以下、実施形態の末端圧力制御支援装置、末端圧力制御支援方法及びコンピュータプログラムを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における配水システム100のシステム構成の具体例を示す図である。配水システム100は、末端圧力制御支援装置1、監視制御システム2、1以上の配水場3、1以上の末端圧力計測装置4を備え、配水管網5を介して水を1以上の需要家6に供給するシステムである。図1は、1以上の配水場の例として配水場3-1及び3-2を示し、1以上の末端圧力計測装置4の例として末端圧力計測装置4-1及び4-2を示し、1以上の需要家6の例として需要家6-1~6-3を示す。配水場3、末端圧力計測装置4及び需要家6の数は、図1の例と異なってもよい。末端圧力制御支援装置1、監視制御システム2、各配水場3、各末端圧力計測装置4のそれぞれは、互いに通信可能に構成される。配水システム100には、送水場等の送水施設(不図示)が含まれていても良い。
末端圧力制御支援装置1は、配水場3を監視又は制御する監視制御システム2に対して、その制御又は監視を支援する情報(以下「支援情報」という。)を提供する。具体的には、末端圧力制御支援装置1は、各末端圧力計測装置4から配水管網5の末端圧力の計測値を示す末端圧力情報を取得する。末端圧力制御支援装置1は、各配水場3から各配水場に関する諸量(以下「配水場諸量」という。)を示す配水場情報を取得する。配水場情報は、配水管網に水を配水する配水場の運転状態を示す。配水場情報には、例えば、配水場又は送水場における配水流量、配水の吐出圧力等の配水場又は送水場等で取得された計測値が含まれる。末端圧力制御支援装置1は、監視制御システム2から配水システム100における情報(以下「監視情報」という。)を取得する。監視情報は、配水管網5から需要家6に水を配水する配水システム100の監視の結果を示す。監視情報は、設けられたセンサの種類に応じて異なる情報が含まれる。設けられるセンサは、事業者に応じて異なる。例えば、配水管網の一部に水の流れを遮断するための止水バルブの開度を示すセンサ、管内水圧を途中で変更するためのバルブとその開度を示すセンサ、管内水圧又は管内流量を示すセンサ等が設置される。センサはこれらに限定されずどのようなセンサが設置されてもよい。末端圧力制御支援装置1は、取得した末端圧力情報、配水場情報及び監視情報に基づいて支援情報を生成する。例えば、支援情報には、配水管網5の各末端における末端圧力の推定値が含まれる。また、支援情報には、末端圧力の推定値に基づいて生成された情報や、末端圧力の推定値に基づく判定結果等が含まれてもよい。
監視制御システム2は、末端圧力制御支援装置1から提供される支援情報を用いて配水場3を監視又は制御するシステムである。例えば、監視制御システム2は、各配水場3における配水ポンプの稼働台数や出力強度の調整や、水の供給源である配水池の水位の監視等を行う。
配水場3は、需要家6に供給する水を貯える配水池や、配水池の水を配水管網5に送り出す配水ポンプ等の各種設備(不図示)を有し、配水池の水を配水管網5を介して各需要家6に供給する施設である。配水場3が有する各種設備は、監視制御システム2によって監視又は制御される。また、配水場3は、自施設において観測可能な諸量(配水場諸量)を示す配水場情報を末端圧力制御支援装置1に送信する。
一般に、配水管網5の末端圧力は、配水場3におけるポンプの吐出流量又は吐出圧力との相関性が高いと考えられる。そのため、配水場情報には少なくともポンプの吐出流量又は吐出圧力を示す情報が含まれる。また、配水管網5の末端圧力は、配水場3における配水池の水位にも相関すると考えられるため、配水場情報には配水池の水位を示す情報が含まれてもよい。
末端圧力計測装置4は、配水管網5の末端圧力を計測する装置である。末端圧力計測装置4は、配水管網5の末端に一時的に設けられる。末端とは、配水管網5において圧力が計測又は推定される場所である。末端の場所は予め指定される。例えば、末端は、配水管網5において、圧力が低くなる可能性又は危険性が高いと考えられる場所が指定されてもよい。例えば、末端は、末端における圧力が所定の閾値以上であれば配水管網5における他の地点でも需要家6に水を搬送できる程度の圧力が確保されると考えられる場所が指定されてもよい。例えば、末端は、他の末端の末端圧力を推定する推定モデルの精度を高めるうえで、高い寄与率を有すると考えられる場所であってもよい。なお、末端は、予め指定された場所であればどのような場所であってもよい。末端圧力計測装置4は、計測した末端圧力の計測値を示す末端圧力情報を末端圧力制御支援装置1に送信する。末端圧力とは、末端の圧力である。所定の閾値とは例えば、配水管網の他のどの場所よりも低い値であってもよいし、予め指定された値であってもよい。ユーザとは、例えば水道事業者であってもよいし、水道事業者から業務委託を受けた事業者であってもよい。末端圧力計測装置4は、第二圧力計測装置の一態様である。末端圧力計測装置4が設けられる場所は第二末端の一態様である。第二末端は、圧力が推定される場所である。
