JP7186965B2 - 白水改質方法及び古紙パルプ製造方法 - Google Patents

白水改質方法及び古紙パルプ製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、古紙を主原料とする古紙パルプ製造工程における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法に関する。
近年、段ボール需要が増加しており、段ボールに用いられる板紙の需要も増加している。ここで、板紙原紙の90%以上は使用済み段ボールがリサイクルされたものである。段ボールは、種々の商品の梱包に用いられているため、様々な汚れが付着している。例えば、食品も例外ではなく、農作物の梱包以外にピザや即席ラーメン等の食品を直接梱包する場合にも段ボールが用いられている。そのため使用済み段ボールには食品汚れが付着している場合がある。また、段ボールは屋外に載置されることもあるため、砂や泥汚れが付着している場合も多い。
このような使用済み段ボールを再利用して段ボールに用いられる板紙を製造するにあたり、原料である使用済み段ボールを含む古紙から古紙パルプを製造する工程を経るが、この古紙には、使用済み段ボールの他に、新聞紙や雑誌等といった印刷古紙や雑紙が含まれる場合も多い。そのため、板紙用古紙パルプ製造工程では、様々な汚れが付着した使用済み段ボール、印刷古紙、及び、雑紙が用いられており、古紙の中でも最もグレードが低い古紙が使用されている。
古紙を主原料とする板紙の製造では、まずパルパーを用いて古紙を主原料とするパルプ原料を離解・叩解させてパルプ化工程水を得るパルプ化工程、得られたパルプ化工程水に紙力増強剤を含む添加剤を加えて調成パルプ原料を得る調成工程および得られた調成パルプ原料を抄いて板紙を得る抄紙工程などを経て、板紙を製造している。調成工程では、得られた板紙の強度を保持するために、紙力増強剤を調成工程水に添加している。
また、古紙には接着剤などに由来する澱粉が多く含まれている。澱粉は、紙力向上に寄与することが知られており、澱粉分解は紙製品の強度劣化を招く場合がある。
そこで、特許文献1では、澱粉が微生物の繁殖による腐敗に起因して分解することを前提に、古紙のパルプ化工程水における澱粉の分解を防止するために、工程水のアミラーゼ活性、澱粉濃度、pHおよび酸化還元電位などを連続的または間欠的に測定し、その測定結果に基づいて殺菌剤を添加する紙の製造方法を提案している。
特開2010-100945号公報
しかしながら、特許文献1のような従来の方法では、古紙のパルプ化工程水に殺菌剤が添加されているのは、パルプ化工程水における酸化還元電位が-300~-200mVの腐敗環境に対してであった。このため、パルプ化工程水における酸化還元電位が-400mV以下の劣悪な腐敗環境では、酸化還元電位(ORP)測定等による水質管理によって、微生物の繁殖によるスライム成長の防止とスライム障害の改善を行う方法は取られておらず、単純にスライム障害が発生する箇所において、殺菌剤などの添加剤が短時間、高濃度で衝撃添加されるのみであった。
しかしながら、酸化還元電位(ORP値)が-400mV以下の劣悪な腐敗環境では、高濃度の殺菌剤を衝撃添加して腐敗環境を改善しても強烈な還元雰囲気のために有効成分が分解等により効力を失い短時間で元の腐敗環境に戻るため、腐敗環境が改善された状態を維持することが困難であった。そのため、パルプ化工程水における酸化還元電位が-400mV以下である劣悪な腐敗環境においては、殺菌剤を用いて水質管理を行うことは困難であると考えられ、腐敗環境の改善は断念されていた。
そのため、上述のように古紙の中でもグレードの低い古紙(使用済み段ボール、雑誌、雑紙等を含む)の古紙パルプ製造工程では、ORP値が-400mV以下の劣悪な腐敗環境となるが充分な水質管理が行われていなかった。そのため、板紙用パルプ調成工程、板紙抄紙工程において、紙力増強剤、サイズ剤、歩留向上剤及び濾水性向上剤等の様々な薬品が使用されているにもかかわらず、板紙抄紙工程で断紙が発生するという問題があった。
本発明は、板紙抄紙工程において断紙の発生を低減させ、さらに板紙用パルプ調成工程、板紙抄紙工程において添加薬剤の添加量及びその効果を最適化することができる古紙パルプ製造工程における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、主原料として使用済み段ボールを含む古紙から古紙パルプを製造する古紙パルプ製造工程全体の調査を実施した。そして、古紙パルプの製造工程では、回収パルプ及び回収水の循環使用の高度化が進み、古紙由来の有機物や夾雑物が循環されて、細菌が繁殖しやすい条件となっており、劣悪な腐敗環境のため古紙パルプ製造工程内の菌数が107~8CFU/mlと高く、ほぼ飽和状態であることを確認した。さらに、さらにストックタワー等のように古紙パルプ製造工程内において白水の滞留時間が長い工程では細菌が増殖し、古紙パルプ製造工程内で代謝物である有機酸が生成され、酸化還元電位(ORP)の低下が進んでいることを見出した。
