JP7169175B2 - 過給機用サイレンサ装置 - Google Patents

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Description

本開示は、過給機のコンプレッサハウジングの吸気入口側に設けられる過給機用サイレンサ装置に関する。
舶用ディーゼル機関や陸上発電用ディーゼル機関などに搭載される大型の過給機として、コンプレッサハウジング(圧縮機ケーシング)の吸気入口側に円筒形状のサイレンサが接続され、該サイレンサの外周側から吸い込まれた空気が、コンプレッサハウジングの吸気入口に導入される構造が知られている(特許文献1)。
特許文献1には、サイレンサのコンプレッサ側とは反対側の端面にEGRガスを導入するための導入口が開口し、該導入口を覆うように一端が開口した円錐台形状の混合手段が設けられて、サイレンサ内が混合手段の内部と外部とに区分されることが開示されている。また、特許文献1には、導入口から混合部材の内部に導かれたEGRガスは、混合手段の外周面に形成された複数の孔を通り、混合部材の外周面よりも外側で空気に混合されることが開示されている。なお、特許文献1における混合手段の他端は開口していない。
特開2015-194163号公報
特許文献1に記載された発明では、空気(新気)とEGRガスとが均一に混合された混合気が、過給機におけるコンプレッサ(インペラ)の内周側及び外周側に導入される。ここで、コンプレッサに導入されるEGRガスは、空気(新気)との混合により発生した凝縮水を含んでいる可能性がある。また、EGRガスは、上流側において排ガス洗浄装置により洗浄されているが、煤などの粒子状物質(PM)などの異物が残留している虞がある。また、コンプレッサの外周側は、内周側に比べて周速度が速いので、凝縮水や異物が衝突した際の衝撃力が大きくなり、凝縮水や異物の衝突による摩耗や損傷が起こり易い。特許文献1に記載された発明では、EGRガスを含む混合気がコンプレッサの外周側に導入されるので、混合気中に含まれる凝縮水や異物が、コンプレッサの外周側に衝突し、コンプレッサの摩耗や損傷を招く虞がある。
上述した事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、EGRガス及び空気(新気)が導入される過給機の摩耗や損傷を抑制可能な過給機用サイレンサ装置を提供することにある。
(1)本発明の少なくとも一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置は、
過給機のコンプレッサハウジングの吸気入口側に設けられる過給機用サイレンサ装置であって、
サイレンサエレメントと、
前記サイレンサエレメントを収容し、且つ、空気及びEGRガスが導入されるように構成された筐体と、
前記筐体の内部に前記EGRガスを導入するためのEGRガス導入管と、を備え、
前記筐体は、
過給機の軸線方向と交差する方向に延在するとともに中央側開口を有する第1側壁と、
前記軸線方向において前記第1側壁よりも前記コンプレッサハウジング側に設けられて前記第1側壁との間に外気導入空間を形成する第2側壁と、を含み、
前記外気導入空間の外周側には、前記空気を前記外気導入空間に導入するための外周側開口が形成され、
前記EGRガス導入管は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記軸線方向に沿って前記外気導入空間内を延在する出口部であって、前記出口部の一端側において前記中央側開口と連通する流入口と、前記出口部の他端側に形成された流出口と、を有する出口部を含み、
前記出口部の前記流出口側の端部と、前記第2側壁の内周側の端部と、の間に形成される筐体内開口の開口面積A1は、前記筐体内開口を設計流量の前記空気が通過する際の前記空気の流速V1と、前記流出口を設計流量の前記EGRガスが通過する際の前記EGRガスの流速V2とが揃うように、前記流速V1と前記流速V2との間の流速差が所定値以下になるように構成されている。
上記(1)の構成によれば、EGRガス導入管の流出口から流出したEGRガスは、外気導入空間内を軸線方向に沿って流れて、過給機のコンプレッサの回転中心に近い内周側に主に導入される。外周側開口から外気導入空間に導入された空気は、EGRガスよりも外周側を軸線方向に沿って流れるので、コンプレッサの回転中心から離れた外周側に主に導入される。
コンプレッサの内周側に導入される比較的高温のEGRガスは、コンプレッサの外周側に導入されるEGRガスよりも低温の空気と混合するため、EGRガスと空気が接する領域の周辺で凝縮水が発生する虞がある。ここで、EGRガスには、空気と比べて、粒子状物質(PM)などの異物が含まれている可能性がある。また、コンプレッサの外周側は、内周側に比べて周速度が速いので、凝縮水などの異物の衝突による摩耗や損傷が起こり易い。上述した過給機用サイレンサ装置は、凝縮水などの異物がコンプレッサの内周側に導入されるため、コンプレッサの外周側における異物の衝突を抑制することができ、ひいてはコンプレッサの摩耗や損傷を抑制することができる。
また、本発明者らは、外気導入空間を流れるEGRガスと空気との流速を揃えることで、EGRガスと空気との混合による凝縮水の発生を抑制することができることを見出した。
上記(1)の構成によれば、筐体内開口の開口面積A1は、筐体内開口を設計流量の空気が通過する際の空気の流速V1と、流出口を設計流量のEGRガスが通過する際のEGRガスの流速V2と、が揃うように、流速V1と流速V2との間の流速差が所定値以下になるように構成されている。この場合には、筐体内開口を通過する空気と、EGRガス導入管の流出口を通過するEGRガスとの流速差を小さくできるので、外気導入空間を流れるEGRガスと空気との、互いの流速を揃えることができる。外気導入空間を流れるEGRガスと空気との流速を揃えることで、EGRガスと空気とが衝突した際の渦の発生を抑制することができ、ひいてはEGRガスと空気との混合による凝縮水の発生を抑制することができる。凝縮水の発生を抑制することで、凝縮水がコンプレッサに衝突することを抑制することができ、ひいてはコンプレッサ(過給機)の摩耗や損傷を抑制することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記開口面積A1は、前記流速V1と前記流速V2とが同等の速度になるように構成されている。
