JP7167002B2 - 圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧延方法に関する。
圧延においては、圧延機が有する2本のワークロール(以下、「ロール」という。)が上下から挟み込むように荷重をかけながら、金属を主成分とする圧延材を何本も断続的に圧延するので、ロールは、圧延材の通過に伴い少しずつ摩耗する。
そして、摩耗に伴い、ロールの表面には通過した圧延材の幅に対応する幅を有する溝が形成されていく。
ロールの溝が狭い幅で深くなればなるほど、ロールは、圧延に適さないようになる。例えば、深い溝が形成されたロールの溝を跨ぐ程の幅を有する圧延材を当該ロールで圧延すると、圧延後の圧延材がいわゆる耳延びという状態になったり、圧延後の圧延材が蛇行したりするなどして、圧延材の品質不良につながり、圧延材がコイラーに巻きつかず圧延ラインが操業不能に陥るなどの問題があった。
そこで、そのような問題を解決するため、適当な本数の圧延材を圧延後にロールが交換される。また、摩耗による溝がロール表面の同じ位置に集中しないよう、ロールを周期的にシフトする方法も採用されている。さらに、ロールの交換頻度を減らすため、インラインロール研削装置によるロール表面の研削が行われている。
特許文献1では、圧延機が1本の圧延材を圧延している最中に、インラインロール研削装置で、当該圧延材の後に圧延されるべき最大幅の圧延材の通板部に相当するロール表面であって最大幅の内側に発生する摩耗段差を研削し、その外側の段差部分を研削しないようにする研削方法であるインラインロール研削方法が提案されている。すなわち、特許文献1で示されるインラインロール研削方法では、圧延機が1本ないし複数本の圧延材を圧延し終わった後、あるいは圧延機が1本の圧延材を圧延している最中に、インラインロール研削装置で、ロールの表面を、溝の幅端から最大幅の圧延材に相当する幅まで研削する。
圧延機が1本の圧延材を圧延するのに要する時間は、通常、30秒から2分間程度である。また、1本の圧延材を圧延した後、次の圧延材の圧延を開始するまでの時間(パス間時間)は、通常、数秒から数分程度である。
ここで、ロールの溝dの溝底からのロールの径方向距離が100μmとなる摩耗段差を圧延品質上許容される摩耗段差と想定し、ロールの溝dの溝底からのロールの径方向距離が100μmとなる摩耗段差間の軸方向距離を、「圧延可能幅」と定義する。
特開2002-102909号公報
特許文献1で示されるインラインロール研削方法は、実際の溝の幅に関わらず常にその溝の幅端から最大幅の圧延材に相当する幅までインラインロール研削装置でロールの表面を研削するものであるので、上記のように限られた短い時間で研削できる深さには著しい限界があり、多くの場合は溝の深さにまで到達する研削深さを実現できない。
したがって、特許文献1で示されるインラインロール研削方法では、摩耗段差を十分に研削することができず、圧延可能幅は、直前に圧延した圧延材により形成された溝の幅に制限されている。
すなわち、特許文献1に示されているインラインロール研削方法を確実に実施する場合、パス間時間を極端に長くとらざるを得ず、生産性を著しく阻害して現実的ではない。また、通常のパス間時間の範囲内で操業する場合には、依然として、ロール表面を通過した圧延材によって形成された溝の幅に、次の圧延可能幅が制限されるという問題を解決できていない。
そこで、本発明は、圧延ラインを止めることなく、圧延本数の増加に伴い減少する圧延可能幅を拡幅する圧延方法を提供することを目的とする。
本発明に係る圧延方法は、ワークロールとインラインロール研削装置とを備え、互いに異なる幅寸法を有する複数本の圧延材を順次圧延する圧延機により行われる圧延方法である。そして、前記圧延方法は、前記圧延機に前記圧延材を送り込む圧延材送込工程と、送り込まれた前記圧延材を前記ワークロールで圧延する圧延工程と、前記ワークロールの表面を前記インラインロール研削装置で研削する研削工程と、を含む。