このような知見に基づき、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、抄紙工程での断紙の発生を低減し、従来、古紙パルプ製造工程において局所的に使用されてきた殺菌剤等の添加剤、及び、調成工程や抄紙工程において使用されてきた種々の添加剤の使用量及び効果を最適化するためには、これら添加剤の投入対象の1主成分である白水による影響を低減させることが重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、主原料である古紙から古紙パルプを製造する工程における白水改質方法であって、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する薬剤連続添加処理を含み、白水の酸化還元電位が最も低い箇所で-400mV以下である古紙パルプ製造工程に対し、上記薬剤連続添加処理を行うことを特徴とする古紙パルプ製造工程における白水改質方法である。
また、本発明は、主原料である古紙から古紙パルプを製造する古紙パルプ製造方法であって、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する薬剤連続添加処理を含み、白水の酸化還元電位が最も低い箇所で-400mV以下である古紙パルプ製造工程に対し、上記薬剤連続添加処理を行うことを特徴とする古紙パルプ製造方法でもある。
上記モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの濃度は、残留塩素量として0.5~30mg/Lであることが好ましい。
また、本発明は、白水のパルプ濃度が0.03~30%である箇所の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
本発明における古紙パルプ製造工程においては、白水を供給する白水供給ラインを一つ以上備え、少なくとも一箇所の白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
上記一つ以上の白水供給ラインは古紙パルプ製造工程におけるパルパー工程に白水を供給する白水供給ラインを含み、パルパー工程に白水を供給する白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
また、残留塩素量が0.5mg/L以上である白水をパルパー工程に添加することが好ましい。
また、本発明の白水改質方法又は古紙パルプ製造方法では、白水の残留塩素量が0.5~10mg/Lとなるようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加することが好ましい。
また、本発明の白水の改質方法又は古紙パルプ製造方法では、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所で白水の残留塩素量を測定し、上記残留塩素量が所定の値になった後、上記残留塩素量が上記所定の値を維持するように、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加又は間欠添加することが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する薬剤連続添加処理を含み、白水の酸化還元電位が最も低い箇所で-400mV以下である古紙パルプ製造工程に対し、上記薬剤連続添加処理を行う古紙パルプ製造工程における白水改質方法である。
また、本発明は、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する薬剤連続添加処理を含み、白水の酸化還元電位が最も低い箇所で-400mV以下である古紙パルプ製造工程に対し、上記薬剤連続添加処理を行う古紙パルプ製造方法でもある。
本発明における「白水」とは、古紙パルプ製造工程全体において使用される水のことをいい、例えば、古紙パルプ製造工程において、原料となる古紙を水と混合しながら機械力でパルプスラリーとする離解(パルパー)工程、古紙に含まれる異物を除去する粗選(除塵)工程、古紙に含まれる異物とパルプ分とをスクリーンで分離する精選工程、及びパルプの脱水を行う脱水工程等の各工程で用いられる水、及び排水される水を白水という。また、上記パルパー工程において原料である古紙と白水とが混合されたパルプスラリーが形成されるが、このパルプスラリーについてもパルプ成分を含有する白水であるため、本明細書においては白水と表現し、以下説明をする。さらに、抄紙工程等の別工程から再利用水として送水される水についても古紙パルプ製造工程で使用される水は全て白水という。
また、本発明において「古紙」とは、主原料として段ボールを50%以上有する古紙であり、段ボールの他に、雑誌や新聞紙などの印刷古紙及び雑紙を含んでいてもよい。
なお、上記古紙パルプ製造工程では、離解工程、粗選工程、精選工程及び脱水工程を有していればよく、脱墨工程、洗浄工程及び漂白工程は、古紙パルプ製造工程を経て得られる古紙パルプの品質、及び/又は、原料である古紙の品質に応じて任意に選択される工程であってよい。
