JP7197203B2 - ヒト血管の形成、構造または機能に影響を及ぼす物質のスクリーニング方法、およびヒト血管の製造方法 - Google Patents

ヒト血管の形成、構造または機能に影響を及ぼす物質のスクリーニング方法、およびヒト血管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒト血管の形成、構造または機能に影響を及ぼす物質のスクリーニング方法、およびヒト血管の製造方法に関するものである。
悪性腫瘍に対する治療薬としては、腫瘍細胞の細胞増殖を抑制するために、DNA複製および合成を阻害する薬剤や、細胞膜や細胞骨格の破壊を誘導する薬剤、いわゆるサイトトキシックな作用を有する抗腫瘍剤、あるいは細胞生存シグナルの遮断を機序とした多くの分子標的薬などが広く開発されてきた。これらの薬剤が腫瘍細胞に直接的に作用をもたらす一方で、腫瘍組織の間質に存在する細胞を標的とする薬剤も開発されている。その代表例が、腫瘍内の血管形成を抑制して、腫瘍の生存を阻害することを目的として開発された血管新生抑制剤である。
血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)は、腫瘍内の血管内皮細胞に作用して、血管内皮細胞の増殖、管腔形成、マトリックスの再構築など血管新生を誘導することで腫瘍内に酸素や養分を供給し、腫瘍の増大を誘導する。VEGFは腫瘍細胞のみならず、腫瘍内に侵入した線維芽細胞や免疫細胞からも分泌されて、腫瘍内の血管内皮細胞に作用する。このようなVEGFやVEGFの受容体の機能を抑制する薬剤が多数の製薬企業によって開発され、臨床的に応用されている。当初、このような血管新生抑制剤は、VEGF系シグナルの抑制により血管新生を抑制することで、血管新生抑制剤単独でも抗腫瘍効果が得られると期待されていた。
しかし、臨床応用したところ、血管新生抑制剤によるVEGF系シグナルの遮断単独では抗腫瘍効果が発揮できないことが明らかとなった。ただし、血管新生抑制剤と抗腫瘍剤との併用効果は、抗腫瘍剤単独による抗腫瘍効果に比べて優れており、特に無増悪生存期間の有意な延長を誘導できるとの臨床的な観察が報告されている。このことから、現行の血管新生抑制剤に関しては、腫瘍内の血管を破壊して腫瘍を退縮させるまでの効果はなく、過剰な血管新生促進因子(この場合VEGF)を阻害して、血管新生の進行過程を抑制して、血管の成熟化過程に方向転換させることで、腫瘍内の血管を正常化させ、薬剤の送達性が改善した血管の状態に誘導しているのでないかと考えられた。このような臨床医学から基礎医学へのリバーストランスレーションにより、最近では、血管新生抑制剤による腫瘍血管の正常化の概念も証明されつつある。
ヒトの腫瘍細胞に対する薬剤については、試験管内でヒトの腫瘍細胞に対する影響を観察することや、ヒトの腫瘍細胞を免疫不全マウスへ移植したマウスモデルでの効果を観察することで、ある程度、臨床的に応用した際の効果判定が可能である。一方、腫瘍環境に対する薬剤、例えば腫瘍血管に対する薬剤の効果を判定する場合、単に試験管内でのヒト血管内皮細胞に対する影響を観察するだけでは不十分であり、ヒトの腫瘍内におけるヒト血管内皮細胞による血管新生がどう制御されるのかを解析することが、血管新生抑制剤の効果を判定する上で重要である。
このような解析が動物を用いて可能になる方法として、ヒト腫瘍組織の免疫不全動物への異種移植片モデル(patient derived xenograft model; PDXモデル)が考えられてきた。つまり、患者から採取されたヒト腫瘍組織片を、免疫不全マウスに移植し、ヒトの腫瘍細胞の増殖を腫瘍組織ごと誘導するモデルである。しかし、従来のこのモデルでは、マウスの血流によりヒト腫瘍組織に酸素や栄養が運搬されるまでの間に、ヒト腫瘍組織が壊死をおこして定着しないことや、定着したとしてもすでに、その際にはヒトの血管は残存せず、マウスの血管によりヒトの癌が養分の供給を受けている。
このPDXモデルでは、殆どの例で、初回の移植では抗腫瘍剤等の薬剤の効果判定には用いられておらず、1回目で定着したヒト腫瘍組織をさらに細かい腫瘍片として再移植し、複数回の移植後に治療薬の効果判定に用いられてきている。このような複数回の移植により、腫瘍塊の中にはすでにヒト由来の血管は存在しないということが判明している。つまり、複数回の再移植後のPDXモデルでは、ヒトの腫瘍血管に対する、血管新生抑制剤の効果の判定は不可能となる。従来、初回の移植後において、腫瘍内の組織を詳細に検討し、ヒトの血管が残存するということも報告されているが(非特許文献1、2)、これまでの方法では、ヒトの腫瘍内において、ヒトの血管が成長していく過程を観察しているものはなかった。
血管が成長していく過程において、血管新生抑制剤がどのように血管新生に影響を与えるのかを観察できて始めて、これらの薬剤の効果の判定が可能となる。従来の方法では、腫瘍内にヒトの血管が形成されているか、残存しているかわからない状態で、PDXモデルマウスに対して血管新生剤を投与し、複数日後に血管がどのように影響があるのかを、血管新生抑制剤非投与群との比較で、血管の残存の程度を比較するに終始していた。このような解析系では、血管新生抑制剤の投与前後における、血管の、特にヒトの血管に対する直接作用を同一個体で観察することは不可能であった。
Short-Term Human Prostate Primary Xenografts: An in Vivo Model of Human Prostate Cancer Vasculature and Angiogenesis., Danny R. Gray et al., CANCER RESEARCH 64, 1712-1721, March 1, 2004 Differential transplantability of human endothelial cells in colorectal cancer and renal cell carcinoma primary xenografts., Laura Sanz et al., Laboratory Investigation (2009) 89, 91-97
本発明は、ヒト血管に対する薬剤の作用が評価可能な異種移植片モデル動物を用いて、ヒト血管の形成または機能に影響を及ぼす薬剤をスクリーニングできる方法を提供することを課題とする。また、本発明は、非ヒト免疫不全動物を用いてヒト血管を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程(1)~(7)を含むスクリーニング方法:
(1)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
(2)露出した皮下組織または筋肉層にヒト組織を載置する工程、
(3)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
(4)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させる工程、
(5)工程(1)~(4)により得られた、ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物に被験物質を投与する工程、
(6)生着したヒト組織内のヒト血管の形状もしくは構造を観察、および/または、ヒト血管の機能を評価する工程、および
(7)被験物質を投与していない前記ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物のヒト血管と比較して、ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する被験物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する被験物質を選択する工程。
[2]ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程(I)~(VI)を含むスクリーニング方法:
(I)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
(II)露出した皮下組織または筋肉層に、ヒト組織と被験物質の混合物を載置する工程、
(III)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