そして、前記研削工程は、前記圧延機の稼働状態を止めることなく、前記圧延工程時に前記ワークロールの表面を1本の前記圧延材が通過する時に前記ワークロールが摩耗されることにより形成される溝のワークロール軸方向の少なくとも一方の幅端から、前記インラインロール研削装置が前記ワークロールの表面においてワークロール軸方向の外側に向かって当該圧延材による摩耗深さと同じ深さで研削可能な限られた範囲を研削する工程を含む。
本発明に係る圧延方法によれば、前記圧延工程時に前記ワークロールの表面を1本の前記圧延材が通過する時に前記ワークロールが摩耗されることにより形成される溝のワークロール軸方向の少なくとも一方の幅端から、前記インラインロール研削装置が前記ワークロールの表面においてワークロール軸方向の外側に向かって当該圧延材による摩耗深さと同じ深さで研削可能な限られた範囲を研削する工程を含むので、当該溝は、確実に当該圧延材による摩耗深さと同じ深さでワークロール軸方向において当該限られた範囲を拡幅される。したがって、次の圧延において許容される圧延可能幅が拡幅されるので、先の圧延材の幅よりも幅が広い次の圧延材であっても、圧延が可能となる。そして、この工程は、圧延機の稼働状態を止めることなく、圧延材が圧延される毎に行われるので、圧延本数の増加に伴い減少していた圧延可能幅を各圧延材の圧延毎に拡幅することができる。
前記限られた範囲は、ワークロール軸方向において、最少の幅を有する前記圧延材と最大の幅を有する前記圧延材との幅の差よりも小さな長さを有することが好ましい。
最少の幅を有する圧延材と最大の幅を有する圧延材との幅の差よりも小さな長さをインラインロール研削装置で研削することにより、圧延材による摩耗深さと同じ深さでワークロールの表面を研削することが、より確実となる。すなわち、より確実に、圧延可能幅を拡幅することができる。
さらに、前記限られた範囲は、ワークロール軸方向において、前記圧延材による摩耗深さと同じ深さを、前記ワークロールの表面を当該圧延材が通過した後次の圧延材が通過する前までの時間で、前記インラインロール研削装置が前記ワークロールの表面において研削することが可能な長さを有することが好ましい。
ワークロール軸方向において、前記圧延材による摩耗深さと同じ深さを、前記ワークロールの表面を当該圧延材が通過した後次の圧延材が通過する前までの時間で、前記インラインロール研削装置が前記ワークロールの表面において研削することが可能な長さを、インラインロール研削装置で研削することにより、圧延材による摩耗深さと同じ深さでワークロールの表面を研削することが、より確実となる。すなわち、より確実に、圧延可能幅を拡幅することができる。
したがって、本発明に係る圧延方法によれば、圧延ラインを止めることなく、圧延本数の増加に伴い減少する圧延可能幅を拡幅することができる。
熱間圧延ラインの全体の概要を示す模式的な図である。 (a)は、圧延時にロールの表面を1本の圧延材が通過する時にロールが摩耗されることにより形成される溝の形状を示す図である。横軸がロール軸方向であり、縦軸がロール径方向である。この図でyは摩耗量を負の値で表現している。例えば、摩耗量が100μmの場合、y=-100μmとしてグラフをプロットした。(b)は、深い溝が形成されたロールの溝を示す図であるとともに、当該溝を跨ぐ程の幅を有する圧延材をロールで圧延することにより、圧延材に生じる形状不良の様子を示す図である。 ロールの溝の溝底からのロールの径方向距離が100μmとなる摩耗段差間のロール軸方向距離を「圧延可能幅」と定義することを示す図である。 (a)は、1本の圧延材を圧延したときにロールの表面に形成される溝の幅端及び摩耗深さを模式的に示す図である。