JP7199045B2 - 乳癌の予後に関する情報の取得方法、乳癌の予後の判定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

乳癌の予後に関する情報の取得方法、乳癌の予後の判定装置及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、乳癌の予後に関する情報の取得方法に関する。また、本発明は、乳癌の予後の判定装置及びコンピュータプログラムに関する。
乳癌のオーダーメイド治療を目指した再発予測用の多遺伝子アッセイとして、Oncotype DX(登録商標)(Genomic Health社)、MammaPrint(登録商標)(Agenda社)、PAM50-ROR(Nanostring Technologies社)、EndoPredict(登録商標)(Myriad社)、Curebest(登録商標) 95GC Breast(大阪大学及びシスメックス株式会社:特許文献1参照)などが知られている。これらの多遺伝子アッセイは、術後5年以内の乳癌の早期再発を予測する性能に優れている。
ホルモン受容体陽性の乳癌の術後補助療法として、タモキシフェンなどのホルモン剤を術後5年間投与することが標準的である。しかし、乳癌は、術後5年以降も再発する場合がある。特にホルモン受容体陽性の乳癌では、陰性の乳癌よりも術後5年以降の晩期再発が多い傾向にある。近年、大規模臨床試験aTTom及びATLASにより、術後10年間ホルモン剤を投与するホルモン療法(ホルモン延長療法;extended endocrine treatment)は、再発と死亡のリスクを低減する効果があることが示された。しかし、ホルモン剤の長期投与には副作用の問題がある。また、全ての乳癌患者にホルモン延長療法を行うとすると、医療費の増加という別の問題も生じる。そのため、臨床現場では、ホルモン延長療法を適用する患者を決定するために、術後5年以降の晩期再発を予測する手段のニーズが急速に高まっている。そこで、上記の多遺伝子アッセイによる晩期再発の予測が試みられてきた。
米国特許出願公開第2011/0263444号明細書
しかし、上記の多遺伝子アッセイは、術後5年以内の早期再発の予測に適した方法である。早期再発乳癌は細胞増殖能が高く、晩期再発乳癌は細胞増殖能が低い。このように、早期再発乳癌と晩期再発乳癌とは生物学的特徴が異なるので、上記の多遺伝子アッセイによる晩期再発の予測精度には限界がある。よって、乳癌の晩期再発を高い精度で予測することを可能にする手段の開発が望まれる。
本発明は、被検者から採取した生体試料から調製したRNA試料における、IL6ST、NPY1R、ELOVL5、OPA1、ASAH1、ALDH6A1及びSYBUの各遺伝子の発現量を測定する工程と、測定された遺伝子の発現量を解析する工程と、解析結果に基づいて、乳癌の予後に関する情報を取得する工程とを含む、乳癌の予後に関する情報の取得方法を提供する。
本発明は、プロセッサ及び該プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータを備え、該メモリには、被検者から採取した生体試料から調製したRNA試料における、IL6ST、NPY1R、ELOVL5、OPA1、ASAH1、ALDH6A1及びSYBUの各遺伝子の発現量の情報を取得するステップと、該遺伝子の発現量の情報に基づいて、乳癌の予後を判定するステップと、判定の結果を出力するステップとを上記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、乳癌の予後の判定装置を提供する。
本発明は、コンピュータに読み取り可能な媒体に記録されているコンピュータプログラムであって、被検者から採取した生体試料から調製したRNA試料における、IL6ST、NPY1R、ELOVL5、OPA1、ASAH1、ALDH6A1及びSYBUの各遺伝子の発現量の情報を取得するステップと、該遺伝子の発現量の情報に基づいて、乳癌の予後を判定するステップと、判定の結果を出力するステップとを上記コンピュータに実行させる、乳癌の予後の判定のためのコンピュータプログラムを提供する。
本発明は、被検者の乳癌の予後、特に術後の晩期再発を高い精度で予測することを可能にする。
エストロゲン受容体(ER)陽性の局所進行乳癌の患者に対する治療方針のデシジョンツリーである。 ER陽性の早期乳癌の患者(pN0:リンパ節転移なし)に対する治療方針のデシジョンツリーである。 ER陽性の早期乳癌の患者(pN1-3:リンパ節転移あり)に対する治療方針のデシジョンツリーである。 ER陽性の早期乳癌の患者(pN1:リンパ節転移あり)に対する治療方針のデシジョンツリーである。 乳癌の予後の判定装置の一例を示した概略図である。 乳癌の予後の判定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 乳癌の予後の判定装置を用いた判定のフローチャートである。 プローブセット数と正確度又は陰性適中率(NPV)との関係を示すグラフである。 トレーニングセットにおける、術後からの期間と無遠隔再発生存率との関係を示すグラフである。 バリデーションセットにおける、術後からの期間と無遠隔再発生存率との関係を示すグラフである。
本実施形態の乳癌の予後に関する情報の取得方法(以下、単に「方法」ともいう)は、所定の遺伝子の発現量を測定して解析することにより、被検者の乳癌の予後に関する情報を取得することを可能にする。乳癌の予後に関する情報として、術後の再発のリスクに関する情報、特に術後の晩期再発のリスクに関する情報を取得できる。より具体的には、本実施形態の方法によれば、被検者における術後の再発のリスク、特に術後の晩期再発のリスクが高いか又は低いかを精度よく予測できる。本明細書において、「晩期再発」とは、術後5年以降の再発をいう。「術後5年以降」とは、手術をした日から5年を経過した後の日をいう(すなわち、術後5年の日を含まない)。本実施形態の方法は、特に術後5年以降10年以内の再発のリスクの予測に適している。
本実施形態の方法によって得られた情報を、診断及び治療方針の決定を行う者(例えば医師など)に提供することで、乳癌の再発リスクの診断を補助することができる。また、本実施形態の方法によって得られた情報に基づいて、10年間という長期間にわたるホルモン療法の要否を決定できるので、副作用の低減及び医療費の抑制が期待される。
本実施形態の方法では、まず、被検者から採取した生体試料から調製したRNA試料における、IL6ST、NPY1R、ELOVL5、OPA1、ASAH1、ALDH6A1及びSYBUの各遺伝子の発現量を測定する。以下、これらの7遺伝子を「第1の遺伝子群」とも呼ぶ。
好ましい実施形態では、上記の7遺伝子に加えて、CALB2、ASAP2、RAB5C、PTP4A2、ABCC10、OXTR、HSPA2、SMURF2、SLC7A8、RALA、ADRA2A、MYCBP、CX3CR1、ERCC1、DNAJA3、NINJ1、C4orf43、IFI35、ZNF688、SNX1、CREBL2、HPN、NME3、STS、KLF7、PDHB、NKX3-1、DEXI、GSTM3及びLCMT1から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量をさらに測定する。以下、これらの30遺伝子を「第2の遺伝子群」とも呼ぶ。本実施形態では、第1及び第2の遺伝子群に含まれる37遺伝子全ての発現量を測定することが特に好ましい。
被検者は、乳癌患者である。ER陽性の乳癌患者は、ER陰性の乳癌患者に比べて、術後5年以降に再発する傾向にあることが知られている。よって、乳癌患者としては、ER陽性の乳癌患者が好ましい。被検者は、乳癌細胞を含む生体試料を採取できる限り、術前補助療法を受けていてもよい。術前補助療法としては、ホルモン剤の投与、抗がん剤の投与及びそれらの組み合わせが挙げられる。ホルモン剤としては、例えば、タモキシフェン、トレミフェン、酢酸リュープロレリン、酢酸ゴセレリン、アナストロゾール、フルベストラントなどが挙げられる。抗がん剤としては、アドリアマイシン、エピルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシルなどが挙げられる。
