JP7198157B2 - 接合構造 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物などの部材の接合に用いられる接合構造に関する。
従来、建築物の部材の接合構造として、例えば、特許第5990425号公報に記載されるように、木材と鋼材を接合する接合構造が知られている。この接合構造は、木材と鋼材を接合する接合部材を用い、接合部材が鋼材から木材の心材へ力を伝えるように構成されている。
特許第5990425号公報
このような接合構造にあっては、火災時において鋼材が加熱される場合、鋼材の熱が木材へ伝達されて木材が燃焼してしまうことを防止する必要がある。このため、鋼材の耐火性能を高めることが求められる。例えば、鋼材の表面に耐火材を被覆するなどして鋼材の耐火性能を高めて鋼材の温度上昇を抑えることができるが、鋼材の耐火性能を高めることにより接合構造の製造コストが高くなってしまう。
そこで、本発明は、所望の耐火性能を確保しつつコスト低減が図れる接合構造を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る接合構造は、木製部材を用いて形成される木材部と、鋼製部材を用いて形成され木材部と接合される鋼材部とを備え、鋼材部は、鋼製部材の表面に耐火材を取り付けて耐火構造とされ、所定の耐火性能を備える第一耐火部と第一耐火部より耐火性能の高い第二耐火部を有し、木材部に対し第二耐火部を接続して接合されている。この接合構造によれば、耐火性能の高い第二耐火部を木材部に接続して鋼材部を木材部に接合することにより、火災時において鋼材部の熱が木材部へ伝達されることを抑制することができる。また、鋼材部が第一耐火部を備えることにより耐火性能の向上のためのコストを抑えることができる。これにより、接合構造の耐火性能を確保しつつ、コストの低減を図ることができる。
また、本発明に係る接合構造において、鋼材部は、第一耐火部が木材部に対し第二耐火部の長さだけ隔てて設けられていてもよい。この場合、火災時に高温となりやすい第一耐火部を木材部から離して設けることにより、鋼材部の熱が木材部へ伝達されることを抑制することができる。
また、本発明に係る接合構造において、鋼材部は第一耐火部が木材部に対し0.4m以上離して設けられていてもよい。この場合、耐火性能の低い第一耐火部を木材部から0.4m以上離して設けることにより、鋼材部の第二耐火部が木材炭化温度を超えることが抑制され、所望の耐火性能を満たすことができる。
さらに、本発明に係る接合構造において、鋼材部は、第一耐火部が木材部に対し0.4m離して設けられていてもよい。この場合、耐火性能の低い第一耐火部を木材部から0.4m離して設けることにより、所望の耐火性能を確保しつつ、第二耐火部の領域を小さくすることによって低コスト化を図ることができる。
また、本発明に係る接合構造において、第一耐火部は、鋼製部材の表面に耐火材を取り付けて形成され、第二耐火部は、鋼製部材の表面に耐火材を取り付け、耐火材の周囲に同種又は異種の耐火材を配置することにより、第一耐火部より耐火性能が高められていてもよい。この場合であっても、上述の接合構造と同様な作用効果が得られる。また、第二耐火部の表面を木材とすることで良好な外観を得ることができる。
また、本発明に係る接合構造において、耐火性の部材により構成され、木材部と鋼材部の接合部分において木材部の端部を覆う端部被覆部を備えていてもよい。この場合、火災時において、鋼材部の熱が木材部の端部に影響することが抑制され、鋼材部の熱により木材部の端部が燃焼することが抑制される。
本発明によれば、所望の耐火性能を確保しつつ、製造コストの低減を図ることができる。
