JP7198647B2 - 安定液の廃液処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、安定液の廃液処理方法に関する。
杭工事や連続地中壁工事では、掘削溝壁の安定や掘削土砂の運搬分離等を目的として、水(作液水)、ベントナイト、ポリマー等を含有する安定液を使用する。性能が劣化した安定液は、廃液(建設汚泥)として処分しなければならない(以下、安定液の廃液を廃安定液という)。しかし、都市部での大規模工事では、日々発生する廃安定液の処理に時間を掛けることができない。このため、バキューム車で回収し、建設汚泥として処理を行っていた。
廃安定液を下水放流することにより建設汚泥としての処理コストを削減できるが、それには下水道への放流基準を満たす必要がある。この際、問題となるのは浮遊物質量(SS)とpHであり、特に浮遊物質量(SS)の低減が困難である。浮遊物質量(SS)は、現地で固液分離処理を行うことにより低減され、浮遊物質は、固液分離処理に先立って廃安定液に凝集剤を添加することにより、凝集されると考えられる。例えば、特許文献1には、カチオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上と、アニオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上とを予め配合して固液分離剤を作製し、当該固液分離剤を廃安定液に添加する固液分離方法が開示されている。
特開2007-7535号公報
通常、廃安定液中の土砂等は負に帯電しており、これらの土砂は粒子間が互いに反発することにより分散状態にあると考えられる。このため、上記特許文献1記載の技術のように、カチオン系有機凝集剤とアニオン系有機凝集剤とを予め配合した固液分離剤を、貯留槽内に貯留された廃安定液に添加すると、貯留槽内ではフロックの形成が期待できるものの、遠心分離機への移送過程にてポンプにより汲み上げる際に、フロックの破壊を招くといった課題がある。廃安定液中のフロックが破壊されると、遠心分離機では浮遊物質を十分に遠心分離することができず、分離水における単位容積あたりの浮遊物質量が下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たさない可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃安定液を遠心分離機によって処理する際に、分離水に含まれる浮遊物質量を効果的に低減することにある。
前述の目的を達成するため、本発明に係る安定液の廃液処理方法は、安定液の廃液にカチオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加する第1工程と、前記廃液にアニオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加する第2工程と、前記カチオン系有機凝集剤及び前記アニオン系有機凝集剤が添加された前記廃液を遠心分離機により固液分離する第3工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る安定液の廃液処理方法は、安定液の廃液にアニオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加する第1工程と、前記廃液にカチオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加する第2工程と、前記アニオン系有機凝集剤及び前記カチオン系有機凝集剤が添加された前記廃液を遠心分離機により固液分離する第3工程と、を含むことを特徴とする。
また、前記第1工程と前記第2工程との間に、前記第1工程で添加された有機凝集剤をラインミキサーにより前記廃液と撹拌混合する工程をさらに含むことが好ましい。
また、前記第3工程で固液分離により得られる分離水に対して炭酸ガスによる中和処理を施す工程をさらに含むことが好ましい。
また、前記第3工程で固液分離により得られる分離水に対して、少なくともベントナイト及び、ポリマー剤を添加して新たな安定液を作製する工程をさらに含むことが好ましい。
また、前記カチオン系有機凝集剤は、10%溶液の粘度が12cps以下であることが好ましい。
また、前記カチオン系有機凝集剤は、P-DADMAC系有機凝集剤、又は、ポリアミン系有機凝集剤の少なくとも一種であることが好ましい。
また、前記アニオン系有機凝集剤は、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物の有機凝集剤であることが好ましい。
本発明によれば、廃安定液を遠心分離機によって処理する際に、分離水に含まれる浮遊物質量を効果的に低減することができる。
対象となるカチオン系有機凝集剤について物性を説明する図である。 カチオン系有機凝集剤の選定試験に用いた廃液サンプルにおける物性を説明する図である。 カチオン系有機凝集剤の選定試験の結果を説明する図である。 対象となるアニオン系有機凝集剤について説明する図である。 アニオン系有機凝集剤の確認試験の結果を説明する図である。 各試験サンプルのカチオン系有機凝集剤の添加濃度と、浮遊物質量(SS)との測定結果を説明する図である。 各試験サンプルのカチオン系有機凝集剤の添加濃度と、上澄み液量との測定結果を説明する図である。 二段階添加サンプル及び、混合添加サンプルのカチオン系有機凝集剤の添加濃度と、浮遊物質量(SS)との測定結果を説明する図である。 二段階添加サンプル及び、混合添加サンプルのカチオン系有機凝集剤の添加濃度と、上澄み液量との測定結果を説明する図である。 凝集剤の二段階添加による凝集効果を説明する図である。 実証試験に用いた3種類の廃安定液サンプルを説明する図である。 実証試験に用いた試験装置の概要を説明する図である。 スクリューデカンタ型遠心分離機の内部構造を説明する図である。 凝集効果の実証試験結果を説明する図である。 安定液の廃液処理方法を説明するフロー図である。 安定液の廃液処理方法を説明するフロー図である。 分離水の再利用試験の結果を説明する図である。
