JP7188282B2 - 電力変換装置、太陽光発電システム、電力変換システム、及び電力変換装置の制御方法 - Google Patents
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Description
パワーコンディショナは、太陽光発電パネルから、その時点での最大の電力を引き出すため、最大電力点追従制御(MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御)を行っている(例えば、特許文献1参照)。
太陽光発電パネルは屋根等の高所に設置されることがある。そうした場合、近隣に高い建物や樹木があると、太陽光発電パネルのうちの一部が建物や樹木の影に入ることがある。このような場合も、MPPT制御により、その時点の最大電力を引き出すことは可能である。
このような場合において、ストリングの内の一部に影が入ると、各ストリングの出力電圧や電力にばらつきが生じ、並列体全体としての出力曲線が複雑になることがある。このため、最大電力点を捉えきれず、発電効率が低下する場合がある。
この結果、太陽光発電パネルから最大限の電力を取り出すことができず、電力の無駄が生じるおそれがある。
最大電力点となるピーク電力点を把握することができれば、その時点の最大限の電力を太陽光発電パネルから取り出すように制御することができる。
ピーク電力点の探索を定期的に実行した場合、探索時にピーク電力点が複数存在するとは限らず、ピーク電力点が複数存在しない場合には、その探索が無駄になってしまう。
[実施形態の概要]
(1)一実施形態である電力変換装置は、太陽光発電パネルから電力を取り出す電力変換部と、前記電力変換部を制御し、最大電力点追従制御を実行する制御部と、前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するための判定データを取得するデータ取得部と、前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を示す学習データを用い、前記判定データにより前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するための学習がなされた、学習済の学習モデルを記憶する第1記憶部と、前記データ取得部が取得した前記判定データ及び前記第1記憶部に記憶されている前記学習モデルを用いて、前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定する判定部と、を備え、前記制御部は、前記最大電力点追従制御において、前記太陽光発電パネルの出力曲線における値域の一方側から電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことで最大電力点の候補である第1のピーク電力点を探索し、前記判定部により前記太陽光発電パネルに部分影が有ると判定された場合に、前記値域の範囲内で、離れた他の値に移動して再び電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことにより、前記最大電力点の候補である他のピーク電力点を探索する。
例えば、第1のピーク電力点と、第2のピーク電力点とで、電圧差(又は電流差)が、僅差であれば、他に、もっと高いピーク電力点がある可能性は低い。従って、そのような場合には、第3のピーク電力点の探索を回避することが合理的である。逆に、第1のピーク電力点と、第2のピーク電力点とで、電圧差(又は電流差)が大きいのであれば、他に、もっと高いピーク電力点がある可能性がある。従って、そのような場合には、第3のピーク電力点の探索を行うことが、より高いピーク電力点を得る点で合理的である。
この場合、判定部による判定結果に応じて、適切なデータを判定データに対応付けて記憶することができる。これにより、学習モデルを構築するための教師データを容易に収集できる。
出力曲線に複数のピーク電力点が存在すると判定されると、太陽光発電パネルに部分影が有る可能性が極めて高い。
そこで、制御部は、他のピーク電力点と第1のピーク電力点とが互いに同じ位置であるか否かの判定結果を、前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を示す情報として取得し、教師データを更新することで、現状の太陽光発電パネルの状態を教師データに反映させることができる。さらに、更新部は、更新された教師データを学習データとして再学習し、学習モデルを更新する。これによって、現状の太陽光発電パネルの状態を学習モデルに反映させることができる。この結果、学習モデルの判定精度をより高めることができる。
前記割合は学習モデルの判定精度を表している。この割合が低ければ、更新部は、学習モデルの判定精度を高めるように当該学習モデルの更新を行う。この結果、学習モデルの判定精度を維持することができる。
この場合、一致率によって、太陽光発電パネルに何らかの異常が生じているか否かを判定することができる。
