近年、IoT(Internet of Things)関連市場は、目覚ましい発展を遂げている。これに伴い、IoTの関連技術は、センシングや通信技術からアプリケーションに至る広範囲な分野において活発に検討されている。IoT向け通信に求められる特徴の一つとして多端末接続性が知られている。あらゆるものがインターネットに接続するIoTの世界では、大量の機器の同時接続を実現する通信方式が求められている。
こうしたIoT向け通信には、以下のような特徴がある。一つは、従来の移動体通信と比較して、通信頻度が極めて低いことである。もう一つは、1台あたりに求められる通信容量が小さいことである。これらの要求を満たす通信方式としてLPWA(Low Power Wide Area)が注目されている。LPWAは、消費電力を抑えて通信距離を伸ばすことによって、カバレッジ拡大と多元接続を実現する。
今日では、免許不要帯であるアンライセンス帯を用いた具体的な通信方式として、LoRaWAN(登録商標)、Wi-SUN(登録商標)、EnOcean(登録商標)、SIGFOX(登録商標)、Wi-Fi HaLow(登録商標)といった様々な方式が確立されている。これらそれぞれの通信方式毎に、通信プロトコルは異なる。一方で、これらの通信方式は、部分的に周波数を共用している。これらのことから、異種の通信方式の無線フレーム(単に「フレーム」とも記載する。)を受信する受信局がいずれの通信方式であるかを素早く判定して通信の応答性を高めることは、複数の通信方式が共存する実環境下における多元接続性の担保及び消費電力の抑制のために効果的である。
免許不要帯を用いたLPWA方式は複数存在する。特に、非同期型の通信プロトコルでは、端末からの上り通信が任意のタイミングで発生する。単一の無線システムの場合、少なくとも受信時に判定すべきことは、フレーム到来の事象そのものの検出と、検出されたフレームの通信方式がその無線通信システムが使用しているものであるかの判断に過ぎない。しかしながら、複数のLPWA無線方式に対応した共用型GW(ゲートウェイ)を実現するためには、任意のタイミングで発生するフレーム到来の事象の検出はもちろんのこと、検出されたフレームの通信方式がその共用型GWにおいて対応可能な通信方式のいずれかに該当するかの判定を効率的に行い、さらに、後続のペイロード部分の復調処理を行う必要がある。
図6は、無線信号の物理層フレームの構造を示す図である。物理層フレームは、同期用物理ヘッダ部と物理データ部とを有する。従来技術では、通信方式の判定に、同期用物理ヘッダ部に含まれる通信方式固有のビット列が用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
同期用物理ヘッダ部は、プリアンブル、同期ワード及びSDF(Start Frame Delimiter)を含む。プリアンブルは、クロック同期用のビット列パターンである。受信局は、このプリアンブル信号を用いてビット同期を行う。プリアンブルの多くは、01010101…の繰り返し信号などである。同期ワードは、通信方式を識別する数~数十ビットのビット列パターンである。同期ワードは、通信方式の規格でユニークに定義される。プリアンブル及び同期ワードは、受信局が、主に任意のタイミングで到来する無線フレームの物理信号を受信した場合に、同期を行うために用いられる。同期には、無線フレームと時間(周期)や周波数等を合わせ、通信方式を決め、アナログデジタル(AD)変換を行う処理が含まれる。SFDは、物理データ部の開始を表すビット列である。換言すれば、SFDは、同期用物理ヘッダ部の終了を示す。
物理データ部は、物理(PHY)ヘッダ、物理(PHY)ペイロード及びFCS(Frame Check Sequence)を含む。PHYヘッダは、受信局においてアナログ信号の検波が完了し、デジタルサンプリングが行われた後の物理層フレームのヘッダ部である。PHYヘッダは、物理データ部の長さ(length)、CCA(Clear Channel Assessment)の時間長、FCS(Frame Check Sum)の有無や方式の指定、Whitening(データに乱数をかけてスクランブルすること)の有無等の情報を含む。PHYペイロードは、実データである。例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/UDP(User Datagram protocol)/IP(Internet Protocol)無線フレームの場合、PHYペイロードは、MAC(Medium Access Control)ヘッダ及びMACペイロードを含む。さらに、MACペイロードは、IPヘッダ及びIPペイロードを含み、IPペイロードは、TCP/UDPヘッダ及びTCP/UDPペイロードを含む。FCSは、データ損失や誤りの検出に用いられる。
上記のように、同期用物理ヘッダ部は、検波し、信号を取り出すために必要な同期処理及び通信方式検出に用いられるのに対し、物理データ部のPHYヘッダは、同期処理及び通信方式検出の結果を用いてサンプリング等を行い、物理データ部を取り出す復調処理に必要な情報を表す。
