JP7190200B2 - 加速器を用いた放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器 - Google Patents

加速器を用いた放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器 Download PDF

Info

Publication number
JP7190200B2
JP7190200B2 JP2020510822A JP2020510822A JP7190200B2 JP 7190200 B2 JP7190200 B2 JP 7190200B2 JP 2020510822 A JP2020510822 A JP 2020510822A JP 2020510822 A JP2020510822 A JP 2020510822A JP 7190200 B2 JP7190200 B2 JP 7190200B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target
electrodeposition
radionuclide
electrode
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020510822A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019189022A1 (ja
Inventor
弘太郎 永津
寿 鈴木
秀剛 石津
幹雄 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NATIONAL INSTITUTES FOR QUANTUM AND RADIOLOGICALSCIENCE AND TECHNOLOGY
Original Assignee
NATIONAL INSTITUTES FOR QUANTUM AND RADIOLOGICALSCIENCE AND TECHNOLOGY
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NATIONAL INSTITUTES FOR QUANTUM AND RADIOLOGICALSCIENCE AND TECHNOLOGY filed Critical NATIONAL INSTITUTES FOR QUANTUM AND RADIOLOGICALSCIENCE AND TECHNOLOGY
Publication of JPWO2019189022A1 publication Critical patent/JPWO2019189022A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7190200B2 publication Critical patent/JP7190200B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G21NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
    • G21GCONVERSION OF CHEMICAL ELEMENTS; RADIOACTIVE SOURCES
    • G21G1/00Arrangements for converting chemical elements by electromagnetic radiation, corpuscular radiation or particle bombardment, e.g. producing radioactive isotopes
    • G21G1/04Arrangements for converting chemical elements by electromagnetic radiation, corpuscular radiation or particle bombardment, e.g. producing radioactive isotopes outside nuclear reactors or particle accelerators
    • G21G1/10Arrangements for converting chemical elements by electromagnetic radiation, corpuscular radiation or particle bombardment, e.g. producing radioactive isotopes outside nuclear reactors or particle accelerators by bombardment with electrically charged particles
    • GPHYSICS
    • G21NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
    • G21KTECHNIQUES FOR HANDLING PARTICLES OR IONISING RADIATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; IRRADIATION DEVICES; GAMMA RAY OR X-RAY MICROSCOPES
    • G21K5/00Irradiation devices
    • G21K5/08Holders for targets or for other objects to be irradiated

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • High Energy & Nuclear Physics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Particle Accelerators (AREA)
  • Radiation-Therapy Devices (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

