JP7185815B2 - 海藻類の陸上養殖装置及び陸上養殖方法 - Google Patents

海藻類の陸上養殖装置及び陸上養殖方法 Download PDF

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Description

本発明は、陸上で海藻を養殖する海藻類の陸上養殖装置及び陸上養殖方法に関する。
陸上で海藻を養殖する技術として、例えば特許文献1は、海藻の胞子又は胞子が発芽した発芽体を集塊化させた種苗を用意し、これを水槽養殖することを開示している(特許文献1の段落[0007]~[0009]参照)。
海藻の養殖に際しては、海藻に対する光照射と酸素供給とが重要である。この点特許文献1には、水槽内でエアレーションや撹拌を行うことが記載されている(特許文献1の段落[0010]参照)。エアレーションや撹拌により流水を生じさせて種苗(藻体集塊)を流動させ、これによって種苗に均等な光照射と酸素供給とを行うわけである。
特許文献2は、海藻類の陸上養殖装置を開示している。この装置は、横断面形状がU字状又は半円状をした底部に湾曲壁面を有する養殖槽を用意し、この養殖槽に溜めた養殖用海水に対して、上方から新たな養殖用海水を噴流状に流下させるようにしている。これによって養殖槽内の養殖用海水は湾曲壁面に沿うように旋回し、養殖槽に溜められた養殖用海水を撹拌することができる(特許文献2の段落[0009]参照)。
特許文献2はさらに、養殖用海水として地下海水、海洋深層水を利用することを紹介している(文献2の段落[0001]参照)。
特開2002-176866号公報 特開2012-213351号公報
養殖中の種苗に均等に光照射を行うためには、養殖用海水の水面近くにすべての種苗が万遍なく回り込んでくるようにする必要がある。ところが特許文献2に記載されているような養殖用海水の流下に頼った旋回では、養殖槽が大きくなればなるほど十分な撹拌が行なわれず、養殖中の種苗に均等に光照射を行うことができない。
また養殖槽が大きくなればなるほど底部の湾曲壁面の嵩が必要になるため、養殖用海水の水深を深くせざるを得ない。その分種苗を水面近くに均等に回り込ませることが困難になり、ますます養殖中の種苗に均等に光照射を行うことができなくなる。
従来の海藻類の陸上養殖装置には、養殖槽の底部にエアチューブを配置し、エアチューブから噴出させた空気によるエアレーションによって養殖用海水に旋回流を生じさせるようにしたものもある。このような構造のものによれば、より積極的な旋回流の生起と制御とが可能であるため、特許文献2に記載されたような養殖用海水の流下に頼ったものに比べ、養殖用海水の撹拌効果を高め得るものと推察される。
しかしながら養殖槽が大きくなればなるほど、養殖用海水の水深を深くしないと旋回流が発生しにくい。このため特許文献1に記載のものと同様に、その分だけ種苗を水面近くに均等に回り込ませることが困難になり、養殖中の種苗に均等に光照射を行うことができなくなる。
本発明の課題は、養殖槽の大きさが大きくなったとしても、養殖中の種苗に均等に光照射を行い得るようにすることである。
本発明の海藻類の陸上養殖方法は、直径5m以上10m以下の円形状の養殖槽及び垂直軸周りに回転する水掻き羽根を有し養殖用海水に浮遊し位置固定された攪拌機を用いた海藻類(但し、微細藻類は除く。)の陸上養殖方法であり、前記海藻類は海藻の胞子又は胞子が発芽した発芽体が集塊化した種苗であり、前記水掻き羽根は、回転中心から放射方向に延びるアームと前記アームの水面側にアームに沿って設けられたパドルとを備え、又は回転中心から放射方向に延びるアームと前記アームの水面側にアームに沿って放射方向に対して傾斜した角度で設けられたパドルとを備え、海藻の胞子又は胞子が発芽した発芽体が集塊化した種苗の養殖に用いる養殖用海水を養殖槽に注入し、前記養殖槽に前記養殖用海水を投入する際、水深は300mm以上600mm以下とし、前記養殖槽に前記種苗を放ち、前記攪拌機を駆動源により駆動して前記水掻き羽根を回転させて、前記パドルの作用により前記養殖用海水に縦方向及び横方向の旋回流を生じさせ、 前記水掻き羽根の回転速度を1回転20秒程度とすることにより、前記種苗は養殖槽内を万遍なく移動し、より均等に光が照射される。
