JP7164201B2 - 電極体およびそれを備えた二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電極体およびそれを備えた二次電池に関し、特には、電極体の一部に固定層を有するような構成であっても、その固定層での接着を行う際の加熱に起因した電池特性の低下が生じにくい電極体およびそれを備えた二次電池等に関する。
二次電池は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノート型コンピュータ、デジタルカメラ等のポータブル電子機器の電源として広く普及しており、さらには電気自動車の電源や家庭用の電源としての用途も拡大してきている。中でも、高エネルギー密度で軽量なリチウムイオン二次電池は、現在の生活に欠かせないエネルギー蓄積デバイスとなっている。
こうした蓄電デバイスとしては、例えば、正極、負極を、セパレータやそれに代わる絶縁層により互いに絶縁された状態で積層または捲回した電極体と外装体が、リード部やタブ部を介して接続された電気デバイスが知られている。この電気デバイスに衝撃等が加わると、電極体が外装体内で移動・変形して内部短絡に至る可能性があった。そこで、例えば電極体から飛び出させたセパレータをラミネートフィルムで熱融着することで、電極体を固定する手段が提案されている。
一方、電池の安全性改善の観点から、セパレータを高耐熱化する、または、電極上に絶縁層をコートしてセパレータを用いないなどの構成を採る場合もあり、このような構成では、上記で示した電極体の固定方法を用いることができないため、別の方法で電極体を固定する必要がある。
電極どうしの固定という点に関して、例えば特許文献1には、第1の塗料を介して電極どうしを貼り付けてられている例が開示されている。同文献の実施例に開示されているように、この文献の技術は、基本的には、低融点樹脂のみを接着層に用いるものであり、貼付けのみを目的としたものと理解される。
また、セパレータと電極との一体化の観点で言えば、例えば特許文献2には、セパレータの構造として、セパレータ上に接着層が設けられたものが開示されている。
特開2006-164883号 特開2011-054503号
しかしながら、特許文献1の構成では、1種類の物質のみで接着層を形成しており、したがって、熱融着時に空孔率が低下し、電池特性が低下するおそれがある。特許文献2の構成は、あくまでセパレータに接着層が設けられたものであるので、例えば正極と負極とを直接貼り合わせるような場合には不向きである。
そこで本発明は、電極体の一部に固定層を有するような構成であっても、その固定層での接着を行う際の加熱に起因した電池特性の低下が生じにくい電極体およびそれを備えた二次電池等を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するための本発明の一形態に係る二次電池は次のとおりである:
正極、負極および固定層を有する電極体と、電解質と、それを収納する外装体と、を備え、前記固定層は、
a:結着剤である第1の成分と、前記第1の成分よりも融点が30℃以上低い第2の成分とを含むものであり、かつ、
b1:前記正極と前記負極との間に設けられ、それらを固定する、および/または、
b2:前記正極もしくは前記負極と外装体との間に設けられ、それらを固定する、
ように構成されている、二次電池。
以上のような構成によれば、融点の異なる少なくとも2種類の成分(第1および第2の成分)を含む固定層で接着を行う際に、相対的に融点の低い第2の成分のみを溶融させて固定を行うことができるものである。よって、単一の樹脂成分のみを比較的多い割合で含む構成と比較して、該樹脂成分が空孔を閉塞してしまい電池特性を低下させるといったことが起こりにくく、電池特性を良好なものとすることができる。また、セパレータを介することなく電極どうしを接着したり、電極と外装体とを接着したりすることも可能となる。
本発明によれば、電極体の一部に固定層を有するような構成であっても、その固定層での接着を行う際の加熱に起因した電池特性の低下が生じにくい電極体およびそれを備えた二次電池等を提供することができる。
二次電池の基本的構成を示す分解斜視図である。 図1に示す電極体の断面図である。 図2に示す正極および負極の構造を説明する模式的断面図である。 本発明の一形態の二次電池の構成の模式的断面図である。 本発明の他の形態の二次電池の構成の模式的断面図である。 本発明のさらに他の形態の二次電池の構成の模式的断面図である。 本発明の別の形態の二次電池の構成の模式的断面図である。
以下、本発明の一形態について図面を参照して説明する。なお、以下はあくまで一例の構成を示すものであり、本発明が以下の具体的な構成に限定されるものではない。
(電池の全体的構成)
図1を参照すると、電極体10と、電極体10を電解液とともに内包する外装体と、を有する、電池1の分解斜視図が示されている。外装体は、電極体10をその厚さ方向両側から挟んで包囲し、外周部が互いに接合されることで電極体10を封止する外装材21、22を有する。電極体10には、負極端子31および正極端子32がそれぞれ外装体から一部を突出させて接続されている。
電極体10は、図2に示すように、複数の正極11と複数の負極12とが交互に位置するように対向配置された積層体である。また、正極11と負極12との間には、正極11と負極12との間でのイオン伝導を確保しつつ正極11と負極12との短絡を防止するセパレータ13が必要に応じて配置されている。
正極11および負極12の構造について、図3も参照して説明すると、正極11および負極12(これらを単に「電極」ともいう)は、金属箔で形成することができる集電体110と、集電体110の片面または両面に形成された活物質層111と、を有している。
