JP7171016B2 - イオン化方法、イオン化装置、及び質量分析装置 - Google Patents

イオン化方法、イオン化装置、及び質量分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガス状の試料のイオン化方法、イオン化装置、及び、イオン化装置を備えた質量分析装置に関する。
大気中の有機エアロゾルや、その原因物質である揮発性有機化合物(VOC)は、大気環境に大きな影響を与えると考えられている。これらの物質の分析は、質量分析が有効であるが、そのためには、測定試料のイオン化が必要である。
イオン化方法の一つに、化学イオン化法が知られている(例えば、特許文献1)。このイオン化法は、ソフトイオン化と呼ばれ、フラグメンテーションを抑えることができることから、多数の成分からなる混合物の分析に有効である。
特開2009-129868号公報
S. Fujimaki et al., J. Mass Spectrum. Soc. Jpn, 52, (2004), 149-153 D.T. Usmanov et al., J. Mass Spectrum., 51, (2016), 1187-1195
しかしながら、化学イオン化法は、試薬ガスを必要とすることに加えて、試薬ガスをイオン化するためのイオン化室と、測定する試料と試薬イオンとを化学反応させる反応管が必要となるため、イオン化装置の小型化が難しいという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、その主な目的は、従来よりも簡単な構成で、かつ、小型化が可能なイオン化方法、イオン化装置、及びイオン化装置を備えた質量分析装置を提供することにある。
本発明に係るイオン化方法は、ガス状の測定試料をイオン化する方法であって、
(A)プラズマ放電部を備えたイオン化室を減圧し、測定試料と大気を導入する工程と、
(B)イオン化室の圧力を調整し、プラズマ放電部でプラズマを生成する工程と
を含み、
工程(B)において、生成されたプラズマにより、測定試料がイオン化された[M](Mは測定試料分子)イオンと、大気成分に由来したイオンが付加された[nM+K]イオン(nは1または2、Kは大気成分に由来したイオン)とが生成され、イオン化室の圧力を、[nM+K]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなるように設定することを特徴とする。
また、本発明に係るイオン化装置は、ガス状の測定試料をイオン化するイオン化装置であって、測定試料及び大気を導入する導入口と、プラズマ放電部を備えたイオン化室と、イオン化室を減圧する排気口と、イオン化室でイオン化された試料を外部に取り出す取出口とを備え、イオン化室において、プラズマ放電部で生成されたプラズマにより、測定試料がイオン化された[M](Mは測定試料分子)イオンと、大気成分に由来したイオンが付加された[nM+K]イオン(nは1または2、Kは大気成分に由来したイオン)とが生成され、イオン化室の圧力を、[nM+K]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなるように設定することを特徴とする。
また、本発明に係る質量分析装置は、上記のイオン化装置と、イオンの質量電荷比に応じて分離する質量分析部とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、従来よりも簡単な構成で、かつ、小型化が可能なイオン化方法、イオン化装置、及びイオン化装置を備えた質量分析装置を提供することができる。
本発明のイオン化方法に使用するイオン化装置の構成を模式的に示した断面図である。 (a)~(d)は、グロー放電によりイオン化した試料(トルエン)を質量分析装置で分析を行った結果を示したマススペクトルである。 イオン化室で放電されているプラズマの発光スペクトルである。 本発明の一実施形態におけるイオン化方法の工程を示した図である。 (a)、(b)は、グロー放電によりイオン化した測定試料(ベンゼン)を質量分析装置で分析を行った結果を示したマススペクトルである。 (a)、(b)は、グロー放電によりイオン化した測定試料(o-キシレン)を質量分析装置で分析を行った結果を示したマススペクトルである。 (a)、(b)、(c)は、グロー放電によりイオン化した測定試料(アセトン)を質量分析装置で分析を行った結果を示したマススペクトルである。 (a)、(b)は、グロー放電によりイオン化した測定試料(酢酸エチル)を質量分析装置で分析を行った結果を示したマススペクトルである。 (a)、(b)は、グロー放電によりイオン化した測定試料(ジエチルエーテル)を質量分析装置で分析を行った結果を示したマススペクトルである。 (a)、(b)は、グロー放電によりイオン化した測定試料(ヘプタン)を質量分析装置で分析を行った結果を示したマススペクトルである。 (a)、(b)は、グロー放電によりイオン化した測定試料(オクタン)を質量分析装置で分析を行った結果を示したマススペクトルである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
図1は、本発明のイオン化方法に使用するイオン化装置の構成を模式的に示した断面図である。