この発明は、例えば、高エネルギーの粒子ビームを発生させる加速器を用いた放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器に関する。
加速器を用いて発生させた高エネルギーの粒子ビームを標的となるターゲット物質に衝突させると、核反応が起き放射性核種が生成される。放射性核種は、非侵襲的な体外診断などに有効なガンマ線や、治療効果が期待できるベータ線・アルファ線などを放出するため、核医学分野において研究・臨床利用目的のために広く使用されている。
放射性核種の製造は、一般に加速器とターゲットステーションとよばれる標的照射装置を用いて行われる。すなわち、ターゲットステーションでは、内部にターゲット物質を収納したターゲット容器を所定の位置に配置し、当該ターゲット物質に向けて加速器からの粒子ビームを照射する。生成された放射性核種は、ターゲット容器に収納された状態でターゲットステーションから脱離され、放射線が漏れないようにした放射性物質取り扱い場所であるホットセルに移送された後、分離回収される。この際、放射性核種の脱離や移送は、当該作業に由来する被ばくを避けるため、通常、ロボットを用いた遠隔操作により行われており、ハンドリングミスなどが生じる恐れがあった。
使用したいターゲット物質の中には、一般に粉末で提供されているものがある。それらをターゲットステーションで使用するためには、例えば、板のような、自己保持可能な固形にする必要がある。この固形化には、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、加速された陽子によって放射性核種を生成するためのラジウムターゲットの製法が開示されている。その方法によれば、水性-有機性溶液からの少なくとも1種類のラジウム含有物質又はそのような物質の懸濁液を分散装置によってある表面に塗布し、その際、上記分散装置と上記表面とが相対的に互いに近づき、上記溶媒は実質的に自発的に除去されるとされている。
しかしながら、この方法では、ターゲット物質を固形化し放射性核種を製造することができても、放射性核種の回収のために、依然として、ロボットを用いる必要があった。
特表2007-536533号公報
この発明は、上述の問題に鑑みて、製造した放射性核種の回収を簡易にすることのできる放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器を提供することを目的とする。
この発明は、粒子を加速させて粒子ビームとする加速器と、前記粒子ビームが入射するビーム入射窓と前記粒子ビームが照射されるターゲットを電着可能とするターゲット電着用電極と該ターゲット電着用電極と異極となる内部電極を有する放射性核種製造用容器と、前記放射性核種製造用容器内に前記ターゲットに電着液を供給し回収する電着液供給回収部と、前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加して前記ターゲット電着用電極に前記ターゲットを電着させる直流電源部と、前記放射性核種製造用容器に前記ターゲットを溶解する溶解液を供給し回収する溶解液供給回収部と、を備えた放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器であることを特徴とする。
この発明により、製造した放射性核種の回収を簡易にすることのできる放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器を提供できる。
放射性核種の製造装置の全体構成を示す構成図。 放射性核種製造用容器の全体構成を示す構成図。 ターゲット電着用電極の電着面の種々の形状を示す図。 ターゲット電着用電極における母材に接液部材を取り付ける方法を示す図。 他の例の胴部の形状を示す図。 他の例の通液部の配置を示す図。 内部電極の種々の形状を示す図。 ティーズ継手の分解図、およびティーズ継手45の接続図。
本発明の発明者は、粒子ビームを照射して放射性核種を製造するためのターゲット容器の装着と回収のための設備について、コストの低下と安全性の向上と取扱い容易性の向上という、相反する課題を解決するべく鋭意研究した。そして、ターゲット容器はビームステーションへセットしたままで、液体を流入、流出することでターゲットの生成、放射性核種の生成、放射性核種の回収を実現できる画期的な本発明を発明した。以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
<放射性核種の製造装置の全体構成>
図1は、放射性核種の製造装置1の全体構成を示す構成図である。放射性核種の製造装置1は、粒子を加速させて粒子ビーム21とする加速器2と、電着可能なターゲット電着用電極32とターゲット電着用電極32と異極となる内部電極33を有し電着によりターゲットを形成し、当該ターゲットに粒子ビーム21を照射して放射性核種を生成する放射性核種製造用容器3と、ターゲットを形成するために放射性核種製造用容器3内にターゲットに電着液を供給し、電着後の残液を回収する電着液供給回収部4aと、放射性核種を溶解する溶解液を放射性核種製造用容器3内に供給し当該溶解液と共に放射性核種を回収する溶解液供給回収部4bと、放射性核種製造用容器3で発生した気体を排出する気体排出部5と、ターゲット電着用電極32と内部電極33との間に直流電圧を印加してターゲット電着用電極32にターゲットを電着させる直流電源部6と、放射性核種製造用容器3を加熱する加熱部7と、ターゲット電着用電極32に到達する粒子ビーム21の照射電流値を計測する照射電流計測部8と、加速器2、電着液供給回収部4a、溶解液供給回収部4b、気体排出部5、直流電源部6、加熱部7および照射電流計測部8と、それぞれ信号線(図示せず)で接続され、これらを制御するコンピュータ(PC)9とを、備えている。
<加速器>
加速器2には、例えば、サイクロトロン、シンクロトロン、あるいは線形加速器などを用いることができる。加速器2が放射する粒子ビーム21には、陽子、重陽子、あるいはヘリウム原子核などの粒子が利用できる。粒子ビーム21は、加速器2から水平方向に放射される。目的とする放射性核種を核反応により高純度、高収率で製造するために、ターゲットの種類やその厚さに応じて適宜、粒子の種類や、加速エネルギー、照射電流値(ターゲット電着用電極32に到達する粒子ビーム21の照射電流値)、照射時間を決定する。例えば、Ni(ニッケル)をターゲットにして放射性核種Co(コバルト)55を生成する場合、粒子ビーム21の粒子に陽子を用いると良い。粒子ビーム21の照射条件は特に限定されず、Niの厚さにも依るが、加速エネルギーを5~20MeV、照射電流値を0.05~500μA、照射時間を5分~12時間にして、粒子ビーム21の照射をするのが好ましい。なお、加速器2には、図示省略するイオン源から粒子が供給される。
<放射性核種製造用容器>
図2は、放射性核種製造用容器3の全体構成を示す分解断面図である。
放射性核種製造用容器3は、中央に左右の両端面が開放された肉厚の周壁で形成された略円筒状の胴部34を有している。胴部34の右端面側は、隣接する右スペーサ35を介してビーム入射窓31dにより蓋をされている。また、胴部34の左端面側は、隣接する左スペーサ36を介してターゲット電着用電極32により蓋をされている。このような放射性核種製造用容器3は、全体として横に寝かせた両端が閉鎖された略円筒状に形成されている。これにより、放射性核種製造用容器3内は密閉されており、気体や液体が意図せず漏れ出ることが無いように構成されている。
放射性核種製造用容器3全体の外寸は、外径D1が50~100mmで、長さlが30~250mmである。放射性核種製造用容器3は、加速器2からの粒子ビーム21がビーム入射窓31dの中心に入射し、放射性核種製造用容器3の中心線に沿って内部空間を通過し、ターゲット電着用電極32に到達するような向きに配置される(図1参照)。
<胴部>
胴部34は、外径D1、内径d1の円筒状の周壁を有している。
胴部34には、周壁を垂直に貫通する貫通孔であって、電着液や溶解液を放射性核種製造用容器3の内外に通流させる通液部34cが設けられている。通液部34cは、放射性核種製造用容器3を横に寝かせた状態で下方に位置するようになっている。通液部34cは、周壁を鉛直方向に向けて貫通している。通液部34cは、中央よりターゲット電着用電極32寄りに設けられている。通液部34cには、電流を流すことのできる導体管が内挿され当該導体管の外側の隙間に液体を流動させることのできる導体管内挿配管44が下方に向けて接続されている。
胴部34には、周壁の内側面に形成され胴部34の長さ方向に所定の長さだけ延びる断面が略半円形状の溝であって、放射性核種製造用容器3内で発生する気体を一時退避させ貯留する捕集部としての気体退避空間34aが設けられている。気体退避空間34aは、胴部34の内部空間を挟んで通液部34cに対向する側に形成されており、放射性核種製造用容器3を横に寝かせた状態で上方に位置するようになっている。
胴部34には、上部に、周壁を垂直に貫通する貫通孔である通気部34bが設けられている。通気部34bは、気体退避空間34aに連接され、気体を放射性核種製造用容器3の内外に通流させる。通気部34bは、胴部34の内部空間を挟んで通液部34cに対向しない位置(液体の流入方向の直線上ではない位置)で、気体退避空間34aに連接されている。すなわち、通気部34bと通液部34cとは、胴部34の長さ方向(水平方向)に距離dだけ離して設けられている。これにより、例えば、通液部34cから液体を放射性核種製造用容器3内に導入する際に、特に液体の注入において勢いが高まった場合など、当該液体が噴射し通気部34bから放射性核種製造用容器3および後続の系の外へ逃げてしまうことを防止できる。通気部34bは、気体退避空間34aと同様に、放射性核種製造用容器3を横に寝かせた状態で上方に位置するようになっている。通気部34bには、放射性核種製造用容器3内の気体を排気する排気管53aが上方に向けて接続されている。
