JP7176694B2 - 固体高分子形燃料電池、イオン交換膜、電気化学セル、水電解方法、及び、水処理方法。 - Google Patents

固体高分子形燃料電池、イオン交換膜、電気化学セル、水電解方法、及び、水処理方法。 Download PDF

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Description

本発明は、組成物、硬化物、固体高分子形燃料電池、イオン交換膜、電気化学セル、水電解方法、及び、水処理方法に関する。
プロトン伝導性高分子として、スルホン酸基を有する高分子化合物が知られている。特許文献1には、「複数の繰り返しユニットを有するスルホン化ポリフェニル化合物からなるプロトン伝導性高分子電解質であって、1つの繰り返し単位に平均2個またはさらに多くのスルホン基が導入されたプロトン伝導性高分子電解質」が記載されている。
国際公開2017-029967号
特許文献1に記載されたプロトン伝導性高分子電解質は優れたプロトン伝導性を有していたが、本発明者らは、更なる改善余地があることを知見した。
そこで、本発明は優れたプロトン伝導性を有する硬化物を形成可能な組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は硬化物、固体高分子形燃料電池、イオン交換膜、電気化学セル、水電解方法、及び、水処理方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] スルホン酸基を有する基を有する高分子化合物と、含窒素置換基を有するカーボンナノドットと、を含有する組成物。
[2] 固体高分子電解質の製造用である、[1]に記載の組成物。
[3] 上記カーボンナノドットの含有量が上記組成物中における上記高分子化合物の含有量を100質量部としたとき、1.0質量部を超える、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] 上記高分子化合物が、繰り返し単位1つあたり、上記スルホン酸基を有する基を1~4個有する、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 上記高分子化合物が後述する式1で表される部分構造を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 上記高分子化合物が、後述する式2で表される繰り返し単位を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 上記繰り返し単位が後述する式3で表される繰り返し単位である、[6]に記載の組成物。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の組成物を硬化させて得られる硬化物。
[9] [8]に記載の硬化物と、上記硬化物を両側から挟む一対の触媒層と、上記触媒層の上記硬化物とは反対側の面にそれぞれ配置されたガス拡散層とを有する積層体を有する固体高分子形燃料電池。
[10] [8]に記載の硬化物を有するイオン交換膜。
[11] [10]に記載のイオン交換膜と、上記イオン交換膜により互いに隔離された一対の電極とを有する電気化学セル。
[12] [11]に記載した電気化学セルに原料水を供給する工程と、上記一対の電極間に電流を流して、上記原料水を電気分解する工程とを有する水電解方法。
[13] [11]に記載した電気化学セルに汚染物質を含む原水を供給する工程と、上記一対の電極間に電流を流して、上記汚染物質を分解する工程とを有する水処理方法。
本発明によれば、優れたプロトン伝導性を有する硬化物を形成可能な組成物を提供できる。また、本発明によれば、硬化物、固体高分子形燃料電池、イオン交換膜、電気化学セル、水電解方法、及び、水処理方法を提供することもできる。
本発明の実施形態に係る固体高分子形燃料電池の分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る固体高分子形燃料電池セルが有する積層体の断面図である。 本発明の実施形態に係る電気化学セルの模式図である。 SPPSU、特定CNDs、及び、本発明の実施形態に係る硬化物の赤外分光スペクトルである。 SPPSU、特定CNDs、及び、本発明の実施形態に係る硬化物の赤外分光スペクトルである。 IRスペクトルから推定される特定CNDsの化学構造の模式図である。 各組成物を用いて得られた硬化物の120℃におけるプロトン伝導度の湿度依存性を示したグラフである。 硬化物の引張強度及び破断伸びを引張試験機を用いて測定した結果である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[組成物]
本発明の実施形態に係る組成物(以下「本組成物」ともいう。)は、スルホン酸基を有する繰り返し単位を有する高分子化合物(以下、「特定高分子」ともいう。)と、含窒素置換基を有するカーボンナノドット(以下「特定CNDs」ともいう。)と、を含有する組成物である。上記組成物によれば、優れたプロトン伝導性を有する硬化物が形成できる(以下、「本発明の効果を有する」ともいう。)。上記の機序は必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推測している。
なお、以下の機序は推測であり、以下の機序以外の機序により本発明の効果が得られる場合であっても本発明の範囲に含まれるものとする。
上組成物は、スルホン酸基を有する基(以下、「スルホン酸基含有基」ともいう。)を有する特定高分子を含有し、更に、特定CNDsを含有する。上記組成物は、スルホン酸基含有基と含窒素置換基とを有するため、その少なくとも一部同士の相互作用により、特定高分子の分子間、及び/又は、分子内において、特定CNDs(残基)を介した架橋構造が形成されるものと推測される。
これは後述する特定高分子、特定CNDs、及び、組成物の硬化物のフーリエ変換型赤外分光分析(以下、「FT-IR」)の結果からも明らかである。
一般に、特定高分子におけるイオン伝導は、スルホン酸基含有基によるプロトン伝導により実現されると考えられており、スルホン酸基含有基が架橋構造の形成に関与した場合、得られる硬化物中におけるイオン伝導(プロトン伝導)性を低下させると従来は考えられてきた。
しかし、本発明者らの検討によれば、特定高分子が有するスルホン酸基含有基と特定CNDsの含窒素置換基との相互作用により架橋構造を形成した場合、驚くべきことに、優れたプロトン伝導性を有する硬化物が得られることがわかった。
上記の機序は必ずしも明らかではないが、特定CNDs(残基)によって硬化物の保水性が向上したり、硬化物中におけるプロトン移動の経路がより多く確保されたりしたためだと推測される。特定CNDsが親水性の含酸素置換基(ヒドロキシ基、及び、カルボキシ基)を有している場合この傾向が顕著である点からも上記推測は支持される。
以下では、本組成物に含有される各成分について詳述する。
〔特定高分子〕
本組成物は、スルホン酸基含有基を有する高分子化合物(特定高分子)を含有する。
組成物中における特定高分子の含有量としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、一般に組成物の全質量に対して、50~99.5質量%が好ましい。
なお、組成物は、特定高分子の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。組成物が、2種以上の特定高分子を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
(スルホン酸基含有基)
特定高分子はスルホン酸基含有基を有する。
