JP7178074B2 - 波長変換部材及び波長変換素子、並びに波長変換部材の製造方法 - Google Patents

波長変換部材及び波長変換素子、並びに波長変換部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、波長変換部材及び波長変換素子、並びに波長変換部材の製造方法に関する。
従来、励起光を吸収して波長の異なる光を発する波長変換部材として、単結晶蛍光体又は気孔率が0.5%以下の多結晶蛍光体よりなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1によれば、気孔を含まない単結晶蛍光体又は気孔率が低い多結晶蛍光体を波長変換部材として用いることにより、熱伝導率の低い空気を含む気孔の存在に起因する、波長変換部材の熱伝導率の低下を抑えることができるとされている。また、気孔を含まない又は気孔率が小さいために、照射される励起光の後方散乱が殆どなくなり、効率よく励起が行われるとされている。
特許第6164221号公報
しかしながら、気孔を含まない場合や気孔率が小さい場合、波長変換部材内において散乱が少ないために光が広範囲に拡がり、光の出射される領域が大きくなる。この場合、波長変換部材から取り出された光をレンズにより効率的に集光して用いることができないため、光学系との結合効率が低い。
本発明の目的は、光学系との結合効率に優れた波長変換部材、及びその波長変換部材からなる層を含む波長変換素子を提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[]の波長変換部材、[]~[]の波長変換素子、[10]~[14]の波長変換部材の製造方法を提供する。
[1]蛍光体の粒子群の焼結体からなり、任意の切断面における空隙の全体に対する面積比率が0.6%以上、25%以下の範囲内にあ前記蛍光体の粒子群が、単結晶蛍光体の粒子群である、波長変換部材。
[2]前記蛍光体が、組成式(Y 1-x-y-z Lu Gd Ce 3+a Al 5-a 12 (0≦x≦0.9994、0≦y≦0.0669、0.0002≦z≦0.0067、-0.016≦a≦0.315)で表される組成を有する、上記[1]に記載の波長変換部材。
[3]前記蛍光体の粒子群の粒径(D50)が、3μm以上、30μm以下の範囲内にある、上記[1]又は[2]に記載の波長変換部材。
[4]前記蛍光体の粒子群の粒径(D50)が、3μm以上、15μm以下の範囲内にある、上記[3]に記載の波長変換部材。
[5]前記面積比率が、1%以上、15%以下の範囲内にある、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の波長変換部材。
[6]蛍光体の粒子群の焼結体からなり、任意の切断面における空隙の全体に対する面積比率が0.6%以上、25%以下の範囲内にある波長変換層と、前記波長変換層の光取り出し側の反対側に形成された反射膜と、前記反射膜の前記波長変換層の反対側に形成されたパッドメタルと、を備え、前記蛍光体の粒子群が、単結晶蛍光体の粒子群である、波長変換素子。
[7]前記蛍光体が、組成式(Y 1-x-y-z Lu Gd Ce 3+a Al 5-a 12 (0≦x≦0.9994、0≦y≦0.0669、0.0002≦z≦0.0067、-0.016≦a≦0.315)で表される組成を有する、上記[6]に記載の波長変換素子。
[8]前記蛍光体の粒子群の粒径(D50)が、3μm以上、30μm以下の範囲内にある、上記[6]又は[7]に記載の波長変換素子。
[9]前記波長変換層と前記反射膜との間に形成され、前記反射膜と接する面が平坦面である平坦化膜を備えた、上記[6]~[8]のいずれか1項に記載の波長変換素子。
[10]上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の波長変換部材を製造する方法であって、単結晶蛍光体のインゴットを粉砕・粒子化し、蛍光体の粒子群を得る工程と、前記蛍光体の粒子群に圧力を加えて固形化する工程と、前記固形化した蛍光体の粒子群を焼結し、焼結体を得る工程と、前記焼結体をスライスし、ウエハ状の焼結体を得る工程と、前記ウエハ状の焼結体にアニール処理を施す工程と、前記アニール処理を施した前記ウエハ状の焼結体に研磨処理を施す工程と、を含む、波長変換部材の製造方法。
[11]前記蛍光体の粒子群を得る工程において、前記インゴットを加熱及び冷却により粉砕した後、ボールミルによる粉砕を行う、上記[10]に記載の波長変換部材の製造方法。
[12]前記ウエハ状の焼結体を得る工程において、厚さが0.15mm以上、1.0mm以下の範囲内にある前記ウエハ状の焼結体を得る、上記[10]又は[11]に記載の波長変換部材の製造方法。
[13]前記アニール処理を施す工程において、アルゴン雰囲気下で、1450℃以上、1600℃以下の範囲内の温度で、5時間以上、5時間以下の範囲内の時間、前記アニール処理を施す、上記[10]~[12]のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
[14]前記研磨処理を施す工程において、前記ウエハ状の焼結体の厚さが0.05mm以上、0.3mm以下の範囲内となるまで前記研磨処理を施す、上記[10]~[13]のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
本発明によれば、光学系との結合効率に優れた波長変換部材、及びその波長変換部材からなる層を含む波長変換素子を提供することができる。