(IV)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させる工程、
(V)生着したヒト組織内のヒト血管の形状もしくは構造を観察、および/または、ヒト血管の機能を評価する工程、および
(VI)被験物質と接触していない前記ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物のヒト血管と比較して、ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する被験物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する被験物質を選択する工程。
[3]前記工程(2)または(II)において、ヒト組織が血管形成を促進する薬剤または細胞を添加したヒト組織である前記[1]または[2]に記載のスクリーニング方法。
[4]非ヒト免疫不全動物に生着したヒト組織内のヒト血管が宿主動物の血管と連結している、前記[1]~[3]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[5]前記工程(3)は、ドーサルスキンフォールドチャンバーを用いて載置したヒト組織を封じることを含む、前記[1]~[4]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[6]非ヒト免疫不全動物を用いるヒト血管の製造方法であって、以下の工程(A)~(E)を含む製造方法:
(A)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
(B)露出した皮下組織または筋肉層にヒト組織を載置する工程、
(C)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
(D)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させ、ヒト血管を増生させる工程、および
(E)生着したヒト組織を採取する工程。
[7]前記工程(B)において、ヒト組織が血管形成を促進する薬剤または細胞を添加したヒト組織である前記[6]に記載の製造方法。
[8]前記工程(C)は、ドーサルスキンフォールドチャンバーを用いて載置したヒト組織を封じることを含む、前記[6]または[7]に記載の製造方法。
[9]移植用ヒト血管の製造方法である前記[6]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
本発明のスクリーニング方法によれば、ヒト血管の形成、構造または機能に影響を及ぼす物質を取得することができる。本発明のスクリーニング方法により取得した物質は、虚血性疾患の治療薬、血管新生に起因して発症または悪化する疾患の治療薬、または血管の構造異常もしくは機能異常を伴う疾患の治療薬として有用である。また、本発明のヒト血管の製造方法は、非ヒト免疫不全動物を用いてヒト血管を増生し、製造することができる画期的な方法である。製造されたヒト血管は、虚血性疾患等の患者への移植用血管として有用である。
ドーサルスキンフォールドチャンバー(dorsal skinfold chamber)を装着したマウスの外観を示した図である。 ヒト大腸腫瘍組織移植後27日目の移植組織におけるヒトCD31陽性のヒト血管、マウスCD31陽性のマウス血管、移植組織由来のtdTomato陽性細胞を観察した結果を示す図である。 ヒト大腸腫瘍組織移植後18日目の移植組織における移植組織由来のtdTomato陽性細胞、ヒトCD31陽性ヒト血管内皮細胞、およびヒトの核特異的な抗体によって染色される細胞を観察した結果を示す図である。 ヒト大腸腫瘍組織移植後21日目の腫瘍組織移植部位の皮膚におけるヒトCD31陽性のヒト血管とマウスCD31陽性のマウス血管を観察した結果を示す図である。 ヒト大腸腫瘍組織移植後14日目と21日目に、移植組織におけるヒトCD31陽性のヒト血管を観察し(A)、血管面積(B)、血管の分岐数(C)および血管長(D)を定量した結果を示す図である。 ヒト膵がん組織移植後6日目と12日目のヒト膵がん組織移植部位の皮膚におけるヒトCD31陽性のヒト血管を観察した結果を示す図であり、同じ試験を2回実施した結果を示している。破線は同時に移植した間葉系幹細胞の塊を示す。 ヒト大腸正常組織移植後19日目の組織移植部位におけるヒトCD31陽性のヒト血管を観察した結果を示す図であり、同じ試験を2回実施した結果を示している。
〔スクリーニング方法〕
本発明は、ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する物質をスクリーニングする方法を提供する。本発明のスクリーニング方法は以下の工程(1)~(7)を含む方法であればよい。
(1)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
(2)露出した皮下組織または筋肉層にヒト組織を載置する工程、
(3)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
(4)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させる工程、
(5)(1)~(4)の工程により得られた、ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物に被験物質を投与する工程、
(6)生着したヒト組織内のヒト血管の形状もしくは構造を観察、および/または、ヒト血管の機能を評価する工程、および
(7)被験物質を投与していない前記ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物のヒト血管と比較して、ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する被験物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する被験物質を選択する工程。
また、本発明のスクリーニング方法は、以下の工程(I)~(VI)を含む方法であってもよい。
(I)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
(II)露出した皮下組織または筋肉層に、ヒト組織と被験物質の混合物を載置する工程、
(III)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
(IV)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させる工程、
(V)生着したヒト組織内のヒト血管の形状もしくは構造を観察、および/または、ヒト血管の機能を評価する工程、および
(VI)被験物質と接触していない前記ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物のヒト血管と比較して、ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する被験物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する被験物質を選択する工程。
工程(1)および(I)では、非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる。非ヒト免疫不全動物としては、移植されたヒト組織が生着できる動物であればよく、免疫機能が低下している哺乳動物を使用してもよい。哺乳動物は特に限定されず、マウス、ラット、サル、ブタ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギであってもよい。免疫機能が低下している哺乳動物としては、免疫抑制剤を投与した哺乳動物であってもよく、遺伝子変異により免疫機能が低下した哺乳動物であってもよい。遺伝子変異を有する免疫不全哺乳動物としては、例えば、Nudeマウス、Scidマウス、NOD/Scidマウス、NOGマウス、NSGマウス、NOJマウス、Rag1/Rag2 KO マウス、Nudeラット、Scidラットなどが挙げられる。
皮膚の切開操作を効率よく行うために、非ヒト免疫不全動物を除毛してもよい。除毛は非ヒト免疫不全動物にヒト組織を移植する日の前日に行ってもよい。除毛は切開する皮膚部分を含む範囲で行ってもよい。除毛は麻酔下で行ってもよい。除毛方法は特に限定されないが、通常バリカンによる剃毛と除毛剤による除毛を組み合わせて行ってもよい。
