JP7173425B1 - 粒状凝固スラグの製造方法及び製造設備 - Google Patents

粒状凝固スラグの製造方法及び製造設備 Download PDF

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Abstract

道路用鉄鋼スラグの規格の粒度範囲に収まる粒度分布を有する粒状凝固スラグを簡易に製造することが可能な粒状凝固スラグの製造方法を提供する。本発明の粒状凝固スラグの製造方法は、鋳型10内に粒状固形物S1と溶融スラグS2とを供給する工程と、前記鋳型10内で前記溶融スラグS2を前記粒状固形物S1とともに凝固させて、前記溶融スラグS2が凝固してなる凝固域と前記粒状固形物S1とからなる厚み30mm以上50mm以下の板状凝固スラグSを得る工程と、前記板状凝固スラグSを前記鋳型10から取り出す工程と、回転する筒状容器を備える回転装置40の前記筒状容器内に前記板状凝固スラグSを装入し、前記筒状容器を回転させて前記板状凝固スラグSを破砕して、粒状凝固スラグSgを得る工程と、を有する。

Description

本発明は、溶融スラグを凝固させて得た凝固スラグを破砕して粒状凝固スラグを得る、粒状凝固スラグの製造方法及び製造設備に関する。
溶融スラグに関しては、1tの鋼を製造すると、高炉スラグが約300kg発生し、製鋼スラグが約50kg発生する。このため、大量に発生するこれら鉄鋼スラグを有効に利用する技術開発が行われてきた。特に、製鋼スラグは、その大半が道路用鉄鋼スラグ(JIS A 5015-2018)として用いられている。その製造プロセスは、一部固相が析出している溶融スラグを冷却ヤードに100mm以上の厚みで流し込み、凝固して得られた凝固スラグを破砕し、さらに粒度調整を行うことを含む。その後、破砕及び粒度調整された粒状凝固スラグに含まれる遊離石灰(free-CaO)を水和させるために、数日間100℃で蒸気エージング処理が行われる。こうして得られた粒状凝固スラグが道路用鉄鋼スラグとして出荷される。
上記した現状のプロセスでは、溶融スラグを100mm以上の厚みで凝固させるため、溶融スラグを冷却するのに時間がかかる。
この問題を解決するために、例えば、特許文献1では、溶融した高炉スラグを鉄製の鋳型で厚み20~40mmに凝固させて、板状凝固スラグを得るプロセスが考案されている。この方法によれば、溶融スラグを効率的に冷却して、溶融スラグを短時間で凝固させることができる。
特開2015- 40638号公報
特許文献1の方法では、得られた厚み20~40mmの板状凝固スラグを破砕して、コンクリート用粗骨材の規格の粒度範囲(スラグ粒子径が最大で20mm程度)の粒状凝固スラグを歩留まり良く製造することを志向している。特許文献1では、板状凝固スラグは、溶融スラグが凝固してなる凝固域のみからなるため、高温でも圧縮強度が高く、破砕されにくい。そのため、高温のままの板状凝固スラグをロータリーキルンのような回転装置で破砕しようとしても、このような回転装置の破砕力は小さいことから、ほとんど破砕することができない。そこで、板状凝固スラグを常温まで冷却した後、ジョークラッシャー及び/又はインパクトクラッシャーといった一般的な圧縮破砕タイプの破砕機で破砕することを想定している。その場合、破砕後のスラグの最大粒子径は、板状凝固スラグの厚みである程度決まることになる、厚み20~40mmの板状凝固スラグの場合、コンクリート用粗骨材の規格の粒度範囲(スラグ粒子径が最大で20mm程度)の粒状凝固スラグが高い歩留まりで得られることになる。
しかしながら、特許文献1の方法では、道路用鉄鋼スラグの規格の粒度範囲(スラグ粒子径が最大で40mm程度、後述の規格「CS-40」)を高い歩留まりで得ることはできない。板状凝固スラグの厚みが30mm以下の場合には、破砕後の粒状凝固スラグのほとんどは粒子径が20mm以下であるため、CS-40の規格範囲内には収まらない。板状凝固スラグの厚みを40mm程度にすれば、CS-40に近い粒度分布が得られる可能性はあるが、厚みを40mm程度にすると、スラグの冷却速度が大幅に低下することや、鋳型への熱負荷も大きくなることが懸念される。このため、特許文献1を含め従来の考案されているプロセスでは、道路用鉄鋼スラグの規格の粒度範囲に収まる粒度分布を有する粒状凝固スラグを簡易に製造することはできなかった。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、道路用鉄鋼スラグの規格の粒度範囲に収まる粒度分布を有する粒状凝固スラグを簡易に製造することが可能な粒状凝固スラグの製造方法及び製造設備を提供することを目的とする。
本発明者らが検討したところ、
(A)鋳型内に粒状固形物と溶融スラグとを供給して、当該鋳型内で溶融スラグを粒状固形物とともに凝固させること、
(B)その際、凝固厚みを30mm以上50mm以下とすること、及び
(C)鋳型から取り出した板状凝固スラグを、回転する筒状容器を備える回転装置の前記筒状容器内に装入して、筒状容器を回転させて板状凝固スラグを破砕すること、
