JP7188377B2 - 標準サンプルおよびその作製方法、ならびにebsd測定装置の管理方法 - Google Patents

標準サンプルおよびその作製方法、ならびにebsd測定装置の管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)法による測定装置(SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)とEBSD検出器を有しており、以下、EBSD測定装置とも言う)用の標準サンプルおよびその作製方法、ならびにEBSD測定装置の管理方法に関するものである。
SEMによる結晶解析の手法として、EBSD法がある。この方法は、結晶サンプルに電子線を照射し、試料から後方散乱した電子の回折パターンを検出器上に投影し、そのパターンから結晶方位を解析するという方法である。なお、EBSDの情報は試料表面から50nm程度の浅い深さのところで発生する。
例えば、特許文献1には、使用済みのルツボサンプルの結晶層をEBSD法により、結晶粒径の頻度分布や結晶粒の配向性を測定することが記載されている。
ところで、EBSD測定は比較的長時間の測定(15分~1時間/1サンプル)となり、サンプル表面はいわゆる“SEM焼け”の状況となる。“SEM焼け”とは、サンプル表面に炭素をはじめとする不純物が堆積する現象であり、堆積量が多いとEBSD法のような表面分析は表面に堆積された不純物が原因で観察ができなくなる。すなわち、EBSD信号が弱くなり、測定結果が変化してしまう。
EBSD法にかかわらず、測定装置の維持管理として、繰り返し測定の精度の管理、日間変動の管理は必要である。そのため、標準サンプルの同じ場所を繰り返し測定し、同じ結果が得られるか、日間で得られる結果の変化があるかどうかを調べることが必要である。
しかしながら前述したようにEBSD法ではSEM焼けの影響で、同じ場所の繰り返し測定を行うことが出来ないので繰り返し精度を求めることが難しい。同様に同じ場所を測定できないため日間変動を求めることも難しい。したがって、測定装置の測定精度の管理上問題があった。
また、シリコン基板上にポリシリコンを堆積したシリコンの多結晶膜(以下p-Si膜)は様々な面方位を有する多結晶であり、EBSD測定装置でよく標準サンプルとして用いられる材料であるが、p-Si膜の面方位のばらつきの面内分布が大きく、測定位置による結晶面方位分布が異なる為、標準サンプルとしては適さない。
国際公開第2019/163593号
上記のようにEBSD測定装置の管理に関して、SEM焼けにより繰り返し測定が難しいことや、p-Si膜は標準サンプルとして適さない等の問題がある。
これらの問題を解決するためには、違う場所を測定した場合であっても同じ測定結果が得られるように、サンプル面内で結晶面方位の割合が常に一定である標準サンプルが必要となる。結晶の配向性が面内で均一であれば、EBSD法での繰り返し精度や日間変動を調べる為の標準サンプルとして、理想的なサンプルとなる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、従来の標準サンプルであるp-Si膜の場合よりも、結晶の配向性が面内で均一なEBSD測定装置用の標準サンプルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、EBSD測定装置用の標準サンプルであって、
前記標準サンプルは、基板と、シリコン微粒子と、接着剤とを有し、
前記シリコン微粒子は前記基板の表面に前記接着剤により接着されていて微粒子層を形成しており、
該微粒子層は、表面が研磨かつエッチングされた平滑面であることを特徴とする標準サンプルを提供する。
このような本発明の標準サンプルであれば、EBSD測定の際に真空状態であっても、シリコン微粒子は接着剤で接着されているため飛び散ることもない。また、測定面となる微粒子層の表面が平滑でありEBSD測定が可能である。