本発明によれば、水掻き羽根の回転によって、水深が浅い養殖用海水にも旋回流を生じさせることができるので、種苗を水面近くに均等に回り込ませ、均等に光照射を行うことができる。
実施の一形態として、海藻類の陸上養殖方法を実施するための養殖施設の一例を示す斜視図。 海藻類の陸上養殖方法の手順の一例を示す模式図。 海藻類の陸上養殖方法の手順の別の一例を示す模式図。 種苗を生産する工程を示す模式図。 一つ目の実施の形態の攪拌機を示す平面図。 その側面図。 二つ目の実施の形態の攪拌機を示す平面図。 その側面図。 (a)は直径1メートルの養殖槽を用いた第1段階の養殖工程、(b)は直径2メートルの養殖槽を用いた第2段階の養殖工程、(c)は直径5メートルの養殖槽を用いた第3段階の養殖工程、(d)は直径10メートルの養殖槽を用いた第4段階の養殖工程をそれぞれ示す模式図。 直径10メートルの養殖槽に攪拌機が浮いている状態を示す斜視図。
実施の一形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、海藻類の陸上養殖を行う養殖施設11への適用例である。本実施の形態の説明は、次の項目に沿って行う。
[養殖施設]
[養殖システム]
[陸上養殖方法]
1.種苗の生産
2.種苗の放出
3.灌水
4.攪拌機の設置
(1)攪拌機の構造
(2)攪拌機の投入と位置固定
5.攪拌機の作動
[他の実施の形態と変形例]
[養殖施設]
図1に示すように、本実施の形態の養殖施設11は、海12に隣接する沿岸13に設置され、複数個の陸上養殖装置101を備えている。個々の陸上養殖装置101は、海藻の種苗31の培養に用いる養殖用海水51を収容する養殖槽111を主体としており、大きさの異なる四種類の養殖槽111を備えている(図2~図4、図9参照)。直径1メートル、2メートル、5メートル、及び10メートルの四種類であり、いずれの大きさの養殖槽111も真円形状をしている(図9(a)~(d)参照)。
養殖施設11中、図1中に示す左側の九つが直径10メートル、これに隣接する一列分と右側の一つが直径5メートル、右側に一列七個並んでいるのが直径2メートル、そしてその向こうで二列八個並んでいるのが直径1メートルの養殖槽111である。説明の便宜上、直径1メートルの養殖槽111を養殖槽111a、直径2メートルの養殖槽111を養殖槽111b、直径5メートルの養殖槽111を養殖槽111c、直径10メートルの養殖槽111を養殖槽111dと呼ぶ。
[養殖システム]
図2に示すように、本実施の形態の陸上養殖装置101を用いた養殖システムは、海12に隣接する沿岸13に設置されているという地の利を生かし、清浄な地下海水を養殖用海水51として利用する。つまり地下20メートル程度の地下海水を取水し、養殖用海水51として養殖槽111に注入する。養殖用海水51の注入は、給水口112から行う。
地下海水は気温に対する依存性が少なく、年間を通じて20℃前後の温度に保たれる。この温度は、海藻の養殖に適した温度である。これに加えて地下海水は、種苗31の生育に必要な栄養を豊富に含んでいることがある。
養殖用海水51を養殖槽111に注入するに際して重要なことは、水深である。本実施の形態では、大きさが異なる四種類の養殖槽111(111a,111b,111c,111d)のいずれも、最大水深が600mmを超えないようにしている。より詳しくは、浅いところで300mm、いちばん深いところでも400mmとなるように水深を設定している。水深の設定は、排水口113の高さによって行われる。つまり水深300~400mmの位置に排水口113を設けておくことで、さらに供給される養殖用海水51は排水口113から外部に流され、養殖槽111内の水深は300~400mmに保たれるわけである。
水深に100mmの差がでるのは、いずれの大きさの養殖槽111も、傾斜して設置されているからである。傾斜させている理由は、灌水のためである。これについて後に詳述する。
別の実施の形態としては、図3に示すように、清浄な地下海水を一旦魚介類や甲殻類などの陸上養殖に利用し、その排水を養殖用海水51として用いるようにしてもよい。これによって栄養豊富な養殖用海水51を得ることができる。
[陸上養殖方法]
