JP7192439B2 - 液体を吐出する装置、印刷方法及び印刷画像の光沢度制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体を吐出する装置、印刷方法及び印刷画像の光沢度制御方法に関する。
従来より、広告、看板等の産業用途、食品、飲料、日用品等の包装材料において、耐光性、耐水性、耐摩耗性等の耐久性を向上させるため、例えば、プラスチックフィルム等の非浸透性記録媒体が使用されている。このような記録媒体に用いられるインクやインクジェット記録装置が種々開発されている。
インクジェット記録装置において、光沢制御の機能を有するものが開発されている。例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂粒子を含むインクをノズルから着弾対象に向けて噴射可能な液体噴射ヘッドと、前記着弾対象に着弾したインク滴を加熱する加熱手段と、を備える液体噴射装置が開示されている。特許文献1の加熱手段は、前記インク滴の表面の膜化が開始する最低成膜温度に応じた膜化制御温度で加熱することで前記インク滴の表面の膜化の度合いを制御している。
しかしながら、熱可塑性樹脂粒子を含むインクで光沢度を制御する場合、吐出したインク塗膜表面へのレベリング性を向上させるため、インク内の樹脂含有量を多くせざるを得ないが、これによりインクは短時間で増粘しやすくなってしまう。また、記録媒体の加熱によってヘッドノズル内のインクの乾燥が促進されるため、吐出の不安定やノズルつまりを引き起こしやすくなってしまう問題があった。
また、特許文献1では、色材を含むカラーインクに対して、インク滴の表面の膜化が開始する最低成膜温度に応じた膜化制御温度で加熱することにより、インク滴の表面における膜化の度合いを制御して光沢度を調整している。
しかし、色材を含むカラーインクは色材を含まないクリアインクに比べて、十分な光沢度差が得られず、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応できないという問題がある。
特許文献2では、紫外線の照射によって硬化するクリアインク(UVクリアインク)を使用したインクジェット記録装置において、照射光量を制御することにより、マット調やグロス調に光沢制御することが提案されている。
しかしながら、UVクリアインクは臭気が強く、印刷物にも臭気が残るので、室内用途の印刷物には不向きである。このため、インクジェット印刷装置の設置場所も、排気ができる環境が必要となり、設置場所が限られてしまう。また、UVクリアインクは紫外線照射装置が必要であり、装置の大型化やコストが高くなるという問題がある。
本発明は、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応でき、安定した吐出が可能な液体を吐出する装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、液体を収容する液体収容部と、前記液体を被印刷物に吐出する液体吐出ヘッドと、前記被印刷物を加熱する加熱手段と、を有する液体を吐出する装置であって、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、前記加熱手段は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする。
本発明によれば、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応でき、安定した吐出が可能な液体を吐出する装置を提供することができる。
液体吐出ヘッドの外観斜視説明図である。 同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。 同ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の一部断面説明図である。 同ヘッドのノズル板の平面説明図である。 同ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 同ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。 液体循環システムの一例を示すブロック図である。 図2のA-A’断面図である。 図2のB-B’断面図である。 液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。 同装置の要部側面説明図である。 液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
以下、本発明に係る液体を吐出する装置、印刷方法及び印刷画像の光沢度制御方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
(液体を吐出する装置、印刷方法及び印刷画像の光沢度制御方法)
本発明は、液体を収容する液体収容部と、前記液体を被印刷物に吐出する液体吐出ヘッドと、前記被印刷物を加熱する加熱手段と、を有する液体を吐出する装置であって、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、前記加熱手段は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする。
また、本発明は、液体を収容する液体収容部と、前記液体を被印刷物に吐出する液体吐出ヘッドと、前記被印刷物を加熱する加熱手段と、を有する液体を吐出する装置であって、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、前記マット光沢印刷モードにおける前記加熱手段の加熱温度をHTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおける前記加熱手段の加熱温度をHTgloss[℃]としたとき、HTmatte>HTglossを満たすことを特徴とする。
本発明の印刷方法は、液体吐出ヘッドにより被印刷物に液体を吐出する印刷工程と、前記被印刷物を加熱する加熱工程と、を含む印刷方法であって、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、前記加熱工程は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする。
また、本発明の印刷方法は、液体吐出ヘッドにより被印刷物に液体を吐出する印刷工程と、前記被印刷物を加熱する加熱工程と、を含む印刷方法であって、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、前記マット光沢印刷モードにおける前記加熱手段の温度をHTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおける前記加熱手段の温度をHTgloss[℃]としたとき、HTmatte>HTglossを満たすことを特徴とする。
上述したように、従来技術では光沢制御の機能を有するものが提案されているが、吐出が不安定になる等の問題があった。
本発明者らは、鋭意検討し、液体として樹脂を含有するクリアインクを用い、循環機構により液体を循環させ、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードとで被印刷物を加熱する温度を異ならせ、マット光沢印刷モードにおける被印刷物の温度をグロス光沢印刷モードにおける被印刷物の温度よりも高くすることにより、上記諸問題を解決できるという知見を得て本発明に至った。本発明によれば、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応でき、安定した吐出が可能となる。
また、本発明ではインクジェット方式を用いることが特に好ましく、本発明によれば、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応でき、安定した吐出が可能なインクジェット印刷装置及びインクジェット印刷方法を提供することができる。なお、液体を吐出する装置の一例として印刷装置が挙げられる。
以下、本発明に係る液体を吐出する装置の一実施形態について、詳細を説明する。
本実施形態の液体を吐出する装置、印刷方法では、樹脂を含むクリアインクを用い、加熱温度の制御によりグロス調及びマット調の両方の光沢制御を行う。
マット光沢付与を行う場合、印刷時の温度はグロス光沢付与モードに比べて、高い温度で印刷を行う。印刷時の温度が高いことにより、樹脂を含むクリアインクは被印刷物に着弾した後、ドットの濡れ広がりが抑制されるため、隣接ドットの合一が抑制され、かつドット球の高さ(パイルハイト)が高いドットが形成される。これらのドットが表面凹凸を形成し、マット光沢を付与する。
一方、グロス光沢付与を行う場合、マット光沢付与モードに比べて、低い温度で印刷を行う。印刷時の温度が低いことにより、樹脂を含むクリアインクは被印刷物に着弾した後、ドットが濡れ広がるため、隣接ドットの合一が促進され、かつ平滑な表面が形成される。これにより、グロス光沢が付与される。