本実施形態の方法は、術後5年以降の再発リスクを予測できるので、被検者は、例えば術後5年間、乳癌が再発しなかった被検者であってもよい。また、被検者は、当該技術分野において公知の予後予測方法により、乳癌が早期に再発するリスクが低いと判定された被検者であってもよい。そのような予後予測方法としては、乳癌の早期再発を予測可能な方法が好ましい。例えば、Oncotype DX(登録商標)、MammaPrint(登録商標)、PAM50-ROR、EndoPredict(登録商標)、Curebest(登録商標) 95GC Breastなどの多遺伝子アッセイが挙げられる。ここで、「早期再発」とは、術後5年以内の再発をいう。本明細書において、「術後5年以内」及び「術後5年間」とは、手術をした日から5年を経過するまでの日をいう(すなわち、術後5年の日を含む)。
上述のように、ER陽性の乳癌は晩期再発する傾向にあり、ER陰性の乳癌は早期再発する傾向にある。乳癌の再発の原因の一つとして微小転移が挙げられる。本発明者らは、もし乳癌が術後に体内に微小転移として残っていた場合に、再発時期がいつ頃となるかを予測するための検査法を確立する目的でマーカー遺伝子を探索した。具体的には、乳癌が再発した患者を再発時期によって早期再発群と晩期再発群とに分け、2群間の遺伝子の発現量の差異を網羅的に解析した。その結果、本発明者らは、乳癌の晩期再発に関連する遺伝子として、上記の37遺伝子を同定した。よって、好ましい実施形態では、被検者は、ER陽性の乳癌患者であり、該被検者から採取した生体試料から調製したRNA試料における、IL6ST、NPY1R、ELOVL5、OPA1、ASAH1、ALDH6A1、SYBU、CALB2、ASAP2、RAB5C、PTP4A2、ABCC10、OXTR、HSPA2、SMURF2、SLC7A8、RALA、ADRA2A、MYCBP、CX3CR1、ERCC1、DNAJA3、NINJ1、C4orf43、IFI35、ZNF688、SNX1、CREBL2、HPN、NME3、STS、KLF7、PDHB、NKX3-1、DEXI、GSTM3及びLCMT1の各遺伝子の発現量を測定する。
一般に、大腸癌、肺癌、ER陰性の乳癌などは、癌の中でも増殖速度が早いことが知られている。そのような増殖速度の早い癌が、画像検査でも指摘できないような微小転移として手術時に体内に存在した場合、術後5年以内に癌が再発すると考えられる。しかし、手術時にそのような微小転移があるか否かは、誰にも知り得ない。また、手術及び術前又は術後の薬物療法などの効果により治癒に至る場合もあるが、その治療効果はマイクロアレイなどのアッセイでも調べることはできない。したがって、臨床では、5年間無再発であれば癌は治癒したと考えて、患者のフォローアップを終了することが一般的である。しかし、ER陽性の乳癌は、ER陰性の乳癌よりも増殖速度が緩やかであり、ホルモン療法が有効であることから、術後5年以降に再発する症例が見られる。したがって、ER陽性の乳癌では、術後5年間無再発であっても癌が治癒したと考えることは危険である。一方で、術後5年以内に再発するER陽性の乳癌の症例も少なくない。本発明者らは、ER陽性の乳癌の中には、ER陰性の乳癌と同様に、手術時に微小転移があれば術後5年以内に再発するような増殖速度の早い乳癌が30~50%程度存在すると考えた。そのような増殖速度の早い乳癌及び増殖速度の緩やかな乳癌を検査で正確に見出すことができれば、増殖速度の早いER陽性の乳癌が術後5年間再発しなかった場合、乳癌が治癒したと考えることができる。乳癌が治癒しているならば、術後5年以降のホルモン剤の投与は不要である。本実施形態では、ER陽性の乳癌患者から採取した生体試料から調製したRNA試料における、上記の37遺伝子全ての発現量を測定して解析することで、該患者の晩期再発のリスクを精度よく予測できる。もし、晩期再発のリスクが低いと判定された患者においてER陽性の乳癌が術後5年間再発しなかった場合、ホルモン延長療法を安全に省略できる。
生体試料は、被検者の乳癌細胞を含む限り、特に限定されない。例えば、穿刺吸引により採取した細胞、手術又は生検により採取した組織などが挙げられる。また、被検者から採取した細胞又は組織から調製したホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体を生体試料として用いてもよい。好ましい実施形態では、生体試料は、乳癌の治療をまだ受けていない被検者、又はホルモン剤による術前補助療法のみを受けている乳癌患者から採取された細胞もしくは組織、又はそれらのFFPE検体である。
RNA試料は、生体試料から抽出したRNA又は該RNAに由来する核酸を含み、遺伝子の発現量の測定に供される試料である。生体試料からRNAを抽出する方法自体は公知である。生体試料が細胞又は組織である場合、RNAの抽出は、例えば次にようにして行うことができる。まず、生体試料と、チオシアン酸グアニジン及び界面活性剤を含む可溶化液とを混合する。得られた混合液に物理的処理(撹拌、ホモジナイズ、超音波破砕など)を行い、生体試料に含まれるRNAを該混合液中に遊離させる。これにより、生体試料からRNAを抽出できる。抽出したRNAを精製してもよい。例えば、RNAを含む混合液を遠心分離して上清を回収し、この上清をフェノール/クロロホルム抽出することにより、RNAを精製できる。生体試料からのRNAの抽出及び精製は、市販のRNA抽出キットを用いて行ってもよい。
生体試料がFFPE検体である場合、RNAの抽出は、例えば次にようにして行うことができる。まず、FFPE検体にキシレンを添加して、脱パラフィン処理をする。脱パラフィン処理した検体をエタノールに浸して、親水化処理をする。親水化処理した検体をプロテアーゼで処理して、ホルマリンで架橋された核酸を放出させることにより、該検体からRNAを抽出できる。FFPE検体からのRNAの抽出及び精製は、市販のFFPE検体用核酸抽出キットを用いて行ってもよい。
本実施形態では、RNA試料として、生体試料から抽出し精製したRNAを用いてもよい。あるいは、RNA試料として、該RNAに含まれるmRNAを逆転写して得られるcDNAを用いてもよいし、該cDNAをインビトロ転写(IVT)増幅して得られるcRNAを用いてもよい。cDNA及びcRNAを取得する方法自体は公知である。
本明細書において、「遺伝子の発現量」とは、遺伝子から転写されたmRNAの量又はmRNAの量を反映する物質の量を意味する。mRNAの量を反映する物質としては、cDNA、cRNAなどが挙げられる。遺伝子から転写されるmRNAは微量であることが多いので、cDNA又はcRNAの量を測定することが好ましい。遺伝子の発現量は、濃度、コピー数、又は濃度もしくはコピー数を示す測定値のいずれで表されてもよい。
上記の各遺伝子の塩基配列自体は公知である。これらの塩基配列の情報は、例えば米国国立医学図書館の国立生物情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCBI)により提供されるデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)などの公知のデータベースから入手できる。表1-1及び表1-2に、各遺伝子のUniGene ID、GenBankアクセッション番号及びプローブセットIDを示す。表1-1及び表1-2に記載のプローブセットIDは、GeneChip(登録商標) Human Genome U133 Plus 2.0 Array(アフィメトリクス社)に搭載されたプローブセットを特定するための番号である。各プローブセットは、11~20のプローブを含む。各プローブセットIDで特定されるプローブセットに含まれるプローブの塩基配列の情報は、アフィメトリクス社のウェブページ(http://www.affymetrix.com/analysis/index.affx)などから入手できる。「UniGene ID」は、NCBIが公開しているデータベースであるUniGeneのID番号である。「GenBankアクセッション番号」は、アフィメトリクス社製のマイクロアレイGeneChip(登録商標)の各プローブの配列の設計に用いられた公開データベースGenBankのアクセッション番号である。なお、「遺伝子番号」は、各プローブセットIDに対応する遺伝子に付した番号である。