上記(2)の構成によれば、筐体内開口の開口面積A1を、筐体内開口を通過する際の空気の流速V1と出口側開口を通過する際のEGRガスの流速V2とが同等の速度になるように構成することで、流速V1と流速V2との間の流速差を小さくできるため、EGRガスと空気との混合による凝縮水の発生をより効果的に抑制することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記EGRガス導入管は、前記出口部の内部に設けられる少なくとも一つの整流板を有する。
上記(3)の構成によれば、EGRガス導入管の出口部を流れるEGRガスを整流板により整流することで、EGRガス導入管の流出口から流出したEGRガスと、外周側開口から外気導入空間に導入された空気と、の流速差を低減することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、上記EGRガス導入管は、上記出口部の内部に上記少なくとも一つの整流板に仕切られた複数の開口部を含み、上記複数の開口部の夫々は、互いの開口面積が同等になるように構成されている。
上記(4)の構成によれば、EGRガス導入管の複数の開口部の夫々は、互いの開口面積が同等になるように構成されているので、複数の開口部の夫々を流れるEGRガスの流速を揃えることができる。複数の開口部の夫々を流れるEGRガスの流速を揃えることで、複数の開口部の夫々の流出口から流出して外気導入空間を流れるEGRガスが乱流になることを防止することができる。外気導入空間を流れるEGRガスが乱流になることを防止することで、外気導入空間を流れるEGRガスと空気とが衝突して渦を発生させることを抑制することができ、ひいてはEGRガスと空気との混合による凝縮水の発生を抑制することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の何れかに記載の構成において、
前記EGRガス導入管は、前記筐体の外部に配置されるとともに曲がり部を有する入口部であって、前記中央側開口と連通する入口部をさらに含み、
前記曲がり部の外周側に連なる前記出口部の外周壁は、前記曲がり部の内周側に連なる前記出口部の内周壁よりも、前記軸線方向において長く形成される。
曲がり部を通過したEGRガスは、曲がり部の外周側に膨らむような流れ方向を有する。仮にEGRガス導入管内でEGRガスの流れ方向が軸線方向に沿った方向に修正されない場合には、EGRガスの流れ方向における外周側を流れるEGRガスが流出口から流出した後に、空気に衝突する。EGRガスと空気とが衝突すると、渦が発生し、上記渦によりEGRガスと空気との混合が促進されるので、凝縮水の発生が促進される。
上記(5)の構成によれば、EGRガスの流れ方向の外周側に位置する外周壁をEGRガスの流れ方向の内周側に位置する内周壁よりも長く形成することで、EGRガス導入管内で外周側を流れるEGRガスの流れ方向を、外周壁により軸方向に沿った方向に修正することができる。このため、EGRガスの流れ方向における外周側を流れるEGRガスと空気との衝突を緩和することができる。EGRガスと空気との衝突を緩和することで、凝縮水の発生を抑制することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記EGRガス導入管は、前記筐体の外部に配置されるとともに曲がり部を有する入口部であって、前記中央側開口と連通する入口部をさらに含み、
前記軸線方向に沿い、且つ、前記曲がり部の中心線が存在する断面を視認した場合に、前記少なくとも一つの整流板は、前記断面に対して直交する方向に沿って延在している。
上述したように、曲がり部を通過したEGRガスは、曲がり部の外周側に膨らむような流れ方向を有する。仮に上記断面に対して直交する方向に沿って延在する整流板が設けられていない場合には、EGRガス導入管内でEGRガスの流れ方向が軸線方向に沿った方向に修正されないので、EGRガスの流れ方向における外周側を流れるEGRガスが流出口から流出した後に、空気に衝突する。
上記(6)の構成によれば、EGRガスの流れ方向における外周側と内周側とを隔てるように整流板が設けられているので、EGRガス導入管内でEGRガスの流れ方向を軸線方向に沿った方向に修正することができる。EGRガスの流れ方向を修正することで、EGRガスと空気との衝突を緩和することができる。EGRガスと空気との衝突を緩和することで、凝縮水の発生を抑制することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の構成において、
前記外周側開口に配置されるドレン受けをさらに備える。
上記(7)の構成によれば、外気導入空間においてEGRガスと空気とが合流することで発生した凝縮水を、外周側開口に配置されるドレン受けに貯留できる。このため、凝縮水が過給機に導入されることを抑制できるので、凝縮水による過給機の腐食や損傷を抑制することができる。
(8)本発明の少なくとも一実施形態にかかる過給機は、上記(1)~(4)の何れかに記載の過給機用サイレンサ装置を取付けた。
上記の構成によれば、EGRガス及び空気が導入されるコンプレッサ(過給機)の摩耗や損傷を抑制することができる。
(9)本発明の少なくとも一実施形態にかかる機関は、上記(8)に記載の過給機を搭載した。
上記の構成によれば、EGRガス及び空気が導入されるコンプレッサ(過給機)の摩耗や損傷を抑制することができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、EGRガス及び空気が導入される過給機の摩耗や損傷をを抑制可能な過給機用サイレンサ装置が提供される。