以下、添付図面に基づいて、本実施形態に係る安定液の廃液処理方法について説明する。本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、土木工事で発生する汚泥のうち、特に、廃安定液に対して、本開示の技術を適用することにより、分離水が下水道の放流基準を満たすことを見出した。以下、この着想を具現化するために各試験を行った。
〔カチオン系有機凝集剤〕
まず、図1を参照し、対象となる5種類のカチオン系有機凝集剤について物性を説明する。なお、カチオン系有機凝集剤については、粘度が効果に大きく影響するため、B型粘度計を用いて粘度を計測した。以下に示す粘度は、B型粘度計のNo.1ローターを使用し、回転数60rpmで計測した値である。
1番目のカチオン系凝集剤C1は、ダドマック系有機凝集剤(例えば、大明化学工業株式会社の高分子凝集剤、商品名:TC-7400)である。この凝集剤は、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(P-DADMAC)を主成分として含有する。P-DADMACは、次式(1)に示す構造の重合体であり、液体状である。本実施形態では、原液を体積濃度で10%に希釈した希釈液を用いた。この希釈液の粘度は9.5cpsである。
[[(CH)(CHCH=CH]Cl ・・・ (1)
2番目のカチオン系凝集剤C2は、ポリアミン系有機凝集剤である。この凝集剤は、例えば次式(2)に示す構造を有する液体状の重合体である。本実施形態では、原液を体積濃度で10%に希釈した希釈液を用いた。この希釈液の粘度は12.0cpsである。
(CClOCN) ・・・ (2)
3番目のカチオン系凝集剤C3は、メタクリレート系カチオン性有機高分子凝集剤である。この凝集剤は粉体状である。本実施形態では、0.1重量%の濃度で溶媒(水)に溶解した溶解液を用いた。溶解液の粘度は44.5cpsである。
4番目のカチオン系凝集剤C4は、アクリレート系カチオン性有機高分子凝集剤である。この凝集剤は粉体状である。本実施形態では、0.1重量%の濃度で溶媒(水)に溶解した溶解液を用いた。溶解液の粘度は31.0cpsである。
5番目のカチオン系凝集剤C5は、アクリレート系カチオン性有機高分子凝集剤である。この凝集剤は粉体状である。本実施形態では、0.1重量%の濃度で溶媒(水)に溶解した溶解液を用いた。溶解液の粘度は15.0cpsである。
〔カチオン系有機凝集剤の選定試験〕
前述の5種類のカチオン系有機凝集剤C1~C5を用いて選定試験を行った。この選定試験には、ベントナイト系安定液の廃液として、図2に示す廃液サンプルを用いた。この廃液サンプルは、ベントナイト、CMC、分散剤を含んだ泥水であり、pHが10.5、単位容積あたりの浮遊物質量(SS)が56000mg/L、電気伝導度が285mS/m、比重1.038g/cmであった。また、溶存イオン濃度は、Naが662mg/L、Kが13mg/L、Ca2+が28mg/L、Clが309mg/L、SO 2-が298mg/Lであり、多くのベントナイトが残存していた。
選定試験では、廃液サンプルを容積85mLの複数の遠沈管のそれぞれに50mL秤り取った。秤り取った各廃液サンプルに対して硫酸(pH調整剤)を添加し、pHを中性域(pH6~8の範囲内)に調整した。各廃液サンプルに対して、前述の5種類のカチオン系有機凝集剤C1~C5をそれぞれ、10000mg/L(原液換算で10000mg/L)、20000mg/L(原液換算で20000mg/L)の濃度となるように添加した。各廃液サンプルを遠心分離機にセットし、回転数2600rpm、5秒間の条件で遠心分離を行った。
遠心分離後の上澄み液を分離水としてデカンテーションにより採取し、分離水の量を記録した。記録した量を採取量(50mL)で除し、分離水割合(%)を算出した。分離水については濁度を測定し、予め測定しておいた濁度と浮遊物質量(SS)との関係式を適用することで浮遊物質量(SS)に換算した。また、分離水のpHを測定した。
〔カチオン系有機凝集剤の選定結果〕
選定試験の結果を図3に示す。ここで、分離水割合については、30%以上を合格の判定基準とした。浮遊物質量(SS)については、下水道への放流基準値である600mg/L以下を合格の判定基準とした。そして、分離水割合と浮遊物質量に関し、分離水割合が40%以上であって浮遊物質量が600mg/L以下の条件を満たす場合には優良評価(◎)とし、分離水割合が30%以上40%未満であって浮遊物質量が600mg/L以下の条件を満たす場合には良評価(○)とし、分離水割合が30%未満であって浮遊物質量が600mg/Lを超える場合には不可評価(×)とした。なお、分離水のpHについては全ての凝集剤で中性域(pH6~8)を示した。
