JP7186511B2 - 情報管理プログラム、情報管理システム及び情報管理方法 - Google Patents

情報管理プログラム、情報管理システム及び情報管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、情報管理プログラム、情報管理システム及び情報管理方法に関する。
航空機、船舶、タクシー、トラックなどによる運輸業に従事する運転者は、指定された時間に間に合うように昼夜を問わず運行するため、過労や体調急変による人命に関わる事故を引き起こしやすい。それゆえ、運輸業の労務管理者や運行管理者は、運転者の過労や体調不良につながらないように、日次や月次における夜間勤務時間などの労務管理や、一運行における出発時刻及び到着時刻などの運行管理を行うことが重要になる。このため、運転者の管理について様々な提案がされている。
例えば、従業員が携帯するバーコード読取端末を用いて労務に関する情報を読み取らせ、各運転者に対する多様な労務情報を簡単に一元管理する労務管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014-241085号公報
しかしながら、運輸会社によっては、費用の面などで労務管理や運行管理を行うシステムの導入が難しく、労務管理や運行管理を行うことが困難な場合がある。このような場合、運転者の状況を把握することができないために、運転者の過労や疾病に起因する事故の発生リスクを軽減できないという問題があった。
一つの側面では、運転者毎の労務管理や運行管理を行っていなくとも、対象の運転者の労務管理及び運行管理を行うためのデータを得ることができる情報管理プログラム、情報管理システム及び情報管理方法を提供することを目的とする。
一つの実施態様では、情報管理プログラムは、複数の組織に所属する各運転者により運転された各移動体における、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データを取得し、取得した前記移動データに基づき、運転時間長及び勤務時間長の少なくともいずれかを前記各運転者毎に生成する、処理をコンピュータに実行させる。
一つの側面では、運転者毎の労務管理や運行管理を行っていなくとも、対象の運転者の労務管理及び運行管理を行うためのデータを得ることができる情報管理プログラム、情報管理システム、及び情報管理方法を提供することができる。
図1は、第1の実施例における情報管理システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。 図2は、第1の実施例のB社におけるデータの流れを示すブロック図である。 図3は、第1の実施例における情報管理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。 図4は、第1の実施例における情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。 図5は、第1の実施例における走行データのデータ構成を示す図である。 図6は、第1の実施例における走行データのデータ構成を示す図である。 図7は、作業時間又は休憩時間の回数から運行距離区分を特定する一例を示す図である。 図8は、加算時間データテーブルの一例を示す図である。 図9は、第1の実施例における情報管理システムがみなし運行情報及びみなし労務情報を生成する流れを示すブロック図である。 図10は、第1の実施例における日次サマリのデータ構成を示す図である。 図11は、第1の実施例における週次サマリを示す図である。 図12は、第1の実施例における月次サマリを示す図である。 図13は、第1の実施例における日次サマリを出力する処理の流れを示すフローチャートである。 図14は、第2の実施例における情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。 図15は、第2の実施例における日次サマリを出力する処理の流れを示すフローチャートである。 図16は、第3の実施例における情報管理システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。 図17は、第3の実施例における情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。 図18は、第3の実施例における日次サマリに基づく運行管理を行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図19は、第4の実施例における情報管理システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。 図20は、第4の実施例のB社におけるデータの流れを示すブロック図である。 図21は、第4の実施例における情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。 図22は、図5に示した走行データにおいて急加減速の発生時を示す図である。 図23は、第4の実施例における情報管理システムがみなし運行情報及びみなし労務情報を生成する流れを示すブロック図である。 図24は、第4の実施例における日次サマリのデータ構成を示す図である。 図25は、第4の実施例における週次サマリを示す図である。 図26は、第4の実施例における月次サマリを示す図である。 図27は、第4の実施例における日次サマリを出力する処理の流れを示すフローチャートである。
(情報管理システム)
本発明の情報管理システムは、例えば、運輸業に関わる企業など複数の組織に所属する各運転者により運転された各移動体の移動データを取得し、取得した移動データに基づいて運転者の「みなし」労務情報及び「みなし」運行情報の少なくともいずれかを生成する。これにより、複数の組織のいずれかが運転者の労務管理や運行管理を行っていない場合、労務管理などを行っていない組織は、情報管理システムが生成したみなし労務情報及びみなし運行情報の少なくともいずれかにより運転者の労務管理などを行うことができる。
また、複数の組織のいずれかが運転者の労務管理や運行管理を行っている場合、情報管理システムは、みなし労務情報及びみなし運行情報の少なくともいずれかと、労務管理などを行っている組織の実際の労務情報や運行情報とを比較して補正値を算出する。これにより、情報管理システムは、算出した補正値を用いて「みなし」の精度を高めることができ、より実際に近いみなし労務情報及びみなし運行情報の少なくともいずれかを生成することができる。
さらに、情報管理システムは、運転者から取得した健康に関する情報を、みなし運行情報、みなし労務情報、実際の運行情報、及び実際の労務情報の少なくともいずれかと併せて管理する。これにより、情報管理システムは、組織の管理者に対し、運転者の健康に関する情報とみなし労務情報などとの関連性を示すことができ、その運転者の健康面を考慮した最適な労務環境を提示できるようになる。
そして、情報管理システムは、みなし労務情報及びみなし運行情報の少なくともいずれかを、移動データに対応づけられた運転者識別情報に基づいて運転者毎に蓄積して管理する。これにより、情報管理システムは、例えば、転職などで運転者の所属が変わった場合であっても、その運転者における過去の労務環境を転職先の組織に対して示すことができるため、転職先の組織は、運転者に応じた労務環境を提供することができる。
このように、情報管理システムは、人命に関わる事故を引き起こしやすい運輸業に従事する運転者に対し、適切な労務環境を提供することに貢献することができる。
情報管理システムは、情報管理プログラムを読み出して実行することで、情報管理方法を実行する情報処理システムとして動作する。即ち、情報管理システムは、情報管理方法と同様の機能を1のコンピュータに実行させる又は2以上のコンピュータに分散させて実行させる情報管理プログラムを有する。
<移動体>
移動体とは、運転者の運転により移動可能なものを意味する。移動体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電車、自動車、自動二輪車、自転車等の車両、商船や漁船等の船舶、有人航空機や無人航空機等の航空機、動物等の生物などが挙げられる。また、自動車としては、例えば、乗用車、商用車などが挙げられる。商用車としては、例えば、トラック、バス、タクシーなどが挙げられる。
<運転者>
運転者とは、移動体を移動させ、あるいは運転する者を意味する。運転者としては、例えば、移動体が車両の場合には「運転手」、「ドライバー」など、移動体が船舶の場合には「操舵手」、「船長」など、移動体が航空機の場合には「操縦士」、「機長」、「パイロット」などと称される者が挙げられる。なお、運転者は、一つの移動体につき複数であってもよい。この場合、複数の運転者は、協働して移動体を運転しても、交代して移動体を運転してもよい。また、運転者の交代の際には、後述する運転者識別情報(以下、「運転者ID(Identification)と称することがある」の変更に基づいて区切ることにより、情報管理システムが運転者の交代を移動データで判定できるようにしてもよい。
<移動データ>
移動データとは、運転者により運転された移動体が移動した履歴を示すデータを意味する。移動データには、運転者IDが付加されている。運転者IDは、情報管理システムが移動データに基づいて生成したみなし労務管理やみなし運行管理を運転者毎に管理するために用いることができる。
運転者IDとしては、運転者を識別するための符号であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、運転免許証番号などが挙げられる。なお、運転者IDを運転免許証番号とした場合には、個人情報を保護する観点から別の符号に置き換えてもよい。
移動データとしては、例えば、運転者IDが変更されてから別の運転者IDに変更されるまで、移動体が移動した履歴を示すデータなどが挙げられる。