<右スペーサ>
右スペーサ35は、中央に直径d2の孔を有する外径D1の円板形状を有している。孔の直径d2は、胴部34の内径d1より小さい。右スペーサ35は、粒子ビーム21に対する耐性を有しているのが好ましい。右スペーサ35は、絶縁体で化学的な耐腐食性を有するのが好ましい。右スペーサ35に用いる絶縁体には、ポリイミド樹脂,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂あるいは絶縁性セラミックス(炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ)などがある。
<ビーム入射窓>
ビーム入射窓31dは、直径D2の円板状で粒子ビーム21を透過させる薄膜の窓材31と、外径D1の円板状の枠材であって、当該薄膜の窓材31の外縁部を前後から挟み込むようにして固定する表枠材31aと裏枠材31bの2つの枠材を備えている。表枠材31aと裏枠材31bは、中央に直径D2より小さな直径d3の表枠材31a、裏枠材31bと同心円状の孔を有する。
表枠材31aと裏枠材31bの2つの枠材は、薄膜の窓材31を挟んで合体した直径d3の孔を有するビーム入射部31cを形成する。裏枠材31bの表側には、断面がL字状の凹部31eが形成されている。凹部31eには、直径D2の薄膜の窓材31が直径d3で窓材31と同心円状の孔を覆うようにして収まっている。
他方、表枠材31aの裏側には、裏枠材31bの上述のL字状の凹部31eと嵌め合わせ可能なL字状の凸部31fが形成されている。ビーム入射窓31dは、裏枠材31bの凹部31eに、薄膜の窓材31の外縁部を収容し、表枠材31aの凸部31fを嵌め合わせることにより形成される。
薄膜の窓材31には、Ti(チタン)、Ti合金、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Au(金)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、C(グラファイト)、ステンレス、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Havar合金の何れか一つ、あるいはこれらを複数組み合わせた集合体を用いることができる。薄膜の窓材31の厚みは、1~1000μmが好ましい。これにより、薄膜の窓材31は、入射する粒子ビーム21が通過しやすく、入射した粒子ビーム21による発熱も小さく抑えられる。また、粒子ビーム21の入射の際に薄膜の窓材31を積極的に冷却するために、ビーム入射部31cの薄膜の窓材31の表面側に気体冷媒37(図1参照)を流動させる。
<左スペーサ>
左スペーサ36は、右スペーサ35と同様に、中央に直径d4の同心円状の孔を有する外径D1の円板形状を有している。当該孔の直径d4は、胴部34の内径d1より小さいが、ビーム入射窓31dの表枠材31aおよび裏枠材31bの中央の孔の直径d3より大きくなっている。これにより、ビーム入射窓31dの薄膜の窓材31を通過して放射性核種製造用容器3内に入射した粒子ビーム21が広がって左スペーサ36に無駄に照射される恐れが小さくなる(図1参照)。
なお、左スペーサ36は、粒子ビーム21に対する耐性を有しているのが好ましい。左スペーサ36は、絶縁体で化学的な耐腐食性を有するのが好ましい。これにより、左スペーサ36は、ターゲット電着用電極32と胴部34との間を電気的に絶縁する。
左スペーサ36に用いる絶縁体には、ポリイミド樹脂,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂あるいは絶縁性セラミックス(炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ)などがある。
<ターゲット電着用電極>
ターゲット電着用電極32は、母材32bと接液部材32aとを備えている。ここでは、母材32bは、電気抵抗の小さなAg(銀)素材で形成されている。また、接液部材32aは、電着液と溶解液と粒子ビーム21に対して化学的・電気的に不活性な貴金属素材などにより形成される。この素材としては、例えば、Au(金)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、C(グラファイト)、あるいは導電性セラミックなどを使用することができる。本実施例では、Au(金)素材を使用している。母材32bは、外径D1の厚みのある円板形状であり、背面側の中央に直径d6の母材32bと同心円状の凹部32cを有し、前面側の中央には底面が直径d5の円錐状で照射される粒子ビーム21に向かって凸な円錐状凸部32dを有している。母材32bの前面には円錐状凸部32dの底面の外周に円環状の平底溝32eが形成されている。
接液部材32aは、母材32bの平底溝32eを埋める円環状の平らな縁32fと、縁32fに連接され母材32bの円錐状凸部32dを上方から被覆する円錐状キャップ32gを有している。接液部材32aは、母材32bの上方から嵌め合わされ、例えば、熱間等方加圧法を用いて接合されている。接液部材32aの円錐状キャップ32gの底面の直径d5は、隣接する左スペーサ36の孔の直径d4とほぼ同じになっている。このため、接液部材32aの縁32fの表面およびそれに続く母材32bの表面は、左スペーサ36により被覆される。一方、接液部材32aの円錐状キャップ32gの表面は、左スペーサ36から放射性核種製造用容器3の内部空間に露出する電着面32hを形成する。
また、接液部材32aの円錐状キャップ32gの底面の直径d5は、ビーム入射部31cの直径d3より大きくなっている。これにより、照射された粒子ビーム21を電着面32hの全体で受け止めることができる。
また、電着面32hの表面形状は、粒子ビーム21に向かって凸な円錐状になっているため、照射された粒子ビーム21を受け止める表面積が大きくなっている。これにより、電着面32hは、照射された粒子ビーム21を効率よく受け止めることができる。
また、放射性核種製造用容器3の内部空間に露出するのは、電着液と溶解液と粒子ビーム21に対して化学的に不活性かつ電気的には導体となる接液部材32aで形成された電着面32hである。このため、母材32bが放射性核種製造用容器3の内部空間に導入される電着液や溶解液により腐食したりする恐れが小さい。
また、粒子ビーム21の照射の際にターゲット電着用電極32を積極的に冷却するために、ターゲット電着用電極32の背面の凹部32cに冷却水等の液体冷媒38(図1参照)を流動させている。ここでは、凹部32cの直径d6は、接液部材32aの円錐状キャップ32gの底面の直径d5や隣接する左スペーサ36の孔の直径d4より大きくなっている。このため、照射された粒子ビーム21により高温となった電着面32h全体を効率よく冷却することができる。
なお、電着面32hの表面形状は、上述のような粒子ビーム21に向かって凸な円錐状に限るものではない。また、母材32bに接液部材32aを取り付ける方法は、上述の熱間等方加圧法を用いた接合に限るものではない。他の例については、後述する。
<内部電極>
内部電極33は、ターゲット電着用電極32との間に直流電圧を印加してターゲット電着用電極32にターゲットを電着させるためのもう一方の電極である。内部電極33は、ここでは、円環状に形成されている。
円環状の内部電極33は、胴部34の内部空間に配置され、胴部34の内部空間を通過する粒子ビーム21の外周を囲むように配置されている(図1参照)。内部電極33は、胴部34の通液部34cに接続された導体管内挿配管44に内挿されている導体管33aに、通液部34c近傍の接点33bで連結されている。
内部電極33には、電着液と溶解液と粒子ビーム21に対して化学的に不活性かつ電気的には導体となる貴金属素材などが使用される。内部電極33に連結された導体管内挿配管44内の導体管33aも、電着液と溶解液と粒子ビーム21に対して化学的に不活性かつ電気的には導体となる貴金属素材などで形成される。
なお、ターゲット電着用電極32、左スペーサ36、胴部34、右スペーサ35、裏枠材31b、および表枠材31aの各部材は、隣接する他の部材とシール用リング39を介して連結されている。これにより、放射性核種製造用容器3からの液漏れ等が抑制される。なお、シール用リング39は、左スペーサ36、胴部34、右スペーサ35、裏枠材31b、および表枠材31aの内径よりおおきく、かつ外形より小さいサイズのリング状に形成されている。
<電着液供給回収部>
図1に示すように、電着液供給回収部4aは、電着液容器41aと、モータ駆動の注射筒43とを備えている。注射筒43は、電着液容器41aに、配管46a、電動バルブ42d、配管44d、電動三方バルブ42b、配管44c、電動三方バルブ42a、および配管44bを介して接続されている。放射性核種製造用容器3の胴部34に接続された導体管内挿配管44の下端には、ティーズ継手45が設けられている。
ティーズ継手45には、他端に電動三方バルブ42aが接続された配管44aが接続されている(図8に示すティーズ継手45の分解図、および導体管内挿配管44と配管44aのティーズ継手45への接続図を参照)。これにより、配管44aを通流する液体は、導体管内挿配管44において導体管内挿配管44と内挿された導体管33aとの間の隙間を通流できる。
なお、ティーズ継手45に代えてストレート継手を使用してもよい。この場合には、配管44aを導体管内挿配管44内の導体管33aに直接接続し、そして、通液部34c近傍の導体管33aの一部に開口部を設けるようにする。これにより、配管44aを通流する液体は、導体管内挿配管44に内挿された導体管33a内を通って放射性核種製造用容器3内に通流できるようになる。
電着液容器41aには、電着によりターゲット形成するための電着液を入れておく。