この場合、部分影が無いと判定されたにも関わらず電力が低下している場合に、異常と判定することができる。
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、以下に記載する各実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
図1は、太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。この太陽光発電システム1は、太陽光発電パネル2と、電力変換装置としてのパワーコンディショナ4とを備えている。
交流電源6と、PCS4との間には、需要家内の負荷8が接続されている。
PCS4は、太陽光発電パネル2の出力が与えられるとともに交流電源6と系統連系を行う機能を有している。
PCS4は、交流電源6に接続されている。PCS4は、太陽光発電パネル2から電力を取り出し、取り出した直流電力を交流電力に変換し出力する機能を有している。
太陽光発電パネル2は、図2に示すように、複数(図例では3つ)のストリング2a,2b,2cの並列体で構成されている。
図1に示すように、第1実施形態に係るPCS4は、電力変換部20と、制御装置22とを備えている。
電力変換部20は、太陽光発電パネル2と、交流電源6との間に接続されている。電力変換部20は、DC/DCコンバータ(昇圧チョッパ)や、インバータ等を備えており、太陽光発電パネル2から電力を取り出すとともに、取り出した直流電力を交流電力へ変換して出力する機能を有する。
また、制御装置22は、太陽光発電パネル2に部分影が有るか否かを判定する機能を有しており、その判定結果に応じたMPPT制御を実行する。
太陽光発電パネル2に部分影が有ると、当該太陽光発電パネル2から取り出すことができる発電電力の低下の原因になる他、太陽光発電パネル2の出力曲線が、標準的な形状ではなくなる。具体的には、太陽光発電パネル2の出力曲線に、主にストリングの数の範囲内で複数のピーク電力点が生じる場合がある。
このため、制御装置22は、太陽光発電パネル2に部分影が有るか否かの判定結果に応じたMPPT制御を実行する。
記憶部26には、制御装置22としての動作に必要なプログラムや、各種情報が記憶される。処理部24が有する各機能は、当該処理部24が前記プログラム等を実行することによって実現される。
データセット28は、学習モデル30の機械学習に用いられる教師データの集合である。データセット28を構成する教師データは、テーブル等に登録されて記憶部26に記憶される。なお、本実施形態では、教師データを登録するためのテーブルを含めてデータセットという。
データセット28に登録される教師データは、PCS4の操作者等から与えられる場合や、後述するように、制御装置22が自ら取得する場合がある。
学習モデル30は、後述するように、太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するために用いられる予測モデルである。学習モデル30は、後述する特徴量により太陽光発電パネル2における部分影の有無を判定するための学習がなされた、学習済の学習モデルである。
通信部32は、例えば、インターネット等のネットワークと接続する機能を持つ。制御装置22は、通信部32及びネットワークを通じて、部分影の判定に必要な情報(例えば、太陽光発電パネル2が設置されている地域の現在の天気等に関する情報)を外部機器から収集する。
気温センサ34は、太陽光発電パネル2周辺の気温を示す出力を制御装置22へ与える。気温センサ34からの出力が与えられた制御装置22は、この出力から太陽光発電パネル2周辺における気温を示す情報を取得することができる。
日射センサ36は、太陽光発電パネル2における日射量を示す出力を制御装置22へ与える。日射センサ36からの出力が与えられた制御装置22は、この出力から太陽光発電パネル2の日射量を示す情報を取得することができる。
制御部24aは、電力変換部20を制御し、太陽光発電パネル2から取り出す発電電力の制御を行う機能を有している。より具体的に、制御部24aは、電力変換部20を制御してMPPT制御を実行する機能を有している。
また、制御部24aは、MPPT制御において、太陽光発電パネル2の出力曲線に存在するピーク電力点を探索する、後述する探索処理を実行する機能を有している。
判定部24bは、学習モデル30を用いて太陽光発電パネル2における部分影の有無を判定する機能を有している。
データ取得部24cは、太陽光発電パネル2における部分影の有無を判定するためのデータ(特徴量)を取得する機能を有する。データ取得部24cは、太陽光発電パネル2が設置されている環境に関するデータ、及び電力変換部20が太陽光発電パネル2から取り出した電力に関するデータを取得する。
太陽光発電パネル2が設置されている環境に関するデータは、外部機器から収集した、太陽光発電パネル2が設置されている地域の現在の天気等に関する情報、気温センサ34を介して取得した、太陽光発電パネル2周辺における気温を示す情報、及び、日射センサ36を介して取得した、太陽光発電パネル2の日射量を示す情報を含む。これらのデータは、部分影の有無を判定するために、学習モデルに入力するデータである。そのため、以下では、これらのデータを「判定データ」と呼ぶことがある。
