JP7164978B2 - 粒子測定方法、粒子測定装置及び核酸濃度測定システム - Google Patents

粒子測定方法、粒子測定装置及び核酸濃度測定システム Download PDF

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Description

本発明は、粒子測定方法、粒子測定装置及び核酸濃度測定システムに関する。
病原の特定や癌の治療方針決定等において、標的核酸濃度測定の利用が進みつつある。測定方法として、核酸数を増幅するPCR(Polymerase Chain Reaction)法と、標的核酸に結合する際に蛍光を発する蛍光プローブとを組み合わせた方法が、精力的に開発されている。しかしながら、医療応用に対しては、測定精度が不足しているのが現状である。
通常、蛍光色素濃度(つまり標的核酸濃度)は蛍光強度から測定するが、蛍光強度が微弱であり階調を正確に測定することはできない。PCR法による核酸数の増幅率の再現性は高くないため、蛍光強度(核酸数)を増幅してからの測定によっても測定精度は向上しない。その中で、濃度が既知の核酸に対し、標的核酸と同一環境でPCR法を適用してリファレンスを作成する方法(リアルタイムPCR法)が広く利用されている。蛍光強度の階調を測定する手法の中では高い精度が得られるが、リファレンス作成等の処理が複雑で、リファレンスの増幅率との差異が推定誤差として残る問題がある。
この課題に対する解として、蛍光強度の階調の測定を必要としない、digital PCR(以下、dPCRと表記する)法が知られている。dPCR法では、標的核酸の含まれる溶液を多数の小区画に分割し、区画毎にPCR法を行って、蛍光発光の有無を調べる。全区画数に対する蛍光を発しない区画数の比率から、標的核酸濃度を推定する。
非特許文献1に紹介されているように、dPCR法を基にした核酸濃度測定装置が多数提案されている。その中で、オイル内に生成した多数の小さい液滴を小区画として使用する方式は、ランニングコストの低減や小型化で有利であり、主流となっている。液滴を小区画として使用する方式では、ポアソン分布を用いて標的核酸濃度を推定するが、上記推定方法は、液滴の大きさが同じであることを前提としている。
液滴の大きさがばらついた際には、測定に利用可能な液滴数が減少し、標的核酸濃度の推定精度が低下する。特許文献1には、小区画の体積を測定する工程を有し、液滴の体積が一定でない場合に適用可能なdPCR法が開示されている。
米国特許第9,322,055号明細書
L.Cao et al.,"Advances in digital polymerase chain reaction(dPCR) and its emerging biomedical applications",Biosensors and Bioelectronics,vol.90,pages459-474(2017).
小区画として液滴を利用するdPCR型濃度測定装置においては、液滴生成にかかる時間の短縮が望まれている。従来技術において、液滴数は2万個程度であり、今後、装置の高精度化、広ダイナミックレンジ化のためにさらなる増加が予想されている。一般に、液滴生成速度を上げると、液滴の大きさがばらつく傾向がある。ポアソン分布を利用した標的核酸濃度推定は、液滴の大きさが均一であることを前提としているが、特許文献1で開示される方法のように、各液滴体積を測定して、濃度推定値を補正することで対処可能と考えられている。
しかしながら、液滴数が増えて(すなわち、溶液を分割する区画数が増えて)液滴の径が小さくなると、液滴の撮像に用いる撮影レンズの被写界深度が、液滴体積測定結果に強く影響するようになる。例として、検体(測定対象の溶液全体)の体積が20μLで液滴数5万個の場合を挙げる。液滴の平均直径は90μm程度であり、2次元面上に密に配置すると、撮影範囲は、25mm×25mmである。このとき、液滴が接するほど密に配置されるので、被写界深度が50μm以上の撮影レンズを使用して撮影すると、隣接する液滴の輪郭が重なり、境界の区別が困難になる。結果として、液滴体積の測定が不可能になる。このような場合には、特許文献1で開示される方法を適用できない。
液滴輪郭のボケの影響を抑えることで体積の測定は可能になるが、被写界深度を9μm(平均直径の10分の1)程度、つまり撮影レンズの拡大倍率を10倍以上とする必要がある。撮影範囲が25mm×25mmであるので、フルサイズのイメージセンサー(36mm×24mm)を備えたカメラを使っても、100枚程度の撮影を要する。ステージ移動やオートフォーカスを必要とするので、装置価格の上昇、及び、装置構成の複雑化も新たな課題となる。
そこで、撮影レンズのボケや被写界深度の影響、又は、微小な粒子の配置の影響により、画像データから微小な粒子の輪郭を正確に得られない状態であっても、粒子の大きさを正確に測定できる測定方法が望まれている。
本発明は、上記に鑑み、解像度の低い画像や輪郭が不明確な画像から微小な粒子の輪郭情報を得て、粒子の大きさを測定できる粒子測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る粒子測定方法は、複数の粒子の像を含む画像データから、当該画像に含まれる粒子の大きさを測定する方法であって、画像データから複数の粒子の位置を取得する粒子位置取得工程と、隣接する二つの粒子を抽出する隣接粒子抽出工程と、粒子と隣接関係にある粒子との間の距離から、複数の粒子の大きさを求める算出工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、解像度の低い画像や輪郭が不明確な画像から微小な粒子の輪郭情報を得て、粒子の大きさを測定することができる。
粒子を含む画像データの特徴を説明するための図である。図1(a)は、粒子をオイルの入ったシャーレ内に配置し、下面から照明光で照射して、上方から撮像した際の像を示す図である。図1(b)は、光軸に平行な断面における粒子表面と光線の例を示す図である。図1(c)は、明暗状態を表わす二種類の画素値を粒子の像に割り当てて生成した二値化画像データを示す図である。図1(d)は、図1(c)に示した二値化画像データの一部の領域に対して領域分割工程を適用した例を示す図である。 本発明の実施形態に係る粒子測定方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る粒子測定方法の粒子位置取得工程における処理手順の一例を示すフローチャートである。 形状評価工程における形状評価の一例を説明するための図である。 粒子間の白領域が検出できる場合の一例を説明するための図である。図5(a)は、隣接粒子抽出工程における処理手順の一例を示すフローチャートである。図5(b)は、二値化画像における白領域と黒領域との関係の一例を説明するための図である。 隣接粒子グラフのデータを説明するための図である。図6(a)は、ノードテーブルの一例を示す図である。図6(b)は、エッジテーブルの一例を示す図である。 粒子間の白領域が検出できない場合の一例を説明するための図である。図7(a)は、隣接粒子抽出工程における処理手順の一例を示すフローチャートである。図7(b)は、二値化画像における白領域と黒領域との関係の一例を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る粒子測定方法の算出工程における処理手順の一例を示すフローチャートである。 粒子の大きさの推定に用いる連立方程式の一例を説明するための図である。図9(a)は、球体が配置されている二次元面に対して、垂直な方向から観察したときの球体の一例を示す図である。図9(b)は、球体が配置されている面に平行で、球の接点と球の中心を含む面に垂直な方向から観察したときの球体の一例を示す図である。図9(c)は、粒子半径差が大きい場合の連立方程式の一例を示す図である。図9(d)は、粒子半径差が無視できる場合の連立方程式の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 比較例としてポアソン分布法及び重み付き平均法の推定精度を検証したシミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法の計数工程における処理手順の一例を示すフローチャートである。 計数工程内の分配計算工程におけるモンテカルロシミュレーションの処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法の計数工程の推定精度を検証した結果の一例を示す図である。 第一の実施形態に係る濃度測定システムの構成の一例を示す図である。 第一の実施形態に係る濃度測定システムにおいて、粒子を保持する検査プレートの構造の一例を示す図である。図16(a)は、検査プレートの断面図である。図16(b)は、検査プレートの平面図である。 第一の実施形態に係る濃度測定システムにおいて、PCR法と蛍光撮像を実施する撮像装置の構成の一例を示す図である。 第二の実施形態に係る濃度測定装置の構成の一例を示す図である。 第二の実施形態に係る濃度測定装置が備える画像処理ボードの構成の一例を示すブロック図である。 第三の実施形態に係る粒子測定装置の構成の一例を示す図である。
