[第1実施形態のレーザ加工装置の全体構成]
図1は、第1実施形態のレーザ加工装置10の概略図である。図1に示すように、レーザ加工装置10は、ウェーハ12を複数のチップ14(図2参照)に分割する前の前工程として、ウェーハ12に対してレーザ加工(アブレーション溝加工)を施す。なお、図中のXYZ方向は互いに直交し、このうちX方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は上下方向である。ここでX方向は本発明の加工送り方向に相当する。
図2は、レーザ加工装置10による加工対象のウェーハ12の平面図である。図2に示すように、ウェーハ12は、シリコン等の基板の表面にLow-k膜と回路を形成する機能膜とを積層した積層体である。ウェーハ12は格子状に配列された複数のストリートC(分割予定ライン)によって複数の領域に区画されている。この区画された各領域にはチップ14を構成するデバイス16が設けられている。
レーザ加工装置10は、図中の括弧付き数字(1)~(4)、・・・に示すように、ストリートCごとにストリートCに沿ってウェーハ12に対してレーザ加工(アブレーション溝加工)を行うことで、基板上のLow-k膜等を除去する。
この際にレーザ加工装置10は、ウェーハ12のレーザ加工に要するタクトタイムを低減するために、ウェーハ12に対して後述のレーザ光学系24をX方向に相対移動させる際の相対移動方向をストリートCごとに交互に切り替える。
例えば、図中の括弧付き数字(1),(3)等に示す奇数番目のストリートCに沿ってレーザ加工を行う場合には、ウェーハ12に対して後述のレーザ光学系24をX方向の一方向側である往路方向側X1(図5参照)に相対移動させる。また、図中の括弧付き数字(2),(4)等に示す偶数番目のストリートCに沿ってレーザ加工を行う場合には、ウェーハ12に対してレーザ光学系24をX方向の他方向側である復路方向側X2(図6参照)に相対移動させる。
図3は、奇数番目のストリートCに沿ったレーザ加工を説明するための説明図である。図4は、偶数番目のストリートCに沿ったレーザ加工を説明するための説明図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態ではレーザ加工として縁切り加工及び中抜き加工が同時に(並行して)実行される。縁切り加工は、2本の第1レーザ光L1を用いて行うレーザ加工であって、且つストリートCに沿って互いに平行な2条の縁切り溝18(本発明の2条の第1溝に相当するアブレーション溝)を形成するレーザ加工である。中抜き加工は、2本の第1レーザ光L1よりも太径の1本の第2レーザ光L2を用いて行うレーザ加工であって、且つ縁切り加工で形成された2条の縁切り溝18の間に中抜き溝19(本発明の第2溝に相当するアブレーション溝)を形成するレーザ加工である。なお、アブレーション溝である2条の縁切り溝18及び中抜き溝19については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する(特許文献1参照)。
このように本実施形態のレーザ加工装置10では、ウェーハ12に対して後述のレーザ光学系24を往路方向側X1(図5参照)に相対移動させたり或いは復路方向側X2(図6参照)に相対移動させたりする場合のいずれにおいても、縁切り加工を中抜き加工よりも先行して行う。
図1に戻って、レーザ加工装置10は、テーブル20と、レーザ光源22と、レーザ光学系24と、顕微鏡26と、相対移動機構28と、制御装置30と、を備える。
テーブル20は、ウェーハ12を保持する。また、テーブル20は、制御装置30の制御の下、相対移動機構28により加工対象のストリートCに平行な加工送り方向であるX方向に移動されると共に、Z方向に平行なテーブル20の中心軸(回転軸)を中心として回転される。
レーザ光源22は、後述のレーザ光学系24と共に本発明のレーザ光学系を構成する。このレーザ光源22は、縁切り加工及び中抜き加工の双方に適した条件(波長、パルス幅、及び繰り返し周波数等)のレーザ光Lを常時出射する。レーザ光源22から出射されたレーザ光Lはレーザ光学系24に入射する。
レーザ光学系24(レーザユニットともいう)は、詳しくは後述するが、レーザ光源22からのレーザ光Lを2分岐して、縁切り加工用の2本の第1レーザ光L1と中抜き加工用の1本の第2レーザ光L2とを形成する。そして、レーザ光学系24は、2本の第1レーザ光L1を第1集光レンズ38からストリートCに向けて出射(照射)する。また、レーザ光学系24は、制御装置30の制御の下、第2レーザ光L2を2個の第2集光レンズ40A,40Bから選択的にストリートCに向けて出射(照射)する。
また、レーザ光学系24は、制御装置30の制御の下、相対移動機構28によりY方向及びZ方向に移動される。
顕微鏡26は、レーザ光学系24に固定されており、レーザ光学系24と一体に移動する。顕微鏡26は、ウェーハ12に対する縁切り加工及び中抜き加工の前に、ウェーハ12に形成されているアライメント基準(図示は省略)を撮影する。また、顕微鏡26は、縁切り加工及び中抜き加工によりストリートCに沿って形成された2条の縁切り溝18及び中抜き溝19の撮影を行う。顕微鏡26により撮影された撮影画像(画像データ)は、制御装置30へ出力され、この制御装置30により不図示のモニタに表示される。
相対移動機構28は、不図示のXYZアクチュエータ及びモータ等から構成されており、制御装置30の制御の下、テーブル20のX方向の移動及び回転軸を中心とする回転と、レーザ光学系24のY方向及びZ方向の移動と、を行う。これにより、相対移動機構28は、テーブル20及びこのテーブル20に保持されているウェーハ12に対してレーザ光学系24を相対移動させることができる。なお、テーブル20をX方向に移動させ且つレーザ光学系24をYZ方向に移動させる代わりに、例えばレーザ光学系24をZ方向に移動させ且つテーブル20をXY方向に移動させてもよく、テーブル20(ウェーハ12)に対してレーザ光学系24を各方向(回転を含む)に相対移動可能であればその相対移動方法は特に限定はされない。
相対移動機構28を駆動することで、加工対象のストリートCの一端である加工開始位置に対するレーザ光学系24の位置合わせ(アライメント)と、ストリートCに沿ったX方向[往路方向側X1(図5参照)又は復路方向側X2(図6参照)]のレーザ光学系24の相対移動と、を繰り返し実行することができる。また、相対移動機構28を駆動して、テーブル20を90°回転させることで、ウェーハ12のY方向に沿った各ストリートCを加工送り方向であるX方向に平行にすることができる。
制御装置30は、例えばパーソナルコンピュータのような演算装置により構成され、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置30の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
制御装置30は、レーザ光源22、レーザ光学系24、顕微鏡26、及び相対移動機構28の動作を統括的に制御する。
[レーザ光学系]
図5は、ウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図6は、ウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。以下、ウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動されるレーザ光学系24の加工対象である奇数番目のストリートCを適宜「往路」といい、復路方向側X2に相対移動されるレーザ光学系24の加工対象である偶数番目のストリートCを適宜「復路」という。
図5及び図6に示すように、レーザ光学系24は、安全シャッタ100と、安全シャッタ駆動機構102と、分岐素子31と、第1光形成素子32と、第2光形成素子34と、接続切替素子36と、第1集光レンズ38と、2個の第2集光レンズ40A,40Bと、第1高速シャッタ47A及び第2高速シャッタ47Bと、高速シャッタ駆動機構47Cと、を備える。
安全シャッタ駆動機構102は、制御装置30の制御の下、レーザ光源22と分岐素子31との間の光路に対して安全シャッタ100を挿脱させるアクチュエータである。安全シャッタ駆動機構102は、レーザ加工時以外では、上述の光路に対して安全シャッタ100を挿入させることで、レーザ光学系24からの2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の出射を停止させる。また、安全シャッタ駆動機構102は、レーザ加工時には、上述の光路から安全シャッタ100を退避させることで、レーザ光学系24からの2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の出射を可能にする。
分岐素子31は、例えばハーフミラー等が用いられる。分岐素子31は、レーザ光源22から出射されたレーザ光Lを2分岐させて、2分岐したレーザ光Lの一方を第1光形成素子32へ出射すると共にレーザ光Lの他方を第2光形成素子34へ出射する。なお、本明細書における「2分岐」の分岐比は50:50に限定されるものではなく適宜変更可能である。
第1光形成素子32は、例えば回折光学素子(Diffractive Optical Element:DOE)が用いられる。この第1光形成素子32は、分岐素子31より入射したレーザ光Lから縁切り加工に対応する2本の第1レーザ光L1を形成し、2本の第1レーザ光L1を第1集光レンズ38に向けて出射する。これにより、ストリートC(往路及び復路)上に第1集光レンズ38により2本の第1レーザ光L1が集光され、ストリートC上においてY方向に離間した2個のスポット(集光点又は加工点ともいう)が形成される。なお、図示は省略するが、第1光形成素子32から第1集光レンズ38に至る2本の第1レーザ光L1の光路(光路上に設けられた各種光学素子を含む)は、本発明の接続光学系の一部を構成する。
第2光形成素子34は、例えば回折光学素子及びマスク等が用いられる。第2光形成素子34は、分岐素子31より入射したレーザ光Lから中抜き加工に対応する第2レーザ光L2を形成する。第2レーザ光L2は、ウェーハ12上において2条の縁切り溝18の間に矩形状(円形状等の他の形状でも可)の1個のスポット(図10及び図11参照)を形成する。このスポットのY方向の幅は、2条の縁切り溝18の間隔に合わせて調整されている。そして、第2光形成素子34は、第2レーザ光L2を接続切替素子36へ出射する。
接続切替素子36は、既述の分岐素子31等と共に本発明の接続光学系を構成する。この接続切替素子36としては、例えば、公知の光スイッチ或いは後述の図15から図17に示す各種光学素子(λ/2板52及び偏光ビームスプリッタ54、ハーフミラー58及びシャッタ62A,62B、ミラー66A,66B等)が用いられる。接続切替素子36は、制御装置30の制御の下、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2を第2集光レンズ40A,40Bに選択的に導く。
第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40A,40Bは、X方向(加工送り方向)に沿って一列に配置されている。第1集光レンズ38は、第2集光レンズ40Aと第2集光レンズ40Bとの間に配置されている。第2集光レンズ40Aは、第1集光レンズ38に対して復路方向側X2に配置されている。第2集光レンズ40Bは、第1集光レンズ38に対して往路方向側X1に配置されている。
第1集光レンズ38は、第1光形成素子32から入射した2本の第1レーザ光L1をストリートC(往路及び復路)上に集光させる。第2集光レンズ40Aは、接続切替素子36から入射した第2レーザ光L2をストリートC(往路)上に集光させる。第2集光レンズ40Bは、接続切替素子36から入射した第2レーザ光L2をストリートC(復路)上に集光させる。
接続切替素子36は、相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して往路方向側X1及び復路方向側X2のいずれか一方向側に相対移動させる場合に、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2を、第2集光レンズ40A,40Bのうちで第1集光レンズ38に対して往路方向側X1及び復路方向側X2の他方向側に位置するレンズに導く。
具体的には図5に示すように、接続切替素子36は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動される場合には、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2を第2集光レンズ40Aに導く。これにより、ストリートC(往路)上に第2集光レンズ40Aにより第2レーザ光L2が集光される。その結果、レーザ光学系24の往路方向側X1への相対移動によりストリートC(往路)に沿って縁切り加工が先行して実行されることで2条の縁切り溝18が形成され、続いて中抜き加工が実行されることで2条の縁切り溝18の間に中抜き溝19が形成される。