特定高分子が有するスルホン酸基含有基の個数としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、特定高分子の繰り返し単位1つあたり、1個以上が好ましく、2個以上がより好ましく、10個以下が好ましく、8個以下がより好ましく、6個以下が更に好ましく、4個以下が特に好ましい。
なお、繰り返し単位あたりのスルホン酸基含有基が2個以上であると、得られる硬化物はより優れたプロトン伝導性を有し、4個以下であると、得られる硬化物は、より優れた力学特性を有する。
スルホン酸基含有基は、スルホン酸基を有する基であり、その構造としては特に制限されないが、下記式S1で表される基が好ましい。
Figure 0007176694000001
なお、上記式S1中、Lは単結合、又は、m+n+1価の連結基であり、Lが単結合の時、mは0でnは1であり、Lがm+n+1価の連結基である時、nは1以上の整数、mは0以上の整数を表し、*は結合位置を表す。
式S1中、Rは水素原子、又は、1価の置換基を表し、水素原子が好ましい。
また、より優れた本発明の効果が得られる点で、mが0で、かつ、nが1であることが好ましい。
のm+n+1価の連結基としては特に制限されないが、2価の連結基としては、例えば、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-SO-、-NR-(Rは水素原子又は1価の有機基を表す)、ヘテロ原子を有していてもよい直鎖、分岐鎖、又は、環状の炭化水素基(炭素数1~10個が好ましい)、及び、これらの組み合わせ等が挙げられる。
なかでも、炭素数1~10個のアルキレン基、炭素数3~10個のシクロアルキレン基、又は、炭素数2~10個のアルケニレン基が好ましく、炭素数1~10個のアルキレン基が好ましく、炭素数1~8のアルキレン基がより好ましい。
の3価以上の連結基としては特に制限されないが、例えば、以下の式(1a)~(1d)で表される基が挙げられる。
Figure 0007176694000002
式(1a)中、Lは3価の連結基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、3個のTは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
としては、3価の炭化水素基(炭素数1~10が好ましい。なお、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でもよく脂肪族炭化水素基でもよい。)、又は、3価の複素環基(5員環~7員環の複素環基が好ましい)が挙げられ、炭化水素基にはヘテロ原子(例えば、-O-)が含まれていてもよい。Lの具体例としては、グリセリン残基、トリメチロールプロパン残基、フロログルシノール残基、及びシクロヘキサントリオール残基等が挙げられる。
式(1b)中、Lは4価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、4個のTは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
なお、Lの好適形態としては、4価の炭化水素基(炭素数1~10が好ましい。なお、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でもよく脂肪族炭化水素基でもよい。)、4価の複素環基(5~7員環の複素環基が好ましい)が挙げられ、炭化水素基にはヘテロ原子(例えば、-O-)が含まれていてもよい。Lの具体例としては、ペンタエリスリトール残基、及びジトリメチロールプロパン残基等が挙げられる。
式(1c)中、Lは5価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、5個のTは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
なお、Lの好適形態としては、5価の炭化水素基(炭素数2~10が好ましい。なお、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でもよく脂肪族炭化水素基でもよい。)、又は、5価の複素環基(5~7員環の複素環基が好ましい)が挙げられ、炭化水素基にはヘテロ原子(例えば、-O-)が含まれていてもよい。Lの具体例としては、アラビニトール残基、フロログルシドール残基、及びシクロヘキサンペンタオール残基等が挙げられる。
式(1d)中、Lは6価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、6個のTは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
なお、Lの好適形態としては、6価の炭化水素基(炭素数2~10が好ましい。なお、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でもよく脂肪族炭化水素基でもよい。)、又は、6価の複素環基(6~7員環の複素環基が好ましい)が挙げられ、炭化水素基にはヘテロ原子(例えば、-O-)が含まれていてもよい。Lの具体例としては、マンニトール残基、ソルビトール残基、ジペンタエリスリトール残基、ヘキサヒドロキシベンゼン、及び、ヘキサヒドロキシシクロヘキサン残基等が挙げられる。
一般式(1a)~一般式(1d)中、T~Tで表される2価の連結基の具体例及び好適形態は、すでに説明したLの2価の連結基と同様であってよい。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、スルホン酸基含有基としては、式S2で表される基が好ましい。
Figure 0007176694000003
式S2中、Lは単結合、又は、2価の連結基を表し、Lの2価の連結基は、Lの2価の連結基として示した形態が挙げられ、好適形態も上記と同様である。
特定高分子が、式S2で表されるスルホン酸基含有基を有すると、得られる硬化物は、より優れた本発明の効果を有する。
<特定高分子の好適形態>
特定高分子としては特に制限されないが、特定高分子が下記式1で表される部分構造を有することが好ましく、特定高分子が下記の部分構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。
Figure 0007176694000004
式1中、Lは単結合、又は、2価の連結基を表し、Arは水素原子の少なくとも1つがスルホン酸基含有基で置換されたアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表し、*は結合位置を表す。
の2価の連結基としては特に制限されないが、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-SO-、-NR-(Rは水素原子又は1価の有機基を表す)、ヘテロ原子を有していてもよい直鎖、分岐鎖、又は、環状の炭化水素基、及び、これらの組み合わせ等が挙げられる。
炭化水素基としては、特に制限されないが、炭素数1~20個のアルキレン基、炭素数3~20個のシクロアルキレン基、炭素数2~20個のアルケニレン基、及び、スルホン酸基含有基を有さないヘテロ原子を有していてもよいアリーレン基等が挙げられる。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、Lとしては、単結合、-C(O)-、-O-、-SO-、スルホン酸基含有基を有さないヘテロ原子を有していてもよいアリーレン基(炭素数1~20個が好ましい)、アルキレン基(炭素数1~10個が好ましい)、及び、これらの組合せが好ましく、単結合、-C(O)-、-O-、-SO-、フェニレン基、下記式で表される基、及び、これらの組合せがより好ましく、単結合、-O-、-SO-、フェニレン基、及び、これらの組合せが更に好ましい。なお、下記式中*は結合位置を表す。