移動データのデータ項目としては、所定時間毎の移動速度及び所定時間毎の移動距離を含み、その他の項目を含むようにしてもよい。
ここで、所定時間毎とは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5秒間毎、1秒間毎、3秒間毎などが挙げられる。所定時間は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信装置などから得られる時刻を用いて計測することができる。
<<移動速度>>
移動速度とは、運転者が移動体を運転した際の移動体の速度を意味する。
移動速度は、例えば、GPSを用いた速度計などを用いて計測することができる。また、他の移動速度の求め方としては、移動体が車両の場合には、移動速度は、例えば、一定時間内で検出した車軸の回転数と車輪又はタイヤの直径から算出することができる。移動体が船舶の場合には、移動速度は、例えば、対水速度計などを用いて計測することができる。移動体が航空機の場合には、移動速度は、例えば、対気速度計などを用いて計測することができる。
<<移動距離>>
移動距離とは、運転者が移動体を運転した際に移動体が移動した距離を意味する。
移動距離としては、例えば、運転者IDが変更されてから別の運転者IDに変更されるまでに移動した距離、その移動した距離を積算した積算距離などが挙げられる。この場合には、変更された運転者IDに係る運転者が運転を開始したことを判定しやすい点から、運転者IDが変更された際に移動距離を「0」にリセットすることが好ましい。
移動距離は、例えば、GPSを用いた測位計などを用いて計測することができる。移動体が車両の場合には、移動距離は、例えば、検出した車軸の回転数と、車輪又はタイヤの直径から算出することができる。移動体が船舶の場合には、移動距離は、例えば、レーダなどを用いて計測することができる。移動体が航空機の場合には、移動距離は、例えば、距離測定装置(Distance Measuring Equipment、DME)などを用いて計測することができる。
その他の項目としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、運転者の乗降回数、所定時間毎の移動体の位置、所定時間毎の移動体の加速度などが挙げられる。
運転者の乗降回数とは、運転者が移動体から乗降した回数を意味する。運転者の乗降回数としては、例えば、運転者IDが変更されてから別の運転者IDに変更されるまでの移動距離において積算した回数、単位時間当たりの回数などが挙げられる。運転者の乗降回数は、例えば、移動体のドア開閉の検知、運転者のシートベルト着脱の検知などにより計測することができる。計測された運転者の乗降回数は、例えば、荷下ろし作業や休憩の回数の目安にするため用いられる。
移動体の位置とは、運転者が運転した際の移動体の位置を意味する。移動体の位置は、例えば、GPSを用いた測位計、GPSを有する携帯端末などを用いて計測することができる。
移動体の加速度とは、運転者が運転した際の移動体の加速度を意味する。移動体の加速度は、例えば、加速度センサなどを用いて計測することができる。情報管理システムは、移動体の加速度の変化により、急加減速や急な旋回操作などの移動体の挙動を検出するようにしてもよい。
他には、例えば、移動体の重量、積載物の重量などが挙げられる。移動体が船舶の場合には、その他の項目としては、例えば、船首等の方位、船橋音声や通信音声等の音声、レーダ画像、船橋等に伝えられるアラームなどが挙げられる。移動体が航空機の場合には、その他の項目としては、例えば、高度、機首方位、垂直加速度などが挙げられる。
移動データを取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記のデータを計測できる計測器を備えた移動データ取得装置を移動体に搭載する方法などが挙げられる。
移動データ取得装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、運転者が携帯するスマートフォン等の携帯端末などが挙げられる。移動体が車両の場合には、移動データ取得装置としては、例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)2.0に用いられているETC車載器などが挙げられる。他の移動データ取得装置としては、例えば、乗用車等に搭載されるドライブレコーダー、商用車等に搭載されるタコグラフなどが挙げられる。移動体が船舶の場合には、移動データ取得装置としては、例えば、航海データ記録装置(Voyage Data Recorder,VDR)などが挙げられる。移動体が航空機の場合には、移動データ取得装置としては、例えば、フライトデータレコーダー(Flight Data Recorder、FDR)などが挙げられる。
移動データ取得装置から情報管理システムが取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、移動データ取得装置から無線により受信する方法などが挙げられる。他の方法としては、例えば、移動データ取得装置で移動データを記憶させた可搬型の記憶媒体を介して、パソコンなどの情報処理装置に読み込ませた移動データを情報管理システムが受信する方法などが挙げられる。さらに、他の方法としては、例えば、情報管理システムがその記録媒体から移動データを直接読み込む方法などが挙げられる。
<組織>
組織とは、運転者が所属することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、企業、地方公共団体などが挙げられる。運転者が所属するような企業としては、例えば、電車やトラック等による陸運会社、船舶等による海運会社、航空機等による空運会社などが挙げられる。運転者が所属するような地方公共団体としては、例えば、地下鉄などが挙げられる。
組織において運転者の労務管理や運行管理を行っているか否かにかかわらず、情報管理システムは、組織が保有する移動体に搭載されている移動データ取得装置から移動データを取得する。
<<運行情報>>
ここでは、運転者の運行管理を行っている組織において取得される運行情報について説明する。
運行情報とは、移動体の運行を管理するための情報を意味する。
運行情報としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、運転者ID、出発日時、出発地、到着日時、目的地、移動経路などが挙げられる。
出発日時及び出発地とは、出発地から目的地に移動する単位における出発日時及び出発地を意味する。出発地は、例えば、経度及び緯度、施設の名称、住所などで示される。なお、以下では、出発地から目的地に移動する単位を「移動単位」と称することがある。
移動単位は、例えば、移動体がトラックなどの運送会社の車両である場合には、長距離運行では、出発地をトラックターミナルとし、目的地を配送先としてもよい。また、この場合、近距離運行では、出発地をトラックターミナル、各配送先を経由地として、目的地を出発地と同じトラックターミナルとしてもよく、配送毎に出発地を配送直後の配送先とし、目的地を次の配送先としてもよい。
到着日時及び目的地とは、各移動単位の到着日時及び目的地を意味する。目的地は、出発地と同様に、例えば、経度及び緯度、施設の名称、住所などで示される。
移動経路とは、各移動単位における出発地から目的地までの経路を意味する。移動経路としては、例えば、道路地図上の走行経路、航路図上の航路又は航空路などで示される。
<<みなし運行情報>>
みなし運行情報とは、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データに基づいて得られる運行情報を意味する。みなし運行情報は、日次処理してもよく、日次処理したものを集計するなどにより週次処理や月次処理をしてもよい。以下では、日次処理したものについて説明する。
みなし運行情報としては、運転時間長、作業時間又は休憩時間を含み、運行開始日時及び運行終了日時を含むようにしてもよい。
-運転時間長-
運転時間長とは、運転者の運転時間とみなせる時間の長さを意味する。
運転時間長は、移動データに含まれる移動速度又は移動距離の少なくともいずれかに基づいて生成される。
移動速度に基づいて運転時間長を生成する方法としては、例えば、移動速度0km/h以外の状態の時間を合計する方法などが挙げられる。
移動距離に基づいて運転時間長を生成する方法としては、例えば、移動距離が変化している状態の時間を合計する方法などが挙げられる。
-作業時間又は休憩時間-
作業時間又は休憩時間を生成する方法としては、例えば、移動速度0km/hの状態が5分間以上8時間未満継続した時間帯を作業時間又は休憩時間と判定する方法などが挙げられる。
運行開始日時及び運行終了日時とは、運転者が移動体を運転し始めた日時及び運転し終えた日時を意味する。
情報管理システムは、運転者IDの変更や移動データにおいて移動体が移動しているか否かにより、みなしではない運行開始日時及び運行終了日時を特定できる。
移動データから運行開始日時を特定する方法としては、例えば、運転者IDが変更された時間以降であって、移動データに基づいて移動速度が0km/hの状態から0km/hではない状態に変化した時刻を運行開始日時と特定する方法などが挙げられる。
運行終了日時を特定する方法としては、例えば、運転者IDが変更された時間以前の時間であって、移動データに基づいて移動速度が0km/hではない状態から0km/hの状態に変化した時刻を運行終了日時と特定する方法などが挙げられる。
なお、上述ではみなし運行情報のうち日次処理したものについて説明したが、週次処理や月次処理して得られるデータ項目としては、例えば、週次や月次における、運転時間長、作業時間又は休憩時間などが挙げられる。
また、運転時間長、作業時間又は休憩時間などは、秒単位まで示すことができる場合があるが、第三者に知られても組織の営業秘密が保持できるように、例えば、「○○時間」としておおよその時間を示してもよい。