活物質層111は、好ましくは平面視矩形状に形成されており、集電体110は、活物質層111が形成された領域から延びる延長部を有する形状とされている。正極11の延長部と負極12の延長部とは、正極11と負極12とが積層された状態において互いに重ならない位置に形成されている。ただし、正極11の延長部どうしおよび負極12の延長部どうしは、それぞれ互いに重なる位置とされる。
このような延長部の配置により、複数の正極11は、それぞれの延長部が一つに集められて溶接されることによって正極タブ10aを形成する。同様に、複数の負極11は、それぞれの延長部が一つに集められて溶接されることによって負極タブ10bを形成する。正極端子31は正極タブ10aに電気的に接続され、負極端子32は負極タブ10bに電気的に接続される。
(各要素の具体的構成)
次いで、電極体を構成する各要素および電解液について詳細に説明する。なお、以下の説明では、特に限定されるものではないが、リチウムイオン二次電池における各要素について説明する。
[1]負極
負極は、例えば、負極活物質が負極用結着剤によって負極集電体に結着され、負極活物質が負極活物質層として負極集電体上に積層された構造を有する。本実施形態における負極活物質は、充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出が可能な材料であれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。なお、適宜その他の層を備えていてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料であれば他に制限は無く、公知の負極活物質を任意に用いることができる。例えば、コークス、アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、グラファイト等の炭素質材料;リチウム金属;リチウム-シリコン、リチウム-スズ等のリチウム合金、チタン酸リチウムなどを使用することが好ましい。これらの中でもサイクル特性及び安全性が良好でさらに連続充電特性も優れている点で、炭素質材料を使用するのが最も好ましい。なお、負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、負極活物質の粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、初期効率、レ-ト特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で、通常1μm以上、好ましくは15μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは30μm以下程度である。また、例えば、上記の炭素質材料をピッチ等の有機物で被覆した後で焼成したもの、CVD法等を用いて表面に上記炭素質材料よりも非晶質の炭素を形成したものなども、炭素質材料として好適に使用することができる。ここで、被覆に用いる有機物としては、軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ;乾留液化油等の石炭系重質油;常圧残油、減圧残油等の直留系重質油;原油、ナフサ等の熱分解時に副生する分解系重質油(例えばエチレンヘビーエンド)等の石油系重質油が挙げられる。また、これらの重質油を200~400℃で蒸留して得られた固体状残渣物を、1~100μmに粉砕したものも使用することができる。さらに塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂なども使用することができる。
本発明の一形態において、負極は、金属および/または金属酸化物ならびに炭素を負極活物質として含む。金属としては、例えば、Li、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、負極活物質として酸化スズもしくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンが、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素および硫黄の中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1~5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。また、金属や金属酸化物を、たとえば蒸着などの方法で、炭素等の導電物質を用いて被覆することでも、同様に電気伝導度を向上させることができる。
炭素としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
金属および金属酸化物は、リチウムの受容能力が炭素に比べて遥かに大きいことが特徴である。したがって、負極活物質として金属および金属酸化物を多く使用することで電池のエネルギー密度を改善することができる。高エネルギー密度を達成するため、負極活物質中の金属および/または金属酸化物の含有比率が高い方が好ましい。金属および/または金属酸化物は、負極活物質の0.01質量%以上の量で負極に含まれることが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。しかしながら、金属および/または金属酸化物は、炭素にくらべてリチウムを吸蔵・放出した際の体積変化が大きくなり、電気的な接合が失われる場合があることから、99質量%以下、好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上述した通り、負極活物質は、負極中の充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に受容、放出可能な材料であり、それ以外の結着剤などは含まない。