本発明の白水改質方法及び古紙パルプ製造方法において、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に添加するとは、一又は複数の実施形態において、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを生成する薬品、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを含む薬品を使用することにより行うことができる。このような薬品としては、一又は複数の実施形態として、次亜塩素酸ナトリウムと、硫酸アンモニウム及び/又は臭化アンモニウムとを含む薬品等が挙げられる。モノクロラミンは、一又は複数の実施形態において、次亜塩素酸ナトリウムと、アンモニウム化合物とを混合することにより生成できる。モノブロラミンは、一又は複数の実施形態において、次亜臭素酸ナトリウムと、アンモニウム化合物とを混合することにより生成できる。アンモニウム化合物としては、一又は複数の実施形態において、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、及びこれらの少なくとも2種以上の混合物等が挙げられる。次亜塩素酸ナトリウムとアンモニウム化合物とのモル比は、一又は複数の実施形態において、残留塩素と窒素とのモル比として1:1~1:2、1:1.1~1:2、1:1.2~1:2、又は1:1.2~1:1.6である。
ここで、上記モノクロラミンは結合塩素の一種であり、上記モノブロラミンは結合臭素の一種である。よって、OCl(Br)+NH →NHCl(Br)+HOのような反応で生成される穏やかな酸化剤である。
また同じ酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムも強い酸化力を有するが、遊離塩素が白水中の様々な夾雑物及び不純物等と容易に且つ瞬時に反応するため、多量に添加しなければ白水改質効果を発揮することができない。モノクロラミン及び/又はモノブロラミンは適度な酸化力、殺菌力を有していることから古紙パルプ製造工程における白水の改質に適した化合物といえる。
なお、本発明において白水の改質とは、古紙パルプ製造工程における各工程(離解(パルパー)工程、除塵工程、脱墨工程、精選工程、洗浄・脱水工程及び漂白工程等)、調成工程及び抄紙工程での機械処理及び薬品処理において、白水成分に起因する機械処理及び薬品処理の無駄な消費が生じない程度に白水の性質を向上及び改質させるものであり、所定箇所における白水のpH値、酸化還元電位(ORP)、菌数及び残留塩素量等の測定値を指標として判断することができる。
各指標における判断基準は、例えば、古紙パルプを原料に抄紙を行う抄紙工程で求められる古紙パルプの品質や、抄紙工程の最終生成物である紙に求められる品質を考慮したうえで適宜設定することができるが、例えば、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における酸化還元電位であれば、好ましくは、100mV以上、より好ましくは200mV以上、さらに好ましくは250mV以上;古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における菌数であれば、好ましくは10CFU/ml以下、より好ましくは10CFU/ml以下、さらに好ましくは10CFU/ml以下;古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における残留塩素量であれば、好ましくは0.5mg/L以上、より好ましくは1.5mg/L以上、さらに好ましくは3.0mg/L以上となっている場合、白水が改質されたと判断することができる。
上記指標の測定箇所としては、例えば、パルパー後、マシンチェスト、インレット、白水ピット等が挙げられる。製造される古紙パルプの品質に重要な影響を与える工程のためである。なお、マシンチェストは、脱水機からでてきたパルプスラリーをマシン側で受け取る工程であり、インレットは、抄紙する工程であり、白水ピットは、各工程で回収された白水を集約するタンクである。
また、上記指標のうち、残留塩素量及び/又は酸化還元電位は、古紙パルプ製造工程の白水ループ毎に少なくとも一箇所で測定されることがより好ましい。ここで、白水ループとは、古紙パルプ製造工程から抽出及び/又は排水される白水が白水ピットに集約され、白水ピットに集約された白水が上記古紙パルプ製造工程に供給されることで形成される白水の再循環系のことをいい、一つの白水ピットに対し一つの白水ループが形成される。なお、一つの白水ピットから複数の白水供給ラインを有する場合は、白水ピットから古紙パルプ製造工程の最上流側に白水を供給する最上流側白水供給ラインで形成される白水の再循環系を白水ループといい、上記最上流側白水供給ラインから分岐する白水供給ラインも上記白水ループの一部に含まれる。
モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの濃度は、残留塩素量として(モノブロラミンの場合は残留塩素量換算値として)、0.5~30mg/Lであることが好ましく、1~30mg/Lがより好ましく、経済性の点から、1~10mg/L又は1~5mg/Lが更に好ましい。
なお、本発明における「残留塩素量」の記載は、モノブロラミンである場合には「残留塩素量換算値」を意味する。
前記モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの濃度は、一又は複数の実施形態において、古紙パルプ製造工程内における少なくとも一箇所における白水のpH、酸化還元電位(ORP)、菌数及び残留塩素量等の少なくとも一つの指標によって適宜決定できる。
本発明におけるモノクロラミン及び/又はモノブロラミンの白水への添加総量は、対パルプ量換算で、例えば、上限が2.0kg/tであることが好ましく、経済性の点から上限が1.5kg/tであることがより好ましい。