本発明の実施の形態に係る粒子測定方法及び標的核酸計数方法の概要について説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[粒子測定方法]
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る粒子測定方法について説明する。
<粒子測定方法の測定対象>
まず、本実施形態に係る粒子測定方法の測定対象について説明する。粒子測定方法により測定する粒子とは、特定の塩基配列を持つ標的核酸を含む溶液を分割して生成された液滴やエマルジョン、あるいはジェル等である。測定する粒子の大きさとは、球形に近い形状を持つ粒子、あるいは、一つの粒子を内部に含む球(以下、内包球と呼ぶ)の体積、断面積、直径・半径を表わす。計算の説明の都合上、上記球形粒子あるいは上記内包球を粒子と呼ぶ場合もある。本実施形態に係る粒子測定方法は、このような粒子を複数含む検体の画像データから、当該画像に含まれる粒子の個々の大きさを測定することができる。
<粒子測定方法で扱う画像データ>
本実施形態に係る粒子測定方法に使用する画像データの見方について、図1を用いて説明する。図1は、粒子を含む画像データの特徴を説明するための図である。図1(a)は、粒子をオイルの入ったシャーレ内に配置し、下面から照明光で照射して、上方から撮像した際の像を示す図である。図1(b)は、光軸に平行な断面における粒子表面と光線の例を示す図である。図1(c)は、明暗状態を表わす二種類の画素値を粒子の像に割り当てて生成した二値化画像データを示す図である。図1(d)は、図1(c)に示した二値化画像データの一部の領域に対して領域分割工程を適用した例を示す図である。
以後、図1(a)に示されるような画像データを、粒子像データと呼ぶ。粒子像データから、各粒子の中央部、周辺部で濃淡が生じていることがわかる。濃淡の発生原因であるが、図1(b)に示すように、粒子の中央部を通過する光線αが屈折せずにカメラの入射瞳に到達するのに対し、周辺部を通過する光線βは屈折や全反射により入射瞳に到達しないために発生する。
図1(a)に示される粒子周辺部の暗画素領域と、粒子外にあるオイルに相当する明画素領域との境界は、粒子と同じ直径を持つ円とは一致しない。例えば、撮影レンズの被写界深度が図1(b)のΔzで与えられる場合、カメラのイメージセンサ上では、Δzの範囲にある断面(例えばz、z)の光分布が加算されて受光される。断面zには粒子直径に近い大きさの円形の光分布が形成されるが、断面zには径が小さい光分布が形成される。これらの光分布が加算された場合、粒子直径よりも小さい円が形成される。
ただし、断面z、zは完全拡散面ではないので、上記説明は厳密なものではない。正確には、光線毎に物体面の高さzが異なり、物体面zと光線の交点xに相当するイメージセンサ上位置の画素に光線が到達して光強度が加算される。隣接する粒子がある場合は、粒子表面の多重反射等も加わって複雑な分布が形成される。このように、撮影レンズの被写界深度が大きく粒子が隣接している状況では、粒子像データから輪郭情報を正確に得ることは困難である。
本実施形態に係る粒子測定方法では、粒子像データとは別に、図1(c)に示すように、明暗状態を表わす二種類の画素値を粒子の像に割り当てて生成した二値化画像データを使用する。画像データに用いる二つの画素値は任意の値を選択できるが、明状態を白色、暗状態を黒色で表わし、各々の画素で構成される領域を白領域、黒領域と呼ぶこととする。図1(c)に示した画像データ内では、粒子の中心部及び粒子間領域が白色の画素で表された白領域であり、粒子の周辺部及び粒子間領域が黒色の画素で表された黒領域である。
図1(a)に示した粒子像データは、透過照明を用いて撮像したが、例えば色素を混ぜた粒子を照明し、粒子からの散乱光を撮影することも可能である。この場合、粒子中央部、周辺部の濃淡は無くなって粒子全体が明るくなり、粒子間のオイルに相当する画素は暗くなる。濃淡分布と、粒子・オイルとの対応関係は変化するものの、粒子の輪郭の検出が困難であるのは透過照明の場合と同様である。二値化画像についても、明暗状態と粒子・オイルの対応関係は変化するが、後述する粒子位置取得工程の実施には影響しないため、本発明を適用できる。
<粒子測定方法全体の流れ>
本発明の実施形態に係る粒子測定方法010の手順を、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る粒子測定方法010の処理手順の一例を示すフローチャートである。
粒子位置取得工程S100は、粒子像データから、各粒子の位置データを取得する工程である。ここで、各粒子の位置データとは、粒子像データ内の座標系、あるいは、物体面上・像面上の座標系における各粒子の中心に相当する座標値である。
隣接粒子抽出工程S101は、複数の粒子の中から、隣接している二つの粒子を抽出する工程である。隣接粒子抽出工程S101の詳細については後述する。
算出工程S102は、隣接した二つの粒子の位置データから距離を計算し、距離を基にした連立方程式を解いて粒子の大きさを算出する工程である。
<粒子測定方法における粒子位置取得工程>
粒子位置取得工程S100の処理手順の一例を、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る粒子測定方法010の粒子位置取得工程S100における処理手順の一例を示すフローチャートである。本手順は、図1(a)に示した透過照明による粒子像データを入力とするが、後述する形状評価工程S113の評価値を変えることにより、色素からの散乱光を受光して生成したような、他の種類の粒子像データにも適用可能である。
二値化工程S110は、粒子像データから二値化画像データを生成する工程である。ここで、粒子の中心部及び粒子間領域を表わす白色の画素と、粒子の周辺部及び粒子間領域を表わす黒色の画素とに分類される。
領域分割工程S111は、二値化画像データの白領域をグループ化する工程である。例えば、図1(c)に示した二値化画像データの一部の領域に対して領域分割工程を適用した場合、図1(d)に示すように、白領域のグループが18個あり、各々に0~17の番号が割り当てられる。
重心算出工程S112は、各々の白領域グループに対し、以下の数式1で与えられる重心(x,y)を算出する工程である。
Figure 0007164978000001
ただし、xi、(i=0,…,n-1)は、一つの白領域グループを構成する画素の座標値である。このようにして、粒子領域の画素の重心位置を、粒子位置として求めることができる。
形状評価工程S113では、各々の白領域グループに対し、形状評価値を求める。形状評価値の例として、扁平率について図4を用いて説明する。図4は、形状評価工程S113における形状評価の一例を説明するための図である。扁平率は、白領域の扁平度を表わす値であり、0に近ければ領域は円に近く、値が大きくなるほど偏りが大きいことを示す。図4に示すように、扁平率の計算では、対象の白領域グループの重心wから、複数の方向に沿って進み、一番端にある画素までの距離を求める。この例では上方向に沿った時の端の画素がuであり、左方向の端がvであり、uw間、vw間の距離を求める。得られた距離の中で最大の値をd、最小の値をdとしたとき、扁平率Lは、以下の数式2で与えられる。
Figure 0007164978000002
ただし、図1(d)に示す白領域グループ0のように大きく湾曲した白領域の場合、重心が白領域の外に存在する場合がある。白領域グループ0の重心は白領域グループ1の近辺に存在するため、右方向に沿って調べても白領域グループ0の構成画素が存在しない。このような場合は、逆方向に沿って重心に近い方の端画素を求め、距離に対し、負の符号を与える。
形状評価値の種類は複数であっても良く、例えば白領域グループを構成する画素数や、重心から構成画素までの距離の平均値や標準偏差を用いることができる。
