JP7181306B2 - 曲面形状評価方法、眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents

曲面形状評価方法、眼鏡レンズの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、曲面形状評価方法、眼鏡レンズの製造方法および眼鏡レンズに関する。
近視等の屈折異常の進行を抑制する眼鏡レンズとして、物体側の面である凸面に、当該凸面とは異なる曲面を有して当該凸面から突出する複数の凸状領域が形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。かかる構成の眼鏡レンズによれば、物体側の面から入射し眼球側の面から出射する光束が、原則的には装用者の網膜上に焦点を結ぶが、凸状領域の部分を通過した光束は網膜上よりも物体側寄りの位置で焦点を結ぶようになっており、これにより近視の進行が抑制されることになる。
米国特許出願公開第2017/0131567号明細書
上述の眼鏡レンズについては、物体側の面がハードコート膜等で被膜されると、凸状領域とそれ以外の領域との境界部分にいわゆるダレが生じ、その境界部分が不明確になってしまうことがある。境界部分が不明確であると、凸状領域の表面形状を正しく評価できず、その結果としてダレの大きさを適切にコントロールできないおそれが生じてしまう。
本発明は、表面形状の適切な評価を通じて、眼鏡レンズに対して近視または遠視(以下、本明細書ではまとめて屈折異常という)の進行の抑制効果を十分に発揮させることを可能にする技術の提供を目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
本発明の第1の態様は、
物体側の面および眼球側の面を備え、且つ、複数のデフォーカス領域を物体側の面および眼球側の面の少なくともいずれかの面に有する眼鏡レンズについて、当該眼鏡レンズにおいて複数のデフォーカス領域を有する面の表面形状を測定して当該表面形状の三次元データを取得する工程と、
三次元データに対するクラスタ分析を行って、複数のデフォーカス領域のそれぞれに関するデータ群とデフォーカス領域が形成されていない領域であるベース領域に関するデータ群とを分類する工程と、
分類したデータ群毎にカーブフィッティングを行って得られた曲面形状データを組み合わせて、眼鏡レンズの物体側の面についての基準形状データを抽出する工程と、
三次元データと基準形状データとを比較して、三次元データの基準形状データからの乖離度を求める工程と、
を備える曲面形状評価方法である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の曲面形状評価方法において、
デフォーカス領域に関するデータ群と、ベース領域に関するデータ群とを、三次元データから導出された閾値に基づいて分類する。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の曲面形状評価方法において、
閾値は、三次元データを最小二乗法で近似し、その近似結果についてのベアリング曲線を活用して決定したものである。
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの1態様に記載の曲面形状評価方法において、
k平均法を利用して、複数のデフォーカス領域のそれぞれに関するデータ群の分類を行う。
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの1態様に記載の曲面形状評価方法において、
三次元データを各データ群に分類する工程では、三次元データを、デフォーカス領域に関するデータ群と、ベース領域に関するデータ群と、デフォーカス領域と前記ベース領域との間の遷移領域である境界近傍領域に関するデータ群と、に分類する。
本発明の第6の態様は、
第1から第5のいずれかの1態様に記載の曲面形状評価方法を含む、
眼鏡レンズの製造方法である。
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載の眼鏡レンズの製造方法において、
乖離度を求めた結果を反映させて前記眼鏡レンズの製造を行う。
本発明の第8の態様は、
物体側の面および眼球側の面を備え、且つ、複数のデフォーカス領域を前記物体側の面および前記眼球側の面の少なくともいずれかの面に有する眼鏡レンズであって、
複数の前記デフォーカス領域を有する面の表面形状を測定して得られる三次元データに基づいて、複数の前記デフォーカス領域を有する面についての基準形状データが特定されているとともに、
三次元データの基準形状データからの乖離度が特定されており、
乖離度のうち、デフォーカス領域とデフォーカス領域が形成されていない領域であるベース領域との間の遷移領域である境界近傍領域に関する乖離度の大きさが、デフォーカス領域の突出高さまたは陥凹深さの15%以下である
眼鏡レンズである。
本発明の第9の態様は、第8の態様に記載の眼鏡レンズにおいて、
前記乖離度の大きさが0.1μm以下である。
本発明の他の態様は、以下のとおりである。
物体側の面がデフォーカス領域を有し、デフォーカス領域は物体側に向けて突出する。
眼球側の面がデフォーカス領域を有し、デフォーカス領域は眼球側に向けて突出する。
この両態様を組み合わせ、両面がデフォーカス領域を有してもよい。
本発明の他の態様は、以下のとおりである。