一方、古紙パルプ製造工程の複数箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する場合、各箇所における添加量は、対パルプ量換算で0.5~1.0kg/tであることが好ましい。
本発明において、パルプ濃度が、0.03~30%である箇所の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましく、パルプ濃度が0.5~2.0%である箇所であることが更に好ましい。
また、本発明における古紙パルプ製造工程は、白水を回収する白水回収ラインを一つ以上備えており、白水回収ラインは白水ピットに繋がれている。さらに、本発明における古紙パルプ製造工程は、白水を供給する白水供給ラインを一つ以上備えており、上記白水ピットから供給される白水及び/又は抄紙工程から再利用水として供給される白水が古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所に供給され、白水が循環使用されている。
ここで、古紙パルプ製造工程は、離解(パルパー)工程、粗選(除塵)工程、精選工程及び脱水工程の各工程を含む。また、脱墨工程、洗浄工程及び漂白工程等の各工程は、通常含まれないが、これらの工程を任意で含んでもよい。上記工程及びその前後の少なくとも一箇所において白水回収ライン及び/又は白水供給ラインを備えていることが好ましい。
本発明においては少なくとも一箇所の白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
この場合、離解(パルパー)工程、粗選(除塵)工程、精選工程及び脱水工程の少なくとも1つの工程から回収された白水が集約される白水ピットから繋がれる白水供給ラインの少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
また、本発明においては少なくとも一箇所の白水回収ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することとしてもよい。
この場合、脱水工程に備えられた白水回収ラインの少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
また、本発明において、一つ以上の白水供給ラインは古紙パルプ製造工程におけるパルパー工程に白水を供給する白水供給ラインを含むことが好ましい。
パルパー工程に添加される白水としては、例えば、離解(パルパー)工程、粗選(除塵)工程、精選工程及び脱水工程の少なくとも1つの工程で回収された白水を用いることが好ましい。白水中の残留塩素を有効利用できるためである。
また、本発明において、少なくとも一箇所の原料ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。ここで、原料ラインは、原料である古紙がパルパーに供給され、離解(パルパー)工程、除塵(粗選・精選)工程、脱水工程を経て、マシンチェスト、インレットまで送られるラインを意味する。この場合、離解(パルパー)工程、除塵(粗選・精選)工程及び脱水工程の各工程(パルパーからインレットまでの各工程)又は各工程をつなぐ原料ラインの少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましく、より好ましくはパルパーとマシンチェストをつなぐ原料ライン、マシンチェストと配合チェストをつなぐ原料ラインなど、設備と設備とをつなぐ原料ラインでパルプ濃度が1~4%、より好ましくは1~2%の原料ラインの少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加することが好ましい。
さらに、本発明では、白水供給ライン、白水回収ライン及び原料ラインを含む薬剤添加ラインのうち2種以上のラインにおいて、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
また、本発明において、残留塩素量が0.5mg/L以上である白水をパルパーに添加することが好ましい。白水の残留塩素量は、1.5mg/L以上であることがより好ましく、3.0mg/L以上であることが更に好ましい。
こうすることにより、古紙パルプ製造工程の第一段階であるパルパー工程から、用いられる白水を改質することができ、古紙パルプ製造工程全体の白水の改質に効果的である。
本発明の古紙パルプ製造工程における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法では、例えば、離解(パルパー)工程、除塵(粗選・精選)工程及び調成工程(マシンチェスト、配合チェスト)、インレット、白水ピット等において白水の残留塩素量を測定し、残留塩素量が0.5~10.0mg/Lとなるようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加することが好ましく、残留塩素量が0.5~5.0mg/Lとなるように連続添加することがより好ましい。
白水の残留塩素量が1.0mg/L以上であると細菌類の繁殖がほぼ抑制され、0.5mg/L未満であると細菌類の繁殖が進むためである。
本発明の白水改質方法及び古紙パルプ製造方法では、白水の残留塩素量が所定の値となるまでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加し、残留塩素量が前記所定の値となった後は、前記所定の値を維持するようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを、白水に連続添加又は間欠添加することが好ましい。