抽出工程S114では、形状評価値を基にして、粒子に相当する白領域グループを抽出する。粒子の白領域グループは必ずしも真円にはならず、扁平度から直接抽出することは難しいが、形状評価値を用いて粒子以外の白領域を除外し、消去法で残すことは容易である。例えば、図1(d)に示す白領域グループ0の扁平率は1に近い値であり、粒子以外の領域として除外できる。また、白領域グループ2についても、属する画素の数は、粒子の白領域より明らかに少ないため、除外できる。このようにして、粒子の中心部を表わす部分領域である粒子領域を抽出することができる。以上から、粒子に相当する白領域グループの番号と、位置データである重心位置を得ることができる。上記した手法によれば、画像データ中に含まれる粒子の位置を精度よく取得することができる。
<粒子測定方法における隣接粒子抽出工程>
隣接粒子抽出工程S101の処理手順の一例を、図5を用いて説明する。図5は、粒子間に白領域が存在する場合の一例を説明するための図である。図5(a)は、隣接粒子抽出工程S101における処理手順の一例を示すフローチャートである。図5(b)は、二値化画像における白領域と黒領域との関係の一例を説明するための図である。被写界深度が浅い撮像レンズと透過照明を用いて粒子像データを撮像した場合には、図5(b)に示すような二値化画像が得られる。
粒子対選択工程S120は、粒子位置取得工程S100により得られた粒子相当の白領域グループ(以後、粒子白領域と呼ぶ)の中から、距離が近い(位置データの差が小さい)二つの粒子白領域を選択する工程である。図5(b)では、粒子白領域w、wが選択されたとしている。
ラインサーチ工程S121では、二値化画像内で、選択された二つの粒子白領域の中心位置(位置データに相当する座標)を結ぶ直線上の画素が属する白領域グループを調べる。二つの粒子白領域以外の白領域グループに属する画素がない場合は、二つの粒子は隣接していると判断する。図5(b)では、粒子白領域w、wの中心位置がγ、δであり、γとδを結ぶ直線上の白色画素は、白領域グループwにも属するため、隣接していないと判断する。
ラインサーチ工程S121で隣接すると判断された白領域グループは、図6に示すようなグラフ構造を表現するテーブルに登録する。図6は、隣接粒子グラフのデータを説明するための図である。図6(a)はノードテーブル130の一例を示す図である。図6(b)はエッジテーブル135の一例を示す図である。
グラフ構造とは、多数の要素(以後、ノードと呼ぶ)と、二つの要素間の接続(以後、エッジと呼ぶ)を表わすデータ構造であり、粒子の隣接関係を表現できる。図6(a)に示すノードテーブル130は、ノードである粒子を表現するテーブルであり、図6(b)に示すエッジテーブル135はエッジである隣接関係を表わすテーブルである。以下、この2つのテーブルを合わせてグラフ構造テーブルと呼ぶ場合がある。
図6(a)及び図6(b)では、一例として、各テーブルの要素に、図1(d)に示した白領域グループの番号と隣接関係を当てはめている。白領域グループの登録では、まず、ノードテーブル130あるいはエッジテーブル135に、すでに行として記録されていないことを確認する。記録されていない場合には、記録済み行の次の行に白領域グループ情報を記録する。このようにして、隣接粒子抽出工程S101により隣接粒子のグラフ構造のデータが得られる。
粒子対の有無判定S122では、グラフ構造テーブルに登録されていない粒子白領域の有無を判定し、存在する場合は粒子対選択工程S120に戻り、存在しない場合はグラフ構造テーブルを隣接粒子抽出工程S101の出力とする。
隣接粒子抽出工程S101の手順の異なる例である隣接粒子抽出工程S103について、図7を用いて説明する。図7は、粒子間に白領域が存在しない場合、すなわち粒子間の白領域が検出できない場合の一例を説明するための図である。図7(a)は、隣接粒子抽出工程S103における処理手順の一例を示すフローチャートである。図7(b)は、二値化画像における白領域と黒領域との関係の一例を説明するための図である。被写界深度が深い撮像レンズを用いて粒子像データを撮像した場合や、色素の散乱光を撮像した場合には、図7(b)に示すような二値化画像が得られる。
図7(a)に示すフローチャートの粒子対選択工程S123及び粒子対の有無判定S126は、図5(a)に示す粒子間に白領域が存在する場合の粒子対選択工程S120及び粒子対の有無判定S122と同じである。
白領域径算出工程S124では、二値化画像内で、選択された二つの粒子白領域の中心位置(位置データに相当する座標)を結ぶ直線上において、中心位置から離れた画素までの最大距離(以後、白領域径と呼ぶ)を算出する。図7(b)では、粒子白領域w、wの中心位置がs、tであり、白領域径は、d、dである。
粒子距離算出工程S125では、二つの粒子白領域の中心位置の間の距離を算出し、白領域径算出工程S124で得られた白領域径の合計との比較を行う。白領域の大きさ次第ではあるが、中心位置の距離が白領域径の合計の2倍以下である場合は、隣接していると判断する。例えば、二つの粒子白領域の中心位置を結ぶ線上にある白領域が二つの粒子白領域のみに属し、かつ、二つの中心位置の間の距離との差が、中心位置の間の距離の半分より小さい場合に隣接していると判断する。なお、図7(b)では、中心間距離Dが白領域径d、dの合計の2倍以上離れており、隣接していないと判断できる。粒子距離算出工程S125で隣接すると判断された白領域グループは、図5(a)に示すラインサーチ工程S121と同様に、図6に示すグラフ構造を表現するテーブルに登録する。
<粒子測定方法における算出工程>
算出工程S102の処理手順の一例を、図8を用いて説明する。図8は、本発明の実施形態に係る粒子測定方法010の算出工程S102における処理手順の一例を示すフローチャートである。
部分集合削除工程S140では、隣接粒子抽出工程S101の出力データであるノードテーブル130とエッジテーブル135から、粒子半径の算出に適さない部分グラフ構造を削除する。粒子半径の算出は、後述する連立方程式により行うが、連立方程式が優決定になる場合に半径を求めることができる。粒子の数が粒子対の数より多い場合に、部分集合に含まれる粒子に係る係数を連立方程式から除くことで、粒子半径の算出に適さない部分グラフ構造を削除することができる。つまり、互いに接続されているノードで構成される部分集合の内、エッジ数がノード数より少ない部分集合は劣決定になり、半径が求まらないため、削除対象となる。
削除対象の部分集合の抽出について、図6に戻って説明する。図6に示したノードテーブル130からノード番号の列のノード番号を一つ選択する。このノードと接続関係にあるノードが存在する場合には、エッジテーブル135の小ノード番号及び大ノード番号に選択されたノード番号が含む行が存在する。これらの行から接続関係にあるノード番号を取得できる。接続関係にあるノード番号に対して、エッジテーブル135の行を検索する処理を繰り返すことで、接続関係にあるノードとエッジを抽出できる。得られたノードの数とエッジの数とを比較し、エッジの数がノードの数より小さい場合には、削除対象と判定する。削除対象となったノードとエッジについては、関連する行をノードテーブル130とエッジテーブル135から除去し、ノード番号及びエッジ番号が連番となるように、番号を更新する。
解算出工程S141では、ノードテーブル130とエッジテーブル135の情報を基に、連立方程式を構成し、連立方程式を解くことで粒子半径を求める。
連立方程式の例について、図9を用いて説明する。図9は、粒子の大きさの推定に用いる連立方程式の一例を説明するための図である。図9(a)は、球体が配置されている二次元面に対して、垂直な方向から観察したときの球体の一例を示す図である。図9(b)は、球体が配置されている面に平行で、球の接点と球の中心を含む面に垂直な方向から観察したときの球体の一例を示す図である。図9(c)は、粒子半径差が大きい場合の連立方程式150の一例を示す図である。図9(d)は、粒子半径差が無視できる場合の連立方程式151の一例を示す図である。
図9(a)及び図9(b)に示したこれらの球体は、球形の粒子、あるいは、内包球に相当する。図9(b)に示す球の半径r,rと中心間距離d01の間の関係は、ピタゴラスの定理から、以下の数式3のように導出できる。
Figure 0007164978000003
この方程式を複数の球体毎に作成することで、図9(c)に示す連立方程式150を作成する。仮に球体毎の半径の差が小さく、球体毎の高さの差(図9(b))の影響を無視できる場合は、中心間距離が半径の和に等しいと仮定できる。この場合は、図9(d)に示される連立方程式151を用いることも可能である。