本実施の形態の陸上養殖方法は、次の各工程によって実行される。
1.種苗の生産
図4に示すように、種苗31を生産するには、まず海12から母藻32を採取し、母藻32から胞子33を放出させる。そして胞子33又は胞子33が発芽した発芽体(図示せず)を集塊化させ、これを種苗31とする。胞子33又は胞子33が発芽した発芽体の集塊化は、例えば特許文献1に開示されている方法によって実施可能である。この方法は、海藻の胞子を1cm2あたり104個以上の高密度で平板上に播種して培養し、複数の胞子が連結した胞子集塊、もしくはそれら胞子が発芽した発芽体が絡み合った発芽体集塊を形成し、その後胞子集塊又は発芽体集塊を平板からはがして種苗とする。
2.種苗の放出
そこで本実施の形態の養殖システムは、こうして得た種苗31を養殖槽111に収容された養殖用海水51に放つ。種苗31は、養殖用海水51内で生育する。
このとき種苗31の生育に必要なことは、種苗31に対する均等な光照射及び酸素供給である。本実施の形態は、これらを攪拌機201によって実現している。これについては後述する。
3.灌水
種苗31は、4~5日程度の期間で5倍ぐらいの大きさに成長する。そこで図9(a)~(d)に示すように、本実施の形態では、種苗31の成長に合わせて養殖槽111の大きさを第1段階から第4段階まで、段階的に大きくしていく。第4段階の養殖工程が修了すると、種苗31の養殖も完了する。
ある段階からつぎの段階に移行するタイミングは、一週間程度である。つまりある段階の養殖工程を実施し、一週間経過したらつぎの段階の養殖工程に進むわけである。
図9(a)に示すように、第1段階の養殖工程では、直径1メートル、0.8m2の養殖槽111aを使用する。このときには攪拌機201は用いず、例えばエアポンプ(図示せず)によって養殖用海水51を撹拌する。
図9(b)に示すように、第2段階の養殖工程では、直径2メートル、3.1m2の養殖槽111bを使用する。このときには攪拌機201は用いず、例えばエアポンプ(図示せず)によって養殖用海水51を撹拌する。
図9(c)に示すように、第3段階の養殖工程では、直径5メートル、19.6m2の養殖槽111cを使用する。養殖用海水51の撹拌は、攪拌機201によって行う。
図9(d)に示すように、第4段階の養殖工程では、直径10メートル、78.5m2の養殖槽111dを使用する。養殖用海水51の撹拌は、攪拌機201によって行う。
灌水をするには、種苗31を一時避難させた状態で、養殖槽111(111a,111b,111c,111d)の底部に設けている図示しない栓を開け、養殖用海水51を排水する。このとき養殖槽111は傾斜をつけて設置しているので、栓の位置を最も低い位置にすることで、養殖用海水51を残らず排水することが可能である。排水後は、再び給水口112から養殖用海水51を養殖槽111に注ぎ込む。
本実施の形態では、養殖槽111が真円形状をしているため、養殖槽111の直径によって定まる長さに対して、より多くの養殖用海水51を貯留することができる。一般的に用いられる矩形の養殖槽は、長辺と短辺との長さ比率が1:1近くにはなっておらず、短辺に対して長辺の長さが極端に長くなっている。このような形状上、本実施の形態の養殖槽111、例えば養殖槽111dと同程度の養殖用海水51を蓄えることができる矩形の養殖槽では、養殖槽111dの直径とは比較にならないほど長辺の長さが長くなる。このため排水のために養殖槽を傾けた場合、長辺の部分に大きな負担がかかる。そこで矩形の養殖槽は、コンクリートや繊維強化プラスチック(FRP)のような強固な材料によって成形されていなければならない。この点より長さが短い本実施の形態の養殖槽111は、矩形の養殖槽と比べて剛性が低くてもよく、ポリプロピレン(PP)のような安価な材料で成形することが可能である。
4.攪拌機の設置
前述したとおり、第3及び第4段階の養殖工程では、養殖用海水51の撹拌を攪拌機201によって行う(図9(c)(d)参照)。そこで第3及び第4段階の養殖工程では、養殖槽111に収容されている養殖用海水51内に攪拌機201を設置する。
(1)攪拌機の構造
二つの実施の形態を説明する。
