JP7183131B2 - 情報処理装置、運転支援システム、情報処理方法、および情報処理プログラム - Google Patents

情報処理装置、運転支援システム、情報処理方法、および情報処理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、機械設備の運転支援に利用可能な情報を生成する情報処理装置等に関する。
機械設備を運転するオペレータは、機械設備に設けられたセンサの出力値等から機械設備の状態を把握して、機械設備に対する操作を行う。このような機械設備の運転を支援するシステムの開発が従来から進められている。例えば、下記の特許文献1には、流量、圧力、温度等の測定データを含むプロセスデータに基づいてプラントの推定値を出力し、該推定値に基づいてプラントの未来の状態を予測してプラントにおける予測値を出力するプラント支援装置が開示されている。
特開2018-112903号公報
上述のような従来技術では、物理・化学モデル式から構成されるシミュレーションモデルを用いてプラントの推定値を得ている。このようなシミュレーションモデルは、多数のパラメータの設定を行う必要があって作成コストが高く、また、プラントに特化したものとする必要があるため汎用性が低いという問題がある。
本発明の一態様は、機械設備の運転支援に利用可能な情報を生成することができるとともに、汎用化が容易な情報処理装置等を実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、機械設備に設けられた複数のセンサの所定期間における出力値であるかまたは該出力値を用いて算出された数値であるセンサデータを取得するデータ取得部と、複数の上記センサのうちの2つからなるセンサの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサについて取得された各センサデータの分布状況に基づいて算出する関係指標算出部と、複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標を用いて、上記所定期間における上記機械設備の状態を示す情報を生成する状態情報生成部と、を備えている。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る運転支援システムは、機械設備の運転を支援する運転支援システムであって、情報処理装置と、上記機械設備に設けられた複数のセンサと、を含み、上記情報処理装置は、上記複数のセンサの所定期間における出力値であるかまたは該出力値を用いて算出された数値であるセンサデータを取得し、複数の上記センサのうちの2つからなるセンサの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサについて取得された各センサデータの分布状況に基づいて算出し、複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標を用いて、上記所定期間における上記機械設備の状態を示す情報を生成し、出力する。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理方法は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、機械設備に設けられた複数のセンサの所定期間における出力値であるかまたは該出力値を用いて算出された数値であるセンサデータを取得するデータ取得ステップと、複数の上記センサのうちの2つからなるセンサの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサについて取得された各センサデータの分布状況に基づいて算出する関係指標算出ステップと、複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標を用いて、上記所定期間における上記機械設備の状態を示す情報を生成する状態情報生成ステップと、を含む。
本発明の一態様によれば、機械設備の状態を示す情報という機械設備の運転支援に有用な情報を生成することができる。また、他の機械設備のセンサデータを取得すれば、その機械設備の状態を示す情報を生成することができるから、汎用化が容易である。
本発明の実施形態1に係る情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。 上記情報処理装置を含む運転支援システムの概要を説明するための図である。 センサデータの区分例と関係指標の算出例を示す図である。 2つのセンサがそれぞれ出力したセンサデータの値の区分結果の例を示す図である。 ごみ焼却プラントの状態を示す相関マップの例を示す図である。 重みの設定例を示す図である。 相関マップの変化の例を示す図である。 上記情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態2に係る情報処理装置の構成と該情報処理装置が実行する処理の流れを示す図である。 安定指数の算出例を示す図である。 本発明の実施形態3に係る情報処理装置の構成とセンサデータの値の予測方法の概要を示す図である。 本発明の実施形態4に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
〔実施形態1〕
(システム概要)
本発明の一実施形態に係る運転支援システム100の概要を図2に基づいて説明する。図2は、運転支援システム100の概要を説明するための図である。運転支援システム100は、各種機械設備の運転を支援するためのシステムであり、図示のようにセンサS1~Snと情報処理装置1Aを含む。なお、センサS1~Snを区別する必要のないときには単にセンサSと記載する。
本実施形態では、運転支援システム100により、ごみ焼却プラントPの運転を支援する例を説明する。ごみ焼却プラントPは、ごみを焼却する焼却炉を備えていると共に、焼却炉で発生した熱を利用して発電する発電設備を備えている。なお、運転支援システム100の支援対象は、その動作状態をセンサ等により把握可能なものであり、かつ、人または自動で動作制御(運転)される機械設備であればよく、ごみ焼却プラントPに限られない。例えば、運転支援システム100は、風力発電設備等の運転を支援することもできる。
センサSは、プラントの状態に関する所定の物理量またはその変化量を検出して、その検出結果を示すセンサデータを情報処理装置1Aに出力する。センサS1~Snの検出対象はそれぞれ異なっている。上述のように、本実施形態ではごみ焼却プラントPの運転を支援するため、センサSは、ごみ焼却プラントP内の各所に設置しておく。例えば、センサSには、焼却炉内の温度を示す温度センサや、排出ガスにおける一酸化炭素濃度を検出するセンサ等が含まれていてもよい。
また、センサSは、ごみ焼却プラントPの一部の機械設備に対して設けられていてもよい。例えば、焼却炉に対して複数のセンサSを設ければ、焼却炉の状態を示す情報を情報処理装置1Aに出力させることができる。より具体的には、燃焼状態を示す情報を出力させる場合、温度計、空気流量計、火格子速度の計測器等の焼却炉周りに配置されたセンサSを用いてもよい。また、機械設備の一部分に複数のセンサSを設ければ、その部分に関する情報を情報処理装置1Aに出力させることができる。例えば、焼却炉からの排出ガスに関する複数のセンサS(例えば、炉内温度計、ごみ層の厚さの計測器、CO濃度計等)を設ければ、排出ガスに関する情報を情報処理装置1Aに出力させることができる。