このように、本実施形態によればマット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応できる。
本実施形態の加熱手段は、マット光沢印刷モードにおいてクリアインクが被印刷物に着弾するときの着弾領域における被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、グロス光沢印刷モードにおいてクリアインクが被印刷物に着弾するときの着弾領域における被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように被印刷物を加熱する。
また、Tmatte-Tgloss≧10℃となるように加熱することが好ましく、Tmatte-Tgloss≧20℃となるように加熱することがより好ましい。
matte-Tgloss≧10℃とすることにより、マット光沢印刷モードでは、加熱温度が相対的により高くなり、ドットの濡れ広がりをより抑制することができ、パイルハイトが高いドットを形成して、凹凸の大きな表面を形成することができる。
一方、グロス光沢印刷モードでは、加熱温度が相対的により低くなり、ドットの濡れ広がりを促進することができ、隣接ドットの合一により、平滑な表面を形成することができる。
matte(℃)は50℃以上が好ましく、50℃以上80℃以下がより好ましい。また、Tgloss(℃)は70℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。このような温度範囲とすることで、クリアインクを用いた各印刷モードにおいて、大きな光沢の変化を実現することができる。
なお、クリアインクの着弾領域を印字部などとも称することがある。また、クリアインクが着弾しない領域を非印字部などとも称することがある。また、クリアインクが着弾し、必要に応じて着弾後の加熱、乾燥がなされた部分を印刷層などとも称する。
印刷部の被印刷物の温度の測定方法としては、例えば、被印刷物としての記録媒体に熱電対を設置し、直接、記録媒体温度を測定する方法、記録媒体を加熱するヒーターの温度を測定し記録媒体温度とする方法、放射型温度計等により非接触的に記録媒体の周囲の温度を測定し、記録媒体温度とする方法などが挙げられる。
どの時点での温度を測定し、Tmatte(℃)、Tgloss(℃)とするかについては、クリアインクが被印刷物に着弾するときの着弾領域における被印刷物の温度としている。前記「着弾するとき」とは、クリアインクが被印刷物に着弾する直前の状態をいう。また、後述の「印刷中」における被印刷物の温度とは、同様に、クリアインクが被印刷物に着弾する直前の状態における温度をいう。
本発明においては、被印刷物の光沢度をGmとし、印刷後の印刷層における表面の光沢度をGpとすると、
グロス光沢印刷モードの場合:Gp≧Gm
マット光沢印刷モードの場合:Gp≦Gm
であることが好ましく、
グロス光沢印刷モードの場合:Gp-Gm≧20
マット光沢印刷モードの場合:Gp-Gm≦-30
であることがより好ましく、
グロス光沢印刷モードの場合:Gp-Gm≧49
マット光沢印刷モードの場合:Gp-Gm≦-57
であることが更に好ましい。
光沢度差が上記の条件を満たすことにより、グロス光沢部及びマット光沢部と周囲との差異がはっきりと視認できるようになる。
上記の条件を満たすようにするには、例えば、加熱温度の設定を変更することが挙げられ、他にも印刷率を変更すること等が挙げられる。
Gm、Gpとしては、例えば60°光沢値を測定して求める。また、Gpとしては、得られた印刷物について60°光沢値を測定し、平均値をとることが好ましい。
60°光沢値は、例えば光沢度測定機器(マイクロトリグロス、BYK社製)を用いて測定する。
本発明では、マット光沢印刷モードで印刷するマット印刷画像の印刷率をDmatte[%]とし、グロス光沢印刷モードで印刷するグロス印刷画像の印刷率をDgloss[%]としたとき、Dgloss>Dmatteであることが好ましく、Dgloss-Dmatte>10[%]であることがより好ましい。
印刷率が高い方が、平滑表面が形成されやすいため、グロス光沢印刷モードでは印刷率が高い画像にすることが好ましい。一方、マット光沢印刷モードでは、印刷率が高いと、隣接ドットの合一が発生し、表面凹凸が形成されにくくなるため、印刷率が低い画像とすることが好ましい。
ここで、印刷率は下記を意味する。
印刷率(%)=クリアインク印刷ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(ただし、前記式中、「クリアインク印刷ドット数」は単位面積当たりのクリアインクを実際に印刷したドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。
なお、同じドット位置となるようにクリアインクを重ねて印刷する場合には、「クリアインク印刷ドット数」は単位面積当たりのクリアインクを実際に印刷した合計のドット数で表す。)
なお、印刷率100%とは、画素に対する単色の最大インク重量を意味する。
印刷モードとしては、例えば、被印刷物ごとにマット光沢印刷モードとグロス光沢印刷モードの変更を行う。印刷モードによって加熱手段の温度設定や印刷率の設定等を変更する。
次に、本発明におけるその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
本実施形態では、マット光沢印刷モードにおける加熱手段の加熱温度をHTmatte[℃]とし、グロス光沢印刷モードにおける加熱手段の加熱温度をHTgloss[℃]としたとき、HTmatte>HTglossを満たす。本実施形態においても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
HTmatte>HTglossの条件は、印字中の加熱手段の加熱温度において満たしていればよく、印字前の加熱手段の加熱温度においても満たしていることが好ましい。
本実施形態において、インクの塗膜表面の濡れ広がりは着弾した瞬間に生じるため、印字後の加熱は表面形状に及ぼす影響が少ないと考えられる。そのため、印字後の加熱手段の加熱温度は、必ずしもHTmatte>HTglossの条件を満たしている必要はない。
また、本実施形態において、加熱手段の加熱温度は、HTmatte-HTgloss≧10[℃]であることが好ましい。この場合、マット光沢印刷モードでは、加熱温度が相対的により高くなり、ドットの濡れ広がりをより抑制することができ、パイルハイトが高いドットを形成して、凹凸の大きな表面を形成することができる。
なお、HTmatte-HTgloss≧10[℃]の条件においても上記と同様に、印字中の加熱手段の加熱温度において満たしていることが好ましく、印字前の加熱手段の加熱温度においても満たしていることがより好ましい。
<液体収容部>
液体収容部は例えばインク収容部とも称され、液体であるインクを収容する。
インク収容部としては、インクを収容できる部材であれば特に制限はなく、例えば、インク収容容器、インクタンクなどが挙げられる。
前記インク収容容器としては、前記インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが挙げられる。
インクタンクとしては、メインタンク、サブタンクなどが挙げられる。
<液体吐出ヘッド>
液体吐出ヘッドは、液体を被印刷物に吐出する。本実施形態の液体吐出ヘッドは、液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、液体を個別液室に流入させるための流入流路と、液体を個別液室から流出させるための流出流路とを有する。
また、本実施形態の液体吐出ヘッドは、ノズルプレート、刺激発生手段等を有し、液体が吐出されるノズルはノズルプレートに形成されている。ノズルプレートは、ノズル基板と、前記ノズル基板上に撥インク膜とを有する構成であることが好ましい。
個別液室は、前記ノズルプレートに設けられた複数の前記ノズル孔に個別に対応して配置され、前記ノズル孔と連通する複数の個別流路であり、加圧室、インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室などと称することもある。
前記刺激発生手段は、インクに印加する刺激を発生させる手段である。
前記刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。前記刺激発生手段としては、具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記刺激が「熱」の場合、前記インク吐出ヘッド内のインクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、例えば、サーマルヘッド等を用いて付与する。前記熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記ノズルプレートの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