なお、物理層フレームは、通信方式により構造が異なる場合がある。例えば、同期ワードがSFDを兼ねている通信方式などがある。また、通信方式により各フィールドの名称や情報の有無が異なる場合がある。
図7は、従来の受信局が備える受信回路900の構成図である。図8は、図7に示す受信回路900による通信方式判定処理のフロー図である。受信回路900の電力ピーク判定部902は、アンテナ901が受信した無線の電力に基づいてフレームの受信を検出する。フレームの先頭には、プリアンブル部が含まれる。電力ピーク判定部902は、受信したフレームの電力ピークを検出する。電力ピークの信号受信強度がしきい値未満である場合、受信回路900は一定時間スリープする。
一方、電力ピークの信号受信強度がしきい値以上である場合、プリアンブル検出部903は、受信したフレームの同期用物理ヘッダ部からプリアンブルのビット列データをサンプリングする。同期ワード検出部904は、同期用物理ヘッダ部から同期ワードをサンプリングする。SFD検出部905は、同期用物理ヘッダ部からSFDを検出する。受信回路900は、プリアンブル及び同期ワードが判定対象の通信方式の方式別パターンを示しており、かつ、その方式別パターンに続いてSFDを検出したか否かの判定処理を行う。方式別パターンは通信方式毎に異なったビット列パターンであり、プリアンブルと同期ワードとからなるサブセットの一部又は全てである。受信回路900は判定処理でYESと判断した場合、SFDに続く物理データ部を復調する。すなわち、PHYヘッダ復調部906は、物理データ部に含まれるPHYヘッダを復調する。PHYデータ復調部907は、PHYヘッダの復調結果を用いてPHYペイロードを復調する。なお、プリアンブル及び同期ワードが判定対象の通信方式のものではない場合、あるいは、SFDが取得できなかった場合、受信回路900は判定処理でNOと判断し、その無線フレームの受信処理を行わない。
上記の例に示すように、従来の受信局は、電力ピークを検出すると、プリアンブルを用いて同期を行い、SFD又はPHYヘッダまで受信した後に、同期用物理ヘッダ部から通信方式に特徴的なユニークワードの部分(例えば、同期ワード)を検出する。受信局は、検出したユニークワードのビット列パターンが判定対象の通信方式のものであるか否かを判定する。従来の受信局は、1フレームに対しては1通信方式のみを判定対象とする。受信局がいずれのタイミングにおいていずれの通信方式を判定対象とするかは任意に決められる。受信局は、既知のビット列パターンとの一致により、判定対象の通信方式であると判断した場合、その通信方式により後続のペイロード部分を復調処理する。不一致の場合、受信局はSFD以降の後続する物理データ部のビット列を読まないか、または読むことができない。つまり、受信局は、到来した無線フレームの先頭から末尾まで、ユニークワードと合致するかの判定を試行し続け、合致を検出することなく終了する。
図9及び図10は、従来の受信局の動作を説明するための図である。図9は、受信局が無線フレームを正常に受信できない場合の例を示しており、図10は、受信局が無線フレームを正常に受信できた場合の例を示している。受信局は、通信方式A、Bを含む複数の通信方式に対応可能である。送信局は、任意のタイミングで通信方式Bの無線フレームを送信する。受信局は、まず、信号電力ピークの信号受信強度に基づいて無線フレームの到来を検知する。受信局は、その無線フレームの同期用物理ヘッダ部に含まれるユニークワードのビット列パターンを用いて通信方式の判定動作を行う。
ここで、図9に示すように、受信局が通信方式Aのユニークワードとの一致判定を行った場合、無線フレームの受信中に一度も一致の判定結果を得られずに判定動作を終了する。よって、受信局は、当該フレームの受信に失敗する。送信局は、無線フレームの送信完了後に受信窓の一定時間が経過しても受信局からACK応答を受信しないこと等から不達と判定し、再送処理等を行う。受信局は、次に受信した無線フレームに対しては、例えば、図10に示すように、通信方式Bの通信方式判定動作を行う。なお、ACKを受信しなかった場合の送信局の動作は通信方式による。
一方、図10に示すように、受信局は、到来を検知した無線フレームの同期用物理ヘッダ部に対して、通信方式Bのユニークワードとの一致判定を行った場合、一致の判定結果を得る。受信局は、通信方式BのSFDを検出し、物理データ部を通信方式Bにより復調する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、複数のIoT向け無線LPWAの通信方式において共用されるゲートウェイ(GW)の主に受信制御に関する。
図1は、実施形態の受信局1の動作を説明するための図である。受信局1は、複数の通信方式に対応する。受信局1は、1台以上の送信局2と無線により通信する。送信局2から送信される無線フレームは、図6に示す物理層フレーム構造を有する。すなわち、無線フレームは、物理層における同期用の情報が設定される同期用物理ヘッダと、物理層よりも上位層のデータが設定される物理データ部とを有する。