<<労務情報>>
ここでは、運転者の労務管理を行っている組織において取得される労務情報について説明する。
労務情報とは、運転者の労働勤務を管理するための情報を意味する。
労務情報としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、運転者ID、出勤時刻、退勤時刻、勤務時間、休憩時間、タイムテーブルなどが挙げられる。
出勤時刻及び退勤時刻とは、運転者が出勤及び退勤した時刻を意味する。出勤時刻及び退勤時刻としては、例えば、運転者が出勤及び退勤したときにタイムカードに打刻した時刻などが挙げられる。
勤務時間とは、職務に従事する時間、即ち始業時刻から終業時刻までの時間を意味する。勤務時間としては、例えば、労働時間及び休憩時間の合計時間などが挙げられる。
休憩時間とは、労働から離れた時間を意味する。
タイムテーブルとは、運転者が勤務した時間帯を意味する。
ここで、労働時間とは、運転者が実際に労働する時間を意味する。労働時間としては、例えば、作業時間、待機時間などを含むようにしてもよい。
作業時間としては、例えば、運転者が移動体を運転した時間である運転時間、運転者が移動体を停めて荷積み又荷下ろしを行う時間である荷扱時間、運転者が移動体を整備する時間である整備時間などが挙げられる。
待機時間としては、例えば、旅客の乗り降りを待つ時間、荷積み又は荷下ろしを待つ時間などが挙げられる。
また、勤務時間以外の時間を休息期間と称することがある。この場合、休息期間とは、勤務と次の勤務との間の運行の区切りになる時間を意味する。休息期間としては、例えば、8時間以上などが挙げられる。
<<みなし労務情報>>
みなし労務情報とは、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データに基づいて得られる労務情報を意味する。みなし労務情報は、日次処理してもよく、日次処理したものを集計するなどにより週次処理や月次処理をしてもよい。以下では、日次処理したものについて説明する。
みなし労務情報としては、運行距離区分、勤務時間長を含む。
-運行距離区分-
運行距離区分とは、運転者IDが変更されてから別の運転者IDに変更されるまでの移動距離の度合いによる区分を意味する。
運行距離区分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、近距離運行、中距離運行、及び長距離運行とする3つの区分などが挙げられる。
移動データの運行距離区分を特定する方法としては、例えば、移動データに含まれる移動速度及び移動距離の少なくともいずれかのデータに基づいて運行距離区分を特定する方法などが挙げられる。また、他の方法としては、例えば、運転者の乗降回数のデータから運行距離区分を特定してもよい。
移動速度に基づいて運行距離区分を特定する方法としては、例えば、単位時間当たりの作業時間又は休憩時間の回数に応じて運行距離区分を特定する方法などが挙げられる。具体的には、移動体がトラックなどの車両である場合には、移動データにおいて、移動速度0km/hが継続して5分間以上8時間未満の時間帯を作業時間又は休憩時間として判定し、単位時間当たりの作業時間又は休憩時間の回数に応じて運行距離区分を特定する。単位時間当たりの作業時間又は休憩時間の回数が多い場合、近隣の店舗毎に荷下ろし作業が行われ、休憩も比較的容易にできる環境であることが想定できることから、運行距離区分を近距離運行であると特定する。また、単位時間当たりの作業時間又は休憩時間の回数が少ない場合、高速道路を連続運転して休憩も比較的しにくい環境であることが想定できることから、運行距離区分を長距離運行であると特定する。なお、中距離運行は、近距離運行と長距離運行との中間程度の単位時間当たりの作業時間又は休憩時間の回数であれば、運行距離区分を中距離運行であると特定する。
移動距離に基づいて運行距離区分を特定する方法としては、例えば、運転者IDが変更されてから別の運転者IDに変更されるまでの移動距離の長さに応じて運行距離区分を特定する方法などが挙げられる。具体的には、移動体がトラックなどの車両である場合には、運転者IDが変更されてから別の運転者IDに変更されるまでの移動距離が150km未満であれば近距離運行として運行距離区分を特定する。また、運転者IDが変更されてから別の運転者IDに変更されるまでの移動距離が150km以上300km未満であれば中距離運行、300km以上であれば長距離運行などとして運行距離区分を特定する。
なお、運転者の乗降回数に基づいて運行距離区分を特定する方法としては、例えば、単位時間当たりの運転者の乗降回数に応じて運行距離区分を特定する方法などが挙げられる。具体的には、移動体がトラックなどの車両である場合には、乗降回数が多い場合、近隣の店舗毎に荷下ろし作業が行われ、休憩も比較的容易にできる環境であることが想定できることから、運行距離区分を近距離運行であると特定する。また、乗降回数が少ない場合、高速道路を連続運転して休憩も比較的しにくい環境であることが想定できることから、運行距離区分を長距離運行であると特定してもよい。なお、中距離運行は、近距離運行と長距離運行との中間程度の乗降回数であれば、運行距離区分を中距離運行であると特定する。
-勤務時間長-
勤務時間長とは、運転者の勤務時間とみなせる時間の長さを意味する。
勤務時間長は、移動データに含まれる移動速度及び移動距離の少なくともいずれかに基づいて生成される。
勤務時間長を生成する方法としては、例えば、上述で得られた、運転時間長と作業時間又は休憩時間との和に、以下のように求めることができる加算時間を合計して生成する方法などが挙げられる。
加算時間としては、例えば、運行距離区分に応じて求めることができ、運行距離区分が近距離運行である場合には、旅客数や積荷が比較的少ないため出発前の準備に時間がかからないなどから1時間とする。一方、運行距離区分が長距離運行である場合には、旅客数や積荷が比較的多いため出発前の準備に時間がかかるなどから加算時間を3時間とする。また、運行距離区分が中距離運行である場合には、近距離運行と長距離運行との中間程度であるため加算時間を2時間とする。このようにしたとき、例えば、運行距離区分が近距離運行である場合には、運転時間長と作業時間又は休憩時間との和に1時間加算したものを勤務時間長として算出する。
このように、情報管理システムは、勤務時間長を算出することにより、実際の勤務時間に近いみなし労務情報を提供することができる。なお、以下では、実際の勤務時間を「実勤務時間」と称することがある。
また、情報管理システムは、加算時間を補正することにより、勤務時間長の精度を高め、より実勤務時間に近い勤務時間長を算出することができる。
加算時間を補正する方法としては、例えば、運転者の労務管理を行っている組織から取得した運転者の実勤務時間と、その実勤務時間に対応する、運転者の移動データから算出した勤務時間長との差分を加算時間の補正値とする方法などが挙げられる。なお、加算時間の補正値は、複数の運転者から加算時間の補正値を算出し、運行距離区分毎に分別してそれらを平均した値としてもよい。
このように、情報管理システムは、実勤務時間と勤務時間長とを比較して算出した補正値を算出することにより、勤務時間長の精度を高めることができ、より実勤務時間に近いみなし運行情報及びみなし労務情報の少なくともいずれかを生成することができる。
なお、上述ではみなし労務情報のうち日次処理したものについて説明したが、週次処理や月次処理して得られるデータ項目としては、例えば、週次や月次における「勤務時間長」などが挙げられる。他のデータ項目としては、例えば、「近距離運行回数」、「中距離運行回数」、「長距離運行回数」、「夜間運行回数」などが挙げられる。
また、勤務時間長などは、秒単位まで示すことができる場合があるが、第三者に知られても組織の営業秘密が保持できるように、例えば、「○○時間」としておおよその時間を示してもよい。
このように、情報管理システムは、運転者が所属する組織が運転者の労務管理や運行管理を行っているか否かにかかわらず、移動データに基づいて、みなし運行情報及びみなし労務情報の少なくともいずれかを生成することができる。
また、情報管理システムは、運転者IDを含む運転者の健康データを取得し、取得した健康データに基づいて算出した健康指数を、みなし運行情報及びみなし労務情報の少なくともいずれかと併せて管理することが好ましい。
ここで、健康データとは、運転者の健康に関するデータを意味する。
健康データとしては、例えば、運転者ID、体重、血圧、心拍数、体温、睡眠時間などの生体情報が挙げられる。
健康データの取得方法としては、例えば、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、トラックの運転席に設けられているセンサなどから取得する方法などが挙げられる。
健康データ自体は、運転者の個人情報とされる場合が多い。このため、情報管理システムは、健康データを第三者に知られないように、健康データに基づいて算出した健康指数(健康状態の指標)に変換し、運転者IDに基づいて「みなし労務情報」及び「みなし運行情報」の少なくともいずれかと併せて管理する。
また、健康指数は、移動データから求めた移動体の挙動情報と併せて健康関連情報としてもよい。
移動体の挙動情報とは、運転者が運転した移動体における挙動を意味する。移動体の挙動情報としては、移動体が車両の場合には、例えば、車両を急加減速させた回数、発進から停車までの理想の速度変化を示す線からの乖離を示す指標値などが挙げられる。急加減速の回数(以下、「急加減速回数」と称することがある)が平均より多い場合や、指標値からの乖離が平均より大きい場合には、体調が悪いという判定をするようにしてもよい。
移動速度に基づいて急加減速回数を求める方法としては、例えば、移動データにおいて1秒間の速度差が10km/h以上の回数を求める方法などが挙げられる。