眼鏡レンズにおいて、「凸」を「凹」に変更し、「突出」を「陥凹」に変更し、「突出高さ」を「陥凹深さ」に変更し、網膜上の位置Aよりも物体側から離れた位置B’に収束するよう記載を変更すれば、遠視進行抑制機能を奏する。
本発明によれば、表面形状の適切な評価を通じて、眼鏡レンズに対して屈折異常の進行の抑制効果を十分に発揮させることが可能になる。
本発明の一実施形態における評価対象の眼鏡レンズの形状を示す正面図である。 図1に示す眼鏡レンズの構成例を示す断面図である。 図1に示す眼鏡レンズを透過する光の経路を示す概略断面図(その1)である。 図1に示す眼鏡レンズを透過する光の経路を示す概略断面図(その2)である。 本発明の一実施形態に係る評価方法の手順の概要を示すフロー図である。 図5の評価方法におけるクラスタ分析の具体的な手順を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る評価方法によるデータ分類および基準形状データ抽出の具体例を模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る評価方法によって得られる測定形状(実測形状)と基準形状との乖離度の一具体例を示す説明図であり、眼鏡レンズの横断面についての乖離度を示す図である。 本発明の一実施形態に係る評価方法によって得られる測定形状(実測形状)と基準形状との乖離度の一具体例を示す説明図であり、眼鏡レンズの縦断面についての乖離度を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
(1)眼鏡レンズの構成
まず、本実施形態で例に挙げる眼鏡レンズの構成について説明する。
図1は、本実施形態における評価対象の眼鏡レンズの形状を示す正面図である。図2は、図1に示す眼鏡レンズの構成例を示す断面図である。図3および図4は、図1に示す眼鏡レンズを透過する光の経路を示す概略断面図である。
(全体構成)
図1に示すように、眼鏡レンズ1は、レンズ中心の近傍に規則的に配列された複数のデフォーカス領域6を有する。
本実施形態における「デフォーカス領域6」とは、眼鏡レンズ1の最表面において360度にわたって形成された独立した島状の領域であって、収束位置Bに光束を収束させる機能を持つ領域である。つまり、デフォーカス領域6は、透過する光束にプラスまたはマイナス方向のデフォーカスを与え、ベース部分を透過する光とは異なる位置に収束させる作用を有するものである。
本実施形態では、デフォーカス領域6が凸状領域であり、眼鏡レンズ1が近視進行抑制レンズである場合について主に述べる。後掲の(5)変形例等にて、デフォーカス領域6が凹状領域であり、眼鏡レンズ1が遠視進行抑制レンズである場合について述べる。
また、図2に示すように、眼鏡レンズ1は、物体側の面3と眼球側の面4とを有する。「物体側の面」は、眼鏡レンズ1を備えた眼鏡が装用者に装用された際に物体側に位置する表面である。「眼球側の面」は、その反対、すなわち眼鏡レンズ1を備えた眼鏡が装用者に装用された際に眼球側に位置する表面である。本実施形態において、物体側の面3は凸面であり、眼球側の面4は凹面である。つまり、眼鏡レンズ1は、メニスカスレンズである。
また、眼鏡レンズ1は、レンズ基材2と、レンズ基材2の凸面側および凹面側のそれぞれに形成されたハードコート膜8と、各ハードコート膜8のそれぞれの表面に形成された反射防止膜(AR膜)10と、を備えて構成されている。なお、眼鏡レンズ1は、ハードコート膜8および反射防止膜10に加えて、さらに他の膜が形成されたものであってもよい。
(レンズ基材)
レンズ基材2は、例えば、チオウレタン、アリル、アクリル、エピチオ等の熱硬化性樹脂材料によって形成されている。なお、レンズ基材2を構成する樹脂材料としては、所望の屈折度が得られる他の樹脂材料を選択してもよい。また、樹脂材料ではなく、無機ガラス製のレンズ基材としてもよい。
レンズ基材2の物体側の面(凸面)には、当該面から物体側に向けて突出するように、複数の凸状領域6aが形成されている。各凸状領域6aは、レンズ基材2の物体側の面とは異なる曲率の曲面によって構成されている。このような凸状領域6aが形成されていることで、レンズ基材2の物体側の面には、平面視したときに、レンズ中心の周囲に周方向および軸方向に等間隔に、略円形状の凸状領域6aが島状に(すなわち、互いに隣接することなく離間した状態で)配置されることになる。
(ハードコート膜)
ハードコート膜8は、例えば、熱可塑性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いて形成されている。ハードコート膜8は、ハードコート液にレンズ基材2を浸漬させる方法や、スピンコート等を使用することにより、形成することができる。このようなハードコート膜8の被覆によって、眼鏡レンズ1の耐久性向上が図れるようになる。
(反射防止膜)
反射防止膜10は、例えば、ZrO、MgF、Al等の反射防止剤を真空蒸着により成膜することにより、形成されている。このような反射防止膜10の被覆によって、眼鏡レンズ1を透した像の視認性向上が図れるようになる。
(物体側の面形状)
上述したように、レンズ基材2の物体側の面には、複数の凸状領域6aが形成されている。したがって、その面をハードコート膜8および反射防止膜10によって被覆すると、レンズ基材2における凸状領域6aに倣って、ハードコート膜8および反射防止膜10によっても複数の凸状領域6bが形成されることになる。つまり、眼鏡レンズ1の物体側の面(凸面)3には、当該面3から物体側に向けて突出するように、凸状領域6aおよび凸状領域6bによって構成されるデフォーカス領域6が配置されることになる。