制御部24aは、上述したように、電力変換部20を制御して、MPPT制御を行う機能を有している。
制御部24aは、MPPT制御を行うことにより、太陽からの日射の状況によって発電量が変動する太陽光発電パネル2から、その時点での最大電力を引き出すことができる。
本実施形態の制御部24aは、MPPT制御において、太陽光発電パネル2の出力曲線における最大電力点の候補であるピーク電力点を探索し、このピーク電力点を維持するように電力変換部20を制御する。
MPPT制御は、電流及び電圧が、点線のピーク電力点の位置になるようにする制御である。電流と電圧とは実線で示す一対一の関係にあるので、MPPT制御は、電流を少しずつ変化させる電流ステップの制御、及び、電圧を少しずつ変化させる電圧ステップの制御のいずれか一方により行うことができる。実線の出力曲線の右端は、太陽光発電パネル2の出力の2線間の開放(電流0A、電圧約360V)を意味し、左端は短絡(電流約7.8A、電圧0V)を意味する。一般には、開放側からMPPT制御を行う方が制御しやすい。
以下の説明では、MPPT制御においてピーク電力点を探索し見つけるための処理を探索処理という。
一般に、MPPT制御は、出力曲線に現れるピーク電力点が単一であることを前提としている。
出力曲線に複数のピーク電力点が存在する場合、出力曲線の一方側のみから電流を増加させて全てのピーク電力点を探索することは困難である。
そこで、本実施形態の制御部24aは、判定部24bによって、部分影があると判定されると、MPPT制御において、探索処理を実行し、現在のピーク電力点以外の他のピーク電力点を探索する。制御部24aは、他のピーク電力点を含む複数のピーク電力点が得られたときに、複数のピーク電力点のうちのいずれかに基づいたMPPT制御を実行する機能を有する。
これより、制御部24aは、出力曲線に複数のピーク電力点が存在する場合において、その時点での最大電力を太陽光発電パネル2から引き出すことができる。
探索処理は、制御部24aが電力変換部20を制御することによって行われる。
探索処理とは、上述したように、出力曲線に存在するピーク電力点を探索する処理であり、太陽光発電パネル2の出力曲線における値域の一方側又は他方側から電力を増大させるように電力変換部20を制御することで行われる。
探索処理によって探索されたピーク電力点は、教師データの更新や、電力変換部20の制御のために用いられる。
この探索処理は、判定部24bによって太陽光発電パネル2に部分影ができたと判定された場合に実行される、判定結果に基づく探索処理である。
MPPT制御の実行中において、判定部24bによって部分影があると判定されると、制御部24aは、探索処理の実行を決定し、電流ステップの制御により太陽光発電パネル2の出力曲線上におけるMPPT制御の電力点を移動させる。
図4において、まず、MPPT制御の電力点は、開放側から電流ステップの制御によりピーク電力点P1(電流値IP1)に到達する。そして、制御部24aは、その時点での電流値IP1及び電圧値VP1並びに電力値(IP1×VP1)を記憶部26に記憶する。
これにより、制御部24aは、2つのピーク電力点P1,P2に関する情報を記憶部26に記憶する。
この探索処理も、図4に示した探索処理と同様、判定部24bによって太陽光発電パネル2に部分影ができたと判定された場合に実行される、判定結果に基づく探索処理である。
MPPT制御の実行中において、判定部24bによって部分影があると判定されると、制御部24aは、探索処理の実行を決定し、電流ステップの制御により太陽光発電パネル2の出力曲線上におけるMPPT制御の電力点を移動させる。
図5において、まず、MPPT制御の電力点は、開放側から電流ステップによりピーク電力点P1(電流値IP1,電圧値VP1)に到達する。そして、制御部24aは、その時点での電流値IP1及び電圧値VP1並びに電力値(IP1×VP1)を記憶部26に記憶する。
これにより、制御部24aは、3つのピーク電力点P1,P2,P3に関する情報を記憶部26に記憶する。
太陽光発電パネル2の出力曲線にピーク電力点が1点又は2点以上あるか否かは、時々刻々変化する。例えば、ピーク電力点が1点の場合は、第1のピーク電力点と、第2のピーク電力点とは結果的に同じ位置になるので、第3のピーク電力点を探索することにメリットが無い。従って、このような判定を行うことで、無駄な探索を省略することができる。
例えば、第1のピーク電力点と、第2のピーク電力点とで、電圧差(又は電流差)が、僅差であれば、他に、もっと高いピーク電力点がある可能性は低い。従って、そのような場合には、第3のピーク電力点の探索を回避することが合理的である。逆に、第1のピーク電力点と、第2のピーク電力点とで、電圧差(又は電流差)が大きいのであれば、他に、もっと高いピーク電力点がある可能性がある。従って、そのような場合には、第3のピーク電力点の探索を行うことが、より高いピーク電力点を得る点で合理的である。