Figure 0007199045000001
Figure 0007199045000002
上記の遺伝子の発現量を測定する方法は特に限定されず、公知の測定方法から適宜選択できる。例えば、マイクロアレイ、定量的RT-PCR、定量的PCRなどが挙げられる。本実施形態では、マイクロアレイを用いて上記の遺伝子の発現量を測定することが好ましい。この場合、表1-1及び表1-2に記載のプローブセットIDで特定されるプローブセットを用いて、各遺伝子の発現量を測定することがより好ましい。例えば、第1の遺伝子群の7遺伝子の発現量を測定する場合、表1-1に記載の9つのプローブセットIDで特定されるプローブセットを用いることが好ましい。上記の7遺伝子に加えて、第2の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量をさらに測定する場合は、表1-1に記載の9つのプローブセットIDで特定されるプローブセットと、表1-2に記載の、測定対象の遺伝子に対応するプローブセットIDで特定されるプローブとを用いることが好ましい。第1及び第2の遺伝子群に含まれる37遺伝子全ての発現量を測定する場合、表1-1及び表1-2に記載の42のプローブセットIDで特定されるプローブセットを用いることが好ましい。
マイクロアレイは、上記の各遺伝子から転写されたmRNA、又は該mRNAに由来するcDNAもしくはcRNA(以下、これらを「標的核酸」ともいう)と特異的にハイブリダイズできるプローブを適切な基板上に固定したチップであれば、特に限定されない。プローブは、上記の各遺伝子の塩基配列に基づいて適宜設計できる。プローブの長さは、10~50ヌクレオチドであればよい。マイクロアレイ自体は公知の方法により作製できる。本実施形態では、表1-1及び表1-2に記載のプローブセットIDで特定されるプローブセットを搭載したマイクロアレイを用いることが好ましい。また、市販のマイクロアレイを用いてもよい。
本明細書において、「特異的にハイブリダイズできる」とは、プローブがストリンジェントな条件下で標的核酸にハイブリダイズできることを意味する。「ストリンジェントな条件」とは、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを行なう際に当業者が一般的に用いる条件である。ハイブリダイゼーションを行う際の条件のストリンジェンシーは、温度、ハイブリダイゼーション緩衝液の塩濃度、プローブの長さ、プローブの塩基配列のGC含量及びハイブリダイゼーション緩衝液中のカオトロピック剤の濃度の関数であることが知られており、当業者は、これらの条件を考慮して適宜設定できる。ストリンジェントな条件は、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版) (Sambrook, J.ら、Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1989))などに記載の条件を用いることができる。
マイクロアレイを用いる場合、上記の標的核酸は、公知の標識物質で標識されていることが好ましい。標的核酸を標識することにより、マイクロアレイ上のプローブからのシグナルの測定が容易になる。本実施形態では、生体試料から抽出したmRNAを標識してもよいが、該mRNAに由来するcDNA又はcRNAを標識することが好ましい。標識物質としては、蛍光物質、ビオチンなどのハプテン、放射性物質などが挙げられる。蛍光物質としては、Cy3、Cy5、FITC、Alexa Fluor(商標)などが挙げられる。
マイクロアレイによる測定では、遺伝子の発現量は、蛍光強度、発光強度、電流量などのプローブからのシグナルとして得られる。シグナルの検出は、マイクロアレイ測定装置に備えられたスキャナーにより行うことができる。スキャナーとしては、例えば、GeneChip(登録商標) Scanner3000 7G(Affymetrix社)、Illumina(登録商標) BeadArray Reader (Illumina社)などが挙げられる。
次に、本実施形態の方法では、測定された遺伝子の発現量を解析する。本実施形態では、解析のために、遺伝子の発現量の測定データ(生データ)を、公知の統計アルゴリズムにより正規化してもよい。そのような統計アルゴリズムとしては、例えば、RMA、MAS5、PLIERなどが挙げられる。RMA、MAS5及びPLIERは、例えばAffymetrix Expression Console(商標)ソフトウェア(Affymetrix社製)で利用可能である。
遺伝子の発現量は、例えば、クラス分け手法、スコア化手法、階層的クラスター分析などの公知の方法によって解析できる。クラス分け手法としては、例えば、対角線形判別分析(Diagonal Linear Discriminant Analysis (DLDA))、Between-group analysis (BGA)(Culhane A.C.ら, Between-group analysis of microarray data, Bioinformatics, 2002, vol.18. p.1600-1608参照)、サポートベクターマシン(SVM)、k最近傍分類(kNN)、デシジョンツリー、ランダムフォレスト、ニューラルネットなどが挙げられる。
階層的クラスター分析は、例えば、次にようにして行うことができる。被検者由来の検体(RNA試料)の発現量のデータと、予後良好であることが既知の検体の群における発現量のデータと、晩期再発することが既知の検体の群における発現量のデータとを用いて、発現量に基づいて検体間の類似度を示す距離を計算する。この距離に基づいて、種々のクラスターを形成する。クラスターを統合して、樹形図を作成することにより分析を行う。ここで、上記の距離としては、例えば、Spearman順位相関係数、ユークリッド距離などが挙げられる。クラスターの統合は、例えば、ward法、最遠隣法、重心間距離法などにより行なうことができる。これらの中でも、Spearman順位相関係数及びward法を用いることが好ましい。
スコア化手法としては、例えば、主成分分析、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、Partial Least Squareなどが挙げられる。スコア化手法を用いて遺伝子の発現量を解析する場合、該発現量に基づいて、予後良好であることが予測される検体のスコアと、予後不良であることが予測される検体のスコアとが分けられるようスコア化がされる。
遺伝子の発現量をクラス分け手法のDLDAにより解析する場合、DLDAを用いて構築された判別式を用いることができる。例えば、表1に記載のプローブセットIDで特定されるプローブセットを用いて各遺伝子の発現量を測定した場合、判別式としては、下記の式(I)で表される判別式が挙げられる。
D=Σi(wi×yi)-(-4.763756453) ・・・(I)
[式中、iは、表2-1及び表2-2に記載の各遺伝子に付与された番号を示し、wiは、表2-1及び表2-2に記載された番号iの遺伝子の重み係数を示し、yiは、式(II):
i=xi-mi ・・・(II)
(式中、xiは、表2-1及び表2-2に記載された番号iの遺伝子の発現量を示し、miは、表2-1及び表2-2に記載された番号iの遺伝子の発現量の検体に渡る平均値を示す)
で表される式にしたがって標準化された遺伝子の発現量を示し、Σiは、各遺伝子に渡る総和を示す]
Figure 0007199045000003
Figure 0007199045000004
式(II)中のmiは、次のようにして取得できる。例えば、1コホートにおける複数の被検者のそれぞれに本実施形態の方法を行う場合、まず、該複数の被検者のそれぞれに由来する検体(RNA試料)について、表2-1及び表2-2に記載のプローブセットを用いて各遺伝子の発現量を測定する。測定した各遺伝子の発現量から、該複数の被検者の検体における平均値を算出する。得られた各遺伝子の発現量の平均値を、miとして使用できる。
あるいは、同一施設内で複数の乳癌患者について、表2-1及び表2-2に記載の各遺伝子の発現量を測定してデータを蓄積しておき、それらの患者の各遺伝子の発現量について平均値を算出してもよい。このようにして得られた各遺伝子の発現量の平均値は、当該施設内で所定の1人の被検者に本実施形態の方法を行う場合に、式(II)中のmiとして使用できる。