本発明の実施形態に係る接合構造の概要説明図である。 図1の接合構造における接合部分の斜視図である。 図1の接合構造における断面図である。 図1の接合構造における断面図である。 図1の接合構造における断面図である。 図1の接合構造における木材部と第二耐火部との距離と温度の関係を示すグラフである。 耐火試験における炉内温度を示すグラフである。 耐火試験における第一耐火部の温度を示すグラフである。 耐火試験における第二耐火部の温度を示すグラフである。 耐火試験における接合部材の温度を示すグラフである。 実施形態に係る接合構造の変形例を示す図である。 実施形態に係る接合構造の変形例を示す図である。 実施形態に係る接合構造の変形例を示す図である。 実施形態に係る接合構造の変形例を示す図である。 図14の接合構造における断面図である。 実施形態に係る接合構造の変形例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は本発明の実施形態に係る接合構造1の概要説明図である。
図1は、本実施形態に係る接合構造1の構成を示す概要図である。図2は、接合構造1の接合部分の斜視図である。図3は、木材部の断面図であって、図1のIII-IIIにおける断面を示している。図4は、鋼材部の第二耐火部の断面図であって、図1のIV-IVにおける断面を示している。図5は、鋼材部の第一耐火部の断面図であって、図1のV-Vにおける断面を示している。
図1に示すように、本実施形態に係る接合構造1は、木材部2と鋼材部3を接合する構造である。木材部2及び鋼材部3は、建築物の躯体を構成する部材であり、本実施形態では建築物の梁を構成している。
木材部2は、木製部材を用いて形成されている。すなわち、木材部2は、木材を主材として設けられる棒状の部材であり、水平方向に向けて配置されている。木材部2は、耐火性の木材が用いられる。例えば、図3に示すように、木材部2は、断面矩形とされ、荷重支持部21、難燃部22及び表面部23を有している。荷重支持部21は、木材部2の断面において中心部分に設けられており、木材により形成され、木材部2における荷重支持材として機能する部位である。難燃部22は、木材部2の断面において荷重支持部21の外側を覆うように矩形枠状に形成されており、木材部2における燃え止まり材として機能する。つまり、難燃部22は、表面部23が燃焼した場合であっても、中心部分の荷重支持部21まで炭化が進行することを抑制する部位である。この難燃部22は、例えば、難燃性の薬剤を注入した木材により形成される。また、難燃部22は、木材より燃えにくい部材により形成されていてもよい。表面部23は、木材部2の断面において難燃部22の外側を覆うように設けられ矩形枠状に形成されている。この表面部23は、木材部2の表面に設けられる部材であり、例えば木材部2の燃え代材又は化粧材として機能する。
木材部2は、例えば、小断面の複数の木材を貼り合わせて構成される集成材により設けられている。具体的には、木材部2の荷重支持部21、難燃部22及び表面部23はそれぞれ集成材により設けられており、木材部2が耐火集成材として構成される。図3では、説明の便宜上、荷重支持部21、難燃部22及び表面部23が単一の木材により形成されるように示されているが、荷重支持部21、難燃部22及び表面部23は小断面の複数の木材を貼り合わせて形成されている。
図3において、木材部2の荷重支持部21には、接合部材4が配置されている。接合部材4は、木材部2と鋼材部3を接合するための部材である。図2に示すように、接合部材4は、木材部2及び鋼材部3に挿通されて設けられている。接合部材4は、荷重支持部21を挿通しており、木材部2と鋼材部3のとの境界位置から所定の距離まで延びている。接合部材4としては、例えば、鋼製のプレートが用いられる。接合部材4には、図3に示すように、ドリフトピン24が貫通している。すなわち、接合部材4には、木材部2の領域において、長手方向と交差する方向に向けてドリフトピン24が貫通して取り付けられている。ドリフトピン24が取り付けられることにより、接合部材4が木材部2と一体化され木材部2から容易に抜け外れないように結合される。ドリフトピン24は、例えば、木材部2の高さ方向及び長手方向に沿って複数取り付けられる。なお、図3では、ドリフトピン24が高さの異なる位置に三つ取り付けられているが、ドリフトピン24は、二つ以下又は四つ以上取り付けられていてもよい。また、接合部材4としては、棒状又はブロック状など板状以外の形状のものを用いてもよい。この場合、接合部材4と木材部2の結合手段は、ドリフトピン24以外のものを用いて行ってもよい。