また図6に示すように、接続切替素子36は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動される場合には、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2を第2集光レンズ40Bに導く。これにより、ストリートC(復路)上に第2集光レンズ40Bにより第2レーザ光L2が集光される。その結果、レーザ光学系24の復路方向側X2への相対移動によりストリートC(復路)に沿って縁切り加工が先行して実行されることで2条の縁切り溝18が形成され、続いて中抜き加工が実行されることで2条の縁切り溝18の間に中抜き溝19が形成される。
第1高速シャッタ47Aは、分岐素子31と第1光形成素子32との間のレーザ光Lの光路(第1光形成素子32と第1集光レンズ38との間の光路でも可)に対して挿脱自在に設けられている。第1高速シャッタ47Aは、分岐素子31と第1光形成素子32との間の光路に挿入された場合に、分岐素子31から第1光形成素子32に入射するレーザ光Lを遮断することで、第1集光レンズ38からの2本の第1レーザ光L1の出射を停止させる。
第2高速シャッタ47Bは、分岐素子31と第2光形成素子34との間のレーザ光Lの光路(第2光形成素子34と接続切替素子36との間の光路でも可)に対して挿脱自在に設けられている。第2高速シャッタ47Bは、分岐素子31と第2光形成素子34との間の光路に挿入された場合に、分岐素子31から第2光形成素子34に入射するレーザ光Lを遮断することで、第2集光レンズ40A,40Bからの第2レーザ光L2の出射を停止させる。
高速シャッタ駆動機構47Cは、制御装置30の制御の下、第1高速シャッタ47A及び第2高速シャッタ47Bを既述の各光路に対して挿脱させるアクチュエータである。高速シャッタ駆動機構47Cは、縁切り加工時の間は第1高速シャッタ47Aをレーザ光Lの光路から退避させ且つ縁切り加工時以外では第1高速シャッタ47Aをレーザ光Lの光路に挿入する。また、高速シャッタ駆動機構47Cは、中抜き加工時の間は第2高速シャッタ47Bをレーザ光Lの光路から退避させ且つ中抜き加工時以外では第2高速シャッタ47Bをレーザ光Lの光路に挿入する。
図7は、上記構成の第1実施形態のレーザ加工装置10によるウェーハ12のストリートCごとのレーザ加工処理の流れ(レーザ加工装置10の制御方法)を示したフローチャートである。なお、初期状態では、第1高速シャッタ47A、第2高速シャッタ47B、及び安全シャッタ100がそれぞれレーザ光Lの光路上に挿入されているものとする。また、レーザ加工装置10の起動に合せてレーザ光源22からのレーザ光Lの出射が開始されるものとする。
図7に示すように、レーザ加工対象のウェーハ12がテーブル20に保持されると、制御装置30が、最初に安全シャッタ駆動機構102を駆動して安全シャッタ100をレーザ光Lの光路上から退避させる(ステップS0)。これにより、レーザ光学系24が2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を出射可能な状態となる。なお、この時点では、第1高速シャッタ47A及び第2高速シャッタ47Bがそれぞれレーザ光Lの光路上に挿入されているため、レーザ光学系24から2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は出射されない。
次いで、制御装置30が相対移動機構28を駆動して、ウェーハ12に対して顕微鏡26をウェーハ12のアライメント基準(図示は省略)を撮影可能な位置まで相対移動させた後、顕微鏡26によるアライメント基準の撮影を実行させる。そして、制御装置30は、顕微鏡26により撮影されたアライメント基準の撮影画像に基づき、ウェーハ12内の各ストリートCの位置を検出するアライメント検出を行う。次いで、制御装置30は、相対移動機構28を駆動して、レーザ光学系24の第1集光レンズ38の光軸と、第1番目のストリートC(往路)の加工開始位置との位置合わせを行う(ステップS1)。
また、制御装置30は、接続切替素子36を駆動して、第2レーザ光L2を出射するレンズを第2集光レンズ40Aに切り替える(ステップS2)。なお、ステップS0からステップS3についてはその順番を適宜変更してもよく、或いはこれらの処理を並行して実行してもよい。
ステップS2が完了すると、制御装置30は、高速シャッタ駆動機構47Cを駆動して第1高速シャッタ47Aをレーザ光Lの光路上から退避させる(ステップS3)。これにより、分岐素子31及び第1光形成素子32を経て第1集光レンズ38から2本の第1レーザ光L1が出射され、2本の第1レーザ光L1がストリートC(往路)上の加工開始位置に集光される。
次いで、制御装置30は、相対移動機構28を駆動して、ウェーハ12に対してレーザ光学系24を往路方向側X1に相対移動させる(ステップS4)。そして、第2集光レンズ40Aの光軸がストリートC(往路)の加工開始位置に到達すると、制御装置30は、高速シャッタ駆動機構47Cを駆動して第2高速シャッタ47Bをレーザ光Lの光路上から退避させる(ステップS5)。これにより、分岐素子31、第2光形成素子34、及び接続切替素子36を経て第2集光レンズ40Aから第2レーザ光L2が出射され、第2レーザ光L2が上述の加工開始位置に集光される。また、中抜き加工の開始のタイミングをずらすことで、ウェーハ12の外側がレーザ加工(中抜き加工)されることが防止される。
レーザ光学系24の往路方向側X1への相対移動が継続すると、図3及び図5に示したように、2本の第1レーザ光L1のスポットと第2レーザ光L2のスポットとがストリートC(往路)に沿って往路方向側X1に移動する。その結果、ストリートC(往路)に沿って、縁切り加工による2条の縁切り溝18の形成と中抜き加工による中抜き溝19の形成とが間隔を空けて同時に実行される。
そして、制御装置30は、第1集光レンズ38から出射される2本の第1レーザ光L1のスポットがストリートC(往路)の加工終了位置に到達するタイミングに合わせて、高速シャッタ駆動機構47Cを駆動して第1高速シャッタ47Aをレーザ光Lの光路上に挿入させる(ステップS6,S7)。また、制御装置30は、第2集光レンズ40Aから出射される第2レーザ光L2のスポットが上述の加工終了位置に到達するタイミングに合わせて、高速シャッタ駆動機構47Cを駆動して第2高速シャッタ47Bをレーザ光Lの光路上に挿入させると共に相対移動機構28の駆動を停止させる(ステップS8)。これにより、第1番目のストリートC(往路)のレーザ加工が完了する。なお、ウェーハ12の外側がレーザ加工(縁切り加工)されてもよい場合には、第1高速シャッタ47Aをレーザ光Lの光路上に挿入するタイミングを、第2高速シャッタ47Bをレーザ光Lの光路上に挿入するタイミングに合わせてもよい。
制御装置30は、第1番目のストリートC(往路)のレーザ加工が完了すると、相対移動機構28を駆動して、第1集光レンズ38の光軸と、第2番目のストリートC(復路)の加工開始位置との位置合わせを行う(ステップS9でYES、ステップS10)。
また、制御装置30は、接続切替素子36を駆動して第2レーザ光L2を出射するレンズを第2集光レンズ40Bに切り替える(ステップS11)。なお、ステップS10及びステップS11についても逆の順番で実行或いは同時に実行してもよい。
ステップS11が完了すると、制御装置30は、高速シャッタ駆動機構47Cを駆動して第1高速シャッタ47Aをレーザ光Lの光路上から退避させる(ステップS12)。これにより、分岐素子31及び第1光形成素子32を経て第1集光レンズ38から2本の第1レーザ光L1が出射され、2本の第1レーザ光L1がストリートC(復路)上の加工開始位置に集光される。
次いで、制御装置30は、相対移動機構28を駆動して、ウェーハ12に対してレーザ光学系24を復路方向側X2に相対移動させる(ステップS13)。そして、第2集光レンズ40Bの光軸が通常ストリートC(復路)の加工開始位置に到達すると、制御装置30は、高速シャッタ駆動機構47Cを駆動して第2高速シャッタ47Bをレーザ光Lの光路上から退避させる(ステップS14)。これにより、分岐素子31、第2光形成素子34、及び接続切替素子36を経て第2集光レンズ40Bから第2レーザ光L2が出射され、第2レーザ光L2が上述の加工開始位置から往路方向側X1にシフトした位置に集光される。また、中抜き加工の開始のタイミングをずらすことで、ウェーハ12の外側がレーザ加工(中抜き加工)されることが防止される。
レーザ光学系24の復路方向側X2への相対移動が継続すると、図4及び図6に示したように、2本の第1レーザ光L1のスポットと第2レーザ光L2のスポットとがストリートC(復路)に沿って復路方向側X2に移動する。その結果、ストリートC(復路)に沿って、縁切り加工による2条の縁切り溝18の形成と中抜き加工による中抜き溝19の形成とが間隔を空けて同時に実行される。
そして、制御装置30は、第1集光レンズ38から出射される2本の第1レーザ光L1のスポットがストリートC(復路)の加工終了位置に到達するタイミングに合わせて、高速シャッタ駆動機構47Cを駆動して第1高速シャッタ47Aをレーザ光Lの光路上に挿入させる(ステップS15,S16)。また、制御装置30は、第2集光レンズ40Bから出射される第2レーザ光L2のスポットが加工終了位置に到達するタイミングに合わせて、高速シャッタ駆動機構47Cを駆動して第2高速シャッタ47Bをレーザ光Lの光路上に挿入させると共に相対移動機構28の駆動を停止させる(ステップS17)。これにより、第2番目のストリートC(復路)のレーザ加工が完了する。なお、既述の通り、第1高速シャッタ47Aをレーザ光Lの光路上に挿入するタイミングを、第2高速シャッタ47Bをレーザ光Lの光路上に挿入するタイミングに合わせてもよい。
以下同様に、X方向に平行な全てのストリートCに沿ってレーザ加工(縁切り加工及び中抜き加工)が繰り返し実行される(ステップS9でYES、ステップS18でYES)。次いで、制御装置30は、相対移動機構28を駆動してテーブル20を90°回転させることにより、ウェーハ12上でY方向に平行な残りの各ストリートCをX方向に平行にする。そして、制御装置30は、上述の一連の処理を繰り返し実行する。これにより、格子状の各ストリートCに沿ってレーザ加工が実行される。
格子状の全てのストリートCでのレーザ加工が完了すると(ステップS9でNO、ステップS18でNO)、ウェーハ12は後工程に送られてそこで複数のチップ14(デバイス16)に分割される。なお、本実施形態ではストリートC(往路及び復路)ごとに一方向(往路:X1方向、復路:X2方向)の1回のレーザ加工動作で2条の縁切り溝18及び中抜き溝19の形成を完了する最速条件のフローを例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2条の縁切り溝18及び中抜き溝19の各々の加工深さとの兼ね合いで、ストリートC(往路及び復路)ごとに縁切り加工及び中抜き加工の少なくともいずれか一方を複数回実行してもよい。
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態のレーザ加工装置10では、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向に応じて第2集光レンズ40A,40Bを選択的に用いて中抜き加工を行うことができる。これにより、往路及び復路に関係なく、同一のストリートCに沿って縁切り加工と中抜き加工とを同時に行うことができる。このため、レーザ光学系24をX方向に1往復させることで2本分のストリートC(往路および復路)のレーザ加工が完了するので、ウェーハ12のレーザ加工に要するタクトタイムが低減される。また、レーザ光学系24の相対移動方向に応じて、接続切替素子36を作動させるだけで第2集光レンズ40Aによる中抜き加工と第2集光レンズ40Bによる中抜き加工とを切り替えられるので、レーザ光学系24(光学系)の複雑化が防止される。その結果、簡単な構成でウェーハ12のレーザ加工に要するタクトタイムを低減することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のレーザ加工装置10の説明を行う。第2実施形態のレーザ加工装置10は、2条の縁切り溝18のY方向の間隔と、中抜き溝19のY方向の幅と、を調整する機能を有している。なお、第2実施形態のレーザ加工装置10は、後述の第1回転機構44(図8及び図9参照)と第2回転機構46(図10及び図11参照)とを備える点を除けば、上記第1実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
図8及び図9は、第1回転機構44による2条の縁切り溝18のY方向の間隔調整を説明するための説明図である。図8及び図9に示すように、第1回転機構44は、例えばモータ及び駆動伝達機構により構成されており、制御装置30の制御の下、第1光形成素子32をその光軸を中心とする軸周り方向に回転させる。これにより、ウェーハ12をZ方向上方側から見た場合において、第1集光レンズ38によりストリートC上に集光される2本の第1レーザ光L1のスポットを、第1集光レンズ38の光軸を中心として回転させることができる。その結果、ストリートC上に集光される2本の第1レーザ光L1のスポットのY方向の間隔を広げたり或いは狭めたりすることができるので、2条の縁切り溝18のY方向の間隔を調整することができる。