図1に示すように、本実施形態におけるイオン化装置(イオン源)100は、本体10内に、ガス状の測定試料をイオン化するイオン化室11を備えている。イオン化室11は、中空円筒型のアノード13と、その内側に配置され、中空円筒状でメッシュ状のカソード14とで構成されたプラズマ放電部12を備えている。アノード13は、コネクター15を介して、パルス電源(不図示)に接続されている。また、カソード14は、接地電位に接続されている。また、本体10の内側とアノード13の外周との空間は、樹脂性の絶縁体16で埋められている。
本体10には、測定試料及び大気を導入する導入口17、イオン化室11を減圧する排気口18、及び、イオン化室11でイオン化された測定試料を外部に取り出す取出口19を備えている。なお、取出口19は、インターフェース20を介して、質量分析装置(MS)に接続することによって、質量分析部で、取出口19から取り出された試料分子イオンの質量電荷比(m/z)を分析することができる。
本願発明者等は、図1に示したイオン化装置100を用いて、試料として、トルエン(分子量:92)のイオン化を検討した。なお、グロー放電の条件は、以下の通りとした。
イオン化室11に導入する測定試料(トルエン)と大気との混合割合は、マスフローコントローラ(不図示)を用いて、流量比(測定試料の流量/大気の流量)が0.3となるように設定した。また、イオン化室11に供給する電流を30mA、パルス周波数を2.5kHz(デューティ比:50%)に設定した。また、イオン化室11の圧力は、0.9kPa、1.2kPa、1.5kPa、2.5kPaに変えて設定した。なお、トルエンの導入は、トルエンの蒸気を減圧下のイオン化室11に吸引することにより行った。
上記に示した条件でグロー放電を行い、イオン化した測定試料を、取出口19から取り出し、イオン化装置100に接続した質量分析装置で質量電荷比(m/z)の分析を行った。
図2は、その結果を示したマススペクトルで、(a)~(d)は、それぞれ、イオン化室11の圧力を、0.9kPa、1.2kPa、1.5kPa、2.5kPaに設定したときの結果を示す。ここで、横軸は、質量電荷比(m/z)を示し、縦軸は、相対強度を示す。
図2(a)に示すように、イオン化室11の圧力が低いとき(0.9kPa)は、トルエンの分子イオン([M])(m/z=92)のピ-クが観測された。一方、図2(b)~(d)に示すように、イオン化室11の圧力が高くなると(1.2kPa以上)、トルエンの分子イオン([M])によるピークの他に、トルエンの分子イオン([M])よりもm/zが30大きいm/z=122のピークが観察された。特に、図2(c)、(d)に示すように、イオン化室11の圧力が1.5kPaを超えると、m/z=122のピーク強度は、トルエンの分子イオン([M])のピーク強度よりも大きくなった。
図2(a)、(b)に示すように、m/z=30は、丁度、ニトロソニウムイオン(NO)の質量電荷比に相当するため、m/z=122のピークは、[M+NO]イオンのピークを示すものと推定される。これを検証するために、図1に示したように、イオン化装置100の本体10に、イオン化室11の内部を観察するための窓21を形成し、イオン化室11で発生しているプラズマの発光スペクトルを観察した。
図3は、図2(d)に示した放電条件(圧力:2.5kPa)で発生しているプラズマの発光スペクトルである。ここで、横軸は波長(λ)を示し、縦軸は発光強度を示す。
図3に示すように、波長(λ)が290~410nmの間にある複数のピークは、窒素分子の第二正帯(2nd positive system)、391、428、471nmのピークは窒素分子イオンの第一負帯(1st negative system)による発光と考えられる。また、発光強度は弱いものの、波長(λ)が210~275nmの間にある複数のピークは、NO分子のγ帯(γ-system)による発光と考えられる。このことから、イオン化室11で発生しているプラズマ内には、NOイオンが存在していると推定される。
以上の結果から、イオン化室11のプラズマ放電部12で生成されたプラズマにより、イオン化された測定試料[M](Mは測定試料分子)が生成されているとともに、大気成分から生成されたNOイオンが付加された[M+NO]イオンが生成されていることが分かる。そして、イオン化室11の圧力を高めることによって、[M+NO]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となることが分かる。ここで、信号強度とは、マススペクトルにおけるピーク強度をいう。
本発明のイオン化方法は、このような知見に基づきなされたもので、以下、図4を参照しながら、本発明の一実施形態におけるイオン化方法を説明する。
図4に示すように、まず、プラズマ放電部12を備えたイオン化室11を、一度真空に排気した後(ステップS01)、イオン化室11に、測定試料及び大気を導入する(ステップS02)。なお、測定試料と大気との混合割合(流量比)は、マスフローコントローラを用いて、測定試料及び大気の流量をそれぞれ調整することに設定される。
