JP7169014B2 - 低モジュラス耐食合金 - Google Patents
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Description
(1)強度が不十分であり、摩耗抵抗性能が悪い。
(2)高いヤング率によって応力遮蔽効果を引き起こしやすい。
(3)耐腐食性が悪い。
本発明の設計によれば、少なくとも31wt%よりも大きいかあるいは等しいZr、18~50wt%のNb、10~40wt%のTi、4~10wt%のMo、及び1.5~15wt%のSnなどの多種の元素から組成され、その内、ZrとTiの重量百分率総和が80wt%よりも小さいかあるいは等しい。実験データから、本発明の低モジュラス耐食合金の多数個のサンプルは、いずれも以下の性質を有することが示される。ビッカース硬度がHV250より大きく、ヤング率が100GPaより小さく、降伏強度が600MPaより大きく、及び孔食電位が1.3Vより大きい。このため、実験データから、本発明の低モジュラス耐食合金は、手術用インプラントまたは医療機器の製作への応用に高いポテンシャルを持ち、例えば、バネ、コイル、導線、クランプ具、止め材、羽根、バルブ材、弾性シート、眼鏡フレーム、スポーツ器具などのさまざまな工業分野及び高強度低モジュラス耐食構造材料にも応用されることが証明された。
その内、Mは、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、炭素(C)及び酸素(O)からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、その内、x、y、z、a、b及びsは、いずれも重量百分率の数値であり、かつx、y、z、a、b及びsは、x≧31、18≦y≦50、10≦z≦40、4≦a≦10、1.5≦b≦15、s≦5、及びx+z≦80で表される各不等式を満足する。
その成分は、少なくとも31wt%よりも大きいかあるいは等しいZr、18~50wt%のNb、10~40wt%のTi、4~10wt%のMo、及び1.5~15wt%のSnなどの多種の元素から構成され、その内、ZrとTiの重量百分率総和が80wt%よりも小さいかあるいは等しい。このほか、かかる低モジュラス耐食合金の主相結晶構造は、いずれも体心立方構造(Body-centered cubic structure)であり、かつHV250より大きいビッカース硬度、100GPaより小さいヤング率、600MPaより大きい降伏強度、及び1.3Vより大きい孔食電位を有する。
実施例1において、本発明のかかる低モジュラス耐食合金は、HV250より大きいビッカース硬度、100GPaより小さいヤング率、600MPaより大きい降伏強度、及び1.3Vより大きい孔食電位を有し、かつその組成がxZr-yNb-zTi-aMo-bSnで表される。その内、x、y、z、a及びbは、いずれも重量百分率の数値であり、かつx、y、z、a及びbは、x≧31、18≦y≦50、10≦z≦40、4≦a≦10、1.5≦b≦15、及びx+z≦80で表される各不等式を満足する。例を挙げて言えば、かかる低モジュラス耐食合金は、31wt%のジルコニウム(Zr)、45.8wt%のニオブ(Nb)、16.3wt%のチタニウム(Ti)、4.9wt%のモリブデン(Mo)、及び2wt%の錫(Sn)を含む。この状態では、かかる低モジュラス耐食合金の組成は、31Zr-45.8Nb-16.3Ti-4.9Mo-2Snで表され、即ち、x=31、y=45.8、z=16.3、a=4.9、かつb=2である。
実施例2において、本発明のかかる低モジュラス耐食合金は、HV250より大きいビッカース硬度、100GPaより小さいヤング率、600MPaより大きい降伏強度、及び1.3Vより大きい孔食電位を有し、かつその組成がxZr-yNb-zTi-aMo-bSn-sMで表される。その内、Mは、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、炭素(C)及び酸素(O)からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