図10及び図11は、第2回転機構46による中抜き溝19のY方向の幅調整を説明するための説明図である。図10及び図11に示すように、第2回転機構46は、第1回転機構44と同様に例えばモータ及び駆動伝達機構により構成されており、制御装置30の制御の下、第2光形成素子34をその光軸を中心とする軸周り方向に回転させる。これにより、ウェーハ12をZ方向上方側から見た場合において、第2集光レンズ40A,40BによりストリートC上に集光される第2レーザ光L2のスポットを、第2集光レンズ40A,40Bの光軸を中心として回転させることができる。ここで、ストリートC上に形成される第2レーザ光L2のスポットは矩形状、すなわち非円形状である。このため、この矩形状のスポットを回転させることで、ストリートC上に形成される中抜き溝19のY方向の幅を広げたり或いは狭めたり等の調整を行うことができる。なお、第2レーザ光L2のスポットの形状は、非円形状であれば矩形状に限定されるものではない。
制御装置30は、オペレータにより不図示の操作部に入力された調整指示に基づき、第1回転機構44及び第2回転機構46をそれぞれ駆動して、第1光形成素子32及び第2光形成素子34をそれぞれ回転させることで、2条の縁切り溝18の間隔及び中抜き溝19の幅を調整する。
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態のレーザ加工装置10の概略図である。上記各実施形態のレーザ加工装置10では、ウェーハ12のストリートCに沿って縁切り加工と中抜き加工を行う。この際に、上記各実施形態のレーザ加工装置10では、縁切り加工の加工点(第1集光レンズ38によりストリートC上に集光される2本の第1レーザ光L1のスポット)と、中抜き加工の2加工点(第2集光レンズ40A,40BによりストリートC上に集光される第2レーザ光L2のスポット)とを含む計3加工点を互いに独立させているため、それぞれの加工点は数十mmの間隔をもっている。このため、上記各実施形態のようにレーザ光学系24内での第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40A,40Bの位置が固定されていると、レーザ加工時の加工送り軸(X軸)の運動精度に応じて、2条の縁切り溝18の加工点及と中抜き溝19の加工点との間で、水平方向(Y方向)及び垂直方向(Z方向)にずれが生じる(最適加工点からずれる)という問題がある。
そこで、第3実施形態のレーザ加工装置10は、縁切り加工の加工点と中抜き加工の2加工点とのY方向及びZ方向の位置を個別に調整する機能を有する。第3実施形態のレーザ加工装置10は、3つのミラー37,39A,39Bと、3つの移動機構48,49A,49Bとを備える点を除けば、上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
ミラー37(第1反射素子)は、第1集光レンズ38のZ方向上方に配置されており、レーザ光源22から分岐素子31及び第1光形成素子32を介して入射した2本の第1レーザ光L1を第1集光レンズ38に向けて反射する。
ミラー39A,39Bは、本発明の第2反射素子に相当する。ミラー39Aは、第2集光レンズ40AのZ方向上方に配置されており、レーザ光源22から接続切替素子36等を介して入射した第2レーザ光L2を第2集光レンズ40Aに向けて反射する。また、ミラー39Bは、第2集光レンズ40BのZ方向上方に配置されており、レーザ光源22から接続切替素子36等を介して入射した第2レーザ光L2を第2集光レンズ40Bに向けて反射する。
移動機構48は本発明の第1移動機構に相当し、移動機構49A,49Bは本発明の第2移動機構に相当する。移動機構48,49A、49Bとしては例えば公知の直動アクチュエータが用いられる。移動機構48は、制御装置30の制御の下、ミラー37及び第1集光レンズ38を一体にY方向(本発明の第1垂直方向に相当)に移動させると共に、第1集光レンズ38をZ方向(本発明の第2垂直方向に相当)に移動させる。移動機構49Aは、制御装置30の制御の下、ミラー39A及び第2集光レンズ40Aを一体にY方向に移動させると共に、第2集光レンズ40AをZ方向に移動させる。また、移動機構49Bは、制御装置30の制御の下、ミラー39B及び第2集光レンズ40Bを一体にY方向に移動させると共に、第2集光レンズ40BをZ方向に移動させる。
なお、移動機構48,49A、49Bにより第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40A,40BをそれぞれY方向に移動させる代わりに、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40A,40Bをチルトさせてもよい。
このように第3実施形態では、ミラー37と第1集光レンズ38、ミラー39Aと第2集光レンズ40A、及びミラー39Bと第2集光レンズ40Bをそれぞれ個別にY方向及びZ方向に移動させることができる。その結果、ストリートC上に形成される2本の第1レーザ光L1のスポットと第2集光レンズ40A,40Bごとの第2レーザ光L2のスポットとのY方向及びZ方向の位置を個別に調整することができる。これにより、例えばレーザ加工装置10の製造メーカにおいて各スポットのY方向位置及びZ方向位置を調整(平行度を調整)することができる。
また、ウェーハ12のレーザ加工中において顕微鏡26により撮影されたストリートC、2条の縁切り溝18(2本の第1レーザ光L1のスポット)及び中抜き溝19(第2レーザ光L2のスポット)の撮影画像に基づき、縁切り加工の加工点(スポット)をストリートCに対してトレースさせ且つ中抜き加工の加工点(スポット)を2条の縁切り溝18の中央に対してトレースさせることができる。また、上述の撮影画像に基づき、ウェーハ12(ストリートC)の表面に対する2本の第1レーザ光L1のスポットと、第2レーザ光L2のスポットと、のZ方向のずれ量(集光位置のずれ量)を調整することができる。
なお、この場合に、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40A,40Bの個々のレンズごとに、加工溝(2条の縁切り溝18、中抜き溝19)及びスポットを同時撮影可能なカメラを設けてよい。
以上のように第3実施形態では、縁切り加工の加工点と中抜き加工の2加工点とを含む3加工点のY方向及びZ方向の位置を個別に調整可能であるので、レーザ加工時の加工送り軸(X軸)の運動精度に関係なく、各加工点を最適な運動軌跡で移動(トレース)させることができる。
上記第3実施形態では、縁切り加工の加工点と中抜き加工の2加工点とを含む3加工点のY方向及びZ方向の位置を個別に調整可能にしているが、Y方向及びZ方向のいずれか一方のみを調整可能にしてもよい。
上記第3実施形態では、縁切り加工の加工点と中抜き加工の2加工点とを含む3加工点のY方向及びZ方向の位置を移動機構48,49A,49Bで個別に調整可能にしているが、縁切り加工の加工点の位置を移動機構48により調整し、且つ中抜き加工の2加工点の位置を相対移動機構28により調整してもよい。すなわち、相対移動機構28によりテーブル20をY方向及びZ方向の少なくとも一方に移動させることで、中抜き加工の2加工点の位置を調整してもよい。
また逆に、縁切り加工の加工点の位置を相対移動機構28によるテーブル20の移動により調整し、且つ中抜き加工の2加工点の位置を移動機構49A,49Bにより調整してもよい。
図43は、第3実施形態の変形例を説明するための説明図である。なお、図43中の第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bについては第4実施形態で説明する。上記第3実施形態では、中抜き加工の2加工点のY方向及びZ方向の位置を移動機構49A,49Bで個別に調整可能にしている。これに対して、図43の符号1000A,1000Bに示すように、中抜き加工の2加工点に対応する第2集光レンズ40A,40B及びミラー39A,39B等を同一のフレーム(図示は省略)上に設置し、一つの移動機構49により中抜き加工の2加工点の位置を一体にY方向及びZ方向の少なくとも一方に調整可能にしてもよい。中抜き加工の2加工点は同時に加工を行わないので、中抜き加工の2加工点の位置を一体に移動させても問題はない。
さらに、図43において、縁切り加工の加工点の位置調整を相対移動機構28によるテーブル20の移動により行ってもよい。さらにまた、中抜き加工の2加工点の位置調整を相対移動機構28によるテーブル20の移動により行ってもよい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のレーザ加工装置10の説明を行う。上記各実施形態のレーザ加工装置10では、共通のレーザ光源22から出射されるレーザ光Lから縁切り加工用の2本の第1レーザ光L1と中抜き加工用の第2レーザ光L2とを形成しているが、縁切り加工と中抜き加工とでは適したレーザ光Lの条件(波長、パルス幅、及び繰り返し周波数等)が異なる。このため、レーザ光Lの条件が縁切り加工及び中抜き加工のいずれか一方に適した条件から外れてしまうと、この一方の加工速度を遅くする必要があり、さらにこれに伴い他方の加工速度も遅くする必要がある。
すなわち1つのレーザ光源22で、縁切り溝加工と中抜き溝加工とを行う場合、レーザ光条件によっては縁切り溝加工の速度は向上できても、中抜き溝加工の速度が向上できず、速度向上できない中抜き溝加工の速度で加工する必要がある。また、レーザ光条件によってはその逆となる場合がある。従って、それぞれにおいて低速度となる側の速度が加工における上限速度となってしまう。このようにウェーハ12のストリートCに沿って2条の縁切り溝18(遮断溝)を形成する縁切り加工と、2条の縁切り溝18の間に中抜き溝19(分割溝)を形成する溝加工では、加工速度と加工仕上がりにそれぞれ適したレーザ光条件が有るので、1つのレーザ光源22でその双方の条件を満たすことは困難である。
このため、第4実施形態では第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2ごとに異なる光源を用いる。
図13は、第4実施形態においてウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図14は、第4実施形態においてウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。
図13及び図14に示すように、第4実施形態のレーザ加工装置10は、レーザ光源22及び分岐素子31の代わりに、第1レーザ光源22Aと第2レーザ光源22Bと第1安全シャッタ100Aと第2安全シャッタ100Bと安全シャッタ駆動機構102Aとを備える点を除けば上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
第1レーザ光源22Aは、縁切り加工に適した条件(波長、パルス幅、及び繰り返し周波数等)のレーザ光LAを第1光形成素子32へ常時出射する。これにより、上記各実施形態と同様に、第1光形成素子32による2本の第1レーザ光L1の形成と、第1集光レンズ38によるストリートC上への2本の第1レーザ光L1の集光と、が行われる。
第2レーザ光源22Bは、中抜き加工に適した条件(波長、パルス幅、及び繰り返し周波数等)のレーザ光LBを第2光形成素子34へ常時出射する。これにより、上記各実施形態と同様に、第2光形成素子34による第2レーザ光L2の形成と、接続切替素子36による第2集光レンズ40A,40Bの切替と、第2集光レンズ40AによるストリートC(往路)上への第2レーザ光L2の集光と、第2集光レンズ40BによるストリートC(復路)上への第2レーザ光L2の集光と、が行われる。
第1安全シャッタ100Aは、第1レーザ光源22Aと第1光形成素子32との間のレーザ光LAの光路上に挿脱自在に設けられている。また、第2安全シャッタ100Bは、第2レーザ光源22Bと第2光形成素子34との間のレーザ光LBの光路上に挿脱自在に設けられている。
安全シャッタ駆動機構102Aは、制御装置30の制御の下、レーザ光LAの光路に対して第1安全シャッタ100Aを挿脱させると共に、レーザ光LBの光路に対して第2安全シャッタ100Bを挿脱させるアクチュエータである。安全シャッタ駆動機構102Aは、縁切り加工時以外では、レーザ光LAの光路に対して第1安全シャッタ100Aを挿入させることで、レーザ光学系24からの2本の第1レーザ光L1の出射を停止させる。また、安全シャッタ駆動機構102Aは、縁切り加工時にはレーザ光LAの光路から第1安全シャッタ100Aを退避させることで、レーザ光学系24から2本の第1レーザ光L1を出射させる。
また同様に、安全シャッタ駆動機構102Aは、中抜き加工時以外では、レーザ光LBの光路に対して第2安全シャッタ100Bを挿入させることで、レーザ光学系24からの第2レーザ光L2の出射を停止させる。さらに、安全シャッタ駆動機構102Aは、中抜き加工時にはレーザ光LBの光路から第2安全シャッタ100Bを退避させることで、レーザ光学系24から第2レーザ光L2を出射させる。
第4実施形態のレーザ加工装置10によるストリートCごとのレーザ加工処理の流れは、既述の図7に示した第1実施形態のレーザ加工処理の流れと基本的に同じである。ただし、第4実施形態のステップS0においては、制御装置30が安全シャッタ駆動機構102Aを制御して第1安全シャッタ100Aをレーザ光LAの光路から退避させると共に第2安全シャッタ100Bをレーザ光LBの光路から退避させる。