なお、上記所定の値は、例えば、古紙パルプを原料に抄紙を行う抄紙工程で求められる古紙パルプの品質や、抄紙工程の最終生成物である紙に求められる品質を考慮したうえで適宜設定することができるが、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における残留塩素量が、0.5~10.0mg/Lであることが好ましく、1.5~8.0mg/Lであることがより好ましく、3.0~5.0mg/Lであることがさらに好ましい。
ここで、連続添加とは、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所で、一定量のモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを持続的に添加し、上記古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所の白水の残留塩素量が、0.5mg/Lを下回らないようにすることを意味する。そのため、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所においてモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に絶え間なく供給し続ける場合の他に、供給と停止を繰り返すときであっても古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における残留塩素量が、0.5mg/Lを下回らないようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に添加する場合は、連続添加に該当する。
本発明の白水改質方法における薬剤連続添加処理、及び、本発明の古紙パルプ製造方法における薬剤連続添加工程が、少なくとも14日以上であることが好ましい。
上記薬剤連続添加処理が行われる古紙パルプ製造工程は、薬剤連続添加処理前の白水の酸化還元電位が最も低い箇所で-400mV以下であるため、少なくとも14日以上、薬剤を連続添加する必要があるためである。
本発明の白水改質方法及び古紙パルプ製造方法によれば、古紙パルプ製造工程全体で(循環)使用される白水のpH値及び残留塩素量が向上し、酸化還元電位(ORP)は、還元雰囲気から酸化雰囲気へ改善され、菌数の増加が抑制されるため、古紙パルプ製造工程の各工程(パルパー工程、除塵(粗選・精選)工程及び脱水工程)、調成工程及び抄紙工程で用いられる殺菌剤、紙力増強剤、サイズ剤、歩留向上剤及び濾水性向上剤等の添加剤(薬品ともいう。)の添加量及び効果を最適化することができる。
さらに、本発明の白水改質方法及び古紙パルプ製造方法によれば、抄紙工程での断紙の発生を低減させることができる。
なお、添加剤の添加量及び効果を最適化することができるとは、添加剤の効果が得られる範囲で添加剤の使用量を低減させることができることをいう。例えば、紙力剤の過剰な使用は水の汚れの原因となるために機械的な問題面を有し、さらに経済面からも使用量を抑えることが希望されている。また、白水の酸化還元電位、疎水性物質(ピッチ成分)量が低下する。更に、白水中の微生物量が減少する。さらに、濾水量が向上する。他の添加剤についても同様である。また、本発明によれば、古紙パルプ製造工程全体にわたって存在する白水を改質できるため、古紙パルプ製造工程の各工程における機械処理及び薬品処理の効果が発揮されやすく、パルプ純度の高い品質の良い古紙パルプを製造することができる。そのため、調成工程及び抄紙工程においての機械処理及び薬品処理の効果が発揮されやすく、断紙の発生を低減させることができる。
図1は、本発明の一実施形態における古紙パルプ製造工程のブロック図である。 図2は、本発明の他の実施形態における古紙パルプ製造工程のブロック図である。 図3は実施例1及び比較例1における測定日毎のpHを示すグラフである。 図4は実施例1及び比較例1における測定日毎のORP値を示すグラフである。 図5は実施例1及び比較例1における測定日毎の濁度を示すグラフである。 図6は実施例1及び比較例1における測定日毎の電気伝導度を示すグラフである。 図7は実施例1及び比較例1における測定日毎のFPR値を示すグラフである。 図8-1は実施例1及び比較例1における疎水性物質(23μm以下)の測定日毎の量変化を示すグラフである。 図8-2は実施例1及び比較例1における疎水性物質(150μm以下)の測定日毎の量変化を示すグラフである。 図9は実施例1及び比較例1における測定日毎の灰分を示すグラフである。 図10は実施例1及び比較例1における測定日毎の澱粉濃度を示すグラフである。 図11は実施例1及び比較例1における測定日毎の残留塩素量を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を示し、更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1及び図2に、古紙パルプの製造工程を説明するブロック図を示す。図1は、本発明の一実施形態における古紙パルプ製造工程のブロック図であり、パルパー1による離解工程と、粗選機2による粗選工程と、ストックタンク3によるパルプスラリー貯蔵工程と、スクリーン4による精選工程と、脱水機5による脱水工程と、ストックタワー6によるパルプスラリー貯蔵工程とを含み、上記脱水機5から回収される白水を貯蔵する白水ピット9、得られたパルプに各種製紙助剤を混合するマシンチェスト7、配合チェスト8、及び、インレット12を有する。
