JP7192439B2 - 液体を吐出する装置、印刷方法及び印刷画像の光沢度制御方法 - Google Patents
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Description
しかし、色材を含むカラーインクは色材を含まないクリアインクに比べて、十分な光沢度差が得られず、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応できないという問題がある。
しかしながら、UVクリアインクは臭気が強く、印刷物にも臭気が残るので、室内用途の印刷物には不向きである。このため、インクジェット印刷装置の設置場所も、排気ができる環境が必要となり、設置場所が限られてしまう。また、UVクリアインクは紫外線照射装置が必要であり、装置の大型化やコストが高くなるという問題がある。
本発明は、液体を収容する液体収容部と、前記液体を被印刷物に吐出する液体吐出ヘッドと、前記被印刷物を加熱する加熱手段と、を有する液体を吐出する装置であって、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、前記加熱手段は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする。
本発明者らは、鋭意検討し、液体として樹脂を含有するクリアインクを用い、循環機構により液体を循環させ、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードとで被印刷物を加熱する温度を異ならせ、マット光沢印刷モードにおける被印刷物の温度をグロス光沢印刷モードにおける被印刷物の温度よりも高くすることにより、上記諸問題を解決できるという知見を得て本発明に至った。本発明によれば、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応でき、安定した吐出が可能となる。
以下、本発明に係る液体を吐出する装置の一実施形態について、詳細を説明する。
マット光沢付与を行う場合、印刷時の温度はグロス光沢付与モードに比べて、高い温度で印刷を行う。印刷時の温度が高いことにより、樹脂を含むクリアインクは被印刷物に着弾した後、ドットの濡れ広がりが抑制されるため、隣接ドットの合一が抑制され、かつドット球の高さ(パイルハイト)が高いドットが形成される。これらのドットが表面凹凸を形成し、マット光沢を付与する。
このように、本実施形態によればマット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応できる。
Tmatte-Tgloss≧10℃とすることにより、マット光沢印刷モードでは、加熱温度が相対的により高くなり、ドットの濡れ広がりをより抑制することができ、パイルハイトが高いドットを形成して、凹凸の大きな表面を形成することができる。
一方、グロス光沢印刷モードでは、加熱温度が相対的により低くなり、ドットの濡れ広がりを促進することができ、隣接ドットの合一により、平滑な表面を形成することができる。
グロス光沢印刷モードの場合:Gp≧Gm
マット光沢印刷モードの場合:Gp≦Gm
であることが好ましく、
グロス光沢印刷モードの場合:Gp-Gm≧20
マット光沢印刷モードの場合:Gp-Gm≦-30
であることがより好ましく、
グロス光沢印刷モードの場合:Gp-Gm≧49
マット光沢印刷モードの場合:Gp-Gm≦-57
であることが更に好ましい。
光沢度差が上記の条件を満たすことにより、グロス光沢部及びマット光沢部と周囲との差異がはっきりと視認できるようになる。
上記の条件を満たすようにするには、例えば、加熱温度の設定を変更することが挙げられ、他にも印刷率を変更すること等が挙げられる。
60°光沢値は、例えば光沢度測定機器(マイクロトリグロス、BYK社製)を用いて測定する。
印刷率が高い方が、平滑表面が形成されやすいため、グロス光沢印刷モードでは印刷率が高い画像にすることが好ましい。一方、マット光沢印刷モードでは、印刷率が高いと、隣接ドットの合一が発生し、表面凹凸が形成されにくくなるため、印刷率が低い画像とすることが好ましい。
印刷率(%)=クリアインク印刷ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(ただし、前記式中、「クリアインク印刷ドット数」は単位面積当たりのクリアインクを実際に印刷したドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。
なお、同じドット位置となるようにクリアインクを重ねて印刷する場合には、「クリアインク印刷ドット数」は単位面積当たりのクリアインクを実際に印刷した合計のドット数で表す。)
なお、印刷率100%とは、画素に対する単色の最大インク重量を意味する。
本実施形態では、マット光沢印刷モードにおける加熱手段の加熱温度をHTmatte[℃]とし、グロス光沢印刷モードにおける加熱手段の加熱温度をHTgloss[℃]としたとき、HTmatte>HTglossを満たす。本実施形態においても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
本実施形態において、インクの塗膜表面の濡れ広がりは着弾した瞬間に生じるため、印字後の加熱は表面形状に及ぼす影響が少ないと考えられる。そのため、印字後の加熱手段の加熱温度は、必ずしもHTmatte>HTglossの条件を満たしている必要はない。
なお、HTmatte-HTgloss≧10[℃]の条件においても上記と同様に、印字中の加熱手段の加熱温度において満たしていることが好ましく、印字前の加熱手段の加熱温度においても満たしていることがより好ましい。
液体収容部は例えばインク収容部とも称され、液体であるインクを収容する。
インク収容部としては、インクを収容できる部材であれば特に制限はなく、例えば、インク収容容器、インクタンクなどが挙げられる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが挙げられる。
インクタンクとしては、メインタンク、サブタンクなどが挙げられる。
液体吐出ヘッドは、液体を被印刷物に吐出する。本実施形態の液体吐出ヘッドは、液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、液体を個別液室に流入させるための流入流路と、液体を個別液室から流出させるための流出流路とを有する。
前記刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激が「圧力」の場合、例えば、前記インク吐出ヘッド内のインク流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。それにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記インク吐出ヘッドの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加してインクを飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