本発明の一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置を備える舶用のディーゼル機関の構成を概略的に示す概略構成図である。 本発明の一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置、及び過給機の概略断面図である。 本発明の一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置、及び過給機の一部を拡大して示す概略部分拡大断面図である。 本発明の他の一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置、及び過給機の一部を拡大して示す概略部分拡大断面図である。 本発明の一実施形態におけるドレン受け及びドレン排出装置を説明するための図であって、過給機用サイレンサ装置、及び過給機の一部を拡大して示す概略部分拡大断面図である。 図5に示す過給機用サイレンサ装置を図5中矢印B方向から視た図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
図1は、本発明の一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置を備える舶用のディーゼル機関の構成を概略的に示す概略構成図である。
図1に示されるように、過給機用サイレンサ装置4は、過給機3とともに舶用のディーゼル機関1(舶用内燃機関)に搭載される。
ディーゼル機関1は、図1に示されるように、過給機3と、過給機用サイレンサ装置4と、ディーゼルエンジン(以下、エンジン10とする)と、エンジン10から排出された排ガスEの一部をEGRガスとして過給機3(後述するコンプレッサ31)の上流側に還流させるEGR装置11と、EGRガスから有害物質を除去する排ガス処理装置12と、エンジン10に燃焼用気体Cを送るための吸気流路13と、エンジン10から排ガスEを排出するための排気流路14と、を備える。
エンジン10としては、ディーゼル機関1が搭載された船舶を推進させる不図示の推進器を駆動させる主機関(舶用主機)が挙げられる。
過給機用サイレンサ装置4は、図1に示されるように、吸気流路13の過給機3(コンプレッサ31)よりも上流側に設けられる。
図1に示される実施形態では、吸気流路13の過給機用サイレンサ装置4よりも上流側に、空気Aから塵や埃などを取り除くエアクリーナ15が設けられる。吸気流路13のコンプレッサ31よりも下流側には、コンプレッサ31により圧縮されて昇温した燃焼用気体Cを冷却するエアクーラ16が設けられる。
排ガス処理装置12は、図1に示されるように、排気流路14の過給機3(後述するタービン32)よりも下流側に設けられる。排ガス処理装置12としては、排ガスに洗浄液を噴射することで、排ガス中の粒子状物質(PM)や硫黄酸化物(SOx)などの有害物質を除去するスクラバなどが挙げられる。
排気流路14は、タービン32よりも下流側、且つ、排ガス処理装置12よりも上流側において分岐しており、エンジン10から排出された排ガスEの一部は、図示しない煙突から大気へと放出される。
EGR装置11は、図1に示されるように、EGR流路17を含む。
EGR流路17は、排ガス処理装置12の下流側出口に接続されるとともに、過給機用サイレンサ装置4の上流側入口に接続される。
エンジン10から排出された排ガスEのうち、図示しない煙突から大気へと放出されずにEGR流路17を流れて過給機用サイレンサ装置4に戻される排ガスを上述したEGRガスとする。
図1に示される実施形態では、EGR流路17に、EGRクーラ18及びEGRバルブ19が設けられる。
EGRバルブ19がEGR流路17を閉じた状態では、エアクリーナ15および過給機用サイレンサ装置4を通過した後に過給機3に送られる空気Aが上述した燃焼用気体Cとなる。また、EGRバルブ19がEGR流路17を開いた状態では、EGR流路17および過給機用サイレンサ装置4を通過した後に過給機3に送られるEGRガスと、上記空気Aと、を含む混合気が上述した燃焼用気体Cとなる。
過給機3としては、図1に示されるように、エンジン10の吸気流路13に設けられるコンプレッサ31と、エンジン10の排気流路14に設けられるタービン32と、を備えるターボチャージャ3Aが挙げられる。
図2は、本発明の一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置、及び過給機の概略断面図である。
ターボチャージャ3Aは、図2に示されるように、軸線方向(図2中左右方向)に沿って長手方向を有するロータ33(回転軸)と、ロータ33の長手方向の一端に設けられる上述したコンプレッサ31と、ロータ33の長手方向の他端に設けられる上述したタービン32(タービン動翼)と、ロータ33を回転可能に支持する軸受34と、コンプレッサ31を収納するコンプレッサハウジング35と、タービン32を収納するタービンハウジング36と、軸線方向におけるコンプレッサハウジング35とタービンハウジング36との間に配置されて軸受34を収納する軸受ハウジング37と、を備える。
以下、ターボチャージャ3Aの軸線方向(ロータ33の軸線CAが延在する方向)を、単に軸線方向と略すことがある。
コンプレッサハウジング35には、図2に示されるように、シュラウド部353、ディフューザ354及びコンプレッサ流路355が形成されている。
ディフューザ354は、コンプレッサ31の外周側、且つ軸線方向(図2中左右方向)において吸気入口351から離れた側(同図中右側)に、径方向(軸線方向に対して直交する方向)に沿って延在している。
コンプレッサ流路355は、ディフューザ354の外周側に渦巻状に形成されている。
シュラウド部353は、コンプレッサ31を覆うように設けられるとともに、軸線方向においてディフューザ354よりも吸気入口351側に、且つディフューザ354の内周側に連続するように形成されている。
コンプレッサ31は、図2に示されるように、ハブ311と、複数枚の翼312と、を含む。
ハブ311は、軸線方向(図2中左右方向)において吸気入口351の近傍側(同図中左側)から離れた側(同図中右側)に向かうにつれて、徐々に外形寸法が大きくなるような円錐状に形成されている。
複数枚の翼312は、ハブ311の外周から径方向外側に突出して設けらえている。また、複数枚の翼312は、コンプレッサハウジング35のシュラウド部353に微小なクリアランス(チップクリアランス)を隔てて近接している。