(b)は、特許文献1で示す従来技術により溝の幅端から圧延材最大幅までインラインロール研削装置で研削したときの研削深さを模式的に示す図である。 インラインロール研削装置がロールの表面を研削する様子を示す模式的な斜視図である。 1本の圧延材を圧延したときにロールの表面に形成される溝の幅端から、本発明によって限られた範囲が研削される様子を模式的に示す図である。 1本毎に圧延材の板幅が狭くなるような順番に複数本の圧延材を圧延した後に、ロール表面に形成される複数の溝形状と、それぞれの溝の幅端から本発明によって限られた範囲が研削される様子を模式的に示す図である。 いわゆるサイクリックシフトを示す図であり、2本のロールが互いに軸方向の逆向きに周期的にシフトする様子を模式的に示す図である。 比較例1で圧延本数の増加に伴い変化する溝の形状を計算によりシミュレーションした結果を示すグラフである。 比較例2で圧延本数の増加に伴い変化する溝の形状を計算によりシミュレーションした結果を示すグラフである。 比較例3で圧延本数の増加に伴い変化する溝の形状を計算によりシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例で圧延本数の増加に伴い変化する溝の形状を計算によりシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例と比較例1、2及び3とにおける圧延本数ごとの圧延可能幅を計算したものを示すグラフである。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、熱間圧延を前提に説明を行うものとする。ただし、本発明は、熱間圧延に限定される圧延方法ではなく、冷間圧延における圧延方法も含むものである。
熱間圧延ラインは、図1に示すようなものが代表的である。熱間圧延ライン100は、複数の加熱炉1、複数の粗圧延機2、クロップシャー3、複数の仕上圧延機4、冷却ゾーン5、コイラー6を備え、圧延材7を複数本例えば100本断続的に圧延する。複数の加熱炉1は、図1の場合3基であり、No.1、No.2、No.3とそれぞれ符号を付されている。複数の粗圧延機2は、図1の場合3基であり、R1、R2、R3とそれぞれ符号を付されている。複数の仕上圧延機4は、図1の場合7基であり、F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7とそれぞれ符号を付されている。コイラー6は、図1の場合2基であり、DC1、DC2とそれぞれ符号を付されている。
1台の仕上圧延機4(以下、「圧延機4」という。)は、ロールRとインラインロール研削装置Gとを備える。圧延機4は、互いに異なる幅寸法を有する複数本の圧延材7を順次圧延する圧延機である。
ロールRは、概形として1本の筒状金属部材である。ロールRは、圧延材7と接触するための円筒状のバレル面を有している。ロールRは、圧延機4に上下に並列するように2本備えられている。そして、2本のロールRは、圧延機4に送り込まれてきた圧延材7をバレル面に接触させながら、圧延材7に荷重をかけて、圧延材7を圧延する。
ロールRの表面を圧延材7が通過することにより、ロールRの表面には、通過した圧延材7の幅に対応する幅を有する溝dが形成されていく。ロールRの表面には、例えば、図2(a)に示すような溝dが形成されていく。溝dの形状は、通常、ロールの径方向に凹状であり、すり鉢状の形状である。溝dは、その幅方向すなわちロールの軸方向に幅端を有する。溝dの幅端は、圧延材7の通過によりロールRの表面に形成された摩耗段差である。溝dの幅端は、圧延方法によって、急峻な段差である場合もあり、緩やかな段差である場合もある。
図2(b)に示すように、深い溝dが形成されたロールRの溝dを跨ぐ程の幅を有する圧延材7を当該ロールRで圧延すると、圧延後の圧延材7がいわゆる耳延びという状態になる。耳延びとは、圧延材の幅方向の端縁が、圧延材の幅方向の中央部に比べて、強い荷重で圧延されたことにより、延び長さが長くなり、圧延材の幅方向の中央部よりも高さ方向に浮き上がったりうねりを生じたりする状態である。
