る。例えば、鼻唇溝領域3106は、患者の鼻唇溝領域に押圧されるように構成され得る。さらに、シーリング層3102の他の領域が、患者の患者に対応するような特定の形状にされ得る。シーリング層3102に含まれる第1の鼻腔開口部3108および第2の鼻腔開口部3110は、患者の各鼻腔と整列されるように構成される。さらに、シーリング層3102に含まれる鞍状領域3109は、第1の鼻腔開口部3108および第2の鼻腔開口部3110それぞれの間に配置される。鞍状領域3109は、使用時においてユーザの鼻柱から離隔方向に延びるため、シーリング層3102の材料は患者の鼻から間隔を空けて配置されることになり、快適性が増す。
患者の顔をシーリングする表面がベース3104から間隔を空けて配置されるように、シーリング層3102を特定の形状にしてもよい。シーリング層3102をベース3104から間隔を空けて配置することにより、シーリング層3102のより柔軟な表面とベース3104の硬質組成との間にクッショニングゾーンまたはバッファーゾーンを形成することができる。例えば、図6Dに示すように、シーリング層3102の高さ3111により、シーリング層3102の係合表面が患者インターフェース3000の他のコンポーネントから間隔を空けて配置される。シーリング層3102は、高さ3111に加えて、図面全体において示すように、正および負の曲率、鞍状領域および半球形状や他の構成を有する多様な領域を有し得る。シーリング層の特定の形状は、患者の気道と係合するように形成され得る。これらの特定の形状は、本詳細な説明に記載のような複雑な形状または他の技術により、鋳型を用いて形成することができる。
いくつかの形態において、第1の鼻腔開口部3108および第2の鼻腔開口部3110は、周囲表面から隆起した形状にされ得る。すなわち、いくつかの形態において、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110の周囲の材料に含まれるフランジ3107が、シール層3102表面から離隔方向においてユーザの鼻腔へ延びる。シール層3102の特定の領域を隆起させることにより、他の形態の技術に比してより良いまたはより確実なフィット感を達成することができる。例えば、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110は、鼻柱、鼻翼または鼻開口部の他の部位に対応して鼻腔壁と係合し得る。フランジ3107は安定性を提供し得るため、第1の鼻孔開口部3108押圧第2の鼻孔開口部3110を鼻開口部から離隔方向に移動しないように制限することができる。第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110によって得られるこのような整列により、患者への酸素付加に一貫性を持たせることができる。いくつかの形態において、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110の形状は、実質的に円錐台形状を有し得る。他の形態において、開口部の形状は、円錐台形状のようにテーパー付けされる代わりに、フランジ3107を垂直方向に延ばしてもよい。さらに他の形態において、開口部の形状は、鼻開口部の内面と係合するように形成され得る。さらに他の形態において、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110周囲の材料は、シーリング層3102の周囲の材料と均等に整列され得る。
さらに、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110のフランジ3107の高さまたは深さは、特定に形成され得る。患者の中には、開口部が(他の患者よりも)患者の鼻腔中へより長距離にわたって延びている構成を選好する者がいる。そのため、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110のフランジ3107の深さを、患者または医療専門家の選好に依存して調節することができる。フランジ3107については、空気圧力または他の剛性型材料が無くても発泡材料または熱硬化性材料を用いてフランジ形状を維持することができるため、シール形成構造3102の残り部分と同様の方法で形成することが可能である。鼻腔形状は、図7A~図7Hに示すようなシール層102の形成に用いられる鋳型の形状にも依存し得る。
いくつかの形態において、シーリング層3102を、患者の特定の領域に対応するようにより高剛性またはより低剛性の領域を含むように、詳細に配置することができる。シーリング層3102は、(シーリング層3102が患者の鼻唇溝と係合するように構成されている場所である)鼻唇溝領域3106に沿って、より高剛性または硬質の部位を含み得る。この顔領域は、他の顔領域よりも感度が低いため、シーリングのための頑丈な構造の提供のために、より肉厚またはより高剛性の部位を利用することが可能である。シーリング層3102の他の領域は、より柔軟性があるかまたはより低剛性の構造を含み得る。例えば、患者の鼻柱と接触し得るシーリング層3102のフランジ3107は、患者の妨げとならないように、より低剛性にすることができる。
いくつかの形態において、シーリング層3102の剛性または剛直性は、膜材料(例えば、シーリング層3102の内面上へ付加される熱可塑性材料)の量または数量によって変更または決定され得る。他の形態において、シーリング層3102の剛性または剛直性は、使用される材料の数量に基づいて決定され得る。例えば、いくつかの形態において、シーリング層3102に含まれる屈曲部または折り曲げ部により、シーリング層3102の特定の位置における厚さまたは密度が増加する。よって、シーリング層3102の材料を特定の様態で折り曲げることにより、シーリング層3102の剛性領域の形成の際にさらなる膜材料または支持を不要にすることができる。
シーリング層3102は、ベース3104へ固定され得る。ベース3104はクリップを含み得るため、シール形成構造3100を受容レセプタクル(例えば、患者インターフェース3000のフレーム3152(例えば、図6Eを参照))から容易に取り外すことが可能になる。さらに、ベース3104は、シーリング層3102よりもより硬質であるかまたはより高剛性であり得る。そのため、ベース3104がシーリング層3102の縁に沿って耐えることが可能になり得、これにより、シール形成構造3100のシーリング層3102が押圧された際にシーリング層3102の側部が固定位置のまま保持される。
さらに、他の形態のシーリング層3102が用いられ得る。例えば、いくつかの形態において、鼻への空気供給のみを行うシーリング構造ではなく、フルマスクが用いられ得る。他の形態において、口のみへ空気を供給するマスクが用いられ得る。多様な構成を用いてもよい。例えば、いくつかの形態において、各鼻腔のために別個の穴部を用いる代わりに、単一の穴部またはアパチャが用いられ得る。さらに、いくつかの形態において、シーリング構造が鼻を受容するように設計され得る一方、他の設計において、シーリング構造は、(鼻を封入または包囲すること無く)鼻表面に隣接するように設計され得る。さらに、マスクまたはシーリング構造は、特定の快適性のために設計され得る。例えば、いくつかの形態において、患者の先端または鼻尖点をマスクから間隔を空けて配置できるように、鼻マスクを設計することができる。鼻尖点は、一般的に鼻の感度の高い領域であるため、鼻尖点をマスクから間隔を空けて配置するようにマスクを設計すると、患者快適性の増加に繋がり得る。
シーリング層3102の断面が図6D中に図示され、シーリング層3102の一部の拡大図が図6D-1中に示される。図示のように、膜層3118は、シーリング層3102の内面に沿って配置される。織物シート3116は、シーリング層3102の下方の反対側面に沿って配置される。膜層3118の厚さは、製造要求に応じて製造プロセス時に決定または変更され得る。例えば、膜層3118を肉厚にするほど、肉薄の膜層3118よりも高い剛性が得られる。肉薄の膜層3118を用いた場合、シーリング層3102を患者の顔に適合させることが可能になり得る。いくつかの形態において、シーリング層3102の厚さは、膜層3118および織物シート3116の厚さのみによって決定される。すなわち、いくつかの形態において、シーリング層3102の形状維持のために、他の余分なコンポーネント(例えば、剛化物)は用いられない。例えば、シーリング層3102は、シーリング層3102の全部位に沿って容易に変形させることができる。
上記したように、鼻唇溝係合領域3107は、シーリング層3102の隣接部位と異なる厚さの材料を有し得る。例えば、鼻唇溝係合領域3107において、シーリング層3102の内面に沿って、より大量の膜層が付加され得る。このようなさらなる材料により、鼻唇溝係合領域3107の厚さおよび剛性を増加させることが可能になる。
シーリング層3102の構造および支持の提供に加えて、膜層3118は、シーリング層3102内に空気も含み得る。すなわち、いくつかの形態において、膜層3118により、シーリング層3102の材料中の空気通過を回避することができる。そのため、膜層3118は、治療デバイスからの空気をシーリング層3102の鼻孔開口部および患者へ方向付けることができる。さらに、他の形態において後述するように、シーリング層3102は、特定の漏れ率が得られるように設計され得、これにより、別個のブリードまたはリーク弁が不要になり得る。よって、この特徴により、コンポーネントが治療デバイスから除去されるため、製造コストの低減に繋がり得る。
いくつかの形態において、膜層3118は、可溶材料(例えば、熱可塑性材料または熱硬化性材料)であり得る。この材料は、鋳型または他の形態に溶融されると、一定の形状をとることができる。本明細書中に後述しおよび図7A~図7Hに示すように、膜層3118は、溶融または部分溶融可能(例えば、粘着性になり得る)ため、材料が特定の形状に形状適合することが可能になる。膜層3118は、溶融された後、形状(例えば、鋳型の形状)に硬化させることができる。硬化後、膜層3118は、鋳型の形状をとるため、膜層3118は所定の形状を有する。膜層3118により、材料膜層3118が積層または接着される任意の材料に形状が付与される。例えば、膜層3118により、織物シート3116が膜層3118と同じ形状をとることを可能になり得る。なぜならば、膜層3118は、多様な形状に形状適合することが可能であるため、織物シート3116と共に固定されるからである。織物シート3116は、織物シート3116が可溶後に形状適合する部位を含むような特性も含み得る。シーリング層3102のラミネートの形状を一時的に変化させるために必要な圧力量は、膜層3118の厚さと、材料膜層3118を形成する材料とに依存し得る。
本技術のいくつかの形態において、膜層3118は、熱硬化性材料から形成され得る。さらに、シーリング層3102は、熱硬化性材料により形成されたさらなるラミネート層を含み得る。熱硬化性材料の一例として、発泡材料がある。熱硬化性材料を用いたラミネートは、鋳型内に配置された後、加熱され得る。熱硬化性材料は、熱可塑性材料と同様の方法で硬化させることができる。すなわち、熱硬化性材料は、加熱することが可能であり、熱可塑性材料と対照的に、特定の形状に不可逆的に硬化させることが可能である。熱硬化性材料は、より剛性または恒久性の高い構造が所望される場合に用いられ得る。選択された材料および熱硬化性材料の厚さに基づいて、シーリング層3102などのコンポーネントの可撓性および剛性を調節することができる。熱硬化性材料は、特定の形状に硬化させることが可能であるため、シーリング層3102とのラミネートとして用いられた場合、シーリング層3102の形状も特定の形状に形成することができる。
図4Pを参照して、シーリング層3102をベース3104およびフレーム3152と共にマスクおよび空気送達システム内に配置して、治療において用いることができる。図示のように、ベース3104は、接続ポート3154の組立の際に取り付けられ得る。アセンブリ接続ポート3154は、管3350を通じて通気配分をシーリング層3102へ提供し得る。
シーリング層3102は、他の形態の技術よりも軽量であり得、他の形態の技術よりも高い快適性も患者へ提供し得る。さらに、織物シート3116などの織物シートは、平坦状または平面状に保存することが可能であるため、材料の保存コストを他の形態よりも低くすることができる。さらに、鋳型3112(図7A~図7Gを参照)を用いると、コストを低減しつつ、シーリング層3102などの複雑な形状を形成することが可能になる。複数の複雑なピースおよび機器が必要となる射出成形または押出成形を用いる代わりに、鋳型3112などの鋳型を含む堆積プロセスを用いれば、製造時間およびコストの低減が可能となる簡単なプロセスが可能となる。さらに、複雑な形状を比較的良いに形成することが可能になり得る。
さらに、いくつかの形態において、シーリング層3102の形成において用いられる膜層3118は、本明細書中中後述するような織物管材の形成において用いられる材料と同一であり得る。同一材料の使用により、大量の材料のバルク購入が可能になり得るため、多様なコンポーネントの生成コストの低減が可能になり得る。
図4Qを参照して、シーリング形成構造3100と相互作用するように構成された管の一部の可能なアセンブリが図示されている。図示のように、アセンブリ接続ポート3154は、管の層間に固定される。アセンブリ接続ポート3154は、内側織物層3452と外側織物層3454との間に挟まれる。さらに、アセンブリ接続ポート3154は、外部発泡材料層3456を通じて延びる。本構成において、空気通路または空気導管が内側織物層3452と外側織物層3454との間に形成されるため、空気通路からの空気を外部発泡材料層3456を通じて移動させるためにアセンブリ接続ポート3154が用いられる。このようにして、アセンブリ接続ポート3154は、内側織物層3452および外側織物層3454によって固定される。次に、接続ポート3154をフレーム3152へスナップ嵌め、摩擦嵌めまたは他の場合に固定することにより、空気を患者へ供給することができる。
5.3.2.1 シール形成構造の形成方法
図7A~図7Jを参照して、シーリング構造を形成する1つの方法が示される。図7Aにおいて、鋳型3112は、収容部3114を含む。収容部3114は、フルフェイスマスク、鼻マスクまたは治療デバイスにおいて用いられるような他のマスクと共に用いられるシーリング表面の形状をとり得る。
図7Bおよび図7Cを参照して、織物シート3116は、鋳型3112上に配置される。織物シート3116は、綿、ポリエステル、レーヨンまたは他の材料あるいは材料の組み合わせなどの材料により形成され得る。さらに、織物シート3116の構成については、下記に詳述するシート(例えば、内側層3352および外側層3426)と同じ構成に形成してもよい。すなわち、織物シート3116は、織布、不織布、ニット、ブレードまたは他の任意の繊維網であり得る。鋳型3112の収容部3114内への配置前に織物膜を含むものとして図7A~図7H中図示していないが、他の形態において、織物シート3116は、織物膜を含み得る。さらなる形態において、織物シート3116は、織物シート3116により(例えば、ポリウレタンまたはシリコーンにより)プレラミネートされ得る。
織物シート3116を鋳型3112に沿って配置した後、織物シート3116は、収容部3114内の所定位置にプレスされ得る。いくつかの形態において、ローラーを用いて、織物シート3116が図7Cおよび図7Dに示すような正しい位置に配置されていることを確実にすることができる。他の形態において、織物シート3116を収容部3114の方へ牽引する真空シールが用いられ得る。さらなる他の形態において、織物シート3116を収容部3114内にプレスする別の形態が用いられ得る。
織物シート3116を所定位置に配置した後、図7Eに示すように、織物シート3116の上面に沿って膜材料を配置することができる。膜層3118は、熱可塑性または熱硬化性材料、シリコーン、ポリウレタンまたは他の材料であり得る。膜層3118の材料は、図示のように噴霧してもよいし、塗布または噴霧してもよいし、あるいは織物シート3116上にプレラミネートしてもよい。膜層3118は、化学プロセスまたは空気への暴露を通じて硬化または固化する樹脂または他の材料であり得る。図示のように、膜層3118は、液体の熱硬化性材料である。膜層3118は、表面を被覆する上面に沿って製造業者に必要なように分散される。いくつかの形態において、織物シート3116の上面全体は被覆しなくてもよい。すなわち、いくつかの場合において、織物シート3116の一部を被覆しないようにすることにより、他のコンポーネントへの取付重さを測定固定が容易になり得る。さらに、他の形態において、織物シート3116は、ラミネートであり得、膜材料により形成された表面を既に含む。
さらに、膜層3118は、いくつかの領域が他の領域よりも肉厚にされ得る。膜層3118を液体形態で異なる速度で付加することにより、異なる厚さを得ることができる。さらに、膜層3118は、独立した個体層として形成された場合、他の領域(例えば、フランジ3107)よりもいくつかの領域(例えば、鼻唇溝係合領域3107)においてより肉厚になるように事前製造され得る。
図7Fを参照して、膜層3118および織物シート3116は、熱へ暴露され得る。熱により、膜層3118は(膜材料が固化している場合に)溶融し得、膜層3118が織物シート3116に沿って一貫して分散または堆積することも可能になり得る。他の形態において、膜層3118は、システムへのさらなる加熱を全く必要とすること無く、図7Eに示すステップ後に固化することが可能であり得る。
膜層3118の固化後、図7Gに示すように、織物シート3116は、硬化した膜層3118と共に鋳型3112から取り外される。すると、収容部3114内に配置された織物シート3116は、収容部3114から取り外された後でも、収容部3114の形状をとる。膜層3118は、特定の形状に硬化させることが可能な熱硬化性材料であるため、シーリング層3102も、膜層3118と同じ形状をとる。
図7Hに示すように、シーリング層3102は、織物シート3116の残り部分から切除される。図示のように、シーリング層3102は、鋏または剪断機によって切除されるが、他の形態において、シーリング層3102は、ダイカットなどの他の技術またはデバイスを用いて切断され得る。非限定的例において、いくつかの形態において、ホットナイフを用いて、シーリング層3102を切除することができる。他の形態において、スタンプを用いて、織物シート3116の切断に用いることができる。
図示のように(図6A~図6Cを参照)、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110は、シーリング層3102内に形成され得る。第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110は、収容部3114内に形成され得る。すなわち、山または谷を用いて収容部3114のトポグラフィーに影響を付与するように、収容部3114を形成することができる。収容部3114の形状を変化させることにより、シーリング層3102の多様な形状が可能になり得る。いくつかの形態において、織物シート3116は、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110に対応する収容部3114の領域に沿って事前切断され得る。他の形態において、硬化後、第1の鼻孔開口部3108および第2の鼻孔開口部3110が配置される領域において、シーリング層3102の材料が切除され得る。さらに、シーリング層3102を鋳型3112から取り外した後、シーリング層3102に対して他の後処理が行われ得る。
いくつかの形態において、織物シート3116を事前切断した後、織物シート3116を鋳型3112上に配置することができる。このような形態において、シール形成構造3100のシーリング層3102内の折り目数を、他の形態と比較して低減することができる。例えば、図7Iに示すように、織物シート3116をプレカットシート3117から切り離す。プレカットシート3117は、多様なノッチ3120を含む。これらのノッチ3120は、プレカットシート3117が鋳型3112内に配置されたときにプレカットシート3117の材料が折り曲げられかつ自身と重複しないように、特に形成される。すなわち、プレカットシート3117は、(重複する接合部と対照的な)隣接する接合部を形成することができ得る。これにより、ユーザの快適性および感じ方の向上に繋がり得る。図7Iに示すように、例えば、ノッチ3122は、プレカットシート3117の第1のフラップ3124と第2のフラップ3126との間に形成される。第1のフラップ3124および第2のフラップ3126の長さを用いて、シーリング層3102の高さ3111を決定することができる。
ここで図7Jを参照して、シート3117を鋳型内に配置し、膜と共に硬化させた後、第1のフラップ3124および第2のフラップ3126は、鋳型形状に従って情報に折り曲げられ得る。折り曲げ時において、第1のフラップ3124および第2のフラップ3126は、ノッチ3122の領域内において相互に隣接し得る。シーリング層3102のジオメトリに基づいて、多様な設計および構成が可能になるようにノッチ3122の形状およびサイズを変更することができる。図7Jに示すように、第1のフラップ3124および第2のフラップ3126は、相互に重複しない。しかし、他の形態において、特定の領域(例えば、鼻唇溝係合領域3107)内における剛性増加を可能にするために、フラップを相互に重複するように設計する場合もある。
図7Iおよび図7Jに示すような構成により、シーリング層3102の内面および外面を平滑にすることができる。さらに、織物シートを成形前に切断することにより、織物シートを鋳型内に適合するように折り曲げる他の形態と比較して、織物シートを鋳型内に配置するために用いられる時間の長さを低減させることが可能になり得る。
5.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3100、9100のシール形成構造3000、6000、7000、8000、9000、10000は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300、7300、8300、9300によって密閉位置において保持され得る。位置決めおよび安定化構造は、患者インターフェースを密閉位置において保持するために患者の頭部に係合することから、「ヘッドギア」とも呼ばれるか、または含むことができる。
一形態において、位置決めおよび安定化構造により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200、9200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
一形態において、位置決めおよび安定化構造により、患者インターフェース上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
一形態において、位置決めおよび安定化構造により、患者インターフェース上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、ロープロファイルまたは断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造が提供される。
位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのタイを含み得る。タイは、張力に抵抗するように設計された構造として理解され得る。使用時に、タイは、張力下にある位置決めおよび安定化構造の部分である。いくつかのタイは、上記するように、この張力の結果得られる弾力を付加する。タイは、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に維持するように機能し得る。本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、以下に述べるように、ヘッドギア管および/またはヘッドギアストラップの形態のタイを含み得る。
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。例えばクレードルクッション、鼻枕、鼻クッション、フルフェイスクッションまたは口腔鼻クッションを含む患者インターフェースの一部として、第1のタイが設けられ得る。例えば、位置決めおよび安定化構造は、患者の頭部の上方に設けられたガス送達管の形態の第1のタイを含み得る。ガス送達管は、ヘッドギアの機能を提供するため、ヘッドギア管としても公知であり得る。
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。例えばクレードルクッション、鼻枕、フルフェイスクッション、鼻クッションまたは口腔鼻クッションを含む患者インターフェースの一部として、第2のタイが設けられ得る。例えば、位置決めおよび安定化構造は、患者の頭部の後面に対向して設けられたストラップの形態の第2のタイを含み得る。
鼻専用のマスクまたはフルフェイスマスクまたは口腔鼻マスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、患者の首の後面に対して固定されるように構成された第3のタイを含む。さらに、いくつかの形態において位置決めおよび安定化構造は、第2のタイおよび第3のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第2のタイおよび第3のタイを相互接続させるように構築および配置された第4のタイを含む。
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。位置決めおよび安定化構造は、屈曲可能なストラップを含み得る。ストラップは、バックストラップ(backstrap)としてみなされ得る。ストラップは、使用時において張力下にある場合でも、患者の頭部の後部の周囲を延びかつl患者の頭部に対向して快適に配置されるような十分な可撓性を有する。
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造の一形態を含み得る。
特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、加圧された呼吸可能なガスをマスクインターフェース(例えば、クッションモジュール)を介して患者の気道へ運搬するためのガス送達管を含み得るため、「導管ヘッドギア」と呼ばれ得る。
図4Bを参照して、例えば、患者インターフェースが図示される。図示のように、患者インターフェース3000は、管3350として示されるガス送達管を含む。管3350は、患者頭部周囲において頭頂骨に沿って延び、耳上方からシール形成構造3100へ延びる。管3350は、空気をシール形成構造3100へ送達し得、シール形成構造3100を所定位置に支持し得る。そのため、管3350を支持構造としても空気導管としても用いることが可能であり得る。例えば、他の形態において、別個の管(例えば、空気送達管3348)をシール形成構造3100へ直接取り付けて、患者頭部周囲に延びないようにしてもよい。このような形態において、管は、患者頭部によって支持されず、シーリング構造への支持も提供しない。このような形態には、シーリング構造を支持する別個のストラップも含む。
患者インターフェース3000は、患者インターフェース3000の管3350へ取り付けられた頭部ストラップ3420を含む。頭部ストラップ3420は、管3350の支持と、患者インターフェース3000の正確な位置決めの支援とに用いられ得る。頭部ストラップ3420は、張力を管3350上に提供することができるため、管3350が通常の使用時に患者の顔の前方または後方に落下することが無い。さらに、頭部ストラップ3420は、管3350と共に機能して、シーリング構造3100を患者の顔に対して正しい位置に維持することを支援するたけの十分な上方力をシーリング構造3100へ提供することにより、シーリング層3102は、患者の空気開口部を適切にシールする。よって、安定化構造3300は、少なくとも管3350および頭部ストラップ3420を含み得る。
いくつかの形態において、頭部ストラップ3420は、直接的および恒久的に管3350へ取り付けられ得る。すなわち、頭部ストラップ3420を管3350から取り外すと、頭部ストラップ3420および管3350のいずれかまたは双方に損小が発生する。図5Aに示すように、頭部ストラップ3420は、管3350の内側と外側層との間において管3350へ直接取り付けられる。いくつかの形態において、頭部ストラップ3420において、縫合は不要である。例えば、いくつかの形態において、頭部ストラップ3420は、管3350の内側層と外側層との間に挟まれ、この領域は熱に暴露される。管3350の内側層および外側層は、加熱されると変化する熱可塑性または熱硬化性材料を含み得る。そのため、加熱されると、この材料は溶融または軟化し得るため、材料は頭部ストラップ3420と相互作用し、材料が固化すると、頭部ストラップ3420は、管3350のタブ間において固定される。他の形態において、頭部ストラップ3420は、取り外し可能に取付可能な部位(例えば、面ファスナ)を含み得る。このような形態において、管3350は、頭部ストラップ3420を通過させることが可能なスロットを含み得る。次に、患者は、頭部ストラップ3420のタブを移動させ、ストラップを所定位置に固定することにより、患者インターフェース3000のフィット感を調節し得る。他の形態において、調節可能なストリングまたはロープまたは紐を用いて、患者インターフェース3000を患者頭部上に快適にフィットさせることができる。
図示のように、シール形成構造3100は、口に妨害が無いように配置しつつ、患者の鼻へ延びる。患者の中には、治療を受けながら会話をすることができるよう、例えば図4A~図4Dに示すような特定の種類のマスクを含む特許のインターフェースを好む者もいる。他の患者は、必要性または快適性に応じて口を包囲するフルマスクまたはマスクを好み得る。患者の特定の使用方法に応じて、本技術の多様な形態を用いることが可能である。鼻マスクとして図示しているが、フルフェイスマスクも用いられ得る。
いくつかの形態において、シーリング構造は、ベース3104を含み、これにより、シール形成構造3100をフレーム3152へ取り外し可能に取り付けることが可能になる。ベース3104は、クリップ機構を含み得るため、シール形成構造3100がフレーム3152へ取付可能となる(図4Pを参照)。フレーム3152は、3350を取り付けることが可能な取付点または位置を含み得る。よって、空気がフレーム3152へ進入した後、シール形成構造3100へ移動し、最後に患者へ移動する。
他の形態において、異なるフレームが用いられ得る。例えば、いくつかの形態において、フレームは、多様なスロットまたは取付点を含み得るため、フレームがストラップ(例えば、頭部ストラップ3432からのストラップ)と相互作用することが可能になる。例えば、図4A中図示していないが、フレームは、ストラップと相互作用するスロットを含む前額支持部を含み得る。さらに、図5Fに示すように、構造に隣接する下スロット(例えば、シール形成構造3100)を用いて、頭部ストラップとの相互作用と、ヘッドギアまたは安定化構造3300の調節可能なフィット感とが可能になり得る。
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300、7300、8300、9300は、位置決めおよび安定化構造の前方部位と位置決めおよび安定化構造の後方部位との間に配置された結合解除部位を備える。この結合解除部位は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部位は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部位の存在により後方部位への力が位置決めおよび安定化構造に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、布地患者内側層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、伸張可能である(例えば、弾発性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
5.3.3.1 本技術の実施例による位置決めおよび安定化構造
5.3.3.1.1 ヘッドギアチュービング
図4Bに示す本技術の形態において、患者インターフェース3000は、空気回路4170の部分を形成する導管(例えば、空気送達管3348)から受容された加圧空気をRPTデバイスから患者の気道へ送達させる少なくとも1つの管3350を含む。例えば、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100を通じて。この管3350は、患者インターフェースのシール形成構造3100が患者の顔の適切な部分(例えば、鼻および/または口腔)に位置決めおよび安定配置するための患者インターフェース3000のヘッドギア3300の一体部分である。その結果、加圧空気流れを提供する空気送達管3348を、患者の顔の前方以外の位置(人によっては目障りになり得る)において患者インターフェースの接続ポート3600へ接続することが可能になる。
加圧空気を空気回路4170から患者の気道へ送達させるために空気を管3350を通じて収容および移動させることが可能であるため、位置決めおよび安定化構造3300は、気密のもの、もしくは空気滞留のものとして記述され得る。気密または空気滞留の位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の全コンポーネントを気密とすることを必要としないことが理解される。
本技術の特定の形態において、患者インターフェース3000は、患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置される接続ポート3600を含み得る。例えば、図4Bに示す本技術の形態において、接続ポート3600は、使用時において患者頭部の上に配置される。接続ポートが患者の顔の前方に配置されていない患者インターフェースの場合、導管が顔前方の患者インターフェースへ接続されている場合に目障りかつ不快と感じる患者が存在するため、有利であり得る。例えば、顔前方の患者インターフェースへ接続する導管は、特に使用時に導管が患者インターフェースから下方に延びている場合、寝具またはベッドリネンと絡まり易い場合がある。使用時において接続ポートが患者頭部の上方の近隣に配置された患者インターフェースを用いた本技術の形態によれば、患者が以下の位置のうち1つ以上において横たわるかまたは眠った場合により容易またはより快適になり得る:側方または横方向位置、仰臥位位置(すなわち、顔を上に向けた仰向けの状態)、および腹臥位位置(すなわち、顔を下向きにしたうつぶせの状態)。さらに、導管を患者インターフェース前方に接続した場合、管引き摺りとして知られる問題の原因になり得る。管引き摺りにおいては、導管から患者インターフェースに対して望ましくない牽引力が発生し得、その結果、顔から引きずり下ろされる原因となる。
図4A、図4B~図4Dの例において、少なくとも1つの管3350は、患者の頬領域上および患者の耳上の接続ポート3600からクッションアセンブリ3150間に延びる(すなわち、使用時に患者頭部の上顎領域を覆うクッションアセンブリ3150へ接続する管3350の一部と、患者頭部の上耳底点の上方の患者頭部の領域を覆う管3350の一部との間)。さらに、例えば図4Aおよび図4B~図4Dに示すようないくつかの形態において、管3350は、ユーザの顔の両側に沿って配置される。すなわち、例えば、管3350は、患者の右頬および左頬領域において延びる。
図4Bに示す本技術の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、左部および右部を含む、単一の管3350を含む。各部分は、使用時に患者頭部の異なる側部上に配置され、各頬領域を通じて(患者頭部上の上耳底点の上方の)各耳の上方から患者頭部の上部の接続ポート3600へ延びる。この技術形態の場合、患者が横向きに寝ており、管のうち1つが圧縮されて当該管に沿ったガス流れが遮断または部分的に遮断された場合に、その他の管が開口したままであり、加圧ガスを患者を供給できるため、有利であり得る。技術の他の実施形態において、患者インターフェースは、異なる数の管(例えば、1つの管または3つ以上の管)を含み得る。
図4Bに示すように、患者インターフェースは、1つの管3350を有する。単一の管3350は、使用時に患者頭部の片側に(例えば、一方の頬領域上に)配置され、ヘッドストラップ3420は、位置決めおよび安定化構造3300の部分を形成し、患者インターフェース3000を患者頭部上に固定することを支援するために、使用時に患者頭部の他方側(例えば、他方の領域上)に配置される。図示のように、管3350は、クッションアセンブリ3150の片側から接続ポート3600へ連続的に延びて、クッションアセンブリ3150の他方側へ戻る。
図4Bに示すように、左アーム3302および右アーム3304が連続的に接続される。すなわち、左アーム3302と右アーム3304との間に特定の接続点は存在しない。すなわち、これら2本のアーム間は、流体接続がシームレスに延びる。管3350を連続的に形成することにより、患者インターフェース3000のコンポーネント数を本技術の他の形態と比較して低減することが可能になり得る。
図4A~図4Dに示す本技術の例示的形態において、管3350は、患者頭部の上部周囲において、頭部上部上の接続ポート3600を含む管3350の上端からタブ3346に至って、冠状面の湾曲が少しも無い状態で後方ヘッドギアストラップ3420が管3350へ接続する地点へ曲線状に延びる。後方ヘッドギアストラップ3420が管3350へ接続するタブ3346と、管3350が鼻下側の患者の気道の前方のクッションアセンブリ3150と接続する管3350の下端との間において、管3350は、患者の耳と眼との間において頬領域にわたって前にまたは前方に曲線状に延びる。管3350のこの部分の湾曲部の半径は、60~100mmの範囲内(例えば、70~90mm(例えば、80mm))であり得る。管3350の下端と、後方ヘッドギアストラップ3420が管3350へ接続する部分とは、65~90°の範囲(例えば、75~80°)の角度に対し得る。
図4A~図4Dに示す技術の例示的形態において、管3350は、上方向(すなわち、上方)に実質的に垂直方向に上耳底点近隣から接続ポート3600へ延びる。すなわち、管3350は、上耳底点と接続ポート3600との間の領域内において、冠状面に対して0度~15度の角度を有する。他の形態において、この角度は、患者による位置決めに応じて大きくなり得る。さらに、管3350が形成される際、このような管3350は、矢状面に対して患者の上耳底点から気道へより大きな角度を有する。