Figure 0007176694000005
(特定単位)
より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、特定高分子は以下の式2で表される繰り返し単位(以下、「特定単位」ともいう。)を有することが好ましい。
Figure 0007176694000006
式2中L、及び、Arは式1中におけるLの形態と同様であり、好適形態もすでに説明したとおりである。また、式中pは1以上の整数であり、特に制限されないが、6以下が好ましく、4以下がより好ましい。
なお、式中、複数あるL及びArはそれぞれ同一でも異なってもよい。
また、式2中Lは、単結合、又は、2価の連結基を表し、Lの2価の連結基は、すでに説明した式1中のLの形態と同様であり、好適形態もすでに説明したとおりである。
より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、特定単位は以下の式3で表される単位がより好ましい。
Figure 0007176694000007
式3中、L、及び、Lはそれぞれ独立に単結合、又は、2価の連結基であり、その形態、及び、好適形態は、式2中のL、及び、Lとしてすでに説明したとおりである。また、式3中、rは1~6の整数を表し、1~4の整数が好ましい。
また、式3中、Xはすでに説明したスルホン酸基含有基であり、その形態、及び、好適形態はすでに説明したとおりである。また、式3中、tは1~4の整数を表し、1~3が好ましく、2~3がより好ましい。また、式中複数あるL、X、及び、Lは同一でも異なっていてもよい。
特定単位としては、下記式4で表される単位が更に好ましい。
Figure 0007176694000008
式4中、Xはすでに説明したスルホン酸基含有基であり、その形態、及び、好適形態はすでに説明したとおりである。また、式4中、q1~q4はそれぞれ独立に0~4の整数を表し、q1~q4の和(q1+q2+q3+q4)は1以上である。
式4で表される特定単位としては、特に制限されないが、例えば、以下の式で表される単位が挙げられる。
Figure 0007176694000009
特定単位の他の具体例としては、特に制限されないが、以下の式で表される単位が挙げられる。
Figure 0007176694000010
特定高分子は、上記の各繰り返し単位の1種を単独で有してもよく、2種以上を有していてもよい。2種以上の特定単位を有する場合(共重合体である場合)、それらの配列としては特に制限されず、ランダム、ブロック、及び、交互のいずれであってもよい。
(その他の繰り返し単位)
特定高分子は上記以外の繰り返し単位を有していてもよい。上記以外の繰り返し単位としては特に制限されないが、すでに説明した式2~式4で表される繰り返し単位のうち、スルホン酸基含有基を有さない基等が挙げられる。特定高分子が特定単位とその他の繰り返し単位とを有する場合、それらの配列としては特に制限されず、ランダム、ブロック、及び、交互のいずれであってもよい。
特定高分子中における特定単位とその他の繰り返し単位の含有量としては特に制限されないが、特定単位は特定高分子の全繰り返し単位中、1~100モル%が好ましく、60~100モル%がより好ましい。特定高分子が、2種以上の特定単位を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
特定高分子の分子量としては特に制限されないが、一般に20000~500000が好ましく、50000~300000がより好ましい。
特定高分子の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。特定高分子の製造方法としては、例えば、国際公開2016/072350号の0007~0029段落に記載されており、上記は本明細書に組み込まれる。
〔特定CNDs〕
本組成物は含窒素置換基を有するカーボンナノドット(以下「特定CNDs」ともいう。)を含有する。本組成物における特定CNDsの含有量としては特に制限されないが、より優れたイオン伝導性を有する硬化物が得られる点で、一般に、組成物中における、特定高分子の含有量を100質量部としたとき、0.1質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.0質量部を超えることが更に好ましく、2.0質量部以上が特に好ましい。上限値としては特に制限されないが、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく。10質量部以下が更に好ましく、5.0質量部以下が特に好ましく、3.0質量部未満が最も好ましい。
なかでも、特定高分子の含有量を100質量部としたとき、特定CNDsの含有量が1.0質量部を超え、3.0質量部未満であると、得られる硬化物がより優れた破断伸びを有するという驚くべき効果を有する。
なお、本組成物は、特定CNDsの1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。組成物が、2種以上の特定CNDsを含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
本明細書においてカーボンナノドットとは、直径が5nm以下のナノ粒子であって、発光性ナノカーボンであることが好ましい。
カーボンナノドットとは、すすの中から発見された新規炭素ナノ材料であり、グラフェン、及び、他のナノカーボン材料等とは異なり、それ自体が発光性を有するという特徴がある。
カーボンナノドットは、例えば、気相中で合成したすすを化学処理する方法、液相中の反応を用いて合成する方法、及び、エレクトロスプレー(静電噴霧)によって合成した極微小液滴間の静電的相互作用を利用する方法等が挙げられる。
特定CNDsの製造方法としては、例えば、特開2015-174945号公報、特開2017-43539号公報、特開2018-35035号公報、Nanophotonics 6(1) (2017) 259-267、及び、RSC Adv., 7 (2017) 24771-24780等に記載されており、上記は本明細書に組み込まれる。
特定CNDsは、含窒素置換基を有している。含窒素置換基としては特に制限されないが、スルホン酸基含有基との相互作用がより強く、結果として、より優れた本発明の効果を有する組成物が得られる点で、アミド基、アミノ基、及び、イミノ基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
特定CNDsがアミノ基を有する場合、第1~3級のいずれのアミノ基であってもよく、中でも、より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、第1級、及び、第2級からなる群より選択される少なくとも1種のアミノ基であることが好ましい。
特定CNDsは、含窒素置換基等以外の官能基を有していてもよい。アミド基以外の官能基としてはヒドロキシ基、及び、カルボキシ基等が挙げられる。
特に、特定CNDsがヒドロキシ基、及び、カルボキシ基を有すると、得られる硬化物がより優れた親水性を有するため、硬化物中におけるプロトン伝導の経路がより増加し、結果として硬化物がより優れた本発明の効果を有する。
特定CNDsが有する各官能基の有無は、FT-IR法で測定可能である。
特定CNDsは、より具体的には、炭素源化合物、窒素源化合物、及び、水を含有する原料溶液を加熱して製造することができる。
本明細書において、炭素源化合物とは、得られる特定CNDsにおける主成分である炭素原子を供給し得る化合物を意味する。