負極活物質層は、例えば、上述の負極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたりすることも可能であるが、通常は、正極活物質層の場合と同様に、上述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて各種の助剤等とを、溶媒でスラリー化してなる塗布液を、集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。前記のもの以外にも、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。SBR系エマルジョンのような水系の結着剤を用いる場合、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を用いることもできる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5~20質量部が好ましい。上記の負極用結着剤は、混合して用いることもできる。
負極集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、電気化学的な安定性から、例えば、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム、クロム、銀およびそれらの合金等の金属材料が好ましく用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。また、負極集電体も、予め粗面化処理しておくのが好ましい。さらに、集電体の形状も任意であり、箔状、平板状、メッシュ状等が挙げられる。また、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。
負極の作製方法としては、例えば、負極集電体上に、負極活物質と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。負極活物質層の形成方法としては、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。
負極活物質を含む塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、鱗片状、煤状、繊維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維(昭和電工製VGCF(登録商標))等が挙げられる。
[2]正極
正極とは、電池内における高電位側の電極のことをいい、一例として、充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出可能な正極活物質を含み、正極活物質が正極結着剤により一体化された正極活物質層として集電体上に積層された構造を有する。本発明の一形態において、正極は、単位面積当たりの充電容量を3mAh/cm以上有し、好ましくは3.5mAh/cm以上有する。また、安全性の観点などから単位面積当たりの正極の充電容量が、15mAh/cm以下であることが好ましい。ここで、単位面積当たり充電容量とは、活物質の理論容量から計算される。すなわち、単位面積当たりの正極の充電容量は、(正極に用いられる正極活物質の理論容量)/(正極の面積)によって計算される。なお、正極の面積とは、正極両面ではなく片面の面積のことを言う。
本実施形態における正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物であることが好ましい。高容量の化合物としては、ニッケル酸リチウム(LiNiO)のNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(A)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1-x) (A)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(A)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(A)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
また、式(A)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1~1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(A)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものを用いることができる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンが好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2~10質量部が好ましい。
正極活物質を含む塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、鱗片状、煤状、線維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維(例えば、昭和電工製VGCF)等が挙げられる。
正極集電体としては、負極集電体と同様のものを用いることができる。特に正極としては、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄・ニッケル・クロム・モリブデン系のステンレスを用いた集電体が好ましい。