式(I)で表される判別式を用いて発現量を解析する場合、式(I)のxi (i=1、2、・・・42)に、順に、当該検体における発現量の値を代入し、解Dを算出する。解Dが正の値であるとき、被検者の晩期再発のリスクが高いと判定できる。解Dがゼロ又は負の値であるとき、被検者の晩期再発のリスクが低いと判定できる。晩期再発のリスクが高いと判定された被検者には、術後10年までホルモン剤を投与することを決定してもよい。晩期再発のリスクが低いと判定された被検者には、術後5年までホルモン剤を投与することを決定してもよい。
上記の42のプローブセットは、晩期再発群と早期再発群との間で発現量に有意差のあった遺伝子に対応する。したがって、当該プローブセットにより測定された遺伝子の発現量に基づいて、晩期再発のリスクが低いと判定された場合、早期再発するリスクが高いと判定されたことと同義である。よって、本実施形態では、晩期再発のリスクが低いという判定結果は、早期再発のリスクが高いという判定結果に言い換えてもよい。すなわち、本実施形態の方法を術後すぐに行うことにより、被検者について、晩期再発のリスクが高いか又は早期再発のリスクが高いかを予測できる。また、晩期再発のリスクが低いと判定された被検者(すなわち早期再発のリスクが高いと判定された被検者)において、乳癌が術後5年間再発しなかった場合、乳癌が治癒したと考えてもよい。
本実施形態では、生体試料の採取と、遺伝子の発現量の測定と、遺伝子の発現量の解析とは、実質的に同じ時期に行ってもよい。別の実施形態では、生体試料の採取と、遺伝子の発現量の測定及び解析とは、所定の期間離れた時期に行ってもよい。例えば、被検者から採取した細胞又は組織をFFPE検体として保存しておき、所定の期間(例えば術後5年)が経過した後、該FFPE検体から調製したRNA試料を用いて上記の遺伝子の発現量の測定及び解析を行ってもよい。あるいは、生体試料の採取及び遺伝子の発現量の測定と、該遺伝子の発現量の解析とは、所定の期間離れた時期に行ってもよい。例えば、被検者から採取した細胞又は組織からRNA試料を調製して上記の遺伝子の発現量の測定し、測定データを保存しておき、所定の期間(例えば術後5年)が経過した後、該測定データを用いて発現量の解析を行ってもよい。
本実施形態の方法は、乳癌の晩期再発のリスクを精度よく予測できるので、本実施形態の方法と、乳癌の早期再発のリスクを予測する公知の方法とを組み合わせることで、術後10年以内の再発リスクの予測が可能となる。例えば、本実施形態の方法と、乳癌の早期再発のリスクを予測する方法とを同時に行ってもよい。あるいは、まず、乳癌の早期再発のリスクを予測する方法を行い、術後5年以内の再発リスクが低いと判定された場合に、本実施形態の方法を行ってもよい。あるいは、乳癌の早期再発のリスクを予測する方法により、術後5年以内の再発リスクが低いと判定され、被検者が実際に術後5年間に乳癌が再発しなかった場合、術後5年後に本実施形態の方法を行ってもよい。本実施形態では、乳癌の早期再発のリスクを予測する方法により、術後5年以内の再発リスクが高いと判定された場合に、本実施形態の方法をさらに行ってもよい。
本実施形態の方法と、乳癌の早期再発のリスクを予測する公知の方法とを組み合わせる場合、本実施形態の方法に用いられる遺伝子の発現量と、早期再発のリスクの予測方法に用いられる遺伝子の発現量とを、例えばマイクロアレイにより1回の測定で取得してもよい。この場合、測定した全ての遺伝子の発現量を同時に解析してもよい。あるいは、早期再発のリスクの予測方法に用いられる遺伝子の発現量を解析した後、本実施形態の方法に用いられる遺伝子の発現量を解析してもよい。
被検者から採取した細胞又は組織の一部をFFPE検体として保存している場合は、まず、細胞又は組織から調製したRNA試料から、早期再発のリスクの予測方法に用いられる遺伝子の発現量を測定及び解析する。その後(例えば5年後)、FFPE検体から調製したRNA試料から、本実施形態の方法に用いられる遺伝子の発現量を測定及び解析してもよい。
乳癌の早期再発のリスクを予測する公知の方法は特に限定されないが、例えば、特許文献1に記載の方法が好ましい(特許文献1は、参照により本明細書に組み込まれる)。本実施形態では、被検者は、表3-1及び表3-2に記載の95のプローブセットIDで特定されるプローブセットを用いて測定された遺伝子の発現量に基づいて、乳癌の早期再発のリスクが低いと判定された被検者であってもよい。
Figure 0007199045000005
Figure 0007199045000006
被検者が、術前補助療法として抗がん剤を投与されている場合、本実施形態の方法と、化学療法への応答性及び予後を予測する公知の方法とを組み合わせてもよい。そのような方法としては、多遺伝子アッセイのMPCP155(Tsunashima R.ら, Construction of multi-gene classifier for prediction of response to and prognosis after neoadjuvant chemotherapy for estrogen receptor positive breast cancers, Cancer Letters, 2015, vol.365, p.166-173参照。当該文献は、参照により本明細書に組み込まれる)が知られている。本実施形態では、被検者は、表4-1~表4-5に記載の155のプローブセットIDで特定されるプローブセットを用いて測定された遺伝子の発現量に基づいて、化学療法への応答性を判定された被検者であってもよい。
Figure 0007199045000007
Figure 0007199045000008
Figure 0007199045000009
Figure 0007199045000010
Figure 0007199045000011
本実施形態の方法と、乳癌の早期再発リスクの予測のための公知の多遺伝子アッセイとを組み合わせて、乳癌患者の治療方針を決定する場合のフローについて、図1~4を参照して説明する。図1~4のいずれにおいても、まず、VAB(吸引式乳房組織生検)により被検者から生体試料を採取する。そして、生体試料の一部を用いて組織診を行い、乳癌の診断を行う。乳癌と診断された場合、残りの生体試料からRNA試料を調製して、GeneChip(登録商標) Human Genome U133 Plus 2.0 Array(アフィメトリクス社)を用いて遺伝子の発現量を測定する。このマイクロアレイには、本実施形態の方法で用いられる42のプローブセットだけでなく、Curebest(登録商標) 95GC Breast(以下、「95GC」ともいう)及びMPCP155(以下、「155GC」ともいう)で用いられるプローブセットも含まれる。よって、乳癌の診断のための生検で得た生体試料について、マイクロアレイによる測定を1回行うだけで、複数の多遺伝子アッセイのための遺伝子発現量のデータを取得できる。また、マイクロアレイによる多遺伝子アッセイに、RT-PCR法による多遺伝子アッセイをさらに組み合わせてもよい。RT-PCR法による多遺伝子アッセイとしては、Oncotype DX(登録商標)が挙げられる。この場合、まず、VABにより得られた生体試料の一部を用いて組織診を行い、乳癌の診断を行う。乳癌と診断された場合、残りの生体試料からRNA試料を調製して、GeneChip(登録商標) Human Genome U133 Plus 2.0 Array(アフィメトリクス社)及びRT-PCR法により遺伝子の発現量を測定する。