前記刺激が「圧力」の場合、例えば、前記インク吐出ヘッド内のインク流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。それにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記インク吐出ヘッドの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加してインクを飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
流入流路、流出流路の詳細は後述する。
<加熱手段>
加熱手段は、被印刷物を加熱する。
加熱手段としては、被印刷物としての記録媒体の印刷面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、加熱ローラなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
被印刷物としての記録媒体を加熱する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、インクが付与された記録媒体に加熱手段として温風等の加熱された流体を接触させる方法、インクが付与された記録媒体と加熱部材とを接触させ伝熱により加熱する方法、赤外線や遠赤外線等のエネルギー線を照射することによりインクが付与された記録媒体を加熱する方法などが挙げられる。
加熱工程において、印刷前、印刷中、印刷後のどのタイミングで加熱を行うかは、Tmatte>Tgloss又はHTmatte>HTglossの関係を満たす限り、適宜変更することができる。印刷前、印刷中に加熱することにより、加温した記録媒体に液体を付与することができ、印刷後に加熱することにより、印刷物を乾燥することができる。
加熱時間は、記録媒体の表面温度が所望温度に制御することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。加熱時間の制御は、被印刷物としての記録媒体の搬送速度を制御することにより行うことが好ましい。
加熱温度は、特に制限されるものではなく、Tmatte>Tgloss又はHTmatte>HTglossの関係を満たす限り、適宜変更することができる。好ましい温度としては、上述した通りである。
また、印刷前、印刷中、印刷後における加熱温度はそれぞれ異なっていてもよい。
<液体>
本発明で用いられる液体は、樹脂を含有するクリアインクである。クリアインクとは、色材を実質的に含まない無色透明のインクを意味する。なお、以下、クリアインクを単に「インク」と称することがある。
クリアインクは、水、有機溶剤等を含有してもよく、必要に応じて、界面活性剤などの添加剤等を含有してもよい。
<<樹脂>>
樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられる。
インクを製造する際には、これらの樹脂からなる樹脂粒子として添加するのが好ましい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、インクに添加してもよい。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂を添加することにより、クリアインクを用いてインク膜を形成した際に、塗膜自体が強靭になる。それにより、塗膜の内部で破断して、塗膜の一部が剥がれたり、塗膜の表面状態が変化して、摩擦部の色味が変化したりすることを抑制しやすくなる。
-ポリウレタン樹脂-
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂などが挙げられる。
--ポリオール--
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
---ポリエーテルポリオール---
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の少なくとも1種を出発原料として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
前記活性水素原子を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非常に優れた耐擦過性を付与できるインク用バインダーを得る点から、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
---ポリカーボネートポリオール---
また、前記ポリウレタン樹脂の製造に使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール-A、ビスフェノール-F、4,4’-ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
---ポリエステルポリオール---
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、これらの無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ポリイソシアネート--
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐候性の点から、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
更に、少なくとも1種の脂環式ジイソシアネートを使用することにより、目的とする塗膜強度、及び耐擦過性を得やすくなる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートの含有量としては、イソシアネート化合物全量に対して、60質量%以上が好ましい。
--ポリウレタン樹脂の製造方法--
ポリウレタン樹脂は、特に制限はなく、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができ、例えば、次の方法などが挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
前記ポリウレタン樹脂の製造に使用できる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の活性水素基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類;水などが挙げられる。これらは、インクの保存安定性が低下しない範囲内であれば、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリウレタン樹脂としては、カーボネート基の高い凝集力により耐水性、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、及び画像の耐擦過性の点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂である場合、屋外用途のような過酷な環境において使用される記録物に適したインクが得られる。
前記ポリウレタン樹脂としては、市販品を使用してもよく、例えば、ユーコートUX-485(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)、ユーコートUWS-145(ポリエステル系ポリウレタン樹脂)、パーマリンUA-368T(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)、パーマリンUA-200(ポリエーテル系ポリウレタン樹脂)(以上、三洋化成工業社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-樹脂の含有量-
クリアインク中に含まれる樹脂の含有量は、8質量%以上が好ましく、8質量%以上25質量%以下がより好ましい。樹脂の含有量が8質量%以上であると、少ないクリアインク量でマット光沢及びグロス光沢を制御できる。一方、樹脂の含有量が25質量%以下であると、インクの吐出安定性が低下することをより抑制できる。
マット光沢は、ドット球の高さ(パイルハイト)の高い孤立ドットを形成し、表面に凹凸を付与することにより実現される。クリアインク中の樹脂の含有量が多いと、パイルハイトが高いドットが形成されやすくなり、マット光沢を付与しやすい点から好ましい。
一方、グロス光沢は、表面の凹凸をクリアインクで埋めて、平滑表面を形成することで、平滑性を付与する。表面の凹凸をクリアインクで埋めるには、クリアインク中の樹脂の含有量が多い方が、少ないクリアインク量で、表面の凹凸を埋めることができ、グロス光沢を付与しやすい点から好ましい。
<<水>>