図2に示されるように、エンジン10から排出された高温の排ガスEが、タービンハウジング36に形成された排気入口361から導入され、タービン32に送られることで、タービン32は、ロータ33の軸線CAを回転中心として回転駆動する。タービン32を回転駆動させた排ガスEは、タービンハウジング36に形成された排気出口362から排出される。
図2に示されるように、コンプレッサ31は、ロータ33を介してタービン32に接続されているので、タービン32の回転に同期して軸線CAを回転中心として回転駆動される。燃焼用気体Cは、コンプレッサ31が回転駆動されることで、コンプレッサハウジング35の吸気入口351から吸い込まれる。吸い込まれた燃焼用気体Cは、コンプレッサハウジング35の内部に形成された吸気導入空間352を軸線方向に沿って流れる。
コンプレッサハウジング35に導入された燃焼用気体Cは、回転駆動されるコンプレッサ31の複数枚の翼312の間を流れて主に動圧が上昇された後に、径方向外側に位置するディフューザ354に流入して動圧の一部が静圧に変換されて圧力が高められた状態で、コンプレッサ流路355及び吸気出口356を通ってエンジン10の燃焼室の内部に送り込まれる。
図3は、本発明の一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置、及び過給機の一部を拡大して示す概略部分拡大断面図である。
図3に示されるように、コンプレッサハウジング35の吸気入口351側には、過給機用サイレンサ装置4が設けられる。
図3に示されるように、過給機用サイレンサ装置4は、サイレンサエレメント41(吸音材)と、筐体42と、EGRガス導入管7と、を備える。
サイレンサエレメント41は、ターボチャージャ3Aの騒音を低減するように構成されている。
筐体42は、サイレンサエレメント41を収容し、且つ、空気A及びEGRガスが導入されるように構成されている。
EGRガス導入管7は、筐体42の内部にEGRガスを導入するために設けられる。また、EGRガス導入管7は、筐体42の内部に配置される出口部8を含む。
図3に示されるように、筐体42は、第1側壁5と、第2側壁6と、を含む。第2側壁6は、図3に示されるように、軸線方向において第1側壁5よりもコンプレッサハウジング35側(図中右側)に設けられており、第1側壁5との間に外気導入空間40を形成している。外気導入空間40の外周側には、空気Aを外気導入空間40に導入するための外周側開口401が形成されている。
図3に示される実施形態では、第1側壁5及び第2側壁6の夫々は、軸線方向(図中左右方向)と交差する方向(図中上下方向など)に沿って延在する円環状の平板である。
図3に示されるように、第1側壁5の内周側には、EGRガスを外気導入空間40に導入するための第1中央側開口51(中央側開口)が形成されている。一方、第2側壁6の内周側には、EGRガス及び空気Aをコンプレッサハウジング35の吸気導入空間352に導入するための第2中央側開口61が形成されている。吸気導入空間352は、コンプレッサハウジング35の内部におけるコンプレッサ31よりも燃焼用気体Cの流れ方向の上流側に形成された空間であり、吸気入口351に連通している。
図3に示される実施形態では、第1中央側開口51及び第2中央側開口61は、円形状に開口している。
図3に示される実施形態では、第2側壁6と同心に設けられた円筒体43が、第2側壁6の内周側に接続され、且つ、軸線方向に沿ってコンプレッサハウジング35側に延在している。円筒体43のコンプレッサハウジング35側の端部には、軸線方向に直交する方向に沿って外側に突出するフランジ44が設けられる。円筒体43及びフランジ44は、第2側壁6に一体的に設けられる。フランジ44は、コンプレッサハウジング35の吸気入口351側の外側面357に当接した状態でコンプレッサハウジング35に固定されている。
EGRガス導入管7の出口部8は、図3に示されるように、ターボチャージャ3Aの軸線方向(図中左右方向)に沿って外気導入空間40内を延在する筒状に形成されており、軸線方向における一端側(第1側壁5側、図中左側)の端面に流入口81が形成され、且つ、軸線方向における他端側(第2側壁6側、図中右側)の端面に流出口82が形成されている。流入口81は、第1側壁5の第1中央側開口51と連通している。
図3に示される実施形態では、EGRガス導入管7の出口部8の周面を貫通するような孔は形成されておらず、流入口81から流入したEGRガスはすべてが流出口82から排出される。
図3に示される実施形態では、EGRガス導入管7の出口部8は、第1筒状部84と、フランジ部85と、を含む。
第1筒状部84は、筐体42の内部に設けられるとともに軸線方向に沿って延在する筒状に形成されている。
フランジ部85は、第1筒状部84と同心に設けられるとともに外周側の部分が第1中央側開口51よりも径方向(図中上下方向など)外側に延在している。
図3に示されるような断面(軸線方向に沿った断面)を視認した場合に、EGRガス導入管7の出口部8は、軸線CAに対して図中上側に位置する外周壁88の軸線方向(図中左右方向)の長さと、軸線CAに対して図中下側に位置する内周壁89の軸線方向の長さが等しく形成されている。
図3に示される実施形態では、EGRガス導入管7の出口部8は、第1筒状部84が第1側壁5の第1中央側開口51に挿通し、流入口81が第1中央側開口51と連通した状態で筐体42に固定されている。
より詳細には、第1側壁5の内周側、且つ第2側壁6と対向する側とは反対側の面に、円板状に形成されたフランジ21が固着されている。
フランジ部85は、上記外周側の部分がフランジ21に外側から当接した状態で、ボルト45によりフランジ21にボルト締結されている。このため、EGRガス導入管7の出口部8は、筐体42に対して接続および分離可能に構成されている。
また、ボルト45に螺合するネジ孔は、フランジ21の周方向に一定の間隔を開けて複数箇所に設けられており、ボルト45の軸部を挿通させる挿通孔は、フランジ21のネジ孔に対応するように、フランジ部85の上記外周側の部分に周方向に一定の間隔を開けて複数箇所に設けられる。このため、EGRガス導入管7の出口部8は、筐体42に対する周方向における取付け角度を変更可能に構成されている。