図2は、第1の実施形態の末端圧力制御支援装置1の機能構成の具体例を示すブロック図である。末端圧力制御支援装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。末端圧力制御支援装置1は、プログラムの実行によって通信部101、入力部102、表示部103、記憶部104及び制御部105を備える装置として機能する。なお、末端圧力制御支援装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
通信部101は、ネットワークインタフェースである。通信部101は監視制御システム2、配水場3及び末端圧力計測装置4と通信する。通信部101は、例えば無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Bluetooth(登録商標)又はLTE(Long Term Evolution)(登録商標)等の通信方式で通信してもよい。
入力部102は、タッチパネル、マウス及びキーボード等の入力装置を用いて構成される。入力部102は、入力装置を末端圧力制御支援装置1に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、入力部102は、入力装置において入力された入力信号から入力データ(例えば、末端圧力制御支援装置1に対する指示を示す指示情報)を生成し、末端圧力制御支援装置1に入力する。
表示部103は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の出力装置である。表示部103は、出力装置を末端圧力制御支援装置1に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部103は、映像データから映像信号を生成し自身に接続されている映像出力装置に映像信号を出力する。
記憶部104は、監視制御システム2に対して、支援情報を提供するために用いられる各種の情報を記憶する。記憶部104は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部104は、末端圧力情報記憶部106及び配水情報記憶部107を備える。
末端圧力情報記憶部106は末端圧力情報を記憶する。配水情報記憶部107は配水情報を記憶する。配水情報は、配水場情報と監視情報とを含む情報である。
制御部105は、末端圧力制御支援装置1の各部の動作を制御する。制御部105は、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部105は、プログラムを実行することによって、情報取得部108、末端圧力学習部109、末端圧力推定部110、出力部111、末端圧力推定説明部112、推定モデル更新部113及び画面生成部114として機能する。
情報取得部108は、支援情報を提供するために用いられる各種の情報を取得する。具体的には、情報取得部108は、各配水場3から配水場情報を取得する。情報取得部108は、監視制御システム2から監視情報を取得する。情報取得部108は、各末端圧力計測装置4から末端圧力情報を取得する。情報取得部108は、取得された配水場情報及び監視情報を配水情報記憶部107に記録する。情報取得部108は、取得された末端圧力情報を末端圧力情報記憶部106に記録する。情報取得部108は、配水場情報、監視情報及び末端圧力情報を所定のタイミングで繰り返して取得することによって、配水場情報、監視情報及び末端圧力情報を末端圧力情報記憶部106及び配水情報記憶部107に記録する。
末端圧力学習部109は、配水情報記憶部107に記録された配水情報と、末端圧力情報記憶部106に蓄積された末端圧力情報とを学習用データとして機械学習処理を行う。末端圧力学習部109には、教師あり学習によって識別器を生成又は更新するための機械学習技術が適用される。末端圧力学習部109は、学習用データに基づいて機械学習処理を行うことによって、配水情報に含まれる配水場情報と監視情報と配水管網5の末端圧力情報との関係性を学習する。より具体的には、末端圧力学習部109は、配水情報内の配水場情報と監視情報とを説明変数、配水管網5の末端圧力情報を目的変数として、これらの関係性を示す推定モデルを生成する。末端圧力学習部109は、生成された識別器を表すパラメータ等のデータを学習結果として末端圧力推定部110に出力する。以下、必要に応じて、上記関係性の学習を「末端圧力の学習」という。
末端圧力推定部110は、末端圧力学習部109によって学習された配水情報内の配水場諸量と監視情報と配水管網5の末端圧力との関係性に基づいて、与えられた配水情報に対応する末端圧力を推定する。末端圧力推定部110は、推定によって得られた末端圧力を示す推定末端圧力情報を出力部111に出力する。末端圧力推定部110は、末端圧力学習部109によって末端圧力の学習が行われた末端について、末端圧力を推定することができる。
出力部111は、末端圧力推定部110から出力される推定末端圧力情報に基づいて支援情報を生成する。出力部111は、生成した支援情報を監視制御システム2に送信する。
末端圧力推定説明部112は、末端圧力学習部109によって生成された推定モデルと、推定モデルによって推定された推定結果を説明する文章又は図表等を表す説明情報を生成する。末端圧力推定説明部112は、生成された説明情報を画面生成部114に出力する。