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の含有量は特に限定されないが、水系クリアインクとして用いる場合には、インク全量に対して、0.1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、15質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。上記範囲であると、吐出安定性を向上させることができ、画像品位を向上させることができる。また、15質量%以上であると、高粘度になることを防止し、吐出安定性がより向上する。一方、60質量%以下であると、非浸透性記録媒体への濡れ性が好適となり、画像品位がより向上する。
<<有機溶剤>>
クリアインクは有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水溶性有機溶剤などが挙げられる。なお、水溶性とは、例えば、25℃の水100gに5g以上溶解することを意味する。
水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネイト、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤のクリアインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水系クリアインクに用いる場合は、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<<添加剤>>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
-界面活性剤-
クリアインクは、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤をインクに添加することで、表面張力が低下し、紙等の記録媒体にインク滴が着弾した後の記録媒体中への浸透が速くなるため、フェザリングやカラーブリードを軽減することができる。
界面活性剤は、親水基の極性によりノニオン性、アニオン性、両性に分類される。また、疎水基の構造により、フッ素系、シリコーン系、アセチレン系等に分類される。
本発明においては、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましいが、シリコーン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、インク中2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下が更に好ましい。界面活性剤の含有量を2質量%以下とすることにより、マット光沢印刷モードにおいて、大きな光沢度低下を得ることができる。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 0007192439000001
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは整数を表わす。 R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表わす。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 0007192439000002
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
一般式(F-2)
2n+1-CH2CH(OH)CH2-O-(CH2CH2O)-Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCnF2n+1でnは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-CnF2n+1でnは4~6の整数、又はCpH2p+1でpは1~19の整数である。aは4~14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。 この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR(いずれも、DuPont社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Du Pont社製のFS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
-消泡剤-
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
-防腐防黴剤-
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
-防錆剤-
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
-pH調整剤-
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
-物性-
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
<被印刷物>
被印刷物としては、記録媒体として用いられるものに限られず、例えば、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツ等の衣料用布、テキスタイル、皮革などを適宜使用することができる。なお、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、被印刷物としてセラミックス、ガラス、金属などを使用することもできる。
本実施形態では、記録媒体を被印刷物の一実施形態として説明する。
記録媒体としては、特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
本発明においては、マット光沢印刷モードでは、光沢度が高い被印刷物を用いることが好ましい。光沢度が高い被印刷物の方がクリアインクによるマット光沢効果が強調されやすい点から好ましい。
一方、グロス光沢印刷モードでは、光沢度が低い被印刷物を用いることが好ましい。光沢度が低い被印刷物の方がクリアインクによるグロス光沢効果が強調されやすい点から好ましい。
従って、マット光沢印刷モードで用いる被印刷物の光沢度をGmatteとし、グロス光沢印刷モードで用いる被印刷物の光沢度をGglossとすると、Gmatte>Gglossであることが好ましく、Gmatte-Ggloss≧100であることがより好ましい。
なお、Gmatte>Gglossとしては、例えば60°光沢値を測定して求める。60°光沢値は、例えば光沢度測定機器(マイクロトリグロス、BYK社製)を用いて測定する。
<印刷画像の光沢度制御方法>
本発明の印刷画像の光沢度制御方法は、液体吐出ヘッドにより被印刷物に液体を吐出する印刷工程と、前記被印刷物を加熱する加熱工程と、を含む印刷画像の光沢度制御方法であって、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、前記加熱工程は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、
matte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする
<印刷物>
本発明によって得られる印刷物は、被印刷物と、前記被印刷物上に印刷層とを有する印刷物であって、前記印刷層が樹脂を含むクリアインク層からなる。本発明によれば、マット調及びグロス調の両方に光沢制御された印刷物が得られる。
<画像形成装置の一実施形態>
本発明者が鋭意検討した結果、前述の樹脂を含むクリアインクを、循環機構を有する液体を吐出する装置を用いて吐出させることによって初めて、乾燥負荷のかかった状態でも安定した吐出が得られるとともに、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応できることを見出した。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
本発明に用いられる液体吐出ヘッドの一例について図1~図6を参照して説明する。図1は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図、図3は同ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の断面説明図、図4は同ヘッドのノズル板の平面説明図、図5は同ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図、図6は同ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3を変位させる圧電アクチュエータ11と、共通液室部材20と、カバー29を備えている。
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。
流路板2は、ノズル4に通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7に通じる液導入部8を形成している。また、流路板2は、ノズル板1側から複数枚の板状部材41~45を積層接合して形成され、これらの板状部材41~45と振動板部材3を積層接合して流路部材40が構成されている。