受信局1が備える受信回路として、例えば、複数通信方式対応のLPWAチップが用いられる。従来のLPWAチップは、複数通信方式に対応している場合であっても、ある一つの通信方式の動作中は、その通信方式の検出及び復調のみを行っていた。よって、任意のタイミングにおいて到来する無線フレームの通信方式の候補が複数ある状況下では、従来のLPWAチップは、対応している通信方式の無線フレームであっても、動作中の通信方式ではない無線フレームを正常に受信できなかった。
LPWA通信は、物理層フレームの同期用物理ヘッダ部が比較的長く設計されているという特徴を有する。そのため、雑音に対する信号レベルが高い通信環境などにおいては、同期用物理ヘッダ部の全部に対して判定処理を行わなくても、十分に通信方式を判定することが可能であると想定される。本実施形態の受信局1は、物理層フレームの設計の特徴を利用して、単一の物理層フレームの同期用物理ヘッダに対して複数の通信方式の方式別パターンとの一致判定を逐次的に試みることにより、通信方式を推定する。方式別パターンは、プリアンブル及び同期ワードの全部又は一部のビット列であり、通信方式に特有なユニークワードのビット列パターンを含む。
すなわち、受信局1は、任意のタイミングで到来する無線フレームを電力検出等により検出すると、各通信方式の同期用物理ヘッダ部のヘッダ設計の特徴を利用して、単一の物理層フレームの同期用物理ヘッダ部の先頭から複数の通信方式を逐次的に探索する。この探索には、通信方式に特有の方式別パターンを用いる。例えば、受信局1は、いくつかの通信方式毎に、同期用物理ヘッダ部に含まれるビット列とその通信方式の方式別パターンとの一致判定等を行う。受信局1は、探索により通信方式を検出すると、その検出した通信方式を用いて、同期用物理ヘッダ部の後続の物理データ部の復調処理を行う。
図1は、受信局1が、同期用物理ヘッダ部に対する通信方式の逐次判定において、無線フレームの通信方式は、通信方式A及び通信方式Bと不一致であると判定し、その後、通信方式Cと一致すると判定したため、物理データ部を通信方式Cで復調する流れを示す。
送信局2は、通信方式Cの無線フレームを送信する。受信局1は、無線フレームの先頭を検出すると、まず、物理層フレームの同期用物理ヘッダ部の一部のビット列を用いて通信方式Aであるか否かを判定する。この判定は、通信方式Aのユニークワードを含む方式別パターンとの比較によって行う。受信局1は、通信方式Aではないと判定した場合、同期用物理ヘッダ部のうち、通信方式Aの判定に用いたビット列より後に受信した一部のビット列を用いて通信方式Bであるか否かを判定する。この判定は、通信方式Bのユニークワードを含む方式別パターンとの比較によって行う。受信局1は、通信方式Bではないと判定した場合、同期用物理ヘッダ部のうち、通信方式Bの判定に用いたビット列より後に受信した一部のビット列を用いて通信方式Cであるか否かを判定する。この判定は、通信方式Cのユニークワードを含む方式別パターンとの比較によって行う。受信局1は、通信方式Cであると判定した場合、物理層フレームの物理データ部を通信方式Cにより復調する。このように、逐次的に判定を行う理由は、複数の通信方式を扱うLPWAチップであっても、同時に2以上の異なる通信方式で受信動作を行うことはできないためである。
受信局1は、判定対象のいずれの通信方式の方式別パターンとも一致しない場合は、その無線フレームの受信に失敗する。すなわち、受信局1は、未対応の通信方式である、または、無線フレームではない何らかの信号であると判断する。なお、候補となる通信方式の数が多い場合、受信局1は、同一の物理層フレームの同期用物理ヘッダ部においてそれら全ての通信方式について判定処理を行えない場合がある。この場合、受信局1は、別のタイミングにおいて受信した物理層フレームの同期用物理ヘッダ部に対して、判定処理を行えなかった他の通信方式について判定処理を行う。
なお、受信局1は、同期用物理ヘッダ部からビット列を取得する時間又は取得するシンボル数を動的に変更してもよい。すなわち、判定対象の通信方式のユニークワードの長さ、判定対象の通信方式のシンボルレート、及び、電波環境情報のうち一以上に基づいて取得するビット列の時間長またはシンボル数を動的に決定することによって、受信局1は、通信方式の検出を効率的に実施できる。例えば、電波環境が悪いほど、すなわちSNR(Signal to Noise Ratio;信号対雑音比)が低い環境ほど、ビット列の誤り確率が高くなる。そこで、受信局1は、ユニークワードのパターン一致をより確実に判定するために、SNRが低い環境ほど、ビット列を取得する時間又は取得するシンボル数を長くし、合致判定を行う時間を長くする。
端末主導型のLPWA通信では、任意のタイミングで端末から上り通信が発生する。従って、複数LPWA方式において共用されるGWは、できるだけ効率的に無線方式を判定し、復調処理を実施することが求められる。GWは、図1の受信局1と同様に動作することにより、任意のタイミングで到来する無線フレームの検出後すぐに、その無線フレームを蓄積することなく通信方式を判定し、データ部の復調処理を行うことができる。
本実施形態をLPWAチップに適用することにより、1チップが単一の無線フレームから検出可能な通信方式が増大する。つまり、1チップで複数の通信方式の無線フレームの受信動作を利用可能になることから、共用型GWに用いられるLPWAチップ1つ当たりの通信方式収容数を拡大することが可能となる。