次に、イオン化室11の圧力を調整し(ステップS03)、所定の圧力に達したら、プラズマ放電部12にパルス電圧を印加して、イオン化室11にプラズマを生成させる(ステップS04)。このとき、生成されたプラズマにより、測定試料がイオン化された[M]イオン(Mは測定試料分子)と、大気成分から生成された(大気成分由来の)NOイオンが付加された[M+NO]イオンが生成される。
次に、イオン化室11の圧力を、[M+NO]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなるように設定する。なお、この調整は、例えば、イオン化された試料を質量分析装置に導入して、マススペクトルを測定しながら行うことができるが、予め、その測定試料に対してマススペクトルの測定により求めておいた圧力を設定値としてもよい。
また、図4に示すように、イオン化された測定試料を外部に取り出して(ステップS05)、質量分析装置に導入することによって、測定試料の質量分析を行うことができる。
本実施形態におけるイオン化方法は、イオン化室で生成したプラズマにより、大気成分から生成されたNOイオンを試料Mに付加して、試料Mをソフトイオン化([M+NO])することができるため、従来の化学イオン化法のように、試薬ガスを必要としないことに加えて、NOイオンを生成するための特別なイオン化室や、NOイオンと試料とを化学反応させる反応管を必要としない。そのため、簡単な構成で、イオン化装置の小型化が可能となる。これにより、イオン化装置を質量分析装置に組み込むことも可能となる。
また、イオン化室11の圧力を、[M+NO]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなるように設定することによって、測定試料Mの検出感度(S/B比:signal/background ratio)を高めることができる。
ところで、本発明におけるイオン化方法において、イオン化室11で生成されたプラズマにより、測定試料MにNOイオンが付加されて[M+NO]イオンが生成されるメカニズムは、以下のような反応によるものと考えられる。
+e → 2N (1)
N+O → NO+O (2)
NO+e → NO+2e (3)
NO+N → NO+N (4)
M+NO → [M+NO] (5)
式(1)、(2)は、イオン化室11で生成されたプラズマ中で、大気からNO分子が生成される反応を示す。生成されたNO分子は、式(3)または式(4)に示した反応によりイオン化される。式(3)は、電子衝突によるイオン化で、式(4)は、電荷移動によるイオン化である。そして、式(5)は、測定試料Mの分子に、イオン化されたNOイオンが付加されて、[M+NO]イオンが生成される反応を示す。
ところで、本発明におけるイオン化方法において、式(5)に示した測定試料MへのNOイオン付加(ソフトイオン化)が効率的に行われるのは、次のような理由によるものと考えられる。
本実施形態におけるイオン化装置100は、図1に示したように、プラズマ放電部12が、中空円筒型のアノード13と、その内側に配置され、中空円筒型でメッシュ状のカソード14とで構成されている。放電部12にパルス電圧が印加すると、アノード13とカソード14との間にプラズマが生成されるが、そこで生成されたNOイオンの一部は、カソード14のメッシュ孔を通過して、カソード14の中心部の方に流れ出る。このとき、内側のカソード14は接地されているため、カソード14の中心部では電位勾配がない。そのため、カソード14の中心部では、NOイオンが持つ運動エネルギーは、最小化されている。その結果、カソード14の中心部を試料Mの分子が通過する際、測定試料Mの分子に、NOイオンが効率的に付加されると考えられる。
また、本実施形態におけるイオン化方法は、イオン化室11の圧力が、比較的高い圧力(典型的には、数kPa)でも、安定したプラズマが生成できるため、測定する試料Mを、イオン化室11内に大量に導入することができる。これにより、測定試料Mの検出感度(S/B比)を高めることが可能となる。
なお、上記の実施形態では、測定試料Mとして、トルエンのイオン化を例に説明したが、本発明のイオン化方法に適用される試料Mはこれに限定されず、他のガス状の測定試料にも、勿論、適用することができる。
図5は、測定試料Mとして、ベンゼン(分子量:78)を、図1に示したイオン化装置100でイオン化し、生成されたイオンを質量分析装置を用いて測定したマススペクトルである。なお、グロー放電の条件は、以下の通りとした。
イオン化室11に導入する試料M(ベンゼン)と大気との混合割合は、流量比(測定試料の流量/大気の流量)が0.3となるように設定した。また、イオン化室11に供給する電流は、30mA、パルス周波数は2.5kHz(デューティ比:50%)に設定した。なお、ベンゼンの導入は、ベンゼンの蒸気を減圧下のイオン化室11に吸引することにより行った。
図5(a)は、イオン化室11の圧力を0.9kPaに設定したときの結果を示し、図5(b)は、イオン化室11の圧力を2.5kPaに設定したときの結果を示す。
図5(a)に示すように、イオン化室11の圧力が低いとき(0.9kPa)は、ベンゼンの分子イオン([M])(m/z=78)のピ-ク、及び、ベンゼンの分子イオン([M])よりもm/zが30大きいm/z=108のピークが測定された。このピークは、上述したように、ベンゼン分子に、NOイオンが付加された[M+NO]によるピークと考えられる。なお、このとき、 [M]のピーク強度は、[M+NO]のピーク強度よりも大きかった。