図1(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る波長変換部材の斜視図である。 図2(a)、(b)は、蛍光体からなる一般的な波長変換部材から発せられてレンズに集光される蛍光の光路を模式的に示す図である。 図3は、第1の実施の形態に係る波長変換部材の一例の切断面のSEM(Scanning Electron Microscope)観察像である。 図4は、実施の形態に係る波長変換部材1の製造工程の一例を示すフローチャートである。 図5は、CZ法による単結晶蛍光体インゴットの引き上げを模式的に示す断面図である。 図6は、第2の実施の形態に係る波長変換素子の垂直断面図である。 図7(a)~(f)は、波長変換層の反射膜側の面上に平坦化膜を形成する場合の波長変換素子の製造工程を示す垂直断面図である。 図8は、第2の実施の形態に係る波長変換モジュールの垂直断面図である。
〔第1の実施の形態〕
(波長変換部材の構成)
図1(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る波長変換部材1の斜視図である。波長変換部材1は、蛍光体の粒子群の焼結体からなり、固有の形状を有する。また、波長変換部材1の任意の切断面における空隙(気孔)の全体に対する面積比率は、0.6%以上、25%以下の範囲内にあり、好ましくは、1%以上、15%以下の範囲内にある。
波長変換部材1の形状は特に限定されないが、典型的には平板形状である。図1(a)、(b)に示される例では、波長変換部材1は平面形状が円形である平板形状を有する。
図1(a)は、励起光の一部と励起光を波長変換した蛍光との混合光を波長変換部材1から取り出す場合の模式図である。例えば、励起光が青色光であり、蛍光が黄色光である場合、白色光を波長変換部材1から取り出すことができる。図1(b)は、励起光のほぼ全てを波長変換し、ほぼ蛍光のみを波長変換部材1から取り出す場合の模式図である。
なお、図1(a)、(b)に示される例では、励起光を反射して光を取り出す反射型の波長変換部材として波長変換部材1を用いているが、励起光を透過させて光を取り出す透過型の波長変換部材として用いることもできる。
図2(a)、(b)は、蛍光体からなる一般的な波長変換部材30から発せられてレンズ31に集光される蛍光の光路を模式的に示す図である。図2(a)、(b)の「P」は、励起光の照射位置を示す。
図2(a)に示されるように、励起光の照射位置Pの近傍から発せられる蛍光は、レンズ31により平行光として集光される。一方で、図2(b)に示されるように、励起光の照射位置Pから離れた位置から発せられた蛍光は、レンズ31により平行光として集光されず、光学系に有効に用いることができない。
一般的に、蛍光体からなる波長変換部材においては、上述のように、気孔を含まない場合や気孔率が小さい場合、波長変換部材内において散乱が少ないために光が広範囲に拡がり、蛍光の出射される領域が大きくなる。この場合、図2(b)に示されるように、光学系に有効に用いることができない光の量が増えるため、光学系との結合効率が低くなる。
また、吸収されずに反射等される励起光の一部と蛍光の混合光を白色光等として取り出す場合には、蛍光の出射される領域が大きくなると、励起光が射出される領域との差が生じ、取り出した光を遠方に照射したときに色割れが生じるという問題がある。
波長変換部材1は、任意の切断面における空隙(気孔)の全体に対する面積比率が0.6%以上となるような量の気孔を含むことにより、波長変換部材1内において光を散乱させている。これにより、蛍光の出射される領域の拡大を抑え、光学系との結合効率を高めている。また、波長変換部材1が、任意の切断面における空隙(気孔)の全体に対する面積比率が1%以上となるような量の気孔を含むことにより、より効果的に光を散乱させ、光学系との結合効率をより高めることができる。
ただし、気孔率が高すぎると、波長変換部材1の機械的な強度や熱伝導率が実用的でない程度まで低下する場合があるため、波長変換部材1の任意の切断面における空隙(気孔)の全体に対する面積比率は、25%以下であり、好ましくは、15%以下である。
図3は、波長変換部材1の一例の切断面のSEM(Scanning Electron Microscope)観察像である。図3に示される波長変換部材1は、組成式(Y0.998Ce0.002Al12で表される組成を有する単結晶蛍光体の焼結体である。矢印で示される部分が空隙(気孔)であり、大部分を占める同一色の部分が蛍光体である。このように、波長変換部材1の任意の切断面における空隙の全体に対する面積比率は、SEM観察などを用いて測定することができる。
また、波長変換部材1は、蛍光体の粒子群から構成されるため、内部に粒界を有する。粒界は気孔と同様に光を散乱させるため、波長変換部材1の光学系との結合効率を向上させるために重要である。
また、波長変換部材1は、優れた内部量子効率を有する。例えば、波長変換部材1を構成する粒子状の蛍光体が組成式(Y1-x-y-zLuGdCe3+aAl5-a12(0≦x≦0.9994、0≦y≦0.0669、0.0002≦z≦0.0067、-0.016≦a≦0.315)で表される組成を有する単結晶体である場合、温度が25℃、励起光のピーク波長が450nmであるときの内部量子効率は0.95以上であり、温度が300℃、励起光のピーク波長が450nmであるときの内部量子効率は0.90以上である。
また、波長変換部材1を構成する粒子状の蛍光体が組成式(Y0.998Ce0.002Al12で表される組成を有する単結晶体である場合、温度が25℃、励起光のピーク波長が450nmであるときの内部量子効率は0.99以上であり、温度が300℃、励起光のピーク波長が450nmであるときの内部量子効率は0.90以上である。