図3に示されるように、EGRガスは、第1中央側開口51及び流入口81を介してEGRガス導入管7の出口部8の内部に導入され、流出口82から流出して外気導入空間40内を軸線方向に沿って流れた後に吸気導入空間352に導入される。空気Aは、外周側開口401から外気導入空間40に導入され、EGRガスよりも外周側を軸線方向に沿って流れた後に吸気導入空間352に導入される。この際、EGRガスと空気Aの一部同士が混合されてしまう。
図3に示されるように、外気導入空間40の内部には、筐体内開口46が設けられる。筐体内開口46は、図3に示されるように、EGRガス導入管7の出口部8の軸線方向(図中左右方向)における流出口82側(図中右側)の端部である流出口側端部86と、第2側壁6の内周側端部62と、の間に形成されている。図3に示される実施形態では、筐体内開口46は、円錐台形の外周面のような開口面を有している。
幾つかの実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置4は、上述したサイレンサエレメント41と、上述した第1側壁5及び第2側壁6を含む筐体42と、上述した流入口81及び流出口82を有する出口部8を含むEGRガス導入管7と、を備える。そして、第1側壁5と第2側壁6との間に形成される外気導入空間40の外周側には、上述した外周側開口401が形成され、第1側壁には、上述した第1中央側開口51が形成されている。さらに、過給機用サイレンサ装置4は、エンジン10が定常運転をすると仮定した一設計点における、上述した筐体内開口46の開口面積A1は、筐体内開口46を設計流量の空気Aが通過する際の空気Aの流速V1と、流出口82を設計流量のEGRガスが通過する際のEGRガスの流速V2とが揃うように、流速V1と流速V2との間の流速差が所定値以下になるように構成されている。
或る実施形態では、空気Aの流速V1がEGRガスの流速V2に対して±20%以内、又は、±10%以内である場合には、上記「流速V1と流速V2との間の流速差が所定値以下になる」という条件を満たすものとする。
なお、空気Aの流速V1は、筐体内開口46を通過する空気Aの設計流量Q1を筐体内開口46の開口面積A1で除することで算出してもよい。同様に、EGRガスの流速V2は、流出口82を通過するEGRガスの設計流量Q2を流出口82の開口面積A2で除することで算出してもよい。
上記の構成によれば、EGRガス導入管7の流出口82から流出したEGRガスは、外気導入空間40内を軸線方向に沿って流れて、過給機3のコンプレッサ31の回転中心に近い内周側に主に導入される。外周側開口401から外気導入空間40に導入された空気Aは、EGRガスよりも外周側を軸線方向に沿って流れるので、コンプレッサ31の回転中心から離れた外周側に主に導入される。
コンプレッサ31の内周側に導入される比較的高温のEGRガスは、コンプレッサ31の外周側に導入されるEGRガスよりも低温の空気Aと混合するため、EGRガスと空気Aが接する領域の周辺で凝縮水が発生する虞がある。ここで、EGRガスには、空気Aと比べて、粒子状物質(PM)などの異物が含まれている可能性がある。また、コンプレッサ31の外周側は、内周側に比べて周速度が速いので、凝縮水などの異物の衝突による摩耗や損傷が起こり易い。上述した過給機用サイレンサ装置4は、凝縮水などの異物がコンプレッサ31の内周側に導入されるため、コンプレッサ31の外周側における異物の衝突を抑制することができ、ひいてはコンプレッサ31の摩耗や損傷を抑制することができる。
また、本発明者らは、外気導入空間40を流れるEGRガスと空気Aとの流速を揃えることで、EGRガスと空気Aとの混合による凝縮水の発生を抑制することができることを見出した。
上記の構成によれば、筐体内開口46の開口面積A1は、筐体内開口46を設計流量の空気Aが通過する際の空気Aの流速V1と、流出口82を設計流量のEGRガスが通過する際のEGRガスの流速V2と、が揃うように、流速V1と流速V2との間の流速差が所定値以下になるように構成されている。この場合には、筐体内開口46を通過する空気Aと、EGRガス導入管7の流出口82を通過するEGRガスとの流速差を小さくできるので、外気導入空間40を流れるEGRガスと空気Aとの、互いの流速を揃えることができる。外気導入空間40を流れるEGRガスと空気Aとの流速を揃えることで、EGRガスと空気Aとが衝突した際の渦の発生を抑制することができ、ひいてはEGRガスと空気Aとの混合による凝縮水の発生を抑制することができる。凝縮水の発生を抑制することで、凝縮水がコンプレッサ31に衝突することを抑制することができ、ひいてはコンプレッサ31(過給機3)の摩耗や損傷を抑制することができる。
幾つかの実施形態では、筐体内開口46の開口面積A1は、上述した空気Aの流速V1と上述したEGRガスの流速V2とが同等の速度になるように構成されている。ここで、同等の速度とは、空気Aの流速V1がEGRガスの流速V2に対して±5%以内であることを意味する。この場合には、筐体内開口46の開口面積A1を、筐体内開口46を通過する際の空気Aの流速V1と流出口82を通過する際のEGRガスの流速V2とが同等の速度になるように構成することで、流速V1と流速V2との間の流速差を小さくできるため、EGRガスと空気Aとの混合による凝縮水の発生をより効果的に抑制することができる。
幾つかの実施形態では、図3に示されるように、EGRガス導入管7は、出口部8の内部に設けられる少なくとも一つの整流板71を有している。整流板71は、出口部8の内部を複数に区画することで、EGRガス導入管7の出口部8を流れるEGRガスを整流する。
図3に示される実施形態では、整流板71は、板状に形成されており、板の延在方向の両端の各々が出口部8の内周面87に接続されるとともに、板厚方向に沿って互いに間隔を開けて配置されている。
上記の構成によれば、EGRガス導入管7の出口部8を流れるEGRガスを整流板71により整流することで、EGRガス導入管7の流出口82から流出したEGRガスと、外周側開口401から外気導入空間40に導入された空気Aと、の流速差を低減することができる。
なお、図3に示される実施形態では、出口部8の内部に3枚の整流板71が配置されているが、出口部8の内部に3枚以外の複数枚又は1枚の整流板が配置されてもよく、また、出口部8の内部に整流板を配置しない構成にしてもよい。