ここで、ロール表面の形状(いわゆるロール・プロファイル)から、そのロールが品質不良を起こさずに圧延可能である圧延材の幅(以下、「圧延可能幅」という。)を定義することができることを改めて説明する。本明細書では、図3に示すように、ロールRの溝dの溝底からのロールの径方向距離が100μmとなる摩耗段差を圧延品質上許容される摩耗段差と想定し、ロールRの溝dの溝底からのロールの径方向距離が100μmとなる摩耗段差間の軸方向距離を、「圧延可能幅」Wと定義している。すなわち、圧延可能幅Wとは、ロールRの表面を1本の圧延材7が通過した後次の圧延材7において許容される幅の最大値である。
圧延可能幅Wは、通常、一定の圧延本数までは、ロールRのバレル面の幅であり一定の幅を保ち、圧延本数が一定本数よりも増加するに伴い、減少する。これは、圧延材7による摩耗に伴い溝dの深さが100μmを超えるまではバレル面全面に渡って圧延が可能であるものの、溝dの深さが100μmを超えると、溝dのすり鉢状形状から、圧延本数の増加に伴い溝底の近傍の幅が狭くなるからである。したがって、圧延可能幅Wを拡幅するためには、溝dの幅端をロールの軸方向の外側に向かって研削する必要がある。
図4(a)は、1本の圧延材7を圧延したときにロールRの表面に形成される溝dの幅端及び摩耗深さを模式的に示す図である。そして、図4(a)に示されるγは、1本の圧延材7を圧延したときにロールRの表面に形成される溝dの摩耗深さである。
なお、摩耗深さγは、次の計算式で求めることができる。
γ=F×V×P×L
ここで、Fは、先進率である。Vは、ロールRの回転速度である。Pは、単位幅あたりの圧延荷重である。Lは、その圧延材7の長さである。
Fは、次の計算式で求めることができる。
F=(V-V)/V
ここで、Vは、圧延材7のロールRからの出側速度である。
インラインロール研削装置Gとは、ロールRの表面を、ロール交換することなく、圧延機4に設けられた研削機により研削する装置である。そして、インラインロール研削装置Gは、ロールR上又はロールR近傍に設けられている。インラインロール研削装置Gは、図5に示すように、回転砥石Tを有している。そして、インラインロール研削装置Gは、回転砥石Tを回転するロールRの表面に押し付けながら、ロールRの軸方向に移動して、ロールRの表面を研削する装置である。インラインロール研削装置Gは、圧延機4が圧延材7を圧延している時間すなわちロールRの表面を圧延材7が通過している時間にロールRの表面を研削することとしてもよく、又は、ロールRの表面において1本の圧延材7が通過した後次の圧延材7が通過する前までの時間(いわゆるパス間時間)にロールRの表面を研削することとしてもよい。
インラインロール研削装置Gは、研削する対象であるロールRの材質にもよるが、単位時間あたりにロールRを研削することができる面積及び深さ、すなわち体積について、一定の限界能力を有する。すなわち、インラインロール研削装置Gで、一定時間に広い面積を研削することとすれば、研削深さは、浅くなる。一方、インラインロール研削装置Gで、一定時間に狭い面積を研削することとすれば、研削深さは、深くなる。さらに、言い換えると、インラインロール研削装置Gで、一定の研削深さを研削することとすれば、研削面積は、研削時間に比例する。ここで、ロールRの径は、インラインロール研削装置Gで溝dの深さ程度研削されて小さくなっても、比率においてロールRの表面積をほとんど変化させない。すなわち、インラインロール研削装置Gで、一定の研削深さを研削することとすれば、ロールの軸方向の研削寸法は、研削時間に比例する。
以下、本発明に係る実施形態において、互いに異なる幅寸法を有する複数本の圧延材7が圧延機4によって圧延される圧延方法を説明する。