図1を参照して、まず、被検者からVABにより生体試料を採取し、組織診による乳癌の診断と、95GCによる早期再発のリスクの判定を行う。95GCにより早期再発のリスクが低いと判定された場合、ステップS1-1へ進む。ステップS1-1では、被検者に術前ホルモン療法(NAE)又は手術(Surgery)を行う。95GCにより早期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS1-2へ進む。ステップS1-2では、被検者にアドリアマイシン又はタキサン系抗がん剤による術前化学療法(NAC(A/T))を行った後、手術を行う。術後の経過が病理学的完全寛解(pCR)である場合、ステップS1-3へ進む。ステップS1-3において、本実施形態の方法(以下、「42GC」ともいう)による晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合、ステップS1-4へ進む。ステップS1-4では、被検者に術後5年間のホルモン療法(5y-HT)を行う。42GCにより晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS1-5へ進む。ステップS1-5では、被検者に術後10年間のホルモン療法(10y-HT)を行う。
ステップS1-2での手術後の経過が病理学的非寛解(Non-pCR)である場合、ステップS1-6へ進む。ステップS1-6において、155GCによる化学療法への応答性の判定を行う。155GCにより応答性が低い(L-CS*:low chemo-sensitivity)と判定された場合、ステップS1-7へ進む。ステップS1-7では、42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS1-8へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS1-9へ進む。ステップS1-8及びS1-9については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。ステップS1-6において、155GCにより応答性が高い(H-CS*:high chemo-sensitivity)と判定された場合、ステップS1-10へ進む。ステップS1-10では、被検者に追加の化学療法(Additional CT)を行うと共に、42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS1-11へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS1-12へ進む。ステップS1-11及びS1-12については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。
図2を参照して、まず、被検者からVABにより生体試料を採取し、組織診により乳癌の診断を行う。乳癌と診断された場合、ステップS2-1へ進む。ステップS2-1では、被検者に手術を行う。術後病理学的分類(pN分類)により、リンパ節転移がない(pN0)と判定された場合、95GCによる早期再発のリスクの判定を行う。95GCにより早期再発のリスクが低いと判定された場合、ステップS2-2へ進む。ステップS2-2では、被検者に42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS2-3へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS2-4へ進む。ステップS2-3及びS2-4については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。ステップS2-1において、95GCにより早期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS2-5へ進む。ステップS2-5では、被検者に化学療法(CT)を行うと共に、42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS2-6へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS2-7へ進む。ステップS2-6及びS2-7については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。
図3を参照して、まず、被検者からVABにより生体試料を採取し、組織診により乳癌の診断を行う。乳癌と診断された場合、ステップS3-1へ進む。ステップS3-1では、被検者に手術を行う。pN分類により、リンパ節転移がある(pN1-3)と判定された場合、ステップS3-2へ進む。ステップS3-2では、被検者に化学療法(CT)を行うと共に、155GCによる化学療法への応答性の判定を行う。155GCにより応答性が低い(L-CS*)と判定された場合、ステップS3-3へ進む。ステップS3-3では、42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS3-4へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS3-5へ進む。ステップS3-4及びS3-5については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。ステップS3-2において、155GCにより応答性が高い(H-CS*)と判定された場合、ステップS3-6へ進む。ステップS3-6では、被検者に追加の化学療法(Additional CT)を行うと共に、42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS3-7へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS3-8へ進む。ステップS3-7及びS3-8については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。
図4を参照して、まず、被検者からVABにより生体試料を採取し、組織診により乳癌の診断を行う。乳癌と診断された場合、ステップS4-1へ進む。ステップS4-1では、被検者に手術を行う。pN分類により、リンパ節転移がある(pN1)と判定された場合、Oncotype DX(登録商標)による早期再発のリスクの判定を行う。Oncotype DX(登録商標)により早期再発のリスクが低いと判定された場合、ステップS4-2へ進む。ステップS4-2では、被検者に42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS4-3へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS4-4へ進む。ステップS4-3及びS4-4については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。ステップS4-1において、Oncotype DX(登録商標)により早期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS4-5へ進む。ステップS4-5では、被検者に化学療法(CT)を行うと共に、155GCによる化学療法への応答性の判定を行う。155GCにより応答性が低い(L-CS*)と判定された場合、ステップS4-6へ進む。ステップS4-6では、42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS4-7へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS4-7進む。ステップS4-7及びS4-8については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。S4-5において、155GCにより応答性が高い(H-CS*)と判定された場合、ステップS4-9へ進む。ステップS4-9では、被検者に追加の化学療法(Additional CT)を行うと共に、42GCによる晩期再発のリスクの判定を行う。42GCにより晩期再発のリスクが低いと判定された場合はステップS4-10へ進み、晩期再発のリスクが高いと判定された場合、ステップS4-11へ進む。ステップS4-10及びS4-11については、それぞれステップS1-4及びS1-5で述べたことと同様である。
[2.判定装置及びコンピュータプログラム]
本発明の範囲には、上記の本実施形態の方法を実施するための装置及びコンピュータプログラムも含まれる。本実施形態の乳癌の予後の判定装置の一例を、図面を参照して説明する。しかし、本実施形態は、この例に示される形態のみに限定されない。図5に示された判定装置10は、測定装置20と、該測定装置20と接続されたコンピュータシステム30とを含む。