幾つかの実施形態では、図3に示されるように、EGRガス導入管7は、出口部8の内部に少なくとも一つの整流板71に仕切られた複数の開口部72を含んでいる。複数の開口部72の夫々は、後述する図6に示されるように、互いの開口面積が同等になるように構成されている。ここで、開口面積は、軸線方向に直交する方向の断面における面積を意味する。
複数の開口部72の夫々の開口面積が同等になるように構成された一実施形態では、複数の開口部72のうちの一の開口部72の開口面積が、複数の開口部72のうちの他の開口部72の開口面積の±5%以内の条件を満たす。或る実施形態では、図3に示されるように、EGRガス導入管7は、流入口81から流出口82までに亘り、複数の開口部72が上記条件を満たす。なお、複数の開口部72が上記条件を満たす場合には、図3に示されるように、複数の整流板71は、出口部8の内部に等間隔には配置されずに中央側に偏るように配置される。
上記の構成によれば、EGRガス導入管7の複数の開口部72の夫々は、互いの開口面積が同等になるように構成されているので、複数の開口部72の夫々を流れるEGRガスの流速を揃えることができる。複数の開口部72の夫々を流れるEGRガスの流速を揃えることで、複数の開口部72の夫々の流出口82から流出して外気導入空間40を流れるEGRガスが乱流になることを防止することができる。外気導入空間40を流れるEGRガスが乱流になることを防止することで、外気導入空間40を流れるEGRガスと空気Aとが衝突して渦を発生させることを抑制することができ、ひいてはEGRガスと空気Aとの混合による凝縮水の発生を抑制することができる。
なお、上述した複数の開口部72の夫々に関する構成は、図示される実施形態だけでなく、上述した幾つかの実施形態および後述する幾つかの実施形態にも適用可能である。
図4は、本発明の他の一実施形態にかかる過給機用サイレンサ装置、及び過給機の一部を拡大して示す概略部分拡大断面図である。
幾つかの実施形態では、図4に示されるように、上述したEGRガス導入管7は、上述した出口部8と、筐体42の外部に配置されるとともに曲がり部91を有する入口部9と、を含む。EGRガス導入管7の入口部9は、上述した第1中央側開口51に連通している。そして、図4に示されるように、曲がり部91の外周側(外周壁面92)に連なる出口部8の外周壁88は、曲がり部91の内周側(内周壁面93)に連なる出口部8の内周壁89よりも、軸線方向において長く形成されている。
図4に示される実施形態では、EGRガス導入管7の入口部9は、出口部8と同心に設けられた管であり、第1側壁5側の端部に第1中央側開口51よりも径方向外側に延在するフランジ474を有している。入口部9は、図4に示されるように、フランジ474が、出口部8のフランジ部85に外側から当接した状態で、ボルト45によりフランジ部85とともにフランジ21にボルト締結されている。このため、入口部9は、筐体42及び出口部8に対して接続および分離可能に構成されている。
また、ボルト45に螺合するネジ孔は、フランジ21の周方向に一定の間隔を開けて複数箇所に設けられており、ボルト45の軸部を挿通させる挿通孔は、フランジ21のネジ孔に対応するように、フランジ部85の上記外周側の部分、及び、フランジ474に周方向に一定の間隔を開けて複数箇所に設けられる。このため、入口部9及び出口部8は、筐体42に対する周方向における取付け角度を変更可能に構成されている。
上述した曲がり部91を通過したEGRガスは、曲がり部91の外周側に膨らむような流れ方向を有する。仮にEGRガス導入管7内でEGRガスの流れ方向が軸線方向に沿った方向に修正されない場合には、EGRガスの流れ方向における外周側を流れるEGRガスが流出口82から流出した後に、空気Aに衝突する。EGRガスと空気Aとが衝突すると、渦が発生し、上記渦によりEGRガスと空気Aとの混合が促進されるので、凝縮水の発生が促進される。
上記の構成によれば、EGRガスの流れ方向の外周側に位置する外周壁88をEGRガスの流れ方向の内周側に位置する内周壁89よりも長く形成することで、EGRガス導入管7内で外周側を流れるEGRガスの流れ方向を、外周壁88により軸方向に沿った方向に修正することができる。このため、EGRガスの流れ方向における外周側を流れるEGRガスと空気Aとの衝突を緩和することができる。EGRガスと空気Aとの衝突を緩和することで、凝縮水の発生を抑制することができる。
幾つかの実施形態では、図4に示されるように、上述したEGRガス導入管7は、上述した出口部8と、筐体42の外部に配置されるとともに曲がり部91を有する入口部9と、を含む。EGRガス導入管7の入口部9は、上述した第1中央側開口51に連通している。そして、図4に示されるような断面(軸線方向に沿い、且つ、曲がり部91の中心線CLが存在する断面)を視認した場合に、少なくとも一つの整流板71は、上記断面に対して直交する方向(図示面に対して手前方向、奥方向)に沿って延在している。
図4に示される実施形態では、外周壁88と内周壁89との間を複数に区画するように、上記断面において軸線方向に直交する方向(同図中上下方向)に互いに離れて配置される3つの整流板71が設けられる。3つの整流板71の夫々は、設けられた位置における出口部8の長さと同じ長さを有する。より詳細には、3つの整流板71のうちの、最も外周壁88側に位置する整流板71は、他の2つの整流板71よりも長く形成され、最も内周壁89側に位置する整流板71は、他の2つの整流板71よりも短く形成されている。
上述したように、上述した曲がり部91を通過したEGRガスは、曲がり部91の外周側に膨らむような流れ方向を有する。仮に図4に示すような、上記断面に対し直交する方向に沿って延在する整流板71が設けられていない場合には、EGRガス導入管7内でEGRガスの流れ方向が軸線方向に沿った方向に修正されないので、EGRガスの流れ方向における外周側を流れるEGRガスが流出口82から流出した後に、空気Aに衝突する。
上記の構成によれば、EGRガスの流れ方向における外周側と内周側とを隔てるように整流板71が設けられているので、EGRガス導入管7内でEGRガスの流れ方向を軸線方向に沿った方向に修正することができる。EGRガスの流れ方向を修正することで、EGRガスと空気Aとの衝突を緩和することができる。EGRガスと空気Aとの衝突を緩和することで、凝縮水の発生を抑制することができる。