図2は、本発明の実施形態による受信回路100の構成を示す図である。受信回路100は、通信方式判定装置の一例である。受信回路100は、例えば、図1に示す受信局1に備えられる。受信回路100は、アンテナ101と、電力ピーク判定部102と、パターン記憶部103と、判定指示部104と、判定時間管理部105と、プリアンブル検出部106と、同期ワード検出部107と、SFD検出部108と、PHYヘッダ復調部109と、PHYデータ復調部110とを備える。アンテナ101、電力ピーク判定部102、SFD検出部108、PHYヘッダ復調部109及びPHYデータ復調部110はそれぞれ、図7におけるアンテナ901、電力ピーク判定部902、SFD検出部905、PHYヘッダ復調部906及びPHYデータ復調部907と同様の機能を有する。
電力ピーク判定部102は、アンテナ101が受信した無線の電力に基づいて無線フレームの受信を検出する。パターン記憶部103は、各通信方式の同期用物理ヘッダに含まれる方式別パターンを記憶する。判定指示部104は、判定を行う順に、判定対象の通信方式の方式別パターンをパターン記憶部103から読み出す。方式別パターンには、プリアンブルの方式別パターンと、同期ワードの方式別パターンとがある。判定指示部104は、プリアンブルの方式別パターンをプリアンブル検出部106に出力し、同期ワード検出部107に同期ワードの方式別パターンを出力する。判定時間管理部105は、無線フレームの検出が成功した時点を先頭のタイミングとして、各通信方式の判定処理を行う時間を判定指示部104に指示する。
プリアンブル検出部106は、同期用物理ヘッダの一部のビット列を取得し、判定指示部104から受信した方式別パターンと比較する。プリアンブル検出部106は、比較結果を判定指示部104に出力する。同期ワード検出部107は、同期用物理ヘッダの一部のビット列を取得し、判定指示部104から受信した方式別パターンと比較する。同期ワード検出部107は、プリアンブル検出部106が方式別パターンとの比較に用いたビット列を取得してもよい。同期ワード検出部107は、比較結果を判定指示部104に通知する。判定指示部104は、プリアンブル検出部106及び同期ワード検出部107から通知された比較結果に基づいて、無線フレームが判定対象の通信方式のものであるか否かを判定する。
SFD検出部108は、同期用物理ヘッダ部におけるSFDを検出する。PHYヘッダ復調部109と、SFDに続く物理データ部に含まれるPHYヘッダを復調する。PHYデータ復調部110は、PHYヘッダの復調結果を用いてPHYペイロードを復調する。
図3は、図2に示す受信回路100の通信方式判定処理を示すフロー図である。受信回路100の電力ピーク判定部102は、アンテナ101が受信した無線の電力に基づいて無線フレームの受信を検出する(ステップS105)。無線フレームの先頭には、プリアンブル部が含まれる。電力ピーク判定部102は、受信した無線フレームの電力ピークを検出する(ステップS110)。電力ピークの信号受信強度がしきい値未満である場合(ステップS115:NO)、受信回路100は一定時間スリープする(ステップS120)。
一方、電力ピークの信号受信強度がしきい値以上である場合(ステップS115:YES)、判定指示部104は、変数sに1を設定する(ステップS125)。受信回路100は、同期用物理ヘッダからnビット分のビット列をサンプリングする(ステップS130)。そこで、まず、判定時間管理部105は、s番目の通信方式の判定処理を行う時間を判定指示部104に指示する。判定指示部104は、判定時間管理部105から指示された時間、同期用物理ヘッダ部をサンプリングするようプリアンブル検出部106に指示する。これにより、プリアンブル検出部106は、アンテナ101が受信した無線フレームの同期用物理ヘッダからnビット分のビット列をサンプリングする。サンプリングするビット数nは、受信した無線フレームのプリアンブルビット数N以下である(n≦N)。
受信回路100は、サンプリングされたビット列を用いて、s番目の通信方式の方式別パターンであるか否かを判定する(ステップS135)。この判定のため、判定指示部104は、s番目の通信方式の方式別パターンをパターン記憶部103から読み出す。判定指示部104は、プリアンブルの方式別パターンをプリアンブル検出部106に出力し、同期ワードの方式別パターンを同期ワード検出部107に出力する。プリアンブル検出部106は、ステップS130においてサンプリングされたビット列と判定指示部104から受信した方式別パターンとの比較結果を判定指示部104に出力する。さらに、同期ワード検出部107は、ステップS130においてサンプリングされたビット列と判定指示部104から受信した方式別パターンとの比較結果を判定指示部104に出力する。なお、プリアンブル検出部106及び同期ワード検出部107は、サンプリングされたビット列と方式別パターンとが完全一致している場合だけでなく、ハミング距離が所定以内である場合も一致と判定してもよい。