モータ駆動の注射筒43は、シリンジと、モータ駆動による往復運動が可能なプランジャを備え、シリンジの先端開口部を通して液体や気体を注入および吸引する。モータ駆動の注射筒43は、シリンジの先端開口部が上方を向くように配置されている。これにより、意図せずに混入した気体を容易に排出することができる。なお、モータ駆動の注射筒43に代えて、液体や気体の移送に特化したポンプ機器等を用いてもよい。
<電着液の供給動作>
ターゲットを形成するために放射性核種製造用容器3内に電着液を供給する場合には、まず、配管(46a、44d、44c、44h)が連通するように、電動バルブ42d、電動三方バルブ42b、および電動三方バルブ42aに開閉動作をさせる。そして、モータ駆動の注射筒43に電着液容器41aから電着液を吸引する動作をさせる。次に、配管(44h、44a)が連通するように、電動三方バルブ42aに開閉動作をさせる。そして、モータ駆動の注射筒43に注入動作をさせれば、放射性核種製造用容器3内に電着液を供給することができる。
<電着後の残液の回収動作>
放射性核種製造用容器3内から電着後の残液を回収するためには、上述の電着液の供給動作の逆の動作を行えばよい。すなわち、配管(44h、44a)が連通するように、電動三方バルブ42aに開閉動作をさせる。そして、モータ駆動の注射筒43に放射性核種製造用容器3内から電着後の残液を吸引する動作をさせる。次に、配管(46a、44d、44c、44h)が連通するように、電動バルブ42d、電動三方バルブ42b、および電動三方バルブ42aに開閉動作をさせる。そして、モータ駆動の注射筒43に注入動作をさせれば、電着後の残液を電着液容器41a内に回収することができる。
なお、電着液供給回収部4aは、さらに、すすぎ液用容器41b、すすぎ液用容器41bと電動三方バルブ42bとの間を接続する配管46b、電動バルブ42e、配管44eを備え、すすぎ液の放射性核種製造用容器3内への供給および回収を行えるようになっている。
<溶解液供給回収部>
溶解液供給回収部4bは、電着液供給回収部4aの一部である、電動三方バルブ42b、配管44c、電動三方バルブ42a、配管44b、モータ駆動の注射筒43、および配管44aを共通して使用している。そして、溶解液供給回収部4bは、溶解液用容器41c、溶解液用容器41cと電動三方バルブ42bとの間を接続する配管46c、電動バルブ42f、配管44fを備えている。さらに、溶解液供給回収部4bは、放射性物質取り扱い場所であるホットセルに設置された放射性核種回収容器41dと、放射性核種回収容器41dと電動三方バルブ42bとの間を接続する配管46d、電動バルブ42g、配管44gとを備えている。
なお、ここでは、電着液供給回収部4aで使用するモータ駆動の注射筒43を溶解液供給回収部4bでも使用できるように共用としているが、溶解液供給回収部4bで使用するモータ駆動の注射筒を別途設けるようにしてもよい。これにより、電着液と溶解液との交叉汚染の発生を抑制することができる。
<溶解液の供給動作>
放射性核種を溶解する溶解液を放射性核種製造用容器3内に供給する場合は、上述の電着液の供給動作と同様に、まず、溶解液用容器41cに、粒子ビーム21の照射により生成された放射性核種を溶解する溶解液を入れておく。そして、配管(46c、44f、44c、44h)が連通するように、電動バルブ42f、電動三方バルブ42b、および電動三方バルブ42aに開閉動作をさせる。そして、モータ駆動の注射筒43に溶解液用容器41cから溶解液を吸引する動作をさせる。次に、配管(44h、44a)が連通するように、電動三方バルブ42aに開閉動作をさせる。そして、モータ駆動の注射筒43に注入動作をさせれば、放射性核種製造用容器3内に溶解液を供給することができる。
<放射性核種の回収動作>
放射性核種製造用容器3内から放射性核種が溶解した溶解後の溶解液を回収するためには、まず、配管(44h、44a)が連通するように、電動三方バルブ42aに開閉動作をさせる。そして、モータ駆動の注射筒43に放射性核種製造用容器3内から放射性核種が溶解した溶解後の溶解液を吸引する動作をさせる。次に、配管(46d、44g、44c、44h)が連通するように、電動バルブ42g、電動三方バルブ42b、および電動三方バルブ42aに開閉動作をさせる。そして、モータ駆動の注射筒43に注入動作をさせれば、溶解に使用した後の溶解液と共に放射性核種を放射性核種回収容器41d内に回収することができる。
なお、ガスパージ用のガスを供給できるように、電動三方バルブ42bに、配管44h、電動バルブ42c、および配管44iを介してガスボンベ(Gas)が接続されている。ガスボンベには、N(窒素)、He(ヘリウム)、Ar(アルゴン)、O(酸素)などの気体が封入されている。
<気体排出部>
気体排出部5は、放射性核種製造用容器3の胴部34の通気部34bに接続された排気管53aと、排気管53aが下方に接続され上方に排気管53bが接続された過剰溶液貯留槽51と、排気管53bに電動バルブ52を介して接続された排気管53cとを備えている。
気体排出部5は、放射性核種製造用容器3内の気体を排出し、または、放射性核種製造用容器3内に過剰に供給された液体を過剰溶液貯留槽51で溜め置くように機能する。
なお、排気管53cの先に真空ポンプなどの減圧装置(図示せず)を設けてもよい。減圧装置により、放射性核種製造用容器3内を真空引きすることにより、放射性核種製造用容器3内部を素早く乾燥することができる。また、高圧の圧縮空気を送気する装置(図示せず)を排気管53cの先に適宜接続するようしてもよい。これにより、放射性核種製造用容器3内に高圧の圧縮空気を送気することができる。
<直流電源部>
直流電源部6は、直流電源61と、一端が直流電源61の一方の極に直列接続された電源スイッチ62を備えている。直流電源61の他方の極は、内部電極33に連結された導体管内挿配管44内の導体管33aに接続され、電源スイッチ62の他端はターゲット電着用電極32に接続されている。ここで、ターゲット電着用電極32の極性は、電着液内にあるターゲット物質のイオンが持つ極性と反対になるように設定する。これにより、ターゲット電着用電極32に、ターゲット物質を電着することができる。直流電源61から印加される電圧は可変で、0.01~20Vの範囲内が好ましく,また,流れる電流は一定で、1~1000mAの範囲内が好ましい。
なお、極性の切り替えスイッチ(図示せず)を設けて、直流電源61が印加する直流電圧の極性を簡単に切り替えるようにしてもよい。これにより、使用する電着液の種類によりターゲット物質のイオンが持つ極性が逆になっても容易に対応することができる。また、このようなスイッチは、放射性核種を溶解する際に、直流電圧の極性を逆にして溶解を促進するために使用することも可能となる。
放射性核種製造用容器3内に電着液が満たされた状態で、電源スイッチ62をONにし、内部電極33とターゲット電着用電極32との間に直流電流を流すことにより、ターゲット電着用電極32の電着面32hにターゲットを形成することができる。
なお、放射性核種製造用容器3内に電着液が無い状態では、電源スイッチ62をOFFにし、直流電源61が過負荷状態にならないようにするのが好ましい。例えば、上述のNi(ニッケル)をターゲット電着用電極32の電着面32hに電着する場合には、電着液として120mgのNiSO(硫酸ニッケル)を7ccの水に溶解し、pHが10となるようにアンモニアを添加したものを放射性核種製造用容器3内に満たし、内部電極33が陽極、ターゲット電着用電極32が陰極となるように直流電源61を接続すればよい。流す直流電流は、10mAで一定になるように制御するのが好ましい。
<加熱部>
加熱部7は、放射性核種製造用容器3の外部に設けた発熱体71とパワー制御可能な交流電源72と電源スイッチ73を備え、これらはこの順に直列に接続されている。発熱体71には、絶縁性に優れたセラミックヒータが使用されている。加熱部7は、電源スイッチ73がONされ、交流電源72から電力の供給を受けた発熱体71が発熱し、放射性核種製造用容器3全体を外部から加熱する。これにより、例えば、放射性核種製造用容器3内部の溶解液を加熱して溶解反応を促進する、あるいは、液体排出後の内部を素早く乾燥することができる。
<照射電流計測部>
照射電流計測部8は、ターゲット電着用電極32に接続された回路スイッチ82と、一端が回路スイッチ82に接続され他端が接地された電流計81を備えている。照射電流計測部8は、加速器2が粒子ビーム21をターゲット電着用電極32に照射する直前に回路スイッチ82をONにするよう制御され、粒子ビーム21がターゲット電着用電極32に照射されている間の照射電流値を電流計81で計測する。そして、照射電流計測部8は、粒子ビーム21の照射が終了すると回路スイッチ82をOFFにするように制御されている。
なお、直流電源部6の電源スイッチ62がON状態のときには、回路スイッチ82はONにならないように制御されている。すなわち、粒子ビーム21がターゲット電着用電極32に照射されている間以外のほとんどの期間は、回路スイッチ82はOFFになるよう制御されている。回路スイッチ82は、電流計81とターゲット電着用電極32の間の通電を、粒子ビーム21を照射する時はONにし、ターゲットをターゲット電着用電極32に電着させる時はOFFにする切り替えスイッチとして機能する。これにより、放射性核種製造用容器3内での電着反応は安定する。
<コンピュータ(PC)>
コンピュータ(PC)9は、CPU、メモリおよび入出力部を備え、加速器2、電着液供給回収部4a、溶解液供給回収部4b、気体排出部5、直流電源部6、加熱部7および照射電流計測部8と、それぞれ信号線(図示せず)で接続され、これらを制御する。これにより、遠隔操作が可能となり、作業者は、放射性核種の製造に由来する被ばくを避けることができる。
≪放射性核種の製造≫
放射性核種の製造は、次の電着液供給工程、ターゲットの電着工程、電着後の残液の回収工程、粒子ビームの照射工程、放射性核種の溶解工程、および回収工程を経て行われる。ここでは、Ni(ニッケル)から放射性核種Co(コバルト)55を製造する場合を例として説明する。