図1において、鋼材部3は、鋼製部材を用いて形成され、木材部2と接合されている。すなわち、鋼材部3は、鋼材を主材として設けられる棒状の部材であり、水平方向に向けて配置され、木材部2と突き合わされて接合されている。図2に示すように、鋼材部3は、鋼製部材としてH形鋼又はI形鋼である鋼材33を有している。鋼材33の表面には、耐火材34が取り付けられている。耐火材34としては、例えばロックウール、ケイ酸カルシウム、グラスウールなどが用いられる。耐火材34は、例えば、鋼材33に対して吹き付けることにより、鋼材33の表面を被覆するように取り付けられる。また、耐火材34として、シート状又は板状の耐火部材を用い、その耐火部材を鋼材33の表面に取り付けてもよい。さらに、耐火材34として、塗料を用い、その塗料を鋼材33の表面に塗布して耐火性能を高めてもよい。このように鋼材33の表面に耐火材34を取り付けることにより、鋼材部3が耐火構造となる。
図1に示すように、鋼材部3は、第一耐火部31と第二耐火部32を有している。第一耐火部31及び第二耐火部32は、鋼材33より高い耐火性能を備えている。第二耐火部32は、第一耐火部31より高い耐火性能を備えている。第二耐火部32は、木材部2に接続される位置に設けられている。すなわち、第二耐火部32は、木材部2に隣接する位置に設けられている。第一耐火部31は、木材部2に対し第二耐火部32を挟んだ位置に設けられている。つまり、第一耐火部31は、木材部2に対し第二耐火部32の長さLだけ隔てて設けられている。
第二耐火部32の長さLは、例えば0.4m以上とされる。すなわち、第一耐火部31は、木材部2に対し0.4m以上離して設けられている。耐火性能の高い第二耐火部32を0.4m以上として設けることにより、接合構造1を1時間耐火構造物として機能させることができる。また、第二耐火部32の長さLは、例えば0.4~1.0mに設定してもよいし、0.4~1.5mに設定してもよい。このように、第二耐火部32の長さLを所定の長さ以下にすることにより、耐火のための製造コストを低減することができる。
図6は、木材部2から第一耐火部31までの距離(第二耐火部32の長さL)と1時間燃焼時における木材部2の温度の関係を示したグラフである。横軸は木材部2から第一耐火部31までの距離であり、縦軸は1時間燃焼時における木材部2の荷重支持部21の温度である。図6は、接合構造1において、1時間燃焼を行った場合の木材部2の温度を示している。第一耐火部31が1時間耐火構造となり、第二耐火部32が3時間耐火構造となるように、耐火材34が設けられている。
図6に示すように、木材部2から第一耐火部31までの距離が長くなるほど、木材部2における1時間燃焼時の温度が低くなっている。これは、木材部2に接続する第二耐火部32の長さLが長いほど、鋼材部3から伝わる熱が少なくなるためである。図6のTは、木材炭化温度(260°C)を示している。図6を見れば、1時間燃焼時において、木材部2から第一耐火部31までの距離が0.4m以上であれば、木材部2が木材炭化温度に達しないことがわかる。すなわち、1時間燃焼時の温度が260°Cとなるのは、木材部2から第一耐火部31までの距離がほぼ0.4m(0.4mより若干短い距離)の場合であり、木材部2から第一耐火部31までの距離を0.4m以上とすることにより、接合構造1が1時間耐火構造として機能することがわかる。