判定指示部104は、プリアンブル検出部106の比較結果及び同期ワード検出部107の比較結果の両方が方式別パターンとの不一致を示す場合、s番目の通信方式の方式別パターンは検出されなかったと判定する(ステップS135:NO)。この場合、SFD検出部108は、サンプリングされたビット列がSFDパターンを示すか否かを判定する(ステップS140)。SFD検出部108が、サンプリングされたビット列は、SFDパターンではないと判断した場合(ステップS140:NO)、判定指示部104は、まだ同期用物理ヘッダの走査が終了していないと判断する。
判定指示部104は、変数sが、受信回路100が対応可能な最大の通信方式数Tに達したか否かを判定する(ステップS145)。判定指示部104は、変数sが最大の通信方式数Tに達していないと判定した場合(ステップS145:NO)、変数sに1を加算する(ステップS150)。受信回路100は、ステップS130からの処理を繰り返す。
すなわち、判定時間管理部105は、s番目の通信方式の判定処理を行う時間を判定指示部104に指示する。判定指示部104は、判定時間管理部105から指示された時間、同期用物理ヘッダ部をサンプリングするようプリアンブル検出部106に指示する。プリアンブル検出部106は、アンテナ101が受信した無線フレームの同期用物理ヘッダからnビット分のビット列をサンプリングする(ステップS130)。判定指示部104は、s番目の通信方式の方式別パターンをパターン記憶部103から読み出し、プリアンブルの方式別パターンをプリアンブル検出部106に出力し、同期ワードの方式別パターンを同期ワード検出部107に出力する。プリアンブル検出部106は、サンプリングされたビット列とプリアンブルの方式別パターンとの比較結果を判定指示部104に出力する。同期ワード検出部107は、サンプリングされたビット列と同期ワードの方式別パターンとの比較結果を判定指示部104に出力する。
判定指示部104は、プリアンブル検出部106又は同期ワード検出部107のいずれかの比較結果が方式別パターンとの一致を示す場合、s番目の通信方式の方式別パターンが検出されたと判定する(ステップS135:YES)。判定指示部104は、s番目の通信方式の無線フレームであると確定する(ステップS140)。受信回路100は、s番目の通信方式によってデータ受信処理を行う。すなわち、SFD検出部108はSFDを検出し、PHYヘッダ復調部109は、SFDに続くPHYヘッダを復調する。PHYデータ復調部110は、PHYヘッダの復調結果を用いてPHYペイロードを復調する。
なお、判定指示部104は、ステップS145において変数sが最大の通信方式数Tに達したと判定した場合(ステップS145:YES)、通信方式が不一致であると判断し、図3の処理を終了する。また、SFD検出部108は、ステップS140においてSDFパターンを検出した場合(ステップS140:YES)、同期用物理ヘッダの走査が終了したと判断し、図3の処理を終了する。
図3の処理による通信方式判定の具体例を説明する。受信回路100は、通信方式A、B、Cの3つの通信方式に対応する。通信方式Aは「広域セブン」であり、通信方式Bは「EnOcean(登録商標)」であり、通信方式Cは「LoRa(登録商標)」であるとする。図4は、これら通信方式A、B、Cの3つの通信方式の仕様を示す図である。図4では、各通信方式の伝送レートと、規格におけるプリアンブル、同期ワード、PHYヘッダ及びPHYペイロードの名称と、プリアンブル及び同期ワードのビット列パターンと、同期ワードの時間長とを示している。
受信回路100のアンテナ101は、未知の通信方式の無線フレームを受信する。電力ピーク判定部102は、電力ピークを検出することにより、何らかの無線フレームが到来したことを検出する。受信回路100は、同期用物理ヘッダ部(プリアンブル、同期ビット及びSFD)をサンプリングする。なお、図4に示すように、同期用物理ヘッダ部の構成や名称は、通信方式により異なる場合がある。しかし、検出対象の通信方式に唯一性のある(独立な)ビット列パターンであるユニークワードを切り出せる部分があれば、同期用物理ヘッダの任意のフィールドを用いても同等の処理ができる。
また、従来技術の受信局は、同期用物理ヘッダ部の一部で停止させることなく、受信局に設定されている(または受信器に対応している)ある通信方式により同期用物理ヘッダ部の全部を処理し復調を試みる。一方、本実施形態の受信局は、複数の方式を逐次切り替えながら同期用物理ヘッダにおける同期ビットとの合致を試みることで単一の無線フレームに対して複数の通信方式の判定を行う。
図4に示すように、同期用物理ヘッダの同期ワードの一部である最初の4ビット分のデータ系列であるサンプルは通信方式毎に異なる。例えば、受信回路100は、同期用物理ヘッダ部から取得した同期ワードのビット列であるサンプルが「1001」の場合、通信方式は「広域セブン」であり、サンプルが「1010」の場合、通信方式は「EnOcean」であり、サンプルが「0011」の場合、通信方式は「LoRa」であると確定可能である。受信回路100は、通信方式を確定すると、確定した通信方式により、後続する残りの同期用物理ヘッダ部の受信、及び、物理データ部の復調処理を続ける。