さらに、図4B~図4Dに示すように、管3350は、接続ポート3600を含む。接続ポート3600は、管3350内に部分的に配置され得る。すなわち、接続ポート3600の一部は、外側層3354を通じて管3350の外側層3354と内側層3352との間に延びる。このようにして、接続ポート3600は、管3350の管間に挟まれる。接続ポート3600は、他の管(例えば、空気回路4170からの空気流れを提供する治療デバイスの空気送達管3348)へ接続するように構成され得る。いくつかの形態において、空気送達管3348は、空気回路4170の全てを形成し得、他の形態において、空気送達管3348は、空気回路4170の一部を形成する。空気送達管3348は、多様な材料(例えば、織物材料、シリコーンおよび他の材料)によって形成され得る。接続ポート3600を管3350内に一体化させることにより、本技術の他の形態と比較して、管3350に沿ったシームまたは接続点の数量を低減することができる。さらに、接続ポート3600を管3350内に一体化させることにより、さらなる接続機構(例えば、接着、締結具または他のさらなる機構特徴)の利用を最小限にするかまたは無くすことが可能になり得る。他の形態において、接続ポート3600は、内側部位および外側部位を含む。内側部位が、内側層3352と外側層3354との間に配置され得る。外側部位が内側部位と相互作用すると、外側層3354は、接続ポート3600の内側部位と外側部位との間に挟まれる。
いくつかの形態において、織物が、安定化構造3300の多様なコンポーネントの形成に用いられる。図示のように、管3350は、織物材料によって形成される。患者の中には、管が患者の顔に対向して配置されたとき、使用時にシリコーン管を不快と感じる者もいる。さらに、患者の中には、織物材料のスリーブまたはソックスがシリコーン管上に配置された場合も、シリコーン管が不快であると感じる者もいる。シリコーン管の厚さおよび重量に起因して、患者がデバイスの使用を停止する可能性がある。さらに、患者が頭を横たえると、シリコーン管に折り目または曲がりが発生し得、これにより、(織物スリーブで被覆されていても)管の厚さが患者の顔上において容易に感じられる。管3350などの織物導管または管は、何人かの患者にとっての快適性を増大させ得る。
織物材料は、材料の平坦な平面状のシートであってもよいし、あるいは、織物材料を3次元構成によって形成して、織物材料に正の曲率または負の曲率を持たせてもよい。本明細書中用いられるように、「織物材料」または「織物」という用語は、任意の繊維網を記述するために用いられ得る。例えば、織物材料または織物は、織布、不織布、ニット、ブレードまたは他の任意の形態の繊維網であり得る。異なる構成の織物材料を、異なる特性に合わせて用いることが可能であり得る。例えば、織布構成を特定の強度のために横手方向および長手方向に用いることができ、ニット構造を可撓性およびストレッチ性のために用いることができる。さらに、いくつかの形態において、織物材料は、特定の特性を達成するために、異なる構成を組み合わせ得る。さらに、材料の密度は、所望の多様な特性に応じて変更可能であり得る。例えば、ストレッチ性をより大きくしたい場合、より低密度の繊維網が用いられ得る。
さらに、織物は、多様な材料により形成され得る。織物は、天然材料または剛性材料により形成され得る。例をいくつか挙げると、綿、レーヨン、ポリエステル、亜麻布、絹、皮革、ポリウレタン、モノフィラメントまたはマルチフィラメント材料またはこれらの材料の任意の組み合わせが、他の材料に加えて用いられ得る。材料選択は、感触、テクスチュア、剛性、可撓性、伸張性および他の要素に基づいて行われ得る。加えて、織物は、天然材料および合成材料双方を含み得る。柔らかな感触および快適なフィット感を患者へ提供するために、天然繊維または撚り糸(例えば、綿)が用いられ得る。織物の特定の領域への剛性または強度の付与および他の特性のために、合成繊維が用いられ得る。
本技術のいくつかの形態において、同じ織物材料内において、異なる材料が用いられ得る。織物コンポーネントへ特定の特性を提供するために、異なる材料が用いられ得る。例えば、ストレッチ性の繊維、撚り糸またはヤーンを織物内に特定の方位において設けることにより、長手方向または第1の方向に沿って強度を付与することができる。実質的にストレッチ性の無い非伸長性のまたは耐ストレッチ性の第2の繊維が、横方向または第2の方向に沿って織物内に設けられ得る。このようにして、織物は、特定のコンポーネントの支持するために異なる特性を多様な方向において有する異方性材料であり得る。例えば、管は、織物材料によって形成され得る。織物材料は、第1の方向において織物材料が圧力を受けたときに膨張またはストレッチするように、形成され得る。第1の方向と異なる第2の方向において、織物材料は、圧力または力を受けたときにストレッチまたは変形に耐えるように構成され得る。例えば、管は、織物材料が空気圧力を受けたときにラジアル方向に膨張するように、構成され得る。このようなストレッチ性により、管が空気を受容するかまたは受け取ることが可能になり得、管を快適に患者に対向させることも可能になり得る。しかし、管は、特定の長手方向方位を患者の顔に沿って有し得、その場合、この管が長手方向においてストレッチすることは望ましくない。ストレッチを長手方向において固定または制限することにより、患者が一貫した治療を受けることが可能になるよう、管の位置決めを維持することが可能になり得る。
いくつかの形態において、織物管は、織物材料の1つ以上のシートまたは層によって形成され得る。いくつかの形態において、管を単一のシームと共に形成するように、単一のシートを折り曲げまたは丸めてその状態でシートの横縁に沿って固定され得る。他の形態において、1つよりも多数のシートが用いられる。例えば、織物管は、患者と接触するように構成された第1の側部と共に形成され得る。これは、内側層と呼ばれ得る。織物導管は、第2の側部も含み得る。この第2の側部は、内側層へ取り付けられるが、患者から離隔方向に配置されて、外側層と呼ばれ得る。内側層および外側層はそれぞれ、内側層および外側層の縁に沿って相互に固定され得、これにより、流路または通路が内側層および外側層のシーム間に形成される。すなわち、シーム間の空間は、取り付けられないままになる。
この詳細な説明に述べるように、内側層および外側層はそれぞれ、内面および外面を含む。内側層の内面は、外部層に対向する表面である。外部層の内面は、内側層に対向する表面である。同様に、外側層の外面は、内部層から反対の方向に面し、内側層の外面は、外側層から反対の方向に面する。さらに、単一のシートを含む形態において、内面は、シートの表面であり、内方に配置されるかまたは自身に向かって配置される。
いくつかの形態において、シートまたは管のシートは、空気不透過性層または織物膜を含み得る。いくつかの形態において、層双方の内面は、空気が層を通じて内面から外面へ通過する自体を制限または抑制するように構成された膜を含む。不透過性層は、内側層または外側層の織物シートの厚さ未満の肉薄の層であり得る。他の形態において、不透過性層は、層のいずれかの織物のシートの厚さを上回り得る。不透過性層または織物膜またフィルムを、空気移動に対して完全に不浸透性にしてもよいし、あるいは、所定の速度または空気移動および特定の圧力を可能にするように形成してもよい。さらなる形態において、膜は、特定の量または数量の空気または水蒸気または湿気が織物を通過することができるように特に設計され得、これにより、管3350が呼吸可能となることにより、水蒸気を管3350を通じて逃がすこと、および/または管3350を通じて送ることが可能になる。膜を通じて空気を除去することにより、コンポーネント(例えば、管材導管またはシーリング構造そのもの)を通じて空気を逃がすことが可能になるため、排気空気のための別個のブリードオフ弁が不要になり得る。さらに、いくつかの形態において、特定の領域内において、一領域が調節され得る。例えば、一領域を、管3350内において頬領域に沿って変更することができる。この領域は、使用時に温かくなる場合があり得、ユーザにとって不快になり得る。一領域の変更により、一定の空気を管3350を通じて患者の皮膚へ移動させることが可能になり、冷却効果が得られる。膜の種類および膜の一領域は、膜が配置される織物の特質および使用形態に応じて変更または調整が可能であり得る。
いくつかの形態において、織物膜の厚さは、変更可能であり得る。本技術のいくつかの形態において、織物膜は、織物の厚さの5%未満であり得る。他の形態において、織物膜の厚さは、織物の厚さの5%~25%であり得る。さらなる形態において、織物膜の厚さは、織物の厚さの25%~50%であり得る。さらに、織物膜の厚さは、織物の厚さの50%~100%以上であり得る。織物膜の厚さを変更すると、織物の剛性およびストレッチ性に影響が出る。例えば、織物の厚さの1%の織物膜を含む織物は、織物の厚さの50%を超える織物膜を含む織物と比較してより低い剛性およびより高いストレッチ性を有し得る。いくつかの形態において、より肉厚の織物膜を用いて、導管またはシーリングインターフェースの特定の領域におけるさらなる強度を得ることができる。すなわち、高応力領域または使用時にねじれまたは折り目の発生の可能性の高い領域において、織物膜の厚さを増加させてよい。
膜は、熱可塑性または熱硬化性材料によって形成され得るため、特定の温度に晒されたとき、膜材料を成形または形成して特定の形態にした後、硬化または固化させるかあるいは冷却により凝固させることができる。いくつかの形態において、膜は、シリコーンまたはポリウレタンによって形成され得る。
さらに、いくつかの形態において、膜材料は、層のシームを共に接合させることを支援し得る。例えば、熱硬化性または熱可塑性の材料が特定の熱に晒されると、この材料は、例えば熱硬化性材料のように架橋し得るかまたは例えば熱可塑性材料のように溶融し得る。固化後、これらの材料を共に接合させることができる。例えば、外側層3354の内面3356に沿った膜および内側層3352の内面3358に沿った膜へ外側層3354および内側層3352の縁に沿って熱を付与すると、これら2枚の層間にシームを形成することができる。
内側層は、反対側の外側層へ第1および第2のシームに沿って取り付けられ得る。これらの層を相互に取り付けた後、管または導管がこれら2つの層間に形成され得る。これらの層を縁に沿って固定することにより、空気回路4170と共に固定された場合に空気流れまたは他の気体または液体媒体を可能にする中央チャンバが形成される。
図4Bに示すような管3350は、膜を含む織物を用いて形成される。管3350は、内側層3352および反対側の外側層3354を含む。内側層3352および外側層3354はどちらとも、不透過性膜をこれらの層の内面に沿って含む。不透過性層によりコートされた内面のみを含むものとして記述および図示しているが、いくつかの形態において、管3350の層の内面および外面はどちらとも、不浸透性膜を含み得る。しかし、いくつかの形態において、不透過性膜は、患者の顔から離隔方向に方向付けられ得る。このように管3350を方向付けることにより、不透過性膜層を患者から間隔を空けて配置しつつ、布地の柔らかな感触を患者に押し付けることが可能になる。これにより、使用される材料の側部に応じて異なる特性を有する単一ピースの材料を形成することが可能になる。その結果、製造コストと、コンポーネントの形成に必要または要求される時間とを低減することができる。
5.3.3.1.1.1 管の形状および組成
図4Fを参照して、管3350の断面が図示される。いくつかの形態において、内側層3352および外側層3354は、織物材料および/または膜材料の複数の層によって形成され得る。管3350の層の厚さおよび組成を変更することにより、異なる特性を達成することができる。図4Fに示すように、特に図4F-1に示すように、内側層3352は、織物シート3360を織物膜3362と共に含む。織物シート3360は、フェルト、スペーサ布地、発泡材料、織布、ニット、または不織布材料または他の繊維網により形成され得る。図示のように、織物シート3360は、フェルト型織物である。このようにして、内側層3352の外面3374は、患者の顔に対して柔らかな感触を有し得る。外側層3354は、織物の複数のシートによって構成される。外側層3354は、管シート3364および外側カバリング3366を含む。いくつかの形態において、管シート3364の両側を織物膜により被覆することができる。図4F-2に示すように、管シート3364は、管3350のチャンバへ露出された織物膜3368と、管シート3364の反対側面に沿った織物膜3370とを含む。織物膜3368は、内側層3352と外側層3354との間のシールの提供と、気密管の形成とを支援し得る。織物膜3370は、管シート3364の外側カバリング3366への接合を支援し得る。他の形態において、管シート3364は、外側カバリング3366へ直接接着または接合され得る。他の形態において、外側層3354は、熱形成可能な形状保持材料または材料(例えば、管シート3364と外側カバリング3366との間に配置された発泡材料層)を含む。他の形態において、管シート3364は、熱形成され得る。この詳細な説明において後に詳述するように、形状保持材料が、管3350の所定の形状の提供のために用いられ得る。
内側層3352および外側層3354のシートの構成、方位および組成により、使用時における閉塞を回避するための支持構造の管3350への提供が支援され得る。図4Fに示すように、管3350の断面は実質的にD字型であるため、空気通路3372が内側層3352と外側層3354との間に形成される。内側層3352は実質的に平面状であるため、内側層3352はゼロ曲率を有する。外側層3354は、内側層3352から離隔方向に曲線状になっているため、外側層3354の内面3356は、接合部間に正曲率を有する。図示のように、内面3356の曲率は、管3350の接合部間において変化する。すなわち、曲率は、内側層3352および外側層3354が共に接合された場所に対して負方向に隣接し得る。しかし、管3350の接合された縁間の中心点からとられた全体的曲率は正であることが認識されるべきである。換言すると、外側層3354は、接合された縁間において円弧状断面部を形成する非平面状の構成を有する。すなわち、外側層3354の内面3356は、凹型形状を有し得、外側層の外面3376は、凸型形状を有し得る。外側層3354の曲率を固定することにより、外側層3354が例えば外力または空気圧力の重さによる力を受けていないときに、外側層3354の内面3356は実質的に正曲率を有する。よって、同一形状または対称形状を有するいくつかの従来の導管部位と対照的に、内側層3352および外側層3354は非対称である。
さらに、内側層3352および外側層3354の内面は、D字型の断面を有し得る。すなわち、内面は、D字型空気通路3372を包囲し得る。よって、いくつかの形態において、内側層3352および外側層3354の内面は、D字型断面を形成し得、内側層3352および外側層3354の外面も、D字型断面を形成し得る。
このようにして、外側層3354は、内側層3352から離隔方向に曲線状になり得る。図4Fに示すように、外側層3354および内側層3352は、長手方向縁に沿って相互に取り付けられるため、内側層3352および外側層3354の縁は、相互に同一面上に配置される。これらの取付点間において、ゾーンまたは接合部を接着させると、外側層3354は、内側層3352から離隔方向に曲線状にされる。すなわち、接合部3312間(図4Hを参照)において、外側層3354の内面3356は、内側層3352の内面3358から離隔方向に配置される。いくつかの形態において、外側層3354を事前形成することにより、非加圧されたかまたは支持された状態において、外側層3354は、対向する接合部3312間において内側層3352から離隔方向に延びるように、事前配置および事前形成される。すなわち、外側層3354は自重を支持し得るため、加圧空気または他の支持機構によって支持されていなくても、外側層3354は、接合部3312間の内側層3352から間隔を空けて配置されたままである。
概してD字型の断面は、その長さに沿って変動し得る(例えば、患者の鼻の近隣の丈高の肉薄D字型断面および頬に沿った患者の頭部上部近隣の幅広の浅いD字型断面)。例えば、図4I~図4Kは、管3350の一形態により、管3350の多様な断面をその長さに沿って示す。図示のように、D字型の断面は、その長さに沿って変化する。詳細には、各断面は幅wおよび高さhを有し、多様な断面の幅および高さは、管長さに沿って変化する(例えば、インターフェーシング構造端部において比較的幅が短くかつ高さが高いのと比較して、マニホルド端部において比較的幅が長くかつ高さが低い)。いくつかの形態において、管3350のD字型断面は、管の全体長さに沿ってまたは少なくとも管の一部(単数または複数)に沿って非対称であり得る。また、これらの断面は全て、極めて類似するかまたは共通する水力直径(例えば、約10~15mmまたは約13mm)を有する。さらに、幅および高さは、外部シーム領域を含む断面の全体サイズではなく、チャンバサイズを指し得る。
さらに、管3350は、より平坦な領域を特定の領域(例えば、睡眠時において患者が管上において安静にする場所)内において提供し得る。このようにして、管は、患者の顔輪郭の有機伸長部であると言うことができる。この形状は、美観要求および/またはインピーダンス要求に基づいて構成され得る。加えて、形状は、目立たなさ、快適性および/または安定性を提供するように構成され得る。しかし、管3350は、他の適切な断面形状を有し得る(例えば、台形、半円、円筒、楕円、長円形、より平坦な断面)。また、これらの管は、平坦な構成衝突防止リブと共に有し得る。この配置構成について、米国特許第10/385,701号において開示がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
さらに、図4L-1~図4L-4に示すように、管3350は軟らかいため、管3350は指圧力下において容易に変形可能である。すなわち、管3350は、変形不可能な剛性構造により形成され得ない。すなわち、管3350は、管3350が指圧力を受けたときに変形することが可能なように、形成される。しかし、管3350は、空気圧力または他からの力を受けていないとき、自身の形状を維持することもできる。
さらに、外側層3354は、弾性構造であり得る。外側層3354は、通常使用時において圧力または力を受けたときに変形することができるため、睡眠および使用時における患者の動きに対応することができる。例えば、管3350は座屈可能であるため、シールされた縁においてだけでなくシールされた縁間においても、外側層3354が内側層3352へ押し付けられる。しかし、外側層3354からの力が無くなると、外側層3354は、正曲率の内面を含む所定の形状に戻り得る。すなわち、外側層3354は、(例えば屈曲または捩れなどによる形状変更無しに)自重を支持することができるため、外側層3354は柔軟な構造ではない。外側層3354のショア硬度は、OO10~OO30であり得る。他の形態において、外側層3354は、より高剛度であり得るため、より大きな力に耐えるように構成される。
外側層3354は、塑性変形に耐える材料を含み得る。例えば、外側層3354は屈曲または折り曲げ可能であり得るため、力を受けたときに外面3376の部位を外側層3354へ隣接させることができる。しかし、力が解放されると、外側層3354は、力付与の前の形状に戻る。組成変形または潰れの代わりに、外側層3354は弾性変形して、所定の形状に戻る。さらに、管3350の大部分は、同様に屈曲、折り曲げまたはねじりが可能であり得る。すなわち、管3350を形成する材料は、折り曲げ時において塑性変形しない材料であり得る。
対照的に、内側層3352は、柔軟な構成部品であり得る。内側層3352を外側層3354の縁へ取付および固定すると、内側層3352は実質的に平面状の層になる。内側層3352の形状は、外側層3354の形状により影響を受け得る。図示のように、管3350のシームを通じて内側層3352へ付与される力に起因して、内側層3352は平面状になり得る。外側層3354は変形に耐えるため、外側層3354は、内側層3352の緊縮性を維持することができるため、内側層3352が平面状になる。他の形態において、内側層3352が外側層3354よりも幅広になりかつしかし内側層3352が外側層3354へ管3350の縁に沿って接続されるように、内側層3352が切断され得る。このような形態において、内側層3352の固定されていない部位は、外側層3354へ向かって内方に移動することができ得る。
いくつかの形態において、内側層3352は、いくつかの領域において柔軟であり得、他の領域において剛性であり得る。例えば、いくつかの形態において、剛化物をアーム支持部3314内において用いることにより、内側層3352へ剛性を付与することができ、これにより、内側層3352は特定の領域内において柔軟ではなくなる。しかし、いくつかの形態において、管3350のシール間において、内側層3352は、柔軟なままであり得る。すなわち、管3350のシールまたは接合部間において、さらなる剛化物は用いられない。剛化物のショア硬度は、A30~A90以上であり得る。
他の形態において、内側層3352は、少なくとも半弾性であり得る。すなわち、内側層3352は自重を支持できない場合があるものの、内側層3352が外側層3354による支援を受けることにより、内側層3352は自重の一部を支援することが可能になり得、これにより、内側層3352は、(さらなる力(例えば、空気圧力または他の外力)を受けていないときに)実質的に同じ位置に配置されたままになる。
内側層3352は、図示のように比較的平坦であり、使用時において患者の顔と実質的に同一面上に配置されるように、適合される。内側層3352は、内側縁から外側縁にかけてテーパー状構成を有し得るため、広範囲の患者へ快適なフィット感を提供することができる。内側層3352は、表面積が比較的大きいため、負荷分散がさらに均等になる。この配置構成の場合、使用時における圧力点の発生が低くなる。また、内部層3352は、グリップ材料を有し得るため、患者の顔上の患者インターフェースの安定化を支援することができる。
いくつかの形態において、外側層3354は、内側層3352よりも高弾性であり得る。すなわち、外側層3354は、内側層3352よりも変形に強くすることができる。さらに、外側層3354は、内側層3352よりも高レベルにおいて、所定の形状へ容易に戻り得る。さらに、いくつかの形態において、外側層3354は、内側層3352よりもより硬質であるかまたはより高剛性であり得る。図4F~図4F-2に示すように、外側層3354は内側層3352よりも多数の層を含み得、外側層3354は内側層3352よりも肉厚であり得る。外側層3354および内側層3352をこのような構成にすることにより、外側層3354を比較的より硬質にまたはより高剛性することが支援され得る。このような剛直性、剛性および/または弾力性の増大により、内部を空気が通過することが可能な開放通路の維持が支援され得る。さらに、いくつかの形態において、外側層3354は、内側層3352よりも硬質の材料を含み得る。このような材料組成により、より硬質のまたはより高剛性の外側層3354の提供が支援され得る。
外側層3354は、患者の顔になじむ平滑な外形を有する。すなわち、外側層3354は、患者の顔となじむ縁を備えた外形または有機的形態(例えば接線方向に)を有するため、睡眠時において(例えば、患者が寝転がっているときに)縁が寝具、枕などに噛み込むことが全く無くなる。図示のように、管3350は非円筒の断面形状を有するため、患者の顔になじむ外形が得られる(図4A~図4Dを参照)。このようななじみの良い外形は、平滑で流線型で滑らかであり、管3350を患者の頭部の外形またはその内部となじませるかまたはテーパー状にする(例えば、解剖学的に一貫しており、邪魔にならずかつ美観が良い)。加えて、なじみの良い外形には、不快感(例えば、皮膚への刺激または摩擦)の原因になり得る鋭利な縁は無い。
いくつかの形態において、外側層3354の熱形成は、外側層3354内の材料が鋳型またはマンドレルの形状をとるように行われ得る。硬化または冷却時において、熱形成された材料は、図4Fに示すような形状をとる。いくつかの形態において、外側カバリング3366と管シート3364との間に、さらなる層が配置され得る。いくつかの形態において、このさらなる材料は、発泡材料または他の熱硬化性材料であり得る。他の形態において、管シート3364または外側カバリング3366または双方は、発泡材料または熱硬化性材料により形成され得る。さらに他の形態において、熱可塑性材料が用いられ得る。さらに他の形態において、他の任意の形状保持材料が用いられ得る。図示のように、外側層3354および内側層3352のシートを超えてさらなる剛化物またはコンポーネントを用いること無く、管3350の断面形状を維持することができる。さらに、内側層3352の厚さは、内側層3352の幅に沿って実質的に同じであり得る。さらに、外側層3354も、外側層3354の幅に沿って実質的に同じ厚さであり得る。熱形成されると、外側層3354は、内側層3352による支援無しに、所定の形状を維持することができ得る。すなわち、外側層3354は、内側層3352からの張力、力または支持無しに、所定の形状を維持することができる。
図4Rに戻って、患者インターフェース6000は、管3350内に(例えば、外側層3354内に)形成された通気孔を含み得るため、排気ガスが雰囲気へ放出される。図示の実施例において、通気孔6100は、クッションアセンブリ3150の近隣に形成される。さらに、空気送達管6348は、織物構成を有し得る。例えば、空気送達管6348は、本明細書中に開示される管の実施形態のいずれかと類似するかまたは同一である構成を有し得る。
図4Sを参照して、患者インターフェース7000は、位置決めおよび安定化構造7300を含む。位置決めおよび安定化構造7300は、左アーム7302および右アーム7304を有する管7350を含む。左アームおよび右アームは、上端および下端においてコネクタを有する別個の構造であり得るため、これらのアームは、クッションアセンブリ3150およびハブ7200双方へ個々に取り外し可能に接続可能である。例えば、左アーム7302および右アーム7304それぞれの上端および下端において、上コネクタ7312および下コネクタ7314が図4Tおよび図4Uに示すようにそれぞれ設けられる。上コネクタ7312は、ハブへ取り外し可能に接続するように構成され、下コネクタ7314は、クッションアセンブリ3150へ取り外し可能に接続するように構成される。
図4Tおよび図4Uを参照して、これらの例において、上コネクタ7312および下コネクタ7314はそれぞれ、コネクタボディ7303と、スロット7309と、面取り付き縁7308と、スナップ嵌めによりクッションアセンブリ3150およびハブ7200中のクリップへ取り外し可能に接続され得るノッチ7306とを含み得る。別の実施例において、コネクタ7312および7314は、クッションアセンブリ3150および/またはハブ7200中に設けられ得、受容部が、左アーム7302および右アーム7304上に設けられ得る。
図4Sに示すように、エルボー7220は、ハブ7200へ旋回可能に接続され得、空気送達供給管への接続のために反対側の端にスイベルコネクタを含む。
図4Vに戻って、管7350の断面が例示される。外側層3354と同様に、外側層7354は、自重を支持できるような構造にされ得る。図示のように、外側層7354は、使用時において患者の顔から離隔方向に配置された外側層の外面を形成する外側カバリング7402を含む。外側クッション層7406(例えば、発泡材料)が、外側カバリング7402と、空気通路の空気不透過性表面を形成する織物部材7410との間に配置される。外側クッション層7406は、自身の形状を保持するように熱形成され得る。接着層7404および7408は、外側カバリング7402と外側クッション層7406との間にかつ外側クッション層7406と織物膜7410との間にそれぞれ配置され得る。図4Wに示す別の実施例において、外側クッション層7406および接着層7408は、取り外され得る。
再度図4Vを参照して、内側層7352は、使用時において患者の顔と係合するように構成された織物シート7222を含む。内側クッション層7426(例えば、発泡材料)は、織物シート7222と織物部材7230との間に配置されて、空気通路の空気不透過性表面を形成する。接着層7224および7228はそれぞれ、織物シート7222と内側クッション層7226との間にかつ内側クッション層7226と織物膜7230との間に配置され得る。
図4Xを参照して、患者インターフェース8000は、管8350を有する位置決めおよび安定化構造8300を含む。左アーム8302および右アーム8304はそれぞれ、異なる剛性を有し得る下部8362および上部8364を有し得る。例えば、下部8362を上部8364よりも高剛性にしてもよいし、あるいは逆にしてもよい。これは、例えば下部8362の内側層3352を上部8364の内側層3352と剛性が異なるように構築すること、および/または下部8362の外側層3354を上部8364の外側層3354と剛性が異なるように構築することにより、達成され得る。下部および上部のみではなく、左アームおよび右アームそれぞれに異なる特性(例えば、剛性)を有する3つの部分を設けてもおい点に留意されたい。
図示の実施例において、下部8362の内側層3352および外側層3354はそれぞれ、上部8364の内側層3352および外側層3354よりも高剛性である。そのため、上部8364は、より可撓性であり、患者の顔の側部に沿った曲率に対し、患者の頭部の上部までより形状適合することができる。タブ3346を下部8362上に設けることにより、下部の剛性向上によりねじれ耐性およびベクトル力の所望の付加の維持が支援されるため、ストラップ3420への接続の向上が可能になり得る。あるいは、タブ3346は、上部8364上に設けてもよいし、あるいは上部8364および下部8362を跨いで設けてもよい。
いくつかの形態において、管の断面形状は、特定に形成され得る。例えば、いくつかの形態において、管は、平坦なまたは平面状の接触表面および凸型外側層を有するように、事前形成され得る。導管の形状は、特定の感触が得られかつ管3350を通じて患者へ強制移動させられる酸素または空気の量または数量を調節することができるような特定の形状に形成され得る。すなわち、導管は、導管が(空気または酸素源に晒されたときに)ストレッチまたは膨張する量を制限するように、形成され得る。さらに、管3350の断面形状は、管3350の長さに沿って変化し得る。例えば、断面形状管3350は、隣接するクッションアセンブリ3150と比較して接続ポート3600に隣接して異なり得る。特定の形状によって包囲される断面形状および容量は、患者インターフェース3000の構成と患者との相互作用様態に応じて変更され得る。例えば、左アーム3302の端部は、左アーム3302が接続ポート3600と接続される点よりも小さな断面を有し得る。左アーム3302の端部は、患者の顔の敏感な部位と関連付けられる可能性がより高いため、左アーム3302の端部の断面サイズを制限すると、本技術の他の形態と比較して、患者の快適性が増大し得る。
さらに、内側層または外側層の幅を変更すると、チャンバのサイズの変更または変動が可能になり得る。例えば、空気通路3372の一部を形成する内側層3352の部位は、図4Cおよび図4Gに示すように左アーム3302の第1の位置において幅W1を有し得る。共に接合されると、内側層3352および外側層3354は、空気通路3372と関連付けられた空洞またはチャンバを断面積および容量V1と共に形成する。図4Hに示すように、内側層3352および外側層3354は、左アーム3302に沿って幅W1から間隔を空けて配置された幅W2も有し得る。幅W2は、幅W1よりも大きくすることができる。さらに、図示のように、W2の領域内に形成された空洞は、容量V1よりも大きな容量V2である。よって、呼吸可能な空気が幅W2の領域を通過すると、幅W2を有する位置における管3350の断面積は、幅W1を有する位置における管3350の断面積よりも大きくなる。さらに、第2の幅W2を有する位置において、チャンバの容量は、第1の幅における容量よりも大きい場合がある。
多様な特性または機能を提供するため、幅が変更され得る。いくつかの形態において、特定の点内における空気または酸素の体積の変更を用いて、織物導管の多様な部位を通じた流速を変更することができる。例えば、織物導管が第1の位置において大きな断面積を有する場合、織物導管を通じて送られる呼吸可能な空気は、第1の速度において流動し得る。織物導管が第2の位置においてより小さな断面積も有する場合、織物導管を通じて第2の位置において送られる呼吸可能な空気は、第1の速度を上回る第2の速度において流動し得る。よって、導管を通過する空気の速度を増減させるように、導管容量サイズを変更することができる。
いくつかの形態において、織物導管のチャンバサイズは、織物層の形状の変更および/または織物管または導管の接合または接合部の幅の変更により、変更され得る。「接合部」とは、管のその他の層へ接合された管の1つの層の領域を指し、または、いくつかの形態において、管が単一の層によって形成される場合に層が当該層自身に取り付けられる場所を指す。例えば、図4Gに示すように、接合部3312は、内側層3352などの層が下層3354へ接合される場所である。接合部3312の幅の変更により、織物導管内に形成されるチャンバのサイズが変更される。例えば、接合部が幅広になるほど、より幅狭の接合部と比較して、チャンバ容量が低下する。接合部の幅は、織物導管のいずれかの側部上において異なり得る。さらに、接合部の幅も、織物導管の長さに沿って変化し得る。
接合部3312の幅を変更することにより、織物導管の剛性を長さに沿って変化させることが可能になり得る。例えば、より高い応力を受けるかまたは屈曲の可能性がより高い位置においては、接合部の幅を同様の屈曲の可能性の無い領域よりも大きくすることができる。接合部3312の幅は、管3350の形成に用いられる溶接機構または切断機構の幅に依存し得る。他の形態において、これらの層を共に接合するために、別個の加熱機構を用いてもよい。このような状況において、より幅広またはより幅狭の接合部3312を生成するために、加熱機構を動き回らせることができる。管3350の外側部に沿って図示していないが、いくつかの形態において、接合部が管3350のチャンバ内に配置されるように、管3350を裏返しにひっくり返すことができる。
いくつかの形態において、管長さに沿って管の可撓性および剛性を調節するために、管3350のD字型断面の周囲の接合部3312の位置を変更することができる。
いくつかの形態において、接合部へ特定の特性を付与する多様な技術を用いて、接合部が形成され得る。例えば、いくつかの形態において、超音波溶接、高周波溶接ならびに切断技術および溶接技術を用いて、接合部が形成される。特定の領域へ熱を付加すると、管3350中に用いられる熱硬化性または熱可塑性材料が活性化される。この熱は、層の相互接合だけでなく、外側層3354などの層の熱形成にも用いられ得る。さらに、いくつかの形態において、縫合または接着剤などの接着を用いて、層の相互接合を行うことができる。いくつかの形態において、縫合は用いられない。さらなる形態において、層内に配置された材料を超える材料は、管3350の内側層および外側層の接合において用いられない。例えば、いくつかの形態において、内側層および外側層の接合において接着剤または縫合などのさらなる材料が不要になるように、内側層および外側層が形成され得る。
いくつかの形態において、スリーブ(例えば、織物製のもの)により管3350を被覆すると、寝具のような印象を模倣するころが可能になる。
5.3.3.1.1.2 患者インターフェースの形状
管3350は、患者の顔の形状に対応する多様な曲率も自身の長さに沿って有し得る。上記したように、管3350の断面は、特定の形状を有し得る。管3350の形状は、(図4Fに示すような自身の幅のみだけではなく)自身の長さに沿って変化し得る。例えば、内側層3352の内面3358は、内側層3352の長さに沿って正曲率を概して有し得る。この曲率は、管3350が患者頭部と接触する領域に沿って、患者の顔の概して負の曲率に対応するように管3350内に設けられ得る。しかし、患者の顔の曲率は複雑かつ変動するため、管3350が患者頭部と接触する点においては、頭部が概して負の曲線状である点に留意されたい。さらに、ユーザがヘッドギア3300を着用していないときも、この曲率を達成することができる。すなわち、管3350の長さの曲率は、所定の非平面状の構成に対応し得る。
図4L-1~図4L-4を参照して、管3350が単独で図示されている。図示のように、管3350は、内側層3352および外側層3354多様な平面の周囲に配置されるように、3次元に沿って屈曲または形成される。例えば、接続ポート3600に隣接する外側層3354の最外側部位3378は、XY平面に沿って延びる。対照的に、右アーム3304の外側層3354の最外側部位3380は、YZ平面に沿って配置される。加えて、いくつかの形態において、管3350はさらなる屈曲部を含み得るため、右アーム3304をZ軸に沿って回転させると、最外側部位3380の一部はXZ面に沿って延びる。このようにして、管3350は、3次元の所定の形状を有し得る。
管3350の一部の特定の図を図4L-2~図4L-4に示す。詳細には、図4L-2は、管3350の一部の側面図である。図4L-3は、管3350の一部の正面図である。図4L-4は、管3350の一部の上面図である。
管3350のジオメトリに基づいて、管3350は、特定の領域においてより硬質にされ得る。図4L-1に示すように、管3350を多様な軸の周囲において屈曲させるかまたはねじるには、異なるレベルの力が必要になり得る。すなわち、管3350は、平面または軸に沿って変形または屈曲に(第2の領域においてよりも第1の領域においてより高レベルに)耐え得る。例えば、管3350をXY面に沿って屈曲させるかまたはねじるには、接続ポート3600に隣接する第1の領域3308と右アーム3304の第2の領域3310とでは、異なるレベルの力が必要になり得る。管3350を特定の方向に配置することにより、管3350の断面形状の強度を用いて、特定の方向における屈曲に耐えることが可能になり、安全な患者インターフェース3000の提供を支援することができる。