詳細は以下説明するが、情報処理装置1Aは、複数のセンサSの所定期間における出力値であるセンサデータを取得する。続いて、情報処理装置1Aは、複数のセンサSのうちの2つからなるセンサSの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサSについて取得された各センサデータの分布状況(各センサデータがどのように分布しているか)に基づいて算出する。そして、情報処理装置1Aは、複数のセンサSの各組について算出された関係指標を用いて、上記所定期間における機械設備の状態を示す情報を生成し、出力する。これにより、機械設備の状態を示す情報という機械設備の運転支援に有用な情報を生成することができる。また、情報処理装置1Aは、他の機械設備のセンサデータを取得すれば、その機械設備の状態を示す情報を生成することができるから、汎用化が容易である。
なお、センサSの組におけるセンサデータの分布態様の関係が、機械設備の状態を反映させたものとなることは、本願発明者らの実験により確認されている。さらに、上記の構成によれば、特許文献1のような一般的な分析手法では対応しにくい非線形性を持った関係性を捉えることが可能であることも確認されている。
図2の例において、機械設備の状態を示す情報とは、ごみ焼却プラントPの状態を示すマップM111~M113である。マップM111は、ごみ焼却プラントPが安定した稼働状態である安定期間のセンサデータを用いて生成したものであり、マップM113は、ごみ焼却プラントPの稼働状態が不安定となった不安定期間のセンサデータを用いて生成したものである。また、マップM112は、不安定期間の直前の期間である不安定直前期間のセンサデータを用いて生成したものである。なお、安定~不安定の基準は任意に設定すればよく、例えば、発電に使用する蒸気量が正常範囲内にある期間を安定期間とし、蒸気量が正常範囲を超える期間を不安定期間としてもよい。
図示のように、マップM111~M113には、安定期間から不安定期間までのごみ焼却プラントPの状態が反映されている。より詳細には、マップM111~M112からは、安定期間から不安定直前期間にかけて、マップ全体の色が薄くなっていることが読み取れる。また、マップM112~M113からは、不安定直前期間から不安定期間にかけて、マップ全体の色がさらに薄くなっていることが読み取れる。
したがって、ごみ焼却プラントPのオペレータ等は、マップの全体の色の濃さや色の分布から、ごみ焼却プラントPの状態が、安定期間から不安定期間の何れの期間の状態に近いかを判断することができる。つまり、オペレータ等は、最新のセンサデータに基づいて生成されたマップの全体の色の濃さや色の分布がマップM111に近ければ安定期間であると判断でき、マップM113に近ければ不安定期間であると判断できる。
また、不安定直前期間のマップM112と、安定期間のマップM111とは外観で識別可能である。つまり、情報処理装置1Aが生成するマップには、不安定化の予兆が表れる。よって、オペレータ等は、情報処理装置1Aが生成するマップを参照することにより、不安定期間となる前の段階で、ごみ焼却プラントPを安定化させるための対応を取ることができる。これにより、ごみ焼却プラントPが不安定な状態となることを未然に防ぐ事ができる。
(装置構成)
情報処理装置1Aのより詳細な構成について図1に基づいて説明する。図1は、情報処理装置1Aの要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置1Aは、情報処理装置1Aの各部を統括して制御する制御部10Aと、情報処理装置1Aが使用する各種データを記憶する記憶部11を備えている。また、制御部10Aには、データ取得部101、区分部102、関係指標算出部103、およびマップ生成部104が含まれている。
さらに、情報処理装置1Aは、情報処理装置1Aに対する情報の入力を受け付ける入力部12と、情報処理装置1Aが情報を出力するための出力部13を備えている。入力部12と出力部13は、情報処理装置1Aに外付けされた、情報処理装置1Aの外部の装置であってもよい。本実施形態では、入力部12が、センサSの出力するセンサデータの入力を受け付ける入力インターフェース部であり、出力部13が画像を表示出力する表示装置である例を説明する。なお、入力部12と出力部13は情報の入出力機能を有するものであればよく、これらの例に限られない。
データ取得部101は、上述したセンサSの出力値であるセンサデータを取得する。なお、データ取得部101は、センサSの出力値を用いて算出された数値(例えば出力値を正規化した値や出力値からノイズ成分を除いた値等)をセンサデータとして取得してもよい。センサデータは、プロセスデータと呼ぶこともできる。また、データ取得部101は、センサデータに加えて、ごみ焼却プラントPに含まれる各種機械設備の動作設定値(例えば動作速度の設定値等)を取得してもよい。このような動作設定値もセンサデータと同様に扱うことができる。
区分部102は、データ取得部101が取得したセンサデータをその値の大きさにより複数の集合に区分する。集合の設定方法、区分方法の詳細については図3等に基づいて後述する。
関係指標算出部103は、複数のセンサSのうちの2つからなるセンサSの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサSについて取得された各センサデータがどのように分布しているかに基づいて算出する。具体的には、関係指標算出部103は、複数の集合のそれぞれに区分されているセンサデータの度数から関係指標を算出する。これにより、各センサ間の関係を簡易な処理で数値化することができる。関係指標の算出方法の詳細については図3等に基づいて後述する。
マップ生成部104は、センサSの各組について関係指標算出部103が算出した関係指標を用いて、所定期間における機械設備(本実施形態ではごみ焼却プラントP)の状態を示す情報であるマップを生成する。詳細は後述するが、マップ生成部104が生成するマップは、センサSの各組について算出された関係指標の値に応じたパターンが、画像平面上に規定された各組に対応する各区画に描画された画像である。マップ生成部104は、このようなマップを生成し、出力部13等に表示出力させることにより、ごみ焼却プラントPのオペレータ等に、当該ごみ焼却プラントPの状態を視覚的に認識させることができる。上記マップは、ごみ焼却プラントPの状態を示す情報であるから、マップ生成部104を状態情報生成部と呼ぶこともできる。
(センサデータの区分と関係指標の算出)
区分部102によるセンサデータの区分と、関係指標算出部103による関係指標の算出について図3に基づいて説明する。図3は、センサデータの区分例と関係指標の算出例を示す図である。
図3の121には、センサS1~Snのうちの1つであるセンサSAが出力したセンサデータの値と、センサS1~Snのうちの他の1つであるセンサSBが出力したセンサデータの値との関係を示している。より詳細には、図3の121は、センサSAの出力したセンサデータの値と、センサSBの出力したセンサデータの値とを組にした座標を、座標平面にプロットしたものである。この座標平面は、左右方向をセンサSAの出力値の大きさを示す軸とし、上下方向をセンサSBの出力値の大きさを示す軸としている。例えば、ごみ焼却プラントPの稼働中における所定期間にセンサSAが出力したセンサデータがa1~a20、同期間にセンサSBが出力したセンサデータがb1~b20であった場合、プロットされる点は(a1,b1)~(a20,b20)となる。
また、図3の121では、座標平面を9つの区画に区分している。これらの区画は、センサSAとセンサSBが出力したセンサデータの値の大きさの区分(Small、Middle、Largeの3段階)に基づいて設定されたものである。具体的には、センサSAとセンサSBが出力したセンサデータの値が何れも「Small」である区画(Small‐Small)から、センサSAとセンサSBが出力したセンサデータの値が何れも「Large」である区画(Large‐Large)までの9つの区画が設定されている。