の構成を採用することによって、道路用鉄鋼スラグの規格の粒度範囲に収まる粒状凝固スラグを簡易に製造することができるとの知見を得た。これは、溶融スラグを粒状固形物とともに凝固させて、板状凝固スラグ内に亀裂を導入することによって、板状凝固スラグの熱間での破砕性が高まり、一般的な圧縮破砕タイプの破砕機よりも破砕力が小さい回転装置を用いて、板状凝固スラグを適度に破砕することができるためと考えられる。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1]鋳型内に粒状固形物と溶融スラグとを供給する工程と、
前記鋳型内で前記溶融スラグを前記粒状固形物とともに凝固させて、前記溶融スラグが凝固してなる凝固域と前記粒状固形物とからなる厚み30mm以上50mm以下の板状凝固スラグを得る工程と、
前記板状凝固スラグを前記鋳型から取り出す工程と、
回転する筒状容器を備える回転装置の前記筒状容器内に前記板状凝固スラグを装入し、前記筒状容器を回転させて前記板状凝固スラグを破砕して、粒状凝固スラグを得る工程と、
を有する粒状凝固スラグの製造方法。
[2]前記粒状固形物が、粒状固形スラグ、表面に水和物及び炭酸化物の一方又は両方が形成された粒状固形物質、並びに粒状固形鉄から選択される一つ以上を含む、上記[1]に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
[3]前記粒状固形スラグ及び前記粒状固形物質は、粒度範囲が40~0mmであり、JIS Z 8801-1:2019(ISO 3310-1:2016)に規定する金属製網ふるいの公称目開きで、53mmの篩い通過率が100質量%、37.5mmの篩い通過率が95~100質量%、19mmの篩い通過率が50~80質量%、4.75mmの篩い通過率が15~40質量%、2.36mmの篩い通過率が5~25質量%の粒度分布を有する、上記[2]に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
[4]前記粒状固形鉄は、粒度範囲が10mm以上50mm以下である、上記[2]に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
[5]前記粒状固形物の質量が、前記粒状固形物及び前記溶融スラグの合計質量に対して10質量%以上40質量%以下である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
[6]前記板状凝固スラグは、前記回転装置の前記筒状容器内に装入される時に600℃以上1250℃以下の平均温度を有する、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
[7]前記回転装置で前記板状凝固スラグを粒子径53mm以下に全量破砕し、その際、前記粒状凝固スラグの19mmの篩い通過率が50質量%以上80質量%以下である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
[8]前記粒状凝固スラグのうち、JIS A 5005;2020規定の砕石2005の粒度分布に適合するように調整した粗粒スラグを用いた粒形判定実積率が50.0%以上である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
[9]前記粒状凝固スラグのうち、JIS A 5005;2020規定の砕砂の粒度分布に適合するように調整した細粒スラグを用いた粒形判定実積率が52.0%以上である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
[10]鋳型と、前記鋳型内に粒状固形物を供給する粒状固形物供給装置と、前記鋳型内に溶融スラグを供給する溶融スラグ供給装置と、を有し、前記鋳型内で前記溶融スラグを前記粒状固形物とともに凝固させて、前記溶融スラグが凝固してなる凝固域と前記粒状固形物とからなる厚み30mm以上50mm以下の板状凝固スラグを得るスラグ凝固設備と、
回転する筒状容器を備え、前記筒状容器内に装入された前記板状凝固スラグを、前記筒状容器を回転させて破砕して、粒状凝固スラグを得る回転装置と、
を有する粒状凝固スラグの製造設備。
本発明の粒状凝固スラグの製造方法及び製造設備によれば、道路用鉄鋼スラグの規格の粒度範囲に収まる粒度分布を有する粒状凝固スラグを簡易に製造することができる。
本発明の一実施形態による粒状凝固スラグの製造設備100を示す図である。
(粒状凝固スラグの製造方法及び製造設備)
図1は、本発明の一実施形態による粒状凝固スラグの製造方法を実施することが可能な設備の一例として、本発明の一実施形態による粒状凝固スラグの製造設備100を示す図である。図1を参照して、粒状凝固スラグの製造設備100は、鋳型10、粒状固形物供給装置20、及び溶融スラグ供給装置30を有するスラグ凝固設備と、スラグ破砕装置としての回転装置40と、を有する。
本発明の一実施形態による粒状凝固スラグの製造方法は、
-工程(I):鋳型10内に粒状固形物S1と溶融スラグS2とを供給する工程と、
-工程(II):前記鋳型10内で前記溶融スラグS2を前記粒状固形物S1とともに凝固させて、前記溶融スラグS2が凝固してなる凝固域と前記粒状固形物S1とからなる厚み30mm以上50mm以下の板状凝固スラグSを得る工程と、
