JP7172337B2 - 溶媒の分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素原子含有溶媒を含む水溶液から該溶媒を分離する方法、酸素原子含有溶媒を含む水溶液から該溶媒を分離して、濃縮された酸素原子含有溶媒を含む水溶液の製造方法に関する。
アルコールやアセトンをはじめとする酸素原子を含有する溶媒を含む水溶液から、当該溶媒を除去する方法として蒸留が一般的に行われている。しかしながら蒸留は水や溶媒の比熱や蒸発熱が大きく、蒸留に多大なエネルギーを要する。また、高温まで加熱するため、蒸留装置も一般的に大がかりとなり、工業的な観点からは装置が高価となり生産性を低下させる要因となっていた。
そこで、蒸留に代わる溶媒除去の方法として、3価アルコールであるグリセリンを含む水溶液を、超音波振動させることにより水を霧化させて脱水濃縮する霧化脱水濃縮工程を有する、濃縮グリセリンの製造方法が知られている(参考文献1~3)。
当該方法は、グリセリン及び低級アルコールを含有し且つグリセリンに対する低級アルコールの含有質量比が0.1以上50以下である原料のグリセリン水溶液に超音波を照射して水及び低級アルコールを霧化させることによりグリセリンを濃縮する方法に関する。
しかしながら、水とグリセリンや低級アルコールをはじめとする酸素原子含有溶媒は、互いに極性を有するため、相溶性が良く、霧化によっても互いに分離しにくいという問題があった。
特開2012-144530号公報 特開2014-024057号公報 特開2014-177411号公報
そこで本発明が解決しようとする課題は、酸素原子含有溶媒を含む水溶液から該溶媒を効率よく分離する方法、酸素原子含有溶媒を含む水溶液から該溶媒を分離して、濃縮された酸素原子含有溶媒を含む水溶液を効率よく製造する方法を提供することにある。
本願発明者らは種々の検討を行った結果、霧化するにあたって、水と相溶性のよい塩類を媒質として添加することにより、水の霧化を抑えることにより、酸素原子含有溶媒を含む水溶液から該溶媒がより効率よく分離することを見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、酸素原子含有溶媒(1)および塩(2)を含む水溶液(L1)から該溶媒(1)を分離する方法であって、
該溶液(L1)を、気体中に霧化してミスト混合気体とする霧化工程と、前記ミスト混合気体に含まれているミストを、気体をキャリアガスとして粒径の大小に分級して気体を排気する分離工程とを含む、前記溶液(L1)から該溶媒(1)を分離除去する工程を有すること、
前記塩(2)がアルカリ金属ハロゲン化物、および、下記構造式(1)
Figure 0007172337000001
(式中、Arはハロゲン原子を有するアリール基であり、Ar’はアリーレン基であり、Rは水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3~5のアルキレン基を、Xはアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子を表す。式(1)中、n=0~40である。)で表される化合物(1)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする分離方法に関する。
また、本発明は、酸素原子含有溶媒(1)および塩(2)を含む水溶液(L1)から、濃縮された酸素原子含有溶媒(1)を含む水溶液(L2)を製造する方法であって、
該溶液(L1)を、気体中に霧化してミスト混合気体とする霧化工程と、前記ミスト混合気体に含まれているミストを、気体をキャリアガスとして粒径の大小に分級して気体を排気する分離工程とを含む、前記溶液(L1)から該溶媒(1)を分離除去する工程と、分離除去した該溶媒(1)を回収する工程を有すること、
前記塩(2)がアルカリ金属ハロゲン化物、および、下記構造式(1)
Figure 0007172337000002
(式中、Arはハロゲン原子を有するアリール基であり、Ar’はアリーレン基であり、Rは水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3~5のアルキレン基を、Xはアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子を表す。式(1)中、n=0~40である。)で表される化合物(1)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする製造方法に関する。
本発明によれば、酸素原子含有溶媒を含む水溶液から該溶媒を効率よく分離する方法、酸素原子含有溶媒を含む水溶液から該溶媒を分離して、濃縮された酸素原子含有溶媒を含む水溶液を効率よく製造する方法を提供することができる。
本発明の一実施例にかかる霧化分離装置の概略構成図である。 気体中に飛散されるミストの粒度分布を示す図である。 第1の分級器3Aの実施態様を示す概略構成図である。 第1の分級器3Aの他の実施態様を示す概略構成図である。 第2の分級器3B(サイクロン)の実施態様を示す概略構成図である。 実施例1~3および比較例1の母液(水溶液(L1))中のメタノール濃度と、得られた回収液(水溶液(L2))中のメタノール濃度との関係図(グラフ)である。実施例1を例に説明すると、水溶液(L1-1)の濃度と、水溶液(L2-2)の濃度とを以下の要領でプロットした。すなわち、一般的に、分離効果は、母液中の溶質濃度に依存するため、母液中の溶質濃度と回収液中の溶質濃度との比率として、それぞれの溶質濃度をX,Y軸としてプロットされるが、実施例1では、霧化分離に要するタイムラグを考慮し、各点は、ある時点(A[Min])での水溶液(L1-1)の濃度に対して、次の測定時点(A+30[Min])の水溶液(L2-1)の濃度をプロットした。より具体的には、「0分」時点での水溶液(L1-1)の濃度(21wt%)に対して、「30分」の時点での水溶液(L2-1)の濃度(64wt%)をプロットした。以降、同様に、「30分」時点での水溶液(L1-1)の濃度(15wt%)に対して、「60分」の時点での水溶液(L2-1)の濃度(53wt%)をプロットした。さらに、「60分」時点での水溶液(L1-1)の濃度(11wt%)に対して、「90分」の時点での水溶液(L2-1)の濃度(42wt%)をプロットした。さらに、「90分」時点での水溶液(L1-1)の濃度(8wt%)に対して、「120分」の時点での水溶液(L2-1)の濃度(35wt%)をプロットした。実施例2、3、比較例1も同様にプロットした。