移動距離に基づいて急加減速回数を求める方法としては、例えば、移動データにおいて1秒間の移動が2.8m以上の回数を求める方法などが挙げられる。
発進から停車までの理想の速度変化を示す線とは、例えば、縦軸を速度とし、横軸を時間としたグラフにおいて、燃費効率の向上及び交通事故件数の減少を達成することを理想とした、発進から停車までの加減速がなだらかな理想曲線を意味する。この理想曲線からの乖離を示す指標値を求める方法としては、例えば、当該グラフ上に発進から停車までの実際の速度変化を示す実測曲線を理想曲線と重ね合わせ、実測曲線と理想曲線に囲まれた面積部分を数値化することにより指標化する方法などが挙げられる。
このように、情報管理システムは、みなし運行情報及びみなし労務情報の少なくともいずれかと併せて健康指数を運転者毎に管理することで、例えば、運転者の健康指数と運行距離区分との関連性などを求めることができる。これにより、組織の運行管理者は、健康指数と運行距離区分との関連性に基づき、その運転者にとって健康面において最適な運行距離区分の運行を担当させることができる。
上述した情報管理システムが行う各種処理は、情報管理システムを形成する制御部を有するコンピュータにより実行される。
コンピュータとしては、記憶、演算、制御などの装置を備えた機器であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーソナルコンピュータなどが挙げられる。
以下、本発明の複数の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、これらの実施例では、組織が運送会社であり、移動体がトラックであることから、運転者をドライバーに、移動データ取得装置をデジタルタコグラフに、移動データを走行データに、移動速度を走行速度に、移動距離を走行距離に、適宜読み替えて説明する。また、以下では、労務管理者や運行管理者を「管理者」とまとめて称することがある。さらに、以下では「データベース」を「DB」と称することがあり、「デジタルタコグラフ」を「デジタコ」と称することがある。
(第1の実施例)
第1の実施例では、情報管理システム100は、各デジタコから取得した走行データに基づき、運転時間長を含むみなし運行情報、及び、勤務時間長を含むみなし労務情報をドライバー毎に生成する例を説明する。
なお、以下では、みなし運行情報及びみなし労務情報を日次処理してまとめたものを日次サマリと称することがある。また、週次処理してまとめたものを週次サマリ、月次処理してまとめたものを月次サマリと称することがある。
図1は、第1の実施例における情報管理システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。
図1に示すように、運送会社であるA社においては、労務管理装置200a及び運行管理装置300aが導入されている。情報管理システム100は、A社に勤務するドライバーの労務情報及び運行情報を、ネットワークN1を介して取得することができる。一方、同じく運送会社であるB社においては会社としての規模が小さいため、労務管理装置200b及び運行管理装置300bが導入されていない。このため、図1中では、労務管理装置200b及び運行管理装置300bはいずれも存在していないことから点線で示している。
また、情報管理システム100は、A社が保有するトラック401a、402a、403a、・・・にそれぞれ搭載されているデジタコ501a、502a、503a、・・・と、ネットワークN1及びN2を介してそれぞれ通信可能に接続されている。
さらに、情報管理システム100は、B社が保有するトラック401b、402bにそれぞれ搭載されているデジタコ501b、502bと、ネットワークN1及びN2を介してそれぞれ通信可能に接続されている。
なお、A社のデジタコ501a、502a、503a、・・・を「デジタコ500a」と称することがあり、B社のデジタコ501b、502bを「デジタコ500b」と称することがある。また、デジタコ500aとデジタコ500bは、装置の構成についてそれぞれ同様であることから、以下では「デジタコ500」と称してまとめて説明することもある。
本実施例では、情報管理システムは、A社及びB社にかかわらず、デジタコ500から取得した走行データに基づいて運転者毎の日次サマリなどを生成するが、これにより、労務管理を行っていないB社であっても労務管理を行うことができる点について主に説明する。
図2は、第1の実施例のB社におけるデータの流れを示すブロック図である。図2においても、本実施例のB社には労務管理装置200b及び運行管理装置300bはいずれも存在していないことから点線で示す。
図2に示すように、B社が労務管理装置200b及び運行管理装置300bを導入していれば、情報管理システム100は労務情報及び運行情報を受信できるところ、デジタコ500bから走行データを受信する。
(情報管理システム)
<情報管理システムのハードウェア構成>
図3は、第1の実施例における情報管理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、情報管理システム100は以下の各部を有する。各部は、バス107を介してそれぞれ接続されている。
CPU(Central Processing Unit)101は、プロセッサの一種であり、種々の制御や演算を行う処理装置である。即ち、ソフトウェアを実行するプロセッサは、ハードウェアである。
CPU101は、補助記憶装置103などが記憶するOS(Operating System)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。即ち、CPU101は、本実施例では、情報管理プログラムを実行することにより、後述する制御部120として機能する。
情報管理プログラムは、必ずしも最初から情報管理システム100内に記憶されていなくともよい。情報管理プログラムは、例えば、インターネットなどを介して情報管理システム100に通信可能に接続されている他の情報処理装置などに情報管理プログラムを格納させ、情報管理システム100がこれらから情報管理プログラムを取得して実行してもよい。また、情報管理プログラムは、例えば、コンピュータ読取り可能な記録媒体に格納され、情報管理システム100がこの記録媒体から情報管理プログラムを取得して実行してもよい。記録媒体としては、例えば、可搬型記録媒体、半導体メモリ、ハードディスクなどが挙げられる。可搬型記録媒体としては、例えば、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどが挙げられる。半導体メモリとしては、例えば、フラッシュメモリなどが挙げられる。
また、CPU101は、情報管理システム100全体の動作を制御するために用いられる。なお、本実施例では、情報管理システム100全体の動作を制御する装置をCPU101としたが、これに限ることなく、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)などとしてもよい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
主記憶装置102は、各種プログラムを記憶し、また各種プログラムを実行するために必要なデータなどを記憶する。
主記憶装置102は、図示しない、ROMと、RAM(Random Access Memory)と、を有する。
ROMは、BIOS(Basic Input/Output System)等の各種プログラムなどを記憶している。
RAMは、各種プログラムがCPU101により実行される際に展開される作業範囲などとして機能する。RAMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。RAMとしては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
補助記憶装置103は、本実施例では、ハードディスクドライブ(「HDD」と称することがある)である。
なお、補助記憶装置103としては、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ、磁気テープなどが挙げられる。また、他の補助記憶装置103としては、例えば、CDドライブ、DVDドライブなどの可搬記憶装置などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
通信インターフェイス104は、本実施例では、有線を用いた通信デバイスである。
なお、通信インターフェイス104としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、無線を用いた通信デバイスなどが挙げられる。
入力装置105は、本実施例では、キーボード及びマウスである。
なお、入力装置105としては、情報管理システム100に対する各種要求を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、タッチパネルなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
出力装置106は、本実施例では、液晶ディスプレイである。
なお、出力装置106としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、他のディスプレイ、スピーカーなどが挙げられる。他のディスプレイとしては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、情報管理システム100は、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドの一部であってもよい。
<情報管理システムの機能構成>