≪電着液供給工程≫
製造対象となる放射性核種の原料(ターゲット)を含む溶液,すなわち,ターゲット溶液(電着液)を事前に準備し、電着液容器41aに充填する。ターゲット溶液(電着液)は、溶質及び溶媒の組成は任意であり、ターゲットとなる元素を有意に含めばよい。
電着液供給回収部4aに電着液の供給動作をさせ、電着液容器41aから電着液を放射性核種製造用容器3内に満杯になるように供給する。その際、放射性核種製造用容器3内の気体は、通気部34bを介して気体排出部5から排出される。また、放射性核種製造用容器3内に過剰に供給された電着液は、過剰溶液貯留槽51に溜まるようになっている。
例として、ターゲットとしてNi(ニッケル)を電着する場合には、電着液として120mgのNiSO(硫酸ニッケル)を7ccの水に溶解し、pHが10となるようにアンモニアを添加したものを準備する。
≪電着工程≫
次に、電着サブルーチンに移行する。
≪電着サブルーチン≫
まず、電着液が放射性核種製造用容器3内に充填された状態で、直流電源部6の電源スイッチ62をONにし、内部電極33とターゲット電着用電極32との間に直流電流を通電する。これにより、ターゲット電着用電極32の電着面32hにターゲットを形成することができる。ここで、電着液に含まれる溶質および溶媒の種類によっては、通電を開始すると内部電極33やターゲット電着用電極32の表面から気体が発生することがある。
放射性核種製造用容器3内の上方に設けた気体退避空間34aは、こうして発生した気体を、一旦貯留して通気部34bを介して気体排出部5から排出する。これにより、内部電極33やターゲット電着用電極32の周辺の気体を効果的に排除することができる。そして、電着を均一に且つ効率よく行うことができる。また、ビーム入射窓31d側をターゲット電着用電極32側より少し上方に持ち上げて放射性核種製造用容器3を若干傾けるようにしてもよい。こうすることで、発生した気体がターゲット電着用電極32から剥がれやすくなり、電着を均一に且つ効率よく行うことができる。
さらに電着を続けていくと、内部電極33やターゲット電着用電極32の表面に除去しきれない比較的小さな気泡が付着することがある。こうした場合には、放射性核種製造用容器3内の電着液をモータ駆動の注射筒43内に一旦完全に吸引してもよい。こうすることにより、内部電極33やターゲット電着用電極32の表面に付着した気泡を、電着液の吸引に伴う流動により内部電極33やターゲット電着用電極32の表面から除去することができる。その後、モータ駆動の注射筒43内に吸引していた電着液を、放射性核種製造用容器3内に注入して戻すようにすればよい。これにより、均一で効率のよい電着を再度行うことができるようになる。
なお、放射性核種製造用容器3内の電着液をモータ駆動の注射筒43内に全量吸引し、再び放射性核種製造用容器3内に戻すまでの間、すなわち、放射性核種製造用容器3内に電着液が満杯状態になっていない間は、直流電源部6の電源スイッチ62をOFFにしておく。これにより、直流電源部6が過負荷状態になるのを避けることができるし、また、不均一な電着がなされないようにすることができる。
放射性核種製造用容器3内の電着液をモータ駆動の注射筒43内に吸引する際に、電着液と共に一部の気体も吸引することがある。モータ駆動の注射筒43は、シリンジの先端開口部が上方を向くように配置されているため、再度、電着液を放射性核種製造用容器3内に戻すときに、モータ駆動の注射筒43内に吸引された気体は、速やかに排出される。
上述の電着サブルーチンを一定時間繰り返し実行する。これにより、ターゲット電着用電極32の電着面32hに所定の厚みのターゲットを形成することができる。
直流電源部6の電源スイッチ62をOFFにして電着を終了する。電着の終了時点は、時間制限による他、電着液の退色(電着液内のイオンが電着していくのに伴い,徐々に電着液の色味が変化することに基づく),直流電源部6の電圧・電流の変化,あるいは、電着されたターゲットが放射性物質であればその放射能の強度変化などによって判定する。
例として、ターゲットとしてNi(ニッケル)を電着する場合には、直流電流を10mA固定とする。また、内部電極33とターゲット電着用電極32から気泡が発生するため、53秒間電流を印加した後、放射性核種製造用容器3内の電着液を自動制御されたモータ駆動の注射筒43を利用して吸引し、再度放射性核種製造用容器3内へ注入して戻すことを7秒間で行うようにする。これにより、内部電極33とターゲット電着用電極32の表面から電着中に付着した気泡を除去できる。
なお、当該7秒間は、直流電源部6の電源スイッチ62をOFFにして、不均一な電着が行われないようにする。60秒間(53秒間+7秒間)の上記サイクルは、12時間繰り返し実施される。これにより、約80mgのNi(ニッケル)をターゲットとして電着することができる。
≪電着後の残液の回収工程≫
電着が完了した後、電着液供給回収部4aに電着後の残液の回収動作をさせ、放射性核種製造用容器3内から電着後の残液を回収する。
加熱部7の電源スイッチ73をONにし、発熱体71により放射性核種製造用容器3全体を外部から加熱し、放射性核種製造用容器3内部を乾燥させる。また、気体排出部5に設けた真空ポンプなどの減圧装置(図示せず)を起動させて、通気部34bから放射性核種製造用容器3内を真空引きすることにより、溶媒の蒸発を促進し、放射性核種製造用容器3内部を素早く乾燥させてもよい。さらには、ガスボンベ(Gas)が供給するガスパージ用のガスを通液部34cから放射性核種製造用容器3内に導入して乾燥の促進を図ってもよい。
また、電着したターゲットと反応しない沸点の低い溶媒、例えば、任意の有機溶媒を通液部34cから放射性核種製造用容器3内に導入して、共沸効果によって蒸発乾燥の促進を図ってもよい。
例として、ターゲットとしてNi(ニッケル)を電着した後、放射性核種製造用容器3内から電着後の残液を回収し、純水で洗浄し、また、発熱体71による加熱及び減圧装置(図示せず)による減圧によって放射性核種製造用容器3内を乾燥させた。
≪照射工程≫
照射電流計測部8の回路スイッチ82をONにし、電流計81で粒子ビーム21がターゲット電着用電極32に照射している間の照射電流値を計測できるようにする。
ビーム入射部31cの薄膜の窓材31の表面側に気体冷媒37を流動させる。同様に、ターゲット電着用電極32の背面の凹部32cに冷却水等の液体冷媒38を流動させる。これにより、加速器2が照射する粒子ビーム21が入射する薄膜の窓材31、および放射性核種製造用容器3内を通過して粒子ビーム21が照射するターゲット電着用電極32が高温になるのを防止できる。
粒子ビーム21を、一定の時間、適当な強度(照射電流値)で照射する。ターゲット電着用電極32の電着面32hに形成されているターゲットは、粒子ビーム21の照射を受けて、放射性核種を生成する。
例として、ターゲットのNi(ニッケル)には、11.2MeVの陽子ビームを、0.1μAで、15分間照射した。
≪溶解工程≫
ターゲット電着用電極32の電着面32hに形成されているターゲットや、少なくとも生成された放射性核種を溶解しやすい、酸、アルカリ、純水、有機溶媒などの溶媒を溶解液として選択し、溶解液用容器41cに充填する。
溶解液供給回収部4bに溶解液の供給動作をさせ、溶解液用容器41cから溶解液を放射性核種製造用容器3内に満杯になるように供給する。その際、放射性核種製造用容器3内の気体は、通気部34bを介して気体排出部5から排出される。また、放射性核種製造用容器3内に過剰に供給された溶解液は、過剰溶液貯留槽51に溜まるようになっている。
溶解促進のために,加熱部7の電源スイッチ73をONにし、発熱体71により放射性核種製造用容器3全体を外部から加熱し、放射性核種製造用容器3内部の溶解液の液温を高めるようにしてもよい。また、極性の切り替えスイッチ(図示せず)により、直流電源部6の直流電源61が印加する直流電圧の極性を、電着工程時の極性の逆にした後、電源スイッチ62をONにし、内部電極33とターゲット電着用電極32との間に直流電流を通電するようにしてもよい。これにより、放射性核種の溶解を促進することができる。また、モータ駆動の注射筒43を用いて、放射性核種製造用容器3内の溶解液の吸引・注入を繰り返すことにより、溶解液の撹拌を行うことができ、これによっても、放射性核種の溶解を促進できる。
例として、照射後のターゲットのNi(ニッケル)の溶解のため、濃硝酸10ccの溶解液を放射性核種製造用容器3内に供給し、放射性核種製造用容器3全体を70℃に加熱した状態で、放射性核種製造用容器3からの溶解液の吸引・注入を5分ごとに1時間繰り返し、その後、当該溶解液を回収する工程を1回実施した。
≪回収工程≫
上述の溶解工程での処理を一定時間行った後、溶解液供給回収部4bに放射性核種の回収動作をさせ、放射性核種が溶解した溶解後の溶解液を放射性核種製造用容器3内から排出し放射性核種回収容器41dに回収する。あるいは、排気管53bの先に適宜接続する高圧の圧縮空気を送気する装置(図示せず)を用いて、放射性核種製造用容器3内に高圧の圧縮空気を送気し、放射性核種が溶解した溶解後の溶解液を放射性核種回収容器41dに圧送するようにして回収してもよい。
以上の各工程は、コンピュータ(PC)9の制御による遠隔操作で行われる。そのため、作業者による直接的な手作業はほとんど必要としない。
なお、放射性核種が溶解した溶解後の溶解液を回収した後、放射性核種製造用容器3内に適当な溶液を導入し、放射性核種製造用容器3内部を洗浄するのが好ましい。当該適当な溶液としては、放射性核種の溶解に利用した溶解液が好ましい。洗浄に加え、すすぎ洗いを行ってもよく、すすぎ洗いの回数に制限はない。また、上述の溶解工程と回収工程を数回繰り返し行ってもよい。
例として、照射後のターゲットのNi(ニッケル)を上述の濃硝酸10ccの溶解液を用いて溶解し、その溶解した後の溶解液を回収した後、さらに放射性核種製造用容器3内へ純水10ccを導入しその純水を回収する工程を2回実施して、放射性核種製造用容器3内に残った残留成分を回収した。この合計3回の工程で得られた全回収液30cc中に、51kBqのCo(コバルト)55を得ることができた。