1番目のカチオン系有機凝集剤C1について説明する。分離水割合に関しては、凝集剤添加濃度を10000mg/Lにした場合には40%であり、20,000mg/Lにした場合には60%であった。何れも40%以上であり、判定基準を満たしていた。浮遊物質量(SS)に関し、凝集剤添加濃度を10000mg/Lにした場合には251mg/Lであり、20000mg/Lにした場合には92mg/Lであった。何れも600mg/L以下であり、判定基準を満たしていた。この結果、1番目のカチオン系有機凝集剤C1については優良評価となった。
2番目のカチオン系有機凝集剤C2について説明する。分離水割合に関しては、凝集剤添加濃度を10000mg/Lにした場合には30%であり、20000mg/Lにした場合には54%であった。何れも30%以上であり、判定基準を満たしていた。浮遊物質量(SS)に関し、凝集剤添加濃度を10000mg/Lにした場合には254mg/Lであり、20000mg/Lにした場合には197mg/Lであった。何れも600mg/L以下であり、判定基準を満たしていた。この結果、2番目のカチオン系有機凝集剤C2については良評価となった。
3番目のカチオン系凝集剤C3について説明する。分離水割合に関しては、凝集剤添加濃度を10000mg/Lにした場合、20000mg/Lにした場合のそれぞれにおいて10%であった。何れも30%未満であり、判定基準を満たさなかった。浮遊物質量(SS)に関しては、分離水(試料)が少なすぎたため測定できなかった。この結果、3番目のカチオン系有機凝集剤C3については不可評価となった。
4番目のカチオン系凝集剤C4について説明する。分離水割合に関しては、凝集剤添加濃度を10000mg/Lにした場合、20000mg/Lにした場合のそれぞれにおいて10%であった。何れも30%未満であり、判定基準を満たさなかった。浮遊物質量(SS)に関しては、分離水が少なすぎたため測定できなかった。この結果、4番目のカチオン系有機凝集剤C4については不可評価となった。
5番目のカチオン系凝集剤C5について説明する。分離水割合に関しては、凝集剤添加濃度を10000mg/Lにした場合、20000mg/Lにした場合のそれぞれにおいて20%であった。何れも30%未満であり、判定基準を満たさなかった。浮遊物質量(SS)に関しては、20000mg/Lにした場合のみ測定が行え、950mg/Lであり、600mg/L以下に達しなかった。この結果、5番目のカチオン系有機凝集剤C5については不可評価となった。
以上より、これら5種類のカチオン系有機凝集剤C1~C5のうち、1番目のカチオン系有機凝集剤C1について優良評価が得られ、2番目のカチオン系有機凝集剤C2について良評価が得られた。この結果から、本実施形態では、1番目のカチオン系有機凝集剤C1を凝集剤として選定した。
1、2番目のカチオン系有機凝集剤C1,C2について優良評価又は良評価が得られ、3~5番目のカチオン系有機凝集剤C3~C5について不可評価又は可評価となった理由について考察する。図1に示される凝集剤の濃度は、一般的に現場で使用される濃度である。これ以上濃度を増加させると粘度が上昇し、作業性が悪くなるため利用できない。1,2番目のカチオン系有機凝集剤C1,C2は比較的粘度が低いため、3~5番目のカチオン系有機凝集剤C3~C5よりも10%溶液と高濃度の溶液を廃安定液に適用できる。また、10%溶液の粘度が12cpsと低いため、凝集剤の分子は廃安定液中に容易に分散することができる。そのため、粘土粒子に効率よく吸着することが可能となり、凝集が促進されたものと考えられる。なお、本実施形態では10%溶液を使用したが、10%以下の溶液、例えば2%~8溶液であっても同様の作用効果が得られると考えられる。
〔アニオン系有機凝集剤〕
次に、図4を参照し、使用したアニオン系有機凝集剤について説明する。
アニオン系有機凝集剤A1は、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物の凝集剤(例えば、大明化学工業株式会社の高分子凝集剤、商品名:TA-310)であり、粉体状である。本実施形態では、0.2重量%の濃度で溶媒(水)に溶解した溶解液を用いた。
〔アニオン系有機凝集剤の確認試験〕
前述のアニオン系有機凝集剤A1を用いて確認試験を行った。確認試験は、人工的に作製した模擬廃安定液に対して、アニオン系有機凝集剤を前述のカチオン系有機凝集剤C1と組み合わせて添加した後の状況を観察することにより行った。模擬廃安定液は、工業用水にベントナイト2%、ポリマー剤0.2%、笠岡粘土19%、セメント2%を添加して、撹拌することにより作製した。
確認試験では、ビーカーに秤取した200mlの複数の模擬廃安定液サンプルに対して、カチオン系有機凝集剤C1をそれぞれ1000mg/L、2000mg/L、3000mg/Lの濃度となるように添加して約10秒撹拌した。撹拌後の模擬廃安定液サンプルに、前述のアニオン系有機凝集剤A1を200mg/L、300mg/Lの濃度となるように添加して約10秒撹拌し、フロック径を目視により確認した。フロック径が1mm以上確認できた模擬廃安定液サンプルについては遠心分離機にセットし、遠心力200G、30秒間の条件で遠心分離を行い、上澄み液量を測定した。
〔アニオン系有機凝集剤の確認試験結果〕
確認試験の結果を図5に示す。ここで、フロック径については、1mm以上を合格の判定基準とした。カチオン系有機凝集剤C1とアニオン系有機凝集剤A1との組み合わせでは、(1)カチオン系有機凝集剤C1を1000mg/L、アニオン系有機凝集剤A1を300mg/L添加したケース、(2)カチオン系有機凝集剤C1を2000mg/L、アニオン系有機凝集剤A1を200mg/L添加したケース、(3)カチオン系有機凝集剤C1を2000mg/L、アニオン系有機凝集剤A1を300mg/L添加したケースにてフロック径が1mm以上に成長し、上澄み液量が98~100mLとなった。