推定モデル更新部113は、入力部102を介してユーザからモデル更新指示を受け付ける。推定モデル更新部113は、モデル更新指示を受け付けた場合、モデル更新指示に基づいて、推定モデルを更新する。モデル更新指示は、例えば推定モデルを生成するために用いられた説明変数のうち、少なくとも1つを用いることなく推定モデルを生成する指示である。例えば、更新後の推定モデルは、末端圧力推定部110によって末端圧力の推定に用いられる。なお、推定モデルは、入力部102を介してモデル更新指示を受け付けることで任意のタイミングで更新可能である。
画面生成部114は、説明情報に基づいて、説明情報を可視化した画面情報を生成する。画面生成部114は生成された画面情報を表示部103に表示させる。
次に、第1の実施形態について、3つの配水場(第1配水場~第3配水場)と、1つの送水場とから送配水される配水管網において、推定地点の末端圧力の推定モデルを生成する場合の例について図3のフローチャートを用いて説明する。推定地点とは、末端圧力が推定される場所を表す。
図3は、第1の実施形態の末端圧力制御支援装置1の推定モデル生成の流れを示すフローチャートである。情報取得部108は、各末端圧力計測装置4から末端圧力情報を、各配水場3から配水場情報を、監視制御システム2から監視情報を取得する(ステップS101)。配水場情報とは、例えば、第1配水場の配水流量、第1配水場の第1管の吐出圧力、第1配水場の第2管の吐出圧力、第2配水場の配水流量、第2配水場の第1管の吐出圧力、第2配水場の第2管の吐出圧力、第3配水場の配水流量、第3配水場の第1管の吐出圧力、第3配水場の第2管の吐出圧力、送水場の配水流量、送水場の第1管の吐出圧力、送水場の第2管の吐出圧力である。監視情報とは、例えば、第1地点の止水バルブの開度である。
情報取得部108は、取得した末端圧力情報を末端圧力情報記憶部106に記録する。情報取得部108は、取得した配水場情報及び監視情報を配水情報記憶部107に記録する。このような情報の取得を一定期間、繰り返し実行することにより、末端圧力制御支援装置1は、末端圧力情報、配水場情報及び監視情報を蓄積する(ステップS102)。本実施形態では、一時間毎に取得された各情報が28日分蓄積されるものとして説明する。以下、蓄積された末端圧力情報、配水場情報及び監視情報を学習用データと呼ぶ。
末端圧力学習部109は、配水情報記憶部107に蓄積された過去の配水情報(配水場情報及び監視情報)を説明変数、過去の末端圧力情報記憶部106に蓄積された末端圧力情報を目的変数として、これらの関係性を学習することで推定モデルを生成する(ステップS103)。具体的には、末端圧力学習部109は、上述の13項目の配水情報及び配水情報が取得された時刻を説明変数、推定地点の末端圧力を目的変数として、機械学習によって推定モデルを生成する。本実施形態では、末端圧力学習部109は、決定木アルゴリズムを用いて推定モデルを生成する。末端圧力学習部109は、圧力学習部の一態様である。
末端圧力推定説明部112は、生成された推定モデルと、推定モデルによって推定された推定結果とを説明する文章又は図表等を表す説明情報を生成する。なお、ステップS103では、学習用データに対する推定結果に関する説明情報が生成される。画面生成部114は説明情報に基づいて生成された画面情報を表示部103に表示させる(ステップS104)。
図5は、第1の実施形態の推定モデルを表す決定木の一具体例を示す図である。決定木では、説明変数の値に対して閾値で判定することで末端圧力が推定される。決定木の終端ノードでは、推定地点の末端圧力の推定値が示される。決定木は、説明情報の一態様である。したがって、ユーザは、表示部103に表示された決定木を確認することで、推定地点における末端圧力の推定根拠を把握することができる。なお、図5の各ノード又は終端ノードには、学習用データのサンプル数が表示されていてもよいし、MSE(Mean Squared Error)の値が表示されていてもよい。
図6は、第1の実施形態の末端圧力の推定結果をまとめた推定結果テーブルである。図6に表される推定結果テーブルは、推定モデルに対して、学習用データから推定地点の末端圧力を除いた項目を入力として、推定地点の末端圧力を推定した結果をまとめたテーブルである。推定結果テーブルは、説明情報の一態様である。
推定結果テーブルは、日付及び時刻等の推定対象の日時に関するカラムを持つ。推定結果テーブルは、推定地点の実測値の圧力である実績圧力及び推定モデルに基づいて推定された推定地点の圧力である推定圧力のカラムを持つ。推定結果テーブルは、第1配水場の流量、第1配水場の第1管の吐出圧力、・・・、第1地点の止水バルブの開度等の説明変数として用いられる配水情報のカラムを持つ。末端圧力推定説明部112は、推定結果テーブルの日時毎の推定圧力に加えて、推定結果テーブルの各値に統計処理をした結果得られる推定精度(例えば、RMSE(Root Mean Squared Error)の値)を説明情報として生成する。推定結果テーブル及び推定精度は、表示部103に表示される。ユーザは、表示部103に表示された推定結果テーブルと推定精度とを確認することで、推定地点における末端圧力の推定精度を把握することができる。なお、推定結果テーブルは、学習用データを29日、評価データを1日としたleave-1outで推定された結果をまとめたテーブルであってもよい。