区分部102は、このような区画に基づいてセンサデータを区分してもよい。この場合、各センサSについて、センサデータの大きさを区分する閾値を予め設定しておく。例えば、図3の例のように3つの集合に区分する場合には、「Small」と「Middle」とを区分けする閾値と、「Middle」と「Large」とを区分けする閾値とを設定しておく。これにより、区分部102は、センサデータを、その値の大きさによって、「Small」、「Middle」、および「Large」の何れかに区分することができる。なお、閾値の設定方法は特に限定されず、例えばセンサデータの分布を示す情報(例えば、平均値、最大値、最小値等)に基づいて設定すればよい。
区分部102は、このような区分をセンサS1~Snの各組み合わせについて行う。なお、センサデータを区分する集合は、センサS1~Snのそれぞれで異なっていてもよい。例えば、センサS1が出力するセンサデータは2つの集合に区分し、センサS2が出力するセンサデータは4つ以上の集合に区分してもよい。
また、区分部102は、複数のファジィ集合にセンサデータを振り分けることにより、当該センサデータを区分してもよい。これにより、ある集合と他の集合の境界付近のセンサデータを適切に振り分けることができる。例えば、区分部102は、図3の123に示すようなメンバシップ関数を用いて、「Small」、「Middle」、および「Large」の3つのファジィ集合にセンサデータを振り分けてもよい。メンバシップ関数は、手動で作成してもよいし、自動で作成してもよい。自動で作成する場合、区分部102は、例えばセンサデータの平均値と標準偏差σを算出して、平均値から±3σの範囲に収まるセンサデータの最大値と最小値と平均値を基準としてメンバシップ関数を作成してもよい。
関係指標算出部103は、センサS1~Snの組み合わせのそれぞれについて、各集合に区分されているセンサデータの度数から関係指標を算出する。図3の121の例では、プロットされた20点のうち、9点が「Middle」-「Middle」の区分に含まれ、6点が「Middle」-「Small」の区分に含まれ、2点が「Small」-「Large」の区分に含まれている。また、「Small」-「Small」、「Large」-「Small」、および「Large」-「Middle」の各区分には1点が含まれ、その他の区分には点は含まれていない。
この場合、関係指標算出部103は、各区分の関係指標を、例えば図3の122に示すような値としてもよい。図3の122の例では、プロットされた点が最も多く含まれていた「Middle」-「Middle」の区分の関係指標が0.405、プロットされた点が2番目に多く含まれていた「Middle」-「Small」の区分の関係指標が0.225となっている。また、プロットされた点が3番目に多く含まれていた「Small」-「Large」の区分の関係指標が0.1となっている。1点のみ含まれる区分については、関係指標が所定の閾値より低いため、点が含まれていない区分と同じく、関係指標は0となっている。このように、図3の例では、センサデータの度数が多い区分ほど関係指標が大きい値となっている。このような関係指標の算出方法を図4に基づいて以下説明する。
(関係指標の算出方法の例)
図4は、2つのセンサSがそれぞれ出力したセンサデータの値の区分結果の例を示す図である。具体的には、図4の124の例では、センサS1が出力したセンサデータのうち30個が「Small」に区分され、そのうち10個はセンサS2が出力したセンサデータが「Middle」に、20個はセンサS2が出力したセンサデータが「Large」に区分されている。また、センサS2が出力したセンサデータは合計で120個であり、そのうち30個が「Small」に、40個が「Middle」に、50個が「Large」に区分されている。
一方、図4の125の例では、センサS1が出力したセンサデータの区分は124の例と同様であるが、センサS2が出力したセンサデータの個数が合計で450個となっている点で124の例と異なっている。センサS2が出力したセンサデータのうち150個が「Small」に、250個が「Middle」に、50個が「Large」に区分されている。
関係指標算出部103は、各区分の関係指標を下記の数式(1)によって算出してもよい。
(関係指標)=(占有率P)×(カバー率C)×(割合R)
…数式(1)
上記占有率Pは、センサS1について、「Small」に属するセンサデータのうち、センサS2のセンサデータが「Large」に属するものの割合である。例えば、図4の124の例では、占有率P=20/30である。
また、上記カバー率Cは、センサS2の「Large」に属するセンサデータの数に対する、センサS1の「Small」に属するセンサデータのうち、センサS2のセンサデータが「Large」に属するものの割合である。例えば、図4の124の例では、カバー率C=20/50である。
そして、上記割合Rは、センサSのセンサデータの総数に対する、「Large」に属するセンサデータの割合である。例えば、図4の124の例では、割合R=50/120である。
以上より、図4の124の例では、占有率P=20/30であり、カバー率C=20/50、割合R=50/120であるから、関係指標は1/9となる。一方、図4の125の例では、占有率P=20/30であり、カバー率C=20/50、割合R=50/450であるから、関係指標は4/135となる。
なお、関係指標の算出式において割合Rを乗じることは必須ではないが、割合Rを乗じることにより、125の例のように、第2区分のデータ数と他の区分のデータ数との差が大きい場合にも、関係指標の値を妥当なものとすることができるため好ましい。また、上記数式(1)において、占有率P、カバー率C、および割合Rの少なくとも何れかに重みを乗じてもよい。例えば、占有率Pの重みを、カバー率Cおよび割合Rの重みよりも大きい値に設定しておくこと、あるいはカバー率Cおよび割合Rの重みを占有率Pの重みよりも小さくしておくことにより、占有率Pを重視した関係指標を算出することもできる。
また、例えば、数式(1)において、カバー率Cの重みをゼロにして関係指標を算出してもよい。この場合、逆の視点の組み合わせ(例えば、センサS1とS2の組み合わせに対して、センサS2とS1の組み合わせ)については、占有率Pの重みをゼロにして関係指標を算出してもよい。さらに、これらの場合において、数式(1)における他の項の重みは1に設定してもよい。このように、同じセンサSにおける2通りの視点の組み合わせ(例えば、センサS1とS2であれば、S1-S2とS2-S1の組み合わせ)について、それぞれ異なる重み(あるいは異なる計算式)により関係指標を算出してもよい。このような構成であっても、ごみ焼却プラントPの状態を示す相関マップを生成することができる。
(相関マップの生成)
マップ生成部104は、上記関係指標を用いて、ごみ焼却プラントPの状態を示す情報である相関マップを生成する。相関マップの生成について、図5に基づいて説明する。図5は、ごみ焼却プラントPの状態を示す相関マップの例を示す図である。なお、図5には、通常版の相関マップM114と、簡易版の相関マップM115を示している。
相関マップM114は、センサS1~Snの全ての組み合わせについて、区分の組み合わせごとの関係指標の値を色で表したものである。なお、図5では、センサS1~Snの全組み合わせのうち、センサS14~S19とセンサS14~S19の組み合わせ(ただし同一のセンサSの組み合わせは除外)に対応する部分を示している。また、図5には、Small、Middle、LargeをそれぞれS、M、Lと略記している箇所がある。