以上より、アニオン系有機凝集剤A1の添加量については、概ね300mg/Lが適正値であり、カチオン系有機凝集剤及びアニオン系有機凝集剤ともに低い濃度領域(少ない添加量)でフロックの成長を促進させることができる結果が得られた。
〔凝集効果確認試験.1〕
上述のアニオン系有機凝集剤A1をカチオン系有機凝集剤C1に添加することによる凝集効果の確認試験を行った。この確認試験では、模擬廃安定液に対して、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を添加した試験サンプルAの凝集効果と、硫酸及びカチオン系有機凝集剤C1を添加した試験サンプルBの凝集効果とを比較することにより行った。
カチオン系有機凝集剤C1は、原液を体積濃度で約10%に希釈した希釈液を用いた。アニオン系有機凝集剤A1は、0.2重量%の濃度で溶媒(水)に溶解した溶解液を用いた。模擬廃安定液は、工業用水にベントナイト2%、CMC0.2%、分散剤0.2%を添加した安定液に笠岡粘土を加えて比重を1.05g/cmに調整し、セメント0.5%を添加して所定時間放置することにより作製した。
試験サンプルAは、ビーカーに秤取した200mlの複数の模擬廃安定液に対してカチオン系有機凝集剤C1をそれぞれ1000mg/L、2000mg/L、3000mg/L、4000mg/L、5000mg/L、5500mg/L、6000mg/Lを添加して30秒間に亘って撹拌後、アニオン系有機凝集剤A1をそれぞれ120mg/Lを添加して30秒間に亘って撹拌した。撹拌後の試験サンプルAに対して遠心分離を行った。遠心分離の条件は、回転数2600rpm、5秒間とした。
試験サンプルBは、ビーカーに秤取した200mlの複数の模擬廃安定液に硫酸を添加してpH8に調整後、カチオン系有機凝集剤C1をそれぞれ1000mg/L、2000mg/L、3000mg/L、4000mg/L、5000mg/L、5500mg/L、6000mg/Lを添加して30秒間に亘って撹拌した。撹拌後の試験サンプルBに対して遠心分離を行った。遠心分離の条件は、回転数2600rpm、5秒間とした。
これらの試験サンプルA,Bに対して、遠心分離後の上澄み液を分離水としてデカンテーションにより採取し、上澄み液の量を記録した。分離水については濁度を測定し、予め測定しておいた濁度と浮遊物質量(SS)との関係式を適用することで浮遊物質量に換算した。
以下、凝集効果確認試験の結果について説明する。図6は、試験サンプルA,Bのカチオン系有機凝集剤C1の添加濃度と、浮遊物質量(SS)との関係を示す測定結果である。図7は、試験サンプルA,Bのカチオン系有機凝集剤C1の添加濃度と、上澄み液量との関係を示す測定結果である。
まず、図6に示す浮遊物質量(SS)について説明する。カチオン系有機凝集剤C1の添加濃度が同じ場合には、硫酸で中和する試験サンプルBよりも、アニオン系有機凝集剤A1を120ppm添加した試験サンプルAの方が全体的に浮遊物質量(SS)は低下する傾向を示した。また、試験サンプルAについては、カチオン系有機凝集剤C1を2000mg/L以上添加すれば、浮遊物質量(SS)は下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たした。一方、試験サンプルBについては、カチオン系有機凝集剤C1を3000mg/L以上添加しなければ、浮遊物質量(SS)は下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たさなかった。
次に、図7に示す上澄み液量について説明する。上澄み液量についても、カチオン系有機凝集剤C1を5000mg/L添加したケースを除き、硫酸で中和後にカチオン系有機凝集剤C1を添加した試験サンプルBよりも、カチオン系有機凝集剤C1及びアニオン系有機凝集剤A1を添加した試験サンプルAの方が、上澄み液量は多くなる傾向を示した。
以上の結果より、硫酸で中和後にカチオン系有機凝集剤C1のみで凝集処理するよりも、カチオン系有機凝集剤C1及びアニオン系有機凝集剤A1を添加して凝集処理する方が、凝集効果は高くなることが確認された。すなわち、凝集剤としては、カチオン系有機凝集剤C1のみならず、カチオン系有機凝集剤C1にアニオン系有機凝集剤A1を添加して用いる方が高い凝集効果を得られることを確認できた。
〔凝集効果確認試験.2〕
上述のカチオン系有機凝集剤C1及びアニオン系有機凝集剤A1の添加順序による凝集効果の確認試験を行った。この確認試験では、模擬廃安定液に対して、順にカチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を添加する二段階添加サンプルAと、カチオン系有機凝集剤C1及びアニオン系有機凝集剤A1を予め混合して添加する混合添加サンプルBとを比較することにより行った。
カチオン系有機凝集剤C1は、原液を体積濃度で約10%に希釈した希釈液を用いた。アニオン系有機凝集剤A1は、0.2重量%の濃度で溶媒(水)に溶解した溶解液を用いた。模擬廃安定液は、工業用水にベントナイト2%、CMC0.2%、分散剤0.2%を添加して笠岡粘土で比重を1.05g/cmに調整し、セメント0.5%を添加して所定時間放置することにより作製した。
二段階添加サンプルAは、ビーカーに秤取した200mlの複数の模擬廃安定液に対してカチオン系有機凝集剤C1をそれぞれ1000mg/L、2000mg/L、3000mg/L、4000mg/L、5000mg/L、5500mg/L、6000mg/L添加して30秒間に亘って撹拌後、アニオン系有機凝集剤A1をそれぞれ120mg/L添加して30秒間に亘って撹拌した。撹拌後の二段階添加サンプルAに対して遠心分離を行った。遠心分離の条件は、回転数2600rpm、5秒間とした。