図7は、第1の実施形態の推定結果と推定モデルとを可視化した説明情報の一具体例を示す図である。図7は、画面生成部114が、生成された決定木、推定結果テーブル及び推定精度を示す説明情報を受け付けて、受け付けた説明情報を可視化した画面情報を生成し、生成した画面情報を表示部103に表示させる。図7の場合、ユーザは、入力部102を介して、推定結果テーブルの1行を選択することができる。末端圧力推定説明部112は、選択を受け付けると、選択された行の色が変更された説明情報を生成する。また、末端圧力推定説明部112は、選択された行に相当する決定木のパスを強調表示させる説明情報を生成する。画面生成部114は、説明情報に基づいて、表示部103に表示された画面の色を変更する。図7の場合、推定結果テーブルの第2行が選択されたことがわかる。図7の場合、決定木のパスは、第3配水場_流量のノードではFalseを経由して、第1配水場_第2管の吐出圧力のノードではTrueを経由したことがわかる。図7の場合、推定された末端圧力の値は0.3824であることがわかる。強調表示とは例えば、線を太線としてもよいし、色又は明るさを変更してもよいし、どのような態様で表示されてもよい。このように、推定モデルの中身を可視化し、かつ推定結果と連動した見せ方をすることで、ユーザの納得度を高めることができる。
図3に戻って、フローチャートの説明を続ける。図5に示されるような決定木の層が深くなると、末端圧力推定部110は、多くの条件の組み合わせで末端圧力を推定する。このため、決定木の層が深くなると、推定モデルを可視化したとしても、ユーザにとっては短時間で推定モデルの中身や推定結果の根拠を把握することが容易ではなくなる。そのため、ユーザに対する効率化のためには、決定木の層は深くない方が望ましい。また、説明変数の数が多い場合、決定木の層が深くなりやすい。このような場合、ユーザはよりシンプルで理解しやすい推定モデルを望む場合、推定モデル更新部113は、入力部102を介して、生成されたモデルに対するモデル更新指示を受け付けてもよい。
推定モデル更新部113は、入力部102を介してユーザから推定モデルに対するモデル更新指示を受け付けたか否か判定する(ステップS105)。モデル更新指示を受け付けていない場合(ステップS105:YES)、推定モデル更新部113は、処理を終了し、生成された推定モデルが末端圧力推定部110で使用される。
モデル更新指示を受け付けた場合(ステップS105:NO)、推定モデル更新部113は、モデル更新指示に基づいて、推定モデルを更新する(ステップS106)。具体的には、ユーザは、モデル更新指示として対象としている配水システムや配水管網に関する知見及び経験に基づいて、説明変数の一部を使用しないことを指示する。なお、推定モデル更新部113は、機械学習による推定モデル学習時に寄与率又は推定精度の結果に基づいて、説明変数の一部を使用しないことに関する判断をすることは可能である。しかし、推定モデル更新部113にとって根拠となる統計的な情報に基づいて判断することは難しい場合がある。特に、末端圧力学習部109が限られた期間のデータに基づいて推定モデルを生成した場合、過学習となり、結果的に汎化推定精度を悪化させる可能性がある(データ上は目的変数と相関がある説明変数でも、実際には関係性はなく、考慮すべきではない場合もある)。本実施形態では、ユーザの知見や経験に基づいて、ユーザからモデル更新指示を受け付けることで、過学習を防ぎ、汎化性能を高めることができる。
例えば、推定モデル更新部113が、第1配水場の第2管の吐出圧力と第2配水場の第2管の吐出圧力とは考慮しないことを表すモデル更新指示を受け付けた場合について説明する。ユーザは、例えば、配水管網における接続の状況から、推定地点の末端圧力を推定するにあたって、第1配水場の第2管の吐出圧力と第2配水場の第2管の吐出圧力との情報は不要であると考えた場合、推定モデルを可視化した決定木から、第1配水場の第2管の吐出圧力と第2配水場の第2管の吐出圧力とを除外するモデル更新指示を入力部102を介して入力する。
推定モデル更新部113は、入力部102を介して表示部103に表示された説明変数が選択されることで、モデル更新指示を受け付ける。推定モデル更新部113は、モデル更新指示に基づいて、学習用データから選択された説明変数を除外し、再度推定モデルを学習することで推定モデルを更新する。
図8は、第1の実施形態の更新後の決定木の可視化の一具体例を示す図である。図8は、図5の決定木に対して、第1配水場の第2管の吐出圧力と第2配水場の第2管の吐出圧力とは考慮しないことを表すモデル更新指示を受け付けた際に生成された決定木を表す。図8に示されるように、更新後の推定モデルは、層の数は5層である。更新前の推定モデルは6層である。このように、推定モデル更新部113は、モデル更新指示に基づいて推定モデルを更新することで、推定モデルの層の数が減る。したがって、推定モデルを更新することによって、ユーザがより理解しやすい推定モデルを生成できる。なお、ユーザは、変更された推定モデルに対してさらにモデル更新指示を入力してもよい。