相関マップM114では、センサSの組み合わせ毎に1つの区画が設定されており、1つの区画はさらに9つの小区画に分割されている。9つの小区画は、センサSの組み合わせにおける、センサデータの値のSmall、Middle、Largeの区分に対応している。例えば、センサS14の列と、センサS15の行とが交差する位置は、センサS14-S15の組み合わせに対応する区画となっている。そして、この区画に含まれる9つの小区画のうち左上の小区画は、センサS14のセンサデータとセンサS15のセンサデータが何れも「Small」の組み合わせに対応している。他の小区画も同様に、センサデータの区分の組み合わせに対応している。
図5の相関マップM114は、関係指標が予め設定した閾値未満の小区画には着色せず、関係指標が1に近いほど黒に近い色とし、関係指標が0に近いほど白に近い色とすることにより生成したものである。つまり、相関マップM114は、関係指標をグレースケールにおける画素値で表したものである。なお、相関マップM114において、関係指標をどのようなパターンで表現するかは任意であり、図5の例に限られない。例えば、彩度、色相、明度、またはそれらの組み合わせにより表現してもよい。関係指標を色に変換する規則を予め定めておけば、マップ生成部104は、その規則に従って、相関マップM114の各区分の表示色を決定することができる。
一方、相関マップM115は、1つの区画に1つのパターンの画像が描画された画像である。各区画のパターンは、その区画に対応する最大9つの関係指標を用いて決定される。具体的には、マップ生成部104は、1つの区画に含まれる関係指標の重み付き和を算出し、その平均値をその区画の関係指標の値とする。そして、マップ生成部104は、区画の関係指標の値に応じたパターン(例えば関係指標の値に応じた画素値で区画の全面を一様に塗り潰した画像)を、その区画に描画するパターンとして決定する。
なお、重みは、センサSの組み合わせ毎のセンサデータの分布状況が重み付き和に反映されるような値に設定しておけばよい。重みの設定例を図6に基づいて説明する。図6の131には、センサS1とS2の組み合わせについて算出した関係指標の例を示し、同図の132には、センサS1とS2の組み合わせにおける重みの設定例を示している。
図6の132の例では、「Middle」-「Middle」の組み合わせの重みを最も大きい値(具体的には1.00)に設定している。また、「Middle」-「Small」、「Middle」-「Large」、「Small」-「Middle」、「Large」-「Middle」の組み合わせの重みを中間的な値(具体的には0.50)に設定している。そして、その他の組み合わせの重みを小さい値(具体的には0.25)に設定している。
これらの重みを適用した場合、図6の131に示すセンサS1とS2の組み合わせの関係指標について、重み付き和の平均値は、(0.35×1.00+0.80×0.25)/2=0.275となる。同様にして、センサSの全ての組み合わせについて、関係指標の重み付き和の平均値を算出し、センサSの各組み合わせに対応する区画に、算出した関係指標の値に応じたパターンを描画する。このような処理により、図5に示すような簡易版の相関マップM115を描画することができる。なお、重みは、センサSの全ての組み合わせに共通の値としてもよいが、センサSの組み合わせ毎に最適な値に調整することが好ましい。
(相関マップの変化の例)
図7は、上述のようにして生成される相関マップの変化の例を示す図である。なお、図7では、図5と同様に、相関マップの一部分を抜粋して示している。図7に示す相関マップM116は、ごみ焼却プラントPの安定期間に取得されたセンサデータに基づいて生成されたものである。相関マップM116から、安定期間におけるセンサS14~S19のセンサデータは、「Middle」に集中していることが分かる。
一方、図7に示す相関マップM118は、ごみ焼却プラントPの不安定期間に取得されたセンサデータに基づいて生成されたものである。また、相関マップM117は、不安定直前期間に取得されたセンサデータに基づいて生成されたものである。相関マップM116~M118によれば、安定期間から不安定期間までの期間において、センサデータの値の大きさの関係性が徐々に崩れていることが分かる。
より詳細には、相関マップM116では、「Middle」-「Middle」の小区画の色が黒に近くなっていて、他の小区画には着色されていないが、相関マップM117では、「Middle」-「Middle」以外の小区画にも着色されており、「Middle」-「Middle」の小区画が着色されていない区画も現われている。相関マップM118ではこの傾向がさらに進み、「Middle」-「Middle」の小区画に着色されている区画がさらに少なくなっている。
相関マップM116および相関マップM118に示されるように、相関マップからはごみ焼却プラントPが安定期間にあるか、不安定期間にあるかを読み取ることができる。また、相関マップM117に示されるように、相関マップからは不安定期間となる前兆を読み取ることも可能である。
そこで、マップ生成部104は、安定期間に取得されたセンサデータに基づいて、ごみ焼却プラントPの安定状態を、運転支援システム100を使用するオペレータ等が判断する基準となる基準マップを生成してもよい。そして、マップ生成部104は、ごみ焼却プラントPの稼働時にリアルタイムで取得されるセンサデータに基づいて相関マップを随時生成し、生成した相関マップを基準マップと共に出力部13に表示出力させてもよい。これにより、オペレータ等は、基準マップと現在の相関マップとを見比べて、ごみ焼却プラントPが安定状態にあるか否か、あるいは不安定となる前兆があるか否か等を判断することができる。
なお、マップ生成部104は、不安定期間に取得されたセンサデータに基づいて基準マップを生成してもよい。この場合、オペレータ等は、基準マップと現在の相関マップとを見比べて、現在の相関マップが基準マップに近付いていれば、不安定となる前兆があると判断する。
(処理の流れ)
情報処理装置1Aが実行する処理(情報処理方法)の流れを図8に基づいて説明する。図8は、情報処理装置1Aが実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下では相関マップを生成する例を説明するが、ST11において、正常に稼働しているゴミ焼却プラントPで計測されたセンサデータを取得すれば、図8は基準マップを作成する処理のフローチャートとなる。また、「正常に稼働」とは、異常が生じていない状態を意味する。例えば、手動操作による介入を行うことなく自動制御でゴミ焼却プラントPの稼働を継続できる状態や、予め定めた運転計画通りにゴミ焼却プラントPの稼働を継続できる状態、発電量が所定範囲内で安定している状態等は、「正常に稼働」している状態である。このような状態は、安定状態と呼ぶこともできる。
ST11(データ取得ステップ)では、データ取得部101が、全てのセンサSからセンサデータを取得する。より詳細には、データ取得部101は、所定期間(例えば直近3分間)に出力された所定数のセンサデータを、入力部12を介して取得する。
ST12では、区分部102が、ST11で取得されたセンサデータをその値の大きさにより区分する。例えば、区分部102は、Small、Middle、Largeの3段階で区分してもよいし、2段階あるいは4段階以上で区分してもよい。また、区分部102は、例えば閾値等に基づいてセンサデータを区分してもよいし、ファジィ集合を用いてセンサデータを区分してもよい。