図4は、第1の実施例における情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、情報管理システム100は、通信部110と、制御部120と、記憶部130と、入力部140と、出力部150と、を有する。
通信部110は、制御部120の指示に基づき、図3に示した通信インターフェイス104を用いてデジタコ500から無線により、ネットワークN1及びN2を介して走行データを受信する。
図5は、第1の実施例における走行データのデータ構成を示す図である。
図5に示すように、走行データは、本実施例では、デジタコを識別できる「デジタコID」、「運転者ID」、「取得日時(時刻)」、「走行距離」、及び「走行速度」を含む。なお、「取得日時(時刻)」、「走行距離」、及び「走行速度」のデータは、法定3要素と称することがある。
「デジタコID」のデータは、本実施例では、走行データを送信したデジタコ500を特定するための符号であり、デジタコ500毎に予め設定されている。
「運転者ID」のデータは、本実施例では、ドライバーを特定するための符号であり、運転開始前にデジタコ500にドライバーにより入力される。
「取得日時(時刻)」のデータは、本実施例では、走行データを取得した日時(時刻)であり、デジタコ500に搭載されている図示しないGPSユニットにより取得される。なお、本実施例では、デジタコ500は、走行データを1秒間隔で取得する。
「走行距離」のデータは、本実施例では、デジタコ500が速度センサにより計測した車両の車軸の回転数に、タイヤの直径を乗じて算出した結果である。
「走行速度」のデータは、本実施例では、デジタコ500が上述した速度センサにより計測した結果である。
<<制御部>>
図4に戻り、制御部120は、取得部121と、生成部122と、特定部123と、を有する。
-取得部-
取得部121は、各デジタコ500から走行データを受信して取得するように、通信部110に指示する。
なお、取得部121は、A社の労務管理装置200a及び運行管理装置300aからドライバーの労務情報及び運行情報を取得することができる。
-生成部-
生成部122は、取得部121が取得した走行データに基づき、運転時間長及び勤務時間長をドライバー毎に生成する。
具体的には、図5に示すように、生成部122は、走行データにおいて、走行速度0km/h以外の状態を合計した時間の長さを運転時間長と判定する。また、生成部122は、図6に示すように、走行速度0km/hの状態が5分間以上8時間未満継続した時間帯を作業時間又は休憩時間と判定する。なお、生成部122は、走行データにおいて、走行速度0km/hの状態が8時間以上継続した時間帯を休息期間と判定する。
なお、以下では、作業時間又は休憩時間は、「作業・休憩時間」と称することがある。
また、生成部122は、運転時間長、作業時間又は休憩時間、及び運行距離区分に応じた加算時間を合計して勤務時間長を生成する。なお、運行距離区分は、特定部123が特定する。ここで、特定部123について説明する。
-特定部-
特定部123は、走行速度に基づいて運行距離区分を特定する。
具体的には、特定部123は、生成部122が判定した作業時間又は休憩時間の回数をカウントして運行距離区分を特定する。
図7は、作業時間又は休憩時間の回数から運行距離区分を特定する一例を示す図である。
図7では、各デジタコから取得した走行データにおける作業時間又は休憩時間を塗りつぶした範囲で示し、ドライバーがトラックを運転していた時間を網目状の範囲で示している。
図7において、特定部123は、本実施例では、単位時間当たりの作業時間又は休憩時間の回数が5回以上であれば近距離運行、2~4回であれば中距離運行、2回未満であれば長距離運行であると特定する。
生成部122の説明に戻り、生成部122は、特定部123が特定した運行距離区分に基づき、図8に示すような加算時間データテーブルを参照して、加算時間を設定する。具体的には、生成部122は、運行距離区分が近距離運行であれば1時間を、中距離運行であれば2時間を、又は長距離運行であれば3時間を加算時間とする。これは、運行距離が長いほど出発準備などに時間がかかるため、生成部122は、その分を運転時間長と作業・休憩時間との和に加算して勤務時間長を算出する。
さらに、生成部122は、図5や図6に示した走行距離のデータを、○○○km~○○○kmのように所定の範囲で区分けした走行距離の長さの度合いに変換して生成する。これにより、走行距離に含まれる営業秘密を保持することができる。
これらの制御部120の動作について、図1に示したB社についてまとめると、図9のように示すことができる。
図9は、第1の実施例における情報管理システムがみなし運行情報及びみなし労務情報を生成する流れを示すブロック図である。
図9では、図1に示したB社において、情報管理システム100がデジタコ500bから取得した走行データに基づき、みなし運行情報及びみなし労務情報を生成する流れを示す。また、B社においては、労務管理装置200b及び運行管理装置300bがいずれも導入されていないことから点線で示している。
B社においては、労務管理装置200b及び運行管理装置300bから取得し得る労務情報や運行情報が存在しない。生成部122は、走行データに基づき、みなし運行情報及びみなし労務情報を生成する。
このように、制御部120は、走行データに基づき、みなし運行情報及びみなし労務情報を生成することができる。
また、制御部120は、ドライバーを識別するドライバー識別情報としての運転者IDをみなし運行情報及びみなし労務情報に対応づけて、ドライバー毎の日次サマリを作成することができる。
なお、制御部120は、営業秘密である走行データを第三者に正確に把握されないように、受信した走行データをみなし運行情報及びみなし労務情報に変換して格納するため、運送会社の営業秘密を保持することができる。以下では、この機能を「情報フィルタリング機能」と称することがある。また、制御部120は、実際の運行情報及び労務情報についても、情報フィルタリング機能により、○○○km~○○○kmや○○時間のように変換して格納することができる。
また、制御部120は、各種プログラムを実行し、情報管理システム100全体の動作を制御する。
図4に戻り、記憶部130は、補助記憶装置103に、日次サマリDB131と、週次サマリDB132と、月次サマリDB133と、運転者DB134と、を有する。
図10は、第1の実施例における日次サマリのデータ構成を示す図である。
図10に示すように、本実施例では、日次サマリは、本実施例では、日次処理された「日次みなし運行情報」及び「日次みなし労務情報」を含む。なお、「運転者ID」のデータは、図5の「運転者ID」のデータと同様であるため、その説明を省略する。
「日次みなし運行情報」のデータ項目は、本実施例では、「運行開始日時」、「運行終了日時」、「運転時間長」、「作業時間又は休憩時間」、「走行距離」である。
「運行開始日時」のデータは、本実施例では、生成部122が、運転者IDが変更された時間以降であって、走行データに基づいて走行速度が0km/hの状態から0km/hではない状態に変化した時刻を○○時間に変換したものである。
「運行終了日時」のデータは、本実施例では、生成部122が、運転者IDが変更された時間以前の時間であって、走行データに基づいて走行速度が0km/hではない状態から0km/hの状態に変化した時刻を○○時間に変換したものである。
「運転時間長」のデータは、本実施例では、生成部122が生成した運転時間長である。
「作業時間又は休憩時間」のデータは、本実施例では、生成部122が生成した作業時間又は休憩時間である。
「走行距離」のデータは、本実施例では、図5に示した走行距離のデータを一運行毎に○○○km~○○○kmのように生成部122が所定の範囲で区分けした走行距離の長さの度合いである。
「日次みなし労務情報」のデータ項目は、本実施例では、「運行距離区分」及び「勤務時間長」である。
「運行距離区分」のデータは、本実施例では、特定部123が特定した運行距離区分である。
「勤務時間長」のデータは、本実施例では、生成部122が生成した勤務時間長である。
図11は、第1の実施例における週次サマリを示す図である。週次サマリは、本実施例では、図10に示した日次サマリを週単位でまとめたデータであり、週次サマリDB132に保存される。
図11に示すように、本実施例では、週次サマリは、本実施例では、週次処理された「週次みなし運行情報」及び「週次みなし労務情報」を含む。なお、「運転者ID」のデータは、図5の「運転者ID」のデータと同様であるため、その説明を省略する。
「週次みなし運行情報」のデータ項目は、本実施例では、「運転時間長」、「作業時間又は休憩時間」及び「走行距離」のデータ項目を含む。
週次の「運転時間長」のデータは、本実施例では、日次サマリの運転時間長を週単位でまとめたものである。
「作業時間又は休憩時間」のデータは、本実施例では、日次サマリの作業時間又は休憩時間を週単位でまとめたものである。
「走行距離」のデータは、本実施例では、走行距離のデータを週単位でまとめたものである。
「週次みなし労務情報」のデータ項目は、本実施例では、「近距離運行回数」、「中距離運行回数」、「長距離運行回数」、「日別最大走行時間」、「夜間運行回数」及び「勤務時間長」のデータ項目を含む。
「近距離運行回数」、「中距離運行回数」、及び「長距離運行回数」のデータは、本実施例では、特定した運行距離区分の回数を週単位でまとめたものである。
「日別最大走行時間」のデータは、本実施例では、その週のうち、一日で走行した最大の走行時間を示すものである。
「夜間運行回数」のデータは、本実施例では、23時から5時までの間に運行した夜間運行の回数を週単位でまとめたものである。
週次の「勤務時間長」のデータは、本実施例では、日次サマリの勤務時間長を週単位でまとめたものである。
図12は、第1の実施例における月次サマリを示す図である。月次サマリは、本実施例では、図10に示した日次サマリを月単位でまとめたデータであり、月次サマリDB133に保存される。図12に示すように、週次サマリの週単位を月単位に変更したものであるため、説明を省略する。