なお、Y=Xに相当する線(中心線と呼ぶことがある)は、例えば、母液濃度(水溶液(L1)の濃度)が10〔wt%〕のときに、濃度が10〔wt%〕の回収液(水溶液(L2))が得られることを意味し、当該中心線からプロットが外側に離れるほど、すなわち、母液濃度(水溶液(L1)の濃度〔wt%〕)に対する、回収液濃度(水溶液(L2)の濃度〔wt%〕)の比率が高いほど、分離効果が大きいことを意味する。
本発明の分離方法は、酸素原子含有溶媒(1)および塩(2)を含む水溶液(L1)から該溶媒(1)を分離する方法であって、
該溶液(L1)を、気体中に霧化してミスト混合気体とする霧化工程と、前記ミスト混合気体に含まれているミストを、気体をキャリアガスとして粒径の大小に分級して気体を排気する分離工程とを含む、前記溶液(L1)から該溶媒(1)を分離除去する工程を有することを特徴とする。
本発明は、酸素原子含有溶媒(1)および塩(2)を含む水溶液(L1)を調製する工程を有する。当該工程は、より具体的には、酸素原子含有溶媒(1)を含む水溶液(L1)に、塩(2)を添加する工程を含む。
酸素原子含有溶媒(1)としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノールなどの一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオールなどのジオール;分子内に水酸基を3個有するグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオールなどのトリオール;分子内に水酸基を4個有するペンタエリスリトールなどのテトラオール等のアルコール系溶媒(アルコール溶媒と称することもある)、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン系溶媒(ケトン溶媒と称することもある)などが挙げられる。
前記塩(2a)としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム等のアルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)のハロゲン化物、硫化物等の塩(アルカリ金属塩(2a)と称する)、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫化マグネシウム等のアルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等)のハロゲン化物、硫化物等の塩(アルカリ土類金属塩(2b)と称する)が挙げられる。
また、下記構造式(1)
Figure 0007172337000003
(式中、Arはハロゲン原子を有するアリール基であり、Ar’はアリーレン基であり、Rは水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3~5のアルキレン基を、Xはアルカリ金属原子を表す。式(1)中、n=0~40である。)で表される化合物(1)が挙げられる。
当該化合物(1)は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン等の有機極性溶媒中で、p-ジクロルベンゼン等のジハロ芳香族化合物と、(i)硫化ナトリウム等のアルカリ金属硫化物とを、または、(ii)水硫化ナトリウム等のアルカリ金属水硫化物及び水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物とを重合反応させることにより、少なくとも、ポリアリーレンスルフィド樹脂と前記有機極性溶媒と水とを含む粗反応混合物中の一成分として得られる。得られた粗反応混合物を、さらに、酸素原子含有溶媒と水をそれぞれ用いて洗浄する工程を経ることによって、酸素原子含有溶媒を含み、かつ、当該化合物(1)を含む水溶液として調製することができる。
上記の通り調整した、酸素原子含有溶媒(1)および前記塩(2)を含む水溶液(L1)は、容器に収容して、続けて、工程(2)に処してもよいし、一旦、保管することもできる。また、続く工程(2)に処するために配管等を通じて連続的に送液することもできる。
本発明は、前記工程で得られた水溶液(L1)を、気体雰囲気中に霧化してミスト混合気体とする霧化工程(以下、単に「霧化工程」ということがある)と、前記ミスト混合気体に含まれているミストを、気体をキャリアガスとして粒径の大小に分級して気体を排気する分離工程(以下、単に「分級分離工程」ということがある)とで、前記水溶液(L1)から前記溶媒(1)を分離除去する工程(以下、単に「霧化分離工程」ということがある)を有する。この霧化分離工程により、前記溶媒(1)中に含まれる酸素原子含有溶媒(1)よりも高い割合の酸素原子含有溶媒(1)を含む水溶液(L2)が得られる。