また、木材部2から第一耐火部31までの距離が0.4mとする場合、耐火性能の高い第二耐火部32の領域を小さく抑えることができる。つまり、接合構造1において所定の耐火機能(例えば、1時間耐火構造)を確保しつつ、耐火のためのコストを小さく抑えることが可能となる。ここで、距離が0.4mには、距離がほぼ0.4mも含まれる。例えば、施工誤差や耐火材性能などを考慮して0.4m±0.1mの距離としてもよい。また、施工誤差等を考慮し、木材部2から第一耐火部31までの距離が0.5mとしてもよい。この場合、接合構造1において確実に耐火機能を確保することができる。さらに、耐火機能に余裕を持たせた設計とするために、木材部2から第一耐火部31までの距離が1. 0mとしてもよい。
図4に示すように、鋼材部3の第二耐火部32は、鋼材33の表面に耐火材34を取り付けて構成されている。鋼材33を耐火材34で被覆することにより、火災時などに鋼材33が火炎に曝されて高温状態となることを抑制することができる。第二耐火部32は、第一耐火部31より耐火性能が高くなるように設けられている。例えば、第二耐火部32の耐火材34の厚さT2は、第一耐火部31における耐火材34の厚さT1より厚い。具体的には、第二耐火部32が3時間耐火構造となるように耐火材34の厚さT2が設定される。なお、耐火材34は、鋼材33の全ての表面に取り付けられていなくてもよい。例えば、図4では、鋼材33の上面には耐火材34が取り付けられていない。これは、鋼材33の上方に床スラブなどの部材が配置されるためである。建築物として構築された場合に空間に露出する箇所に耐火材34を取り付けておけば所望の耐火機能を発揮することができる。
なお、第二耐火部32の耐火材34として、第一耐火部31の耐火材34より耐火性の高い材料を用いることにより、第二耐火部32の耐火性能を高めてもよい。また、これら以外の設置構成により、第二耐火部32の耐火性能を第一耐火部31の耐火性能より高める場合もある。
図1、2に示すように、第二耐火部32おいて、接合部材4が鋼材33と接合されている。接合部材4は、鋼材部3の領域にて、木材部2と鋼材部3のとの境界位置から所定の距離まで延びている。接合部材4は、例えば、図4に示すように、鋼材33のウェブ33aに対し締結部材35によって結合されている。締結部材35としては、ボルトとナットが用いられる。なお、接合部材4と鋼材33との接合は、ボルト及びナット以外の締結部材35を用いて行ってもよいし、溶接など締結部材35を用いない手法により行ってもよい。
図5に示すように、鋼材部3の第一耐火部31は、鋼材33の表面に耐火材34を取り付けて構成されている。鋼材33を耐火材34で被覆することにより、火災時などに鋼材33が火炎に曝されて高温状態となることを抑制することができる。第一耐火部31は、第二耐火部32より耐火性能が低くなるように設けられている。例えば、第一耐火部31の耐火材34の厚さT1は、第二耐火部32における耐火材34の厚さT2より薄い。具体的には、第一耐火部31が1時間耐火構造となるように耐火材34の厚さT1が設定される。このように耐火性能を低下させて第一耐火部31を設けることにより、耐火のためのコストを低減することができる。なお、第一耐火部31においても第二耐火部32と同様に、耐火材34は鋼材33の全ての表面に取り付けられていなくてもよい。
次に本実施形態に係る接合構造1の機能について説明する。
図1において、火災時には、接合構造1の周囲が高温状態となる。木材部2は、所定の耐火構造とすることにより、表面が燃焼した場合であっても所望の荷重支持力を発揮する。例えば、図3に示すように、木材部2において荷重支持部21の周りに難燃部22を設けることにより、表面部23が燃焼したとしても、難燃部22が燃焼せず、荷重支持部21まで炭化してしまうことが抑えられる。このため、木材部2は、表面部23が燃焼したとしても、所望の支持力を失わない。
鋼材部3は、鋼材33が耐火材34で被覆されているため、鋼材33が高温状態となることが抑制される。しかしながら、周囲の熱や火炎の曝露などにより鋼材33の温度は上昇する。このとき、鋼材33の熱が接合部材4を通じて木材部2へ伝わることが懸念される。