麻酔下の非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し、皮下組織または筋肉層を露出させる。皮下組織は表皮および真皮の下層に存在し、筋肉層は皮下組織の下層に存在する。したがって、皮下組織を露出させるために表皮および真皮を切除してもよく、筋肉層を露出させるために、表皮、真皮および皮下組織を切除してもよい。皮膚の一部を切開した領域に皮下組織のみが露出していてもよく、皮膚の一部を切開した領域に筋肉層のみが露出していてもよく、皮膚の一部を切開した領域に皮下組織が残った状態で筋肉層が露出していてもよい。
工程(2)および(II)では、露出した皮下組織または筋肉層にヒト組織を載置する。ヒト組織はヒトから採取された組織であればよい。例えば脂肪組織、筋組織、消化管組織、神経組織、皮膚組織、胎盤組織などが挙げられる。ヒト組織は、悪性腫瘍組織、良性腫瘍組織、炎症性疾患組織、虚血疾患組織などの疾患部位の組織であってもよい。ヒト組織は、非ヒト免疫不全動物に移植された経歴があるヒト組織でもよく、そのような経歴がないヒト組織でもよい。
ヒト組織は、ヒトから採取した新鮮な組織、または採取後速やかに凍結保存した組織を解凍した組織を用いることができる。新鮮な組織は、適切な保存液に浸漬して適切な条件で輸送されることを前提に、採取後12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内に非ヒト免疫不全動物に移植する。凍結保存した組織は、解凍後6時間以内、4時間以内、3時間以内に非ヒト免疫不全動物に移植する。組織を凍結保存する場合は、採取後できるだけ早くCELLBANKER(商品名、日本全薬工業)等の適切な組織凍結保存液に組織を浸漬し、凍結させる。適切な組織凍結保存液に浸漬した組織を、-80℃で一夜緩速凍結を行い、その後液体窒素の気相中で保存してもよい。
移植したヒト組織の中心部が虚血状態になり壊死することを回避するために、細切したヒト組織を宿主動物の切開した皮膚の皮下組織または筋肉層に載置してもよい。細切したヒト組織の大きさは特に限定されないが、4~5mm角程度であってもよく、3~4mm角程度であってもよく、2~3mm角程度であってもよく、1~2mm角程度であってもよい。細切したヒト組織は、適当な生理的緩衝液に懸濁した状態で、切開した皮膚の皮下組織または筋肉層に載置してもよい。生理的緩衝液としては、例えばDMEMやRPMI1640などの細胞培養用培地、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などが挙げられる。これらの生理的緩衝液はフェノールレッドが添加されていないものでもよい。
細切したヒト組織懸濁液に移植したヒト組織に血管形成を促進する薬剤または細胞を添加してもよい。血管形成を促進する薬剤は特に限定されず低分子化合物でもよく、中分子化合物でもよく、高分子化合物でもよい。また、血管形成を促進する薬剤は、天然物でもよく、合成物でもよい。例えば、PlGF(placental growth factor)、Angiopoietin-1、PDGF(platelet-derived growth factor)、EGF(epidermal growth factor)、HGF(hepatocyte growth factor)、basic fibroblast growth factor(bFGF)、VEGF等の増殖因子;リゾホスファチジン酸、スフィンゴシン-1-リン酸等の脂質;アペリン等の生理活性ペプチド;アプタマー、microRNA等の核酸;などが挙げられる。血管形成を促進する細胞としては、ヒト間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、血管内皮前駆細胞、ペリサイト、マクロファージなどが挙げられる。添加する薬剤または細胞は1種類でもよく、2種類以上でもよい。薬剤と細胞を組み合わせて添加してもよい。血管形成を促進する薬剤または細胞を添加量は特に限定されず、移植したヒト組織に所望のヒト血管が形成される添加量を添加すればよい。例えば、予備検討を行うことにより添加量を決定してもよい。
移植したヒト組織の生着確認を容易にするために、蛍光タンパク質を発現するウイルスをヒト組織に感染させてから移植してもよい。蛍光タンパク質は特に限定されず、公知の蛍光タンパク質から適宜選択することができる。ウイルスとしては導入遺伝子を安定発現させるウイルスであるレンチウイルス、レトロウイルスを好適に用いることができる。蛍光タンパク質を発現するウイルスは、公知の遺伝子組み換え技術を用いて作製することができ、公知の方法で移植前のヒト組織に感染させることができる。
ヒト組織は、宿主動物の切開した皮膚の皮下組織または筋肉層の全体が覆われる量を載置する。したがって、ヒト組織量は、露出した皮下組織または筋肉層の面積に応じて増減される。例えば、本発明者らは、マウスの皮膚を約7mm×7mmの大きさで切除した場合、細切したヒト組織50mgを50μLの生理的緩衝液に懸濁して筋肉層上に載置している。したがって、この量を基準に、露出した皮下組織または筋肉層の面積に応じてヒト組織を増減させてもよい。
工程(II)では、ヒト組織と被験物質の混合物を宿主動物の露出した皮下組織または筋肉層に載置する。被験物質は特に限定されず、後段の工程(5)の説明で例示した被験物質を好ましく用いることができる。ヒト組織と被験物質を混合する方法は特に限定されない。例えば、ヒト組織に被験物質を塗布してもよく、被験物質溶液にヒト組織を浸漬してもよく、細切したヒト組織の懸濁液に被験物質を添加してもよく、宿主動物の露出した皮下組織または筋肉層に載置したヒト組織に被験物質を添加してもよい。被験物質の添加量は特に限定されず、予備試験を行って適宜設定することができる。
工程(3)および(III)では、載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる。載置したヒト組織を封じる方法としては、例えば、載置したヒト組織の表面にスライドグラス、合成樹脂薄板、合成樹脂フィルムなどを密着させ、その周囲を宿主動物の皮膚に固定する方法などが挙げられる。載置したヒト組織を封じる一つの手段として、ドーサルスキンフォールドチャンバー(dorsal skinfold chamber、以下「DSC」と記す)を使用してもよい。DSCは市販のDSCの中から宿主動物に適したサイズのDSCを選択して使用すればよい。DSCは定法に従い洗浄、消毒、滅菌したものを使用する。
以下、マウスを宿主動物として、DSCを用いて移植するヒト組織を封じる手順を説明するが、これは一例でありこの手順に限定されるものではない。マウス以外の非ヒト動物を宿主動物として使用する場合も、同様の手順で行うことができる。
マウスを麻酔し、除毛した背部の皮膚を牽引して二重となった皮膚にDSCのバックフレームを装着する。バックフレームにはフレームを固定するためのチューブが付いているので、このチューブをマウスの皮膚に貫通させる。続いて、手前側(バックフレームを装着していない側)の皮膚をチャンバーの形状および大きさに合わせて切開・切除し、皮下組織または筋肉層を露出させる。露出させる皮下組織または筋肉層は、手前側の皮膚の皮下組織または筋肉層でもよく、奥側(バックフレームを装着した側)の皮膚の皮下組織または筋肉層でもよい。手前側の皮膚の皮下組織または筋肉層を露出させる場合は、手前側の皮膚の表皮および真皮、または、表皮、真皮および皮下組織を切除する。奥側の皮膚の筋肉層を露出させる場合は、手前側の皮膚の表皮、真皮、皮下組織および筋肉層を切除し、さらに結合組織を切除する。奥側の皮膚の皮下組織を露出させる場合は、手前側の皮膚の表皮、真皮、皮下組織および筋肉層を切除し、さらに結合組織および奥側の皮膚の筋肉層を切除する(工程(1)および(I))。次に、露出させた皮下組織または筋肉層の上に、用時調製した細切したヒト組織を載置する(工程(2)および(II))。載置するヒト組織量は、上記のとおり露出した皮下組織または筋肉層の全体が覆われ、かつ、DSCのフロントフレームを装着したときに隙間を生じない量が適量である。次に、DSCのカバーグラス付きフロントフレームを装着し、バックフレームに固定する(工程(3)および(III))。この際、チャンバー内に空気が入らないよう注意する。