また、波長変換部材1を構成する粒子状の蛍光体が組成式(Lu0.998Ce0.002Al12で表される組成を有する単結晶体である場合、温度が25℃、励起光のピーク波長が450nmであるときの内部量子効率は0.99以上であり、温度が300℃、励起光のピーク波長が450nmであるときの内部量子効率は0.93以上である。
文献Solid-State Lighting Research and Development: Multi Year Program Plan March 2011 (Updated May 2011) P.69 の表 A1.3 によれば、内部量子効率(Quantum Yield (25°C) across the visible spectrum)の2010年の数値は0.90であり、2020年の目標値が0.95であることが記載されている。このことから、業界では、2年で0.01程度の量子効率の向上が期待されていることがわかり、本実施の形態の蛍光体は、出願時において目標とされる数値に近い、又は超えた量子効率を有する優れた蛍光体であるといえる。
上述のように、波長変換部材1は、300℃という高温条件下においても高い内部量子効率を保つことができるため、例えば、励起光がレーザー光であるレーザープロジェクタやレーザーヘッドライトのように、単位面積当たりの輝度が極めて高い発光装置に用いられる波長変換部材として優れた機能を発揮することができる。
また、放熱性を向上させるため、波長変換部材1の厚さは0.3mm以下であることが好ましい。具体例としては、プロジェクターやスポットライトなどの高輝度照明に用いるために、YAG系単結晶蛍光体からなる波長変換部材1に20W以上の青色レーザー光を直径3.0mm以下のスポット径で照射する場合、波長変換部材1の熱伝導率を考慮して、厚さは0.3mm以下であることが好ましい。また、車両のヘッドライトやフラッシュライトに用いるために、YAG系単結晶蛍光体からなる波長変換部材1に2W以上の青色レーザー光を直径0.300mm以下のスポット径で照射する場合、波長変換部材1の熱伝導率を考慮して、厚さは0.3mm以下であることが好ましい。また、加工中の割れを抑えるために、波長変換部材1の厚さは0.05mm以上であることが好ましい。
(蛍光体の特徴)
一般的に、単結晶蛍光体は多結晶蛍光体よりも温度の上昇に伴う蛍光強度の低下が少ない場合が多いため、波長変換部材1を構成する蛍光体は、単結晶蛍光体であることが好ましい。すなわち、波長変換部材1は、単結晶蛍光体の粒子群の焼結体からなることが好ましい。
例えば、YAG系単結晶蛍光体は、YAG系多結晶蛍光体よりも温度の上昇に伴う蛍光強度の低下が少ない。蛍光強度の低下が少ないのは、内部量子効率の低下が少ないことによる。
また、波長変換部材1を構成する蛍光体は、特に限定されないが、温度特性に優れるYAG系蛍光体であることが好ましい。YAG系蛍光体は、YAl12(YAG)結晶を母結晶とする蛍光体である。
例えば、波長変換部材1を構成する蛍光体として、組成式(Y1-x-y-zLuGdCe3+aAl5-a12(0≦x≦0.9994、0≦y≦0.0669、0.0002≦z≦0.0067、-0.016≦a≦0.315)で表される組成を有するYAG系蛍光体、組成式(Y0.998Ce0.002Al12で表される組成を有するYAG蛍光体、組成式(Lu0.998Ce0.002Al12で表される組成を有するLuAG蛍光体を用いることができる。ここで、Lu、Gdは、Yを置換する発光中心とならない成分である。Ceは、Yを置換する発光中心となり得る成分(付活剤)である。
なお、上記の蛍光体の組成のうち、一部の原子は結晶構造上の異なる位置を占めることがある。また、上記の組成式における組成比のOの値は12と記述されるが、上記の組成は、不可避的に混入または欠損する酸素の存在により組成比のOの値が僅かに12からずれた組成も含む。また、組成式におけるaの値は、蛍光体の製造上、不可避的に変化する値であるが、-0.016≦a≦0.315程度の数値範囲内での変化は、蛍光体の物性にほとんど影響を及ぼさない。
Ceの濃度を表す上記組成式におけるzの数値の範囲が0.0002≦z≦0.0067であるのは、zの数値が0.0002よりも小さい場合は、Ce濃度が低すぎるために、励起光の吸収が小さくなり、外部量子効率が小さくなりすぎるという問題が生じ、0.0067よりも大きい場合は、単結晶蛍光体のインゴットを育成する際にクラックやボイド等が生じ、結晶品質が低下する可能性が高くなるためである。また、zの数値が0.0010以上であれば、波長変換部材1が薄くても十分に波長変換を行うことができるため、コストの低減や放熱性の向上をはかることができる。
また、波長変換部材1を構成する蛍光体は、YAG系蛍光体である場合、Ba、Sr等の2族元素及びF、Br等の17族元素を含まず、高い純度を有することが好ましい。これにより高輝度で高寿命な蛍光体を実現できる。
波長変換部材1を構成する蛍光体は、単結晶蛍光体である場合、例えば、CZ法(Czochralski Method)、EFG法(Edge Defined Film Fed Growth Method)、ブリッジマン法、FZ法(Floating Zone Method)、ベルヌーイ法等の液相成長法によって得ることができる。そして、単結晶蛍光体の粒子群は、これらの液相成長法により得られた単結晶蛍光体のインゴットを粉砕することにより得られる。