次に、図6に示したノードテーブル130とエッジテーブル135から、図9(c)に示す連立方程式150を構成して、解を得るまでの手順の一例を説明する。連立方程式150を解くために必要とされるパラメータは、連立方程式150の左辺にあるベクトル(以下、距離ベクトルと呼ぶ)と右辺の行列(以下、隣接行列と呼ぶ)であり、最初に作成する。
距離ベクトルは、エッジの数と等しい長さを持つベクトルである。エッジテーブル135を上の行から順番にたどりながらエッジに対応する二つのノード番号を求め、二つのノード番号に対応する粒子位置133をノードテーブル130から取得する。粒子位置133の間の距離を基に距離ベクトルの要素を算出できる。
隣接行列は、列と行の要素数が、各々ノード数、エッジ数に対応している。隣接行列の作成では、距離ベクトルと同様に、エッジテーブル135を上の行から順番にたどりながらエッジに対応する二つのノード番号を求める。その中で、エッジ番号に対応する行において、ノード番号に対応する列の要素を1とし、他の要素を0とすることで、隣接行列を作成することができる。隣接行列は、大部分の要素が0であるスパース行列であるので、圧縮行格納方式(CRS;Compressed Row Storage)のように値が1の要素のインデクスを記録する方式を採用することも可能である。
距離ベクトルと隣接行列が求まった後には、連立方程式のソルバーを適用することで、連立方程式150の右辺のベクトルを求めることができる。球体の数が1万を超える場合、隣接行列のサイズが大きくなり、LU分解を用いたような一般的なソルバーは適用できない。このような場合は、LSQR法のような大規模スパース行列に適用可能なソルバーを使用する。得られた右辺のベクトルの要素を指数項とした指数関数を計算することで、各球体の半径を得ることができる。
このように、本発明の粒子測定方法010は、粒子の輪郭の測定が困難な画像データを基にして、粒子の大きさを得ることができる。
[標的核酸計数方法]
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法について説明する。
<標的核酸計数方法で扱う画像データと測定対象>
まず、本実施形態に係る標的核酸計数方法において扱う画像データについて説明する。粒子に励起光を照射した際に発生する蛍光の中で撮像した、標的核酸に関連する分光成分の光強度分布データ(以下、蛍光撮像データと呼ぶ)を入力データとして扱う。蛍光撮像データ内では、標的核酸を一つ以上含む粒子の画素値は、標的核酸を含まない粒子の画素値よりも大きくなるため、閾値処理等で両者を区別することができる。以下の説明では、蛍光撮像データ内で画素値が大きい粒子をポジ粒子、画素値が小さい粒子をネガ粒子と呼ぶ。
本実施形態に係る標的核酸計数方法の測定対象は、粒子生成の基になった溶液中に含まれる(基準体積あたりの)標的核酸数である。PCR法適用後に増幅された標的核酸数や、蛍光発光しているポジ粒子数とは異なることに注意されたい。
<標的核酸計数方法全体の流れ>
本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法011の処理手順の一例を、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る標的核酸計数方法011の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ポジ粒子数算出工程S160は、蛍光撮像データからポジ粒子を抽出し、ポジ粒子数を算出する工程である。ポジ粒子の抽出では、粒子測定方法010により得られた粒子位置にある画素値、あるいは粒子位置近辺の領域の平均画素値を閾値と比較することで判定する。閾値は、事前の実験において、蛍光撮像装置を使用して得た蛍光撮像データの画素値の統計量から算出した値である。
計数工程S161は、ポジ粒子数算出工程S160により得られたポジ粒子数と、粒子測定方法010により測定された粒子数・大きさと、粒子の大きさに関する基準値とを基に、標的核酸の濃度(単位体積当たりの標的核酸数)を推定する工程である。
上記基準値は、事前の実験により得られた統計量であり、粒子の大きさの平均値、あるいは測定可能な粒子の総体積等が用いられる。粒子測定方法010では、各粒子の周囲を囲い、互いに接する球体の大きさが得られるが、粒子を隙間無しに接するよう配置することは困難である。粒子形状も完全な球ではないことから、粒子測定方法010のみでは、粒子の大きさの精度が過度に低下するおそれがある。以上の理由で、上記基準値による補正が必要とされる場合がある。
<比較例によるシミュレーション>
ここで、本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法011における計数工程S161の詳細について説明する前に、比較例として、一般に用いられる二つの標的核酸濃度推定手法の課題について説明する。
<ポアソン分布法(比較例1~3)>
通常のdPCR法では、以下の数式4に示すポアソン分布を用いて標的核酸の濃度fの推定を行う(以下、ポアソン分布法と呼ぶ)。
Figure 0007164978000004
ここで、Nは粒子数、Nはポジ粒子数、Vは粒子の体積である。ポアソン分布法は、全ての粒子の体積が一定の場合に正常に機能し、粒子の大きさがばらついている場合には誤差を伴うことが知られている。
ポアソン分布法の推定誤差の影響を示すために行ったシミュレーションについて説明する。このシミュレーションは、後述する二つの標的核酸濃度推定方法(比較例である重み付き平均法及び実施例である計数工程S161)において、共通のパラメータを用いて実行し、各々の手法の性能比較を可能にする。シミュレーションでは、粒子の大きさに従った確率で、事前に決めた濃度の標的核酸を粒子に分配するモンテカルロシミュレーション(以下、モンテカルロ法と呼ぶ場合もある)を実行し、粒子数と、シミュレーションにより得たポジ粒子数から濃度を推定する。モンテカルロシミュレーションの結果であるポジ粒子数は試行毎にばらついているため、分配と推定を複数回試行し、濃度の平均推定値と標準偏差を算出することが好ましい。濃度の平均推定値と、シミュレーションで事前に与えた濃度真値の差が0に近く、濃度の標準偏差が0に近いほど、標的核酸濃度推定方法の性能が高いと言える。そこで、両者の評価値として、平均値誤差割合T(下記数式5)と、95%信頼区間割合S(下記数式6)とを定義し、シミュレーション結果の比較に用いることができる。
Figure 0007164978000005
ここで、gestは濃度の平均推定値、gorgはシミュレーションで与えた濃度の真値である。
Figure 0007164978000006
ただし、σは濃度の標準偏差である。
シミュレーションにおいて共通に用いたパラメータについて述べる。粒子数は1500個に設定し、粒子のばらつきについては、粒子の半径の標準偏差を半径の20%に設定する。上記分配と推定の実行回数は、50回とする。粒子数に対するポジ粒子数の割合(以下、ポジ率と呼ぶ)を変化させて精度検証のシミュレーションを行った。図11にシミュレーションの結果を示す。
図11は、比較例としてポアソン分布法及び重み付き平均法の推定精度を検証したシミュレーションの結果を示す図である。それぞれの濃度推定法について、濃度目標値に対応するポジ率(%)の値を1%、10%、50%と変化させた場合における、濃度の目標値(copies/ul)、平均推定値(copies/ul)、標準偏差(copies/ul)、平均値誤差割合(%)、及び、95%信頼区間の割合(%)の各数値が得られた。なお、重み付き平均法の詳細については後述する。
図11に示すように、ポアソン分布法では、ポジ率が1%及び10%の場合、真の標的核酸濃度である目標値に対する平均値誤差割合がそれぞれ1%未満及び約2%であり適用可能な範囲であるが、ポジ率が50%の場合には、約10%となり適用可能な範囲を超えていた。
なお、dPCR法を用いた従来技術による測定誤差は、95%信頼区間で真値の±10%以下に抑えられている。しかし、ポアソン分布法を用いた場合、測定誤差を含まない値である平均値誤差割合のみで、すでに10%の誤差が発生することから、大きさがばらついている粒子に対しては、計数工程S161の代わりにポアソン分布法を適用することは困難である。
<重み付き平均法(比較例4~6)>
次に、重み付き平均法について説明する。重み付き平均法は、一般に用いられる標的核酸濃度推定手法であり、大きさが同程度である粒子をグループ化し、グループ毎にポアソン分布法を適用する手法である。重み付き平均法の濃度推定値は、以下の数式7で与えられる。
Figure 0007164978000007