正極活物質を含む正極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
[4]電解液
電解液は、特に限定されないが、電池の動作電位において安定な非水電解液が好ましい。非水電解液の具体例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、t-ジフルオロエチレンカーボネート(t-DFEC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)等の環状カーボネート類;アリルメチルカーボネート(AMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ―ブチロラクトン(GBL)等の環状エステル類、などの非プロトン性有機溶媒が挙げられる。非水電解液は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。また、スルホラン、フッ素化スルホラン、プロパンスルトン、プロペンスルトン等の含硫黄環状化合物を用いることが出来る。
電解液中に含まれる支持塩の具体例としては、特にこれらに制限されるものではないが、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、Li(CFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
[5]セパレータ
セパレータを有する場合、セパレータとしては、特に制限されず、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の多孔質フィルムや不織布、また、これらを基材としてシリカやアルミナ、ガラスなどの無機物を、付着もしくは接合したものや、単独で不織布や布として加工したものを用いることができる。また、セパレータとしては、それらを積層したものを用いることもできる。
本発明は、以上のリチウムイオン二次電池に限られず、どのような電池にも適用可能である。但し、熱の問題は、多くの場合、高容量化した電池において問題になることが多いため、本発明は、高容量化した電池、特にリチウムイオン二次電池に適用することが好ましい。
[6]固定構造
本実施形態の一形態の構成においては、例えば図4に示すように、負極12の片面または両面(この例では一例で両面)に固定層18が設けられていてもよい。固定層18の具体的な材質や構成については後述するが、ここでの固定層18の主な機能としては、負極12と正極11とを固定する、および/または、負極12と外装フィルム(外装体20)とを固定するというものである。また、図5に示すように、正極11の片面または両面(この例では一例で両面)に固定層18が設けられていてもよい。
図6の例は、電極間にセパレータ13が介在する構成となっている。一例として、固定層18は、電極体のうち最外側の電極(この例では負極12)に形成されている。この固定層18は、負極12と外装フィルムとを固定する。図7の例では、さらに、電極とセパレータとを固定するように、負極12とセパレータ13との間にも固定層18が介在している。
(固定層の材質)
固定層は、結着剤である第1の成分と、第1の成分よりも融点が30℃以上低い第2の成分とを少なくとも含んでいる。第1の成分と第2の成分の融点の差は、また、50℃以上であってもよいし、それ以上であってもよい。
第1の成分(相対的に高融点)としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF、融点151~178℃)、ポリテトラフルオロエチレン(融点327℃)、アクリル(明確な融点なし、熱分解温度>400℃)、ポリイミド(明確な融点なし、熱分解温度>500℃)、ポリアミドイミド(融点300℃)等が挙げられる。第1の成分は、例えばその融点が180℃程度である樹脂材料であってもよい。
固定層に含まれる第1の成分の量は、81~99質量%であることが好ましく、85~97質量%であることがさらに好ましい。
第2の成分(相対的に低融点)は、第1の成分よりも融点が30℃以上低い樹脂材料であってもよく、具体的には例えば融点が130℃程度のPE(ポリエチレン)であってもよい。PEとしては、低密度ポリエチレン(融点95~130℃)、高密度ポリエチレン(融点120~140℃)、超高分子量ポリエチレン(融点125~135℃)のいずれも用いることができ、エチレン・酢酸ビニル共重合体(融点65~90℃)等の共重合体も用いることができる。第2の成分の形状は特に限定されるものではなく、球状、繊維状等であってよい。
第2の成分とセパレータの融点との関係に関し、セパレータの融点は第2の成分の融点よりも高い。第2の成分が電解液に膨潤するような材料の場合、膨潤によって接着力が低下するおそれがあるため、この観点からは、第2の成分は電解液に膨潤しない材料であることが好ましい。第2の成分の融点は、60℃以上であることが好ましい。60℃未満である場合、通常の電池の動作時に溶融し、固定能力が低下する恐れがある。
固定層に含まれる第2の成分は、例えば20%重量未満であることが好ましく、具体的には1~19質量%であることが好ましく、3~15質量%であることがさらに好ましい。
必須の構成ではないが、固定層には、さらに、溶融温度が第1の成分よりも高い第3の成分が含まれていてもよい。第3の成分としては例えばアルミナ等が挙げられる(詳細下記)。第3の成分を含む場合、第1の成分の量は、3~20質量%であることが好ましく、5~10質量%であることが更に好ましい。第2の成分の量は上記記載の範囲と同様とすることができる。