混合添加サンプルBは、複数のビーカーにカチオン系有機凝集剤C1をそれぞれ1000mg/L、2000mg/L、3000mg/L、4000mg/L、5000mg/L、5500mg/L、6000mg/L、アニオン系有機凝集剤A1をそれぞれ120mg/L添加して10分間に亘って撹拌して混合溶液を作製した。作製した混合溶液を、ビーカーに秤取した200mlの複数の模擬廃安定液にそれぞれ添加して30秒間に亘って撹拌した。撹拌後の混合添加サンプルBに対して遠心分離を行った。遠心分離の条件は、回転数2600rpm、5秒間とした。
これらの二段階添加サンプルA及び、混合添加サンプルBに対して、遠心分離後の上澄み液を分離水としてデカンテーションにより採取し、上澄み液量を記録した。分離水については濁度を測定し、予め測定しておいた濁度と浮遊物質量(SS)との関係式を適用することで浮遊物質量に換算した。
以下、凝集効果確認試験の結果について説明する。図8は、二段階添加サンプルA及び、混合添加サンプルBのカチオン系有機凝集剤C1の添加濃度と、浮遊物質量(SS)との関係を示す測定結果である。図9は、二段階添加サンプルA及び、混合添加サンプルBのカチオン系有機凝集剤C1の添加濃度と、上澄み液量との関係を示す測定結果である。
まず、図8に示す浮遊物質量について説明する。二段階添加サンプルAについては、カチオン系有機凝集剤C1を2000mg/L以上添加すれば、浮遊物質量(SS)は下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たした。混合添加サンプルBについては、カチオン系有機凝集剤C1を5000mg/L以上添加しなければ、浮遊物質量(SS)は下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たさなかった。
次に、図9に示す上澄み液量について説明する。カチオン系有機凝集剤C1を5000mg/L添加したケースでは、二段階添加サンプルA及び混合添加サンプルBは略同程度の上澄み液量を示したが、カチオン系有機凝集剤C1を5500mg/L、6000mg/L添加したケースでは、何れも二段階添加サンプルAの方が混合添加サンプルBよりも上澄み液量は多くなる傾向を示した。
以上の結果より、カチオン系有機凝集剤C1及びアニオン系有機凝集剤A1を予め混合して添加する混合添加よりも、カチオン系有機凝集剤C1及びアニオン系有機凝集剤A1を順に添加する二段階添加の方が、高い凝集効果を得られることが確認された。
〔結果の考察〕
凝集剤を二段階添加する方が、凝集剤を混合添加するよりも高い凝集効果を得られた理由について考察する。
泥水の土粒子は負に帯電しており、これらは互いに反発しあうことで、図10(A)に示すような分散状態にある。まず、土粒子が分散状態にある泥水に、正電荷を持つカチオン系有機凝集剤C1を添加すると、カチオン系有機凝集剤C1は土粒子の負電荷に作用して反発力を低減させることで、図10(B)に示すような微細フロックを形成する(以下、凝結作用ともいう)。次いで、微細フロックが形成された泥水に対して、アニオン系有機凝集剤A1をさらに添加すると、アニオン系有機凝集剤A1が微細フロック同士を架橋して物理的に凝集させることにより、図10(C)に示すような粗大フロックを形成する(以下、凝集作用ともいう)。粗大フロックは見かけのフロック径が大きいため沈殿する。すなわち、凝集剤を二段階添加すると、カチオン系有機凝集剤C1の凝結作用及び、アニオン系有機凝集剤A1の凝集作用の両方の作用が効果的に発揮されるものと考えられる。
一方、凝集剤を混合添加すると、カチオン系有機凝集剤C1の正電荷とアニオン系有機凝集剤A1の負電荷とが相殺されることにより、カチオン系有機凝集剤C1の凝結作用及び、アニオン系有機凝集剤A1の凝集作用は薄められてしまうと考えられる。すなわち、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を混合添加するのではなく、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を二段階で添加することにより、カチオン系有機凝集剤C1の凝結作用及び、アニオン系有機凝集剤A1の凝集作用が高められるようになり、凝集が促進されたものと考えられる。
〔実証試験〕
上述のカチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を用いて、現場スケールの試験装置で凝集処理を行うことにより、(1)凝集剤とスクリューデカンタ型遠心分離機との組み合わせによる廃液処理効果及び、(2)分離水の安定液材料としての再利用の可能性につき、実証試験を行った。
カチオン系有機凝集剤C1は、原液を体積濃度で約10%に希釈した希釈液を用いた。アニオン系有機凝集剤A1は、0.2重量%の濃度で溶媒(水)に溶解した溶解液を用いた。廃安定液としては、図11に示す3種類の廃安定液サンプル(1)~(3)を用いた。廃安定液(1)及び、廃安定液(2)は、人工的に作製した模擬安定液である。廃安定液(3)は、実際の現場にて採取した実安定液である。