上述したように、幾つかの実施形態では、図3、4に示されるように、上述したEGRガス導入管7は、筐体42に対して接続および分離可能に構成されている。この場合には、EGRガス導入管7は筐体42に対して接続および分離可能であるので、EGRガス導入管7の交換が容易である。例えば、EGRガス導入管7を、軸線方向における出口部8の長さや整流板71の形状、取付け角度などが異なる別のEGRガス導入管7に交換することで、混合による凝縮水の発生や、エネルギ損失の低減が図れる。
特に、EGRガス導入管7の入口部9と出口部8とが別体であり、且つ、出口部8に整流板71が設けられている場合には、入口部9の曲り方向に対応するように、出口部8、及び出口部8に設けられた整流板71の、筐体42に対する周方向における取付け角度を変更することができる。
図5は、本発明の一実施形態におけるドレン受け及びドレン排出装置を説明するための図であって、過給機用サイレンサ装置、及び過給機の一部を拡大して示す概略部分拡大断面図である。図6は、図5に示す過給機用サイレンサ装置を図5中矢印B方向から視た図である。なお、図6においては、説明の便宜上、EGRガス導入管7の入口部9及び後述するドレン排出管484を省略して示している。
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、上述した過給機用サイレンサ装置4は、外周側開口401に配置されるドレン受け48を備える。「外周側開口401に配置される」には、第1側壁5の下端及び第2側壁6の下端の下側に配置されることや、第1側壁5と第2側壁との間、且つ第1側壁5の下端及び第2側壁6の下端よりも上方の位置に配置されることを含むものとする。
図5に示される実施形態では、ドレン受け48は、第1側壁5の下端及び第2側壁6の下端の下側に配置される。そして、ドレン受け48は、上方に開口を有する箱状に形成されており、第1側壁5側の端部がボルト485Aにより第1側壁5に固定され、且つ、第2側壁6側の端部がボルト485Bにより第2側壁6に固定されている。
より具体的には、ドレン受け48は、ドレン貯留部481と、第1固定部482と、第2固定部483と、ドレン排出管484と、を含む。
ドレン貯留部481は、外周側開口401の周方向における下端を下側から覆う箱状に形成されている。
第1固定部482は、ドレン貯留部481の第1側壁5側の端部から軸線方向に交差する方向に沿って延在しており、ボルト485Aにより第1側壁5に固定されている。
第2固定部483は、ドレン貯留部481の第2側壁6側の端部から軸線方向に交差する方向に沿って延在しており、ボルト485Bにより第2側壁6に固定されている。
ドレン排出管484は、ドレン貯留部481に貯留した凝縮水を排出するために設けられている。ドレン貯留部481からドレン排出管484にドレンを排出するための開口は、ドレン貯留部481のどの面に形成されていてもよい。
上記の構成によれば、外気導入空間40においてEGRガスと空気Aとが合流することで発生した凝縮水(ドレン)を、外周側開口401に配置されるドレン受け48に貯留できる。このため、凝縮水が過給機3に導入されることを抑制できるので、凝縮水による過給機3の腐食や損傷を抑制することができる。
幾つかの実施形態では、図6に示されるように、上述したドレン受け48は、周方向における角度θが、鉛直方向における最下点486を含む所定角度θ1以下になるように構成されている。所定角度θ1は、60度である。好ましくは45度である。さらに好ましくは30度である。この場合には、空気Aが外周側開口401の下方から外気導入空間40に導入される際に、ドレン受け48が妨げにならないので、空気Aを外気導入空間40に外周側からバランスよく導入することができる。
なお、上述したドレン受け48は、図示される実施形態だけでなく、上述した幾つかの実施形態にも適用可能である。
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、コンプレッサハウジング35には、EGRガスと空気Aとの混合により発生する凝縮水が溜まってしまう貯留空間を有する液だまり部491が存在する。
図5に示される実施形態では、液だまり部491は、上述したフランジ44と、コンプレッサハウジング35の第1ケーシング壁部358と、コンプレッサハウジング35の第2ケーシング壁部359と、により区画される。
コンプレッサハウジング35の第1ケーシング壁部358は、フランジ44に対向する面を有し、軸線方向に交差する(直交する)方向に沿って延在している。
コンプレッサハウジング35の第2ケーシング壁部359は、フランジ44と第1ケーシング壁部358とを繋ぐように軸線方向に沿って延在している。
上述した過給機用サイレンサ装置4は、液だまり部491に貯留された凝縮水を上述したドレン受け48に流すためのドレン排出流路49を備える。
図5に示される実施形態では、ドレン排出流路49は、液だまり部491とドレン貯留部481とを接続する配管492を含む。
上記の構成によれば、コンプレッサハウジング35の液だまり部491に溜まってしまう凝縮水を、ドレン排出流路49を介してドレン貯留部481に流すことで、ドレン貯留部481に貯留できる。ドレン排出流路49により、コンプレッサハウジング35から凝縮水を排出することで、コンプレッサハウジング35内の凝縮水を少なくすることができる。コンプレッサハウジング35内の凝縮水を少なくすることで、凝縮水がコンプレッサ31に導入されることを抑制できるので、凝縮水によるコンプレッサ31の腐食や損傷を抑制することができる。
なお、上述したドレン排出流路49は、図示される実施形態だけでなく、上述した幾つかの実施形態にも適用可能である。
上述した幾つかの実施形態では、過給機3及び過給機用サイレンサ装置4は、舶用のディーゼル機関1(舶用内燃機関)に設けられていたが、陸上発電用のディーゼル機関などの舶用のディーゼル機関以外の機関に設けられていてもよい。