この例において、測定装置20は、マイクロアレイ上のプローブとハイブリダイズした標的核酸に基づくシグナルを検出するマイクロアレイスキャナである。該シグナルは、蛍光シグナルなどの光学的情報である。この場合、RNA試料と接触させたマイクロアレイを測定装置20にセットすると、測定装置20は、マイクロアレイ上のプローブにハイブリダイズした標的核酸に基づく光学的情報を取得し、得られた光学的情報をコンピュータシステム30に送信する。
マイクロアレイスキャナは、プローブにハイブリダイズした標的核酸に基づくシグナルの検出が可能であれば、特に限定されない。シグナルの種類は、標的核酸の標識に用いた標識物質によって異なることから、マイクロアレイスキャナは、標識物質の種類に応じて適宜選択できる。例えば、標識物質が蛍光物質である場合、測定装置20として、蛍光シグナルを検出可能なマイクロアレイスキャナを用いることができる。
遺伝子の発現量を、定量的RT-PCRなどの核酸増幅法により解析する場合、測定装置20は、核酸増幅検出装置であってもよい。この場合、RNA試料、核酸増幅用の酵素、プライマーなどを含む反応液を測定装置20にセットし、核酸増幅法によって反応液中の核酸を増幅する。測定装置20は、増幅反応によって反応液から生じる蛍光や反応液の濁度などの光学的情報を取得し、この光学的情報をコンピュータシステム30に送信する。
コンピュータシステム30は、コンピュータ本体300と、入力部301と、検体情報及び判定結果などを表示する表示部302とを含む。コンピュータシステム30は、測定装置20から光学的情報を受信する。そして、コンピュータシステム30のプロセッサは、光学的情報に基づいて、乳癌の予後を判定するプログラムを実行する。なお、コンピュータシステム30は、図5に示されるように、測定装置20とは別個の機器であってもよいし、測定装置20を内包する機器であってもよい。後者の場合、コンピュータシステム30は、それ自体で判定装置10となってもよい。
図6を参照して、コンピュータ本体300は、CPU(Central Processing Unit)310と、ROM(Read Only Memory)311と、RAM(Random Access Memory)312と、ハードディスク313と、入出力インターフェイス314と、読取装置315と、通信インターフェイス316と、画像出力インターフェイス317とを備えている。CPU310、ROM311、RAM312、ハードディスク313、入出力インターフェイス314、読取装置315、通信インターフェイス316及び画像出力インターフェイス317は、バス318によってデータ通信可能に接続されている。また、測定装置20は、通信インターフェイス316により、コンピュータシステム30と通信可能に接続されている。
CPU310は、ROM311又はハードディスク313に記憶されているプログラム及びRAM312にロードされたプログラムを実行することが可能である。CPU310は、測定装置20から取得した光学的情報に基づいて蛍光強度を算出し、ROM311又はハードディスク313に記憶されている式(I)で表される判定式にしたがって解Dを算出する。そして、CPU310は、取得した解Dと、ROM311又はハードディスク313に記憶されている判定基準とに基づいて、乳癌の予後を判定する。CPU310は、判定結果を出力して表示部302に表示させる。
ROM311は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されている。ROM311には、CPU310によって実行されるコンピュータプログラム及び該コンピュータプログラムの実行に用いるデータが記録されている。
RAM312は、SRAM、DRAMなどによって構成されている。RAM312は、ROM311及びハードディスク313に記録されているプログラムの読み出しに用いられる。RAM312はまた、これらのプログラムを実行するときに、CPU310の作業領域として利用される。
ハードディスク313は、CPU310に実行させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム(上記の乳癌の予後の判定用プログラム)などのコンピュータプログラム及び該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
読取装置315は、フレキシブルディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVD-ROMドライブなどによって構成されている。読取装置315は、可搬型記録媒体40に記録されたプログラム又はデータを読み取ることができる。
入出力インターフェイス314は、例えば、USB、IEEE1394、RS-232Cなどのシリアルインターフェイスと、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェイスと、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェイスとから構成されている。入出力インターフェイス314には、キーボード、マウスなどの入力部301が接続されている。操作者は、該入力部301により、コンピュータ本体300に各種の指令を入力することが可能である。
通信インターフェイス316は、例えば、Ethernet(登録商標)インターフェイスなどである。コンピュータ本体300は、通信インターフェイス316により、プリンタなどへの印刷データの送信も可能である。
画像出力インターフェイス317は、LCD、CRTなどで構成される表示部302に接続されている。これにより、表示部302は、CPU310から与えられた画像データに応じた映像信号を出力できる。表示部302は、入力された映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。
図7を参照して、判定装置10により実行される、乳癌の予後の判定の処理手順を説明する。ここでは、マイクロアレイ上のプローブに結合した標的核酸から生じた蛍光シグナルに基づいて、晩期再発のリスクの判定を行なう場合を例として挙げて説明する。しかし、本実施形態は、この例のみに限定されるものではない。
ステップS101において、CPU310は、測定装置20から光学的情報(蛍光シグナル)を取得し、取得した光学的情報から蛍光強度を算出してハードディスク313に記憶する。ステップS102において、CPU310は、算出した蛍光強度を用いて、ハードディスク313に記憶された式(I)で表わされる判定式にしたがって解Dを算出し、ハードディスク313に記憶する。ステップS103において、CPU310は、算出した解Dと、ハードディスク313に記憶された判定基準とを比較する。解Dが正の値であるとき、処理は、ステップS104に進行し、被検者の晩期再発リスクが高いことを示す判定結果をハードディスク313に記憶する。解Dがゼロ又は負の値であるとき、処理は、ステップS105に進行し、被検者の晩期再発リスクが低いことを示す判定結果をハードディスク313に記憶する。ステップS105において、CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示したり、プリンタで印刷したりする。これにより、乳癌の予後の判定を補助する情報を医師などに提供することができる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1: 晩期再発の予測因子の探索
(1) 遺伝子の発現量の取得
マイクロアレイ実験の遺伝子発現情報データベース(NCBI Gene Expression Omnibus (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/))のアクセッション番号GSE6532、GSE12093、GSE17705及びGSE26971の4つのデータセットから、表5に示す乳癌患者(779症例)のデータを抽出した。これらの患者はいずれもER陽性であり、且つ治療としてホルモン剤の投与のみを受けていた。表中、「cT」は臨床的腫瘍径であり、「cN」は臨床的結節状態(リンパ節転移の有無)であり、「PR」はプロゲステロン受容体である。「95GC」は、Curebest(登録商標) 95GC Breast(シスメックス株式会社)により判定した早期再発のリスクを示す。「155GC」は、MPCP155(非特許文献1参照)により判定した化学療法への応答性(chemo-sensitivity)を示す。以下、再発した患者(177症例)のうち、術後5年以内(≦5年)に再発した患者を「早期再発群」と呼び、術後5年以降(>5年)に再発した患者を「晩期再発群」と呼ぶ。