図6は、処理部24が実行する動作態様を示すフローチャートである。
図6に示すように、処理部24は、太陽光発電パネル2の電力変換処理を行う中で、データ蓄積処理(ステップS1)、学習フェーズ(ステップS2)、及び運転モード(ステップS3)を実行する。学習フェーズにおいて、処理部24は、学習モデル構築(更新)処理を実行する。学習モデル構築(更新)処理とは、データ蓄積処理において収集及び蓄積したデータセット28に登録された教師データを用いて機械学習を行い、学習モデル30を構築(更新)する処理である。学習モデル30を構築(更新)すると、処理部24は運転モードを実行する。
運転モードにおいて、処理部24は、太陽光発電を行う太陽光発電パネル2からの出力の電力変換処理を電力変換部20に行わせる。
図7は、図6中のデータ蓄積処理の一例を示すフローチャートである。
処理部24は、例えば、太陽光発電システム1の設置後初めて運転を開始する場合等にデータ蓄積処理を実行する。
次いで、部分影の定期判定時間が到来したか否かを判定し(ステップS12)、定期判定時間が到来したと判定すると、データ取得部24cは、その時点における判定データ(現時点の特徴量)を取得し、一時的に記憶する(ステップS13)。
一方、ステップS12において定期判定時間が到来していないと判定すると、制御部24aは、再度ステップS12を繰り返す。
制御部24aは、探索処理を実行し、探索処理によって、太陽光発電パネル2の出力曲線に存在するピーク電力点を探索する。制御部24aは、ステップS14において、判定部24bによって部分影があると判定された場合に実行する探索処理(判定結果に基づく探索処理)を実行する。
よって、制御部24aは、太陽光発電パネル2の出力曲線における電流の値域の一方側から電力が増大する方向へアプローチする制御を行い、電力点が、最大電力点の候補である第1のピーク電力点に到達した場合に、電流の値域の範囲内で、離れた他の値にジャンプするように移動して再び電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことにより、最大電力点の候補である他のピーク電力点を探索することを少なくとも1回実行する。
一方、ステップS15においてピーク電力点が複数存在しないという判定結果が得られた場合、制御部24aは、太陽光発電パネル2に部分影が無いことを示す情報(「無し」)を、そのときの特徴量(一時的に記憶した判定データ)に対応付けてデータセット28に登録する(ステップS17)。
制御部24aは、ピーク電力点が複数ではないと判定されたときに、部分影有無情報として、太陽光発電パネル2に部分影が無いことを示す情報(「無し」:部分影無しを示すデータ)を付与する。また、制御部24aは、ピーク電力点が複数であると判定されたときに、部分影有無情報として、太陽光発電パネル2に部分影が有ることを示す情報(「有り」:部分影有りを示すデータ)を付与する。
制御部24aは、後述の運転モードにおいても、部分影有無情報を特徴量に対応付ける。
図8中、データセット28には、複数の教師データが登録される。
データセット28に登録される教師データには、太陽光発電パネル2における部分影の有無を判定するための特徴量であるデータ(判定データ)に、データに対応する太陽光発電パネル2における部分影の有無を示す情報(正解データ)がタグ付けされている。
これら特徴量は、データ取得部24cによって取得される。データ取得部24cは、これらデータを所定間隔で取得する。なお、前記所定間隔は、定期的であってもよいし不定期であってもよい。
また、データ取得部24cが取得する特徴量は、上述のデータのうちの一部のみを含んでいてもよいし、上述のデータ以外のデータが含まれていてもよい。
特徴量を登録するための欄には、日時を登録するための欄である「日時」、気温を登録するための欄である「天気」、気温を登録するための欄である「気温」、日射量を登録するための欄である「日射量」、及び、発電電力を登録するための欄である「発電電力」が含まれる。
また、特徴量の欄のうち、天気が登録される欄である「天気」には、天気を示す情報として、「晴れ」「曇」「雨」といった情報が登録される。なお、これら天気を示す情報は、カテゴリカルデータ(定性データ)であるため、予め設定された数値に置き換えて処理するようにしてもよい。
判定部24bによる判定結果は、学習モデル30を用いて太陽光発電パネル2における部分影の有無を判定した結果である。
判定部24bによる判定結果は、データセット28中の欄である「モデル判定結果」に登録される。
判定部24bによる判定結果は、教師データに対応付けられてデータセット28に登録される。
なお、データ蓄積処理によって収集された教師データには、判定部24bによる判定結果が関連付けられることはない。よって、データ蓄積処理によって収集された教師データに対応する「モデル判定結果」の欄は空欄となる。