以上のように第4実施形態では、縁切り加工に対応した第1レーザ光源22Aと中抜き加工に対応した第2レーザ光源22Bとを別個に設けることで、縁切り加工及び中抜き加工のそれぞれの加工速度の低下が防止される。その結果、上述のタクトタイムをより低減させることができる。また、縁切り加工及び中抜き加工の各々の加工品質を最適化することができる。
さらに、縁切り加工と中抜き加工とにおいて、異なる波長のレーザ光LA,LBを用いて、その波長での加工条件を最適化することで、加工速度を向上させることができる。その結果、第1実施形態のような単一のレーザ光源22を用いるレーザ加工装置10よりも第4実施形態の第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bを用いるレーザ加工装置10の方がより速い速度での加工が可能となる。
なお、第4実施形態においても上記第3実施形態と同様に、縁切り加工の加工点と中抜き加工の2加工点とのY方向及びZ方向の位置を個別に調整することで上記第3実施形態と同様の効果が得られる。さらに、縁切り加工の加工点と中抜き加工の2加工点とを含む3加工点のY方向及びZ方向の位置を個別に調整可能にするだけでなく、Y方向及びZ方向のいずれか一方のみを調整可能にしてもよい。
[第4実施形態の接続切替素子の具体例]
次に、第4実施形態の接続切替素子36の具体例1~3について説明を行う。なお、接続切替素子36以外の構成については第4実施形態(第1実施形態から第3実施形態)のレーザ加工装置10と基本的に同じである。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。また、これら具体例1~3については、上記第1実施形態から第3実施形態の接続切替素子36にも適用可能である。
<接続切替素子36の具体例1>
図15は、第4実施形態の接続切替素子36の具体例1を説明するための説明図である。図15に示すように、具体例1の接続切替素子36は、λ/2板52と板回転機構53と偏光ビームスプリッタ54とを備える。
λ/2板52は、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2(直線偏光)の偏光方向を回転させた後、この第2レーザ光L2を偏光ビームスプリッタ54に向けて出射する。
板回転機構53は、制御装置30の制御の下、λ/2板52をその光軸を中心として回転させることで、第2レーザ光L2の偏光方向を調整する。これにより、板回転機構53は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動される場合には、第2レーザ光L2がS偏光となるように、λ/2板52の回転角度を調整する。また、板回転機構53は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動される場合には、第2レーザ光L2がP偏光となるように、λ/2板52の回転角度を調整する。
偏光ビームスプリッタ54は、S偏光を第2集光レンズ40Aに向けて反射し、P偏光をそのまま透過して第2集光レンズ40Bに向けて出射する。これにより、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向(往路方向側X1又は復路方向側X2)に応じて第2集光レンズ40A,40Bを選択的に用いて中抜き加工を行うことができる。
<接続切替素子36の具体例2>
図16は、第4実施形態の接続切替素子36の具体例2を説明するための説明図である。図16に示すように、具体例2の接続切替素子36は、ハーフミラー58とミラー60とシャッタ62A,62Bとシャッタ駆動機構64とを備える。
ハーフミラー58は、第2光形成素子34から出射される第2レーザ光L2の光路上で且つ第2集光レンズ40Aに対向する位置に配置されている。このハーフミラー58は、第2光形成素子34から入射した第2レーザ光L2を2分岐し、2分岐した第2レーザ光L2の一方を第2集光レンズ40Aに向けて反射すると共に第2レーザ光L2の他方を透過してミラー60に向けて出射する。
ミラー60は、ハーフミラー58を透過した第2レーザ光L2の光路上で且つ第2集光レンズ40Bに対向する位置に配置されている。このミラー60は、ハーフミラー58を透過した第2レーザ光L2を第2集光レンズ40Bに向けて反射する。
シャッタ62Aは、ハーフミラー58と第2集光レンズ40Aとの間の第2レーザ光L2の光路上に挿脱自在に設けられている。これにより、シャッタ62Aが第2レーザ光L2の光路上に挿入されている場合には、ハーフミラー58により反射された第2レーザ光L2がシャッタ62Aにより遮断される。また、シャッタ62Aが第2レーザ光L2の光路上から退避している場合には、ハーフミラー58により反射された第2レーザ光L2が第2集光レンズ40Aに入射する。
シャッタ62Bは、ミラー60と第2集光レンズ40Bとの間の第2レーザ光L2の光路上に挿脱自在に設けられている。これにより、シャッタ62Bが第2レーザ光L2の光路上に挿入されている場合には、ミラー60により反射された第2レーザ光L2がシャッタ62Bにより遮断される。また、シャッタ62Bが第2レーザ光L2の光路上から退避している場合には、ミラー60により反射された第2レーザ光L2が第2集光レンズ40Bに入射する。
シャッタ駆動機構64は、制御装置30の制御の下、第2レーザ光L2の光路上におけるシャッタ62A,62Bの挿脱(開閉)を行う公知のアクチュエータである。シャッタ駆動機構64は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動される場合には、シャッタ62Aを第2レーザ光L2の光路上から退避させると共にシャッタ62Bを第2レーザ光L2の光路上に挿入する。
また逆に、シャッタ駆動機構64は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動される場合には、シャッタ62Aを第2レーザ光L2の光路上に挿入すると共にシャッタ62Bを第2レーザ光L2の光路上から退避させる。これにより、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向(往路方向側X1又は復路方向側X2)に応じて2個の第2集光レンズ40A,40Bを選択的に用
いて中抜き加工を行うことができる。
<接続切替素子36の具体例3>
図17は、第4実施形態の接続切替素子36の具体例3を説明するための説明図である。図17に示すように、具体例3の接続切替素子36は、ミラー66Aとミラー66Bとミラー駆動機構68とを備える。
ミラー66Aは、第2光形成素子34から出射される第2レーザ光L2の光路上で且つ第2集光レンズ40Aに対向する位置に挿脱自在に設けられている。ミラー66Aは、第2レーザ光L2の光路上に挿入されている場合には、第2光形成素子34から入射した第2レーザ光L2を第2集光レンズ40Aに向けて反射する。また、ミラー66Aが第2レーザ光L2の光路上から退避している場合には、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2はミラー66Bに入射する。
ミラー66Bは、第2光形成素子34から出射される第2レーザ光L2の光路上で且つ第2集光レンズ40Bに対向する位置に設けられている。このミラー66Bは、第2光形成素子34から入射した第2レーザ光L2を第2集光レンズ40Bに向けて反射する。
ミラー駆動機構68は、制御装置30の制御の下、第2レーザ光L2の光路上におけるミラー66Aの挿脱を行う公知のアクチュエータである。ミラー駆動機構68は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動される場合には、ミラー66Aを第2レーザ光L2の光路上に挿入する。これにより、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2の全てがミラー66Aにより第2集光レンズ40Aに向けて反射される。
また逆に、ミラー駆動機構68は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動される場合には、ミラー66Aを第2レーザ光L2の光路上から退避させる。これにより、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2の全てがミラー66Bにより第2集光レンズ40Bに向けて反射される。その結果、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向(往路方向側X1又は復路方向側X2)に応じて2個の第2集光レンズ40A,40Bを選択的に用いて中抜き加工を行うことができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のレーザ加工装置10について説明を行う。上記第4実施形態のレーザ加工装置10には2種類の第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bが設けられているが、第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bのいずれか一方に不具合が生じた場合にウェーハ12のレーザ加工ができなくなってしまう。そこで、第5実施形態のレーザ加工装置10は、第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bのいずれか一方に不具合が生じた場合でもウェーハ12のレーザ加工を継続可能な機能を有する。
図18は、第5実施形態においてウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図19は、第5実施形態においてウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。なお、図18及び図19では、第2レーザ光源22Bに不具合があった場合を示している。
図18及び図19に示すように、第5実施形態のレーザ加工装置10は、バイパス光学系72,74を備える点を除けば上記第4実施形態(具体例1~3を含む)のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第4実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
バイパス光学系72は、1又は複数の光学素子により構成されており、第1レーザ光源22Aと第1光形成素子32との間のレーザ光LAの光路上に設けられている。このバイパス光学系72は、制御装置30の制御の下、第2レーザ光源22Bに不具合が生じていない場合には第1レーザ光源22Aから出射されたレーザ光LAを全て第1光形成素子32に向けて出射する。なお、第2レーザ光源22Bの不具合の有無は、第2レーザ光源22Bの動作及びレーザ光LBの光量等を監視することで判定可能である。
一方、バイパス光学系72は、制御装置30の制御の下、第2レーザ光源22Bに不具合が生じている場合には第1レーザ光源22Aから出射されたレーザ光LAを2分岐して、2分岐したレーザ光LAの一方を第1光形成素子32に向けて出射すると共に、レーザ光LAの他方を第2光形成素子34に向けて出射する。これにより、第2光形成素子34にてレーザ光LAから第2レーザ光L2が形成される。この第2レーザ光L2は、接続切替素子36を経て、上記第4実施形態と同様にレーザ光学系24の相対移動方向に応じて第2集光レンズ40A,40Bから選択的に出射される。
バイパス光学系74は、バイパス光学系72と同様に1又は複数の光学素子により構成されており、第2レーザ光源22Bと第2光形成素子34との間のレーザ光LBの光路上に設けられている。このバイパス光学系74は、制御装置30の制御の下、第1レーザ光源22Aに不具合が生じていない場合には第2レーザ光源22Bから出射されたレーザ光LBを全て第2光形成素子34に向けて出射する。なお、第1レーザ光源22Aの不具合の有無についても、第1レーザ光源22Aの動作及びレーザ光LAの光量等を監視することで判定可能である。
一方、バイパス光学系74は、制御装置30の制御の下、第1レーザ光源22Aに不具合が生じている場合には第2レーザ光源22Bから出射されたレーザ光LBを2分岐して、2分岐したレーザ光LBの一方を第2光形成素子34に向けて出射すると共に、レーザ光LBの他方を第1光形成素子32に向けて出射する。これにより、第1光形成素子32にてレーザ光LBから2本の第1レーザ光L1が形成される。この2本の第1レーザ光L1は上記第4実施形態と同様に第1集光レンズ38から出射される。
以上のように第5実施形態のレーザ加工装置10では、バイパス光学系72,74を設けることにより、第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bのいずれか一方に不具合が生じた場合でもウェーハ12のレーザ加工を継続することができる。その結果、レーザ加工装置10のダウンタイムを減らすことができる。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態のレーザ加工装置10について説明を行う。上記各実施形態のレーザ加工装置10は、縁切り加工用の1個の第1集光レンズ38と、この第1集光レンズ38を間に挟んだ中抜き加工用の第2集光レンズ40A,40Bとを備えているが、第1集光レンズ38と第2集光レンズ40A,40Bとを入れ替えてもよい。