廃安定液(1)は、工業用水にベントナイト2%、CMC0.2%を添加して笠岡粘土で比重を1.05g/cmに調整した後、ミキサーに投入して1時間撹拌した。撹拌後にセメント0.8%を添加してさらに1時間撹拌することにより作製した。廃安定液(1)のpHは12.1、浮遊物質量(SS)は56000mg/Lである。廃安定液(2)は、工業用水にベントナイト2%、CMC0.2%を添加して笠岡粘土で比重を1.09g/cmに調整した後、ミキサーに投入して1時間撹拌した。撹拌後にセメント0.8%を添加してさらに1時間撹拌することにより作製した。廃安定液(2)のpHは11.8、浮遊物質量(SS)は120000mg/Lである。廃安定液(3)の比重は1.05g/cm、pHは9.1、浮遊物質量(SS)は45000mg/Lである。
〔試験装置〕
次に、図12及び、13に基づいて、実証試験に用いた試験装置の概要を説明する。図12に示すように、試験装置10は、貯留槽11と、水中ポンプ12と、上流側流通ライン13と、ラインミキサー14と、下流側流通ライン15と、スクリューデカンタ型遠心分離機(以下、単に遠心分離機という)40と、上流側定量ポンプ20と、下流側定量ポンプ30とを備えている。
貯留槽11は、廃安定液2aを貯留する。水中ポンプ12は、貯留槽11内に貯留された廃安定液2aに浸漬されている。水中ポンプ12の吐出口には、上流側供給ライン13の上流口が接続されている。すなわち、水中ポンプ12を駆動させると、貯留槽11内の廃安定液2aが水中ポンプ12により汲み上げられて上流側供給ライン13に圧送されるようになっている。
上流側流通ライン13には、上流側添加ライン21が接続されており、さらに、上流側添加ライン21には、カチオン系有機凝集剤C1を送出する上流側定量ポンプ20が接続されている。すなわち、上流側流通ライン13を流通する廃安定液2aに対して、上流側添加ライン21を介してカチオン系有機凝集剤C1が添加されるようになっている。
上流側添加ライン21の下流側軸心は、上流側流通ライン13の軸心に対して略45度の角度で傾斜しており、カチオン系有機凝集剤C1が廃安定液2aに対して略45度の注入角度で添加される。上流側添加ライン21には、好ましくは逆止弁22が設けられている。
ラインミキサー14は、上流側流通ライン13の下流口と下流側流通ライン15の上流口とを接続する。ラインミキサー14は、上流側流通ライン13にてカチオン系有機凝集剤C1が添加された廃安定液2bを流通させて撹拌することにより、カチオン系有機凝集剤C1の混合を促進させる。このように、ラインミキサー14にて、凝結効果を有するカチオン系有機凝集剤C1を廃安定液2bと効果的に混合することにより、廃安定液2b’に微細フロックの形成が促進される。
下流側流通ライン15には、下流側添加ライン31が接続されており、さらに、下流側添加ライン31には、アニオン系有機凝集剤A1を送出する下流側定量ポンプ30が接続されている。すなわち、下流側流通ライン15を流通する廃安定液2b’に対して、下流側添加ライン31を介してアニオン系有機凝集剤A1が添加されるようになっている。
下流側添加ライン31の下流側軸心は、下流側流通ライン15の軸心に対して略45度の角度で傾斜しており、アニオン系有機凝集剤A1が廃安定液2b’に対して略45度の注入角度で添加される。下流側添加ライン31には、好ましくは逆止弁32が設けられている。
ラインミキサー14から下流側流通ライン15に流れ込む廃安定液2b’には、細かいフロックが形成されている。このような廃安定液2b’に対して、凝集効果を持つアニオン系有機凝集剤A1を添加することにより、微細フロック同士が互いに結合し、フロックの粗大化が促進される。フロックが粗大化された廃安定液2cは、下流側流通ライン15から遠心分離機40に送られる。
図13に示すように、遠心分離機40は、所定方向に回転する外筒41と、外筒41の内部空間に配置され、外筒41と同軸で回転するスクリュー42と、下流側流通ライン15(図12参照)を通じて導入された廃安定液2c(被処理液)を、外筒41とスクリュー42の間に供給する被処理液供給管43(液体供給部)とを備えている。この遠心分離機40では、外筒41の回転によって、回転中心から半径方向に向かう遠心力が廃安定液2cに作用する。外筒41とスクリュー42の回転速度差により、廃安定液2cの固形分3がスクリュー42の羽根部に押され、外筒41の縮径部41aへ向かって移動する。その後、固形分3は、縮径部41aの先端側部分に設けられた固形分排出口44から、外筒41の外部に排出される。一方、廃安定液2cの分離水4は、縮径部41aとは反対側の側面41bに設けられた液体分排出口45から外筒41の外部に排出される。その結果、廃安定液2cに含まれる固形分3と分離水4とが分離される。
なお、図12において、試験装置10は、廃安定液に対して凝集剤をカチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1の順(C1→A1)に添加するものとして説明したが、アニオン系有機凝集剤A1及び、カチオン系有機凝集剤C1の順(A1→C1)に添加することもできる。この場合は、上流側流通ライン13を流通する廃安定液2aに対して、アニオン系有機凝集剤A1を上流側定量ポンプ20により添加し、下流側流通ライン15を流通する廃安定液2b’に対して、カチオン系有機凝集剤C1を下流側定量ポンプ30により添加すればよい。
〔試験手順〕
上述の廃安定液(1)、(2)をそれぞれ試験装置10の貯留槽11に投入し、水中ポンプ12により送出される廃安定液に対して、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を何れも添加することなく遠心力900G、1300Gの遠心分離機40を通過させ、固液分離により得られた分離水を採取した。