波長変換部材1を構成する蛍光体の粒子群が単結晶蛍光体の粒子群である場合、その粒径(D50)は、3μm以上、30μm以下の範囲内にあることが好ましく、3μm以上、15μm以下の範囲内にあることがより好ましい。ここで、D50とは、累積分布における50vol%のときの粒径をいう。
粒径(D50)が30μm以下である場合、焼結が進み易くなり、また、空孔が小さくなるため、空孔による波長変換部材1の熱伝導率の低下を抑制することができる。熱伝導率が高ければ、強度の大きな励起光を照射することができる。さらに、粒径(D50)が15μm以下である場合、波長変換部材1の密度がより高まり、熱伝導率が向上する。一方、粒径(D50)が3μmより小さい場合、焼結は進みやすいが、空孔が少なくなりすぎるため、波長変換部材1の内部での光の散乱が減り、配光特性がランバーシアン配光から離れる。そのため、波長変換部材1と光学系との結合効率が低下する。また、粒径が小さ過ぎると、波長変換効率や熱伝導率が低下するという問題も生じる。
なお、YAG多結晶蛍光体は、Y、Al、CeO等の酸化物粉末原料を固相反応によって合成するため、15~20μm程度以上に大きな粒子径の蛍光体を製造することが困難である。一方、単結晶YAG蛍光体は、融液成長した単結晶蛍光体のインゴットを粉砕して作製するため、100μm以上の粒径のものも得ることができる。
波長変換部材1は、単結晶蛍光体の粒子群から構成される場合であっても、蛍光体の封止材やバインダーを含まない。通常、封止材やバインダーは単結晶蛍光体よりも熱伝導率が低く、これらを用いることにより波長変換部材の放熱性が低下する。
〔波長変換部材の製造〕
単結晶蛍光体の粒子群から構成される波長変換部材1を製造する場合、単結晶蛍光体のインゴットを粉砕することにより得られる単結晶蛍光体の粒子群に圧力を加えて固形化し、焼結することにより、単結晶蛍光体の粒子群の焼結体を得る。単結晶蛍光体の粒子群の固形化、焼結には、SPS(Spark Plasma Sintering)法やCIP(Cold Isostatic Pressing)法を用いることができる。
また、多結晶蛍光体により構成される波長変換部材1を製造する場合は、混合した原料をSPS法やCIP法を用いて固相反応させ、焼結させることにより、所定の形状を有する多結晶蛍光体の粒子群の焼結体を得る。例えば、YAG系単結晶蛍光体の粒子群の焼結体を製造するためには、原料であるY、Lu、Gd、Al、CeOの粉末をガーネット組成に合わせた量で混合して、固相反応させる。
波長変換部材1の空隙の割合を、任意の切断面における空隙の全体に対する面積比率が0.6%以上、25%以下の範囲内、好ましくは1%以上、15%以下の範囲内に納めるためには、蛍光体が単結晶である場合も、多結晶である場合も、蛍光体粒子の粒径、焼結工程における圧力、焼成温度、焼成時間などにより空隙の割合を制御する。
例えば、蛍光体粒子の粒径が大きいほど空隙が大きくなるため、空隙の割合が増える。蛍光体粒子の粒径は、例えば、遊星ボールミルを用いた粒子の微粉砕処理の処理時間によって制御することができる。また、焼結工程における圧力が小さいと、空隙が潰れずに残るため、空隙の割合が大きくなる。また、焼結工程において焼成温度を高くする、又は焼成時間を長くすることにより、より焼成が進むため、空隙が小さくなり、空隙の割合が小さくなる。
以下に、より具体的な波長変換部材1の製造方法の例を示す。
図4は、実施の形態に係る波長変換部材1の製造工程の一例を示すフローチャートである。図4は、一例として、YAG系単結晶蛍光体の粒子群の焼結体からなる波長変換部材1の製造工程の流れを示す。
まず、単結晶蛍光体を育成して、インゴットを得る(ステップS1)。出発原料として、高純度(99.99%以上)のY、Lu、Gd、CeO、Alの粉末を用意し、乾式混合を行い、混合粉末を得る。なお、Y、Lu、Gd、Ce、及びAlの原料粉末は、上記のものに限られない。また、Lu又はGdを含まない単結晶蛍光体を製造する場合は、それらの原料粉末は用いない。
図5は、CZ法による単結晶蛍光体インゴットの引き上げを模式的に示す断面図である。結晶育成装置40は、イリジウム製のルツボ41と、ルツボ41を収容するセラミックス製の筒状容器42と、筒状容器42の周囲に巻回される高周波コイル43とを主として備えている。
得られた混合粉末をルツボ41内に入れ、窒素雰囲気中で高周波コイル43により30kWの高周波エネルギーをルツボ41に供給して誘導電流を生じさせ、ルツボ41を加熱する。これにより混合粉末を溶融し、融液50を得る。
次に、YAG系単結晶蛍光体である種結晶51の先端を融液50に接触させた後、10rpmの回転数で回転させながら1mm/h以下の引き上げ速度で引き上げ、1960℃以上の引き上げ温度で<111>方向に単結晶蛍光体インゴット52を育成する。この単結晶蛍光体インゴット52の育成は、筒状容器42内に毎分2Lの流量で窒素を流し込み、大気圧下、窒素雰囲気中で行われる。
こうして、例えば、直径約2.5cm、長さ約10cmの単結晶蛍光体インゴット52が得られる。
次に、単結晶蛍光体のインゴットを粉砕し、粒子化する(ステップS2)。まず、単結晶蛍光体のインゴットを、急加熱、急冷却することにより粗く粉砕し、1~3mm程度の粒径を有する単結晶蛍光体の粒子群を得る。急加熱は、水素・酸素混合ガスバーナーを用いて実施することができる。また、急冷却は、水冷によって実施することができる。
続けて、遊星ボールミルを用いて粒子群を微粉砕した後、乾燥させる。これにより、粒子群の粒径(D50)が3μm以上、30μm以下の範囲内、より好ましくは3μm以上、15μm以下の範囲内とすることができる。