図20は、第6実施形態においてウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図21は、第6実施形態においてウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。
図20及び図21に示すように、第6実施形態のレーザ加工装置10では、第1集光レンズ38の代わりに中抜き加工用の1個の第2集光レンズ40が設けられ、第2集光レンズ40A,40Bの代わりに縁切り加工用の2個の第1集光レンズ38A,38Bが設けられ、さらに第1光形成素子32及び第2光形成素子34の配置が入れ替わっている。なお、他の構成については、上記第1実施形態から第3実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
第1集光レンズ38A,38B及び第2集光レンズ40は、X方向(加工送り方向)に沿って一列に配置されている。第2集光レンズ40は、2個の第1集光レンズ38A,38Bの間に配置されている。第1集光レンズ38Aは、第2集光レンズ40に対して往路方向側X1に配置されている。第1集光レンズ38Bは、第2集光レンズ40に対して復路方向側X2に配置されている。
第1集光レンズ38Aは、第1光形成素子32を経て接続切替素子36から入力された2本の第1レーザ光L1をストリートC(往路)上に集光させる。第1集光レンズ38Bは、第1光形成素子32を経て接続切替素子36から入力された2本の第1レーザ光L1をストリートC(復路)上に集光させる。第2集光レンズ40は、第2光形成素子34から入力された第2レーザ光L2をストリートC(往路及び復路)上に集光させる。
第6実施形態の接続切替素子36は、相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して往路方向側X1及び復路方向側X2のいずれか一方向側に相対移動させる場合に、第1光形成素子32から出射した2本の第1レーザ光L1を、2個の第1集光レンズ38A,38Bのうちで第2集光レンズ40に対して上記一方向側に位置するレンズに導く。
具体的には図20に示すように、接続切替素子36は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動される場合には、制御装置30の制御の下、第1光形成素子32から出射した2本の第1レーザ光L1を第1集光レンズ38Aに導く。これにより、ストリートC(往路)上に第1集光レンズ38Aにより2本の第1レーザ光L1が集光される。また、第2集光レンズ40により第2レーザ光L2が集光される。その結果、レーザ光学系24の往路方向側X1への相対移動によりストリートC(往路)に沿って縁切り加工と中抜き加工とが実行される。
図21に示すように、接続切替素子36は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動される場合には、制御装置30の制御の下、第1光形成素子32から出射した2本の第1レーザ光L1を第1集光レンズ38Bに導く。これにより、ストリートC(復路)上に第1集光レンズ38Bにより2本の第1レーザ光L1が集光される。また、第2集光レンズ40により第2レーザ光L2が集光される。その結果、レーザ光学系24の復路方向側X2への相対移動によりストリートC(復路)に沿って縁切り加工と中抜き加工とが実行される。
なお、上記第4実施形態(具体例1~3を含む)及び第5実施形態についても、第6実施形態と同様に、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40A,40Bの配置を入れ替えると共に、第1光形成素子32及び第2光形成素子34の配置を入れ替えてもよい。
また、縁切り加工の2加工点の位置調整を相対移動機構28によるテーブル20の移動により行ったり、中抜き加工の加工点の位置調整を相対移動機構28によるテーブル20の移動により行ったりしてもよい。さらに、既述の図43に示した実施形態の変形例として、縁切り加工の2加工点に対応する第1集光レンズ38A,38B等を同一のフレーム(図示は省略)上に設置し、一つの移動機構48により縁切り加工の2加工点の位置を一体にY方向及びZ方向の少なくとも一方に調整可能にしてもよい。
[第7実施形態]
図22は、第2レーザ光L2の強度分布(E)がガウシアン形状となる場合の課題を説明するための説明図である。図23は、第2レーザ光L2の理想的な強度分布(E)の一例を示した説明図である。図24は、第2レーザ光L2の実際の強度分布(E)の一例を示した説明図である。
図22の符号XXIIAに示すように、レーザ光源22から出射されるレーザ光Lの強度分布はガウシアン形状となる。このため、ガウシアン形状の第2レーザ光L2で中抜き加工を実行すると、符号XXIIBに示すように中抜き溝19(2条の縁切り溝18は図示を省略)の断面形状もガウシアン形状となる。この場合には、レーザ加工後に高速回転するブレード110によりウェーハ12を中抜き溝19(ストリートC)に沿って切断する切断工程において、中抜き溝19に対するブレード110の位置関係によってはブレード110に偏摩耗が発生するおそれがある。このため、中抜き溝19の底を平坦(略平坦を含む)に形成することが求められている。
図23に示すように、中抜き溝19の底を平坦に形成するためには、例えばDOE及び屈折型ビームシェイパを用いて第2レーザ光L2の強度分布を等方的なトップハット形状に形成する方法が考えられる。しかしながら、上述のDOE及び屈折型ビームシェイパ等の光学素子は理想的な真円(断面形状)のレーザ光L(ビーム)を前提として作られているが、現実のレーザ光Lの断面形状は真円ではなく、レーザ光源22等の個体差に起因した楕円(拡がり角に異方性が有る状態)となる。この場合には、図24に示すように、第2レーザ光L2の強度分布(E)がトップハット形状とは異なる形状になるため、中抜き溝19の底を平坦に形成することが困難になる。
また、上述のようにレーザ光Lの拡がり角に異方性が有る場合は非点収差が生じており、XY方向のそれぞれでトップハット形状になるZ位置が異なる。さらに図23に示したような強度分布(E)を有する第2レーザ光L2を用いて中抜き加工を実行する場合には、中抜き溝19の断面形状が、第2レーザ光L2のスポットを加工送り方向(X方向)の重なり率に応じて積算した形状となる。その結果、第2レーザ光L2のスポット単体の形状から中抜き溝19の断面形状を推測することは困難である。
そこで、第7実施形態のレーザ加工装置10では、第2レーザ光L2の強度分布(E)が安定したトップハット形状となり且つ中抜き溝19の断面形状が推測し易くなるように、第2光形成素子34により第2レーザ光L2の強度分布(E)を調整している。なお、第7実施形態のレーザ加工装置10は、第2光形成素子34の機能が異なる点を除けば上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
図25の符号XXVAは第7実施形態の第2レーザ光L2のY方向における強度分布(E)の一例を示した説明図であり、符号XXVBは第7実施形態の第2レーザ光L2のX方向における強度分布(E)の一例を示した説明図である。図26は、第7実施形態の第2レーザ光L2のXY面の強度分布の一例を示した説明図である。
図25及び図26に示すように、第7実施形態の第2光形成素子34が形成する第2レーザ光L2は、第1方向(例えば加工送り方向に対して垂直なY方向)においてトップハット形状の強度分布を有し且つ第2方向(加工送り方向に平行なX方向)においてガウシアン形状の強度分布を有する。このような第2光形成素子34としては、例えばDOE及び屈折型ビームシェイパ等の光学素子(複数種類の光学素子を組み合わせても可)が用いられる。
このように、一方向(ここではY方向)においてのみトップハット形状の強度分布を有する第2レーザ光L2の形成は、図23に示したような複数方向でトップハット形状の強度分布を有する第2レーザ光L2の形成と比較して、第2レーザ光L2をトップハット形状に形成する調整の難易度が下がる。その結果、第2レーザ光L2を安定したトップハット形状に形成可能になるため、中抜き溝19の底を平坦に形成することができる。
また、第2レーザ光L2のX方向(加工送り方向)の強度分布をガウシアン形状に形成することで、第2レーザ光L2のスポットのY方向のプロファイル形状(すなわち逆トップハット形状)を中抜き溝19の加工形状に直接的に反映することができる。その結果、第2レーザ光L2のスポット単体の形状から中抜き溝19の加工形状を容易に推測することができる。
なお、図25及び図26では第1方向がY方向であり且つ第2方向がX方向であるが、上記第2実施形態(図10及び図11参照)の第2回転機構46により第2光形成素子34を回転させることで、第1方向及び第2方向をXY面内(水平面内)で任意の方向とすることができる。すなわち、テーブル20に平行(第2光形成素子34から出射される第2レーザ光L2の進行方向に垂直)で且つ互いに直交する方向を第1方向及び第2方向とした場合に、第2光形成素子34は、第1方向においてトップハット形状の強度分布を有し且つ第2方向においてガウシアン形状の強度分布を有する第2レーザ光L2を形成する。
また、第7実施形態では、第2光形成素子34が一方向においてのみトップハット形状の強度分布を有する第2レーザ光L2を形成しているが、第1光形成素子32についても一方向においてのみトップハット形状の強度分布を有する2本の第1レーザ光L1を形成してもよい。さらに縁切り加工及び中抜き加工以外のウェーハ12の各種レーザ加工に第7実施形態の発明を適用することができる。
[第8実施形態]
図27は、第8実施形態のレーザ加工装置10のレーザ光学系24の概略図である。上記各実施形態では第1集光レンズ38,38A,38Bのいずれかを用いて縁切り加工を行い且つ第2集光レンズ40,40A,40Bのいずれかを用いて中抜き加工を行っている。これに対して、図27に示すように第8実施形態のレーザ加工装置10では、第1集光レンズ群120を用いて縁切り加工を行い且つ第2集光レンズ群122A,122Bのいずれかを用いて中抜き加工を行う。
第8実施形態のレーザ加工装置10は、第1集光レンズ群120及び第2集光レンズ群122A,122Bを備える点を除けば、上記各実施形態(ここでは第6実施形態を除く)のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。なお、第1集光レンズ群120及び第2集光レンズ群122A,122Bは、既述の接続切替素子36などと共に集光光学系を構成する。
第1集光レンズ群120は、上記各実施形態の第1集光レンズ38の代わりに設けられている。この第1集光レンズ群120は、分岐素子124と3個の第1集光レンズ38とを備える。
分岐素子124は、第1光形成素子32から入射した2本の第1レーザ光L1を3分岐させて3個の第1集光レンズ38に向けてそれぞれ出射する。3個の第1集光レンズ38は、X方向(加工送り方向)に沿って一列に配置されており、分岐素子124から入射した2本の第1レーザ光L1をそれぞれストリートC(往路及び復路)上に同時に集光させ
る。
第2集光レンズ群122Aは、上記各実施形態の第2集光レンズ40Aの代わりに設けられている。この第2集光レンズ群120Aは、分岐素子126Aと3個の第2集光レンズ40Aとを備える。
分岐素子126Aは、第2光形成素子34から入射した第2レーザ光L2を3分岐させて3個の第2集光レンズ40Aに向けてそれぞれ出射する。3個の第2集光レンズ40Aは、X方向(加工送り方向)に沿って一列に配置されており、分岐素子126Aから入射した第2レーザ光L2をそれぞれストリートC(往路)上に同時に集光させる。
第2集光レンズ群122Bは、上記各実施形態の第2集光レンズ40Bの代わりに設けられている。この第2集光レンズ群120Bは、分岐素子126Bと3個の第2集光レンズ40Bとを備える。
分岐素子126Bは、第2光形成素子34から入射した第2レーザ光L2を3分岐させて3個の第2集光レンズ40Bに向けてそれぞれ出射する。3個の第2集光レンズ40Bは、X方向(加工送り方向)に沿って一列に配置されており、分岐素子126Bから入射した第2レーザ光L2をそれぞれストリートC(復路)上に同時に集光させる。
図28は、第8実施形態のレーザ加工装置10の効果を説明するための説明図である。なお、図28の符号XXVIIIAは、上記各実施形態のレーザ加工装置10による縁切り加工時及び中抜き加工時にストリートC上に集光される各レーザ光(2本の第1レーザ光L1、第2レーザ光L2)のスポットSPの移動を示している。また、図28の符号XXVIIIBは、第8実施形態のレーザ加工装置10による縁切り加工時及び中抜き加工時にストリートC上に集光される各レーザ光のスポットSP1~SP3の移動を示している。