工程(4)および(IV)では、ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させる。具体的には、工程(4)および(IV)では、工程(1)~(3)または工程(I)~(III)で作製したヒト組織移植非ヒト免疫不全動物を飼育し、移植したヒト組織が宿主動物に生着すると共に、生着したヒト組織内のヒト血管が宿主動物の血管と連結した状態になるまでの十分な期間生存させる。飼育条件は特に限定されず、ヒト組織が移植されていない非ヒト免疫不全動物の飼育に適した条件と同じ条件で飼育を行えばよい。なお、DSCを装着した動物を飼育する場合、装着したDSCのカバーグラスが破損する等の事故を防ぐために、DSCの周囲にシールドを取り付けてもよい。また、DSCを装着した動物を飼育する場合、装着したDSCのカバーグラスが破損する等の事故を防ぐために、同一ケージ内で飼育する動物の匹数を少なくしてもよい。
ヒト組織の生着確認を行う時期は特に限定されないが、ヒト組織移植後10日目以降に行ってもよい。ヒト組織の生着確認は、蛍光タンパク質を発現するウイルスを感染させたヒト組織を移植した動物のDSC内を蛍光顕微鏡で観察し、ヒト組織に感染したウイルスが発現する蛍光タンパク質の蛍光シグナルを検出することにより行うことができる。
宿主に生着したヒト組織の血管の観察は、ヒト組織の生着確認と同時期に行うことができる。血管のイメージングには、血管内皮細胞が発現する分子に結合する蛍光標識抗体を用いることができる。ヒト血管をイメージングするための抗体としては、抗ヒトCD31抗体、抗ヒトCD34抗体、抗ヒトVE-カドヘリン抗体、抗ヒトVCAM-1抗体、抗ヒトvWF抗体などが挙げられ、市販の蛍光標識抗体を使用することができる。宿主動物の血管をイメージングするための抗体も同様であり、宿主動物がマウスの場合、抗マウスCD31抗体、抗マウスCD34抗体、抗マウスVE-カドヘリン抗体、抗マウスVCAM-1抗体、抗マウスvWF抗体などを用いることができる。宿主動物の血管のイメージング用抗体の蛍光標識には、ヒト血管のイメージング用抗体に標識された蛍光分子が発する蛍光色と区別可能な蛍光色を発する蛍光分子を用いる。
イメージング用の抗体は、用いる抗体に応じて最適な投与量を予備検討により設定し、宿主動物の静脈内に投与する。マウスの場合、通常5~20μgを投与する。イメージング用抗体の投与から12~24時間後にDSC内を蛍光顕微鏡で観察する。ヒト血管のイメージング用抗体を宿主動物に静脈内投与してヒト血管を観察することができれば、宿主動物の血管とヒト血管が連結していることが確認できると同時に、ヒト組織が宿主動物に生着していることが合理的に推認できる。
工程(5)では、工程(1)~(4)により得られた、ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物に被験物質を投与する。被験物質としては、例えば、核酸、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞、細胞抽出液、細胞培養上清、植物抽出液、哺乳動物の組織抽出液、血漿等を好ましく用いることができる。ただし、これらに限定されない。被験物質は、新規な物質であってもよいし、公知の物質であってもよい。これら被験物質は塩を形成していてもよい。被験物質の塩としては、生理学的に許容される酸や塩基との塩を用いてもよい。
被験物質を投与する時期は、工程(4)でヒト組織の生着を確認した後であればよく、ヒト組織移植後14~21日目であってもよい。被験物質の投与量、投与経路、投与回数は、被験物質に応じて設定することが好ましい。対照群には、例えば同じ投与経路および同じ投与回数で、被験物質の調製に使用した溶媒を投与する。投与経路は特に限定されないが、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与等の全身投与が好ましい。
工程(6)または(V)では、生着したヒト組織内のヒト血管の形状もしくは構造を観察、および/または、ヒト血管の機能を評価する。ヒト血管の観察および機能評価は、被験物質投与以後であればどの時期に行ってもよく、ヒト組織移植後14~21日目であってもよい。
ヒト血管の形状または構造の観察は、上記のようにヒト血管をイメージングするための抗体を宿主動物に静脈内投与することにより行うことができる。ヒト血管の形状または構造としては、例えばヒト血管の面積(ヒト血管が視野に占める面積)、ヒト血管の長さ、ヒト血管の分岐数、ヒト血管の蛇行性、ヒト血管の拡張性、ヒト血管の閉塞性等が挙げられる。観察視野の画像を、画像解析ソフト(例えば、AngioTool等)を用いて解析してもよい。解析により、上記の観察項目を数値化してもよい。
ヒト血管の機能としては、透過性、血流、酸素送達度などが挙げられる。透過性は、例えば、蛍光標識デキストランや自家蛍光を発する薬剤(例えばドキソルビシン等)を宿主動物の静脈内に投与し、ヒト血管の周囲に漏れている蛍光領域面積を測定することで評価してもよい。血流は、例えば、蛍光標識レクチンを宿主動物の静脈内に投与した後生着したヒト組織を宿主動物から採取し、抗ヒトCD31抗体で染色した組織標本を観察してヒトCD31陽性細胞におけるレクチン陽性細胞の割合を算出することにより、血流のある血管の割合を評価してもよい。酸素送達度は、例えば、公知の低酸素プローブ(例えばピモニダゾール等)を用いて評価してもよい。
工程(7)および(VI)では、被験物質を投与していない動物のヒト血管の面積、ヒト血管の長さ、またはヒト血管の分岐数と比較して、被験物質を投与した動物のヒト血管の面積、ヒト血管の長さ、またはヒト血管の分岐数が増加している場合に、当該被験物質をヒト血管の形成を促進する被験物質として選択することができる。ヒト血管の面積、ヒト血管の長さおよびヒト血管の分岐数は、画像解析ソフト(例えば、AngioTool等)を用いて数値化することができる(実施例4、図5参照)。被験物質が面積、長さまたは分岐数を増加させる程度は特に限定されないが、例えば、1.2倍以上、1.4倍以上、1.6倍以上、1.8倍以上、2倍以上、2.2倍以上、2.4倍以上、2.6倍以上、2.8倍以上、3倍以上に増加させる被験物質を選択することができる。なお、被験物質を投与していない動物との比較は、過去の同じ実験により蓄積された被験物質非投与動物の蓄積データ(背景データ)に基づいて行ってもよい。
ヒト血管の形成を促進する被験物質として選択された物質は、虚血性疾患の治療薬の有効成分として有用である。虚血性疾患としては、例えば、虚血性心疾患(心筋梗塞、冠状動脈硬化症等)、虚血性脳疾患(脳梗塞、脳総脈硬化症、痴呆症等)、骨粗鬆症、老化性臓器機能低下症、バージャー病、慢性閉塞性動脈硬化症、褥瘡、種々の臓器移植などが挙げられる。
工程(7)および(VI)では、被験物質を投与していない動物のヒト血管の面積、ヒト血管の長さ、またはヒト血管の分岐数と比較して、被験物質を投与した動物のヒト血管の面積、ヒト血管の長さ、またはヒト血管の分岐数が減少している場合に、当該被験物質をヒト血管の形成を抑制する被験物質として選択することができる。ヒト血管の面積、ヒト血管の長さおよびヒト血管の分岐数は、画像解析ソフト(例えば、AngioTool等)を用いて数値化することができる(実施例4、図5参照)。被験物質が面積、長さまたは分岐数を減少させる程度は特に限定されないが、例えば、0.9倍以下、0.8倍以下、0.7倍以下、0.6倍以下、0.5倍以下、0.4倍以下、0.3倍以下、0.2倍以下、0.1倍以下に減少させる被験物質を選択することができる。なお、被験物質を投与していない動物との比較は、過去の同じ実験により蓄積された被験物質非投与動物の蓄積データ(背景データ)に基づいて行ってもよい。
ヒト血管の形成を抑制する被験物質として選択された物質は、血管新生に起因して発症または悪化する疾患の治療薬の有効成分として有用である。このような疾患としては、例えば、悪性腫瘍、感染症、動脈硬化症、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、強皮症等)、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性症、未熟児網膜症、緑内障、血管奇形(例えば、毛細血管奇形、動静脈奇形等)、血管腫、変形性関節症、ケロイド、乾癬、アレルギー性皮膚炎、肥満、肺高血圧症、喘息、肺気腫、慢性気管支炎、肝硬変、腹水症などが挙げられる。