さらに、図4L-1に示すような管3350は、異なる度合いまで屈曲または方向付けすることができる。例えば、左アーム3302および右アーム3304は、図示するよりも相互に近づけて配置することができる。すなわち、左アーム3302と右アーム3304との間のXに沿った間隔を、小さくすることができる。これらのアーム間の間隔は、管3350の製造時において特定の所望の形状に応じて変更することができる。さらに、いくつかの形態において、管3350の形状は、患者の顔と整列または形状適合するように、構成され得る。管3350は、患者の形状に対して相補的な形状を有し得る。例えば、患者の顔の一部は、負の曲率を有する。内側層3352の外面3374は、内側層3352がユーザの顔と同一面上に配置されるように、反対の正曲率を持つように構成され得る。さらに、患者の顔の他の領域は、正曲率を有する。内側層3352の外面3374は、内側層3352がユーザの顔に対向して配置されるように、反対の負の曲率を有するように構成され得る。管3350は、アームにおいて内方屈曲を有するように形成され得るため、管3350はユーザの顔に対して圧縮を提供する。すなわち、いくつかの形態において、左アーム3302および右アーム3304は、平面に対して角度を以て方向付けられ得る。左アーム3302は、平面内に配置され得る。この平面が延びると、右アーム3304が配置された平面を横断する。この方位により、ユーザ頭部への圧縮が得られ得、快適性およびぴったりとした配置が支援される。
いくつかの形態において、左アーム3302および右アーム3304は、左アームおよび右アームの可撓性を増大させる蛇腹状部を有し得るため、アームを屈曲させて患者の顔に形状適合させることが可能になり得る。
いくつかの形態において、管の形状は、特定に形成され得る。導管の上面図の形状は、変更可能である。シリコーン管と対照的に、織物管の形状は、(射出成形などの成形により全体を成形するのではなく)特定の形状を生成するように切断および形成することができる。このように複雑な鋳型無しに特定の形状を決定することが可能になると、他の形態と比較して製造コストの低減が可能になり得る。
いくつかの形態において、これらの層は、層が特定形状に編まれるように特定の様態で編まれ得る。他の形態において、織布、不織布または他の繊維網織物を特定形状に切断することができる。いくつかの形態において、L字型導管が形成され得る。他の形態において、例えば図4Eに示すように、U字型管3350が形成され得る。空気送達システムを織物材料から形成することにより、他の多様な形状および構成が形成され得る。さらに、平坦なまたは平面状のシートを取り扱うと、製造および組立の支援に繋がり得る。材料を2次元空間内において取り扱うことが可能であるため、接合部、接続部または屈曲部の複雑性が低下する。図4E中、図示を分かり易くするために2次元では図示していないが、例えば図4A~図4Dに示すような他の形態において、管3350を製造時に屈曲またはねじることにより、管3350に所定の3次元形状を持たせることも可能であり得る。
いくつかの形態において、複数の層を組み合わせて、1つの管を形成することができる。他の形態と対照的に、複数の別個のシートにより管を形成することにより、複雑な設計および特定の形状の形成が容易になり得る。例えば、管を3次元形状で形成する代わりに、形状を2次元層から切り出すだけですむ。その後、層にさらなる処理を施すことにより、3次元形状を形成することができる。形状形成の初期形成または計画を2次元で行うことにより、他の形態よりも処理がより簡単になり得、時間も短縮され得、またコスト効率も良くなり得る。
患者インターフェース3000は、圧力または力無しに形状を維持できるだけではなく、跳ね上げにより一定形状をとるような構成にもされ得る。患者による開封および患者インターフェース3000の使用の前に、患者インターフェース3000をパッケージング内に配置することができる。今日、患者インターフェースの中には、患者頭部への着用の際の方向付けが困難なものが存在する。いくつかのインターフェースのストラップが相互に絡み合うと、患者インターフェースの正確な着用様態が不明確になる。しかし、患者インターフェース3000は、患者インターフェース3000がパッケージングまたは手荷物または任意の限定空間から取り出された際に患者インターフェース3000が跳ね上がって所定の形状をとるように、形成される。すなわち、患者インターフェース3000が患者インターフェース3000のアームを(ユーザ側がさらに努力する必要無く)方向付けることで、患者インターフェース3000の着用様態を(患者インターフェース3000のコンポーネントをさらにほどいたり配置したりする必要無く)患者にとって明確にする。このような構成により、患者による患者インターフェース3000の使用が容易になり得る。
5.3.3.1.1.3 構造支持
いくつかの形態において、接合部は、管3350のシールとしてかつ管3350の剛化物または支持構造として用いられ得る。アーム支持部3314は、より幅広の接合部であり、力ベクトルを詳細に方向付けることと、シール形成構造3100と患者気道との間にシールを提供することとのために用いられ得る。アーム支持部3314は、屈曲に耐えることができるため、後方および上方双方において十分な力を管3350を通じてクッションアセンブリ3150へ付与することにより、シール形成構造3100と患者気道との間のシールを提供することができる。図4A~図4Dを参照して、安定化構造3300は、アーム支持部3314を含む。図示のように、アーム支持部3314は、左アーム3302の一部に沿って延びる。アーム支持部は、右アーム3304の一部に沿って設けてもよい。アーム支持部3314は、左アーム3302の屈曲に耐えるため、患者が患者インターフェース3000を着用するとき、患者シール形成構造3100は、ユーザの顔または鼻に対して正しい位置決めを維持する。例えば、着用時において、ヘッドギア3300は、患者の上耳底点と患者気道との間において直線状になる傾向になり得る。すなわち、管3350がクッションアセンブリ3150へと屈曲すると、ヘッドギア3300は直線状になる傾向となる。アーム支持部3314は、左アーム3302のX周囲の回転に耐える。図示のように、アーム支持部3314は、内側層3352および外側層3354によって形成される。すなわち、アーム支持部3314においてさらなる材料またはコンポーネントは不要になるため、アーム支持部3314は、管3350の形成に用いられる材料および層のみによって形成される。このようにして、安定化構造3300は、さらなるコンポーネントが不要な効率的な様態で形成され得る。さらに、内側層3352および外側層3354を超えた別個の剛化物が、管3350の多様な部位に設けられ得る(例えば、アーム支持部3314内またはアーム支持部3314の外面に沿って)。本技術の他の形態において、管3350への剛性付与のために、別個の剛化物が用いられる。本技術の1つの形態による剛性付与要素は、好適には肉薄であり、患者がその上に載置された際に形状適合し、なおかつ平面外屈曲に耐えるだけの十分な剛性を有する。すなわち、剛性付与要素は、いくつかの面における屈曲を許容しかつ他の面における屈曲に耐える(例えば、患者の顔に対して近接方向および離隔方向の屈曲を許容する)ような構造にされる。また、剛性付与要素を利用するかまたはストレッチさせないことにより管3350に張力を持たせてサイズを維持する領域においては、剛性付与要素は、管3350を非伸長にする。剛性付与要素は、管3350の空気流路内に設けてもよいし、あるいは管3350の外部に設けてもよい。
さらに、剛化物は、周囲の材料よりも高い硬度および/または剛性を有するコンポーネントに対応し得る。さらに、剛化物は、指の変形に耐えるために用いられる。さらに、剛化物は、内側層3352および外側層3354を形成する層以外のコンポーネントを指し得る。例えば、管3350の特定の領域は、内側層3352および外側層3354の形成に用いられる材料を超えるさらなるコンポーネントを含み得る。いくつかの形態において、接続ポート3600(図4Mおよび図4Nを参照)は、剛化物とみなされ得る。接続ポート3600は、周囲材料よりも硬質の材料により形成され得、接続部3600は、指の変形に耐え得る。他の形態において、剛化物は、内側層3352または外側層3354へ恒久的に取り付けられた内側層3352および外側層3354以外の材料を指し得る。さらに、剛化物により、剛化物と接触した層の剛性が(剛化物を含まない層と比較して)増加し得る。
一形態において、剛性付与要素により、構造強度または自己保持形態を患者インターフェースへ付与することが可能になるため、患者インターフェースが患者頭部に取り付けられていても取り付けられていなくても、患者インターフェースが塊になること無く形状を保持することが可能になり得る(例えば、形状記憶)。このような形状保持の配置構成により、管が所望の位置に維持され、使用時における患者インターフェースの着用が支援され得る。
いくつかの形態において、剛性付与要素は、特定の位置において用いられ得る。例えば、剛性付与要素は、安定化構造3300の層間において用いられ得る。例えば、剛性付与要素は、内側層3352と外側層3354との間に配置され得る。他の形態において、剛性付与要素は、内側層3352および外側層3354を形成する多様なシートの間に配置され得る。他の形態において、剛性付与要素は、安定化構造3300の内面または外面に沿って配置され得る。さらなる形態において、剛性付与要素は、頭部ストラップ3420が管3350と相互作用するときなどに、高応力の領域へ配置され得る。剛性付与要素の利用により、患者インターフェース3000の全体形状への剛性付与と、管3350の断面の支持とが可能になり得、これにより、管3350の座屈に耐えることが可能になる。
いくつかの形態において、剛性付与要素は、ヘッドギア3300の外面に沿って配置され得る。例えば、剛性付与要素は、外側層3354の外面3376に沿ってアーム支持部3314の位置に配置され得る。いくつかの形態において、接続ポート3600と、アセンブリ接続ポート3154および3155との間には、管3350のチャンバ内に剛化物は設けられない。他の形態において、接続ポート3600とアセンブリ接続ポート3154および3155との間において、内側層3352および外側層3354の接合部間に剛化物は設けられない。さらなる形態において、接続ポート3600とアセンブリ接続ポート3154および3155との間の内側層3352と接触する剛化物は無い。
他の形態において、内側層3352の構造および方位により、いくつかの方向における屈曲が可能になり得、他の方向における屈曲に耐えるだけの十分な剛性が得られ得る。すなわち、内側層3352は、いくつかの平面における屈曲を許容しかつ他の平面における屈曲に耐える(例えば、患者の顔に対して近位方向および離隔方向への屈曲を許容して患者頭部に形状適合しかつ内側層3352が延びる面に沿った屈曲に耐える)ような構造にされ得る。そのため、第1の平面において、内側層3352が屈曲するように構成され、第2の平面において、内側層3352は屈曲に耐える。第1の平面は、第2の平面に垂直になり得る。内側層3352と同様に、外側層3354も、屈曲の許容および屈曲への対抗が可能であり得る。
上記したように、接合部3312は、剛化物を形成し得る。接合部3312は、管3350がいくつかの平面における屈曲を許容しかつ他の平面における屈曲に耐えるように構成され得る(例えば、患者の顔に対して近位方向および離隔方向において第1の平面における屈曲を許容して患者の頭部に形状適合し、内側層3352が内部を延びる第2の平面に沿った屈曲に耐える)。さらに、接合部3312は、第1の平面および/または第2の平面における屈曲に耐えるように、実質的に剛性となるように構成され得る。
他の形態において、導管のサイズは、屈曲耐性に貢献し得る。例えば、いくつかの形態において、導管は、第1の領域よりも小さな断面を有し得る。第1の領域(例えば、幅W1を有する領域)においては、第1の領域が含み得る容量または空間と比較して、材料密度が高くなる。所与の位置における材料密度を高くすることにより、は特定の領域における外側層3354へ垂直方向の屈曲または変形に対する強度または剛性または耐性を(他の領域と比較して)増加させることが可能になり得る。屈曲またはねじれなどの力の増加に晒され得る特定の領域が、屈曲またはねじれに耐える特定の材料が用いられるように、詳細に形成され得る。例えば、図示のように、管3350は、端点3306においてより幅狭になる。端点3306は、クッションアセンブリ3150へ接続され得る。マスク領域は、屈曲およびよじれを発生する可能性が高い場合がある。そのため、マスク接続位置の材料の密度を変更することにより、管3350内におけるよじれおよび屈曲の可能性を低下させることが可能になり得る。
5.3.3.1.1.4 管層の特性
いくつかの形態において、内側層3352および外側層3354は、異なる材料により形成される。いくつかの形態において、内側層3352は、外側層3354よりも柔軟な織物材料により形成され得る。内側層3352は患者の皮膚へ晒されるため、内側層3352の材料は、快適に感じられるように患者の皮膚に沿って特定に形成され得る。外側層3354は、内側層と異なる材料であり得る。外側層3354は、研磨剤に引っかかるかまたは物体に擦りつけられる可能性がより高い。そのため、いくつかの形態において、外側層3354は、内側層ほど軟らかくない耐久性の材料によって形成される。さらに、外側層3354の外面3376および内側層3352の外面3374は、各層の内面と異なる表面特性を有し得る。さらに、外面3374は、外側層3354の外面3376よりも高い摩擦係数を有し得るため、患者の顔位置決めおよび安定化構造の位置を維持することができる。
いくつかの形態において、特定の表面は、膜と共に積層され得る。例えば、いくつかの形態において、導管またはシーリング構造の内側のみに、膜が設けられる。よって、外面および内面は、異なる特性を有し得る。外面は、より軟らかくかつ呼吸可能であり得る、綿により形成され得る。この表面は、シリコーンまたはポリウレタン表面よりも患者にとってより心地良いかまたはより快適であり得る。しかし、内面は、膜と共に積層またはコーティングされ得る。そのため、膜表面は、患者の患者から間隔を空けて配置されるかまたは隔離され得る。織物導管の内面または外面に異なる材料特性を持たせることにより、特定のコンポーネントの快適性の向上が可能になり得る。
さらに、外面3376は、織物表面のみを含み得る。すなわち、外面3376は、織物膜と共に被覆または積層されていない場合がある。いくつかの形態において、特定のシートの外面は、特定の管の設計に応じて、織物膜と共に積層してもよいし、あるいは積層しなくてもよい。例えば、快適な表面を患者へ提供するために、内側層3352の外面3374は、織物膜により被覆または織物膜と整列させなくてもよい。しかし、外側層3354の外面3376は、摩耗または他の外力に対する保護または抵抗の向上のために膜を含む。さらに、外側層3354は、患者の皮膚から間隔を空けて配置されているため、異なる表面特性を有する外側層3354を内面3356および外面3376に沿って形成することは不要であり得る。例えば、外側層3354を熱可塑性または熱硬化性材料中に浸漬させて、両面を織物膜により被覆させることができる。このような構成においては、外側層3354を浸漬させるために必要な時間を単一表面の層の積層に必要な時間よりも短くすることが可能であり得るため、外側層3354の製造コストの低減が可能になり得る。
位置決めおよび安定化構造の全体的重量は好適には、50g未満である(例えば、40g未満または30g未満)。内側層3352および外側層3354の厚さはそれぞれ、2mm未満であり得る(1mm未満)。
織物のシートの利用により、色のカスタマイズが容易になり得る。例えば、1枚のシートを青色にし、その他のシートを白色にすることができる。異なる色により、消費者が特定の組み合わせを選択することが可能になり得るため、患者がデバイスを用いた治療を継続的に受ける可能性が増大し得る。
ヘッドギア、管または導管の形成をこのように行うことにより、ヘッドギアを患者の顔の外形に合わせて調節または形状適合できるように特定に形成することが可能になり得る。直線状の円筒管と異なり、内側層および外側層を切断して相互に取り付ける様態により、織物導管の形状を決定することが可能になり得る。
5.3.3.1.1.5 使用時の患者インターフェース
図4B~図4Dに示すような患者インターフェース3000は、患者頭部上に着用され得る。所定位置への配置後、加圧空気が空気送達管3348を通じて供給される。空気送達管3348から、加圧空気は、左アーム3302または右アーム3304または双方のアームを通じて送られる。次に、空気は、アセンブリ接続ポートまたはポート3154および3155を通じてクッションアセンブリ3150中へ送られる。このようにして、空気が患者へ供給される。
いくつかの形態において、加圧空気が管3350を通じて送られる際、管3350の断面は、改変または変化され得る。図4F、図4Gおよび図4Hに示すように、内側層3352は、実質的に平面状である。いくつかの形態において、使用時において、内側層3352は、膨張または屈曲して、接合部3312間の外側層3354から離隔方向に移動し得る。すなわち、内側層3352の内面3358は、正曲率を有し得る。換言すると、内側層3352の外面3374は、接合部3312間に負の曲率を有する。この曲率により、内側層3352の他の部位を患者の顔または頭部から離隔方向に間隔を空けて配置することが支援され得る。例えば、この曲率により、接合部が患者の顔から離隔方向に間隔を空けて配置され得、患者の快適性が増加し得る。
いくつかの形態において、患者インターフェース3000の使用時において、外側層3354も、加圧空気に触れたときに膨張し得る。外側層3354は所定の形状で形成されているが、外側層3354は、剛性構造ではなく、加圧空気に触れたときに膨張し得る。このような膨張は、材料そのものにおいて発生させ(例えば、外側層3354はストレッチさせ)てもよいし、あるいは、管3350の縁を相互に近位方向に移動させることによって膨張を発生させてもよい。例えば、接合部3312が相互に向かって移動すると、外側層3354の内面3356の曲率は、非加圧状態のときよりも正になる。このような形状変化は、特定の快適性および使用時における患者の感触に合わせて調節することができる。
さらに、上記したように、管3350の一領域は、特定の領域において調節され得る。一領域において、管3350は、空気に対して完全に不透過性であり得る一方、別の領域において、特定の量の空気を管3350を通じて移動させることが可能であり得る。例えば、いくつかの形態において、特定の量の空気が管3350から患者の頬へ移動することを可能にするように、管3350の一領域を調節することが可能であり得る。さらに、管3350は、空気が管3350の1つの層を通じて(すなわち、内側層3352を通じて患者へ向かってまたは外側層3354を通じて患者から離隔方向に)のみ移動するように、調節され得る。
管3350の織物構造により、位置決めおよび安定化構造を従来の空気送達管および導管よりも共鳴性を低くすることが可能になるため、患者にとって混乱が減り、これにより、治療へのコンプライアンスが促進される。
5.3.3.1.1.6 ヘッドギア位置決め
本技術の特定の形態において、安定化構造3300は、ヘッドギアストラップをシール形成構造3100へ接続させるための機構を含む。ヘッドギアストラップは、シール形成構造3100へ直接的または間接的に接続され得る。図4Cに示すように、例えばヘッドストラップ3420へ接続するように構成されたタブ3346は、管3350から外方に概して後方方向に突出する。これらのタブ3346は、ヘッドストラップ3420の端部を受容するための穴部またはスロットを内部に有する。しかし、図示のように、ストラップ3420は、内側層3352と外側層3354との間に固定され得る。すなわち、ストラップ3420は、内側層3352および外側層3354の材料を超えた任意のさらなる材料無しに固定することが可能であり得る。例えば、ストラップ3420は、内側層3352および外側層3354の熱硬化性または熱可塑性材料を用いて固定され得る。さらに、ストラップ3420は、管3350のチャンバ内に延びてもよいし、あるいは、管3350の外部に配置してもよい。他の形態において、ストラップ3420は、ワイヤまたは紐またはタブ3346中の開口部を通じて延びる他の管状構造の形態をとり得る。
本技術のいくつかの形態において、後ストラップ3420は調節可能である。いくつかの形態において、ストラップ3420は面ファスナを含み得るため、後ストラップ3420の一部をタブ3346中の穴部を通じて送り、自身の上に固定することが可能になり得る。本技術のいくつかの形態において、ストラップ3420の管3350または患者頭部に相対する角度は、異なる位置における患者頭部周囲にフィットするように調節することができる。このような調節可能性により、ヘッドギア3300が異なる頭部形状およびサイズに対応することが支援される。
本技術の特定の形態において、ストラップ3420は、タブ3346の位置において管3350を少なくとも部分的に後方(例えば、後方)方向に牽引するための力を管へ付与する。ストラップ3420は、管3350を少なくとも部分的に内方(例えば、後方)方向に牽引するための力もア管へ付与し得る。この力の大きさは、タブ3346間のストラップ3420の長さを変更することにより、調節され得る。
図4Cに示す形態などの本技術のいくつかの形態において、ストラップ3420から管3350へ付加される力の方向を変更してもよい。この方向は、ストラップ3420の管3350または患者頭部に相対する角度を調節することにより変更してもよい。本技術のいくつかの形態において、ストラップ3420から管3350へ力が付与される位置は、ストラップ3420が管3350へ固定される位置を調節することにより、変更され得る。
本技術のいくつかの形態において、患者による着用時において、シール形成構造3100は、患者から離隔方向、前方方向および下方方向または下側方向に落下する傾向になる。ヘッドギア3300は、これらの傾向に対抗またはこれらの傾向を中和させるように、配置される。管3350をストラップ3420と共に用いることにより、上方の力および後方の力双方が得られるため、使用時においてシール形成構造3100は所定位置に維持される。さらに、管3350をストラップ3420と共に用いることにより、後方および上方のさらなる力も得られるため、シーリング層3102から患者気道へシールが提供される。ヘッドギア3300がシール形成構造3100から受け取る下方の力は、アーム支持部3314によって少なくとも部分的に中和される。さらに、管3350の上部により、ヘッドギア3300は上/下方向に沿って所定位置に維持され、ストラップ3420により、ヘッドギア3300の位置の前/後方向の維持が支援される。
確実なフィットおよび有効なシールに必要な力の方向および大きさは、例えば頭部形状およびサイズの差に起因して異なり得る頭部上の安定化構造3300の位置に基づいて、患者間において異なり得る。本技術のいくつかの形態において、ストラップ3420が調節可能であるため、有効なソールを維持しつつヘッドギア3300を快適な位置に保持するように、一定範囲の頭部形状およびサイズに対して力のバランスをとることが可能になる。
5.3.3.1.1.7 接続ポート構成
管3350は、管3350の内外において空気を移動させるように構成された複数の接続コンポーネントを含む。これらの接続コンポーネントは、治療デバイスの他のコンポーネントへのシームレスなまたは円滑な移行および接続を提供するように、管3350内に一体化される。これらの接続コンポーネントは、管3350と異なる材料により形成され得る。いくつかの形態において、接続コンポーネントは、屈曲または圧縮に耐える硬質または剛性のプラスチックである。このような材料を用いることにより、接続コンポーネントを通過する空気が制限される可能性を低下させることが可能になり得る。
図4Mおよび図4Nを参照して、接続ポート3600が図示されている。図示のように、接続ポート3600は、上面3602と、反対側の下面3604とを含む。流路3606は、取入口3608からの空気を管3350のいずれかの側部へ誘導するように、上面3602と下面3604との間に延びる。空気は、取入口3608中へ誘導されて、取入口3608を通じて上面3602から流路3606内へ誘導される。次に、空気は、管3350に沿って患者の口および/または鼻へ誘導される。
特に図4Mを参照して、接続ポート3600は、管3350の一部の中に図示される。いくつかの形態において、接続ポート3600は、シールされず、管3350の層へ接続され得る。すなわち、接続ポート3600は、管3350の層の内面に沿ってスライドすることができ得る。接続ポート3600は、管3350の層にシールされるかまたは機械的に接続される代わりに、管3350の形状により横手方向への移動が制限され得る。例えば、管3350の幅は、テーパ状または小さくすることができるため、接続ポート3600は、大きな度でスライドすることはできない。
図4Oを参照して、本技術の別の形態の接続ポートが図示される。図示のように、接続ポート3701は、外側部位3702および内側部位3704を含む。内側部位3704は、内側部位3704が内側層3352と外側層3354との間に配置されるように、管3350へ挿入され得る。外側部位3702は、内側部位3704と相互作用する伸長部を含む。外側部位3702は、管3350中の開口部の周囲に配置され、内側部位3704と整列される。外側部位3702は、内側部位3704中へスナップ留めしてもよいし、あるいは他の様態で内側部位3704へ固定してもよい。このようにして、外側層3354は、接続ポート3701の内側部位3704と外側部位3702との間に固定される。さらに、内側部位3704は、内側層3352が接続ポートにおいて外側層3354と隣接する事態を回避するための支持部を備え得る。図示のように、内側部位3704は、支持部3706を含む。支持部3706は、ケージ型構造であるため、管3350の内側層3352と外側層3354との間に隙間または空間を提供しつつ、空気を接続部3700の開口部を通じて管3350の残り部分へ流動させることが可能になる。
さらなる接続コンポーネントにより、管3350がシール形成構造3100へ接続され得る。図示のように、管3350へ取り付けられた2つの接続コンポーネントが、シール形成構造3100のフレーム3152のいずれかの側部へ接続される。アセンブリ接続ポート3154は、接続ポート3600と同様の様態で形成され得る。さらに、アセンブリ接続ポート3154は、シール形成構造3100の開口部と係合するように構成されるため、クッションアセンブリ3150は、管3350と流体接続される。1つよりも多くの接続コンポーネントを利用することにより、患者が横向きに寝ているときに例えば患者頭部の重量に起因して管の片側が座屈した場合でも、空気が患者へ送達される。
5.3.3.1.1.8 ヘッドギア管の作製方法
安定化構造3300の空気送達システム(例えば、管3350)は、多様な技術を用いて形成および製造され得る。いくつかの形態において、管3350の形成に用いられる織物の層またはシートはそれぞれ、特定の断面を有するように事前形成され得る。これらの層またはシートは、シリコーン、ポリウレタン、熱可塑性、熱硬化性または他の形状適合材料によってコーティングされ得る。この材料は、上記したような織物膜の形成に用いられる材料と同じであり得る。いくつかの形態において、この層は、織物膜としても機能し得る。形状適合材料を受容した後、シートまたは層は、鋳型内に配置され得る。次に、これらの層またはシートを加熱して、形状適合材料を溶融させることができ得る。その後、熱を層から除去して、形状適合材料を硬化させる。その後、層を鋳型から除去して、層に鋳型の計上をとらせる。
ここで図8A~図8Fを参照して、管または空気送達システムの形成に用いられる1つのプロセスの概要が図示される。図示のように、鋳型3800は、実質的に凹型の形状と共に形成される。鋳型3800の形状は、製造されるべき管の形状に応じて変更または改変され得る。織物シート3360は、上記した材料により形成された織物シートであり得る。いくつかの形態において、織物シート3360は、織物シート3360の表面に沿って織物膜層を既に含み得る。しかし、図8A~図8Fに示す形態において、織物シート3360は、織物膜を既に含まない。次に、織物シート3360を、図8Bに示すように鋳型内に配置する。織物シート3360を適切に方向付けた後、別のシートを織物シート3360の上に配置する。図8Cおよび8Dに示すように、織物膜3362は、織物シート3360に対向して方向付けられる。織物膜3362は、シリコーン、熱可塑性または織物膜について上記した他の材料により形成された膜であり得る。図8Dに示すステップにおいて、織物シート3360および織物膜3362の組み合わせを加熱して、膜を溶融または部分溶融させ、かつ/または他の様態で織物シート3360の表面に接着させる。次に、織物シート3360および織物膜3362の組み合わせは、織物膜3362の硬化後、鋳型3800から取り外され得る。織物膜3362の硬化後、織物膜3362は鋳型3800の形状をとり得るため、織物シート3360が鋳型3800の形状をとることが可能になり得、これにより、上記した内側層3352が形成される。内側層3352および外側層3354の片方または双方を所定の形状に熱形成することができる点に留意されたい。他の例において、内側層3352および外側層3354のいずれも熱形成されない。
いくつかの形態において、複数の形成されたシートおよび膜組み合わせを用いて、空気送達システムの管または部位を形成することができる。図8Eおよび図8Fに示すように、内側層3352および外側層3354双方が熱形成され、組み合わされて、管3350が形成され得る。管3350は、加圧空気の受容のための特定の容量を含む定常状態の形状を有し得る。さらに、管3350は、折り畳み可能であり、保管のために容易に圧壊可能である。管3350は織物膜3362を含むため、管3350は、折り畳まれた後または保管された後でも、図8Fに示すような形状に復帰することができる。さらに、さらなるまたは異なる層を用いて、より高剛性または低剛性の構造を形成することができる。例えば、外側層3354は、加熱されたときに鋳型3800の形態をとる発泡材料層などの熱硬化性材料を含むように形成され得る。さらなる層(例えば、織物シート、発泡材料層、織物膜または他の層)を用いて、特徴を保持する十分な形状を提供するかまたは管3350が自身の形状を維持できるだけの十分な剛性または剛直性を管3350へ提供することができる。
他の形態において、マンドレルが用いられ得る。鋳型3800などの負の形状の鋳型の代用として、マンドレルを内側層3352などの多様な層により被覆することができ得る。所望の層により被覆された後、マンドレルを加熱してもよいし、あるいは層を加熱して、熱可塑性または熱硬化性材料を活性化させてもよい。次に、マンドレルを取り外すことにより、内側層3352または他の層を特定のマンドレル形状の形状に形成する。
本技術の別の形態において、膜または形状適合層は、液体またはペーストであり得る。さらなる形態において、形状適合層は、硬化の際に熱は不要であり得る。例えば、形状適合層は、接着剤と同様に空気への暴露によって硬化し得る。さらなる形態において、エポキシまたはファイバーグラス樹脂などの化学反応が用いられ得る。いくつかの場合において、成形プロセスに起因して、特定のコンポーネントの形状および設計が制限され得る。そのため、いくつかの形態において、多様なコンポーネントの形成のための堆積方法が用いられ得る。堆積は、特定の形状の鋳型を含む。布地または織物層などの層は、鋳型内へ配置され得る。次に、樹脂、膜材料または他の材料が層上に配置される。次に、樹脂または他の形状適合材料を硬化させて、層の形状を鋳型の形状に対応させる。いくつかの形態において、離型剤を布地層と鋳型との間に配置して、鋳型からの層の容易な取り出しを支援することができる。鋳型から取り出された後、層は、鋳型の形状を維持または保持し得る。
図8G~図8Kに示すように、管3363は、上記した技術を用いて形成され得る。図8Gに示すように、織物シート3360は、鋳型3800へ配置される。図8Hにおいて、織物膜3362は、織物シート3360に沿って配置される。この形態において、織物膜3362は、図8Cに示す方法と対照的に、液体形態で付加され得る。図8Iに示すように、織物シート3360の適切な部位が織物膜3362によって被覆されるように、織物膜3362を織物シート3360に沿って広げる。織物膜3362を熱または他の方法によって硬化させた後、織物シート3360および硬化した織物膜3362を含む内側層3352を鋳型3800から取り外す。図8A~図8Fに示すように管3350について述べた方法と同様の方法により、内側層3352を外側層3354と組み合わせて、管3350を形成することができる。
これら2つの層(例えば、内側層3352および外側層3354)は、形成された後、長手方向縁に沿って接合されて、チャンバを形成し得る。いくつかの形態において、これら2つの層の接合は、接着剤または他の接着を用いて行われ得る。他の形態において、これらの層の接合は、機械的締結具を用いて行われ得る(例えば、釘、ねじまたはボタン)。他の形態において、これら2つの層は、共に縫合するかまたは縫い込んでもよい。さらなる形態において、これら2つの層は、共に溶接され得る。溶接について、これら2つの層の溶接は、高周波溶接または無線周波溶接を用いて行われ得る。さらなる形態において、層の切断にホットナイフが用いられ得、切断時において、これら2つの層の一部が溶融および硬化するため、これら2つの層間にシールも形成し得、これにより、第1の層と第2の層との間にシールが形成される。
いくつかの形態において、溶接接続は、織物導管の多様な位置において用いられ得る。いくつかの形態において、溶接接続は、他のコンポーネントの織物導管への接続または織物導管の他のコンポーネントへの接続に用いられ得る。物理的締結具(例えば、ねじ、クリップ、スナップ)に依存する代わりに、多様な種類の溶接の利用により、コンポーネントを相互に固定させることができる。溶接の利用により、嵩高の接続を低減することができる。さらに、溶接接続技術の利用により、さらなる接続コンポーネントが不要になり得る。例えば、層の層がアダプタに対向するように織物導管の層の一部をアダプタの周囲に配置することにより、織物管とアダプタまたはコネクタとの間の接続を形成することができる。次に、層およびアダプタの組み合わせを加熱して、膜を溶融させるかまたはアダプタに形状適合させる。膜が硬化すると、確実な接続が、層とアダプタとの間に形成され得る。
図8Lおよび図8Mを参照して、上記した技術は、より複雑なD字型へ適用され得る。鋳型および熱可塑性または熱硬化性材料を内部断面の形成のみに利用することに加えて、鋳型および熱可塑性材料は、コンポーネントの長さにわたって3次元形状を形成するためにも用いられ得る。すなわち、チャンバの形成に加えて、鋳型を用いて、管3350を3本の軸に沿って屈曲または回転させて、さらなる支持無しにこの形状を維持できるようにすることができる。図8Lに示すように、鋳型3802は、第1の方向D1および垂直方向D2に延びる溝部または収容部3804を含む。織物シート3360は、特定の形状へ切り出された後、鋳型3802の収容部3804に沿って配置され得る。簡潔さのため、織物シート3360は、熱硬化性または他の形状適合膜と共に既に積層され得る。図8Mに示すように、織物シート3360を加熱して、膜を溶融させるかまたは収容部3804の形状に形状適合させる。硬化後、織物シート3360を鋳型3802から取り外すと、織物シート3360は、収容部3804の形状を保持する。
管3350は、鋳型3802中に成型されたシートを用いて形成され得る(図4L-1~図4L-4を参照)。例えば、図8A~図8Fに示すような同様の様態において、織物シート3360に類似する第2のシートを形成し、織物シート3360と接合させることができる。図4L-1~図4L-4に示すように、管3350は、多様な方向に方向付けられ得る。すなわち、管3350は、3次元物体へ戻るように、形成または形状適合され得る。管3350を3次元物体として形成することにより、使用時における管3350における折り目または屈曲部の量または数量を低減することができる。例えば、管3350を患者の顔に形状適合するように屈曲またはねじることを患者に要求する代わりに、管3350と屈曲部またはねじれと共に事前形成することができる。管3350の形状の後の別個のステップにおいて形成するのと対照的に、管3350の形状に屈曲またはひねりを設けることにより、管3350を通じた気流を低減させ得るよじれの低減が可能になり得る。図4A~図4Dに示すように、患者が管3350を用いるときに、管3350の形状を、患者の顔および頭部の形状に対応するような形状にすることができる。製造プロセス時において管3350を特定形状に形成することにより、圧力点を低減することができ得る。
さらに、いくつかの形態において、第1のシート(例えば、織物シート3360)のみを、鋳型3802などの鋳型内に成形または形成する。第2のシートが織物シート3360の形状に形状適合するように、事前成形されていないシートが、成形されたシートへ取り付けられ得る。
織物膜は、織物の多様な表面に沿って配置され得る。織物を材料中に浸漬させると、全ての側部が膜により被覆されるかまたは膜と共に積層され得る。他の形態の織物は、織物の単一の表面をコーティングするかまたは積層させ得る。いくつかの形態において、膜または硬化材料は、布地層の単一の表面のみに沿って配置され得る。すなわち、いくつかの形態において、布地材料の第1の表面は、熱硬化性材料などの別の材料によってコーティングされ得、第2の表面は、被覆されていない織物であり得る。すなわち、材料のいずれかの側部において、異なる特性が設けられ得る。膜は、多様な材料によっても形成され得る。いくつかの形態において、織物膜は、シリコーンによって形成され、他の形態において、この膜は、ポリウレタンによって形成される。他の形態において、異なる材料も、用いられ得る。
いくつかの形態において、織物膜は、織物の平坦なシートまたは平面状のシートに沿って配置され得る。すなわち、織物のシートは、製造され得、織物の表面に沿って膜材料の層を含み得る。いくつかの形態において、膜は、織物上にシート状に積層され得る。他の形態において、膜は、液体または半液体形態で織物の周囲に分散させることができるため、膜の表面または膜の表面の一部を被覆する。次に、この膜を冷却または乾燥させると、織物表面に沿って硬化する。
いくつかの形態において、多様な方法および技術を用いて、治療デバイスの多様なコンポーネントを形成することができる。いくつかの形態において、平坦な材料または平面状の材料を操作して、治療デバイスにおいて用いられる3次元構造を形成することができる。これらの材料は、他の形態と比較してより高い快適性が可能になるように、カスタム形成または調整され得る。いくつかの形態において、シール形成構造は、織物材料により形成され得る。この材料は、他の構成よりも目立たず、より快適であり、かつ軽量であり得る。さらに、他のコンポーネントも、3次元構造を形成するように操作される平面状材料によって形成され得る。例えば、管材は、平面状の材料から形成され得る。さらに、加圧空気を含むかまたは加圧空気と接触する他のコンポーネントも、平面状の材料から形成され得る。加圧空気を含むかまたは誘導するコンポーネントに加えて、ストラップなどの他のコンポーネントを3次元構造を形成するように操作される平面状材料から形成することができる。