本発明の設計によれば、x、y、z、a、b及びsは、いずれも重量百分率の数値であり、かつx、y、z、a、b及びsは、x≧31、18≦y≦50、10≦z≦40、4≦a≦10、1.5≦b≦15、s≦5、及びx+z≦80で表される各不等式を満足する。例を挙げて言えば、かかる低モジュラス耐食合金は、45.7wt%のジルコニウム(Zr)、18.4wt%のニオブ(Nb)、19.5wt%のチタニウム(Ti)、4.3wt%のモリブデン(Mo)、7.1wt%の錫(Sn)、2wt%のアルミニウム(Al)、1wt%のバナジウム(V)、1wt%のニッケル(Ni)、及び1wt%の白金(Pt)を含む。この状態では、かかる合金の組成は、45.7Zr-18.4Nb-19.5Ti-4.3Mo-7.1Sn-2Al-1V-1Ni-1Ptで表され、即ち、x=45.7、y=18.4、z=19.5、a=4.3、b=7.1、かつs=5である。
実施例3において、本発明のかかる低モジュラス耐食合金は、HV250より大きいビッカース硬度、100GPaより小さいヤング率、600MPaより大きい降伏強度、及び1.3Vより大きい孔食電位を有し、かつその組成がxZr-yNb-zTi-aMo-bSn-cFeで表される。その内、x、y、z、a、b及びcは、いずれも重量百分率の数値であり、かつx、y、z、a、b及びcは、x≧31、18≦y≦50、10≦z≦40、4≦a≦10、1.5≦b≦15、c≦5、及びx+z≦80で表される各不等式を満足する。例を挙げて言えば、かかる低モジュラス耐食合金は、53wt%のジルコニウム(Zr)、21.6wt%のニオブ(Nb)、15.9wt%のチタニウム(Ti)、4.8wt%のモリブデン(Mo)、4wt%の錫(Sn)、及び0.7wt%の鉄(Fe)を含む。この状態では、かかる低モジュラス耐食合金の組成は、53Zr-21.6Nb-15.9Ti-4.8Mo-4Sn-0.7Feで表され、即ち、x=53、y=21.6、z=15.9、a=4.8、b=4、かつc=0.7である。
実施例4において、本発明のかかる低モジュラス耐食合金は、HV250より大きいビッカース硬度、100GPaより小さいヤング率、600MPaより大きい降伏強度、及び1.3Vより大きい孔食電位を有し、かつその組成がxZr-yNb-zTi-aMo-bSn-cFe-sMで表される。その内、Mは、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、炭素(C)及び酸素(O)からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
本発明の設計によれば、x、y、z、a、b、c及びsは、いずれも重量百分率の数値であり、かつx、y、z、a、b、c及びsは、x≧31、18≦y≦50、10≦z≦40、4≦a≦10、1.5≦b≦15、c≦5、s≦5、及びx+z≦80で表される各不等式を満足する。例を挙げて言えば、かかる低モジュラス耐食合金は、52wt%のジルコニウム(Zr)、20.6wt%のニオブ(Nb)、15.9wt%のチタニウム(Ti)、4.8wt%のモリブデン(Mo)、4wt%の錫(Sn)、0.7wt%の鉄(Fe)、1wt%のコバルト(Co)、及び1wt%のタンタル(Ta)を含む。この状態では、かかる合金の組成は、52Zr-20.6Nb-15.9Ti-4.8Mo-4Sn-0.7Fe-1Co-1Taで表され、即ち、x=52、y=20.6、z=15.9、a=4.8、b=4、c=0.7、かつs=2である。
例を挙げて言えば、かかる手術用インプラントとしては、例えば、人工股関節、人工膝関節、関節ステープル、骨プレート、骨ネイル、骨ニードル、歯冠、クラウンスクリュー、固定ブリッジ、義歯クラスプ、義歯床などが挙げられ、かつかかる医療機器としては、例えば、外科用メス刃、止血鉗子、手術用鋏、電動骨ドリル、鑷子、血管縫合用針、胸骨縫合用ワイヤなどが挙げられる。このほか、例えば、バネ、コイル、導線、クランプ具、止め材、羽根、バルブ材、弾性シート、眼鏡フレーム、スポーツ器具などのさまざまな工業分野及び高強度低モジュラス耐食構造材料にも応用される。補足説明すると、前述の加工方式は、鋳造、アーク溶接、レーザ溶接、プラズマ溶接、熱スプレー、熱焼結、三次元積層造形、機械加工、あるいは化学加工であってもよい。
実験例1において、真空アーク融解炉を利用して本発明の低モジュラス耐食合金の多数個のサンプルを製造し、その内、多数個のかかるサンプルの組成を下記の表(1)にまとめて示す。次に、硬度測定、伸長試験、微細構造分析及び動電位分極試験を行うために用いられる各個のサンプルの試験片を製作し、かつ関連実験データを下記の表(2)にまとめて示す。