また、上述の廃安定液(1)、(2)、(3)をそれぞれ試験装置10の貯留槽11に投入し、水中ポンプ12により送出される廃安定液に対して、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1をそれぞれ最適値で順に添加(C1→A1)して遠心力900G、1300Gの遠心分離機40を通過させ、固液分離により得られた分離水を採取した。
さらに、上述の廃安定液(1)、(2)をそれぞれ試験装置10の貯留槽11に投入し、水中ポンプ12により送出される廃安定液に対して、アニオン系有機凝集剤A1及び、カチオン系有機凝集剤C1をそれぞれ最適値で順に添加(A1→C1)して遠心力900G、1300Gの遠心分離機40を通過させ、固液分離により得られた分離水を採取した。
採取した各分離水については、浮遊物質量(SS)、pH及び、比重を測定した。最適値は、遠心分離機40から得られる分離水の状況(フロックや透明度等)を観察しながら添加量を適宜に調整した濃度である。
〔凝集効果の実証試験結果〕
凝集効果の実証試験結果を図14に示す。廃安定液(1)、(2)に対して、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を何れも添加しなかったケースでは、分離水の浮遊物質量(SS)は半分以下に低下したものの、下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たさなかった。
廃安定液(1)、(2)、(3)に対して、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を最適値で順に添加したケース(C1→A1)では、分離水の浮遊物質量(SS)は大きく低下し、下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たした。また、遠心分離機40の遠心力を900Gから1300Gに増加させると、浮遊物質量(SS)の削減効果が大きくなることが確認できた。また、廃安定液(1)、(2)に対して、アニオン系有機凝集剤A1及び、カチオン系有機凝集剤C1を最適値で順に添加したケース(A1→C1)においても、分離水の浮遊物質量(SS)は大きく低下し、下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たした。
以上の結果より、廃安定液に対して、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1を最適値で順に添加して凝集処理を施す場合(C1→A1)、さらには、廃安定液に対して、アニオン系有機凝集剤A1及び、カチオン系有機凝集剤C1を最適値で順に添加して凝集処理を施す場合(A1→C1)の何れにおいても、分離水の浮遊物質量(SS)は下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たすことが確認できた。また、分離水の比重は初期値(図11参照)よりも低い約1.00g/cmを示し、廃安定液の比重削減効果があることも確認できた。分離水に対しては、炭酸ガスにより中和処理を施すことで、pH8.6以下に調整することが可能である。
以上の結果を総括すると、現場にて安定液を廃液処理する場合には、ポンプにより汲み上げた廃安定液に対してカチオン系有機凝集剤C1を添加する第1工程(図15のステップS100)と、カチオン系有機凝集剤C1が添加された廃安定液に対してアニオン系有機凝集剤A1を添加する第2工程(図15のステップS110)と、カチオン系有機凝集剤C1及び、アニオン系有機凝集剤A1が添加された廃安定液を遠心分離機で固液分離する第3工程(図15のステップS120)とを順に実施すれば、浮遊物質の凝集が効果的に促進されるようになり、分離水の浮遊物質量(SS)は下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たすことが確認できた。
また、現場にて安定液を廃液処理する場合には、ポンプにより汲み上げた廃安定液に対してアニオン系有機凝集剤A1を添加する第1工程(図16のステップS200)と、アニオン系有機凝集剤A1が添加された廃安定液に対してカチオン系有機凝集剤C1を添加する第2工程(図16のステップS210)と、アニオン系有機凝集剤A1及び、カチオン系有機凝集剤C1が添加された廃安定液を遠心分離機で固液分離する第3工程(図16のステップS220)とを順に実施すれば、浮遊物質の凝集が効果的に促進されるようになり、分離水の浮遊物質量(SS)は下水道への放流基準値(600mg/L以下)を満たすことが確認できた。
図15,16に示す何れの処理方法においても、第3工程(S120、S220)の後に、分離水に対して炭酸ガスにより中和処理を施すことで、pH8.6以下に調整すればよい。また、何れの処理方法においても、第1工程(S100、S200)と第2工程(S110、S210)と間に、ラインミキサー等を用いて凝集剤と廃安定液とを撹拌混合する工程を含めることが好ましい。
〔分離水の再利用試験〕
上述の凝集効果の実証試験で得られた分離水を用いて、当該分離水が新しく作液する安定液の材料(作液水)として再利用できるかを確認した。上記実証試験にて得られた廃安定液(1)~(3)の分離水に、ベントナイト2%、ポリマー剤0.2%を添加して新たな安定液を作製し、ファンネル粘度及び、ろ水量を測定した。