次に、単結晶蛍光体の粒子群に圧力を加えて固形化する(ステップS3)。固形化の方法は特に限定されず、例えば、SPS法、CIP法などを用いることができる。また、シート成形やスリップキャスト法により固形化を施してもよい。これらの方法を用いる場合、粒子群をウエハ上に保持するために有機バインダーが必要となるが、この有機バインダーは工程内で除去することができる。
固形化の際に粒子群に印加する圧力の大きさは、粒子群を固形状に保持できる程度の大きさであり、固形化方法による。例えば、CIP法を用いる場合は、100MPa以上であることが好ましい。
次に、固形化した単結晶蛍光体の粒子群を焼結する(ステップS4)。焼結を実施することにより、固形化した単結晶蛍光体の粒子群の機械的強度が向上し、また、内部量子効率が向上する。焼結のための熱処理の温度や保持時間は、焼結方法による。
また、焼結は、アルゴン雰囲気下で実施される。焼結をアルゴン雰囲気下で実施する場合、大気、酸素雰囲気、窒素雰囲気、又はAr97.5%と水素2.5%の混合ガス雰囲気下で実施する場合よりも、内部量子効率の増加量が大きいことが本発明者らにより確かめられている。
焼結のための熱処理の温度や保持時間は、単結晶蛍光体の種類や焼結方法による。例えば、単結晶蛍光体がYAG系単結晶蛍光体であって、焼成炉内で焼結を実施する場合は、熱処理の温度は1650℃以上、1850℃以下の範囲内にあることが好ましい。また、目標温度に達してからの保持時間は1時間以上、10時間以下の範囲内にあることが好ましい。
熱処理の温度が1650℃より低い場合は、焼結に時間がかかる上に、焼結ムラを生じやすく、1850℃を越える場合は、蛍光体が溶融するおそれがある。保持時間が1時間より短い場合は、焼結が不十分になることがあり、また10時間より長い場合は、焼結が進み過ぎて粒成長が進んだ結果、粒径の均一性が失われる。
なお、ステップS3の固形化にSPS法を用いた場合、ステップS4の焼成もSPS装置内で連続的に行われる。具体的には、例えば、単結晶蛍光体がYAG系単結晶蛍光体である場合、単結晶蛍光体の粒子群に30MPa以上の圧力を印加した状態で、1530℃~1600℃の熱処理を施す。
圧力が30MPaより小さい場合、焼結が進みにくく、そのために空孔が増える。このため、波長変換部材1の熱伝導率が低下したり、波長変換部材1への励起光の侵入が妨げられたりなどの問題が生じる。また、熱処理温度が1530℃より低い場合、焼結に時間がかかる上に、焼結ムラを生じやすく、1600℃を越えると蛍光体が溶融するおそれがある。
このとき、温度の上昇に伴って、単結晶蛍光体の粒子群の密度が大きくなり、単結晶蛍光体の粒子群に圧力を加えるピストンが変位する。目標温度に達して、ピストンの変位量がほぼ零になってから、所定の時間保持する。この保持時間は、30秒以上、3分以下の範囲内にあることが好ましい。30秒より短い場合は焼結が不十分になることがあり、また3分より長いと焼結が進み過ぎて粒径の均一性が失われる。
単結晶蛍光体の粒子群に圧力を加えながら熱処理を施す方法としては、SPS法の他にHIP(Hot Iso-static Press)法、VP(Vacuum Press)法などの方法があり、これらを用いてもよい。
次に、単結晶蛍光体の粒子群の焼結体をスライスして、ウエハ状の焼結体を得る(ステップS5)。スライスは、マルチワイヤーソーなどを用いて実施することができる。
ウエハ状の焼結体の厚さは、薄すぎるとスライスした際に割れが発生して歩留まりが低下するおそれがある。この観点からは、ウエハ状の焼結体の厚さは、0.15mm以上であることが好ましい。また、厚すぎるとスライスにより切り出せる枚数が減るため、結果としてコストが増加する。この観点からは、ウエハ状の焼結体の厚さは、1.0mm以下であることが好ましい。
次に、ウエハ状の単結晶蛍光体の粒子群の焼結体にアニール処理を施す(ステップS6)。アニール処理を実施することにより、単結晶蛍光体の粒子群の焼結体の内部量子効率が向上する。
アニール処理の温度が低すぎる場合や、時間が短すぎる場合は、単結晶蛍光体の粒子群の焼結体の量子効率が十分に向上しない。また、アニール処理の温度が高すぎると装置の負荷が大きくなり、極端に高くすると、焼結体が溶けてしまう。また、アニール処理の時間は長い方が量子効率を高くする観点では好ましいが、長くし過ぎるとコストが増加するという問題がある。このため、アニール処理の温度は、1450℃以上、1600℃以下の範囲内にあることが好ましい。また、アニール処理の時間は、5時間以上であることが好ましい。また、アニール処理の時間が15時間を超えると単結晶蛍光体の粒子群の焼結体の内部量子効率の増加量にほとんど変化がなく、また、アニール処理の時間が長くなるほどコストが増加するため、アニール処理の時間は15時間以下であることが好ましい。
また、アニール処理は、アルゴン雰囲気下で実施される。アニール処理をアルゴン雰囲気下で実施する場合、大気、酸素雰囲気、窒素雰囲気、又はAr97.5%と水素2.5%の混合ガス雰囲気下で実施する場合よりも、内部量子効率の増加量が大きいことが本発明者らにより確かめられている。
次に、ウエハ状の単結晶蛍光体の粒子群の焼結体に研磨処理を施す(ステップS7)。研磨処理は、例えば、研削、ダイヤモンドスラリー研磨、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などの組み合わせにより実施される。研磨処理は、目的の波長変換部材1の厚さ(好ましくは0.05mm以上0.3mm以下)が得られるまで実施される。
以上の工程を経て、YAG系単結晶蛍光体の粒子群の焼結体からなる、ウエハ形状の波長変換部材1が得られる。
〔第2の実施の形態〕
(波長変換素子の構成)