一方、図5(b)に示すように、イオン化室11の圧力が高くなると(2.5kPa)、ベンゼンの分子イオン([M])のピ-クはほとんど観察されず、[M+NO]のピークがベースピークとして観察された。
このように、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[M+NO]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
図6は、測定試料Mとして、o-キシレン(分子量:106)を、図1に示したイオン化装置100でイオン化し、生成されたイオンを質量分析装置を用いて測定したマススペクトルである。なお、グロー放電の条件は、ベンゼンの場合と同じ条件とした。なお、o-キシレンの導入は、o-キシレンの蒸気を減圧下のイオン化室11に吸引することにより行った。
図6(a)は、イオン化室11の圧力を0.9kPaに設定したときの結果を示し、図6(b)は、イオン化室11の圧力を2.5kPaに設定したときの結果を示す。
図6(a)に示すように、イオン化室11の圧力が低いとき(0.9kPa)は、o-キシレンの分子イオン([M])(m/z=106)のピ-ク、及び、o-キシレンの分子イオン([M])よりもm/zが30大きいm/z=136のピークが観測された。このピークは、上述したように、o-キシレンの分子に、NOイオンが付加された[M+NO]によるピークと考えられる。なお、このとき、 [M+NO]イオンのピーク強度は、[M]イオンのピーク強度より大きかった。
一方、図6(b)に示すように、イオン化室11の圧力が高くなると(2.5kPa)、o-キシレンの分子イオン([M])のピ-クはほとんど観察されず、[M+NO]イオンのピークがベースピークとして観察された。
このように、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[M+NO]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
本実施形態におけるイオン化方法では、イオン化室11の圧力を、[M+NO]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなるように設定することによって、測定試料Mの検出感度(S/B比)を高めることができる。なお、このような条件を満たすイオン化室11の圧力は、測定する試料Mの種類や、他のグロー放電の条件(例えば、測定試料Mと大気との混合割合、印加電圧、パルス周波数、放電電流等)によって、適宜決めることができる。このような条件を満たすイオン化室11の圧力は、典型的には、0.5kPa~5kPaの範囲にある。
本発明の一実施形態におけるイオン化装置は、図1に示した構成からなる。
すなわち、本実施形態におけるイオン化装置100は、図1に示すように、測定試料及び大気を導入する導入口17と、プラズマ放電部12を備えたイオン化室11と、イオン化室11を減圧する排気口18と、イオン化室11でイオン化された測定試料を外部に取り出す取出口19とを備えている。
イオン化室11において、プラズマ放電部12で生成されたプラズマにより、測定試料がイオン化された[M]イオン(Mは測定試料分子)、及び、大気成分から生成されたニトロソニウムイオン(NO)が付加された[M+NO]イオンが生成される。そして、イオン化室11の圧力は、[M+NO]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなるように設定される。
プラズマ放電部12は、中空円筒型のアノード13と、その内側に配置された、中空円筒型でメッシュ状のカソード14とで構成され、カソード14は接地されていることが好ましい。また、プラズマ放電部12は、パルス放電によりプラズマが生成されることが好ましい。
プラズマ放電部12を、中空円筒型のアノード13と、その内側に配置された、中空円筒型でメッシュ状のカソード14とで構成することによって、プラズマと測定試料との接触を最小限に抑えることができるため、測定試料分子のフラグメンテーションの発生を抑制することができる。これにより、測定試料にNOイオンが付加された[M+NO]イオンを、ベースピークとして高感度で検出することができる。すなわち、1成分1ピークとして検出することができるため、ガスクロマトグラフィーによる分離は不要で、直接分析が可能となる。
また、本実施形態におけるイオン化装置を、イオンの質量電荷比に応じて分離する質量分析部と接続することによって、質量分析装置を構成することができる。
ところで、上記実施形態では、イオン化室で生成されたプラズマにより、測定試料がイオン化された[M](Mは測定試料分子)イオンが生成されるとともに、大気成分から生成されたNOイオンが付加された[M+NO]イオンが生成された例を説明したが、本願発明者等がさらに検討した結果、測定試料の種類によって、NO以外のイオンが付加されるものがあることが分かった。