工程(7)および(VI)では、被験物質を投与していない動物のヒト血管の構造または機能と比較して、被験物質を投与した場合に正常化している場合に、当該被験物質をヒト血管の構造または機能を正常化する被験物質として選択することができる。ここで正常化は評価項目に応じて判断される。ヒト血管の構造または機能を正常化とは、例えば、疾患部位の組織において亢進した血管の蛇行性が正常組織のレベルに戻ること、疾患部位の組織において亢進した血管の拡張性が正常組織のレベルに戻ること、疾患部位の組織において亢進した血管の閉塞性が正常組織のレベルに戻ること、疾患部位の組織において亢進した血管の透過性が正常組織のレベルに戻ること、疾患部位の組織において低下した血流が正常組織のレベルに戻ることなどが挙げられる。ヒト血管の構造または機能の正常レベルは、過去に蓄積されたデータ(背景データ)を参照してもよい。
ヒト血管の構造または機能を正常化する被験物質として選択された物質は、例えば、悪性腫瘍、感染症、動脈硬化症、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、強皮症等)、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性症、未熟児網膜症、緑内障、血管奇形(例えば、毛細血管奇形、動静脈奇形等)、血管腫、変形性関節症、ケロイド、乾癬、アレルギー性皮膚炎、肥満、肺高血圧症、喘息、肺気腫、慢性気管支炎、肝硬変、腹水症、腎疾患(例えば、糸球体腎症、糖尿病性腎症等)などの治療薬の有効成分として有用である。
〔ヒト血管の製造方法〕
本発明は、非ヒト免疫不全動物を用いるヒト血管の製造方法を提供する。本発明の製造方法は以下の工程(A)~(E)を含む。
(A)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
(B)露出した皮下組織または筋肉層にヒト組織を載置する工程、
(C)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
(D)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させ、ヒト血管を増生させる工程、および
(E)生着したヒト組織を採取する工程。
工程(A)~(C)は、既に説明した本発明のスクリーニング方法の工程(1)~(3)と同じであり、本発明のスクリーニング方法の工程(1)~(3)と同じように実施することができる。ただし、本発明の製造方法は、ヒトへの移植に利用され得るので、蛍光タンパク質を発現するウイルスを感染させていないヒト組織を用いることが好ましい。また、同じ理由から、疾患部位のヒト組織(例えば悪性腫瘍を含むヒト組織)を使用しないことが好ましい。
工程(D)では、ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させ、ヒト血管を増生させる。具体的には、工程(D)では、工程(A)~(C)で作製したヒト組織移植非ヒト免疫不全動物を飼育し、移植したヒト組織が宿主動物に生着すると共に、生着したヒト組織内のヒト血管が増生するまでの十分な期間生存させる。飼育条件は特に限定されず、ヒト組織が移植されていない非ヒト免疫不全動物の飼育に適した条件と同じ条件で飼育を行えばよい。なお、DSCを装着した動物を飼育する場合、装着したDSCのカバーグラスが破損する等の事故を防ぐために、DSCの周囲にシールドを取り付けてもよい。また、DSCを装着した動物を飼育する場合、装着したDSCのカバーグラスが破損する等の事故を防ぐために、同一ケージ内で飼育する動物の匹数を少なくしてもよい。
工程(D)の飼育期間は特に限定されず、ヒト組織移植後8日間以上、10日間以上、12日間以上、14日間以上であってもよく、ヒト組織移植後28日間以下、25日間以下、21日間以下、18日間以下、14日間以下であってもよい。
ヒト組織の生着確認は、蛍光タンパク質を発現するウイルスを感染させたヒト組織を少数の宿主動物に移植し、移植した宿主動物のヒト組織を蛍光顕微鏡で観察し、ヒト組織に感染したウイルスが発現する蛍光タンパク質の蛍光シグナルを検出することにより行ってもよい。蛍光タンパク質を発現するウイルスを感染させたヒト組織を移植した少数の宿主動物においてヒト組織の生着が確認できれば、蛍光タンパク質を発現するウイルスを感染させていないヒト組織を同日に移植した宿主動物においても、ヒト組織が生着していることを合理的に推認できる。
また、蛍光タンパク質を発現するウイルスを感染させたヒト組織を使用せずに、ヒト血管をイメージングするための抗体を用いて、ヒト組織の生着とヒト血管の増生を同時確認してもよい。ヒト血管のイメージングは、上記本発明のスクリーニング方法の工程(4)で説明した手順で行うことができる。ヒト血管のイメージング用抗体を宿主動物に静脈内投与してヒト血管の増生を確認することができれば、ヒト組織が宿主動物に生着していることが合理的に推認できる。
工程(E)では、生着したヒト組織を採取する。非ヒト免疫不全動物から移植したヒト正常組織を採取する方法は特に限定されず、宿主動物に生着しているヒト組織をメス等の手術器具を用いて採取すればよい。採取したヒト組織には、増生したヒト血管が含まれているので、直ちに適切な保存液に浸漬して移植現場に輸送し、血管の移植に使用することができる。また、直ちに移植を行わない場合は、適切な組織凍結保存液に浸漬して凍結保存することができる。凍結保存する場合は、-80℃で一夜緩速凍結を行い、その後液体窒素の気相中で保存してもよい。
本発明の製造方法で製造したヒト血管を移植することにより病態の改善が期待できる疾患としては、例えば、虚血性心疾患(心筋梗塞、冠状動脈硬化症等)、虚血性脳疾患(脳梗塞、脳総脈硬化症、痴呆症等)、骨粗鬆症、老化性臓器機能低下症、バージャー病、慢性閉塞性動脈硬化症、褥瘡、種々の臓器移植、血友病、フォン・ヴィレブランド病などが挙げられる。
以下、一実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:ヒト腫瘍組織片移植マウスの作製と観察
<実験方法>
(1)移植前日のマウス処置
8週齢の雌のNOD/ShiJic-scidマウス(日本クレア)に、三種混合麻酔(6μg塩酸メデトミジン(商品名:ドミトール、日本全薬工業)、80μgミダゾラム(サンド)、100μg酒石酸ブトルファノール(商品名:ベトルファール、Meiji Seika ファルマ)を200μL大塚生食注(大塚製薬工場)にて希釈して調製)を200μL腹腔内投与した。後肢引き込み反射消失を確認後、背部をバリカンで剃毛し、さらに除毛剤エピラット(クラシエ)を用いて除毛した。ぬるま湯にて除毛剤を取り除き、メデトミジン拮抗薬(6μg塩酸アチパメゾール(商品名:アンチセダン、日本全薬工業)を200μL大塚生食注(大塚製薬工場)にて希釈して調製)200μLを腹腔内投与し、37℃ホットプレート上にてマウスを覚醒させた。
(2)tdTomato発現レンチウイルスの作製
Lenti-X293T細胞(タカラバイオ)を3×106cells/wellで、Biocoat(商品名)10cmディシュ(Corning)に播種した。培養液には10%FCS(Sigma)、100units/mL penicillin/100μg streptomycin(Sigma)、1×GlutaMax Supplement(Thermo Fisher Scientific)を含むDMEM(Sigma)を用いた。レンチウイルストランスフェクション溶液(14μLのLentiviral High Titer Packaging Mix(タカラバイオ)、2.75μgのtdTomato遺伝子挿入pLVSIN-EF1α Neo Vector(タカラバイオ)、27.5μLのP3000 Reagent(Thermo Fisher Scientific)、25μLのLipofectamine 3000(Thermo Fisher Scientific)、1250μLのOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)を混合)を調製し、室温にて15分間静置した。80~90%コンフレントに増殖したLenti-X293T細胞の培養液を新しい培養液(5ml)に交換し、上記レンチウイルストランスフェクション溶液を添加した。CO2インキュベーターにて37℃で6時間トランスフェクションを行い、その後10mLの新しい培養液に交換した。トランスフェクション開始から48時間後に培養上清を回収し、10mLの培養液を加え、さらに24時間培養後に培養上清を回収し、4℃にて保存した。