図4は、第1の実施形態の末端圧力制御支援装置1の支援情報生成の流れを示すフローチャートである。情報取得部108は、各配水場3から現在の配水場情報を取得する(ステップS201)。情報取得部108は、監視制御システム2から現在の監視情報を取得する(ステップS202)。末端圧力推定部110は、末端圧力学習部109によって生成された推定モデルと取得された配水場情報と監視情報とに基づいて現在の末端圧力を推定する(ステップS203)。末端圧力推定説明部112は、推定された推定結果と推定根拠とを表す文章又は図表等を表す説明情報を生成する。なお、ステップS204では、取得された現在の配水場情報と監視情報に対する推定結果に関する説明情報が生成される。画面生成部114は説明情報に基づいて生成された画面情報を表示部103に表示させる(ステップS204)。出力部111は、末端圧力推定部110から出力される推定末端圧力情報に基づいて支援情報を生成する。出力部111は、生成された支援情報を監視制御システム2に送信する(ステップS205)。
このように構成された末端圧力制御支援装置1によれば、末端圧力推定説明部112によって生成された説明情報を、表示部103に表示させることで、ユーザに対して推定モデルの中身を可視化し、かつ推定結果と連動した見せ方をすることができる。したがって、ユーザは、推定結果に対するの納得度を高めることができる。また、ユーザは、末端圧力制御支援装置1又はその支援情報を活用した監視制御システム2等を導入又は使用しやすくなる。また、推定モデル更新部113は、モデル更新指示を受け付けることで、推定モデルを更新する。このように構成されることで、ユーザは、自身の知見又は経験に基づいて、説明変数を減らすことができる。したがって、末端圧力学習部109は、推定モデルの過学習を防ぐことができる。末端圧力推定部110は、推定モデルの学習に使用されていない未知のデータに対する汎化性能を高めることができるため、より精度よく末端圧力を推定できる。その結果、配水システム100は、余剰末端圧力の削減、漏水箇所の推定又は末端圧力制御等をより効率的に運用することができる。また、ユーザの知見又は経験に基づいて説明変数が減らされた推定モデルであるため、推定精度は維持され、推定モデルが可視化された時に人間が理解しやすくなる。
(第1の実施形態の変形例)
モデル更新指示は、推定精度の悪化率又は悪化量、あるいは最低限必要とする推定精度の閾値又は許容値を制約として指定されてもよい。この場合、推定モデル更新部113は、更新後の推定モデルが制約を満たさない場合、推定モデルを可視化するとともに警報を発報する。警報は、例えば、警告音を出力してもよいし、推定精度が悪化すること又は最低限必要とする推定精度を満たさない等の文字列を表示部103に表示させてもよい。このように構成されることで、推定モデルを変更することで、推定性能が変化した場合であっても、モデル更新指示を入力するか否かをユーザに考えてもらうきっかけを与えることができ、推定性能を維持することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態における末端圧力制御支援装置1aについて説明する。図9は、第2の実施形態の末端圧力制御支援装置1aの機能構成の具体例を示すブロック図である。第2の実施形態における末端圧力制御支援装置1aは、記憶部104及び制御部105の代わりに記憶部104a及び制御部105aを備える点で第1の実施形態とは異なるが、それ以外の構成は同じである。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。
記憶部104aは、監視制御システム2に対して、支援情報を提供するために用いられる各種の情報を記憶する。記憶部104aは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部104aは、末端圧力情報記憶部106a及び配水情報記憶部107aを備える。
末端圧力情報記憶部106aは推定地点の位置情報と末端圧力情報とを記憶する。位置情報は、住所又は緯度・経度等の物理的な位置を表す情報である。配水情報記憶部107aは配水情報と各説明変数の場所を表す位置情報とを記憶する。
制御部105aは、末端圧力制御支援装置1aの各部の動作を制御する。制御部105aは、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部105aは、プログラムを実行することによって、情報取得部108、末端圧力学習部109、末端圧力推定部110、出力部111、末端圧力推定説明部112a、推定モデル更新部113及び画面生成部114として機能する。
末端圧力推定説明部112aは、末端圧力学習部109によって生成された推定モデルと、推定モデルによって推定された推定結果を説明する文章又は図表等を表す説明情報を生成する。また、末端圧力推定説明部112aは、推定に用いられた配水場情報、監視情報等の説明変数及び末端圧力情報等の目的変数が配水管網5のどのような場所にあるかを可視化する配水管網5の地図を含む説明情報を生成する。末端圧力推定説明部112aは、生成された説明情報を画面生成部114に出力する。