炭素源化合物としては特に制限されないが、例えば、有機酸、糖類、及び、アルコール類等が使用できる。有機酸としては、ヒドロキシ酸が好ましく、ヒドロキシ酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ガラクタル酸、キナ酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、及び、没食子酸等が挙げられる。
原料溶液は、炭素源化合物の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を併せて含有していてもよい。
より優れた本発明の効果が得られる点で、炭素源化合物としては、有機酸が好ましく、ヒドロキシ酸がより好ましく、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ガラクタル酸、キナ酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、及び、没食子酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本明細書において、窒素源化合物とは、得られる特定CNDsに窒素原子を供給する化合物を意味する。窒素源化合物としては、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、ヒドロキシアミン、ポリアミン、及び、複素環式アミン等のアミン化合物;尿素;等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、ヘキシルアミン、及び、N,N-ジメチルエチレンジアミン等のモノアミン;エチレンジアミン等のジアミン;等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、及び、フェニレンジアミン等が挙げられる。
なかでも、より優れた本発明の効果が得られる点で、窒素源化合物としては脂肪族アミンが好ましく、エチレンジアミンがより好ましい。
なお、上記「;」は分類の階層を示す記号として使用しており、本明細書において、以下も同様である。
原料溶液は、炭素源化合物と窒素源化合物と水とを含有していれば、他の成分を含有していてもよい。原料溶液の固形分としては特に制限されず、0.01~99質量%であることが好ましい。
原料溶液を加熱する方法としては特に制限されないが、典型的には原料溶液を反応容器中に配置し、加熱する方法が挙げられる。このときの加熱温度としては特に制限されず、100~500℃であることが好ましく、150~400℃がより好ましく、200~300℃が更に好ましい。
加熱は、密閉容器中で行ってもよく、この場合、加圧、及び、無加圧のいずれでもよく、反応容器中に原料溶液が均一に存在する条件において、すなわち、気液平衡よりも高い圧力とした均一状態の反応溶液(原料溶液)中において、炭素源化合物と窒素源化合物とを反応させることが好ましい。
本工程は、水を含有する原料溶液中で炭素源化合物と窒素源化合物とを必要に応じて加圧下で加熱して特定CNDsを得るものであり、言い換えれば、特定CNDsを水熱合成する工程である。
〔その他の成分〕
組成物は特定高分子、及び、特定CNDsを含有していれば本発明の効果を奏する範囲内において他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、溶媒が挙げられる。
組成物が含有する溶媒としては特に制限されないが、水、有機溶媒、及び、これらの混合物等が挙げられる。なかでもより簡便に硬化物が得られる点で、有機溶媒としては親水性有機溶媒が好ましい。
親水性有機溶媒としては特に制限されないが、例えば、水溶性アルコール系、水溶性ケトン系、水溶性エステル系、水溶性エーテル系(例えば、グリコールジエーテル)、スルホン系、スルホキシド系、及び、ニトリル系等が挙げられ、スルホキシド系が好ましい。
水溶性アルコール系としては、例えば、グリコール等のアルカンジオール(例えば、アルキレングリコールを含む)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のアルコキシアルコール(例えば、グリコールモノエーテルを含む)、メタノール等の飽和脂肪族一価アルコール、アリルアルコール等の不飽和非芳香族一価アルコール、及び、テトラヒドロフルフリルアルコール等の環構造を含む低分子量のアルコールが挙げられる。
水溶性ケトン系としては、例えば、アセトン、プロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、2-ブタノン、5-ヘキサンジオン、1,4-シクロヘキサンジオン、3-ヒドロキシアセトフェノン、1,3-シクロヘキサンジオン、及びシクロヘキサノンが挙げられる。
水溶性エステル系としては、酢酸エチル、エチレングリコールモノアセタート、ジエチレングリコールモノアセタート等のグリコールモノエステル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート等のグリコールモノエーテルモノエステルが挙げられる。
スルホン系としては、例えば、スルホラン、3-メチルスルホラン、及び、2,4-ジメチルスルホラン等が挙げられる。
スルホキシド系としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
ニトリル系溶剤としては、アセトニトリル等が挙げられる。
組成物における溶媒の含有量としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、一般に、組成物の全固形分が1~30質量%に調整されることが好ましい。
なお、組成物は、溶媒の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。組成物が、2種以上の溶媒を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
〔組成物の製造方法〕
組成物の製造方法としては特に制限されず、上記の各成分を混合して製造することができる。
〔用途〕
上記組成物にエネルギーを付与(典型的には加熱)することによって、特定高分子が有するスルホン酸基と特定CNDsが有する含窒素置換基とが相互作用することで分子内、及び/又は、分子間で架橋し、優れたプロトン伝導性を有する硬化物を製造することができる。
上記硬化物は、優れたプロトン伝導性を有するのに加えて、架橋構造を有するため、より優れた力学特性を有する。なかでも、より優れた破断伸びを有する。
また、特定CNDsがヒドロキシ基、及び/又は、カルボキシ基を有すると、優れた親水性を有するため、得られる硬化物はより優れた保水性を有し、結果として、プロトン伝導パスとしてより多くの経路が提供され、硬化物が更に優れたプロトン伝導性を有する。
本組成物を硬化して得られる硬化物は上記の様な特性を有するため、固体電解質として固体高分子形燃料電池(PEFC)等に使用することができる。すなわち、上記組成物は、固体高分子電解質の製造用として優れている。
また、上記硬化物はイオン(カチオン)交換膜としても使用することができ、上記硬化物を含むイオン交換膜としては、例えば、透水性支持体と、上記支持体上に配置された層状の硬化物とを有するカチオン交換膜等が挙げられる。上記カチオン交換膜は、例えばアニオン交換膜と併用して、電気化学測定装置、電気分解装置、及び、排水処理装置等に使用することができる。
[硬化物]
本発明の実施形態に係る硬化物(以下「本硬化物」ともいう。)は、すでに説明した組成物を硬化して得られた硬化物である。
硬化物の製造方法としては特に制限されず、公知の方法で製造することができる。組成物にエネルギーを付与することにより、特定高分子の有するスルホン酸基含有基と特定CNDsが有するアミド基との相互作用により特定高分子が特定CNDsを介して分子内、及び/又は、分子間で架橋することによって本硬化物が得られる。