圧延材7は、熱間圧延ライン100に設けられた運搬手段によって、圧延機4に送り込まれる(圧延材送込工程)。
圧延機4に送り込まれた圧延材7は、ロールRで圧延される(圧延工程)。圧延工程時に、圧延材7と接触するロールRは、圧延材7の通過に伴い摩耗する。
ロールRの表面は、インラインロール研削装置Gで研削される(研削工程)。
この研削工程は、圧延機4の稼働状態を止めることなく行われる。すなわち、この研削工程は、圧延機4が複数本の圧延材7を圧延する毎に行われる。より詳細には、この研削工程は、ロールRの表面を特定の圧延材7が通過した後次の圧延材7が通過する前までの時間(いわゆるパス間時間)で行われる。
さらに、この研削工程は、図6に示すように、圧延工程時にロールRの表面を1本の圧延材7が通過する時にロールRが摩耗されることにより形成される溝dのロール軸方向の少なくとも一方の幅端から、限られた範囲を研削する工程を含む。
ここで、限られた範囲は、インラインロール研削装置GがロールRの表面においてロール軸方向の外側に向かって当該圧延材7による摩耗深さγと同じ深さで研削可能な範囲である。そして、限られた範囲のロール軸方向の長さは、図6に示されるδである。
そして、限られた範囲のロール軸方向の長さδは、最少の幅を有する圧延材7と最大の幅を有する圧延材7との幅の差よりも小さな長さである。
さらに、限られた範囲のロール軸方向の長さδは、圧延材7による摩耗深さγと同じ深さを、ロールRの表面を当該圧延材7が通過した後次の圧延材7が通過する前までの時間で、インラインロール研削装置GがロールRの表面において研削することが可能なロール軸方向の長さである。
研削工程において、図6に示すように、上記のように限られた範囲を研削する工程を含むことにより、当該溝dは、確実に当該圧延材7による摩耗深さγと同じ深さでロール軸方向において当該限られた範囲(δ)だけ拡幅される。したがって、次の圧延において許容される圧延可能幅Wが拡幅されるので、先の圧延材7の幅よりも幅が広い次の圧延材7であっても、圧延が可能となる。そして、この研削工程は、圧延機4の稼働状態を止めることなく、圧延材7が圧延される毎に行われるので、圧延本数の増加に伴い減少していた圧延可能幅Wを各圧延材7の圧延毎に拡幅することができる。
そして、限られた範囲のロール軸方向の長さδは、最少の幅を有する圧延材7と最大の幅を有する圧延材7との幅の差よりも小さな長さであることにより、最少の幅を有する圧延材7と最大の幅を有する圧延材7との幅の差よりも小さな長さをインラインロール研削装置Gで研削することができる。これにより、圧延材7による摩耗深さγと同じ深さでロールRの表面を研削することが、より確実となる。すなわち、より確実に、圧延可能幅Wを拡幅することができる。
さらに、限られた範囲のロール軸方向の長さδは、圧延材7による摩耗深さγと同じ深さを、ロールRの表面を当該圧延材7が通過した後次の圧延材7が通過する前までの時間で、インラインロール研削装置GがロールRの表面において研削することが可能な長さであることにより、圧延材7による摩耗深さγと同じ深さでロールRの表面を研削することが、より確実となる。すなわち、より確実に、圧延可能幅Wを拡幅することができる。
幅の異なる複数の圧延材7のそれぞれによって形成される溝dが重なって、ロールRの表面に階段状の溝が形成された場合であっても、本実施の形態により圧延可能幅Wは、拡幅される。例えば、図7に示すように、徐々に幅が狭くなる複数の圧延材7によって、溝d1が形成され、次に溝d2が形成された場合に、溝d2から見た圧延可能幅Wは、限られた範囲(δ1)を研削される前ではW20であるが、限られた範囲(δ1)を研削した後ではW21=W20+δ1+δ1に、拡幅されている。さらに、溝d2の内側に次の圧延材7によって溝d3が形成された場合に、溝d3から見た圧延可能幅Wは、限られた範囲(δ2)を研削される前ではW30であるが、限られた範囲(δ2)を研削した後ではW31=W30+δ2+δ2に、拡幅されている。なお、図7及び上記の説明では、1つ前の溝dの幅に圧延可能幅Wが規定されると仮定して説明を行っているが、本実施の形態では、複数本の圧延材7における各圧延毎にインラインロール研削装置Gで限られた範囲(δ)を研削しているので、階段状の溝におけるどの溝dによって圧延可能幅Wが規定されるとしても、圧延可能幅Wが拡幅されることに変わりはない。