しかも、シリコン基板にポリシリコンを堆積した従来の標準サンプルよりも、結晶の配向性が面内で均一なEBSD測定装置用の標準サンプルとなる。すなわち、微粒子層の表面において、単位面積あたりの(111)、(110)、(100)等の各結晶面方位の分布(面積比)が面内のどの箇所においても一定のものとなる。このため、サンプル面内のどこを測定箇所としても良く、同一箇所の測定でSEM焼けが生じても別の箇所で測定すればよく、繰り返し精度の確認を行うことができる。また、同様の理由でEBSD測定装置における測定値の日間変動の確認を行うこともできる。したがってEBSD測定装置の管理用の標準サンプルとして実に優れたものとなる。
このとき、前記シリコン微粒子は、シリコン単結晶またはシリコン多結晶の粉砕物であるものとすることができる。
シリコン単結晶やシリコン多結晶はよく用いられているため、簡便に用意することができる。
また、前記接着剤は、熱硬化性導電性接着剤であるものとすることができる。
接着剤が導電性のものであればEBSD測定をより確実に行うことができる。また、接着剤として熱硬化性のものはよく用いられているし、シリコン微粒子による微粒子層をより簡便に形成することができる。
また、本発明は、EBSD測定装置用の標準サンプルの作製方法であって、
基板上にシリコン微粒子を接着剤で接着して微粒子層を形成し、
該微粒子層の表面を、研磨した後、エッチングして前記標準サンプルを作製することを特徴とする標準サンプルの作製方法を提供する。
このような本発明の標準サンプルの作製方法であれば、測定面となる微粒子層の表面を平滑にすることができ、EBSD測定可能な標準サンプルを得られる。
しかも、従来よりも結晶の配向性が面内で均一なEBSD測定装置用の標準サンプルを作製することができ、EBSD測定装置における繰り返し精度の確認や、測定値の日間変動の確認に適した標準サンプルを得ることができる。
このとき、前記シリコン微粒子を、シリコン単結晶またはシリコン多結晶の粉砕物とすることができる。
このようにシリコン単結晶やシリコン多結晶を利用すれば、簡便に用意することができる。
また、前記接着剤を、熱硬化性導電性接着剤とすることができる。
このようにすれば、微粒子層をより簡便に形成しやすく、また、EBSD測定をより確実に行うことができる。
また、前記微粒子層の表面のエッチングを、フッ酸および硝酸を用いて行うことができる。
このようにすれば、シリコン微粒子からなる微粒子層の研磨後の表面を適切にエッチングすることができ、より簡便に平滑化することができる。
また、本発明は、EBSD測定装置を用い、標準サンプルに電子線を照射して前記標準サンプルから後方散乱する電子の回折パターンを測定し、該測定の結果に基づいて前記EBSD測定装置を管理する方法であって、
前記標準サンプルとして上記本発明の標準サンプルを用い、前記電子の回折パターンを繰り返して測定する際に、前記電子線の照射場所を変えて測定することを特徴とするEBSD測定装置の管理方法を提供する。
このような本発明のEBSD測定装置の管理方法であれば、電子線の照射場所を変えて測定する(すなわち、測定箇所を変える)ため、同一箇所を測定した場合に生じてしまうSEM焼けを防ぐことができる。しかも、測定箇所を変えても、本発明の標準サンプルは結晶の配向性が面内で均一なため、従来の標準サンプル(p-Si膜)のように測定箇所により配向性が大きく異なることもない。そのため、繰り返し精度や測定値の日間変動の確認といった、EBSD測定装置の管理を適切に行うことができる。
以上のように、本発明の標準サンプルおよびその作製方法、ならびにEBSD測定装置の管理方法であれば、従来よりも結晶の配向性が面内で均一なEBSD測定装置用の標準サンプルを得ることができ、そのため、EBSD測定装置に関して、繰り返し精度や測定値の日間変動の確認を適切に行うことができ、適切な装置管理が可能になる。