ファンネル粘度は現場で管理する安定液の粘性を示す値である。ファンネル粘度は、漏斗状のファンネル粘度計に安定液を500ml投入し、全量が流下するのに要する時間を計測した。ろ水量は安定液の造壁性を表す劣化の指標となる値である。ろ水量は、API規格(American Petroleum Institute:アメリカ石油協会)の加圧ろ過試験器を用いて測定した。具体的には、加圧ろ過試験器のシリンダーセルに安定液を290ml投入して、圧力0.3MPaを30分間付与し、容器下端から流出するろ水量をメスシリンダで計測した。
試験結果を図17に示す。ファンネル粘度は、廃安定液(1)~(3)の何れにおいても、工業用水で作製した安定液と略同等の値を示した。廃安定液(3)の7日目で、ファンネル粘度は21と若干低い値を示したが、管理値の範囲内であり問題ないといえる。ろ水量は、廃安定液(1)~(3)の何れにおいても、直後、3日目、7日目で管理値よりも低い値を示した。
以上の結果より、廃安定液(1)~(3)の何れも、ファンネル粘度及び、ろ水量は、直後、3日目、7日目にて管理値内を示しており、新たな安定液の作液水として再利用できることが確認できた。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
例えば、カチオン系有機凝集剤に関し、前述の実施形態では、1番目のカチオン系有機凝集剤C1を例示したが、2番目のカチオン系有機凝集剤C2を用いてもよい。すなわち、10%溶液の粘度が12cps以下である有機凝集剤であれば、他の種類の有機凝集剤であっても使用可能である。また、カチオン系有機凝集剤及び、アニオン系有機凝集剤は、それぞれ1種を添加するものに限定されず、1種以上を添加するようにしてもよい。
また、分離水は炭酸ガスにより中和処理を施すものとして説明したが、硫酸等のpH調整剤を用いて中和処理を施してもよい。
10…試験装置,11…貯留槽,12…水中ポンプ,13…上流側流通ライン,14…ラインミキサー,15…下流側流通ライン,20…上流側定量ポンプ,21…上流側添加ライン,30…下流側定量ポンプ,31…下流側添加ライン,40…スクリューデカンタ型遠心分離機(遠心分離機)

Claims (8)

  1. 安定液の廃液にカチオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加する第1工程と、
    前記廃液にアニオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加する第2工程と、
    前記カチオン系有機凝集剤及び前記アニオン系有機凝集剤が添加された前記廃液を遠心分離機により固液分離する第3工程と
    前記第3工程で固液分離により得られる分離水に対して、少なくともベントナイト及び、ポリマー剤を添加して新たな安定液を作製する第4工程と、を含む
    ことを特徴とする安定液の廃液処理方法。
  2. 安定液の廃液にアニオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加する第1工程と、
    前記廃液にカチオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加する第2工程と、
    前記アニオン系有機凝集剤及び前記カチオン系有機凝集剤が添加された前記廃液を遠心分離機により固液分離する第3工程と
    前記第3工程で固液分離により得られる分離水に対して、少なくともベントナイト及び、ポリマー剤を添加して新たな安定液を作製する第4工程と、を含む
    ことを特徴とする安定液の廃液処理方法。
  3. 前記第1工程と前記第2工程との間に、前記第1工程で添加された有機凝集剤をラインミキサーにより前記廃液と撹拌混合する工程をさらに含む
    請求項1又は2に記載の安定液の廃液処理方法。
  4. 前記第3工程で固液分離により得られる分離水に対して炭酸ガスによる中和処理を施す工程をさらに含む
    請求項1から3の何れか一項に記載の安定液の廃液処理方法。
  5. 前記カチオン系有機凝集剤は、10%溶液の粘度が12cps以下である
    請求項1からの何れか一項に記載の安定液の廃液処理方法。
  6. 前記カチオン系有機凝集剤は、P-DADMAC系有機凝集剤、又は、ポリアミン系有機凝集剤の少なくとも一種である
    請求項に記載の安定液の廃液処理方法。
  7. 前記アニオン系有機凝集剤は、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物の有機凝集剤である
    請求項1からの何れか一項に記載の安定液の廃液処理方法。
  8. 安定液の廃液にカチオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加するカチオン系添加工程と、
    前記廃液にアニオン系有機凝集剤から選ばれる1種以上を添加するアニオン系添加工程と、を順不同で行なった後、
    前記カチオン系有機凝集剤及び前記アニオン系有機凝集剤が添加された前記廃液を遠心分離機により固液分離する固液分離工程を行い、
    前記カチオン系有機凝集剤は、P-DADMAC系有機凝集剤、又は、ポリアミン系有機凝集剤の少なくとも一種であって、10%溶液の粘度が12cps以下であり、
    前記アニオン系有機凝集剤は、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物の有機凝集剤であって、0.2重量%の濃度で溶媒に溶解した溶解液を200~300mg/Lで添加する
    ことを特徴とする安定液の廃液処理方法。
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