データ蓄積期間が終了していないと判定すると、処理部24は、ステップS12に戻り、制御部24aに上述の処理を再度実行させる(ステップS12-S19)。これにより、処理部24は、MPPT制御によって電力を出力しつつ、さらに教師データを収集し、蓄積する。
以上のようにして、処理部24は、教師データの収集と蓄積を行う。
処理部24は、データ蓄積処理によって教師データの収集及び蓄積を終えると、学習フェーズに遷移し、更新部24dに学習モデル構築処理を実行させる(図6中、ステップS2)。
更新部24dは、データセット28に登録されている複数の教師データを学習データとして用い、今後取得される特徴量に基づいて太陽光発電パネル2の部分影の有無を判定することができるように学習した学習済の学習モデルを構築する。
まず、更新部24dは、データセット28に登録されている複数の教師データのうちの1つを学習データとして参照し(ステップS21)、機械学習を行い(ステップS22)、学習モデル30を構築する。
更新部24dによる機械学習で用いられる機械学習アルゴリズムは、特に限定されるものではないが、一例として、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)、ニューラルネットワーク、ディープニューラルネットワーク、再帰ニューラルネットワーク等が挙げられる。
全ての教師データの学習が終了していない場合、更新部24dは、再度ステップS21へ戻り、データセット28に登録されている教師データを参照し、機械学習を行って学習モデル30を構築する。
更新部24dは、データセット28に登録されている教師データを順次機械学習する。
処理部24は、学習モデル構築処理によって学習モデル30を構築すると、運転モードを実行する。
図10に示すように、処理部24は、まず、制御部24aにMPPT制御を実行させる(ステップS31)。この場合、制御部24aは、通常の探索処理を行った上でMPPT制御を実行する。
判定部24bは、学習モデル30の出力に基づいて、「部分影有り」又は「部分影無し」のいずれかを判定結果として出力する。
判定部24bによる判定結果が「部分影無し」である場合(ステップS34)、制御部24aは、判定部24bによる学習モデル30を用いた判定結果と、現時点の特徴量とを対応付けてデータセット28に登録し、データセット28を更新した上でステップS32へ戻る。よって、制御部24aは、判定部24bによる判定結果として、部分影が無いという判定結果(「無し」)をデータセット28中の欄「モデル判定結果」に登録する。この場合、部分影有無情報は付与されないので、データセット28中の欄「部分影有無」は空欄となる。なお、この場合、データセット28中の欄「部分影有無」に部分影が無いことを示す情報(「無し」)を登録してもよい。
よって、判定部24bによる判定結果が「部分影無し」である状態が継続すると、ステップS32~S34が繰り返し実行される。
制御部24aは、ステップS36において、判定結果に基づく探索処理を実行する。
ステップS36において、制御部24aは、探索処理によって、太陽光発電パネル2の出力曲線に存在するピーク電力点を探索する。
探索処理の後、制御部24aは、太陽光発電パネル2の出力曲線にピーク電力点が複数存在するか否かを判定する(ステップS37)。
さらに、制御部24aは、判定部24bによる学習モデル30を用いた判定結果についても、データセット28に登録する。
よって、制御部24aは、ステップS43において、判定部24bによる判定結果として、部分影が有るという判定結果(「有り」)をデータセット28中の欄「モデル判定結果」に登録し、部分影有無情報として、部分影が無いことを示す情報(「無し」)をデータセット28中の欄「部分影有無」に登録する。
これにより、部分影を有することにより太陽光発電パネル2の出力曲線に複数のピーク電力点が存在する場合であっても、その時点での最大電力を太陽光発電パネル2から引き出すことができる。
この場合、制御部24aは、ピーク電力点が複数であるという判定結果に応じた部分影有無情報である、太陽光発電パネル2に部分影が有ることを示す情報を付与し、部分影が有ることを示す情報と、現時点の特徴量とを教師データとしてデータセット28に登録する。さらに、制御部24aは、判定部24bによる学習モデル30を用いた判定結果についても、データセット28に登録する。
よって、制御部24aは、ステップS39において、判定部24bによる判定結果として、部分影が有るという判定結果(「有り」)をデータセット28中の欄「モデル判定結果」に登録し、部分影有無情報として、部分影が有ることを示す情報(「有り」)をデータセット28中の欄「部分影有無」に登録する。
また、更新部24dは、判定部24bによる判定結果が登録されている教師データを参照し、判定部24bによる判定結果と、部分影有無情報の内容とが一致している教師データの個数(一致個数)をカウントする。つまり、更新部24dは、判定部24bによって太陽光発電パネル2に部分影が有ると判定され、かつ出力曲線に複数のピーク電力点が存在すると判定された回数(部分影有無情報として部分影が有ることを示す情報(「有り」)が付与された回数)である第2の回数を求める。