-工程(III):前記板状凝固スラグSを前記鋳型10から取り出す工程と、
-工程(IV):回転する筒状容器を備える回転装置40の前記筒状容器内に前記板状凝固スラグSを装入し、前記筒状容器を回転させて前記板状凝固スラグSを破砕して、粒状凝固スラグSgを得る工程と、
を有する。
[鋳型]
鋳型10は、粒状固形物S1及び溶融スラグS2を収容する凹部を有する。凹部の形状は、鋳型10を反転させることで板状凝固スラグSを鋳型10から取り出せるような形状であれば、特に限定されず、例えば、直方体(四角柱)などの多角柱、及び、円柱を挙げることができる。凹部の寸法は、所望の板状凝固スラグSの寸法が得られるように設定されればよい。凹部の形状が直方体の場合、縦及び横の長さは例えば600~3000mmの範囲内とすることができる。凹部の高さは、所望の板状凝固スラグSの寸法が得られるように設定されればよく、例えば40~100mmの範囲内とすることができる。また、図1に示すように、鋳型10はライン上を搬送されて、順次、粒状固形物供給装置20から粒状固形物S1の供給を受け、次いで溶融スラグ供給装置30から溶融スラグS2の供給を受ける。
[粒状固形物供給装置]
粒状固形物供給装置20は、粒状固形物S1を収容し、所定量を切り出すホッパー20Aと、このホッパー20Aで切り出された粒状固形物S1を鋳型10内に誘導するための樋20Bと、を有し、鋳型10内に粒状固形物S1を供給する。粒状固形物供給装置20は、鋳型10が搬送されるラインの上方に位置する。
[溶融スラグ供給装置]
溶融スラグ供給装置30は、溶融スラグS2を収容し、傾動することによって溶融スラグS2を流し出す傾動鍋30Aと、この傾動鍋30Aから流し出された溶融スラグS2を鋳型10に注ぐための樋30Bと、を有し、鋳型10内に溶融スラグS2を供給する。溶融スラグ供給装置30は、鋳型10が搬送されるラインの上方に位置し、かつ、粒状固形物供給装置20よりラインの下流に位置する。
図1に示す例では、まず粒状固形物供給装置20から粒状固形物S1を鋳型10内に供給し、その後、溶融スラグ供給装置30から溶融スラグS2を鋳型10内に供給する。粒状固形物S1よりも先に溶融スラグS2を鋳型10内に供給すると、溶融スラグS2の温度が下がり、粘度が上昇したり表面の固化が始まったりすることにより、粒状固形物S1と溶融スラグS2とが均一に混合された状態を作るのが難しくなる。このため、図1に示すように。粒状固形物S1を鋳型10内に供給した後、溶融スラグS2を鋳型10内に供給することが好ましい。ただし、本発明において、鋳型10内への粒状固形物S1及び溶融スラグS2の供給順序は限定されない。溶融スラグ供給装置30を粒状固形物供給装置20よりラインの上流に配置して、まず溶融スラグ供給装置30から溶融スラグS2を鋳型10内に供給し、その後、粒状固形物供給装置20から粒状固形物S1を鋳型10内に供給することもできる。また、樋20B及び樋30Bを共に鋳型10の上方に配置して、粒状固形物供給装置20から粒状固形物S1を鋳型10内に供給し、同期間に、溶融スラグ供給装置30から溶融スラグS2を鋳型10内に供給することもできる。また、スラグの厚みを制御するために、粒状固形スラグS1と溶融スラグS2の鋳型10への供給が完了した時点で、鉄製のロールで鋳型10の上から転圧してもよい。
[工程(I)及び工程(II)]
本実施形態では、鋳型10内に粒状固形物S1と溶融スラグS2とを供給し(工程(I))、鋳型10内で溶融スラグS2を粒状固形物S1とともに凝固させる(工程(II))。こうして、溶融スラグS2が凝固してなる凝固域と粒状固形物S1とからなる板状凝固スラグSを得ることができる。すなわち、「凝固域」とは溶融スラグが凝固した部分であり、「板状凝固スラグ」とは、凝固域及び粒状固形物からなる、鋳型内の鋳片である。
ここで、本実施形態では、鋳型10内で溶融スラグS2を粒状固形物S1とともに凝固させることと、得られる板状凝固スラグSの厚み(本明細書において「凝固厚み」とも称する。)を30mm以上50mm以下にすることが重要である。鋳型10内において、粒状固形物S1相互間の隙間を溶融スラグS2で満たした状態で溶融スラグS2の凝固を進行させることで、凝固域に亀裂を導入することができる。
常温に近い粒状固形物S1と1200℃以上の溶融スラグS2とでは温度差が極めて大きいため、溶融スラグS2を粒状固形物S1とともに凝固させると、凝固域の内部に大きな熱応力が発生し、これにより亀裂発生が促進される。また、凝固域は冷却により熱収縮するのに対し、粒状固形物S1は加熱により熱膨張するため、この体積変化によっても亀裂発生が促進される。さらに、凝固域と粒状固形物S1との境界部では結晶界面の不整合が生じるため、当該境界部において亀裂が進展しやすい。以上の相乗効果により、本実施形態における板状凝固スラグSは、溶融スラグのみを凝固させた凝固スラグと比べて熱間での破砕性に優れる。そのため、回転装置40により板状凝固スラグSを簡単に破砕できるようになった。