図6は、第2の実施の形態に係る波長変換素子10の垂直断面図である。波長変換素子10は、第1の実施の形態に係る波長変換部材1からなる波長変換層11と、波長変換層11の光取り出し側の反対側(以下、裏側という)の面上に形成された反射膜12と、反射膜12の裏側の面上に形成された保護膜13と、保護膜13の裏側の面上に形成されたパッドメタル14と、波長変換層11の光取り出し側の面上に形成された反射防止膜15と、を備える。
波長変換層11は、波長変換部材1からなる。すなわち、波長変換層11は、蛍光体の粒子群の焼結体からなり、波長変換層11の任意の切断面における空隙の全体に対する面積比率は、0.6%以上、25%以下の範囲内にあり、好ましくは、1%以上、15%以下の範囲内にある。
また、波長変換層11の厚さも、波長変換部材1と同様に、0.050以上、0.3mm以下の範囲内にあることが好ましい。
反射膜12は、例えば、銀、銀合金、アルミニウムなどの反射率の高い金属からなる金属膜、誘電体多層膜、又はその組合せである。誘電体多層膜は、高屈折率(n=2.0以上)の膜と低屈折率(n=1.5以下)の膜の多層積層膜であり、高屈折率膜の材料としては、TiO、ZrO、ZnOなど、低屈折率膜の材料としては、SiO、CaF、MgFなどを用いることができる。反射膜12の反射率は、波長変換層11側からの光の波長(例えば450~700nm)に対する平均反射率が90以上であることが好ましい。
保護膜13は、波長変換素子10を半田実装する際に、反射膜12に半田やパッドメタル14が混ざり、反射膜12の反射率が低下することを防ぐ。例えば、反射膜12が金属(例えば、銀、アルミニウム、又はそれらの合金)からなる場合には、反射膜12を保護するために保護膜13は必要である。特に、反射膜12に銀を用いる場合には、硫化現象を防止するために反射膜12の側面を含めて保護膜13で覆う必要がある。保護膜13の材料は、熱的に安定な酸化物、窒化物、高融点金属などであることが好ましく、具体的には、SiO、SiN、TiN、AlN、TiW、Ptなどを用いることができる。なお、反射膜12が誘電体などの半田やパッドメタル14によって浸食されにくい材料からなる場合には、波長変換素子10は保護膜13を含まなくてもよい。
パッドメタル14は、半田に対する濡れ性が高い構成を有する。例えば、反射膜12側(保護膜13側)からTi/Ni/Au、Ti/Pt/Auなどの積層膜構造を有する。
反射防止膜15は、励起光が波長変換素子10に入射するときに表面で反射されることを抑制できる。反射防止膜15は、可視光に対して透明な誘電体膜の単層膜又は多層膜からなる。なお、反射防止膜15を設ける代わりに波長変換層11の光取り出し側の面に凹凸を設けて、励起光の反射を抑えてもよい。また、波長変換層11の光取り出し側の面に凹凸を設けた上で、さらに反射防止膜15を設けてもよい。
保護膜13により精度よく反射膜12を覆い、効果的に保護するためには、平坦な面上に反射膜12及び保護膜13を形成することが好ましい。また、反射膜12が誘電体多層膜からなる場合には、高い反射率を実現するためには、各層の屈折率や厚さが設計通りになることが重要であり、平坦な面上に反射膜12を形成することが好ましい。これらの理由から、気孔率が比較的高いために表面に凹凸を有する波長変換層11の反射膜12側の面上に平坦な膜を設け、その上に反射膜12や保護膜13を形成することが好ましい。
図7(a)~(f)は、波長変換層11の反射膜12側の面上に平坦化膜16を形成する場合の波長変換素子10の製造工程を示す垂直断面図である。なお、図7(a)~(f)においては、波長変換層11の表面の凹凸を強調するため、気孔を極端に大きく表している。
まず、図7(a)に示されるように、波長変換層11の裏側の面上にCVD法、スパッタ法、蒸着法、SOG(Spin on Glass)法などにより平坦化膜16を形成する。平坦化膜16は、SiO膜や、スクリーン印刷、塗布法などと焼成工程によって形成したガラス層などの可視光に対して透明な膜である。この段階では平坦化膜16はまだ平坦化されておらず、波長変換層11の表面の凹凸に応じた凹凸を有する。
次に、図7(b)に示されるように、平坦化膜16に研削、ダイヤモンドスラリー研磨、CMPなどの平坦化処理を施し、平坦化する。これにより、平坦化膜16の反射膜12と接する面が平坦面となる。
平坦化膜16は、波長変換層11の表面の穴をより確実に埋めるために、比較的厚く形成して、それから平坦化処理を施すことが好ましい。一方、比較的厚く形成することが可能で、かつ可視光に対して透明な膜は、一般的に、熱伝導率が高くない。そのため、波長変換層11で発生した熱を効率的にパッドメタル14に接続されるヒートシンクなどへ逃がすために、平坦化処理により平坦化膜16を平坦性を保てる範囲でなるべく薄くすることが好ましい。また、平坦化膜16は平坦化層は透明で散乱性の無い膜であるため、平坦化膜16が厚すぎると、平坦化膜16を通して光が広がり、レンズとの結合効率が低下するおそれがある。これらの理由から、平坦化膜16の厚さは、30μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
次に、図7(c)に示されるように、平坦化された平坦化膜16の上に、スパッタ法、蒸着法などにより反射膜12を形成する。
次に、図7(d)に示されるように、反射膜12の表面及び側面を覆うように保護膜13を形成する。
次に、図7(e)に示されるように、保護膜13の上に、スパッタ法、蒸着法などによりパッドメタル14を形成する。また、必要に応じて波長変換層11の光取り出し側の面上に反射防止膜15を形成してもよい。