ところが、本実施形態に係る接合構造1では、木材部2に対し耐火性能の高い第二耐火部32が接合されている。このため、木材部2に隣接する鋼材部3において、鋼材33が高温状態となることが抑制され、接合部材4を通じて鋼材部3の熱が木材部2へ伝導することが抑えられる。すなわち、火災時には、鋼材部3の第一耐火部31及び第二耐火部32は、火炎に曝されるなどして鋼材33の温度が上昇する。このとき、第二耐火部32は耐火性能が高いため、第二耐火部32の鋼材33は第一耐火部31の鋼材33と比べて温度上昇が抑制される。つまり、火災時において、第二耐火部32の鋼材33は、第一耐火部31の鋼材33と比べて低い温度を保つのである。これにより、接合部材4を通じて、鋼材部3から木材部2への熱の伝導が抑制され、木材部2が木材炭化温度まで熱せられることが抑制される。
一方、本実施形態に係る接合構造1では、鋼材部3において第一耐火部31を備えている。第一耐火部31は、第二耐火部32により耐火性能が低いが、耐火のための製造コストが低い部位となっている。例えば、第一耐火部31及び第二耐火部32において、鋼材33に耐火材34を被覆して耐火構造とする場合、第一耐火部31は、第二耐火部32と比べて耐火材34を薄く形成することができる。このため、第一耐火部31は第二耐火部32と比べて少ない耐火材34で形成することが可能であり、第一耐火部31を設けることにより、コスト低減が図れる。
次に本実施形態に係る接合構造1の耐火試験について説明する。
接合構造1について、実際に1時間耐火試験を行った。試験体は、図1に示す接合構造1において左右の柱部分を除いた構造である。木造部の長さは2000mm、接合部材4の長さは600mm、第二耐火部32の長さLは1000mm、第一耐火部31の長さは2000mmである。これらの長さは、水平方向の長さである。また、木材部2と鋼材部3の上面には、厚さ100mmの軽量気泡コンクリート(ALC)のパネルを設置した。鋼材33は、高さ400mmのH形鋼(H-400×200×8×13)を用いた。第二耐火部32については3時間耐火仕様の耐火被覆を行い、第一耐火部31については1時間耐火仕様の耐火被覆を行った。
このような試験体を炉内に設置し、1時間耐火試験を開始した。図7は、炉内の温度を示すグラフである。横軸は加熱開始からの経過時間(分)、縦軸は炉内の温度(°C)である。炉内の温度は、ISO834に応じた熱曲線に従い、徐々に上昇している。加熱開始から60分後に加熱を停止した。
図8は、耐火試験における第一耐火部31の鋼材33の温度を示したグラフである。横軸は加熱開始からの経過時間(分)、縦軸は第一耐火部31の鋼材33の温度(°C)である。温度の計測位置は、第一耐火部31における鋼材33の中央位置である。図8を見ると、第一耐火部31の鋼材33の温度は徐々に上昇し、400°Cまで達している。加熱停止後は、徐々に温度が低下している。
図9は、耐火試験における第二耐火部32の鋼材33の温度を示すグラフである。横軸は加熱開始からの経過時間(分)、縦軸は第二耐火部32の鋼材33の温度(°C)である。温度の計測位置は、第二耐火部32における鋼材33の中央位置である。図9を見ると、第二耐火部32の鋼材33の温度は徐々に上昇しているが、110°Cまでしか達していない。加熱停止後(60分経過後)もわずかに温度が上昇しているのは、第一耐火部31の鋼材33からの熱の伝導の影響と考えられる。
図10は、耐火試験における接合部材4の温度を示すグラフである。横軸は加熱開始からの経過時間(分)、縦軸は接合部材4の表面温度(°C)である。図10を見ると、接合部材4の表面温度は徐々に上昇しているが、100°Cまでしか達していない。このため、鋼材部3の鋼材33からの熱の侵入は十分に抑制されていると考えられる。また、木材部2の状態を耐火試験後に確認したところ、荷重支持部21の燃え込みは確認されなかった。