本発明の標準サンプルの一例を示す説明図である。 本発明の標準サンプルの作製方法の一例を示すフロー図である。 EBSD装置の一例を示す概略図である。 本発明のEBSD測定装置の管理方法の一例を示すフロー図である。 実施例での平滑化前におけるSEMによる表面観察図である。 実施例での平滑化後におけるSEMによる表面観察図である。 図5AにEBSD測定による結晶面方位の分布を重ねて示した測定図である。 図5BにEBSD測定による結晶面方位の分布を重ねて示した測定図である。 本発明の標準サンプルでの測定箇所における結晶面方位ごとの面積比(測定箇所変更)を示すグラフである。 比較例でのEBSD測定による結晶面方位の分布(測定箇所同一)を示した測定図である。 従来の標準サンプルでの測定箇所における結晶面方位ごとの面積比(測定箇所同一)を示すグラフである。 比較例でのEBSD測定による結晶面方位の分布(測定箇所変更)を示した測定図である。 従来の標準サンプルでの測定箇所における結晶面方位ごとの面積比(測定箇所変更)を示すグラフである。
以下、本発明について図面を参照して実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
前述したように、EBSD測定は測定中にSEM焼けと呼ばれる炭素の堆積が起こり、EBSD信号が弱くなる。そのため、繰り返し測定が行えず、測定装置の管理上問題があった。また、シリコン基板上にポリシリコンを堆積したものを標準サンプルとする場合があるが、ポリシリコンの配向性が面内でばらつくため、標準サンプルとしては適さないものであった。
そこで、本発明者らはEBSD測定装置の管理およびその管理用の標準サンプルについて鋭意研究を行った。
例えばシリコン単結晶やシリコン多結晶を細かな粉末(シリコン微粒子)にすることで、結晶面方位、結晶粒子サイズが全体で均一なサンプルを作ることが出来る。これは、XRD法では粉末X線回折測定法として知られている方法である。本発明者らは、この方法を応用し、SEMを用いたEBSD測定装置用のサンプル台(基板)に、細かく砕いて用意したシリコン微粒子を貼り付けて、EBSD測定装置用の標準サンプルとすることを考えた。さらに、XRDでは問題ないが、EBSD測定装置の標準サンプルとして新たに求められるのは、サンプル表面が平らである事、真空装置の中で分析することから粉末が飛び散らない事である。そこで、上記シリコン微粒子からなる微粒子層の表面が研磨かつエッチングされて平滑なものとすることを考えた。
そして以上のようなものであれば、結晶の配向性が面内で均一で、EBSD測定装置の管理のための繰り返し精度の確認等に適切な標準サンプルとすることができることを見出し、本発明を完成させた。
まず、図1に本発明の標準サンプルの構成について一例を示す。図1に示すように、本発明の標準サンプル1は、サンプルホルダーとしての基板2、シリコン微粒子3からなる微粒子層4、接着剤5を有する構造となっている。
ここで基板2は特に限定されず、例えばシリコン基板とすることができるが、他の種類の基板とすることも可能である。
また、シリコン微粒子3は接着剤5によって基板1の表面に接着されており、このシリコン微粒子3の集合体により、微粒子層4が形成されている。このシリコン微粒子3としては、例えばシリコン単結晶またはシリコン多結晶の粉砕物とすることができ、簡便に用意することができる。このシリコン微粒子3の各々のサイズは特に限定されず、適宜決定することができる。
また、EBSD法での測定面となる微粒子層4の表面は、研磨およびエッチングの処理が施された面であり、平滑になっている。この平滑性の度合い(または平坦度)は特に限定されず、適宜決定することができる。EBSD法での測定が可能であり、結晶の配向性を適度に求めることが可能な程度に平滑であれば良い。
また、接着剤5としては、EBSD測定等の際に、シリコン微粒子3が飛び散らないように接着できるものであれば良い。特には導電性を有するものが好ましく、さらには熱硬化性導電性接着剤が好ましい。導電性を有することにより、EBSD測定をより確実に行うことができる。また、熱硬化性のものであれば微粒子層4をより適切に形成しやすく好適である。