本発明に用いる霧化分離工程は、水溶液(L1)を霧化して蒸気圧の異なる成分に分離する霧化分離方法を用いる。より具体的には、水溶液(L1)を気体雰囲気中に霧化してミスト混合気体とする霧化工程と、ミスト混合気体に含まれるミストを、気体をキャリアガスとして粒径の大小に分級して気体を排気する分級分離工程とで水溶液(L1)を異なる成分に分離する。気体としては、空気や不活性ガス、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。
本発明における霧化分離工程は、水溶液(L1)を気体雰囲気中に霧化すると、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と水の相互作用により水のミスト発生を抑制できる上、霧化されたミストの粒径によって、該溶媒(1)濃度が異なり、より微細なミスト中の該溶媒(1)濃度は、より大粒なミストの該溶媒(1)濃度よりも高くなることから、粒径の小さい微細ミストを含む気体を排気気体として排気して回収することにより、該溶媒(1)濃度の高い水溶液(L2)を得ることができる。分級された粒径のより大きな大粒なミストは回収して水溶液(L1)に環流してもよい。その際、該溶媒(1)に対するアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(単に「塩」と称する)の溶解度(S)と、水に対する塩の溶解度(S)との比(S/S)は特に限定されるものではないが、好ましくは、当該比(S/S)が、1/3以下の範囲である。ただし、「S」と「S」は霧化時の水溶液(L1)の温度である。
本発明における霧化分離工程は、上記の作用機序に基づくため、酸素原子含有溶媒(1)および前記塩(2)を含む水溶液であれば、いずれのものでも適用することが可能である。例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合反応後に得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は多くの副生成物を含むため、酸素原子含有溶媒(1)を含む洗浄用溶媒や水を用いて洗浄することがあり、洗浄後に、酸素原子含有溶媒(1)と、前記化合物(1)ないしアルカリ金属ハロゲン化物とを含む水溶液が得られる。本発明における霧化分離工程は、このような水溶液にも適用可能である。
本発明の霧化分離工程は、例えば、図1で示す、公知の霧化分離装置(ナノミストテクノロジー株式会社製「USA-L5」等)を用いることができる。以下、図1の装置を例として、本発明の霧化分離工程について詳述する。
本発明で用いる霧化分離装置(図1)は、水溶液(L1)を気体雰囲気中に噴霧してミスト混合気体とする霧化機1と、この霧化機1に気体を供給する送風機2と、霧化機1で得られるミスト混合気体に含まれるミストを粒径で分級して、分級される大粒ミストを水溶液(L1)に環流して、粒径の小さい微細ミストを、気体をキャリアガスとするミスト混合気体として外部に排気する分級器3とを備える。該霧化分離装置は、分級器3で分級された微細ミストを含むミスト混合気体を排気気体として外部に排気して溶媒を分離し、溶質を戻すことで、水溶液(L1)を濃縮することができる。
図1の超音波霧化機1は、水溶液を超音波振動させて雰囲気中でミストにする。この超音波霧化機1Aは、水溶液と気体とが供給される霧化室1Aと、この霧化室1Aの水溶液を超音波振動させてミストに霧化する超音波振動子1Bと、この超音波振動子1Bに電力を供給する超音波電源(図示せず)を備える。
霧化室1Aは閉鎖されたチャンバーで、内部の水溶液(L1)を超音波振動させてキャリアガスの気体雰囲気中に噴霧する。噴霧されたミストは、気体に混合されてミスト混合気体となる。霧化室1Aは、水溶液(L1)の液面レベルを一定に保持している。液面レベルは、超音波振動子1Bで超音波振動されて、水溶液(L1)を効率よく霧化できる位置に設定される。水溶液(L1)の液面レベルを一定に保持するために、霧化室1Aは、ポンプ7aを介して、水溶液(L1)を蓄えている溶液槽6に配管4を通じて連結されると共に、ポンプ7bを介して、排出側を配管5を通じて溶液槽6に連結している。この霧化室1Aは、排出側に設けた排液口から水溶液をオーバーフローさせて、液面レベルを一定に保持し、あるいは吐出口から所定量の溶液を排出しながら、水溶液の液面レベルをレベルセンサで検出して、レベルセンサでポンプの運転をコントロールして一定の液面レベルに保持することができる。
図1に示す霧化分離装置は、霧化室1Aの液面レベルを一定に保持しながら、水溶液を溶液槽6と霧化室1Aとに循環する。この装置は、霧化室1Aと溶液槽6の濃度が設定濃度になると、両方の溶液を排出して、新しい溶液に入れ替えることができる。
水溶液は、超音波振動子1Bで超音波振動されてミストとなって気体雰囲気中に噴霧される。超音波振動で気体雰囲気中に噴霧されるミストは、粒径によって、該溶媒(1)濃度が異なる。粒径の小さい微細ミストは、大粒ミストよりも当該濃度が高いミストである。図2は、超音波振動で気体雰囲気中に飛散されるミストの粒度分布を示している。この図に示すように、超音波振動で気体雰囲気中に飛散されて霧化されたミストは、粒径によって3領域のミストに分離される。ミストの粒径が小さくなるにしたがって、該溶媒(1)濃度が高いミストとなる。したがって、粒径を数μm以下とする最も小さい微細ミストには該溶媒(1)が多く含まれるミストとなる。このため、微細ミストを分級して気体と一緒に排気気体として外部に排気することで、水溶液(L1)よりも、該溶媒(1)濃度が高く、該溶媒(1)が濃縮された水溶液(L2)として回収することができる。