このように、木材部2と第一耐火部31の間に第二耐火部32を設けることにより、加熱された際に鋼材部3から木材部2への熱の侵入が十分に抑制されることが確認できた。すなわち、仮に、鋼材部3に第二耐火部32が設けられておらず、木材部2に第一耐火部31が隣接していたとすると、接合部材4を通じて第一耐火部31の鋼材33の熱が木材部2へ伝導され、木材部2がかなりの高温になると考えられる。しかしながら、本実施形態に係る接合構造1では、木材部2に対し隣接する位置に第二耐火部32を設けることにより、第一耐火部31の鋼材33の熱が木材部2へ直接伝導されることが抑制される。これにより、木材部2の温度が木材炭化温度に達することを回避できた。
以上のように、本実施形態に係る接合構造1によれば、耐火性能の高い第二耐火部32を木材部2に接続して鋼材部3を木材部2に接合することにより、火災時において鋼材部3の熱が木材部2へ伝達されることを抑制することができる。また、鋼材部3が第一耐火部31を備えることにより耐火性能の向上のためのコストを抑えることができる。これにより、接合構造1の耐火性能を確保しつつ、コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態に係る接合構造1によれば、鋼材部3の第一耐火部31が木材部2に対し第二耐火部32の長さだけ隔てて設けられている。このように、火災時に高温となりやすい第一耐火部31を木材部2から離して設けることにより、鋼材部3の熱が木材部2へ伝達されることを的確に抑制することができる。
また、本実施形態に係る接合構造1によれば、鋼材部3の第一耐火部31が木材部2に対し0.4m以上離して設けられている。この場合、耐火性能の低い第一耐火部31を木材部2から0.4m以上離して設けることにより、第一耐火部31の熱が第二耐火部32へ伝導したとしても、第二耐火部32が木材炭化温度を超えることが抑制される。これにより、接合構造1において、所望の耐火性能を満たすことができる。
また、本実施形態に係る接合構造1において、鋼材部3の第一耐火部31が木材部2に対し0.4m離して設けられることにより、所望の耐火性能を確保しつつ、第二耐火部32の範囲を小さくすることによって低コスト化を図ることができる。
以上、本発明を上述の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲の記載の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
例えば、上述した実施形態では、接合構造1を梁に適用した場合について説明したが、その他の建築部材に適用してもよい。例えば、図11に示すように接合構造1を建築物の柱に適用してもよい。図11では、柱の下方に木材部2を設け、上方に鋼材部3を設ける場合を示している。なお、柱の下方に鋼材部3を設け、上方に木材部2を設けることもできる。また、柱及び梁について接合構造1を適用してもよい。例えば、図12に示すように、梁を木材部2とし柱を鋼材部3として接合した構造であってもよい。また、図13に示すように、梁を鋼材部3とし柱を木材部2として接合した構造であってもよい。これらの場合においても、上述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。すなわち、耐火性能の高い第二耐火部32を木材部2に接続して鋼材部3を木材部2に接合することにより、火災時において鋼材部3の熱が木材部2へ伝達されることを抑制することができる。また、鋼材部3が第一耐火部31を備えることにより耐火性能の向上のためのコストを抑えることができる。これにより、接合構造1の耐火性能を確保しつつ、コストの低減を図ることができる。また、鋼材部3の第一耐火部31が木材部2に対し第二耐火部32の長さだけ隔てて設けることにより、火災時に高温となりやすい第一耐火部31を木材部2から離して設けることができ、鋼材部3の熱が木材部2へ伝達されることを的確に抑制することができる。また、鋼材部3の第一耐火部31を木材部2に対し0.4m以上離して設けることにより、第一耐火部31の熱が第二耐火部32へ伝導したとしても、第二耐火部32が木材炭化温度を超えることを抑制することができる。さらに、鋼材部3の第一耐火部31が木材部2に対し0.4m離して設けられることにより、所望の耐火性能を確保しつつ、第二耐火部32の範囲を小さくすることによって低コスト化を図ることができる。