次に、図7(f)に示されるように、ブレードダイシングなどにより、個々の波長変換素子10に個片化する。
図8は、第2の実施の形態に係る波長変換モジュール20の垂直断面図である。波長変換モジュール20は、波長変換素子10が半田によりヒートシンク21に固定されたモジュールであり、波長変換素子10のパッドメタル14と、ヒートシンク21とを半田22を介して接続されている。なお、半田実装後は、半田22とパッドメタル14が混合されているため、パッドメタル14を視認できなくなる場合がある。
半田22は、金属材料からなる方が、波長変換層11で発生した熱を効率的に放熱できる。また、半田22の融点が低すぎると、波長変換層11の温度が上昇した際に、波長変換素子10がヒートシンク21から剥がれるおそれがある。また、半田22の融点が高すぎると、波長変換素子10の実装時の熱によって反射膜12が劣化するおそれがある。これらの理由から、半田22の材料としては、SnAgCu(SAC)、AuSn、AuGe、AuSiが好ましい。
ヒートシンク21は、波長変換層11の温度を効率的に下げるためには、Cu、CuW、CuMo、SiC、AlN、ダイヤモンドなどの熱伝導率が高い材料からなることが好ましい。さらに、波長変換層11の割れを防止するため、ヒートシンク21が波長変換層11と同程度の線膨張係数を有することが好ましい。例えば、波長変換層11がYAG系蛍光体の粒子群の焼結体からなる場合、上述の熱伝導率が高い材料のうち、波長変換層11と同程度の線膨張係数を有するCuW又はCuMoがヒートシンク21の材料として好ましい。
(実施の形態の効果)
上記第1の実施の形態によれば、光学系との結合効率に優れた波長変換部材1を提供することができる。また、上記第2の実施の形態によれば、その波長変換部材1からなる波長変換層11を含む、光学系との結合効率に優れた波長変換素子10、及び波長変換モジュール20を提供することができる。
実施例1として、SPS法を用いたYAG系単結晶蛍光体の粒子群の焼結体からなる波長変換部材1の製造方法の例を示す。
まず、組成式(Y0.998Ce0.002Al12で表される組成を有する単結晶蛍光体のインゴットをCZ法により育成した(ステップS1)。
次に、単結晶蛍光体インゴットを粉砕して粒子化した(ステップS2)。まず、単結晶蛍光体インゴットに水素・酸素混合ガスバーナーを用いた急加熱と水冷による急冷却を施して粗く粉砕し、1~3mm程度の粒径を有する単結晶蛍光体の粒子群を得た。続けて、およそ2時間、遊星ボールミルを用いて粒子群を微粉砕した後、粒子群を80℃で1日乾燥させた。これにより、粒径(D50)がおよそ5μmの蛍光体単結晶の粒子群を得た。
ここで、遊星ボールミルのボールとして、酸化アルミニウムからなるボールを用いた。また、遊星ボールミルを用いた微粉砕において、粗く粉砕された単結晶蛍光体粒子とボールとエタノールの体積比を1:1:1とした。
次に、SPS法により、単結晶蛍光体の粒子群の固形化及び焼結を実施し、焼結体を得た(ステップS3、S4)。まず、単結晶蛍光体の粒子群にプレプレスを施した後、SPS装置内の内径φ20mmのカーボン冶具内に収容した。次に、SPS装置内を真空引きした後、アルゴン雰囲気(1atm)に置換した。次に、カーボンパンチを介してピストンでカーボン冶具内の単結晶蛍光体の粒子群に80MPaの圧力を加えた。次に、80MPaの圧力を加えた状態でカーボンパンチ及びカーボン冶具に電流を流し、単結晶蛍光体の粒子群を加熱した。
加熱開始後、約10分でカーボン冶具内部の温度が目標温度の1570℃に到達した。なお、カーボン冶具の側面には直径1mm、深さ2mmの孔があけられており、パイロメータを使ってカーボン冶具内部の温度を測定することができる。
カーボン冶具内部の温度が目標温度の1570℃に到達し、温度の上昇に伴うピストンの変位がほぼ零になってから、その状態を3分間保持した。その後、加圧を止め、室温に達するまで2時間かけて降温させた。その結果、直径φ20mm、高さ10mmの円柱状(平面形状が円形である平板形状)の単結晶蛍光体の粒子群の焼結体を得た。
次に、マルチワイヤーソーを用いて単結晶蛍光体の粒子群の焼結体を厚さ0.5mmのウエハ状にスライスした(ステップS5)。
次に、ウエハ状の単結晶蛍光体の粒子群の焼結体に、アニール処理を施した(ステップS6)。まず、アニール処理炉内にウエハ状の単結晶蛍光体の粒子群の焼結体を収容し、アニール処理炉内を真空引きした後、アルゴン雰囲気に置換した。次に、アニール処理炉内の温度をおよそ4時間で1500℃まで昇温させ、1500℃で10時間保持した後、およそ4時間で室温まで降温させた。
次に、ウエハ状の単結晶蛍光体の粒子群の焼結体に、研削及びダイヤモンドスラリー研磨による研磨処理を施した(ステップS7)。この研磨処理により、ウエハ状の単結晶蛍光体の粒子群の焼結体の厚さを0.5mmから0.15mmまで薄くした。
以上の工程を経て、組成式(Y0.998Ce0.002Al12で表される組成を有する単結晶蛍光体の粒子群の焼結体からなる、ウエハ形状の波長変換部材1を得た。
実施例2として、CIP法を用いたYAG系単結晶蛍光体の粒子群の焼結体からなる波長変換部材1の製造方法の例を示す。なお、インゴットの育成工程(ステップS1)、粉砕工程(ステップS2)、スライス工程(ステップS5)、アニール処理工程(ステップS6)、研磨処理工程(ステップS7)については、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