霧化室1Aで水溶液が超音波振動されると、上方に突出するように液柱Qができ、この液柱Qの表面からミストが気体雰囲気中に飛散される。図1の超音波霧化機1は、水溶液を充填している霧化室1Aの底に、複数の超音波振動子1Bを並べて上向きに配設することもできる。超音波振動子1Bは、底から溶液面に向かって上向きに超音波を放射して、溶液面を超音波振動させて、液柱Qを発生させる。超音波振動子1Bは、垂直方向に超音波を放射する。本発明における霧化分離工程で用いる超音波振動の周波数としては、好ましくは20kHz以上、より好ましくは1MHz以上から、好ましくは10MHz以下、より好ましくは5MHz以下の範囲である。
水溶液の温度は、水溶液を霧化する効率に影響を与える。水溶液の温度を設定温度として、霧化効率を高くできる。図1の霧化分離装置は、水溶液を設定温度に加温するヒーター8を備えていてもよい。ヒーターは、電気ヒーター、あるいは加熱蒸気や温水等の加熱媒体で溶液を加温する熱交換器または浴漕であってよい。図示しないが、ヒーターは、霧化機の内部に設けて、霧化機内の水溶液を加温することもできる。ヒーターは、水溶液の温度を例えば20℃以上に、好ましくは25℃以上に、さらに好ましくは30℃以上に加温することができる。水溶液を加温する温度を高くすると、ヒーターの消費エネルギーが大きくなるので、水溶液の温度は、例えば、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは50℃以下とする。温度の高い水溶液は、これを加温するヒーターを設けることなく、高い霧化効率で霧化できる。したがって、本発明に用いる霧化分離工程および霧化分離装置では、水溶液を加温するヒーターは、必ずしも設ける必要はない。
分級器3は、霧化機1から供給されるミスト混合気体に含まれるミストを粒径で分級する。霧化機1は、ミストを気体雰囲気中に噴霧してミスト混合気体とし、気体をキャリアガスとしてミストを分級器3に供給する。図1に示す霧化分離装置のように、送風機2で気体を吸入して霧化機1に供給し、霧化機1で発生するミスト混合気体を分級器3に供給することができる。図1の霧化分離装置のように、霧化機1の流入側に送風機2を、配管9aを通じて連結することができる。送風機は、霧化機と分級器との間に、あるいは分級器の排出側に連結して、ミスト混合気体を霧化機から分級器に供給することもできる。霧化機と分級器との間に送風器を設ける場合は、霧化機からミスト混合気体を吸入して分級器に強制送風することが好ましい。送風機2は、閉鎖構造の霧化機からミスト混合気体を吸入して、霧化機に外気を吸入させることができる。分級器の排出側に送風機を連結する場合、霧化分離装置は、分級器を閉鎖構造として、分級器から強制的にミスト混合気体を排気して、分級器に霧化機からミスト混合気体を吸入し、分級器が霧化機からミスト混合気体を吸入して、霧化機1に外気を吸入させることもできる。
分級器3は、霧化機1から配管9bを通じて供給されるミスト混合気体に含まれるミストを粒径で分級する。霧化分離装置は図1に示すように、互いに直列に連結している第1の分級器3Aと第2の分級器3Bとからなる分級器3を備えることができる。この分級器3は、ミストを二段に、すなわち第1の分級分離工程と第2の分級分離工程とで分級することができる。互いに直列に連結している第1の分級器3Aと第2の分級器3Bは、ミスト混合気体に含まれるミストを、粒径が最も大きな領域に分布するミスト(最大ミスト)と、粒径を中間の粒径とするミスト(中間ミスト)と、粒径の最も小さい領域に分布するミスト(微細ミスト)の3領域に分級することができる。第1の分級器3Aで最大ミストの分離されたミスト混合気体は、配管9cを通じて、第2の分級器3Bに供給される。第1の分級器3Aは、最大ミストを気体から分離して水溶液に環流する。最大ミストの粒径は、液温や水溶液の組成により変わるため一概に定めることはできない。第2の分級器3Bは、微細ミストを気体から分離することなく、排気気体として外部に排気するともに、当該微細ミストの粒径を超える中間ミストを気体から分離して溶液に環流することができる。微細ミストの粒径は、液温や水溶液の組成により変わるため一概には言えない。外部に排気気体とともに排気された微細ミストは、貯蔵容器17に貯蔵(回収)されるか、または、配管等により直接、ポリアリーレンスルフィド樹脂の洗浄に使用する容器に移送することができる。以下、図3、4および5に基づき、分級器3Aおよび3Bについて説明する。
図3に分級器3Aの一実施形態を示す。分級器3Aは、構造としてミストの流入口11と排出口12が容器上面側に配置され、更に排出口12は容器内部から上面まで、ほぼ直線上の筒(流出管12b)で配置されている。この構造機構から最大ミストは重力の作用によって、容器下部にある水溶液排出口を出て、配管10を通じて排出される。なお、後述するように分級器3Bで微細ミストと中間ミストとを分離することが可能であるため、中間ミストと、それよりもさらに粒径の大きい最大ミストとを分級する分級器3Aの設置は任意である。分級器3Aは、後に示す分級器3B(サイクロン)の補助的な役割を示すものであり、設置をするとより該溶媒(1)の分離効率は向上するが、無くても可能である。