ここで、N (i)、N (i)、V (i)(i=0,1,…,M-1)は、M個存在するグループの内、番号iのグループにおける粒子数、ポジ粒子数、粒子の平均体積である。w(i)は、各グループにより得られる濃度に積算される重みであり、番号iのグループにおける粒子体積合計値を、全粒子の体積合計値で割った値である。
重み付き平均法の問題は、グループ数が多くなると、各グループに属する粒子数が減ることである。粒子数が減ると、数式7におけるグループ毎に得られるポジ率(N (i)/N (i))の値が連続的では無くなり、量子化誤差の影響で推定精度が低下する。グループ毎に求められた精度の低い標的核酸推定値が合算され、平均濃度の推定精度も低下することになる。
重み付き平均法の推定誤差の程度を示すために行ったシミュレーション結果について、図11を用いて説明する。図11に示すように、重み付き平均法(比較例4~6)では、ポジ率にかかわらず、平均値誤差割合は4%以下に抑えられていたが、95%信頼区間割合はいずれも8%以上の値であり、ポジ率1%においては42.9%と非常に大きな数値となった。重み付き平均法では、例えば、粒子数を増やすことで95%信頼区間割合における誤差の影響を抑制することはできるが、粒子数1500個と少ない場合には精度の低下が生じるため、計数工程S161の代わりに重み付き平均法を適用することは困難である。
<標的核酸計数方法における計数工程>
以下に、本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法011における計数工程S161について詳細に説明する。
計数工程S161にて実行される濃度推定法は、ポアソン分布法と重み付き平均法に発生する精度低下の問題を解決するよう、新規開発した手法である。計数工程S161の処理手順の一例について、図12を用いて説明する。図12は、本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法011の計数工程S161における処理手順の一例を示すフローチャートである。
第1候補算出工程S180は、ポジ粒子数、粒子数、粒子の大きさ、及び、上記大きさの基準値から、数式4を用いて濃度の第1候補値を算出する工程である。数式4で必要とされる粒子の体積Vには、粒子の大きさ、あるいは基準値を用いて算出した平均粒子体積を使用する。
分配計算工程S181は、濃度の第2候補値を基にして算出された個数の標的核酸を、各粒子に分配するモンテカルロシミュレーションを実行する工程である。モンテカルロシミュレーションにより得られた標的核酸の分布から、ポジ粒子数を計算する。濃度の第2候補値が決まっていない場合は、任意の正の整数を初期値として採用することができる。真の濃度と離れた数値を初期値として採用すると収束が遅くなるため、第1候補値やポジ粒子数算出工程S160により得たポジ粒子数を初期値とするのが好ましい。モンテカルロシミュレーション方法の詳細については後述する。
第2候補算出工程S182は、分配計算工程S181により得られたポジ粒子数を用いて、第2候補値の更新値を算出する工程である。上記更新値は、以下の数式8で与えられる。
Figure 0007164978000008
ここで、gは分配計算工程S181で使用した第2候補値、gi+1は第2候補値の更新値である。f、N、Vは数式4と同じであるが、N’は分配計算工程S181で得られたポジ粒子数である。fは第1候補値である。
収束判定S183は、分配計算工程S181で使用した第2候補値と、第2候補算出工程S182により得られた更新値の差の絶対値が、許容値未満であるかを判定する。モンテカルロシミュレーションにより、上記更新値にばらつきが生じるため、必要以上に小さい許容値を採用することは困難である。通常は、第1候補値の0.1%程度の値を採用することが好ましい。
収束判定S183により許容値以上と判定された場合は、更新値を第2候補値として、分配計算工程S181、第2候補算出工程S182、及び、収束判定S183を繰り返す。収束判定S183により許容値未満と判定された場合、あるいは、繰り返し回数が一定回数以上の場合には、第2候補値を濃度推定値とする。計数工程S161の収束性と精度については後述するが、標的核酸濃度や粒子数に影響されずに、ポアソン分布法及び重み付き平均法よりも高い精度が得られる。
<モンテカルロシミュレーション>
計数工程S161内の分配計算工程S181において行うモンテカルロシミュレーションの処理手順について、図13を用いて説明する。図13は、計数工程S161内の分配計算工程S181におけるモンテカルロシミュレーションの処理手順の一例を示すフローチャートである。
配列初期化工程S185は、粒子に分配される核酸の個数を保持する整数配列(以下、核酸保持配列と呼ぶ)を準備し、配列要素の値を0に初期化する工程である。以下では、各粒子に0~(粒子数-1)の番号(以下、粒子番号と呼ぶ)を割り当て、核酸保持配列の要素番号を粒子番号に対応づける方式、について説明する。この方式の核酸保持配列の数値は、配列要素と同じ粒子番号の粒子に含まれる核酸の数を表わす。
核酸分配工程S186は、粒子の大きさに関連した確率に従って、粒子番号(核酸保持配列の要素番号)を選択し、核酸保持配列要素の数値に1を加算する工程である。粒子番号の選択では、以下の数式9で与えられる確率関数P(q)に関する方程式を解くことで、0~1の値を持つ一様乱数sに対応する粒子番号qを求める。
Figure 0007164978000009
ここで、Tは粒子番号iの粒子の大きさから求めた比率で、球形粒子(又は、内包球)の体積を、体積合計相当値で割った値である。体積合計相当値は、全球形粒子(又は、全内包球)の体積の合計に相当する値である。各球形粒子(又は、内包球)の体積の測定精度が低いときには、合計値が大きくずれる可能性がある。そのような場合には、上記基準値を使って体積合計相当値を求めてもよい。上記基準値が、統計的に求めた粒子の平均体積の場合は、基準値に粒子数を掛けた値を体積合計相当値として採用できる。基準値が粒子生成前の溶液量等の場合は、基準値から粒子生成時の損失を差し引いた値を、体積合計相当値として採用することができる。
確率関数P(q)は離散値を返すため、連続値である乱数sを使って方程式を解くことはできず、近似解を求める必要がある。例えば、以下の数式10で与えられる粒子番号qを近似解とすることができる。
Figure 0007164978000010
近似精度は低下するが、ルックアップテーブル(以下、LUTと略記する)を作成して高速に近似解を求めることも可能である。例えば、十分に大きな要素数Nを持つ数値配列を使ってLUTを作成する場合、以下の数式11で与えられる要素番号pから要素番号pまでの要素の値を粒子番号qに設定する。
Figure 0007164978000011
ここで、floor(x)は、浮動小数点数xの小数点以下の切り捨てを行う関数である。0からN-1の間の要素番号を、一様乱数を使って生成することで、LUTの要素を粒子番号とすることができる。
核酸数判定S187は、核酸分配工程S186の実行回数と、第2候補値との比較を行う。核酸分配工程S186の実行回数が第2候補値と等しくなるまで、核酸分配工程S186を繰り返す。
ポジ粒子数算出工程S188は、核酸保持配列から、ポジ粒子数を算出する工程である。
試行回数判定S189は、配列初期化工程S185からポジ粒子数算出工程S188までの実行回数と、あらかじめ決められた試行回数との比較を行う。核酸分配工程S186において乱数を使用していることにより、試行毎に異なるポジ粒子数が得られる。
ポジ粒子数平均工程S190は、試行毎に得られたポジ粒子数の平均値を求める工程である。十分な回数の試行を実施することにより、ばらつきの少ないポジ粒子数平均値を得ることができる。
以上の説明では、核酸保持配列の要素番号を粒子番号に対応づける方式について述べたが、他の実装方式を用いてもよい。例えば、粒子よりも十分に小さい微小区画を考え、核酸保持配列の要素番号を微小区画の番号に対応づける方式も採用できる。この場合、複数の微小区画の集合が一つの粒子に対応することになる。核酸分配工程S186は、粒子の大きさに関する確率ではなく、一様確率に従って微小区画の番号を選択し、核酸保持配列の要素の値に1を加算する工程となる。粒子に対応する微小区画の要素値の合計が、粒子に含まれる核酸数となる。
<計数工程の収束性と効果>
計数工程S161で行う反復処理の収束性は、バナッハの不動点定理(縮小写像の定理)を用いて説明できる。バナッハの不動点定理は、以下の数式12を満たす関数g(x)には、不動点x=g(x)が存在し、反復処理xi+1=g(x)(i=0,1,2,…)を実行することで不動点xが得られることを示している。
Figure 0007164978000012
a,bは、反復処理を実行する区間にある任意の二点である。
分配計算工程S181の入力値である第2候補値をx、分配計算工程S181と第2候補算出工程S182を連続して行う関数をgとすると、以下に示す数式13のように式を展開することができる。
Figure 0007164978000013
H(x)は分配計算工程S181により、第2候補値をxからポジ粒子数yを算出する関数であり、h(y)は第2候補算出工程S182により、ポジ粒子数yから第2候補値の更新値を算出する関数である。H-1(y)は、分配計算工程S181であるH(x)の仮想的な逆関数である。計数工程S161のアルゴリズムは、h(y)がH-1(y)になるように、つまりポジ粒子数yが測定で得られたポジ粒子数と一致するように、第2候補値xを調整すると考えてよい。f、N、Vは数式4と同じで、fは第1候補値である。
一方、理想的な濃度推定式H-1(y)は、ポアソン分布法の数式4から、ポジ粒子数に依存した誤差を減算した以下の数式14に示す関数で近似することができる。
Figure 0007164978000014
ここで、D(y)は、ポアソン分布法により発生する誤差を表わした関数である。R(y)は、関数H(y)中で実行されるモンテカルロシミュレーションで発生するポジ粒子数のばらつきの影響(濃度推定値の変動)を表わす。図11に示した表において、D(y)は平均推定値と目標値の差に相当し、R(y)は標準偏差に相当する。
数式14を数式13に代入すると、以下の数式15に示すように、f(N,y,V)が相殺され、誤差と定数のみの式に変換できる。
Figure 0007164978000015
H(x)とD(y)の合成関数をD(x)、R(x)とD(y)の合成関数をR(x)と表記した。
数式15が、バナッハの不動点定理の条件である数式12を満たすことを示す。数式12に数式15を代入すると、以下の数式16に示す関係式となる。
Figure 0007164978000016
2点a,bの値に差がある場合、数式12の右辺では、大きい方の値(仮に、aが大きいとする)が支配的になる。図11に示した表のポアソン分布法に関する行(すなわち比較例1~3)において、D(x)は平均推定値と目標値の差に相当し、R(x)は標準偏差に相当する。そのため、数式12の左辺では、D(a)が支配的になる。図11の平均推定値の誤差割合を見ると、D(a)の大きさはaの10.6%以下の値とされており、数式15は数式12の条件を満たす。