このことは、後述するコフィンスケジュールの後半であっても、圧延可能幅Wを拡幅できること、すなわち前回の圧延材7よりも幅広の圧延材7を次の圧延順序で圧延できることにつながる。すなわち、いわゆるスケジュールフリー圧延が可能となる。
(比較例)
次に、上記本発明の実施の形態と比較されて本発明が効果を奏することを説明するために、圧延において従来から行われている圧延方法を説明する。
(比較例1:コフィンスケジュール)
ロールRの溝dの幅端による圧延後の圧延材7の品質不良を回避する手法として、コフィンスケジュールがある。コフィンスケジュールとは、一度ロール交換された後、次にロール交換されるまでに、圧延されるべき複数本の圧延材7を圧延順序で時系列に並べた圧延サイクルの1本目から最終本目まで見たときに、圧延サイクルの中間本目より少し前に最大幅の圧延材7がくるようにし、最大幅の圧延材7よりも前において1本目から次第に広い幅の圧延材7がくるようにし、最大幅の圧延材7よりも後において次第に狭い幅の圧延材7がくるようにした圧延スケジュールである。
コフィンスケジュールでは、最大幅の圧延材7よりも後において、前回の圧延材7の幅よりも狭い幅の圧延材7しか圧延することができない。また、コフィンスケジュールでは、熱間圧延ライン100の加熱炉1に圧延材となるべきスラブを装入する前に、スラブヤード10でスラブをそのような順番になるように配列しなければならず、時間と労力を要する。
このため、スケジュールフリー圧延が望まれている。スケジュールフリー圧延とは、圧延材7の幅に関係なく任意の圧延材を圧延する手法である。すなわち、スケジュールフリー圧延は、圧延順序を自由化することができる。
(比較例2:圧延材最大幅インラインロール研削)
インラインロール研削装置GによってロールRの表面を研削する方法であって、特許文献1で示されるインラインロール研削方法は、上記のとおりである。特許文献1には、圧延機4が1本の圧延材7を圧延している最中にインラインロール研削方法が行われることが記載されているが、1本の圧延材7が1台の圧延機4を通過する時間は、30秒から2分間程度である。
このような短い時間で、その時の圧延材7とその後の最大幅の圧延材7との幅差相当のロールRの表面の研削を行うこととすると、インラインロール研削装置Gの研削能力の限界から、図4に示すように、γGmまでの深さしか研削することができず、1本の圧延材7を圧延した時のロールRの摩耗深さγにまで到達する程の研削をすることができない。
言い換えると、ある特定の圧延材7を圧延することにより形成される溝dの幅端から、その後の圧延材7の中で一番大きな幅を有する圧延材7の幅(以下、「圧延材最大幅」という。)まで、圧延機4がその特定の圧延材7を圧延している最中にインラインロール研削装置Gで研削することとすると、インラインロール研削装置Gの研削能力の限界から、研削深さは、図4(b)に示すように、γGmまでしか到達しない。すなわち、γGm<γとなり、圧延可能幅Wは、拡幅しない。
このことは、特許文献1で示されるインラインロール研削方法を応用して、圧延機4においてインラインロール研削装置Gで、先の圧延材7の圧延後から次の圧延材7の圧延前までの時間(いわゆるパス間時間)に研削することとしても、同様である。パス間時間も、数秒から数分程度であるからである。