さらに、更新部24dは、判定部24bによる判定結果を有する教師データの総数に対する一致個数の割合を一致率として算出する。
一致率が第1閾値以下ではない(第1閾値よりも大きい)と判定された場合、制御部24aは、現時点の特徴量を収集する(ステップS44)。続いて、判定部24bは、収集した特徴量を学習モデル30に入力し、その出力を得る(ステップS45)。判定部24bは、学習モデル30の出力に基づいて、「部分影有り」又は「部分影無し」のいずれかを判定結果として出力する。
判定部24bによる判定結果が「部分影有り」である場合(ステップS46)、制御部24aは、ステップS44へ戻り、ステップS44,S45を再度実行する。
一方、判定部24bによる判定結果が「部分影無し」である場合(ステップS46)、制御部24aは、ステップS32へ戻る。
なお、ステップS46において判定部24bによる判定結果が「部分影無し」になると、制御部24aは、MPPT制御において、ステップS38において選択したピーク電力点又はその直近にとどまる制御を中止し、通常の探索処理を行い、探索された1つのピーク電力点にとどまる制御に切り替える。
運転モードから学習フェーズへ遷移すると、更新部24dは、学習モデル構築(更新)処理を実行する。更新部24dは、データセット28に登録されている複数の教師データを学習データとして再学習し、学習モデル30を更新する(ステップS22,S23,S24)。
更新部24dは、再構築された学習モデル30を記憶部26に記憶させることで学習モデル30を更新する。
制御部24aは、運転モードにおいて、直近の太陽光発電パネル2の教師データを収集しデータセット28に登録し更新する。これにより、現状の太陽光発電パネル2の状態をデータセット28の教師データに反映させることができる。さらに、更新部24dは、更新されたデータセット28に登録された教師データを新たな学習データとして再学習し、学習モデル30を更新する。よって、現状の太陽光発電パネル2の状態を学習モデル30に反映させることができる。この結果、学習モデル30の判定精度をより高めることができる。
図11は、他の実施形態に係るPCS4の処理部24の構成例を示す図である。
本実施形態の処理部24は、制御部24a、判定部24b、データ取得部24c、及び更新部24dに加えて、診断部24eを機能的に有している点において、上記実施形態と相違している。
図12中、判定部24bによる判定結果が「部分影無し」である場合(ステップS34)、診断部24eは、太陽光発電パネル2から取り出される発電電力が低下しているか否かを判定する(ステップS50)。
診断部24eは、現時点における太陽光発電パネル2の発電電力と、記憶部26に記憶された過去の発電電力とを比較し、現時点の発電電力が過去の発電電力よりも低下していると判定した場合、異常通知を出力する(ステップS51)。
同じ時間であって日射量が同等であり、かつ部分影が無く、太陽光発電パネル2が正常であれば、現時点又は過去のいずれの場合も太陽光発電パネル2の発電電力はほぼ同じとなる。
よって、部分影が無いと判定されたにも関わらず、現時点における発電電力が低下していれば、太陽光発電パネル2に異常が生じているおそれがあると判断できる。
そこで、診断部24eは、ステップS50において現時点の発電電力が過去の発電電力よりも低下していると判定すると、異常通知を出力する。
異常通知は、例えば、制御装置22が有する出力デバイス等によって画像や、音声等によって出力される。
異常通知が出力されると、制御部24aは、ステップS32へ戻る。
なお、第2閾値は、第1閾値よりも小さく設定される。
一致率が第2閾値以下ではない(第2閾値よりも大きい)と判定された場合、制御部24aは、ステップS41へ進む。
一方、一致率が第1閾値以下であると判定された場合、診断部24eは、異常通知を出力し(ステップS56)、ステップS32へ戻る。
よって、上記構成によれば、一致率によって、太陽光発電パネル2に何らかの異常が生じているか否かを判定でき、異常通知を出力することができる。
なお、第2閾値としては、太陽光発電パネル2に何らかの異常が生じていると判断しうる値に設定される。
本実施形態では、機械学習に用いられるデータセット28が外部サーバ40の記憶部41(第2記憶部)に記憶されている点、及び、外部サーバ40の処理部42が更新部43を有する点において上記実施形態と相違する。更新部43は、上記実施形態の更新部24dと同様の機能を有する。
制御装置22の処理部24は、データセット28に登録されるべき各種情報を、ネットワークを介して外部サーバ40へ与える。
更新部43は、データセット28に登録された教師データを用いて機械学習し、学習モデル30を更新するためのパラメータを出力する。
更新部43は、学習モデル30を更新するためのパラメータを制御装置22へ与える。