図5及び図6は、攪拌機201の一つ目の実施の形態を示している。この攪拌機201は、円筒形状をした下部ハウジング211と上部ハウジング212との間にバランサ231を回転自在に取り付け、バランサ231に水掻き羽根251を取り付けた構造のものである。
下部ハウジング211は、水掻き羽根251の駆動源となるモータ(図示せず)を内蔵している。上部ハウジング212は、モータの駆動回路を内蔵している。モータは、回転軸を垂直方向に向けて下部ハウジング211内に収容され、回転軸をバランサ231に連結している。モータの回転は、減速機構によって減速されてバランサ231に伝えられ、バランサ231を介して水掻き羽根251に伝達される。
一例として、水掻き羽根251は、1回転/20秒程度の回転速度で回転する。
各部は図示しないシールで密封されている。シールは、下部ハウジング211に収納されたモータと、上部ハウジング212に収納された駆動回路とを水密状態に保つ。
バランサ231には、120度の角度で三又に分岐した分岐管232が連結している。水掻き羽根251は、三つの分岐管232のそれぞれの先端部分から放射方向に延びるアーム252を備え、アーム252の下端から下方に向けてパドル253を延ばしている。したがって水掻き羽根251はバランサ231の回転と共に回転し、流体を撹拌する。
バランサ231はまた、水に対して浮力を生ずる。バランサ231の浮力によって、攪拌機201は水上で浮遊することができる。
攪拌機201は、上部ハウジング212から水平方向に二本の連結ロッド271を延ばしている。これらの連結ロッド271は、攪拌機201を位置固定するためのロープ301を結び付けるためのもので、先端部にリング272を有している。ロープ301は、リング272に結び付けることができる。
本実施の形態の攪拌機201は、第3段階の養殖工程での使用に適している。第3段階の養殖工程は、直径5メートルの養殖槽111cを用いる。本実施の形態の攪拌機201は、この直径5メートルの養殖槽111cに合わせて、アーム252の長さを設定している。もっとも第4段階の養殖工程での使用に適さないわけではない。第4段階の養殖工程で使用する場合には、直径10メートルの養殖槽111dに合わせて、アーム252の長さをより長くすればよい。
図7及び図8は、攪拌機201の二つ目の実施の形態を示している。この攪拌機201は、基本的には一つ目の攪拌機201と同じ構造を有している。相違するのは、パドル253の角度と数である。その他一つ目の実施の形態の攪拌機201に比べてアーム252の長さが長くなっているが、これは第4段階の養殖工程での使用に適合させるように、直径10メートルの養殖槽111dに合わせた結果である。二つ目の実施の形態の攪拌機201も、アーム252の長さを短くすることで、直径5メートルの養殖槽111cを用いる第3段階の養殖工程での使用に適合させることが可能である。
本実施の形態の攪拌機201が一つ目の実施の形態の攪拌機201と本質的に相違するのは、前述したとおり、パドル253の角度と数である。パドル253は、放射方向に対して傾斜した角度で、個々のアーム252に二つずつ取り付けられている。放射方向に対して傾斜した角度は、例えば45度である。もっとも45度でなければならないわけではなく、他の角度であってもよい。
攪拌機201の実施の形態を二種類説明した。いずれの攪拌機201でも、駆動回路によってモータを起動させれば水掻き羽根251が回転する。水掻き羽根251は、パドル253の作用によって縦方向と横方向とに水流を作り出すように養殖用海水51を撹拌する。
(2)攪拌機の投入と位置固定
攪拌機201は、養殖槽111に収容した養殖用海水51内に投入される。このとき作業者は、攪拌機201が有する連結ロッド271のリング272にロープ301を結び付け、攪拌機201を養殖用海水51に投ずる。そして養殖槽111の周囲近傍位置で地面Gに打たれた杭302にロープ301の自由端側をくくりつける。これによって養殖槽111内で、攪拌機201が位置固定される。このとき養殖槽111の中央に位置固定されるように、攪拌機201を位置決めする。
5.攪拌機の作動
養殖用海水51に攪拌機201を投入し位置固定したら、モータを起動させて水掻き羽根251を回転させる。これによって養殖用海水51に縦方向及び横方向の旋回流が発生し、撹拌が行なわれる。撹拌は縦方向と横方向との旋回流によって行われるため、下方に滞留する養殖用海水51が水面に向けて上昇する。詳しく説明する。