図4に戻り、入力部140は、情報管理システム100に対する各種指示を受け付ける。
出力部150は、出力装置106であるディスプレイに各サマリを表示する。
図1に戻り、デジタコ500は、図示しない、GPSユニット、速度センサなどを有する。デジタコ500は、GPSユニット及び速度センサを同期させて取得した走行時の走行距離及び走行速度を、同期させた時刻と対応づけて走行データを取得する。デジタコ500は、取得した走行データを、ネットワークN1及びN2を介して情報管理システム100に送信する。
また、デジタコ500は、図示しない入力部から受け付けた運転者IDを走行データに対応づける。
次に、情報管理システム100がデジタコ500から走行データを受信してドライバー毎に日次サマリを出力する処理の流れについて説明する。
図13は、第1の実施例における日次サマリを出力する処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、上述の処理の流れを図13に示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
なお、本実施例では、ドライバー毎に日次サマリを出力するため、運転者ID毎にS102からS109までのループの処理を行う。
ステップS101では、取得部121は、本実施例では、各デジタコ500から走行データを取得すると、処理をS102に移行する。
ステップS102では、生成部122は、走行速度0km/hの状態が5分間以上8時間未満継続した時間帯が存在すると判定すると、処理をS103に移行する。また、生成部122は、走行速度0km/hの状態が5分間以上8時間未満継続した時間帯が存在しないと判定すると、処理をS104に移行する。
ステップS103では、生成部122は、その時間帯を作業・休憩時間と判定してカウントし、処理をS104に移行する。
ステップS104では、生成部122は、走行速度0km/hの状態が8時間以上継続した時間帯が存在すると判定すると、処理をS105に移行する。また、生成部122は、走行速度0km/hの状態が8時間以上継続した時間帯が存在しないと判定すると、処理をS106に移行する。
ステップS105では、生成部122は、その時間帯の後にドライバーが変更あったと判定すると処理をS106に移行する。また、生成部122は、その時間帯の後にドライバーが変更なかったと判定すると処理をS107に移行する。
ステップS106では、生成部122は、その時間帯の前の走行データを処理対象とすると、処理をS108に移行する。
ステップS107では、生成部122は、その時間帯を休息期間として判定すると、処理をS108に移行する。
ステップS108では、生成部122は、走行速度0km/h以外の状態を合計した時間の長さを運転時間長として生成すると、処理をS109に移行する。
ステップS109では、特定部123は、生成部122が判定した作業・休憩時間の回数から運行距離区分を特定すると、処理をS110に移行する。
ステップS110では、生成部122は、特定部123が特定した運行距離区分に応じた加算時間を加算時間データテーブルから読み出し、読み出した加算時間を運転時間長と作業・休憩時間との和に加えて勤務時間長を算出すると、処理をS111に移行する。
ステップS111では、生成部122は、図10に示したような日次サマリを日次サマリDB131に生成して格納する。ここで、生成部122は、処理していない運転者IDがあればループの始まりであるS102に処理を戻し、処理していない運転者IDがなければループの処理を終了させ、本処理を終了する。
このように、情報管理システム100は、ドライバーが車両を運転した際の走行データに基づき、ドライバーのみなし労務情報及びみなし運行情報の少なくともいずれかを日次サマリとして生成する処理をコンピュータに実行させる。これにより、B社は、情報管理システム100が生成した日次サマリに基づき、ドライバーの労務管理や運行管理を行うことができる。
なお、本実施例では、複数の組織としてA社及びB社の2社としたが、これに限ることなく、3社以上としてもよい。
また、日次サマリは、ドライバーの職歴として第三者にも公開されるようにしてもよい。
(第2の実施例)
第1の実施例では、走行データに基づいて日次サマリを生成する例について説明したが、第2の実施例では、生成する勤務時間長の精度を高め、より実勤務時間に近い勤務時間長を算出する例について説明する。
以下では、第1の実施例と異なる点である、より実勤務時間に近い勤務時間長の算出について説明する。
図14は、第2の実施例における情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。
第2の実施例の情報管理システム100の機能構成は、制御部120において、算出部124が追加されているとともに、取得部121の動作が異なる。
第2の実施例における取得部121は、A社の労務管理装置200a及び運行管理装置300aからドライバーの労務情報及び運行情報を取得する。また、取得したA社の労務情報には、ドライバーの実勤務時間が含まれている。
-算出部-
算出部124は、実勤務時間と勤務時間長とを比較して補正値を算出する。具体的には、算出部124は、取得した実勤務時間と、その実勤務時間に対応する勤務時間長との差分を加算時間の補正値として算出する。これにより、算出部124は、算出した補正値を用いて加算時間を補正することで、より実勤務時間に近い勤務時間長を算出することができる。
図15は、第2の実施例における日次サマリを出力する処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、上述の処理の流れを図15に示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
なお、ステップS201~S209及びS213は、第1の実施例におけるS101~S109及びS111と同様の処理であるため説明を省略する。また、本実施例においても、ドライバー毎に日次サマリを出力するため、運転者ID毎にS202からS213までのループの処理を行う。
ステップS210では、取得部121は、A社の労務管理装置200aからドライバーの実勤務時間を取得すると、処理をS211に移行する。
ステップS211では、算出部124は、A社のドライバーにおいて、S210で取得部121が取得した実勤務時間と、その実勤務時間に対応する勤務時間長との差分を求め、加算時間の補正値を算出すると、処理をS211に移行する。
ステップS211では、算出部124は、B社のドライバーの勤務時間長を算出する際に、S211で算出部124が算出した補正値を用いて加算時間を補正し、より実際に近い勤務時間長を算出すると、処理をS213に移行する。
このように、第2の実施例における情報管理システム100は、A社のドライバーにおいて、実勤務時間と、その実勤務時間に対応する勤務時間長との差分を求め、加算時間の補正値を算出する。これにより、第2の実施例における情報管理システム100は、勤務時間長の精度を高め、より実勤務時間に近い勤務時間長を算出することができる。
(第3の実施例)
第1の実施例では、みなし運行情報及びみなし労務情報を日次で集計した日次サマリを生成する例について説明したが、第3の実施例では、生成した日次サマリに基づいてドライバーの労務管理及び運行管理を行う例について説明する。
以下では、第1の実施例と異なる点である、生成した日次サマリに基づくドライバーの労務管理及び運行管理について説明する。
図16は、第3の実施例における情報管理システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。
図16に示すように、B社は、情報処理端末600bを更に有する。情報処理端末600bは、ネットワークN1を介して情報管理システム100と通信可能に接続されている。
図17は、第3の実施例における情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図17に示すように、第3の実施例の情報管理システム100の機能構成は、図4に示した第1の実施例の情報管理システムの機能構成に、制御部120の判定部125が追加されている。
判定部125は、日次サマリの「運転時間長」及び「勤務時間長」のデータ項目において、それぞれ予め設定されている所定の条件を超えているか否かを判定する。判定部125は、所定の条件を超えていると判定したデータ項目について、警告を管理者に報知してドライバーの労務及び運行の管理を行う。
例えば、B社において、運転時間長を2日平均で1日当たり9時間以内とする管理を行うために、所定の条件として、日次の「運転時間長」を10時間以上に設定する。すると、判定部125は、この場合では、その日の運転者の運転時間長が11時間であれば、翌日の当該運転者の運転時間長を7時間以内とするように情報処理端末600bを介してB社に報知する。
また、例えば、B社において、勤務時間長が1ヶ月で293時間以内とする管理を行うために、所定の条件として、月次サマリで毎日積算する勤務時間長を250時間以上に設定する。判定部125は、この場合では、月次サマリでの勤務時間長が月初めからその日までの積算で250時間を超えたとき、月の締め日までの当該運転者の勤務時間の予定を確認するように情報処理端末600bを介して管理者に報知する。
このように、第3の実施例における情報管理システム100は、日次サマリや月次サマリなどに基づき、所定の条件を超えたデータ項目に対応した内容をB社に報知する。これにより、労務管理装置や運行管理装置を導入していないB社であっても、ドライバーの労務や運行の管理を行うことが可能となる。