第3の成分は、リチウムイオン二次電池の使用環境下で安定に存在し、電気化学的にも安定である非導電性粒子であることが好ましい。非導電性粒子としては、例えば各種の無機粒子、有機粒子やその他の粒子を使用することができる。中でも、無機酸化物粒子または有機粒子が好ましく、特に、粒子の熱安定性の高さから、無機酸化物粒子を使用することがより好ましい。
粒子中の金属イオンは、電極付近で塩を形成することがあり、電極の内部抵抗の増大や二次電池のサイクル特性の低下の原因となるおそれがある。また、その他の粒子としては、カーボンブラック、グラファイト、SnO、ITO、金属粉末などの導電性金属及び導電性を有する化合物や酸化物の微粉末の表面を、非電気伝導性の物質で表面処理することによって、電気絶縁性を持たせた粒子が挙げられる。非導電性粒子として、上記粒子を2種以上併用して用いてもよい。
無機粒子としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化チタン、BaTiO、ZrO、アルミナ-シリカ複合酸化物等の無機酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化硼素等の無機窒化物粒子;シリコーン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性イオン結晶粒子;タルク、モンモリロナイトなどの粘土微粒子等が用いられる。これらの粒子は必要に応じて元素置換、表面処理、固溶体化等されていてもよく、また単独でも2種以上の組合せからなるものでもよい。これらの中でも電解液中での安定性と電位安定性の観点から無機酸化物粒子が好ましい。
無機粒子の形状は、特に限定はされず、球状、針状、棒状、紡錘状、板状等であってもよいが、特に針状物の貫通を有効に防止しうる観点から板状であることが好ましい。
無機粒子が板状である場合には、多孔膜中において、無機粒子を、その平板面が多孔膜の面にほぼ平行となるように配向させることが好ましく、このような多孔膜を使用することで、電池の短絡の発生をより良好に抑制できる。これは、無機粒子を上記のように配向させることで、無機粒子同士が平板面の一部で重なるように配置されるため、多孔膜の片面から他面に向かう空隙(貫通孔)が、直線ではなく曲折した形で形成される(すなわち、曲路率が大きくなる)と考えられ、これにより、リチウムデンドライトが多孔膜を貫通することを防止でき、短絡の発生がより良好に抑制されるものと推測される。
好ましく用いられる板状の無機粒子としては、各種市販品が挙げられ、例えば、旭硝子エスアイテック社製「サンラブリー」(SiO)、石原産業社製「NST-B1」の粉砕品(TiO)、堺化学工業社製の板状硫酸バリウム「Hシリーズ」、「HLシリーズ」、林化成社製「ミクロンホワイト」(タルク)、林化成社製「ベンゲル」(ベントナイト)、河合石灰社製「BMM」や「BMT」(ベーマイト)、河合石灰社製「セラシュールBMT-B」[アルミナ(Al)]、キンセイマテック社製「セラフ」(アルミナ)、斐川鉱業社製「斐川マイカ Z-20」(セリサイト)などが入手可能である。この他、SiO、Al、ZrOについては、特開2003-206475号公報に開示の方法により作製することができる。
無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.005~10μm、より好ましくは0.1~5μm、特に好ましくは0.3~2μmの範囲にある。無機粒子の平均粒子径が上記範囲にあることで、多孔膜スラリーの分散状態の制御がしやすくなるため、均質な所定厚みの多孔膜の製造が容易になる。さらに、バインダとの接着性が向上し、多孔膜を巻回した場合であっても無機粒子の剥落が防止され、多孔膜を薄膜化しても十分な安全性を達成しうる。また、多孔膜中の粒子充填率が高くなることを抑制することができるため、多孔膜中のイオン伝導性が低下することを抑制することができる。さらにまた、多孔膜を薄く形成することができる。
なお、無機粒子の平均粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡)画像から、任意の視野において50個の一次粒子を任意に選択し、画像解析を行い、各粒子の円相当径の平均値として求めることができる。
無機粒子の粒子径分布(CV値)は、好ましくは0.5~40%、より好ましくは0.5~30%、特に好ましくは0.5~20%である。無機粒子の粒子径分布を上記範囲とすることにより、非導電性粒子間において所定の空隙を保つことができるため、本発明の二次電池中においてリチウムの移動を阻害し抵抗が増大することを抑制することができる。なお、無機粒子の粒子径分布(CV値)は、無機粒子の電子顕微鏡観察を行い、200個以上の粒子について粒子径を測定し、平均粒子径および粒子径の標準偏差を求め、(粒子径の標準偏差)/(平均粒子径)を算出して求めることができる。CV値が大きいほど、粒子径のバラツキが大きいことを意味する。
(固定層の固着方法)
本実施形態の構成において、図4~図7に示すように固定層18を含む電極体を製造するにあたっては、一例として、固定層18を介在させた状態で電極を積層した電極体全体を、所定の温度で加熱し、固定層18のうちの第2の成分を溶融させる。ここで、「所定の温度」とは、第の成分の融点より高く、かつ、第の成分の融点未満の温度であるこが好ましい。具体的な一例としては、130℃より高く180℃未満の温度範囲内である140℃程度としてもよい。セパレータを溶融させないように、加熱温度は、セパレータの溶融温度よりも低いことが好ましい。