具体的には、画面生成部114は、生成された説明情報に基づいて地図上に配水場情報、監視情報及び末端圧力情報と紐づく場所に所定のシンボルを表示する画面情報を生成し、表示部103に表示させる。末端圧力推定説明部112aは、末端圧力情報記憶部106a又は配水情報記憶部107aに配水管網5の管路、節点の位置及び接続情報等の情報が記録されている場合、それらを併せて地図上に表示させる説明情報を生成してもよい。表示部103に表示された地図の画面情報は、図7に示される推定結果及び推定モデルの表示と連動する。すなわち、入力部102を介して、ある推定結果が選択された場合、図7のように推定根拠を示した推定モデルが可視化された図の一部が強調表示される。末端圧力推定説明部112aは、選択された推定結果を得た際の各説明変数の値を、地図上で紐づくシンボルに付随するように表示部103に表示させる説明情報を生成する。さらに末端圧力推定説明部112aは、推定根拠に相当する第1配水場と第3配水場と推定地点のシンボルとこれらに付随して表示されている値とを強調表示させる説明情報を生成する。
また、末端圧力推定説明部112aは、決定木のノードの1つが選択された場合、ルートノードから選択されたノードに至るまでのパスに存在するノード及び矢印が強調表示させる説明情報を生成する。末端圧力推定説明部112aは、地図上でそれらのノードに関連するシンボルを強調表示させ、シンボルに付随してそれらの紐づくノードにおける分岐条件を表示させる説明情報を生成する。
このように構成された末端圧力制御支援装置1aによれば、末端圧力推定説明部112aによって生成された地図を含む説明情報を、表示部103に表示させる。ユーザは、推定モデルの中身と推定結果と地図とを連動して確認することで、推定結果に対する納得度を一層高めることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態における末端圧力制御支援装置1bについて説明する。図10は、第3の実施形態の末端圧力制御支援装置1bの機能構成の具体例を示すブロック図である。第3の実施形態における末端圧力制御支援装置1bは、記憶部104及び制御部105の代わりに記憶部104b及び制御部105bを備える点で第1の実施形態とは異なるが、それ以外の構成は同じである。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。
記憶部104bは、監視制御システム2に対して、支援情報を提供するために用いられる各種の情報を記憶する。記憶部104bは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部104bは、末端圧力情報記憶部106、配水情報記憶部107及び決定条件記憶部115を備える。
決定条件記憶部115は、アルゴリズム決定条件を記録する。アルゴリズム決定条件は、予めユーザによって与えられる。アルゴリズム決定条件は、末端圧力学習部109bが推定モデルを生成するために用いるアルゴリズムを決定するための条件を表す。アルゴリズム決定条件は、例えば、優先順位、同順位みなし差分値及び制約の項目が指定される。優先順位は、アルゴリズムが決定される上で、どのような項目を優先するかを定める。優先順位は、例えば、推定モデルの理解しやすさ、推定精度、計算時間のうちから選択される。例えば、優先順位として推定精度が選択された場合、推定精度の優れたアルゴリズムが決定される。同順位みなし差分値は、アルゴリズム間で推定精度の差分がどの程度なら同順位とみなすか、同じく計算時間の差分がどの程度なら同率とみなすかを決定する値である。制約は、推定精度の下限値、計算時間の上限値等の閾値を表す。なお、同順位みなし許容値と制約はオプション項目である。すなわち、アルゴリズム決定条件として、優先順位が定められていればよい。また、優先順位の項目は一例である。優先順位は、推定モデルの理解しやすさ、推定精度や計算時間以外にもアルゴリズムを順位付けするための項目が含まれても良い。
制御部105bは、末端圧力制御支援装置1bの各部の動作を制御する。制御部105bは、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部105bは、プログラムを実行することによって、情報取得部108、末端圧力学習部109b、末端圧力推定部110、出力部111、末端圧力推定説明部112、推定モデル更新部113、画面生成部114及びアルゴリズム決定部116として機能する。
末端圧力学習部109bは、あらかじめ記録された複数の機械学習アルゴリズムに関して、各アルゴリズムを用いて推定モデルを生成する。例えば、末端圧力制御支援装置100bに、ランダムフォレストアルゴリズム、決定木アルゴリズム及びディープラーニングのアルゴリズムが記録されている場合、末端圧力学習部109bは、ランダムフォレストアルゴリズムを用いた推定モデル、決定木アルゴリズムを用いた推定モデル及びディープラーニングを用いた推定モデルを生成する。
次に、末端圧力学習部109bは、生成された推定モデルに対して学習用データを用いることで、推定精度及び計算速度の算出シミュレーションを実施する。末端圧力学習部109bは、シミュレーションの結果に基づいて機械学習アルゴリズム毎に推定精度と計算速度とを重みづけする。なお、末端圧力学習部109bは、推定精度の算出において、学習用データと評価データとを分けることが望ましいが、分けずに算出してもよい。一般的に、推定精度は、決定木アルゴリズムよりもランダムフォレストの方が高いと言われている。一方、ランダムフォレストアルゴリズムよりも決定木アルゴリズムの方が人間にとってより理解しやすい。