公知の患者インターフェースも、別個のヘッドギアと、マスクなどへの呼吸可能なガスの配置および供給に用いられる空気送達コンポーネントとを含むことが多い。公知のヘッドギアは、は弾性(または非弾性)のストラップ、バックル、ロックおよび/またはクリップのアセンブリを典型的に含む。公知の空気送達コンポーネントは、直径15~22mmのらせん状の補強管材およびスイベルコネクタを典型的に含む。ヘッドギアおよび空気送達コンポーネントのこれらの公知の配置構成の場合、不器用な者および/または不慣れな者にとっては使用が困難である場合がある。また、ヘッドギアおよび空気送達コンポーネントのこれらの公知の配置構成の場合、着用が不快または非実際的である場合もある。
5.3.3.1.1.8.1 カットアンドシール方法
コンポーネントの形成および接続は、多様な方法および技術を用いて行われ得る。一形態において、複数のコンポーネントの形成が、カットアンドシール方法を用いて行われ得る。この方法において、コンポーネントそれぞれが、特定の形状に切断され得る。次に、いくつかの形態において、切断後のコンポーネントを相互に積層させることができる。他の形態において、複数の層を相互に積層させた後、これらの層全てを一度に切断することができる。いくつかの形態において、切断プロセス時において、これらの層を相互に接続させることができる。例えば、いくつかの形態において、これらの層を共に切断および溶融させるホットナイフが用いられ得る。このような方法において、特定のコンポーネントを製造するのに必要な時間を、他の製造方法と比較して低減することができ得る。
織物導管の形成に用いられるシートは、750mm未満~350mmであり得る。他の形態において、シートは、750mm~350mm以上または以下であり得る。シートのサイズが小さい場合、複数の織物導管または管を小さな位置内に形成することが可能になり得る。織物導管の形成に用いられる要素の専有面積を低減することにより、賃貸または維持管理が必要な空間が低減するため、製造コストの低減が可能になり得る。
図9A~図9Eを参照して、カットアンドシール方法の利用を通じて管を形成する際の技術の本発明の形態が図示される。外側カバリング3366、管シート3364および織物シート3360が図示される。図示のように、これらのシートはそれぞれ、s織物膜または他の上記したような溶融可能な膜を含む。上記したように、外側カバリング3366は、外部層として用いることが可能であるため、管シート3364と異なる材料特性を有し得る。織物シート3360は、内側層であり得、ユーザの皮膚に対して外面が柔らかな材料により形成され得、織物シート3360を通過する空気の量を低減させるように構成された織物膜も含む。いくつかの形態において、織物シート3360の外面3374は、患者の皮膚上に配置されるように構成され得る。
図9Aおよび図9Bに示すように、これらの層は、相互に積み重ねられる。本技術のいくつかの形態において、所望の切断位置を示すガイドが層上に配置され得る。いくつかの形態において、織物シート3360は、組立前に事前に伸展され得る。例えば、織物シート3360を水平方向に伸展させるか、垂直方向に伸展させるか、または水平方向におよび垂直方向の双方向に伸展させて、特定の構成をとらせることができる。上層および下層の接合後、張力を織物シート3360から開放して、非伸展位置をとらせる。その結果、織物シート3360は非伸展状態であるため、上層は屈曲し得る。そのため、製造時において下層の事前伸展およびその後の張力解放により、特定の形状を実現することができる。
図9Bにおいて、レーザ3382は、多様な材料シートの切断およびシール双方に用いられる。いくつかの形態において、高周波(HF)溶接または無線周波(RF)溶接などの溶接技術をシール形成に用いてもよい。さらに、他の形態において、ホットナイフが用いられ得る。材料が切断されると、切断線に隣接する熱硬化性膜、熱可塑性膜または形状適合膜が溶融し得るかまたは特性を変化させ得る。膜の溶融により、当該膜と隣接層との間の相互作用が可能になる。例えば、外側カバリング3366の膜は、管シート3364の上面と相互作用し得る。同様に、管シート3364の膜は、外側カバリング3366の下面と相互作用し得る。さらに、管シート3364の膜は、織物シート3360の内面と相互作用し得る。他の形態において、管シート3364は、下面に沿った膜のみを含み得、および外側カバリング3366は、溶融して管シート3364の上面と相互作用する膜を含み得る。膜の溶融後、膜は硬化し得る。硬化時において、シートは、切断線に沿って相互に接続される。このようにして、管3450(図9Cを参照)などの管が形成される。管3350と対照的に、管3450は、熱形成された内側および外側層を有していない場合がある。すなわち、外側層3354および内側層3352は、接合部に沿った外側縁に沿って接続され得、さらなる加熱を受けないため、内部空気圧力または他の力を受けていないときは特定の断面形状を維持する。
いくつかの形態において、さらなるコンポーネントが、織物導管の形成時に織物導管において用いられ得る。例えば、いくつかの形態において、接続コンポーネントは、製造プロセス時において織物導管中に用いられ得る。いくつかの形態において、エルボーまたは管接続を内側層に沿って配置した後、外側層を内側層へ固定することができる。管接続を内側層に沿って配置した後、外側層が内側層上に被覆される。次に、内側層と外側層との間に接続が形成される。上記したように、この接続は、多様な溶接技術によって形成され得る。いくつかの形態において、内側層と外側層との間の接続により、管接続も固定され得る。しかし、他の形態において、管接続は、導管のチャンバ内に閉じ込めてもよいし、あるいは、管接続を内側層または外側層へ物理的に固定してもよい。すなわち、いくつかの形態において、管接続は、チャンバ内における摩擦または空間制限により、動きが制限され得る。他の形態において、管接続は、例えば上記したように所定位置にクリップ留めされ得る。
図示のように、接続ポート3600は、管シート3364と織物シート3360との間に配置される。さらに、アセンブリ接続ポート3154および3155も、同様に配置され得る。接続ポート3600ならびにアセンブリ接続ポート3154および3155は、管シート3364と織物シート3360との間に挟まれる。図9Bに示すようにシールされると、接続ポートは、(接続部を管内に挿入または配置する別のステップを必要とすること無く)管3450内に配置され得る。
図9C~図9Eを参照して、管3450が多様な状態にある様子が図示される。図9Dに示すように、管3450は、定常状態にあり、内部空気圧力を受けていない様子が図示される。この形態において、断面図に示すように、外側層3354および内側層3352は、相互の表面に沿って実質的に平面状に延びる。すなわち、本技術の上記した形態と対照的に、管3450は、特定の断面を有するように事前形成されない。そのため、管3450は、他の形態の技術と比較して、非使用時に占有する空間が少なくなる。さらに、管3450は、容易に保存可能であるため、持ち運び可能な便利な管となり得る。
図9Eに示すように、内部圧力(例えば、治療デバイスからの空気圧力)を受けた後、管3450は、膨張/または開口し得る。接続ポート3600を通じて送ることができるため、管3450の内部チャンバに空気が充填される。その後、空気は、管3450の端部および別の接続機構(例えば、アセンブリ接続ポート3154および3155)または患者の鼻または口へ送られ得る。図9Eの断面図を特に参照して、図示のように、管シート3364および外側カバリング3366はどちらとも、断面の上部に沿って配置される。織物シート3360は、断面の下部に沿って配置される。接続ポート3600およびアセンブリ接続ポート3154および3155は、管シート3364と織物シート3360との間に配置されたため、治療デバイスからの気流が接続ポート3600ならびにアセンブリ接続ポート3154および3155へ方向付けられ、よって、管シート3364と外側カバリング3366との間に延びない。他の形態において、これらのシートは、空気がいずれかの層を通過することが可能になるように、設計され得る。さらに、接続ポート3600ならびにアセンブリ接続ポート3154および3155は、特定の状況または設計要求に応じて多様な位置に配置され得る。
いくつかの形態において、内側層3352および/または外側層3354は、非伸長性材料によって形成され得る。すなわち、いくつかの形態において、内側層3352および外側層3354は、内部空気圧力を受けたときは伸展しないが、例えば図9Eに示すように膨張することが可能であり得る。他の形態において、内側層3352および/または外側層3354は、内部圧力を受けたときに伸展する弾性材料により形成され得る。さらなる形態において、内側層3352は、伸展しない織物を含み得る一方、外側層3354は、伸展する織物を含む。例えば、内側層3352および外側層3354のストレッチ性または伸張性は、異なり得る。
上記したような形態で形成されると、外側層3354は、外側層3354が接続ポート3600の取入口3608の周囲に延びるように、切断またはスリット形成され得る。同様に、内側層3352は、内側層3352がアセンブリ接続ポート3154および3155の周囲に延びるように、切断またはスリット形成され得る。外側層3354が内側層3352へ固定された前または後に、外側層3354の切断またはスライス切りを行うことができる。次に、いくつかの形態において、外側層3354を特定の位置において加熱すると、膜は溶融し、外側層3354は接続ポート3600の取入口3608に形状適合する。管シート3364と関連付けられた膜が硬化すると、確実な接続が外側層3354と接続ポート3600との間に形成される。同様の配置構成が、内側層3352ならびにアセンブリ接続ポート3154および3155に対して用いられ得る。
他の形態において、外側層3354および内側層3352は、可撓性、ストレッチ性および弾性を備えるため、外側層3354および/または内側層3352は、接続ポート3600の取入口3608またはアセンブリ接続ポート3154および3155の類似の取入口の周囲において伸展可能である。外側層3354は、接続ポート3600と接触する膜を含むため、この膜により、外側層3354と接続ポート3600との間への適切なシールの提供を支援することができる。すなわち、外側層3354の弾力性に起因して、外側層3354は、接続ポート3600の開口部の周囲と接触し得る。外側層3354の弾力性がこの膜と組み合わさることにより、シールを接続ポート3600と外側層3354との間に形成することができる。ゴムバンドと同様に、外側層3354は、(恒久的接続によってではなく摩擦を通じて)取入口3608へ押圧され得る。この摩擦嵌めにより、接続ポート3600の動きが制限され得るため、接続ポート3600は、特定の位置に留まる。
さらに、特定量の酸素または空気接続を通じて漏洩可能となるように、外側層3354と接続ポート3600との間の接続を調節することができる。この特定の漏洩により、過剰空気、酸素または排気空気を使用時に排気することを可能にする別個の弁を設ける必要性を無くすことが可能になり得る。
他の形態において、管3450は、所定の形状(例えば、管3350)を有するように、形成され得る。例えば、内側層3352および外側層3354は、マンドレルの周囲に配置された後、加熱されて、特定の断面を形成し得る。その後、これらの層に対してカットアンドシールを行って、熱形成された内側層3352および外側層3354は、切断プロセス時に相互に接続される。
5.3.3.1.2 ストラップの剛性
いくつかの形態において、コンポーネントは、多様な量の形状適合膜を用いて形成され得る。いくつかの形態において、形状適合膜は、多様な表面に沿って特定に配置され得る。ストラップまたは他のコンポーネントの多様な領域における特定の補強を得るために、形状適合材料が用いられ得る。例えば、ストラップ3420などのストラップを用いて、患者インターフェース3000を患者の顔に固定する作業が支援される。いくつかの形態において、ストラップの特定の領域において、ストラップの他の部位と比較して支持の増加または追加が必要になり得る。さらに、いくつかの形態において、ストラップのストレッチ性または弾性が、シリコーンまたはポリウレタン膜の利用によって制限され得る。
図5A~図5Eを参照して、ストラップが図示される。このストラップは、内側層、膜層および外側層を含む。外側層と共に図示されているが、外側層の配置は必須ではない。すなわち、いくつかの形態において、弾性内側層3422および膜層3424は、外側層3426無しに用いられ得る。図5Aに示すように、ストラップ3420は、管3350と相互作用して、患者インターフェース3000を患者に対して所定位置に固定させ得る。膜層3424は、図示の分かり易さのため、図中に実質的な厚さを備えたものとして図示される。膜層3424は、外側層3426または内側層3422よりも実質的に肉薄であり得る。例えば、膜層3424は、外側層3426または内側層3422の厚さの10%未満であり得る。
図5Bを参照して、ストラップ3420が患者インターフェース3000の残り部分から隔離された様子が図示される。図示のように、ストラップ3420は、外側層3426および内側層3422を含む。膜層3424は、これらの層間に配置され、いくつかの形態において、これらの層を接続させる。すなわち、ストラップ3420が熱源へ露出されると、膜層3424は、溶融または形状変化するかまたは冷却されて、内側層3422および外側層3426は相互に接続される。図5Bに示すように、膜層3424は、内側層3422の全体長さにわたって延びない。他の形態において、膜層3424は、内側層3422の全体長さにわたって延び得る。さらなる形態において、これらの層の1つは、ストラップ3420の距離全体にわたって延び得ない。例えば、いくつかの形態において、外側層3426は、ストラップ3420に沿って膜層3424と同じまたは類似の距離だけ延び得る。本例において、外側層3426の全体長さは、膜層3424の使用を通じて内側層3422へ固定され得る。さらに、いくつかの形態において、膜は、最短層の長さ全体に沿って接着され得る。次に、熱可塑性または熱硬化性材料(例えば、膜層3424)を用いて、これら2つの層を相互に組み合わせおよび接着させることができる。
図5Cに示すように、内側層3422の一部は、膜層3424と共に積層される。いくつかの形態において、膜層3424は、管3350について述べた織物膜と同じ材料により形成され得る。患者インターフェースの多様な部分における同一材料の利用により、他の形態と比較して、製造コストの低減が可能になり得る。内側層3422は、患者頭部形状にとって形状適合弾性またはストレッチ性材料により形成され得る。さらに、外側層3426は、同一または類似の構成において同一または類似の材料によって構成してもよい。これらの層は、天然または剛性材料により形成され得る。いくつかの形態において、これらの層は、織物であり得、他の形態において、ゴムまたはプラスチックコンポーネントであり得る。さらに、同一または類似の特性を備えた同一または類似の材料を図示しているが、内側層3422および外側層3426は、異なる特性(例えば、ストレッチ性、剛性、可撓性および他の特性)を有し得る。各層の材料は、ストラップ3420において所望される特定の特性に応じて選択され得る。
図5Dおよび図5Eを参照して、内側層3422は、膜層3424を含まない領域において、外側層3426と異なるストレッチ性を有する。例えば、張力Tを受けると、内側層3422は、第1の距離3428にわたって伸展する。図示のように、同じ張力Tを受けると、膜層3424および外側層3426は、第2の距離3430にわたって伸展する。第2の距離3430は、第1の距離3428よりも短い。そのため、膜層3424により、膜層3424が付加された特定の領域における伸展が制限され得る。すなわち、膜層3424は、伸展はするものの、内側層3422または外側層3426が伸展することが可能な距離を低減させ得る。この種の構成は、装置の適切な支持のために段階的ストレッチ性を必要とする特定の領域において、用いられ得る。外側層3426と共に図示されているが、本技術のいくつかの形態において、外側層3426は用いられない場合がある。内側層3422は、外側層3426などの別の層を用いること無く、ストラップのために用いられ得る。このような構成において、ストラップは、膜層3424が患者から離隔方向に配置されるように、方向付けられ得る。このようにして、内側層3422の柔軟なテクスチュアを患者の顔に対向させることが可能になり得る。よって、膜層3424を用いて、ストレッチ性を(外側層3426などを被覆すること無く、)制限することが可能になり得る。
特定のコンポーネントのストレッチ速度の制御に加えて、膜層3424の利用により、回復速度も制御することが可能になり得る。すなわち、膜層3424は、ストラップ3420などの弾性バンドが元の非伸展状態に戻る能力を増加させることができ得る。
いくつかの形態において、膜層3424を用いて、ストラップの構造支持を提供することが可能になり得る。いくつかの形態において、ストラップが使用時にねじれるかまたは回転すると、ストラップは所定位置から外れて、折り目および患者の不快感の原因になる。このような状況において、膜を用いて、ストラップを支持することと、患者時における当該ストラップの回転またはねじれに耐えることとが可能になり得る。
多様なストラップを用いてクッションアセンブリを支持することにより、クッションアセンブリから患者の鼻領域または口領域へ適切なシーリングが提供される。図5Fに示すように、頭部ストラップ3432は、別の患者インターフェース3436の管3434と関連して図示されている。
図5Gを参照して、頭部ストラップコンポーネントが図示されている。頭部ストラップ3432は、上記したような多様な特徴を含み得る。図5Hを参照して、頭部ストラップ3432の分解図が図示されている。図示のように、頭部ストラップ3432は、内側層3437、外部層3438、ストラップ3439~3442およびパッド3443を含む。内側層3437および外部層3438は、コンポーネントの一部または全てを包囲するかまたは挟む。図示のように、内側層3437および外部層3438は、パッド3443を完全に挟み、ストラップ3439~3442の一部を包囲する。いくつかの形態において、内側層3437および/または外部層3438は、例えば管3350について上記したように、膜またはシリコーンまたはポリウレタン層と積層され得る。内側層3437および外部層3438は、整列された後に加熱されて、内側層3437と外部層3438との間の膜が溶融し、その後、これらの層は共に接合される。図示のように、内側層3437および外部層3438は、パッド3443へ接着または接合もし得る。他の形態において、膜層は、パッド3443の領域内に存在しない場合がある。すなわち、パッド3443は、内側層3437と外部層3438との間のポケット内に配置され得るが、パッド3443は、内側層3437または外部層3438へ物理的に固定されない場合もある。さらに、いくつかの形態において、ストラップ3439~3442は、接着を用いて固定され得る。しかし、他の形態において、ストラップ3439~3442は、膜を通じて内側層3437および外部層3438へ固定される。
頭部ストラップ3432のコンポーネントは、多様な方位において間隔を空けて配置され得る。図5Gに示すように、ストラップ3442は、内側層3437の一部および外部層3438の一部により、ストラップ3441から間隔を空けて配置される。同様に、ストラップ3442は、内側層3437および外部層3438の一部により、パッド3443から間隔を空けて配置される。多様な他の構成が利用可能であり得る。例えば、いくつかの形態において、ストラップ3442は、ストラップ3441と接触し得る。さらなる形態において、ストラップ3442およびストラップ3441は、一体型ピースであり得る。他の変更例も可能である。例えば、パッド3443は、より大型であるかまたはより小型であってもよいし、あるいは存在しなくてもよい。多様なコンポーネントのサイズ、形状および方位の変更により、コンポーネントの感触の変更およびカスタマイズが可能になり得る。図示のように、頭部ストラップ3432の多様な異なるストレッチゾーンが有り得る。ゾーンX1は、ストラップ3439~3442を含み、これらは第1のストレッチ性を有し、いくつかの形態において実質的に非伸長であり得る。第2のゾーンはゾーンX2であり、ストラップ3439~3442と、内側層3437および外部層3438の一部とを含む。これは、実質的に非伸長性でもあり得る第2のストレッチ性を有する。第3のゾーンは、ストラップ3439~3442の端部とパッド3443との間のゾーンX3である。これは、第3のストレッチ性を有する。そして、最後に、最終ストレッチゾーンはゾーンX4であり、パッド3443と、内側層3437および外部層3438とを含む。これらの多様な領域は、多様な特性についての製造業者の意図または所望に応じて変更することが可能であり得る。
図5Gに示すような構成を用いることにより、嵩高くまた不快でもあり得る多様な接続コンポーネントの必要無く、単一の頭部ストラップ3432中に多様な特性を存在させることが可能になる。膜を接合材料として一体化させることにより、他の形態と比較して、頭部ストラップの重量の低減も可能になり得る。
5.3.3.2 本技術のさらなる実施例による位置決めおよび安定化構造
位置決めおよび安定化構造のさらなる例について、以下に説明する。以下に述べる特徴は、本開示の他の例に記載の特徴と共に利用するかまたは本開示の他の例に記載の特徴と組み合わせることが可能であり得る点に留意されたい。例えば、以下に述べる管は、他の例に記載のクッションモジュール/クッションアセンブリと共に用いることができ、その逆も成り立つ。さらに、任意の例に記載の構造のいずれかの個々の特徴は、他の例中の特徴と共に用いるかまたは他の例中の特徴と組み合わせることが可能であり得る。
5.3.3.2.1 ヘッドギアチュービング
図10および図11に示したように、本技術の実施例による非侵襲的患者インターフェース9000、10000は、以下の機能態様を含み得る:シール形成構造9100、プレナムチャンバ9200、位置決めおよび安定化構造9300、少なくとも1つの通気孔9400、9400-1、および空気回路(例えば、図1A~図1Cに示す空気回路4170)への接続のための一形態の接続ポート9600。本例において、シール形成構造9100およびプレナムチャンバ9200は、クッションモジュール9150によって提供される。本例において、クッションモジュール9150は、クレードルクッションモジュールである。他の例において、クッションモジュール9150は、鼻枕クッションモジュールまたは別の種類のクッションモジュールであり得る。
本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造9300は、空気回路4170の部分を形成する導管から受容された加圧空気を例えばプレナムチャンバ9200およびシール形成構造9100を通じてRPTデバイスから患者の気道へ送達させる1つ以上の管9350を含む。図10および図11に示す本技術の形態において、位置決めおよび安定化構造9300は、空気回路4170からシール形成構造9100へ空気を送達させる2つの管9350を含む。これらの管9350は、患者インターフェースのシール形成構造9100が患者の顔の適切な部分(例えば、鼻および/または口腔)に位置決めおよび安定配置するための患者インターフェース9000の位置決めおよび安定化構造9300の一体部分である。その結果、加圧空気流れを提供する空気回路4170の導管を、人によっては目障りになり得る患者の顔の前方以外の位置において患者インターフェースの接続ポート9600へ接続することが可能になる。一対の管9350はいくつかの利点(以下に記述)があるものの、いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造9300は、患者の頭部の片側上に載置されるように構成された単一の管9350のみを含む。ストラップまたは他の安定化コンポーネントが、単一の管9350の上端とシール形成構造9100との間において患者の頭部の他方側へ設けられ得、これにより、シール形成構造9100上の力の均衡がとられる。
加圧空気を空気回路4170から患者の気道へ送達させるために空気をヘッドギアチュービング9350を通じて収容および移動させることが可能であるため、位置決めおよび安定化構造9300は、可膨張性のものとして記述され得る。可膨張性の位置決めおよび安定化構造9300は、位置決めおよび安定化構造9300の全コンポーネントを膨張可能とすることを必要としないことが理解される。例えば、図10および図11に示す例において、位置決めおよび安定化構造9300は、膨張可能であるヘッドギア管材9350と、膨張不可能であるストラップ9310とを含む。
本技術の特定の形態において、図10および図11に示す、患者インターフェース9000、10000は、患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置される接続ポート9600を含み得る。例えば、図10および図11に示す本技術の形態において、接続ポート9600は、患者頭部の上に配置される。これらの例において、患者インターフェース9000および10000は、接続ポート9600が設けられたエルボー9610を含む。エルボー9610は、位置決めおよび安定化構造9300に対して(例えば、スイベルリング9614を介して)回転可能であり得、接続ポート3600へ接続された導管の動きを位置決めおよび安定化構造3300から連結解除させる。エルボー9610は、ヘッドギア管材9350中のまたはヘッドギア管材9350が接続されたコンポーネント中の流体接続開口部へ接続し得る。追加的にまたは代替的に、接続ポート9600へ接続された導管は、エルボー9610に対して回転し得る。図示の実施例において、エルボー9610は、空気回路4170の導管を接続することが可能な接続ポート9600を含むスイベル型導管コネクタを含み、これにより、この導管をエルボー9610に対して長手方向軸の周囲に回転させることができる。いくつかの例において、空気回路4170は、流体接続開口部へ接続し得る。エルボー9610は、流体接続開口部へまたは流体接続開口部内に受容されるリングへ回転可能に接続され得る。
接続ポートが患者の顔の前方に配置されていない患者インターフェースの場合、導管が顔前方の患者インターフェースへ接続されている場合に目障りかつ/またはと感じる患者が存在するため、有利であり得る。例えば、顔前方の患者インターフェースへ接続する導管は、特に使用時に導管が患者インターフェースから下方に延びている場合、寝具またはベッドリネンと絡まり易い場合がある。使用時において接続ポートが患者頭部の上方の近隣に配置された患者インターフェースを用いた本技術の形態によれば、患者が以下の位置のうち1つ以上において横たわるかまたは眠った場合により容易またはより快適になり得る:側方または横方向位置、仰臥位位置(すなわち、顔を上に向けた仰向けの状態)、および腹臥位位置(すなわち、顔を下向きにしたうつぶせの状態)。さらに、導管を患者インターフェース前方に接続した場合、管引き摺りとして知られる問題が悪化し得る。管引き摺りにおいては、導管から患者インターフェースに対して望ましくない牽引力が発生し得、その結果、顔から引きずり下ろされる原因となる。
図10および図11に示す本技術の形態において、位置決めおよび安定化構造9300は、2つの管を含む。各管9350は、使用時に患者頭部の異なる側部上に配置され、各頬領域を通じて(患者頭部上の上耳底点の上方の)各耳の上方から患者の頭部の上部のエルボー9610へ延びる。この技術形態の場合、患者が横向きに寝ており、管のうち1つが圧縮されて当該管に沿ったガス流れが遮断または部分的に遮断された場合に、その他の管が開口したままであり、加圧ガスを患者を供給できるため、有利であり得る。技術の他の実施例において、患者インターフェース9000は、異なる数の管(例えば、1つの管または3つ以上の管)を含み得る。患者インターフェースが1つの管を有する一例において、単一の管9350は、使用時に患者頭部の片側に(例えば、一方の頬領域上に)配置され、ストラップは、位置決めおよび安定化構造9300の部分を形成し、患者インターフェース9000を患者頭部上に固定することを支援するために、使用時に患者頭部の他方側(例えば、他方の領域上)に配置される。
図10および図11に示す本技術の形態において、これら2本の管9350は、上端において相互に流体接続され、接続ポート9600へ流体接続される。図示の実施例において、管9350は、別個の管であり、頭頂部コネクタ9360へ接続される。頭頂部コネクタは、使用時において患者の頭部の頭頂部の前方(前方方向)に配置されるように構成される。管9350は、頭頂部コネクタ9360によって相互に間接接続され、例えば洗浄または保管のために接続解除され得る。別の実施例において、これら2つの管は、一体形成され、スイベルエルボーが接続された流体接続開口部を含む。別個の管が用いられる場合の他の実施例において、これらの管は相互に間接的に接続され得、例えば、それぞれ、管9350へそれぞれ流体接続可能な2本の導管アームを有するT型導管へ接続され得る。頭頂部コネクタ9360は、第3の導管アームを含み得る。接続ポート9600は、頭頂部コネクタ9360の中央において流体接続開口部9390内に受容されたエルボー9610を含み得る。エルボー9610は、流体接続開口部9390内のリングに受容され得、このリングへ設けられたシーリングフランジ9362とシールを形成し得る。エルボー9610は、リング内において回転するように構成され得る。流体接続開口部9390を接続ポート9600そのものとみなすことも可能であり得る。
いくつかの例において、管9350は、織物、スペーサ布地および/または発泡材料から形成され得る。いくつかの例において、スペーサ布地材料そのものが、層を含む。スペーサ布地は、織物サンドイッチ構造を含み得る。スペーサ布地は、前層、後層および内部スペーサ層を含み得る。内部スペーサ層は、繊維網によって形成され得、比較的開口部分を含み得る。中間層が圧縮性が高くかつ呼吸可能でもあるため、スペーサ布地は、適切なクッション性を提供するために有意に用いられ得る。中間層は、弾性も有し得る。スペーサ布地は、患者接触部9348または非患者接触部9349内において用いられ得、中間層または外側層であり得る。他の実施例において、これらの管9350は、エラストマー材料(例えば、シリコーン)などの半剛性材料によって形成され得る。これらの管は、自然な事前形成された形状を有し得るが、力を受けたときに変形するかまたは患者の頭部に形状適合する少なくとも一定の能力を有し得る。例えば、これらの管は、頭部上部と鼻または口領域との間の患者頭部の外形に似た形状の弧状または曲線状を概してとり得る。
いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造9300は、管9350の周囲にスリーブを含み得る。いくつかの例において、患者インターフェース9000は、スリーブを含まない場合があり、他の例において、患者インターフェース9000は、管9350のより多くの部分または管9350の全てを被覆するスリーブ9364(図31および図32)を含み得る。スリーブ9364は、管9350の曲線状形状に適合するように形成され得る。いくつかの例において、スリーブは、滑らかな布地から形成される。これらのスリーブは、全く被覆されていない管9350よりも患者の顔に対してより快適であり得る。
その内容の全体を本明細書に包含する、米国特許第6,044,844号に記載のように、管9350は、使用時に圧壊した場合(例えば、患者の顔と枕との間において圧壊した場合)において、管を通過する呼吸可能なガスの流れを回避するために、圧壊にも耐え得る。管中の加圧ガスは、使用時の管9350の圧壊を回避するかまたは少なくとも制限するためのスプリントとして機能し得るため、圧壊に耐える管は、全ての場合において必要なわけではない。圧壊に耐える管を用いると、単一の管9350のみが存在する場合において、有利であり得る。なぜならば、使用時に単一の管が遮断されると、ガス流れが制限され、治療が停止するかまたはその有効性が低下するからである。
本技術の特定の形態において、管9350の1つ以上の部位は、1つ以上の硬質化要素または補剛要素によって硬質化され得る。硬質化要素の例を以下に挙げる:管9350のうち、他の部分よりも比較的肉厚の部分、管9350のうち、他の部分を形成する材料よりも比較的高剛性の材料から形成された部分、および管の一部の内部、外部に取り付けられたかまたは埋設された剛性部材。このような硬質化要素を用いた場合、使用時における位置決めおよび安定化構造9300の機能様態の制御が支援される(例えば、管9350に力が付加された場合に管9350が変形する可能性が高い場合、管3350に力が付加された場合に管3350の形状が維持される可能性が高い場合)。このような硬質化要素を管9350内のどこに配置するかを選択することにより、患者インターフェース9000の装着時における快適性の促進が支援され得、使用時におけるシール形成構造9100における良好なシール維持が支援され得る。硬質化要素または補剛要素は、位置決めおよび安定化構造9300内に配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、比較的高重量のシール形成構造(例えば、フルフェイスまたは口鼻クッションアセンブリ)を支持するように構成される。
本技術の特定の形態において、管9350の1つ以上の部位は、長さ方向において少なくとも2つの部分から形成され得、剛化要素が、これら少なくとも2つの部分の交差部分の内部または外部にあるいは内部に埋設される。
図10および図11に示す本技術の形態中の管9350の長さは、それぞれ15~30cm(例えば、それぞれ20~27cm)である。管の長さは、典型的な患者の頭部の寸法に適するように選択される(例えば、頭部の側部を下方に延びおよび患者の頬領域上に延びる概して弧状の経路(例えば、図10および図11に示すように管9350によって取られた弧状の経路)をたどる際に管9350の上端が管9350の下端がクッションモジュール9150へ接続する患者の気道への開口部の近隣の領域へ配置される頭部の上部の近隣の領域間の距離)。いくつかの実施例において、患者インターフェース9000は、管9350の長さを変化させることができるように、構成され得る。管9350の長さは、患者インターフェース9000中の他のコンポーネントの長さ(例えば、管9350の上端が接続される頭頂部コネクタ9360の長さ、および/またはプレナムチャンバ9200の大きさ)に依存することが理解される。
5.3.3.2.1.1 ヘッドギアコンポーネントの位置決め
各管9350は、患者の頭部上の接続ポート9600から空気流れを受容することと、患者の気道の入口において空気流れをシール形成構造へ送達させることとを行うように、構成され得る。図10および図11の例において、少なくとも1つの管9350は、患者の頬領域上および患者の耳上の接続ポート9600からシール形成構造9100間に延びる(すなわち、使用時に患者頭部の上顎領域を覆うクッションモジュールへ接続する管9350の一部と、患者頭部上の上耳底点の上方の患者頭部の領域を覆う管9350の一部との間)。1つ以上の管9350はそれぞれ、患者の蝶形骨および/または側頭骨ならびに患者の前頭骨および頭頂骨のいずれかまたは双方上にも載置され得る。接続ポート9600およびエルボー9610は、使用時において、患者の頭頂骨、前頭骨またはこれらの間の接合部上に配置され得る。
図10および図11に示す本技術の例示的形態は、管9350を有する。これらの管9350は、患者頭部の上部周囲において、頭部上部上のエルボー9610へ接続する管9350の上端から、矢状面の湾曲が相対的に少ない状態でストラップ9310が管9350へ接続する地点へ曲線状に延びる。後方ヘッドギアストラップ9310が管9350へ接続する地点と、鼻下側の患者の気道の前方のクッションモジュール9150と接続する管9350の下端との間において、管9350は、患者の耳と眼との間において頬領域にわたって前方に曲線状に延びる。管9350のこの部分の湾曲部の半径は、60~100mmの範囲内(例えば、70~90mm(例えば、80mm))であり得る。管9350の下端と、後方ヘッドギアストラップ9310が管9350へ接続する管9350の部分とは、65~90°の範囲(例えば、75~80°)の角度に対し得る。ストラップ9310の上方の管9350の部位中に存在する実際の曲率と、ストラップ9310の下方の管9350の部位における実際の曲率とは、患者セットアップに依存し、実際は、患者の頭部の形状およびサイズならびに患者の選好に応じて異なる。
患者インターフェース9000を個々の患者にフィットさせる程度は、管9350の長さの変更によって変更することができ、代替的にまたは追加的には、患者頭部上の患者インターフェース9000の位置、または患者の頭部上のそれらの部分の位置の変更によって変更することができる。例えば、位置決めおよび安定化構造9300の部分を患者頭部上の後方方向または前方方向に移動させることにより、特定の長さの管9350を有する患者インターフェース9000を患者によりフィットするように調節することができる。例えば、患者の頭部上の管9350の接合部をさらに前方(すなわち、前方方向)に移動させると、特定の長さの管9350を有する患者インターフェース9000を、管9350の接合部をさらに後方に(すなわち、後方方向)に配置した場合よりもより大きな頭部にフィットさせることが可能になる。ほとんどの患者の場合、管9350の接合部が前方に配置された場合、管9350の上部は、管9350の接合部が後方に配置された場合よりも、患者の頭部のより小さな部分上に配置される。本技術のいくつかの例において、管9350は可撓性がより低く、患者は、管9350の上部を自身の頭部上において前方または後方に動かす自由が低減し得る。
本技術の特定の形態において、患者インターフェース9000は、接続ポート9600を患者頭部の上部にわたる一定範囲の位置に配置することが可能なように、構成され、これにより、患者インターフェース9000を個々の患者の快適性またはフィット感に適した位置に配置することが可能になる。患者頭部上の接続ポート9600の位置と無関係にシール形成構造9100が患者の顔との有効なシールを形成するようにこれを達成することが可能な1つの方法として、患者インターフェース9000の上部の動きを患者インターフェース9000の下部から結合解除させる方法がある。このような連結解除は、管9350の上部を動かすことが可能になるように例えば管9350を十分な可撓性と共に形成することにより、達成することができる。