振動板部材3は、液導入部8と共通液室部材20で形成される共通液室10とを通じる開口としてのフィルタ部9を有している。
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する壁面部材である。この振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
ここで、ノズル板1には、図4にも示すように、複数のノズル4が千鳥状に配置されている。
流路板2を構成する板状部材41には、図5(a)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部(溝形状の貫通穴の意味)6aと、流体抵抗部51、循環流路52を構成する貫通溝部51a、52aが形成されている。
同じく板状部材42には、図5(b)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6bと、循環流路52を構成する貫通溝部52bが形成されている。
同じく板状部材43には、図5(c)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6cと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53aが形成されている。
同じく板状部材44には、図5(d)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6dと、流体抵抗部7なる貫通溝部7aと、液導入部8を構成する貫通溝部8aと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53bが形成されている。
同じく板状部材45には、図5(e)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6eと、液導入部8を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部8b(フィルタ下流側液室となる)と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53cが形成されている。
振動板部材3には、図5(f)に示すように、振動領域30と、フィルタ部9と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53dが形成されている。
このように、流路部材を複数の板状部材を積層接合して構成することで、簡単な構成で複雑な流路を形成することができる。
以上の構成により、流路板2及び振動板部材3からなる流路部材40には、各個別液室6に通じる流路板2の面方向に沿う流体抵抗部51、循環流路52及び循環流路52に通じる流路部材40の厚み方向の循環流路53が形成される。なお、循環流路53は後述する循環共通液室50に通じている。
一方、共通液室部材20には、供給・循環機構494から液体が供給される共通液室10と循環共通液室50が形成されている。
共通液室部材20を構成する第1共通液室部材21には、図6(a)に示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25aと、下流側共通液室10Aとなる貫通溝部10aと、循環共通液室50となる底のある溝部50aが形成されている。
同じく第2共通液室部材22には、図6(b)に示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25bと、上流側共通液室10Bとなる溝部10bが形成されている。
また、図1も参照して、第2共通液室部材22には、共通液室10のノズル配列方向の一端部と供給ポート71を通じる供給口部となる貫通穴71aが形成されている。
同様に、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22には、循環共通液室50のノズル配列方向の他端部(貫通穴71aと反対側の端部)と循環ポート81を通じる貫通穴81a、81bが形成されている。
なお、図6において、底のある溝部については面塗りを施して示している(以下の図でも同じである)。
このように、共通液室部材20は、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22によって構成され、第1共通液室部材21を流路部材40の振動板部材3側に接合し、第1共通液室部材21に第2共通液室部材22を積層して接合している。
ここで、第1共通液室部材21は、液導入部8に通じる共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと、循環流路53に通じる循環共通液室50とを形成している。また、第2共通液室部材22は、共通液室10の残部である上流側共通液室10Bを形成している。
このとき、共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと循環共通液室50とはノズル配列方向と直交する方向に並べて配置されるとともに、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置される。
これにより、循環共通液室50の寸法が流路部材40で形成される個別液室6、流体抵抗部7及び液導入部8を含む流路に必要な寸法による制約を受けることがなくなる。
そして、循環共通液室50と共通液室10の一部が並んで配置され、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置されることで、ノズル配列方向と直交する方向のヘッドの幅を抑制することができ、ヘッドの大型化を抑制できる。共通液室部材20は、ヘッドタンクや液体カートリッジから液体が供給される共通液室10と循環共通液室50を形成する。
一方、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
この圧電アクチュエータ11は、図3に示すように、ベース部材13上に接合した圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の柱状の圧電素子12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
ここでは、圧電部材12の圧電素子12Aは駆動波形を与えて駆動させる圧電素子とし、圧電素子12Bは駆動波形を与えないで単なる支柱として使用しているが、すべての圧電素子12A、12Bを駆動させる圧電素子として使用することもできる。
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。また、圧電素子12Bを振動板部材3の厚肉部である凸部30bに接合している。
この圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12Aに与える電圧を基準電位から下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が下降して個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
そして、表面張力によって液体が共通液室10から引き込まれ液体が充填される。最終的には、供給タンク及び循環タンクや水頭差で規定される負圧と、メニスカスの表面張力とのつり合いにより、メニスカス面が安定するため、次の吐出動作に移行可能となる。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。また、上述した実施形態では、個別液室6に圧力変動を与える圧力発生手段として積層型圧電素子を用いて説明したが、これに限定されず、薄膜状の圧電素子を用いることも可能である。更に、個別液室6内に発熱抵抗体を配し、発熱抵抗体の発熱によって気泡を生成して圧力変動を与えるものや、静電気力を用いて圧力変動を生じさせるものを使用することができる。
次に、液体吐出ヘッドを用いた液体循環システムの一例を、図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態における液体循環システムを示すブロック図である。図7に示すように、本実施形態における液体循環システムは、メインタンク、液体吐出ヘッド、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、送液ポンプ、レギュレータ(R)、供給側圧力センサ、循環側圧力センサなどで構成されており、更に全体のインク循環速度を調整する循環速度制御部からなる。
供給側圧力センサは、供給タンクと液体吐出ヘッドとの間であって、液体吐出ヘッドの供給ポート71(図1参照)に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、液体吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、液体吐出ヘッドの循環ポート81(図1参照)に繋がった循環流路側に接続されている。