したがって、特許文献1に示されているインラインロール研削方法は、依然として、ロールRの表面を通過した圧延材7によって形成された溝dの幅に、次の圧延材7の圧延可能幅Wが制限されるという問題を解決できていない。
以下、特許文献1で示されるインラインロール研削方法を含む圧延方法を、本明細書では「圧延材最大幅インラインロール研削」と呼称する。そして、上記のとおり、圧延材最大幅インラインロール研削は、図4に示すように摩耗段差を十分に研削することができず、圧延可能幅Wは、直前に圧延した圧延材7により形成された溝dの幅に制限されている。
(比較例3:サイクリックシフト)
ロールRの表面を通過した圧延材7によって形成された溝dを幅方向(ロールの軸方向)に分散する手法として、サイクリックシフトがある。サイクリックシフトとは、図8に示すように、1台の圧延機4が上下に有する2本のロールRを、周期的に、ロール軸方向に且つ互いに逆向きにシフトする手法である。サイクリックシフトにより、ロールRの表面を通過した圧延材7によって形成された溝dを幅方向(ロール軸方向)に分散することができ、摩耗段差を急峻な形状から緩やかな形状に変更することができる。
しかし、サイクリックシフトにおいても、ロールRの表面の一定の範囲には圧延毎に圧延材7が通過することとなり、圧延可能幅Wを当該範囲から大きく拡げることができないという問題がある。
(シミュレーション結果)
以下、本発明に係る実施の形態(以下、「実施例」という。)と上記比較例1、2、3とをそれぞれ、計算に基づいてシミュレーションした結果を図を用いて説明する。なお、実施例におけるシミュレーションでは、コフィンスケジュールとサイクリックシフトとを行った上で実施例の圧延方法を行うものとして計算した。
図9は、比較例1において、溝dの形状を圧延本数と摩耗深さ(摩耗量)とロール軸方向との関係で示したものである。図9より、コフィンスケジュールは、圧延本数が進むにつれて溝dが深くなるとともに、溝dの幅端が急峻な形状となっていることがわかる。
図10は、比較例2において、溝dの形状を圧延本数と摩耗深さ(摩耗量)とロール軸方向との関係で示したものである。図10より、圧延材最大幅インラインロール研削は、圧延本数が進むにつれて溝dが深くなるとともに、圧延本数後半で溝dの幅端が階段形状となり、摩耗段差を十分に研削できていないことがわかる。
図11は、比較例3において、溝dの形状を圧延本数と摩耗深さ(摩耗量)とロール軸方向との関係で示したものである。図11より、サイクリックシフトは、圧延本数が進むにつれて溝dが一定範囲で深くなるとともに、溝dの幅端が緩やかな形状となっていることがわかる。
図12は、実施例において、溝dの形状を圧延本数と摩耗深さ(摩耗量)とロール軸方向との関係で示したものである。図12より、実施例における圧延方法は、圧延本数が進むにつれて溝dが一定範囲で深くなるとともに、溝dの幅端が緩やかな形状となっていることがわかる。特に、溝底を形成する一定範囲について、比較例3よりも実施例の方が広いことがわかる。このことは、圧延可能幅Wが、実施例において比較例3よりも拡幅していることを示している。
比較例1、2、3及び実施例の溝dの形状についての上記計算結果から、さらに、比較例1、2、3及び実施例の圧延可能幅Wを圧延本数との関係で計算した結果を図13で示す。
図13で示されるように、摩耗量が少なく許容される摩耗段差よりも小さい圧延サイクルの前半においては、圧延方法によらず圧延可能幅はロールバレル幅と一致する。一方、圧延本数が増え摩耗量が許容される摩耗段差よりも大きくなる圧延サイクルの後半において実施例は、比較例1、2及び3のいずれに対しても、圧延可能幅Wを拡幅していることがわかる。
(変形例)
以上が本実施の形態の説明であるが、本発明の技術的範囲は、本実施の形態に制限されるものではない。すなわち、本実施の形態について、様々な変更が許容されるものであるが、変更の一部の例を以下に記載する。