加熱手段は、被印刷物を加熱する。
加熱手段としては、被印刷物としての記録媒体の印刷面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、加熱ローラなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、印刷前、印刷中、印刷後における加熱温度はそれぞれ異なっていてもよい。
本発明で用いられる液体は、樹脂を含有するクリアインクである。クリアインクとは、色材を実質的に含まない無色透明のインクを意味する。なお、以下、クリアインクを単に「インク」と称することがある。
クリアインクは、水、有機溶剤等を含有してもよく、必要に応じて、界面活性剤などの添加剤等を含有してもよい。
樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の少なくとも1種を出発原料として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
また、前記ポリウレタン樹脂の製造に使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐候性の点から、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートの含有量としては、イソシアネート化合物全量に対して、60質量%以上が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、特に制限はなく、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができ、例えば、次の方法などが挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
前記鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。
クリアインク中に含まれる樹脂の含有量は、8質量%以上が好ましく、8質量%以上25質量%以下がより好ましい。樹脂の含有量が8質量%以上であると、少ないクリアインク量でマット光沢及びグロス光沢を制御できる。一方、樹脂の含有量が25質量%以下であると、インクの吐出安定性が低下することをより抑制できる。
一方、グロス光沢は、表面の凹凸をクリアインクで埋めて、平滑表面を形成することで、平滑性を付与する。表面の凹凸をクリアインクで埋めるには、クリアインク中の樹脂の含有量が多い方が、少ないクリアインク量で、表面の凹凸を埋めることができ、グロス光沢を付与しやすい点から好ましい。
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の含有量は特に限定されないが、水系クリアインクとして用いる場合には、インク全量に対して、0.1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、15質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。上記範囲であると、吐出安定性を向上させることができ、画像品位を向上させることができる。また、15質量%以上であると、高粘度になることを防止し、吐出安定性がより向上する。一方、60質量%以下であると、非浸透性記録媒体への濡れ性が好適となり、画像品位がより向上する。
クリアインクは有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水溶性有機溶剤などが挙げられる。なお、水溶性とは、例えば、25℃の水100gに5g以上溶解することを意味する。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
クリアインクは、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤をインクに添加することで、表面張力が低下し、紙等の記録媒体にインク滴が着弾した後の記録媒体中への浸透が速くなるため、フェザリングやカラーブリードを軽減することができる。
本発明においては、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましいが、シリコーン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
CnF2n+1-CH2CH(OH)CH2-O-(CH2CH2O)a-Y
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。 この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR(いずれも、DuPont社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Du Pont社製のFS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
被印刷物としては、記録媒体として用いられるものに限られず、例えば、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツ等の衣料用布、テキスタイル、皮革などを適宜使用することができる。なお、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、被印刷物としてセラミックス、ガラス、金属などを使用することもできる。
本実施形態では、記録媒体を被印刷物の一実施形態として説明する。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
一方、グロス光沢印刷モードでは、光沢度が低い被印刷物を用いることが好ましい。光沢度が低い被印刷物の方がクリアインクによるグロス光沢効果が強調されやすい点から好ましい。
本発明の印刷画像の光沢度制御方法は、液体吐出ヘッドにより被印刷物に液体を吐出する印刷工程と、前記被印刷物を加熱する加熱工程と、を含む印刷画像の光沢度制御方法であって、マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、前記加熱工程は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、
Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする
本発明によって得られる印刷物は、被印刷物と、前記被印刷物上に印刷層とを有する印刷物であって、前記印刷層が樹脂を含むクリアインク層からなる。本発明によれば、マット調及びグロス調の両方に光沢制御された印刷物が得られる。