加熱時間は特に限定されるものではないが、例えば、10分程度であってもよい。上記の例では、電極間に固定層が介在する例を想定したが、当然ながら図6のように、電極体の最外側のみに固定層が存在する構成に対しても同様の手順で作業を行ってもよい。または、この場合、熱プレス等で、最外部分付近のみ加熱を行って、固定層の第2の成分の溶融、固定を行うようにしてもよい。
第2の成分(一例でポリエチレン)が溶融したら、次いで、冷却を行い、電極どうし、電極とセパレータ、および/または、電極と外装フィルム等の固定を行う。
以上のようにして構成された本実施形態の構成によれば、図4~図7に例示するように固定層18を介して、電極どうし、電極とセパレータ、および/または電極と外装フィルムが固定される。ここで、固定層18は、融点の異なる2つの成分を含むものであり、相対的に融点の低い成分のみを溶融させて固定を行うものであるので、熱融着時に空孔率が低下し電池特性が低下することを回避しつつ、良好な固定を行うことが可能となる。
以上、本発明の一形態について説明したが、本発明は必ずしも上記の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、固定層は、(i)電極どうしの間、(ii)電極とセパレータの間、および(iii)電極と外装フィルムとの間という3つの態様のうちの1つまたは複数の態様で配置されてもよい。
以下、本発明の実施形態を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例の電池の作製について説明する。
(正極)
正極活物質としてのリチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.80Mn0.15Co0.05)、導電補助材としてのカーボンブラック、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを、90:5:5の質量比で計量し、それらをN-メチルピロリドンを用いて混練し、正極スラリーとした。調製した正極スラリーを、集電体としての厚み20μmのアルミニウム箔に塗布し乾燥し、さらにプレスすることで正極を得た。
(固定層スラリー作製)
次に第1の成分としてポリフッ化ビニリデン(PVdF、融点177℃)、第2の成分としてポリエチレン(PE、融点130℃)、第3の成分としてアルミナ(融点>2000℃)とを、10:1:89の重量比で計量し、それらをN-メチルピロリドンを用いて混練し、固定層用スラリーとした。
(正極への固定層コート)
作製した固定層スラリーを正極上にダイコーターで塗布し100℃で乾燥させ、さらにプレスすることで固定層がコートされた正極を得た。断面を電子顕微鏡で観察したところ、固定層の平均厚みは10μmであった。
(負極)
炭素材としての人造黒鉛粒子(平均粒径8μm)と、導電補助材としてのカーボンブラック、結着剤としてのスチレン-ブタジエン共重合ゴム:カルボキシメチルセルロースの質量比1対1混合物を、97:1:2の質量比で計量し、それらを蒸留水を用いて混練し、負極スラリーとした。調製した負極スラリーを、集電体としての厚み15μmの銅箔に塗布し乾燥し、さらにプレスすることで負極を得た。
(電極間の固定、及び剥離強度の評価) 作製した正負極に対して、それぞれ片面を剥がしたものを準備した。これを、活物質層を残した面同士が向かい合うように重ね、金属板で挟んだ状態で140℃の恒温槽の中で10分間加熱させた後、室温まで冷却させ、固定層を介して正負極を固定した。これを幅20mm、長さ100mmにカットし、90°剥離試験を行った。
「90°剥離試験」とは、固定した正負極のセット(試料)を試料台の表面に固定し、固定した試料の一端部を持って剥離角度を90°に保ちながら試料を剥離速度100mm/minで剥離させ、試料が剥離するまでの間に試料に加えた最大荷重から剥離強度を求める試験をいう。本発明における「90°剥離試験」は、常温環境下(15℃~25℃)で行うものとする。試料台への試料の固定は、負極の集電箔面を試料台に固定した。このとき、試料はその長さ方向一端から80mmまでの部分のみを固定し、固定しない部分は試料を剥離する際のチャック等による掴み代とした。試料台への試料の固定方法は、試料を剥離したときに絶縁層が試料台から剥離しないように試料を固定することができれば特に限定されず、例えば両面テープを用いることができる。
「剥離強度」は、「90°剥離試験」で測定された最大荷重を試料の幅である20mmで除算して試料幅1mm当たりの力に換算した値で表す。得られた値を表1に記す。
(積層体の組立て)
作製した正極および負極を、セパレータを介さずに直接重ね合わせて電極積層体を作製した。ここで、電極積層体の初回放電が100mAh程度になるように積層数を調整した。次に、正極及び負極それぞれの集電部分を束ねて、アルミニウム端子、ニッケル端子を溶接し、電極素子を作製した。
(電極の固定)
作製した積層体を金属板で挟んだ状態で140℃の恒温槽の中で10分間加熱させた後、室温まで冷却させ、固定層を介して正負極を固定した。
(二次電池の作製)
電極素子をラミネートフィルムで外装し、ラミネートフィルム内部に電解液を注入した。その後、ラミネートフィルム内部を減圧しながらラミネートフィルムを熱融着して封止した。これにより平板型の初回充電前の二次電池を複数個、作製した。ラミネートフィルムにはアルミニウムを蒸着したポリプロピレンフィルムを用いた。電解液には、電解質として1.0mol/lのLiPFと、非水電解溶媒としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(7:3(体積比))を含む溶液を用いた。
[二次電池の評価]
(レート特性)