第1の分級器3Aは、円筒の下端に円錐を連結した形状で、円筒の上部に鉛直下方向にミスト混合気体を流入させる流入管11bを有する。流入管11bから、円筒に鉛直下方向に流入するミスト混合気体は、円筒の内部で重力により下降する。さらに円筒の上部には、流入管と略平行に略鉛直上方向にミスト混合気体を排出させる排出管12bを有する。排出管12bは、第2の分級器3Bへミストを移送するよう排出ポンプなどを設け、減圧下としてもよい。円筒内において、流入管11bの先端11aと排出管12bの先端12aは、排出管12bの先端12aがより鉛直下方向に位置することが好ましい。図3では、排出管の排出口の面(開口部)が、略鉛直方向に設けられているが、図4に示すように、該排出口の面(開口部)が略水平方向に向いており、かつ、流入管に対して反対方向を向くようにすることもできる。このように、円筒内に流入したミスト混合気体が、流入管の先端(開口部)から、該排出口の面(開口部)に、直線的に移送されないよう、該排出管の部材等で障壁を設けられていることが好ましい。なお、ミストの質量はミストの半径の三乗に比例して大きくなる。したがって、流入口から円筒内に流入したミスト混合気体は、重力により下降し、そのうち、粒径の小さな中間ミストと微細ミスト(図2参照)が、排出管の先端12aから排気気体として、第2の分級器3Bへ移送される。排出口から排出されなかったミストは円筒内壁に沿って流れ落ちて、霧化機1の溶液に環流される。
分級器3Bは、一般的にはサイクロンと呼ばれ、遠心力によって粒径の大きなミストが排除される機構になっており、その分級度合いの指標として、限界粒子径の考え方が適用されている(例えば、藤田重文、東畑平一郎、「化学工学2 機械的操作」東京化学同人)、1987年7月、p.246-253)。即ち、サイクロンの入口径と出口径が細い程、サイクロン内の流体の線速度が速くなり、遠心効果が強くなることで、中間ミストがサイクロン下部の溶液排出口に排除され、微細ミストのみがサイクロンを通過することで回収できる。本発明ではサイクロンによって、粒径が中間ミスト以上の粗大なミストを効率よく分離除去できる観点から、サイクロンの入口径13及び出口径14としては、それぞれ独立に、好ましくは30mm以下、より好ましくは17mm以下、更に好ましくは8mm以下から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上の範囲で適宜調整しながら設定することができる。
その際、当該流入口および排出口の各1つ当たりを通過するミスト混合気体の流速は、好ましくは100L/分以下、より好ましくは80L/分以下、さらに好ましくは60L/分以下から、好ましくは1L/分以上、より好ましくは5L/分以上、さらに好ましくは10L/分以上の範囲である。
図5に第2の分級器3Bの一実施形態を示す。第2の分級器3Bは、第1の分級器3Aで回収されなかった中間ミストを回収して溶液L1に還流し、微細ミストを回収することなく排気気体として外部に排気することにより分離する。第2の分級器3Bはサイクロンで、中間ミストを回収して水溶液(L1)に還流し、微細ミストを気体から分離することなく排気気体として外部に排気することができる。サイクロンは、円筒の下端に円錐を連結した形状で、円筒の上部に接線方向にミスト混合気体を流入させることができる。円筒に接線方向に流入するミスト混合気体は、円筒の内部で渦巻き状に回転される。渦巻き状に回転されるミスト混合気体は、ミストを気体と一緒に渦巻き状に回転させる。回転されるミストは、遠心力で半径方向に中心から外側に向かって遠心力を受ける。遠心力はミストの質量に比例して大きくなる。ミストの質量はミストの半径の三乗に比例して大きくなるので、ミストの遠心力は半径の三乗に比例して大きくなる。したがって、大きな大粒ミストは大きな遠心力を受けて外側に振り出されて円筒の内面に移送され、円筒の内面に付着して、円錐の内面に沿って流れ落ちて、配管15を通じて連結する霧化機1の水溶液に環流されうる。ミスト混合気体に含まれる微細ミストは質量が小さいことから遠心力も小さく、キャリアガスの気体と一緒に渦巻き状に移送され、排気気体として円筒の中央部から外部に排気される。外部に排気気体とともに排気された微細ミストは、配管9dを通じてコンデンサー16で冷却され、液体成分が気体と分離されて、貯蔵容器17(L2)に貯蔵(回収)されるか、または、配管等により直接、ポリアリーレンスルフィド樹脂の洗浄に使用する容器に移送されうる(図示せず)。一方、分離された気体は、配管9eを通じ、送風機2に送ることができるし、外部へ排出することもできる。
以上の分級器3は、該溶媒(1)濃度の低いミストを気体から分離、回収して水溶液(L1)に環流し、該溶媒(1)濃度の高い微細ミストを分離することなく外部に排気して回収し、水溶液(L2)とする。これにより、霧化機1の水溶液は該溶媒(1)濃度が低くなる。
なお、本発明において、排熱回収器や排熱加温器およびそれらの付属する設備は任意である。排熱を回収し再利用することは生産性向上の観点から望ましいが、設備が複雑化する。
本発明は、回収した水溶液(L2)を、ポリアリーレンスルフィド樹脂の洗浄溶媒として用いることができる。回収した水溶液(L2)を、ポリアリーレンスルフィド樹脂の洗浄溶媒として用いるには、例えば、該水溶液(L2)を、ポリアリーレンスルフィド樹脂と接触させる工程を有する方法が挙げられる。
より詳しくは、ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合反応の後、(a)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を洗浄する工程において、前記水溶液(L2)を用いて洗浄する方法か、或いは、(b)重合反応終了後、反応混合物に前記水溶液(L2)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィドや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(c)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、該水溶液(L2)で洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(d)重合反応終了後、反応混合物を濾過した後、前記水溶液(L2)で洗浄して、濾過および乾燥する方法、等が挙げられる。なお、該水溶液(L2)を、ポリアリーレンスルフィド樹脂と接触させる工程に前後して、必要に応じて、有機アミド溶媒や酸素原子含有溶媒といった有機極性溶媒や水による洗浄工程を有していてもよい。