アルゴリズム決定部116は、決定条件記憶部115からアルゴリズム決定条件を取得する。アルゴリズム決定部116は、アルゴリズム決定条件に基づいて、末端圧力学習部109bによって生成された複数の推定モデルの中から、1つの推定モデルを決定する。
例えば、取得されたアルゴリズム決定条件に、次の条件が指定されていた場合について説明する。優先順位として、推定精度、理解しやすさ、計算時間の順に優先する。同順位みなし差分値として、アルゴリズム間で推定精度の差分が0.05以下なら同等の精度とみなす。制約として、推定精度がRMSE0.15[MPa]以下であることとする。これらの条件がアルゴリズム決定条件として指定されている。
末端圧力学習部109bによって行われたのシミュレーションによって、次の結果が得られた場合について説明する。ランダムフォレストアルゴリズムの推定精度はRMSE0.10[MPa]である。決定木アルゴリズムの推定精度はRMSE0.14[MPa]である。この場合、両方のアルゴリズムがアルゴリズム決定条件の制約を満たすことがわかる。アルゴリズム決定条件の優先順位は、推定精度が最も高い。このため、アルゴリズム決定部116は、推定精度が最も高いランダムフォレストアルゴリズムを選択する。しかし、2つのアルゴリズム間の推定精度を示すRMSEの差分が0.04であるため、アルゴリズム決定部116は、推定精度は同等だと判断する。第2の優先順位である「理解しやすさ」を考慮すると、決定木アルゴリズムの方がランダムフォレストアルゴリズムよりも優れている。したがって、アルゴリズム決定部116は、機械学習アルゴリズムとして決定木アルゴリズムを選択する。
なお、制約を満たすアルゴリズムが1つもない場合、アルゴリズム決定部116は、満たせない制約を除いたアルゴリズム決定条件に基づいて、機械学習アルゴリズムを選択する。末端圧力推定説明部112は、制約を満たせない旨を示す説明情報を生成する。末端圧力推定説明部112は、生成された説明情報を画面生成部114に出力する。画面生成部114は、説明情報に基づいて画面情報を生成し、表示部103に表示させることでユーザに通知する。
このように構成された末端圧力制御支援装置1bによれば、決定条件記憶部115に予めアルゴリズム決定条件が与えられておくことで、アルゴリズム決定部116は複数のアルゴリズムの中から推定精度又は計算時間等を考慮しつつ、説明性が高く人間に理解しやすいアルゴリズムを選択できる。末端圧力の推定結果は、アルゴリズム決定条件に基づいて決定されたアルゴリズムによって生成された推定モデルを用いて推定される。したがって、ユーザは推定結果及び推定根拠に対する納得度を一層高めることができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態における配水システム100cについて説明する。図11は、第4の実施形態における配水システム100cのシステム構成の具体例を示す図である。配水システム100cは、需要家6の水需要情報と常設末端圧力計測装置7から末端圧力情報とが末端圧力制御支援装置1cに送信されている点で第1の実施形態と異なる。水需要情報は、各需要家6の水の需要量に対する情報である。水需要情報は、需要家宅等に設置されるスマートメータ等の計測器から送信される。常設末端圧力計測装置7は、配水管網5に複数設けられてもよい。第一末端は、常設末端圧力計測装置7が設けられる場所である。第一末端は、圧力が測定される場所である。常設末端圧力計測装置7は、第一圧力計測装置の一態様である。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。
次に、第4の実施形態における末端圧力制御支援装置1cについて説明する。図12は、第4の実施形態の末端圧力制御支援装置1cの機能構成の具体例を示すブロック図である。第4の実施形態における末端圧力制御支援装置1cは、記憶部104及び制御部105の代わりに記憶部104c及び制御部105cを備える点で第1の実施形態とは異なるが、それ以外の構成は同じである。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。
記憶部104cは、監視制御システム2に対して、支援情報を提供するために用いられる各種の情報を記憶する。記憶部104cは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部104cは、末端圧力情報記憶部106c及び配水情報記憶部107cを備える。
末端圧力情報記憶部106cは末端圧力情報を記憶する。第4の実施形態における末端圧力情報は、末端圧力計測装置4から取得される末端圧力情報と、常設末端圧力計測装置7とから取得される末端圧力情報とが含まれる。配水情報記憶部107cは配水情報を記憶する。第4の実施形態における配水情報は、配水場情報、監視情報及び水需要情報を含む情報である。
制御部105cは、末端圧力制御支援装置1cの各部の動作を制御する。制御部105cは、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部105cは、プログラムを実行することによって、情報取得部108c、末端圧力学習部109c、末端圧力推定部110c、出力部111、末端圧力推定説明部112、推定モデル更新部113及び画面生成部114として機能する。