まず、原料である古紙はパルパー1に供給される。パルパー1において古紙を解きほぐしてスラリー状とするための離解工程が行われる。離解工程で得られたパルプスラリーは白水を含有し、粗選機2において異物を除去するための粗選工程が行われる。粗選工程で異物が除去されたパルプスラリーはストックタンク3を経て、スクリーン4にて粗選工程で除去しきれなかった異物をさらに除去する精選工程が行われた後、脱水機5にて脱水され、ストックタワー6およびマシンチェスト7を経て、配合チェスト8にてパルプ濃度の調整や添加剤の配合が行われ、インレット12にパルプスラリーが供給される。各工程で排出される白水は白水回収ライン10により回収され、白水ピット9に集約される。
なお、図1では、脱水工程で排出される白水を回収する白水回収ライン10のみを図示している。脱水工程以外の工程で排出される白水を白水ピットに送る白水回収ライン10は、図示しないが、適宜設置することができる。また、図1ではストックタンク3、ストックタワー6を図示しているが板紙の製造工程ではこれらの貯蔵目的の工程は設置されないことが多い。
白水ピット9に回収された白水は、パルパー1、パルパー1と粗選機2をつなぐ流路、粗選機2、ストックタンク3とスクリーン4をつなぐ流路等に白水を供給するための白水供給ライン11を介し、古紙パルプ製造工程へ供給され、再利用される。また、図示しないが、マシンチェスト7や配合チェスト8に白水を供給するための白水供給ライン11を設けてもよい。
本実施形態における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法は、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することを含む。
本実施形態において、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの少なくとも一箇所の添加場所としては、白水供給ライン11a(図1の矢印A)、11b(図1の矢印B)、11c(図1の矢印C)、11d(図1の矢印D)、精選機2の出口側流路(図1の矢印E)等が挙げられる。
図2は、本発明の他の実施形態における古紙パルプ製造工程のブロック図である。他の実施形態におけるモノクロラミン及び/又はモノブロラミンの少なくとも一箇所の添加場所としては、パルパー1からスクリーン4における少なくとも一箇所(図2の矢印F)及び/又はスクリーン4から配合チェスト8の入り口側流路における少なくとも一箇所(図2の矢印G)が挙げられる。
なお、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの少なくとも一箇所の添加場所としては、パルパー1から配合チェスト8までのパルプ原料を含む白水(パルプスラリー)が送付される原料ライン(図2における矢印H)の少なくとも一箇所であればよいが、系内の水バランスを考慮し、上記矢印Fで少なくとも一箇所及び上記矢印Gで少なくとも一箇所の計二カ所以上で添加することができる。
なお、図1及び図2に図示していないが、ストックタワー6とマシンチェスト7との間に、クッションタンクが介在してもよい。クッションタンクが介在することで、パルプスラリーのマシンチェスト7への送付が安定するためである。
また、図1及び図2に図示していないが、配合チェスト8を経たパルプスラリーが送付されるインレット12から、白水を回収するための白水回収ラインを備えてもよい。この場合、インレット12から排出された白水が白水ピット9に供給され、白水ピット9からマシンチェスト7又は配合チェスト8に白水が供給されてもよい。また、インレット12から排出された白水が図示しない白水ピットに供給され、白水ピット9とは異なる白水ピットからマシンチェスト7又は配合チェスト8に白水が供給される構成であってもよい。
また、本発明において白水の残留塩素量を測定する場合、「パルパー1→脱水機5→白水ピット9→パルパー1」で形成される白水ループに含まれる送水ライン(パルパー1から脱水機5までの各機器と送水ライン、白水回収ライン10及び白水供給ライン11(11a~11d)を含む)のいずれか一箇所において、白水の残留塩素量が測定されることが好ましい。
さらに、インレット12から白水を回収し、白水ピット9からマシンチェスト7又は配合チェスト8に白水を供給する場合は、「マシンチェスト7→インレット12→白水ピット9→マシンチェスト7」で形成される白水ループに含まれる送水ラインの、いずれか一箇所において、白水の残留塩素量が測定されることとしてもよい。
なお、インレット12から回収される白水が、白水ピット9とは異なる図示しない白水ピットに供給される場合は、白水ピット9を起点に形成される白水ループとは別に、図示しない白水ピットを起点に形成される白水ループにおいても白水の残留塩素量が測定されることが好ましい。
(実施形態1)