本発明者が鋭意検討した結果、前述の樹脂を含むクリアインクを、循環機構を有する液体を吐出する装置を用いて吐出させることによって初めて、乾燥負荷のかかった状態でも安定した吐出が得られるとともに、マット調及びグロス調の両方の光沢制御に対応できることを見出した。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
流路板2は、ノズル4に通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7に通じる液導入部8を形成している。また、流路板2は、ノズル板1側から複数枚の板状部材41~45を積層接合して形成され、これらの板状部材41~45と振動板部材3を積層接合して流路部材40が構成されている。
振動板部材3は、液導入部8と共通液室部材20で形成される共通液室10とを通じる開口としてのフィルタ部9を有している。
同様に、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22には、循環共通液室50のノズル配列方向の他端部(貫通穴71aと反対側の端部)と循環ポート81を通じる貫通穴81a、81bが形成されている。
なお、図6において、底のある溝部については面塗りを施して示している(以下の図でも同じである)。
そして、循環共通液室50と共通液室10の一部が並んで配置され、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置されることで、ノズル配列方向と直交する方向のヘッドの幅を抑制することができ、ヘッドの大型化を抑制できる。共通液室部材20は、ヘッドタンクや液体カートリッジから液体が供給される共通液室10と循環共通液室50を形成する。
この圧電アクチュエータ11は、図3に示すように、ベース部材13上に接合した圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の柱状の圧電素子12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。また、圧電素子12Bを振動板部材3の厚肉部である凸部30bに接合している。
図7は、本実施形態における液体循環システムを示すブロック図である。図7に示すように、本実施形態における液体循環システムは、メインタンク、液体吐出ヘッド、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、送液ポンプ、レギュレータ(R)、供給側圧力センサ、循環側圧力センサなどで構成されており、更に全体のインク循環速度を調整する循環速度制御部からなる。
なお、本実施形態では、供給側圧力センサと循環側圧力センサを有する構成となっているが、これに限られず、少なくとも一方を有していることが好ましい。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
置である画像形成装置、立体造形物(3次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(3次元造形装置)がある。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
<ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン1の調製>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200)1,500質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」とも称することがある)220質量部、及びN-メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称することがある)1,347質量部を窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445質量部、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6質量部を加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149質量部を添加し、混合したものの中から4,340質量部を抜き出して、強撹拌下、水5,400質量部、及びトリエチルアミン15質量部の混合溶液の中に加えた。
次に、氷1,500質量部を投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626質量部を加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン1(固形分濃度:30質量%)を得た。
得られたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン1について、造膜温度試験装置(井元製作所製)で測定したところ、最低造膜温度は55℃であった。
<アクリル樹脂エマルジョン1の調製>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900質量部、及びラウリル硫酸ナトリウム1質量部を仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4質量部を添加し、溶解後、予めイオン交換水450質量部、ラウリル硫酸ナトリウム3質量部、アクリルアミド20質量部、スチレン365質量部、ブチルアクリレート545質量部、及びメタクリル酸10質量部を撹拌下で加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間保持した。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH8に調整し、アクリル樹脂エマルジョン1(固形分濃度:30質量%)を得た。
-クリアインクAの製造-
調製例1のポリウレタン樹脂エマルジョン1(固形分濃度:30質量%)25質量%、1,2-プロパンジオール19質量%、1,3-プロパンジオール11質量%、1,2-ブタンジオール3質量%、界面活性剤として商品名「FS-300」(デュポン社製、フッ素系界面活性剤、固形分濃度40質量%)6質量%、及び高純水36質量%を添加し、混合撹拌して混合物を調製した。
次いで、得られた混合物を、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルター(商品名:BetafineポリプロピレンプリーツフィルターPPGシリーズ、3M社製)にてろ過することにより、クリアインクAを作製した。
-クリアインクB~Fの製造-
製造例1において、表1に示すインク組成に変更した以外は、製造例1と同様にして、クリアインクB~Fを作製した。
<インクジェット印刷>