ポリシリコンをシリコン基板上に堆積した従来の標準サンプルでは、EBSD測定装置での繰り返し精度を確認する場合、標準サンプルの面内の同じ場所を測ると、SEM焼けにより測定結果が変化してしまう。一方、従来のそのポリシリコンサンプルの測定場所を変えながら繰り返し精度を求めようとしても、場所による配向性やサイズの違いが大きすぎて、EBSD測定装置の繰り返し精度を確認することが出来ない。そのため装置精度などを確かめることが出来ない。
一方、本発明の上記標準サンプル1であれば、微粒子層4の面内において、結晶の配向性が均一なものとなる。したがって、サンプルの面内のどこを測っても、従来品のように結晶の配向性等が測定箇所により大きく異なることはない。このため、同じ箇所を測定する必要もないため、面内の種々の箇所で測定をすることができ、同一箇所測定によるSEM焼けが生じることを効果的に防ぐことができる。したがって本発明の標準サンプル1は、繰り返し精度の確認のための繰り返し測定を行う事が出来る。また、同様の理由で測定値の日間変動の確認も行える。以上より、EBSD測定装置の管理用として実に好適な標準サンプルである。
次に、本発明の標準サンプルの作製方法について説明する。図2にそのフローの一例を示す。
図2に示すように、まず、基板2、シリコン微粒子3、接着剤5を用意する(工程1)。これらの各部材については前述した通りである。
なお、より具体的には、シリコン微粒子3については、適当なサイズの結晶、例えばSiウェーハを3cm×3cmのサイズに切り出し、ボールミルで24時間微細化しSiパウダーとしたものとすることができる。ボールミルでの粉砕処理時間は24時間に限定されず、適宜決定できる。
次に、微粒子層4を形成する(工程2)。接着剤5として、例えば熱硬化性導電性接着剤“TKペーストCR2800”(化研テック株式会社製)をSEM用サンプルホルダー(すなわち、基板2)の上に乗せ、Siパウダーをかけて固める。このとき、例えば90℃、30分の熱処理で熱硬化を行う。この接着剤5の熱硬化のための熱処理条件は特に限定されず、接着剤5の種類等により適宜決定することができる。
次に、研磨およびエッチングにより微粒子層4の表面を平滑化する(工程3)。この微粒子層4の表面に対する研磨処理、およびその後に行うエッチング処理自体は特に限定されない。
例えば、微粒子層4の表面を9μmと1μmのダイヤモンドパウダーで研磨して表面を平らに加工したのち、HF/HNOでエッチングして表面の平滑化を行う。これらの研磨処理やエッチング処理の条件は、所望の平滑面が得られるよう、その都度決定することができ、特に限定されない。
以上のような工程を経て、図1に示すようなEBSD測定装置用の標準サンプル1を作製する。これにより、(100)、(110)、(111)の配向性が微粒子層4の面内の位置によって変わらない(分布が面内で均一)標準サンプルを作ることが出来る。
次に、本発明のEBSD測定装置の管理方法について説明する。
まず、この方法で使用するEBSD測定装置の一例を図3に示す。図3に示すように、EBSD測定装置10は、SEM11とEBSD検出器12を有している。試料(標準サンプル1)に対して電子線13を照射するSEM11自体は、例えば従来と同様のものとすることができる。またEBSD検出器12としては、例えばCCDカメラとすることができる。電子照射によって標準サンプル1内での電子の回折パターン14を測定して解析できるものであれば良い。
EBSD測定装置10を用いたEBSD測定においては、まずSEM11より試料に電子線を照射すると、該試料から電子が後方散乱する。より具体的には、試料表面から50μm程度の深さの領域の各結晶面で電子線が散乱し、結晶方位に応じた回折パターン14が現れる。これをEBSD検出器12で撮影して測定し、その測定結果を解析することで試料の結晶方位情報(結晶面方位の面内分布)を得ることができる。
このようなEBSD測定装置10の管理方法のフローの一例を図4に示す。図4に示すように、まず、図1に示す本発明の標準サンプル1を用意する(工程1)。