その上で、板状凝固スラグSの厚みを30mm以上50mm以下にすることにより、その後の破砕によって得られる粒状凝固スラグSgを道路用鉄鋼スラグに適した粒度とすることができる。道路用鉄鋼スラグの粒度分布は、JIS A 5015-2018で規定されており、特にCS-40が用いられている。CS-40は、粒度範囲が40~0mmであり、JIS Z 8801-1:2019(ISO 3310-1:2016)に規定する金属製網ふるいの公称目開きで、53mmの篩い通過率が100質量%、37.5mmの篩い通過率が95~100質量%、19mmの篩い通過率が50~80質量%、4.75mmの篩い通過率が15~40質量%、2.36mmの篩い通過率が5~25質量%の粒度分布を有する。高い歩留まりでCS-40の粒度を得るためには、板状凝固スラグSの厚みを40mm程度に制御することが重要となる。板状凝固スラグSの厚みが30mm未満の場合、得られる粒状凝固スラグの最大粒子径が30mm未満となり、粒度が細かくなることから、CS-40の歩留まりが低下する。他方で、板状凝固スラグSの厚みが50mm超えの場合、破砕後のスラグの粒度が大きくなり、CS-40の歩留まりが低下する。
溶融スラグS2は、1200℃以上の液相を含み、鉄鋼製造工程において副産物として発生する鉄鋼スラグであればよく、高炉スラグ及び製鋼スラグの一方又は両方を含むことができる。
粒状固形物S1は、粒状固形スラグ、表面に水和物及び炭酸化物の一方又は両方が形成された粒状固形物質、並びに粒状固形鉄から選択される一つ以上を含むことが好ましい。第一に、粒状固形物S1として粒状固形スラグを用いることができる。例えば、溶融スラグS2と同じプロセスで発生する粒状固形スラグを用いることで、異物のコンタミがないため、得られる粒状凝固スラグSgの品質を安定化させやすい。また、その他の製鋼スラグ又は高炉スラグであってもよい。また、粒状固形スラグの表面に水和物及び炭酸化物の一方又は両方が形成されている場合には、水和物の分解反応又は炭酸化物の分解反応により、板状凝固スラグSへの亀裂の生成を促進でき、破砕の負荷をより低減できる。
第二に、粒状固形物S1として、表面に水和物及び炭酸化物の一方又は両方が形成された粒状固形物質を用いることができる。このような物質として、例えば廃コンクリートを挙げることができる。廃コンクリート表面に形成された水和物又は炭酸化物が高温の溶融スラグと接触することで、水和物の分解反応又は炭酸化物の分解反応により、板状凝固スラグSへの亀裂の生成を促進でき、破砕の負荷をより低減できる。一般に、水和物の分解は100~300℃で生じ、炭酸化物の分解は600℃以上で生じるとされているため、高温の溶融スラグが接触することで、これらの分解反応は容易に起こりうる。なお、廃コンクリートとは、建設廃材であって、建設リサイクル法によって分別解体や再資源化が義務付けられている特定建設資材となるコンクリートなどである。これら廃コンクリートには、使用されたコンクリートを破砕して、JIS A 5023:2018 再生骨材コンクリートLの附属書Aに適合させたコンクリート用再生材、JIS A 5023:2018 再生骨材コンクリートMの付属書Aに適合させたコンクリート用再生骨材M、および、舗装再生便覧(日本道路協会、平成22年度)記載の再生クラッシャラン、再生砂などが含まれる。
第三に、粒状固形物S1として、粒状固形鉄を用いることができる。粒状固形鉄として、例えば鉄球を使用することで、その他の粒状固形物と比べて、溶融スラグとの温度差が大きくなるために、亀裂の生成をより促進できる効果が期待できる。さらに、鉄は固形スラグよりも伝熱に優れるため、粒状固形物を鉄製にすることで、他の粒状固形物と比較して、粒状固形物の投入量を減らすことができ、溶融スラグの処理量及び処理速度を上げることが期待できる。
粒状固形物S1として用いる前記粒状固形スラグ及び前記粒状固形物質は、CS-40の粒度分布を有するものとすることが好ましい。すなわち、前記粒状固形スラグ及び前記粒状固形物質は、粒度範囲が40~0mmであり、JIS Z 8801-1:2019(ISO 3310-1:2016)に規定する金属製網ふるいの公称目開きで、53mmの篩い通過率が100質量%、37.5mmの篩い通過率が95~100質量%、19mmの篩い通過率が50~80質量%、4.75mmの篩い通過率が15~40質量%、2.36mmの篩い通過率が5~25質量%の粒度分布を有することが好ましい。これにより、より確実に、破砕後の粒状凝固スラグSgを道路用鉄鋼スラグに適した粒度とすることができる。
粒状固形物S1として用いる上記粒状固形鉄は、粒度範囲が10mm以上50mm以下であることが好ましい。
粒状固形物S1は、前記粒状固形スラグ、前記粒状固形物質、及び前記粒状固形鉄から選択される一つ以上を含むことが好ましいが、これらから選択される二つ以上を含むことが好ましい。この場合、選択の組み合わせとしては、粒状固形スラグと粒状固形鉄の組み合わせがより好ましい。粒状固形スラグは道路用鉄鋼スラグの原料であるため、溶融スラグとともに凝固させても不純物の混入リスクがほとんどなく、また、粒状固形鉄を用いることで、凝固スラグの亀裂進展を促し、後工程での破砕エネルギーが低減できるという利点も合わせて得られるためである。このとき、粒状固形スラグ及び粒状固形鉄の好ましい粒度範囲は10~50mmである。道路用鉄鋼スラグの粒度の規定が53mmの篩い通過率が100%であるため、凝固厚みは50mm以下にすることが好ましく、粒状固形物の冷却能力を生かすためにも粒状固形スラグ及び粒状固形鉄の粒度範囲を50mm以下にすることで、溶融スラグとの接触面積を十分とることができる。