図18は、第3の実施例における日次サマリに基づく運行管理を行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、運行管理を行う処理の流れを図18に示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。なお、第3の実施例における所定の条件(管理値)は、日次サマリの運転時間長において10時間以上とする。
なお、ステップS301~S311は、第1の実施例におけるS101~S111と同様の処理であるため説明を省略する。また、本実施例では、ドライバー毎に日次サマリを出力するため、運転者ID毎にS302からS313までのループの処理を行う。
ステップS312では、判定部125は、日次サマリの運転時間長が管理値を超えていると判定すると、処理をS313に移行する。また、判定部125は、日次サマリの運転時間長が管理値を超えていないと判定すると、処理していない運転者IDがあればループの始まりであるステップS302に処理を戻す。制御部120は、処理していない運転者IDがなければループの処理を終了させ、本処理を終了する。
ステップS313では、判定部125は、日次サマリの運転時間長が11時間とすると、情報処理端末600bのディスプレイに明日の当該運転者の運転時間を7時間以内とするように管理者に対して警告を表示する。そして、判定部125は、処理していない運転者IDがあればループの始まりであるステップS302に処理を戻す。判定部125は、処理していない運転者IDがなければループの処理を終了させ、本処理を終了する。
このように、第3の実施例における情報管理システム100は、日次サマリや月次サマリなどに基づき、所定の条件を超えたデータ項目に応じた内容を管理者に報知する。これにより、管理者は、運転者の労務や運行の管理を行うことが可能となる。
(第4の実施例)
第4の実施例では、情報管理システムが、第1の実施例の内容に加えて、ドライバーのスマートフォンから取得した健康データに基づいて算出した健康指数と、走行データに基づいて生成した車両挙動情報とを、日次サマリと併せて管理する例について説明する。
以下では、第1の実施例と異なる点である、健康データ、健康データに基づく健康指数及び車両挙動情報について説明する。
健康データは、ドライバーの健康に関わるデータを意味する。健康データのデータ項目としては、本実施例では、ドライバーの体重、血圧、睡眠時間とする。なお、本実施例において健康データのデータ項目を体重、血圧、睡眠時間としたが、これに限ることなく、例えば、体温、心拍数、運動量などとしてもよい。
図19は、第4の実施例における情報管理システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。
図19に示すように、第4の実施例における情報管理システム100は、ドライバーの健康データを受信可能としている。第4の実施例における情報管理システム100は、各ドライバーがそれぞれ携帯するスマートフォン701a、702a、703a、・・・及びスマートフォン701b、702bと更に通信可能にそれぞれ接続されている。情報管理システム100は、スマートフォン701a、702a、703a、・・・及びスマートフォン701b、702bから、健康データをそれぞれ受信する。受信した健康データは、後述する図21における記憶部130の健康DB135に格納される。
なお、A社のドライバーがそれぞれ携帯するスマートフォンを「スマートフォン700a」と称することがあり、B社のドライバーがそれぞれ携帯するスマートフォンを「スマートフォン700b」と称することがある。また、スマートフォン700aとスマートフォン700bは、装置の構成についてそれぞれ同様であることから、以下では「スマートフォン700」と称してまとめて説明することもある。また、健康データは、スマートフォン700に予め入力されている運転者IDと対応づけられる。
図20は、第4の実施例のB社におけるデータの流れを示すブロック図である。図20においても、本実施例のB社には労務管理装置200b及び運行管理装置300bはいずれも存在していないことから点線で示す。
第1の実施例と比較すると、第4の実施例では情報管理システム100は、図20に示すように、デジタコ500bから走行データを受信するのに加え、スマートフォン700bからドライバーの健康データを受信する。
(情報管理システム)
第4の実施例における情報管理システム100のハードウェア構成は、第1の実施例における情報管理システム100のハードウェア構成と同様であるため説明を省略する。
<情報管理システムの機能構成>
図21は、第4の実施例における情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図21に示すように、情報管理システム100は、第1の実施例と同様に、通信部110と、制御部120と、記憶部130と、入力部140と、出力部150と、を有する。
第4の実施例における通信部110は、制御部120の指示に基づき、デジタコ500からそれぞれ走行データを受信するのに加えて、スマートフォン700からそれぞれ健康データを受信する。
第4の実施例における制御部120の算出部124は、健康データに基づいて健康指数を算出して、日次サマリDB131に格納する。
健康指数を算出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。健康指数を算出する方法としては、例えば、体重、血圧、及び睡眠時間の各パラメータにおいて健康状態が良好とする所定の範囲を設定し、各パラメータの計測値が所定の範囲内に存在するか否かで総合的に算出する方法などが挙げられる。情報管理システム100は、情報フィルタリング機能として、健康データから健康指数を算出することにより、ドライバーのプライバシーに関する情報である健康データを保護することができる。
なお、制御部120は、健康データに基づいて算出した健康指数を日次サマリと併せて管理する。
第4の実施例における制御部120の生成部122は、走行データに基づき、車両挙動情報としての急加減速が発生した回数を求め、受信した運転者IDと対応づけてドライバー毎に日次サマリDB131に格納する。
急加減速が発生した回数を求める方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。急加減速が発生した回数を求める方法としては、例えば、図22に示すように、走行データにおいて1秒間に10km/h以上速度差がある場合を急加減速の発生と判定し、その回数をカウントする方法などが挙げられる。
なお、本実施例では、車両挙動情報を急加減速発生回数としたが、これに限ることなく、例えば、加速度センサを用いて検出する急ハンドル発生回数などとしてもよい。
第4の実施例における制御部120の特定部123は、急加減速の発生が多い日と急加減速の発生が少ない日との健康指数を比較することにより、急加減速が発生しやすい状態の健康指数を特定することができる。このため、A社やB社の管理者は、各ドライバーにおける健康指数に基づき、運転に気を付けたほうがよい日か否かを判定することができる。
図23は、第4の実施例における情報管理システムがみなし運行情報及びみなし労務情報を生成する流れを示すブロック図である。
図23に示すように、第4の実施例における情報管理システムは、走行データに基づいて車両挙動情報としての急加減速回数を生成し、運転者IDと対応づけて日次サマリDB131に格納する。また、第4の実施例における情報管理システムは、スマートフォン700bから受信した健康データに基づき、健康指数を算出し、運転者IDと対応づけて日次サマリDB131に格納する。
図24は、第4の実施例における日次サマリのデータ構成を示す図である。
図24に示すように、第4の実施例の日次サマリでは、第1の実施例の日次サマリ(図10参照)に「日次健康関連情報」が加わる。この日次健康関連情報は、「急加減速発生回数」及び「健康指数」のデータ項目を含む。
「急加減速発生回数」のデータは、本実施例では、生成部122が、走行データにおいて1秒間の速度差が10km/h以上のデータが存在すれば急加減速が発生したとして、その回数をカウントしたものである。
「健康指数」のデータは、本実施例では、算出部124が健康データに基づき生成した指数である。
図25は、第4の実施例における週次サマリを示す図である。週次サマリは、本実施例では、図24に示した日次サマリを週単位でまとめたデータであり、週次サマリDB132に保存される。
図25に示すように、本実施例の週次サマリは、図24に示した日次サマリを週単位でまとめたデータであり、第1の実施例と比較すると、「週次健康関連情報」に含まれる「急加減速発生回数」及び「健康指数」のデータ項目が追加されている。
週次の「急加減速発生回数」及び「健康指数」のデータは、本実施例では、日次サマリの「急加減速発生回数」及び「健康指数」を週単位でまとめたものである。
図26は、第4の実施例における月次サマリを示す図である。月次サマリは、本実施例では、図24に示した日次サマリを月単位でまとめたデータであり、月次サマリDB133に保存される。
図26に示すように、本実施例の月次サマリは、本実施例では、図24に示した日次サマリを月単位でまとめたデータであり、週次サマリの週単位を月単位に変更したものであるため詳細な説明は省略する。
次に、情報管理システム100が、走行データから生成した車両挙動情報とともに、健康データから算出した健康指数を第1の実施例の日次サマリに加えた第4の実施例の日次サマリを出力する処理の流れについて説明する。
図27は、第4の実施例における日次サマリを出力する処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、上述の処理の流れを図27に示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
なお、ステップS401及びS405~S413は、第1の実施例におけるS101及びS102~S110と同様の処理であるため説明を省略する。