本技術の特定の形態において、患者インターフェース9000は、接続ポート9600が患者頭部の上点に概ね配置されるように、構成される。接続ポート9600は、矢状面内に配置され得、冠状面に平行な面内の上耳底点と共にアラインされ得る。上耳底点を図2D中に示す。本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造9300は、異なる位置で装着されるように構成され、すなわち、接続ポート9600は、上耳底点から前方20mmまたは後方20mm周囲までの矢状面内の患者頭部の上部の近隣に配置され得る。
本技術のいくつかの例において、接続ポート9600は、矢状面に配置され得、前頭骨と頭頂骨との間の接合部と整列され得る。接続ポート9600は、冠状縫合および矢状縫合の接合部上に概して配置され得る。この構成において、管9350の上部は、冠状縫合の一部に載置され、かつ/または冠状縫合の一部に沿って配置され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、上記したように、患者は、患者インターフェース9000のフィット感を調節するために、接続ポート9600を前方にまたは後方に移動させる能力を有する。
管9350を最上点の若干前方(例えば、冠状縫合またはその近隣)において患者の頭部上に配置することによる利点として、使用時において管9350が後方向に乗り上げる危険性を低減できる点がある。多数の患者において、冠状縫合が矢状縫合と出会う位置において、凹部または「ディボット」が存在し得る。管9350がこのディボット内に配置された場合、位置決めおよび安定化構造9300は、特に安定し得る。そのため、いくつかの例において、管9350は、適切な曲率および/または冠状縫合上に配置されるために曲線状になる能力と共に構成される。
上記したように、本技術のいくつかの例において、患者インターフェース9000は、シール形成構造9100をクレードルクッションの形態で含む。シール形成構造9100は、概して鼻の下側に配置され、鼻の下周囲部をシールする。位置決めおよび安定化構造9300は、シール形成構造9100を鼻下側の患者の顔中に(後および上方向(例えば、後上方の方向)を有するシーリング力ベクトルにより)牽引するような構造および配置にされ得る。後上方の方向へのシーリング力ベクトルにより、患者の鼻の下周囲部および患者の顔の前方面双方に対して患者の鼻および上唇のいずれかの側部上において良好にシールを形成するシール形成構造9100が促進され得る。
いくつかの例において、使用時において、位置決めおよび安定化構造9300は、およそ35°の角度において患者のフランクフルト水平(図2Eに記載)に対して後上方の方向を有するシーリング力ベクトルを付加し得る。管9350の上部(例えば、ストラップ9310の上方の管9350の部位)は、垂直方向に方向付けられ得、後方ヘッドギアストラップ9310は、およそ35°の角度において患者のフランクフルト水平に対して管9350から後下方方向に延び得る。この特定のセットアップにおいて、ストラップ9310と、(ストラップ9310が管9350へ接続される)管9350の上部との間において、125°の角度が形成される。
いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造9300は、管9350の上部が最上点よりも若干前方の患者の頭部上に載置されるように、構成され得る。その結果、いくつかの患者の場合、管9350は、頭蓋骨の冠状縫合またはその近隣にある若干の凹部内に配置されるように、垂直方向に(例えば、冠状面に)整列されるのではなく若干前方に角度を付けて配置される場合がある。そのような例において、ストラップ9310における張力を患者が調節して、力のバランスをとり、最適なシーリング力ベクトルを達成することができる。
いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造9300は、シール形成構造9100上に後上方の方向において上唇と鼻柱との間に形成される角度(例えば、鼻唇角度を形成する表面)を二等分する角度において力を付加するように、構成され得る。
本技術の特定の例において、管9350は、患者の耳の上方および近隣の位置においてストラップ9310を受容するように構成される。患者の頭部に対して高すぎる位置においてストラップ9310が管9350へ接続されると、ストラップ9310は、患者の頭部後部上に乗り上げる傾向になり得る。さらに、ストラップ9310は、ヘッドギア管9350の上部に対して大きすぎる角度を形成する場合もあり、その結果、患者がストラップ9310を過度に締める必要性に繋がり得、その場合、位置決めおよび安定化構造9300中の張力が過度になり得、ストラップ9310が患者の頭部後部に乗り上げる可能性も高くなる。そのため、ストラップ9310と管9350との間の接続をできるだけ低くしつつ患者の耳上部から十分に間隔を空けて配置することにより、ストラップ9310の締結時において管9350が引っ張られて患者の耳と接触することが無くなるため、有利である。
5.3.3.2.1.2 ヘッドギア管の流体接続
これら2つの管9350は、自身の下端において、プレナムチャンバ9200へ流体接続される。図10および図11の例において、管9350は、クッションモジュール9150およびシール形成構造9100と流体接続を形成する。本技術の特定の形態において、管9350と、クッションモジュール9150との間の接続は、患者が2つの剛性コンポーネントを信頼性の高い様態で容易に接続することができるような2つの剛性コンポーネントの接続により、達成される。「確認可能なクリック音」や類似の音による触覚フィードバックを用いると、患者によって使用が容易であり得、また、管が正しくクッションモジュール9150へ接続されたことを患者が知ることもできる。一形態において、管9350は織物および発泡材料から形成され、管9350のそれぞれの下端は、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロンなどから形成された剛性コネクタへオーバーモールドまたは接合される。剛性コネクタは、クッションモジュール9150上の雌噛み合いフィーチャへ接続するように構成された雄噛み合いフィーチャを含み得る。あるいは、剛性コネクタは、クッションモジュール9150上の雄噛み合いフィーチャへ接続するように構成された雌噛み合いフィーチャを含み得る。管9350をクッションモジュール9150へ接続する様態を、管9350と別のプレナムチャンバ9200またはシール形成構造9100(例えば、鼻枕クッションモジュール)との間の接続にも適用することができる。
管9350とポートとの間の係合が剛性対剛性型の係合である場合、周辺シーリングフランジなどの圧力活性シールが用いられ得る。加圧ガスが管9350を通じて供給されると、シーリングフランジは、管と、プレナムチャンバ9200のポートの内周面との間の接合に対して推進されて、両者間のシールを促進させる。ポートが柔軟であり、剛性コネクタが管9350へ提供されると、上記したような圧力活性シールは、接続が気密であることを確認するためにも用いられ得る。
本技術のいくつかの形態において、同様の接続機構が、接続ポート9600が流体接続する頭頂部コネクタ9360と管9350を流体接続する際に用いられ得る。一実施形態において、接続ポート9600において接続されたスイベルエルボーは回転可能であるため、この回転により、管9350の挿入先であるポートのサイズを増減させるポートサイズ調節機構を駆動させ、圧縮力の増減を通じて管のフィットを向上させ、意図しない漏洩を低減させる。
5.3.3.2.1.3 延長可能な蛇腹構造
患者インターフェース9000は、1つ以上の延長可能な管部を含み得る。いくつかの例において、延長可能な管部は、延長可能な蛇腹構造を含む。患者インターフェース9000は、延長可能な蛇腹構造を有する管壁部を含む少なくとも1つのガス送達管を含む位置決めおよび安定化構造9300を含み得る。
5.3.3.2.1.4 可屈曲性
本技術のいくつかの例において、位置決めおよび安定化構造9300の一部は、いくつかの方向またはその周囲あるいはいくつかの軸またはその周囲における屈曲により耐えるように、構成される。
例えば、図10および図11に示す位置決めおよび安定化構造9300の各管9350の上部は、直交方向よりも特定の方向においてより屈曲可能であり得る。位置決めおよび安定化構造9300の各ガス送達管9350は、使用時において患者の頭部の上領域上に載置ように構成された上側管部9304を含み得る。本技術のいくつかの例において、上側管部9304は、延長可能な管構造(例えば、PCT特許公開第WO2017/124155または米国特許出願第62/764,995号(PCT出願第PCT/AU2019/050874(出願日:2019年8月20日)に対応)に開示される選択肢のうちの1つ)本明細書中、同文献それぞれの内容全体を参考のため援用する)を含み得るか、または延長不可能であり得る。図10および図11に示す技術の例示の形態において、管は実質的に延長不可能であるため、管を形成する材料(単数または複数)の固有のストレッチ性全てが保全される。
上側管部9304は、第1の端部9305および第2の端部9306を含む。本例において、第1の端部9305は、およそ患者の頭部の矢状面(例えば、患者の頭部のおよそ上部および中心)において、患者の頭部の上部上に載置または配置されるように構成される。第2の端部9306は、第1の端部9305から患者の頭部横手方向(例えば、患者の頭部側部により近く)に載置されるように、構成される。第2の端部9306は、第1の端部9305に対して横手方向かつ下方に載置され得る。図10および図11の位置決めおよび安定化構造9300は、複数の軸の周囲において少なくとも一定の範囲まで屈曲可能である。例えば、位置決めおよび安定化構造9300の上側管部9304は、患者の頭部上をドレープ状に被覆することができ、前方向および後方向において曲線状にもなり得る。
本技術のいくつかの例において、上側管部9304は、第1の端部9305と第2の端部9306との間に1つ以上の硬質部も含み得る。硬質部(単数または複数)は、上方向および/または下方向においてではなく前方向および/または後方向において第1の端部9305と第2の端部9306との間の相対的動きに対してより高い抵抗を提供するように、構成され得る。いくつかの例において、これらの硬質部は、管9350の長さ全体へ提供され得、いくつかの例において、管9350の長さに沿って管9350の剛性を変化させることを可能にさせ得る。
患者が位置決めおよび安定化構造9300を着用すると、上側管部9304は、垂直方向における屈曲に対して比較的低い抵抗を有し得るため、第2の端部9306が第1の端部9305に対して下方に移動することが可能になる。その結果、上側管部9304が患者の頭部の上部から患者の頭部の側部を「ドレープ状に下方に被覆する」ことが有利に可能になる。上方向/下方向における可屈曲性は、上側管部9304を患者の頭部の曲率に形状適合させる際に有利であり得る。
さらに、上側管部9304は、水平方向における屈曲に対して比較的高い抵抗を有し得るため、第1の端部9305が第2の端部9306に対して前方および/または後方に不意に移動することが無くなる。その結果、上側管部9304を患者の頭部の上部にわたって所望の位置に保持することが有利に可能になる。前方向および/または後方向への屈曲に対して抵抗が低い場合、上側管部9304(および特に接続ポート9600)が使用時において患者の頭部上部に沿って前方または後方に乗り上げる可能性が低くなり得る。上側管部9304の前方または後方の動きに対するこのような抵抗があると、空気回路4170から患者の頭頂部への接続が有る場合に患者インターフェース9000にとって特に有利である(すなわち、管抗力が、上側管部9304上に直接作用し得る)。
いくつかの例において、上側管部9304は、屈曲への有利な抵抗を固有に提供する形状を含み得る。例えば、上側管部9304は、若干矩形または台形の断面を含み得、平行な長辺が、患者の頭部表面に載置されるように構成される。矩形断面の長辺により、長辺に対して平行方向において(例えば、使用時において前方向および/または後方向において)上側管部の屈曲に対して比較的高い抵抗が得られる。しかし、矩形/台形断面の短辺からは、上側管部9304の屈曲および短辺に対して平行方向(例えば、使用時における下方向および/または上方向)においてそのような高い抵抗は得られない。
上側管部9304の断面は、完全な矩形でなくてもよいことが理解される。例えば、角部および/または短辺を曲線状にすることにより、上側管部9304の断面を実質的に楕円または長円形にすることができ得る。しかし、患者の顔または頭部の他の部分に対向かつ接触する側上の管の平坦な表面を示す断面形状は、例えば円形断面を持つ管の場合よりも、より快適に装着され得る。
これらの硬質部は、管9350の管壁部によって形成されたかまたは管9350の管壁部へ設けられた1つ以上の剛化構造により、形成され得る。管9350の前側および後側双方に硬質部を含む管9350は、管9350の前側および後側双方への屈曲に対し、より高い抵抗を有利に有し得る。しかし、いくつかの例において、剛性によっては、片側に硬質部を設けるだけで、双方向への屈曲に対して十分な抵抗が得られる場合、硬質部は、管9350の前側または後側のうち片側のみに提供される。
いくつかの例において、管9350の部位(例えば、前部および/または後部)は、1つ以上の剛化要素により硬質化された硬質部を含み得る。管9350の剛化は、管壁部内に埋設された管9350よりも高剛性の1つ以上の剛化コンポーネントにより、行われ得る。例えば、管壁部は、管壁部よりも硬質の材料から形成された細長の棒またはロッドへ接合され得る。他の例において、管壁部の硬質部は、管壁部のジオメトリのさらなる特徴により、提供され得る。一例において、管壁部は、管9350の前側および/または後側において、より肉厚の材料を含み得る。
5.3.3.2.1.5 下方管部
患者インターフェース9000は、1つ以上の下側管部9363を含み得る。例えば、図10および図11に示す患者インターフェース9000は、管9350を含み、その下部には、下側管部9363が設けられる。下側管部9363は、患者の頬上に載置されるように構成され、患者の頬骨の下側の患者の顔と接触するように構成され得る。各下側管部9363は、各ヘッドギア管9350間の接続から下方に延びた後に部分的に前方および部分的に中間方向にシール形成構造9100へ延びることで患者の頬骨を避けるような曲線上に、載置され得る。
患者インターフェース9000の位置決めおよび安定化構造9300が患者の頬骨上に載置されないため、有利である。患者の顔のうち頬骨の下方の領域は、肉付きがより多いことが概してあるため、患者は、ヘッドギア管9350がこれらの顔領域上にヘッドギア管9350が載置された状態により耐えることができる。さらに、患者の顔の頬骨領域は、比較的移動または変形が無いため、下側管部9363は、肉付きの良い頬領域に対してしっかりと載置される。さらに、患者の頬骨により、ヘッドギア管9350の下側管部9363が頬骨から患者の眼へ乗り上げる事態の回避を支援することができる。下側管部9363が頬骨下の患者の頬にぴったりとフィットすると、患者の頬骨の硬度および突出により、ヘッドギア管9350が患者の眼に乗り上げる(その結果安定性に影響が発生し、かつ/または患者の視界が遮られる)事態に対するバリアを得ることができる。
管9350の下方管部9363の断面形状は、例えば米国特許第6,044,844号に記載のような円形、楕円形、卵形、D字型形状、台形または角丸長方形であり得る。患者の顔または頭部の他の部分に対向かつ接触する側上の管の平坦な表面を示す断面形状は、例えば円形断面を持つ管の場合よりも、より快適に装着され得る。
管9350の断面幅および/または高さは、8~35mmの範囲であり得る。管が略D字型断面を有するいくつかの形態において、管は、15~25mmの範囲の幅、および6~15mmの範囲の高さを有し得る。高さは、使用時に患者の顔から離隔方向に伸びる管の寸法(すなわち、患者接触部9348と、非患者接触部9349の最外部との間の距離)とみなされ得、幅は、患者頭部の表面にわたる寸法とみなされ得る。管9350を形成する材料の断面厚さは、0.8~1.6mm(例えば、1.0~1.5mm)であり得る。
管9350の下側管部9363の矩形状断面のさらなる利点として、使用時において患者の顔の前方に載置される下側管部9363が、水平方向よりも垂直方向においてより屈曲に耐える点がある。D字型断面により、下側管部9363が矩形/台形の長軸に対して垂直な屈曲よりも矩形/台形長軸に対して平行な屈曲に耐えることが可能になる。このようにすると、シール形成構造9100へ必要なシーリング力を提供するために上側管部9304から下側管部9363上へ付加される垂直力をシール形成構造9100へ移動させるための剛性を垂直方向に保持しつつ、下側管部9363が患者の顔の前方周囲から内方に曲線状にシール形成構造9100へより容易に屈曲することが可能になるため、有利である。
患者の顔の前方周囲において内方に屈曲可能であるため、下側管部9363が患者の頬骨の下側の患者の頬にぴったりとフィットすることが可能になる。上記においてより詳細に述べたように、患者の頬骨の下側にぴったりと載置された下側管部9363により、下側管部9363が患者の頬上に緩い状態で載置されるかまたは患者の頬骨の上方に載置された場合よりも、より安定したシールを得ることが可能になる。
本技術のいくつかの例において、下側管部9363は、低角度においてクッションモジュール9150へ接続する。上記したように、ヘッドギア管9350は、横手方向に延び、患者の頭部側部を下方に延びた後、前方および中間方向に曲線状に延びて、患者の顔の前方のクッションモジュール9150へ接続する。管9350は、クッションモジュール9150へ接続される前は、クッションモジュール9150との接続と同じ垂直位置またはいくつかの例においてクッションモジュール9150との接続の下方の位置に延び得る。すなわち、管9350は、少なくとも部分的に上方向に突出した後、クッションモジュール9150へ接続され得る。管9350の一部は、クッションモジュール9150および/またはシール形成構造9100の下方に配置され得る。管9350を患者の顔の前方の下方位置に配置することにより、患者の頬骨の下側の患者の顔との接触が促進される。
5.3.3.2.1.6 導管ヘッドギア材料
図10および図11に示す例などの本技術のいくつかの例において、ヘッドギア管9350は、少なくとも部分的に織物材料から形成される。いくつかの例において、織物材料は、ナイロンを含む。他の例において、織物材料は、ポリエステルを含む。織物材料は、他の適切な材料を含み得、例えば織られた材料の組み合わせを含み得る。追加的にまたは代替的に、管9350は、発泡材料から形成され得る。いくつかの例において、管9350は、織物および発泡材料の組み合わせを含む。いくつかの例において、管9350は、スペーサ布地材料を含む。いくつかの例において、織物および/または発泡材料は、シリコーンの使用に追加される。シール形成構造9100は、シリコーンから形成され得る。プレナムチャンバ9200は、ポリカーボネートなどの剛性材料も含み得る。
例において、織物および/または発泡材料を含むヘッドギア管9350は、以下のようなものであり得る:圧力下において空気を保持し、生体適合性でありかつ医療用の空気経路の形成用途において適切/承認済みであり、シリコーン管よりも軽量であり、軟らかく可撓性であり、所定の形状を概して保持し、所定のライフサイクル(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上)にわたって清掃可能でありかつ耐久性を持つ。
例において、図10および図11に示す患者インターフェース9000のヘッドギア管9350は、空気経路内への不要な物質の進入を回避するための膜障壁を含み得る。この膜障壁は、位置決めおよび安定化構造9300に対して一定の構造も提供し得る。ヘッドギア管9350は、少なくとも一定まで弾性的に伸長可能であり、軽量(いくつかの例において30g未満)を含み、壁厚さが薄く(いくつかの例において1mm未満)、音響共鳴が低く、いくつかの例において織物から完全に形成され、流れ/圧力に対して十分に低いインピーダンスを有し、十分に安定しており、管9350へ剛性付与し得るシームを有し、かつ/また管9350の異なる部分へ異なる剛性を提供するように管9350の長さに沿って変化するシームを有し得る。さらに、ヘッドギア管は、管9350の後側および前側にわたって非対称シームを含み得、使用時において張力下にある患者接触側上に管9350の平坦部を含み得、熱形成され得、熱形成されたシームを有し得、1つ以上の織物スペーサを含み得、管9350と異なる特性を有する頭頂部コネクタ9360と共に組立可能であり得、患者の顔に対して柔らかな感触を有し得、極めて呼吸可能であり得、洗浄可能でありかつ/または寝具および/または枕と類似する外観および感触を有し得る。
図10および図11任に示すように、頭頂部コネクタ9360は、患者インターフェース9000のヘッドギア管9350それぞれの間に接続される。頭頂部コネクタ9360は、スイベルエルボー9610および接続ポート9600を含み得る。接続ポート9600は、導管コネクタ9612によって提供され得る。導管コネクタ9612は、呼吸可能なガスの供給を可能にする空気送達導管(例えば、空気回路4170)へ接続するように構成される。導管コネクタ9612は、エルボーに相対して回転可能であり得、これにより、空気送達導管のエルボーに対する相対回転が可能になる。頭頂部コネクタ9360は、図24中にスイベルエルボー9610と共に図示されており、図25中に単独で図示されている。図10、図11および図20~図23に示す例において、ヘッドギア管9350は、頭頂部コネクタ9360の頭頂部コネクタ管部位9365へ取り外し可能に接続される。ヘッドギア管9350は、雄コネクタを自身の端部に含み得る。図12A、図12Bおよび図26に示すように、各ヘッドギア管9350は、ヘッドギア管コネクタ9351を各端部に含む。ヘッドギア管コネクタ9351はそれぞれ、頭頂部コネクタ9360の頭頂部コネクタポート9361およびクッションモジュール9150中の対応する雌コネクタ部位とスナップ嵌め接続を形成し得る。ヘッドギア管9350は、(図12Aおよび図12Bに示すように)各ヘッドギア管コネクタ9351に近接するシール部9353を含み得る。シール部9353は、頭頂部コネクタ9360およびクッションモジュール9150に対して良好なシールを形成するための柔順な材料(例えば、シリコーン)から形成され得る。頭頂部コネクタ9360およびクッションモジュール9150は、弾性材料(例えば、シリコーン)(その全体をそれにするか、もしくはヘッドギア管コネクタ9351との境界面の部分だけをそれにする)またはより硬質の材料(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン)から形成され得る。
一例において、ヘッドギア管9350の寿命は、9ヶ月であり得る。ヘッドギア管9350は、70℃において40~100回の洗浄サイクルに30分間耐えるかまたは93℃において30回の洗浄サイクルに10分間にわたって耐えるように設計された洗濯機により、自宅において洗浄可能であり得る。
ヘッドギア導管(例えば、ヘッドギア管9350)中に織物材料の利用による快適性に加えて、織物材料を用いて形成されたヘッドギア管9350は、シリコーンを用いた場合に可能な重量よりも有意に軽量化が可能であり得る。いくつかの例において、導管ヘッドギアの重量は、30グラム未満であり得る。システム軽量化は、患者の頭部により支持すべき重量が減って患者快適性の向上に繋がるため、一般的により望ましい。織物導管患者インターフェース9000の軽量化は、織物材料の密度をシリコーン密度未満にし、かつ/または導管薄さをシリコーンを用いた場合に達成可能な薄さよりもさらに薄くすることが可能であることにより、可能になり得る。いくつかの例において、ヘッドギア管9350の壁部の厚さは、1mm未満であり得る。
5.3.3.2.1.7 導管の剛性
ヘッドギア管9350は、快適性のために柔軟かつ変形可能でありかつ使用時において安定しているため、有利であり得る。ヘッドギア管9350は、有効な快適かつ安定したシールをシール形成構造9100と患者の顔との間に達成するために、適切な力ベクトルをプレナムチャンバ9200へ付加するように構成され得る。さらに、各ヘッドギア管9350は、患者の頭頂部の接続ポート9600から離隔方向において患者の頭部横手方向の曲線状経路に追随し得、患者の頭部側部を下方に延びて、患者の鼻へと前方に延びる。この形状により、患者の頭頂部のスイベルエルボーから患者の鼻におけるクッションまでガスを搬送しつつ、各ヘッドギア管9350が患者の眼と耳との間を通過することが可能になる。すなわち、ヘッドギア管9350に一定の剛性/剛度を持たせると、ヘッドギア管9350およびストラップ9310中の張力を良好なシールのための必要な力ベクトルへ変換しつつ自身の形状を保持できるため、有利である。
ヘッドギア管9350は、以下が可能なように構成され得る:ヘッドギア機能を提供すること、いくつかの場所において他の場所よりも剛性であること、いくつかの場所において他の場所よりも可撓性であること(例えば、ストレッチ性および/または可撓性をより高くまたはより低くすること)および/または屈曲可能であること。米国特許出願第62/764,995号(PCT出願第PCT/AU2019/050874(出願日:2019年8月20日)に対応)(本明細書中、同文献全体を参考のため援用する)において、屈曲および挙動が可能なようにヘッドギア管を構成する方法が複数開示されている。
ヘッドギア管9350の上側管部9304は、患者の頭部の上面上に「ドレープ状に」下方に十分に屈曲可能でありつつ、患者の頭部上における後方または前方の乗り上げに耐えるために前後方向における動きに耐えるだけの十分な剛性/剛度を有する。ヘッドギア管9350の下側管部9363は、患者の頭部の包囲を中間方向において患者の頭部の側部から患者の鼻の下側に配置されたプレナムチャンバ9200へと行うように、十分に屈曲可能であり得る。しかし、下部9363は、ヘッドギア管9350の上側管部9304およびヘッドギアバックストラップ9310中の張力をシール形成構造9100へ付加されるシーリング力ベクトルへ変換および伝送するために、十分な剛性(特に、上/下方向において屈曲するように)を保持する必要がある。
ヘッドギア管9350は、織物および/または発泡材料の組み合わせから形成され得るが、シリコーンから形成されたヘッドギア管9350と同様の可撓性も有し得る。適切な可撓性は、安定性および快適性双方において重要である。
織物ヘッドギア管9350の所定の静置時形状は、使用時における患者着用時における形状に近い形状であり得る(例えば、図10、図11および図20~図23に示す一般的形状)。しかし、ヘッドギア管9350は、患者の頭部の実際の形状へ快適かつ確実に形状適合するだけの十分な可撓性を有し得る。
織物ヘッドギア管9350は、ねじれ力に耐えるように構成され得る。これが特に有利な理由として、ヘッドギア管9350が3次元ループ状に形成され、ヘッドギア管9350が載置される際に描く3次元曲線に対して平行ではない力を受容する点がある。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350そのものは、必要な剛性レベルを提供するように構築される。一例において、管9350の剛性は、管9350の断面形状によって提供される。例えば、各ヘッドギア管9350の断面形状は、構造剛性の提供のために、十分に大きな2次モーメント領域を含み得る。いくつかの例において、管9350の形成に用いられる材料の特性により、十分な剛性が管9350へ提供され得る。例えば、材料は実質的に非伸長性であり得、かつ/または、使用される材料(複数可)は十分に大きな剛性を含み得る。いくつかの例において、材料の組立様態により、剛性を得ることが可能であり得、かつ/または、組立時または組立前の材料の処理(例えば、加熱成形)により、十分な剛性をヘッドギア管9350へ付与することが可能であり得る。一例において、織物管9350は、所定の形状に熱形成された発泡材料から構築されるため、必要な剛性が得られる。
一例において、管9350の横手方向の外方の患者と接触しない側をストレッチするように構成すると、管9350の屈曲が可能になり、管9350が内方に曲線状になる(例えば、患者の頭部の横側から中間方向において患者の顔の前方周囲に延びて、患者の鼻および/または口へ近づくようにする)ことができ得る。患者と接触する側は、ストレッチしない(かまたはストレッチ性がより低レベルに留められる)。ヘッドギア管9350の患者接触部9348は、より高剛性であり得、ヘッドギア管9350の非患者接触部9349よりもより高剛性であり得るか、および/または少なくともよりストレッチ性が低くされ得るため、使用時においてストレッチ性に差が発生する。他の例において、これは、非患者接触部9349が患者接触部9348よりもより高い剛性、より高い剛直性かつ/またはより低い伸縮性を有するように、逆転され得る。すなわち、以下に(および他の箇所において)患者接触部9348に関連して述べる構造的配置構成は、非患者接触部9349へ適用してもよいし、またその逆も成り立つ。さらに、他の例において、患者接触部9348および非患者接触部9349は、同一の構造的配置構成を有し得る。
ヘッドギア管9350それぞれの患者接触部9348を非患者接触部9349よりも高剛性にすることが可能な方法が、複数存在する。一例において、患者接触部9348は、非患者接触部9349よりも硬質の材料から形成され得る。他の例において、患者接触部9348は、非患者接触部9349よりも肉厚であり得、非患者接触部9349よりも低ストレッチ性および/または高剛性/硬質性となるように熱形成され得、非患者接触部9349へ付加されない余分な層材料によりラミネートされ得、非患者接触部9349へ付与される層全てよりも硬質の材料の層によりラミネートされ得、剛化部材を含み得かつ/または非患者接触部上に用いられる織り込みプロセスよりも可撓性またはストレッチ性が低い異なる織り込みプロセスを用いて形成された織物材料を含み得る。
一例において、患者接触部9348は第1の加熱成形プロセスにより形成され得、非患者接触部9349は第2の加熱成形プロセスにより形成され得る。第1の加熱成形プロセスにより、非患者接触部9349へ付与される第2の加熱成形プロセスよりも高い剛性が患者接触部9348へ付与され得る。
いくつかの例において、患者接触部9348および非患者接触部9349はそれぞれ、層によって形成される。患者接触部9348は、非患者接触部9349よりも多数の層を含み得るため、非患者接触部9349よりも高剛性が得られる。いくつかの例において、患者接触部9348は、剛化層および/または剛化部材を含む。
非患者接触部9349は、患者接触部9348よりもより高いストレッチ性および/またはより低い剛性を持つ形状(例えば、材料がぴんと張っていない形状)に形成してもよい。非患者接触部9349は、蛇腹、ベローズ、または波形構造を持つように形成してもよく、その場合、材料の展開が可能になるため、長さの変更が促進される。すなわち、このような構造により、一定長さのヘッドギア管が形成され得る。このヘッドギア管は、調節可能な長さを有する。他の例において、患者接触部9348および非患者接触部9349双方は、ベローズ、蛇腹または波形構造を有する。例えば、上側管部9304は、患者の頭部上方から患者の顔側部への湾曲(「ドレープダウン」)の促進のために、ベローズ、蛇腹または波形構造を有し得る。別の例において、下側管部9363は、患者の顔側部から鼻の下側の領域への湾曲の促進および/またはクッションモジュールへの調節可能性の提供のために、ベローズ、蛇腹または波形構造を有し得る。
上記したように、ヘッドギア管9350は、細長患者接触部9348および細長の非患者接触部9349に分けられて形成され得る。
一例において、各ヘッドギア管9350の壁部は、患者接触部9348の各縁へ接合された非患者接触部の縁9349によって形成された少なくとも1つのシーム9352を含む。図27は、上側管部9304(例えば、使用時において患者の頭部の上面に対向して配置される部位)におけるヘッドギア管9350の断面を示し、図28は、下側管部9363(例えば、使用時において患者頭部の側面および前面に対向して配置される部位)におけるヘッドギア管9350の断面を示す。
図13~図15および図27~図29に示すように、ヘッドギア管9350の患者接触部9348および非患者接触部9349は、いくつかの例において、双方の側部に沿って接続されて、各側に沿ってシーム9352を形成する。これにより、2つのシーム9352が、管9350の反対側の管9350の長さに沿って形成される。使用時において、管9350の前側に沿って延びる前シーム9352と、管9350の後側に沿って延びる後シーム9352とが設けられ得る。シーム9352における接合部は好適には、使用時において患者の皮膚と接触しない方が(そのような接触は瘢痕および/または不快感の原因になり得るため)好ましい。しかし、いくつかの例において、患者接触部9348によって形成されるシーム9352の部位は、患者の頭部および/または顔上に載置され得る。
患者接触部9348および非患者接触部9349はそれぞれ、前縁および後縁を含み得る。前縁は、管9350の長さに沿って接合され得る。同様に、後縁は、管9350の長さに沿って接合され得る。図27および図28に示すように、いくつかの例において、前縁は、接合されて、管9350の前シーム9352を形成する。
同様に、いくつかの例において、後縁は、接合されて、管9350の後シームを形成する。前シーム9352および/または後シーム9352は、熱形成され得る。
本技術のいくつかの例において、シーム9352は、導管へ剛性を提供し得る。シーム9352の剛性は、管9350の全体的剛性および挙動へ貢献し得、安定位置決めおよび安定化構造9300を形成する管9350を達成するように選択され得る。また、シーム9352の剛性は、快適で有効かつ安定したシールのための必要な力ベクトルをシール形成構造9100へ付与するための位置決めおよび安定化構造9300の能力にも貢献し得る。必要な剛性の提供のためにシーム9352を使用することによる利点として、2部構成(例えば、患者接触部9348および非患者接触部9349)を有する管9350は、余分な剛性が必要であるかに関係無く必ずしもシームを有する必要が無い点がある。すなわち、シーム9352および/またはシーム形成プロセスを用いて、(快適性および/またはコストにとって悪影響となり得る)さらなる部品の追加またはさらなるプロセスの適用無しに、剛性を増加させることが可能であり得る。
シーム9352から管9350へ付与される剛性は、シーム9352の特定の厚さの選択により、規定され得る。患者接触部9348および非患者接触部9349それぞれを形成する材料の厚さにより、得られるシーム9352の厚さが規定または達成され得る。シーム9349の領域における患者接触部9348および非患者接触部9349それぞれの材料厚さは、特定のシーム厚さを達成できるように、選択され得る。例えば、ヘッドギア管9350の患者接触部9348および非患者接触部9349は、部位が縁に沿って形成されて管9350を形成した後、より肉厚またはより肉薄のシーム9350を達成するように、より肉厚またはより肉薄の側縁と共に形成され得る。
シーム9352は、熱形成してもよいし、あるいは超音波溶接によって形成してもよい。さらなる例において、シーム9352の形成は、接着、縫合、オーバーモールド、溶接または他の任意の適切なプロセスにより行われ得る。
加熱成形プロセスに起因して、シーム9352の剛性に影響が出る場合がある。例えば、シーム9352が加熱成形時により高レベルで圧縮された場合、シームがより硬質になり得る。例えば、加熱成形プロセスによって形成されたシーム9352は、加熱成形プロセス時にシーム9352を形成する縁の圧縮によって得られた剛性を含み得る。
いくつかの例において、シーム9352は、いくつかの位置における剛性の方が、他の位置における剛性よりも高い。例えば、ストラップ9310の接続の近隣のプレナムチャンバ9200とヘッドギア管9350の部位との間のヘッドギア管9350の部位は、ストラップ9310の接続の近隣のヘッドギア管9350の部位と患者頭頂部の供給管への接続との間の同一のヘッドギア管9350の部位よりも高剛性であり得る。いくつかの例において、シーム9352は、特定の領域においてより肉であり、かつ/または、シーム9352を形成する材料が特定の領域においてより高レベルに圧縮されることにより、シーム9352を当該領域においてより高硬質にする。シーム9352の剛性および/または厚さは、上側管部9304においてよりも下側管部9363においてより高くなり得る。もしくは、その逆である。いくつかの例において、シーム9352の幅は、上側管部9304においてよりもヘッドギア管9350の下側管部9363においてより大きい。もしくは、その逆である。
シーム9352は、他の位置(例えば、患者頭頂部の供給導管コネクタの近隣、バックストラップ9310接続/アイレットおよび/またはプレナムチャンバ9200への接続)において、ヘッドギア管9350を硬質に形成してもよい。
シーム9352は、タブ9320を形成するためにも用いられ得る。タブ9320により、バックストラップ9310の接続先としてのアイレットを得ることが可能になり得る。特に大型のシーム9352が、バックストラップ9310の接続先位置において設けられ得、シーム9352中に穴部を設けて、バックストラップ9310をループ留めすることができ得る。あるいは、アイレットは、ヘッドギア管9350の患者接触部9348または非患者接触部9349のうちいずれか1つのみによって形成され得る。図30は、本技術の一例によるヘッドギア管9350のタブ9320を示す。ヘッドギア管9350に含まれる患者接触部9348および非患者接触部9349は、縁において接合されて、シーム9352を形成する。後シーム9352を図30に示す。図示のように、タブは、シーム9352の幅広化によって形成される。すなわち、後シーム9352は幅広部を含み、この幅広部は、位置決めおよび安定化構造9300のストラップ9310と接続するように構成される。本例において、ヘッドギア管9350に含まれるシーム9352の伸長部により、タブ9322が形成される。本技術の他の例において、患者接触部9348および非患者接触部9349のうち1つのみが、ヘッドギア管9350の管壁部から離隔方向に後方に延びて、タブ9320を形成する。