なお、他の例として、ターゲットとしてBa(バリウム)を電着する場合には、電着液として、4mgのBaCO(炭酸バリウム)を、0.17規定のシュウ酸アンモニウムと0.14規定の塩酸との混合液10ccに溶解した液を使用し、直流電流を100mA流すようにすればよい。
以上の構成及び動作により、作業者による直接的な手作業をほとんど必要とせずに、簡易に放射性核種を製造し回収することができる。しかも、従来のように、ターゲット物質を収納したターゲット容器をターゲットステーションに物理的にセットし、粒子ビームの照射後にターゲット容器を物理的に回収する必要がないため、ロボットアーム等を利用して着脱する苦労や時間をかけることがない。また、以上の構成および動作により、無人で搬送するためのトロッコとその通路等の設備の設置コストの必要もなく、さらに、ターゲット容器を移動途中で落としてしまうリスクも避けることができる。
回路スイッチ82は、電流計81とターゲット電着用電極32の間の通電を、粒子ビーム21を照射する時はONにし、ターゲットをターゲット電着用電極32に電着させる時はOFFにする切り替えスイッチとして機能する。これにより、放射性核種製造用容器3での電着を安定して行える。
横向きに設置された状態の放射性核種製造用容器3の通液部34cは、下方にある。これにより、電着液や溶解液の通流がしやすく、また、放射性核種製造用容器3の内部に残留する液体を少なくできる。
横向きに設置された状態の放射性核種製造用容器3の通気部34bは、上方にある。これにより、放射性核種製造用容器3内の気体は、通気部34bを介して排出されやすくなっている。
横向きに設置された状態の放射性核種製造用容器3の上方に、放射性核種製造用容器3内で発生する気体を一時退避させ貯留する捕集部としての気体退避空間34aが設けられている。これにより、電着時に放射性核種製造用容器3内で発生する気泡等を効果的に捕集することができる。このため、電着を均一に且つ効率よく行うことができる。
ターゲット電着用電極32は、中央がビーム入射窓31dに向かって凸状である。これにより、ターゲット電着用電極32の表面の電着面32hの表面積が大きくなっている。このため、電着面32h上に形成されたターゲットに粒子ビーム21を効率よく照射することができる。
<他の例のターゲット電着用電極の電着面の表面形状>
図3(A)~図3(D)は、実施例2~実施例5のターゲット電着用電極の電着面の表面形状を示す図である。各図中のターゲット電着用電極(32、132、232、332)は、それぞれ母材(32b、132b、232b、332b)と接液部材(32a、132a、232a、332a)を備え、隣接する左スペーサ36の孔から露出する接液部材(32a、132a、232a、332a)の表面の電着面(32h、132h、232h、332h)を有している。
図3(A)に示す実施例2のターゲット電着用電極32の電着面32hの表面形状は、上述で示した照射される粒子ビーム21に向かって凸な円錐状となっている。
図3(B)に示す実施例3のターゲット電着用電極132の電着面132hの表面形状は、照射される粒子ビーム21に向かって上がっていく階段状となっている。
図3(C)に示す実施例4のターゲット電着用電極232の電着面232hの表面形状は、照射される粒子ビーム21に向かって垂直な平面状となっている。
図3(D)に示す実施例5のターゲット電着用電極332の電着部332hの表面形状は、照射される粒子ビーム21に向かって凹な円錐状となっている。
このように様々な形態をとれる電着面(32h、132h、232h、332h)の表面形状は、特に、照射された粒子ビーム21を受け止める表面積を大きく取ることのできる凸な円錐状、凹な円錐状や、階段状の表面形状が好ましい。また、凸な円錐状および凹な円錐状の粒子ビーム21方向の長さ(高さ)や、階段状の粒子ビーム21方向の段数は、放射性核種製造用容器3内に収まる範囲であれば、特に制限はない。
また、上述の何れの表面形状の電着面(32h、132h、232h、332h)も、電着面の粒子ビーム21の方向に垂直な投影面が、ビーム入射部31c全体を含むように形成されている(図1参照)。このため、これらの電着面(32h、132h、232h、332h)は、ビーム入射部31cを通過して照射された粒子ビーム21のほぼ全てを受け止めることができる。
<他の例のターゲット電着用電極における、母材に接液部材を取り付ける方法>
図4(A)~図4(D)は、実施例6~実施例9のターゲット電着用電極における、母材に接液部材を取り付ける方法を示す図である。
図4(A)に示す実施例6は、上述の熱間等方加圧法を用いた接合を示す。
図4(B)に示す実施例7のターゲット電着用電極432は、母材432bと接液部材432aとが一体として形成され、接液部材432aに用いる素材で形成されている。
図4(C)に示す実施例8のターゲット電着用電極532は、母材532bに接液部材532aをねじ込む、あるいは機械的に嵌め合わせて組み立てられている。
図4(D)に示す実施例9のターゲット電着用電極632は、母材632bに接液部材632aを溶接、あるいは導電性の接着剤により結合されている。
実施例6~実施例9の何れの例の方法によっても、母材432bと接液部材432aとの間の機械的強度は小さくなく、電気的抵抗も大きくなることはない。
<他の例の放射性核種製造用容器の胴部>
図5(A)、図5(B)及び図5(C)は、実施例10の放射性核種製造用容器3の胴部134を示す図である。
胴部134は、外側面が外径D1の円筒状で、内側面134dが両端からターゲット電着用電極32寄りの中央に向かって拡径する周壁を有している。すなわち、周壁の内側面134dは、両端の直径が同じd1であり、ターゲット電着用電極32寄りの中央の直径が最大のd7になっている。
通液部134cは、放射性核種製造用容器3を横に寝かせた状態で下方になる位置で、且つ周壁の内側面134dの直径が最大となる位置に設けられている。これにより、内側面134dの下方の通液部134cに向かう内側面134dの周方向の傾斜だけでなく径方向の傾斜も利用することができ、放射性核種製造用容器3内の電着液や溶解液の排出を素早く行うことができる。また、電着液や溶解液の残留する恐れが小さくなる。
また、図6に示す実施例11のように、通液部234cは、放射性核種製造用容器3を横に寝かせた状態で下方側に位置し、胴部234の周壁の接線方向に沿って水平方向に周壁を貫通する貫通孔であってもよい。
<他の例の内部電極の形状>
図7(A)~図7(H)は、実施例12~実施例19の内部電極の形状を示す図である。
図7(A)に示す実施例12の内部電極133の形状は、放射性核種製造用容器3の胴部34の周壁の内側面34dで囲まれた内部空間の中心線上を通過する粒子ビーム21の軌道を中心とした円環状となっている。
図7(B)に示す実施例13の内部電極233の形状は、粒子ビーム21の軌道を中心とした楕円環状となっている。
図7(C)に示す実施例14の内部電極333の形状は、粒子ビーム21の軌道を中心とした円環状の一部が無いC字状となっている。内部電極333は、C字状の一端が下方の導体管33aに接点33bで接続されている。
図7(D)に示す実施例15の内部電極433の形状は、粒子ビーム21の軌道を下側および両側から囲むような略U字状、略V字状、あるいはY字状となっており、下端が下方の導体管33aに接点33bで接続されている。
図7(E)に示す実施例16の内部電極533の形状は、粒子ビーム21の軌道を中心とした網目状の円板となっている。
図7(F)に示す実施例17の内部電極633の形状は、上方に向けて等間隔で切り込みの入ったU字状の櫛状となっている。
図7(G)に示す実施例18の内部電極733は、放射性核種製造用容器3の胴部34全体を電極とするものである。
図7(H)に示す実施例18の内部電極833は、放射性核種製造用容器3の胴部34の周壁の内側面34d側に僅かに突き出た下方の導体管33aの先端(接点33b)を電極とするものである。
なお、図7(E)、図7(F)に示す実施例16、17の内部電極533、633は、粒子ビーム21の軌道の一部を妨害するものとなっているが許容できる範囲であり、それら以外は粒子ビーム21の軌道を妨害するものではない。
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述の例では、放射性核種製造用容器3を横向きに設置した場合を示したが、粒子ビーム21の照射する方向に合わせて、斜めに設置してもかまわないし、縦向きに設置してもかまわない。
また、1つの加速器2に対して、粒子ビームを搬送する搬送路を複数個所に分岐させ、その先々に、金属ターゲット中寿命核種生産コース用の放射性核種製造用容器3を備えた個所、垂直照射中寿命核種生産コース用の放射性核種製造用容器3を備えた個所、短寿命核種生産コース用の放射性核種製造用容器3を備えた個所を設けてもよい。その他にも、生物照射コース、生物基礎実験照射コース、測定器開発コース、および中性子照射コース等の放射性核種製造用容器3を上記の分岐された搬送経路の先に設けても良い。このような大型施設でも、上述した作用効果を奏することができる。
この発明は、加速器を用いた放射性核種の製造に利用することができる。
この出願は、2018年3月27日に出願された日本出願2018-60672号を基礎とする優先権を主張し、その開示の総てをここに取り込む。
1...放射性核種の製造装置
2...加速器
3...放射性核種製造用容器
4a...電着液供給回収部
4b...溶解液供給回収部
5...気体排出部
6...直流電源部
7...加熱部
8...電流照射計測部
9...コンピュータ(PC)
21...粒子ビーム
31d...ビーム入射窓
32...ターゲット電着用電極
33...内部電極