なお、該水溶液(L2)をポリアリーレンスルフィド樹脂と接触させる際の温度は好ましくは10℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上から、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは130℃以下の範囲である。また、該水溶液(L2)をポリアリーレンスルフィド樹脂と接触させる際の圧力条件としては常圧もしくは加圧いずれでも良いが、常圧以上、4.0以下の範囲の圧力下で行うことが好ましく、さらに常圧で行うことがより好ましい。なお、本明細書において、各圧力値はゲージ圧で示している。
ちなみに、ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合反応としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン等の有機極性溶媒中で、p-ジクロルベンゼン等のジハロ芳香族化合物と、(i)硫化ナトリウム等のアルカリ金属硫化物とを、または、(ii)水硫化ナトリウム等のアルカリ金属水硫化物及び水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物とを重合反応させる方法が挙げられ、当該反応によりポリアリーレンスルフィド樹脂を含む他に、洗浄により除去されるべき副生成物として、例えば、前記構造式(1)で表される化合物(1)、環式ポリアリーレンスルフィド及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
(測定例) Mw及びMw/Mtop(分子量分布)
ポリアリーレンスルフィド樹脂の質量平均分子量(Mw)及びピーク分子量(Mtop)を、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、下記の測定条件により測定した。得られたMw及びMtopからMw/Mtopを算出した。6種類の単分散ポリスチレンを校正に用いた。
装置:センシュー科学 SSC-7120
カラム:アジレントテクノロジー株式会社PLgel mixed-B
溶離液:1-クロロナフタレン
検出器:UV検出器(紫外吸収検出器)
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流速:0.7mL/min
試料注入量:500μL (サンプル濃度1g/L)
〔溶液中の組成の測定法:カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(CP-MABA)〕
よく攪拌した溶液から、1mlをサンプリングし、そこにHPLCの移動相を9ml加え、測定サンプルとした。測定サンプルのHPLC測定を行い、下記の方法で作成した標準サンプルと同じ保持時間のピーク面積と検量線とから液中の濃度を求めた。HPLC測定条件は以下の通り。
装置名:株式会社 島津製作所製「高速液体クロマトグラム Prominence」
カラム:株式会社 島津ジーエルシー製
「Phenomenex Luna 5u C18(2) 100A」
検出器:DAD (Diode Array Detector)
データ処理:株式会社 島津製作所製「LCsolution」
測定条件:カラム温度40℃
移動相:メタノール/酢酸水溶液1vol%=6/4(vol比)
流速 :1.0ml/分
(標準物質:カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(CP-MABA)の合成)
48%NaOH水溶液83.40g(1.000モル)とNMP297.4g(3.000モル)を、撹拌機付き耐圧容器に仕込み、230℃で3時間撹拌した。この撹拌が終了した後、温度230℃のままバルブを開き、放圧し、NMPの蒸気圧程度である230℃において0.1MPaまで圧力を低下させ、水を留去した。その後、再び密閉し200℃程度まで温度を低下させた。
p-ジクロロベンゼン147.0g(1.000モル)を60℃以上の温度条件下で加熱溶解して反応混合物中に投入し、250℃まで昇温後4時間撹拌した。この撹拌が終了した後、室温まで冷却した。p-ジクロロベンゼンの反応率は31モル%であった。冷却後、内容物を取り出し、水を加えて撹拌後、未反応のp-ジクロロベンゼンが不溶物となって残ったものをろ過によって取り除いた。
次いで、ろ液である水溶液に塩酸を加えて該水溶液のpHを4に調整した。このとき水溶液中に褐色オイル状のCP-MABA(水素型)が生じた。そこにクロロホルムを加えて褐色オイル状物質を抽出した。このときの水相には、NMP及びその開環物である4-メチルアミノ酪酸(以下「MABA」と略記する。)が含まれるため水相は廃棄した。クロロホルム相は水洗を2回繰り返した。
クロロホルム相に水を加えてスラリー化した状態で48%NaOH水溶液を加え、該スラリーのpHを13に調整した。このときCP-MABAはナトリウム塩となって水相に移り、クロロホルム相には副生成物であるp-クロロ-N-メチルアニリン及びN-メチルアニリンが溶解しているためクロロホルム相は廃棄した。水相はクロロホルム洗浄を2回繰り返した。
水溶液に希塩酸を加えて該水溶液のpHを1以下に調整した。このときCP-MABAは塩酸塩となって水溶液中にとどまるので、水溶液にクロロホルムを加えて、副生成物であるp-クロロフェノールを抽出した。p-クロロフェノールが溶解したクロロホルム相は廃棄した。