情報取得部108cは、支援情報を提供するために用いられる各種の情報を取得する。具体的には、情報取得部108cは、各配水場3から配水場情報を取得する。情報取得部108cは、監視制御システム2から監視情報を取得する。情報取得部108cは、各末端圧力計測装置4及び常設末端圧力計測装置7から末端圧力情報を取得する。情報取得部108cは、需要家6から水需要情報を取得する。情報取得部108cは、取得された配水場情報、監視情報及び水需要情報を配水情報記憶部107cに記録する。情報取得部108cは、取得された末端圧力情報を末端圧力情報記憶部106cに記録する。情報取得部108cは、配水場情報、監視情報、水需要情報及び末端圧力情報を所定のタイミングで繰り返して取得することによって、配水場情報、監視情報、水需要情報及び末端圧力情報を末端圧力情報記憶部106c及び配水情報記憶部107cに記録する。
末端圧力学習部109cは、取得された過去の配水場情報、監視情報及び水需要情報を含む配水情報と常設末端圧力計測装置7から得られる過去の末端圧力情報とを説明変数、末端圧力計測装置4から得られる過去の末端圧力情報を目的変数として、末端圧力の推定モデルを生成する。
末端圧力推定部110cは、取得された現在の配水場情報、監視情報及び水需要情報を含む配水情報と常設末端圧力計測装置7から得られる末端圧力情報と、生成された推定モデルとに基いて、現在の末端圧力を推定する。なお、末端圧力推定部110cの推定対象は、常設末端圧力計測装置7が設けられていない地点(例えば、末端圧力計測装置4の設けられた地点)の末端圧力である。末端圧力推定部110cは、推定された末端圧力を末端圧力情報記憶部106cに記録する。
図13は、第4の実施形態の末端圧力制御支援装置1cの推定モデル生成の流れを示すフローチャートである。なお、図13のステップS104からステップS106は、図3のステップS104からステップS106と同じであるため説明を省略する。
情報取得部108cは、各末端圧力計測装置4から末端圧力情報を、常設末端圧力計測装置7から末端圧力情報を、各配水場3から配水場情報を、監視制御システム2から監視情報を、需要家6から水需要情報を、取得する(ステップS301)。情報取得部108cは、取得した末端圧力情報を末端圧力情報記憶部106cに記録する。情報取得部108cは、取得した配水場情報、監視情報及び水需要情報を配水情報記憶部107cに記録する。このような情報の取得を一定期間、繰り返し実行することにより、末端圧力制御支援装置1は、末端圧力情報、配水場情報、監視情報及び水需要情報を蓄積する(ステップS302)。
末端圧力学習部109cは、配水情報記憶部107cに蓄積された過去の配水情報と末端圧力情報記憶部106cに蓄積された常設末端圧力計測装置7の過去の末端圧力情報とを説明変数、末端圧力情報記憶部106cに蓄積された末端圧力計測装置4の過去の末端圧力情報を目的変数として、これらの関係性を学習することで推定モデルを生成する(ステップS303)。
図14は、第4の実施形態の末端圧力制御支援装置1の支援情報生成の流れを示すフローチャートである。なお、図12のステップS204及びステップS205は、図4のステップS204及びステップS205と同じであるため説明を省略する。情報取得部108cは、各配水場3から現在の配水場情報を取得する(ステップS401)。情報取得部108cは、監視制御システム2から現在の監視情報を取得する(ステップS402)。情報取得部108cは、常設末端圧力計測装置7から現在の末端圧力情報を取得する(ステップS403)。情報取得部108cは、需要家6から現在の水需要情報を取得する(ステップS404)。末端圧力推定部110cは、末端圧力学習部109cによって生成された推定モデルと取得された配水場情報、監視情報、末端圧力情報及び水需要情報に基づいて現在の末端圧力を推定する(ステップS405)。
このように構成された末端圧力制御支援装置1cによれば、末端圧力学習部109cは、配水場情報、監視情報及び推定地点の末端圧力情報に加えて、水需要情報と常設末端圧力計測装置7から取得された末端圧力情報とに基づいて推定モデルを生成する。したがって、より多くの情報に基づいて推定モデルが生成されるため、末端圧力推定部110cは、末端圧力をより高い精度で推定することが可能になる。
なお、本実施形態における末端圧力の学習には任意の機械学習手法が用いられても良い。例えば、SVM(Support Vector Machine)やDL(Deep Learning)等の手法が用いられても良い。
上記各実施形態では、情報取得部、末端圧力学習部、末端圧力推定部、出力部、末端圧力推定説明部、推定モデル更新部、画面生成部及びアルゴリズム決定部はソフトウェア機能部であるものとしたが、LSI等のハードウェア機能部であってもよい。
本実施形態では、末端圧力制御支援装置1は、一台の装置であるとして説明したが、複数の装置として構成されてもよい。末端圧力制御支援装置1は、クラウドコンピューティングシステムによって構成されてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、末端圧力学習部109、末端圧力推定部110及び末端圧力推定説明部112を持つことにより、より精度よく末端圧力を推定をすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。