鋳型10内への粒状固形物S1及び溶融スラグS2の供給量に関して、粒状固形物S1の質量が、粒状固形物S1及び溶融スラグS2の合計質量に対して10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。当該比率が10質量%未満の場合、十分な亀裂の進展が望めないためである。また、当該比率が40質量%を超えると、粒状固形物S1間に溶融スラグS2が十分に行き渡らずに、粒状固形物S1と溶融スラグS2とがほぼ分離した状態で凝固してしまう。また、溶融スラグS2の処理量が減り、溶融スラグの処理速度が遅くなってしまう。
溶融スラグS2よりも先に粒状固形物S1を鋳型10内に供給する場合、粒状固形物S1は、鋳型内で当該粒状固形物S1が1層以上3層以下を形成するように配置されることが好ましい。粒状固形物S1の積層数を3層以下に制限することによって、凝固域に導入された亀裂が進展しやすく、板状凝固スラグSの熱間での破砕性が十分に優れる。亀裂の進展を促進する観点からは、粒状固形物S1の積層数を1層とすることが最も好ましい。
鋳型10内に粒状固形物S1と溶融スラグS2を供給する際、粒状固形物S1と溶融スラグS2とが混合状態になるように粒状固形物S1を鋳型10内に均一に分散することが好ましい。また、粒状固形物S1の積層数を1層とする場合、鋳型10内に供給する粒状固形物S1の最大粒径は、板状凝固スラグSの厚み以下、かつ板状凝固スラグSの厚みの1/2以上(より好ましくは3/4以上)にすることが好ましい。粒状固形物S1の最大粒径(厚み)が板状凝固スラグSの厚みに比べて小さすぎると、粒状固形物S1と溶融スラグS2とが接触しない部分が生じ、板状凝固スラグSの内部に破壊の起点となる亀裂が生じない領域が多くなり、粒状凝固スラグSgへの破砕処理が困難になるためである。
[工程(III)及び工程(IV)]
本実施形態では、工程(II)に引き続き、板状凝固スラグSを鋳型10から取り出す(工程(III))。板状凝固スラグSの鋳型10からの取り出し方は特に限定されないが、図1に示すように、鋳型10を反転させることで、板状凝固スラグSを鋳型10から引き離し落下させることができる。
本実施形態では、図1に示すように、工程(III)に引き続き、回転する筒状容器を備える回転装置40の前記筒状容器内に板状凝固スラグSを装入し、前記筒状容器を回転させて板状凝固スラグSを破砕して、粒状凝固スラグSgを得る。回転装置40は、例えばロータリーキルンのような回転する筒状容器を備える装置であり、前記筒状容器内に装入された板状凝固スラグSを、前記筒状容器を回転させて破砕する。回転装置40は、筒状容器の内周面に突起をつけ、板状凝固スラグSを持ち上げて落下させる構成とすることが好ましい。回転装置40にて板状凝固スラグSの破砕を行うことにより、破砕後の粒状凝固スラグSgは、道路用鉄鋼スラグに適した粒度と粒子形状(丸み)を帯びることができる。
ここで、板状凝固スラグSは、回転装置40の筒状容器内に装入される時に600℃以上1250℃以下の平均温度を有することが好ましい。本実施形態は、板状凝固スラグSを熱間で破砕できることが特徴の一つである。すなわち、装入時の板状凝固スラグSの平均温度(本明細書において「装入温度」とも称する。)を600℃以上とすることが好ましい。
なお、装入温度の下限は、破砕後に得られる粒状凝固スラグSgに対する後処理の種類に応じて決定することが好ましい。後工程が炭酸化処理の場合、装入温度は600℃以上とすることが好ましい。これにより、炭酸化処理時の粒状凝固スラグSgの平均温度を400℃以上とすることができる。後工程が熱回収処理の場合、粒状凝固スラグSgからの熱回収効率を高める観点から、装入温度は1100℃以上とすることが好ましい。これにより、熱回収処理時の粒状凝固スラグSgの平均温度を900℃以上とすることができる。
装入温度を1250℃以下とすることで、安定して道路用鉄鋼スラグの粒度に近い粒状凝固スラグSgを製造することが可能となる。装入温度が1250℃よりも高いと、板状凝固スラグS内に未凝固分が多く残るため、回転装置40の内壁などに付着凝固し、その結果、安定して道路用鉄鋼スラグの粒度に近い粒状凝固スラグSgを製造することが困難となる。
筒状容器の回転数N(周/分)は、筒状容器の回転時の遠心力で板状凝固スラグが筒状容器の壁面にくっつき、ある高さまで持ち上げられて、その後落下するように設定することが好ましい。板状凝固スラグが筒状容器の壁面にくっついたまま、筒状容器と同じ回転数で回るときの筒状容器の回転数をNc(周/分)とする。また、板状凝固スラグが持ち上げられない筒状容器の最大の回転数をNb(周/分)とする。Nc及びNbは、板状凝固スラグの充填量や、筒状容器の直径などによって異なるが、回転数Nが、Nb<N<Ncとなる範囲で設定すればよい。