本実施形態におけるデフォーカス領域6は、レンズ基材2の凸状領域6aに倣ったものなので、当該凸状領域6aと同様に凸状であり、且つレンズ中心の周囲に周方向および軸方向に等間隔で、すなわちレンズ中心の近傍に規則的に配列された状態で、島状に配置される。
各々のデフォーカス領域6は、例えば、以下のように構成される。デフォーカス領域6の直径は、0.8~2.0mm程度が好適である。デフォーカス領域6の突出高さ(突出量)は、0.1~10μm程度、好ましくは0.7~0.9μmが好適である。この突出高さ(突出量)は、デフォーカス領域が形成されていない領域であるベース領域からの法線方向の最大距離を指す。デフォーカス領域6の曲率半径は、50~250mmR、好ましくは86mmR程度の球面状が好適である。このような構成により、デフォーカス領域6の屈折力は、デフォーカス領域6が形成されていない領域の屈折力よりも、2.00~5.00ディオプター程度大きくなるように設定される。
(光学特性)
以上のような構成の眼鏡レンズ1では、物体側の面3にデフォーカス領域6を有することで、以下のような光学特性が実現され、その結果として眼鏡装用者の近視等の屈折異常の進行を抑制することができる。
図3に示すように、眼鏡レンズ1において、デフォーカス領域6が形成されていない領域(以下「ベース領域」という。)の物体側の面3に入射した光は、眼球側の面4から出射した後、眼球20の網膜20A上に焦点を結ぶ。つまり、眼鏡レンズ1を透過する光束は、原則的には、眼鏡装用者の網膜20A上に焦点を結ぶ。換言すると、眼鏡レンズ1のベース領域は、眼を介して網膜上の位置Aである網膜20A上に焦点を結ぶように、眼鏡装用者の処方に応じて曲率が設定されている。
その一方で、図4に示すように、眼鏡レンズ1において、デフォーカス領域6に入射した光は、眼球側の面4から出射した後、眼球20の網膜20Aよりも物体側寄りの位置で焦点を結ぶ。つまり、デフォーカス領域6は、眼球側の面4から出射する光を、光の進行方向において網膜上の位置Aよりも物体側寄りの位置Bに収束させる。この収束位置Bは、複数のデフォーカス領域6の各々に応じて、位置B、B、B、・・・Bとして存在する。
このように、眼鏡レンズ1は、原則として物体側の面3から入射した光束を眼球側の面4から出射させて、眼を介して網膜上の位置Aに収束させる一方で、デフォーカス領域6が配置された部分においては、光の進行方向において網膜上の位置Aよりも物体側寄りの位置B(B、B、B、・・・B)に光束を収束させる。つまり、眼鏡レンズ1は、眼鏡装用者の処方を実現するための光束収束機能とは別の、物体側寄りの位置Bへの光束収束機能を有する。このような光学特性を有することで、眼鏡レンズ1は、眼鏡装用者の近視進行抑制効果を発揮させることができる。
(2)表面形状の評価手順
次に、上述した構成の眼鏡レンズ1の表面形状を評価する手順、すなわち本実施形態に係る曲面形状評価方法の手順の一例について、具体的に説明する。
(評価の必要性)
上述した構成の眼鏡レンズ1において、近視進行抑制効果を十分に発揮させるためには、物体側の面3および眼球側の面4の表面形状、特にデフォーカス領域6を有する物体側の面3の表面形状について、所望のとおりに形成されているか否かを評価すべきである。しかしながら、デフォーカス領域6を有する物体側の面3の表面形状を適切に評価することは、以下に述べるように、必ずしも容易ではない。
上述した構成の眼鏡レンズ1は、物体側の面3がハードコート膜8および反射防止膜10によって被覆されている。そのため、物体側の面3では、デフォーカス領域6とそれ以外の領域であるベース領域との境界部分にいわゆるダレが生じ、その境界部分が不明確になってしまうことがある。境界部分が不明確であると、デフォーカス領域6の表面形状を正しく評価できず、その結果としてダレの大きさを適切にコントロールできないおそれが生じてしまう。
また、表面形状の評価は、その表面形状についての実測データと設計データとを対比させて行うことが一般的である。ただし、物体側の面3が被覆されている場合には、レンズ基材2そのものの設計データではなく、被覆後の表面形状の設計データを用意しなければならず、必ずしも容易かつ適切に行えるとは言えない。仮に、被覆後の設計データを用意できても、実測データにおけるデフォーカス領域6についてのデータ部分と設計データにおけるデフォーカス領域6についてのデータ部分との照合処理が非常に煩雑かつ困難であり、結果としてデフォーカス領域6の表面形状を正しく評価できないおそれがある。
以上の点を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本願の発明者は、物体側の面3が被覆されているか否かを問わず、予め設計データを用意する必要もなく、デフォーカス領域6を有する物体側の面3の表面形状を正しく評価することができる評価手順を案出するに至った。以下、その評価手順(すなわち、本実施形態に係る評価方法の手順)について説明する。
(評価手順の概要)
図5は、本実施形態に係る評価方法の手順の概要を示すフロー図である。
図5に示すように、眼鏡レンズ1の物体側の面3の表面形状の評価にあたっては、先ず、第1の工程として、評価対象となる眼鏡レンズ1における物体側の面3の表面形状を測定して、その表面形状の三次元データの取得を行う(ステップ101、以下ステップを「S」と略す。)。三次元データの取得は、公知の三次元測定機を用いて行えばよい。これにより、物体側の面3の表面形状について、XY座標上を等ピッチでZ座標が測定されたXYZ座標値データが生データ(三次元データ)として得られる。