図28の符号XXVIIIAに示すように、縁切り加工時及び中抜き加工時のレーザ光学系24の往路方向側X1又は復路方向側X2への相対移動により、レーザ光学系24によってストリートC(往路及び復路)に形成される2本の第1レーザ光L1のスポットSP及び第2レーザ光L2のスポットSPがストリートCに沿って移動する。この際にレーザ光学系24の相対移動の移動速度を上げると、加工送り方向に沿ったスポットSP同士の間隔が拡がるため、加工溝(2条の縁切り溝18及び中抜き溝19)の底面に凹凸が生じてしまう。このため、上記各実施形態では、加工送り方向において互いに隣り合うスポットSP同士が一部オーバーラップするように、レーザ光学系24の相対移動の移動速度を制限する必要がある。
これに対して第8実施形態のレーザ加工装置10では、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40A,40Bをそれぞれ加工送り方向に沿って複数配置することで、図28の符号XXVIIIBに示すように2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2をそれぞれ同時に複数箇所でストリートC(往路及び復路)上に集光させることができる。このため、第8実施形態では、レーザ光学系24の往路方向側X1又は復路方向側X2への相対移動により、ストリートC(往路及び復路)上に形成される2本の第1レーザ光L1の3箇所のスポットSP1,SP2,SP3及び第2レーザ光L2の3箇所のスポットSP1,SP2,SP3がストリートCに沿って移動する。
このように第8実施形態では、レーザ加工ごとのスポット数を増加させることで、レーザ光学系24の相対移動の移動速度を上げた場合であっても、加工送り方向において互いに隣り合うスポットSP1,SP2,SP3同士を一部オーバーラップさせられる。これにより、安定した形状の加工溝を形成することができる。その結果、第8実施形態では、上記各実施形態よりもウェーハ12のレーザ加工に要するタクトタイムを低減させることができる。
なお、第8実施形態では、第1集光レンズ38、第2集光レンズ40A、及び第2集光レンズ40Bをそれぞれ加工送り方向に沿って3個配置しているが、その配置数が2個又は4個以上であってもよい。また、上記第6実施形態(図21及び図22参照)と同様に、第1集光レンズ群120と第2集光レンズ群122A,122Bとを入れ替えてもよい。
[第9実施形態]
図29は、ウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動される第9実施形態のレーザ加工装置10のレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図30は、ウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動される第9実施形態のレーザ加工装置10のレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。
上記各実施形態では、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向に応じて3種類の第1集光レンズ38(38A,38B)及び第2集光レンズ40A,40B(40)選択的に用いてレーザ加工を行っている。これに対して、図29及び図30に示すように第9実施形態では、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40を用いてレーザ加工を行う。そして、第9実施形態では、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向に応じて、第1集光レンズ38による縁切り加工及び第2集光レンズ40による中抜き加工と、第2集光レンズ40による縁切り加工及び第1集光レンズ38による中抜き加工と、を切り替える。
第9実施形態のレーザ光学系24は、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40A,40Bの代わりに第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40を備え、且つ接続切替素子36の代わりに接続光学系200を備える点を除けば、上記第1実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40は、X方向(加工送り方向)に沿って一列に配置されている。第1集光レンズ38は、第2集光レンズ40に対して往路方向側X1に配置されている。第1集光レンズ38は、後述の接続光学系200から入射される2本の第1レーザ光L1又は第2レーザ光L2をストリートC上に集光させる。また、第2集光レンズ40は、接続光学系200から入射される2本の第1レーザ光L1又は第2レーザ光L2をストリートC上に集光させる。
接続光学系200は、相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動させる場合に、第1光形成素子32から出射された2本の第1レーザ光L1を第1集光レンズ38に導き且つ第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2を第2集光レンズ40に導く(図29参照)。また逆に接続光学系200は、相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動させる場合に、第1光形成素子32から出射された2本の第1レーザ光L1を第2集光レンズ40に導き且つ第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2を第1集光レンズ38に導く(図30参照)。
図31は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動される場合の接続光学系200の機能を説明するための説明図である。図32は、相対移動機構28によりレーザ光学系24がウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動される場合の接続光学系200の機能を説明するための説明図である。
なお、図31及び図32中において、符号PP1は2本の第1レーザ光L1がP偏光であることを示し、符号SP1は2本の第1レーザ光L1がS偏光であることを示し、符号PP2は第2レーザ光L2がP偏光であることを示し、符号SP2は第2レーザ光L2がS偏光であることを示す。また、本実施形態では第1光形成素子32から出射される2本の第1レーザ光L1と、第2光形成素子34から出射される第2レーザ光L2とがそれぞれP偏光であるものとして説明を行う。
図31及び図32に示すように、接続光学系200は、偏光ビームスプリッタ202、λ/2板204、偏光ビームスプリッタ206、λ/2板208、偏光ビームスプリッタ210,212、λ/2板214、及びミラー220,222を備える。
偏光ビームスプリッタ202、λ/2板204、及び偏光ビームスプリッタ206は、第1光形成素子32から第1集光レンズ38に至る光路上に沿って配置されている。λ/2板208、偏光ビームスプリッタ210,212、及びλ/2板214は、第2光形成素子34から第2集光レンズ40に至る光路上に沿って配置されている。ミラー220は、偏光ビームスプリッタ202と偏光ビームスプリッタ210との間の光路上に配置されている。ミラー222は、偏光ビームスプリッタ206と偏光ビームスプリッタ212との間の光路上に配置されている。
各偏光ビームスプリッタ202,206,210,212は、P偏光を透過し且つS偏光を反射する。
λ/2板204,208,214は、P偏光及びS偏光をその偏光状態を変更することなく透過させる基準状態と、この基準状態から光学軸が45度回転した回転状態と、に切り替え可能である。λ/2板204,208,214は、回転状態である場合には入射したP偏光をS偏光に変換し且つ入射したS偏光をP偏光に変換する。
ミラー220は、偏光ビームスプリッタ210により反射されたS偏光を偏光ビームスプリッタ202に導く。また、ミラー222は、偏光ビームスプリッタ206により反射されたS偏光を偏光ビームスプリッタ212に導く。なお、X方向において偏光ビームスプリッタ202,210が対向配置されている場合にはミラー220は省略可能であり、X方向において偏光ビームスプリッタ206,212が対向配置されている場合にはミラー222は省略可能である。
図31に示すように、第9実施形態の制御装置30(図1参照)は、ストリートC(往路)のレーザ加工を行う場合、すなわち相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動させる場合に、λ/2板204,208,214をそれぞれ基準状態に設定する。
第1光形成素子32から出射された2本の第1レーザ光L1(P偏光)は、偏光ビームスプリッタ202、λ/2板204、及び偏光ビームスプリッタ206を順番に透過して第1集光レンズ38に導かれる。その結果、第1集光レンズ38によりストリートC(往路)上に2本の第1レーザ光L1が集光される。
第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2(P偏光)は、λ/2板208、偏光ビームスプリッタ210,212、及びλ/2板214を順番に透過して第2集光レンズ40に導かれる。その結果、第2集光レンズ40によりストリートC(往路)上に第2レーザ光L2が集光される。
上記各実施形態と同様に、レーザ光学系24の往路方向側X1への相対移動によりストリートC(往路)に沿って縁切り加工が先行して実行され、続いて中抜き加工が実行される。なお、ストリートC(往路)のレーザ加工時の2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の出射及び出射停止のタイミングは上記第1実施形態と同様であるので、ここでは具体的な説明は省略する(後述の第10実施形態及び第11実施形態も同様)。
図32に示すように第9実施形態の制御装置30は、ストリートC(復路)のレーザ加工を行う場合、すなわち相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動させる場合に、λ/2板204,208,214をそれぞれ回転状態に設定する。
第1光形成素子32から出射された2本の第1レーザ光L1(P偏光)は、偏光ビームスプリッタ202を透過した後、λ/2板204によりS偏光に変換される。S偏光に変換された2本の第1レーザ光L1は、偏光ビームスプリッタ206によりミラー222に向けて反射され、さらにミラー222により反射されて偏光ビームスプリッタ212に入射する。偏光ビームスプリッタ212に入射した2本の第1レーザ光L1(S偏光)は、偏光ビームスプリッタ212によりλ/2板214に向けて反射され、このλ/2板214によりP偏光に変換された後、第2集光レンズ40に導かれる。その結果、第2集光レンズ40によりストリートC(復路)上に2本の第1レーザ光L1が集光される。
第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2(P偏光)は、λ/2板208にてS偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ210によりミラー220に向けて反射され、さらにミラー220により反射されて偏光ビームスプリッタ202に入射する。偏光ビームスプリッタ202に入射した第2レーザ光L2(S偏光)は、偏光ビームスプリッタ202によりλ/2板204に向けて反射され、このλ/2板204によりP偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ206を透過して第1集光レンズ38に導かれる。その結果、第1集光レンズ38によりストリートC(復路)上に第2レーザ光L2が集光される。
上記各実施形態と同様に、レーザ光学系24の復路方向側X2への相対移動によりストリートC(復路)に沿って縁切り加工が先行して実行され、続いて中抜き加工が実行される。なお、ストリートC(復路)のレーザ加工時の2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の出射及び出射停止のタイミングは上記第1実施形態と同様であるので、ここでは具体的な説明は省略する(後述の第10実施形態及び第11実施形態も同様)。
なお、第9実施形態では、ストリートC(復路)の縁切り加工を行う2本の第1レーザ光L1の偏光状態をストリートC(往路)の縁切り加工時と同様のP偏光に揃えるためにλ/2板214を設けているが、P偏光に揃える必要がなければλ/2板214を省略してもよい。
以上のように第9実施形態では、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向に応じて、第1集光レンズ38を用いた縁切り加工及び第2集光レンズ40を用いた中抜き加工と、第2集光レンズ40を用いた縁切り加工及び第1集光レンズ38を用いた中抜き加工とを切り替えることができる。その結果、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
[第9実施形態の変形例]
<変形例1>
図33は、第9実施形態の変形例1においてウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図34は、第9実施形態の変形例1においてウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。