ビッカース硬度がHV250より大きく、ヤング率が100GPaより小さく、降伏強度が600MPaより大きく、及び孔食電位が1.3Vより大きい。
実験例2において、真空アーク融解炉を同様に利用して本発明の低モジュラス耐食合金の多数個のサンプルを製造し、その内、多数個のかかるサンプルの組成を下記の表(3)にまとめて示す。次に、硬度測定、伸長試験、微細構造分析及び動電位分極試験を行うために用いられる各個のサンプルの試験片を製作し、かつ関連実験データを下記の表(4)にまとめて示す。
ビッカース硬度がHV250より大きく、ヤング率が100GPaより小さく、降伏強度が600MPaより大きく、及び孔食電位が1.3Vより大きい。
実験例3において、同時に本発明の低モジュラス耐食合金の多数個のサンプル、316Lステンレス鋼、Co-28Cr-6Moコバルト合金及びTi-6A1-4Vチタン合金に対して多種項目の試験を行い、かつ関連試験データを下記の表(5)にまとめて示す。
実験データから、本発明の低モジュラス耐食合金の多数個のサンプルは、いずれも以下の性質を有することが示される。ビッカース硬度がHV250より大きく、ヤング率が100GPaより小さく、降伏強度が600MPaより大きく、及び孔食電位が1.3Vより大きい。
Claims (6)
- HV250より大きいビッカース硬度、100GPaより小さいヤング率、600MPaより大きい降伏強度、及び1.3Vより大きい孔食電位を有し、かつその組成がxZr-yNb-zTi-aMo-bSnで表される低モジュラス耐食合金であって、
x、y、z、a及びbは、いずれも重量百分率の数値であり、
x、y、z、a及びbは、x≧31、18≦y≦50、10≦z≦40、4≦a≦10、1.5≦b≦15、及びx+z≦80で表される各不等式を満足し、
前記低モジュラス耐食合金の主相結晶構造は体心立方構造(Body-centered cubic structure)であることを特徴とする、
低モジュラス耐食合金。 - 少なくとも1つの元素Mをさらに含み、その組成は、xZr-yNb-zTi-aMo-bSn-sMで表せ、Mは、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、炭素(C)及び酸素(O)からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、かつsは、重量百分率の数値であると共に、それが不等式s≦5を満足することを特徴とする、請求項1に記載の低モジュラス耐食合金。
- 前記低モジュラス耐食合金の形態は、粉末、線材、棒材、板材、溶接棒及びバルク材のうちのいずれか1つであることを特徴とする、請求項1に記載の低モジュラス耐食合金。
- HV250より大きいビッカース硬度、100GPaより小さいヤング率、600MPaより大きい降伏強度、及び1.3Vより大きい孔食電位を有し、かつその組成がxZr-yNb-zTi-aMo-bSn-cFeで表される低モジュラス耐食合金であって、
x、y、z、a、b及びcは、いずれも重量百分率の数値であり、
x、y、z、a、b及びcは、x≧31、18≦y≦50、10≦z≦40、4≦a≦10、1.5≦b≦15、c≦5、及びx+z≦80で表される各不等式を満足し、
前記低モジュラス耐食合金の主相結晶構造は体心立方構造(Body-centered cubic structure)であることを特徴とする、
低モジュラス耐食合金。 - 少なくとも1つの元素Mをさらに含み、その組成は、xZr-yNb-zTi-aMo-bSn-cFe-sMで表せ、Mは、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、炭素(C)及び酸素(O)からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、かつsは、重量百分率の数値であると共に、それが不等式s≦5を満足することを特徴とする、請求項4に記載の低モジュラス耐食合金。
- 前記低モジュラス耐食合金の形態は、粉末、線材、棒材、板材、溶接棒及びバルク材のうちのいずれか1つであることを特徴とする、請求項4に記載の低モジュラス耐食合金。
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