例えば、図7は、測定試料Mとして、アセトン(分子量:58)を、図1に示したイオン化装置100でイオン化し、生成されたイオンを質量分析装置を用いて測定したマススペクトルである。なお、グロー放電の条件は、以下の通りとした。
イオン化室11に導入する測定試料M(アセトン)と大気との混合割合は、図7(a)および(b)は、流量比(測定試料の流量/大気の流量)が0.04、図7(c)は、0.02となるように設定した。また、イオン化室11に供給する電流は、30mA、パルス周波数は2.5kHz(デューティ比:50%)に設定した。なお、アセトンの導入は、アセトンの蒸気を減圧下のイオン化室11に吸引することにより行った。
図7(a)は、イオン化室11の圧力を1.0kPaに設定したときの結果を示し、図7(b)は、イオン化室11の圧力を2.5kPaに設定したときの結果を示す。さらに、図7(c)は、2.5kPaに維持し、流量比(測定試料の流量/大気の流量)を下げ、0.02となるように設定したときの結果を示す。
図7(a)に示すように、イオン化室11の圧力が低いとき(1.0kPa)は、アセトンの分子イオン([M])(m/z=58)のピ-ク、及び、アセトンの分子イオン([M])よりもm/zが59大きいm/z=117のピークが測定された。このピークは、アセトンの二量体にHが付加されたプロトン付加二量体イオン[2M+H]であると同定された。なお、このとき、[M]イオンのピーク強度は、[2M+H]イオンのピーク強度よりも大きかった。
一方、図7(b)に示すように、イオン化室11の圧力が高くなると(2.5kPa)、アセトンの分子イオン([M])のピ-クはほとんど観察されず、m/z=134のピークがベースピークとして観察された。このピークは、アセトンの二量体にHが付加された水分子付加二量体イオン[2M+HO]であると同定された。また、図7(c)に示すように、イオン化室11の圧力を同じ(2.5kPa)にして、流量比(測定試料の流量/大気の流量)を0.02と下げた場合では、アセトンの分子イオン([M])のピ-クはほとんど観察されず、プロトン付加二量体イオン[2M+H]が検出された。
このように、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[2M+HO]イオン、あるいは[2M+H]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
図8は、測定試料Mとして、酢酸エチル(分子量:88)を、図1に示したイオン化装置100でイオン化し、生成されたイオンを質量分析装置を用いて測定したマススペクトルである。なお、グロー放電の条件は、以下の通りとした。
イオン化室11に導入する測定試料M(酢酸エチル)と大気との混合割合は、流量比(測定試料の流量/大気の流量)が0.04となるように設定した。また、イオン化室11に供給する電流は、30mA、パルス周波数は2.5kHz(デューティ比:50%)に設定した。なお、酢酸エチルの導入は、酢酸エチルの蒸気を減圧下のイオン化室11に吸引することにより行った。
図8(a)は、イオン化室11の圧力を1.0kPaに設定したときの結果を示し、図8(b)は、イオン化室11の圧力を2.5kPaに設定したときの結果を示す。
図8(a)に示すように、イオン化室11の圧力が低いとき(1.0kPa)は、酢酸エチルの分子イオン([M])(m/z=88)のピ-ク、及び、酢酸エチルの分子イオン([M])よりもm/zが89大きいm/z=177のピークが測定された。このピークは、アセトンの場合と同等に、酢酸エチルの二量体にHが付加されたプロトン付加二量体イオン[2M+H]であると同定された。なお、このとき、[2M+H]イオンのピーク強度は、[M]イオンのピーク強度よりも大きかった。
一方、図8(b)に示すように、イオン化室11の圧力が高くなると(2.5kPa)、酢酸エチルの分子イオン([M])のピ-クはほとんど観察されず、[2M+H]イオンのピークがベースピークとして観察された。
このように、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[2M+H]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
図9は、測定試料Mとして、ジエチルエーテル(分子量:74)を、図1に示したイオン化装置100でイオン化し、生成されたイオンを質量分析装置を用いて測定したマススペクトルである。なお、グロー放電の条件は、以下の通りとした。
イオン化室11に導入する測定試料M(ジエチルエーテル)と大気との混合割合は、流量比(測定試料の流量/大気の流量)が0.04となるように設定した。また、イオン化室11に供給する電流は、30mA、パルス周波数は2.5kHz(デューティ比:50%)に設定した。なお、ジエチルエーテルの導入は、ジエチルエーテルの蒸気を減圧下のイオン化室11に吸引することにより行った。
図9(a)は、イオン化室11の圧力を1.0kPaに設定したときの結果を示し、図9(b)は、イオン化室11の圧力を2.5kPaに設定したときの結果を示す。