ヘッドギア管9350は、ストラップ9310を受容するように構成されたアイレットを含む。より詳細には、後シーム9352は、アイレットを含む。アイレットは、ストラップを受容するように構成された穴部9310を含み得、図10に示す様態において、この穴部にストラップを通過させて、ループ留めし、自身に固定することができる。
本例において、アイレットは、スリット9322の形態をとる。スリット9322をタブ9320内に形成した様子も、図30に示す。タブ9320は、スリット9322を形成するアパチャを含む。図30に示すように、スリット9322は細長であり、ストラップ9310を受容する適切なサイズにされる。ストラップ9310は、図10および図11に示すように、平坦なストラップであり得る(例えば、厚さよりも幅広であり得る)。
図30の例において、ヘッドギア管9350は、アイレットを補強するように構成されたアイレット剛化物部9324を含む。アイレット剛化物部9324は、ヘッドギア管9350を形成する材料よりも高剛性の材料から形成され得る。一例において、アイレット剛化物部9324は、実質的に剛性のプラスチック材料から形成される。アイレット剛化物部9324は、ナイロン、ポリカーボネート、ハイトレル、ポリプロピレンなどから形成され得る。アイレット剛化物部9324は、タブ9320中の開口部へ設けられ得、内部に穴部を有して、スリット9322を形成する。アイレット剛化部9324は、後シーム9352中の穴部内に設けられ得、この穴部の形状を補強するように構成され得る。アイレット剛化物部9324は、スリットを補強し得るかまたはストラップ9310からタブ9320上への力をタブ9320の十分に広い領域にわたって分散させ得る。アイレット剛化物部9324は、例えばオーバーモールドまたは接着によりタブ9320へ恒久接続してもよいし、あるいは、グロメットの様態で取り外し可能に取り付けてもよい。
図11に示す位置決めおよび安定化構造9300において、アイレット剛化物部9324は、タブ9320を形成するヘッドギア管9350の材料周縁へ設けられ、タブ9320を形成するヘッドギア管9350の材料の後方に配置されたスリット9322を含む。本例において、アイレット剛化物部9324は、ストラップ9310の力をタブ9320の大領域にわたって分散させる。
さらなる例において、ヘッドギア管9350は、調節可能なタブ9320を含み得る。すなわち、連続的範囲または個別選択肢を通じてタブ9320の位置および/または角度を患者が調節することが可能になり得る。米国特許出願第62/764,995号(PCT出願第PCT/AU2019/050874(出願日:2019年8月20日)に対応)(本明細書中、同文献全体を参考のため援用する)において、本技術のいくつかの例においてヘッドギア管9350のタブ9320へ付加されるヘッドギア管のための調節可能なアイレット/タブに関連する複数の特徴が開示されている。
追加的にまたは代替的に、導管ヘッドギアマスクの異なるシーム9352は、異なる剛性を有し得る。例えば、ヘッドギア管9350の上側または前側のシーム9352は、当該ヘッドギア管9350の下側または後側の反対側のシーム9352よりも高剛性であり得る。あるいは、下または後シーム9352は、上または前シーム9352よりも硬質であるかより高剛性であり得る。ヘッドギア管9350が前シーム9352および後シーム9352を含む場所において、前シーム9352を形成する縁の加熱成形プロセス時において後シーム9352を形成する縁よりも高く圧縮することにより、より高剛性を前シーム9352へ提供することができる。もしくは、その逆である。
いくつかの例において、前シーム9352は、後シーム9352よりも肉厚であり、あるいはその逆でもある。追加的にまたは代替的に、前シーム9352は、後シーム9352よりも幅広であり、あるいはその逆でもある。
本技術のさらなる例において、例えば図33-1中に最良に示すように、シーム9352は、剛化要素9358(例えば、剛性材料または半剛性材料)(例えば、一定長さの金属(例えば、金属ワイヤまたは突出部)またはあるいは一定長さのプラスチック(例えば、プラスチック棒または突出部))を含むかまたは一体化させることにより、ヘッドギア管(例えば、下側管部9363)とする。これにより、管9350への剛性付与を可能にしつつ、ヘッドギア管9350の内側層においてより低密度の材料を用いることが可能になり得る。剛化要素9358は、シーム9352内に埋設してもよいし、あるいはシーム9352上に積層してもよい。
いくつかの例において、シーム9352に起因して患者の顔上に発生する縁瘢痕または不快を回避するために、シーム9352は、皮膚から離隔方向に配置され得かつ/または曲線状縁と共に形成され得る。
本技術の別の例は、縫合、成形による形状形成、3D印刷、接着、オーバーモールド、超音波溶接などの他のプロセスによりシーム9352を形成することを含み得る。
5.3.3.2.1.8 ヘッドギア管の構成
一例において、自身の断面形状を保持できかつ患者の頭部に形状適合することが可能なヘッドギア管9350が提供される。
ヘッドギア管9350は、患者接触部9348および非患者接触部9349を含む。患者接触部9348および非患者接触部9349は、位置決めおよび安定化構造9300の必要な機能を提供(例えば、使用時において有効であり、安定しかつ快適なシールのためにシール形成構造9100を正確な位置に支持)しつつ、中空内部(例えば、開口通路)を両者間に維持できるくらいの十分な剛性を備えつつ、管9350が患者の頭部に形状適合できるくらいの十分に可撓性および/またはストレッチ性も備え得る。
図13~図17および図26~図28は、ヘッドギア管9350の構成の例を示す。患者接触部9348(顔接触部9348としても知られる)および非患者接触部9349(非顔接触部9349としても知られる)の利用により、ヘッドギア管9350全体が一体形成部品である場合に可能な特性よりもより広範な範囲の異なる特性が可能になり得る。
患者接触部9348および非患者接触部9349はそれぞれ、細長長さの材料(または複数層の材料によって形成された長さ)を含む。これら2つの長さを長縁に沿って接合すると、ヘッドギア管9350を細長導管の形態で形成することができる。図15に示すように、患者接触部9348および非患者接触部9349はそれぞれ、前縁9331および後縁9332を含み得る。管9350は3次元の曲率を含むため、前縁9331および後縁9332はそれぞれ、使用時において前方および後方を指向することがないことが理解される。例えば、前縁9331は、使用時においてヘッドギア管9350の上端の近隣の実質的に前方に対向し得るが、使用時においてヘッドギア管9350の下端の近隣において部分的に前方かつ部分的上方に対向し得る。同様に、後縁9332は、使用時においてヘッドギア管9350の上端の近隣において実質的に後方に対向し得るが、使用時においてヘッドギア管9350の下端の近隣において部分的に後方かつ部分的に下方に対向し得る。全般的に、前縁9331は、使用時においてより前縁であり得、後縁9332は、使用時においてより後縁であり得る。前縁9331および後縁9332は、ガス送達管9350の長さに沿って接合され得る。
一例において、患者接触部9348は、非患者接触部9349を牽引して曲線状形状にして、D字型断面をヘッドギア導管内に形成し得る。患者接触部9348に張力が付与されると、非患者接触部9349が牽引されて、曲線状形状となる。非患者接触部9349が付勢されると、平坦な形状またはより平坦な形状をとり得る。
図29は、ヘッドギア管9350の断面図である。ヘッドギア管9350は、患者接触部9348および非患者接触部9349が長縁に沿って接合されて、加圧ガス流れを搬送するための中空内部を形成することにより、形成される。非患者接触部9349が付勢されると、平坦形状をとる。本例において、非患者接触部9349が付勢されると、非患者接触部9349が図29においてとる形状ではなく、平坦な形状またはより平坦な形状をとる。平坦形状への付勢は、より平坦な形状への付勢として理解される。例えば、ヘッドギア管9350の非患者接触部9349は、付勢されると平坦形状をとり得、付勢に対抗して機能する患者接触部9348からの力が無いときの静置時形状も、より平坦な形状であるが、完全に平坦な形状ではない。この付勢を図29中の文字Bによって示す。付勢Bに起因して、非患者接触部9349は、平坦な構成またはより平坦な構成に戻る傾向を有する。本例において、非患者接触部9349は、患者接触部によって牽引されると所定の形状になり、管9350の中空内部を形成する。
本例において、所定の形状は、非平坦形状である。一例において、所定の形状は、台形に類似する。図29に示すように、ヘッドギア管9350の断面形状は実質的に台形であり得、完全な台形でなくてもよい。例えば、図29の例において、非患者接触部9349は、2つの角度付き側部間において側部に沿って曲線状外形を含む。さらに、断面形状の角部は、曲線状である。
患者接触部9348は、非平坦形状も含み得る。図29に示すように、患者接触部9348は、非患者接触部9349よりもより平坦な形状を含む。
非患者接触部9349の縁を患者接触部9348の縁へ接合するときに、非患者接触部9349は、少なくとも部分的に弾性的に変形し得る。患者接触部9348は、非患者接触部9349が付勢B下において平坦な形状またはより平坦な形状へ戻るための十分な伸張性が幅寸法において無い場合がある。患者接触部9348は、付勢Bに対抗して非患者接触部9349を変形構成に保持するため、ガス送達管9350が形成された後、力が患者接触部9348と非患者接触部9349との間に付加される。患者接触部9348は、付勢Bに対抗して力を連続的に非患者接触部9349へ付加し得、これにより、非患者接触部9349が平坦な形状またはより平坦な形状に戻る事態が回避される。
よって、非患者接触部9349は、対抗しあう力を患者接触部9348へ付加し得る。付勢Bに起因して非患者接触部9349から患者接触部9348へ付加される力により、患者接触部9348無いに張力が発生し得る。この張力を、図29中に文字Tにより示す。図29に示すように、患者接触部9348は、患者接触部9348の幅にわたって張力T下にあり得る。非患者接触部9349は、非患者接触部9349の縁において(例えば、長縁において)患者接触部9348によって牽引され得る。
図29に示すように、非患者接触部9349および患者接触部9348は、一対のシーム9352において接合される。
より平坦な形状への付勢Bにより、患者接触部9348により非患者接触部9349の縁が共に牽引されると、非患者接触部9349は、座屈または皺を発生するのではなく、剛性付与されたドーム形状を形成し得る。その結果得られたヘッドギア管9350は、自己支持型の断面形状を含み得る。ヘッドギア管9350は、管9350の中空内部中に圧力が無い場合でも、開口形状を保持することができる。
非患者接触部9349内にも、患者接触部9348へ接合されたときに非患者接触部9349における付勢により平坦な形状へ戻るため、張力が発生し得る。そのため、患者接触部9348および/または非患者接触部9349に対して、ヘッドギア管9350の形成時において事前に張力が付与され得る。そのため、管9350が付勢されて、開口構成をとる。患者接触部9348中の張力により、弾力性が有効に非患者接触部9349へ提供され得る(ただし、非患者接触部9349が屈曲して自己支持型形状をとった場合)。非患者接触部9349内の付勢Bおよび患者接触部9348中の張力Tにより、患者接触部9348および非患者接触部双方をぴんと張った断面にすることができ、よって座屈が回避される。ヘッドギア導管9350は、使用時において加圧された内部も有するため、中空内部の開通性の維持の支援にもなり得る。
図29に示す付勢Bおよび張力Tは、ヘッドギア管9350上およびヘッドギア管9350内に作用する力を示すものであるが、実際の力はより複雑であり得ることが理解される。例えば、いくつかの具現例において、付勢Bは、非患者接触部9349の屈曲から得ることが可能であり得、その結果、非患者接触部9349内において張力および圧縮双方が発生する。いくつかの具現例において、非患者接触部9349は、患者接触部9348の端部へモーメントを付加し得る。いくつかの例において、非患者接触部9349における付勢Bは、患者接触部9348へ曲率を付与する効果を有し得る。いくつかの例において、患者接触部9348の幅寸法の伸長部に対する剛性および/または抵抗は十分に高いため、非患者接触部9349の付勢B下において、患者接触部9348の形状変化は実質的にほとんど無い。
ヘッドギア管9350の非患者接触部9349における付勢は、非患者接触部を形成する1つ以上の材料9349の弾性により、提供され得る。非患者接触部9349および/または患者接触部9348の形成に用いられる加熱成形プロセスにより、特定の剛性が、非患者接触部9349および/または患者接触部9348へ付与され得る。加熱成形プロセスのパラメータ(例えば、型締力、熱、型締時間)は、非患者接触部9349および患者接触部9348それぞれの所定の剛性を達成するように、選択され得る。
あるいは、開口形状(すなわち、治療ガスの流れの通過が可能な中空断面)のヘッドギア管9350による維持を支援するために、1つ以上の構造部材が非患者接触部9349へ設けられ得る。一例において、半剛性の骨組が、非患者接触部9349へ提供される。別の実施例において、非患者接触部9349は、半剛性材料のさらなる層を含む。
ヘッドギア管9350は、使用時において開口形状を維持するような構造にされ得るが、患者の頭部形状に快適に形状適合するための十分な可撓性も備え得る。詳細には、非患者接触部9349は、ヘッドギア導管が患者の頭部の曲線に沿って屈曲することを可能にする十分なストレッチ性を備えた材料から形成され得る。患者接触部9348は、より低いストレッチ性を備え得るが、より短い経路に沿って載置され得る。すなわち、患者接触部9340は患者の頭部表面に対向して載置されるため、患者接触部9348は、十分に可撓性であるため、非患者接触部9349よりも短い半径まで屈曲することができる。
顔接触部9348は、患者の皮膚に対して、非顔接触部9349よりも高い摩擦係数を有し得る。患者接触部9348は、内側に対向する表面を含み得る。この内側に対向する表面は、患者の皮膚に対して非患者接触部9349の横方向に対向する表面よりも高摩擦係数を有する患者の頭部に対向して載置されるように構成される。位置決めおよび安定化構造9300の表面の大部分または全ては、寝具の感触を模した低摩擦の柔らかな感触を含み得る。しかし、安定性向上に繋がり得る一定レベルのグリップを得るために、さらなる摩擦を患者接触側9348へ付与してもよい。
別の実施例において、各ヘッドギア管9350は、織物顔接触部9348およびシリコーンまたはTPE非顔接触部9349と共に形成され得る。顔接触部9348へ付与される織物材料により、快適な感触を患者の皮膚上に有利に付与することができる一方、非顔接触部9349を形成するシリコーン材料により、シリコーンの有利な特性を得ることが可能になり得る(例えば、可撓性および弾力性および/または半球形状D字型において自身を支持することにより、治療ガス流れの通過を可能にする開口状態の中空内部を維持することが可能な能力)。一例において、ヘッドギア管9350はそれぞれ、シリコーン層を非顔接触部9349中に有し得、マスクの感触向上のために最外側織物材料層も有し得る。ヘッドギア管9350にシリコーン非顔接触部9349を設けることにより利点として、管9350の内部をシリコーンを通じて視認することが可能である点がある。管9350の内部が視認可能であると、導管の清掃がより容易になり得るため、有利である。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350に窓を設けると、患者が(例えば洗浄時にまたは各管9350の中空内部の清潔度の再確認のために)管9350の内部を視認することが可能になり得る。一例において、ヘッドギア管9350は、外部不透明層(例えば、織物および/または発泡材料層から形成されたもの)により被覆された少なくとも非患者接触部9349中の内側透明層(例えば、シリコーンまたはTPEから形成されたもの)と、外部不透明層中に形成された穴部によりヘッドギア管9350中に形成された1つ以上の窓とを含み、これにより、患者が内側透明層の露出部を通じて管9350の中空内部を視認することを可能にする。いくつかの例において、患者接触部9348および非患者接触部9349の片方または両方は、織物の感触を付与するためのフロック加工(例えば、織物材料または織物の感触を有する材料によるフロック加工)が施されたシリコーンから形成される。
例において、各ヘッドギア管9350は、空気不透過性であり得(例えば、ラミネートまたは膜を内側に有し得)、織物および/または発泡材料外側層を有し得、余分な粒子を気流中へ解放させ得ず、快適かつ安定性があり得、患者の気道への入口周囲に有効シールを維持するようにシール形成構造9100を支持することができ得る。患者接触部9348および非患者接触部9349の特定の構成について、本明細書中に開示の他の例に記載のようなものであり得る。あるいは、患者接触部9348および/または非患者接触部9349は、ブロー成形によって形成され得る。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350は、別個の顔接触部9348および非患者接触部9349により熱形成され、それぞれ複数の層から形成され得る)。あるいは、ブロー成形が、ヘッドギア管9350の形成に用いられ得る。いくつかの例において、ヘッドギア管9350は、織物状の表面を生成するようにフロック加工された1つ以上の発泡材料またはシリコーンを含む。
5.3.3.2.1.9 積層構造
いくつかの例において、患者インターフェース9000は、複数の層をそれぞれ含むヘッドギア管9350を含み得る。患者接触部9348および非患者接触部9349はそれぞれ、複数の層を含み得る。各層は、異なる特性をヘッドギア管9350へ付与し得る。例において、これらの層は、以下を提供し得る:空気不透過性、粒子不透過性、形状形成、特定の構成/弾力性/弾性へ向かう付勢、圧縮抵抗、ストレッチ性および/または柔らかな織物の感触。
図15は、一例によるヘッドギア管9350の断面を示す。図示のように、管9350の形成は、複数の材料ピースを共に接続させて空気経路を形成することにより、行われる。本例において、空気経路は、医療用途に適している(例えば、ガス流れの汚染原因となる材料からの粒子の解放させないかまたは許容しない)。これらの材料は、接合部においてバグトラップ(例えば、バクテリアの蓄積/成長が可能になり得る小空間/キャビティ)を発生させないような様態で接続してもよい。
ヘッドギア管9350は、管9350の長さに沿って変動するサイズを含み得る。図26に示す例において、管9350の中空内部の幅は、34mm~18mmであり得る(例えば、管9350の上端において幅24mmおよび管の下端において幅18mm)。管9350の中空内部の高さは、8mm~6mmの範囲であり得る(例えば、管の下端に向かって高さ8mmおよび上端において高さ6mm)。本例において、空気経路の断面形状は、半球形状D字型を含み、この断面形状において、断面の長辺のうちの1つ(本例において、患者との接触の無い側9349)は、外方に凸型となり、半球形状を形成する。本技術の他の例において、空気経路の断面形状は、台形形状または矩形形状であり得る。
図16は、本技術の一実施例によるヘッドギア管9350の断面の模式図である。本例において、ヘッドギア管9350は、層状構造を含む。ヘッドギア管9350は、患者接触部9348および非患者接触部9349を含み、患者接触部9348および非患者接触部9349はそれぞれ、導管を形成する複数の層を含む。いくつかの層は、プラスチック膜、織物および発泡材料などの材料の層であり、他の層は、接着層である。本例において、最外側層は、寝具の外観および感触を提供するための織物材料である。他の例において、最外側層は、発泡材料を含み得る。最内側層(単数または複数)は、医療的に適切な空気経路を提供するために、熱可塑性膜などの空気不透過性材料から形成される。発泡材料層またはスペーサ布地層は、弾力性、快適性および/または圧縮応答の向上のために、織物層と空気不透過性層との間に空気経路の患者接触側および患者との接触の無い側の片方または双方に設けてもよい。
図16に示す本技術の例において、非患者接触部9349は、第1の外側層9371を含む。本例において、第1の外側層9371は、織物材料を含む。織物材料は、ナイロンまたはポリエステルを例として含み得る。他の例において、第1の外側層9371は、発泡材料を含む。非患者接触部9349は、空気経路の一部を規定する第1の内側層9375を含み得る。第1の内側層9375は、空気不透過性であり得る。いくつかの例において、第1の内側層9375は、熱可塑性材料を含み得、膜であり得る。いくつかの例において、第1の内側層9375は、TPU膜を含み得る。図16の例において、第1の外側層9371と第1の内側層9375との間に、中間層9373が設けられる。中間層9373は、発泡材料を含む。他の例において、中間層9373は、スペーサ布地材料を含む。あるいは、中間層9373は、発泡材料およびスペーサ布地材料の密度と同様であるかまたはより低い密度の材料を含み得る(例えば、メッシュ織物)。あるいは、いくつかの例において、中間層9373は、シリコーン、TPEまたはゲルなどの材料を含み得る。
ヘッドギア管9350の外側層と内側層との間に、ヘッドギア管は、少なくとも1つの接着層を含み得る。ヘッドギア管9350は、複数の接着層によって分離された複数の非接着層(例えば、空気経路、中間層および外側層を規定する内側層)を含み得る。いくつかの例において、接着層は、加熱されたときに非接着層へ接着される膜を含み得る。いくつかの例において、接着層は、TPU膜などの熱可塑性膜を含む。内側層9375も膜である場合、内側層9375は、接着層よりも高い溶融温度を有し得る。他の例において、接着層は、非接着層へ接着される接着表面を有する膜などの材料である。さらなる例において、接着物質を非接着層へ付加して、両者間に接着層を形成することができる。
図16に示す例において、非患者接触部9349の第1の外側層9371と中間層9373との間に、これら2つの層を共に接着させる第1の接着層9372である。最後に、第1の内側層9375と中間層9373との間には、第1の内側層9375を中間層9373へ接着させるように構成された第2の接着層9374が設けられる。
患者接触部9348は、使用時において患者の頭部/顔に対向して載置されるように構成された第2の外側層9381を含む。本技術の一例において、第2の外側層9381は、織物材料を含む。他の例において、第2の外側層9381は、発泡材料またはスペーサ布地を含む。本例において、患者接触部9348は、空気経路の一部を規定する第2の内側層9385も含む。第2の内側層9385は、空気不透過性であり得る。いくつかの例において、第2の内側層9385は、熱可塑性材料から形成され得、膜であり得る。第2の外側層9381と第2の内側層9385との間において、患者接触側9348は、中間層9383を含む。中間層9383は、例えば発泡材料またはスペーサ布地材料を含み得る。あるいは、中間層9383は、発泡材料およびスペーサ布地材料の密度と同様であるかまたはより低密度である別の材料を含み得る。あるいは、いくつかの例において、中間層9383は、シリコーン、TPEまたはゲルなどの材料を含み得る。
患者接触側9348の第2の外側層9381と中間層9383との間には、第1の接着層9382があり、これら2つの層を接着させる。最後に、第2の内側層9385と中間層9383との間には、第2の内側層9385を中間層9383へ接着させるように構成された第2の接着層9384が設けられる。
中間層9373および9383により、形状がヘッドギア管9350へ付与される。これらにより、載置先である患者の快適性を付与しつつ、一定の剛性をヘッドギア管9350の全体的構造へ付与することができる。中間層9373および9383により、ヘッドギア管9350は、載置先である患者および対向する患者頭部にとって快適な圧縮応答を有することが可能になり得る。いくつかの例において、中間層のうち片方または両方が、省略され得る。他の例において、外側層9371および9381のうち片方または両方が、省略され得る。さらなる例において、患者接触部9348および非患者接触部9349の片方または両方において、発泡材料またはスペーサ布地材料から形成された複数の中間層が設けられ得る。
図17は、本技術の別の例によるヘッドギア管9350の非患者接触部9349の断面を示す。本例において、患者接非触部9349は、第1の内側層9375を含む。第1の内側層9375は、空気不透過性材料、第1の外側層9371および両者間の第1の接着層9372を含む。第1の外側層9371は、織物材料を含み得る。あるいは、第1の外側層9371は、発泡材料を含み得る。そのため、いくつかの例において、導管の非患者接触部9349は、発泡材料、スペーサ布地などから形成された中間層を有さないかもしれない。ヘッドギア管9350のこの部位中に中間層が無いことにより、管の重量を低く保持することとヘッドギア導管の目立たなさを促進することとが、支援され得る。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350の患者接触部9348は、第2の外側層9381と、空気不透過性の第2の内側層9385と、第2の外側層9381および第2の内側層9385を共に接着させる接着層とを含む。このような例において、ヘッドギア管9350は、中間層を含まなくてよい。第2の外側層9381は、安定性、快適性および適切な圧縮応答のために、十分に肉厚であり硬質かつ/または弾性の材料(例えば、発泡材料または織物材料)を含み得る。
非患者接触部9349および患者接触部9348の片方または両方の中間層は、上記した例における発泡材料またはスペーサ布地から形成されているが、本技術の他の例において別のコンプライアント材料であってもよい。これは、肉厚かつ弾性の繊維網から形成された別のクッション状材料であってもよいし、あるいは、例えばゲル、シリコーンまたはTPEであってもよい。
さらなる例において、管9350は、織物、発泡材料またはスペーサ布地材料のうちいずれか(またはその組み合わせ)を含む外側層9371および9381を含み、患者接触部9348および非患者接触部9349のうちいずれかまたは双方は、織物、発泡材料またはスペーサ布地材料のうちいずれか(またはその組み合わせ)を含む中間層を含み得る。
ヘッドギア管9350の適切な圧縮応答は、患者快適性において有利である。発泡材料および織物の組み合わせを含むヘッドギア管9350は、シリコーンヘッドギア管9350に対して類似の圧縮応答を含み得る。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350の中間層9373および9383は、外部層よりも高剛性であり得る。最内側層(例えば、内側層9375および9385)は、ガス不透過性膜から形成され得、他の層よりも高剛性である場合においても、ヘッドギア管9350の全体的剛性も増加させ得る。外部層(例えば、外側層9371および9381)の柔軟さ/可撓性は、患者の皮膚に対して快適な感触の提供において有利である一方、一方の剛性が有ると、ヘッドギア管9350がプレナムチャンバ9200のための位置決めおよび安定化構造9300の一部として機能することが可能になる点において有利である。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350の非患者接触部9349において、中間層9373は、第1の外側層9371よりも肉厚であり得る。同様に、ヘッドギア管9350の患者接触部9348において、中間層9383は、第2の外側層9381よりも肉厚であり得る。一例において、中間層9373および9383はそれぞれ、発泡材料(または代替的にスペーサ布地材料)を含み、第1の外側層9371および第2の外側層9381はそれぞれ、中間層9373および9383を形成する発泡材料よりも肉薄の織物材料を含む。中間層9373および9383により、剛性、圧縮抵抗および弾力性がヘッドギア管9350へ付与され得、第1の外側層9371および第2の外側層9381により、寝具の外観および感触がヘッドギア管9350へ付与され得る。
ヘッドギア管9350の最内側層(単数または複数)は、適切な膜(例えば、特に加熱成形のために作製された医療用膜)を含み得る。いくつかの例において、患者接触部9348および非患者接触部9349それぞれの内側層の形成のために、異なる膜が用いられ得る。一例において、非患者接触部9349へ付与される膜は、非患者接触部9349のその他の層の加熱成形に適切であり得る。しかし、患者接触部9348へ付与された膜は、患者接触部9348の非患者接触部9349の溶接のために溶融することができ得る。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350の断面は、導管の長さに沿って均一ではない場合がある。例えば、いくつかの層は、ヘッドギア管9350の特定の部位中には存在する一方、他の部位中には存在しない場合がある。例えば、ヘッドギア管9350の下部9363(例えば、プレナムチャンバ9200から患者の眼と耳との間の点へ延びる部位)は、剛性増加およびヘッドギア力からシーリング力ベクトルへの効率的移転の促進のためのさらなる剛化層を含み得、かつ/または、導管の柔軟さをさらに増加させるように構成されたさらなる織物スリーブ層を含み得る。
5.3.3.2.1.10 剛性が異なる部位を備えたヘッドギア管
図20~図23に示すように、ヘッドギア管9350は、2つ以上の部位から形成されて、ヘッドギア管9350を形成し得る。これにより、ヘッドギア管9350が自身の長さに沿って異なる剛性を有することが可能になり得る。これにより、ヘッドギア管9350の各部位を特定の快適性および性能特性に合わせて最適化することが可能になり得る。均一の剛直性を有するヘッドギア管と比較して、ヘッドギア管9350の全体的重量の低減が可能になる。なぜならば、ヘッドギア管9350のうち比較的剛性が不要な部位をより低密度の材料から形成することが可能になるからである。
図26を参照して、本技術のいくつかの例において、ヘッドギア管9350は、上側管部9304および下側管部9363から形成され得る。上側管部9304の第1の端部9305には、スナップ嵌めコネクタ9351が設けられ得る。スナップ嵌めコネクタ9351は、使用時において別のコンポーネントと係合する。いくつかの例において、上側管部9304の第1の端部9305は、上側管部へ補助コネクタが設けられた頭頂部コネクタへ流体接続し得る。下側管部9363は、使用時におけるクッションモジュール9150との流体接続のためのスナップ嵌めコネクタ9351も自身の下端に含み得る。ヘッドギア管9350は、移行帯9307を上側管部9304と下側管部9363との間に含み得る。移行帯9307は、使用時において患者の頭部の側方を向く面に対して配置されるように構成されたガス送達管9350の領域内に設けられる。移行帯9307は、ストラップが取り付けられるタブ9320の領域内に設けられ得る。これは、おおよそ患者の目と耳との間にあるポイントに対応し得る。しかし、いくつかの例において、上側管部9304と下側管部9363との間の移行帯9307は、患者の耳の下側またはあるいは眼の上方に設けられ得る。移行帯9307は、ヘッドギア管へ付加される力ベクトル上に支持面を有し得るため、ヘッドギア管9350の一般曲率およびタブ9320の配置に依存し得る。いくつかの例において移行帯9307は、使用時においてヘッドギア管9350が配置される際にたどる曲線に対する接線方向が実質的に患者の矢状面と平行となる位置に、配置され得る。
上側管部9304および下側管部9363のうち1つは、他方の部位よりも高剛性であり得る。使用時において、これにより、ヘッドギア管9350の剛直性を快適性および性能特性のためにヘッドギア管9350の長さに沿って最適化することが可能になり得る。
本技術のいくつかの例において、下側管部9363は、上側管部9304よりも高剛性になるように構築される。これにより、使用時において、位置決めおよび安定化構造9300の上部および後部から発生した力をシール形成構造9100へより良く伝達させることが可能になり得、患者のシールの有効性、安定性および快適性に繋がる。しかし、本技術の他の例において、上側管部9304は、下側管部9363よりも高剛性であり得る。下側管部9363を上側管部9304よりも高剛性にするための以下の議論は、上側管部をより高剛性にする他の例にも適宜適用され得る。すなわち、下側管部9363と上側管部9304との間の相対的な構造的配置構成により、以下に述べるように下側管部をより高剛性にすることができ得、このような構成を逆転させると、上側管部9304を下側管部よりも高剛性にすることができる。他の例において、下側管部および上側管部双方が、高剛性にされ得る。
本技術のいくつかの例において、下側管部9363および上側管部9304は、図13~図17のヘッドギア管9350について述べるように、実質的に層状に構築される。各部位は、管9350の内部に空気経路を形成するように、共に接続または接合された複数の層によって形成され得る。少なくとも1つの外側層が設けられ得、一例において、これらの外側層は、図31および図32に示すように、下側管部9363全体をスリーブ9364の様態で包含し得る。他の例において、外側スリーブ9364は、上側管部9304全体またはヘッドギア管全体を包含し得る(すなわち、下側管部9363および上側管部9304双方)。別の例において、別個の外側層により、管9350の患者接触側および管9350の非患者接触側が得られる。
外側スリーブ9364は、織物および/または発泡材料を含み得、第1の外側層9371および第2の外側層9381に代替し得る。外側スリーブの織物材料は、同じ材料によって形成され得、本明細書中に記載の第1の外側層9371および第2の外側層9381と同じ構造的配置構成を有し得る。発泡体外側スリーブ材料を加熱成形すると、形状および/または剛性が得られ得る。外側スリーブは、患者から離隔方向に方向付けられた単一の長手方向シームを有してもよいし、あるいは、実質的にシームレスな様態で構築してもよい。外側スリーブ9364により、(皮膚と接触した場合に炎症の原因になり得る)内側層のシーム9352から患者を保護することにより、快適性向上に繋がり得る。
本技術のいくつかの例において、下側管部9363の非患者接触側は、下側管部9363の患者接触側よりも高剛性の材料の層を含み得る。各側に用いられる材料の選択および量は、所望の性能特性に依存し得る。例えば、下側管部9363の患者接触側は、(一定の剛性を付与するためにより多数の層、より肉厚の層、より高剛性の層を含み得るかまたはより低弾性であり得る(すなわち、より少量の弾性内容物を有し得る))非患者接触側と比較して、より高弾性であり得る(すなわち、より多量の弾性内容物を含み得る)。
これらの例のうち特定の例において、下側管部9363の患者接触側を形成する外側層は、上側管部9304の患者接触側と隣接し得るかまたは連続し得る。これにより、使用時において患者の顔と接触して不快感の原因となり得る圧力点の原因となり得るシームなどの必要性が、軽減され得る。
本技術のいくつかの例において、上側管部9304および下側管部9363のうち1つは、他方の管部の対応する内側層よりも高剛性の内側層または内側部(すなわち、外側層(単数または複数)以外の1つの層または層の組み合わせ)と共に構築され得る。これにより、より高剛性の内側層を有する管部がより高い伸展性を得ることが可能になり得、本技術のヘッドギアをより広い範囲の異なる形状の頭部と共に用いることを可能にする有用な特徴が得られる。他の例において、最外側層は、他方の管部の対応する最外側層よりも高剛性であり得る。
本技術のいくつかの例において、上側管部3304および下側管部3363のうち一方は、他方の管部よりも高剛性にされるが、これは、より大きな壁厚さの材料の使用によって達成される。例えば、図17を参照して、管部は、第1の接着層9372によって分離された第1の外側層9371および熱可塑性内側層9375によって構成され得る。
これらの層9371、9372および9375は、協働して、各管部の全体的壁厚さを提供する。これらの管部のうち1つは、全体的壁厚さを場合によってその他の管部よりも大きくまたは小さくするように、形成され得る。これにより、管部を他方の管部よりも高剛性とすることにより、管部により大きな壁厚さを付与することができ得る。図16を参照して、別の例において、管部のうち1つは、その他の管部内の中間層よりも肉厚である中間層3373および3383を有し得る。
別の例において、上側9304および下側管部9363のうち1つは、管部の全体的壁厚さを増加させる追加層を含み得る。例えば、上側管部9304は、図17の単純な層構造を有し得る一方、下側管部9363は、図16のより複雑な多層構造を有し得る。他の例において、この配置構成は逆転され得る;すなわち、下側管部9363は、上側管部9304よりも少数の層によって構築され得る。
本技術のさらに別の例において、上側管部9304および下側管部9363のうち1つを他方の管部よりも高剛性にするには、より高い剛性を必要とする管部の積層構造へ挿入される剛化層を使用する。例えば、図16を参照して、非患者接触部9349および患者接触部9348それぞれの中間層9373および9383において、上側管部の対応する層に用いられる材料よりも高剛性の材料が、下側管部9363において用いられ得る(またはその逆も成り立つ)。例えば、異なる材料(例えば、別の材料よりも高剛性の材料)を上側管部ではなく下側管部において用いると、下側管部においてより高い剛性が達成され得る。他の例において、発泡体中間層は、異なる厚さ、異なる密度を有してもよいし、かつ/あるいは、より高い剛性を得るために加熱成形または他の処理を受けてもよい。
他の例において、外側層9371および9381は、織物の層であり得;下側管部9363については、これらの層の構築のために用いられる織物は、上側管部9304の対応する層と異なりかつより高い剛性を提供する織物構造を含み得る。別の例において、周囲糸よりも高い剛直性を有する糸を特定の領域(例えば、下側管部、上側管部、前側、後側)内に設けると、リジダイザが形成され得る。
別の例において、周囲糸よりも溶融温度が低い糸を設けると、リジダイザ部(例えば、下側管部、上側管部、管の前側、管の後側)が形成され得る。例えば、ガス送達管への剛性付与のために、このような糸を溶融または溶解させると、糸の高剛化により剛化部が得られ得る。例において、剛化糸は、ポリプロピレンを含み、周囲糸は、ナイロンまたは他の非プラスチック材料(例えば、綿または羊毛)を含む。