三次元データを取得したら、続いて、第2の工程として、後述する各データ群への分類に必要となる閾値の決定を行う(S102)。閾値の決定は、取得した三次元データから導出することによって行う。
具体的には、取得した三次元データを構成するXYZ座標値データについて、そのデータ全体を例えば最小二乗法で球面近似を行い、いわゆる形状除去を実施する。そして、その近似結果(すなわち、形状除去後のデータ)について、粗さ評価で一般に使われる、粗さ曲線の負荷曲線(以下「ベアリング曲線」ともいう。)の計算手法を活用して、デフォーカス領域6の部分についてのデータ(以下「セグメントデータ」という。)とベース面領域の部分についてのデータ(以下「ベース面データ」という。)とを分類する一定の高さ閾値を決定する。
さらに詳しくは、高さ閾値の決定にあたり、負荷曲線グラフの縦軸に、形状除去後の形状の高さデータの最小値から最大値までをとり、その間を細かく分割し一定ピッチで目盛る。そして、各目盛りが指す高さ位置に対し、形状除去後の形状の各高さデータが高い位置にある比率を求め、その比率を負荷曲線グラフの横軸にプロットし、各プロット点を繋いで負荷曲線(ベアリング曲線)とする。このように、縦軸に高さ、横軸に比率をとったグラフにおいて、負荷曲線(ベアリング曲線)の横軸50%から60%の間に位置する点と70%から80%の間に位置する点とを直線で結び、その直線と縦軸とが交わる高さ目盛りの値を、高さ閾値(すなわち、三次元データから導出した閾値)として決定する。
なお、閾値決定は、上述したようなベアリング曲線を活用した計算手法の他に、例えば、形状除去後の形状の高さデータ最小値と最大値との中間高さ、例えば最小値と最大値との距離の最小から20~40%高さ程度の位置を経験データに基づき決めて高さ閾値とする、といった手法を用いることも可能である。
閾値を決定した後は、次いで、第3の工程として、その閾値を用いつつ、取得した三次元データに対するクラスタ分析を行って、その三次元データについて各データ群への分類を行う(S103)。分類される各データ群には、少なくともデフォーカス領域6に関するデータ群とベース領域に関するデータ群とが含まれ、好ましくはこれらに加えて詳細を後述する境界近傍領域に関するデータ群が含まれている。なお、クラスタ分析を活用した各データ群への分類の具体的な手順については、詳細を後述する。
各データ群への分類を行った後は、次に、第4の工程として、分類したデータ群毎にカーブフィッティングを行って、これにより得られた曲面形状データを組み合わせて、眼鏡レンズの物体側の面3についての基準形状データを抽出する(S104)。カーブフィッティングは、分類したデータ群のそれぞれについて個別に行う。具体的には、各デフォーカス領域6に関するデータ群と、ベース領域に関するデータ群とについて、例えば最小二乗法で球面近似を行う。これにより、各デフォーカス領域6とベース領域とのそれぞれについて、近似球面を表す曲面形状データが個別に得られる。そして、このようにして得られた個別の曲面形状データを組み合わせて、一つの面形状についての形状データとする。これにより、眼鏡レンズの物体側の面3について、粗さやダレ等の誤差成分を除去した形状(すなわち、基準となる形状)に関する形状データが、基準形状データとして抽出されることになる。
基準形状データを抽出したら、その後は、第5の工程として、取得した三次元データと抽出した基準形状データとを比較して、三次元データの基準形状データからの乖離度を求める(S105)。乖離度は、三次元データのXY座標点毎のZ座標方向における基準形状データからの差分データによって構成される。差分データは、予め規定されたものであれば、例えば、Z座標方向の差分の絶対値であってもよいし、ベース領域が曲面であることを考慮して当該曲面の径方向の差分絶対値であってもよい。
以上のような各工程を経ることで、眼鏡レンズ1の物体側の面3の表面形状については、基準形状データからの乖離度が評価結果として得られる。そして、乖離度が予め設定された許容範囲内にあれば、その表面形状は適切なものであると評価されることになる。一方、乖離度が予め設定された許容範囲内になければ、その表面形状は適切なものではないと評価されることになる。
(クラスタ分析の詳細)
続いて、第3の工程におけるクラスタ分析を活用した各データ群への分類について、具体的な手順を説明する。
図6は、クラスタ分析の具体的な手順を示すフロー図である。
図6に示すように、第3の工程においては、取得した三次元データの中から、あるXYZ座標値データに注目し、そのXYZ座標値データにおけるZ座標値を抽出する(S201)。Z座標値の抽出にあたっては、例えば、周辺の座標点のZ座標値を利用した平滑化を行うことで、ノイズ成分の除去を行うようにしてもよい。また、Z座標値の抽出対象となる三次元データの範囲は、その三次元データに含まれるXYZ座標値データの全てについてであってもよいし、あるいは特定のトリミング範囲(例えば、一辺が所定の大きさの矩形範囲)内に限ってもよい。
Z座標値を抽出したら、続いて、そのZ座標値を閾値(高さ閾値)と比較し、その閾値よりも大きいか否かを判断する(S202)。その結果、Z座標値が閾値を超えていなければ、相対的に突出していない位置に存在することになるので、そのXYZ座標値データについては、ベース面領域についてのものであると分類し、ベース面データを構成するデータ群に属する旨の識別フラグを紐付ける(S203)。一方、Z座標値が閾値を超えていれば、相対的に突出した位置に存在することになるので、そのXYZ座標値データについては、デフォーカス領域6についてのものであると分類し、セグメントデータを構成するデータ群に属する旨の識別フラグを紐付ける(S204)。