ST13(関係指標算出ステップ)では、関係指標算出部103が、ST11で取得されたセンサデータの分布状況に基づいて各区分の関係指標を算出する。上述のように、関係指標算出部103は、区分と区分の組み合わせのそれぞれについて、それらの区分に含まれるデータの個数に応じた関係指標を算出する。例えば、関係指標算出部103は、上述の数式(1)を用いて関係指標を算出してもよい。
ST14(状態情報生成ステップ)では、マップ生成部104が、ST13で算出された関係指標を用いてゴミ焼却プラントPの状態を示す相関マップを生成する。具体的には、マップ生成部104は、センサSの組み合わせ毎の区画における、Small、Middle、Largeの区分の組み合わせ毎にその組み合わせの関係指標に応じた描画のパターンを決定することにより相関マップを生成する。
ST15では、マップ生成部104は、ST14で生成した相関マップを出力部13に表示出力させる。なお、マップ生成部104は、出力部13に相関マップが表示済みである場合には、表示済みの相関マップを新たに生成した相関マップに更新させてもよい。これにより、表示される相関マップの内容を、常時、ごみ焼却プラントPの最新の状態を示すものとすることができる。
ST16では、データ取得部101が、処理を終了するか否かを判定する。データ取得部101が処理を終了すると判定した場合(ST16でYES)には、図8の処理は終了する。一方、データ取得部101が処理を継続すると判定した場合(ST16でNO)には、ST11の処理に戻る。ST16の判定条件は適宜設定しておけばよく、例えば、データ取得部101は、ごみ焼却プラントPが稼働停止している場合に処理を終了すると判定してもよい。これにより、ごみ焼却プラントPが稼働停止するまでの期間、相関マップの表示により運転支援を行うことができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。これは実施形態3以降も同様である。
本実施形態の情報処理装置1Bは、ごみ焼却プラントPで異常が発生していること、あるいはその予兆があることを自動で検出する点で上記実施形態の情報処理装置1Aと相違している。以下、情報処理装置1Bについて図9に基づいて説明する。図9は、情報処理装置1Bの構成と該情報処理装置1Bが実行する処理の流れを示す図である。なお、情報処理装置1Bにおいて、制御部10B以外の構成は情報処理装置1A(図1参照)と同様であるから、図9には制御部10Bの構成を示している。
図9に示すように、情報処理装置1Bは、マップ生成部104の代わりに安定指数算出部201と異常検出部202を備えている点で、情報処理装置1Aと相違している。なお、制御部10Bにもマップ生成部104を含めてもよい。
安定指数算出部201は、データ取得部101が取得したセンサデータを用いて安定指数を算出する。安定指数は、ごみ焼却プラントPが安定した稼働状態であるときのセンサデータの分布状況と、データ取得部101が取得したセンサデータの分布状況との類似度を示す指標である。なお、安定指数は、ごみ焼却プラントPの状態を示す情報であるから、安定指数算出部201を状態情報生成部と呼ぶこともできる。
安定指数算出部201を備えていることにより、情報処理装置1Bは、ごみ焼却プラントPの稼働状態が、安定状態に近いか、安定状態から遠いか(つまり不安定であるか)を数値で表すことができる。安定指数は、相関マップと同様に表示出力してオペレータ等に提示することもできるし、以下説明するように異常の検出等に利用することもできる。
安定指数は、例えば以下のようにして算出してもよい。なお、安定指数算出部201による安定指数の算出の前に、関係指標算出部103は、ごみ焼却プラントPが安定した稼働状態であるときのセンサデータを用いて関係指標を算出しておく。以下の説明では、ごみ焼却プラントPが安定した稼働状態であるときのセンサデータを用いて算出された関係指標を安定時関係指標と呼ぶ。なお、上述の基準マップは、安定時関係指標を用いて作成することができる。
まず、安定指数算出部201は、データ取得部101が取得したセンサデータの値と、センサデータの値の大きさに基づく各区分との適合度を算出する。このセンサデータは、安定指数の算出対象となるごみ焼却プラントPの状態を示すデータである。次に、安定指数算出部201は、各区分における安定時関係指標と、当該区分について算出した上記適合度に基づいて、各区分の安定指数を算出する。そして、安定指数算出部201は、各区分の安定指数からセンサSの組み合わせ毎の安定指数を算出し、各組み合わせについて算出された安定指数の和を最終的な安定指数とする。
以下、センサS1とセンサS2の組み合わせの安定時関係指標として図6の131に示す関係指標が算出された場合の安定指数の算出例を図10に基づいて説明する。図10は、安定指数の算出例を示す図である。なお、安定時関係指標の算出後の時刻tにおけるセンサS1、S2のセンサデータの値がそれぞれv1、v2であったとする。
この場合、図10の141に示すように、安定指数算出部201は、v1が、センサS1における値の大きさの各区分(Small、Middle、Large)に適合する程度を示す適合度を算出する。適合度の算出には、センサS1における値の大きさの区分ごとのメンバシップ関数を用いればよい。図10の141の例では、v1と「Small」、「Middle」、「Large」の各区分との適合度が、それぞれ0.0、0.7、0.3と算出されている。
また、安定指数算出部201は、上記と同様にして、センサS2のセンサデータの値であるv2と、センサS2における値の大きさの各区分(Small、Middle、Large)との適合度を算出する。図10の141の例では、v2と「Small」、「Middle」、「Large」の各区分との適合度が、それぞれ0.4、0.6、0.0と算出されている。
そして、安定指数算出部201は、v1の適合度にv2の適合度を乗じることにより、値の大きさの組み合わせの区分のそれぞれについて適合度を算出する。図10の141の例では、「Middle」-「Small」の区分の適合度は0.7×0.4=0.28、「Middle」-「Middle」の区分の適合度は0.7×0.6=0.42となる。また、「Large」-「Small」の区分の適合度は0.3×0.4=0.12、「Large」-「Middle」の区分の適合度は0.3×0.6=0.18となる。その他の区分の適合度は0.0となる。
次に、安定指数算出部201は、値の大きさの組み合わせの各区分について、安定時関係指標に、当該区分について算出した適合度を乗じて、当該区分における安定指数を算出する。図6の131の例では、「Middle」-「Middle」の区分の関係指標が0.35、「Large」-「Small」の区分の関係指標が0.8、他の区分の関係指標は0.0である。よって、「Middle」-「Middle」の区分の安定指数は0.35×0.42=0.147、「Large」-「Small」の区分の安定指数は0.12×0.8=0.096となる。
そして、安定指数算出部201は、各区分の安定指数を合計して、v1、v2のセンサデータが測定されたときの安定指数とする。つまり、図10の142の例における安定指数は、0.147+0.096=0.243となる。安定指数算出部201は、以上の処理を全てのセンサSの組み合わせについて行い、各組み合わせについて算出された安定指数の和を、時刻tにおける安定指数とする。
このようにして算出した安定指数は、データ取得部101が取得したセンサデータの分布状況が、ごみ焼却プラントPが安定した稼働状態であるときのセンサデータの分布状況に類似しているほど大きい値となる。よって、安定指数は、ごみ焼却プラントPが安定した稼働状態であるときのセンサデータの分布状況と、データ取得部101が取得したセンサデータの分布状況との類似度を示すものであるといえる。