続いて、判定時間管理部105が管理する、同期用物理ヘッダからのビット列の取得時間について説明する。
例えば、LPWA方式の一つであるLoRaの市販チップの1つであるSEMTECH社製のSX1272には「CAD(Channel Activity Detection)」が規定されている。このCADは、プリアンブル部の数シンボルによって通信方式の検出とパラメータの検出が可能な機能である。CADは、例えば、文献「"WIRELESS & SENSING PRODUCTS DATASHEET SX1272/73",Semitech Corporation,2019年1月,p.40-42」に記載されている。
図5は、CAD機能によるLoRaフレームの検出に必要なLoRaシンボル数を示す図である。図5は、変調パラメータであるSF(Spreading Factor)の値と、CAD機能によるLoRaフレーム検出に必要なLoRaシンボル数のTypical値との関係を表している。なお、SF値は、主にシンボルレートと帯域幅とによって決まる。
図5によれば、SF=7の場合のCAD判定には約1.9シンボルが、SF=8の場合のCAD判定には約1.8シンボルが、SF=9の場合には約1.8シンボルが必要である。これら3種類のSF値についてCAD判定を行うための所要シンボル数合計は、約5.5シンボルである。図5では、Typical値を示しているためシンボル数は小数であるが、例えば、これら各SF値について2シンボルずつを判定に用いる場合でも、合計6シンボルのみを用いればよい。一方、図4に示す通り、LoRaのプリアンブルは10シンボル以上、同期ワードは8ビット分ある。よって、受信回路100は、SF値が任意である場合にも、2つ以上の複数のSF値それぞれの場合を試行して、通信方式及びSF値を判定することができる。よって、判定時間管理部105は、LoRaのSF=7,8,9を判定する際にはそれぞれ2シンボルずつ、又は、まとめて6シンボルを取得可能な取得時間を判定指示部104に指示する。プリアンブル検出部106は、又は、プリアンブル検出部106及び同期ワード検出部107は、判定指示部104から指示された取得時間に同期用物理ヘッダ部をサンプリングする。
また、受信回路100は、同じLoRaのみならず、例えばプリアンブルの前半部分に対してLoRa以外の通信方式の検出を試みてもよい。受信回路100は、LoRa以外の通信方式が検出されなかった場合、あるシンボル長の時間でタイムアウトによりその検出を中断した上で、改めてLoRaの通信方式を検出する。この場合でも、受信回路100は、CAD機能を用いることで高々2シンボル程度あれば1種類のSF値の検出が可能であることから、異種の通信方式間の同時検出も可能である。
上述したように、受信回路100は、同期用物理ヘッダ部の一部を用いて、LPWA方式の異なる2以上の通信方式及び変調方式について逐次的に検出を試みる逐次方式検出処理を行う。一方で、通信方式又は変調方式によって伝送ビットレートは異なる。すなわち、通信方式又は変調方式によって、その通信方式又は変調方式を検出までに要する時間が異なる。そこで、受信回路100の判定時間管理部105は、同期用物理ヘッダ部の一部を用いて逐次方式検出処理を行うために、検出対象の通信方式又は変調方式に応じて、タイムアウトにより一つの通信方式又は変調方式の検出を中断する時間を動的に設定する。
例えば、LoRaと広域セブンの2つの通信方式のビットレートは、以下の通り異なる。すなわち、LoRaのビットレートは、LoRa変調、SF=9、帯域幅(BandWidth)=125kHzの場合、1.7kbps(キロビット毎秒)である。また、広域セブンのビットレートは、GFSK(Gaussian frequency shift keying)変調、符号化なしの場合、50kbpsである。これら通信方式の場合に、同期用物理ヘッダ部から4ビット分を読み取る場合に必要な時間は以下の式(1)及び式(2)のようになる。
LoRaの場合:4ビット/1.7kbps=2.35ms …(1)
広域セブンの場合:4ビット/50kbps=0.08ms …(2)
よって、同期用物理ヘッダから取得した4ビットのビット列との合致を判定するまでに、LoRaでは2.35ms以上の待機が必要であるが、広域セブンでは0.08ms以上待機すればよい。このように、通信方式によって、同期用物理ヘッダからビット列を取得する場合の最低所要時間は異なる。よって、効率的なビット合致判定処理や、より多くの方式の重畳を実現するために、通信方式判定タイムアウトまでの時間は動的に設定して動作させたほうがよい。
また、判定指示部104は、判定対象の通信方式の順序を、通信方式に関する任意の情報によって決めてもよい。例えば、判定指示部104は、判定対象の通信方式の順序を、検出判定速度が速い順とすることができる。各通信方式の検出判定速度の順位は、各通信方式の物理層フレーム設計の特徴及びシンボルレートに基づいて得られる。物理層フレーム設計の特徴とは、プリアンブル長や、ユニークワードの位置等である。例えば、プリアンブルに他の通信方式と異なるビット列パターンが含まれる通信方式については、プリアンブルだけでは他の通信方式と区別ができない通信方式よりも検出判定速度が速いとみなせる。このように、ユニークワードの位置がより無線フレームの先頭に近いほど検出判定速度が速いとみなせる。また、ユニークワードとなるビット列パターンの長さが短いほど、また、1シンボル当たりの時間長が短いほど検出判定速度が速いとみなせる。