そして、セグメントデータを構成するデータ群に属するXYZ座標値データについては、さらに、複数のデフォーカス領域6のうちのどのデフォーカス領域6に関するものであるかの分類を行う(S205)。複数のデフォーカス領域(以下、デフォーカス領域を「セグメント」ともいう。)6のそれぞれに関するデータ群の分類は、例えば、k平均法(K-means)を利用したクラスタリング(グループ分け)によって行う。
具体的には、セグメントデータとして紐付けされたXYZ座標値データを一つ一つ見ていき、最初のXYZ座標値データを「第1のクラスタ」に登録して、そのグループ(データ群)に属するXYZ座標値データとする。第1のクラスタの中心座標点は、そのグループに属するXYZ座標値データが1つである状況下では、そのXYZ座標値データのXY座標点となる。そして、次のXYZ座標値データがあれば、そのXYZ座標値データのXY座標点と既に登録済みのクラスタの中心座標点との距離を求め、一番距離が近いクラスタに属するように登録する。ただし、求めた距離が予め定められた距離値以上である場合には、新たなクラスタ(例えば「第2のクラスタ」)を作成し、その新たなクラスタに属するように登録する。
このような手順のクラスタリングによって、セグメントデータとして紐付けされたXYZ座標値データは、予め各デフォーカス領域6の位置を明らかにしておくことを要することなく、どのデフォーカス領域6に関するデータ群のものであるかが分類されることになる。
どのクラスタに属するかを分類した後は、その分類されたクラスタ(すなわち、XYZ座標値データが追加されたクラスタ)について、そのクラスタに属する各XYZ座標値データのXY座標点の重心位置を計算する(S206)。そして、重心位置の計算結果を中心座標点とするように、そのクラスタの中心座標点を更新する。つまり、XYZ座標値データがどのクラスタに属するかを分類する度に、そのXYZ座標値データが追加されたクラスタについては、その中心座標点が更新されることになる。
以上のような手順のデータ分類処理を、処理対象となるXYZ座標値データの全てについて終了するまで(S207)、それぞれのXYZ座標値データに対して繰り返し行う(S201~S207)。
このようにして、セグメントデータとして紐付けされたXYZ座標値データに対するクラスタリングを行った後は、さらに、各クラスタ毎に再クラスタリングを行って、デフォーカス領域6とベース領域との間の遷移領域である境界近傍領域に関するデータ(以下「境界近傍データ」という。)を、それぞれのクラスタから分離する(S208)。
具体的には、各クラスタの中心座標点から所定距離の範囲内(例えば、中心座標から半径0.45mmの範囲内)のXYZ座標値データを当該クラスタに属するデータとし、それ以外のXYZ座標値データについては当該クラスタから分離して境界近傍データとするように、再クラスタリングを行う。なぜならば、上述したような高さ閾値によって一律に分類したのでは、各デフォーカス領域6の周囲のベース領域のうねり程度の違いによって、デフォーカス領域6とベース領域とを上手く分類できない場合があり得るからである。これに対して、閾値によってベース面データとセグメントデータとを分類した上で、上述したクラスタリングによってセグメントデータを各クラスタにグループ分けし、それぞれのクラスタの中心座標点(例えば、重心位置)を求め、その中心座標点から所定距離の範囲内の領域のデータをセグメントデータとすれば、デフォーカス領域6とベース領域とを適切かつ的確に分類することができる。
以上のような手順の処理を経ることで、第3の工程で処理される三次元データは、各デフォーカス領域6のそれぞれに関するセグメントデータについてのデータ群と、ベース領域に関するベース面データについてのデータ群と、デフォーカス領域6とベース領域との間の遷移領域である境界近傍領域に関する境界近傍データについてのデータ群と、に分類されることになる。
(データ分類および基準形状データ抽出の具体例)
ここで、第3の工程での各データ群への分類と、第4の工程での基準形状データの抽出とについて、具体例を挙げて説明する。
図7は、データ分類および基準形状データ抽出の具体例を模式的に示す説明図である。
図7に示すように、生データ(三次元データ)を取得すると、眼鏡レンズ1の物体側の面3の表面形状についてのXYZ座標値データ(図中黒丸印参照)のデータ群が得られるので、そのデータ群から閾値(図中一点鎖線参照)を導出するとともに、その閾値を用いて、各XYZ座標値データをベース面データ(閾値を超えない高さ位置のもの)とセグメントデータ(閾値を超える高さ位置のもの)とに分類する。そして、セグメントデータについては、クラスタリングによって、どのデフォーカス領域6に関するものであるか(すなわち、どのクラスタに属するものであるか)の分類を行う。さらには、再クラスタリングによって、各クラスタに属するXYZ座標値データのうち、中心座標から所定距離の範囲外のものを境界近傍データとして分離する。
これにより、生データ(三次元データ)を構成する各XYZ座標値データは、各デフォーカス領域6のそれぞれに関するセグメントデータと、ベース領域に関するベース面データと、境界近傍領域に関する境界近傍データと、のいずれかに分類される。