図9(a)に示すように、イオン化室11の圧力が低いとき(1.0kPa)は、ジエチルエーテルの分子イオン([M])(m/z=74)のピ-ク、及び、ジエチルエーテルの分子イオン([M])よりもm/zが75大きいm/z=149のピークが測定された。このピークは、アセトン及び酢酸エチルの場合と同等に、ジエチルエーテルの二量体にHが付加されたプロトン付加二量体イオン[2M+H]であると同定された。なお、このとき、[M]イオンのピーク強度は、[2M+H]イオンのピーク強度よりも大きかった。
一方、図9(b)に示すように、イオン化室11の圧力が高くなると(2.5kPa)、酢酸エチルの分子イオン([M])のピ-クはほとんど観察されず、[2M+H]イオンのピークがベースピークとして観察された。
このように、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[2M+H]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
上記に例示したアセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル等の測定試料では、イオン化室で生成されたプラズマにより、測定試料がイオン化された[M](Mは測定試料分子)イオンが生成されるとともに、測定試料の二量体にHイオンが付加されたプロトン付加二量体イオン[2M+H]が生成され、さらに、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[2M+H]イオンの他に、[2M+HO]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
なお、上記の測定試料において、イオン化室11で生成されるプラズマにより、測定試料Mの二量体にHイオンが付加されたプロトン付加二量体イオン[2M+H]が生成されるメカニズムは、以下のような気相クラスタリング反応(6)により生成されていると推測される(参考:非特許文献1)。
[M+H]+M+X → [2M+H]+X (6)
ここで、Xはキャリアガスとして用いた大気成分(第三体)である。また、重水素化アセトン(分子量:64)を測定したところ、マススペクトルに[2M+H]イオンが同様に検出されたため、Hは、大気成分由来であると考えられる(図7(b)と同様の測定条件)。
さらに、イオン化室11で生成されるプラズマにより、測定試料Mの二量体にHイオンが付加された水分子付加二量体イオン[2M+HO]が生成されるメカニズムは、以下のような反応(7)および(8)により生成されていると推測される。
+HO → H(HO) (7)
(HO)+2M → [2M+HO]+HO (8)
さらに、本願発明者等が検討した結果、測定試料の種類によって、測定試料Mに、(O-3H)イオンが付加されるものがあることが分かった。
例えば、図10は、測定試料Mとして、ヘプタン(分子量:100)を、図1に示したイオン化装置100でイオン化し、生成されたイオンを質量分析装置を用いて測定したマススペクトルである。なお、グロー放電の条件は、以下の通りとした。
イオン化室11に導入する測定試料M(ヘプタン)と大気との混合割合は、流量比(測定試料の流量/大気の流量)が0.04となるように設定した。また、イオン化室11に供給する電流は、30mA、パルス周波数は2.5kHz(デューティ比:50%)に設定した。なお、ヘプタンの導入は、ヘプタンの蒸気を減圧下のイオン化室11に吸引することにより行った。
図10(a)は、イオン化室11の圧力を1.0kPaに設定したときの結果を示し、図10(b)は、イオン化室11の圧力を2.5kPaに設定したときの結果を示す。
図10(a)に示すように、イオン化室11の圧力が低いとき(1.0kPa)は、ヘプタンの分子イオン([M])(m/z=100)のピ-クが測定された。
一方、図10(b)に示すように、イオン化室11の圧力が高くなると(2.5kPa)、ヘプタンの分子イオン([M])のピ-クはほとんど観察されず、[M+(O-3H)]イオンのピークがベースピークとして観察された。
このように、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[M+(O-3H)]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
図11は、測定試料Mとして、オクタン(分子量:114)を、図1に示したイオン化装置100でイオン化し、生成されたイオンを質量分析装置を用いて測定したマススペクトルである。なお、グロー放電の条件は、以下の通りとした。
イオン化室11に供給する電流2を、30mA、パルス周波数を2.5kHz(デューティ比:50%)に設定した。なお、オクタンの導入は、オクタンの蒸気を減圧下のイオン化室11に吸引することにより行った。
図11(a)は、イオン化室11の圧力を1.0kPaに設定したときの結果を示し、図11(b)は、イオン化室11の圧力を2.5kPaに設定したときの結果を示す。なお、イオン化室11に導入する測定試料M(オクタン)と大気との混合割合は、流量比(測定試料の流量/大気の流量)が、図11(a)は0.3、図11(b)は、0.04となるように設定した。