温度25℃±0.5℃、50±5%RHに調整された環境下で、図1~図9で示した循環型の液滴吐出機構を組み込んだインクジェット記録装置(リコー製、IPSiO GXe-5500改造機、リコー社製)を用いて印字を行った。さらに改造機には、印刷前、印刷中、及び印刷後において記録媒体を裏面から加熱することができるように、ヒーター(温度調節コントローラ、型式:MTCD、ミスミ社製)を設けた。これにより、印刷前、及び印刷中においてヒーターにより加熱された記録媒体に印刷が可能となり、印刷後においてヒーターにより印刷物の加熱乾燥が可能となる。
グロス光沢印刷モード、及びマット光沢印刷モードで記録媒体の種類、加熱条件、及び印刷画像を変更して印刷を実施した。
グロス光沢印刷モードでは、記録媒体1として、ユポ社製合成紙VJFN160(白色ポリプロピレンフィルム、光沢度16(60°光沢値))を使用した。
マット光沢印刷モードでは、記録媒体2として、リンテックサインシステム社製ウインドウフィルムGIY-0305(透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、光沢度159(60°光沢値))を使用した。
加熱条件は、グロス光沢印刷モードでは印刷前、印刷中、及び印刷後に配置した各ヒーターの加熱温度を60℃、60℃、及び70℃に設定した。マット光沢印刷モードでは各ヒーターの加熱温度を65℃、65℃、及び70℃に設定した。印刷中の記録媒体の温度を測定すると、グロス光沢印刷モードの記録媒体温度(=Tgloss)は59℃であり、マット光沢印刷モードの記録媒体温度(=Tmatte)は64℃であった。
印刷中の記録媒体の温度の測定は、デジタル放射温度センサ FT-H10(キーエンス社製)により行った。
グロス光沢印刷モードで印刷した画像は、画像解像度が600dpi×600dpiで印刷率が100%の全べた画像であった。
マット光沢印刷モードで印刷した画像は、画像解像度が600dpi×600dpiで印刷率が40%のハーフトーン画像であった。
印刷率については、ここでは、下記を意味する。
印刷率(%)=クリアインク印刷ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(ただし、前記式中、「クリアインク印刷ドット数」は単位面積当たりのクリアインクを実際に印刷したドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。同じドット位置となるようにクリアインクを重ねて印刷する場合には、「クリアインク印刷ドット数」は単位面積当たりのクリアインクを実際に印刷した合計のドット数で表す。)
次に、得られた印刷物について、以下のようにして、光沢度を測定し、光沢感を評価した。さらに、乾燥負荷をかけるため、以下に示す条件で印刷を行い、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
得られた印刷物について、光沢度測定機器(マイクロトリグロス、BYK社製)を用いて、60°光沢値を測定した。この時、印刷物のクリアインクAを印刷した印刷部の表面の任意の3点の光沢度を測定し、その平均値をGpとし、非印刷部の記録媒体表面の光沢度をGmとした。
得られた印刷物について、下記の基準に基づき目視評価を行った。グロス光沢印刷モードの時には光沢感、マット光沢印刷モードの時にはマット感を評価した。なお、A及びBを合格とし、Cを不合格とした。
[評価基準]
A:クリアインク印刷部が、クリアインク未印刷部よりも明確に光沢感又はマット感を感じる。
B:クリアインク印刷部が、クリアインク未印刷部よりも光沢感又はマット感を強く感じるが、はっきり見ないと分からない。
C:クリアインク印刷部が、クリアインク未印刷部よりも光沢感又はマット感を感じない、もしくは、弱く感じる。
温度32℃±0.5℃、30±5%RH条件下において、前記の印刷画像を印刷し、得られた印刷物について、筋、抜け、噴射乱れの有無を目視で観察し、評価した。この時の評価基準は以下の通りとし、Aを合格とし、B及びCを不合格とした。
A:ベタ部に認められる筋、抜け、噴射乱れがない、又はほとんど見られない。
B:ベタ部に筋、抜け、噴射乱れが3箇所以上で認められる。
C:インクが吐出されず、像が形成できていない。
温度32℃±0.5℃、15±5%RH条件下にて、24時間ヘッドをデキャップ状態で放置した後に、クリーニング動作を3回繰り返し、その後ノズルチェックパターンをVJFN160上に印刷して、各ノズルが吐出されているかを目視で観察し、評価した。この時の評価基準は以下の通りとし、Aを合格とし、BからDを不合格とした。
A:全ノズルが正常に吐出されている。
B:全体の半分以下のノズルでインクが吐出されていない。
C:全体の半分以上のノズルでインクが吐出されていない。
D:インクが全く吐出されていない。
実施例1において、加熱条件を、グロス光沢印刷モードでは印刷前、印刷中、及び印刷後の各ヒーターの加熱温度を50℃、50℃、及び70℃に設定し、マット光沢印刷モードでは各ヒーターの加熱温度を70℃、70℃、及び70℃に設定した以外は、実施例1と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
なお、印刷中の記録媒体温度を測定すると、グロス光沢印刷モードの記録媒体温度(=Tgloss)は49℃であり、マット光沢印刷モードの記録媒体温度(=Tmatte)は68℃であった。
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例2のクリアインクBに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例3のクリアインクCに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例4のクリアインクDに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例5のクリアインクEに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例2において、製造例1のクリアインクAを製造例6のクリアインクFに変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例1において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例1と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例1と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例2において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例2と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例2と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例4において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例4と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例4と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例5において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例5と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例5と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