データ分類の後は、続いて、分類したデータ群毎にカーブフィッティングを行う。具体的には、ベース面データについては、そのベース面データのみでカーブフィッティングを行って、ベース領域の近似球面を表す曲面形状データを得る。また、セグメントデータについては、各クラスタ別(すなわち、各デフォーカス領域6別)に個別にカーブフィッティングを行って、各デフォーカス領域6の近似球面を表す曲面形状データを得る。そして、それぞれの曲面形状データを個別に得たら、これらを組み合わせて一つの面形状についての形状データとすることで、眼鏡レンズの物体側の面3についての基準形状データ(図中実線参照)を抽出する。
このように、分類したデータ群毎にカーブフィッティングを行って基準形状データを抽出すれば、例えば、三次元データにおいて境界近傍領域にダレが生じていても、基準形状データについては、そのダレの影響を排除することができる。つまり、基準形状データの抽出に際して、その抽出の適切化が図れる。
(乖離度の具体例)
次に、上述した手順の評価方法による評価結果である乖離度について、具体例を挙げて説明する。
図8および図9は、本実施形態に係る評価方法によって得られる測定形状(実測形状)と基準形状との乖離度の一具体例を示す説明図である。図8は、眼鏡レンズ1の横断面についての乖離度の具体例である。また、図9は、眼鏡レンズ1の縦断面についての乖離度の具体例である。
既に説明したように、乖離度は、取得した三次元データと抽出した基準形状データとの差分データによって構成される。つまり、眼鏡レンズ1の物体側の面3についての測定形状(実測形状)と、その物体側の面3についての基準形状との差分が、乖離度として求められる。このような「乖離度」という指標を用いることで、眼鏡レンズ1の物体側の面3の表面形状について、曲面成分を除去した上で評価を行うことができる。つまり、眼鏡レンズ1の形状評価にあたり、曲面成分を除去して、ダレが生じている部分等の無効成分を見える化することができる。
具体的には、ダレ等の見える化によって、図8または図9に示すように、境界近傍領域の部分において、乖離度が突出的に大きくなっており、極大値が存在している。これは、レンズ基材2をハードコート膜8および反射防止膜10で被覆したときに、デフォーカス領域6とベース領域との間の境界近傍領域の部分において、ダレが生じてしまうからである。
ただし、本実施形態においては、クラスタ分析やデータ群毎のカーブフィッティング等を通じて、基準形状データの抽出の適切化を図っている。そのため、デフォーカス領域6とベース領域との境界が明確となり、境界近傍領域の部分にダレが生じていても、眼鏡レンズ1の物体側の面3の表面形状を正しく評価することが可能となる。つまり、本実施形態において、境界近傍領域の部分についての乖離度は、正しく評価されたものであり、非常に信頼性が高いものとなる。
求められた乖離度は、予め設定された許容範囲内にあるか否かが判断され、その判断結果によって眼鏡レンズ1の物体側の面3の表面形状が適切であるか否かが判断される。ここでいう「適切」とは、眼鏡レンズ1が所望の光学特性を有すること、すなわち近視進行抑制効果を発揮させ得ることを意味する。
具体的には、乖離度に関する許容範囲については、以下のように設定することが考えられる。例えば、乖離度のうち、境界近傍領域に関する乖離度の大きさ(すなわち、乖離度の極大値の大きさ)が、デフォーカス領域6の突出高さ(突出量)の15%以下であれば、許容範囲内にあると判断する。デフォーカス領域6の突出高さが0.1~10μm程度、好ましくは0.7~0.9μm程度である場合、乖離度の大きさが0.015~1.5μm程度、好ましくは0.105~0.135μm程度であれば、デフォーカス領域6の突出高さの15%以下となり、許容範囲内となる。
より好ましくは、デフォーカス領域6の突出高さによらず、乖離度の大きさが0.1μm以下であれば、許容範囲内にあると判断する。
このように、境界近傍領域の乖離度を、デフォーカス領域6の突出高さの15%以下または0.1μm以下に抑えれば、その境界近傍領域の表面形状が眼鏡レンズ1の光学特性に悪影響を及ぼしてしまうのを抑制することができる。つまり、乖離度が上記範囲に収まるように、境界近傍領域におけるダレの大きさを適切にコントロールすることで、物体側の面3が被膜されてなる眼鏡レンズ1であっても、所望の光学特性が得られるようになる。
以上のことから、眼鏡レンズ1については、物体側の面3の表面形状を測定して得られる三次元データに基づいて、その物体側の面3についての基準形状データが特定されているとともに、その三次元データの基準形状データからの乖離度が特定されており、特定された乖離度のうち、デフォーカス領域6とベース領域との間の境界近傍領域に関する乖離度の大きさが、デフォーカス領域6の突出高さの15%以下であるように構成されていることが、所望の光学特性を有して近視進行抑制効果を発揮させる上では好ましい。
また、眼鏡レンズ1については、境界近傍領域に関する乖離度の大きさが、0.1μm以下であるように構成されていることが、より一層好ましい。乖離度の大きさが0.1μm以下であれば、デフォーカス領域6の突出高さによらず、ハードコート膜8または反射防止膜10の膜厚にもよらず、確実に眼鏡レンズ1が所望の光学特性を有して近視進行抑制効果を発揮させ得るようになるからである。
(3)眼鏡レンズの製造方法
次に、上述した構成の眼鏡レンズ1の製造方法について説明する。
眼鏡レンズ1の製造にあたっては、まず、レンズ基材2を、注型重合等の公知の成形法により成形する。例えば、複数の凹部が備わった成形面を有する成形型を用い、注型重合による成形を行うことにより、少なくとも一方の表面にデフォーカス領域6を有するレンズ基材2が得られる。