回転装置での処理時間は、特に限定されず、破砕後の粒状凝固スラグSgが道路用鉄鋼スラグに適した粒度となるように適宜設定すればよい。
本実施形態では、以上のような工程(I)~(IV)を経て、道路用鉄鋼スラグの粒度に近い粒状凝固スラグSgを簡易に製造することができる。
また、本実施形態では、回転装置40で板状凝固スラグSを粒子径53mm以下に全量破砕し、その際、粒状凝固スラグSgの19mmの篩い通過率が50質量%以上80質量%以下であることが好ましい。これにより、粒状凝固スラグSgの過破砕を防ぐことができ、安定して道路用鉄鋼スラグの規格の粒度範囲に収まる粒状凝固スラグSgを製造することができる。なお、「粒子径53mm以下に全量破砕」とは、JIS Z 8801-1:2019(ISO 3310-1:2016)に規定する網篩いの呼び寸法53mmの篩い目を粒状凝固スラグSgの全量が通過することを意味する。
また、本実施形態では、得られた粒状凝固スラグSgのうち、JIS A 5005;2020規定の砕石2005の粒度分布に適合するように調整した粗粒スラグを用いた粒形判定実積率が50.0%以上であることが好ましい。これにより、粒状凝固スラグSgの粒子が丸みを帯びた形状となり、粒状凝固スラグSgが道路用鉄鋼スラグに適したものとなる。粗粒の粒形判定実積率は高いほど好ましいため、その上限は特に限定されないが、本実施形態では、粗粒の粒形判定実積率は概ね63.0%以下となる。
また、本実施形態では、得られた粒状凝固スラグSgのうち、JIS A 5005;2020規定の砕砂の粒度分布に適合するように調整した細粒スラグを用いた粒形判定実積率が52.0%以上であることが好ましい。これにより、粒状凝固スラグSgの粒子が丸みを帯びた形状となり、粒状凝固スラグSgが道路用鉄鋼スラグに適したものとなる。細粒の粒形判定実積率は高いほど好ましいため、その上限は特に限定されないが、本実施形態では、細粒の粒形判定実積率は概ね63.0%以下となる。
ここでいう「粒形判定実積率」とは、JIS A 5005:2020に規定されている「コンクリート用砕石及び砕砂の6.6粒形判定実積率」を指す。前記粗粒スラグの粒形判定実積率は、以下のように求める。まず、粒状凝固スラグを絶対乾燥状態になるまでよく乾燥し、呼び寸法20mmの篩いを通過し、呼び寸法10mmの篩いに留まるものを24kg、呼び寸法10mmの篩いを通過し、呼び寸法5mmの篩いに留まるものを16kgそれぞれふるい採り、これらを合わせてよく混合して、JIS A 1104:2019(ISO 6782:1982)に規定する方法で単位容積質量を求め、それを試料の絶乾密度で割って、粒形判定実積率とする。前記細粒スラグの粒形判定実積率は、以下のように求める。粒状凝固スラグを十分に水洗いしながら、呼び寸法2.5mmの篩いを通過し、呼び寸法1.2mmの篩いに留まるものをふるい採り、その後絶対乾燥状態になるまでよく乾燥し、JIS A 1104:2019(ISO 6782:1982)に規定する方法で単位容積質量を求め、それを試料の絶乾密度で割って、粒形判定実積率とする。
[後工程]
粒状凝固スラグSgは常温まで冷却後、道路用鉄鋼スラグとして出荷することができる。ただし、本実施形態では、高温の状態で粒状凝固スラグSgを得ることができる。このため、粒状凝固スラグSgに対して後処理を行ってから、出荷してもよい。後処理としては、熱回収処理、蒸気回収処理、炭酸化処理、蒸気エージング処理、分級処理などを挙げることができる。
熱回収処理は、得られた高温の粒状凝固スラグSgをスラグ充填槽に充填し、この状態でスラグ充填槽内に空気等の冷却ガスを供給し、粒状凝固スラグSgの保有熱を奪って得られる高温ガスをスラグ充填槽から回収するプロセスである。得られた高温ガスは、例えば製鉄所の各工程へ供給することができ、これにより、溶融スラグS2の保有熱の有効活用が図られる。また、熱回収後の粒状凝固スラグSgは、熱回収設備から排出されたのち、製品スラグとして出荷される。本実施形態では、高効率の熱回収が可能である。
蒸気回収処理は、得られた高温の粒状凝固スラグSgのスラグ熱を利用して蒸気を発生させ、これを回収するプロセスである。この蒸気を利用して、任意の凝固スラグに対して蒸気エージングを行うことができる。
蒸気エージング処理は、得られた高温の粒状凝固スラグSgに水蒸気を供給するプロセスである。これにより、以下の式(1)を主反応とする蒸気エージング処理が行われる。かくして得られる製品スラグは、蒸気エージング処理によって膨張反応済のものとなり、道路用鉄鋼スラグとして出荷することが可能になる。本実施形態では、粒状凝固スラグSgの総表面積が大きいため、スラグ内部への水蒸気の浸透効率が高く、効率的な蒸気エージング処理が可能である。
CaO + HO → Ca(OH) ・・・(1)
炭酸化処理は、得られた高温の粒状凝固スラグSgに炭酸ガス(CO)を供給するプロセスである。これにより、以下の式(2)を主反応とする炭酸化処理が行われる。かくして得られる製品スラグは、炭酸化処理によって膨張反応済のものとなり、道路用鉄鋼スラグとして出荷することが可能になる。本実施形態では、粒状凝固スラグSgの総表面積が大きいため、スラグ内部への炭酸ガスの浸透効率が高く、効率的な炭酸化処理が可能である。これにより、COを固定できることから、CO排出量の削減に寄与する。