本技術のさらなる例において、上側管部9304および下側管部9363のうち1つを他方の管部よりも高剛性にするには、より伸張性が低いかまたは伸縮性がより低い材料を使用する。例えば、上側管部9304および下側管部9363双方は、例えば図16または図17に示すように同一数の層によって構築すると、全体的厚さも類似するが、異なる材料を選択してもよい。例えば、上側管部9304は、より多量の弾性内容物を有する層を含み得、その場合、患者インターフェース9000の装着時において付加される伸縮力に対する応答性が高まる。例えば、下側管部9363の外側層9371および9381の一方または双方の織物を上側管部9304の外側層9371および9381の一方または双方の織物材料よりも低い弾性、低い伸張性または低い伸縮性にすると、下側管部へより高い剛性を付与することができ得る(またはこの逆も成り立つ)。
各下側管部9363および上側管部9304の内側部は、(例えば、ステッチング、接着、加熱成形または超音波溶接により)共通端において相互に接続され得る。その後、ヘッドギア管9350を1つ以上の外側層によってまたは織物材料のスリーブ9364などによって被覆すると、少なくともヘッドギア管の外観を一体構造にみえるようにすることができ得る。本例において、最外側層は、寝具の外観および感触が得られるような織物材料であり得るが、他の例において、最外側層は、発泡材料を含み得る。本例において、最内側層は、医療的に適した空気経路の提供のために、熱可塑性材料またはフィルムから形成される。いくつかの実施例において、発泡材料層またはスペーサ布地層は、弾力性、快適性および/または圧縮応答の向上のために、織物層と熱可塑性層との間に空気経路の患者接触側および患者との接触の無い側の片方または双方に設けてもよい。
本技術のいくつかの例において、図31に示すように、下側管部9363は、内側部を有し得る。この内側部は、2つの長尺長さの材料(第1の長さの材料)9368および第2の長さの材料9366)を有し得る。これらの材料は、加熱成形(または他の適切な手段(例えば、超音波溶接))によって自身の長さに沿って縁部が接合されて、シーム9352を形成する。内側部は、図16および図17に関連して述べたような非患者接触部9349および/または患者接触部9348の(外側層(単数または複数)以外の)層の任意の組み合わせ(または他の任意の実施形態に記載のような最外側層(単数または複数))を指し得る。例えば、内側部は、非患者接触部9349の第1の内側層9375、第2の接着層9374および中間層9373の組み合わせと、患者接触部9348の第2の内側層9385、第2の接着層9384および中間層9383の組み合わせとを指し得る。第2の接着層9384は、外側層(例えば、第1の外側層9371および第2の外側層)によってまたは外側スリーブ9364によってさらに被覆され得る。
次に、下側管部9363の内側部の剛性をシーム9352の設計を通じて達成でき得る。ヘッドギア管9350は、前側9354および後側9355を有し得る。材料9368の第1の長さの側部および下側管部9363の材料9366の第2の長さの側部が、シーム9352において接合され得る。シーム9352のうち1つが、下側管部9363の前/上側側へ設けられ得、シーム9352の他方が、下側管部9363の後側/下側へ設けられ得る(上記したように、下側管部9363において、患者接触側と非患者接触側との間に、管9350のうち部分的に前方を向きかつ部分的に上方を向いている側と、部分的に後方を向きかつ部分的に下方を向いている他方側とがある)。この配置構成により、シーム9352は、患者接触側9348から離隔方向に配置され、患者の不快感に繋がり得る圧力点発生の可能性が回避される。外側層は、図31に示すようにスリーブ9364の形態をとり得るが、他の例において、図16および図17に関連して述べたように2つの別個の長さの材料から形成してもよい。1つのシームにより、その他のシームよりも高い剛直性/剛性を当該管に対して付与することができ得る。
外側層が2つ以上の別個の長さの材料から形成された例において、このような材料の外側長さは、上記したように材料9368の第1の長さおよび内側部の材料9366の第2の長さに対して位置および/または方向付けにおいて実質的に対応し得る。すなわち、例えば、第1の外側層を第1の長さの材料9368上に積層させ、第2の外側層を第2の長さの材料9366上に積層させることにより、第1の外側層および第2の外側層もシーム9352における長さに沿って接合される。
シーム9352そのものは、熱形成してもよいし、あるいは超音波溶接によって形成してもよい。さらなる例において、シーム9352の形成は、接着、縫合、オーバーモールド、溶接または他の適切なプロセスにより行われ得る。シーム9352の厚さも、下側管部9363の全体的剛性に貢献し得る。下側管部9363の内側層を剛性付与手段として用いることが好適であり得る理由として、シーム9352の外観の隠蔽がより容易になる点がある。さらに、シーム9352をスリーブ9364によって被覆すると、不快感の原因となるシーム9352から発生する圧力点の危険性が軽減され得る。
本技術のさらなる例において、例えば図33-1に最良に示すように、シーム9352は、剛化要素9358(例えば、一定長さの金属ワイヤまたは突出部あるいはプラスチック棒または突出部)を含み得るかまたはそのような剛化要素9358を他の方法で下側管部9363と一体化させ得る。これにより、管9350へ剛性を付与しつつ、ヘッドギア管9350の内側層のためにより低密度の材料を用いることが可能になり得る。剛化要素9358は、シーム9352内に埋設してもよいし、あるいはシーム9352上に積層してもよい。例えば、剛化要素は、ヘッドギア管のいずれかの層、全ての層または層の任意の組み合わせ内に埋設され得る。例において、剛化要素9358は、ヘッドギア管の内側層、外側層および/または中間層内に埋設され得る。図33-1の例に示すように、剛化要素9358は、患者接触部9348の外側層および中間層内かつ非患者接触部9349の外側層内に埋設される。これらの例のうちいくつかにおいて、剛化要素9358の表面を蛇腹、波形構造、溝部または類似の構造と共に長さ寸法に対して横断方向に構築すると、脆弱ラインの制御として機能し得る。これにより、例えば1つの軸において可撓性かつ垂直軸において剛性を得ることが可能になり得、これにより、上記した有利な剛直性および可撓性特性が達成される。
ガス送達管の織物層は、剛化部の形成のために、周囲糸よりも剛直性が高い糸をシームにおいて含み得る点にも留意されたい。周囲糸(例えば、シームにおける他の糸または残りの管の糸)よりも溶融温度が低い糸が、リジダイザ部の形成のためにシーム中に設けられ得る点にさらに留意されたい。例えば、このような糸を(例えば、加熱成形、溶接または他の様態の加熱によって)溶融または溶解させて糸を硬化させて剛化部を得ると、剛性がガス送達管へ付与される。例において、剛化糸は、ポリプロピレンを含み、周囲糸は、ナイロンまたは他の非プラスチック材料(例えば、綿または羊毛)を含む。
図32および図33を参照して、本技術のいくつかの例において、(例えば、下側管部9363および/または上側管部9304の)内側部は、3つ以上の(例えば、4つ、5つ、6つ以上の)長尺長さの材料(例えば、第1の長さの材料9368、第2の長さの材料9366、および第3の長さの材料9367)を含み得、ここで、各長さは、例えば接着、ステッチング、加熱成形または超音波溶接の利用を通じて隣接長さへ(例えば、自身の縁部に沿って)接合される。個々の長さの材料の密度および剛性は、相互に異なり得る。例えば、第1の長さの材料9368の密度、剛直性および/または剛性は、第2の長さの材料9366および/または第3の長さの材料9367の密度、剛直性および/または剛性と異なり得る。同様に、第2の長さの材料9366の密度、剛直性および/または剛性は、第1の長さの材料9368および/または第3の長さの材料9367の密度、剛直性および/または剛性と異なり得るといった具合である。
例において、第1の長さの材料9368は、下側管部9363の患者接触部9348の位置に対応し得るため、下側管部9363の患者接触部9348を形成し得、1つの長さのラミネート材料から形成され得る。これにより、第1の長さの材料9368を隣接する第2の長さの材料9366および第3の長さの材料9367へ患者接触部9348の中央において接合させるシーム9352が回避される。これにより、特にスリーブ9364が存在しない例において、患者の顔を支持するシーム9352が回避される。非患者接触側9349は、第1の長さの材料9368よりも低密度の2つの長さの材料(第2の長さの材料9366および第3の長さの材料9367)から形成され得る(例えば、発泡体(またはその逆))。あるいは、2つの長さの材料(第2の長さの材料9366および第3の長さの材料9367)は、第1の長さの材料9368よりも肉厚であり得る(またはその逆)。これらの長さの材料は、例えば加熱成形され得る。ヘッドギア管9350内における空気路の完全性のために、医療承認を得た気体不透過性材料(例えば、プラスチックフィルム)が、最内側層へ設けられ得る。
図33およびヘッドギア管の非患者接触部9349を参照して、第2の長さの材料9366は、使用時において相対的に後方に配置され得、第3の長さの材料9367は、使用時において相対的に前方に配置され得る点に留意されたい。
ヘッドギア管9350全体(例において外側スリーブを含まない外側層を含む)は、3つ以上の長さの材料から構築され得る点に留意されたい。換言すると、図33の実施形態に示す3つの長さの材料9368、9366および9367はそれぞれ、図16および図17の実施形態に関連して述べるように、層状の配置構成(外側層(単数または複数)を含む)を含み得る。このような外側層は、シーム9352を通じて隣接する長さの材料へ接合される。本明細書中、ヘッドギア管の内側部または内側層の材料の長さに関連する記載は、外側層を含むこのような実施形態も網羅し得る。
図33から分かるように、第1の長さの材料9368は、シーム9352を患者の顔から離隔方向に配置するための凹型形状を有し得る(あるいは、第1の長さの材料9368は、実質的に平坦な形状を有してもよい)。この構成の提供のために、第1の長さの材料9368は、第2の材料9366および/または第3の長さの材料9367よりも幅広であり得るかまたはより大きな円周を有し得る。
下側管部9363の内側層(単数または複数)の構築のために3つ以上の長さの材料を用いると、ヘッドギア管9350の前側および後側に対応する内側層において異なる材料を用いることも可能になり得る。いくつかの例において、ヘッドギア管9350の形状に十分な剛性を付与するために、これらの内側層のうち1つはその他の内側層よりもより硬質にされるため、使用時における管9350の閉塞への耐性が得られ、シール形成構造9100への力ベクトルの効率的伝達が可能になる。その他の層をより可撓性にすると、例えば使用時においてヘッドギア管9350を患者の頭部へぴったりと適合させることが可能になり得、これにより、管引き摺りによる影響が軽減され得、患者インターフェース9000が安定化し得る。ヘッドギア管9350の可撓性により、位置決めおよび安定化構造9300をより広範囲の形状およびサイズの患者頭部により適合させ、確実にフィットさせることも可能になり得る。
本技術の他のいくつかの例において、下側管部9363および上側管部9304の内側部は、2つの非対称の長さの材料から形成されるため、接続縁部は、ヘッドギア管9350の前側および後側からヘッドギア管9350の患者接触側および非患者接触側へ移行する。これにより、上側管部9304から下側管部9363への移行の際に、ヘッドギア管9350の特定の領域における剛性がより高くなり得、他の領域においては可撓性がより高くなる。ヘッドギア管9350の特定の領域において剛性および可撓性が得られると、位置決めおよび安定化構造9300がより広範囲の患者により適合することも可能になる。
本技術のいくつかの例において、ヘッドギア管9350の断面外形は、上側管部から下側管部9363へ移行する際、変化し得る。その際、ヘッドギア管9350の長さに沿って剛直性が変化し得る。
断面外形の変化は、加熱成形プロセス時において適切に構成された型の使用を通じて達成され得る。例えば、図28に示すのは、図26中の線28-28に沿った下側管部9363の断面であり、図から分かるように、下側管部9363の断面は、円蓋状外形になっている。この断面は、台形ともみなされ得る。患者接触部9348は、(非患者接触部9349と比較して)比較的平坦である理由として、管のこの部位が患者の顔に隣接した際の快適性がある。この断面のより長い軸により、使用時における上方力および下方力に起因する屈曲に対する耐性がより高くなり、シール形成構造9100のシールを安定的かつ有効に行うために必要な力ベクトルの移行をヘッドギア管9350が行うことが可能になる。この断面のより短い軸により、使用時において横方向力および中間力に応答して適切なレベルの可撓性が得られるため、ヘッドギア管9350が患者の頭部の形状に適合することが可能になる。
図27は、使用時において患者の頭頂部に隣接する上側管部9304の線27-27に沿った断面を示す。上側管部9304の断面外形は、下側管部9363よりもより矩形である。外形の長辺のうち1つは、患者接触部9348に対応し得る。この断面の短辺により、使用時において患者の頭部に適合するための適切な可撓性が上側管部9304へ付与される。ヘッドギア管9350は、実質的に自己支持型でありつつ、例えば患者の頭部上を下方に「ドレープ状に」患者の頭部の上面および側面に適合し得る。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350の断面外形の角部を硬化させると、適切な剛直性レベルがヘッドギア管へ付与され得る。本技術による患者インターフェース9000のヘッドギア管9350の硬化は、以下のうち1つ以上を含む断面によって行われ得る:例えば本明細書中に記載のものなどの他の特徴のうち、より硬質またはより肉厚の角部、より大きな壁厚さ、より長い側部、追加層、より硬質の層またはより肉厚の層、より幅広のシームまたはより肉厚のシーム。
本技術のいくつかの例において、図26のヘッドギア管9350は、2つ以上の別個の管から形成され得る。これら2つ以上の別個の管は、上記したような様態で構築され得る(例えば、図14~図17のヘッドギア管9350について述べたように、材料の複数の層を共に接続または接合することによって形成されて、管内に空気経路を形成する)。少なくとも1つの層により、管の患者接触部が得られ、別の層により、管の非患者接触部が得られる。
1つのこのような例において、上側管部9304および下側管部9363、相互に独立して形成された後、加熱成形、溶接(例えば、超音波溶接)、糊付、ステッチングによりまたは取り外し可能に接続可能なコネクタを用いて相互に接合または接続される。これらの例において、上側管部9304および下側管部9363のうち一方は、他方の管部よりも高剛性となるように形成され得る。
これらの例において、上側管部9304の端は、下側管9363の上端へ接続される。一例において、各部間のこの接続は、図26中の患者の目と耳との間のヘッドギア管9350の移行帯9307において設けられる。しかし、他の例において、接続は、患者の眼の上方または耳の下方のポイントにおいて行われ得る。
上側管部9304および下側管部9363の他端は、他のコンポーネントへ接続され得;例えば、上側管部9304の第1の端部3305は、頭頂部コネクタへ接続され得る。しかし、いくつかの例において、上側管部9304および下側管部9363のうち片方または双方は、別の長さの管へ接続され得る。
別個の上側管部9304および下側管部9363の特定の長さおよび特性を選択することにより、ヘッドギア管3350の特定の部分の剛性の最適化が可能になり得る。例えば、上側管部9304は、患者の頭部のうち眼と耳との間の部位と、頭頂部の中央位置とに実質的に対応し得る。この管部は、患者の頭部の上面と側面との間の湾曲に対してドレープダウンおよび適合するだけの十分な可撓性を有し得る。このようにすると、ヘッドギアをより広範囲の患者と共に(患者の頭部サイズに関係無く)用いるための有用性も得られる。これは、上側管部9304の形成のためにより高伸縮性の材料を下側管部9363に相対して用いることにより、強調され得る。しかし、これと同時に、上側管部9304は、十分な剛性を有し得るため、(例えば、空気回路の引き摺りを通じてエルボー9610へ付加され得るような)小さな前方力または後方力には比較的応答しない。
逆に、上記例において、下側管部9363は、ヘッドギアの上部および後部からの力の伝達と、シーリング目的のために適切な力ベクトルへ変換とを可能にするだけの十分な剛性を有する。同時に、下側管部は、特に前方への方向付けにおいても十分な可撓性を保持し得るため、ヘッドギア管が頭部側部における下方移動から顔前方における移動へ移行してクッションモジュールへ移動する際に、患者の顔の前方に適合することができる。
一例において、上側管部9304において、ストラップと共に用いられるタブ9320が設けられる。しかし、他の例において、上側管部および下側管部の各長さおよび剛性に応じて、下側管部9363にタブ9320を設けてもよい。
これらのタブは、管の非顔接触側および顔接触側それぞれから後方に延び得る。本技術のいくつかの例において、これらのタブは、上側管部および下側管部の非患者接触部9349および患者接触部9348の構築に用いられる材料と同じ層から形成され得る。すなわち、これらのタブは、図34に示すように、各層と隣接する。このようにすると有利であり得る理由として、上側管部9304および下側管部9363の患者接触部の材料が切断または形成されるのと同時にタブを形成することが可能になる点がある。さらに、上側管部および下側管部の各側部に用いられる材料の層と隣接することにより、通常の場合に別個のタブを管へ固定するために必要になるステッチングまたは溶接も不要になり得る。本技術の本態様は、図20~図23および本開示中の他の箇所に示すヘッドギア管にも適用され得る。ことが理解される。
いくつかの例において、タブ9320を形成する材料は、比較的剛性でありかつ取り付け先である管部へ一定の剛性を付与する材料であり得る。これにより、管部の残り長さをより低剛性にすることができ得る。
本技術のいくつかの例において、タブ9320は、左ヘッドギア管および右ヘッドギア管から患者の頭部周囲へと後方に延びてストラップを形成するように、構成され得る。各タブの自由端は、クリップまたはバックルなどによって共に接合され得る。
本技術のいくつかの例において、上記したように、各ヘッドギア管9350の上側管部の上端は、患者の頭部の上方の頭頂部管部と係合し得る。この頭頂部部位は、多様なサイズでユーザへ提供され得、適切に構成された接続ポートまたは接続解除構造を自身の非患者接触側に任意選択的に含み得る(例えば、空気回路4170と係合するスイベルエルボー)。本例において、頭頂部管部は、頭頂部コネクタ9360を含み得る。しかし、他の例において、頭頂部管部は、一対のヘッドギア管9350と一体形成してもよいし、あるいは恒久的に接続してもよい(例えば、各ヘッドギア管9350の上側管部9304を接続する)。
本技術の他の例において、各ヘッドギア管の下側管部9363の後端は、使用時において患者の気道への入口の近隣に配置されるように構成された前管部と係合し得る。この前管部は、多様なサイズでユーザへ提供され得る。いくつかの例において、前管部は、クッションモジュール9150と係合するために、適切に構成された接続を含み得る。いくつかの例において、前管部は、患者の気道の入口へガス流れを治療圧力において提供するように構成されたシール形成構造9100を含み得る。
5.3.3.2.1.11 頭頂部コネクタ
上記したように、本技術のいくつかの例において、位置決めおよび安定化構造9300は、一対のガス送達管をヘッドギア管9350の形態で含み得る。ヘッドギア管9350は、患者の顔の前方においてクッションモジュール9150またはシール形成構造9100へ接続し、患者の頭頂部の頭頂部コネクタ9360へ接続する。
図20~図23は、本技術の一例による患者インターフェース9000を示す。患者インターフェース9000は、頭頂部コネクタ9360を含む。図24は、頭頂部コネクタ9360およびエルボー9610が分離された様態を示す。図示のように、患者インターフェース9000は、一対のヘッドギア管9350と、頭頂部コネクタ9360と、クッションモジュール9150とを含む。
本例において、クッションモジュール9150は、通気モジュール(図示せず)を受容するように構成された通気モジュール開口部9410を含む。通気モジュールは、1つ以上の通気孔を含み得、通気ガス流れを拡散させるように構成されたディフューザを含み得る。
本例において、頭頂部コネクタ9360は、加圧ガス流れを呼吸圧力治療デバイスから受容する。患者インターフェース9000は、接続ポート9600を含む。接続ポート9600は、空気回路4170の供給導管へ接続しかつ空気回路4170の供給導管から加圧ガス流れを受容するように構成される。本例において、接続ポート9600は、患者インターフェースのエルボー9610に設けられる。エルボー9610は、位置決めおよび安定化構造9300の頭頂部コネクタ9360へ流体接続される。頭頂部コネクタ9360は、中空内部を含む。この中空内部を通じて、加圧ガス流れをエルボー9610から各ヘッドギア管の内部へ流動させることができる。エルボー9610は、スナップ嵌め機構を通じて頭頂部コネクタ9360へ接続し得る。例えば、エルボーおよび頭頂部コネクタのうち1つ(または使用される際のスイベルリング9614)は、突出部を含み得、他方は、対応する凹部を含み得る。図35の例において、スイベルリング9614は、突出部9617を含み得、エルボーは、噛み合い凹部9618を含み得る。
例において、エルボー9610は、頭頂部コネクタ9360へ回転可能に接続される。エルボーが頭頂部コネクタに対して回転可能であるため、頭頂部コネクタおよび位置決めおよび安定化構造9300を管引き摺りから接続解除させる接続解除効果が得られる。エルボー9610は、導管コネクタ9612も含む。導管コネクタ9612は、空気回路4170の供給導管へ接続するように構成されるため、エルボー9610の内部を供給導管へ流体接続させて、加圧ガス流れを供給導管からエルボーへ搬送させた後、頭頂部コネクタ9360およびヘッドギア管9350へ搬送させることが可能になり得る。本例において、導管コネクタ9612は、エルボー9610に対して回転可能(例えば、旋回可能)である。供給導管は、導管コネクタ9612に対して摩擦嵌めを形成し得るため、管コネクタに対して回転することはできない。よって、導管コネクタ9612の旋回能力により、管引き摺りを低減させる接続解除が得られる。
一例において、頭頂部コネクタ9360は、各ヘッドギア管9350から分離可能である。図24は、頭頂部コネクタ9360およびスイベルエルボー9610がアセンブリとして分離された様子を示し、図25および図38は、頭頂部コネクタ9360がエルボー9610無しに分離された様子を示す。頭頂部コネクタ9360は、T字型であり得る。本例において、頭頂部コネクタ9360は、位置決めおよび安定化構造9300の流体接続開口部9390を含む。流体接続開口部9390は、頭頂部コネクタ9360中に中央に設けられ得、使用時において患者インターフェース9000の装着様態に応じて実質的に上方向に開口し得、使用時において部分的に前方または部分的に後方を向き得る。図25、図38および図42に最良に示すように、頭頂部コネクタの上壁9510は、上方に突出して、流体接続開口部9390を規定するリム(例えば、円形リム)を形成し得る。図25、図38、図39および図42に示すように、上壁9510に含まれ得る側部は、下方に延び、頭頂部コネクタ9360の下壁9520へ接続して、頭頂部コネクタの中空内部を形成する。
一例において、頭頂部コネクタ9360は、一対の頭頂部コネクタ管部9365を含む。使用時において、頭頂部コネクタ管部9365は、患者の頭部の上面に対して配置されるように構成される。頭頂部コネクタ管部9365は、流体接続開口部9390から離隔方向に延び得る。頭頂部コネクタ管部9365は、共に中空内部を形成し得る。この中空内部を通じて、加圧ガス流れは、流体接続開口部9390がヘッドギア管9350それぞれへと流動し得る。頭頂部コネクタ管部9365はそれぞれ、ヘッドギア管9350と同一または類似の断面形状を含み得るため、平坦な患者接触面および曲線状の非患者接触面が得られる。図25および図39に示すように、本例において、頭頂部コネクタ管部9365は、台形またはD字型の断面を含む。
一例において、頭頂部コネクタ9360は、シリコーンから形成される。他の例において、頭頂部コネクタ9360は、別のゴム、TPE、織物および/または発泡材料から形成される。
流体接続開口部9390は、エルボー9610を受容するように構成される。図35は、例による、頭頂部コネクタ9360の中心を通じた(例えば、使用時において矢状面を通じた)断面図である。図示のように、エルボー9610は、流体接続開口部9390中に受容される。いくつかの例において、図35に示すように、エルボー9610は、スイベルリング9614へ接続する。スイベルリング9614は、流体接続開口部9390内に受容され、自身は、エルボー9610を受容する。スイベルリング9614は、エルボー9610がスイベルリング9614内において回転することを可能にするように構成されるため、エルボー9610および供給導管を頭頂部コネクタ9360から接続解除させる。スイベルリング9614は、剛性材料から形成され得る(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレンまたはナイロン)。図35に示すように、頭頂部コネクタ9360は、シーリングフランジ9362を含む。シーリングフランジ9362は、(流体接続開口部9390とスイベルリング9614との間の漏洩を回避するように)スイベルリング9614に対してシールされるように、構成される。シーリングフランジ9362は、角度と共に(例えば、勾配または傾斜と共に)流体接続開口部9390の周囲から内方に延び得る(例えば、シーリングフランジは、角度と共に流体接続開口部9390を規定するリムから頭頂部コネクタ内部へと内方に延び得る)。有利なことに、シーリングフランジ9362は、頭頂部コネクタ9360と共に成形され得る。これが有利である理由として、頭頂部コネクタの本体およびシーリングフランジ9362を共に同一稼働において形成することが可能になるため、弾性シーリングフランジの剛性スイベルリングへのオーバーモールドを別個の稼働として行う必要が無くなる点がある。しかし、他の例において、スイベルリング9614は、シーリングフランジ(例えば、スイベルリングへ成形された外方に延びるフランジ)を含み得る。
図35の例において、シーリングフランジ9362は、流体接続開口部9390の周辺に設けられるが、別の例において、シーリングフランジ9362は、頭頂部コネクタ9360とより一体的に設けられ得、その場合、スイベルリング9614の(中間部または上部ではなく)下部をシールし得る。スイベルリング9614は、一対のフランジ(例えば、対向する一対のフランジを備えたU字型構造)を含み得る。これらのフランジ内において、流体接続開口部9390の周辺が受容される。
スイベルリング9614のもう1つの利点として、流体接続開口部9390への剛性付与により、頭頂部コネクタ9360をシリコーンまたはTPEなどの可撓性材料から形成することが可能になる点がある。
別の例において、頭頂部コネクタ9360は、リップシール9560(例えば、フランジ)を含み得る。リップシール9560は、図35に示すように、頭頂部コネクタの中空内部内の位置において流体接続開口部9390の内方にラジアル方向に延びる。リップシール9560は、エルボーと頭頂部コネクタとの間の漏洩回避のために、エルボー9610の下端と係合してこの下端とシールを形成するように配置され得る。リップシール9560は、頭頂部コネクタと一体形成(例えば、一体成形)され得る。
図38および図40~図42に示すように、閉塞防止部9530は、頭頂部コネクタ9360の下壁9520の内面上に配置される。閉塞防止部9530は、(エルボーからのガス流れの低減または遮断の原因となる)エルボー9610の下端と下壁9520の内面との係合を回避するような構造にされる。閉塞防止部9530は、下壁9520の内面から、流体接続開口部9390の下側の頭頂部コネクタの中央部内の下壁上の他の任意の面の上方の高さまで上方に突出する。外力によりエルボー9610が下壁9520へ押し出された場合、閉塞防止部9530により、エルボーの下端が下壁9520の内面と係合する事態が回避されるため、エルボーの下端と頭頂部コネクタの下壁9520との間の空間が維持され、よって、ガス流れが頭頂部コネクタを通じてヘッドギア管9350内へ流動し続けることが保証される。
閉塞防止部9530は、頭頂部コネクタ9360の前側から後側へ流体接続開口部9390の下方の中央部において延び得る。閉塞防止部は、図38および図41-1に示すように、頭頂部コネクタの前側から後側へ延びる細長構成(例えば、リブ)を有し得る。下壁9520の内面は、各頭頂部コネクタ管部9365から閉塞防止部9530へ下方に勾配または傾斜が付けられ得(例えば、内面の水平部または隣接部(例えば、頭頂部コネクタポート9361の近隣の部位)に対して角度付けられ得る)。すなわち、頭頂部コネクタ9360の下壁9520の内面は、閉塞防止部の各側部上に配置された一対の傾斜部9532および9534を含み得る。この配置構成により、頭頂部コネクタの中央部において閉塞防止部9530の上部と下壁9520の内面との間の距離が向上する。これにより、エルボーが下壁へ強制移動させられた際に、エルボー9610の下端と下壁9520の内面との間に維持されるであろう空間が有効に増加する。その結果、頭頂部コネクタを通じたより大きな流量が確実に維持される。
図38および図41-1に示すように、閉塞防止部9530は、「I」字型形状を有し得る。あるいは、図41-2に示すように、閉塞防止部は、「I」字型形状の端部を含まない直線状の細長リブ形状を有してもよい。さらに、閉塞防止部9530は、途切れを含む様態で延び得る。例えば、閉塞防止部の中間部を省略すると、一対の突出部を頭頂部コネクタ9360の前側および後側にそれぞれ配置することが可能になり得る。
図38および図40~42の図示の例において、補強部9550は、下壁9520の内面に沿って頭頂部コネクタ9360の対向する前縁部および後縁部において延びて、閉塞防止部9350を安定化させる。補強部9550は、より大きな厚さを有する下壁9520の一部として形成され得る。すなわち、閉塞防止部9530の前端部および後端部は、より大きな厚さを有する下壁9520の一部に配置される。補強部9550により、エルボー9610から閉塞防止部へ外力が付加された際に閉塞防止部を直立に保持することが支援される。
図示の例において、ヘッドギア管9350は、頭頂部コネクタ9360へ取り外し可能に接続する。ヘッドギア管は、雄コネクタを自身の端部に含み得る。図12Aおよび図12Bに示すように、各ヘッドギア管9350は、コネクタ9351を各端部に含む。コネクタ9351は、頭頂部コネクタ9360およびクッションモジュール9150のそれぞれの中の対応する雌コネクタ部位とスナップ嵌め接続を形成し得る。ヘッドギア管9350は、各コネクタ9351に近接するシール部9353を含み得る。シール部9353は、頭頂部コネクタ9360およびクッションモジュール9150に対して良好なシールを形成するための柔順な材料(例えば、シリコーン)から形成され得る。頭頂部コネクタ9360およびクッションモジュール9150は、弾性材料(例えば、シリコーン)またはより硬質の材料(例えば、ポリカーボネート)から形成され得る。頭頂部コネクタ9360へ接続するヘッドギア管の端部は、コネクタ9351および/またはシール部9353が頭頂部コネクタ9360の管部9365の形状と同一または類似の形状(例えば、台形断面またはD字型断面)を有するように構成され得る点に留意されたい。
図36~図37-2を参照して、一例において、患者インターフェース9000は、一対のヘッドギア管9350、クッションモジュール9150および複数の(例えば、2つ、3つまたはそれ以上の)頭頂部コネクタ9360-1、9360-2および9360-3を含み得る。複数の頭頂部コネクタはそれぞれ、異なる長さ(N)を含み得る。患者は、患者インターフェース9000を複数の頭頂部コネクタ9360-1、9360-2および9360-3のうちいずれかと組み立て得、頭頂部コネクタそれぞれは異なる長さ(N)を含むため、患者は、1対のヘッドギア管9360、頭頂部コネクタ9360およびクッションモジュール9150によって形成されたループ(L)の長さを変化させて、自身の頭部サイズおよび/または自身の選好に合わせることができる。例えば、患者は、平均的な頭部サイズに対応し得る中程度の長さの頭頂部コネクタ9360-2から選択することもできるし、あるいは、患者は、より長い(例えば、患者の頭部上方においてより幅広の)頭頂部コネクタ9360-3を用いれば、位置決めおよび安定化構造9300の周縁をより大きくするかまたは頭頂部コネクタ9360-1をより短くして、位置決めおよび安定化構造9300の周縁(例えば、フープ/ループ長さ)を低減することができる。
図24~図25に示す頭頂部コネクタは、小型の頭頂部コネクタ9360-1とみなされ得る。別の例において、よりサイズの大きな頭頂部コネクタ9360-2(およびさらに大型のサイズ頭頂部コネクタ9360-3)(図37-1および図37-2)は、図24~図25に示すものと同一サイズの流体接続開口部9390を含み得るが、より長尺の頭頂部コネクタ管部9365を含んでもよい。このような頭頂部コネクタ9360-2および9360-3は、より大きな頭部にフィットするようなより大きな周縁の位置決めおよび安定化構造9300を得るために、図20~図23および図36に示すヘッドギア管9350と共に用いられる。一定範囲の頭頂部コネクタ9360-1、9360-2および9360-3(例えば、2つ、3つまたはそれ以上のもの)の提供により、母集団の大部分への対応が可能になる。
各ヘッドギア管9350の端部を接続する手段は、例えば図12Aおよび図12Bについて既述したようなスナップ嵌めヘッドギア管コネクタ9351の使用を通じて得られ得る。これにより、洗浄または患者に合わせたヘッドギア9300のカスタマイズのために、各コンポーネントを相互に分離させることが可能になる。このような分離は、既存のガス送達管をより長尺または短尺のものに交換するかあるいはクッションモジュール9150および/または頭頂部コネクタ9360を変更することにより、行われ得る。
図26は、ヘッドギア管9350が分離状態にある様子を示す。本例において、ヘッドギア管は、ヘッドギア管コネクタ9351を上端に含み、別のヘッドギア管コネクタ9351をヘッドギア管の下端に含む。上側ヘッドギア管コネクタ9351は、頭頂部コネクタ9360へ接続するように構成され、下側ヘッドギア管コネクタ9351は、クッションモジュール9150へ接続するように構成される。
上記したように、ヘッドギア管9350は、軟性の材料および/または弾性材料から形成され得る(例えば、織物、発泡体、スペーサ布地、シリコーン)。いくつかの例において、ヘッドギア管コネクタ9351は、より高剛性の材料から(例えば、ポリカーボネート、ナイロン、ポリプロピレンなどから)形成され得る。より高剛性の材料により、ヘッドギア管コネクタ9351と、ヘッドギア管コネクタ9351の取付先であるその他のコンポーネント(例えば、頭頂部コネクタ9360およびクッションモジュール9150)との間の接続信頼性の向上が促進され得る。
本例において、上側ヘッドギア管コネクタ9351は、頭頂部コネクタ9360の頭頂部コネクタポート9361へ接続するように構成される。図24~図25は、例示的頭頂部コネクタ9360の頭頂部コネクタポート9361を示す。図示のように、頭頂部コネクタ9360は、一対の頭頂部コネクタポート9361を含む。1つの頭頂部コネクタポート9361が、頭頂部コネクタ管部9365の各端において流体接続開口部9390の各側部上に配置される。各頭頂部コネクタポート9361は、頭頂部コネクタ9360内の開口部であり、頭頂部コネクタ管部9365の中空内部中へ延び得る。圧力下の空気は、頭頂部コネクタ9360の内部から頭頂部コネクタポート9361を通じてヘッドギア管9350の内部へ流動し得る。
上記したように、頭頂部コネクタ9360は、軟性材料および/または弾性材料(例えば、シリコーン)から形成され得る。いくつかの例において、頭頂部コネクタポート9361は、ヘッドギア管コネクタ9351に対応する(例えば、ヘッドギア管コネクタ9351を補助する)コネクタをヘッドギア管9350の上端に含み得る。頭頂部コネクタポート9361におけるコネクタは、ヘッドギア管9350と頭頂部コネクタ9360との間のロバストな接続(例えば、取り外し可能なスナップ嵌め接続)の促進のために、頭頂部コネクタの材料よりも高剛性の材料(例えば、シリコーンよりも高剛性の材料)(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、半剛性または剛性のプラスチック材料ならびに/あるいはナイロン)から形成され得る。このような頭頂部ピースコネクタ9502は、雌コネクタであり得、図39および図42に示すように、頭頂部コネクタ管部9365内および頭頂部コネクタ管部9365の端部に配置される。すなわち、頭頂部ピースコネクタ9502は、頭頂部コネクタ管部9365の内面に沿って配置され得る。例えば、頭頂部ピースコネクタ9502は、下壁9520の内面、側部および/または頭頂部コネクタの上壁9510に沿って配置され得る。図39および図42の図示の例において、頭頂部ピースコネクタ9502は、リングまたはループ形状(例えば、頭頂部コネクタ管部9365の断面形状に整合するもの)を頭頂部コネクタ管部9365の内面に沿って形成して、ヘッドギア管上の雄コネクタ(例えば、ヘッドギア管コネクタ9351)との接続のための雌コネクタを形成する。頭頂部コネクタ9360内に配置された剛性インサート(例えば、剛性頭頂部ピースコネクタ9502)をヘッドギア管9350への接続促進のために設けると、頭頂部コネクタ9360および頭頂部コネクタポート9361において構造剛性が得られる点においても有利である。頭頂部コネクタの剛性の変更またはヘッドギア管コネクタに対する所望の対応のために、頭頂部ピースコネクタ9502の下部は、図42に示すように頭頂部ピースコネクタの上部よりも幅広であり得る(かまたはその逆も成り立つ)。頭頂部ピースコネクタ9502は、頭頂部コネクタの材料内に埋設され得るか、あるいは、(例えばオーバーモールドまたは他の技術により)他の様態で固定され得る。