残った水溶液に48%NaOH水溶液を加え、該水溶液のpHを4に調整した。これにより、CP-MABAの塩酸塩が中和され、褐色オイル状のCP-MABA(水素型)が水溶液から析出した。CP-MABA(水素型)をクロロホルムで抽出し、クロロホルムを減圧除去することによってCP-MABA(水素型)を得た。さらに、得られたCP-MABA(水素型)に48%NaOH水溶液を加え、pHを13に調整し、CP-MABA(Na塩型)を得た。
(測定例) メタノール濃度
良く撹拌された水溶液を1gと内標準物質(クロロベンゼン)0.02gを量り取り、アセトン3gで希釈する。得られた希釈液を1μL採取し、ガスクロマトグラフで測定した。メタノール濃度を求める為に、まず標準サンプルで検量線を作成した。次に上記で準備した上澄み液を測定して得られたクロマトグラムから標準サンプルと同じ保持時間のピーク面積を得た。該ピーク面積と検量線から測定液中の濃度を求め、溶液中の濃度に換算した。
GC測定条件は以下の通り。
装置名:株式会社島津製作所社製「ガスクロマトグラフ GC-2014」
カラム:財団法人化学物質評価研究機構製「Gカラム G-300」
キャリアガス:He(76kPa)
分析温度:140℃(5分)→3℃/分で昇温→200℃(20分) 計45分
注入口温度:250℃
検出器:FID(250℃)
(実施例1)
・サンプル水溶液の調製
メタノール/水/塩化ナトリウムが、それぞれ21質量部/71質量部/8質量部の割合で含まれる水溶液(L1-1)を調製した。
・水溶液の霧化分離工程
次に、図1に示す霧化分離装置(ナノミストテクノロジー株式会社製「USA-L5」、送風機2の風速40L/min、霧化室1A内の液面高さ37mm、霧化室1A内の溶液温度50℃、超音波照射出力31W、コンデンサー16内の冷却設定温度-2℃、分級器3B(以下、サイクロン3B)流入口13の配管直径17mm、同排出口14の配管直径17mm)を用い、得られた水溶液(L1-1)を溶液漕6に入れて、霧化分離工程を行い、水溶液(L2-1)を貯蔵容器17に得た。
霧化分離装置を起動させてから30分おきに、水溶液(L1-1)中のメタノール濃度と、得られた水溶液(L2-1)中のメタノール濃度を測定した。なお、水溶液(L1-1)は貯蔵容器を交換することなく連続して30分毎に、また、水溶液(L2-1)は、測定の都度、貯蔵容器を新しいものと交換することによって、30分間で回収された水溶液濃度として測定した(以下同じ。)。それらの測定結果を、表1に記した。
Figure 0007172337000004



(実施例2)
メタノール/水/塩化ナトリウムが、それぞれ21質量部/62質量部/17質量部の割合で含まれる水溶液(L1-2)を調製した。以降、実施例1と同様に水溶液の霧化分離工程を行い、水溶液(L2-2)を得た。
霧化分離装置を起動させてから30分おきに、水溶液(L1-2)中のメタノール濃度と、得られた水溶液(L2-2)中のメタノール濃度を測定した。その測定結果を、表2に記した。
Figure 0007172337000005



(比較例1)
・サンプル水溶液の調製
メタノール/水が、それぞれ18質量部/82質量部の割合で含まれる水溶液(L1-C1)を調製した。以降、実施例1と同様にして、溶液(L2-C1)を得た。
霧化分離装置を起動させてから30分おきに、水溶液(L1-C1)中のメタノール濃度と、得られた水溶液(L2-C1)中のメタノール濃度を測定した。その測定結果を、表3に記した。
Figure 0007172337000006

(実施例3)
・PPS樹脂重合工程
圧力計、温度計、コンデンサーを連結した撹拌翼および底弁付き150リットルオートクレーブに、パラジクロロベンゼン33.472質量部、NMP2.508質量部、水硫化ソーダ(47.4質量%)27.185質量部および苛性ソーダ(49.0質量%)18.236質量部を仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら173℃まで昇温して、水27.188質量部を留出させた後、釜を密閉した。
その際、共沸により留出したパラジクロロベンゼンはデカンターで分離して、随時釜内に戻した。脱水終了後、内温を160℃に冷却し、NMP47.246質量部を仕込み、230℃まで昇温して1時間撹拌した。その後、250℃まで昇温し、1時間撹拌して反応を終了させた。反応終了後、オートクレーブの内温を250℃から235℃に冷却し、オートクレーブの底弁を開いて減圧状態のまま攪拌翼付き150リットル真空撹拌乾燥機(脱溶媒機ジャケット温度175℃)にフラッシュさせてNMPを抜き取った。このフラッシュによりNMP含有量40.2質量%のスラリーを得た。
・PPS樹脂洗浄工程
そのスラリーをメタノール94.3質量部と混合し、30分間撹拌した後、平板濾過機にてろ過をした後、さらに上からメタノール94.3質量部を注いで濾過した。その後、分離したケーキを室温の水141質量部と混合し、30分撹拌したのち、平板濾過機にて濾過し、171質量部の水溶液(L1-3)を得た。該水溶液(L1)の成分を調べたところ、メタノール/水/塩化ナトリウム/CP-MABAが、それぞれ14.275質量部/75.605質量部/10.119質量部/0.001質量部の割合で含まれていた。
・PPS樹脂精製工程
なお、さらに上から水100質量部を3回に分けて注いで濾過した。また、得られた含水ケーキを120℃の熱風循環乾燥機で6時間乾燥して、白色粉末状のポリアリーレンスルフィド樹脂を得た。得られたPPS樹脂の質量平均分子量(Mw)は25000であった。
・PPS樹脂洗浄工程で排出された水溶液の霧化分離工程