次に、用意した標準サンプル1に対して、EBSD測定を行い、該測定結果に基づいてEBSD測定装置10の管理を行う(工程2)。このとき、EBSD測定を続けて繰り返して行うことにより繰り返し精度の確認をする。あるいは、時間をあけた繰り返し測定、例えば、日ごとにEBSD測定を行い、測定値の日間変動の確認を行う。そして必要に応じて測定装置の各種調整を行い、適正な測定が行われるよう管理する。
なお、これらの繰り返し測定の際は、標準サンプル1への電子線の照射場所を変えて行う。これによりSIM焼けの発生を防止できる。そして、結晶の配向性の面内ばらつきが大きい従来のp-Si膜の標準サンプルとは異なり、本発明の標準サンプル1では、結晶の配向性が面内で均一であるため、上記のように繰り返し測定時に電子線の照射場所(測定箇所)を変えても特に問題は生じない。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
図1に示すような本発明の標準サンプル1を、図2に示す本発明の作製方法により作製した。
具体的には、基板としてはシリコン単結晶基板を用意した。シリコン微粒子は3cm×3cmのシリコン単結晶基板をボールミルで24時間かけて粉砕することで用意した。また、接着剤としては、熱硬化性導電性接着剤である“TKペーストCR2800”(化研テック株式会社製)を用いた。接着剤の熱硬化のための熱処理条件は90℃、30分間とした。また微粒子層の表面に対し、9μmと1μmのダイヤモンドパウダーによる研磨、さらにはHF/HNOでのエッチングを施し、平滑化することにより標準サンプル1を作製した。
この標準サンプルの面内の結晶の配向性等について検証した。
まず、微粒子層の表面平滑化前後のSEMによる表面の観察結果を図5A、5Bに示す。突起の多い平滑化前の図5Aに比べて、平滑化後の図5Bでは平らな面が多く見られることが分かる。
また、EBSD測定を行い、解析して得られた結晶面方位の分布を図5A、5Bに重ねて示したものが図6A、6Bである。EBSD測定では表面が平らである事が求められる。平滑化処理を行う事で、標準サンプルの表面の平滑化が進んでいることがこれらの図面からも分かる。すなわち、EBSD測定で結晶面方位を求めることのできる面積も増えていることがわかる。
色のついている場所は方位を特定できた領域であり、(111)面、(110)面、(100)面の配向性の結晶粒を併せて示している。それぞれジャスト方位から15度以内の面方位のものを(111)、(110)、(100)結晶面方位とし、それぞれの面積比を比較した。
測定位置を変えて測定した結果、図7に示すように(110)、(111)、(100)の面方位の割合(面積比)が比較的安定していることが分かる。
サンプル面内を7カ所測定したところ、(111)、(110)、(100)面方位の結晶の面積比はほぼ一定であった。上記EBSD結果では結晶面方位が特定できた面積比は広いが、その中で(111)、(110)、(100)から15度以内の結晶面方位を持つ面積比は、後述する比較例のp-Si膜の場合より低かった。p-Si膜の成長では、下地の(100)結晶の面方位の影響があるが、本発明の標準サンプルでは下地の影響はないため、面積比が少なくなったものと考えられる。
比較例の従来の標準サンプルでは、ポリシリコン成長時には基板である下地から成長するので、温度によって、下地の面方位を起点にしてポリシリコンの成長が起きる。本発明の標準サンプルは、砕いた粉を固めているので、どの方位を向くのかはランダムとなり、特定できる結晶面方位の割合が小さくなる。
もしEBSD測定装置がセンサーの故障などで結晶面方位を間違えて検出するような不具合を生じた場合、本発明で作製した標準サンプルを測ることで、通常と異なる結晶面方位の割合となる為不具合を検知できる。この時、本来の割合からのずれを検出できればよいのであって(100)、(110)、(111)の割合が等量であったり、高い必要はない。
(比較例)
シリコン基板上にp-Si膜を堆積した従来の標準サンプルを用意した。