実施形態1における白水改質方法又は古紙パルプ製造方法は、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン等を白水に連続添加する工程を含む。本実施形態1の白水改質方法又は古紙パルプ製造方法を行うことにより、古紙パルプ製造工程において(循環)使用される白水のpH値及び残留塩素量が向上し、酸化還元電位(ORP値)は、還元雰囲気から酸化雰囲気へ改善され、菌数の増加が抑制される。これにより、各工程における機械処理及び薬品処理が好適化されるため、添加剤の使用量は減少するにもかかわらず、高品質の古紙パルプを得ることができる。
(実施形態2)
実施形態2における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法は、古紙パルプ製造工程における少なくとも粗選工程と脱水工程との間の流路のいずれかの箇所でモノクロラミン等を白水に連続添加する工程を含む。本実施形態2の白水改質方法又は古紙パルプ製造方法を行うことにより、古紙パルプ製造工程において(循環)使用される白水の残留塩素量が向上し、酸化還元電位(ORP)は、還元雰囲気から酸化雰囲気へ改善され、菌数の増加が抑制される。これにより、各工程における機械処理及び薬品処理が好適化されるため、添加剤の使用量は減少するにもかかわらず、高品質の古紙パルプを得ることができる。
(実施形態3)
実施形態3における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法は、古紙パルプ製造工程における少なくとも粗選工程と脱水工程との間の流路のいずれかの箇所、及び、パルパー工程及び/又はパルパー工程の直後の流路に供給される白水供給ラインでモノクロラミン等を白水に連続添加する工程を含む。本実施形態3の白水改質方法又は古紙パルプ製造方法を行うことにより、古紙パルプ製造工程において(循環)使用される白水のpH値及び残留塩素量が向上し、酸化還元電位(ORP)は、還元雰囲気から酸化雰囲気へ改善され、菌数の増加が抑制される。これにより、各工程における機械処理及び薬品処理が好適化されるため、添加剤の使用量は減少するにもかかわらず、高品質の古紙パルプを得ることができる。
上記連続添加工程は、一又は複数の実施形態において、モノクロラミン等を白水に対し、残留塩素量として0.5~30mg/Lとなるように連続添加することを含み、1~30mg/Lとなるように連続添加することを含むことが好ましく、経済性の点から1~10mg/L又は1~5mg/Lとなるように添加することを含むことが好ましい。
以下の実施例及び比較例に基いて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実機試験1:本試験はモノクロラミンを白水に連続添加することで白水を改質した例である。
(実施例1及び比較例1)
某製紙工場Aにて試験を行った。
(試験運転条件)
当該製紙工場Aでは、原料に段ボール古紙を使用しており、従来白水の改質は行われておらず、古紙パルプ製造工程における各工程(パルパー工程、粗選工程、精選工程、脱水工程等)において、機械処理及び/又は薬品処理が行われていた。
下記調製例1に記載の薬品を連続添加する前2週間の特定の期間、連続しない任意の日を選択し、所定の箇所において白水のpH、菌数、残留塩素量、疎水性物質量及び灰分等の測定を行った。その結果を下記表1及び図3~11に比較例1として記載する。
なお、この間も殺菌剤(10~15kg/t)が、4~12回/日の頻度で衝撃添加されていた。
(薬品の添加)
上記の運転条件において、粗選工程と精選工程との間の流路及び白水ピット9に下記調製例1に記載のモノクロラミンを白水にパルプ量換算で0.5~1.0kg/tとなるように連続添加した。その後、4箇所において白水の残留塩素量の測定を1~2回/日で行った。上記連続添加の開始から14日程度で、上記測定箇所における白水の残留塩素量が0.5mg/L以上となっていることが確認され、白水が改質されたことを確認した。
上記薬品の連続添加開始後2カ月から3カ月の間で、連続しない任意の日を選択し、所定の箇所において白水のpH、酸化還元電位(ORP値)、濁度、電気伝導度、FPR値(ファーストパスリテンション:マシンのワイヤー上の歩留まり)疎水性物質量、灰分、残留塩素量及び菌数等の測定を行った。その結果を下記表1及び図3~11に実施例1として示す。
表1は、パルプ製造工程の各工程におけるpH、菌数及び残留塩素量の測定結果である。
(調整例1)次亜塩素酸ナトリウムと硫酸アンモニウムとの混合液の調製
次亜塩素酸ナトリウム溶液(残留塩素量:140kg/t)を脱イオン水で残留塩素量が5kg/tになるように希釈した後、30%硫酸アンモニウム水溶液(硫酸アンモニウム(キシダ化学株式会社製))30kgを脱イオン水で溶解し、全量を100kgとしたもの)と残留塩素と窒素とのモル比が1:1.2となるように調製した。
Figure 0007186965000001
表1から、白水にモノクロラミンを連続添加することにより、白水が改質され、pH、菌数及び残留塩素量が改善されていることが分かった。
菌数に関しては、比較例1では、パルプ製造工程全体において、菌数が10CFU/mlと高く、ほぼ飽和状態であるのに対し、実施例1では、パルプ製造工程全体において菌数が10CFU/ml以下に抑制されていた。従来のようにバイオフィルム生成抑制を主目的とした衝撃添加ではないため、衝撃添加後のように細菌数が増加することがなく、菌数が比較的低い値を維持していることが確認できた。