CaO + CO → CaCO ・・・(2)
分級処理は、篩い目を用いた篩分け法等により粒状凝固スラグSgを分級して、所望の粒度の粒状凝固スラグを選別するプロセスである。ここで分級された粒状凝固スラグの全部又は一部は、本実施形態における粒状固形物S1として再利用することができる。
後処理としては、熱回収処理、蒸気回収処理、炭酸化処理、蒸気エージング処理、分級処理などから選択された2つ以上を組み合わせて行ってもよく、その場合の処理順序は特に限定されない。
(実験例1)
図1に示す製造設備を用いて、溶融スラグの固化及び破砕試験を行った。溶融スラグとしては、製鋼スラグの一種である脱炭スラグを用いた。溶融スラグの温度は、表1に示す。粒状固形物として、溶融スラグと同じプロセスで得られた脱炭スラグ(粒状固形スラグ)を用いた。粒状固形スラグは、37.5mmの篩い通過率が97%であり、19mmの篩い通過率が50%である、CS-40の規格を満たす粒度分布とした。ただし、凝固厚みが27mm以下となる表1のNo.1~4については、狙いの凝固厚みよりも粒状固形物の粒度が小さくなるように、最大粒径以下の篩いで分級した粒状固形スラグを使用した。例えば、凝固厚み15mmのNo.1では、呼び寸法13.2mmの篩い、凝固厚み19mm及び21mmのNo.2,3では、呼び寸法19mmの篩い、凝固厚み27mmのNo.4では、呼び寸法26.5mmの篩いをそれぞれ通過した粒状固形スラグを用いた。この粒状固形スラグを鋳型内に1層敷き詰めた。その後、表1に示す凝固厚みが得られるように、鋳型内に溶融スラグを供給した。粒状固形物及び溶融スラグの合計質量に対する粒状固形物の質量比率は、表1に示すように25%とした。このようにして、鋳型内で溶融スラグを粒状固形物とともに凝固させて、板状凝固スラグを得た。
この際、鋳型内に熱電対をセットして、鋳型から板状凝固スラグを取り出せるまでの時間(全ての溶融スラグが凝固するまでの時間)を測定した。結果を表1に示す。
その後、表1に示す装入温度の板状凝固スラグをロータリーキルンに入れて、10分間破砕を行い、粒状凝固スラグを得た。なお、装入温度(装入時の板状凝固スラグの平均温度)は、サーモビュアーを用いて撮影した熱画像から板状凝固スラグに相当する部分を範囲指定し、その範囲の平均温度を算出して求めた。
得られた粒状凝固スラグの平均温度も、サーモビュアーによって前述と同様の方法で、すなわち撮影した熱画像から粒状凝固スラグに相当する部分を範囲指定し、その範囲の平均温度を算出して求め、表1に示した。また、粒状凝固スラグに対して篩い試験を行い、JIS Z 8801-1:2019(ISO 3310-1:2016)に規定する金属製網ふるいの公称目開きで、全量が53mmの篩いを通過したか否か、及び、19mmの篩い通過率を測定し、結果を表1に示した。また、既述の方法で、粗粒スラグの粒形判定実積率及び細粒スラグの粒形判定実積率を測定し、結果を表1に示した。
No.1~4の比較例では、得られた板状凝固スラグの厚みが薄いため、破砕後のスラグ平均温度は1000℃よりも低くなった。また、19mmの篩い通過率は80%以上となり、道路用鉄鋼スラグに適した粒度分布よりも細かくなった。No.9の比較例では、粒状固形スラグが鋳型内に流し込んだ溶融スラグの上部に浮かぶため、凝固までの時間が5.4分と長くなった。19mmの篩い通過率は42%と、道路用鉄鋼スラグに適した粒度分布よりも大きくなった。これに対して、No.1~4の発明例では、19mmの篩い通過率が50~80質量%の範囲に収まり、道路用鉄鋼スラグに適した粒度分布が得られた。
Figure 0007173425000001
(実験例2)
鋳型内に粒状固形物を供給せず、溶融スラグのみを流し込んで、実験例1と同様の試験を行った。実験条件及び実験結果を表2に示す。
No.10~14の比較例では、ロータリーキルンで板状凝固スラグを破砕することはほとんどできなかった。このため、回転装置での処理時間が30分になった時点で、破砕を終了した。いずれの比較例でも、19mmの篩い通過率は低く、道路用鉄鋼スラグに適した粒度分布は得られなかった。このため、板状凝固スラグを簡易に破砕するためには、粒状固形物の存在が重要であることがわかった。
Figure 0007173425000002
(実験例3)
表3に示す実験条件で、実験例1と同様の試験を行った。実験結果も表3に示す。No.15~18の比較例では、凝固までの時間が長く、破砕後の粒状凝固スラグの形状が丸みを帯びないため、粒形判定実積率が低くかった。これに対し、No.19~22の発明例では、凝固までの時間が短く、破砕後の粒状凝固スラグの形状が丸みを帯びたため、粒形判定実積率が高かった。
Figure 0007173425000003
(実験例4)