エネルギー付与の方法としては特に制限されないが、より容易に硬化物が得られる点で、組成物を加熱する方法が好ましい。
加熱の温度としては特に制限されないが、一般に100~250℃が好ましく、120~200℃がより好ましい。
硬化物を製造する方法としては特に制限されないが、より容易に硬化物を製造できる点で、以下の各工程を有することが好ましい。
・特定高分子と溶媒とを混合し、特定高分子分散液を調製する工程(分散工程)
・上記特定高分子分散液に特定CNDsを分散させ、組成物を調製する工程(組成物調製工程)
・基材上に組成物を塗布し、組成物層を形成する工程(組成物層形成工程)
・組成物層を加熱して、硬化物を得る工程(硬化工程)
以下では各工程について詳述する。
(分散工程)
分散工程は、特定高分子と溶媒とを混合し、特定高分子分散液を調製する工程である。特定高分子と溶媒とを混合する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、特定高分子の粉末を溶媒に添加し、撹拌する方法が挙げられる。このとき、予め加熱乾燥させた特定高分子を使用してもよい。使用する原料、及び、量比等はすでに説明したとおりである。
(組成物調製工程)
組成物調製工程は特定高分子分散液に特定CNDsを分散させ、組成物を調製する工程である。特定高分子分散液に特定CNDsを分散させる方法としては特に制限されず、例えば、特定高分子分散液に特定CNDsを直接添加して撹拌してもよいし、予め特定CNDsを溶媒に予備的に分散させ、特定CNDs分散液を調製し、特定高分子分散液と特定CNDs分散液とを混合、及び、撹拌してもよい。
なお、撹拌の方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。
(組成物層形成工程)
組成物層形成工程は基材上に組成物を塗布し、組成物層を形成する工程である。基材としては特に制限されず、ガラス、シリコンウェハ、及び、樹脂基材等が挙げられる。
基材上への組成物の塗布方法としては特に制限されず、スピンコート、スリット塗布、インクジェット法、スプレー塗布、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、及び、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法が挙げられる。
なお、組成物層形成工程は、得られた組成物層を加熱し、溶媒を除去するための工程を更に有していてもよい。この際、加熱温度としては特に制限されないが、例えば、室温~120℃が好ましい。
(硬化工程)
硬化工程は、組成物層を加熱して、硬化物を得る工程である。組成物層を加熱する方法としては特に制限されないが、基材と組成物層とを有する積層体を所定の温度に制御されたオーブンに載置する方法等が挙げられる。
加熱温度としては特に制限されないが、一般に100~250℃が好ましい。加熱時間としては特に制限されないが、一般には1分~48時間が好ましい。加熱時の雰囲気は空気下、又は、真空状態であってもよいし、ガス(例えば窒素ガス、及び、酸素ガス等)雰囲気であってもよい。
硬化物の製造方法としては、上記工程以外の工程を有していてもよい。上記以外の工程としては、例えば、硬化物を洗浄する洗浄工程、及び、洗浄後の硬化物を乾燥させるための乾燥工程等が挙げられる。
(洗浄工程)
洗浄工程は硬化物を洗浄し、未反応の特定高分子、及び、特定CNDs等を除去するための工程である。洗浄方法としては特に制限されないが、洗浄液に硬化物を浸漬し、除去対象物を洗浄液に溶出させる方法が挙げられる。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する硬化物が得られる点で、アルカリ洗浄液と、酸洗浄液とを順次用いて洗浄することが好ましい。
アルカリ洗浄液としては特に制限されないが、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、及び、水酸化カルシウム水溶液等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液等が挙げられる。
酸洗浄液としては特に制限されないが、硫酸等が挙げられる。
なお、酸洗浄液とアルカリ洗浄液以外にも、水を用いて洗浄することも好ましい。例えば、アルカリ洗浄、水洗浄、酸洗浄、水洗浄の順に順次洗浄液を変更して洗浄する形態が好ましい。
洗浄の際の洗浄液の温度としては特に制限されないが、一般に、10~150℃が好ましく、30℃~100℃がより好ましい。
(乾燥工程)
乾燥工程は、洗浄後の硬化物を乾燥させて乾燥済み硬化物を得る工程である。乾燥方法としては特に制限されないが、硬化物を加熱して、又は、加熱せずに、保持する方法が挙げられる。加熱する場合、温度としては特に制限されないが、一般に、30~80℃が好ましい。
〔用途〕
上記硬化物は、優れたプロトン伝導性を有するのに加えて、架橋構造を有するため、優れた力学特性を有する。なかでも、より優れた破断伸びを有する。
また、特定CNDsがヒドロキシ基、及び/又は、カルボキシ基を有すると、優れた親水性を有するため、得られる硬化物はより優れた保水性を有し、結果として、プロトン伝導パスとしてより多くの経路が提供され、硬化物は更に優れたプロトン伝導性を有する。
本硬化物は上記の様な特性を有するため、固体電解質として固体高分子形燃料電池(PEFC)等に使用することができる。
[固体高分子形燃料電池]
本発明の実施形態に係る固体高分子形燃料電池は、すでに説明した硬化物と、上記硬化物を両側から挟む一対の触媒層と、上記触媒層の上記硬化物とは反対側の面にそれぞれ配置されたガス拡散層とを有する積層体を有する固体高分子形燃料電池(以下、「本固体高分子形燃料電池」ともいう。)である。
図1は本固体高分子形燃料電池の分解斜視図であり、図2は、上記固体高分子形燃料電池セルが有する積層体の断面図である。
図1に示すように固体高分子形燃料電池10は積層体11と、積層体11を両側から挟むガス拡散層12及び13と、それぞれのガス拡散層において、固体高分子形燃料電池10とは反対側の面に配置されたセパレータ14及び15とを備えている。また、図2に示すように、積層体11は、硬化物21と、硬化物を両側から挟む触媒層22、及び、23とを有している。
ここで、セパレータ14及び15はそれぞれ導電性を有し、ガスの透過性が低い材料からなる。このような材料としては、特に制限されないが、例えば、耐食処理が施された金属板、及び、焼成カーボン等のカーボン系材料等が挙げられる。
セパレータ14は、ガス拡散層12に面して配置され、ガス拡散層12と面する側に櫛形構造からなる流路16を備えており、反応ガスが流通できるよう構成されている。また、同様の流路17がセパレータ15にも設けられている。
また、セパレータ14の流路16の反対側の面には、冷却水流路18が形成され、セパレータ15の流路17の反対側にも、冷却水流路19が形成されている。
燃料ガスは、まずセパレータ14の流路16を通り、酸化剤ガスは、まずセパレータ15の流路17を通る。
燃料ガス(例えば、水素、及び、メタン等)は、セパレータ14の流路16を通るうちに、ガス拡散層12を介して、積層体11に供給される。一方、酸化剤ガス(酸素、及び、空気等)は、セパレータ15の流路17を通るうちに、ガス拡散層13を介して、積層体11に供給される。
ガス拡散層12及び13はともに、導電性が高く、かつガスの拡散性が高い材料から成る。この材料としては、特に制限されないが、多孔質材料が好ましい。
ガス拡散層12及び13の厚みは、特に制限されないが、一般にそれぞれ50~1000μmが好ましい。