また、安定指数算出部201は、センサデータの時系列変化を考慮して安定指数を算出することもできる。例えば、安定指数算出部201は、時系列のセンサデータの重心位置を算出し、その重心位置を用いて安定指数を算出してもよい。これについて、図10の143に基づいて説明する。図10の143の例では、時刻t1、t2、t3において、センサS1、S2により、センサデータ(v11,v21)、(v12,v22)、(v13,v23)が計測されたことを想定している。
この場合、安定指数算出部201は、(v11,v21)、(v12,v22)、(v13,v23)の重心(v1’,v2’)を算出する。この後、安定指数算出部201は、v1とv2を用いて安定指数を算出した上記の例と同様の演算により、時刻t1~t3における安定指数を算出することができる。
このように、安定指数算出部201は、所定期間に計測された複数のセンサデータを用いて、当該期間におけるごみ焼却プラントPの状態を示すデータ(上記の例では重心位置の座標)を算出し、このデータを用いて安定指数を算出してもよい。これにより、安定指数算出部201は、当該期間におけるセンサデータの時系列変化を考慮して安定指数を算出することができる。
なお、安定指数の代わりに、データ取得部101が取得したセンサデータの分布状況と、ごみ焼却プラントPが不安定な稼働状態であるときのセンサデータの分布状況とが、全体としてどの程度類似しているかを示す不安定指数を算出する構成としてもよい。また、データ取得部101が取得したセンサデータの分布状況と、ごみ焼却プラントPが不安定な稼働状態であるときのセンサデータの分布状況との乖離度を示す情報を安定指数としてもよい。このように、安定指数あるいは不安定指数を算出する際に基準とする稼働状態は、安定状態であってもよいし、不安定状態であってもよい。
異常検出部202は、安定指数算出部201が算出する安定指数に基づいて、ごみ焼却プラントPの異常を検出する。なお、異常検出部202が検出対象とする異常には、ごみ焼却プラントPの不安定状態の他、ごみ焼却プラントPの状態が不安定化する傾向が表れている状態も含まれる。
異常検出部202は、安定指数が所定の閾値以下となったときに異常が発生したと判定してもよい。また、異常検出部202は、安定指数の変化率に基づいて異常の有無を判定してもよい。例えば、異常検出部202は、安定指数が短時間に急激に低下したときに、異常が発生したと判定してもよいし、所定期間継続的に安定指数が低下しているときに異常が発生したと判定してもよい。
そして、異常検出部202は、異常が発生している可能性があると判定した場合には、オペレータ等にその旨報知する。報知の態様は特に限定されず、例えば、異常検出部202は、異常が検出されたことを示す情報を出力部13に表示させることにより報知してもよい。なお、異常の有無の判定と報知を別の処理ブロックで実行する構成としてもよい。
続いて、情報処理装置1Bが実行する処理(情報処理方法)の流れを説明する。なお、ST21およびST26の処理は、図8のST11およびST16の処理と同様であるから、以下ではST22~ST25の処理について説明する。
ST22では、安定指数算出部201が、ST21で取得されたセンサデータの各区分に対する適合度を算出する。具体的には、図10に基づいて説明したとおり、安定指数算出部201は、センサSの各組み合わせについて、ST21で取得されたセンサデータと、「Small」、「Middle」、「Large」の3つの区分との適合度をそれぞれ算出する。そして、安定指数算出部201は、算出した適合度を掛け合わせて、ST21で取得されたセンサデータと「Small」-「Small」~「Large」-「Large」の9つの区分との適合度をそれぞれ算出する。
ST23(状態情報生成ステップ)では、安定指数算出部201は、ST22で算出した適合度を用いてゴミ焼却プラントPの状態を示す安定指数を算出する。具体的には、図10に基づいて説明したとおり、安定指数算出部201は、ST22で算出した適合度を安定時関係指標に乗じる演算により安定指数を算出する。
そして、ST24では、異常検出部202が、ST23で算出された安定指数に基づいて異常の有無を判定する。ST24で異常ありと判定された場合(ST24でYES)にはST25の処理に進み、ST25では異常検出部202が異常を検出したことをオペレータ等に報知する。一方、ST24で異常なしと判定された場合(ST24でNO)にはST26の処理に進む。
なお、ST23では、安定指数算出部201は、全体の安定指数に加えて、一部のセンサSの組み合わせについての安定指数も算出してもよい。この場合、ST24では、異常検出部202は、全体の安定指数からは異常なしと判断した場合に、一部のセンサSの組み合わせについての安定指数から異常の有無を再判定してもよい。これにより、全体からは異常の兆候が読み取りにくいが、一部のセンサSの出力値には異常の兆候が表れている場合にも、異常検出することができる。
(機械学習について)
異常検出部202は、関係指標算出部103が算出した関係指標と、ごみ焼却プラントPの状態との関係を機械学習することにより構築した学習済みモデルを用いてごみ焼却プラントPの異常を検出してもよい。この場合、安定指数算出部201は省略し、関係指標を上記学習済みモデルに入力して、ごみ焼却プラントPが異常であるか否かを示す情報を出力する異常検出部202が、状態情報生成部として機能する。
上記機械学習では、例えば、ごみ焼却プラントPが正常に稼働しているときに取得されたセンサデータから算出された関係指標と、ごみ焼却プラントPに異常が発生する所定時間前に取得されたセンサデータから算出された関係指標を教師データとしてもよい。このような機械学習により構築された学習済みモデルに、関係指標算出部103が算出した関係指標を入力すれば、ごみ焼却プラントPが正常に稼働している可能性を示す出力値と、所定時間後に異常が発生する可能性を示す出力値とを得ることができる。
この場合、異常検出部202は、例えば、正常に稼働している可能性を示す出力値が所定の閾値未満である場合に、稼働状態が異常であると検出することができる。また、異常検出部202は、例えば、所定時間後に異常が発生する可能性を示す出力値が閾値以上である場合に、異常発生の予兆があると検出することができる。
〔実施形態3〕
本実施形態では、取得されたセンサデータの値の推移から、その後のセンサデータの値を予測し、予測したセンサデータの値に基づいて異常検出する例を説明する。本実施形態の情報処理装置1Cについて図11に基づいて説明する。図11は、情報処理装置1Cの構成とセンサデータの値の予測方法の概要を示す図である。なお、情報処理装置1Cにおいて、制御部10C以外の構成は情報処理装置1A(図1参照)と同様であるから、図11には制御部10Cの構成を示している。
情報処理装置1Cは、実施形態2の情報処理装置1B(図9参照)と比べて、データ予測部301を備えている点で相違している。データ予測部301は、データ取得部101が取得したセンサデータの値の推移に基づいて、その後のセンサデータの値の予測値を算出する。そして、区分部102は上記予測値を区分し、関係指標算出部103は当該区分に基づいて関係指標を算出するから、安定指数算出部201は、上記予測値に基づいて、ごみ焼却プラントPの未来の状態を示す安定指数を算出することができる。この安定指数を用いることにより、ごみ焼却プラントPの運転状態が不安定化する前の段階で、不安定化を防ぐための措置を取ることが可能になる。