表4に示す実験条件で、実験例1と同様の試験を行った。すなわち、粒状固形物として、粒状固形スラグに加えて、鉄球及び廃コンクリートを採用した。いずれの粒状固形物に関しても、実験例1のNo.5~9と同様の粒度分布を有するものを用いた。それぞれの粒状固形物において、粒状固形物及び溶融スラグの合計質量に対する粒状固形物の質量比率を種々変更した。実験結果を表4に示す。
表4から明らかなように、質量比率を10~40質量%の範囲とすることで、19mmの篩い通過率が50~80質量%の範囲に収まり、道路用鉄鋼スラグに適した粒度分布が得られた。
Figure 0007173425000004
本発明の粒状凝固スラグの製造方法及び製造設備によれば、道路用鉄鋼スラグの規格の粒度範囲に収まる粒度分布を有する粒状凝固スラグを簡易に製造することができる。また、高温の粒状凝固スラグを得ることができるため、後工程で粒状凝固スラグに熱回収処理、炭酸化処理、又は蒸気エージング処理を施す際に、粒状凝固スラグの熱を有効活用することで、当該後工程の効率を高めることが可能となる。これは、CO排出量の削減に寄与するため、本発明は工業上極めて有効なプロセスである。
100 粒状凝固スラグの製造設備
10 鋳型
20 粒状固形物供給装置
20A ホッパー
20B 樋
30 溶融スラグ供給装置
30A 傾動鍋
30B 樋
40 回転装置(スラグ破砕装置)
S1 粒状固形物
S2 溶融スラグ
S 板状凝固スラグ
Sg 粒状凝固スラグ

Claims (10)

  1. 鋳型内に粒状固形物と溶融スラグとを供給する工程と、
    前記鋳型内で前記溶融スラグを前記粒状固形物とともに凝固させて、前記溶融スラグが凝固してなる凝固域と前記粒状固形物とからなる厚み30mm以上50mm以下の板状凝固スラグを得る工程と、
    前記板状凝固スラグを前記鋳型から取り出す工程と、
    回転する筒状容器を備える回転装置の前記筒状容器内に前記板状凝固スラグを装入し、前記筒状容器を回転させて前記板状凝固スラグを破砕して、粒状凝固スラグを得る工程と、
    を有する粒状凝固スラグの製造方法。
  2. 前記粒状固形物が、粒状固形スラグ、表面に水和物及び炭酸化物の一方又は両方が形成された粒状固形物質、並びに粒状固形鉄から選択される一つ以上を含む、請求項1に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
  3. 前記粒状固形スラグ及び前記粒状固形物質は、粒度範囲が40~0mmであり、JIS Z 8801-1:2019に規定する金属製網ふるいの公称目開きで、53mmの篩い通過率が100質量%、37.5mmの篩い通過率が95~100質量%、19mmの篩い通過率が50~80質量%、4.75mmの篩い通過率が15~40質量%、2.36mmの篩い通過率が5~25質量%の粒度分布を有する、請求項2に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
  4. 前記粒状固形鉄は、粒度範囲が10mm以上50mm以下である、請求項2に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
  5. 前記粒状固形物の質量が、前記粒状固形物及び前記溶融スラグの合計質量に対して10質量%以上40質量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
  6. 前記板状凝固スラグは、前記回転装置の前記筒状容器内に装入される時に600℃以上1250℃以下の平均温度を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
  7. 前記回転装置で前記板状凝固スラグを粒子径53mm以下に全量破砕し、その際、前記粒状凝固スラグの19mmの篩い通過率が50質量%以上80質量%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
  8. 前記粒状凝固スラグのうち、JIS A 5005;2020規定の砕石2005の粒度分布に適合するように調整した粗粒スラグを用いた粒形判定実積率が50.0%以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
  9. 前記粒状凝固スラグのうち、JIS A 5005;2020規定の砕砂の粒度分布に適合するように調整した細粒スラグを用いた粒形判定実積率が52.0%以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の粒状凝固スラグの製造方法。
  10. 鋳型と、前記鋳型内に粒状固形物を供給する粒状固形物供給装置と、前記鋳型内に溶融スラグを供給する溶融スラグ供給装置と、を有し、前記鋳型内で前記溶融スラグを前記粒状固形物とともに凝固させて、前記溶融スラグが凝固してなる凝固域と前記粒状固形物とからなる厚み30mm以上50mm以下の板状凝固スラグを得るスラグ凝固設備と、
    回転する筒状容器を備え、前記筒状容器内に装入された前記板状凝固スラグを、前記筒状容器を回転させて破砕して、粒状凝固スラグを得る回転装置と、
    を有する粒状凝固スラグの製造設備。
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