作製した二次電池を4.2Vまで充電後、1C(=100mA)で2.5Vまで放電し、1C放電容量を計測した。次に、再度4.2Vまで充電後、0.2C(=20mA)で2.5Vまで放電し、0.2C放電容量を計測した。これらの値から、レート特性(=0.2C放電容量/1C放電容量)を算出した。結果を表1に記す。
<実施例2>
実施例2は、固定層スラリーを作製する際の組成を、第1の成分としてポリフッ化ビニリデン(PVdF):第2の成分としてポリエチレン(PE):第3の成分としてアルミナ=10:3:87(重量比)に変更した。それ以外は、実施例1と同様の手順で電極、及び二次電池を作製し、固定した電極間の剥離強度と、二次電池のレート特性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例3は、固定層スラリーを作製する際の組成を、第1の成分としてポリフッ化ビニリデン(PVdF):第2の成分としてポリエチレン(PE):第3の成分としてアルミナ=10:5:85(重量比)に変更した。それ以外は、実施例1と同様の手順で電極、及び二次電池を作製し、固定した電極間の剥離強度と、二次電池のレート特性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例4は、固定層スラリーを作製する際の組成を、第1の成分としてポリフッ化ビニリデン(PVdF):第2の成分としてポリエチレン(PE):第3の成分としてアルミナ=10:10:80(重量比)に変更した。それ以外は、実施例1と同様の手順で電極、及び二次電池を作製し、固定した電極間の剥離強度と、二次電池のレート特性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例5は、固定層スラリーを作製する際の組成を、第1の成分としてポリフッ化ビニリデン(PVdF):第2の成分としてポリエチレン(PE):第3の成分としてアルミナ=10:15:75(重量比)に変更した。それ以外は、実施例1と同様の手順で電極、及び二次電池を作製し、固定した電極間の剥離強度と、二次電池のレート特性を評価した。結果を表1に示す。
<参考例1>
参考例1は、正極上に固定層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で電極、及び二次電池を作製し、電極間の剥離強度と、二次電池のレート特性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
比較例1は、固定層スラリーを作製する際の組成を、第1の成分としてポリフッ化ビニリデン(PVdF):第2の成分としてポリエチレン(PE):第3の成分としてアルミナ=10:20:70(重量比)に変更した。それ以外は、実施例1と同様の手順で電極、及び二次電池を作製し、固定した電極間の剥離強度と、二次電池のレート特性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例2>
比較例2は、固定層スラリーを作製する際の組成を、第1の成分としてポリフッ化ビニリデン(PVdF):第2の成分としてポリエチレン(PE):第3の成分としてアルミナ=10:0.5:89.5(重量比)に変更した。それ以外は、実施例1と同様の手順で電極、及び二次電池を作製し、固定した電極間の剥離強度と、二次電池のレート特性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例3>
比較例2は、固定層スラリーを作製する際の組成を、第1の成分としてポリフッ化ビニリデン(PVdF、融点177℃):第2の成分としてポリプロピレン(PP、融点160℃):第3の成分としてアルミナ(融点>2000℃)=10:10:80(重量比)に変更した。そして、電極の固定を170℃10分で実施した。それ以外は、実施例1と同様の手順で電極、及び二次電池を作製し、固定した電極間の剥離強度と、二次電池のレート特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007164201000001
実施例1~5、及び参考例1、比較例2に記載の剥離強度は、いずれも正極上の固定層と負極間の剥離強度を示している。実施例1~5に示すように、固定層内の第2成分の割合を増やしていくと、剥離強度が向上し、より強く電極が固定されていることがわかる。さらに、二次電池を作製した場合にもレート特性が落ちていないことがわかる。
一方で、比較例1で示すように、第2の成分が20%以上になった場合、電極間の剥離強度が強いものの、レート特性が大きく低下した。これは、第2の成分が溶融した際に空隙を埋め、Liイオンの移動を妨害したためである。また、比較例2に示すように、第2成分の割合が1質量%よりも小さい場合では、電極間の剥離強度が0であった。
また、比較例3で示すように、第1の成分(PVdF:融点177℃)と第2成分(PP:融点160℃)の融点差が小さい場合、電極間の剥離強度は大きいものの、レート特性が低下した。これは、電極の固定を行う際の熱処理によって第1の成分が一部溶融または劣化したためである。
(付記)
本出願は少なくとも以下の発明を開示する。なお、下記において、括弧内の符号は参考のため付したものであり、何ら本発明を限定するものではない:
1.正極(11)、負極(12)および固定層(18)を有する電極体(10)と、電解質と、
それを収納する外装体(20)と、を備え、
上記固定層(18)は、
a:結着剤である第1の成分と、上記第1の成分よりも融点が30℃以上低い第2の成分とを含むものであり、かつ、
b1:上記正極と上記負極との間に設けられ、それらを固定する、および/または、
b2:上記正極もしくは上記負極と外装体との間に設けられ、それらを固定する、
ように構成されている、二次電池。
2.上記固定層は、さらに、絶縁性の第3の成分を含む、上記記載の二次電池。