実施例7において、印刷装置を循環機構を組み込んでいないGXe-5500改造機に変更した以外は、実施例7と同様にして、インクジェット印刷を行った。得られた印刷物について、実施例7と同様にして、光沢度を測定し、光沢感、吐出安定性、ノズル回復性を評価した。結果を表3に示した。
吐出安定性については、実施例1~7と比較例1~5の比較によれば、ヘッドに循環機構を持たせることで、吐出安定性が向上していることがわかった。
ノズル回復性については、実施例1~7と比較例1~5の比較によれば、ヘッドに循環機構を持たせることで、乾燥の強いデキャップ条件下でもインクの増粘が抑えられ、その後のクリーニング動作によってノズルを完全に回復させることができることがわかった。
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 個別液室
6a、6b、6c、6d、6e 個別液室を構成する貫通溝部
7 流体抵抗部
7a 流体抵抗部である貫通溝部
8 液導入部
8a、8b 液導入部を構成する貫通溝部
9 フィルタ部
10 共通液室
10A 下流側共通液室
10a 貫通溝部
10B 上流側共通液室
10b 溝部
11 圧電アクチュエータ
12 圧電部材
12A、12B 圧電素子
13 ベース部材
15 フレキシブル配線部材
20 共通液室部材
21 第1共通液室部材
22 第2共通液室部材
25a、25b 圧電アクチュエータ用貫通穴
29 カバー
30 振動領域
30a、30b 凸部
40 流路部材
41~45 板状部材
50 循環共通液室
50a 溝部
51 流体抵抗部
51a 流体抵抗部を構成する貫通溝部
52、53 循環流路
52a、52b 循環流路を構成する貫通溝部
53a、53b、53c、53d 循環流路を構成する貫通溝部
71 供給ポート
71a 貫通穴
81 循環ポート
81a、81b 貫通穴
Claims (9)
- 液体を収容する液体収容部と、前記液体を被印刷物に吐出する液体吐出ヘッドと、前記被印刷物を加熱する加熱手段と、を有する液体を吐出する装置であって、
マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、
前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、
前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、
前記加熱手段は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする液体を吐出する装置。 - 前記加熱手段は、Tmatte-Tgloss≧10[℃]となるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
- 前記マット光沢印刷モードで用いる前記被印刷物の光沢度をGmatteとし、前記グロス光沢印刷モードで用いる前記被印刷物の光沢度をGglossとしたとき、Gmatte>Gglossであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
- 前記樹脂は、前記液体中8質量%以上含まれることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記樹脂は、ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記液体は、界面活性剤を含有し、
前記界面活性剤は、前記液体中2質量%以下含まれることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の液体を吐出する装置。 - 前記界面活性剤が、フッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項6に記載の液体を吐出する装置。
- 液体吐出ヘッドにより被印刷物に液体を吐出する印刷工程と、前記被印刷物を加熱する加熱工程と、を含む印刷方法であって、
マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、
前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、
前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、
前記加熱工程は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする印刷方法。 - 液体吐出ヘッドにより被印刷物に液体を吐出する印刷工程と、前記被印刷物を加熱する加熱工程と、を含む印刷画像の光沢度制御方法であって、
マット光沢を付与する印刷モードであるマット光沢印刷モードと、グロス光沢を付与する印刷モードであるグロス光沢印刷モードと、を有し、
前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルに連通する個別液室と、前記液体を前記個別液室に流入させるための流入流路と、前記液体を前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有し、
前記液体は、樹脂を含有するクリアインクであるとともに、前記流入流路及び前記流出流路を介して循環され、
前記加熱工程は、前記マット光沢印刷モードと前記グロス光沢印刷モードとで前記被印刷物を加熱する温度を異ならせるとともに、前記マット光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTmatte[℃]とし、前記グロス光沢印刷モードにおいて前記液体が前記被印刷物に着弾するときの着弾領域における前記被印刷物の温度をTgloss[℃]としたとき、Tmatte>Tglossとなるように前記被印刷物を加熱することを特徴とする印刷画像の光沢度制御方法。
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