図11(a)に示すように、イオン化室11の圧力が低いとき(1.0kPa)は、オクタンの分子イオン([M])(m/z=114)のピ-ク、及び、オクタンの分子イオン([M])よりもm/zが13大きいm/z=127のピークが測定された。このピークは、ヘプタンと同様、オクタンに、(O-3H)イオンが付加された[M+(O-3H)]イオンであると同定された。なお、このとき、[M]イオンのピーク強度は、[M+(O-3H)]イオンのピーク強度よりも大きかった。
一方、図11(b)に示すように、イオン化室11の圧力が高くなると(2.5kPa)、オクタンの分子イオン([M])のピ-クはほとんど観察されず、[M+(O-3H)]イオンのピークがベースピークとして観察された。
このように、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[M+(O-3H)]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
上記に例示したヘプタン、オクタン等の測定試料では、イオン化室で生成されたプラズマにより、測定試料がイオン化された[M](Mは測定試料分子)イオンが生成されるとともに、測定試料に(O-3H)イオンが付加された[M+(O-3H)]イオンが生成され、さらに、イオン化室11の圧力を高く設定することによって、[M+(O-3H)]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることが可能となる。
なお、上記の測定試料において、イオン化室11で生成されるプラズマにより、測定試料Mに(O-3H)イオンが付加された[M+(O-3H)]イオンが生成されるメカニズムは、以下のようなヒドリド引き抜き反応(9)~(14)により生成されていると推測される(参考:非特許文献2)。
+M → O+M (9)
+M → [M-H]+HO (10)
+O → [M-H]+HO (11)
[M-H]+O → [M+(O-H)]+O (12)
[M-H]-H → [M-3H] (13)
[M-3H]+O → [M+(O-3H)]+O (14)
ここで、(O-3H)イオンのOについては、式(9)~(14)のとおり、大気成分由来である。しかし、Hについては、重水素化ヘプタン(分子量:116)を測定したところ、マススペクトルに[M+(O-3D)]イオンが検出されたため、測定試料分子由来であると考えられる(図10(b)と同様の測定条件)。
なお、ヘプタン及びオクタンは、一般式(C2n+1)で表されるアルカンのうち、n=7、8のアルカンであるが、nが小さい場合、例えば、n=5のペンタンの場合には、イオン化室11で生成されるプラズマにより、測定試料Mに、NOイオンが付加された[M+NO]イオンが生成され(イオン化室11の圧力:2.5kPa)、n=6のヘキサンの場合には、イオン化室11で生成されるプラズマにより、測定試料Mに、NOイオンが付加された[M+NO]イオンおよび[M+(O-3H)]イオンが生成された(図10(b)と同様の測定条件)。これは、n数が大きくなると、NOイオンの対象分子への親和性が低くなり、NOイオンが付加されにくくなったためと考えられる。
なお、n=9、10のアルカン(ノナン、デカン)についても、ヘプタン及びオクタンと同様に、[M+(O-3H)]イオンが生成されることが確認できている(イオン化室11の圧力:2.5kPa)。
以上、説明したように、イオン化室で生成されたプラズマにより、[M](Mは測定試料分子)イオンが生成される他に、測定試料に特定のイオンが付加されたイオンが生成されるが、付加された特定のイオンは、測定試料の化学構造によって異なることが分かった。
化学構造の種類によって、何のイオンが付加されるかは、まだ、十分に同定できていないが、種々の測定試料に対して実験を行った結果、少なくとも、測定試料に、NOイオン、Hイオン、Hイオン及び(O-3H)イオンが付加された[M+NO]イオン、[2M+H]イオン、[2M+HO]イオン、及び[M+(O-3H)]イオン(Mは、測定試料分子)が生成されることが分かった。また、これらの付加されたイオンは、測定試料とともに、イオン化室に導入した大気成分に由来して生成されたイオンである。そのため、これらのイオンを生成するための特別なイオン化室や、測定試料と化学反応させる反応管を必要としない。そして、イオン化室の圧力を調整することによって、測定試料に特定のイオンが付加されたイオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくすることができることが分かった。
すなわち、本実施形態のイオン化方法において、イオン化室で生成されたプラズマにより、測定試料がイオン化された[M](Mは測定試料分子)イオンと、大気成分由来のイオンが付加された[nM+K]イオン(nは1または2、Kは大気成分由来のイオン)とが生成され、イオン化室の圧力を、[nM+K]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなるように設定することによって、測定試料の検出感度(S/B比)を高めることができる。また、簡単な構成で、イオン化装置の小型化を図ることができる。
なお、[M+(O-3H)]イオンの場合、大気成分に由来して生成されたイオン(O)の付加の他に、測定試料分子から引き抜かれた原子(H)が含まれるが、本発明において、Kは、少なくも、大気成分由来のイオンが含まれていればよい。