一方、2点a,bの値がほぼ同じである場合、D(x)はxの微小変化に対して急激に変化しないため、D(a)-D(b)はほぼ0となる。その結果、モンテカルロシミュレーションによる値のばらつきであるR(a)-R(b)を小さくすることで、数式15は数式12の条件を満たすことができる。モンテカルロシミュレーションの値のばらつきは、図13を用いて説明した試行回数判定S189の試行回数を増やすことで抑制することができる。つまり、計数工程S161で行う反復処理の収束が進むにつれて、試行回数判定S189の試行回数を増やすことで精度を向上できる。
以上から、分配計算工程S181と第2候補算出工程S182とを連続して行う関数g(x)に反復処理を適用することで、不動点x=g(x)を求めることが可能である。得られる不動点xは、モンテカルロシミュレーションにより得られたポジ粒子数が、測定時のポジ粒子数と一致するときの濃度推定値となる。
実際に計数工程S161の推定精度を検証したシミュレーション結果について、図14を用いて説明する。図14は、本発明の実施形態に係る標的核酸計数方法011の計数工程S161の推定精度を検証した結果の一例を示す図である。シミュレーション内容は、図11に示したポアソン分布法と重み付き平均法のシミュレーションと同じである。実施例1~3として、濃度目標値に対応するポジ率(%)の値を1%、10%、50%と変化させた場合における、濃度の目標値(copies/ul)、平均推定値(copies/ul)、標準偏差(copies/ul)、平均値誤差割合(%)、及び、95%信頼区間の割合(%)の各数値が得られた。
図14に示すように、平均値誤差割合は、ポジ率によらず1%以下に抑えられ、95%信頼区間割合も7%以下に抑えられている。このように、本発明の標的核酸計数方法011を用いることで、粒子数が少ない場合でも、高い精度で標的核酸濃度を得ることができる。
[濃度測定システム及び装置、並びに粒子測定装置]
以下に、本発明の実施形態に係る粒子測定方法又は核酸濃度測定方法を実装したソフトウェアを備える、濃度測定システム及び装置、並びに粒子測定装置の実施形態について説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の実施形態に係る濃度測定システム及び装置、並びに粒子測定装置は、粒子を複数含む検体の画像データから、当該画像に含まれる粒子の個々の大きさを測定することができる。
[第一の実施形態]
本発明に係る第一の実施の形態である濃度測定システムについて、図15を用いて説明する。図15は、第一の実施形態に係る濃度測定システム200の構成の一例を示す図である。図15に示すように、本実施形態に係る濃度測定システム200は、撮像装置201、画像処理装置202、タブレットPC203、有線LAN204、及び、無線LANルーター206より構成されている。
撮像装置201は、例えば、イーサネット(登録商標)ケーブル等のネットワークケーブル205を介して、有線LAN204に接続されている。撮像装置201はプレートホルダー208を備えており、プレートホルダー208には、複数の検査プレート209を設置することができる。撮像装置201の詳細な構成については後述する。
画像処理装置202は、ネットワークケーブル210を介して有線LAN204に接続されている。また、画像処理装置202は、ネットワークケーブル211を介して無線LANルーター206に接続されている。画像処理装置202は、無線LANルーター206を介して無線通信207によりタブレットPC203と通信することができる。
タブレットPC203は、無線LANルーター206を介して無線通信207により画像処理装置202と通信することができる。タブレットPC203は、撮像装置の状態を表示する表示画面212を備える。表示画面212には、選択用リストボックス213、情報表示・修正部214、エディットボックス215、指示ボタン216を表示することができる。
<濃度測定システムにおける処理の流れ>
続いて、濃度測定システム200で行われる処理の流れについて説明する。濃度測定システム200の利用者により、まず、撮像装置201のプレートホルダー208に、検査プレート209が設置される。検査プレート209の詳細は後述する。撮像装置201は、設置後の検査プレート209の情報(プレートホルダー208内のスロット番号と、検査プレート209のバーコード情報)を画像処理装置202に送信する。その後、一定時間おきに画像処理装置202に作業指示の確認を行う待機モードに移行する。画像処理装置202は、Webサーバー機能を兼ねており、利用可能な撮像装置の情報(検査プレート209のバーコード情報から復元した識別情報、測定方法等)を利用者に公開している。
次に、濃度測定システム200の利用者は、タブレットPC203を利用して、画像処理装置202が利用者に公開しているWebサイトにログインし、撮像装置の状態を表示する表示画面212を開くことができる。利用者の操作によって、撮像装置201が選択用リストボックス213により選択された後、タブレットPC203は、情報表示・修正部214に、検査プレート209の識別情報、測定方法、測定時間の予測値を表示する。ただし、検査プレート209にバーコードが添付されていない場合は、識別情報と測定方法のデフォルト値が表示されるので、操作により画面上で修正される。操作により、測定結果の識別情報(測定日時やラベル等)が入力用のエディットボックス215に入力された後、撮像開始・終了を指示する指示ボタン216がクリックされ、タブレットPC203は、入力・修正された情報と撮像指示を画像処理装置202に送信する。
撮像装置201は、画像処理装置202から撮像指示を確認後、待機モードから撮像モードに移行する。撮像装置201の構成と、撮像モード時の動作については後述する。撮像装置201は、撮像を行いながら、検査プレート209の粒子像データと蛍光撮像データを画像処理装置202に送信し、全ての画像データの撮像・送信が完了後、待機モードに移行する。
画像処理装置202は、撮像装置201から送られてきた粒子像データに対して、図2に示した粒子測定方法010を実装したソフトウェアを実行し、粒子毎の位置と大きさを算出する。続いて、画像処理装置202は、撮像装置201から送られてきた蛍光撮像データと、粒子の位置・大きさに対して、図10に示した標的核酸計数方法011を実装したソフトウェアを実行して濃度を算出する。ただし、上記ソフトウェアでは、粒子の大きさの基準値は使用していない。画像処理装置202は、算出された濃度値をWebサイトにて利用者に公開する。
濃度測定システム200の利用者は、タブレットPC203を利用して、画像処理装置202が利用者に公開しているWebサイトにログインし、情報表示・修正部214に新たに表示された濃度測定値を確認することができる。
<検査プレート>
検査プレート209の構造について、図16を用いて説明する。図16は、本実施形態に係る濃度測定システム200において、粒子を保持する検査プレート209の構造の一例を示す図である。図16(a)は検査プレート209の断面図である。図16(b)は検査プレート209の平面図である。検査プレート209は、検体を保持する器具であり、例えば、標的核酸と試薬(プライマ、蛍光標識プローブ等のPCR法の実行に必要となる化学物質を含む薬剤)を混ぜた溶液220を、オイル221内で複数の粒子222として保持することができる器具である。
次に、粒子222の生成方法について説明する。図16(a)に示すように、まず、注射器等により溶液注入部223にオイル221を注入し、オイル吸出部225から空気を吸い出すことにより、オイル221を充填する。溶液220は、注射器等により加圧されて溶液注入部223に注入され、粒子生成部224が備える多孔質膜により多数の粒子222が生成される。本実施の形態では、多孔質膜を粒子生成に用いるが、マイクロ流路チップ等を用いてもよい。粒子222は、オイル221より比重が大きいため、下面のガラス基板226の上に粒子同士が重ならないように配置される。
粒子222は、ガラス基板226の変形等により容易に破壊されるため、検査プレート209の周囲は金属治具227で補強することが好ましい。ロボットにより検査プレート209を搬送する際には、金属治具227の窪み228にロボットハンドのツメを接触させて、ガラス基板226に力が加わらないようにすることができる。標的核酸(DNA)の混入を防ぐため検査プレート209の再利用はできないが、金属治具227は、留め具229を外して分離することで再利用可能である。
検査プレート209には、溶液220の識別子や測定方法を符号化したバーコード230を添付することができる。バーコード230は、図15に示した撮像装置201により撮像され、画像処理装置202で情報が復元される。バーコード230の情報は人間により識別できないことから、人間により識別可能なラベル231を添付することも可能である。
<撮像装置の構成と撮像処理>
図15に示した撮像装置201の構成について、図17を用いて説明する。図17は、本実施形態に係る濃度測定システム200において、PCR法と蛍光撮像を実施する撮像装置201の構成の一例を示す図である。図17に示すように、撮像装置201は、プレートホルダー208、ネットワークインターフェース240、コントローラー241、サーマルサイクラー242、カメラ243、撮像レンズ244、カメラ側フィルタホイール245、xyステージ246、照明側フィルタホイール247、照明光学系248、LED光源249、単軸ロボット(x軸方向駆動)250、単軸ロボット(z軸方向駆動)251、単軸ロボット(y軸方向駆動)252、及び、電源253により構成されている。それぞれの構成要素はネットワークケーブル255等を介してネットワークに接続されている。
続いて、検査プレート209がプレートホルダー208に設置された直後の動作について説明する。コントローラー241は、プレートホルダー208内のセンサーにより、検査プレート209が挿入されているスロットの位置を確認する。続いて、コントローラー241は、単軸ロボット250~252を駆動してスロットに挿入されている検査プレート209を、xyステージ246上に搬送し、バーコード230の撮影を行う。コントローラー241は、全ての検査プレート209のバーコード230を撮像後、検査プレート209が設置されているスロットの番号とバーコード画像を画像処理装置202に送信し、待機モードに移行する。
次に、撮像モードに移行後に行われる動作について説明する。コントローラー241は、タブレットPC203により入力・修正された情報を、画像処理装置202から取得する。続いて、コントローラー241は、画像処理装置202から取得した情報と、すでに取得している検査プレート209の情報を基に、作業シーケンスを生成する。作業シーケンスは、単軸ロボットやカメラへ発行する命令と、命令の発行タイミングが記録されたデータである。命令の発行タイミングは、撮像装置201の部品毎の実行時間の差や、検査プレート209毎の測定方法の違いにより発生する待ち時間が最小になるように決定される。撮像・駆動命令だけでなく、ネットワークインターフェース240による画像データの送信命令も、作業シーケンスに含まれる。