また、判定指示部104は、検出順序を、通信が発生する確率が高い通信方式の順とすることができる。判定指示部104は、通信が発生する確率が高いことを、無線フレーム検出前の通信シーケンスの特徴量に基づいて判断する。
例えば、GWが無線機に対して通信方式Aの下りのデータ通信を行った場合、無線機は、このデータ通信を正常終了した後に、上り通信によって通信方式Aの確認応答ACKを送信するケースがある。また、GWは、上位ネットワーク等から無線機宛ての比較的大きな通信要求(ペイロード)を受信した場合、複数の無線フレームに分割して通信要求を無線機に伝送するフラグメンテーションを行う。この場合、無線機には連続して通信方式Aの無線データフレームが到来し、GWには通信方式AのACK応答が連続して到来すると予測できる。また、これららの例における上りと下りが逆の場合もある。判定指示部104は、確認応答ACKが期待されるデータを送信したときに用いた通信方式や、フラグメンテーションによりデータを送信したときに用いた通信方式の優先度を高くする。
連続して同じ通信方式の無線フレームが到来するケースとして、以下のような例もある。GWは、LPWAを用いたIoT通信により、センサデータの伝送要求を無線機に無線送信する。無線機が、自機に接続されるセンサの検出結果を示すセンサデータを全てGWに伝送すると仮定した場合、送信には比較的大容量の帯域が必要である。よって、GWや、GWの上位のサーバは、無線機からの上り通信が1つの無線フレームにより伝送しきれないデータ量となりうることが予測できる。そこで、GWである受信局1が、無線機である送信局2にセンサデータの伝送要求を行った場合、判定指示部104は、無線機に伝送要求を送信したときに用いた通信方式の優先度を高くする。
これらの例のように、判定指示部104は、通信の特徴量から、次に到来しうる無線フレームの通信方式を事前情報としてある程度予測できる場合は、その予測に基づいて通信方式の検出順序を変更できる。
また、電波環境によって、情報ビットの誤り率が異なる。そこで、判定時間管理部105は、電波環境情報を元に通信方式検出のために必要なビット長を動的に設定し、同期用物理ヘッダ部を用いた複数通信方式の逐次方式検出処理を進める。例えば、同期ワードの一部である最初の4ビットを使って通信方式の判定を行うことを考える。
図4に示すように、同期ワードの最初の4ビットが「1001」(ビット列Aと記載)であれば通信方式は「広域セブン」であり、同期ワードの最初の4ビットが「1010」(ビット列B)であれば通信方式が「EnOcean」と判定できる。ビット列Aとビット列Bとは、2ビットだけ異なる。つまり、ビット列Aとビット列Bとのハミング距離は「2」である。したがって、4ビット中の2ビットを誤るBER(Bit Error Rate:ビット誤り率)=0.5以上であるような低CNR(Carrier-to-Noise ratio:搬送波電力対雑音電力比)環境下では、「広域セブン」であるか「EnOcean」であるかを4ビットだけで判定することはできない。すなわち、ビット列「1001」に2ビットの誤りが生じてビット列「1010」となるようなCNR環境の場合、同期ワード検出部107は、広域セブンの信号をEnOceanと間違えて判断する。このような低CNRの場合、同期ワード検出部107は、同期ワードから4ビットよりも長いビット列を取得して方式別パターンとの一致を判定することにより、通信方式判定の誤り率を改善できる。
逆に、非常に高CNR環境下であれば、同期ワードの先頭から3ビット目までを取得して方式別パターンとの一致を判断することにより、十分に通信方式判定ができる、とも考えられる。つまり、同期ワード検出部107は、同期ワードの先頭から3ビット目までが「100」であるか、あるいは、「101」であるかを判定することにより、広域セブンであるかEnOceanであるかを判定できる。プリアンブル検出部106がプリアンブルの方式別パターンを用いて判定する場合も同様である。このように、CNR等の情報ビットの誤り率を示す電波環境情報等を元に、通信方式判定に用いるビット長を動的に設定して動作させた方がよい。
また、SNRに基づいて通信方式判定に用いるビット長を動的に設定してもよい。例えば、同期用物理ヘッダ部が64ビットであり、あるSNR以上の場合には、そのうちの8ビット分の合致が認められれば、約80%の確率で通信方式Aであると判定できる無線通信システムを考える。この無線通信システムがしきい値以下のSNRで運用されている場合、8ビット分の方式別パターンの合致では、検出率80%を担保できず、80%の検出率を確実にするには、12ビット又は16ビット分の合致の判定が必要な場合がある。そこで、判定時間管理部105は、SNRが低い場合には、判定時間を長くして、通信方式判定に用いるビット長を長くする。