上記第9実施形態では、レーザ光源22から出射されるレーザ光Lから縁切り加工用の2本の第1レーザ光L1と中抜き加工用の第2レーザ光L2とを形成している。これに対して、図33及び図34に示すように、第9実施形態の変形例1では、上記第4実施形態(図13及び図14参照)と同様に、縁切り加工に対応した第1レーザ光源22Aと中抜き加工に対応した第2レーザ光源22Bとを別個に設けている。なお、上記第4実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
このように第9実施形態の変形例1においても縁切り加工に対応した第1レーザ光源22Aと中抜き加工に対応した第2レーザ光源22Bとを別個に設けることで、上記第4実施形態と同様に、縁切り加工及び中抜き加工のそれぞれの加工速度の低下が防止されるので、タクトタイムをより低減させることができる。
<変形例2>
図35は、第9実施形態の変形例2においてウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図36は、第9実施形態の変形例2においてウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動されるレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。
図35及び図36に示すように、第9実施形態の変形例2では、上記変形例1において第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bのいずれか一方に不具合が生じた場合でもウェーハ12のレーザ加工を継続可能な機能を有する。具体的には、第9実施形態の変形例2には、上記第5実施形態(図18及び図19参照)と同様に、バイパス光学系72,74が設けられている。なお、上記第5実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
このように第9実施形態の変形例2ではバイパス光学系72,74を設けることで、上記第4実施形態と同様に、第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bのいずれか一方に不具合が生じた場合でもウェーハ12のレーザ加工を継続することができる。
<その他>
上記第9実施形態においても上記第2実施形態(図8~図11参照)と同様に、第1回転機構44により2条の縁切り溝18の幅を調整したり、第2回転機構46により第2レーザ光L2の幅を調整したりしてもよい。
また、上記第9実施形態においても上記第3実施形態(図12参照)と同様に、ミラー37,39B及び移動機構48,49B等を用いて、2本の第1レーザ光L1のスポット及び第2レーザ光L2のスポットのY方向位置を調整可能にしてもよい。
さらに、上記第9実施形態(変形例1、2を含む)に対して上記第7実施形態及び第8実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
[第10実施形態]
図37は、第10実施形態のレーザ加工装置10のレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。上記第9実施形態では、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向に応じて第1集光レンズ38を用いた縁切り加工及び第2集光レンズ40を用いた中抜き加工と、第2集光レンズ40を用いた縁切り加工及び第1集光レンズ38を用いた中抜き加工とを切り替えている。これに対して、第10実施形態では、上記第9実施形態と同様に縁切り加工を行うと共に、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40の双方を用いた中抜き加工を行う。
第10実施形態のレーザ光学系24は、λ/2板208の機能が一部異なる点を除けば、第9実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成であるので、上記第9実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
第10実施形態のλ/2板208は、既述の制御装置30によって基準角度状態から22.5度回転した半回転状態に設定される。λ/2板208は、半回転状態では、第2光形成素子34から第2レーザ光L2(P偏光)が入射された場合に、第2レーザ光L2の偏光方向を45度回転させる。
第10実施形態の偏光ビームスプリッタ210は、半回転状態のλ/2板208を通過した第2レーザ光L2のうち、P偏光成分を透過して偏光ビームスプリッタ212に向けて出射すると共に、S偏光成分をミラー220に向けて反射する。これにより、偏光ビームスプリッタ210により第2レーザ光L2が2分割される。偏光ビームスプリッタ210を透過した第2レーザ光L2(P偏光)は、偏光ビームスプリッタ212及びλ/2板214を透過して第2集光レンズ40に導かれる。
一方、偏光ビームスプリッタ210により反射された第2レーザ光L2(S偏光)は、ミラー220により反射されて偏光ビームスプリッタ202に入射する。そして、第2レーザ光L2(S偏光)は、偏光ビームスプリッタ202によりλ/2板204に向けて反射され、このλ/2板204によりP偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ206を透過して第1集光レンズ38に導かれる。その結果、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40の双方によりストリートC(復路)上に第2レーザ光L2が集光される。
レーザ光学系24の復路方向側X2への相対移動によりストリートC(復路)に沿って第2集光レンズ40により縁切り加工及び中抜き加工が先行して実行されることで2条の縁切り溝18及び中抜き溝19が先行形成され、続いて第1集光レンズ38により中抜き加工が実行されることで先の中抜き溝19上に再び中抜き溝19が形成される。これにより、加工送り方向において互いに隣り合う第2レーザ光L2のスポットのオーバーラップ率を向上させることができる。
なお、レーザ光学系24を往路方向側X1に相対移動させる場合には、偏光ビームスプリッタ202にて反射された第2レーザ光L2(S偏光)を、偏光ビームスプリッタ206に入射するまでの間にP偏光に変換する必要がある。この場合には、例えば、偏光ビームスプリッタ202と偏光ビームスプリッタ206との間の第2レーザ光L2の光路上のみにλ/2板(回転状態)を一時的に配置する。これにより、レーザ光学系24の往路方向側X1への相対移動によりストリートC(往路)に沿って第1集光レンズ38により縁切り加工及び中抜き加工が先行して実行され、続いて第2集光レンズ40により中抜き加工が実行される。
以上のように第10実施形態では、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向に応じて、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40のいずれか一方による縁切り加工及び中抜き加工と、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40の他方による中抜き加工と、を含む疑似的な3点同時加工を実行することができる。その結果、ストリートC上での第2レーザ光L2のスポットのオーバーラップ率を向上させることができる。
なお、ストリートC上での2本の第1レーザ光L1のスポットのオーバーラップ率を向上させる場合には、λ/2板208を半回転状態に設定する代わりに、λ/2板204を半回転状態に設定する。これにより、λ/2板204が偏光ビームスプリッタ202から入射した2本の第1レーザ光L1(P偏光)をP偏光とS偏光とに2分割して偏光ビームスプリッタ206に向けて出射する。その結果、2本の第1レーザ光L1のP偏光が第1集光レンズ38に導かれ、且つS偏光が偏光ビームスプリッタ212(第2集光レンズ40)に導かれる。
従って、ウェーハ12に対するレーザ光学系24の相対移動方向に応じて、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40のいずれか一方による縁切り加工と、第1集光レンズ38及び第2集光レンズ40の他方による縁切り加工及中抜き加工と、を含む疑似的な3点同時加工を実行することができる。その結果、ストリートC上での2本の第1レーザ光L1のスポットのオーバーラップ率を向上させることができる。
<変形例>
上記第10実施形態においても、上記第9実施形態(変形例1、2を含む)と同様に、上記第2実施形態から第8実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
[第11実施形態]
図38は、ウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動される第11実施形態のレーザ加工装置10のレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図39は、図38中の点線円K1内の拡大図である。図40は、ウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動される第11実施形態のレーザ加工装置10のレーザ光学系24による縁切り加工及び中抜き加工を説明するための説明図である。図41は、図40中の点線円K2内の拡大図である。
上記各実施形態では、ウェーハ12に対してレーザ光学系24を往路方向側X1と復路方向側X2とに相対移動させながら複数の各種レンズを用いて縁切り加工及び中抜き加工を実行している。これに対して第11実施形態では、ウェーハ12に対してレーザ光学系24を往路方向側X1と復路方向側X2とに相対移動させながら1個の第1集光レンズ38のみを用いて縁切り加工及び中抜き加工を実行する。
図38から図41に示すように、第11実施形態のレーザ光学系24は、第1集光レンズ38及び接続光学系200Aを備えると共に、第1光形成素子32が2本の第1レーザ光L1(S偏光)を生成し且つ第2光形成素子34が第2レーザ光L2(P偏光)を生成する点を除けば、上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
第11実施形態の第1集光レンズ38は、後述の接続光学系200Aから入射される2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2をストリートC上に集光させる。なお、図39及び図41中の符号OPは第1集光レンズ38の光軸を示し、符号SPAは2本の第1レーザ光L1のスポットを示し、符号SPBは第2レーザ光L2のスポットを示す。
接続光学系200Aは、第1光形成素子32から出射された2本の第1レーザ光L1と、第2光形成素子34から出射された第2レーザ光L2とを第1集光レンズ38に導く。この際に接続光学系200Aは、相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動させる場合には、2本の第1レーザ光L1のスポットSPAを第2レーザ光L2のスポットSPBに対して往路方向側X1に相対的にシフトさせる。また逆に接続光学系200Aは、相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動させる場合には、2本の第1レーザ光L1のスポットSPAを第2レーザ光L2のスポットSPBに対して復路方向側X2に相対的にシフトさせる。
接続光学系200Aは、シフト素子230と、ミラー232と、偏光ビームスプリッタ234と、を備える。
シフト素子230及びミラー232は、第1光形成素子32から偏光ビームスプリッタ234に至る光路上に配置されている。
シフト素子230は、例えば複数のプリズム(シフトプリズム)或いは複数のミラー等により構成されており、第1光形成素子32から入射した2本の第1レーザ光L1をX方向にシフトした後、この2本の第1レーザ光L1をZ方向下方側に位置するミラー232に向けて出射する。このシフト素子230をZ軸周りに回転させることで、2本の第1レーザ光L1のシフト方向を任意に調整することができる。シフト素子230は、Z軸の軸周り方向において、第1角度位置にセットされた場合に2本の第1レーザ光L1を往路方向側X1にシフトさせ、第1角度位置から180度回転した第2角度位置にセットされた場合に2本の第1レーザ光L1を復路方向側X2にシフトさせる。
ミラー232は、シフト素子230から入射した2本の第1レーザ光L1を偏光ビームスプリッタ234に導く。
偏光ビームスプリッタ234は、第2光形成素子34から第1集光レンズ38に至る光路上に配置されている。この偏光ビームスプリッタ234は、ミラー232から入射した2本の第1レーザ光L1(S偏光)を第1集光レンズ38に向けて反射すると共に、第2光形成素子34から入射した第2レーザ光L2(P偏光)を透過して第1集光レンズ38へ出射する。これにより、第1集光レンズ38によりストリートC上に2本の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が集光される。