インゴットの育成工程(ステップS1)、粉砕工程(ステップS2)を経た後、CIP法により、単結晶蛍光体の粒子群の固形化を実施した(ステップS3)。まず、単結晶蛍光体の粒子群にプレプレスを施した後、CIP装置内の内径φ20mmのゴム製冶具内に収容した。次に、CIP装置内を加圧し、室温下で単結晶蛍光体の粒子群に300MPaの圧力を加えて、固形化した。
次に、固形化した単結晶蛍光体の粒子群を焼結した(ステップS5)。まず、焼成炉内に固形化した単結晶蛍光体の粒子群を収容し、焼成炉内にアルゴンガスを流しながら、常圧下で、焼成炉内の温度をおよそ8時間で1800℃まで昇温させ、1800℃で10時間保持した後、およそ8時間で室温まで降温させた。その結果、直径φ17.5mm、高さ10mmの円柱状(平面形状が円形である平板形状)の単結晶蛍光体の粒子群の焼結体を得た。
その後、スライス工程(ステップS5)、アニール処理工程(ステップS6)、研磨処理工程(ステップS7)を経て、組成式(Y0.998Ce0.002Al12で表される組成を有する単結晶蛍光体の粒子群の焼結体からなる、ウエハ形状の波長変換部材1を得た。
以上、本発明の実施の形態、実施例を説明したが、本発明は、上記実施の形態、実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
また、上記に記載した実施の形態、実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態、実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1…波長変換部材、 10…波長変換素子、 20…波長変換モジュール

Claims (14)

  1. 蛍光体の粒子群の焼結体からなり、任意の切断面における空隙の全体に対する面積比率が0.6%以上、25%以下の範囲内にあ
    前記蛍光体の粒子群が、単結晶蛍光体の粒子群である、
    波長変換部材。
  2. 前記蛍光体が、組成式(Y1-x-y-zLuGdCe3+aAl5-a12(0≦x≦0.9994、0≦y≦0.0669、0.0002≦z≦0.0067、-0.016≦a≦0.315)で表される組成を有する、
    請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 前記蛍光体の粒子群の粒径(D50)が、3μm以上、30μm以下の範囲内にある、
    請求項1又は2に記載の波長変換部材。
  4. 前記蛍光体の粒子群の粒径(D50)が、3μm以上、15μm以下の範囲内にある、
    請求項3に記載の波長変換部材。
  5. 前記面積比率が、1%以上、15%以下の範囲内にある、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  6. 蛍光体の粒子群の焼結体からなり、任意の切断面における空隙の全体に対する面積比率が0.6%以上、25%以下の範囲内にある波長変換層と、
    前記波長変換層の光取り出し側の反対側に形成された反射膜と、
    前記反射膜の前記波長変換層の反対側に形成されたパッドメタルと、
    を備え、
    前記蛍光体の粒子群が、単結晶蛍光体の粒子群である、
    波長変換素子。
  7. 前記蛍光体が、組成式(Y1-x-y-zLuGdCe3+aAl5-a12(0≦x≦0.9994、0≦y≦0.0669、0.0002≦z≦0.0067、-0.016≦a≦0.315)で表される組成を有する、
    請求項に記載の波長変換素子。
  8. 前記蛍光体の粒子群の粒径(D50)が、3μm以上、30μm以下の範囲内にある、
    請求項又はに記載の波長変換素子。
  9. 前記波長変換層と前記反射膜との間に形成され、前記反射膜と接する面が平坦面である平坦化膜を備えた、
    請求項のいずれか1項に記載の波長変換素子。
  10. 請求項1~5のいずれか1項に記載の波長変換部材を製造する方法であって、
    単結晶蛍光体のインゴットを粉砕・粒子化し、蛍光体の粒子群を得る工程と、
    前記蛍光体の粒子群に圧力を加えて固形化する工程と、
    前記固形化した蛍光体の粒子群を焼結し、焼結体を得る工程と、
    前記焼結体をスライスし、ウエハ状の焼結体を得る工程と、
    前記ウエハ状の焼結体にアニール処理を施す工程と、
    前記アニール処理を施した前記ウエハ状の焼結体に研磨処理を施す工程と、
    を含む、
    波長変換部材の製造方法。
  11. 前記蛍光体の粒子群を得る工程において、前記インゴットを加熱及び冷却により粉砕した後、ボールミルによる粉砕を行う、
    請求項10に記載の波長変換部材の製造方法。
  12. 前記ウエハ状の焼結体を得る工程において、厚さが0.15mm以上、1.0mm以下の範囲内にある前記ウエハ状の焼結体を得る、
    請求項10又は11に記載の波長変換部材の製造方法。
  13. 前記アニール処理を施す工程において、アルゴン雰囲気下で、1450℃以上、1600℃以下の範囲内の温度で、5時間以上、15時間以下の範囲内の時間、前記アニール処理を施す、
    請求項10~12のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  14. 前記研磨処理を施す工程において、前記ウエハ状の焼結体の厚さが0.05mm以上、0.3mm以下の範囲内となるまで前記研磨処理を施す、
    請求項10~13のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
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