この標準サンプル(単にポリシリコンサンプルとも言う)の面内の結晶の配向性等について検証した。
ポリシリコンのサンプルを用いて、面内の同一箇所で連続測定した場合(7回)のEBSD測定結果を図8、9に示す。図8はEBSD測定による結晶面方位の分布(測定箇所同一)を示した測定図である。結晶面方位ごとにばらした分布も併せて示す。また図9は結晶面方位ごとの面積比(測定箇所同一)を示すグラフである。
図8より、単純に同じ場所を測定し続けるとSEM焼けの影響で、結晶面方位を特定できない部分が増えているのが確認できる。つまり同じ場所を何回も連続で測定する繰り返し測定は出来ないという事になる。
また、図9からも、EBSD測定の回数が増すと、各方位を示す面積比が変わり、繰り返し測定精度を求めることはできない事が分かる。
次に、一枚のポリシリコンサンプルの測定場所を変えた場合のEBSD測定結果を図10、11に示す。図10はEBSD測定による結晶面方位の分布(測定箇所変更)を示した測定図であり、結晶面方位ごとにばらして示したものである。また図11は結晶面方位ごとの面積比(測定箇所変更)を示すグラフである。
図11の結果(図11の場合では特に(100))からわかるように、測定位置によって各結晶面方位の分布にばらつきがあるため、測定位置を変えての繰り返し測定は適切ではない。
なお、図10のEBSD像では(100)、(110)、(111)それぞれの方位から30°位ずれると色味が変わるが、図11のグラフの(100)、(110)、(111)の点はそれぞれジャストの結晶面方位からのずれが15°以内の結晶の面積を算出している。そのため、EBSD像の色から想定できる方位の面積比とグラフの面積比は異なる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…本発明の標準サンプル、 2…基板、 3…シリコン微粒子、
4…微粒子層、 5…接着剤、
10…EBSD測定装置、 11…SEM、 12…EBSD検出器、
13…電子線、 14…電子の回折パターン。

Claims (6)

  1. EBSD測定装置用の標準サンプルであって、
    前記標準サンプルは、基板と、シリコン単結晶またはシリコン多結晶の粉砕物であるシリコン微粒子と、接着剤とを有し、
    前記シリコン微粒子は前記基板の表面に前記接着剤により接着されていて微粒子層を形成しており、
    該微粒子層は、表面が研磨かつエッチングされた平滑面であることを特徴とする標準サンプル。
  2. 前記接着剤は、熱硬化性導電性接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の標準サンプル。
  3. EBSD測定装置用の標準サンプルの作製方法であって、
    基板上に、シリコン単結晶またはシリコン多結晶の粉砕物であるシリコン微粒子を接着剤で接着して微粒子層を形成し、
    該微粒子層の表面を、研磨した後、エッチングして前記標準サンプルを作製することを特徴とする標準サンプルの作製方法。
  4. 前記接着剤を、熱硬化性導電性接着剤とすることを特徴とする請求項3に記載の標準サンプルの作製方法。
  5. 前記微粒子層の表面のエッチングを、フッ酸および硝酸を用いて行うことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の標準サンプルの作製方法。
  6. EBSD測定装置を用い、標準サンプルに電子線を照射して前記標準サンプルから後方散乱する電子の回折パターンを測定し、該測定の結果に基づいて前記EBSD測定装置を管理する方法であって、
    前記標準サンプルとして請求項1または請求項2に記載の標準サンプルを用い、前記電子の回折パターンを繰り返して測定する際に、前記電子線の照射場所を変えて測定することを特徴とするEBSD測定装置の管理方法。
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