積層体11は、硬化物21と、硬化物21の一方の面に配置された触媒層22と、他方の面に配置された触媒層23とを有している。
積層体11は層状に形成された硬化物21を有する。この硬化物の形態はすでに説明したとおりであり、好適形態も同様であるので、説明を省略する。
硬化物21の厚みは、特に限定されないが、一般に、1~500μmが好ましい。厚みが1μm以上であると、作製及び取り扱いがより容易である点で好ましい。一方、厚みが500μm以下であると、膜抵抗がより小さい点で好ましい。
触媒層22及び23は、それぞれ触媒粒子と電解質とを含む。平面から見たときの形状は特に問わないが、略矩形状であると形成が容易である。
触媒粒子としては特に制限されないが、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、及び、オスミウム等の白金族元素が使用できる。また、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、及び、アルミニウム等の金属、並びに、これらの合金、酸化物、及び、複酸化物等も使用できる。
触媒層22及び23に用いる電解質は、イオン伝導性を有するものであればよい。
上記固体高分子形燃料電池によれば、硬化物が優れたプロトン伝導性を有するため、結果としてより効率的に電流生成が可能となる。
[イオン交換膜]
本発明の実施形態に係るイオン交換膜は、すでに説明した硬化物を有するイオン交換膜である。
上記硬化物は、カチオン交換膜として使用できるため、イオン交換膜としては、上記硬化物のみから形成されていてもよいが、より優れた耐久性を有する点で、基材と、基材上に形成された上記硬化物とを有する積層体であることが好ましい。
基材としては特に制限されないが、透水性を有する基材が好ましい。透水性のある基材としては、典型的には多孔質部材が挙げられ、多孔質部材としては、例えば、化学的に安定な無機酸化物を含有する連続的な無機酸化物多孔質膜が挙げられる。無機酸化物としては、特に制限されないが、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、及び、酸化ニッケル等が挙げられる。また、多孔質部材としては、ハロゲン化ポリマーを有する多孔質ポリマー等を用いることもできる。
また、積層体であるイオン交換膜は、基材において、上記硬化物が配置された面とは反対側の面に更にアニオン交換膜を有していてもよい。アニオン交換膜としては特に制限されず、公知のアニオン交換膜を用いることができる。
本硬化物は優れたイオン伝導性を有するため、上記イオン交換膜は優れたイオン伝導性を有する。
[電気化学セル]
本発明の実施形態に係る電気化学セルは、上記イオン交換膜と、上記イオン交換膜により互いに隔離された一対の電極とを有する電気化学セルである。図3には本発明の実施形態に係る電気化学セルの模式図を示した。
電気化学セル30は、一対の電極(電極31、及び、電極32)を有し、これらの電極が、イオン交換膜33により互いに隔離されている。また、電極31、32、イオン交換膜33は、容器34内において、電解液35と接するように配置されている。なお、電極31、及び、32はそれぞれ図示しないポテンシオ/ガルバノスタットと電気的に接続されており、電流、及び、電位のそれぞれを制御、及び、測定できるよう構成されている。
また、電気化学セル30は一対の電極を有しているが、電気化学セルとしては上記に制限されず、更に他の電極を有していてもよい。その場合、他の電極を参照電極とすると、電極31、及び、電極32の電極電位をより正確に制御、及び、測定できる点で好ましい。
上記電気化学セルは、本発明の実施形態に係るイオン交換膜を有するため、より効率的に電気化学反応を実施することができる。
[水電解方法]
本発明の実施形態に係る水電解方法は、上記電気化学セルに原料水を供給する工程と、上記一対の電極間に電流を流して、上記原料水を電気分解する工程とを有する水電解方法である。上記方法によれば、原料水を電気分解して水素と酸素を製造することができる。
上記水電解方法は、すでに説明した優れたイオン伝導性を有するイオン交換膜を有する電気化学セルを用いるため、より効率的に水を電解することができる。上記水電解方法は上記電気化学セルを用いること以外の電解条件(原料水、及び、電流密度等)としては公知の方法を適用可能である。公知の方法としては、例えば、特開昭57-131376号公報等に記載されている。
[水処理方法]
本発明の実施形態に係る水処理方法は、上記電気化学セルに汚染物質を含む原水を供給する工程と、上記一対の電極間に電流を流して、上記汚染物質を分解する工程とを有する水処理方法。
本発明の実施形態に係る水処理方法により処理される汚染物質としては、電気分解により酸化分解される物質(以下、「特定物質」ともいう。)が挙げられる。特定物質は、有機物であってもよく、無機物であってもよい。
特定物質としては特に制限されないが、例えば、アルカン、アルケン、及び、アルキン等の脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素;アルコール;アルデヒド;ケトン;アミン;酢酸等のカルボン酸;エステル、アミド、及び、酸無水物等のカルボン酸誘導体;ハロゲン化炭化水素;フェノール類;スルホキサイド、メルカプトン、チオール、及び、ポリスルホン等の含硫黄有機化合物等;が挙げられる。
特定物質の他の例としては、高分子化合物が挙げられる。
また、特定物質のなかでも、無機化合物としては、例えば、アンモニア;硝酸イオン、亜硝酸イオン;シアン化ナトリウム等のシアン類;尿素等の窒素化合物;硫化水素等の硫黄化合物等が挙げられる。原水には、その他のイオン類、例えば無機又は有機酸イオンが含まれていてもよい。
原水は、懸濁液、乳化液、及び、水溶液のいずれでもよい。すなわち、特定物質は溶解していてもよく、分散していてもよい。
電気分解の条件としては特に制限されず、公知の温度、圧力、及び、電流密度等とすればよい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[特定高分子の作製]
特定高分子は、文献(S.Matsushitaら Solid State Ionics 316 (2018) 102-109.)を参照して合成した。具体的には、以下のとおりである。
まず、Solvay Specialty Polymers Japanから購入した市販のポリフェニルスルホン(以下、「PPSU」ともいう。「Solvay Radel R-5000NT」、MW50,000以下)を購入して準備した。
次に、PPSUを80℃のオーブン中で約48時間乾燥して水分を除去した。次に、乾燥後のPPSU(35g)を2Lの硫酸(HSO、約98%)に添加し、オイルバス中で60℃で2日間反応させ、スルホン化PPSU(以下、「SPPSU」ともいう。)を含有する溶液を得た。
次に、上記溶液を大過剰の氷に接触させ、SPPSUを析出させて回収した。得られたSPPSUは真空濾過して、透析チューブセルロース膜を用いて、pH7まで脱イオン水で洗浄した。
得られたSPPSUは、80℃で乾燥させ、水を除去した。
得られたSPPSUについて、H核磁気共鳴(HNMR)スペクトルは、重水素化ジメチルスルホキシド(d-DMSO)溶液、及び、基準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた化学シフト(PPM)を用いて400MHzで動作するJEOL JNM-ECA400分光計を用いて室温で記録した。
HNMRスペクトルから、1つの繰り返し単位が2つのスルホン酸基(スルホン酸基含有基に相当する)を有することがわかった。HNMRから推定されるSPPSUは下記の繰り返し単位を有するポリマーであった。
Figure 0007176694000011