いくつかの例において、各ヘッドギア管9350の上端において、シリコーン/シリコーンインターフェースをヘッドギア管と頭頂部コネクタ9360との間に生成するために、シリコーンなどの弾性材料が含まれ得る。シリコーン/シリコーンの隣接により、頭頂部コネクタポート9361およびヘッドギア管9350中への開口部周囲におけるシールの信頼性が促進され得る。他の例において、ヘッドギア管9350の上端は、頭頂部コネクタポート9361の周辺と隣接するように構成された剛性部位を含み得る。頭頂部コネクタ9360が弾性材料(例えば、シリコーンまたはTPE)から形成されている箇所においては、ヘッドギア管9350の端部がヘッドギア管コネクタ9351においてより低弾性の材料を含む場合であっても、信頼性のあるシールの達成が可能になり得る。
他の例において、頭頂部コネクタ9360は、雄コネクタを頭頂部コネクタポート9361において含み得、ヘッドギア管9350の上端は、対応する(例えば、補助の)雌コネクタを含み得る。さらなる例において、頭頂部コネクタ9360は、雄コネクタを2つの頭頂部コネクタポート9361のうち1つにおいて含み得、雌コネクタを2つの頭頂部コネクタポート9361のうち他方において含み得る。さらに、いくつかの例において、頭頂部コネクタ9360およびヘッドギア管9350は、コネクタを含まない場合があり、その場合、相互に(例えば摩擦嵌めを介して)接続されるかまたはヘッドギア管9350と頭頂部コネクタ9360との間の隙間を埋めるために用いられる別個のコネクタを介して接続されるように形成され得る。
さらなる例において、頭頂部コネクタ9360は、頭頂部コネクタ管部9365を(例えば、頭頂部コネクタポート9361において)補強するように構成された頭頂部コネクタポート9361の近隣に剛性リングを含み得る。剛性リングは、頭頂部コネクタ管部9365の内部または頭頂部コネクタ9360の外部に配置され得る。これらの剛性リングは、頭頂部コネクタ管部9365の端部の近隣の(すなわち、頭頂部コネクタポート9361に隣接する)頭頂部コネクタ管部3365へ設けられ得る。剛性リングは、頭頂部コネクタ9360から分離可能であってもよいし、あるいは、例えばオーバーモールドによって恒久的に取り付けられてもよい。これらの剛性リングにより、通常であれば可撓性であるシリコーン頭頂部コネクタ9360の補強およびシリコーン頭頂部コネクタ9360への剛性付与が可能になり得、ヘッドギア管9350との摩擦嵌め接続が促進され得る。
本技術の他の例において、頭頂部コネクタ9360およびヘッドギア管9350は、分離可能ではない場合があり得、その場合、一体形成されるかまたは恒久的に接続され得る。
図20に示すように、エルボー9610は、通気部9400-1も含む。通気部9400-1は、複数のマイクロ通気部を含み得る。例において、マイクロ通気部それぞれの直径は、0.5mm未満、0.3mm未満または0.2mm以下であり得る。通気部9400-1は、通気モジュールを含み得る。この通気モジュールは、別個に成型された後、(例えば、糊付または溶接によって)エルボー9610へ取り付けられえるかまたはエルボーへオーバーモールドされ得る。他の例において、通気部9400-1は、より少数のより大きな穴を含み得るか、または、通気ガス流れの通過のためにさらに小型の開口部を提供するメッシュ構造を含み得る。
5.3.3.2.2 ヘッドギアストラップ
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造9300は、少なくとも1つのヘッドギアストラップを含む。これらのヘッドギアストラップは、管9350に加えて、密閉位置のシール形成構造9100を患者の気道への入口に対して位置決めおよび安定配置するように機能する。図10および図11に示すように、患者インターフェース9000はそれぞれ、位置決めおよび安定化構造9300の一部を形成するストラップ9310を含む。ストラップ9310は、例えば、バックストラップまたは後方ヘッドギアストラップとして公知であり得る。本技術の他の例において、1つ以上のさらなるストラップが設けられ得る。例えば、本技術の一実施例による患者インターフェース9000は、フルフェイスまたは口鼻クッションモジュールを有し、患者の頸部後部上に載置されるように構成された第2の下ストラップを有し得る。
5.3.3.2.2.1 ストラップ
図10および図11に示す例において、位置決めおよび安定化構造9300のストラップ9310は、患者頭部の各側部上に配置されかつ患者頭部の後方を通過する(例えば、使用時に患者頭部の後頭骨の後部を覆うかまたは被覆する)2本の管9350間に接続される。ストラップ9310は、患者の耳の上方の各管へ接続する。他の実施形態において、例えば口鼻患者インターフェースの一部として、位置決めおよび安定化構造9300は、ストラップ9310と類似している上側ストラップおよび少なくとも1つの追加の下側ヘッドギアストラップを含む。これらの下側ヘッドギアストラップは、管間および/またはクッションモジュール間を接続し、患者の耳の下側を通過し、患者頭部の後ろ側を通過する。このような下ヘッドギアストラップは、上ストラップ(例えば、ストラップ9310と類似のもの)へ接続してもよい。
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造9300は、ヘッドギアストラップをヘッドギア管9350へ接続させるための機構を含む。ヘッドギアストラップは、ヘッドギア管9350へ直接的または間接的に接続され得る。図10および図11図3Aに示す患者インターフェース9000の場合、例えばストラップ9310へ接続するように構成されたタブ9320は、各ヘッドギア管9350から離隔方向に概して後方方向に突出する。これらのタブ9320は、ストラップ9310の端部を受容するための穴部を内部に有する。
本技術のいくつかの形態において、ストラップ9310は調節可能である。例えば、図10および図11に示す患者インターフェース9000の場合、ストラップ9310は、使用時に各タブ9320中のスリット9322の形態の穴部を通じてねじ込まれる。タブ9320間のストラップ9310の長さは、より多数またはより少数のストラップ9310をタブ9320の片方または双方を通じて引くことにより、調節され得る。ストラップ9310を例えばフックアンドループ締結手段を用いてタブ9320中のスリット9322を通過させることにより、後ストラップ3310を自身へ固定することができる。そのため、ストラップ9310は、異なる頭部サイズにフィットするように調節することができる。本技術のいくつかの形態において、ストラップ9310のヘッドギア管9350または患者頭部に相対する角度は、異なる位置における患者頭部周囲にフィットするように調節することができる。このような調節可能性により、位置決めおよび安定化構造9300が異なる頭部形状およびサイズに対応することが支援される。
本技術のいくつかの形態において、ストラップ9310は、タブ9320の位置においてヘッドギア管9350を少なくとも部分的に後方(例えば、後方)方向に牽引するための力をヘッドギア管9350へ付与する。ストラップ9310は、ヘッドギア管9350を少なくとも部分的に内方(例えば、後方)方向に牽引するための力もヘッドギア管3350へ付与し得る。この力の大きさは、タブ9320間のストラップ9310の長さを変更することにより、調節され得る。
図10および図11に示す形態などの本技術のいくつかの実施例において、ストラップ9310からヘッドギア管9350へ付加される力の方向を変更してもよい。この方向は、ストラップ9310のヘッドギア管9350または患者頭部に相対する角度を調節することにより変更してもよい。本技術のいくつかの形態において、ストラップ9310からヘッドギア管9350へ力が付与される位置は、ストラップ9310がヘッドギア管9350へ固定される位置を調節することにより、変更され得る。
ストラップ9310からヘッドギア管9350へ付加される力の大きさおよび方向を調節することが可能であると、位置決めおよび安定化構造9300が一定範囲の頭部サイズおよび頭部形状に対応することが可能になるため、有利であり得る。ストラップ9310により、ヘッドギア管9350中の力のバランスが保持され得、これにより、快適性を保持しつつ、ヘッドギアが自身の形状を維持することおよび患者の顔に対する有効シールを得ることが支援され得る。
本技術のいくつかの形態において、患者による装着時において、タブ9320の近隣のヘッドギア管9350上の点は、ヘッドギア管9350の張力に起因して、一部の実施例では、ヘッドギアが患者頭部へ固定された状態を保持する機能を持つ(以下にさらに詳述する)付勢機構に起因して、概して上方の(例えば、上方)力をヘッドギア管9350の上部から受容する。さらに、タブ9320の近隣のヘッドギア管9350上の点は、シール形成構造9100を上方に推進させて患者の鼻内へと移動させる機能を持つ付勢機構から発生した概して前方の(例えば、前方)かつ下方(例えば、下方)の反応力を受容し得る。確実なフィットおよび有効なシールに必要な力の方向および大きさは、例えば頭部形状およびサイズの差に起因して異なり得る頭部上の位置決めおよび安定化構造9300の位置に基づいて、患者間において異なり得る。本技術のいくつかの形態において、後方ヘッドギアストラップ9310が調節可能であるため、有効なソールを維持しつつ位置決めおよび安定化構造9300を快適な位置に保持するように、一定範囲の頭部形状およびサイズに対して力のバランスをとることが可能になる。
例えば、後方(例えば、後方)方向においてヘッドギア管9350のうちタブ9320の近隣の部位上にかかる力を増やすために、タブ9320中のスリット9322を通じてより多数のストラップ9310を牽引することによりストラップ9310を調節することができる。これにより、ストラップ9310の長さを短くすることができ、とくに、ストラップ9310が弾性である場合、ヘッドギア管9350に対して後方(例えば、後方)方向により大きな力が付加される。同様に、一定範囲の頭部形状およびサイズに対してヘッドギア管9350のうちタブ9320の近隣の部位上に作用する力の垂直成分および水平成分双方のバランスをとるために、ストラップ9310の角度を必要に応じて調節することができる。
ストラップ9310は、自身の長さの一部または全体に沿って矩形断面を含み得る。さらに、ストラップ9310は、快適性向上と、ヘッドギアストラップによる患者の跡または炎症の危険性の低減とを提供する、1つ以上の曲線状縁部が含まれているプロファイルを有し得る。本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造9300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップ9310を含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップ9310がより快適になっている点がある。
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造9300は、スプリットによって分離された2つ以上のストラップバンドを含むストラップ9310を含む。例えば、図10および図11に示すように、ストラップ9310は、使用時において患者の頭部後部に対向して配置されるように構成されたスプリット9313を含む。患者インターフェース設計によっては、分割ストラップ9310により、患者インターフェース9000が特に安定した様態で患者頭部上にアンカー固定され得る。患者の頭部後部は、複雑なジオメトリを有し得、ストラップ9310中のスプリット9313の存在により、ストラップを患者の頭部後部へより形状適合させることを支援することが可能になり得る。
5.3.3.2.2.2 アイレット
上記したように、ガス送達管はそれぞれ、ストラップとの接続のためのアイレットまたはスリット9322を含み得る。いくつかの例において、アイレットは、円形状であり得る。他の例において、アイレットは、細長形状であり得る。あるいは、アイレットは、曲線状側および直線状側を有し得る。アイレットは、例えばD字型であり得る。図10および図11に示す例示的患者インターフェース9000中のアイレットは、スリット形態をとる。本例において、1対のガス送達管9350により、1対のスリット9322が提供される。1対のスリット9322へ、ストラップ9310を接続することができる。すなわち、ストラップ9310は、スリット9322間に接続され得る。ストラップ9310は、使用時において患者頭部の後頭骨の下側または上側の患者の頭部の領域に接触するように構築および配置され得る。本例において、アイレットは、管9350の管壁部へ接続されたタブ9320により、形成される。
タブ9320および/またはアイレット9322は、米国特許出願第62/764,995号(PCT出願第PCT/AU2019/050874(出願日:2019年8月20日)に対応)に記載のようなものであり得、本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
5.3.3.2.3 ヘッドギアのアーキテクチャ
特定の形態において、患者インターフェース9000のアーキテクチャは、図10および図11に示すようなものであり、ヘッドギア9300の左側および右側のための1対のガス送達管9350が、クッションモジュール9150と下端において係合し、患者の頭部の上方に配置された頭頂部コネクタ9360と上端において係合する。
他の特定の形態においてにおいて、ヘッドギア9300のアーキテクチャは、図18および図19に示すようなものであり得る。ヘッドギアの左側および右側のための分離可能なガス送達管9350の代わりに、双方の側部を単一の熱形成部品として生成してもよい。このような例における位置決めおよび安定化構造9300は、左ヘッドギア管9350(例えば、左アームまたは左部)と、右ヘッドギア管9350(例えば、右アームまたは右部)とを含み得る。左ヘッドギア管9350と右ヘッドギア管9350との間に、左ヘッドギア管9350および右ヘッドギア管9350を連結させる中心部または接合部が設けられ得る。ヘッドギアの上部上の流体接続開口部9390を形成するアパチャが、本例において、左ヘッドギア管9350と右ヘッドギア管9350との間の接合部において設けられる。ガス送達管9350の下端は、クッションモジュール接続ポート9357における取り外し可能な接続(例えば、スナップ嵌め接続)により、クッションモジュール9150へ接続される。他の例において、この接続は、恒久的なものであり得る(例えば、オーバーモールド、溶接または接着によるもの)。これらの形態において、ガス送達管9350の下端は、各患者接触側にクッションモジュール接続ポート9357を備える。このようにして、ヘッドギア管9350からクッションモジュール9150への接続は、視界から見えないかまたは見つけにくくされる。
あるいは、下端は、図12Aおよび図12Bを参照して上記したスナップ嵌め接続により、クッションモジュールと係合し得る。これは、下端からいずれかの長手方向に延び得る。すなわち、スナップ嵌め接続は、端部から延びてもよいし、あるいは、スナップ嵌め接続を本質的に円筒として、下端に対して垂直方向にしてもよい。この後者の配置構成の場合、ガス送達管とクッションモジュールとの間の接続を見えないかまたは見にくくすることができ、美観的に優れた外観を得ることができる。
図18に示す例において、ヘッドギア管9350は、中心において患者頭頂部のヘッドギア管9350に沿ってエルボー9610へ接続される。エルボー9610は、90度の屈曲ではなく45度の屈曲のみを有し、後上方の方向に延びて、短尺管9616へ接続する。短尺管9616は、自身の遠位端において接続ポート9600を含む。短尺管9616により、ヘッドギア管9350が供給導管から連結解除されて、管抗力を低減させる。
図18の位置決めおよび安定化構造9300のタブ9320は、図20の位置決めおよび安定化構造9300のタブ9320と比較して長さが伸長している。タブ9320は、患者の耳の後ろの点まで伸長している。さらに、ストラップ9310が接続されるスリットは、後位置に配置され、バックストラップを下位置から接続できないような角度で設けられることにより、使用時においてストラップ9310が乗り上げる事態を有利に回避することができ得る。
特定の他の形態において、ヘッドギア9300のアーキテクチャを反転させると、左ヘッドギア管および右ヘッドギア管9350が下端において接合されかつクッションモジュール9150へ恒久接続されるかまたは(例えばスナップ嵌めなどの取り外し可能な接続により)クッションモジュール9150を受容するように構成される。これらの形態において、ガス送達管9350の上端は、頭頂部コネクタ9360へ接続し得る。いくつかの例において、クッションモジュール9150へ接続されるヘッドギア管9350の中央部は、クッションの前部の曲率に対応する形状を有するように形成される。すなわち、中央部は、事前形成され得る。ヘッドギア管9350の事前形成された接続部により、ユーザによるクッションのヘッドギア管9350への装着がより容易になり、有利であり得る。
いくつかの例において、ヘッドギア管9350は、クッションモジュール9150へ装着された際に、一定形状に操作される。
ヘッドギア管9350が下位置において(例えば、クッションモジュール9150において)分離不能に接合されたいくつかの例において、ヘッドギア管9350は、中央前位置(例えば、患者接触側のクッションモジュール9150と反対側のヘッドギア管9350の患者との接触の無い側)において通気孔9400を含み得る。通気孔9400は、例えば図20および図23に示すように、クッションモジュール9150の近隣の通気孔モジュール開口部9410内に受容される通気孔モジュールにより提供され得る。死空間および使用時におけるCO2の蓄積の最小化のために、通気孔9400または通気孔モジュールは、クッションモジュール9150の直接前方に配置され得る。
いくつかの例において、通気孔モジュールは、内部に通気孔穴部が形成されたオーバーモールド剛性部であり得る。他の例において、通気孔モジュールは、取り外し可能な剛性部であり得る。さらなる例において、通気孔モジュールは、排気の流れを分散させつつ通気を提供するように構成された異なるディフューザモジュールであり得る。
5.3.4 通気部
一形態において、患者インターフェース3000、6000、7000、8000、9000、10000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された少なくとも1つの通気部3400、6100、9400、9400-1を含む。
特定の形態において、通気部は、プレナムチャンバ内の圧力が雰囲気に対して正であるときにプレナムチャンバの内部から雰囲気への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。通気孔により、患者の呼吸サイクル全体において排気の流れがプレナムチャンバ内側から雰囲気へ連続することが可能になり得る。
本技術による一形態の通気部は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
通気部3400、9400は、プレナムチャンバ3200、9200内に配置され得る。あるいは、通気部9400-1は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置される。別の実施例において、図4Rの例に示すように、通気孔6100は、管に沿って配置され得る。他の形態において、通気孔は、別個の通気孔が不要になるように、管全体にわたって配置され得る。図10、図11、図20および図24に示す例において、患者インターフェース9000および10000は、通気孔9400および9400-1のうち少なくとも1つを含み得る。一実施例において、患者インターフェース9000は、少なくとも1つの通気孔9400をプレナムチャンバ9200中に含み、少なくとも1つの通気孔9400-1をエルボー9610中に含む。別の実施例において、プレナムチャンバ9200は、2つの通気孔9400を含む。プレナムチャンバ9200上の各通気孔9400は、1列の穴部を含む。エルボー9610上の通気孔9400-1も、1列の穴部を含み得る。患者インターフェース9000の通気孔9400は、一定範囲の治療圧力全体において十分なガスウォッシュアウトが可能となるようなサイズおよび構成にされる。
患者インターフェースは、通気孔ノイズの低減および通気孔穴部からの空気噴射の低減のために通気孔を通過する空気流れを分散させるディフューザを含み得る。ディフューザは、通気孔穴部上のカバーへ設けられ得る。いくつかの例において、通気孔は、プレナムチャンバから取り外されるように構成された通気孔モジュールを含み得る。通気孔モジュールは、ディフューザを含み得る。
5.3.5 結合解除構造(複数または単数)
一形態において、患者インターフェース3000、6000、7000、8000、9000、10000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。この結合解除構造は、空気回路4170の導管が患者インターフェースに相対して移動することおよびシール形成構造と患者の顔との間のシールの不安定化の危険性を低下させることが可能になるように、接続ポート、ハブ、または頭頂部コネクタ、もしくはその近隣に配置され得る。
例えば、図10および図11に示す患者インターフェース9000および10000は、位置決めおよび安定化構造9300に対して回転するように構成されたエルボー9610を含む。本例において、エルボー9610は、位置決めおよび安定化構造9300中の円形状開口部と同心の軸の周囲を回転するように、構成される。本技術のいくつかの例において、エルボー9610は、位置決めおよび安定化構造9300に対して球窩継手の一部を形成し得る。例えば、部分的に球状内面を有するリングが、位置決めおよび安定化構造9300へ設けられ得、エルボー9610を受容するように構成され得る。エルボー9610は、リングの部分的に球状の内面に対して相補的な部分的に球状外面を有し得るため、これにより、エルボー9610が複数の軸においてリングに対して回転することが可能になる。
5.3.6 接続ポート
接続ポート3600、9600は、空気回路4170への接続を可能にする。図4A~図4Dに示す本技術の形態において、例えば、接続ポートは、患者インターフェース3000が装着される際に患者頭部上に配置される。
図10および図11に示す例示的患者インターフェース9000および10000において、エルボー9610は、接続ポート9600の一部を形成する。エルボー9610は、連結解除構造として、位置決めおよび安定化構造9300上の管抗力を低減させるために、空気回路4170の動きを位置決めおよび安定化構造9300から連結解除させる。
他の形態において、接続は、使用時に患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置されるように構成される。接続ポートが患者の顔の前方に配置されない患者インターフェースの場合、患者によっては導管が顔の前方の患者インターフェースに接続すると目障りかつ不快に感じられるため、有利であり得る。例えば、顔前方の患者インターフェースへ接続する導管の場合、特に使用時に導管が患者インターフェースから下方に伸展する場合、寝具と絡まり易い可能性がある。
5.3.7 前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700を含む。他の形態において、患者インターフェースは、前額支持部を含まない。有利なことに、例えば図4A、図4R、図4S、図4X、図10および図11に示す例示的患者インターフェース3000、6000、7000、8000、9000および10000は、(前額支持部または患者の顔の前方において眼の高さにおいて配置される任意のフレームまたはストラップ部材への接続無く)シール形成構造をシーリング位置に保持することが可能な位置決めおよび安定化構造を含む。
5.3.8 窒息防止弁
一形態において、患者インターフェース3000、6000、7000、8000、9000、10000は、窒息防止弁を含む。いくつかの例において、患者インターフェースは、複数の窒息防止弁を含む。例えば、気流が2つの流体接続を介してシール形成構造へ提供される場合、2つの窒息防止弁を患者インターフェースへ設け、1つをシール形成構造への各流体接続に設ければよい。
5.3.9 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000、6000、70000、8000、9000、10000は、プレナムチャンバ内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
5.4 RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれかに記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH2Oまたは少なくとも10cmH2Oまたは少なくとも20cmH2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される(図31Aに示すように)。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
RPTデバイス4000の空気圧式経路は、1つ以上の空気経路アイテムおよびマフラー4120を含み得る(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124および1つ以上の変換器4270(例えば、図31Bに示すような圧力センサ4272および流量センサ4274))。
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
図31Cを参照すると、RPTデバイス4000は、電力供給4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
5.4.1 RPTデバイス機械および空気圧式コンポーネント
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
5.4.1.1 空気フィルタ(単数または複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
5.4.1.2 マフラー(単数または複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上方に配置される。
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000との間に配置される。
5.4.1.3 圧力生成器
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、送風機ハウジング内に、例えばボリュート内に収容された1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。送風機は、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmH2O~約20cmH2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmH2Oまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638、014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、加圧空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
5.4.1.4 モータ速度変換器
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療装置コントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
5.4.1.5 アンチスピルバック弁
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
5.4.1.6 時計
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
5.4.1.7 データ通信システム
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、遠隔外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。遠隔外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
5.4.1.7.1 ディスプレイドライバ
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
5.5 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
5.5.1 酸素送達
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
5.6 加湿器
5.6.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、図32Aおよび32Bに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。図32Aおよび32Aに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
5.6.2 加湿器コンポーネント
5.6.2.1 伝導性部位
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部位5120を含む。一形態において、伝導性部位5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部位5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
5.6.2.2 加湿器リザーバドック
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(図32Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)。
5.6.2.3 水位インジケータ
加湿器リザーバ5110は、図32Aおよび図32Bに示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
5.7 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
5.7.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」もしくは「気流」と呼ぶ場合もある。
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、およびヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
5.7.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
5.7.1.2 機械的特性
弾発性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
弾発性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・ 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・ 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
5.7.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
流れ制限吸気の波形の種類:
(ii) 平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(9400) 椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(9400) 逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(ii) 患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。原則的に、吸気量Vi(吸気された空気の量)は、呼気量Ve(呼気された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流れ制限の状態と関連し得る。
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
5.7.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
呼気の気道陽圧(EPAP):人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加されるベース圧力。
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
スイング:圧力補助に相当する用語。
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
典型的な最近の換気:典型的な最近の換気Vtypは、一定の所定の時間スケールにわたって最近の換気測定が密集する傾向となる一定範囲の値である。例えば、最近の履歴にわたる換気測定の中心的傾向の測定は、典型的な最近の換気の適切な値であり得る。
5.7.4 解剖学的構造
5.7.4.1 顔の解剖学的構造
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
Alare:鼻翼上の最外側の点。
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
耳介:耳の視認できる部分全体。
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
5.7.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および側方部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
5.7.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介(nasal conchae)(単数形「concha」)または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
5.7.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および布地の層状複合材)によって形成される。
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
5.7.6 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。図3B~図3Fを参照されたい。図3B~図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。図3B~図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
5.7.6.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。図3B(図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および図3C(図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。図3Dを参照されたい。
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。図3E(図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および図3F(図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
5.7.6.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。図3B~図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。図3B~図3Fの実施例において、最大曲率は図3Bにおいて発生し、最小は図3Fにおいて発生するため、図3Bおよび図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
鞍状領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
円筒型領域:1つの主要な曲率がゼロ(または、例えば製造公差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
5.7.6.3 空間曲線
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(図3Rを参照)。図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば図3Pを参照)または表すあるいは左手の法則(図3O)によって決定され得る。
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。図3Oおよび図3Pを参照されたい。
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。図3Sを参照して、T2>T1であるため、図3Sの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、図3Sの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
同様に、左手の法則(図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。図3Tを参照されたい。
5.7.6.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される図3Mおよび図3Nにおける図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
5.8 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
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さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。