Figure 0007199045000012
(2) 遺伝子発現量データの解析
各データセットのCELファイルのデータと、解析ソフトウェア(Affymetrix Expression Console(商標)ソフトウェア、Affymetrix社製)のMAS5統計アルゴリズムとを用いて、上記の乳癌患者の遺伝子発現量データ(蛍光強度データ)を正規化した。次に、各データセットついて、マイクロアレイの各プローブセットで測定された遺伝子発現量の値から、そのデータセット内での該遺伝子の平均発現量の値を減算して、各遺伝子の発現量の値を標準化した(mean-centering)。統計解析用ソフトウェア「R」で用いられる追加パッケージ集「BioConductor」ver.2.4に含まれるパッケージ「GeneMeta v1.16.0」(http://www.bioconductor.org/packages/2.4/bioc/html/GeneMeta.html)を用い、Choi J.Kらの文献(Combining multiple microarray studies and modeling interstudy variation, Bioinformatics, 2003, vol.19, suppl.1, p.i84-94)にしたがって、マイクロアレイの各プローブセットについてzスコアを算出した。
プローブセットに対応する遺伝子の発現量が早期再発群と晩期再発群との間で異なることをカイ二乗検定で評価し、p値が0.01未満となるプローブセットを選択した。次に、判別式のアルゴリズムとして対角線形判別分析(DLDA)を用い、カイ二乗検定におけるp値の低い順に、選択するプローブセットの個数を1個ずつ増加させながら、当該プローブセット群を選択し、判別式の構築を行なった。得られた判別式と上記の再発患者177症例のデータとを用いて、Leave-One-Out Cross-Validation法により、正確度及び陰性適中率が最大となるプローブセットの数を決定した。正確度とは、「晩期再発すると予測され、且つ晩期再発した症例数」と「晩期再発しないと予測され、且つ晩期再発しなかった症例数」との和を「全症例数」で除算して求められる割合である。陰性適中率とは、「晩期再発しないと予測され、且つ晩期再発しなかった症例数」を「晩期再発しないと予測された症例数」で除算して求められる割合である。結果を図8に示す。
(3) 結果
図8より、プローブセットの数が42のとき、陰性適中率及び正確度が最大となることがわかった。また、プローブセットの数が9以上のとき、陰性適中率が少なくとも70%となることがわかった。上述のように、陰性適中率は、晩期再発しないと予測されたときに実際に晩期再発しない確率である。ここで、選択された42のプローブセットは、晩期再発群と早期再発群との間で発現量に有意差のあった遺伝子に対応する。したがって、当該プローブセットにより測定された遺伝子の発現量に基づいて晩期再発しないと予測された場合、早期再発すると予測されたことと同義である。すなわち、陰性適中率は、早期再発すると予測されたときに実際に早期再発する確率と言い換えることができる。
選択された42のプローブセットのID、zスコア、カイ二乗検定のp値及び判別式での重み係数を、表6-1及び表6-2に示す。各遺伝子が、晩期再発群及び早期再発群のいずれにおいて高発現しているかも、表6-1及び表6-2に示す。表中、「晩期」とは晩期再発群であり、「早期」とは早期再発群である。プローブセットIDは、GeneChip(登録商標) Human Genome U133 Plus 2.0 Array(アフィメトリクス社)のプローブセットに付与されたIDである。
Figure 0007199045000013
Figure 0007199045000014
上記の結果に基づいて、最終的な判別式を構築した。得られた判別式は、下記の式(I)で表される。
D=Σi(wi×yi)-(-4.763756453) ・・・(I)
[式中、iは、表6-1及び表6-2に記載の各遺伝子に付与された番号を示し、wiは、表6-1及び表6-2に記載された番号iの遺伝子の重み係数を示し、yiは、式(II):
i=xi-mi ・・・(II)
(式中、xiは、表6-1及び表6-2に記載された番号iの遺伝子の発現量を示し、miは、表6-1及び表6-2に記載された番号iの遺伝子の発現量の検体に渡る平均値を示す)
で表される式にしたがって標準化された遺伝子の発現量を示し、Σiは、各遺伝子に渡る総和を示す]
上記の判別式の解Dが正の値であるとき、被検者の晩期再発のリスクが高いと予測される。解Dがゼロ又は負の値であるとき、被検者の晩期再発のリスクが低いと予測される。晩期再発のリスクが高いと予測された場合、術後5年間再発を認めなくても、被検者の体内には、増殖速度の緩やかな乳癌の微小転移が存在する可能性があり、該被検者にホルモン延長療法を適用できる。上述のように、晩期再発のリスクが低いとの予測は、早期再発のリスクが高いとの予測と言い換えることができる。もし、晩期再発のリスクが低いと予測された被検者において乳癌が術後5年間再発しなかった場合、乳癌は治癒したと考えることができる。
実施例2: 晩期再発の予測因子の検証
実施例1のトレーニングセットのうち、術後5年間再発しなかったER陽性乳癌患者(564症例)について、式(I)で表される判別式により、乳癌の晩期再発のリスクを予測した。晩期再発するリスクが高いと予測された患者(381症例)と、晩期再発するリスクが低いと予測された患者(183症例)について、Kaplan-Meierプロットにより、術後15年間の無遠隔再発生存率(DRFS rate)を調べた。また、有意差をLog-rank検定により評価した。結果を図9Aに示す。
トレーニングセットの乳癌患者とは異なる、術後5年間再発しなかったER陽性乳癌患者(165症例)の遺伝子発現量データをバリデーションセットとして用いた。該データを用いて、上記と同様にして晩期再発のリスクを予測した。晩期再発するリスクが高いと予測された患者(112症例)と、晩期再発するリスクが低いと予測された患者(53症例)について、Kaplan-Meierプロットにより、術後15年間の無遠隔再発生存率を調べた。また、有意差をLog-rank検定により評価した。結果を図9Bに示す。
図9Aより、術後15年間の無遠隔再発生存率は、晩期再発するリスクが高いと予測された患者(図中、「高リスク群」)では約70%であるのに対して、晩期再発するリスクが低いと予測された患者(図中、「低リスク群」)では約85%であった。また、Log-rank検定によりp=0.0061であった。同様に、図9Bより、術後15年間の無遠隔再発生存率は、高リスク群では約75%であるのに対して、低リスク群では100%であった。また、Log-rank検定によりp=0.020であった。よって、低リスク群は、高リスク群に比べて有意に晩期再発のリスクが低いといえる。これらの結果より、表6-1及び表6-2に記載のプローブセットIDで特定されるプローブを用いて測定した遺伝子発現量を解析することにより、乳癌の晩期再発のリスクを高い精度で予測できることが示された。
10 判定装置
20 測定装置
30 コンピュータシステム
40 記録媒体
300 コンピュータ本体
301 入力部
302 表示部
310 CPU
311 ROM
312 RAM
313 ハードディスク
314 入出力インターフェイス
315 読取装置
316 通信インターフェイス
317 画像出力インターフェイス
318 バス

Claims (12)

  1. 被検者から採取した生体試料から調製したRNA試料における、IL6ST、NPY1R、ELOVL5、OPA1、ASAH1、ALDH6A1及びSYBUの各遺伝子の発現量を測定する工程と、