[特定CNDsの作製]
特定CNDsは、文献(W.Wangら,RSC Adv.,7(2017)24771-24780)を参照して合成した。具体的には、以下のとおりである。まず、1.0gのクエン酸、384μLの1,2-エチレンジアミンを混合し、1mLの超純水に溶解させ原料溶液を調製した。次に、原料溶液をガラスチューブオーブン内に密閉し、240℃で30分間加熱したところ、赤褐色で泡状の固体(カーボンナノドット、収量~1g)が得られた。これらをDMSO(ジメチルスルホキシド)に分散し、10質量%特定CNDs溶液を作製した。
[組成物の調製]
まず、0.5gのSPPSUを5gDMSOに分散させ、SPPSU分散液を得た。次に、上記溶液に対して、10質量%特定CNDs溶液を所定量加えて、組成物中のSPPSUの含有量を100質量部として、特定CNDsの含有量が1~3質量部となるよう調製した(実施例1~3)。また、特定CNDsを添加しない比較例組成物も調製した。調製した組成物の組成を表1に示した。
[硬化物の作製]
各組成物について、シャーレに入れて組成物層を形成した。上記組成物層をシャーレごと80℃に調整されたオーブン内に載置し、24時間維持して、DMSOを蒸発させた。次に、組成物層を120℃で24時間加熱し、硬化物を作製した。また、加熱温度を160℃、及び、180℃としたこと以外は上記と同様にして硬化物を作製した。
作製した硬化物は、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬(80℃)し、その後、沸騰水に2時間浸漬し、その後、1Mの硫酸に2時間浸漬(80℃)し、その後、沸騰水に2時間浸漬して洗浄した。洗浄後の硬化物は、室温にて乾燥させた。
(構造解析)
SPPSU、特定CNDs、及び、硬化物は、赤外分光光度計(Nicolet-6700, Thermo Scientific)を用いて全反射測定法(ATR:attenuated total reflection)で波数4000~550cm-1の範囲で測定し、構造解析した。結果を図4~5に示した。なお、図4及び図5において、「SPPSU/CNDs」とあるのは硬化物のスペクトルを表し、「CNDs」とあるのは特定CNDsのスペクトルを表し、「SPPSU」とあるのはSPPSUのスペクトルを表す。
一般に、CNDsはトップダウン法(炭素源化合物を分解してナノサイズの粒子を作製する方法)と、ボトムアップ法(炭素源化合物からナノサイズの粒子を合成する方法)とが知られている。本実施例では、ボトムアップ法により特定CNDsを合成した。ボトムアップ法による合成では使用原料によりCNDsが有する官能基を制御することがより容易である。
図6は、IRスペクトルから推定される特定CNDsの化学構造の模式図である。なお、図6中、Rは水素原子、又は、1価の置換基を表す。
図4及び図5において、「CNDs」と示したスペクトルから、図6に示した特定CNDsの構造を推定できる。
「CNDs」のIRスペクトルにおいて、2800~3300cm-1の範囲に、C-H伸縮振動の特徴的なピークが観察された。また、3300cm-1のブロードなピークはO-H伸縮振動を示し、1000~1200cm-1のO-H変角振動は、多数のヒドロキシ基の存在を示唆している。
更に、非常に強いピークが1534cm-1に現れており、このピークは、EDA(1,2-ethlenediamine)構造によりもたらされるN-H非対称振動に帰属される。
また、アミド基の存在は、1650cm-1付近の第1級/第3級アミドにおけるC=O伸縮振動の存在によって更に確認された。1390cm-1及び、1337cm-1の2つのバンドは、それぞれカルボキシ酸のCOO及びOHに帰属された。図4及び5の結果はさまざまな官能基が特定CNDsに存在し、それらが特定CNDsの親水性をより向上させることを示している。
次に、図4及び5の「SPPSU/CND」と示した硬化物のスペクトルについて説明する。まず、1510cm-1にN-Hピークが観察された。これによりSPPSUのポリマーマトリクス内部に、特定CNDsが存在することが明らかになった。この現象は、架橋プロセスを経て、特定CNDsとSPPSUのポリマーマトリクスの間に、水素結合が存在することを示している。
硬化物における上記N-Hピークは、特定CNDsにおけるピーク(1534cm-1)と比較して、より低波数側にシフトした。これは、架橋後の硬化物の内部の微細構造の再構成、又は、変化に起因したものと推測される。すなわち、熱処理によって特定CNDsとSPPSUマトリクスとの間にネットワークが形成され、それによって微細構造がよりコンパクトになったものと推測される。
上記硬化物は、洗浄工程を経たものであり、未反応の特定CNDsは洗浄液に溶出するものと推測される。従って上記の結果から、硬化物中にはSPPSUマトリクスに取り込まれた(架橋された)特定CNDsが存在することが明らかとなった。
〔硬化物の評価〕
硬化物のプロトン伝導度、機械特性、イオン交換容量、吸水率、及び、膨潤率を以下の方法により測定した。
(プロトン伝導度)
硬化物のプロトン伝導度は、PSM1735アナライザ(Newtons4th社)を備えた膜抵抗測定システムMTS740(Scribner Associates社)を用いた4探針法により測定した。測定は、湿度を40、60、及び、80、90%RHとし、温度を80、及び、120℃として実施した。また、インピーダンス測定は、印加電圧10mV(peak to peak)、周波数1Hz~1MHzで実施した。結果を図7、及び、表1に示した。
図7は各組成物を用いて得られた硬化物の120℃におけるプロトン伝導度の湿度依存性を示したグラフである。図7の結果から、実施例1~3の組成物を用いて得られた硬化物は、比較例の組成物を用いて得られた硬化物と比較して、すべての湿度範囲において優れたプロトン伝導性を有していることがわかった。更に、SPPSUの含有量を100質量部としたとき、特定CNDsの含有量が1.0質量部を超える実施例3の組成物の硬化物は、実施例1の組成物の硬化物と比較して、より優れたプロトン伝導性を有していることがわかった。この結果から、特定CNDsが有しているカルボキシ基等がプロトン伝導経路の形成に寄与している可能性が示唆された。すなわち、特定CNDsを複合化することによってプロトン伝導度が向上することがわかった。
(機械特性)
硬化物の機械特性として引張強度(MPa)及び破断伸び(%)を引張試験機(Shimadzu、EZ-S)を用いて測定した。結果を図8、及び、表1に示した。
表1に示した結果から、組成物中におけるSPPSUの含有量を100質量部としたとき、特定CNDsの含有量が、1.0質量部を超える実施例2の組成物の硬化物は実施例1の組成物の硬化物と比較してより優れた破断伸びを有していた。また、組成物中におけるSPPSUの含有量を100質量部としたとき、特定CNDsの含有量が、3.0質量部未満である実施例2の組成物の硬化物は実施例3の組成物の硬化物と比較してより優れた破断伸びを有していた。
従来、架橋した硬化物においては一般に破断伸びが低下する傾向があると考えられていたが、実施例2の組成物の硬化物は実施例1、3、及び、比較例の組成物の硬化物と比較して、驚くべきことに2倍程度の破断伸びを有していた、言い換えれば、優れた柔軟性を有していることがわかった。
(イオン交換容量)
硬化物のイオン交換容量は以下の方法により測定した。まず、予め乾燥させた硬化物を2MのNaCl水溶液に室温で浸漬し、撹拌しながら24時間維持し、HをNaに置換した。次に、得られた溶液を0.01MのNaOH水溶液でpH7まで滴定し、以下の式を用いてイオン交換容量(IEC)を算出した。
式:IEC(meq/g)=CV/Wdry