理解しやすい例として、検査プレート209が一つで、蛍光撮像が一回行われるときの単純な作業シーケンスについて説明する。単軸ロボット250~252は、検査プレート209をプレートホルダー208からサーマルサイクラー242に搬送する。単軸ロボット252の先には、フォークリフトのフォークのようなツメ(図示せず)が設けられている。単軸ロボット252は、金属治具227に設けられている窪み228に単軸ロボット252のツメを挿入し、上方に少し上げてから検査プレート209の抜き差しを行うことで、検査プレート209に振動を与えることなく搬送できる。次に、コントローラー241は、サーマルサイクラー242に対し、ペルチェ素子の加熱温度と冷却温度の制御命令を送信してPCR法を実行する。加熱温度と冷却温度は、出荷前に作成したテーブルの値を用いる。このように、PCR法により粒子内の標的核酸の数を増幅させ、蛍光発光の強度を増大させることにより、標的核酸を含む粒子の検出及び測定が容易になる。
撮像装置201は、PCR法の実行後、単軸ロボット252で検査プレート209をxyステージ246上に搬送させ、粒子像データの撮影を開始する。コントローラー241は、カメラ側フィルタホイール245に対し、干渉フィルタが挿入されていないスロットを選択するよう制御命令を送る。さらに、コントローラー241は、照明側フィルタホイール247に対し、NDフィルタを選択するように制御命令を送信する。このとき、励起光は光強度が大きすぎて直接観察には適さないことから、NDフィルタで減光することが好ましい。コントローラー241は、カメラ側フィルタホイール245及び照明側フィルタホイール247の設定後、LED光源249にシャッターを開放するための命令と、カメラ243に露光時間調整と撮像のための命令とを送る。コントローラー241は、撮影が完了してデータが保存されたタイミングで、カメラ243のメモリから粒子像データを取得し、ネットワークインターフェース240を通じて、画像処理装置202にデータを送信する。
次に、撮像装置201は、蛍光撮像データの撮像を行う。コントローラー241は、カメラ側フィルタホイール245に対し、励起光除去用干渉フィルタのスロットを選択するよう制御命令を送る。また、コントローラー241は、照明側フィルタホイール247に対し、励起光透過用干渉フィルタのスロットを選択するよう制御命令を送る。カメラ側フィルタホイール245及び照明側フィルタホイール247の設定後は、露光時間の数値が異なるものの、粒子像データの場合と同様である。
コントローラー241が、作業シーケンスに従い、命令の送信、及び画像データの送信を終えた後、撮像装置201は待機モードに移行する。
撮像装置201はサーマルサイクラー242を内部に備えているが、サーマルサイクラーは外部の別の装置であってもよい。例えば、外部のサーマルサイクラー装置(図示せず)により核酸数を増やした検査プレート209を、プレートホルダー208に挿入する場合は、撮像装置201は、撮像のみの構成でよい。
このように、本発明の第一の実施の形態は、被写界深度の影響等で、撮像による粒子体積の取得が困難でも、粒子のばらつきを補正できる標的核酸濃度測定システムである。つまり、本実施形態は、粒子輪郭を使わず、粒子の中心位置と隣接関係を用いて粒子の大きさを推定する手法と、モンテカルロ法により粒子補正精度を向上させた濃度推定手法により、推定精度を向上させた標的核酸濃度測定システムである。
[第二の実施形態]
本発明の第二の実施の形態である濃度測定装置について、図18を用いて説明する。図18は、本実施形態に係る濃度測定装置300の構成の一例を示す図である。図18に示すように、本実施形態に係る濃度測定装置300は、第一の実施の形態である濃度測定システム200の撮像装置201に、画像処理装置202と無線LANルーター206の機能を追加した構成を備えている。機能的には両者はほぼ同じである。以下では、濃度測定システム200と異なる点についてのみ説明する。
濃度測定装置300は、撮像装置201が備えるネットワークインターフェース240の代わりに、無線LANインターフェース302を備えている。画像処理装置202で担っていたWebサーバー機能を実行するために、コントローラー303は、例えば、CPUとメモリを備えた汎用PCのような構成とすることができる。画像処理装置202で担っていた、粒子測定方法010と標的核酸計数方法011の実行は、画像処理ボード301で実行することができる。
次に、画像処理ボード301の構成について、図19を用いて説明する。図19は、本実施形態に係る濃度測定装置300が備える画像処理ボード301の構成の一例を示すブロック図である。図19に示すように、画像処理ボード301は、通信インターフェース310、ユニットコントローラー311、データバス312、メモリ313、及び、各種計算ユニットにより構成されている。画像処理ボード301は、計算ユニットとして、二値化部314、領域分割部315、重心算出部316、形状評価部317、抽出部318、隣接粒子抽出部319、部分集合削除部323、解算出部324、ポジ粒子数算出部325、及び、計数処理部326を備えている。これらの計算ユニットは、粒子測定方法010と標的核酸計数方法011とが備える複数の工程を実行する。
続いて、本実施形態において、図2に示した粒子測定方法010の実行に関する計算ユニットについて説明する。二値化部314、領域分割部315、重心算出部316、形状評価部317、及び、抽出部318は、粒子位置取得工程S100を構成する5つの工程(図3を参照)を実行する計算ユニットである。隣接粒子抽出部319は、隣接粒子抽出工程S101を実行する計算ユニットである。部分集合削除部323、及び、解算出部324は、算出工程S102を構成する二つの工程(図8を参照)を実行する計算ユニットである。
本実施形態において、図10に示した標的核酸計数方法011の実行に関する計算ユニットについて説明する。ポジ粒子数算出部325は、ポジ粒子数算出工程S160を実行する計算ユニットである。計数処理部326は、計数工程S161を実行する工程である。
次に、画像処理ボード301の構成要素の間において行うデータ交換について説明する。コントローラー303から送られてきた計算開始指示は、通信インターフェース310を介して、ユニットコントローラー311に送られる。同時に、計算対象となる画像データ等は、コントローラー303からデータバス312を介してメモリ313に送られ、メモリ313内で保持される。ユニットコントローラー311は、計算ユニットの実行開始指示・終了確認を行う。さらに、ユニットコントローラー311は、計算ユニット間での混信防止のための同期信号情報(データバス312のクロック)の割当処理(調停処理)も行う。具体的には、ユニットコントローラー311は、計算を開始する計算ユニットとメモリ313の組に対し、コントローラー・ユニット間通信路329を介して計算開始指示と、割り当てられた同期信号情報を送信する。
計算ユニットは、メモリ313内に保持された画像データや計算時に生成した数値配列中のデータに対して、読み取り・修正を行いながら計算を実行する。計算ユニットは、計算終了時に、終了確認情報をユニットコントローラー311に送信する。ユニットコントローラー311は、終了確認情報を受け取り後に、次の計算工程を実行する計算ユニットに実行開始指示を送ることを繰り返す。ユニットコントローラー311は、粒子測定方法010と標的核酸計数方法011の全処理を実行後、得られた濃度情報をコントローラー303に送信する。
濃度測定装置300で行う処理内容については、濃度測定システム200と異なる点が一つある。濃度測定装置300の画像処理ボード301は、画像処理装置202に比べ処理能力が低い場合がある。大型の画像データを扱えないことから、粒子測定方法010の精度向上が困難である。そこで、計数処理部326では、過度な精度低下を防ぐために、統計的に測定した粒子の大きさの平均値を基準値として使用することができる。
このように、本発明の第二の実施の形態は、被写界深度の影響等で、撮像による粒子体積の取得が困難でも、粒子のばらつきを補正できる標的核酸濃度測定装置である。また、本実施形態は、画像処理機能を装置内に内蔵しており、ネットワーク接続が困難な場所でも使用できる標的核酸濃度測定装置である。
[第三の実施形態]
本発明の第三の実施の形態である粒子測定装置について、図20を用いて説明する。図20は、第三の実施形態に係る粒子測定装置400の構成の一例を示す図である。図20に示すように、本実施形態に係る粒子測定装置400は、第二の実施の形態である濃度測定装置300の機能を削減し、粒子測定機能のみを残した装置である。また、粒子測定装置400の測定対象である粒子は、照明光に対して、粒子の表面あるいは内部から散乱光を発することを想定している。例えば、着色した粒子や、ボール・豆・魚卵・錠剤等の不透明あるは半透明な物体を検査する場合は、散乱光を測定することになる。散乱光により得られる粒子像データにおいては、粒子中央部、周辺部の濃淡は無くなって粒子全体が明るくなり、粒子間のオイルに相当する画素は暗くなる。この場合、粒子位置取得工程S100の抽出工程S114において、粒子間の白領域を除去する必要が無くなる。また、粒子間の白領域が無いので、隣接粒子抽出工程S101として、図7に示した手順を採用する。
濃度測定装置300と異なる点のみ説明する。粒子測定装置400で扱う検査プレート401は、検査プレート209のように粒子生成機能を備えていなくてもよく、粒子を面上に並べるための容器であればよい。画像処理ボード402は、画像処理ボード301のように、標的核酸計数方法011の実行に必要な計算ユニットは備えておらず、粒子測定のみに特化していてもよい。コントローラー403は、コントローラー303から、カメラ243、LED光源249、xyステージ246、画像処理ボード402の制御以外を省いたものであってもよい。また、タブレットPC410の管理画面411は、粒子測定装置400を管理するためのものであり、撮像開始・終了を指示する指示ボタン412と測定状況・結果を表示する表示部413とを備えたシンプルな構成であってもよい。
このように、本発明の第三の実施の形態は、被写界深度の影響等で、撮像による粒子体積の取得が困難な状況でも、粒子の大きさの測定が可能な粒子測定装置である。また、本実施形態は他の実施形態と異なり、粒子の散乱光を用いて測定を行うことのできる粒子測定装置である。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の粒子測定方法、粒子測定装置、及び核酸濃度測定システムは、微小な粒子の測定及び核酸濃度測定に広く利用可能であり、特に、医療分野における病理検査などの測定に有用である。
010…粒子測定方法
011…標的核酸計数方法