図11に示す相関マップM311のS1-S4の区画には、センサS1の出力したセンサデータの値と、センサS4の出力したセンサデータの値の組み合わせた座標をプロットしている。そして、同図に矢印で示すように、プロットされた点は、時系列順で後のデータに対応する点ほど、同区画の右下側の位置となっている。よって、データ予測部301は、この傾向に基づいて未来の点の位置(センサS1とS4の出力するセンサデータの値の組)を予測することができる。例えば、データ予測部301は、現時点までの時系列のプロット点の座標から近似曲線を求め、その近似曲線から未来のプロット点の座標を算出してもよい。
また、例えば、データ予測部301は、現時点までの時系列のセンサデータ(センサデータの時系列変化の傾向を示すトレンドデータ)から、未来のセンサデータの値の予測値を算出してもよい。この場合、例えば直近の所定時間(例えば30分間)に測定されたセンサデータを用いればよい。
予測値の算出後の処理は、実施形態2と同様である。なお、情報処理装置1Cの制御部10Cに実施形態1で説明したマップ生成部104を含めてもよい。この場合、データ予測部301が算出した予測値に基づき、ごみ焼却プラントPの未来の状態を示す相関マップを作成することができる。
〔実施形態4〕
本実施形態では、センサSの故障を検出する機能と、ごみ焼却プラントPの異常が検出されたときに、その原因を判定する機能を備えた情報処理装置1Dについて説明する。図12は、情報処理装置1Dの構成例を示すブロック図である。なお、情報処理装置1Dにおいて、制御部10D以外の構成は情報処理装置1A(図1参照)と同様であるから、図12には制御部10Dの構成を示している。
情報処理装置1Dは、実施形態2の情報処理装置1B(図9参照)と比べて、センサ故障検出部401と原因判定部402とプラント制御部403を備えている点で相違している。なお、センサ故障検出部401と原因判定部402およびプラント制御部403とは協働するものではないから、何れかを省略してもよい。また、原因判定部402を設けてプラント制御部403を省略してもよい。また、センサ故障検出部401は、実施形態1の情報処理装置1Aに含めることもできる。
センサ故障検出部401は、複数のセンサSの各組について算出された各関係指標に基づいて、故障が発生しているセンサSを検出する。この検出は、複数のセンサSの中に、故障したセンサSが含まれているときには、故障したセンサSの出力するセンサデータを用いて算出された関係指標が、正常範囲から外れることを利用して行えばよい。例えば、センサ故障検出部401は、安定指数算出部201にセンサSごとの安定指数を算出させて、算出された安定指数が閾値以下となったセンサSを、故障が発生しているセンサSとして検出してもよい。
原因判定部402は、複数のセンサSの各組について算出された各関係指標に基づいて、ごみ焼却プラントPが安定指数算出部201の算出した安定指数が示す状態となった原因を判定する。これにより、原因に応じた適切な措置を取り、ごみ焼却プラントPの状態をより好ましいものとすることができる。
より詳細には、原因判定部402は、異常検出部202が、異常ありと判定したときに、不安定化の原因を判定する。そして、プラント制御部403が、原因判定部402の判定結果に応じた制御を行うことにより、ごみ焼却プラントPの状態を安定化させる。なお、原因判定部402は、判定結果を表示出力等してオペレータ等に報知してもよく、この場合オペレータの手動操作によりごみ焼却プラントPの状態を安定化させる。
原因の判定には、関係指標と原因との相関関係を利用する。例えば、ごみ焼却プラントPの状態が不安定化している場合に、関係指標によって示される後燃焼火格子温度と一次燃焼空気流量との関係が、「Small」と「Large」であれば、焼却炉へのごみの供給不足が原因である可能性が考えられる。よって、原因判定部402は、後燃焼火格子温度を示すセンサSの出力するセンサデータと一次燃焼空気流量を示すセンサSの出力するセンサデータとが「Small」と「Large」の関係にある場合に、焼却炉へのごみの供給不足が原因と判定することができる。このように、関係指標は、全体としてごみ焼却プラントPの状態を示す情報として利用できると共に、関係指標の各部分の解析結果は、不安定化の原因特定等にも利用できる。
プラント制御部403は、ごみ焼却プラントPの動作を制御する。例えば、プラント制御部403は、ごみ焼却プラントPに含まれる各種装置の動作を制御する制御装置に対して制御を行うことにより、ごみ焼却プラントPの動作を制御してもよい。
また、プラント制御部403は、複数のセンサSの各組について算出された各関係指標が所定の条件を充足する場合に、ごみ焼却プラントPを正常状態に遷移させるための動作をごみ焼却プラントPに実行させる設備制御部として機能する。これにより、ごみ焼却プラントPの状態を自動的に安定化させることができる。
具体的には、プラント制御部403は、上述のように、原因判定部402の判定結果に応じた制御を行うことにより、ごみ焼却プラントPの状態を安定化させる。原因判定部402は、複数のセンサSの各組について算出された各関係指標が所定の条件を充足する場合にその条件に対応する原因を特定するから、プラント制御部403は、上記条件が充足される場合に制御を行うことになる。原因ごとの制御内容は予め定めておけばよい。例えば、焼却炉へのごみの供給不足が原因である場合には、プラント制御部403は、焼却炉にごみを供給させる制御を行えばよい。なお、原因判定部402を省略し、プラント制御部403が、所定の条件が充足されているか否かの判定を行うようにしてもよい。
〔変形例〕
上記各実施形態で説明した各処理の実行主体は、適宜変更することが可能である。例えば、図8のST14以外の処理を情報処理装置1A以外の1または複数の装置に行わせてもよい。例えば、ST11およびST12の処理を他の情報処理装置に行わせ、ST13の処理をさらに他の情報処理装置に行わせてもよい。この場合、情報処理装置1Aは、さらに他の情報処理装置が算出した関係指標を取得してマップを生成する。図9のフローチャートも同様であり、各処理の実行主体は、適宜変更することが可能である。
また、センサデータをLarge、Middle、Small等の集合に区分する構成は、センサデータの分布の態様を表現するための一手法であり、センサデータの分布の態様を表現可能な他の手法で置換可能である。
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1A~1Dの制御ブロック(特に制御部10A~10Dに含まれる各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、情報処理装置1A~1Dは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1A~1D 情報処理装置
101 データ取得部
102 区分部
103 関係指標算出部
104 マップ生成部(状態情報生成部)
201 安定指数算出部(状態情報生成部)
301 データ予測部
401 センサ故障検出部
402 原因判定部
403 プラント制御部(設備制御部)
P ごみ焼却プラント(機械設備)
S センサ

Claims (12)

  1. 機械設備に設けられた複数のセンサの所定期間における出力値であるかまたは該出力値を用いて算出された数値であるセンサデータを取得するデータ取得部と、
    複数の上記センサのうちの2つからなるセンサの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサについて取得された各センサデータの分布状況に基づいて算出する関係指標算出部と、
    複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標を用いて、上記所定期間における上記機械設備の状態を示す情報を生成する状態情報生成部と、を備え