培養上清を、3000rpm、4℃、5分間遠心してセルデブリを沈殿させた。上清をMillex-HP 0.45μm(ポリエーテルスルホン、33mm、放射線滅菌済みフィルター、MERCK)にてろ過して細胞片を取り除き、ろ液を得た。ろ液をOptima L-100XP 超遠心分離機(BECKMAN COULTERおよびSW28スウィングロータ(BECKMAN COULTER)を用いて、19400rpm、4℃、2時間超遠心した。上清を除き、ウイルス粒子を含む沈渣を得た。DMEM(high glucose、no glutamine、no phenol red、Thermo Fisher Scientific)2mLを加えて沈渣を懸濁し、SW 55Ti スウィングロータ(BECKMAN COULTER社)を用いて、24000rpm、4℃、2時間超遠心した。上清を除き、ウイルス粒子を含む沈渣にDMEM(high glucose、no glutamine、no phenol red、Thermo Fisher Scientific)200μLを加えて懸濁し、tdTomatoを発現するレンチウイルスの濃縮液を得た。フローサイトメーターを用いて、tdTomatoを発現するレンチウイルスの力価を測定した。
(3)移植用ヒト大腸腫瘍組織懸濁液の調製
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、泉南資源研究資源研究施設内より提供を受けたヒト大腸腫瘍組織を実験に用いた。患者から摘出した大腸腫瘍組織を、保存液(100μg/ml Kanamycin Sulfate(和光純薬工業)、0.5μg/ml Amphotericin B(Thermo Fisher Scientific)を希釈したHBSS(Thermo Fisher Scientific))で2度洗浄し、氷上の保存液に浸漬して、医療機関から発明者らの研究室に運搬した。
ヒト腫瘍組織を大塚生食注(大塚製薬工場)で4回洗浄した(1回あたり50mL)。10%FBS(Sigma)、100units/mL penicillin/100μg streptomycin(Sigma)を含むDMEM(high glucose、no glutamine、no phenol red)(Thermo Fisher Scientific)を入れた10cmディシュ内で、ヒト腫瘍組織を約1cm角の大きさに切断した。1.5 mLチューブにヒト腫瘍組織を移し、100 units/mL penicillin/100μg/mL streptomycin(Sigma)を添加したHBSS(calcium/magnesium/no phenol red)150μLを加え、ヒト腫瘍組織をハサミで細切し、200μLワイドボアフィルターバリアピペットチップ(Axygen)で吸える大きさ(約1~2mm角)にした。細切したヒト腫瘍組織と、3×107 TU/mL tdTomato発現レンチウイルス/10%FCS/1×GlutaMax/10μg/mL Polybrene(SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY)/100ng/mL VEGF (PEPROTECH社)/100ng/mL bFGF(PEPROTECH)/DMEM(no phenol red)(Thermo Fisher Scientific)を混合した溶液2mLをスクリューキャップチューブに加え、氷上にて2時間、130rpmで振盪した。HBSS-VF(100ng/mL VEGF、100ng/mL bFGFを含有するHBSS)でヒト腫瘍組織を洗浄した後、50mgのヒト腫瘍組織に50μLのHBSS-VFを添加してヒト腫瘍組織懸濁液を調製した。
(4)マウスへのヒト腫瘍組織の移植
前日に背部除毛処理したNOD/ShiJic-scidマウスに三種混合麻酔を腹腔内投与し、後肢引き込み反射消失を確認後、除毛した背部皮膚を引き伸ばし、DSC(安久工機)のバックフレームをマウスに装着した。手前側の皮膚(表皮、真皮、皮下組織、筋肉層、結合組織)を切り取り(約7mm×7mm)、奥側の皮膚の筋肉層を露出させた。露出した筋肉層上にヒト腫瘍組織懸濁液を載置し、その上にカバーグラス付きのフロントフレームを置いて空気が入らないように固定した(図1参照)。その後、マウスがDSCを壊さないようにDSCの周囲にシールドを装着した。
(5)血管のイメージング
ヒト腫瘍組織移植後27日目にAlexa Fluor 488抗ヒトCD31抗体(Biolegend)10μgをマウスに静脈内投与した。同時にマウス血管をイメージングするためにAlexa Fluor 647抗マウスCD31抗体(Biolegend)10μgをマウスに静脈内投与した。翌日、オールインワン小動物用麻酔器(室町機械)を用いて、マウスをイソフルラン麻酔(流量 1L/min、濃度1%)し、マルチフォトン顕微鏡 Leica TCS SP8 MP(Leica)で、DSC内を観察した。
<結果>
結果を図2に示した。スケールバーは200μmを示す。DSC内にtdTomato陽性細胞が観察されたことから(右上)、移植したヒト腫瘍組織由来細胞の生着が示された。また、宿主マウスに静脈内投与した抗体によりヒトCD31陽性のヒト血管が観察できたことから(左上)、マウス血管とヒト血管が連結していることが確認できた。さらに、マウスCD31陽性のマウス血管の画像(左下)とヒト血管の画像(左上)とtdTomato陽性細胞の画像(右上)を重ねた合成画像(右下)では、ヒト血管とマウス血管は蛍光色の違いにより区別可能であり、ヒト血管とマウス血管が近接して存在していることが示された。
実施例2:tdTomato陽性細胞およびヒトCD31陽性が移植したヒト腫瘍組織由来であることの確認
<実験方法>
(1)ヒト腫瘍組織片移植マウスの作製
実施例1(1)~(4)と同じ手順でヒト大腸腫瘍組織を8週齢の雌のNOD/ShiJic-scidマウスに移植した。移植後17日目に、実施例1(5)と同じ手順でAlexa Fluor 488抗ヒトCD31抗体をマウスに静脈内投与した。
(2)ヒト腫瘍組織移植部位の皮膚の回収
抗体投与の翌日、マウスをソムノペンチル(共立製薬)麻酔下、左心室よりPhosphate buffered saline (PBS)10mLを灌流した後、4%パラホルムアルデヒド-PBS(pH7.4)を10mL灌流して灌流固定した。DSCをマウスから切り離し、脂肪などの周辺組織を取り除いた皮膚を、4%パラホルムアルデヒド-PBS中で4℃1時間、振盪しながら固定した。組織を15%スクロース(和光純薬工業社)/PBS、30%スクロース/PBSの順にスクロース置換後、Surgipath FSC22包埋コンパウンド青色(Leica社)に包埋し、-80℃ディープフリーザーにて凍結した。
(3)皮膚断面の免疫染色
クライオスタット(Leica社)を用いて、包埋した組織から厚さ7μmの切片を作製した。0.1%TritonX-100を含むPBS(PBS-T)を用いて室温で10分間、2回洗浄することにより、包埋コンパウンドを洗い流した。ブロッキング溶液(5% normal goat serum/1%BSA/2% skim milk/PBS)を切片上に滴下し、湿潤箱内で室温1時間ブロッキングを行った。一次抗体にはAnti-Human Nuclei Antibody (clone 235-1) Biotin Conjugate(MERCK)およびAnti-RFP pAb(MBL)を用い、ブロッキング溶液で100倍希釈して切片上に滴下し、湿潤箱内で4℃一晩反応させた。PBS-Tで10分間の洗浄を3回行った。二次抗体には Streptavidin Alexa Fluor 647 Conjugate(Thermo Fisher Scientific)および Goat anti-Rabbit IgG (H+L) Highly Cross-Adsorbed Secondary Antibody Alexa Fluor 546(Thermo Fisher Scientific)を用い、ブロッキング溶液で200倍に希釈して切片上に滴下し、1.5時間室温遮光条件下にて湿潤箱内で反応させた。PBS-Tで10分間の洗浄を5回行った。ProLong Diamond Antifade Mountant(Thermo Fisher Scientific)を数滴滴下し、カバーガラスで封入した。共焦点レーザー顕微鏡 Leica TCS SP5(Leica)を用いて、作製した組織標本の観察および写真撮影を行った。