上記では、インラインロール研削装置Gにより、溝dの両側に位置する幅端を研削するものとして説明を行ったが、溝dの幅端のどちらか一方を研削するものとしても、圧延可能幅Wは、拡幅される。また、インラインロール研削装置Gにより、溝dの両側に位置する幅端を研削する場合であっても、一方端側で研削される限られた範囲の面積と、他方端側で研削される限られた範囲の面積とは、必ずしも同じでなくてもよい。
限られた範囲は、各圧延毎に、同じ面積でなくてもよい。すなわち、限られた範囲のロール軸方向における長さδは、各圧延毎に、一定でなくてもよい。
上記では、限られた範囲のロール軸方向の長さδは、圧延材7による摩耗深さγと同じ深さを、ロールRの表面を当該圧延材7が通過した後次の圧延材7が通過する前までの時間で、インラインロール研削装置GがロールRの表面において研削することが可能なロール軸方向の長さであるとしたが、その長さよりも更に小さな長さであってもよい。
上記では、研削工程が、ロールR表面を特定の圧延材7が通過した後次の圧延材7が通過する前までの時間で行われるものとして、説明を行ったが、研削工程は、圧延機4が圧延材7を圧延している最中に行われるものであってもよい。すなわち、ロールRの表面を圧延材7が通過している時間に行われるものであってもよい。
また、研削工程は、圧延機4に、特定の圧延材7が送り込まれてから、次の圧延材7が送り込まれるまでの時間で行われてもよい。
本発明は、熱間圧延における圧延方法に限定されない。すなわち、本発明は、冷間圧延における圧延方法においても効果を奏するものである。
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 クロップシャー
4 (仕上)圧延機
5 冷却ゾーン
6 コイラー
7 圧延材
10 スラブヤード
100 圧延ライン
d 溝
R (ワーク)ロール
G インラインロール研削装置
T 回転砥石
γ 1本の圧延材を圧延したときにロールの表面に形成される溝の摩耗深さ
γGm その時の圧延材とその後の最大幅の圧延材との幅差相当のロール表面の研削を行った場合の研削深さ
δ 限られた範囲におけるロール軸方向の長さ
W 圧延可能幅

Claims (2)

  1. ワークロールとインラインロール研削装置とを備え、互いに異なる幅寸法を有する複数本の圧延材を順次圧延する圧延機により行われる圧延方法において、
    前記圧延方法は、
    前記圧延機に前記圧延材を送り込む圧延材送込工程と、
    送り込まれた前記圧延材を前記ワークロールで圧延する圧延工程と、
    前記ワークロールの表面を前記インラインロール研削装置で研削する研削工程と、
    を含み、
    前記研削工程は、前記圧延機の稼働状態を止めることなく、前記圧延工程時に前記ワークロールの表面を1本の前記圧延材が通過する時に前記ワークロールが摩耗されることにより形成される溝のワークロール軸方向の少なくとも一方の幅端から、前記インラインロール研削装置が前記ワークロールの表面においてワークロール軸方向の外側に向かって当該圧延材による摩耗深さと同じ深さで研削可能な限られた範囲のみを研削する工程を含み、
    前記限られた範囲は、ワークロール軸方向において、前記圧延材による摩耗深さと同じ深さを、前記ワークロールの表面を当該圧延材が通過した後次の圧延材が通過する前までの時間で、前記インラインロール研削装置が前記ワークロールの表面において研削することが可能な長さを有する、圧延方法。
  2. 前記限られた範囲は、ワークロール軸方向において、最少の幅を有する前記圧延材と最大の幅を有する前記圧延材との幅の差よりも小さな長さを有する、
    請求項1に記載の圧延方法。
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