    上記状態情報生成部は、複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標の値に応じたパターンが、画像平面上に規定された上記各組に対応する各区画に描画された画像を、上記機械設備の状態を示す情報として生成する、ことを特徴とする情報処理装置。
  2. 機械設備に設けられた複数のセンサの所定期間における出力値であるかまたは該出力値を用いて算出された数値であるセンサデータを取得するデータ取得部と、
    複数の上記センサのうちの2つからなるセンサの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサについて取得された各センサデータの分布状況に基づいて算出する関係指標算出部と、
    複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標を用いて、上記所定期間における上記機械設備の状態を示す情報を生成する状態情報生成部と、
    上記センサデータをその値の大きさにより複数の集合に区分する区分部と、を備え、
    上記関係指標算出部は、複数の上記集合のそれぞれに区分されている上記センサデータの度数から上記関係指標を算出し、
    上記状態情報生成部は、上記データ取得部が取得したセンサデータの分布状況と、上記機械設備が基準となる稼働状態であるときの上記センサデータの分布状況との類似度を示す情報を、上記機械設備の状態を示す情報として生成する、ことを特徴とする情報処理装置。
  3. 上記区分部は、複数のファジィ集合に上記センサデータを振り分けることにより、当該センサデータを区分することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 上記データ取得部が取得したセンサデータの値の推移に基づいて、その後のセンサデータの値の予測値を算出するデータ予測部を備え、
    上記状態情報生成部は、上記予測値に基づいて、上記機械設備の未来の状態を示す情報を生成することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の情報処理装置。
  5. 複数の上記センサの各組について算出された各関係指標に基づいて、上記機械設備が上記状態情報生成部の生成した情報が示す状態となった原因を判定する原因判定部を備えていることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の情報処理装置。
  6. 複数の上記センサの各組について算出された各関係指標が所定の条件を充足する場合に、上記機械設備を正常状態に遷移させるための動作を上記機械設備に実行させる設備制御部を備えていることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の情報処理装置。
  7. 複数の上記センサの各組について算出された各関係指標に基づいて、故障が発生しているセンサを検出するセンサ故障検出部を備えていることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の情報処理装置。
  8. 機械設備の運転を支援する運転支援システムであって、
    情報処理装置と、
    上記機械設備に設けられた複数のセンサと、を含み、
    上記情報処理装置は、上記複数のセンサの所定期間における出力値であるかまたは該出力値を用いて算出された数値であるセンサデータを取得し、複数の上記センサのうちの2つからなるセンサの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサについて取得された各センサデータの分布状況に基づいて算出し、複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標を用いて、上記所定期間における上記機械設備の状態を示す情報を生成し出力し、
    上記情報処理装置は、複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標の値に応じたパターンが、画像平面上に規定された上記各組に対応する各区画に描画された画像を、上記機械設備の状態を示す情報として生成する、ことを特徴とする運転支援システム。
  9. 情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
    機械設備に設けられた複数のセンサの所定期間における出力値であるかまたは該出力値を用いて算出された数値であるセンサデータを取得するデータ取得ステップと、
    複数の上記センサのうちの2つからなるセンサの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサについて取得された各センサデータの分布状況に基づいて算出する関係指標算出ステップと、
    複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標を用いて、上記所定期間における上記機械設備の状態を示す情報を生成する状態情報生成ステップと、を含み、
    上記状態情報生成ステップでは、複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標の値に応じたパターンが、画像平面上に規定された上記各組に対応する各区画に描画された画像を、上記機械設備の状態を示す情報として生成する、ことを特徴とする情報処理方法。
  10. 請求項1に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、上記データ取得部、上記関係指標算出部、および上記状態情報生成部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
  11. 情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
    機械設備に設けられた複数のセンサの所定期間における出力値であるかまたは該出力値を用いて算出された数値であるセンサデータを取得するデータ取得ステップと、
    複数の上記センサのうちの2つからなるセンサの組の関係性を示す関係指標を、当該組に係るセンサについて取得された各センサデータの分布状況に基づいて算出する関係指標算出ステップと、
    複数の上記センサの各組について算出された上記関係指標を用いて、上記所定期間における上記機械設備の状態を示す情報を生成する状態情報生成ステップと、
    上記センサデータをその値の大きさにより複数の集合に区分する区分ステップと、を含み、
    上記関係指標算出ステップでは、複数の上記集合のそれぞれに区分されている上記センサデータの度数から上記関係指標を算出し、
    上記状態情報生成ステップでは、上記データ取得ステップで取得されたセンサデータの分布状況と、上記機械設備が基準となる稼働状態であるときの上記センサデータの分布状況との類似度を示す情報を、上記機械設備の状態を示す情報として生成する、ことを特徴とする情報処理方法
  12. 請求項2に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、上記データ取得部、上記関係指標算出部、上記状態情報生成部、および上記区分部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
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