そして、レンズ基材2を得たら、次いで、そのレンズ基材2の表面に、ハードコート膜8を成膜する。ハードコート膜8は、ハードコート液にレンズ基材2を浸漬させる方法や、スピンコート等を使用することにより、形成することができる。
ハードコート膜8を成膜したら、さらに、そのハードコート膜8の表面に、反射防止膜10を成膜する。ハードコート膜8は、反射防止剤を真空蒸着により成膜することにより、形成することができる。
このような手順の製造方法により、物体側に向けて突出する複数のデフォーカス領域6を物体側の面3に有する眼鏡レンズ1が得られる。
ところで、本実施形態における製造方法は、上述した手順の曲面形状評価方法を含む。すなわち、上述した第1から第5の工程を経て乖離度を求める。そして、乖離度を求めた結果を反映させて、眼鏡レンズ1の製造を行う。
具体的には、例えば、サンプルとなるテストレンズを作成後、そのテストレンズについての乖離度を求め、乖離度が許容範囲から外れていれば、ハードコート膜8または反射防止膜10の成膜条件を変更して、再度テストレンズを作成する。乖離度が許容範囲内であれば、テストレンズと同じ条件で、製品版となる眼鏡レンズ1を作成する。このように、乖離度を求めた結果を反映させて作成を行えば、乖離度が許容範囲内にある眼鏡レンズ1が得られるようになる。
なお、ここでは、テストレンズを利用して乖離度を反映させる場合を例に挙げたが、これに限定されることはない。例えば、物体側の面3に対する修正加工が可能であれば、乖離度が許容範囲から外れている場合に、修正加工を行って許容範囲内に収まるようにすることで、乖離度を反映させるようにしてもよい。
(4)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
(a)表面形状の測定結果である三次元データに基づいて基準形状データを抽出し、その基準形状データからの三次元データの乖離度を求めるので、異なる曲面の組み合わせによって構成された表面形状を評価する場合であっても、その表面形状についての設計データを必要としない。つまり、設計データに依らずに表面形状を評価できるので、例えば、物体側の面3が被膜されてなる眼鏡レンズ1であっても、その表面形状を正しく評価することができる。
クラスタ分析を利用して分類したデータ群毎にカーブフィッティングを行って基準形状データを抽出するので、設計データを要することなく、また設計データとのマッチング(整合)を要することもなく、基準形状データを特定することが可能となる。また、測定した三次元データにダレが生じていても、基準形状データについては、そのダレの影響を排除することができる。さらには、クラスタ分析を利用した分類の結果から、デフォーカス領域6とベース領域との境界部分を明確に特定することも可能となる。したがって、特にデフォーカス領域6とベース領域との間の境界近傍領域を正しく評価する上で、非常に好適なものとなる。
基準形状データにはダレの影響が及ばないので、三次元データと基準形状データとの乖離度を求めることで、その三次元データに生じているダレの大きさを正しく評価することができる。
「乖離度」という指標を用いることで、眼鏡レンズ1の物体側の面3の表面形状について、曲面成分を除去した上で評価を行うことができる。つまり、眼鏡レンズ1の形状評価にあたり、曲面成分を除去して、ダレが生じている部分等の無効成分を見える化することができる。
以上のように、本実施形態では、デフォーカス領域6を有する眼鏡レンズ1の表面形状を正しく評価することができ、その結果としてダレの大きさを適切にコントロールすることができる。したがって、本実施形態によれば、表面形状の適切な評価を通じて、眼鏡レンズ1に近視進行抑制効果を十分に発揮させることが可能になる。
(b)本実施形態では、デフォーカス領域6に関するデータ群と、ベース領域に関するデータ群とを、三次元データから導出された閾値に基づいて分類する。このように、各データ群を分類するための閾値を三次元データ(すなわち測定結果)から導出することで、その閾値が現実の被評価面に即したものとなり、その結果として、各データ群への分類を経て行う表面形状評価の適切化が図れる。例えば、測定対象の眼鏡レンズ1が傾いた状態で設置されていても、その傾きの影響を排除することができる。
(c)本実施形態では、閾値として、三次元データを最小二乗法で近似し、その近似結果についてのベアリング曲線を活用して決定したものを用いる。このように、ベアリング曲線を活用して閾値を決定することで、その閾値は、物体側の面3に複数のデフォーカス領域6を有する眼鏡レンズ1の表面形状分析に適用して非常に好適なものとなる。
(d)本実施形態では、k平均法を利用して、複数のデフォーカス領域6のそれぞれに関するデータ群の分類を行う。このように、k平均法を利用したクラスタリングによるデータ分類を行うことで、特に、多数のデフォーカス領域6が並ぶように物体側の面3に配置された眼鏡レンズ1の表面形状分析に適用して非常に好適なものとなる。
(e)本実施形態において、三次元データを各データ群に分類する工程では、その三次元データを、デフォーカス領域6に関するデータ群と、ベース領域に関するデータ群と、境界近傍領域に関するデータ群と、に分類する。このように、境界近傍領域に関するデータ群についても分類を行うようにすれば、その境界近傍領域の範囲が明確になるので、その境界近傍領域に生じるダレを正しく評価する上で非常に好適なものとなる。