なお、本実施形態では、供給側圧力センサと循環側圧力センサを有する構成となっているが、これに限られず、少なくとも一方を有していることが好ましい。
循環タンクの一方は第一送液ポンプを介して供給タンクと接続されており、循環タンクの他方は第二送液ポンプを介してメインタンクと接続されている。これにより、供給タンクから供給ポート71を通って液体吐出ヘッド内に液体が流入し、循環ポート81から排出されて循環タンクへ排出され、更に第1送液ポンプによって循環タンクから供給タンクへ液体が送られることによって液体が循環する。
また、供給タンクにはコンプレッサがつなげられていて、供給側圧力センサで所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンクには真空ポンプがつなげられていて、循環側圧力センサで所定の負圧が検知されるよう制御される。これにより、液体吐出ヘッド内を通って液体を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
また、液体吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出すると、供給タンク及び循環タンク内の液体量が減少していくため、適宜メインタンクから第二送液ポンプを用いて、メインタンクから循環タンクに液体を補充することが望ましい。メインタンクから循環タンクへの液体補充のタイミングは、循環タンク内のインクの液面高さが所定高さよりも下がったら液体補充を行うなど、循環タンク内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
次に、液体吐出ヘッド内における液体の循環について説明する。図1に示すように、共通液室部材20の端部に、共通液室に連通する供給ポート71と、循環共通液室50に連通する循環ポート81が形成されている。供給ポート71及び循環ポート81は夫々チューブを介して液体を貯蔵する供給タンク・循環タンク(図7参照)につなげられている。そして、供給タンクに貯留されている液体は、供給ポート71、共通液室10、液導入部8、流体抵抗部7を経て、個別液室6へ供給される。
更に、個別液室6内の液体が圧電素子12の駆動によりノズル4から吐出される一方で、吐出されずに個別液室6内に留まった液体の一部もしくは全ては流体抵抗部51、循環流路52、53、循環共通液室50、循環ポート81を経て、循環タンクへと循環される。
上述した液体の循環が図8及び図9に図示されている。図8は図2のA-A’断面図を模式的に示す図であり、供給ポート71を経て供給液室10に供給される液体の流れを矢印で模式的に示している。図9は図2のB-B’断面図を模式的に示す図であり、循環流路52、53、循環共通液室50を経て循環ポート81に循環される液体の流れを矢印で模式的に示している。
なお、図9は微駆動機構を有する構成であり、微駆動機構は、吐出をしていないノズルにも微小なパルスを印加する事で、ノズル付近の乾燥による増粘したインクと、その背後のインクとを微小に循環させ、安定した吐出を保つことを目的とした機構である。
本実施形態において、液体を個別液室6に流入させるための流入流路は、供給ポート71、共通液室10、流体抵抗部7等からなるが、これに限られるものではなく、適宜変更することが可能である。また、液体を個別液室6から流出させるための流出流路は、流体抵抗部51、循環流路52、循環流路53、循環共通液室50、循環ポート81等からなるが、これに限られるものではなく、適宜変更することが可能である。
なお、液体の循環は液体吐出ヘッドの動作時のみならず、動作休止時においても実施することができる。動作休止時に循環することによって、個別液室内の液体は常にリフレッシュされるとともに、液体に含まれる成分の凝集や沈降を抑制できるので好ましい。
更に、本件のように、インク内に沈降しやすい微粒子を含む場合、インクの循環速度が遅いと、循環経路内にて微粒子の沈降や固着が発生する場合がある。すると、循環経路内の抵抗が強くなるため、供給側圧力センサ及び/又は循環側圧力センサでの検出値が小さくなる。その場合は、インクの循環速度を速めるよう制御することで、沈降部を解消させることができる。
具体的には、供給側圧力センサ及び/又は循環側圧力センサでの検出値が、あらかじめ設定した下限目標値(一例として、正常時の圧力の半分未満)にまで低下した場合、あらかじめ設定した圧力変化率で目標圧力(正常時の圧力)にまで昇圧するように流量を制御する。この例では流量を増加させる。検出値が前記目標圧力に到達した時点からあらかじめ定められた時間が経過するまでの間、この増加させた流量を維持する。これにより、沈降部を解消することができる。
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。図10は同装置の要部平面説明図、図11は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404を搭載した液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給・循環機構494により、液体が液体吐出ヘッド404内に供給・循環される。なお、本例において、供給・循環機構494は、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、送液ポンプ、レギュレータ(R)等で構成される。また、供給側圧力センサは、供給タンクと液体吐出ヘッドとの間であって、液体吐出ヘッドの供給管ポート71に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、液体吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、液体吐出ヘッドの循環ポート81に繋がった循環流路側に接続されている。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
更に、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給・循環機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では高画質画像を安定して形成することができる。
次に、液体吐出ユニットの例について図12を参照して説明する。図12は同ユニットの要部平面説明図である。本発明の液体を吐出する装置は、液体吐出ユニットの形態であってもよい。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給・循環機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。中でも循環機構を有することが好ましい。
本願において、「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。
吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、供給・循環機構、キャリッジ、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドと供給・循環機構が一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドと供給・循環機構が一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットの供給・循環機構と液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、供給・循環機構若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手
段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装
置である画像形成装置、立体造形物(3次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(3次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下において、「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
(調製例1)
<ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン1の調製>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200)1,500質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」とも称することがある)220質量部、及びN-メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称することがある)1,347質量部を窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445質量部、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6質量部を加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149質量部を添加し、混合したものの中から4,340質量部を抜き出して、強撹拌下、水5,400質量部、及びトリエチルアミン15質量部の混合溶液の中に加えた。
次に、氷1,500質量部を投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626質量部を加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン1(固形分濃度:30質量%)を得た。
得られたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン1について、造膜温度試験装置(井元製作所製)で測定したところ、最低造膜温度は55℃であった。
(調製例2)
<アクリル樹脂エマルジョン1の調製>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900質量部、及びラウリル硫酸ナトリウム1質量部を仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4質量部を添加し、溶解後、予めイオン交換水450質量部、ラウリル硫酸ナトリウム3質量部、アクリルアミド20質量部、スチレン365質量部、ブチルアクリレート545質量部、及びメタクリル酸10質量部を撹拌下で加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間保持した。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH8に調整し、アクリル樹脂エマルジョン1(固形分濃度:30質量%)を得た。
(製造例1)
-クリアインクAの製造-
調製例1のポリウレタン樹脂エマルジョン1(固形分濃度:30質量%)25質量%、1,2-プロパンジオール19質量%、1,3-プロパンジオール11質量%、1,2-ブタンジオール3質量%、界面活性剤として商品名「FS-300」(デュポン社製、フッ素系界面活性剤、固形分濃度40質量%)6質量%、及び高純水36質量%を添加し、混合撹拌して混合物を調製した。
次いで、得られた混合物を、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルター(商品名:BetafineポリプロピレンプリーツフィルターPPGシリーズ、3M社製)にてろ過することにより、クリアインクAを作製した。
(製造例2~5)
-クリアインクB~Fの製造-
製造例1において、表1に示すインク組成に変更した以外は、製造例1と同様にして、クリアインクB~Fを作製した。
Figure 0007192439000003
(実施例1)
<インクジェット印刷>
温度25℃±0.5℃、50±5%RHに調整された環境下で、図1~図9で示した循環型の液滴吐出機構を組み込んだインクジェット記録装置(リコー製、IPSiO GXe-5500改造機、リコー社製)を用いて印字を行った。さらに改造機には、印刷前、印刷中、及び印刷後において記録媒体を裏面から加熱することができるように、ヒーター(温度調節コントローラ、型式:MTCD、ミスミ社製)を設けた。これにより、印刷前、及び印刷中においてヒーターにより加熱された記録媒体に印刷が可能となり、印刷後においてヒーターにより印刷物の加熱乾燥が可能となる。
グロス光沢印刷モード、及びマット光沢印刷モードで記録媒体の種類、加熱条件、及び印刷画像を変更して印刷を実施した。
-記録媒体-
グロス光沢印刷モードでは、記録媒体1として、ユポ社製合成紙VJFN160(白色ポリプロピレンフィルム、光沢度16(60°光沢値))を使用した。
マット光沢印刷モードでは、記録媒体2として、リンテックサインシステム社製ウインドウフィルムGIY-0305(透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、光沢度159(60°光沢値))を使用した。
-加熱条件-
加熱条件は、グロス光沢印刷モードでは印刷前、印刷中、及び印刷後に配置した各ヒーターの加熱温度を60℃、60℃、及び70℃に設定した。マット光沢印刷モードでは各ヒーターの加熱温度を65℃、65℃、及び70℃に設定した。印刷中の記録媒体の温度を測定すると、グロス光沢印刷モードの記録媒体温度(=Tgloss)は59℃であり、マット光沢印刷モードの記録媒体温度(=Tmatte)は64℃であった。
印刷中の記録媒体の温度の測定は、デジタル放射温度センサ FT-H10(キーエンス社製)により行った。
-印刷画像-
グロス光沢印刷モードで印刷した画像は、画像解像度が600dpi×600dpiで印刷率が100%の全べた画像であった。
マット光沢印刷モードで印刷した画像は、画像解像度が600dpi×600dpiで印刷率が40%のハーフトーン画像であった。
-印刷率-
印刷率については、ここでは、下記を意味する。
印刷率(%)=クリアインク印刷ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(ただし、前記式中、「クリアインク印刷ドット数」は単位面積当たりのクリアインクを実際に印刷したドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。同じドット位置となるようにクリアインクを重ねて印刷する場合には、「クリアインク印刷ドット数」は単位面積当たりのクリアインクを実際に印刷した合計のドット数で表す。)
マット光沢印刷モード、及びグロス光沢印刷モードのいずれの場合も、記録媒体上にクリアインクAを、直接、印刷した。
次に、得られた印刷物について、以下のようにして、光沢度を測定し、光沢感を評価した。さらに、乾燥負荷をかけるため、以下に示す条件で印刷を行い、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
<光沢度>
得られた印刷物について、光沢度測定機器(マイクロトリグロス、BYK社製)を用いて、60°光沢値を測定した。この時、印刷物のクリアインクAを印刷した印刷部の表面の任意の3点の光沢度を測定し、その平均値をGpとし、非印刷部の記録媒体表面の光沢度をGmとした。
<光沢感又はマット感>
得られた印刷物について、下記の基準に基づき目視評価を行った。グロス光沢印刷モードの時には光沢感、マット光沢印刷モードの時にはマット感を評価した。なお、A及びBを合格とし、Cを不合格とした。
[評価基準]
A:クリアインク印刷部が、クリアインク未印刷部よりも明確に光沢感又はマット感を感じる。
B:クリアインク印刷部が、クリアインク未印刷部よりも光沢感又はマット感を強く感じるが、はっきり見ないと分からない。
C:クリアインク印刷部が、クリアインク未印刷部よりも光沢感又はマット感を感じない、もしくは、弱く感じる。
<吐出安定性>
温度32℃±0.5℃、30±5%RH条件下において、前記の印刷画像を印刷し、得られた印刷物について、筋、抜け、噴射乱れの有無を目視で観察し、評価した。この時の評価基準は以下の通りとし、Aを合格とし、B及びCを不合格とした。
[評価基準]
A:ベタ部に認められる筋、抜け、噴射乱れがない、又はほとんど見られない。
B:ベタ部に筋、抜け、噴射乱れが3箇所以上で認められる。
C:インクが吐出されず、像が形成できていない。
<ノズル回復性>
温度32℃±0.5℃、15±5%RH条件下にて、24時間ヘッドをデキャップ状態で放置した後に、クリーニング動作を3回繰り返し、その後ノズルチェックパターンをVJFN160上に印刷して、各ノズルが吐出されているかを目視で観察し、評価した。この時の評価基準は以下の通りとし、Aを合格とし、BからDを不合格とした。
[評価基準]
A:全ノズルが正常に吐出されている。
B:全体の半分以下のノズルでインクが吐出されていない。
C:全体の半分以上のノズルでインクが吐出されていない。
D:インクが全く吐出されていない。
(実施例2)
実施例1において、加熱条件を、グロス光沢印刷モードでは印刷前、印刷中、及び印刷後の各ヒーターの加熱温度を50℃、50℃、及び70℃に設定し、マット光沢印刷モードでは各ヒーターの加熱温度を70℃、70℃、及び70℃に設定した以外は、実施例1と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
なお、印刷中の記録媒体温度を測定すると、グロス光沢印刷モードの記録媒体温度(=Tgloss)は49℃であり、マット光沢印刷モードの記録媒体温度(=Tmatte)は68℃であった。
(実施例3)
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例2のクリアインクBに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(実施例4)