<結果>
結果を図3に示した。スケールバーは50μmを示す。上段の矢頭はMerge画像(右上)でtdTomato陽性細胞とヒト核特異的な抗体によって染色された細胞が重なった位置を示しており、矢頭で示されたTomato陽性細胞はヒト細胞であることが確認された。また、下段の矢印はMerge画像(右下)でヒトCD31陽性細胞とヒト核特異的な抗体によって染色された細胞が重なった位置を示しており、ヒトCD31陽性細胞はヒト細胞であることが確認された。この結果から、tdTomato陽性細胞およびヒトCD31陽性細胞は移植したヒト腫瘍組織由来の細胞であることが判明した。さらに、ヒト核特異的な抗体によって染色されるがヒトCD31陰性かつtdTomato陰性である細胞が、ヒト腫瘍組織内に存在することが確認された。
実施例3:移植したヒト腫瘍組織内のヒト血管がマウス血管と連結していることの確認
<実験方法>
(1)ヒト腫瘍組織片移植マウスの作製
実施例1(1)~(4)と同じ手順でヒト大腸腫瘍組織を8週齢の雌のNOD/ShiJic-scidマウスに移植した。移植後20日目に、実施例1(5)と同じ手順でAlexa Fluor 488抗ヒトCD31抗体およびAlexa Fluor 647抗マウスCD31抗体をマウスに静脈内投与した。
(2)ヒト腫瘍組織移植部位の皮膚の回収およびホールマウント免疫染色
抗体投与の翌日、実施例2(2)と同じ手順でマウスを灌流固定した。DSCをマウスから切り離し、脂肪などの周辺組織を取り除いた皮膚を、4%パラホルムアルデヒド-PBS中で4℃1時間、振盪しながら固定した。PBSで10分間の洗浄を2回行った。組織を振盪しながら、PBSで希釈した25%メタノール(×2回)、50%メタノール(×2回)、75%メタノール(×2回)、100%メタノール(×2回)にこの順で、1回5分浸漬して組織の脱水処理を行った。続いて、メタノールで希釈した 50%benzylbenzoate/benzylalchol(BABB)(×2回)、100%BABB(×2回)の順に1回5分組織を浸漬して透明化処理を行った。BABBは、組成比(benzylalchol(和光純薬)およびbenzylbenzoate(和光純薬))=1:2のものを用いた。BABBを用いてスライドガラス上にカバーガラスで組織を封入し、マルチフォトン顕微鏡Leica TCS SP8(Leica)および25倍水浸レンズ(Leica)を用いて、作製した組織標本の観察および写真撮影を行った。
<結果>
結果を図4に示した。スケールバーは100μmを示す。同一標本の異なる3視野を写真撮影し、それぞれ位置1、位置2、位置3とした。図4から明らかなように、ヒトCD31陽性のヒト血管内皮細胞による血管の管腔と、マウスCD31陽性のマウス血管内皮細胞による血管の管腔が連結していることが判明した。
実施例4:移植したヒト腫瘍組織内のヒト血管増生
<実験方法>
実施例1(1)~(4)と同じ手順でヒト大腸腫瘍組織を8週齢の雌のNOD/ShiJic-scidマウスに移植した。移植後13日目と20日目に、実施例1(5)と同じ手順でAlexa Fluor 488抗ヒトCD31抗体をマウスに静脈内投与した。翌日(移植後14日目と21日目)、オールインワン小動物用麻酔器(室町機械)を用いて、マウスをイソフルラン麻酔(流量 1L/min、濃度1%)し、マルチフォトン顕微鏡 Leica TCS SP8 MP(Leica)で、DSC内を観察して写真撮影を行った。撮影した写真からAngioTool血管構造解析ソフトを用いて、ヒト血管の面積、ヒト血管の分岐数、ヒト血管の長さを測定した。
<結果>
結果を図5に示した。(A)は移植後14日目(d14)と21日目(d21)のヒト血管(ヒトCD31陽性)の顕微鏡画像である。スケールバーは200μmを示す。(B)は血管面積の経時変化、(C)は血管の分岐数の経時変化、(D)は血管長の経時変化を示す図である。血管面積、分岐数および血管長はいずれも、14日目から 21日目までに増加していることが判明した。つまり、このモデルにおいては、移植したヒト組織に既に存在しているヒト血管を単に維持しているのではなく、移植したヒト組織に既に存在しているヒト血管がマウス血管と連結して還流できるようになるまで、ヒト組織内のヒト血管新生が旺盛になった。
実施例5:移植したヒト膵がん組織内のヒト血管増生
ヒト大腸がん組織は元来血管が豊富ながんとして知られているが、乏血管がんとして知られている膵がんの場合、本発明の製造方法を用いてヒト血管を移植片の中で増生させることは、大腸がん組織の場合より困難であると考えられた。
<実験方法>
(1)移植前日のマウス処置
実施例1(1)と同じ手順で移植前日のマウス処置を行った。
(2)間葉系幹細胞スフェロイド(細胞塊)の作製
間葉系幹細胞(Human Mesenchymal Stem Cells、Lonza、以下「huMSC」)をMSCGM SingleQuots添加因子セット(Mesenchymal Stem Cell Growth Medium SingleQuots Supplements and Growth Factors、Lonza)を加えたMSCBM基本培地(Mesenchymal Stem Cell Growth Medium、Lonza、以下「MSC培地」)で培養した。huMSCをPBSで洗浄し、トリプシン/EDTA(Lonza)を用いて剥離した細胞を6cm細胞培養ディッシュに播種し、コンフルエントになるまで培養した。培地をFAST-DiI培養液(0μg/mL FAST-DiI(invtorgen)6μLをMSC培地3mLで希釈したもの、DiI最終濃度は2μM)に交換し、37℃のCO2インキュベーター内で、小型振とう機(ワケンビーテック)を用いて2時間振盪した。2時間後、PBSで2度洗浄した後、トリプシン/EDTA(Lonza)を用いて細胞を培養ディッシュから剥離し、回収した。2×104個/30μL MSC培地の細胞懸濁液を調製し、ハンギングドロップ法を用いてスフェロイドを作製した。3日後にスフェロイドを回収した。
(3)移植用ヒト膵がん組織懸濁液の調製
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、泉南資源研究資源研究施設内より提供を受けたヒト膵がん組織を実験に用いた。患者から摘出した膵がん組織を、保存液(100μg/ml Kanamycin Sulfate(和光純薬工業)、0.5μg/ml Amphotericin B(Thermo Fisher Scientific)を希釈したHBSS(Thermo Fisher Scientific))で2度洗浄し、氷上の保存液に浸漬して、医療機関から発明者らの研究室に運搬した。
ヒト膵がん組織を大塚生食注(大塚製薬工場)で4回洗浄した(1回あたり50mL)。10%FBS(Sigma)、100units/mL penicillin/100μg streptomycin(Sigma)を含むDMEM(high glucose、no glutamine、no phenol red)(Thermo Fisher Scientific)を入れた10cmディシュ内で、ヒト膵がん組織を約1cm角の大きさに切断した。1.5 mLチューブにヒト膵がん組織を移し、100 units/mL penicillin/100μg/mL streptomycin(Sigma)を添加したHBSS(calcium/magnesium/no phenol red、以下「HBSS-p/s」)150μLを加え、ヒト膵がん組織をハサミで細切し、200μLワイドボアフィルターバリアピペットチップ(Axygen)で吸える大きさ(約1~2mm角)にした。HBSS-p/sでヒト膵がん組織を洗浄した後、huMSCスフェロイド10個とヒト膵がん組織30mgを50μLのHBSS-p/sに懸濁し、huMSCスフェロイドとヒト膵がん組織との混合懸濁液を調製した。
(4)マウスへのヒト膵がん組織の移植
上記(3)で調製したhuMSCスフェロイドとヒト膵がん組織との混合懸濁液を用いて、実施例1(4)と同じ手順でヒト膵がん組織をマウスに移植した。
(5)血管のイメージング