また、他の例として、SNRがしきい値以上の運用環境において、最低で、通信方式A及び通信方式Bは8ビット分、通信方式Cは12ビット分について方式別パターンとの合致を判断することによって、通信方式を判断可能な共用GW環境を考える。ここで、通信方式A、B、Cそれぞれのシンボルレートが異なる場合、最低必要なビット数を判定するために必要な時間長は通信方式毎に異なる。例えば、通信方式A、B、Cとも1ビットが1シンボルであり、通信方式Aのシンボルレートが100bps(ビット毎秒)、通信方式Bのシンボルレートが50bps、通信方式Cのシンボルレートが80bpsであるとする。この場合、判定に必要な時間は、通信方式Aが0.08s(秒)、通信方式Bが0.16s、通信方式Cが0.15sとなる。このように、判定時間管理部105は、SNRに加え、各通信方式のシンボルレート及び方式別パターンの長さに基づいて、判定時間を動的に変更する。
また、上述のように、通信方式毎に、同期用物理ヘッダの長さや同期用物理ヘッダの先頭からユニークワードまでの位置などの物理層フレーム設計、シンボルレートによって、受信局1があるnビット数分(nは自然数)を検出するまでの時間は異なる。判定時間管理部105は、その必要時間に基づいて各通信方式の判定を行う優先度を変更可能である。判定時間管理部105は、判定に必要なビット数nを、SNR等の通信環境や通信方式に基づいて決定する。
以上説明した実施形態によれば、受信した無線フレームに用いられている通信方式を効率的に判定することが可能となる。
上述した実施形態によれば、通信方式判定装置は、比較部と、指示部とを備える。例えば、通信方式判定装置は、受信回路100であり、比較部はプリアンブル検出部106及び同期ワード検出部107であり、指示部は判定指示部104である。比較部は、物理層における同期用の情報が設定される同期用物理ヘッダと、物理層よりも上位層のデータが設定される物理データ部とを有する無線フレームの同期用物理ヘッダから一部のビット列を取得し、取得したビット列と判定対象の通信方式に特有のビット列パターンとを比較する。指示部は、比較部における比較の結果に基づいて無線フレームが判定対象の通信方式を用いているか否かを判定する通信方式判定処理を行う。指示部は、通信方式判定処理において無線フレームが判定対象の通信方式を用いていないと判定した場合に、判定対象の通信方式を他の通信方式に変更し、比較部に取得済みのビット列よりも後の一部のビット列を無線フレームの同期用物理ヘッダから新たに取得し、新たに取得したビット列と変更後の判定対象の通信方式に特有のビット列パターンとを比較するよう指示する。指示部は、指示に基づいて比較部が比較を行った結果に基づいて、通信方式判定処理を再び行う。
これにより、複数の無線方式に対応可能な受信局がある時刻に到来した無線フレームの検出に成功した後、通信方式判定装置は、その単一の無線フレームの同期用物理ヘッダ部を利用して複数の通信方式それぞれに特有のビット列パターンであるユニークワードを含んだ方式別パターンとの合致判定を逐次行い、無線フレームに用いられている通信方式を判定する。
通信方式判定装置は、制御部をさらに備えてもよい。制御部は、例えば、判定時間管理部105である。制御部は、ビット列パターンとの比較のために比較部において無線フレームの同期用物理ヘッダからビット列を取得する時間の長さを、判定対象の通信方式に応じて制御する。例えば、制御部は、受信回路が無線フレームの検出に成功したタイミングを開始時点として、その開始時点からある第1の通信方式について同期用物理ヘッダからビット列を取得する時間を管理し、その時間において第1の通信方式との合致判定が真にならない場合に、次の第2の通信方式との合致判定を行うように指示部を制御する。
また、制御部は、比較部が同期用物理ヘッダからビット列を取得する時間長又は同期用物理ヘッダから取得するシンボル数を、判定対象の通信方式のシンボルレートに基づいて制御してもよい。これにより、制御部は、通信方式毎に異なるシンボルレートの特徴を生かし、通信方式の判定に必要なシンボル数又は時間長を、検出状況に合わせて動的に変更する。また、制御部は、CNR等の電波環境情報に基づいて、比較部が同期用物理ヘッダからビット列を取得する時間長又は同期用物理ヘッダから取得するシンボル数を変更してもよい。
また、指示部は、検出対象とする通信方式の順序を、それら通信方式に関する所定の情報に基づいて決定してもよい。所定の情報は、通信方式の物理層フレームの設計と、通信方式のシンボルレートと、通信方式の無線フレームを受信する確率とのうち1以上である。例えば、指示部は、通信方式の物理層フレームの設計や通信方式のシンボルレートに基づいて得られる検出判定速度が速い順に、検出対象とする通信方式の順序を決定してもよい。
上述した実施形態における受信局1及び受信回路100の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、受信局1及び受信回路100の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれら実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。