また、残留塩素量に関しては、比較例1では、パルプ製造工程全体において残留塩素が存在していないのに対し、実施例1では、パルプ製造工程全体において白水中の残留塩素量が1.0~4.5mg/Lの範囲で存在していることが確認された。
また、図4によると、ストックタンクでは、白水の酸化還元電位(ORP値)が-400mV以下であったが、モノクロラミンを白水に連続添加し20日程度経過し、白水が改質されると、ストックタンクにおける白水のORP値は大幅に上昇し200mVあたりで安定した数値を保っていることが確認できた。
また、図10に示すように、ストックタンクにおける澱粉濃度の上昇も確認できた。
また、図11によると、白水改質方法による処理開始後の残留塩素濃度は、白水改質方法開始から2週間は残留塩素濃度が検出されなかったが、白水改質方法開始から20日程度から検出されたことが確認できる。
さらに図8-1及び図8-2から分かるように、白水改質方法による処理開始後20日程度でストックタンク及びインレットにおける白水中の疎水性物質が減少していることが確認できた。
白水中の疎水性物質が減少していることは、製造される古紙パルプの品質の良化を意味する。
酸化剤であるモノクロラミンを白水に連続添加すると、夾雑物が酸化分解されるため、電気伝導度及びカチオンデマンドが低下した。
以上のように、薬剤の連続添加により様々な系内の数値が改善し、その結果、欠陥数は10分の1から5分の1に減少し、欠陥由来による一月の断紙回数が、3分の1~2分の1に減少した。
そのため、マシンを止めての洗浄回数や断紙によるマシンの停止時間を大幅に削減することになり、結果として古紙の増産に寄与した。
1 パルパー
2 粗選機
3 ストックタンク
4 スクリーン
5 脱水機
6 ストックタワー
7 マシンチェスト
8 配合チェスト
9 白水ピット
10 白水回収ライン
11 白水供給ライン
12 インレット

Claims (9)

  1. 主原料である古紙から古紙パルプを製造する工程における白水改質方法であって、
    古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを、白水ループを循環する白水の残留塩素濃度が0.5~30mg/Lとなるように連続添加する薬剤連続添加処理を含み、
    前記薬剤連続添加処理前の 白水の酸化還元電位が最も低い箇所で-400mV以下である古紙パルプ製造工程に対し、前記薬剤連続添加処理を行うことを特徴とする古紙パルプ製造工程における白水改質方法。
  2. 主原料である古紙から古紙パルプを製造する古紙パルプ製造方法であって、
    古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを、白水ループを循環する白水の残留塩素濃度が0.5~30mg/Lとなるように連続添加する薬剤連続添加処理を含み、
    前記薬剤連続添加処理前の 白水の酸化還元電位が最も低い箇所で-400mV以下である古紙パルプ製造工程に対し、前記薬剤連続添加処理を行うことを特徴とする特徴とする古紙パルプ製造方法。
  3. モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの濃度が、残留塩素量として0.5~30mg/Lである請求項1に記載の白水改質方法又は請求項2に記載の古紙パルプ製造方法。
  4. 白水のパルプ濃度が0.03~30%である箇所の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する請求項1若しくは3に記載の白水改質方法又は請求項2若しくは3に記載の古紙パルプ製造方法。
  5. 古紙パルプ製造工程において、白水を供給する白水供給ラインを一つ以上備え、少なくとも一箇所の白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する請求項1、3若しくは4に記載の白水改質方法又は請求項2、3若しくは4に記載の古紙パルプ製造方法。
  6. 一つ以上の白水供給ラインは古紙パルプ製造工程におけるパルパー工程に白水を供給する白水供給ラインを含み、パルパー工程に白水を供給する白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する請求項5に記載の白水改質方法又は請求項5に記載の古紙パルプ製造方法。
  7. 残留塩素量が0.5mg/L以上である白水をパルパー工程に添加する請求項6に記載の白水改質方法又は請求項6に記載の古紙パルプ製造方法。
  8. 白水の残留塩素量が0.5~10.0mg/Lとなるようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加する請求項1、3、4、5、6若しくは7に記載の白水改質方法又は請求項2、3、4、5、6若しくは7に記載の古紙パルプ製造方法。
  9. 古紙パルプ製造工程の少なくとも一か所で白水の残留塩素量を測定し、前記残留塩素量が所定の値になった後、前記残留塩素量が前記所定の値を維持するようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加又は間欠添加する請求項1、3、4、5、6、7若しくは8に記載の白水改質方法又は請求項2、3、4、5、6、7若しくは8に記載の古紙パルプ製造方法。
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