huMSCスフェロイドとヒト膵がん組織を移植後5日目に、Alexa Fluor 488抗ヒトCD31抗体(Biolegend)10μgをマウスに静脈内投与した。移植後6日目と12日目に、オールインワン小動物用麻酔器(室町機械)を用いて、マウスをイソフルラン麻酔(流量 1L/min、濃度1%)し、マルチフォトン顕微鏡 Leica TCS SP8 MP(Leica)で、DSC内を観察した。
<結果>
結果を図6に示した。スケールバーは250μmを示し、huMSCスフェロイドを点線で囲った。移植後6日目から12日目にかけて、間葉系幹細胞の周囲にヒト腫瘍血管の伸長が見られた。この結果から、ヒト間葉系幹細胞が膵がん患者由来腫瘍血管の伸長を促進していることが判明した。
以上のことから、血管が元来豊富ながん患者のがん組織を用いても、血管の少ないがん組織を用いても、がん組織の血管を誘導することができることが判明し、本発明の製造方法を使用すれば、がん種によらずヒト血管を製造できることが示された。また、間葉系幹細胞を同時に移植することで、血管形成が促進されたことから、血管形成を促進する薬剤や細胞を添加したヒト組織を移植して、ヒト血管に対する作用を観察することが可能であることも証明された。
実施例6:移植したヒト正常組織内のヒト血管増生
<実験方法>
(1)移植前日のマウス処置
実施例1(1)と同じ手順で移植前日のマウス処置を行った。
(2)移植用ヒト正常組織懸濁液の調製
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、泉南資源研究資源研究施設内より提供を受けたヒト大腸正常組織を実験に用いた。患者から摘出した大腸正常組織を、保存液(100μg/ml Kanamycin Sulfate(和光純薬工業)、0.5μg/ml Amphotericin B(Thermo Fisher Scientific)を希釈したHBSS(Thermo Fisher Scientific))で2度洗浄し、氷上の保存液に浸漬して、医療機関から発明者らの研究室に運搬した。
ヒト大腸正常組織を大塚生食注(大塚製薬工場)で4回洗浄した(1回あたり50mL)。10%FBS(Sigma)、100units/mL penicillin/100μg streptomycin(Sigma)を含むDMEM(high glucose、no glutamine、no phenol red)(Thermo Fisher Scientific)を入れた10cmディシュ内で、ヒト大腸正常組織を約1cm角の大きさに切断した。1.5 mLチューブにヒト大腸正常組織を移し、100 units/mL penicillin/100μg/mL streptomycin(Sigma)を添加したHBSS-p/s 150μLを加え、ヒト大腸正常組織をハサミで細切し、200μLワイドボアフィルターバリアピペットチップ(Axygen)で吸える大きさ(約1~2mm角)にした。HBSS-p/s-VF(100ng/mL VEGF、100ng/mL bFGFを含有するHBSS-p/s)でヒト大腸正常組織を洗浄した後、40mgのヒト大腸正常組織に50μLのHBSS-p/s-VFを添加してヒト大腸正常組織懸濁液を調製した。
(3)マウスへのヒト大腸正常組織の移植
上記(2)で調製したヒト大腸正常組織懸濁液を用いて、実施例1(4)と同じ手順でヒト大腸正常組織をマウスに移植した。
(4)血管のイメージング
ヒト大腸正常組織移植後19日目に、Alexa Fluor 488抗ヒトCD31抗体(Biolegend)10μgをマウスに静脈内投与した。翌日、オールインワン小動物用麻酔器(室町機械)を用いて、マウスをイソフルラン麻酔(流量 1L/min、濃度1%)し、マルチフォトン顕微鏡 Leica TCS SP8 MP(Leica)で、DSC内を観察した。
<結果>
結果を図7に示した。スケールバーは500μmを示す。宿主マウスに静脈内投与した抗体によりヒトCD31陽性のヒト血管が観察できた。つまり、マウスの血管とヒトの正常組織の血管が連結して、マウスの静脈からの血流を介してヒトの血管が染色されていることが確認された。この結果から、本発明の製造方法を使用すれば、がん組織のみならず、正常組織のヒト血管を製造できることが示された。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (8)

  1. ヒト血管の形成を促進する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程(1)~(7)を含むスクリーニング方法:
    (1)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
    (2)露出した皮下組織または筋肉層にヒト組織を載置する工程、
    (3)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
    (4)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させる工程、
    (5)工程(1)~(4)により得られた、ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物に被験物質を投与する工程、
    (6)生着したヒト組織内のヒト血管の形状または構造を観察する工程、および
    (7)被験物質を投与していない前記ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物のヒト血管と比較して、ヒト血管の形成を促進する被験物質を選択する工程。
  2. ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程(I)~(VI)を含むスクリーニング方法:
    (I)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
    (II)露出した皮下組織または筋肉層に、ヒト組織と被験物質の混合物を載置する工程、
    (III)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
    (IV)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させる工程、
    (V)生着したヒト組織内のヒト血管の形状もしくは構造を観察、および/または、ヒト血管の機能を評価する工程、および
    (VI)被験物質と接触していない前記ヒト組織が生着した非ヒト免疫不全動物のヒト血管と比較して、ヒト血管の形成を促進もしくは抑制する被験物質、または、ヒト血管の構造もしくは機能を正常化する被験物質を選択する工程。
  3. 前記工程(2)または(II)において、ヒト組織が血管形成を促進する薬剤または細胞を添加したヒト組織である請求項1または2に記載のスクリーニング方法。
  4. 非ヒト免疫不全動物に生着したヒト組織内のヒト血管が宿主動物の血管と連結している、請求項1~3のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  5. 前記工程(3)または(III)は、ドーサルスキンフォールドチャンバーを用いて載置したヒト組織を封じることを含む、請求項1~4のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  6. 非ヒト免疫不全動物を用いる移植用ヒト血管の製造方法であって、以下の工程(A)~(E)を含む製造方法:
    (A)非ヒト免疫不全動物の皮膚の一部を切開し皮下組織または筋肉層を露出させる工程、
    (B)露出した皮下組織または筋肉層にヒト組織を載置する工程、
    (C)載置したヒト組織が空気と接触しないように、載置したヒト組織を封じる工程、
    (D)ヒト組織を非ヒト免疫不全動物に生着させ、ヒト血管を増生させる工程、および
    (E)生着したヒト組織を採取する工程。
  7. 前記工程(B)において、ヒト組織が血管形成を促進する薬剤または細胞を添加したヒト組織である請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記工程(C)は、ドーサルスキンフォールドチャンバーを用いて載置したヒト組織を封じることを含む、請求項6または7に記載の製造方法。
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