また、図7(c)に示したように、測定試料に、Hイオン、Hイオンが付加された[3M+H]イオンや[3M+HO]イオンが生成されることも観察されている。従って、イオン化室の圧力や、イオン化室に導入する測定試料と大気との混合割合を、最適な条件に設定することによって、[nM+K]イオンの信号強度を、[M]イオンの信号強度よりも大きくできる可能性がある。
また、上記実施形態では、イオン化室の圧力を調整することによって、[nM+K]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなることを例示したが、例えば、図6及び図8に例示した測定試料では、圧力が低いときでも、図6(a)、図8(a)に示したように、[nM+K]イオンの信号強度が、[M]イオンの信号強度よりも大きくなっている。しかしながら、この場合でも、圧力を高くすることによって、図6(b)、図8(b)に示したように、[nM+K]イオンの信号強度を、圧力の低いときに比べて、さらに大きくすることができる。これにより、測定試料Mの検出感度(S/B比)を高めることができる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、プラズマ放電部12として、中空円筒型のアノード13と、中空円筒型でメッシュ状のカソード14で構成したが、これに限らず、種々の電極構造を用いることができる。例えば、平行平板型の電極構造を用いても同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、プラズマ放電部は、パルス放電によりプラズマを生成したが、DC放電によりプラズマを生成しても同様の効果を得ることができる。
10 本体
11 イオン化室
12 プラズマ放電部
13 アノード
14 カソード
15 コネクター
16 絶縁体
17 導入口
18 排気口
19 取出口
20 インターフェース
21 窓
100 イオン化装置

Claims (11)

  1. ガス状の測定試料をイオン化する方法であって、
    (A)プラズマ放電部を備えたイオン化室を減圧し、前記測定試料と大気を導入する工程と、
    (B)前記イオン化室の圧力を調整し、プラズマ放電部でプラズマを生成する工程と
    を含み、
    前記プラズマ放電部は、中空円筒型のアノードと、その内側に配置され、中空円筒型でメッシュ状のカソードとで構成され、かつ、前記カソードが接地されており、
    前記工程(B)において、前記アノードと前記カソードとの間で生成されたプラズマにより生成された大気成分に由来したイオンが、前記カソードのメッシュ孔を通過して、前記カソードの中心部の方に流れ出ることにより、前記カソードの中心部を通過する前記測定試料の分子に、大気成分に由来したイオンが付加された[nM+K]イオン(Mは測定試料分子、nは1または2、Kは大気成分に由来したイオン)が生成されることを特徴とする、イオン化方法。
  2. 前記[nM+K]イオンは、[M+NO]イオンからなる、請求項1に記載のイオン化方法。
  3. 前記[nM+K]イオンは、[2M+H]イオンまたは[2M+HO]イオンからなる、請求項1に記載のイオン化方法。
  4. 前記[nM+K]イオンは、[M+(O-3H)]イオンからなる、請求項1に記載のイオン化方法。
  5. 前記プラズマ放電部では、パルス放電によりプラズマが生成される、請求項1~の何れか一項に記載のイオン化方法。
  6. ガス状の測定試料をイオン化するイオン化装置であって、
    前記測定試料及び大気を導入する導入口と、
    プラズマ放電部を備えたイオン化室と、
    前記イオン化室を減圧する排気口と、
    前記イオン化室でイオン化された測定試料を外部に取り出す取出口と
    を備え、
    前記プラズマ放電部は、中空円筒型のアノードと、その内側に配置され、中空円筒型でメッシュ状のカソードとで構成され、かつ、前記カソードが接地されており、
    前記イオン化室において、前記アノードと前記カソードとの間で生成されたプラズマにより生成された大気成分に由来したイオンが、前記カソードのメッシュ孔を通過して、前記カソードの中心部の方に流れ出ることにより、前記カソードの中心部を通過する前記測定試料の分子に、大気成分に由来したイオンが付加された[nM+K]イオン(Mは測定試料分子、nは1または2、Kは大気成分に由来したイオン)が生成されることを特徴とする、イオン化装置。
  7. 前記[nM+K]イオンは、[M+NO]イオンからなる、請求項に記載のイオン化装置。
  8. 前記[nM+K]イオンは、[2M+H]イオンまたは[2M+HO]イオンからなる、請求項に記載のイオン化装置。
  9. 前記[nM+K]イオンは、[M+(O-3H)]イオンからなる、請求項に記載のイオン化装置。
  10. 前記プラズマ放電部では、パルス放電によりプラズマが生成される、請求項の何れか一項に記載のイオン化装置。
  11. 請求項10の何れか一項に記載のイオン化装置と、イオンの質量電荷比を分析する質量分析部と、を備えたことを特徴とする、質量分析装置。
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