本実施形態では、データセット28及び学習モデル30が外部サーバ40の記憶部41に記憶されている点、及び、外部サーバ40の処理部42が判定部44、データ取得部45、及び更新部43を有する点において上記実施形態と相違する。判定部44、データ取得部45、及び更新部43は、上記実施形態の判定部24b、データ取得部24c、及び更新部24dと同様の機能を有する。
本実施形態では、PCS4は、制御部24aを有しており、他の機能については、外部サーバ40が有している。
よって、学習モデル30による判定結果は、外部サーバ40からPCS4の処理部24へネットワークを介して与えられる。
PCS4は、外部サーバ40から与えられる判定結果を用いて電力変換部20の制御等の各種制御を実行する。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
例えば、上記実施形態では、制御部24aが、運転モード中のステップS39及びステップS43において、部分影の有無の判定結果と、現時点の特徴量とを教師データとしてデータセット28に登録し、データセット28を更新する場合を例示したが、制御部24aは、新たに教師データをデータセット28に登録する場合、データセット28にすでに登録されている教師データのうち最も過去の教師データを破棄するように構成してもよい。
この場合、現状の太陽光発電パネル2の状態を、データセット28の教師データにより効果的に反映させることができる。
2 太陽光発電パネル
2a,2b,2c ストリング
4 パワーコンディショナ
6 交流電源
8 負荷
10 直流電路
20 電力変換部
22 制御装置
24 処理部
24a 制御部
24b 判定部
24c データ取得部
24d 更新部
24e 診断部
26 記憶部
28 データセット
30 学習モデル
32 通信部
34 気温センサ
36 日射センサ
37 記憶領域
38 記憶領域
40外部サーバ
41 記憶部
42 処理部
43 更新部
44 判定部
45 データ取得部
Claims (11)
- 太陽光発電パネルから電力を取り出す電力変換部と、
前記電力変換部を制御し、最大電力点追従制御を実行する制御部と、
前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するための判定データを取得するデータ取得部と、
前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を示す学習データを用い、前記判定データにより前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するための学習がなされた、学習済の学習モデルを記憶する第1記憶部と、
前記データ取得部が取得した前記判定データ及び前記第1記憶部に記憶されている前記学習モデルを用いて、前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定する判定部と、を備え、
前記制御部は、前記最大電力点追従制御において、前記太陽光発電パネルの出力曲線における値域の一方側から電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことで最大電力点の候補である第1のピーク電力点を探索し、前記判定部により前記太陽光発電パネルに部分影が有ると判定された場合に、前記値域の範囲内で、離れた他の値に移動して再び電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことにより、前記最大電力点の候補である他のピーク電力点を探索する
電力変換装置。 - 前記制御部はさらに、前記他のピーク電力点としての第2のピーク電力点を探索した後、前記第1のピーク電力点と前記第2のピーク電力点との、電圧差及び電流差のいずれか一方に基づいて第3のピーク電力点を探索するか否かを判定する
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記データ取得部は、前記太陽光発電パネルが設置されている環境に関するデータ、及び、前記電力変換部が前記太陽光発電パネルから取り出した電力に関するデータを前記判定データとして時系列に取得する
請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。 - 前記データ取得部が取得した判定データを記憶する第2記憶部をさらに備え、
前記制御部はさらに、
前記判定部により前記太陽光発電パネルに部分影が有ると判定された場合に、前記他のピーク電力点と前記第1のピーク電力点とが互いに同じ位置であるか否かを判定し、その判定結果に応じて定められた部分影無し又は部分影有りを示すデータのいずれかを前記判定に用いた前記判定データに対応付け、前記部分影無し又は部分影有りを示すデータのいずれかが対応付けられた前記判定データを前記第2記憶部に記憶し、
前記判定部により前記太陽光発電パネルに部分影が無いと判定された場合に、当該判定に用いた前記判定データに部分影無しを示すデータを対応付け、前記部分影無しを示すデータが対応付けられた前記判定データを前記第2記憶部に記憶する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記第2記憶部に記憶されているデータを新たな学習データとしてフィードバックすることにより再学習し、前記学習モデルを更新する更新部をさらに備える