次に、図1に示す霧化分離装置(ナノミストテクノロジー株式会社製「USA-L5」、送風機2の風速40L/min、霧化室1A内の液面高さ37mm、霧化室1A内の溶液温度50℃、超音波照射出力31W、コンデンサー16内の冷却設定温度-2℃、分級器3B(以下、サイクロン3B)流入口13の配管直径17mm、同排出口14の配管直径17mm)を用い、得られた水溶液(L1-3)を溶液漕6に入れて、霧化分離工程を行い、水溶液(L2-3)を貯蔵容器17に得た。
霧化分離装置を起動させてから30分おきに、水溶液(L1-3)中のメタノール濃度と、得られた水溶液(L2-3)中のメタノール濃度を測定した。その測定結果を、表4に記した。
Figure 0007172337000007



(実施例4)
・PPS樹脂洗浄工程
実施例3の「PPS樹脂洗浄工程」において「メタノール94.3質量部と混合し、30分間撹拌した後、平板濾過機にてろ過をした後、さらに上からメタノール94.3質量部を注いで濾過した。」点を、「水溶液(L2-3)94.3質量部と混合し、30分間撹拌した後、平板濾過機にてろ過をした後、さらに上から水溶液(L2-3)94.3質量部を注いで濾過した。」としたこと以外は、実施例3の「PPS樹脂重合工程」、「PPS樹脂洗浄工程」及び「PPS樹脂精製工程」と同様に行い、白色粉末状のポリアリーレンスルフィド樹脂を得た。得られたPPS樹脂の質量平均分子量(Mw)は25000であった。
1…霧化機
1A…霧化室
1B…超音波霧化機
2…送風機
3…分級器
3A…第1の分級器
3B…第2の分級器
4…配管
5…配管
6…溶液槽
7a…ポンプ
7b…ポンプ
8…ヒーター
9…配管
10…配管
11…流入口
11a…流入管
11b…流入管の先端
12…排出口
12a…排出管
12b…排出管の先端
13…サイクロン流入口
14…サイクロン排出口
15…配管
16…コンデンサー(凝縮器)
17…溶液槽
Q…液柱
L1…溶液(L1)
L2…溶液(L2)
M(L)…大粒ミスト
M(M)…中間ミスト
M(S)…微細ミスト
A(m)…ミスト量
D(p)…ミスト粒径の分布

Claims (8)

  1. 酸素原子含有溶媒(1)および塩(2)を含む水溶液(L1)から該溶媒(1)を分離する方法であって、
    該溶液(L1)を、気体中に霧化してミスト混合気体とする霧化工程と、前記ミスト混合気体に含まれているミストを、気体をキャリアガスとして粒径の大小に分級して気体を排気する分離工程とを含む、前記溶液(L1)から該溶媒(1)を分離除去する工程を有すること、
    前記塩(2)がアルカリ金属ハロゲン化物、および、下記構造式(1)
    Figure 0007172337000008
    (式中、Arはハロゲン原子を有するアリール基であり、Ar’はアリーレン基であり、Rは水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3~5のアルキレン基を、Xはアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子を表す。式(1)中、n=0~40である。)で表される化合物(1)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする分離方法。
  2. 前記水溶液(L1)に含まれる前記塩(2)の割合が、5~20wt%の範囲である、請求項1記載の分離方法。
  3. 前記水溶液(L1)中に含まれる酸素原子含有溶媒(1)よりも高い割合の酸素原子含有溶媒(1)を含む水溶液(L2)が得られる、請求項1又は2記載の分離方法。
  4. 前記酸素原子含有溶媒(1)がアルコール系溶媒、および、ケトン系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~3のいずれか一項記載の分離方法。
  5. 前記水溶液(L1)に含まれる酸素原子含有溶媒(1)の割合が、21~4wt%の範囲である、請求項1~4のいずれか一項記載の分離方法。
  6. 酸素原子含有溶媒(1)および塩(2)を含む水溶液(L1)から、濃縮された酸素原子含有溶媒(1)を含む水溶液(L2)を製造する方法であって、
    該溶液(L1)を、気体中に霧化してミスト混合気体とする霧化工程と、前記ミスト混合気体に含まれているミストを、気体をキャリアガスとして粒径の大小に分級して気体を排気する分離工程とを含む、前記溶液(L1)から該溶媒(1)を分離除去する工程と、分離除去した該溶媒(1)を回収する工程を有すること、
    前記塩(2)がアルカリ金属ハロゲン化物、および、下記構造式(1)
    Figure 0007172337000009
    (式中、Arはハロゲン原子を有するアリール基であり、Ar’はアリーレン基であり、Rは水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3~5のアルキレン基を、Xはアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子を表す。式(1)中、n=0~40である。)で表される化合物(1)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする製造方法。
  7. 前記水溶液(L2)が、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造工程において、当該ポリアリーレンスルフィド樹脂の洗浄溶媒として用いられるものである請求項6記載の製造方法。
  8. 請求項7の製造方法により製造された前記水溶液(L2)を、ポリアリーレンスルフィド樹脂と接触させる工程を含む、ポリアリーレンスルフィド樹脂の洗浄方法。
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