    測定された前記被検者由来の前記RNA試料における前記遺伝子の発現量と、予後良好であることが既知の乳癌患者由来のRNA試料における前記遺伝子の発現量と、晩期再発することが既知の乳癌患者由来のRNA試料における前記遺伝子の発現量とをクラス分け手法、階層的クラスター分析又はスコア化手法により解析する工程と、
    解析結果に基づいて、乳癌の術後の晩期再発リスクに関する情報を取得する工程と
    を含み、前記被検者が、エストロゲン受容体陽性の乳癌の患者であり、前記情報を取得する工程において、
    前記被検者が、前記予後良好であることが既知の乳癌患者に分類される解析結果が得られたとき、前記被検者の晩期再発リスクは低いという情報を取得し、
    前記被検者が、前記晩期再発することが既知の乳癌患者に分類される解析結果が得られたとき、前記被検者の晩期再発リスクは高いという情報を取得する、
    乳癌の予後に関する情報の取得方法。
  2. 前記測定工程において、CALB2、ASAP2、RAB5C、PTP4A2、ABCC10、OXTR、HSPA2、SMURF2、SLC7A8、RALA、ADRA2A、MYCBP、CX3CR1、ERCC1、DNAJA3、NINJ1、C4orf43、IFI35、ZNF688、SNX1、CREBL2、HPN、NME3、STS、KLF7、PDHB、NKX3-1、DEXI、GSTM3及びLCMT1から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量をさらに測定する請求項1に記載の方法。
  3. 前記晩期再発のリスクに関する情報が、術後5年以降10年以内の再発のリスクに関する情報である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記クラス分け手法が、対角線形判別分析又はBetween-group analysisである請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記解析工程において、前記発現量と、下記の式(I)で表される判別式とを用いて、前記判別式の解Dを求め、
    前記情報取得工程において、前記解Dが正の値であるとき、前記被検者の晩期再発のリスクが高いと判定され、前記解Dがゼロ又は負の値であるとき、前記被検者の晩期再発のリスクが低いと判定される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
    D=Σi(wi×yi)-(-4.763756453) ・・・(I)
    [式中、iは、表3-1及び表3-2に記載の各遺伝子に付与された番号を示し、wiは、表3-1及び表3-2に記載された番号iの遺伝子の重み係数を示し、yiは、式(II):
    yi=xi-mi ・・・(II)
    (式中、xiは、表3-1及び表3-2に記載された番号iの遺伝子の発現量を示し、miは、表3-1及び表3-2に記載された番号iの遺伝子の発現量の検体に渡る平均値を示す)
    で表される式にしたがって標準化された遺伝子の発現量を示し、Σiは、各遺伝子に渡る総和を示す]
    Figure 0007199045000015
    Figure 0007199045000016
  6. 前記生体試料が、細胞、組織、又はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体である請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記被検者が、術後5年間、乳癌が再発しなかった被検者である請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記被検者が、乳癌の早期再発のリスクが低いと判定された被検者である請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  9. プロセッサ及び前記プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータを備え、
    前記メモリには、
    被検者から採取した生体試料から調製したRNA試料における、IL6ST、NPY1R、ELOVL5、OPA1、ASAH1、ALDH6A1及びSYBUの各遺伝子の発現量の情報と、予後良好であることが既知の乳癌患者由来のRNA試料における前記遺伝子の発現量の情報と、晩期再発することが既知の乳癌患者由来のRNA試料における前記遺伝子の発現量の情報とを取得するステップと、
    前記遺伝子の発現量の情報を、クラス分け手法、階層的クラスター分析又はスコア化手法により解析するステップと、
    前記解析結果に基づいて、乳癌の術後の晩期再発リスクを判定するステップと、
    前記判定の結果を出力するステップと
    を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されており、
    前記被検者が、エストロゲン受容体陽性の乳癌の患者であり、
    前記判定するステップにおいて、前記被検者が、前記予後良好であることが既知の乳癌患者に分類される解析結果が得られたとき、前記被検者の晩期再発リスクは低いと判定し、前記被検者が、前記晩期再発することが既知の乳癌患者に分類される解析結果が得られたとき、前記被検者の晩期再発リスクは高いと判定する、
    乳癌の予後の判定装置。
  10. 前記遺伝子の発現量の情報を取得するステップにおいて、CALB2、ASAP2、RAB5C、PTP4A2、ABCC10、OXTR、HSPA2、SMURF2、SLC7A8、RALA、ADRA2A、MYCBP、CX3CR1、ERCC1、DNAJA3、NINJ1、C4orf43、IFI35、ZNF688、SNX1、CREBL2、HPN、NME3、STS、KLF7、PDHB、NKX3-1、DEXI、GSTM3及びLCMT1から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量をさらに取得する請求項に記載の判定装置。
  11. コンピュータに読み取り可能な媒体に記録されているコンピュータプログラムであって、下記のステップ:
    被検者から採取した生体試料から調製したIL6ST、NPY1R、ELOVL5、OPA1、ASAH1、ALDH6A1及びSYBUの各遺伝子の発現量の情報と、予後良好であることが既知の乳癌患者由来のRNA試料における前記遺伝子の発現量の情報と、晩期再発することが既知の乳癌患者由来のRNA試料における前記遺伝子の発現量の情報とを取得するステップと、
    前記遺伝子の発現量の情報を、クラス分け手法、階層的クラスター分析又はスコア化手法により解析するステップと、
    前記解析結果に基づいて、乳癌の術後の晩期再発リスクを判定するステップと、
    前記判定の結果を出力するステップと
    を前記コンピュータに実行させ、
    前記被検者が、エストロゲン受容体陽性の乳癌の患者であり、
    前記判定するステップにおいて、前記被検者が、前記予後良好であることが既知の乳癌患者に分類される解析結果が得られたとき、前記被検者の晩期再発リスクは低いと判定し、前記被検者が、前記晩期再発することが既知の乳癌患者に分類される解析結果が得られたとき、前記被検者の晩期再発リスクは高いと判定する、
    乳癌の予後の判定のためのコンピュータプログラム。
  12. 前記遺伝子の発現量の情報を取得するステップにおいて、CALB2、ASAP2、RAB5C、PTP4A2、ABCC10、OXTR、HSPA2、SMURF2、SLC7A8、RALA、ADRA2A、MYCBP、CX3CR1、ERCC1、DNAJA3、NINJ1、C4orf43、IFI35、ZNF688、SNX1、CREBL2、HPN、NME3、STS、KLF7、PDHB、NKX3-1、DEXI、GSTM3及びLCMT1から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量をさらに取得する請求項11に記載のコンピュータプログラム。
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