S100…粒子位置取得工程
S101,S103…隣接粒子抽出工程
S102…算出工程
S110…二値化工程
S111…領域分割工程
S112…重心算出工程
S113…形状評価工程
S114…抽出工程

S120…粒子対選択工程
S121…ラインサーチ工程
S122…粒子対の有無判定

S123…粒子対選択工程
S124…白領域径算出工程
S125…粒子距離算出工程
S126…粒子対の有無判定

130…ノードテーブル
135…エッジテーブル

S140…部分集合削除工程
S141…解算出工程

150…粒子半径差が大きい場合の連立方程式
151…粒子半径差が無視できる場合の連立方程式

S160…ポジ粒子数算出工程
S161…計数工程

S180…第一候補算出工程
S181…分配計算工程
S182…第二候補算出工程
S183…収束判定

S185…配列初期化工程
S186…核酸分配工程
S187…核酸数判定
S188…ポジ粒子数算出工程
S189…試行回数判定
S190…ポジ粒子数平均工程200…濃度測定システム

201…撮像装置
202…画像処理装置
203…タブレットPC
204…有線LAN
205,210,211,255…ネットワークケーブル
206…無線LANルーター
207…無線通信
208…プレートホルダー
209…検査プレート

212…表示画面
213…選択用リストボックス
214…情報表示・修正部
215…エディットボックス
216…指示ボタン

220…溶液
221…オイル
222…粒子
223…溶液注入部
224…粒子生成部
225…オイル吸出部
226…ガラス基板
227…金属治具
228…窪み
229…留め具
230…バーコード
231…ラベル

240…ネットワークインターフェース
241…コントローラー
242…サーマルサイクラー
243…カメラ
244…撮像レンズ
245…カメラ側フィルタホイール
246…xyステージ
247…照明側フィルタホイール
248…照明光学系
249…LED光源
250…単軸ロボット(x軸方向駆動)
251…単軸ロボット(z軸方向駆動)
252…単軸ロボット(y軸方向駆動)
253…電源
254…電源ケーブル

300…濃度測定装置
301…画像処理ボード
302…無線LANインターフェース
303…コントローラー

310…通信インターフェース
311…ユニットコントローラー
312…データバス
313…メモリ
314…二値化部
315…領域分割部
316…重心算出部
317…形状評価部
318…抽出部
319…隣接粒子抽出部
323…部分集合削除部
324…解算出部
325…ポジ粒子数算出部
326…計数処理部
329…コントローラー・ユニット間通信路

400…粒子測定装置
401…検査プレート
402…画像処理ボード
403…コントローラー

410…タブレットPC
411…管理画面
412…指示ボタン
413…表示部

Claims (12)

  1. 複数の粒子の像を含む画像データから、前記複数の粒子の個々の大きさを測定する粒子測定方法であって、
    前記画像データから前記粒子の中心位置を取得する粒子位置取得工程と、
    前記画像データにおいて、複数の前記粒子の中心位置の間の距離に基づいて、互いに隣接する複数の粒子を抽出する隣接粒子抽出工程と、
    前記隣接粒子抽出工程にて抽出された、前記互いに隣接する複数の粒子の中心位置の間の距離に基づいて、前記複数の粒子の個々の大きさを求める算出工程と、
    を含むことを特徴とする粒子測定方法。
  2. 記大きさは、前記粒子を一つずつ内包する球体の径、断面積、又は体積からなる群より選ばれるいずれか一つの大きさである、ことを特徴とする請求項1に記載の粒子測定方法。
  3. 前記粒子は球形であり、前記大きさは、前記粒子の径、断面積、又は体積からなる群より選ばれるいずれか一つの大きさである、ことを特徴とする請求項1に記載の粒子測定方法。
  4. 前記粒子位置取得工程は、
    前記画像データ内の画素を、前記粒子の中心部及び粒子間領域を表わす第一の画素、又は、前記粒子の周辺部及び粒子間領域を表わす第二の画素、に分類する二値化工程と、
    前記第一の画素のみで構成される部分領域を抽出する領域分割工程と、
    前記部分領域の形状を表わす形状評価値を算出する形状評価工程と、
    前記形状評価値に基づいて、前記粒子の中心部を表わす部分領域である粒子領域を抽出する抽出工程と、
    前記粒子領域の画素の重心位置を、粒子位置として求める重心算出工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の粒子測定方法。
  5. 前記隣接粒子抽出工程は、
    前記粒子領域を二つ選択する工程と、
    選択された二つの粒子領域の粒子位置を結ぶ線上にある第一の画素が、前記二つの粒子領域のみに属する場合に、前記二つの粒子領域を隣接粒子として抽出する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の粒子測定方法。
  6. 前記隣接粒子抽出工程は、
    前記粒子領域を二つ選択する工程と、
    選択された二つの粒子領域の粒子位置を結ぶ線上において、同一の粒子領域に属する第一の画素の当該粒子領域の重心からの最大距離を、各々の粒子領域に対して求める工程と、
    前記最大距離の和に対して、前記二つの粒子位置の間の距離との差を求める工程と、
    選択された二つの粒子領域の粒子位置を結ぶ線上にある第一の画素が、前記二つの粒子領域のみに属し、かつ、前記距離との差が前記二つの粒子位置の間の距離の半分より小さい場合に、前記二つの粒子領域を隣接粒子として抽出する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の粒子測定方法。
  7. 前記算出工程は、
    前記隣接粒子抽出工程により得られた隣接する粒子の間の距離と、隣接粒子の大きさの関係を表わす連立方程式を解くことにより、前記隣接粒子の大きさを求めることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の粒子測定方法。
  8. 前記算出工程は、
    前記隣接粒子抽出工程により得られた隣接関係を持つ粒子の中から、前記粒子の部分集合を選択する工程と、
    前記部分集合に含まれる粒子の数と、隣接関係にある粒子対の数と、を取得する工程と、
    前記粒子の数が前記粒子対の数より多い場合に、前記部分集合に含まれる粒子に係る係数を前記連立方程式から除く工程と、
    を含むことを特徴とする、請求項7に記載の粒子測定方法。
  9. 複数の粒子を含む検体の画像から、当該画像に含まれる粒子の大きさを測定する測定装置であって、
    検体を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により得られた画像データから前記粒子の中心位置を取得する粒子位置取得手段と、
    複数の前記粒子の中心位置の間の距離に基づいて、互いに隣接する複数の粒子を抽出する隣接粒子抽出手段と、
    前記粒子と隣接関係にある粒子との中心位置間の距離から、前記粒子の大きさを算出する算出手段と、
    を備えることを特徴とする粒子測定装置。
  10. 複数の粒子を含む検体の画像から、当該画像に含まれる粒子の大きさを測定する測定装置であって、
    記大きさの基準値を入力する入力手段と、
    前記検体を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により得られた画像データから前記粒子の中心位置を取得する粒子位置取得手段と、
    複数の前記粒子の中心位置の間の距離に基づいて、互いに隣接する複数の粒子を抽出する隣接粒子抽出手段と、
    前記粒子と前記隣接関係にある粒子との中心位置間の距離から、前記粒子の大きさの比率を算出する第一の算出手段と、
    前記比率と前記大きさの基準値から、前記粒子の大きさを求める第二の算出手段と、
    を備えることを特徴とする粒子測定装置。
  11. 特定の塩基配列を持つ標的核酸の濃度を測定する核酸濃度測定システムであって、
    前記標的核酸を含む溶液を小区画に分割した、複数の粒子を保持する検体と、
    前記粒子内の標的核酸の数を増幅させる機能を備え、前記検体を基にして、一つ以上の種類の画像データを撮像する撮像装置と、
    前記画像データから、標的核酸の濃度を算出する画像処理装置と、
    を備え、
    前記画像処理装置は、
    前記画像データから、前記粒子の中心位置を取得する粒子位置取得手段と、
    複数の前記粒子の中心位置の間の距離に基づいて、隣接した複数の粒子を抽出する隣接粒子抽出手段と、
    前記粒子と前記隣接関係にある粒子との中心位置間の距離から、前記粒子の大きさを算出する算出手段と、
    前記画像データから、標的核酸の有無が同じ粒子の数を測定する粒子数算出手段と、
    前記粒子の大きさと、前記標的核酸の有無が同じ粒子の数とから、溶液中の標的核酸濃度を推定する濃度推定手段と、
    を備える、
    ことを特徴とする核酸濃度測定システム。
  12. 特定の塩基配列を持つ標的核酸の濃度を測定する核酸濃度測定システムであって、
    前記標的核酸を含む溶液を、粒子の大きさの基準値が既知の小区画に分割した複数の粒子を保持する検体と、
    前記粒子内の標的核酸の数を増幅させる機能を備え、前記検体を基にして、一つ以上の種類の画像データを撮像する撮像装置と、
    前記画像データと前記大きさの基準値から、標的核酸の濃度を算出する画像処理装置と、を備え、
    前記画像処理装置は、
    前記画像データから前記粒子の中心位置を取得する粒子位置取得手段と、
    複数の前記粒子の中心位置の間の距離に基づいて、隣接した複数の粒子を抽出する隣接粒子抽出手段と、
    前記粒子と前記隣接関係にある粒子との中心位置間の距離から、前記粒子の大きさの比率を算出する算出手段と、
    前記画像データから、標的核酸の有無が同じ粒子の数を測定する粒子数算出手段と、
    前記粒子の大きさの比率、前記粒子の大きさの基準値、及び、前記標的核酸の有無が同じ粒子の数から溶液中の標的核酸濃度を推定する濃度推定手段と、
    を備える、
    ことを特徴とする核酸濃度測定システム。
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