請求項4に記載の電力変換装置。 - 前記更新部は、前記判定部によって前記太陽光発電パネルに部分影が有ると判定された回数である第1の回数と、前記部分影有りのデータが付与された回数である第2の回数と、を求め、前記第1の回数に対する前記第2の回数の割合が第1の閾値以下の場合に、前記学習モデルの更新を実行する
請求項5に記載の電力変換装置。 - 前記第1の回数に対する前記第2の回数の割合が前記第1の閾値より小さい第2の閾値未満であるか否かに基づいて、前記太陽光発電パネルの異常の有無を判定する異常判定部をさらに備える
請求項5に記載の電力変換装置。 - 前記判定部により前記太陽光発電パネルに部分影が無いと判定された場合に、前記電力変換部により前記太陽光発電パネルから取り出された現在の電力と、前記判定部によって前記太陽光発電パネルに部分影が無いと判定された過去の期間における前記電力とを比較し、この比較結果に基づいて前記太陽光発電パネルの異常の有無を判定する異常判定部をさらに備える
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 太陽光発電パネルと、
前記太陽光発電パネルからの電力を取り出して負荷に供給する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電力変換装置と、を備えた太陽光発電システム。 - 太陽光発電パネルと接続される電力変換装置と、ネットワークを介して前記電力変換装置と通信可能に接続される外部機器とを備えた電力変換システムであって、
前記電力変換装置は、
前記太陽光発電パネルから電力を取り出す電力変換部と、
前記電力変換部を制御し、最大電力点追従制御を実行する制御部と、を含み、
前記外部機器は、
前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するための判定データを取得するデータ取得部と、
前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を示す学習データを用い、前記判定データにより前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するための学習がなされた、学習済の学習モデルを記憶する記憶部と、
前記データ取得部が取得した前記判定データ及び前記記憶部に記憶されている前記学習モデルを用いて、前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を前記電力変換装置に送信する送信部とを含み、
前記制御部は、前記最大電力点追従制御において、前記太陽光発電パネルの出力曲線における値域の一方側から電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことで最大電力点の候補であるピーク電力点を探索し、前記外部機器から送信された、前記太陽光発電パネルに部分影が有るとの判定結果を受信した場合に、前記値域の範囲内で、離れた他の値に移動して再び電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことにより、前記最大電力点の候補である他のピーク電力点を探索する
電力変換システム。 - 太陽光発電パネルから電力を取り出す電力変換部を備えた電力変換装置の制御方法であって、
前記電力変換部を制御し、最大電力点追従制御を実行する制御ステップと、
前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するための判定データを取得する取得ステップと、
前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を示す学習データを用い、前記判定データにより、前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定するための学習がなされた、学習済の学習モデルと、前記取得ステップにおいて取得された前記判定データとを用いて、前記太陽光発電パネルにおける部分影の有無を判定する判定ステップと、を含み、
前記制御ステップでは、前記最大電力点追従制御において、前記太陽光発電パネルの出力曲線における値域の一方側から電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことで最大電力点の候補であるピーク電力点を探索し、前記判定ステップにおいて前記太陽光発電パネルに部分影が有ると判定された場合に、前記値域の範囲内で、離れた他の値に移動して再び電力が増大する方向へアプローチする制御を行うことにより、前記最大電力点の候補である他のピーク電力点を探索する
電力変換装置の制御方法。
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