図38及び図39に示すように、第11実施形態の制御装置30は、ストリートC(往路)のレーザ加工を行う場合、すなわち相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して往路方向側X1に相対移動させる場合に、シフト素子230を第1角度位置にセットする。これにより、ストリートC(往路)上において、2本の第1レーザ光L1のスポットSPAが第2レーザ光L2のスポットSPBに対して往路方向側X1にシフトされる。その結果、上記各実施形態と同様に、レーザ光学系24の往路方向側X1への相対移動によりストリートC(往路)に沿って縁切り加工が先行して実行され、続いて中抜き加工が実行される。
図40及び図41に示すように、第11実施形態の制御装置30は、ストリートC(復路)のレーザ加工を行う場合、すなわち相対移動機構28がレーザ光学系24をウェーハ12に対して復路方向側X2に相対移動させる場合に、シフト素子230を第2角度位置にセットする。これにより、ストリートC(復路)上において、2本の第1レーザ光L1のスポットSPAが第2レーザ光L2のスポットSPBに対して復路方向側X2にシフトされる。その結果、上記各実施形態と同様に、レーザ光学系24の復路方向側X2への相対移動によりストリートC(復路)に沿って縁切り加工が先行して実行され、続いて中抜き加工が実行される。
以上のように第11実施形態では、シフト素子230により2本の第1レーザ光L1を第2レーザ光L2に対して加工送り方向側に相対的にシフトさせることで、1個の第1集光レンズ38によりストリートC(往路及び復路)の縁切り加工及び中抜き加工を実行することができる。その結果、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
<変形例>
上記第11実施形態では、シフト素子230により2本の第1レーザ光L1(スポットSPA)をシフトさせているが、第2レーザ光L2(スポットSPB)を加工送り方向とは反対方向側にシフトさせてもよい。
図42は、第11実施形態の変形例を説明するための説明図である。図42の符号XLIIA及び符号XLIIBに示すように、第11実施形態においても、上記第2実施形態(図8~図11参照)と同様に、第1回転機構44により2条の縁切り溝18の幅を調整したり、第2回転機構46により第2レーザ光L2の幅を調整したりしてもよい。
また、上記第11実施形態においても、上記第4実施形態、第5実施形態、第7実施形態、及び第8実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
[その他]
上記各実施形態では、各安全シャッタ100,100A,100Bを光路上に挿脱させることで縁切り加工及び中抜き加工のオフオンを切り替えているが、レーザ光源22(第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22B)をオンオフさせることで縁切り加工及び中抜き加工のオンオフを切り替えてもよい。
[付記]
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(付記項1)
ウェーハを保持するテーブルと、前記テーブルに対向する位置に配置されたレーザ光学系とを前記ウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつレーザ光学系からレーザ光を前記ウェーハに照射することにより、前記ストリートに沿って互いに平行な2条の第1溝を形成する縁切り加工と、前記2条の第1溝の間に第2溝を形成する中抜き加工と、を前記ストリートごとに行うレーザ加工装置において、
前記レーザ光学系が、
前記縁切り加工に対応する2本の第1レーザ光と、前記中抜き加工に対応する第2レーザ光と、を出射するレーザ光出射系と、
前記2本の第1レーザ光及び前記第2レーザ光を加工対象の前記ストリートに集光させる集光光学系と、
を備え、
前記集光光学系が、前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記加工送り方向の往路方向側に相対移動される場合には、前記2本の第1レーザ光を前記第2レーザ光に対して前記往路方向側に相対的にシフトした位置で前記ストリートに集光させ、且つ前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記加工送り方向の復路方向側に相対移動される場合には、前記2本の第1レーザ光を前記第2レーザ光に対して前記復路方向側に相対的にシフトした位置で前記ストリートに集光させるレーザ加工装置。
(付記項2)
前記集光光学系が、
前記2本の第1レーザ光を前記ウェーハに集光させる第1集光レンズと、
前記第1集光レンズを間に挟んで前記第1集光レンズと共に前記加工送り方向に沿って一列に配置された2個の第2集光レンズであって、第2集光レンズごとに前記第2レーザ光を前記ウェーハに集光させる2個の第2集光レンズと、
前記レーザ光出射系から出射された前記2本の第1レーザ光を前記第1集光レンズに導き且つ前記レーザ光出射系から出射された前記第2レーザ光を2個の前記第2集光レンズに選択的に導く接続光学系と、
を備え、
前記接続光学系が、前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記往路方向側に相対移動される場合に、前記第2レーザ光を前記第1集光レンズに対して前記復路方向側に位置する前記第2集光レンズに導き、且つ前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記復路方向側に相対移動される場合に、前記第2レーザ光を前記第1集光レンズに対して前記往路方向側に位置する前記第2集光レンズに導く付記項1に記載のレーザ加工装置。
(付記項3)
前記集光光学系が、
前記加工送り方向に沿って一列に配置された2個の第1集光レンズであって、第1集光レンズごとに前記2本の第1レーザ光を前記ウェーハに集光させる2個の第1集光レンズと、
2個の前記第1集光レンズの間に配置された第2集光レンズであって、前記第2レーザ光を前記ウェーハに集光させる第2集光レンズと、
前記レーザ光出射系から出射された前記2本の第1レーザ光を2個の前記第1集光レンズに選択的に導き且つ前記レーザ光出射系から出射された前記第2レーザ光を前記第2集光レンズに導く接続光学系と、
を備え、
前記接続光学系が、前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記往路方向側に相対移動される場合に、前記2本の第1レーザ光を前記第2集光レンズに対して前記往路方向側に位置する前記第1集光レンズに導き、且つ前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記復路方向側に相対移動される場合に、前記2本の第1レーザ光を前記第2集光レンズに対して前記復路方向側に位置する前記第1集光レンズに導く付記項1に記載のレーザ加工装置。
(付記項4)
前記集光光学系が、
前記加工送り方向に沿って一列に配置された2個の集光レンズと、
前記レーザ光出射系から出射された前記2本の第1レーザ光及び前記第2レーザ光を前記集光レンズに導く接続光学系と、
を備え、
前記接続光学系が、前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記往路方向側に相対移動される場合に、前記2本の第1レーザ光を前記往路方向側の前記集光レンズに導き且つ前記第2レーザ光を前記復路方向側の前記集光レンズに導き、前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記復路方向側に相対移動される場合に、前記2本の第1レーザ光を前記復路方向側の前記集光レンズに導き且つ前記第2レーザ光を前記往路方向側の前記集光レンズに導く付記項1に記載のレーザ加工装置。
(付記項5)
前記接続光学系が、前記2本の第1レーザ光及び前記第2レーザ光のいずれか一方を2分割して、前記一方を2個の前記集光レンズの双方に導く付記項4に記載のレーザ加工装置。
(付記項6)
前記集光光学系が、
集光レンズと、
前記レーザ光出射系から出射された前記2本の第1レーザ光及び前記第2レーザ光を前記集光レンズに導く接続光学系と、
を備え、
前記接続光学系が、前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記往路方向側に相対移動される場合に、前記2本の第1レーザ光に対して前記第2レーザ光を前記復路方向側に相対的にシフトさせ、且つ前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記復路方向側に相対移動される場合に、前記2本の第1レーザ光に対して前記第2レーザ光を前記往路方向側に相対的にシフトさせるシフト素子を備える付記項1に記載のレーザ加工装置。
(付記項7)
前記第1集光レンズを、前記テーブルに平行で且つ前記加工送り方向に垂直な垂直方向に移動させる第1移動機構と、
前記第2集光レンズを、前記垂直方向に移動させる第2移動機構と、
を備える付記項2又は3に記載のレーザ加工装置。
(付記項8)
前記集光レンズを、前記テーブルに平行で且つ前記加工送り方向に垂直な垂直方向に移動させる移動機構を備える付記項4又は5に記載のレーザ加工装置。
(付記項9)
前記レーザ光出射系が、
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を2分岐させる分岐素子と、
前記分岐素子により2分岐された前記レーザ光の一方から前記2本の第1レーザ光を形成する第1光形成素子と、
前記分岐素子により2分岐された前記レーザ光の他方から前記第2レーザ光を形成する第2光形成素子と、
を備える付記項1から8のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
(付記項10)
前記レーザ光出射系が、
前記縁切り加工に対応する条件のレーザ光を出射する第1レーザ光源と、
前記中抜き加工に対応する条件のレーザ光を出射する第2レーザ光源と、
前記第1レーザ光源から出射された前記レーザ光から前記2本の第1レーザ光を形成する第1光形成素子と、
前記第2レーザ光源から出射された前記レーザ光から前記第2レーザ光を形成する第2光形成素子と、
を備える付記項1から8のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
(付記項11)
前記第1レーザ光源に不具合が生じた場合に前記第2レーザ光源から出射された前記レーザ光を2分岐して前記第1光形成素子及び前記第2光形成素子に出射し、且つ前記第2レーザ光源に不具合が生じた場合に前記第1レーザ光源から出射された前記レーザ光を2分岐して前記第1光形成素子及び前記第2光形成素子に出射するバイパス光学系を備える付記項10に記載のレーザ加工装置。
(付記項12)
前記第1光形成素子を、前記第1光形成素子の光軸を中心とする軸周り方向に回転させる第1回転機構を備える付記項9から11のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
(付記項13)
前記第2光形成素子が、前記ウェーハに非円形状のスポットを形成する前記第2レーザ光を形成し、
前記第2光形成素子を、前記第2光形成素子の光軸を中心とする軸周り方向に回転させる第2回転機構と、
を備える付記項9から12のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
(付記項14)
前記テーブルに平行で且つ互いに直交する方向を第1方向及び第2方向とした場合に、前記第2光形成素子が、前記第1方向においてトップハット形状の強度分布を有し且つ前記第2方向においてガウシアン形状の強度分布を有する前記第2レーザ光を形成する付記項9から13のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
(付記項15)
前記集光光学系が、
前記2本の第1レーザ光を前記ウェーハに集光させる第1集光レンズが前記加工送り方向に沿って複数配置されている第1集光レンズ群と、
前記第1集光レンズ群を間に挟んで前記第1集光レンズ群と共に前記加工送り方向に沿って一列に配置された2組の第2集光レンズ群であって、第2集光レンズ群ごとに前記第2レーザ光を前記ウェーハに集光させる第2集光レンズが前記加工送り方向に沿って複数配置されている第2集光レンズ群と、
前記レーザ光出射系から出射された前記2本の第1レーザ光を前記第1集光レンズ群に導き且つ前記レーザ光出射系から出射された前記第2レーザ光を2組の前記第2集光レンズ群に選択的に導く接続光学系と、
を備え、
前記接続光学系が、前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記往路方向側に相対移動される場合に、前記第2レーザ光を前記第1集光レンズ群に対して前記復路方向側に位置する前記第2集光レンズ群に導き、且つ前記テーブルに対して前記レーザ光学系が前記復路方向側に相対移動される場合に、前記第2レーザ光を前記第1集光レンズ群に対して前記往路方向側に位置する前記第2集光レンズ群に導く付記項1に記載のレーザ加工装置。