また、本発明に係る接合構造は、梁、柱以外の建築部材に適用することもできる。例えば、建築物の壁、床などの接合に適用してもよい。
また、上述した実施形態では、第二耐火部32の耐火材34を第一耐火部31の耐火材34より厚く形成することにより、第二耐火部32の耐火性能を第一耐火部31より高くなるように設ける場合について説明したが、その他の構造により、第二耐火部32の耐火性能を第一耐火部31より高くしてもよい。例えば、第二耐火部32は、同種又は異種の耐火被覆材を複数重ねて設けることで、第一耐火部31より耐火性能を高めてもよい。具体的には、図14及び図15に示すように、第二耐火部32は、鋼材33の表面に耐火材34を取り付け、耐火材34の周囲に木材を配置して構成される。この第二耐火部32において、鋼材33の表面に取り付けられる耐火材34の厚さT2は、第一耐火部31の耐火材34の厚さT1と同一の厚さ又は第一耐火部31の耐火材34の厚さT1より厚い厚さとされる。耐火材34の周囲の木材としては、木材部2の表面部23が用いられる。すなわち、木材部2の表面部23を鋼材部3側へ延ばし第二耐火部32の範囲に設けることにより、鋼材33及び耐火材34を表面部23で覆って、第二耐火部32が構成される。このように第二耐火部32を設けることにより、第二耐火部32が第一耐火部31より高い耐火性能となり、上述した実施形態と同様な作用効果が得られる。また、第二耐火部の表面を木材とすることで良好な外観を得ることができる。
また、第二耐火部32の表面部23は、木材部2の表面部23とは別の部材で構成されていてもよい。例えば、第二耐火部32の表面部23を断面U型の部材として形成し、この表面部23を鋼材33及び耐火材34の外側に設置して、第二耐火部32を構成してもよい。この場合、断面U型の表面部23は、L型アングルなどの金具を用いて木材部2の端面に取り付けられる。また、断面U型の表面部23は、上方に設置される床スラブに対しネジ、ビス、ボルト、アンカなどを用いて取り付けられてもよい。また、断面I型と断面L型の部材を組み合わせて断面U型とした表面部23を鋼材33及び耐火材34の外側に設置して、第二耐火部32を構成してもよい。また、三つの断面I型の平板状の部材を組み合わせて断面U型とした表面部23を鋼材33及び耐火材34の外側に設置して、第二耐火部32を構成してもよい。また、鋼材33及び耐火材34の外側に設置される木材は、難燃処理をしていない無処理の木材を用いてもよい。さらに、鋼材33及び耐火材34の外側に設置される木材は、難燃処理を行った木材を用いてもよい。例えば、鋼材33及び耐火材34を難燃部22及び表面部23で覆って第二耐火部32を構成してもよい。難燃部22は、難燃処理を行った木材により形成されている。難燃部22及び表面部23は、木材部2の難燃部22及び表面部23を鋼材部3側へ延ばして形成されてもよいし、木材部2の難燃部22及び表面部23とは別体のものを用いてもよい。このような場合であっても、第二耐火部32が第一耐火部31より高い耐火性能となり、上述した実施形態と同様な作用効果が得られる。また、第二耐火部の表面を木材とすることで良好な外観を得ることができる。
また、図16に示すように、木材部2と鋼材部3の接合部分において、木材部2の端部を覆う端部被覆部34aを設けてもよい。端部被覆部34aは、例えば耐火性の部材により構成され、具体的には耐火材34と同一の部材により構成される。つまり、端部被覆部34aは、ロックウール、ケイ酸カルシウム、グラスウールなどの耐火性の部材により構成される。例えば、端部被覆部34aとして湿式の耐火部材を用いる場合、鋼材33の表面に耐火材34を吹き付けるときに、木材部2の端部を覆うように耐火材34を吹き付けて、端部被覆部34aを設ければよい。このとき、端部被覆部34aは、少なくとも、木材部2の端面25を覆うように設けられる。