Claims (13)

  1. 粒子を加速させて粒子ビームとする加速器と、
    前記粒子ビームが入射するビーム入射窓と前記粒子ビームが照射されるターゲットを電着可能とするターゲット電着用電極と該ターゲット電着用電極と異極となる内部電極とを有する放射性核種製造用容器と、
    前記放射性核種製造用容器内に前記ターゲットに電着液を供給し回収する電着液供給回収部と、
    前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加して前記ターゲット電着用電極に前記ターゲットを電着させる直流電源部と、
    前記放射性核種製造用容器に前記ターゲットを溶解する溶解液を供給し回収する溶解液供給回収部と、を備え
    前記電着液供給回収部は、前記電着液が充填される電着液容器と、モータ駆動の第1の注射筒と、を備え、
    前記第1の注射筒は、前記電着液容器に充填された前記電着液を吸引して前記放射性核種製造用容器に供給する動作、および前記放射性核種製造用容器から前記電着液を吸引する動作を行う、放射性核種の製造装置。
  2. 前記溶解液供給回収部は、前記溶解液が充填される溶解液用容器と、モータ駆動の第2の注射筒と、を備え、
    前記第2の注射筒は、前記溶解液用容器に充填された前記溶解液を吸引して前記放射性核種製造用容器に供給する動作、および前記放射性核種製造用容器から前記溶解液を吸引する動作を行う、請求項1に記載の放射性核種の製造装置。
  3. 前記第1の注射筒および前記第2の注射筒として共用される注射筒を有する、請求項2に記載の放射性核種の製造装置。
  4. 前記ターゲット電着用電極に接続され、前記ターゲット電着用電極に到達する前記粒子ビームの電流値を計測する電流計と、前記電流計と前記ターゲット電着用電極との間の通電を、前記粒子ビームを照射するときはONにし、前記ターゲットを前記ターゲット電着用電極に電着させるときはOFFにする切り替えスイッチと、をさらに備えた、請求項1乃至3の何れか一項に記載の放射性核種の製造装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の放射性核種の製造装置により、放射性核種を製造する方法であって、
    前記第1の注射筒に前記電着液容器から前記電着液を吸引する動作をさせた後、前記第1の注射筒に注入動作をさせることにより前記放射性核種製造用容器に前記電着液を供給し、
    前記直流電源部は、前記電着液中の前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加し、前記ターゲットを前記ターゲット電着用電極に析出させ、
    前記第1の注射筒に前記放射性核種製造用容器から使用済みの前記電着液を吸引する動作をさせることで前記電着液を前記電着液容器に回収し、
    前記加速器は、前記ターゲット電着用電極に析出させた前記ターゲットに前記粒子ビームを照射し前記放射性核種を生成し、
    前記溶解液供給回収部は、前記放射性核種製造用容器に前記溶解液を供給し前記放射性核種を溶解し、前記放射性核種製造用容器から前記放射性核種が溶解した前記溶解液を回収する、
    放射性核種の製造方法。
  6. 前記放射性核種の製造装置が備える前記溶解液供給回収部は、前記溶解液が充填される溶解液用容器と、前記溶解液用容器または前記放射性核種製造用容器から前記溶解液を吸引するモータ駆動の第2の注射筒とを備え、
    前記溶解液供給回収部において、前記第2の注射筒に前記溶解液用容器から前記溶解液を吸引する動作をさせた後、前記第2の注射器に注入動作をさせることにより前記放射性核種製造用容器に前記溶解液を供給して前記放射性核種を溶解し、前記第2の注射筒に前記放射性核種製造用容器から前記放射性核種が溶解した前記溶解液を吸引する動作をさせることで前記溶解液とともに前記放射性核種を放射性核種回収容器に回収する、請求項5に記載の放射性核種の製造方法。
  7. 電着により形成された内部のターゲットに加速器からの粒子ビームの照射を受けて放射性核種が製造される放射性核種製造用容器であって、
    前記加速器からの前記粒子ビームが入射する入射側に配置されたビーム入射窓と、
    前記ビーム入射窓に対向する対向面側に配置され、前記粒子ビームが照射される前記ターゲットを電着可能とするターゲット電着用電極と、
    内部に設けられた前記ターゲット電着用電極と異極となる内部電極と、
    前記ターゲットの電着液および前記放射性核種の溶解液を内部に流入し、内部から流出する通液部と、
    少なくとも気体を内部から流出し、内部に流入する通気部と、
    を備え、
    前記ビーム入射窓と前記ターゲット電着用電極が略水平方向に配置されることにより横向きに設置された状態で、前記通液部が下方に設けられ、
    前記通気部は、上方で、かつ、前記通液部による前記電着液および前記溶解液の内部への流入方向の直線上ではない位置に設けられた放射性核種製造用容器。
  8. 電着により形成された内部のターゲットに加速器からの粒子ビームの照射を受けて放射性核種が製造される放射性核種製造用容器であって、
    前記加速器からの前記粒子ビームが入射する入射側に配置されたビーム入射窓と、
    前記ビーム入射窓に対向する対向面側に配置された前記粒子ビームが照射される前記ターゲットを電着可能とするターゲット電着用電極と、
    内部に設けられた前記ターゲット電着用電極と異極となる内部電極と、
    前記ターゲットの電着液および前記放射性核種の溶解液を内部に流入し、内部から流出する通液部と、
    少なくとも気体を内部から流出し、内部に流入する通気部と、を備え、
    上方に気体をためる気体退避部をさらに備えた、放射性核種製造用容器。
  9. 前記ターゲット電着用電極は、前記粒子ビームが照射される中央部が前記ビーム入射窓に向かって凸状である、請求項7または8に記載の放射性核種製造用容器。
  10. 電着により形成されたターゲットに加速器からの粒子ビームの照射を受けて放射性核種が製造される放射性核種の製造装置であって、
    粒子を加速させて粒子ビームとする加速器と、
    前記加速器からの前記粒子ビームが入射するビーム入射窓と前記粒子ビームが照射されるターゲットを電着可能とするターゲット電着用電極と該ターゲット電着用電極と異極となる内部電極と前記ターゲットの電着液および前記放射性核種の溶解液を内部に流入し内部から流出する通液部と少なくとも気体を内部から流出し内部に流入する通気部とを有する放射性核種製造用容器と、
    前記放射性核種製造用容器内に前記ターゲットに電着液を供給し回収する電着液供給回収部と、
    前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加して前記ターゲット電着用電極に前記ターゲットを電着させる直流電源部と、
    前記放射性核種製造用容器に前記ターゲットを溶解する溶解液を供給し回収する溶解液供給回収部と、を備え、
    前記ビーム入射窓と前記ターゲット電着用電極が略水平方向に配置されることにより横向きに設置された状態で、前記通液部が下方に設けられており、
    前記通気部は、上方で、かつ、前記通液部による前記電着液および前記溶解液の内部への流入方向の直線上ではない位置に設けられている放射性核種の製造装置。
  11. 電着により形成されたターゲットに加速器からの粒子ビームの照射を受けて放射性核種が製造される放射性核種の製造装置を用いて放射性核種を製造する方法であって、
    前記放射性核種の製造装置は、粒子を加速させて粒子ビームとする加速器と、前記加速器からの前記粒子ビームが入射するビーム入射窓と前記粒子ビームが照射されるターゲットを電着可能とするターゲット電着用電極と該ターゲット電着用電極と異極となる内部電極と前記ターゲットの電着液および前記放射性核種の溶解液を内部に流入し内部から流出する通液部と少なくとも気体を内部から流出し内部に流入する通気部とを有する放射性核種製造用容器と、前記放射性核種製造用容器内に前記ターゲットに電着液を供給し回収する電着液供給回収部と、前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加して前記ターゲット電着用電極に前記ターゲットを電着させる直流電源部と、前記放射性核種製造用容器に前記ターゲットを溶解する溶解液を供給し回収する溶解液供給回収部と、を備え、
    前記放射性核種製造用容器は、前記ビーム入射窓と前記ターゲット電着用電極が略水平方向に配置されることにより横向きに設置された状態で、前記通液部が下方に設けられており、前記通気部は、上方で、かつ、前記通液部による前記電着液および前記溶解液の内部への流入方向の直線上ではない位置に設けられており、
    前記電着液供給回収部は、前記放射性核種製造用容器に前記電着液を供給し、
    前記直流電源部は、前記電着液中の前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加し、前記ターゲットを前記ターゲット電着用電極に析出させ、
    前記電着液供給回収部は、前記放射性核種製造用容器から使用済みの前記電着液を回収し、
    前記加速器は、前記ターゲット電着用電極に析出させた前記ターゲットに前記粒子ビームを照射し前記放射性核種を生成し、
    前記溶解液供給回収部は、前記放射性核種製造用容器に前記溶解液を供給し、前記放射性核種を溶解し、前記放射性核種製造用容器から前記放射性核種が溶解した前記溶解液を回収する、
    放射性核種の製造方法。
  12. 電着により形成されたターゲットに加速器からの粒子ビームの照射を受けて放射性核種が製造される放射性核種の製造装置であって、
    粒子を加速させて粒子ビームとする加速器と、
    前記加速器からの前記粒子ビームが入射するビーム入射窓と前記粒子ビームが照射されるターゲットを電着可能とするターゲット電着用電極と該ターゲット電着用電極と異極となる内部電極と前記ターゲットの電着液および前記放射性核種の溶解液を内部に流入し、内部から流出する通液部と、少なくとも気体を内部から流出し、内部に流入する通気部と上方に気体をためる気体退避部とを有する放射性核種製造用容器と、
    前記放射性核種製造用容器内に前記ターゲットに電着液を供給し回収する電着液供給回収部と、
    前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加して前記ターゲット電着用電極に前記ターゲットを電着させる直流電源部と、
    前記放射性核種製造用容器に前記ターゲットを溶解する溶解液を供給し回収する溶解液供給回収部と、を備えた、放射性核種の製造装置。
  13. 電着により形成されたターゲットに加速器からの粒子ビームの照射を受けて放射性核種が製造される放射性核種の製造装置を用いて放射性核種を製造する方法であって、
    前記放射性核種の製造装置は、粒子を加速させて粒子ビームとする加速器と、前記加速器からの前記粒子ビームが入射するビーム入射窓と前記粒子ビームが照射されるターゲットを電着可能とするターゲット電着用電極と該ターゲット電着用電極と異極となる内部電極と前記ターゲットの電着液および前記放射性核種の溶解液を内部に流入し内部から流出する通液部と少なくとも気体を内部から流出し内部に流入する通気部と上方に気体をためる気体退避部とを有する放射性核種製造用容器と、前記放射性核種製造用容器内に前記ターゲットに電着液を供給し回収する電着液供給回収部と、前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加して前記ターゲット電着用電極に前記ターゲットを電着させる直流電源部と、前記放射性核種製造用容器に前記ターゲットを溶解する溶解液を供給し回収する溶解液供給回収部と、を備え、
    前記電着液供給回収部は、前記放射性核種製造用容器に前記電着液を供給し、
    前記直流電源部は、前記電着液中の前記ターゲット電着用電極と前記内部電極との間に直流電圧を印加し、前記ターゲットを前記ターゲット電着用電極に析出させ、
    前記電着液供給回収部は、前記放射性核種製造用容器から使用済みの前記電着液を回収し、
    前記加速器は、前記ターゲット電着用電極に析出させた前記ターゲットに前記粒子ビームを照射し前記放射性核種を生成し、
    前記溶解液供給回収部は、前記放射性核種製造用容器に前記溶解液を供給し、前記放射性核種を溶解し、前記放射性核種製造用容器から前記放射性核種が溶解した前記溶解液を回収する、
    放射性核種の製造方法。
JP2020510822A 2018-03-27 2019-03-25 加速器を用いた放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器 Active JP7190200B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018060672 2018-03-27
JP2018060672 2018-03-27
PCT/JP2019/012583 WO2019189022A1 (ja) 2018-03-27 2019-03-25 加速器を用いた放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019189022A1 JPWO2019189022A1 (ja) 2021-03-25
JP7190200B2 true JP7190200B2 (ja) 2022-12-15