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例3のクリアインクCに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(実施例5)
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例4のクリアインクDに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(実施例6)
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例5のクリアインクEに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(実施例7)
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例6のクリアインクFに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(比較例1)
実施例1において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例1と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(比較例2)
実施例2において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例2と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(比較例3)
実施例4において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例4と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例4と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(比較例4)
実施例5において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例5と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例5と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
(比較例5)
実施例7において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例7と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例7と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
Figure 0007192439000004
Figure 0007192439000005
表2及び表3の結果から、光沢度については、実施例1、2、比較例1、2の比較によれば、同一のインクでも印刷率、加熱温度を変化させることで、光沢度を変化させることができることがわかった。
吐出安定性については、実施例1~7と比較例1~5の比較によれば、ヘッドに循環機構を持たせることで、吐出安定性が向上していることがわかった。
ノズル回復性については、実施例1~7と比較例1~5の比較によれば、ヘッドに循環機構を持たせることで、乾燥の強いデキャップ条件下でもインクの増粘が抑えられ、その後のクリーニング動作によってノズルを完全に回復させることができることがわかった。
なお、上記用いたインクはわずかに水分が蒸発するだけで一気に粘度が上昇するものであり、インクの塗膜表面の濡れ広がりは着弾した瞬間にのみ生じる。このようにインクの塗膜表面の濡れ広がりが印刷時のメディア温度に依存する場合、印字後に加熱してもすでに表面形状は決まっており、残った水分が蒸発するだけとなる。このため、グロス光沢印刷モードにおいて印字後のヒーター温度が高くても、マット調にはならないと考えられる。
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 個別液室
6a、6b、6c、6d、6e 個別液室を構成する貫通溝部
7 流体抵抗部
7a 流体抵抗部である貫通溝部
8 液導入部
8a、8b 液導入部を構成する貫通溝部
9 フィルタ部
10 共通液室
10A 下流側共通液室
10a 貫通溝部
10B 上流側共通液室
10b 溝部
11 圧電アクチュエータ
12 圧電部材
12A、12B 圧電素子
13 ベース部材
15 フレキシブル配線部材
20 共通液室部材
21 第1共通液室部材
22 第2共通液室部材
25a、25b 圧電アクチュエータ用貫通穴
29 カバー
30 振動領域
30a、30b 凸部
40 流路部材
41~45 板状部材
50 循環共通液室
50a 溝部
51 流体抵抗部
51a 流体抵抗部を構成する貫通溝部
52、53 循環流路
52a、52b 循環流路を構成する貫通溝部
53a、53b、53c、53d 循環流路を構成する貫通溝部
71 供給ポート
71a 貫通穴
81 循環ポート
81a、81b 貫通穴
特開2015-3397号公報 特開2009-208348号公報

Claims (9)

  1. 液体を収容する液体収容部と、前記液体を被印刷物に吐出する液体吐出ヘッドと、前記被印刷物を加熱する加熱手段と、を有する液体を吐出する装置であって、
    マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、
    前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、
    前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、
    前記加熱手段は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする液体を吐出する装置。
  2. 前記加熱手段は、Tmatte-Tgloss≧10[℃]となるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
  3. 前記マット光沢印刷モードで用いる前記被印刷物の光沢度をGmatteとし、前記グロス光沢印刷モードで用いる前記被印刷物の光沢度をGglossとしたとき、Gmatte>Gglossであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
  4. 前記樹脂は、前記液体中8質量%以上含まれることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  5. 前記樹脂は、ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  6. 前記液体は、界面活性剤を含有し、
    前記界面活性剤は、前記液体中2質量%以下含まれることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  7. 前記界面活性剤が、フッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項に記載の液体を吐出する装置。
  8. 液体吐出ヘッドにより被印刷物に液体を吐出する印刷工程と、前記被印刷物を加熱する加熱工程と、を含む印刷方法であって、
    マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、
    前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、
    前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、
    前記加熱工程は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする印刷方法。
  9. 液体吐出ヘッドにより被印刷物に液体を吐出する印刷工程と、前記被印刷物を加熱する加熱工程と、を含む印刷画像の光沢度制御方法であって、
    マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、
    前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、
    前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、
    前記加熱工程は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする印刷画像の光沢度制御方法。
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