これにより、火災時において、鋼材部3の熱が木材部2の端面25に影響することが抑制される。また、鋼材部3の熱によって木材部2の端面25が燃焼することが抑制される。端部被覆部34aは、木材部2と鋼材部3を接合した際に露出する木材部2の端面25だけを覆うのでなく、木材部2の側面や底面を覆っていてもよい。例えば、図16に示すように、端部被覆部34aが木材部2と鋼材部3の接合境界を越えて木材部2の側面や底面を覆ってもよい。図16では、端部被覆部34aが木材部2の側部を覆っていることが示されている。このように、端部被覆部34aが木材部2の側面や底面まで延設されることにより、火災時において、熱による膨張及び収縮によって木材部2と鋼材部3の間に隙間が生じたとしても、木材部2の端面25に熱が入り込むことを抑制することができる。なお、端部被覆部34aは、木材部2と鋼材部3を接合した際に露出する木材部2の端面25だけを覆うのでなく、木材部2の端面25全体を覆うように設けられていてもよい。例えば、木材部2の端面25に端部被覆部34aを取り付けておき、端部被覆部34aを挟んで鋼材部3を木材部2に接合してもよい。また、端部被覆部34aは、湿式の耐火部材からなるものに限られず、シート状又は板状の耐火部材により構成されていてもよい。
1…接合構造、2…木材部、3…鋼材部、4…接合部材、21…荷重支持部、22…難燃部、23…表面部、24…ドリフトピン、25…端面、31…第一耐火部、32…第二耐火部、33…鋼材、33a…ウェブ、34…耐火材、34a…端部被覆部、35…締結部材。

Claims (5)

  1. 梁のうち木製部材を用いて形成される木材部と、
    前記梁のうち鋼製部材を用いて形成され、前記木材部と接合される鋼材部と、
    を備え、
    前記鋼材部は、前記鋼製部材の表面に耐火材を取り付けて耐火構造とされ、所定の耐火性能を備える第一耐火部と前記第一耐火部より耐火性能の高い第二耐火部とを有し、前記木材部に対し前記第二耐火部を接続して接合されており、
    耐火性の部材により構成され、前記木材部と前記鋼材部の接合部分において前記木材部の端部を覆う端部被覆部を備え、
    前記端部被覆部は、
    前記木材部の端面を覆うとともに、前記木材部と前記鋼材部との接合境界を越えて前記木材部の側面を覆う、接合構造。
  2. 梁のうち木製部材を用いて形成される木材部と、
    前記梁のうち鋼製部材を用いて形成され、前記木材部と接合される鋼材部と、
    を備え、
    前記鋼材部は、前記鋼製部材の表面に耐火材を取り付けて耐火構造とされ、所定の耐火性能を備える第一耐火部と前記第一耐火部より耐火性能の高い第二耐火部とを有し、前記木材部に対し前記第二耐火部を接続して接合されており、
    前記木材部の表面の化粧材が、前記木材部と前記鋼材部との接合境界を越えて前記鋼材部側に延長され、前記第二耐火部の前記鋼製部材の表面に取付けられた耐火材の周囲を囲んでいる、接合構造。
  3. 前記鋼材部は、前記第一耐火部が前記木材部に対し前記第二耐火部の長さだけ隔てて設けられている、
    請求項1又は2に記載の接合構造。
  4. 前記第一耐火部は、前記鋼製部材の表面に前記耐火材を取り付けて形成され、
    前記第二耐火部は、前記鋼製部材の表面に前記耐火材を取り付け、前記耐火材の周囲に同種又は異種の耐火材を配置することにより、前記第一耐火部より耐火性能が高められている、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の接合構造。
  5. 耐火性の部材により構成され、前記木材部と前記鋼材部の接合部分において前記木材部の端部を覆う端部被覆部を備える、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の接合構造。
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