(f)本実施形態では、眼鏡レンズ1の製造にあたり、乖離度を求めた結果を反映させる。このように、乖離度を求めた結果を反映させることで、乖離度が許容範囲内にある眼鏡レンズ1が確実に得られるようになる。
(g)本実施形態では、眼鏡レンズ1について、デフォーカス領域6とベース領域との間の境界近傍領域に関する乖離度の大きさが、デフォーカス領域6の突出高さの15%以下であり、好ましくは0.1μm以下となっている。このように、境界近傍領域の乖離度を、デフォーカス領域6の突出高さの15%以下または0.1μm以下に抑えれば、その境界近傍領域の表面形状が眼鏡レンズ1の光学特性に悪影響を及ぼしてしまうのを抑制することができる。つまり、乖離度が上記範囲に収まるように、境界近傍領域におけるダレの大きさを適切にコントロールすることで、物体側の面3が被膜されてなる眼鏡レンズ1であっても、所望の光学特性が得られるようになる。
このことは、「乖離度」という指標を用いたこと、すなわち眼鏡レンズ1の物体側の面3の表面形状の曲面成分を除去して、ダレが生じている部分等の無効成分を見える化することによって、実現が可能となるものである。
(5)変形例等
以上に本発明の実施形態を説明したが、上述した開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、表面が被膜された眼鏡レンズを例に挙げて説明したが、本発明に係る評価方法およびその評価方法によって得られる乖離度の許容範囲については、被膜の有無を問わずに(すなわち、被膜されていない眼鏡レンズであっても)、適用することが可能である。
上述の実施形態では、物体側の面がデフォーカス領域を有し、デフォーカス領域は物体側に向けて突出する場合を例示した。その一方、眼球側の面がデフォーカス領域を有し、デフォーカス領域は眼球側に向けて突出する場合であっても、ベース領域とデフォーカス領域とが存在することには変わりがなく、評価手順も変わりがなく、本発明の技術的思想を適用可能である。また、この変形例と本実施形態を組み合わせ、両面がデフォーカス領域を有してもよい。
先に述べた本発明の一態様の眼鏡レンズ1の技術的思想は遠視進行抑制機能を奏する眼鏡レンズ1にも適用可能である。具体的に言うと、光の進行方向において網膜上の位置Aよりも物体側から離れた(すなわち位置Aよりも奥側の)位置B’に光束を収束させる作用を持つようにデフォーカス領域6を構成する。また、レンズ基材2にも遠視進行抑制機能を持たせる場合は基材凸部2aの「凸」を「凹」に変更する。これまでに説明した本発明の一態様の眼鏡レンズ1において、「凸」を「凹」に変更し、「突出」を「陥凹」に変更し、「突出高さ」を「陥凹深さ」に変更し、網膜上の位置Aよりも物体側から離れた位置B’に収束するよう記載を変更すれば、遠視進行抑制機能を奏する眼鏡レンズ1となる。
1…眼鏡レンズ、2…レンズ基材、3…物体側の面、4…眼球側の面、6…デフォーカス領域、6a,6b…凸状領域、8…ハードコート膜、10…反射防止膜、20…眼球、20A…網膜

Claims (8)

  1. 物体側の面および眼球側の面を備え、且つ、複数のデフォーカス領域を物体側の面および前記眼球側の面の少なくともいずれかの面に有する眼鏡レンズについて、当該眼鏡レンズにおいて複数の前記デフォーカス領域を有する面の表面形状の三次元データを取得する工程と、
    前記三次元データに対するクラスタ分析を行って、複数の前記デフォーカス領域のそれぞれに関するデータ群と前記デフォーカス領域が形成されていない領域であるベース領域に関するデータ群とを分類する工程と、
    分類したデータ群毎にカーブフィッティングを行って得られた曲面形状データを組み合わせて、複数の前記デフォーカス領域を有する面についての基準形状データを抽出する工程と、
    前記三次元データと前記基準形状データとを比較して、前記三次元データの前記基準形状データからの乖離度を求める工程と、
    を備える曲面形状評価方法。
  2. 前記デフォーカス領域に関するデータ群と、前記ベース領域に関するデータ群とを、前記三次元データから導出された閾値に基づいて分類する
    請求項1に記載の曲面形状評価方法。
  3. 前記閾値は、前記三次元データを最小二乗法で近似し、その近似結果についてのベアリング曲線を活用して決定したものである
    請求項2に記載の曲面形状評価方法。
  4. k平均法を利用して、複数の前記デフォーカス領域のそれぞれに関するデータ群の分類を行う
    請求項1から3のいずれか1項に記載の曲面形状評価方法。
  5. 前記三次元データを各データ群に分類する工程では、前記三次元データを、前記デフォーカス領域に関するデータ群と、前記ベース領域に関するデータ群と、前記デフォーカス領域と前記ベース領域との間の遷移領域である境界近傍領域に関するデータ群と、に分類する
    請求項1から4のいずれか1項に記載の曲面形状評価方法。
  6. 前記デフォーカス領域は、当該デフォーカス領域が配置される面から突出する凸状領域によって構成されている
    請求項1から5のいずれか1項に記載の曲面形状評価方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の曲面形状評価方法を含む
    眼鏡レンズの製造方法。
  8. 前記乖離度を求めた結果を反映させて前記眼鏡レンズの製造を行う
    請求項7に記載の眼鏡レンズの製造方法。
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