上記二つの実施の形態の攪拌機201はいずれも、水掻き羽根251の回転によってパドル253が縦方向の水流と横方向の水流とを作り出し、養殖用海水51を撹拌する。
縦方向の水流は、水掻き羽根251の水平投影面内に発生し、養殖槽111の底部に向かっていく。底部に向かった水流は底部に衝突し、上方に向けて戻ることによって養殖用海水51を撹拌する。この撹拌作用によって、主に水掻き羽根251の水平投影面内で養殖槽111の底部に停滞している種苗31の動きが活性化される。動きを活性化された種苗31は上昇し、養殖用海水51の水面に向けて浮き上がる。
横方向の水流は、パドル253の真横の水面近くに発生し、養殖槽111の内壁に向かっていく。内壁に向かった水流は内壁に衝突し、養殖槽111の底部に回り込んで底部に沿って横方向に戻ることによって養殖用海水51を撹拌する。この撹拌作用によって、主に水掻き羽根251の水平投影面を外れた位置で養殖槽111の底部に停滞している種苗31の動きが活性化される。動きを活性化された種苗31は上昇し、養殖用海水51の水面に向けて浮き上がる。
養殖用海水51に放たれた種苗31は、養殖用海水51の撹拌によって位置を変え、水面又は水面近くに万遍なく回り込む。したがってすべての種苗31に対して太陽光による光照射を均等に行うことができ、順調な種苗31の育成を促すことが可能となる。
このとき重要なことは、攪拌機201は、縦方向の旋回流を生じさせて養殖用海水51を撹拌することである。このような撹拌原理を利用することで、養殖槽111の大きさが大きくなったとしても、300~400mm程度という浅い水深を維持したまま、水掻き羽根251の水平投影面内に位置する養殖用海水51を十分に撹拌することができる。その結果、養殖用海水51の水深を300~400mm程度の浅い水深にすることで、水掻き羽根251の水平投影面を外れた位置に位置する養殖用海水51についても、攪拌機201による横方向の旋回流によって十分に撹拌することができる。
もう一つ重要なことは、養殖槽111が真円形をなしているということである。前述したとおり、水掻き羽根251の回転によってパドル253が作り出す横方向の水流は、主に水掻き羽根251の水平投影面を外れた位置で養殖槽111の底部に停滞している種苗31の動きを活性化する。このとき養殖槽111が真円形をなしていれば、水掻き羽根251の水平投影面を外れた養殖槽111の内壁近くの領域でも、養殖用海水51に均等な撹拌作用を生じさせやすい。とりわけ本実施の形態のように養殖槽111の中央位置に攪拌機201を位置固定しておけば、より一層、養殖槽111の内壁近くの領域で養殖用海水51に均等な撹拌作用を生じさせやすくなる。その結果、養殖用海水51に放たれた種苗31をより万遍なく水面又は水面近くに回り込ませることが可能になり、順調な種苗31の育成を促すことができる。
以上述べた養殖槽111の真円形状による作用からして、養殖槽111は完全な真円でなく、例えば楕円形状であってり、多角形形状であることも許容される。もちろん真円形状により近い楕円形状又は多角形形状であることが望ましいわけであるが、この点は、水掻き羽根251の水平投影面を外れた位置で養殖用海水51に生じさせる撹拌作用の均等性とのトレードオフによって、真円形状からの変形の度合いを決定すればよい。多角形形状の場合、互いに隣接する二辺のなす角が鈍角であることが望ましい。
養殖用海水51の撹拌によってもたらされる作用は、種苗31の動きを活性化し、養殖槽111の底部に停滞している種苗31を水面に向けて上昇させ、水面又は水面近くに万遍なく回り込ませるだけに止まらない。養殖用海水51が撹拌されることによって、種苗31に対する酸素供給及び栄養補給も均等になされ、この面からも種苗31の順調な育成を促すことが可能である。
本実施の形態の陸上養殖装置101を用いた陸上養殖方法によれば、その他の要因によっても種苗31の順調な育成が促される。