Family

ID=68058376

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020510822A Active JP7190200B2 (ja) 2018-03-27 2019-03-25 加速器を用いた放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP7190200B2 (ja)
TW (1) TW202006746A (ja)
WO (1) WO2019189022A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7310736B2 (ja) * 2020-07-02 2023-07-19 Jfeエンジニアリング株式会社 精製装置
WO2022196568A1 (ja) * 2021-03-19 2022-09-22 住友重機械工業株式会社 粒子線治療装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090296872A1 (en) 2005-06-22 2009-12-03 Paolo Bedeschi Structure having a mounting means
WO2012039036A1 (ja) 2010-09-22 2012-03-29 独立行政法人放射線医学総合研究所 加速器による放射性核種の製造方法及び装置
US20170004897A1 (en) 2015-06-30 2017-01-05 General Electric Company Target assembly and isotope production system having a vibrating device

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3860827A (en) * 1972-09-05 1975-01-14 Lawrence Cranberg Neutron generator target assembly
US20180322972A1 (en) * 2017-05-04 2018-11-08 General Electric Company System and method for making a solid target within a production chamber of a target assembly

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090296872A1 (en) 2005-06-22 2009-12-03 Paolo Bedeschi Structure having a mounting means
WO2012039036A1 (ja) 2010-09-22 2012-03-29 独立行政法人放射線医学総合研究所 加速器による放射性核種の製造方法及び装置
US20170004897A1 (en) 2015-06-30 2017-01-05 General Electric Company Target assembly and isotope production system having a vibrating device

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2019189022A1 (ja) 2021-03-25
WO2019189022A1 (ja) 2019-10-03
TW202006746A (zh) 2020-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7210648B2 (ja) テクネチウム-99mのサイクロトロン生産のためのプロセス、システム、及び装置
JP7190200B2 (ja) 加速器を用いた放射性核種の製造装置、製造方法、および放射性核種製造用容器
US20180322972A1 (en) System and method for making a solid target within a production chamber of a target assembly
US8233580B2 (en) Method and system for producing radioisotopes
KR102362279B1 (ko) 표적 재료의 조사를 위한 시스템
US20100025251A1 (en) System for automatically producing radioisotopes
EP2620949A1 (en) Process and device for production of radionuclide using accelerator
US6827838B2 (en) Method of separating and collecting 18F in 18O water
JP6255216B2 (ja) 電気化学測定装置
US20220254537A1 (en) Method And Apparatus For Production Of Radiometals And Other Radioisotopes Using A Particle Accelerator
Chakravarty et al. A novel electrochemical 99 Mo/99m Tc generator
JP5857075B2 (ja) 生体分子標識化反応容器、それを使用する反応装置及び反応方法
Poniger et al. Automated production of 124 I and 64 Cu using IBA Terimo and Pinctada metal electroplating and processing modules
JP6731815B2 (ja) 自動分析装置
JP5030642B2 (ja) 医療用核種含有溶液製造方法および医療用核種含有溶液製造装置
CN117646267A (zh) 一种LRIMS测试用的Sn原子化源电沉积装置及方法
CN111465165A (zh) 自屏蔽回旋加速器系统

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200831

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220809

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20221007

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7190200

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150