上記式中、Cは滴定に使用した水溶液中のNaOHの含有量(0.01mol/L)であり、Vは滴定に使用したNaOHの体積(mL)を表し、Wdryは硬化物の乾燥質量を表す。
(吸水率)
硬化物の吸水率(質量%)は以下の方法により測定した。まず、硬化物を80℃に調整されたオーブン内に24時間保持し、乾燥させた。乾燥後の硬化物の質量はW(g)とした。次に、乾燥後の硬化物を、沸騰水に1時間浸漬した。次に、浸漬後の硬化物を沸騰水から取り除き、表面の水分を除去した後、秤量し、W(g)とした。硬化物の吸水率は下記の式によって計算した。
式(吸水率:Water Uptake、質量%)=(Ww-Wd)/Wd×100
(膨潤率)
硬化物の膨潤率(%:長さ基準)は吸水率の測定において沸騰水に浸漬する前後の硬化物の大きさの変動に基づいて計算した。膨潤率は硬化物の長さ方向、及び、厚み方向について、それぞれ以下の式により計算した。
式:膨潤率(厚み方向、%)=((T-T)/T))×100
膨潤率(長さ方向、%)=((l-l)/l))×100
上記式中、T、及び、lはそれぞれ沸騰水中に1時間浸漬した後の硬化物の厚みと長さを表し、T、及び、lは乾燥状態での硬化物の厚みと長さとを表す。
イオン交換容量、吸水率、及び、膨潤率の測定結果を表1に示した。
表1に示した結果から、各実施例の組成物の硬化物のIECは比較例の組成物の硬化物のIECより低い値を示した。
実施例1と2のIEC及び吸水率は比較例より低下したが、膨潤率は大きく変わらなかった。実施例3のIEC、吸水率、及び、膨潤率は実施例1,及び、2より高い値を示した。
上記は、特定CNDsを添加して複合架橋化することでSPPSUのスルホン基が低減したことで、各実施例の硬化物のIECが比較例の硬化物よりも低い値を示したと考えられる。
また、CNDの添加量が多い、実施例3の組成物の硬化物では吸水率及び膨潤率が大きくなった。これは、特定CNDの添加量が大きくなると特定CNDの親水性が硬化物に影響を及ぼし、吸水率が大きく増加したと考えられる。
Figure 0007176694000012
10:固体高分子形燃料電池
11:積層体
12、13:ガス拡散層
14、15:セパレータ
16、17:流路
21:硬化物
22、23:触媒層
30:電気化学セル
31、32:電極
33:イオン交換膜
34:容器
35:電解液

Claims (17)

  1. 積層体を有する固体高分子形燃料電池であって、
    前記積層体が、
    スルホン酸基を有する基を有する高分子化合物と、含窒素置換基を有するカーボンナノドットと、を含有する組成物を硬化させて得られる硬化物と、
    前記硬化物を両側から挟む一対の触媒層と、
    前記触媒層の前記硬化物とは反対側の面にそれぞれ配置されたガス拡散層とを有する、固体高分子形燃料電池。
  2. 前記硬化物が、固体高分子電解質である、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
  3. 前記カーボンナノドットの含有量が前記組成物中における前記高分子化合物の含有量を100質量部としたとき、1.0質量部を超える、請求項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池
  4. 前記高分子化合物が、繰り返し単位1つあたり、前記スルホン酸基を有する基を1~4個有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池
  5. 前記高分子化合物が式1で表される部分構造を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池
    Figure 0007176694000013
    (式1中、Lは単結合、又は、2価の連結基を表し、Arはアリーレン基又はヘテロアリーレン基であって、水素原子の少なくとも1つが前記スルホン酸基を有する基で置換された基を表し、*は結合位置を表す。)
  6. 前記高分子化合物が、式2で表される繰り返し単位を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池
    Figure 0007176694000014
    (式2中、L、及び、Lはそれぞれ独立に単結合、又は、2価の連結基を表し、Arはアリーレン基又はヘテロアリーレン基であって、水素原子の少なくとも1つが前記スルホン酸基を有する基で置換された基を表し、pは1以上の整数を表す。)
  7. 前記繰り返し単位が式3で表される繰り返し単位である、請求項6に記載の固体高分子形燃料電池
    Figure 0007176694000015
    (式3中、L、及び、Lはそれぞれ独立に単結合、又は、2価の連結基を表し、rは1~6の整数を表し、Xは前記スルホン酸基を有する基を表し、tは1~4の整数を表し、複数あるL、X、及び、Lは同一でも異なっていてもよい。)
  8. イオン交換膜であって、
    スルホン酸基を有する基を有する高分子化合物と、含窒素置換基を有するカーボンナノドットと、を含有する組成物を硬化させて得られる硬化物を有するイオン交換膜。
  9. 前記硬化物が、固体高分子電解質である、請求項8に記載のイオン交換膜。
  10. 前記カーボンナノドットの含有量が前記組成物中における前記高分子化合物の含有量を100質量部としたとき、1.0質量部を超える、請求項8又は9に記載のイオン交換膜
  11. 前記高分子化合物が、繰り返し単位1つあたり、前記スルホン酸基を有する基を1~4個有する、請求項8~10のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
  12. 前記高分子化合物が式1で表される部分構造を含む、請求項8~11のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
    Figure 0007176694000016
    (式1中、L は単結合、又は、2価の連結基を表し、Ar はアリーレン基又はヘテロアリーレン基であって、水素原子の少なくとも1つが前記スルホン酸基を有する基で置換された基を表し、*は結合位置を表す。)
  13. 前記高分子化合物が、式2で表される繰り返し単位を有する、請求項8~12のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
    Figure 0007176694000017
    (式2中、L 、及び、L はそれぞれ独立に単結合、又は、2価の連結基を表し、Ar はアリーレン基又はヘテロアリーレン基であって、水素原子の少なくとも1つが前記スルホン酸基を有する基で置換された基を表し、pは1以上の整数を表す。)
  14. 前記繰り返し単位が式3で表される繰り返し単位である、請求項13に記載のイオン交換膜。
    Figure 0007176694000018
    (式3中、L 、及び、L はそれぞれ独立に単結合、又は、2価の連結基を表し、rは1~6の整数を表し、Xは前記スルホン酸基を有する基を表し、tは1~4の整数を表し、複数あるL 、X、及び、L は同一でも異なっていてもよい。)
  15. 請求項8~14のいずれか1項に記載のイオン交換膜と、前記イオン交換膜により互いに隔離された一対の電極とを有する電気化学セル。
  16. 請求項15に記載した電気化学セルに原料水を供給する工程と、前記一対の電極間に電流を流して、前記原料水を電気分解する工程とを有する水電解方法。
  17. 請求項15に記載した電気化学セルに汚染物質を含む原水を供給する工程と、前記一対の電極間に電流を流して、前記汚染物質を分解する工程とを有する水処理方法。
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