その他の要因の一つは、養殖用海水51として地下海水を用いていることである。前述したとおり種苗31の育成に最適な温度は、20℃前後である。養殖用海水51として用いられる地下海水の温度は、年間を通じて20℃前後の温度に保たれるため、種苗31の順調な育成が促されるのである。しかも地下海水は、種苗31の育成に必要な栄養も豊富で、この面からも種苗31の順調な育成が促される。
その他の要因のもう一つは、水掻き羽根251の回転速度である。前述したとおり、水掻き羽根251は、1回転/20秒程度の比較的低速で回転駆動される。これが高速になればなるほど水掻き羽根251の回転中心、つまり攪拌機201の直下に種苗31が集まりやすくなる。これに対して本実施の形態は、水掻き羽根251の回転速度が比較的低速に設定されているので、種苗31は養殖槽111内を万遍なく移動し、より均等な光照射を行うことが可能となる。
以上述べた各種の要因が積み重なり、本実施の形態によれば、種苗31の順調な育成を促すことができる。
[他の実施の形態と変形例]
実施に際しては、上記実施の形態のみならず、他の実施の形態が採用されてもよい。
例えば攪拌機201の位置固定はロープ301にかぎらず、ワイヤや固定リンクなどの各種の代替手段によって行うようにしてもよい。
その他実施に際しては、あらゆる変形や変更が許容される。
11 養殖施設
12 海
13 沿岸
31 種苗
32 母藻
51 養殖用海水
101 陸上養殖装置
111 養殖槽
111a 養殖槽(直径1メートルの養殖槽)
111b 養殖槽(直径2メートルの養殖槽)
111c 養殖槽(直径5メートルの養殖槽)
111d 養殖槽(直径10メートルの養殖槽)
112 給水口
113 排水口
201 攪拌機
211 下部ハウジング
212 上部ハウジング
231 バランサ
232 分岐管
251 水掻き羽根
252 アーム
253 パドル
271 連結ロッド
272 リング
301 ロープ
302 杭
G 地面


Claims (1)

  1. 直径5m以上10m以下の円形状の養殖槽及び垂直軸周りに回転する水掻き羽根を有し養殖用海水に浮遊し位置固定された攪拌機を用いた海藻類(但し、微細藻類は除く。)の陸上養殖方法において、
    前記海藻類は海藻の胞子又は胞子が発芽した発芽体が集塊化した種苗であり、
    前記水掻き羽根は、回転中心から放射方向に延びるアームと前記アームの水面側にアームに沿って設けられたパドルとを備え、又は回転中心から放射方向に延びるアームと前記アームの水面側にアームに沿って放射方向に対して傾斜した角度で設けられたパドルとを備え、
    海藻の胞子又は胞子が発芽した発芽体が集塊化した種苗の養殖に用いる養殖用海水を養殖槽に注入し、
    前記養殖槽に前記養殖用海水を投入する際、水深は300mm以上600mm以下とし、
    前記養殖槽に前記種苗を放ち、
    前記攪拌機を駆動源により駆動して前記水掻き羽根を回転させて、前記パドルの作用により前記養殖用海水に縦方向及び横方向の旋回流を生じさせ、
    前記水掻き羽根の回転速度を1回転20秒程度とすることにより、
    前記種苗は養殖槽内を万遍なく移動し、より均等に光が照射されることを特徴とする
    海藻類の陸上養殖方法。

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しゃかいか!,室戸岬に周りのみんなを元気にしていく海藻の研究者がいた! 蜂谷潤さん(高知県室戸市),2016年08月29日,p.1-92,https://www.shakaika.jp/blog/18929/hachiya_muroto/
世界初、地下海水を活用したアオノリ陸上養殖量産モデルの確立,ヘンシモ へんしも情報HENSIMO JOURNAL,vol.208,高知県中小企業団体中央会,2018年07月,p.1-2,https://www.kbiz.or.jp/kochichuokai/wp-content/uploads/2018/08/HensimoJournal_2081.pdf
松本光史,微細藻類によるグリーンオイル生産技術の実用化にむけて 藻類探索から,オミックス解析,プロセス,化学と生物,第54巻第3号,日本,日本農芸化学会,2016年,p.181-190

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