3.さらに、上記正極および上記負極の間に配置されたセパレータ(13)を備える、上記記載の二次電池。
4.上記固定層(18)が、
b3:上記負極(12)と上記セパレータ(13)との間に設けられ、それらを固定する、および/または
b4:上記正極(11)と上記セパレータ(13)との間に設けられ、それらを固定する、
上記記載の二次電池。
5.第2の成分がPEである、上記記載の二次電池。
6.上記固定層は、
上記負極と上記正極との間、
上記負極と上記外装体との間、または、
上記負極と上記セパレータとの間、
に設けられたものであって、上記負極の表面にコートされた固定層を加熱することで上記第1の成分を溶融させ、上記負極および上記正極、上記負極および上記外装体、または、上記負極および上記セパレータを固定したものである、
上記記載の二次電池。
7.正極(11)、負極(12)および固定層(18)を備え、
上記固定層(18)は、
a:結着剤である第1の成分と、上記第1の成分よりも融点が30℃以上低い第2の成分とを含むものであり、かつ、
b1:上記正極と上記負極との間にも設けられ、それらを固定する、
ように構成されている、電極体。
8.さらに、上記正極および上記負極の間に配置されたセパレータ(13)を備える、上記記載の電極体。
9.正極(11)、負極(12)および固定層(18)を有する電極体(10)と、それを収納する外装体とを備え、上記固定層(18)は、結着剤である第1の成分と、上記第1の成分よりも融点が30℃以上低い第2の成分とを含むものである二次電池を製造する方法であって、
s1:固定層材料を上記負極の片面または両面にコートするステップと、
s2:上記固定層を加熱して固定を行うステップであって、上記第2の成分の融点より高くかつ上記第1の成分の融点未満の温度条件で加熱を行うステップと、
を含む方法。
1 電池
10 電極体
10a 正極タブ
10b 負極タブ
11 正極
12 負極
13 セパレータ
18 固定層
20 外装体
21、22 外装材
31 負極端子
32 正極端子
110 集電体
111 活物質層

Claims (10)

  1. 正極、負極および固定層を有する電極体と、電解質と、
    それを収納する外装体と、を備え、
    前記固定層は、
    a:樹脂材料であって結着剤である第1の成分を3~20質量%と、前記第1の成分よりも融点が30℃以上低い樹脂材料である第2の成分を1~19質量%と、絶縁性の無機粒子である第3の成分を61~96質量%とを含むものであり、かつ、
    b1:前記正極と前記負極との間に設けられ、それらを固定する、および/または、
    b2:前記正極もしくは前記負極と外装体との間に設けられ、それらを固定する、
    ように構成されている、二次電池。
  2. 前記第3の成分が板状の無機粒子である、請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記固定層は多孔膜であって、前記無機粒子はその平板面が多孔膜の面にほぼ平行となるように配向している、請求項2に記載の二次電池。
  4. さらに、
    前記正極および前記負極の間に配置されたセパレータを備える、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の二次電池。
  5. 前記固定層が、
    b3:前記負極と前記セパレータとの間に設けられ、それらを固定する、および/または
    b4:前記正極と前記セパレータとの間に設けられ、それらを固定する、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の二次電池。
  6. 第2の成分がPEである、請求項1~5のいずれか一項に記載の二次電池。
  7. 前記固定層は、
    前記負極と前記正極との間、
    前記負極と前記外装体との間、または、
    前記負極と前記セパレータとの間、
    に設けられたものであって、前記負極の表面にコートされた固定層を加熱することで前記第の成分を溶融させ、前記負極および前記正極、前記負極および前記外装体、または、前記負極および前記セパレータを固定したものである、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の二次電池。
  8. 正極、負極および固定層を備え、
    前記固定層は、
    a:樹脂材料であって結着剤である第1の成分を3~20質量%と、前記第1の成分よりも融点が30℃以上低い樹脂材料である第2の成分を1~19質量%と、絶縁性の無機粒子である第3の成分を61~96質量%とを含むものであり、かつ、
    b1:前記正極と前記負極との間に設けられ、それらを固定する、
    ように構成されている、電極体。
  9. さらに、
    前記正極および前記負極の間に配置されたセパレータを備える、
    請求項8に記載の電極体。
  10. 正極、負極および固定層を有する電極体と、それを収納する外装体とを備え、前記固定層は、樹脂材料であって結着剤である第1の成分を3~20質量%と、前記第1の成分よりも融点が30℃以上低い樹脂材料である第2の成分を1~19質量%と、絶縁性の無機粒子である第3の成分を61~96質量%とを含むものである二次電池を製造する方法であって、
    s1:固定層材料を前記負極の片面または両面にコートするステップと、
    s2:前記固定層を加熱して固定を行うステップであって、前記第2の成分の融点より高くかつ前記第1の成分の融点未満の温度条件で加熱を行うステップと、
    を含む方法。
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