また、上述した幾つかの実施形態では、過給機用サイレンサ装置4を取付けた過給機3は、ターボチャージャ3A(排気タービン過給機)であったが、電動モータを用いてコンプレッサを駆動する電動過給圧縮機(電動コンプレッサ)などのターボチャージャ以外の過給機であってもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。例えば、EGRガス導入管7は、上述した出口部8と上述した入口部9とが一体的に設けられていてもよい。
1 ディーゼル機関
10 エンジン
11 EGR装置
12 排ガス処理装置
13 吸気流路
14 排気流路
15 エアクリーナ
16 エアクーラ
17 EGR流路
3 過給機
3A ターボチャージャ
31 コンプレッサ
32 タービン
33 ロータ
34 軸受
35 コンプレッサハウジング
36 タービンハウジング
37 軸受ハウジング
4 過給機用サイレンサ装置
40 外気導入空間
401 外周側開口
41 サイレンサエレメント
42 筐体
46 筐体内開口
48 ドレン受け
49 ドレン排出流路
5 第1側壁
51 第1中央側開口
6 第2側壁
61 第2中央側開口
62 内周側端部
7 EGRガス導入管
71 整流板
72 開口部
8 出口部
81 流入口
82 流出口
86 流出口側端部
87 内周面
88 外周壁
89 内周壁
9 入口部
91 曲がり部
A 空気
C 燃焼用気体
E 排ガス
EGR EGRガス

Claims (7)

  1. 過給機のコンプレッサハウジングの吸気入口側に設けられる過給機用サイレンサ装置であって、
    サイレンサエレメントと、
    前記サイレンサエレメントを収容し、且つ、空気及びEGRガスが導入されるように構成された筐体と、
    前記筐体の内部に前記EGRガスを導入するためのEGRガス導入管と、を備え、
    前記筐体は、
    過給機の軸線方向と交差する方向に延在するとともに中央側開口を有する第1側壁と、
    前記軸線方向において前記第1側壁よりも前記コンプレッサハウジング側に設けられて前記第1側壁との間に外気導入空間を形成する第2側壁と、を含み、
    前記外気導入空間の外周側には、前記空気を前記外気導入空間に導入するための外周側開口が形成され、
    前記EGRガス導入管は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記軸線方向に沿って前記外気導入空間内を延在する出口部であって、前記出口部の一端側において前記中央側開口と連通する流入口と、前記出口部の他端側に形成された流出口と、を有する出口部を含み、
    前記出口部の前記流出口側の端部と、前記第2側壁の内周側の端部と、の間に形成される筐体内開口の開口面積A1は、
    前記筐体内開口を設計流量の前記空気が通過する際の前記空気の流速V1と、前記流出口を設計流量の前記EGRガスが通過する際の前記EGRガスの流速V2とが揃うように、前記流速V1と前記流速V2との間の流速差が所定値以下になるように構成されており、
    前記EGRガス導入管は、前記出口部の内部に設けられる少なくとも一つの整流板を有し、
    前記EGRガス導入管は、前記出口部の内部に前記少なくとも一つの整流板に仕切られた複数の開口部を含み、
    前記複数の開口部の夫々は、互いの開口面積が同等になるように構成されている
    過給機用サイレンサ装置。
  2. 過給機のコンプレッサハウジングの吸気入口側に設けられる過給機用サイレンサ装置であって、
    サイレンサエレメントと、
    前記サイレンサエレメントを収容し、且つ、空気及びEGRガスが導入されるように構成された筐体と、
    前記筐体の内部に前記EGRガスを導入するためのEGRガス導入管と、を備え、
    前記筐体は、
    過給機の軸線方向と交差する方向に延在するとともに中央側開口を有する第1側壁と、
    前記軸線方向において前記第1側壁よりも前記コンプレッサハウジング側に設けられて前記第1側壁との間に外気導入空間を形成する第2側壁と、を含み、
    前記外気導入空間の外周側には、前記空気を前記外気導入空間に導入するための外周側開口が形成され、
    前記EGRガス導入管は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記軸線方向に沿って前記外気導入空間内を延在する出口部であって、前記出口部の一端側において前記中央側開口と連通する流入口と、前記出口部の他端側に形成された流出口と、を有する出口部を含み、
    前記出口部の前記流出口側の端部と、前記第2側壁の内周側の端部と、の間に形成される筐体内開口の開口面積A1は、
    前記筐体内開口を設計流量の前記空気が通過する際の前記空気の流速V1と、前記流出口を設計流量の前記EGRガスが通過する際の前記EGRガスの流速V2とが揃うように、前記流速V1と前記流速V2との間の流速差が所定値以下になるように構成されており、
    前記EGRガス導入管は、前記筐体の外部に配置されるとともに曲がり部を有する入口部であって、前記中央側開口と連通する入口部をさらに含み、
    前記曲がり部の外周側に連なる前記出口部の外周壁は、前記曲がり部の内周側に連なる前記出口部の内周壁よりも、前記軸線方向において長く形成される
    過給機用サイレンサ装置。
  3. 前記開口面積A1は、前記流速V1と前記流速V2とが同等の速度になるように構成されている請求項1又は2に記載の過給機用サイレンサ装置。
  4. 前記EGRガス導入管は、前記筐体の外部に配置されるとともに曲がり部を有する入口部であって、前記中央側開口と連通する入口部をさらに含み、
    前記軸線方向に沿い、且つ、前記曲がり部の中心線が存在する断面を視認した場合に、前記少なくとも一つの整流板は、前記断面に対して直交する方向に沿って延在している請求項に記載の過給機用サイレンサ装置。
  5. 前記外周側開口に配置されるドレン受けをさらに備える請求項1乃至4の何れか1項に記載の過給機用サイレンサ装置。
  6. 請求項1乃至の何れか1項に記載の過給機用サイレンサ装置を取付けた過給機。
  7. 請求項に記載の過給機を搭載した機関。
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