また、本実施例では、ドライバー毎に日次サマリを出力するため、運転者ID毎にS403からS415までのループの処理を行う。
ステップS402では、取得部121は、本実施例では、各スマートフォン700から健康データを取得し、処理をS403に移行する。
ステップS403では、生成部122は、走行データにおいて1秒間の速度差が10km/h以上のデータが存在すると判定すると、処理をS404に移行する。また、生成部122は、1秒間の速度差が10km/h以上のデータが存在しないと判定すると、処理をS405に移行する。
ステップS404では、生成部122は、走行データにおいて1秒間の速度差が10km/h以上のデータを急加減速が発生したとし、その回数をカウントすると、処理をS405に移行する。
ステップS414では、算出部124は、取得部121が取得した健康データから健康指数を算出すると、処理をS415に移行する。
ステップS415では、生成部122は、日次サマリを日次サマリDB131に生成して格納する。ここで、生成部122は、処理していない運転者IDがあればループの始まりであるステップS403に処理を戻す。生成部122は、処理していない運転者IDがなければループの処理を終了させ、本処理を終了する。
このように、第4の実施例における情報管理システム100は、運転者から取得した健康に関する情報を、みなし運行情報及びみなし労務情報の少なくともいずれかと併せて管理する。これにより、情報管理システム100は、A社やB社に対し、ドライバーの健康に関する情報とみなし労務情報などとの関連性を示すことができ、そのドライバーの健康面を考慮した最適な労務環境を提示できるようになる。
以上説明したように、情報管理システムは、運転者が移動体を運転した際の移動データに基づき、運転者のみなし運行情報及びみなし労務情報の少なくともいずれかを運転者毎に生成する。これにより、情報管理システムは、運転者毎の労務管理や運行管理を行っていなくとも、対象の運転者の労務管理及び運行管理を行うためのデータを得ることができる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の組織に所属する各運転者により運転された各移動体における、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データを取得し、
取得した前記移動データに基づき、運転時間長及び勤務時間長の少なくともいずれかを前記各運転者毎に生成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報管理プログラム。
(付記2)
前記各運転者が所属する前記複数の組織のうち、いずれかの組織が労務を管理する労務管理を行っており、前記組織に所属する前記運転者の実勤務時間を取得できる場合には、
前記実勤務時間と前記勤務時間長とを比較して補正値を算出し、
前記補正値を用いて前記勤務時間長を補正する、
ことを特徴とする付記1に記載の情報管理プログラム。
(付記3)
前記移動距離のデータを、所定の範囲で区分けした前記移動距離の長さの度合いを示す情報に変換する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の情報管理プログラム。
(付記4)
前記運転者の健康データを取得し、
前記健康データに基づいて算出した指標を、前記運転時間長及び前記勤務時間長の少なくともいずれかと併せて管理する、
ことを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の情報管理プログラム。
(付記5)
複数の組織に所属する各運転者により運転された各移動体における、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データを取得する取得部と、
取得した前記移動データに基づき、運転時間長及び勤務時間長の少なくともいずれかを前記各運転者毎に生成する生成部と、
を有することを特徴とする情報管理システム。
(付記6)
前記各運転者が所属する前記複数の組織のうち、いずれかの組織が労務を管理する労務管理を行っており、前記組織に所属する前記運転者の実勤務時間を前記取得部が取得できる場合には、
前記実勤務時間と前記勤務時間長とを比較して補正値を算出する算出部と、
前記補正値を用いて前記勤務時間長を補正する、
ことを特徴とする付記5に記載の情報管理システム。
(付記7)
前記移動距離のデータを、所定の範囲で区分けした前記移動距離の長さの度合いを示す情報に変換する、
ことを特徴とする付記5又は6に記載の情報管理システム。
(付記8)
前記取得部が前記運転者の健康データを取得し、
前記算出部が前記健康データに基づいて算出した指標を、前記運転時間長及び前記勤務時間長の少なくともいずれかと併せて管理する、
ことを特徴とする付記5から7のいずれかに記載の情報管理システム。
(付記9)
複数の組織に所属する各運転者により運転された各移動体における、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データを取得し、
取得した前記移動データに基づき、運転時間長及び勤務時間長の少なくともいずれかを前記各運転者毎に生成する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報管理方法。
(付記10)
前記各運転者が所属する前記複数の組織のうち、いずれかの組織が労務を管理する労務管理を行っており、前記組織に所属する前記運転者の実勤務時間を取得できる場合には、
前記実勤務時間と前記勤務時間長とを比較して補正値を算出し、
前記補正値を用いて前記勤務時間長を補正する、
ことを特徴とする付記9に記載の情報管理方法。
(付記11)
前記移動距離のデータを、所定の範囲で区分けした前記移動距離の長さの度合いを示す情報に変換する、
ことを特徴とする付記9又は10に記載の情報管理方法。
(付記12)
前記運転者の健康データを取得し、
前記健康データに基づいて算出した指標を、前記運転時間長及び前記勤務時間長の少なくともいずれかと併せて管理する、
ことを特徴とする付記9から11のいずれかに記載の情報管理方法。
100 情報管理システム
110 通信部
120 制御部
121 取得部
122 生成部
123 特定部
124 算出部
125 判定部
130 記憶部
131 日次サマリDB
400 トラック(移動体)
500 デジタコ
600 情報処理端末
700 スマートフォン

Claims (6)

  1. 複数の組織に所属する各運転者により運転された各移動体における、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データを取得し、
    取得した前記移動データに基づき、勤務時間長を前記各運転者毎に生成し、
    前記複数の組織のうち、いずれかの組織が労務を管理する労務管理を行っており、前記組織に所属する前記運転者の実勤務時間を取得することにより
    前記実勤務時間と前記勤務時間長とを比較して補正値を算出し、
    前記補正値を用いて労務管理を行っていない組織の運転者の勤務時間長を補正する、
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報管理プログラム。
  2. 前記補正値が、運転者の労務管理を行っている組織から取得した運転者の実勤務時間と、その実勤務時間に対応する、運転者の移動データから算出した勤務時間長との差分及び運転者の労務管理を行っている組織の複数の運転者からの前記差分の平均値のいずれかであり、
    前記補正が、前記勤務時間長に前記差分及び前記差分の平均値を加算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理プログラム。
  3. 前記移動距離のデータを、所定の範囲で区分けした前記移動距離の長さの度合いを示す情報に変換する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理プログラム。
  4. 前記運転者の健康データを取得し、
    前記健康データに基づいて算出した指標を、前記勤務時間長と併せて管理する、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報管理プログラム。
  5. 複数の組織に所属する各運転者により運転された各移動体における、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データを取得する取得部と、
    取得した前記移動データに基づき、勤務時間長を前記各運転者毎に生成する生成部と、
    前記複数の組織のうち、いずれかの組織が労務を管理する労務管理を行っており、前記組織に所属する前記運転者の実勤務時間を取得することにより
    前記実勤務時間と前記勤務時間長とを比較して補正値を算出し、
    前記補正値を用いて労務管理を行っていない組織の運転者の勤務時間長を補正する補正部と、
    を有することを特徴とする情報管理システム。
  6. 複数の組織に所属する各運転者により運転された各移動体における、所定時間毎の移動速度及び移動距離を含む移動データを取得し、
    取得した前記移動データに基づき、勤務時間長を前記各運転者毎に生成し、
    前記複数の組織のうち、いずれかの組織が労務を管理する労務管理を行っており、前記組織に所属する前記運転者の実勤務時間を取得することにより
    前記実勤務時間と前記勤務時間長とを比較して補正値を算出し、
    前記補正値を用いて労務管理を行っていない組織の運転者の勤務時間長を補正する、
    処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報管理方法。
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